【実施例】
【0029】
以下、実施例および比較例に基づいて説明する。なお、本実施例はあくまで一例であり、この例によって何ら制限されるものではない。すなわち、本発明は特許請求の範囲によってのみ制限されるものであり、本発明に含まれる実施例以外の種々の変形を包含するものである。
【0030】
(実施例1)
原料粉末として、平均粒径3μmのFe粉末、平均粒径3μmのPt粉末、平均粒径0.5μmのSiO
2粉末を用意し、組成が40Fe−40Pt−20SiO
2(mol%)となるように秤量した。このときSiO
2粉末には非晶質粉末を使用した。次に、秤量したFe粉末、Pt粉末、SiO
2粉末を乳鉢に入れた後、これに炭素粉末を3000wtppmとなるように添加し、その後、2時間混合した。
【0031】
次に、乳鉢から取り出した混合粉末をカーボン製の型に充填しホットプレスした。ホットプレスの条件は、真空雰囲気、昇温速度300°C/時間、保持温度1100°C、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。その後、ホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方圧加圧加工を施した。熱間等方圧加圧加工の条件は、昇温速度300°C/時間、保持温度1050°C、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、1050°Cで保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。作製した焼結体の断面を研磨し、コンフォーカル顕微鏡で観察したときの組織写真を
図1に示す。ここで、組織写真の黒く見えている部分が酸化物で、白く見えている部分がマトリックス(母材金属)となる金属である。
図1に示されるように、Fe−Pt系合金中にSiO
2が微細に分散している様子が分かる。さらに観察面の任意に選んだ4箇所を108μm×80μmの視野サイズで組織画像を撮影した。撮影された画像を画像処理ソフトで2値化し酸化物に該当する部分(組織観察画像の黒っぽい部分)の個数と面積を求めた。その結果、研磨面での酸化物の面積比率は46%であった。すなわち、酸化物の体積比率は46%であることが確認された。また、酸化物粒子1個あたりの平均面積を計算したところ、3.4μm
2であった。
【0032】
次に、作製した焼結体から採取した小片を、高周波誘導加熱炉燃焼−赤外線吸収法を採用した炭素分析装置で分析し、炭素含有量を求めた。その結果、炭素の含有量はスパッタリングターゲット中2700wtppmであった。
次に、この焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工してターゲットとした。次に、このターゲットをマグネトロンスパッタ装置(キヤノンアネルバ製C-3010スパッタリングシステム)に取り付け、スパッタリングを行った。スパッタリングの条件は、投入電力1kW、Arガス圧1.7Paとし、2kWhrのプレスパッタリングを実施した後、4インチ径のシリコン基板上に20秒間成膜した。そして基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンターで測定した。表1に示すように、このときのパーティクル個数は17個であった。
【0033】
(比較例1)
原料粉末として、平均粒径3μmのFe粉末、平均粒径3μmのPt粉末、平均粒径0.5μmのSiO
2粉末を用意し、組成が40Fe−40Pt−20SiO
2(mol%)となるように秤量した。このときSiO
2粉末には非晶質粉末を使用した。次に、秤量したFe粉末、Pt粉末、SiO
2粉末を乳鉢に入れた後、2時間混合した。比較例1では炭素粉末は添加しなかった。
【0034】
次に、乳鉢から取り出した混合粉末をカーボン製の型に充填しホットプレスした。ホットプレスの条件は、真空雰囲気、昇温速度300°C/時間、保持温度1100°C、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。その後、ホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方圧加圧加工を施した。熱間等方圧加圧加工の条件は、昇温速度300°C/時間、保持温度1050°C、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、1050°Cで保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。作製した焼結体の断面を研磨し、コンフォーカル顕微鏡で観察したときの組織写真を
図2に示す。さらに観察面の任意に選んだ4箇所を108μm×80μmの視野サイズで組織画像を撮影した。撮影された画像を画像処理ソフトで2値化し酸化物に該当する部分(組織観察画像の黒っぽい部分)の個数と面積を求めた。その結果、研磨面での酸化物の面積比率は46%であった。すなわち、酸化物の体積比率は46%であることが確認された。また、酸化物粒子1個あたりの平均面積を計算したところ、12.3μm
2であった。
【0035】
次に、作製した焼結体から採取した小片を、高周波誘導加熱炉燃焼−赤外線吸収法を採用した炭素分析装置で分析し、炭素含有量を求めた。その結果、炭素の含有量はスパッタリングターゲット中20wtppmであった。
次に、この焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工してターゲットとした。次に、このターゲットをマグネトロンスパッタ装置(キヤノンアネルバ製C-3010スパッタリングシステム)に取り付け、スパッタリングを行った。スパッタリングの条件は、投入電力1kW、Arガス圧1.7Paとし、2kWhrのプレスパッタリングを実施した後、4インチ径のシリコン基板上に20秒間成膜した。そして基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンターで測定した。表1に示すように、このときのパーティクル個数は89個であった。
【0036】
(実施例2)
原料粉末として、平均粒径3μmのFe粉末、平均粒径3μmのPt粉末、平均粒径3μmのCu粉末、平均粒径0.5μmのSiO
2粉末を用意し、組成が35Fe−35Pt−10Cu−20SiO
2(mol%)となるように秤量した。このときSiO
2粉末には石英粉末を使用した。次に、秤量したFe粉末、Pt粉末、SiO
2粉末、Cu粉末を乳鉢に入れた後、これに炭素粉末を400wtppmとなるように添加し、その後、2時間混合した。
【0037】
次に、乳鉢から取り出した混合粉末をカーボン製の型に充填しホットプレスした。ホットプレスの条件は、真空雰囲気、昇温速度300°C/時間、保持温度1050°C、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。その後、ホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方圧加圧加工を施した。熱間等方圧加圧加工の条件は、昇温速度300°C/時間、保持温度1000°C、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、1000°Cで保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。次に作製した焼結体の断面を研磨し、任意に選んだ4箇所を108μm×80μmの視野サイズで組織画像を撮影した。撮影された画像を画像処理ソフトで2値化し酸化物に該当する部分(組織観察画像の黒っぽい部分)の個数と面積を求めた。その結果、研磨面での酸化物の面積比率は46%であった。すなわち、酸化物の体積比率は46%であることが確認された。また、酸化物粒子1個あたりの平均面積を計算したところ、2.7μm
2であった。
【0038】
次に、作製した焼結体から採取した小片を、高周波誘導加熱炉燃焼−赤外線吸収法を採用した炭素分析装置で分析し、炭素含有量を求めた。その結果、炭素の含有量はスパッタリングターゲット中330wtppmであった。
次に、この焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工してターゲットとした。次に、このターゲットをマグネトロンスパッタ装置(キヤノンアネルバ製C-3010スパッタリングシステム)に取り付け、スパッタリングを行った。スパッタリングの条件は、投入電力1kW、Arガス圧1.7Paとし、2kWhrのプレスパッタリングを実施した後、4インチ径のシリコン基板上に20秒間成膜した。そして基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンターで測定した。表1に示すように、このときのパーティクル個数は12個であった。
【0039】
(比較例2)
原料粉末として、平均粒径3μmのFe粉末、平均粒径3μmのPt粉末、平均粒径3μmのCu粉末、平均粒径0.5μmのSiO
2粉末を用意し、組成が35Fe−35Pt−10Cu−20SiO
2(mol%)となるように秤量した。このときSiO
2粉末には石英粉末を使用した。次に、秤量したFe粉末、Pt粉末、SiO
2粉末、Cu粉末を乳鉢に入れた後、2時間混合した。比較例2では炭素粉末は添加しなかった。
【0040】
次に、乳鉢から取り出した混合粉末をカーボン製の型に充填しホットプレスした。ホットプレスの条件は、真空雰囲気、昇温速度300°C/時間、保持温度1050°C、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。その後、ホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方圧加圧加工を施した。熱間等方圧加圧加工の条件は、昇温速度300°C/時間、保持温度1000°C、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、1000°Cで保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。次に作製した焼結体の断面を研磨し、任意に選んだ4箇所を108μm×80μmの視野サイズで組織画像を撮影した。撮影された画像を画像処理ソフトで2値化し酸化物に該当する部分(組織観察画像の黒っぽい部分)の個数と面積を求めた。その結果、研磨面での酸化物の面積比率は46%であった。すなわち、酸化物の体積比率は46%であることが確認された。また、酸化物粒子1個あたりの平均面積を計算したところ、8.7μm
2であった。
【0041】
次に、作製した焼結体から採取した小片を、高周波誘導加熱炉燃焼−赤外線吸収法を採用した炭素分析装置で分析し、炭素含有量を求めた。その結果、炭素の含有量はスパッタリングターゲット中30wtppmであった。
次に、この焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工してターゲットとした。次に、このターゲットをマグネトロンスパッタ装置(キヤノンアネルバ製C-3010スパッタリングシステム)に取り付け、スパッタリングを行った。スパッタリングの条件は、投入電力1kW、Arガス圧1.7Paとし、2kWhrのプレスパッタリングを実施した後、4インチ径のシリコン基板上に20秒間成膜した。そして基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンターで測定した。表1に示すように、このときのパーティクル個数は68個であった。
【0042】
(実施例3)
原料粉末として、平均粒径10μmのFe−Pt−B合金粉末(組成:47.5Fe−47.5Pt−5B(mol%))、平均粒径0.5μmのSiO
2粉末を用意し、組成が38Fe−38Pt−4B−20SiO
2(mol%)となるように秤量した。このときSiO
2粉末には非晶質粉末を使用した。次に、秤量したFe−Pt−B粉末、SiO
2粉末を媒体攪拌ミルのポットに入れた後、これに炭素粉末を5000wtppmとなるように添加し、その後、8時間混合した。
【0043】
次に、乳鉢から取り出した混合粉末をカーボン製の型に充填しホットプレスした。ホットプレスの条件は、真空雰囲気、昇温速度300°C/時間、保持温度1000°C、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。その後、ホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方圧加圧加工を施した。熱間等方圧加圧加工の条件は、昇温速度300°C/時間、保持温度950°C、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、950°Cで保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。次に作製した焼結体の断面を研磨し、任意に選んだ4箇所を108μm×80μmの視野サイズで組織画像を撮影した。撮影された画像を画像処理ソフトで2値化し酸化物に該当する部分(組織観察画像の黒っぽい部分)の個数と面積を求めた。その結果、研磨面での酸化物の面積比率は46%であった。すなわち、酸化物の体積比率は46%であることが確認された。また、酸化物粒子1個あたりの平均面積を計算したところ、3.9μm
2であった。
【0044】
次に、作製した焼結体から採取した小片を、高周波誘導加熱炉燃焼−赤外線吸収法を採用した炭素分析装置で分析し、炭素含有量を求めた。その結果、炭素の含有量はスパッタリングターゲット中4700wtppmであった。
次に、この焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工してターゲットとした。次に、このターゲットをマグネトロンスパッタ装置(キヤノンアネルバ製C-3010スパッタリングシステム)に取り付け、スパッタリングを行った。スパッタリングの条件は、投入電力1kW、Arガス圧1.7Paとし、2kWhrのプレスパッタリングを実施した後、4インチ径のシリコン基板上に20秒間成膜した。そして基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンターで測定した。表1に示すように、このときのパーティクル個数は21個であった。
【0045】
(比較例3)
原料粉末として、平均粒径10μmのFe−Pt−B合金粉末(組成:47.5Fe−47.5Pt−5B(mol%))、平均粒径0.5μmのSiO
2粉末を用意し、組成が38Fe−38Pt−4B−20SiO
2(mol%)となるように秤量した。このときSiO
2粉末には非晶質粉末を使用した。次に、秤量したFe−Pt−B粉末、SiO
2粉末を媒体攪拌ミルのポットに入れた後、8時間混合した。比較例3では炭素粉末は添加しなかった。
【0046】
次に、乳鉢から取り出した混合粉末をカーボン製の型に充填しホットプレスした。ホットプレスの条件は、真空雰囲気、昇温速度300°C/時間、保持温度1000°C、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。その後、ホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方圧加圧加工を施した。熱間等方圧加圧加工の条件は、昇温速度300°C/時間、保持温度950°C、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、950°Cで保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。次に作製した焼結体の断面を研磨し、任意に選んだ4箇所を108μm×80μmの視野サイズで組織画像を撮影した。撮影された画像を画像処理ソフトで2値化し酸化物に該当する部分(組織観察画像の黒っぽい部分)の個数と面積を求めた。その結果、研磨面での酸化物の面積比率は46%であった。すなわち、酸化物の体積比率は46%であることが確認された。また、酸化物粒子1個あたりの平均面積を計算したところ、14.3μm
2であった。
【0047】
次に、作製した焼結体から採取した小片を、高周波誘導加熱炉燃焼−赤外線吸収法を採用した炭素分析装置で分析し、炭素含有量を求めた。その結果、炭素の含有量はスパッタリングターゲット中20wtppmであった。
次に、この焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工してターゲットとした。次に、このターゲットをマグネトロンスパッタ装置(キヤノンアネルバ製C-3010スパッタリングシステム)に取り付け、スパッタリングを行った。スパッタリングの条件は、投入電力1kW、Arガス圧1.7Paとし、2kWhrのプレスパッタリングを実施した後、4インチ径のシリコン基板上に20秒間成膜した。そして基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンターで測定した。表1に示すように、このときのパーティクル個数は103個であった。
【0048】
(実施例4)
原料粉末として、平均粒径3μmのFe粉末、平均粒径3μmのPt粉末、平均粒径3μmのCu粉末、平均粒径0.5μmのSiO
2粉末、平均粒径1μmのZrO
2粉末を用意し、組成が40Fe−40Pt−10SiO
2−10ZrO
2(mol%)となるように秤量した。このときSiO
2粉末には非晶質粉末を使用した。次に、秤量したFe粉末、Pt粉末、SiO
2粉末、ZrO
2粉末を乳鉢に入れた後、これに炭素粉末を2500wtppmとなるように添加し、その後、2時間混合した。
【0049】
次に、乳鉢から取り出した混合粉末をカーボン製の型に充填しホットプレスした。ホットプレスの条件は、真空雰囲気、昇温速度300°C/時間、保持温度1100°C、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。その後、ホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方圧加圧加工を施した。熱間等方圧加圧加工の条件は、昇温速度300°C/時間、保持温度1100°C、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、1100°Cで保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。次に作製した焼結体の断面を研磨し、任意に選んだ4箇所を108μm×80μmの視野サイズで組織画像を撮影した。撮影された画像を画像処理ソフトで2値化し酸化物に該当する部分(組織観察画像の黒っぽい部分)の個数と面積を求めた。その結果、研磨面での酸化物の面積比率は42%であった。すなわち、酸化物の体積比率は42%であることが確認された。また、酸化物粒子1個あたりの平均面積を計算したところ、2.3μm
2であった。
【0050】
次に、作製した焼結体から採取した小片を、高周波誘導加熱炉燃焼−赤外線吸収法を採用した炭素分析装置で分析し、炭素含有量を求めた。その結果、炭素の含有量はスパッタリングターゲット中2100wtppmであった。
次に、この焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工してターゲットとした。次に、このターゲットをマグネトロンスパッタ装置(キヤノンアネルバ製C-3010スパッタリングシステム)に取り付け、スパッタリングを行った。スパッタリングの条件は、投入電力1kW、Arガス圧1.7Paとし、2kWhrのプレスパッタリングを実施した後、4インチ径のシリコン基板上に20秒間成膜した。そして基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンターで測定した。表1に示すように、このときのパーティクル個数は14個であった。
【0051】
(比較例4)
原料粉末として、平均粒径3μmのFe粉末、平均粒径3μmのPt粉末、平均粒径3μmのCu粉末、平均粒径0.5μmのSiO
2粉末、平均粒径1μmのZrO
2粉末を用意し、組成が40Fe−40Pt−10SiO
2−10ZrO
2(mol%)となるように秤量した。このときSiO
2粉末には非晶質粉末を使用した。次に、秤量したFe粉末、Pt粉末、SiO
2粉末、ZrO
2粉末を乳鉢に入れた後、2時間混合した。比較例4では炭素粉末は添加しなかった。
【0052】
次に、乳鉢から取り出した混合粉末をカーボン製の型に充填しホットプレスした。ホットプレスの条件は、真空雰囲気、昇温速度300°C/時間、保持温度1100°C、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。その後、ホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方圧加圧加工を施した。熱間等方圧加圧加工の条件は、昇温速度300°C/時間、保持温度1100°C、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、1100°Cで保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。次に作製した焼結体の断面を研磨し、任意に選んだ4箇所を108μm×80μmの視野サイズで組織画像を撮影した。撮影された画像を画像処理ソフトで2値化し酸化物に該当する部分(組織観察画像の黒っぽい部分)の個数と面積を求めた。その結果、研磨面での酸化物の面積比率は42%であった。すなわち、酸化物の体積比率は42%であることが確認された。また、酸化物粒子1個あたりの平均面積を計算したところ、5.7μm
2であった。
【0053】
次に、作製した焼結体から採取した小片を、高周波誘導加熱炉燃焼−赤外線吸収法を採用した炭素分析装置で分析し、炭素含有量を求めた。その結果、炭素の含有量はスパッタリングターゲット中10wtppmであった。
次に、この焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工してターゲットとした。次に、このターゲットをマグネトロンスパッタ装置(キヤノンアネルバ製C-3010スパッタリングシステム)に取り付け、スパッタリングを行った。スパッタリングの条件は、投入電力1kW、Arガス圧1.7Paとし、2kWhrのプレスパッタリングを実施した後、4インチ径のシリコン基板上に20秒間成膜した。そして基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンターで測定した。表1に示すように、このときのパーティクル個数は63個であった。
【0054】
(実施例5)
原料粉末として、平均粒径3μmのFe粉末、平均粒径3μmのPt粉末、平均粒径3μmのCo粉末、平均粒径0.5μmのSiO
2粉末、平均粒径1μmのTiO
2粉末を用意し、組成が40Fe−40Pt−4Co−8SiO
2−8TiO
2(mol%)となるように秤量した。このときSiO
2粉末には非晶質粉末を使用した。次に、秤量したFe粉末、Pt粉末、Co粉末、SiO
2粉末、TiO
2粉末を乳鉢に入れた後、これに炭素粉末を5000wtppmとなるように添加し、その後、2時間混合した。
【0055】
次に、乳鉢から取り出した混合粉末をカーボン製の型に充填しホットプレスした。ホットプレスの条件は、真空雰囲気、昇温速度300°C/時間、保持温度1000°C、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。その後、ホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方圧加圧加工を施した。熱間等方圧加圧加工の条件は、昇温速度300°C/時間、保持温度1000°C、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、1000°Cで保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。次に作製した焼結体の断面を研磨し、任意に選んだ4箇所を108μm×80μmの視野サイズで組織画像を撮影した。撮影された画像を画像処理ソフトで2値化し酸化物に該当する部分(組織観察画像の黒っぽい部分)の個数と面積を求めた。その結果、研磨面での酸化物の面積比率は35%であった。すなわち、酸化物の体積比率は35%であることが確認された。また、酸化物粒子1個あたりの平均面積を計算したところ、1.9μm
2であった。
【0056】
次に、作製した焼結体から採取した小片を、高周波誘導加熱炉燃焼−赤外線吸収法を採用した炭素分析装置で分析し、炭素含有量を求めた。その結果、炭素の含有量はスパッタリングターゲット中4600wtppmであった。
次に、この焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工してターゲットとした。次に、このターゲットをマグネトロンスパッタ装置(キヤノンアネルバ製C-3010スパッタリングシステム)に取り付け、スパッタリングを行った。スパッタリングの条件は、投入電力1kW、Arガス圧1.7Paとし、2kWhrのプレスパッタリングを実施した後、4インチ径のシリコン基板上に20秒間成膜した。そして基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンターで測定した。表1に示すように、このときのパーティクル個数は6個であった。
【0057】
(比較例5)
原料粉末として、平均粒径3μmのFe粉末、平均粒径3μmのPt粉末、平均粒径3μmのCo粉末、平均粒径0.5μmのSiO
2粉末、平均粒径1μmのTiO
2粉末を用意し、組成が40Fe−40Pt−4Co−8SiO
2−8TiO
2(mol%)となるように秤量した。このときSiO
2粉末には非晶質粉末を使用した。次に、秤量したFe粉末、Pt粉末、Co粉末、SiO
2粉末、TiO
2粉末を乳鉢に入れた後、2時間混合した。比較例5では炭素粉末は添加しなかった。
【0058】
次に、乳鉢から取り出した混合粉末をカーボン製の型に充填しホットプレスした。ホットプレスの条件は、真空雰囲気、昇温速度300°C/時間、保持温度1000°C、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。その後、ホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方圧加圧加工を施した。熱間等方圧加圧加工の条件は、昇温速度300°C/時間、保持温度1000°C、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、1000°Cで保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。次に作製した焼結体の断面を研磨し、任意に選んだ4箇所を108μm×80μmの視野サイズで組織画像を撮影した。撮影された画像を画像処理ソフトで2値化し酸化物に該当する部分(組織観察画像の黒っぽい部分)の個数と面積を求めた。その結果、研磨面での酸化物の面積比率は35%であった。すなわち、酸化物の体積比率は35%であることが確認された。また、酸化物粒子1個あたりの平均面積を計算したところ、4.1μm
2であった。
【0059】
次に、作製した焼結体から採取した小片を、高周波誘導加熱炉燃焼−赤外線吸収法を採用した炭素分析装置で分析し、炭素含有量を求めた。その結果、炭素の含有量はスパッタリングターゲット中20wtppmであった。
次に、この焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工してターゲットとした。次に、このターゲットをマグネトロンスパッタ装置(キヤノンアネルバ製C-3010スパッタリングシステム)に取り付け、スパッタリングを行った。スパッタリングの条件は、投入電力1kW、Arガス圧1.7Paとし、2kWhrのプレスパッタリングを実施した後、4インチ径のシリコン基板上に20秒間成膜した。そして基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンターで測定した。表1に示すように、このときのパーティクル個数は35個であった。
【0060】
以上の通り、本発明のスパッタリングターゲットの実施例はいずれの場合においても、スパッタリング時に発生するパーティクルは30個以下であり、比較例に比べ常に少ないという結果が得られた。
【0061】
【表1】