特許第6305969号(P6305969)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6305969
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】光学撮像装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20180326BHJP
   G02B 7/02 20060101ALI20180326BHJP
【FI】
   G03F7/20 521
   G02B7/02 C
【請求項の数】80
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2015-230231(P2015-230231)
(22)【出願日】2015年11月26日
(62)【分割の表示】特願2014-21152(P2014-21152)の分割
【原出願日】2007年5月21日
(65)【公開番号】特開2016-75925(P2016-75925A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2015年12月24日
(31)【優先権主張番号】102006023876.1
(32)【優先日】2006年5月19日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100147692
【弁理士】
【氏名又は名称】下地 健一
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ヘムバッハー
(72)【発明者】
【氏名】ベルンハルト ゲルリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】イェンス クグラー
【審査官】 植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−154636(JP,A)
【文献】 特開平11−154644(JP,A)
【文献】 特開2005−136404(JP,A)
【文献】 特開2005−197698(JP,A)
【文献】 特開昭60−239023(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/101121(WO,A2)
【文献】 国際公開第2006/009573(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
なくとも1つの光学素子(109)と、
前記光学素子(109)に結合された少なくとも1つの保持装置(104)と、を備え、前記保持装置(104)は前記光学素子(109)を保持し、
前記光学素子(109)の第1部分(109.1)は、第1雰囲気に接触し、前記光学素子(109)の第2部分(109.2)は、すくなくとも一時的には第2雰囲気に接触し、
削減装置(115)が提供され、前記削減装置(115)は、前記第1雰囲気と前記第2雰囲気間の圧力差における動的変動を少なくとも削減し、
可動要素(105.4)が設けられ、前記可動要素(105.4)は前記第2雰囲気に接触し、動きの第1空間(131)において可動であり、
前記削減装置(115)は、ハウジング(113)及び少なくとも1つの遮蔽装置(130)を備え、前記保持装置(104)は、ハウジング(113)の中に突出し、前記ハウジング(113)は、前記第2雰囲気が広がる空間の限界を定め、前記遮蔽装置(130)は、前記光学素子(109)を少なくとも一時的に、前記動きの第1空間(131)から遮蔽することを特徴とする
光学撮像装置。
【請求項2】
前記遮蔽装置(130)は、第1位置および第2位置の間で可動であり、
前記遮蔽装置(130)は、前記第1位置において、前記光学素子(109)を、前記動きの第1空間(131)から遮蔽し、
前記遮蔽装置(130)は、前記第2位置において、前記動きの第1空間(131)から、前記光学素子(109)に隣接する空間へのアクセスを可能にする
請求項1に記載の光学撮像装置。
【請求項3】
前記遮蔽装置(130)は、前記第1位置において、前記動きの第1空間(131)を、前記光学素子(109)に隣接する前記空間から、実質的に完全に分離する請求項2に記載の光学撮像装置。
【請求項4】
前記遮蔽装置(130)は、振動エネルギーを吸収する、少なくとも1つの装置を備える請求項1から3のいずれか1項に記載の光学撮像装置。
【請求項5】
前記削減装置(115)は、制御装置(118)と、前記制御装置(118)に接続された第1調整装置(119、122)と、を備え、前記制御装置(118)は、圧力差偏差を決定し、前記圧力差偏差は、実際の値と、前記第1雰囲気と前記第2雰囲気間の前記圧力差の選択可能設定点値との間の偏差であり、前記制御装置(118)により制御される前記第1調整装置(119、122)は、前記第1雰囲気中の圧力に、前記制御装置(118)により、前記圧力差偏差が抑制されるように決定される前記圧力差偏差の関数として影響を及ぼす請求項1から4のいずれか1項に記載の光学撮像装置。
【請求項6】
前記削減装置(115)は、第1捕捉装置(117)と、制御装置(118)と、第1調整装置(119、122)と、を備え、前記制御装置(118)は、前記第1捕捉装置(117)と、前記第1調整装置(119、122)に接続され、前記第1捕捉装置(117)は、圧力差偏差を捕捉して前記制御装置(118)に供給し、前記圧力差偏差は、実際の値と、前記第1雰囲気と前記第2雰囲気間の圧力差の設定点値との間の偏差であり、前記制御装置(118)により制御される前記第1調整装置(119、122)は、前記第1雰囲気中の圧力を、前記第1捕捉装置(117)により、前記圧力差偏差が抑制されるように捕捉される前記圧力差偏差の関数として調整する請求項1から5のいずれか1項に記載の光学撮像装置。
【請求項7】
前記制御装置(118)は、前記光学撮像装置(101)の少なくとも1つの作動パラメータの実際の値と、格納された第1モデルを使用して、前記圧力差偏差の実際の値を確立し、前記第1モデルは、前記少なくとも1つの作動パラメータの関数としての、前記第1雰囲気と前記第2雰囲気間の圧力差の行動のモデルであり、前記第1モデルは、前記光学撮像装置(101)に対して前もって確立されている請求項5または6に記載の光学撮像装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの作動パラメータの少なくとも1つは前記第1雰囲気内の圧力に影響を及ぼす量であり、前記少なくとも1つの作動パラメータの少なくとも1つは、前記第2雰囲気内の圧力に影響を及ぼす量である請求項7に記載の光学撮像装置。
【請求項9】
可動要素(105.2、105.4)が設けられ、前記可動要素(105.2、105.4)は、前記第1雰囲気と前記第2雰囲気の少なくとも1つと接触し、前記作動パラメータは、前記可動要素(105.2、105.4)の速度または加速度である請求項8に記載の光学撮像装置。
【請求項10】
前記第1雰囲気は、第1空間(111)内で広がり、前記第1空間(111)は、前記光学素子(109)の少なくとも前記第1部分(109.1)により限界を定められ、前記第1調整装置(118)は、前記第1空間(111)の体積を変えることにより、前記第1雰囲気内の圧力に影響を及ぼすように適合されている請求項5から9のいずれか1項に記載の光学撮像装置。
【請求項11】
前記第1調整装置(119)は、第1調整素子(119.1)と、前記第1調整素子(119.1)に接続された第1作動装置(119.2)とを備え、前記第1調整素子(119.1)は、前記第1空間(111)の少なくとも一部分の限界を定め、前記第1作動装置(119.2)は、前記第1調整素子の位置と形状の少なくとも1つを変えるように適合されている請求項10に記載の光学撮像装置。
【請求項12】
前記第1調整素子は、メンブレン(119.1;219.1)と、ベロー(320)と、ピストン(420)の1つを備える請求項11に記載の光学撮像装置。
【請求項13】
前記第1雰囲気は、少なくとも前記光学素子(109)の前記第1部分(109.1)により限界を定められた第1空間(111)内に広がり、浄化装置(122)が設けられ、前記浄化装置(122)は、浄化媒体の第1質量流量を前記第1空間(111)に供給し、前記浄化媒体の第2質量流量を前記第1空間(111)から抜き取り、前記浄化装置(122)は、前記第1雰囲気内の圧力に影響を及ぼすために、前記第1質量流量と前記第2質量流量の少なくとも1つを変えるように適合されている請求項5から12のいずれか1項に記載の光学撮像装置。
【請求項14】
前記浄化装置(122)は、少なくとも1つの弁装置(122.4、122.5)を備え、前記少なくとも1つの弁装置(122.4、122.5)は、前記制御装置(118)の制御のもとで、前記第1質量流量と前記第2質量流量の少なくとも1つを変えるように適合できる請求項13に記載の光学撮像装置。
【請求項15】
前記浄化装置(122)は、前記第1質量流量と前記第2質量流量の少なくとも1つを変えるために、前記制御装置(118)により制御可能な少なくとも1つの送達装置(122.1)を備え、前記送達装置(122.1)は、前記制御装置(118)の制御のもとで、前記第1質量流量と前記第2質量流量の少なくとも1つを送達し、前記第1質量流量と前記第2質量流量の少なくとも1つを調整する請求項13または14に記載の光学撮像装置。
【請求項16】
前記削減装置(115)は、制御装置(118)と、前記制御装置(118)に接続された第2調整装置(125)と、を備え、前記制御装置(118)は、前記第2雰囲気内の圧力変動を決定し、前記制御装置(118)に制御されている前記第2調整装置(125)は、前記第2雰囲気内の前記圧力変動が抑制されるように前記第2雰囲気内の圧力に影響を及ぼす請求項1から15のいずれか1項に記載の光学撮像装置。
【請求項17】
前記削減装置(115)は、第2捕捉装置(124)と、制御装置(118)と、第2調整装置(125)と、を備え、前記制御装置(118)は、前記第2捕捉装置(124)と前記第2調整装置(125)に接続され、前記第2捕捉装置(124)は、前記第2雰囲気内の圧力変動を捕捉して前記制御装置(118)に通知し、前記第2調整装置(125)は、前記第2雰囲気内の前記圧力変動が抑制されるように前記第2雰囲気内の圧力に影響を及ぼす請求項1から16のいずれか1項に記載の光学撮像装置。
【請求項18】
前記制御装置(118)は、前記光学撮像装置(101)の少なくとも1つの作動パラメータの実際の値と、格納された第2モデルを使用して、前記第2雰囲気内の前記圧力変動の実際の値を確立し、前記第2モデルは、前記少なくとも1つの作動パラメータの関数としての、前記第2雰囲気内の圧力変動の行動のモデルであり、前記第2モデルは、前記光学撮像装置(101)に対して前もって確立されている請求項16または17に記載の光学撮像装置。
【請求項19】
前記少なくとも1つの作動パラメータは、前記第2雰囲気内の圧力に影響を及ぼす量である請求項18に記載の光学撮像装置。
【請求項20】
可動要素(105.2、105.4)が設けられ、前記可動要素(105.2、105.4)は、前記第2雰囲気と接触し、前記作動パラメータは、前記可動要素(105.2、105.4)の速度または加速度である請求項19に記載の光学撮像装置。
【請求項21】
前記制御装置(118)は、前記第2雰囲気内の第1圧力波の周波数と第1振幅を決定し、前記第2調整装置(125)は、前記制御装置(118)により制御されると同時に、前記第1圧力波の前記周波数および前記第1振幅の関数として、前記第2雰囲気内において、前記第2圧力波と前記第1圧力波が干渉して、結果としての振幅を有する、結果としての圧力波を形成するように第2圧力波を生成し、前記結果としての振幅は、前記第1振幅よりも少なくとも小さい請求項16から20のいずれか1項に記載の光学撮像装置。
【請求項22】
前記第2調整装置(125)は、前記制御装置(118)により制御されると同時に、前記第1圧力波の前記周波数および前記第1振幅の関数として、前記第2雰囲気内において、前記第2圧力波と前記第1圧力波が実質的に相互にお互いを削除するように第2圧力波を生成する請求項21に記載の光学撮像装置。
【請求項23】
前記第2調整装置(125)は、少なくとも1つのラウドスピーカを備える請求項21または22に記載の光学撮像装置。
【請求項24】
前記第1圧力波の前記周波数と前記第1振幅を決定するために、前記第1圧力波の前記周波数と前記第1振幅を捕捉し、少なくとも1つのマイクロフォンを備える、前記制御装置(118)に接続された第2捕捉装置(124)が設けられる請求項23に記載の光学撮像装置。
【請求項25】
可動要素(105.2、105.4)が設けられ、前記可動要素は、前記第2雰囲気により接触され、少なくとも1つの動きの方向(105.5、105.6)において可動であり、着手の表面(105.7)を前記少なくとも1つの動きの方向(105.5)に有しており、前記削減装置(115)は、基準体に関連して、前記着手の表面(105.7)の抵抗を削減する、少なくとも1つの抵抗削減装置(126、127、128、129)を有しており、前記基準体は、同一の寸法と着手の基準表面を有し、前記着手の基準表面は実質的に開口部がなく、実質的に平坦で、前記動きの方向(105.5、105.6)と実質的に直交するように配置されている請求項1から24のいずれか1項に記載の光学撮像装置。
【請求項26】
前記抵抗削減装置は、前記可動要素(105.2、105.4)内に配置された少なくとも1つの流量チャネル(126)を備え、前記少なくとも1つの流量チャネル(126)は、前記着手の基準表面に関連して、前記着手の表面(105.7)を削減する請求項25に記載の光学撮像装置。
【請求項27】
前記流量チャネル(126)は、前記動きの方向(105.5、105.6)において、前記可動要素(105.2、105.4)を通して延伸する請求項26に記載の光学撮像装置。
【請求項28】
前記流量チャネル(126)内に流量を生成するために送達装置(129)が設けられ、前記流量は、前記可動要素(105.2)の動きに対応する請求項26または27に記載の光学撮像装置。
【請求項29】
前記抵抗削減装置は、少なくとも1つのプロファイル(127、128)を備え、前記プロファイル(127、128)は前記着手の表面(105.7)を形成し、空気力学的に、前記着手の基準表面よりも、より好ましい請求項25から28のいずれか1項に記載の光学撮像装置。
【請求項30】
前記プロファイル(127、128)は、前記動きの方向(105.5)において、前記可動要素(105.2)の抵抗係数を少なくとも30%削減する請求項29に記載の光学撮像装置。
【請求項31】
前記プロファイル(128)は、空気力学的に整形されたプロファイルである請求項29または30に記載の光学撮像装置。
【請求項32】
前記プロファイル(127、128)は、前記動きの方向(105.5)に関して実質的に対称に整形されたプロファイルである請求項29から31のいずれか1項に記載の光学撮像装置。
【請求項33】
前記保持装置(104)は、前記光学素子(109)を、位置に関して調整可能な方法で保持する請求項1から32のいずれか1項に記載の光学撮像装置。
【請求項34】
前記保持装置(104)は、前記光学素子(109)の位置を変えるための、少なくとも1つのアクチュエータ(114)を備える請求項33に記載の光学撮像装置。
【請求項35】
前記削減装置(115)を介して、前記第1雰囲気と前記第2雰囲気間の圧力差における変動の削減を制御するために制御装置(118)が設けられ、前記アクチュエータ(114)は、前記制御装置(118)により制御される請求項34に記載の光学撮像装置。
【請求項36】
前記削減装置(115)は、前記第1雰囲気と前記第2雰囲気間の圧力差における変動が、前記撮像装置(101)により達成可能な撮像品質に無視できない効果を有する周波数範囲に存在する、前記第1雰囲気と前記第2雰囲気間の圧力差における変動を少なくとも削減する請求項1から35のいずれか1項に記載の光学撮像装置。
【請求項37】
前記光学素子(109)の前記第2部分(109.2)は、前記光学撮像装置(101)の作動中、少なくとも一時的には、液体媒体(110.1)に接触する請求項1から36のいずれか1項に記載の光学撮像装置。
【請求項38】
可動要素として、基板(105.1、105.3)を受け入れる基板装置(105)が設けられ、前記基板装置(105)は、前記第2雰囲気に接触して、動きの方向(105.5、105.6)の少なくとも1つの方向において可動である請求項1から37のいずれか1項に記載の光学撮像装置。
【請求項39】
前記光学素子(109)を備える光学素子グループ(107)が設けられ、前記光学素子グループ(107)は、前記光学素子グループ(107)に結合された投影パターンを、前記光学素子グループ(107)に結合された基板(105.1、105.3)上に撮像するように適合されている請求項1から38のいずれか1項に記載の光学撮像装置。
【請求項40】
前記光学素子(109)は、前記光学撮像装置(101)の作動中に、前記基板(105.1、105.3)に隣接して位置する前記光学素子グループ(107)の最後の光学素子である請求項39に記載の光学撮像装置。
【請求項41】
投影パターンを備えるマスク(103.1)を受け入れるマスク装置(103)と、基板(105.1、105.3)を受け入れる基板装置(105)が設けられ、前記光学素子グループ(107)は前記マスク装置(103)と前記基板装置(105)に結合され、前記投影パターンを前記基板(105.1、105.3)上に撮像するように適合されている請求項39または40に記載の光学撮像装置。
【請求項42】
影パターンは、光学撮像装置(101)を使用して基板(105.1、105.3)上に撮像され、
前記光学撮像装置(101)の光学素子(109)の第1部分(109.1)は第1雰囲気と接触し、前記光学素子(109)の第2部分(109.2)は、第2雰囲気と少なくとも一時的には接触し、
前記投影パターンを前記基板(105.1、105.3)上に撮像する間に起こり、前記第1雰囲気と前記第2雰囲気間の圧力差における動的変動に起因する撮像誤差を削減するために、前記第1雰囲気と前記第2雰囲気間の前記圧力差における前記動的変動の削減装置が少なくとも設けられ、
可動要素(105.4)が使用され、前記可動要素(105.4)は前記第2雰囲気に接触し、動きの第1空間(131)において可動であり、
前記光学素子(109)は、前記第2雰囲気が広がる空間の限界を定めるハウジング(113)の中に突出する保持装置(104)によって保持され、前記光学素子(109)は、少なくとも一時的に、遮蔽装置(130)により前記動きの第1空間(131)から遮蔽されることを特徴とする光学撮像方法。
【請求項43】
前記遮蔽装置(130)は、第1位置および第2位置の間で可動であり、
前記遮蔽装置(130)は、前記第1位置において、前記光学素子(109)を、前記動きの第1空間(131)から遮蔽し、
前記遮蔽装置(130)は、前記第2位置において、前記動きの第1空間(131)から、前記光学素子(109)に隣接する空間へのアクセスを可能にし、
前記光学素子の前記遮蔽は、前記第1位置において、前記遮蔽装置を移動することを含む
請求項42に記載の光学撮像方法。
【請求項44】
前記遮蔽装置(130)は、前記第1位置において、前記動きの第1空間(131)を、前記光学素子(109)に隣接する前記空間から、実質的に完全に分離する請求項43に記載の光学撮像方法。
【請求項45】
前記遮蔽は、振動エネルギーを吸収することを含む請求項42から44のいずれか1項に記載の光学撮像方法。
【請求項46】
圧力差偏差が決定され、前記圧力差偏差は、実際の値と、前記第1雰囲気と前記第2雰囲気間の前記圧力差の選択可能設定点値との間の偏差であり、
前記第1雰囲気内の圧力は、前記圧力差偏差が抑制されるように決定される前記圧力差偏差の関数として影響を受ける
請求項42から45のいずれか1項に記載の光学撮像方法。
【請求項47】
圧力差偏差が捕捉され、前記圧力差偏差は、実際の値と、前記第1雰囲気と前記第2雰囲気間の圧力差の設定点値との間の偏差であり、
前記第1雰囲気内の圧力は、前記圧力差偏差が抑制されるように捕捉される前記圧力差偏差の関数として調整される
請求項42から46のいずれか1項に記載の光学撮像方法。
【請求項48】
前記圧力差偏差の実際の値は、前記光学撮像装置(101)の少なくとも1つの作動パラメータの実際の値と、格納された第1モデルを使用して確立され、前記第1モデルは、前記少なくとも1つの作動パラメータの関数としての、前記第1雰囲気と前記第2雰囲気間の圧力差の行動のモデルであり、前記第1モデルは、前記光学撮像装置(101)に対して前もって確立されている請求項46または47に記載の光学撮像方法。
【請求項49】
前記少なくとも1つの作動パラメータの少なくとも1つは前記第1雰囲気内の圧力に影響を及ぼす量であり、前記少なくとも1つの作動パラメータの少なくとも1つは、前記第2雰囲気内の圧力に影響を及ぼす量である請求項48に記載の光学撮像方法。
【請求項50】
前記光学撮像装置(101)は可動要素(105.2、105.4)を備え、前記可動要素(105.2、105.4)は、前記第1雰囲気と前記第2雰囲気の少なくとも1つと接触し、前記作動パラメータは、前記可動要素(105.2、105.4)の速度または加速度である請求項49に記載の光学撮像方法。
【請求項51】
前記第1雰囲気は、第1空間(111)内で広がり、前記第1空間(111)は、前記光学素子(109)の少なくとも前記第1部分(109.1)により限界を定められ、前記第1雰囲気内の圧力は、前記第1空間(111)の体積を変えることにより影響を受ける請求項46から50のいずれか1項に記載の光学撮像方法。
【請求項52】
前記第1空間(111)の少なくとも一部分は、第1調整素子(119.1)により限界を定められ、前記第1空間(111)の前記体積を変えるために、前記第1調整素子の位置と形状の少なくとも1つが変えられる請求項51に記載の光学撮像方法。
【請求項53】
前記第1調整素子は、メンブレン(119.1)とベロー(120)の1つを備える請求項52に記載の光学撮像方法。
【請求項54】
前記第1雰囲気は、少なくとも前記光学素子(109)の前記第1部分(109.1)により限界を定められた第1空間(111)内に広がり、浄化媒体の第1質量流量が前記第1空間(111)に供給され、前記浄化媒体の第2質量流量が前記第1空間(111)から抜き取られ、前記第1雰囲気内の圧力に影響を及ぼすために、前記第1質量流量と前記第2質量流量の少なくとも1つを変える請求項46から53のいずれか1項に記載の光学撮像方法。
【請求項55】
前記第1質量流量と前記第2質量流量の少なくとも1つが調整可能弁装置(122.4、122.5)を使用して変えられる請求項54に記載の光学撮像方法。
【請求項56】
前記第1質量流量と前記第2質量流量の少なくとも1つが送達装置(122.1)により送達され、前記第1質量流量と前記第2質量流量の少なくとも1つが前記送達装置(122.1)により調整される請求項54または55に記載の光学撮像方法。
【請求項57】
前記第2雰囲気内の圧力変動が決定され、前記第2雰囲気内の圧力は、前記第2雰囲気内の前記圧力変動が抑制されるように影響を及ぼされる請求項42から56のいずれか1項に記載の光学撮像方法。
【請求項58】
前記第2雰囲気中の圧力変動が捕捉され、前記第2雰囲気中の圧力は、前記第2雰囲気内の前記圧力変動が抑制されるように影響を及ぼされる請求項42から57のいずれか1項に記載の光学撮像方法。
【請求項59】
前記第雰囲気内の前記圧力変動は、前記光学撮像装置(101)の少なくとも1つの作動パラメータの実際の値と、格納された第2モデルを使用して確立され、前記第2モデルは、前記少なくとも1つの作動パラメータの関数としての、前記第2雰囲気内の圧力変動の行動のモデルであり、前記第2モデルは、前記光学撮像装置(101)に対して前もって確立されている請求項57または58に記載の光学撮像方法。
【請求項60】
前記少なくとも1つの作動パラメータは、前記第2雰囲気内の圧力に影響を及ぼす量である請求項59に記載の光学撮像方法。
【請求項61】
前記光学撮像装置(101)は可動要素(105.2、105.4)を備え、前記可動要素(105.2、105.4)は前記第2雰囲気と接触し、前記作動パラメータは、前記可動要素(105.2、105.4)の速度または加速度である請求項60に記載の光学撮像方法。
【請求項62】
前記第2雰囲気内の第1圧力波の周波数と第1振幅が決定され、前記第1圧力波の前記周波数および前記第1振幅の関数として、第2圧力波が前記第2雰囲気内において、前記第2圧力波と前記第1圧力波が干渉して、結果としての振幅を有する、結果としての圧力波を形成するように生成され、前記結果としての振幅は、前記第1振幅よりも少なくとも小さい請求項57から61のいずれか1項に記載の光学撮像方法。
【請求項63】
前記第1圧力波の前記周波数および前記第1振幅の関数として、第2圧力波が前記第2雰囲気内において、前記第2圧力波と前記第1圧力波が実質的に相互にお互いを削除するように生成される請求項62に記載の光学撮像方法。
【請求項64】
前記第2圧力波は、少なくとも1つのラウドスピーカ(125)を介して生成される請求項62または63に記載の光学撮像方法。
【請求項65】
前記第1圧力波の前記周波数と前記第1振幅は、少なくとも1つのマイクロフォン(124.1)を介して捕捉される請求項64に記載の光学撮像方法。
【請求項66】
前記光学撮像装置(101)は、可動要素(105.2、105.4)を有して使用され、前記可動要素(105.2、105.4)は前記第2雰囲気により接触され、少なくとも1つの動きの方向(105.5、105.6)において可動であり、前記可動要素(105.2、105.4)は着手の表面(105.7)を前記少なくとも1つの動きの方向(105.5)に有しており、前記着手の表面(105.7)は、同一の寸法と着手の基準表面を有する基準体に関して削減された抵抗を有しており、前記着手の基準表面は実質的に開口部がなく、実質的に平坦で、前記動きの方向(105.5、105.6)と実質的に直交するように配置されている請求項42から65のいずれか1項に記載の光学撮像方法。
【請求項67】
前記可動要素(105.2、105.4)は、前記着手の基準表面に関連して、前記着手の表面(105.7)を削減する少なくとも1つの流量チャネル(126)を備える請求項66に記載の光学撮像方法。
【請求項68】
前記流量チャネル(126)は、前記動きの方向(105.5、105.6)において、前記可動要素(105.2、105.4)を通して延伸する請求項67に記載の光学撮像方法。
【請求項69】
流量が前記流量チャネル(126)内に生成され、前記流量は、前記可動要素(105.2)の動きに対応する請求項67または68に記載の光学撮像方法。
【請求項70】
前記着手の表面(105.7)は、少なくとも1つのプロファイル(127、128)により形成され、前記プロファイル(127、128)は前記着手の基準表面よりも、空気力学的により好ましい請求項66から69のいずれか1項に記載の光学撮像方法。
【請求項71】
前記プロファイル(127、128)は、前記動きの方向(105.5)において、前記可動要素(105.2)の抵抗係数を少なくとも30%削減する請求項70に記載の光学撮像方法。
【請求項72】
前記プロファイル(128)は、空気力学的に整形されたプロファイルである請求項70または71に記載の光学撮像方法。
【請求項73】
前記プロファイル(127、128)は、前記動きの方向(105.5)に関して実質的に対称に整形されたプロファイルである請求項70から72のいずれか1項に記載の光学撮像方法。
【請求項74】
前記光学素子(109)は、位置に関して調整可能な方法で保持される請求項42から73のいずれか1項に記載の光学撮像方法。
【請求項75】
前記光学素子(109)の位置は変えられて、前記光学撮像装置(101)の少なくとも1つの撮像誤差に影響を及ぼす請求項74に記載の光学撮像方法。
【請求項76】
前記第1雰囲気と前記第2雰囲気間の前記圧力差における前記変動の前記削減と、前記光学素子(109)の位置の前記調整は、相互の考慮のもとで行われる請求項75に記載の光学撮像方法。
【請求項77】
前記第1雰囲気と前記第2雰囲気間の圧力差における変動が、前記光学撮像装置(101)により達成される撮像品質に無視できない効果を有する周波数範囲に存在する、前記第1雰囲気と前記第2雰囲気間の圧力差における少なくとも変動は削減される請求項42から76のいずれか1項に記載の光学撮像方法。
【請求項78】
前記光学素子(109)の前記第2部分(109.2)は、前記光学撮像装置(101)の作動中、少なくとも一時的には、液体媒体(110.1)に接触する請求項42から77のいずれか1項に記載の光学撮像方法。
【請求項79】
可動要素として、基板(105.1、105.3)を受け入れる基板装置(105)が使用され、前記基板装置(105)は、前記第2雰囲気に接触し、運動の方向(105.5、105.6)の少なくとも1つの方向において可動である請求項42から78のいずれか1項に記載の光学撮像方法。
【請求項80】
前記光学素子(109)は、前記光学撮像装置(101)の作動中に、前記基板(105.1、105.3)に隣接して位置する前記光学撮像装置(101)の最後の光学素子である請求項42に記載の光学撮像方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は、光学撮像装置に関する。本発明は、超小型電子回路の製造に使用されるマイ
クロリソグラフィの分野で使用できる。このように、本発明は、特に、そのような光学撮
像装置を使用して実践される光学撮像方法にも更に関する。
【背景技術】
【0002】
特にマイクロリソグラフィの分野では、高精度を有する構成要素の使用とは別に、それ
相応の高い撮像品質を達成するために、撮像装置の構成要素、つまり、レンズと、ミラー
と、格子のような光学素子の位置と形状を、操作中に最大可能な限り不変に保つことが必
要である。精度(数ナノメートル以下のレベル)に関しての厳しい要求は、製造される超
小型電子回路の微細化を推し進めるために、超小型電子回路の製造において使用される光
学システムの解像度を高めるという恒久的な要求という結果になっている。
【0003】
高められた解像度を達成するためには、使用される光の波長を、13nmの領域におけ
る作動波長の極紫外線(EUV)の範囲において作動するシステムのように短くするか、
使用される投影システムの開口数を増やすかのいずれかである。開口数を1の値を超えて
大幅に増やすための1つの可能性は、1を超える屈折率を有する液浸媒体が、典型的には
投影システムの最後の光学素子と露光される基板の間に設置される、いわゆる液浸システ
ムで実現される。開口数の更なる増大は、特に高い屈折率を有する光学素子により可能で
ある。
【0004】
いわゆる単一の液浸システムにおいては、液浸素子(つまり、液浸状態で液浸媒体に少
なくとも一部は接触している光学素子)は、典型的には、露光される基板に最も近く位置
している最後の光学素子である。典型的には、液浸媒体はこの最後の光学素子と基板に接
触する。いわゆる二重液浸システムにおいては、液浸素子は必ずしも、最後の光学素子、
つまり、基板に最も近く位置している光学素子である必要はない。そのような二重または
複数液浸システムでは、液浸素子は、1つまたはそれ以上の光学素子分だけ基板から離れ
ていてもよい。この場合、液浸素子が少なくとも部分的には液浸している液浸媒体は、例
えば、光学システムの光学素子間に設置してもよい。
【0005】
開口数が増大すると共に、作動波長が減少されることにより、位置精度に関する要求ば
かりでなく、使用される光学素子の寸法精度もまた、全操作を通じてより厳格になってく
る。当然のことながら、光学設備全体の撮像誤差の最小化に関しての要求もまた増大する
【0006】
この状況においては、個々の光学素子の変形と、それに起因する撮像誤差は非常に重要
である。最終的には、光学素子の自重さえも容認できない変形という結果になってしまう
。自重により誘発されるこれらの変形に対処するために、それぞれの全体の開示内容は、
参考文献として本明細書に組み込まれている米国特許第6,243,159B1(Nak
ao)(特許文献1)と米国特許第6,388,731B1(Nakao)(特許文献2
)には、圧力差により重力に対応し、光学素子に作用する反力を生成するように、光学素
子の両側に作用する、異なる圧力の雰囲気を有することが提案されている。
【0007】
この手段により、高撮像品質、つまり低撮像誤差が静止状態において達成することが可
能になる。しかし、光学素子に作用する雰囲気における動的圧力変動を引き起こす非静止
因子は、依然として問題を引き起こす。光学素子の保持器の剛性率に依存して、そのよう
な圧力変動は、撮像装置の残りの構成要素に関しての、個々の光学素子のズレという結果
になり、無視できない撮像誤差が引き起こされる。
【0008】
2つの異なる雰囲気に接触している光学素子の、そのような圧力変動に誘発される撮像
誤差に対処するために、その全体の開示内容は、参考文献として本明細書に組み込まれて
いる米国特許第5,636,000号(Ushidaその他)(特許文献3)は、格子な
どの、調整可能光学補正素子を、撮像装置内に有することを提案している。この撮像装置
においては、これらの光学補正素子の位置を調整することにより、捕捉された撮像誤差が
補正される。
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,243,159号
【特許文献2】米国特許第6,388,731号
【特許文献3】米国特許第5,636,000号
【特許文献4】米国特許公開第2005/0018156A1
【特許文献5】米国特許公開2004/0179175A1
【特許文献6】国際出願公開WO2006/080212A1
【特許文献7】国際出願公開WO2004/019128A2
【特許文献8】国際出願公開WO2006/051689A1
【特許文献9】国際出願公開WO2006/126522A1
【特許文献10】国際出願公開WO2006/121008A1
【特許文献11】米国特許第7,180,572号
【特許文献12】米国特許公開第2006/092533A1
【特許文献13】米国特許第2006/066926A1
【特許文献14】国際出願公開WO2005/106589A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この解決法は、光学補正素子が、光学システムの経費内で考慮しなければならず、そこ
に統合しなければならないので、その開発には相当な出費がかかるという不都合な点があ
る。更に、典型的には、光学補正素子の作動には、相当な経費が必要となる。従って、最
終的には、光学補正素子それ自身は、補正に対する経費が嵩むべく状況で、圧力変動に晒
されている。
【0011】
発明の概要
従って、本発明の目的はこのように、上記に概要を記載した不都合な点がない、あるい
はあってもより少ないレベルの光学撮像装置と光学撮像方法をそれぞれ提供することであ
り、特に、第1および第2雰囲気に接触している光学素子を使用することで、第1雰囲気
と第2雰囲気間の圧力差における動的変動の効果を削減する簡単な方法を可能にすること
である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、第1雰囲気と第2雰囲気間の圧力差における動的変動(好ましくは、少なく
とも1Hz超、特には、10Hz超)の効果の削減は、その原因それ自身を削減すること
により、つまり、第1雰囲気と第2雰囲気間の圧力差における変動を削減することにより
簡単で信頼できる方法で達成されるという発見に基づいている。本発明によれば、第1雰
囲気と第2雰囲気間の圧力差における動的変動のそのような削減は、対応する手段および
装置それぞれにより容易な方法で達成され得ることが示され、この手段と装置はいずれも
、雰囲気の1つにおいて動的圧力変動があると、その圧力への、十分に迅速な適合、つま
り、圧力への追従を、他の雰囲気において提供する。それに加えて、またはその代替とし
て、手段および装置それぞれを、両者の雰囲気の1つにおいて、動的圧力変動と、その振
幅と、光学素子までの伝播が起こるのを抑制することができる。
【0013】
それぞれの雰囲気における圧力の動的適合を物理的に可能にし、または動的圧力変動と
、その振幅と、光学素子までの伝播が起こるのを抑制する削減装置の部品は、好ましくは
雰囲気、または作用が及ぼされる部品にできるだけ近くに位置する。このように、動的圧
力擾乱に対する十分に迅速な反作用が達成され、そのような動的圧力擾乱の、それぞれの
光学素子までの伝播を抑制、あるいは回避さえもする。
【0014】
そのような手段および装置はそれぞれ、更なる光学素子を必要としない、つまり、光学
システムの設計を、優位的なことであるが、変えずにすむように、光学システムへの介在
を必要としないということが示された。更なる優位点は、補正が誤差それ自身の原因に直
接作用するので、補正中に起こる誤差が削減されるということにある。
【0015】
本発明は更に、ある所与の撮像装置に対して、典型的に、対応する圧力行動モデル、特
に、非静止または局所圧力変動を考慮した圧力行動モデルが設定でき、両者の雰囲気間の
動的圧力適合に対する能動的制御の間に使用できるという発見に基づく。そのような圧力
行動モデルを使用すれば、計器により、特に簡単かつ迅速な反作用制御が達成される。
【0016】
このように、本発明の目的は、特にマイクロリソグラフィのための光学撮像装置であり
、少なくとも1つの光学素子と、光学素子に結合されている少なくとも1つの保持装置を
備え、保持装置は光学素子を保持し、光学素子の第1部分は第1雰囲気に接触し、光学素
子の第2部分は、少なくとも一時的には第2雰囲気に接触する。第1雰囲気と第2雰囲気
間の圧力差における動的変動を少なくとも削減する削減装置が設けられる。
【0017】
本発明の更なる目的は、特にマイクロリソグラフィのための光学撮像方法であり、投影
パターンが光学撮像装置を使用して基板上に撮像され、光学撮像装置の光学素子の第1部
分は第1雰囲気に接触し、光学素子の第2部分は少なくとも一時的には第2雰囲気に接触
する。投影パターンを基板上に撮像している間に起こり、第1雰囲気と第2雰囲気間の圧
力差における動的変動に起因する撮像誤差を削減するために、第1雰囲気と第2雰囲気間
の圧力差における動的変動が少なくとも削減される。
【0018】
本発明の更なる好適な実施の形態は、独立請求項と、添付された図を参照して説明され
る好適な実施の形態の下記の記述それぞれにより、明白になる。開示された特徴のすべて
の組み合わせは、請求項において明示的に記載されていようがいまいが、本発明の範囲内
である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明による光学撮像装置の好適な実施の形態の模式図であり、これを使用して、本発明による光学撮像方法の好適な実施の形態が実行される。
図2図2は、図1の撮像装置の一部の部分断面図である。
図3A図3Aは、図1の光学撮像装置における、時間の関数としての、第1雰囲気と第2雰囲気間の圧力差DPの第1例の模式図である。
図3B図3Bは、図1の光学撮像装置における、時間の関数としての、第1雰囲気と第2雰囲気間の圧力差DPの第2例の模式図である。
図4A図4Aは、本発明による光学撮像装置の更なる好適な実施の形態の一部の部分断面図である。
図4B図4Bは、本発明による光学撮像装置の更なる好適な実施の形態の一部の部分断面図である。
図4C図4Cは、本発明による光学撮像装置の更なる好適な実施の形態の一部の部分断面図である。
図5A図5Aは、本発明による光学撮像装置の更なる好適な実施の形態の一部の部分断面図である。
図5B図5Bは、本発明による光学撮像装置の更なる好適な実施の形態の一部の分断面図である。
図5C図5Cは、本発明による光学撮像装置の更なる好適な実施の形態の一部の部分断面図である。
図6図6は、図1の光学撮像装置により実行できる、本発明による光学撮像方法の好適な実施の形態のブロック図である。
図7図7は、本発明による光学撮像装置の好適な実施の形態の模式図であり、これを使用して、本発明による光学撮像方法の好適な実施の形態が実行される。
図8図8は、図7の撮像装置の一部(詳細E)の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
発明の詳細な説明
第1実施の形態
下記においては、本発明による、マイクロリソグラフィ用の光学撮像装置の第1実施の
形態が図1−5を参照して記述される。
【0021】
図1は、193nmの波長を有するUV範囲の光で作動するマイクロリソグラフィ装置
101の形態の、本発明による光学撮像装置の好適な実施の形態の模式図である。
【0022】
マイクロリソグラフィ装置101は、照明システム102と、マスクテーブル103付
きのマスク装置と、光軸104.1を有する対物レンズ104の形態の光学投影システム
と、基板装置105を備える。照明システム102は、193nmの波長を有する投影光
ビーム(これ以上の詳細は図示せず)で、マスクテーブル103上に配置されたマスク1
03.1を照明する。投影パターンがマスク104.3上に形成され、それは、対物レンズ
104内に配置された光学素子を介して、投影光ビームにより、第1ウェーハテーブル1
05.2上に配置された第1ウェーハ105.1の形態の基板上に投影される。
【0023】
測定ステーション106は、対物レンズ104に隣接して位置している。測定ステーシ
ョン106は、例えば、その開示は本明細書に参考文献として組み込まれているEP 1
420300 A2(Lofその他)で知られているように、第1ウェーハ105.1に
続いて露光される第2ウェーハ105.3の形状を捕捉するように機能する。この目的の
ため、第2ウェーハ105.3は、第2ウェーハ105.3の露光のために、図1に示され
る第1ウェーハテーブル105.2の位置まで後で移動される第2ウェーハテーブル10
5.4上に配置される。
【0024】
対物レンズ104は、一連の光学素子108、109で構成される光学素子グループ1
07を備える。光学素子108、109は、対物レンズのハウジング104.2内に保持
される。光学素子107−109は、レンズまたはその類似品のような、193nmの作
動波長に対する屈折光学素子である。それにより、作動中にウェーハ105.1に最も近
くに位置している最後の光学素子109は、いわゆる最終素子または最後のレンズ素子で
ある。
【0025】
マイクロリソグラフィ装置101は、液浸システムである。液浸ゾーン110において
、例えば、高度に純化された水やその類似品のような液浸媒体110.1は、ウェーハ1
05.1と最後のレンズ素子109の間に配置される。液浸ゾーン110内には、一方に
おいて、実際に露光されるウェーハ105.1の少なくとも一部により下方に限界を定め
られた、液浸媒体110.1の液浸バスが設けられている。液浸バスの側方限界が、少な
くとも部分的には液浸フレーム110.2(典型的には、液浸フードとも称せられる)に
より設けられている。露光中に光学的に使用され、対物レンズ104の外側に存在する最
後のレンズ素子の少なくとも一部が、最後のレンズ素子109が本発明の意味においての
液浸素子となるように、液浸バスに浸けられる。このように、最後のレンズ素子109と
ウェーハの間の、最後のレンズ素子109から出射される光の経路は、専ら、液浸媒体1
10内に位置している。
【0026】
液浸媒体の、値1を超える屈折率により、開口数NA>1が達成され、最後のレンズ素
子とウェーハの間のガス雰囲気により、従来のシステムに対して解像度が向上される。
【0027】
最後のレンズ素子109(その側面109.1は、ハウジング104.2の内部に面して
いる)は、特に、ハウジング104.2と、隣接するレンズ素子108と共に、第1空間
111の限界を定める。第1空間111内には、第1雰囲気が、最後のレンズ素子109
に接触して、そこに作用するようにして広がっている。第1圧力P1は、第1空間111
内に広がっている。
【0028】
最後のレンズ素子109(その側面109.1は、ハウジング104.2の周囲に面して
いる)は、特に、ハウジング104.2とハウジング113(その中に対物レンズ104
が突出している)は、第2空間112の限界を定める。第2空間112内には、第2雰囲
気が、最後のレンズ素子109に接触して、そこに作用するようにして広がっている。少
なくとも、液浸バスの液浸媒体の110.1内には、第2圧力P2が、第2空間112に
広がっている。
【0029】
対物レンズ104の経費によっては、第1雰囲気内の第1圧力と、第2雰囲気内の第2
圧力間の定義された設定点圧力差DPSがゼロでないように選択されることもある(DP
S≠0)。例えば、最初に触れた米国特許第6,243,159B1(Nakao)と米
国特許6,388,731B1(Nakao)で知られているように、定義された設定点
圧力差DPSが設けられて、最後のレンズ素子109の重量が補正されてもよい。しかし
、設定点圧力差がゼロになるようにしてもよい(DPS=0)。
【0030】
第1雰囲気と第2雰囲気間の、つまり、第1圧力P1と第2圧力P2間の実際の圧力差
DPにおける変動(DP=P1−P2)は、光軸104.1の方向に、最後のレンズ素子
109に作用している力の変化を引き起こし、それにより、光軸104.1の方向に、最
後のレンズ素子の対応するシフトを引き起こす(最後のレンズ素子109をハウジング1
04.2に接続している保持装置の剛性率に依存する)。最後のレンズ素子109のシフ
トは、その結果として、対応する大きさの撮像誤差を引き起こす。
【0031】
第1雰囲気と第2雰囲気間の実際の圧力差DPにおける変動は、異なる源に起因するこ
ともある。第1ウェーハ105.1の露光プロセスの間における比較的大きな第1ウェー
ハテーブル105.2の動きは、最後のレンズ素子109の領域まで伝播する、第2雰囲
気における圧力波を生成することもある。同様に、第2ウェーハ105.1の捕捉プロセ
スの間における比較的大きな第2ウェーハテーブル105.4の動きは、最後のレンズ素
子109の領域まで伝播する、第2雰囲気におけるそのような圧力波を生成することもあ
る。急速な圧力変化は、光学素子グループ107の光学素子の能動的な調整により、第1
雰囲気内で起こることもある。特に、最後のレンズ素子109、または隣接する光学素子
108の調整の際は、そのような急速な圧力変化は、最後のレンズ素子109に直接作用
することもある。同様に、それぞれの雰囲気における圧力変動は、特に、温度変化または
流量プロセスにより、他の要因によりそれぞれ、影響を受け、または生成されることもあ
る。更に、そのような外部の圧力擾乱は、マイクロリソグラフィ装置101が位置してい
る設備のドアの開閉や、クリーンルームのエアシャワーのオン/オフや、ジェット機の飛
行などが、マイクロリソグラフィ装置101の周りを取り囲む雰囲気内に、最後のレンズ
素子109に向かって伝播する圧力波を引き起こすなど、マイクロリソグラフィ装置10
1の外部の源から起因することもある。
【0032】
図3A図3Bから分かるように、第1雰囲気と第2雰囲気間の圧力差DP内の動的変
動という結果になる動的圧力擾乱の異なるタイプがある。
【0033】
図3Aは、第1雰囲気と第2雰囲気間の圧力差DPの動的周期性特性を引き起こす動的
周期性圧力擾乱の効果を示している。そのような動的周期性圧力擾乱は、例えば、マイク
ロリソグラフィ装置101の内部または外部に動的圧力変化を引き起こすウェーハテーブ
ル105.2と105.4の動き、または他の規則的繰り返し動的イベント(例えば、十分
に大きな物体の動き、または媒体の十分に大きな流れの生成)に起因することもある。そ
のような動的周期性圧力擾乱の周波数は、最大2−5Hz、典型的には最大1−2Hzに
なることもある。圧力差DPにおける、そのような動的周期性変動の振幅(DPmax−D
min)は、最大30−50Pa、典型的には、最大15−30Paに達することもある
【0034】
図3Bは、第1雰囲気と第2雰囲気間の圧力差DPの動的非周期性特性を引き起こす、
動的非周期性圧力擾乱の効果を示している。そのような動的非周期性圧力擾乱は、例えば
、マイクロリソグラフィ装置101内、および/または(より可能性がある)マイクロリ
ソグラフィ101の外側におけるランダムな動きに起因することもある。そのような動的
非周期性圧力擾乱の立ち上がり時間trise(つまり、圧力差DPが、それ以前の典型的に
通常のレベルから開始してピークに達するのに要する時間)は、20ms以下まで落ちる
こともあり、典型的には10msまで落ち、極端な場合は、1msおよびそれ未満になる
。このように、そのような動的非周期性圧力擾乱の周波数は典型的に、50Hzから数1
00Hzまで達することもある。圧力差DPにおけるそのような動的非周期性変動は、最
大30−50Paまで達することもあり、典型的には、最大15−30Paまで達するこ
ともある。
【0035】
第1雰囲気と第2雰囲気間の実際の圧力差DPにおける動的時間変動によるそのような
撮像誤差を少なくとも減少するために、これらの撮像誤差の原因に直接作用する、つまり
、第1雰囲気と第2雰囲気間の実際の圧力差における動的変動を少なくとも減少する、削
減装置115が設けられる。この例においては、削減装置115は下記に更に詳細を説明
する、能動装置と共に受動装置を備える。下記に記述される受動および能動装置のそれぞ
れは、単独で、または他のそのような装置と任意に組み合わせて使用できることは理解さ
れよう。
【0036】
削減装置115の第1能動装置116は、第1捕捉装置117と、そこに接続されてい
る制御装置と、第1調整装置119を備える。第1捕捉装置117は、第1雰囲気と第2
雰囲気間の実際の圧力差DPの、第1雰囲気と第2雰囲気間の設定点圧力差DPSからの
圧力差偏差ΔDPを捕捉する(ΔDP=DP−DPS)。この目的のため、第1捕捉装置
117は、第1空間111内の第1圧力P1を捕捉する第1圧力捕捉装置117.1と、
第2空間112内の液浸媒体110.1内の第2圧力P2を捕捉する第2圧力捕捉装置1
17.2を備える。
【0037】
第1圧力捕捉装置117.1は、第1空間111における第1圧力P1とその分布それ
ぞれを捕捉(時間的および空間的に十分な解像度で)し、対応する信号をそこに接続され
ている制御装置118に提供する1つまたは2つ以上の適切な圧力センサを備える。同じ
ことが、第2空間111の液浸媒体110.1における第2圧力P2とその分布それぞれ
を捕捉(時間的および空間的に十分な解像度で)し、対応する信号をそこに接続されてい
る制御装置118に提供する第2圧力捕捉装置117.2についても言える。第2圧力捕
捉装置は、特に、その開示は参考文献として本明細書に組み込まれている米国特許公開第
2005/0018156A1(Mulkenその他)(特許文献4)で知られている1
つとして設計できる。
【0038】
第1捕捉装置117は更に、第3圧力捕捉装置117.3を備える。第3圧力捕捉装置
117.3はまた、複数の適切な圧力センサを備える。第3圧力捕捉装置117.3の圧力
センサのそれぞれは、最後のレンズ素子109から少なくとも最小距離Lに位置している
。第3圧力捕捉装置117.3のセンサは、最後のレンズ素子109から所与の距離にお
ける空間内の圧力とその分布それぞれを捕捉(時間的および空間的に十分な解像度で)し
、対応する信号を、そこに接続されている制御装置118に提供する。下記で更に説明す
るように、最小距離Lは、マイクロリソグラフィ装置101の通常動作中に予想される圧
力事象の伝播の最高速度vと同様に、制御ループの応答時間trespの関数として選択され
る。
【0039】
第3圧力捕捉装置117.3は、特に、ランダム圧力事象に起因し(上記にその概要を
説明したように)、最後のレンズ素子109に向けて伝播する非周期性圧力変動を補足す
るように機能する。お互いに関連して、および最後のレンズ素子109に関連しての圧力
センサの画定された位置が与えられれば、第3圧力捕捉装置117.3からの信号は、圧
力事象の伝播の速度と方向を確立し、このように、いつ、どのような程度で、検出された
圧力事象が最後のレンズ素子109の領域に到達するかの時刻を確立するのに使用できる
【0040】
この目的のため、最終的には、制御装置118は、マイクロリソグラフィ装置101の
格納された圧力行動モデルを使用する。この圧力行動モデルは前もって確立しておくこと
ができ(経験的におよび/または理論的に)、特に、最後のレンズ素子の領域におけるマ
イクロリソグラフィ装置101の圧力応答を、第3圧力捕捉装置117.3により提供さ
れた信号の関数として、そして最終的にはマイクロリソグラフィ装置101の作動パラメ
ータの実際の値の関数として表現できる。
【0041】
第1調整装置119は、第1空間111の限界を定め、ハウジング104.2にその外
周において密封されて接続されているメンブレン119.1を備えている。メンブレン1
19.1は、直線的に作用する作動装置119.2に接続されており、作動装置119.2
により、メンブレン119.1の曲率の方向と程度が、つまり、第1空間111の体積が
調整できる。図2に示す実施の形態においては、メンブレン119.1は十分に柔軟な金
属のシートから構成されている。しかし、本発明の他の実施の形態では、柔軟な他のメン
ブレンが他の手段、特に、例えば、起伏している形状のような、適切な形状を介して提供
されるということは理解されよう。更に、任意の他の適切な材質または材質の組み合わせ
をメンブレンに使用できる。例えば、フッ素系ポリマー(例えば、Viton(R)という
商品名でDuPontから販売されているフッ素系ポリマー)のようなポリマー材質をメ
ンブレンに使用できる。
【0042】
圧力捕捉装置117.1、117.2、および117.3の信号から、制御装置118は
、圧力差偏差ΔDPを確立し、そこから、第1調整装置119に対する対応する第1制御
信号を生成する。第1制御信号の関数として、作動装置119.2は、メンブレン119.
1の曲率を、つまり、第1空間111の体積を調整する。制御装置118は、第1調整装
置119により生成された第1空間111の体積の変化が、第1空間111内の、圧力差
偏差ΔDPに反作用する圧力の変化を引き起こすように第1制御信号を生成する。すなわ
ち、第1調整装置119は、制御装置118の制御下にあるが、第1空間111内の第1
圧力P1を、圧力差偏差ΔDPが最小化されるかまたは理想的な場合は削除されるように
、第2空間112内の第2圧力P2に追従させる。
【0043】
第3圧力捕捉装置117.3からの信号を考慮することにより、その立ち上がり時間tr
iseが、第2圧力捕捉装置117.2により提供された信号に基づくだけの制御の応答時間
respを超える、急激に立ち上がる、および/または立ち下がる圧力擾乱を考慮すること
が可能になる。上記のように、第3圧力捕捉装置117.3の圧力センサの、最後のレン
ズ素子109からの最小距離Lは、マイクロリソグラフィ装置101の通常の作動中に予
想される圧力事象の最大伝播速度vpropと同様に、制御ループの応答時間tresp(つまり
、第1調整装置119が、制御装置118の制御下で、第3圧力捕捉装置117.3によ
り検出された圧力事象への反作用を提供するまでに必要な時間)の関数として選択される
。最小距離Lは次のように計算できる。
【0044】
L=vprop・tresp (1)
制御装置118と第1調整装置119を備える制御ループは、約、数100Hzの制御
帯域幅を提供することは理解されよう。このように、約100Hzの制御帯域幅、つまり
、応答時間tresp=10msと、約340m/sと1000m/sの間の圧力事象の典型
的最大伝播速度vpropが与えられると、3.4mと10mの間の範囲の最小距離Lという
結果になる。
【0045】
更に、第1調整装置119は、第1空間111内の圧力P1の十分に大きな変化を起こ
し、上記にその概要を述べたように、急激に立ち上がる外部の非周期性圧力事象に起因す
る圧力差偏差ΔDPに対抗するために、制御帯域幅全体において十分なパワーを有するよ
うに設計できるということは理解されよう。
【0046】
本発明の他の実施の形態では、異なる設計の第1調整装置を使用して第1空間の体積を
変更することもできるということは理解されよう。例えば、より剛性のメンブレン119
の代わりに、図4A図2の詳細Dに対応する図におけるマイクロリソグラフィ装置10
1の更なる実施の形態の一部を示している)に示すように、より柔らかいメンブレン21
9を使用することもできる。
【0047】
図2のメンブレン119の代わりに、図2に、点線の輪郭120により示され、また図
4B(図2の詳細Dに対応する図におけるマイクロリソグラフィ装置101の更なる実施
の形態の一部を示している)に構成要素320として示されているように、ベローを使用
することもできる。そのようなベロー320は、メンブレン119との関連において、達
成可能な変位のより広い範囲のために、第1空間111の圧力P1におけるより大きな変
化を引き起こすということは理解されよう。ベロー320を使用するそのような解決法で
は、約数100Hzの制御帯域幅、典型的には少なくとも、約100−400Hzの制御
帯域幅が達成可能である。
【0048】
図2のメンブレン119に対する更なる代替品として、図4C図2の詳細Dに対応す
る図におけるマイクロリソグラフィ装置101の更なる実施の形態の一部を示している)
に示されているように、単純なピストン420を使用することもできる。そのようなピス
トン420は、メンブレン119との関連において、達成可能な変位のより広い範囲のた
めに、これもまた第1空間111の圧力P1におけるより大きな変化を引き起こすという
ことは理解されよう。更に、ピストン420は、それが作動しているシリンダに対して必
ずしも密封される必要がないということも理解されよう。シリンダとピストン420の間
の隙間が、第1空間111の圧力P1における増大が、隙間を介して即座に解放されない
程度に十分小さければそれで十分である。ピストン420を使用するそのような解決法で
は、数kHzのオーダーの制御帯域幅、典型的には少なくとも、約1−4kHzの制御帯
域幅が達成可能である。
【0049】
同様に、第1調整装置は、レンズ素子108および/または最後のレンズ素子109の
位置を、例えば、それを使用して光軸104.1に沿って変更可能な調整装置により形成
できる。例えば、最後のレンズ素子の保持素子114は、制御装置118の制御のもとで
、最後のレンズ素子109の位置を修正する対応するアクチュエータを備えてもよい。こ
の場合、それぞれのレンズ素子の位置の変化により起こる撮像特性の変化が、制御装置1
18により対応して説明されることが好ましい。作動された光学素子を備えるそのような
制御ループは、典型的に、非常に広い制御帯域幅を提供するということは理解されよう。
【0050】
最後に、上記に触れた調整装置は、任意の適切な数および/または組み合わせで提供で
きるということは理解されよう。
【0051】
代替として、または追加して、削減装置115の第1能動装置116と能動装置121
が提供されてもよい。この能動装置121は、第1捕捉装置117と、制御装置118と
、浄化装置122の形態の調整装置を備える。浄化装置122は、浄化媒体の第1質量流
量を、第1ライン122.2を介して第1空間111に送達し、浄化媒体をの第2質量流
量を、第2ライン122.3を介して第1空間111から抜取る送達装置122.1を備え
る。調整可能弁122.4が第1ライン122.2内に設けられ、一方、第2調整可能弁1
22.5が、第2ライン122.3内に設けられる。
【0052】
第1調整可能弁122.4を介して、第1空間111に供給される浄化媒体の質量流量
は調整でき、一方、第2調整可能弁122.5を介して、第1空間111から抜き取られ
た浄化媒体の質量流量は調整できる。これに加えて、あるいはその代替として、送達され
、および抜き取られた質量流量もまた、それぞれ送達装置122.1を介して調整でき、
一方、調整可能弁122.4と122.5は、この場合はなくてもよい。送達される質量流
量と、抜き取られる質量流量の間の比に依存して、第1空間111内の圧力の変化が結果
として生じる。
【0053】
圧力捕捉装置117.1−117.3の信号から、制御装置118は、圧力差偏差ΔDP
を確立して、そこから浄化装置122に対する、対応する第1制御信号を生成する。第1
制御信号の関数として、浄化装置122は、調整可能弁122.4と122.5および/ま
たは送達装置122.1を介して、第1空間111へ送達される質量流量と、第1空間1
11から抜き取られる質量重量の比を調整し、その結果として第1空間111内の圧力の
変化が引き起こされる。制御装置118は、浄化装置122により生成された第1空間1
11内の圧力の変化が、圧力差偏差ΔDPに反作用するように第1制御信号を生成する。
つまり、浄化装置122は、制御装置118の制御のもとにあるが、第1空間111内の
第1圧力P1を、圧力差偏差ΔDPが最小化されるか、理想的な場合は削除されるように
、第2空間112内の第2圧力P2に追従させる。
【0054】
調整装置119と浄化装置122が組み合わせて使用される場合は、制御装置118に
おいて、それぞれの効果はもちろん考慮される。この場合、特に、異なる周波数レンジで
圧力差偏差ΔDPの補正のために調整装置119と浄化装置122を使用することは適切
なことである。例えば、浄化装置が、第1周波数レンジにおいて圧力差偏差ΔDPを補正
して、一方、調整装置119が、周波数が第1周波数レンジよりも少なくとも部分的には
高い第2周波数レンジにおいて圧力差偏差ΔDPを補正するということも可能である。周
波数レンジの重なりは、全周波数範囲において信頼できる補正を達成するためには好都合
である。周波数範囲は、最終的に、マイクロリソグラフィ装置101の撮像品質に対する
無視できない擾乱が予想される周波数レンジをカバーすることのみが必要であることは理
解されよう。
【0055】
本発明の他の実施の形態では、第1空間111の体積の変化および/または第1空間1
11内の有効質量流量の変化の代替として、またはそれに追加して、第2空間112の体
積の対応する変化と、第2空間112内の有効質量流量の変化が提供されるということは
理解されよう。
【0056】
削減装置115の更なる能動装置123は、第2捕捉装置124と、制御装置118と
、第2調整装置125を備える。第2捕捉装置124は、第2雰囲気内の圧力変動、つま
り、設定点圧力P2Sからの、第2雰囲気における圧力差偏差ΔP2(ΔP2=P2−P
2S)を捕捉する。この目的のため、第2捕捉装置124は、第2空間112内の圧力分
布P2を捕捉する第4圧力捕捉装置124.1を備える。
【0057】
第4圧力捕捉装置124.1は、第2圧力P2の変動の周波数と振幅、つまり、第2空
間112における第1圧力波を捕捉(十分な時間的および空間的解像度で)する1つまた
は2つ以上の適切な圧力センサを備え、対応する信号を、そこに接続されている制御装置
118に提供する。特に、上述した第2圧力捕捉装置117.2もまた、第4圧力捕捉装
置124.1の構成要素であってもよい。第4圧力捕捉装置124.1を介して、特に、第
1圧力波は、2つのウェーハテーブル105.2、105.4の少なくとも1つの動きに起
因して検出される。
【0058】
第2調整装置124は、第4圧力捕捉装置124.1を介して捕捉された第1圧力波と
干渉する第2圧力波を生成(十分な時間的および空間的解像度で)する1つまたは2つ以
上の圧力波生成器を備える。
【0059】
第4圧力捕捉装置124.1の信号から、そして最終的には(もし組み合わせて存在す
れば)、第3圧力捕捉装置117.3からの信号により、制御装置118は、第2空間1
12内の圧力P2の変動の周波数と振幅を確立し、そこから、第2調整装置125に対す
る対応する第2制御信号を生成する。第2制御信号の関数として、第2調整装置125の
圧力波生成器は、第2空間112内に第2圧力波を生成する。制御装置118は、第2調
整装置125により生成された第2圧力波が第1圧力波が、干渉の結果の圧力波がより小
さな振幅を少なくとも有するように、第1圧力波と干渉するように、第2制御信号を生成
する。理想的な場合は、第1および第2圧力波は、実質的にお互いを削除する。
【0060】
つまり、能動装置123を介して、有利な方法で、最後のレンズ素子109に向かう、
第2雰囲気内の圧力擾乱の伝播はそれぞれ能動的に阻止され、更には防止され、それによ
りそのような圧力擾乱に起因する撮像誤差はなくなる。本発明の他の実施の形態では、類
似の装置もまた提供され、それぞれが第1空間111内で作動するということは理解され
よう。更に、制御装置118は、2つのウェーハテーブル105.2と105.6の動きを
、そこに起因している第1および第2圧力波それぞれが、干渉に起因する圧力波が、より
小さな振幅を少なくとも有するようにお互いが干渉するように調整された方法で制御でき
る。理想的なケースでは、第1および第2圧力波は、実質的にお互いを削除する。
【0061】
任意の適切なセンサが、圧力を捕捉するために提供できるということは理解されよう。
例えば、気体雰囲気では、対応する適切なマイクロフォンが使用されて、圧力変動を捕捉
できる。同様に、任意の適切な圧力波生成器が提供される。例えば、気体雰囲気では、対
応する適切なラウドスピーカまたは類似の装置が圧力波生成器として使用できる。
【0062】
上記の削減装置115の能動装置116、121および123とは別に、この例では、
更に削減装置の受動装置が提供されて、これもまた第1雰囲気と第2雰囲気間の実際の圧
力差DPにおける変動を削減する。
【0063】
第1受動装置として、ウェーハテーブル105.2と105.4の両者において、流量チ
ャネル126の形態の抵抗削減装置が提供される。流量チャネル126はそれぞれ、ウェ
ーハテーブルを通して動きの方向105.5と105.6に延伸する。この効果については
、第1ウェーハテーブル105.1を参照する例により下記に説明する。
【0064】
動きの方向105.5において、流量チャネル126は、第1ウェーハテーブル105.
1の着手表面105.7を、参照体、つまり、同一寸法と、実質的に開口部がなく、実質
的に平坦で、実質的に動きの方向105.5に直交する着手表面を有する参照ウェーハテ
ーブルに関して削減する。動きの方向105.5における第1ウェーハテーブル105の
動きにより、第1ウェーハテーブル105.1の領域に存在する第2雰囲気の気体は、そ
れほどの抵抗なく、流量チャネル126を通して流れることができる。つまり、流量チャ
ネル126は、動きの方向105.5における第1ウェーハテーブルの抵抗係数を削減す
る。これにより、第1ウェーハテーブル105.2上の動きにより、上記に概要を示した
ように、参照ウェーハテーブルに関して、小さな振幅の圧力波が生成される。流量チャネ
ル126の数および/または断面に依存して、参照ウェーハテーブルに関して、少なくと
も30%の抵抗係数の削減が達成される。
【0065】
言い換えれば、このように、流量チャネル126により有利な方法で、最後のレンズ素
子109までの、第2雰囲気における圧力擾乱の生成、従って伝播が、それに起因する撮
像誤差の削減が達成されるように受動的に阻止される。
【0066】
本発明の他の実施の形態では、流量チャネル126に追加して、あるいは、その代替と
して、他の抵抗削減装置を使用することもできる。例えば、動きの方向105.5に面し
ている、ウェーハテーブル105.2の側面では、プロフィール127と128が、参照
ウェーハテーブルに関して抵抗係数を削減するために、それぞれ提供される(図5Aと5
Bに示されるように)。プロフィール127は比較的単純な三角形プロフィールであり、
それを使用して少なくとも50%の抵抗係数の削減が、参照ウェーハテーブルに関して達
成されるが、一方、プロフィール128は、空気力学的に最適化されたプロフィールであ
り、それを使用して少なくとも80%の抵抗係数の削減が、参照ウェーハテーブルに関し
て達成される。
【0067】
参照ウェーハテーブルに関して抵抗係数を削減するプロフィールは、抵抗係数の対応す
る削減がなされるのであれば、任意の適切な形状を有することができる。特に、非対称の
形状を有することができる。好ましくは、プロフィール127と128と同様に、動きの
方向105.5に関して非対称の形状が、上昇効果と、プロフィールの上部側と、プロフ
ィールの下部側の間の、更なる圧力擾乱を生成することも考えられる付随する側面方向の
均一化を回避するために選択される。
【0068】
更に、流量チャネル126の受動抵抗削減装置は、能動構成要素と組み合わせてもよい
図5Cに示されるように、送達装置129、例えばファンなどを、流量チャネル126
内に設けて、ウェーハテーブル105.2の動きの方向の関数として、流量チャネル12
6内で気体が遭遇する抵抗を能動的に補正する流量チャネル126内の対応する流量を生
成し、このようにしてウェーハテーブル105.2の抵抗を削減してもよい。送達装置1
29は、例えば、この場合はウェーハテーブル105.2の動き制御も提供する制御装置
118により制御されてもよい。
【0069】
最後に、削減装置115の第2受動装置として、遮蔽装置130が設けられて、対物レ
ンズ104を、従って、最後のレンズ素子109を、測定ステーション106における測
定中に、一時的に第2ウェーハテーブル105.4の動きの空間131から遮蔽する。
【0070】
遮蔽装置130はパーティション130.1を備え、これは制御装置118の制御のも
とで、駆動装置130.2により、示されている、開いた位置から、図1において点線輪
郭130.3で示される、閉じた位置に移動される。
【0071】
遮蔽装置130の開いた位置においては、第2ウェーハテーブル105.4の動きの空
間131から、対物レンズ104に隣接する第1ウェーハテーブル105.2の運動の空
間へのアクセスが、第2ウェーハテーブル105.4が、第2ウェーハ105.3が露出さ
れるや否や、第1ウェーハテーブルの位置に駆動されるように可能となる。
【0072】
閉じた位置においては、パーティションは、第2ウェーハテーブル105.4の動きの
空間131を、対物レンズ104が突出している空間から完全に分離する。このように、
遮蔽装置130により、有利な方法で、第2ウェーハテーブル105.4の動きの空間1
31から、最後のレンズ素子109までの圧力擾乱の伝播が、そのような圧力擾乱に起因
する撮像誤差の削減が達成されるように、防止される。
【0073】
本発明の他の実施の形態では、密封のパーティションではなく、遮蔽装置による、最後
のレンズ素子に向かう圧力擾乱の伝播の阻止のみがなされるということは理解されよう。
この場合、パーティションには、好ましくは、例えば、振動吸収表面のような、少なくと
も1つの振動エネルギー吸収装置が設けられる。
【0074】
更に、削減装置115上の追加的または代替の受動装置として、図1図5Cにおいて
点線輪郭132で示されるように、遮蔽装置が設けてもよい。遮蔽装置132は、第1ウ
ェーハテーブル105.2と組み合わせて、対物レンズ104、従って、最後のレンズ素
子109を一時的に、測定ステーション106における測定中に、第2ウェーハテーブル
105.4の動きの空間131から遮蔽する。
【0075】
遮蔽装置132は、リング状の方法で対物レンズ104を取り囲み、その下側端部に、
対物レンズ104を指し示めしている周囲フランジ132.2を有する壁132.1を備え
る。フランジ132.2は、第1ウェーハ105.1の露光中に、フランジ132.2と第
1ウェーハテーブル105.2の間に常に狭い隙間が設けられるように配置される。
【0076】
図1図5Cに示される位置において、遮蔽装置132と第1ウェーハテーブル105
.2は、第2ウェーハテーブル105.4の動き空間131を、遮蔽装置132により限界
を定められた空間と、対物レンズ104が突出している第1ウェーハテーブル105.2
から遮蔽する。隙間133を介してのみ、例えば、第2ウェーハテーブル105.4の動
きにより引き起こされた圧力変動は、対物レンズ104に向けて伝播できる。隙間133
の幅と長さに依存して、この圧力変動は、対応するように強く減衰される。このように、
遮蔽装置132により、第2ウェーハテーブル105.4の動きの空間131から、最後
のレンズ素子109までの圧力擾乱の伝播はそれぞれ、そのような圧力擾乱に起因する撮
像誤差の削減が達成されるような有利な方法で、受動的に削減されるか防止される。
【0077】
図6は、マイクロリソグラフィ装置101で実行できる、本発明による光学撮像方法の
好適な実施の形態のブロック図である。
【0078】
まず、ステップ134.1において、本方法の実行が開始される。ステップ134.2に
おいて、マイクロリソグラフィ装置101の構成要素が、上述した構成が達成されるよう
に、お互いに対して相互的に位置する。
【0079】
ステップ134.3において、マスク103.1上の投影パターンの少なくとも一部が、
上述した方法で、ウェーハ105.1上に投影される。ステップ134.3において、この
投影と平行して、第1雰囲気と第2雰囲気間の圧力差DPにおける変動が、上述したよう
に、削減装置115により削減される。
【0080】
この目的のため、ステップ134.4において、第1雰囲気と第2雰囲気間の実際の圧
力差DPが、上述したように、圧力捕捉装置117.1、117.2、および117.3か
らの信号を使用して、制御装置118により確立される。更に、最終的に、ウェーハテー
ブル105.2、105.4、および他の構成要素(例えば、パーティション130.1な
ど)の実際の位置、速度、および加速度のような、マイクロリソグラフィ装置101の状
態を表わす更なる実際の値が、上述したように確立される。
【0081】
ステップ134.5において、制御装置118は、上述したように、分離した調整装置
(例えば、調整装置119、調整装置122、および調整装置125など)に対する制御
信号を確立する。
【0082】
ステップ134.6において、制御装置118は確立された制御信号を使用して、上述
した方法で調整装置において制御する。
【0083】
ステップ134.7において、本方法の実行を停止すべきどうかが調べられる。もし停
止すべきであれば、本方法の実行はステップ134.8において停止される。そうでない
場合は、ステップ134.3に戻る。
【0084】
上記において、本発明は、削減装置の能動装置116、121、123が常に、対応す
る圧力捕捉装置を介して、第1および/または第2雰囲気における実際の圧力状況を捕捉
する例により記述されてきた。しかし、本発明の他の実施の形態では、能動装置116、
121、123の少なくとも1つの、モデルに基づく制御が実践できるということは理解
されよう。
【0085】
上記に概要を記したように、圧力行動モデルは既に確立されており(経験的におよび/
または理論的に)、関心対象の特別な領域(例えば、第1雰囲気、第2雰囲気など)にお
いて、マイクロリソグラフィ装置101の圧力応答を、上記の圧力捕捉装置(例えば、装
置117.1−117.3、124など)により提供された信号と、最終的には、マイクロ
リソグラフィ装置101の作動パラメータの更なる実際の値の関数として表現できる。
【0086】
マイクロリソグラフィ装置101のある作動パラメータにより、および前もって確立さ
れ、格納されている圧力行動モデル(制御装置118がアクセスする)を介しての、その
ようなモデルに基づく制御−−米国特許公開第2004/0179175A1(Okad
a)(特許文献5)に開示されている方法と類似しているが−−では、圧力状況の評価と
確立それぞれは、図6のステップ134.4において提供される。制御装置は、圧力行動
モデルを介して確立された圧力状況を使用して、図6のステップ134.5におけるそれ
ぞれの調整装置に対する制御信号を生成する。もちろん、モデルは、それぞれの調整装置
に制御信号を直接提供することもできる。
【0087】
モデルの入力として使用可能な、マイクロリソグラフィ装置101の作動パラメータと
して、原理的には、マイクロリソグラフィ装置101内の実際の圧力状況に対する直接ま
たは間接の影響として、任意の作動パラメータが使用できる。特に、例えば、ウェーハテ
ーブル105.2と105.4の、または移動している光学素子などの、移動している構成
要素の速度または加速度が使用できるが、それはこれらの構成要素は、圧力状況に直接の
影響を与えることによる。類似のことが、マイクロリソグラフィ装置101内の温度と流
量速度に対しても有効である。
【0088】
このように、例えば、制御装置118が、第1調整装置119と浄化装置122の制御
のために、圧力差偏差ΔDPの実際の値を、マイクロリソグラフィ装置101の少なくと
も1つのそのような作動パレメータの実際の値と、格納された第1モデルを使用して決定
するとしてもよく、ここにおいて、第1モデルは、マイクロリソグラフィ装置101に対
して以前に確立されたこの少なくとも1つの作動パラメータ(例えば、ウェーハテーブル
105.2と105.4についての速度または加速度)の関数としての、第1雰囲気と第2
雰囲気間の圧力差の行動のモデルである。
【0089】
同様に、制御装置118は、第2調整装置125の制御のために、第2雰囲気における
圧力変動ΔP2の実際の値を、マイクロリソグラフィ装置101の少なくとも1つのその
ような作動パラメータの実際の値と、格納された第2モデルを使用して決定することもで
きる。ここでも同様に、第2モデルは、マイクロリソグラフィ装置101に対して以前に
確立されたこの少なくとも1つの作動パラメータ(例えば、ウェーハテーブル105.2
と105.4についての速度または加速度)の関数としての、第2雰囲気における圧力変
動の行動のモデルであってよい。
【0090】
第2実施の形態
上記では、本発明は、最後のレンズ素子109の一部が、ウェーハ105.1の露光中
に、液浸媒体110.1に浸される例により記述されてきた。しかし、本発明は、液浸媒
体により少なくとも一時的には満たされる液浸ゾーン(最後のレンズ素子とウェーハの間
の液浸ゾーンに追加して、あるいはその代替としてのゾーン)が、光学素子グループの2
つの光学素子の間に位置している液浸システムの状況においても使用できるということは
理解されよう。そのような複数液浸システムまたは二重液浸システムは、例えば、その全
部の全体の開示は本明細書に参考文献として組み込まれている、WO2006/0802
12A1(特許文献6)、WO2004/019128A2(特許文献7)、WO200
6/051689A1(特許文献8)、WO2006/126522A1(特許文献9)
、WO2006/121008A1(特許文献10)および米国特許第7,180,57
2B1号(特許文献11)により知られている。
【0091】
このように、下記においては、そのような二重液浸システムを実践するマイクロリソグ
ラフィ装置101の第2の好適な実施の形態が、図7と8を参照して記述される。
【0092】
図7は、図2の図に対応する図において、マイクロリソグラフィ装置101の第2の実
施の形態において使用されるそのような二重液浸システムを模式的に示している。マイク
ロリソグラフィ装置101のこの第2の実施の形態は、その設計と機能において、図1
2の実施の形態に非常によく対応しているので、ここでは、上記に与えられた説明を主に
参照することにする。特に、同一の部品は同一の参照番号が与えられている。
【0093】
図2の実施の形態に関して、図7の実施の形態の違いの1つは、レンズ素子109がウ
ェーハ105.1と直に隣接しておらず、レンズ素子109とウェーハ105.1の間に位
置するレンズ素子509の形態の、更なる光学素子に隣接しているということである。第
1液浸ゾーン110は、レンズ素子109とレンズ素子509の間に位置しており、一方
、更なる第2液浸媒体510.1で満たされた更なる第2液浸ゾーン510は、更なるレ
ンズ素子509とウェーハ105.1の間に位置している。
【0094】
図2の実施の形態に関して、図7の実施の形態の二番目の違いは、削減装置115が更
に2つの同一調整装置519を備えていることである。調整装置519は、それぞれの液
浸フレーム110.2と510.2内に配置されて、(制御装置118の制御のもとで)そ
れぞれの液浸媒体110.1と510.1に作用する。
【0095】
第1液浸ゾーン110に位置する調整装置519を示している(例として)図8から分
かるように、調整装置519は、第1調整装置119と類似の方法で設計されている。調
整装置519は、液浸媒体110.1に接触し、その外周において液浸フレーム110.2
に密封して接続されているメンブレン519.1を備えている。メンブレン519.1は、
液浸媒体110.1を受け入れ、第2空間112の一部を形成している空間110.3の限
界を定めている。メンブレン519.1は、直線的に作用する作動装置519.2に接続さ
れており、この作動装置により、メンブレン519.1の曲率の方向と程度が、つまり、
液浸媒体110.1を受け入れる空間の体積が調整できる。
【0096】
図7と8に示される実施の形態において、メンブレン519.1は、十分に柔軟な金属
のシートにより構成されている。しかし、本発明の他の実施の形態では、柔軟他のメンブ
レンも、特に、例えば、起伏ある形状のような適切な形状を介して、他の手段により提供
されるということは理解されよう。更に、任意の他の適切な材質または材質の組み合わせ
も、メンブレンに対して使用できる。例えば、フッ素系ポリマー(例えば、Viton(R
)という商品名でDuPontから販売されているフッ素系ポリマー)のようなポリマー
材質をメンブレンに使用できる。
【0097】
第1の実施の形態の中で上記に概要を記したように、第4圧力捕捉装置124.1は、
第2空間112の第2圧力P2の変動、つまり圧力波の周波数と振幅を捕捉(十分な時間
的および空間的解像度で)し、そこに接続されている制御装置118に対応する信号を提
供する1つまたは2つ以上の適切な圧力センサを備えている。
【0098】
第4圧力捕捉装置124.1の信号から、そして最終的には(組み合わせて存在するな
らば)、第3圧力捕捉装置117.3の信号から(上述したように)、制御装置118は
、第2空間112内の、圧力P2の変動、つまり、第1圧力波の周波数と振幅を確立して
、そこから、調整装置519に対する、対応する第2制御信号を生成する。これらの制御
信号の関数として、調整装置519は空間110.3で受け入れた液浸媒体110.1にお
いて第2圧力波を生成する。制御装置118は、これらの制御信号を、調整装置519に
より生成された、液浸媒体110.1における第2圧力波が、干渉に起因する圧力波がよ
り小さな振幅を少なくとも有して干渉するように生成する。理想的なケースにおいては、
第1および第2圧力波は実質的にお互いを削除する。
【0099】
調整装置519を備える制御ループは、第1調整装置119を備えるループの1つに類
似する制御帯域幅を提供することは理解されよう。このように、反作用する周期性圧力擾
乱の場合は、数100Hzの制御帯域幅が必要であり、これは容易に達成される。反作用
する非周期性圧力擾乱の場合は、数kHzの制御帯域幅が最終的には必要にある。このよ
うに、必要であれば、メンブレン設計の調整装置519は、図4Bと4Cの状況において
上記に記載したように、ベローおよびピストンそれぞれを有する設計の1つを有する調整
装置と置き換えることができ、それはそのような増大した制御帯域幅を容易に達成する。
特に、液浸媒体110.1の非常に小さな圧縮率により、メンブレン519.1の非常に小
さな変位が、液浸媒体110.1内に相当大きな第2圧力波を生成するために要求される
。このように、メンブレン519.1の非常に小さなおよび小型設計が達成される。
【0100】
上記のことは、第2液浸ゾーン510に接触する調整装置519の設計および制御にも
当てはまる。制御装置118ももちろん、それぞれの調整装置519に対する制御信号を
生成するときは、調整装置519の動作、つまり、液浸媒体110.1と510.1それぞ
れに生成されたそれぞれの第2圧力波を考慮するということは理解されよう。当然のこと
ながら、ここでは再び、上記にその概要を記したように、モデルに基づく制御が制御装置
118により使用できる。
【0101】
液浸媒体110.1は、液浸媒体510.1と同一でも異なっていてもよい。任意の液浸
媒体が使用できる。そのような液浸媒体には、D2O、D2*、H2*のような重水また
は重酸素水があり、ここでO*は、同位元素O16、O17、およびO18を含む。これらの液
浸媒体は、それぞれの液浸ゾーン110と610において所望の屈折率を達成するために
、および/または2つの液浸媒体の屈折率間の所望の関係、および/または、光学素子1
09、709と、液浸媒体110.1、710.1の1つまたはその両者の屈折率間の所望
の関係を達成するために、任意の比で混合できる。そのような混合に対する屈折率の対応
する例と値は、それぞれの全体の開示は、本明細書に参考文献として組み込まれている、
米国特許公開第2006/092533A1(特許文献12)、米国特許公開第2006
/066926A1(特許文献13)、および国際出願公開WO2005/106589
A1(特許文献14)で与えられる。
【0102】
上記において、それぞれの調整装置119、122、124、519の1つの単一の実
施の形態の例を記述した。しかし、本発明の他の実施の形態では、それぞれの調整装置の
複数の実施の形態が提供されることは理解されよう。特に、それぞれの調整装置の実施の
形態は、接続されている光学素子の周囲において分布(好ましくは均一に分布)できる。
例えば、複数の調整装置119を、図2のレンズ素子109の周囲に均一に分布できる。
【0103】
上記において、本発明は、第1および第2雰囲気が、露光される基板に直に隣接する、
いわゆる最後の光学素子または最終素子に接触する場合の例により記述されてきた。しか
し、本発明はまた、露光に使用される光学素子グループ内に位置する任意の光学素子にお
いても使用できることは理解されよう。
【0104】
上記において、本発明は、光学素子グループが屈折光学素子のみから構成される例によ
り記述されてきた。しかし、本発明は、特に、異なる波長で撮像処理を行う場合は、屈折
、反射または回折光学素子を単独に、または任意の組み合わせを備える光学素子グループ
と共に当然使用できることをここに記すべきであろう。
【0105】
更に、上記において、本発明は、マイクロリソグラフィの領域における例により記述さ
れてきたということを記しておくべきであろう。しかし、本発明はまた、任意の他のアプ
リケーションおよび撮像処理それぞれにおいても使用できることは理解されよう。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8