(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記反応器アセンブリに4個以上の反応セルが備わっている、好ましくは前記反応器アセンブリに6個以上の反応セルが備わっている、より好ましくは前記反応器アセンブリに8個以上の反応セルが備わっている、請求項1に記載の方法。
前記反応器アセンブリと該反応器アセンブリに輸送される反応体流が、0℃〜180℃の範囲の温度に、好ましくは20℃〜160℃の範囲,より好ましくは40℃〜140℃の範囲、さらに好ましくは40℃〜120℃範囲の温度に調整される、請求項1または2に記載の方法。
異なる反応セル中の流体が撹拌機で混合され、その際、これら撹拌機が、好ましくは外部の偏心駆動部で動かされ、振動幅が0.5mm〜40mmの範囲であり、振動数が0.1Hz〜500Hzの範囲である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
前記反応器アセンブリの個々の反応セルの体積が0.5mL〜100mLの範囲である、好ましくは反応セルの体積が1mL〜50mLの範囲である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
前記モノマーが、アリール−アリールC−Cカップリング物の形成下に反応する(ヘテロ)芳香族化合物からなり、該化合物が、少なくとも一個のハライド官能基と少なくとも一個のホウ素官能基を有しているか、あるいはアリール−アリールC−Cカップリング物の形成下に少なくとも一種の第一の(ヘテロ)芳香族化合物と少なくとも一種の第二の(ヘテロ)芳香族化合物を共重合させ(但し、前記第一の化合物が少なくとも2個のハライド官能基を持ち、前記第二の化合物が少なくとも2個のホウ素官能基を持つ)、前記反応体流が、
a)パラジウム触媒と有機ホスフィンまたはホスホニウム化合物を含む触媒/配位子系と
b)塩基
を含むか、前記反応体流が、a)とb)を含む流体に接触混合される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
前記ポリマー状カップリング生成物の多分散度が1.01〜10の範囲である、好ましくは多分散度が1.1〜3の範囲、より好ましくは1.5〜2.5の範囲である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法の、プリントエレクトロニクス、LED、OFET、OLED、OPV、半導体の分野で用いられるポリマー状カップリング生成物の製造のための使用法。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、10個の反応セルを備えた反応器アセンブリ中でカップリング反応を連続的に行うための装置を示す概略図である。この装置は、
反応体流の供給とオンライン評価のための分析手段用の二本の異なる流体ラインを持っている。
【
図2】
図2は、ポリマー状カップリング生成物の製造に用いられる装置の概略図である。この装置には、平行に設けられた3個の反応器アセンブリが備わっている。
【0011】
本発明のポリマーカップリング反応は、遷移金属触媒でのC−CまたはC−Nカップリング反応によりポリマーを製造する反応である。本発明の目的では、遷移金属触媒によるC−CまたはC−Nカップリング反応は、触媒としての遷移金属または遷移金属化合物の存在下で、必要なら少なくとも一種の塩基及び/又は少なくとも一種の他の添加物を添加した上で、二種の有機化合物をカップリングして新たなC−CまたはC−N結合を形成し、上記二種の有機化合物のそれぞれの反応性基を除去する反応である。この遷移金属または遷移金属化合物は、パラジウムまたはパラジウム化合物、コバルトまたはコバルト化合物、または鉄または鉄化合物から選ばれることが好ましい。パラジウムまたはパラジウム化合物が、あるいはニッケルまたはニッケル化合物が特に好ましい。ポリマーの形成には、各モノマーが、相互に反応可能な少なくとも2個の反応性基を、あるいは他のモノマーの反応性基とカップリング反応で反応可能な少なくとも2個の反応性基を持つ必要がある。
【0012】
本発明の目的では、反応性基は、モノマーの炭素原子または窒素原子との結合基がカップリング反応中に切断してそのモノマーを残すいずれか基である。この基は、単一の原子、例えばハロゲン原子または水素原子であってもよい。
【0013】
少なくとも2個の反応性基を有し、このようなカップリング反応のモノマーとして当業界の熟練者には公知の有機化合物全てを、本発明の方法で少なくとも2個の反応性基をもつモノマーとして使用できる。なお、以下に詳細に説明する基とXとYが反応性基として可能である。
―
この重縮合反応は、スキーム1またはスキーム2に示す反応で進行することが好ましい:
(スキーム1)
nX−Ar−X + nY−M−Y → −−−[Ar−M]
n−−− + X−Y
(スキーム2)
nX−Ar−(X)
m−Y → −−−[Ar−(M)
m]
n−−−
【0014】
式中の記号と添字は次の意味を持つ:
Xは、それぞれ同じであるか異なり、いずれの場合も、塩素、臭素、ヨウ素、フルオロアルキルスルホナートまたはペルフルオロアルキルスルホナート(例えば、トリフルオロエタンスルホナートまたはノナフルオロブタンスルホナート)であり;
Yは、それぞれ同じであるか異なり、いずれの場合も、XまたはB(OH)
2、B(OR)
2、BR
2、SnR
3、NR−H、NH
2、MgCl、MgBr、MgI、SiR
2F、SiRF
2、ZnCl、ZnBr、ZnIであり、またはMのビニルまたはアセチレン結合の直接結合している場合Hであり;
Arは、それぞれ同じであるか異なり、いずれの場合も、5〜60個の芳香族環原子をもち、一個以上の基(F、Cl、Br、I、RまたはOR)で置換されていてもよい2価の芳香族または複素芳香環系であり;
Mは、それぞれ同じであるか異なり、いずれの場合も、1〜60個の炭素原子をもつ基Arまたは有機基、好ましくは、一個以上、好ましくは2個以上のビニルまたはアセチレン基で置換された基Arであり;
Rは、それぞれ同じであるか異なり、いずれの場合も、H、1〜40個の炭素原子をもつ線状アルキル鎖、または3〜40個の炭素原子をもつ分岐状または環状アルキル鎖
(その一個以上の非隣接炭素原子が、N−R
1、−O−、−S−、−O−CO−O−、−CO−O−、−CR
1=CR
1−、−C≡C−で置換されていてもよく、一個以上のH原子が、F、Cl、Br、IまたはCNで置換されていてもよい)であるか、
5〜60個の芳香族環原子を持ち一個以上の非芳香族基Rで置換されていてもよい芳香族または複素芳香環系であり;2つ以上の基Rが環系を形成してもよく;
R
1は、それぞれ同じであるか異なり、いずれの場合も、Hまたは1〜20個の炭素原子をもつ脂肪族または芳香族炭化水素基であり;
nは、それぞれ、最大で10000であり;
mは、それぞれ、0または1であり;
破線の結合は、ポリマー鎖中の結合を意味する。
【0015】
遷移金属で触媒されるカップリング反応は、鈴木カップリングと山本カップリング、ハートウィグ。バックワルドカップリング、スチルカップリング、ヘックカップリング、薗頭カップリング、根岸カップリング、檜山カップリング、グリニャールクロスカップリング(熊田カップリング)からなる群から選ばれることが好ましい。これらのカップリング反応とこのために通常用いられる反応条件の一般的な概説が、クロスカップリング反応(Topics in Current Chemistry、Ed. N. Miyaura、219、Springer−Verlag 2002)と、金属触媒クロスカップリング反応(Ed. F. Diederich、P.J. Stang、Wiley−VCH, 1998)に記載されている。
【0016】
本発明の方法のある好ましい実施様態では、反応器から流出する生成物流体が特定の時間間隔で分析評価にかけられる。本発明の方法が、反応進行中に及び/又は生成物流体の粘度が増加する間に、形成されるポリマー状カップリング生成物が少なくとも部分的に析出し始める反応系に関することが好ましい。本発明の方法で得られるポリマー含有生成物流体の粘度は、好ましくは0.01Pa・s〜50Pa・sの範囲であり、より好ましくは0.1〜25Pa・sの範囲、さらに好ましくは0.2Pa・s〜10Pa・sの範囲である。これらの粘度は、温度が25℃の値である。上記の粘度範囲での剪断速度は、0.3s
−1〜50s
−1の範囲である。
【0017】
本発明の方法の特定の実施様態では、生成物流体が25℃で非ニュートン流体的挙動を示すが、この生成物流体がチキソトロピックな挙動を示しても本発明の範囲に含まれる。
【0018】
反応生成物の析出に加えて、反応系内でのゲル化の結果、粘度上昇が起こることもある。析出とゲル化により反応系の粘度上昇が起こることがある。
【0019】
ある好ましい実施様態では、本発明の方法が自動工程管理下で実施される。
【0020】
一般に、反応器に
反応体流がポンプを用いて投入されるが、このプロセス中の反応器アセンブリ内部の圧力は、周囲圧力〜200barの範囲である。
【0021】
もう一つの好ましい実施様態では、撹拌反応器アセンブリの反応セルの内部が反応進行中に放射エネルギーに曝されるか、この反応が照射により開始させられる。放射エネルギー源が、UVまたはγ線であってもよい。
【0022】
ある好ましい実施様態では、反応器アセンブリの入口が、不活性ガス供給用のラインと連結している。反応系が空気または水分に敏感である場合、反応器アセンブリ及び/又はチューブを不活性ガスでフラッシュして酸素または水分を除くことが好ましい。例えば窒素またはアルゴンを不活性ガスとして使用でき、アルゴンの使用が好ましい。
【0023】
ある好ましい実施様態では、この反応系が、本プロセス内で形成されるポリマー状カップリング生成物が低溶解度及び/又は高粘度であることに特徴がある。この粘度増は、反応生成物の析出による及び/又は反応系内でのゲル状凝集物の形成によるものである。
【0024】
本発明の方法は、発光ダイオードや有機トランジスタ、有機回路、有機太陽電池用光染料などの分野で益々技術的に注目を集めている共役型及び/又は部分共役型ポリマーの製造に関する。
【0025】
モノマーのより詳細な説明
反応体流中に含まれるモノマーは、チオフェン環かフラン環、ピロール環、フェニル環に結合した、特にチオフェン環かフラン環、特にチオフェン環に結合したハライド官能基とホウ素官能基を有する(ヘテロ)芳香族化合物からなる群から選ばれることが好ましい。
【0026】
(ヘテロ)芳香族化合物の例は、ジケトピロロピロール骨格由来の化合物である。これらの化合物とこれらに由来するポリマーが、例えばUS6451459B1と、WO05/049695、WO08/000664、WO09/047104、PCT/EP2009/063767、PCT/EP2009/063769、PCT/EP2010/053655、PCT/EP2010/054152、PCT/EP2010/056776に記載されており、次式で表される。
【0027】
【化1】
【0028】
式中、a’は1、2、または3であり;a”は、0、1、2、または3であり;bは、0、1、2、または3であり;b’は、0、1、2、または3であり;cは、0、1、2、または3であり;c’は、0、1、2、または3であり;dは、0、1、2、または3であり;d’は、0、1、2、または3であり;a”が0の場合、b’は0でなく;
R
1’とR
2’は、同じであっても異なっていてもよく、水素と、C
1−C
100アルキル基、−COOR
106、一個以上のハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、−CN、またはC
6−C
18アリール基で置換された及び/又は−O−、−COO−、−OCO−、または−S−で中断されたC
1−C
100アルキル基;C
7−C
100アリールアルキル基、カルバモイル基、1〜3倍量でC
1−C
8アルキル及び/又はC
1−C
8アルコキシで置換されていてもよいC
5−C
12シクロアルキル、C
6−C
24アリール基(特に、1〜3倍量で、C
1−C
8アルキル、C
1−C
24チオアルコキシ、及び/又はC
1−C
24アルコキシで置換されたフェニルまたは1−または2ナフチル)、あるいはペンタフルオロフェニルから選ばれ;
R
106は、C
1−C
50アルキル、特にC
4−C
25アルキルであり;
Ar
1とAr
1’、Ar
2、Ar
2’、Ar
3、Ar
3’、Ar
4、Ar
4’は、それぞれ独立して、縮合及び/又は置換されていてもよい複素芳香族環あるいは芳香族環、特に
【化2】
であり、
式中
X
3とX
4の一つはNで、他方がCR
99であり、
R
99とR
104、R
104’、R
123、R
123’は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン(特にF)、あるいはC
1−C
25アルキル基(特に、一個以上の酸素または硫黄原子、C
7−C
25アリールアルキルで置換されていてもよいC
4−C
25アルキル)、あるいはC
1−C
25アルコキシ基であり、
R
105とR
105’、R
106、R
106’は、それぞれ相互に独立して、水素、ハロゲン、必要なら一個以上の酸素または硫黄原子で置換されていてもよいC
1−C
25アルキル、C
7−C
25アリールアルキル、またはC
1−C
18アルコキシであり、
R
107は、C
7−C
25アリールアルキル、C
6−C
18アリール;C
1−C
18アルキル、C
1−C
18パーフルオロアルキル、またはC
1−C
18アルコキシで置換されていてもよいC
6−C
18アリール;C
1−C
18アルキル;−O−、または−S−;または−COOR
124で中断されたC
1−C
18アルキルであり;
R
124は、C
1−C
25アルキル基(特に、必要なら一個以上の酸素または硫黄原子で置換されていてもよいC
4−C
25アルキル)、C
7−C
25アリールアルキルであり、
R
108とR
109は、それぞれ相互に独立して、H、C
1−C
25アルキル、Eで置換されている及び/又はDで中断されているC
1−C
25アルキル、C
7−C
25アリールアルキル、C
6−C
24アリール、Gで置換されたC
6−C
24アリール、C
2−C
20ヘテロアリール、Gで置換されたC
2−C
20ヘテロアリール、C
2−C
18アルケニル、C
2−C
18アルキニル、C
1−C
18アルコキシ、Eで置換されている及び/又はDで中断されているC
1−C
18アルコキシ、またはC
7−C
25アラルキルであり、あるいは
R
108とR
109は、共に式=CR
110R
111の基を形成し、式中
R
110とR
111は、それぞれ相互に独立して、H、C
1−C
18アルキル、Eで置換されている及び/又はDで中断されているC
1−C
18アルキル、C
6−C
24アリール、Gで置換されているC
6−C
24アリール、またはC
2−C
20ヘテロアリール、またはGで置換されているC
2−C
20ヘテロアリールであり、または
R
108とR
109は、共に、必要なら、C
1−C
18アルキル、Eで置換されている及び/又はDで中断されているC
1−C
18アルキル、C
6−C
24アリール、Gで置換されているC
6−C
24アリール、C
2−C
20ヘテロアリール、Gで置換されているC
2−C
20ヘテロアリール、C
2−C
18アルケニル、C
2−C
18アルキニル、C
1−C
18アルコキシ、Eで置換されている及び/又はDで中断されているC
1−C
18アルコキシ、あるいはC
7−C
25アラルキルで置換されていてもよい5員または6員の環を形成し、
Dは、−CO−、−COO−、−S−、−O−、または−NR
112−であり、
Eは、C
1−C
8チオアルコキシ、C
1−C
8アルコキシ、CN、NR
112R
113、CONR
112R
113、またはハロゲンであり、
Gは、EまたはC
1−C
18アルキルであり、また
R
112とR
113は、それぞれ相互に独立して、H;C
6−C
18アリール;C
1−C
18アルキルで置換されていてもよいC
6−C
18アリール、またはC
1−C
18アルコキシ、C
1−C
18アルキル;または−O−で中断されたC
1−C
18アルキルであり、X
8とX
9は、それぞれ相互に独立して、ハロゲン原子(特に、IまたはBr)、または−OS(O)
2CF
3、−OS(O)
2−アリールであり、特に
【化3】
−OS(O)
2CH
3、−B(OH)
2、−B(OH)
3−、−B(F)
3−、B(OY
1)
2、
【化4】
−BF
4Na、または−BF
4Kであり、式中、
Y
1は、それぞれ独立して、C
1−C
10アルキル基であり、
Y
2は、それぞれ独立して、C
2−C
10アルキレン基(例えば、CY
3Y
4CY
5Y
6、または−CY
7Y
8CY
9Y
10CY
11Y
12、式中、Y
3とY
4、Y
5、Y
6、Y
7、Y
8、Y
9、Y
10、Y
11、Y
12は、それぞれ相互に独立して、水素、またはC
1−C
10アルキル基(特に、C(CH
3)
2C(CH
3)
2、C(CH
3)
2CH
2C(CH
3)
2、またはCH
2C(CH
3)
2CH
2)であり、Y
13とY
14は、それぞれ相互に独立して、水素、またはC
1−C
10アルキル基である。
【0029】
Ar
1とAr
1’、Ar
2、Ar
2’、Ar
3、Ar
3’、Ar
4、Ar
4’は、好ましくは
【化5】
である。
【0030】
R
1’とR
2’は、異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。好ましくは、R
1’とR
2’は、相互に独立して、C
1−C
100アルキル、1〜3倍量で、C
1−C
8アルキル及び/又はC
1−C
8アルコキシで置換されていてもよいC
5−C
12シクロアルキル、1〜3倍量でC
1−C
8アルキル及び/又はC
1−C
8アルコキシで置換されていてもよいフェニルまたは1−または2ナフチル、または−CR
201R
202−(CH
2)
m−A
3、(式中、R
201とR
202は、水素、またはC
1−C
4アルキルであり、A
3は、1〜3倍量でC
1−C
8アルキル及び/又はC
1−C
8アルコキで置換されていてもよいフェニルまたは1−または2ナフチルであり、mは0または1である)である。R
1’とR
2’は、より好ましくはC
1−C
36アルキル基であり、特にC
12−C
24アルキル基、例えばn−ドデシル、アルキル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、2−エチル−ヘキシル、2−ブチル−ヘキシル、2−ブチル−オクチル、2−ヘキシルデシル、2−デシル−テトラデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシル、あるいはテトラコシルである。本発明のある特に好ましい実施様態では、R
1’とR
2’が、2−ヘキシルデシル基か2−デシル−テトラデシル基である。
【0031】
好ましくは、基R
1’とR
2’が、式
【化6】
で表される。式中、m1=n1+2であり、m1+n1≦24である。キラル側鎖、例えばR
1’とR
2’は、ホモキラルであっても、ラセミ体でもよく、これがポリマーの形状に影響を及ぼすことがある。
【0032】
上記の実施様態で、好ましい「AA型およびBB型化合物」は、それぞれ式Ia〜Iyと式IIa〜IIyの化合物である。
【0033】
【化7】
【0034】
R
1’とR
2’は、同じであっても異なっていてもよく、水素と、C
1−C
100アルキル基、−COOR
124’、一個以上のハロゲン原子で置換されたC
1−C
100アルキル基、ヒドロキシル基、ニトロ基、−CN、または−O−、−COO−、−OCO−、または−S−で中断されたC
6−C
18アリール基、C
7−C
100アリールアルキル基、カルバモイル基、1〜3倍量のC
1−C
8アルキル及び/又はC
1−C
8アルコキシで置換されていてもよいC
5−C
12シクロアルキル、C
6−C
24アリール基(特に、1〜3倍量のC
1−C
8アルキル、C
1−C
24チオアルコキシ、及び/又はC
1−C
24アルコキシで置換されていてもよいフェニルまたは1−または2−ナフチル)、あるいはペンタフルオロフェニルから選ばれ、R
124’は、C
1−C
50アルキル、特にC
4−C
25アルキルであり;
特に水素、またはC
1−C
100アルキル基、特にC
8−C
36アルキル基であり、
R
123は、C
1−C
25アルキル基(特に、必要なら一個以上の酸素原子で中断されていてもよいC
6−C
25アルキル)、あるいはC
1−C
25アルコキシ基であり、
R
99は、C
1−C
25アルキル基、特に、必要なら一個以上の酸素原子で中断されていてもよいC
6−C
25アルキルであり、
X
1とX
2の一つがNで、他方がCHであり、
R
116は、H、またはC
1−C
25アルキル、または1〜3倍量のC
1−C
8アルキル、及び/又はC
1−C
24アルコキシで置換されていてもよいフェニルであり、
X
11は、それぞれ独立して、B(OH)
2、B(OY
1)
2、B(OH)
3−、BF
3−、
【化8】
または
【化9】
(式中、Y
1は、それぞれ独立して、C
1−C
10アルキル基であり、Y
2は、それぞれ独立して、C
2−C
10アルキレン基、例えば−CY
3Y
4CY
5Y
6または−CY
7Y
8CY
9Y
10CY
11Y
12(式中、Y
3とY
4、Y
5、Y
6、Y
7、Y
8、Y
9、Y
10、Y
11、Y
12は、それぞれ相互に独立して、水素、またはC
1−C
10アルキル基、特にC(CH
3)
2C(CH
3)
2、C(CH
3)
2CH
2C(CH
3)
2、またはCH
2C(CH
3)
2CH
2であり、Y
13とY
14は、それぞれ相互に独立して、水素、またはC
1−C
10アルキル基である)であり、
X
11’は、ハロゲン、例えばBr、Cl、またはI、特にBrである。
【0035】
より好ましい「AA型およびBB型化合物」は、それぞれ式IaとIi、Iq、Isの化合物と、式IIaとIIi、IIq、IIsの化合物である。式IIaとIIiの化合物がより好ましい。
【0036】
(ヘテロ)芳香族化合物の他の例が、例えばUS6451459B1やWO05/049695、EP1754736、WO08/000664、WO09/047104、PCT/EP2009/063767、PCT/EP2009/063769、PCT/EP2010/053655、PCT/EP2010/054152、PCT/EP2010/056776に記載されており、例えば、次式で表される。
【0037】
【化10】
(式中、kは、1または2であり、lは、0または1であり、rは、0または1であり、zは、0または1であり、Ar
4とAr
5、Ar
6、Ar
7は、それぞれ相互に独立して、次式の基である
【化11】
式中
R
15とR
15’は、それぞれ相互に独立して、H、またはC
1−C
25アルキル基(特に、必要なら一個以上の酸素原子で中断されていてもよいC
6−C
25アルキル)であり、
R
14は、C
1−C
25アルキル基、特に、必要なら一個以上の酸素原子で中断されていてもよいC
6−C
25アルキルであり、
X
3とX
4の一つがNで、他方がCR
99であり、X
8とX
9は上述の通りであり;
R
99は、水素、ハロゲン(特に、F)、またはC
1−C
25アルキル基(特に、必要なら一個以上の酸素または硫黄原子で置換されていてもよいC
4−C
25アルキル)、C
7−C
25アリールアルキル、あるいはC
1−C
25アルコキシ基である。他の例は、化合物IIIo〜IIIz、化合物IIIa’〜IIId’、また化合物IVo〜IVz、化合物Iva’〜IVd’である。
【0038】
上記の実施様態では、好ましい「AA型およびBB型化合物」は、それぞれ、式IIIa〜IIIzと式IIIa’〜IIId’、式IVa〜IVz、式Iva’〜IVd’の化合物である。
【0039】
【化12】
【0040】
式中
X
7は、 −O−、−S−、−NR
115−、−Si(R
117)
2−、または−C(R
115)(R
115’)−であり、
aは、1〜5の整数、特に1〜3の整数であり、
X
1とX
2の一つがNで、他方がCHであり、
X
5とX
6の一方がNで、他方がCR
14であり、
Ar
1は、アリーレン基、例えば、
【化13】
であるか、Ar
4とは異なるヘテロアリレン基であり、
R
115は、H、C
1−C
25アルキル、または1〜3倍量のC
1−C
8アルキル、及び/又はC
1−C
24アルコキシで置換されていてもよいフェニルであり、R
117は、C
1−C
25アルキル、特にC
1−C
10アルキルであり、
R
12とR
12’は、それぞれ相互に独立して、水素、ハロゲン、C
1−C
25アルキル、特に一個以上の酸素または硫黄原子で中断されていてもよいC
4−C
25アルキル、C
1−C
25アルコキシ、C
7−C
25アリールアルキル、または
【化14】
であり、R
13は、C
1−C
10アルキル基、またはトリ(C
1−C
8アルキル)シリル基であり、
R
15とR
15’は、それぞれ相互に独立して、H、またはC
1−C
25アルキル基(特に、必要なら一個以上の酸素原子で中断されていてもよいC
6−C
25アルキル)であり、R
14は、C
1−C
25アルキル基(特に、必要なら一個以上の酸素原子で中断されていてもよいC
6−C
25アルキル)、またはC
1−C
25アルコキシであり;
R
18とR
18’は、それぞれ相互に独立して、水素、ハロゲン、C
1−C
25アルキル(特に、必要なら一個以上の酸素または硫黄原子で置換されていてもよいC
4−C
25アルキル)、C
7−C
25アラルキル、またはC
1−C
25アルコキシであり;
R
19は、水素、C
7−C
25アラルキル、C
6−C
18アリール;C
1−C
18アルキル、またはC
1−C
18アルコキシで置換されたC
6−C
18アリール、またはC
1−C
25アルキル(特に、必要なら一個以上の酸素または硫黄原子で置換されていてもよいC
4−C
25アルキル)であり;
R
20とR
20’は、それぞれ相互に独立して、水素、C
7−C
25アラルキル、C
1−C
25アルキル(特に、必要なら一個以上の酸素または硫黄原子で中断されていてもよいC
4−C
25アルキル)であり、
X
11は、それぞれ独立して、B(OH)
2、B(OY
1)
2、B(OH)
3−、BF
3−、
【化15】
【化16】
−BF
4Na、または−BF
4K(式中、Y
1は、それぞれ独立して、C
1−C
10アルキル基であり、Y
2は、それぞれ独立して、C
2−C
10アルキレン基、例えば−CY
3Y
4CY
5Y
6、または−CY
7Y
8CY
9Y
10CY
11Y
12であり、(式中、Y
3とY
4、Y
5、Y
6、Y
7、Y
8、Y
9、Y
10、Y
11、Y
12は、それぞれ相互に独立して、水素、またはC
1−C
10アルキル基(特に、C(CH
3)
2C(CH
3)
2、C(CH
3)
2CH
2C(CH
3)
2、またはCH
2C(CH
3)
2CH
2)であり、Y
13とY
14は、それぞれ相互に独立して、水素またはC
1−C
10アルキル基であり、X
11’はハロゲン、例えばBr、ClまたはI、特にBrである。)である。
【0041】
より好ましい「AA型およびBB型化合物」は、それぞれ、式IIIaとIIIc、IIIf、IIIo、IIIp、IIIq、IIIz、IIIe’、IVaの化合物と、式IVc、IVf、IVo、IVp、IVq、IVzとIVe’の化合物である。
【0042】
最も好ましいのは、式IIIaとIIIc、IIIf、IIIo、IIIp、IIIq、IIIz、IIIe’の化合物である。(注、後で削除のこと:これらの成形ブロックのボロン酸エステルが最も好ましい。このため化合物IVでなく、化合物IIIをリストに入れるべきである。)
【0043】
「AB型化合物」は、「AA型化合物」から、X
11基の一つをX
11’基で置き換えて作ることができる。このような化合物の例は、
【化17】
である。
【0044】
式中、R
15とR
15’、X
11、X
11’、X
3、X
4は上記定義通りである。
【0045】
「AB型化合物」の重合でホモポリマー:
【化18】
が生成する。
【0046】
基X
11とX
11’のみが異なる「AA型およびBB型化合物」を反応させることで、ホモポリマーが得られる。
【化19】
nは4〜1000であり、特に4〜200、特に5〜100である。
【0047】
特に好ましいコポリマーの例を以下に示す:
【化20】
nは4〜200であり、特に15〜100である;
【化21】
nは4〜200であり、特に15〜100である。
【0048】
本発明の方法で実施される反応の詳細な説明
例えば鈴木反応で、式
【化22】
のコポリマーが得られる。N. Miyaura and A. Suzukiが、Chemical Reviews、Vol. 95、pp. 457−2483(1995)に報告しているように、芳香族ボロネートとハロゲン化物(特に、臭化物)の縮合反応(通常、「鈴木反応」と呼ばれる)は、いろいろな有機官能基の存在に寛容である。好ましい触媒は、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジ−アルコキシビフェニル/酢酸パラジウム(II)とトリアルキルホスホニウム塩/パラジウム(0)誘導体、トリ−アルキルホスフィン/パラジウム(0)誘導体である。特に好ましい触媒は、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジ−メトキシビフェニル(sPhos)/酢酸パラジウム(II)と、トリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート((t−Bu)
3P・HBF
4)/トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd
2(dba)
3)、トリ−tert−ブチルホスフィン(t−Bu)
3P/トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd
2(dba)
3)である。この反応は、高分子量のポリマーやコポリマーの製造に応用可能である。本発明の方法を、高分子量ポリマーの製造に用いることが好ましい。
【0049】
式
【化23】
のポリマーを製造するために、溶媒中で触媒の存在下で、式X
11’−A−X
11’のジハロゲン化物を一モル当量のジボロン酸または
【化24】
のジボロン酸塩と反応させるか、式X
11’−COM
1−X
11’のジハロゲン化物を、一モル当量のジボロン酸または
【化25】
のジボロン酸塩と反応させる(式中、nは4〜1000、特に4〜200、特に5〜100であり、AとCOM
1は、それぞれ相互に独立して、
【化26】
または
【化27】
の基であり、
X
11’がハロゲン、特にBrであり、X
11は、それぞれ独立して、B(OH)
2、B(OY
1)
2、
【化28】
または
【化29】
であり、
(式中、Y
1は、それぞれ独立して、C
1−C
10アルキル基であり、Y
2は、それぞれ独立して、C
2−C
10アルキレン基、例えば−CY
3Y
4CY
5Y
6、または−CY
7Y
8CY
9Y
10CY
11Y
12であり、式中、Y
3とY
4、Y
5、Y
6、Y
7、Y
8、Y
9、Y
10、Y
11、Y
12は、それぞれ相互に独立して、水素、またはC
1−C
10アルキル基、特にC(CH
3)
2C(CH
3)
2、C(CH
3)
2CH
2C(CH
3)
2、またはCH
2C(CH
3)
2CH
2であり、Y
13とY
14は、それぞれ相互に独立して、水素、またはC
1−C
10アルキル基である)。この反応は、通常約0℃〜180℃で、トルエンやキシレンなどの芳香族炭化水素溶媒中で行われる。ジメチルホルムアミドやジオキサン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなどの他の溶媒も、単独で、あるいは芳香族炭化水素との混合物として使用できる。水溶性の塩基(好ましくは、炭酸ナトリウムまたは重炭酸ナトリウム、リン酸カリウム、炭酸カリウムまたは重炭酸カリウム)が、上記ボロン酸、ボロン酸塩の活性化剤として、またHBr捕捉剤として用いられる。
【0050】
重合反応は、0.1〜5時間かかることがある。
【0051】
この反応時間は、2時間以内であることが好ましい。反応時間が1時間以内であることがより好ましい。有機塩基(例えば、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド)や相間移動触媒(例えば、TBAB)が、ホウ素の活性を増加させることができる(例えば、Leadbeater & Marco; Angew.Chem. Int. Ed. Eng. 42(2003) 1407とそこに記載の引用文献を参照)。他のいろいろな反応条件が、T. I. Wallow and B. M. Novak in J. Org.Chem. 59(1994) 5034−5037や、M. Remmers、M. Schulze、and G. Wegner in Macromol. RapidCommun. 17(1996) 239−252に記載されている。過剰のジブロミド、ジボロン酸、またはジボロン酸塩、または鎖重合停止剤を使用して分子量を調整することができる。
【0052】
この重合は、
a)パラジウム触媒と有機ホスフィンまたはホスホニウム化合物とを含む触媒/配位子系と、
b)塩基と、
c)溶媒または溶媒混合物の存在下で行われる。
【0053】
このホスフィン化合物は、Pd原子に配位可能な三置換有機ホスフィン配位子である。このホスフィン配位子は、本方法中で塩基の添加により、相当するホスホニウム塩から系内で形成される。あるいは、このホスフィン配位子が本方法中で直接使用される。
【0054】
好ましいホスフィン配位子は、式R
axR
bYR
czPから選ばれる。式中、Pはリンであり、R
aとR
bとR
cは、同じであるか異なり、1〜12個の炭素原子を持ち、必要ならフッ素化された直鎖、分岐または環状アルキル基、4〜20個の炭素原子をもち、必要なら置換されたアリール基、または4〜20個の炭素原子をもち必要なら置換されたヘテロアリール基であり、xとyとzは、0、1、2または3であり、x+y+z=3である。
【0055】
ある好ましい実施様態では、この有機ホスフィンまたはホスホニウム塩の置換基R
aとR
bとR
cの少なくとも一つが上述のアルキル基である。式R
a3Pの配位子で、全ての基R
aが同じであることが特に好ましい。式R
a2R
bPまたはR
aR
b2Pの配位子であって、R
aとR
bが異なるものがさらに好ましい。R
aとR
bが上記のアルキルである配位子とR
aが上記アルキル基でR
bが上記アリール基である配位子がさらに好ましい。好ましいアルキル基とアリール基は、Rに対して述べた基である。
【0056】
好ましい配位子の例は、トリエチルホスフィンと、トリ−iso−プロピル−ホスフィン、トリ−シクロヘキシルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン(t−Bu)、ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)メタン、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニルである。
【0057】
好ましいホスホニウム塩は、式[R
ax,R
bY,R
czPH]
+Z
−から選ばれる式中、R
a−cとx、y、zは上記定義通りであり、Z
−は適当なアニオン、例えばBF
4−、PF
6−またはSbF
6−のようなアニオンである。上述の好ましいホスフィン配位子に相当するホスホニウム塩、例えばホスホニウムテトラフルオロボレートが特に好ましい。最も好ましいのは、t−Bu
3Pと[t−Bu
3PH]BF
4である。
【0058】
もう一つの好ましい実施様態では、この有機ホスフィンが、次式の三置換ホスフィン、
【化30】
またはそのホスホニウム塩である。式中、Xは、Yとは独立して、窒素原子またはC−R
2基であり、Yは、Xとは独立して、窒素原子またはC−R
9基であり、二つのR
1基のそれぞれのR
1は、相互に独立して、C
1−C
24−アルキルと、C
3−C
20−シクロアルキル(特に、単環式と二環式と三環式シクロアルキル基を含む)、C
5−C
14−アリール(特に、フェニル基とナフチル基とフルオレニル基を含む)、C
2−C
13−ヘテロアリール(NとOとSの群から選ばれるヘテロ原子の数が1〜2である)からなる群から選ばれる基であり、二個の基R
1が相互に結合していてもよく、
また、上述の基R
1は、それぞれ相互に独立して、水素、C
1−C
20−アルキル、C
2−C
20−アルケニル、C
3−C
8−シクロアルキル、C
2−C
9−ヘテロ−アルキル、C
5−C
10−アリール、C
2−C
9−ヘテロアリール(NとOとSの群から選ばれるヘテロ原子の数が1〜4であってよい)、C
1−C
20−アルコキシ、C
1−C
10−ハロアルキル、ヒドロキシ、NH−(C
1−C
20−アルキル)やNH−(C
5−C
10−アリール)、N(C
1−C
20−アルキル)
2、N(C
1−C
20−アルキル)(C
5−C
10−アリール)、N(C
5−C
10−アリール)
2、N(C
1−C
20−アルキル/C
5−C
10−アリール
3)
3+、NH−CO−C
1−C
20−アルキル、NH−CO−C
5−C
10−アリールの形のアミノ、COOHとCOOQ(式中、Qは一価のカチオンまたはC
1−C
8−アルキルである)の形のカルボキシナート、C
1−C
6−アシロキシ、スルフィナト、SO
3HとSO
3Q’(式中、Q’は一価のカチオン、C
1−C
20−アルキル、またはC
5−C
10−アリールである)の形のスルホナト、トリ−C
1−C
6−アルキルシリル、からなる群から選ばれる基置換基でモノ−またはポリ−置換されていてもよく、上記置換基の二つが相互に結合していてもよく、R
2〜R
9は、水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、芳香族または複素芳香族のアリール、O−アルキル、NH−アルキル、N−(アルキル)
2、O−(アリール)、NH−(アリール)、N−(アルキル)(アリール)、O−CO−アルキル、O−CO−アリール、F、Si(アルキル)
3、CF
3、CN、CO
2H、COH、SO
3H、CONH
2、CONH(アルキル)、CON(アルキル)
2、SO
2(アルキル)、SO(アルキル)、SO(アリール)、SO
2(アリール)、SO
3(アルキル)、SO
3(アリール)、S−アルキル、S−アリール、NH−CO(アルキル)、CO
2(アルキル)、CONH
2、CO(アルキル)、NHCOH、NHCO
2(アルキル)、CO(アリール)、またはCO
2(アリール)基であり、上記基の2つ以上は、それぞれ相互に独立して、相互に結合して、縮合環系を形成していてもよく、R
2〜R
9中で、アルキルは、それぞれ1〜20個の炭素原子を持つ直鎖又は分岐鎖の炭化水素基であり、アルケニルは、それぞれ、2〜20個の炭素原子を持つ直鎖又は分岐鎖の、モノ不飽和またはポリ不飽和炭化水素基であり、シクロアルキルは、3〜20個の炭素原子をもつ炭化水素であり、アリールは、5員〜14員の芳香族基(アリール基中の1〜4個の炭素原子が、窒素、酸素、硫黄の群から選ばれるヘテロ原子で置換されて5員〜14員の複素芳香族基となっていてもよい)であり、基R
2〜R
9は、R
1に定義した他の置換基を有していてもよい。PCT/EP2010/056776を参照のこと。
【0059】
これらの有機ホスフィンとその合成は、WO2004101581に記載されている。
【0060】
好ましい有機ホスフィンは、次式の三置換ホスフィンから選ばれる。
【化31】
【0061】
1)R
5とR
6はともに
【化32】
の環を形成する。2)R
3とR
4はともに
【化33】
の環を形成する。
【0062】
好ましい触媒の例には、以下の化合物が含まれる。
【0063】
パラジウム(II)アセチルアセトネート、パラジウム(0)ジベンジリデン−アセトン錯体、プロピオン酸パラジウム(II)、
Pd
2(dba)
3:[トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)],
Pd(dba)
2:[ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)],
Pd(PR
3)
2(PR
3は、式VIの三置換ホスフィンである)、
Pd(OAc)
2:[酢酸パラジウム(II)]、塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、リチウムテトラクロロパラデート(II)、
PdCl
2(PR
3)
2(PR
3は式VIの三置換ホスフィンである);
パラジウム(0)ジアリルエーテル錯体、硝酸パラジウム(II)、
PdCl
2(PhCN)
2:[ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)]、
PdCl
2(CH
3CN):[ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)]、および
PdCl
2(COD):[ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム(II)]。
【0064】
特に好ましいのは、PdCl
2、Pd
2(dba)
3、Pd(dba)
2、Pd(OAc)
2、あるいはPd(PR
3)
2である。最も好ましいのは、Pd
2(dba)
3とPd(OAc)
2である。
【0065】
このパラジウム触媒は、反応混合物中に触媒量で存在する。この「触媒量」は、(ヘテロ)芳香族化合物の当量よりはるかに低い量であり、好ましくは使用する(ヘテロ)芳香族化合物の当量当たり0.001〜5モル%、最も好ましくは0.001〜1モル%の量である。
【0066】
反応混合物中のホスフィンまたはホスホニウム塩の量は、使用する(ヘテロ)芳香族化合物の当量に対して好ましくは0.001〜10モル%であり、最も好ましくは0.01〜5モル%である。好ましいPd:ホスフィン比は、1:4である。
【0067】
塩基は、全ての水溶性および非水溶性塩基から選択可能であり、無機塩基であっても有機塩基であってもよい。反応混合物中に、ホウ素官能基当たり上記の塩基が少なくとも1.5当量存在することが好ましい。適当な塩基は、例えばアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物や、カルボン酸塩、炭酸塩、フッ化物、リン酸塩であり、具体的には、ナトリウムとカリウムの水酸化物、酢酸塩、炭酸塩、フッ化物、リン酸塩であり、ありは金属アルコラートである。塩基の混合物を使用することもできる。
【0068】
この反応は通常、約0℃〜180℃で行われ、好ましくは20〜160℃、より好ましくは40〜140℃、最も好ましくは40〜120℃で行われる。
【0069】
溶媒は、例えばトルエンとキシレン、アニソール、THF、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、クロロベンゼン、フルオロベンゼン、または一種以上の溶媒を含む溶媒混合物(例えば、THF/トルエン、必要なら水を含むもの)から選ばれる。
【0070】
PCT/EP2010/056776に記載の方法を用いる場合、塩基は、好ましくはリチウム塩であり、具体的には、例えばリチウムアルコキシド(例えば、リチウムメトキシドとリチウムエトキシド)、リチウムの水酸化物、カルボン酸塩、炭酸塩、フッ化物及び/又はリン酸塩であり、最も好ましいのは、水性のLiOH・H
2O(LiOH・一水和物)と(無水の)LiOHである。
【0071】
溶媒は、例えばトルエンとキシレン、アニソール、THF、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、クロロベンゼン、フルオロベンゼン、または一種以上の溶媒の溶媒混合物(例えば、THF/トルエンで、必要なら水を含むもの)から選ばれる。最も好ましいのは、THFまたはTHF/水である。
【0072】
重合反応は、5時間未満であることが好ましい。
【0073】
本発明のある好ましい実施様態では、溶媒がTHFで、塩基がLiOHであり、反応が約65℃の温度で行われる。
【0074】
この重合が、
a)酢酸パラジウム(II)、またはPd
2(dba)
3、(トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0))と、有機ホスフィンA−1〜A−13の一つと、
b)LiOH、またはLiOH・H
2Oと、
c)THF、また必要なら水の存在下で行われることが好ましい。LiOH一水和物を使用する場合、水添加の必要はない。
【0075】
重合を、
a)酢酸パラジウム(II)またはPd
2(dba)
3(トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0))と、
【化34】
と;
b)LiOHx・H
2Oと
c)THFの存在下で行うことが最も好ましい。このパラジウム触媒は、用いる(ヘテロ)芳香族化合物の当量当たり好ましくは約0.5モル%の量で存在する。反応混合物中のホスフィンまたはホスホニウム塩の量は、使用する(ヘテロ)芳香族化合物の当量に対して好ましくは約2モル%である。Pd:ホスフィン比は、約1:4であることが好ましい。
【0076】
もう一つの好ましい実施様態では、重合が、
a)酢酸パラジウム(II)またはPd
2(dba)
3(トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0))と、有機ホスホニウム塩、特に(t−Bu)
3PHBF
4と、
b)水性のK
3PO
4と、
c)THF、またはTHF/トルエンの存在下で行われる。
【0077】
この重合反応を、酸素が存在しない不活性条件下で行うことが好ましい。
【0078】
本発明の方法は、大規模用途に適当で、また実施可能であり、出発原料を相当するポリマーに、高収率かつ高純度、高選択性で変換する。この方法で、質量平均分子量が少なくとも10,000g/molである、より好ましくは少なくとも15,000g/mol、最も好ましくは少なくとも20,000g/molであるポリマーが得られる。現在最も好ましいポリマーの質量平均分子量は、20,000〜80,000g/molである。分子量は、ポリスチレン標準試薬を使用する高温ゲル浸透クロマトグラフィー(HT−GPC)で決定される。このポリマーの多分散度は、好ましくは1.01〜10であり、より好ましくは1.1〜3.0、最も好ましくは1.5〜2.5である。
【0079】
所望なら、単官能性ハライド、ボロン酸塩(例えば、単官能性アリールハライドまたはアリールボロネート)を重合停止剤として使用してもよい。この場合、末端アリール基が生成される。
【0080】
【化35】
【0081】
鈴木反応中でモノマー供給の順序と組成を制御することにより得られるコポリマー中のモノマー単位の順序を制御することができる。
【0082】
本発明のポリマーは、スチルカップリングででも合成可能である(例えば、Babudri et al、J. Mater.Chem.、2004、14、11−34; J. K. Stille、Angew.Chemie Int. Ed. Engl. 1986、25、508を参照)。式IIに相当するポリマーを製造するには、不活性溶媒中で0℃〜200℃の範囲の温度でパラジウム含有触媒の存在下で、式
【化36】
のジハロゲン化物を、式
【化37】
に相当する一当量の有機スズ化合物と反応させるか、式
【化38】
のジハロゲン化物を一当量の式
【化39】
に相当する有機スズ化合物と反応させる。なお、X
11は、それぞれ独立して、−SnR
207R
208R
209である。R
207とR
208とR
209は、同一であるか異なって、HまたはC
1−C
6アルキルであるか、基R
207とR
208とR
209の二つが環を形成し、これらの基は、必要なら分岐していてもよい。使用するすべてのモノマーが、高度にバランスの取れた有機スズ官能基とハロゲン官能基の比率を持つように注意する必要がある。また、反応終了時に単官能性反応剤による末端封鎖により過剰の反応性基をすべて除くことが好ましいであろう。この方法を実施するためには、スズ化合物とハロゲン化合物を、好ましくは一種以上の不活性有機溶媒中で混合し、0〜200℃の温度で、好ましくは30〜170℃の温度で、0.1時間〜5時間(好ましくはt
reaction<2時間、より好ましくはt
reaction<1時間)、撹拌反応器アセンブリ中を通過させる。この粗生成物は、当業界の熟練者には既知のそれぞれのポリマーに適当な方法で、例えば再析出の繰り返しまたは透析により精製できる。
【0083】
上記方法に適当な有機溶媒は、例えばエーテル(例えば、ジエチルエーテルやジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル)、炭化水素(例えば、ヘキサンやイソヘキサン、へプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アルコール(例えば、メタノールやエタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール)、ケトン(例えば、アセトンやエチルメチルケトン、イソブチルメチルケトン)、アミド(例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)やジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン)、ニトリル(例えば、アセトニトリルやプロピオニトリル、ブチロニトリル)、これらの混合物である。
【0084】
パラジウム成分とホスフィン成分は、鈴木反応で説明したものと同様に選択する必要がある。
【0085】
あるいは、本発明のポリマーを、亜鉛反応剤A−(ZnX
22)
2(式中、X
22はハロゲンとハロゲン化物である)とCOM
1−(X
23)
2(式中、X
23はハロゲンまたはトリフラート)を用いる、あるいはA−(X
23)
2とCOM
1−(ZnX
22)
2を用いる根岸反応で合成することも可能である。例えば、E. Negishi et al., Heterocycles 18(1982) 117−22を参照。
【0086】
あるいは、本発明のポリマーを、有機シリコーン反応剤A−(SiR
210R
211R
212)
2(式中、R
210とR
211とR
212は、同じであっても異なっていてもよく、ハロゲン、C
1−C
6アルキル、またはCOM
1−(X
23)
2であり、X
23がハロゲンまたはトリフラートである)を用いる、あるいはA−(X
23)
2とCOM
1−(SiR
210R
211R
212)
2を用いる檜山反応で合成することもできる。例えば、T. Hiyama et al., Pure Appl.Chem. 66(1994) 1471−1478と、T. Hiyama et al., Synlett(1991) 845−853を参照。
【0087】
本発明の方法は、均一反応系で使用でき、また不均一反応系でも使用できる。本発明の方法が、不均一反応系に関することが好ましい。不均一反応系の特徴は、その反応系が、他成分に非混和であるかほんの一部混和可能な特定成分を含み、及び/又は相分離の傾向をある程度持つっていることである。
【0088】
不均一反応系は相互に非混和の2つ以上の物質を含み、分散物を形成する。不均一系の例は、液/液系または固/液系(例えば、ゲルやエマルジョン、ゾル)である。これらの系は、コロイド状混合物または不均一混合物の形で存在することがある。
【0089】
本発明の利点の一つは、この反応系の混合効率が高いことである。高混合効率は、特に不均一反応系の場合に好ましい。
【0090】
本撹拌反応器アセンブリは、連結流路(またはセル間連結流路)で連結された少なくとも2個以上の反応セルを含み、これらの反応セルが、反応器アセンブリ内を流れる流体の流動方向に直列に繋がっている。セル間連結流路の機能は、セル間での流体の逆混合効果を避けることである。連結流路の体積が反応セルの体積より小さく、連結流路に逆流防止弁が備わっていることが好ましい。
【0091】
個々の反応セルの大きさは、カップリング重合速度の状況と温度平衡化に必要な時間により決まり、本発明の方法で、バッチ試験で得られる類似の材料より優れた特性をもつポリマーの製造が可能なように設定される。カップリング反応の種類が変化すると、反応器の設定に変化が必要となる。好ましいセル構造を使用することで、反応器内に移される流体を、非常によく制御された状態で加熱することができる。
【0092】
ある代表的なパラメーターが、流体が反応セルのセル壁面温度の95%に達するのに必要な加熱時間である温度平衡化時間である。この反応流体の温度平衡化時間は、反応器の反応セル中の平均滞留時間の一部となるように設定される。セル反応器中の反応流体の滞留時間はバッチ反応器より短いが、滞留時間と流体加熱時間の比を大きくとることができる。
【0093】
滞留時間の加熱時間に対する比率は、5より大きく、好ましくはこの比率が10より大きく、より好ましくはこの比率が20より大きい。この「加熱時間」は、流体を撹拌セル反応器の反応セル壁面の温度の95%にまで加熱するのに必要な時間を意味する。この結果、反応セルの大きさが制限されることとなり、合成系と条件に依存する小さな体積を持つこととなる。
【0094】
本発明の方法は、ある種の反応セルに関して、流体系の高速加熱と流体系の高効率混合を可能とする。このため、分子量の点で改善された特性をもち、低い多分散度を示すポリマー状カップリング生成物が得られる。本方法を大量生産に使用する場合、反応セルの大きさに反応系に依存して上限があるため、単一反応ブロックで生産可能なポリマー量に一定の制限があるということを考慮する必要がある。
【0095】
本発明で得られる一定の種類のポリマー状カップリング生成物の合成系は、その粘度に特徴がある。ある好ましい実施様態では、本発明の方法は、高粘度反応系からポリマー状カップリング生成物を合成するのに使用される。
【0096】
本発明の方法で高粘度合成系を取り扱う場合、セル間接続流路が特定の要件を満足する必要がある。セル間の管の直径は、1mm以上である必要があり、より好ましくは2mm以上、より好ましい3mmより大きい。
【0097】
反応セルの体積は、セル間の管の体積より大きい。反応セルの体積とセル間の管の体積の比は、5より大きく、より好ましくは10より大きく、さらに好ましくは20、50または100である。本発明は、セル内撹拌手段を持つ反応器アセンブリであって、そのセル内撹拌メカニズムをセル外の駆動メカニズムに機械的に接続する必要のないものの中での
反応体流の処理に関する。
【0098】
ある好ましい実施様態では、本方法は、撹拌アセンブリを使用して行われる。
【0099】
さらに好ましい実施様態では、本方法は、混合促進のための反応器アセンブリの物理的振とうを含む。
【0100】
もう一つの好ましい実施様態では、本方法が、ヒンジ結合または軟結合で一方または両方のセル内の撹拌エレメントをつなぐ手段を利用する。
【0101】
もう一つの好ましい実施様態では、この混合プロセスが、反応器アセンブリが振とうされる際に内部に生成する気泡またはガスポケットで促進される。
【0102】
本方法で、反応器アセンブリが振とうされる際に混合を促進する、いろいろな密度をもついろいろな
反応体流材料を使用することが好ましい。
【0103】
本方法で、外部駆動メカニズムとセル内撹拌エレメントの間を接続する磁気カップリングを使用することが好ましい。
【0104】
本方法を、反応器アセンブリのいろいろなセルのセル容量が変化するように行うことが好ましい。これにより、各セル中での変換の程度を制御することができる。例えば一連のセル内で、各セルがほぼ同程度の変換を行う。あるいは一連のセル内で、各セルがほぼ同じ熱負荷をもつと考えてもよい(ほとんどの場合、同程度の熱負荷では同程度の変換率となる)。
【0105】
反応温度を一台または複数台の伝熱エレメントで制御して本方法を実施することがより好ましい。
【0106】
本発明では、伝熱面積を変化させて、異なる反応セル中で異なる伝熱が得られるようにすることがさらに好ましい。
【0107】
本方法のある好ましい実施様態では、インサートを用いてセル容量を所望の体積に低下させる。撹拌エレメントをインサートとして使用することが好ましい。この撹拌エレメントを触媒材料の多孔性プラグとして、プロセス流体がこの撹拌エレメントとしての多孔質材料中を移動するようにしてもよい。
【0108】
ある好ましい実施様態では、複数の反応セルが単一の材料ブロックに設けられる。
【0109】
さらに好ましい実施様態では、これらのセルにジャケット状の冷却/加熱系が設けられる。セルを加熱バスまたは冷却バスに浸して加熱及び/又は冷却しながら本発明の方法を行うことが好ましい。
【0110】
本方法で、撹拌エレメントの動きによるパルスを抑えるために、ブロックの異なる側に切り出されたセル間配管をもつ反応器アセンブリを使用することが好ましい。
【0111】
邪魔板を用いて、反応流体が適当な混合がなくセルをそのまま通過することが無いようにして本方法を行うことが好ましい。
【0112】
セル間配管の体積が逆流の体積以上となうように本方法を実施することが好ましい。
【0113】
セル間配管を通過する
反応体流の速度が、拡散による逆流速度以上であることが好ましい。
【0114】
ある好ましい実施様態では、反応器アセンブリの回転で順方向に対して上向きおよび下向きの流れが起こるように、この撹拌反応器アセンブリに上昇装置を取り付けてもよい。
【0115】
この撹拌反応器アセンブリは、4個以上の反応セルを持つことが好ましく、8個以上の反応セルを持つことがより好ましい。10個以上の反応セルをもつ反応器アセンブリの実施様態がさらに好ましい。
【0116】
驚くべきことに、本発明の方法の助けで、他の連続法では容易に合成できないすべてのポリマー状カップリング生成物を合成することができる。また、本発明により製造したポリマー状カップリング生成物は、非連続法で撹拌バッチ反応器中で合成された同じ生成物より優れた特性を示す。
【0117】
生成物のより高い品質とそのポリマー状カップリング生成物の優れた特性のため、加工と精製のための労力と費用が減少することとなる。
【0118】
したがって、本発明の方法は、既存の方法より省エネルギーであり環境にやさしい。
【0119】
反応器アセンブリの個々の反応セルには、撹拌機または撹拌エレメントが備わっている。複数の反応セルの内の少なくとも一つの反応セルには、撹拌機が備わっており、好ましくは2つ以上、より好ましくは4つ以上の反応セルに撹拌機が備わっている。
【0120】
この撹拌機または撹拌エレメントは、撹拌を行うために用いられる撹拌手段である。ある好ましい実施様態では、この撹拌手段は、反応系の密度とは異なる密度を持つ個体材料である。例えば、この撹拌エレメントは上下に振とうされる棒状エレメントである。
【0121】
この撹拌エレメントの大きさは、セルの体積を調整するために変更可能である。この撹拌エレメントの大きさの変更することで、伝熱面積とプロセス体積(またはプロセス流体の滞留時間)との比を調整することができる。各反応セルは、1個以上の撹拌エレメントを持つことができ、それぞれの反応器アセンブリの撹拌エレメントの数が、セルからセルと変化してもよい。
【0122】
各反応セルの内容積は、1mL〜1000mLの範囲であり、好ましくは1mL〜100mLの範囲、より好ましくは1mL〜10mLの範囲である。反応セルの体積は、1mLより小さくでもよい。しかし反応セルが1mLより小さい場合、反応器が、年間数kgまたは数トンの工業スケールでの材料の製造に不適となる。
【0123】
撹拌機は、駆動軸または伝動装置を持たないことが好ましい。これらの撹拌機は、無接触で、即ち機械駆動による直接接触なしに動かすことができる。ある好ましい実施様態では、この駆動が、偏心駆動部に機能的に連結した反応器アセンブリの機械的運動によるものである。これにより、(プロセス材料の漏れの防止のための)シャフトシールやグランドの必要がなくなる。
【0124】
この撹拌機の運動が反応セルの機械的慣性で引き起こされ、混合のために反応器アセンブリが外部駆動装置により物理的に振とうされることが好ましい。もう一つの好ましい実施様態では、外部駆動メカニズムとセル内撹拌エレメント間が磁気カップリングで接続される。
【0125】
もう一つの実施様態では、反応セルのセル容量を変化させて反応条件の最適化を行う。
【0126】
伝熱エレメントを用いて反応温度を制御することが好ましい。
【0127】
偏心駆動部の設計により反応器にいろいろな運動をさせることができる。
【0128】
ある実施様態では、反応器アセンブリが線方向に動かされる。他の実施様態においては、この運動が、相互に直行する異なる二方向に行われる。
【0129】
ある平面の異なる方向に反応器を動かす場合、主軸の位相を定義することができる。駆動シグナルの位相差が90°であり、振幅が同じ大きさである場合、反応器アセンブリの運動は円運動となる。振幅の大きさが同じでない場合は、楕円運動が起こる。
【0130】
標準的な偏心駆動部の使用で、反応器アセンブリが円状経路を有する運動が発生する。この偏心駆動部の振動数と位相がそれぞれ相互に独立して調整可能である場合、円運動とは異なる運動を作ることができる。例えば振動数が1〜2で、位相差が90°である場合、数字の8状の経路(いわゆるリサジュー図形)が得られる。
【0131】
好ましく調整された偏心駆動部及び/又は一定配置の偏心駆動部と撹拌機を使用することで、反応セル内の混合効率を最適化することができる。
【0132】
反応器アセンブリの運動幅が、0.1mm〜20mmの範囲であり、振動数が0.1〜100Hzの範囲であることが好ましい。運動の振幅が1mm〜10mmで、振動数が1〜50Hzの範囲であることがより好ましい。
【0133】
反応中は反応器アセンブリの温度を追跡し制御する。反応器アセンブリは、0℃〜180℃の範囲の温度に調整され、好ましくは20℃〜160℃、特に好ましくは40℃〜140℃の範囲の温度に調整される。温度が40℃〜120℃であることが最も好ましい。
【0134】
ある好ましい実施様態では、WO2008/068019に記載のように、反応器アセンブリの基本構造が、複数の反応セルをなす区画を有する単一ブロックからなる。これらの反応セルはいろいろな形状であることができ、角張った形状や、卵型、丸まった形状とすることができる。
【0135】
ある好ましい実施様態では、これらの反応セルが、円形で末端が扁平な円柱状の形状を持つことができる。反応器のデザインと反応セルの形は、反応器の大きさによる。総内容量が100mLである試験室スケールの反応器の反応セルは、円柱のスライスの形をとる。このような反応系は、小規模の製造に使用でき、製品品質の点で優れた結果を与える。
【0136】
ある好ましい実施様態では、反応器アセンブリ全体に機械的な力を加えて撹拌機を作動させる。この反応器アセンブリは、作動装置に機能的に接続されている。
【0137】
本発明の方法の一つの大きな利点は、低溶解度を示し及び/又はゲル化が起こる反応系で製造されるいずれのポリマー状カップリング生成物も製造可能であることである。
【0138】
本発明の方法の一つの好ましい実施様態は、制御された反応停止のために反応系に末端封鎖剤を加える工程を含む。この末端封鎖剤は、ポリマーの反応性基と反応して鎖成長反応の進行を阻害する化学種である。末端封鎖剤は、生成物流体流の排出ラインに排出しても、排出ラインに近い領域の反応器アセンブリに加えてもよい。末端封鎖剤の添加は、反応と生成物の分散度の制御のための更なる手段となる。
【0139】
低溶解度のため、合成中反応セル内でポリマーの析出と付着が起こる。生成物の析出により流体流の粘度が大きく上昇することがある。
【0140】
他の好ましい実施様態では、本発明の方法が、反応終期に反応生成物の完全析出を起こすための析出工程を持つことができる。析出剤を排出流体ラインまたは貯留槽に投入してもよい。
【0141】
反応系のゲル化または部分的ゲル化で粘度上昇が起こることがある。本発明の方法により、分子量が10
4g/mol以上のポリマーを製造でき、好ましくは分子量が1.5×10
4g/mol以上、より好ましくは分子量が2×10
4g/mol以上のポリマーを製造できる。
【0142】
さらに、本発明により得られたポリマー状カップリング生成物は、撹拌バッチ反応器中で合成されたポリマーの分子量分布より狭い分子量分布を示す。本発明で合成されたポリマー種の多分散度は、バッチ合成試験で合成されたポリマーより低い。
【0143】
低多分散度は、光学用途や電子用途の材料中での使用で望まれ、また好ましいものである。
【0144】
本発明の方法で所望の目標性能をもつ生成物を合成できるため、大きな精製工程は不要となる。これは本発明の大きな利点である。
【0145】
本発明の方法の一つの利点は、工業スケールでのカップリング反応によるポリマーの製造に適していることである。この反応系の複雑性と要件によっては、反応器アセンブリが特定寸法に制限されることがある。
【0146】
一つの制限因子が、本発明の方法にとって極めて重要な混合効率によりもたらされる。反応セルが一定寸法を超えると効果的混合が不可能となる。
【0147】
反応体流は、均質な混合物として投入でき、また不均質な混合物としても投入できる。この均質混合物は、系に外部の機械的エネルギーが加えられなくても相分離を起こさないことに特徴がある。不均質混合物は、系に機械的エネルギーが加えられないと相分離を起こす。
【0148】
プリントエレクトロニクスや有機半導体(例えば、OFETやLED)、液晶表示装置(例えば、LED)の分野で使用されるポリマー状カップリング生成物の製造に、本発明の方法を使用することが特に好ましい。
【0149】
本発明の方法は、モノマー種が低溶解度または中溶解度を示す反応系に特に適している。このような反応系には、反応で使用するモノマー濃度の点である特定の制限がある。
【0150】
本発明の方法を用いて、撹拌バッチ反応器内で類似条件下で得られる分散度より実質的に狭い分散度を示すポリマー状カップリング生成物を得ることができる。
【0151】
工業的な製造スケールで本発明の方法を使用するためには、収量増が望ましい。ある好ましい実施様態では、複数の反応器アセンブリが平行に設けられる。2つ以上の反応器アセンブリを平行に配列して収量増を行うことが好ましい。例えば最大で10個、または最大で100個以上の反応器アセンブリを平行して運転することが考えられる。
【0152】
反応体流は、複数の異なる反応器アセンブリの供給ラインに導かれる。
反応体流の平行流が個々の反応器アセンブリの反応セル列を通過した後、すべての排出ラインから排出されるこれらの生成物流体が混合される。
【0153】
反応器アセンブリの異なるセルが同じ形状を持ち、反応セルの数とセル間の連結流路の数が全ての反応器アセンブリで同じであることが好ましい。
【0154】
ある好ましい実施様態では、この反応器アセンブリが合成を実施中、縦に配置され、流体入口が反応器アセンブリの底側にあり、流体出口が頂部側にある。反応流体は、反応器アセンブリの底から頂部に輸送される(上向流)。この縦型配置と底から頂部への輸送方向が、反応セルが空になるのを防ぐことができるため好ましい。
【0155】
ある特定の実施様態では、反応器の保持装置が、反応器アセンブリを90または180°回転させる手段を持っている。180°反応器アセンブリを回転させると、下向流条件下で運転できるようになる。
【0156】
本発明の方法の一つの利点は、本方法がスケールアップに適し、このため工業的製造工程に適すことである。この連続運転方法で、製品品質のオンライン追跡が可能となり、想定される目標品質を満たさない生成物材料を排除し除くことができるようになる。
【0157】
本発明の方法の連続合成により、バッチ反応器合成系で発生するような廃棄材料を多量に製造することを防ぐことができる。
【0158】
本発明の方法の一つの利点は、スケールアップに適していることで、このため工業的製造スケールで使用が可能となる。これは、製品品質のオンライン制御を可能とする連続運転モードのためである。このオンライン制御で、目標材料の規格を満足せず、したがって除くことのできる一部の生成物流を検出することができる。この連続合成法で、撹拌バッチ反応器中での合成中での多量の廃棄物の発生を避けることができる。出発原料が高価であるため廃棄材料の過剰生産は望ましくない。
【0159】
本発明の方法のもう一つの利点は、コンピュータープログラムによる工程管理で制御された自動ワークフローに組み込めることである。
【0160】
本発明の方法は、平行に設けられた一組の反応器アセンブリを用いて実施できる。一組の反応器アセンブリ中で、反応器の入口ラインは、排気タンクに流体的に連通しており、これらのラインは流体ラインとポンプを有している。具体的な反応系によっては、主流の
反応体流に少なくとも一種の予備流体が供給される。この予備流体はカップリング反応に必要な触媒系を含んでいる。
【0161】
他の実施様態では、同じ貯留槽中で、溶解モノマーを含む
反応体流を触媒とともに保存することも可能である。このような場合には、
反応体流と触媒が、反応器アセンブリまで輸送される前に接触させられ混合される。
【0162】
もう一つの実施様態では、反応器ブロック及び/又は反応器ブロックのカバーの少なくとも一部が、特定波長の電磁放射線に対して透明である。この実施様態では、外部の電磁エネルギー、例えばUVエネルギーを印可することで目的の反応を開始させることができる。
【0163】
もう一つの実施様態では、反応セルが、反応セル内部を高強度放射線で照射可能な光/放射線伝導体と連結される。工業製造スケールの場合、このような実施様態が、光/放射線伝導体での照射効率が非常に高いため好ましい。
【0164】
本方法を完全自動で行うことの利点は、生成物流品質のオンライン分析によりもたらされる。オンライン追跡に使用される分析手段には、粘度計、ゲル浸透クロマトグラフ、分光計(例えば、IR、UV、UV−VIS、NMR、RAMANなど)がある。
【0165】
製品品質のオンライン制御と自動工程管理により、IPC(内部工程管理システム)による全製造工程の追跡と制御が可能となる。このため、絞られたプロセスパラメーターの最適化が可能となる。これらのプロセスパラメーターは、特に、反応温度、滞留時間、撹拌頻度、モノマー濃度及び/又は触媒濃度である。
【0166】
実施例
【化40】
【0167】
本方法を、ジケトピロロピロール(DPP)化合物(1,4−ジオキソ−2,5−ジ−n−デシル(2−ヘキシル)−3,6−ビス(ブロモチオフェン)ピロロ[3,4−c]ピロール)とチオフェンの2,5−ジ−ボロン酸エステルとの間の鈴木反応で例示する。実施例1(B1、B2)の場合、このカップリング反応を、本発明の撹拌反応器アセンブリ中でDPPとリン酸カリウムを用いて行った。この撹拌反応アセンブリは10個の反応セルを有し、各セルはらせん形撹拌機を備えていた。各反応セルの自由体積は約9mLであり、撹拌反応アセンブリの総自由体積は90mLであった。
【0168】
反応体流として、19.45gの化合物1(WO2008/000664の実施例2aにより製造)と、1当量(7.29g)の化合物2、0.3gのトリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート((t−Bu)
3P・HBF
4)、0.49gのトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd
2(dba)
3)が200mLのテトラヒドロフランに溶解した脱気溶液を調整した。塩基溶液として、13.56gのリン酸カリウム(K
3PO
4)の脱気溶液を調整した。
【0169】
反応器入口の前の混合領域中で
反応体流と塩基溶液を混合し、
反応体流の流速を2mL/min、塩基溶液の流速を0.38mL/minとして反応器に投入した。振とう数を5Hzとして反応器アセンブリを機械的偏心駆動装置により動かし、60℃に加熱し
た。個々の反応セル中の反応流体の平均滞留時間は、4.5分の範囲であった。
【0170】
比較例として、このカップリング反応を、内容積が250mLの撹拌バッチ反応器中で行った。このバッチ反応器を、1時間60℃の温度で加熱し、反応系を外部電磁駆動装置によりテフロン(登録商標)コートした撹拌子で600Rpmの速度で撹拌した。
【0171】
このバッチ試験でのモノマーと触媒の濃度は、上記撹拌反応器アセンブリでの連続試験に用いた濃度と同じであった。
【0172】
各生成物の分子量と分散度を決めるため、生成物をGPC分析で評価した。各生成物の分析評価は二回行った。その測定結果を表1に示す。
【0173】
本発明の方法で製造された生成物の分子量は、バッチ試験で得られた生成物と比較して二倍大きかった。また、試料B1とB2の多分散度は、バッチ試験で得られた試料(VB1、VB2)の多分散度より小さかった。
【0174】
【表1】
【0175】
GPC測定は、屈折率測定検出器を使用し、ポリマーラボラトリーズ社のGPC−PL220(チャーチストレットン、UK;現在、バリアン社)を用いて行った。カラムは、ポリマーラボラトリーズ社製の、平均粒度が13μmのポリマー粒子を含む「PLゲル・オレキシス」カラム(カラム寸法:300×8mmI.D.)を三本使用した。移動相は、真空蒸留で精製し、ブチルヒドロキシルトルエンで安定化した1,2,4−トリクロロベンゼンであった。クロマトグラフィー試験は、150℃で、移動相流速を1mL/minとして行った。注入体積は200μlであり、溶質濃度は1mg/mlであった。分子量測定は、ポリマーラボラトリーズ社(チャーチストレットン、UK)から入手した分子量範囲が1930000g/mol〜5000g/molにある10種の異なるポリスチレン校正用標準試薬のセットを用いる校正によるものである。分子量の計算は、多項式近似を用いるキャリブレーションにより行った。校正用標準試薬の平均分子量は、1930000g/molと、1460000g/mol、1075000g/mol、560000g/mol、330000g/mol、96000g/mol、52000g/mol、30300g/mol、10100g/mol、5500g/molであった。