(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6306579
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】棒状体結束装置、棒状体結束体及び棒状体結束方法
(51)【国際特許分類】
B65B 13/22 20060101AFI20180326BHJP
B65B 19/34 20060101ALI20180326BHJP
B65B 27/10 20060101ALI20180326BHJP
B65B 13/18 20060101ALI20180326BHJP
B65B 13/12 20060101ALI20180326BHJP
B65H 23/188 20060101ALI20180326BHJP
【FI】
B65B13/22 A
B65B19/34
B65B27/10 C
B65B13/18 A
B65B13/12
B65H23/188
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-519722(P2015-519722)
(86)(22)【出願日】2014年4月2日
(86)【国際出願番号】JP2014059719
(87)【国際公開番号】WO2014192409
(87)【国際公開日】20141204
【審査請求日】2016年8月30日
(31)【優先権主張番号】特願2013-112750(P2013-112750)
(32)【優先日】2013年5月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000226998
【氏名又は名称】株式会社日清製粉グループ本社
(74)【代理人】
【識別番号】100112427
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 芳洋
(72)【発明者】
【氏名】野村 光生
(72)【発明者】
【氏名】藤井 経介
【審査官】
吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−035307(JP,A)
【文献】
実開昭62−200508(JP,U)
【文献】
特開2012−240728(JP,A)
【文献】
特開昭58−193215(JP,A)
【文献】
実開昭52−070693(JP,U)
【文献】
特開平04−185327(JP,A)
【文献】
特開2005−255359(JP,A)
【文献】
特開平11−011793(JP,A)
【文献】
特開平07−042549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 13/22
B65B 13/12
B65B 13/18
B65B 19/34
B65B 27/10
B65H 23/188
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結束用テープの一方の端部を棒状体に巻き付けることにより前記棒状体を結束する結束部と、
前記結束用テープによる前記棒状体の結束時に、前記結束用テープの供給を停止するストッパーと、
前記結束部により前記棒状体の結束を開始してから前記棒状体に前記結束用テープを複数周巻き付けることにより前記棒状体の結束を終了するまでの間、前記ストッパーと前記結束部との間の前記結束用テープに対して前記結束用テープが伸びた状態で一定の張力を掛け続ける張力調整部と、
を備えることを特徴とする棒状体結束装置。
【請求項2】
前記張力調整部は、
前記ストッパーと前記結束部との間に配置され前記結束用テープをガイドする動滑車と、
前記結束用テープに張力が掛かる方向の力を前記動滑車に対して作用させるシリンダと、
前記結束用テープが所定の張力となるように前記シリンダに供給する空気圧を制御する張力制御部と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の棒状体結束装置。
【請求項3】
前記結束用テープの張力を検出する張力検出部と、
前記張力検出部による検出結果に基づいて前記張力調整部により前記結束用テープに掛ける張力を調整する張力制御部と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の棒状体結束装置。
【請求項4】
前記張力調整部は、
前記ストッパーと前記結束部との間に配置され前記結束用テープをガイドする動滑車と、
前記結束用テープに張力が掛かる方向の力を前記動滑車に対して作用させるシリンダとを備え、
前記張力制御部は、
前記張力検出部による検出結果に基づいて前記シリンダに供給する空気圧を制御することを特徴とする請求項3記載の棒状体結束装置。
【請求項5】
前記張力調整部は、
前記ストッパーと前記結束部との間に配置され前記結束部方向に進行する前記結束用テープに対して張力を付与する張力付与機構と、
前記結束用テープに対し所定の張力がかかるように前記張力付与機構を制御する張力制御部と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の棒状体結束装置。
【請求項6】
前記張力調整部は、
前記ストッパーと前記結束部との間に配置され前記結束部方向に進行する前記結束用テープに対して張力を付与する張力付与機構を備え、
前記張力制御部は、
前記張力検出部による検出結果に基づいて前記結束用テープに対し所定の張力がかかるように前記張力付与機構を制御することを特徴とする請求項3記載の棒状体結束装置。
【請求項7】
前記棒状体は、乾燥麺であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の棒状体結束装置。
【請求項8】
前記乾燥麺は、パスタであることを特徴とする請求項7記載の棒状体結束装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の棒状体結束装置で結束されたことを特徴とする棒状体結束体。
【請求項10】
結束部において結束用テープの一方の端部を棒状体に巻き付けることにより前記棒状体を結束する棒状体結束方法であって、
結束用テープ供給部から前記結束部に対して前記結束用テープを供給する結束用テープ供給工程と、
前記結束部において前記結束用テープにより前記棒状体を結束する棒状体結束工程と、
を有し、
前記棒状体結束工程において、前記結束用テープの供給をストッパーにより停止するとともに、前記結束部により前記棒状体の結束を開始してから前記棒状体に前記結束用テープを複数周巻き付けることにより前記棒状体の結束を終了するまでの間、前記ストッパーと前記結束部との間の前記結束用テープに対して、張力調整部により前記結束用テープが伸びた状態で一定の張力を付与することを特徴とする棒状体結束方法。
【請求項11】
前記棒状体結束工程においては、前記ストッパーと前記結束部との間の前記結束用テープの張力を張力検出部により検出する張力検出工程を有し、前記張力検出工程における検出結果に基づいて、前記張力調整部により付与される前記一定の張力を調整することを特徴とする請求項10記載の棒状体結束方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥麺などの棒状体を結束用テープで結束する棒状体結束装置、棒状体結束装置により結束された棒状体結束体及び棒状体結束装置により棒状体を結束する棒状体結束方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
日本古来から食されている素麺、冷麦等の乾麺は通常紙製の帯により結束された状態で販売されている。これらの乾麺はパスタに比べ、乾麺表面がザラザラしており麺同士の摩擦抵抗が大きい。一般に紙のような弾性に乏しい結束用テープを用いた場合、結束時の張力により伸びが生じず、結果として結束終了時に結束用テープが縮まないため、麺同士の間隙が小さくならないが、素麺、冷麦等の表面がザラザラした乾麺では摩擦抵抗によって結束テープが縮まなくても結束を維持することができる。一方、パスタにおいては、表面がツルツルしており麺同士の摩擦抵抗が小さいため、弾性に乏しい結束用テープを用いた場合にはパスタの結束を維持できない場合があった。
【0003】
そのため、弾性のある結束用テープをパスタに巻き付けることによりパスタを結束する専用の結束装置が存在する(例えば、特許文献1参照)。このような結束装置を用いて結束された結束パスタの結束具合(フィット感)は、結束装置の張力調整機構における結束用テープへの張力の掛け方で決定される。従来の結束装置の張力調整機構は、ダンサロールと、ダンサロールに対して支点反対側に設置された錘とを備えており、錘の位置を調整することによって巻き付け動作中に結束用テープへ掛かる張力を調整している。ここで結束パスタの結束には結束用テープの弾性を利用しており、結束用テープに一定範囲内の張力を加えて伸びを生じさせた状態で結束を行い、結束終了時に結束用テープを元の状態に戻すことで、結束用テープが縮んでしっかりとした結束具合となる。
【0004】
以下、
図9を参照し、従来の結束装置について、パスタ結束装置を例にして詳細に説明する。
図9は、従来のパスタ結束装置100における結束用テープ供給部から結束部までの構成を示す概略図である。結束用テープ10は、供給ローラ(駆動)160と供給ローラ(滑り止め)162に挟まれており、供給ローラ(駆動)160の動きに従って、結束用テープリール152から供給され、動滑車116を経てガイドロール(112a、
112b)で、適宜方向を変更され結束部21に送られる。供給ローラ(駆動)160の動作は、結束ごとに運転と停止を繰り返し、特に、テンションが必要なときは停止するように制御されている。
【0005】
このとき、動滑車116は支点154を支点とするてこ156によって支えられており、動滑車116からみて支点154の反対側には、位置を自由に設定できる錘158が設置されている。てこ156は滑らかに動くように設置されており、矢印bのように自由に動くことが出来る。この動滑車116と錘158の関係は、通常てこ156が動滑車116側に傾くような関係のバランスになっており、動滑車116に下向きに作用する力の大きさを錘158を矢印aの方向に動かし決定することが出来る。錘158を支点154から離す向きに移動させると、動滑車116に下向きに作用する力が減少するような調整を行うことができる。
【0006】
従来のパスタ結束装置100を用いた場合においては、オペレータは、結束用テープ10の張力が不足(余剰)であると判断した場合、パスタ結束装置100を停止させ錘の位置を支点154に近づける(遠ざける)方向に移動させ固定した後、パスタ結束装置100を再起動する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−35307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の結束装置では張力調整機構から結束部までの間の距離が長く、結束用テープの伸び代が大きいため、結束用テープに掛ける張力の適正な調整が困難であった。また、結束用テープの張力を確認(計測)する手段がなく、自ずと基準も定まっていなかったため、オペレータ毎に最適と感じる結束具合が大きく異なることがあった。この場合、結束具合にゆるい傾向が生じていると、後段機器での不具合に繋がり易かった。また、張力調整機構から結束部までの距離が離れていることから、結束用テープに掛ける張力の調整の効果が結束具合に反映され難いこと、および結束用テープに掛ける張力の調整時に結束装置の停止が必要であり、稼働率が低下するといった問題も生じていた。
【0009】
本発明の目的は、棒状体を結束する結束用テープに対して最適な張力を掛け続けることができる棒状体結束装置、棒状体結束装置により結束された棒状体結束体及び棒状体結束装置により棒状体を結束する棒状体結束方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の棒状体結束装置は、結束用テープの一方の端部を棒状体に巻き付けることにより前記棒状体を結束する結束部と、前記結束用テープによる前記棒状体の結束時に、前記結束用テープの供給を停止するストッパーと、
前記結束部により前記棒状体の結束を開始してから前記棒状体に前記結束用テープを複数周巻き付けることにより前記棒状体の結束を終了するまでの間、前記ストッパーと前記結束部との間の前記結束用テープに対して
前記結束用テープが伸びた状態で一定の張力を掛け続ける張力調整部を備えることを特徴とする。
【0011】
また本発明の棒状体結束装置は、前記張力調整部が前記ストッパーと前記結束部との間に配置され前記結束用テープをガイドする動滑車と、前記結束用テープに張力が掛かる方向の力を前記動滑車に対して作用させるシリンダと、前記結束用テープが所定の張力となるように前記シリンダに供給する空気圧を制御する張力制御部とを備えることを特徴とする。
【0012】
また本発明の棒状体結束装置は、前記結束用テープの張力を検出する張力検出部と、前記張力検出部による検出結果に基づいて前記張力調整部により前記結束用テープに掛ける張力を調整する張力制御部とを備えることを特徴とする。
【0013】
また本発明の棒状体結束装置は、前記張力調整部が前記ストッパーと前記結束部との間に配置され前記結束用テープをガイドする動滑車と、前記結束用テープに張力が掛かる方向の力を前記動滑車に対して作用させるシリンダとを備え、前記張力制御部が前記張力検出部による検出結果に基づいて前記シリンダに供給する空気圧を制御することを特徴とする。
【0014】
また本発明の棒状体結束装置は、前記張力調整部は、前記ストッパーと前記結束部との間に配置され前記結束部方向に進行する前記結束用テープに対して張力を付与する張力付与機構と、前記結束用テープに対し所定の張力がかかるように前記張力付与機構を制御する張力制御部と、を備えることを特徴とする。
【0016】
また本発明の棒状体結束装置は、前記張力調整部は、前記ストッパーと前記結束部との間に配置され前記結束部方向に進行する前記結束用テープに対して張力を付与する張力付与機構を備え、前記張力制御部は、前記張力検出部による検出結果に基づいて前記結束用テープに対し所定の張力がかかるように前記張力付与機構を制御することを特徴とする。
【0017】
また本発明の棒状体結束装置は、前記棒状体が乾燥麺であることを特徴とする。
【0018】
また本発明の棒状体結束装置は、前記乾燥麺がパスタであることを特徴とする。
【0019】
また本発明の棒状体結束体は、本発明の棒状体結束装置で結束されたことを特徴とする。
【0020】
また本発明における棒状体結束方法は、結束用テープ供給部から前記結束部に対して前記結束用テープを供給する結束用テープ供給工程と、前記結束部において前記結束用テープにより前記棒状体を結束する棒状体結束工程と、を有し、前記棒状体結束工程において、前記結束用テープの供給をストッパーにより停止するとともに、
前記結束部により前記棒状体の結束を開始してから前記棒状体に前記結束用テープを複数周巻き付けることにより前記棒状体の結束を終了するまでの間、前記ストッパーと前記結束部との間の前記結束用テープに対して、張力調整部により
前記結束用テープが伸びた状態で一定の張力を付与することを特徴とする。
【0021】
また本発明における
棒状体結束方法は、前記棒状体結束工程においては、前記ストッパーと前記結束部との間の前記結束用テープの張力を張力検出部により検出する張力検出工程を有し、前記張力検出工程における検出結果に基づいて、前記張力調整部により付与される前記一定の張力を調整することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、棒状体を結束する結束用テープに対して最適な張力を掛け続けることができる棒状体結束装置及び棒状体結束装置により結束された棒状体結束体を提供し、またその方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】第1の実施の形態に係るパスタ結束装置のストッパーから結束部までの構成を示す概略図である。
【
図2】第2の実施の形態に係るパスタ結束装置のストッパーから結束部までの構成を示す概略図である。
【
図3】第3の実施の形態に係るパスタ結束装置のストッパーから結束部までの構成を示す概略図である。
【
図4】第4の実施の形態に係るパスタ結束装置のストッパーから結束部までの構成を示す概略図である。
【
図5】従来のパスタ結束装置における結束動作時の結束用テープの張力を示す図である。
【
図6】本発明のパスタ結束装置における結束動作時の結束用テープの張力を示す図である。
【
図7】本発明のパスタ結束装置で結束を行った結束パスタの結束具合を示す図である。
【
図8】計測した結束用テープの張力の面積値とシリンダ圧力の関係を示す図である。
【
図9】従来のパスタ結束装置における結束用テープ供給部から結束部までの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態に係る棒状体結束装置であるパスタ結束装
置について説明する。
図1は第1の実施の形態に係るパスタ結束装置2のストッパー14から結束部21までの構成を示す概略図である。送り出しロール(図示せず)から送り出された樹脂製の結束用テープ10は、水平方向に送られガイドロール12により進行方向が下方向に変更される。下方向に送られる結束用テープ10は、ストッパー14を介して動滑車16に送られ、動滑車16により進行方向が上方向に変更され、更にガイドロール18により進行方向が水平方向に変更されパスタ20の結束を行う結束部21に送られる。
【0025】
結束部21は、円形の開口部を有しパスタが位置決めされる回転ガイド部21aと、回転ガイド部21aに設けられているテープ挟持部21bと、結束用テープ10を溶着及び溶断する溶着・溶断部21cと、回転ガイド部21aの近傍に設けられているテープ押さえ部21dとを備えている。
【0026】
動滑車16には、低摩擦シリンダ22が連結されている。低摩擦シリンダ22には、電空レギュレータ23が接続され、制御部24において設定された設定圧力に対応する圧力制御信号を制御部24から受信して、コンプレッサ26から供給される気体の圧力が設定圧力と等しくなるように圧力制御を実行する。ここで設定圧力は入力部28を介してユーザが設定することもできる。また制御部24は、ストッパー14及び結束部21の制御を行う。なお、この実施の形態においては、動滑車16、低摩擦シリンダ22、電空レギュレータ23及び制御部24が張力調整部を構成する。
【0027】
この実施の形態に係るパスタ結束装置2においては、パスタ20が貯留されるホッパー(図示せず)が結束部21上に設けられており、ホッパーから供給されたパスタ20が計量装置(図示せず)により計量され所定量のパスタ20が結束部21に落下する。そして所定量のパスタ20が結束部21の回転ガイド部21a内に位置決めされる。また結束用テープ10の先端部がテープ挟持部21bにより挟持され、テープ押さえ部21dによる結束用テープ10の押えが解除されると共に、ストッパー14により結束用テープ10が押えられ結束用テープ10の結束部21方向への供給が停止される。この状態で回転ガイド部21aが2回転しパスタ20の先端部に結束用テープ10を2周巻き付ける。
【0028】
ここで結束部21によりパスタ20の結束を開始してから結束が終了するまでの間、電空レギュレータ23によりコンプレッサ26から低摩擦シリンダ22に供給される気体の圧力が設定された圧力となるように制御されるため、動滑車16は所定の下方向の力を受け続ける。したがって、ストッパー14から結束部21までの間の結束用テープ10には、パスタ20の結束開始から結束終了までの間、張力調整部により所定の張力が掛け続けられる。なお、電空レギュレータ23によりコンプレッサ26から低摩擦シリンダ22に供給される気体の圧力と結束用テープ10に掛かる張力との関係は、パスタ20の結束具合が最適な状態となるように予め求められた値が用いられる。
【0029】
そしてテープ押さえ部21dにより結束用テープ10を押え、溶着・溶断部21cにより結束用テープ10を溶着すると共に溶断する。これにより1回のパスタ20の結束が終了する。ここでパスタ20を結束した結束用テープ10には、パスタ20を結束する際に所定の張力が掛けられ、結束用テープ10が伸びた状態でパスタ20の結束が行われる。そして結束後、結束用テープ10が溶断されることにより結束用テープ10が縮む。これにより、表面が滑らかなパスタ20を良好に結束することができる。その後ストッパー14による結束用テープ10の押えを解除し、1回の結束に用いる結束用テープ10を張力調整部側に供給する。この動作を繰り返すことにより連続してパスタ20の結束を行う。
【0030】
この第1の実施の形態に係るパスタ結束装置2おいては、張力調整部と結束部21を近接させ結束用テープ10の伸び代を小さくしたことにより、結束用テープ10の張力を最適にコントロールすることができる。また動滑車16に連結した低摩擦シリンダ22への供給圧力を電空レギュレータ23によって任意に調整することで、結束用テープ10に掛ける張力を任意に調整することができる。またパスタ結束装置2においては、結束用テープ10に掛ける張力の調整を、パスタ結束装置2を停止させることなく行うことができることから、結束結果を見ながら調整を行なうことができるため調整が容易であり、またパスタ結束装置2の稼働率の低下を防止することができる。
【0031】
次に、
図2を参照して、第2の実施の形態に係るパスタ結束装置4の説明を行う。この第2の実施の形態に係るパスタ結束装置4は、第1の実施の形態に係るパスタ結束装置2に、結束用テープ10の張力を検出する張力検出部30を追加し、張力検出部30の検出結果に基づいて、結束用テープ10に掛ける張力を調整するものである。したがって、第2の実施の形態の説明においては、第1の実施の形態に係るパスタ結束装置2の構成と同一の構成に、第1の実施の形態で用いたのと同一の符号を用いる。また第1の実施の形態に係るパスタ結束装置2と同一の部分の説明は省略し異なる部分について詳細に説明する。
【0032】
第2の実施の形態に係るパスタ結束装置4は、ガイドロール18と結束部21との間に結束用テープ10の張力を検出する張力検出部30を備えている。張力検出部30で検出された結束用テープ10の張力は、制御部24に入力される。したがって、パスタ結束装置4においては、パスタ20の結束開始から結束終了までの間、制御部24は張力検出部30で検出された張力が設定された張力と等しいか否かを判別し、異なっている場合には、電空レギュレータ23を制御して、結束用テープ10に掛かる張力が設定された張力と等しくなるように調整する。
【0033】
この第2の実施の形態に係るパスタ結束装置4おいては、パスタ20の結束開始から結束終了までの間、張力検出部30で検出された張力を用いてフィードバック制御を行って、結束用テープ10に掛かる張力が設定された張力と等しくなるように調整することができる。したがって表面が滑らかなパスタ20を良好に結束することができる。
【0034】
次に、
図3を参照して、第3の実施の形態に係るパスタ結束装置6の説明を行う。この第3の実施の形態に係るパスタ結束装置6は、第1の実施の形態に係るパスタ結束装置2の張力調整部を速度制御機構を用いた張力調整部に変更したものである。したがって、第3の実施の形態の説明においては、第1の実施の形態に係るパスタ結束装置2の構成と同一の構成に、第1の実施の形態で用いたのと同一の符号を用いる。また第1の実施の形態に係るパスタ結束装置2と同一の部分の説明は省略し異なる部分について詳細に説明する。
【0035】
この第3の実施の形態に係るパスタ結束装置6は、ストッパー14と結束部21との間に、結束部21方向に進行する結束用テープ10の張力を制御する張力付与機構40を備えている。ここで張力付与機構40は、ブレーキロール、またはガイドロールの回転、トルクをサーボモータで制御する機構によって構成されている。張力付与機構40は、制御部24による制御に基づき結束用テープ10に常に予め定められた略一定の張力がかかるように制御する。したがって、パスタ20の結束開始から結束終了までの間、制御部24は、結束用テープ10の張力が制御部24において設定された張力になるように張力付与機構40を制御して、結束用テープ10に所定の張力を掛け続けることができ、表面が滑らかなパスタ20を良好に結束することができる。
【0036】
次に、
図4を参照して、第4の実施の形態に係るパスタ結束装置8の説明を行う。この第4の実施の形態に係るパスタ結束装置8は、第3の実施の形態に係るパスタ結束装置6に、結束用テープ10の張力を検出する張力検出部30を追加し、張力検出部30の検出結果に基づいて、結束用テープ10に掛ける張力を調整するものである。したがって、第4の実施の形態の説明においては、第3の実施の形態に係るパスタ結束装置6の構成と同一の構成に、第3の実施の形態で用いたのと同一の符号を用いる。また第3の実施の形態に係るパスタ結束装置6と同一の部分の説明は省略し異なる部分について詳細に説明する。
【0037】
第4の実施の形態に係るパスタ結束装置8は、ストッパー14と結束部21との間に結束用テープ10の張力を検出する張力検出部30を備えている。張力検出部30で検出された結束用テープ10の張力は、制御部24に入力される。したがって、パスタ結束装置8においては、パスタ20の結束開始から結束終了までの間、制御部24は張力検出部30で検出された張力が設定された張力と等しいか否かを判別し、異なっている場合には、張力付与機構40を制御して、結束用テープ10に掛かる張力が設定された張力と等しくなるように調整する。
【0038】
この第4の実施の形態に係るパスタ結束装置8おいては、パスタ20の結束開始から結束終了までの間、張力検出部30で検出された張力を用いてフィードバック制御を行って、結束用テープ10に掛かる張力が設定された張力と等しくなるように調整することができる。したがって表面が滑らかなパスタ20を良好に結束することができる。
【0039】
図5に従来のパスタ結束装置における結束動作時の結束用テープの張力を示し、
図6に本発明のパスタ結束装置における結束動作時の結束用テープの張力を示す。
図5における凡例中に記載の力は、動滑車116に下向きかかる力の測定値である。
図6における凡例中に記載の圧力は、電空レギュレータ23によって、低摩擦シリンダ22に供給した空気圧であり、それぞれの下向きにかかる力の測定値を併記した。従来のパスタ結束装置では、結束テープの張力を変更するための錘の調整幅を最大に振っても、結束用テープの張力の変化は小さくなっている。また、実際の結束パスタの仕上がりに関しても結束用テープの結束具合を顕著に制御できていない状況であった。これに対して、本発明のパスタ結束装置では、張力調整機構を結束部に近接させたため、結束用テープの張力絶対値が上昇しただけでなく、調整条件毎の張力変化を大きくすることができた。
【0040】
図7に、この発明のパスタ結束装置で結束を行った結束パスタの結束具合を示す。低摩擦シリンダのシリンダ圧力、結束用テープの結束時の張力、および結束パスタの結束具合に関して、以下の相関関係を確認した。
(i) シリンダ圧力が低い場合:張力低い,結束具合ゆるい
(ii)シリンダ圧力が高い場合:張力高い,結束具合きつい
以上より、従来からの課題であった、結束パスタの結束具合の見える化を達成することができた。
【0041】
図8に、計測した結束用テープの張力の面積値とシリンダ圧力との関係を示す。張力面積値は、
図6における200〜700[msec]の面積を算出している。図中の網掛け部は、実際に結束品を全数チェックして、最適結束具合であることを確認しており、結束時の張力を確認する事で、結束具合の善し悪しを判断できることがわかった。以上より、張力値を利用することで、結束具合を判断し、さらにズレが生じている場合には、フィードバック制御が可能であることを確認した。
【0042】
なお、上述の実施の形態においては、棒状体結束装置としてパスタを結束する結束装置を例にして説明したが、素麺、うどん等の乾麺を結束する結束装置に本発明を適応することも可能である。