(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の受光素子を有し、それぞれ第1の受光帯域に対応する複数の第1のサブピクセルと、複数の他の受光素子を有し、それぞれ第2の受光帯域に対応する複数の第2のサブピクセルとを備え、前記複数の第1のサブピクセルおよび前記複数の第2のサブピクセルで画素を形成している請求項1から8のいずれか一項に記載の半導体装置。
前記画素を形成する前記複数の第1のサブピクセルおよび前記複数の第2のサブピクセルにおいて、前記複数の受光素子と前記複数の他の受光素子は、互いに同じ高さ位置に配置されている請求項9に記載の半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明する。下記の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0010】
図1は、積層半導体装置400の一部をなす受光基板100の断面図である。受光基板100は、支持基板110、半導体ウェル130および多層配線層150を備える。
【0011】
支持基板110は、受光基板100の製造プロセスに耐える機械的強度を担う厚さを有する。支持基板110の一面には、絶縁層120を介して半導体ウェル130が配される。半導体ウェル130には、支持基板110の面方向に配列された複数のフォトダイオード132が配される。また、半導体ウェル130には、隣接して形成されたゲート電極140等により複数の電界効果トランジスタが形成される。
【0012】
多層配線層150は、半導体ウェル130の表面に交互に積層された層間絶縁材152および配線材154により形成される。配線材154としては、チタン、タングステン等の金属材料を使用できる。層間絶縁材152は、珪素酸化物等により形成できる。
【0013】
フォトダイオード132および電界効果トランジスタは、多層配線層150により相互に接続されて受光回路111を形成する。多層配線層150における配線材154の一端は、支持基板110と反対側の一面において外部に露出した接続パッド160に電気的に接続される。
【0014】
受光回路111においては、フォトダイオード132の各々が画素に対応し、電界効果トランジスタが画素毎にリセット、選択および増幅を担う。フォトダイオード132が入射光を受けて蓄積した電荷は、電界効果トランジスタによるソースフォロワを通じて電圧信号として接続パッド160から外部に出力される。
【0015】
図2は、積層半導体装置400の一部をなす処理基板200の断面図である。処理基板200は、支持基板210、半導体ウェル230および多層配線層250を備える。
【0016】
支持基板210は、処理基板200の製造プロセスに耐える機械的強度を担う厚さを有する。支持基板210の一面には、半導体ウェル230が配される。半導体ウェル230には、半導体ウェル230に隣接して形成されたゲート電極240等により複数の電界効果トランジスタが作り込まれている。
【0017】
多層配線層250は、半導体ウェル230の表面に交互に積層された層間絶縁材252および配線材254により形成される。複数の電界効果トランジスタは、多層配線層250により相互に接続されて処理回路211を形成する。
【0018】
また、多層配線層250における配線材254の一端は、支持基板210と反対側の一面において外部に露出した接続パッド260に電気的に接続される。処理基板200の接続パッド260は、受光基板100と積層された場合に、受光基板100の接続パッド160に接続される。これにより、処理回路211が、受光基板100の受光回路111の出力信号を処理する。処理回路211においては、アナログ/デジタル変換、ノイズ抑圧、ファイル生成等の処理が実行される。
【0019】
更に、処理基板200は、支持基板210に嵌入した貫通電極256を有する。貫通電極256の一端は、多層配線層250の配線材254に電気的に接続される。貫通電極256の他端は、図示の段階では、支持基板210の内部に埋没している。
【0020】
図3は、イメージセンサとして用い得る積層半導体装置400を製造する過程で形成される積層基板300の断面図である。積層基板300において、受光基板100は、
図1に示した状態に対して表裏が反転されて処理基板200に積層される。積層基板300においては、受光基板100の接続パッド160と、処理基板200の接続パッド260とが互いに当接して電気的に接続される。
【0021】
受光基板100および処理基板200を積層する場合は、それぞれの基板において予め定めた数箇所の位置合わせ指標の位置ずれに基づいて、受光基板100および処理基板200が位置合わせされる。位置合わせにおいては、例えば、全体の位置ずれが最小になる位置を算出するグローバルアライメント法により、積層基板300の歩留りを向上させることができる。更に、位置合わせ指標の位置に基づいて、オフセット補正、回転補正、直交度補正、スケーリング補正等を加えて、位置合わせ精度をより向上させることもできる。
【0022】
位置合わせの指標としては、接続パッド160、260そのものを利用してもよいし、受光基板100および処理基板200に形成された配線、基板等を利用してもよい。更に、位置合わせに利用する目的で受光基板100および処理基板200に設けたアライメントマークを利用してもよい。
【0023】
図4は、積層基板300を更に加工して作製された積層半導体装置400の断面図である。積層半導体装置400において、処理基板200の支持基板210は薄化され、図中下面に露出した貫通電極256の下端に、バンプ220が設けられる。これにより、積層半導体装置400は、他の基板、リードフレーム等に電気的に接続できる。
【0024】
また、積層半導体装置400において、受光基板100の支持基板110は除去され、露出した絶縁層120に、遮光層170、平坦化層172、有機平坦化層174、182、オンチップカラーフィルタ180およびオンチップレンズ190等が順次積層される。
【0025】
これにより、受光基板100のフォトダイオード132は、オンチップレンズ190およびオンチップカラーフィルタ180を通じて入射した光を、多層配線層150を通すことなく受光する。このように、積層半導体装置400は、裏面照射型イメージセンサを形成する。
【0026】
積層半導体装置400において、受光基板100および処理基板200は、接続パッド160、260を通じて電気的に結合されている。よって、受光基板100においてフォトダイオード132への入射光により発生した電荷は、電圧信号として処理基板200側の処理回路211に受け渡され、更に、デジタル変換等の処理を経て、バンプ220から外部に出力される。
【0027】
なお、受光基板100および処理基板200のそれぞれは、
図1または
図2に示した構造をそれぞれの面方向に繰り返し有する。よって、受光基板100および処理基板200を積層することにより、多数の積層半導体装置400が一括して製造される。
【0028】
よって、積層基板300は、ダイシングにより切り分けられて多数のダイとなる。こうして得られたダイのそれぞれは、受光基板100および処理基板200を積層して製造したことにより、高い歩留りと高い集積密度とを有する。
【0029】
図5から
図8は、積層基板300の製造過程の一部を、受光基板100および処理基板200の接合段階に注目して詳細に示す模式的断面図である。図中においては、受光基板100および処理基板200を単純化して、絶縁物である層間絶縁材152、252と導体である接続パッド160、260とにより示している。
【0030】
図5に示すように、積層基板300の製造過程においては、受光基板100において層間絶縁材152の中に接続パッド160が露出した表面158と、処理基板200において層間絶縁材252の中に接続パッド260が露出した表面258とが接合される。続いて説明するように、受光基板100および処理基板200の接合においては、まず層間絶縁材152、252が相互に接合され、続いて接続パッド160、260が相互に接合される。
【0031】
受光基板100および処理基板200の接合においては、まず、
図6に示すように、受光基板100および処理基板200の表面を平滑化して、層間絶縁材152、252の表面に、接合面159、259を形成する。接合面159、259は、研磨によっても平滑化できるが、研磨に先立ってエッチングを併用してもよい。接合面159、259は、それぞれ1nm未満まで平滑化することが好ましい。平滑化された受光基板100および処理基板200は、研磨に伴って生じた残留物を洗浄により除去した後乾燥される。
【0032】
なお、接合面159、259を研磨する場合、接合面159、259を形成する層間絶縁材152、252と、接続パッド160、260を形成する金属等との物性の相違により、接続パッド160、260の研磨量が、層間絶縁材152、252よりも多くなる。このため、研磨後は、接続パッド160、260の先端面が、接合面159、259の表面よりも、層間絶縁材152、252の内部に沈み込んでいる。
【0033】
また、金属製の接続パッド160、260は、研磨される場合の圧力により不可避に弾性変形する。このため、研磨後の接続パッド160、260の先端表面は平坦ではなく、中央が窪んだ形状になる。
【0034】
次に、受光基板100および処理基板200の接合面159、259を活性化処理する。接合面159、259は、例えば、反応性イオンエッチング、誘導結合プラズマ等により接合面159、259の表面を処理して活性化できる。更に、活性化処理された接合面159、259を、NH
4OH、NH
4F、HF等の溶液に短時間浸漬する処理をしてもよい。
【0035】
こうして、絶縁体である層間絶縁材152、252の表面に形成された接合面159、259を活性化された受光基板100および処理基板200は、対向して接近させることにより、
図7に示すように、自ずから吸着して接合され、積層基板300を形成する。更に、受光基板100および処理基板200が相互に吸着した状態で24時間程度静置することにより、受光基板100および処理基板200の接合強度は、支持基板110、210の化学機械研磨等の処理に耐え得るものとなる。
【0036】
なお、
図7に示した段階では、接合面159、259から沈み込んだ接続パッド160、260の間には間隙が残る。また、既に説明した通り、接続パッド160、260の先端表面は中央が窪んだ形状を有するので、接続パッド160、260相互の間隙は、中央においてより広い。このため、受光基板100と処理基板200との間に、十分な電気的接続はまだ形成されていない。
【0037】
次に、積層基板300をリフロー処理することにより、
図8に示すように、接続パッド160、260が一体化されて、接続部360が形成される。接続パッド160、260を、インジウム、錫−銀合金のように低温で溶融する材料で形成することにより、200度以下の低い温度で積層基板300をリフロー処理できる。こうして形成された接続部360は、受光基板100および処理基板200の間で、これら基板の厚さ方向に電気的接続を形成する。
【0038】
接続部360が形成されてリフロー処理が完了すると、積層基板300は自然に冷却されて室温に戻る。金属により形成された接続部360と、絶縁物により形成された層間絶縁材152との間には熱膨張率に差がある。このため、冷却の過程で、接続部360がより大きく収縮し、積層基板300に熱応力が作用する。
【0039】
図中に誇張して描かれた陥没部155の形状が示すように、基板の熱応力は、接続部360が存在する位置において最も大きい。また、接続部360は、積層基板300の面方向について一定の間隔で複数配置されているので、積層基板300に作用する熱応力も、積層基板300の面方向に周期的に分布する。
【0040】
更に、
図4に示したように、積層基板300を用いて形成された積層半導体装置400において、受光基板100側では支持基板210が取り除かれているが、処理基板200側では支持基板210の一部が残されている。このため、接続部360において生じた応力は、受光基板100においてより強く影響する。このため、受光基板100には、接続部360の配置に応じた周期的な光学特性の分布が生じる。
【0041】
また、半導体に応力が作用した場合、抵抗値等の電気的特性が変化する。このため、接続部360により受光基板100に生じた応力が作用した場合、フォトダイオード132、電界効果トランジスタ等の半導体素子の特性も変化する。
【0042】
図9は、積層半導体装置400の模式的断面図であり、接続部360、フォトダイオード132およびゲート電極140の相対位置に着目して描かれている。なお、図面を簡潔にする目的で、配線層等の一部の断面は簡略化されている。
【0043】
積層半導体装置400においては、積層半導体装置400の面方向についてフォトダイオード132の各々と同じ位置に、換言すれば、積層半導体装置400の厚さ方向についてフォトダイオード132と重なる位置に、接続部360がそれぞれ配されている。これは、
図1に示した受光基板100を製造する場合に、支持基板110の面方向について、フォトダイオード132と同じ位置に接続パッド160を形成したことを意味する。
【0044】
このような配置により、接続部360において生じた熱応力がフォトダイオード132を含む受光基板100全体に作用して、
図8に示した陥没部155が生じた場合であっても、それにより生じた受光基板100の光学特性の変動は各フォトダイオード132に対して等しく作用する。よって、積層半導体装置400においては、熱応力に起因するフォトダイオード132の特性のばらつきが抑制される。
【0045】
更に、受光基板100においては、フォトダイオード132の各々に隣接して配置されたゲート電極140を含む電界効果トランジスタ等の半導体素子のそれぞれも、接続部360から等しい間隔をおいた位置に配される。このような配置により、接続部360において生じた熱応力が受光基板100全体に作用して半導体素子の容量値等が変動した場合であっても、その変動は周期的に配された半導体素子の全てに対して等しく作用する。よって、積層半導体装置400においては、周期的に配された半導体素子について、熱応力に起因する特性のばらつきが抑制される。
【0046】
図10は、
図9に示した積層半導体装置400の一部を詳細に示す模式的断面図であり、接続部360に起因する熱応力の作用を誇張して描いている。
図5から
図8までを参照して説明したように、周囲と異なる材料で形成された接続部360の存在により、積層半導体装置400に熱応力が生じる場合がある。
図10は、そのような熱応力の作用を、受光基板100に生じた厚さの変化により表している。
【0047】
図示のように、積層半導体装置400においては、受光基板100の厚さに周期的な変動が生じ、フォトダイオード132が設けられた位置に複数の陥没部155が形成されている。フォトダイオード132の各々は、オンチップレンズ190を通じて入射光を受光する。オンチップレンズ190は、受光基板100および処理基板200を接合した後に受光基板100の表面を平坦化して形成するので、陥没部155が生じている位置では、オンチップレンズ190とフォトダイオード132との間隔が広くなる。
【0048】
フォトダイオード132と受光基板100の間隔が変化した場合は、オンチップレンズさ190を通じたフォトダイオード132の受光量も変化する。しかしながら、積層半導体装置400においては、接続部360とフォトダイオード132とが、受光基板100の面方向について同じ位置に配されているので、フォトダイオード132の各々は、いずれもが陥没部155の底部に位置している。
【0049】
これにより、図中の底面中央によりフォトダイオード132の各々の位置を代表させた場合、積層半導体装置400におけるフォトダイオード132の入射面は、単一の配列平面P
1上に配列される。よって、フォトダイオード132に対して、オンチップレンズ190は同じ光学的作用を生じ、受光基板100の熱応力によるフォトダイオード132の光学特性のばらつきは抑制される。
【0050】
なお、受光基板100における熱応力の分布は、受光基板100の厚さの変動として現れるとは限らない。例えば、受光基板100の厚さが外見上均一であっても、受光基板100の屈折率に分布が生じている場合がある。また、フォトダイオード132以外の半導体素子においても、熱応力の分布が容量等のばらつきとして顕在化する場合がある。このような特性のばらつきも、フォトダイオード132と接続部360との位置関係を一定にすることにより抑制される。
【0051】
このように、積層半導体装置400においては、研磨、接合等に伴う処理により積層半導体装置400に不均一な応力が生じて光学特性に分布が形成される場合であっても、その原因となる接続部360とフォトダイオード132とを同じ位置に配することにより、当該分布を補償している。また、周期的に配置する半導体素子も、厚さが等しくなる位置に配置することにより特性のばらつきを抑制している。
【0052】
なお、上記の例では、フォトダイオード132と接続部360とを、受光基板100の面方向について同じ位置に配置した。しかしながら、フォトダイオード132と接続部360との位置が同じ位置に配されていない場合であっても、フォトダイオード132と接続部360との相対位置が一定であれば、上記の場合と同様に、熱応力がフォトダイオード132等に及ぼす影響が均一化され、特性のばらつきを抑制できる。
【0053】
図11は、他の積層半導体装置401の模式的断面図である。積層半導体装置401の受光基板101においては、接続部360のそれぞれが、積層半導体装置401の面方向についてそれぞれ隣あったフォトダイオード132の中間に配される。これにより、接続部360の配列周期と、フォトダイオード132の配列周期との比は2:1になる。
【0054】
フォトダイオード132および接続部360を上記のように配置することにより、熱応力の原因となる接続部360と、個々のフォトダイオード132との、受光基板101の面方向に係る相対位置は均一になる。よって、熱応力がフォトダイオード132に及ぼす影響も均一になり、熱応力に起因する受光基板101の特性の分布が補償される。
【0055】
図12は、積層半導体装置401の模式的平面図である。積層半導体装置401の受光基板101はオンチップカラーフィルタを備えており、フォトダイオード132の各々は、互いに異なる特定の帯域、例えば、赤、青または緑のいずれかを含む帯域を選択的に受光するサブピクセルを形成する。
【0056】
また、積層半導体装置401においては、複数のサブピクセルを組み合わせてカラー画素134が形成される。図示の例では、カラー画素134の各々において、図中左下に位置して赤を含む帯域を受光するサブピクセルRと、図中右上に位置して青を含む帯域を受光するサブピクセルBと、図中左上および右下に位置して緑を含む帯域を受光するサブピクセルG
1、G
2とを組み合わせてひとつのカラー画素134が形成される。
【0057】
積層半導体装置401におけるカラー画素134に着目した場合、接続部360は、積層半導体装置401の面方向についてカラー画素134の中心と同じ位置に配される。これにより、カラー画素134の各々の内部において、接続部360により生じた応力は、4つのサブピクセルR、B、G
1、G
2に対して均等に作用する。これにより、カラー画素134の各々の内部における熱応力に起因するサブピクセルR、B、G
1、G
2相互の特性のばらつきは抑制される。
【0058】
図13は、
図12に示した積層半導体装置401の一部を詳細に示す模式的断面図であり、接続部360に起因する熱応力の作用を誇張して描いている。積層半導体装置401のカラー画素134の各々においては、接続部360が、カラー画素134各々の中央であって、サブピクセルR、B、G
1、G
2を形成するフォトダイオード132相互の中間の位置に配されている。よって、フォトダイオード132の各々は、接続部360の熱膨張率差に起因して生じた陥没部155の斜面において、同じ高さになる部分に位置している。
【0059】
これにより、図中の底面中央によりフォトダイオード132の各々の位置を代表させた場合、積層半導体装置401におけるフォトダイオード132の入射面は、単一の配列平面P
2上に配置される。よって、フォトダイオード132に対して、オンチップレンズ190は同じ光学的作用を生じ、熱応力によるフォトダイオード132の光学特性のばらつきは抑制される。
【0060】
このように、フォトダイオード132の配列周期と、接続部360の配列周期とを整数比にすることにより、接続部360により生じた応力がフォトダイオード132に及ぼす影響を、積層半導体装置401全体で均一にして、フォトダイオード132の特性を安定させることができる。上記の例では、説明のために配列周期の比が2:1の場合を示したが、イメージセンサにおけるフォトダイオード132の集積密度を考えると、配列周期の比は更に大きくなる場合もあり得る。
【0061】
なお、積層半導体装置401は、図中左側に位置する最外側のフォトダイオード132よりも更に外側(図中左側)に追加された接続部360を備える。これにより、最外側のフォトダイオード132にも、他のフォトダイオード132と変わらない応力が作用する。積層半導体装置401においては、接続部360の配置の周期性を維持する目的で、電気的な接続には用いないダミーの接続部360を配置してもよい。
【0062】
図14は、積層半導体装置402の模式的断面図である。積層半導体装置401の受光基板101において、接続部360のそれぞれは、周期的に配された複数のフォトダイオード132のうち、隣り合った一対のフォトダイオード132の一方の直下に配される。これにより、接続部360の配列周期と、フォトダイオード132の配列周期との比は2:1となる。
【0063】
積層半導体装置402においては、複数のフォトダイオード132のうち、積層半導体装置402の面方向について、接続部360と同じ位置に配されたフォトダイオード132と、接続部360に対して一定の相対位置で配置されたフォトダイオード132とが混在する。これら2種類のフォトダイオード132に対しては、接続部360に起因する熱応力の作用も相互に異なる。しかしながら、積層半導体装置402全体では、受光基板102の面方向に係る熱応力の影響は略均一になる。よって、熱応力に起因する受光基板102の特性のばらつきが抑制される。
【0064】
図15は、積層半導体装置402の模式的平面図である。積層半導体装置402においても、積層半導体装置401と同様に、フォトダイオード132の各々はオンチップカラーフィルタによりサブピクセルを形成し、複数のサブピクセルがカラー画素134を形成する。
【0065】
積層半導体装置402においてひとつのカラー画素134に着目すると、積層半導体装置402においては、一方の緑のサブピクセルG
1と赤のサブピクセルRとの中間に接続部360が配される。よって、図中に一点鎖線S
1で示す断面においては、
図13に示した積層半導体装置401のフォトダイオード132の場合と同様に、サブピクセルG
1、Rを形成するフォトダイオード132が、単一の配列平面上に配置される。
【0066】
また、積層半導体装置402における他のサブピクセルB、G
2を形成するフォトダイオード132は、図中に一点鎖線S
2により示すように、接続部360が存在していない領域に配される。接続部360が存在していない領域では積層半導体装置402に光学特性の分布が生じないので、サブピクセルB、G
2の特性にはばらつきが生じ難い。
【0067】
更に、積層半導体装置402において特定の帯域に対応するフォトダイオード132、例えば、赤を含む帯域に対応するサブピクセルRを形成するフォトダイオード132に着目すると、積層半導体装置402全体で接続部360に対する相対位置は一定になる。よって、積層半導体装置402全体では、サブピクセルRの特性のばらつきが抑制される。同様に、他の帯域に対応するサブピクセルB、G
1、G
2に関しても、積層半導体装置402全体で特性のばらつきが抑制される。
【0068】
このように、積層半導体装置402においては、接続部360がカラー画素134の位置に対して偏った配置となっているにもかかわらず、個々の種類のサブピクセルR、B、G
1、G
2に着目すると、接続部360に対する相対位置が一定に保たれている。また、個々の種類のサブピクセルR、B、G
1、G
2の配列周期は、接続部360の配列周期と整数比をなす。これにより、積層半導体装置402においても、接続部360により生じた応力がフォトダイオード132に及ぼす影響を、積層半導体装置402全体で均一にして、フォトダイオード132の特性を安定させることができる。
【0069】
図16は、他の積層半導体装置403の断面図である。積層半導体装置403は、次に説明する部分を除くと、
図4に示した積層半導体装置400と共通の構造を有する。よって、共通部分には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0070】
積層半導体装置403は、互いに接合された受光基板103および処理基板201を含む。受光基板103は、
図4に示した受光基板100における接続パッド160に代えてバンプ162を有する。処理基板201は、
図4に示した処理基板200における接続パッド260に代えてバンプ262を有する。積層半導体装置403においては、これらのバンプ162、262が、受光基板103と処理基板201とを電気的に接続している。
【0071】
図17から
図19は、積層半導体装置403の製造過程の一部を、受光基板100および処理基板200の接合段階に注目して詳細に示す模式的断面図である。図中において、受光基板103および処理基板201を単純化して示している。
【0072】
図17に示すように、積層半導体装置403を製造する場合は、受光基板100の図中下面、即ち、処理基板201に接合する側の表面158に、突出したバンプ162を形成する。また、処理基板201の上面、即ち、受光基板103に接合する側の表面258にもバンプ262を形成する。バンプ162、262は、はんだ等の金属により形成できる。
【0073】
次に、
図18に示すように、受光基板103および処理基板201を重ねてバンプ162、262どうしを当接させた状態で、加圧または加熱加圧して、バンプ162、262を融合させる。これにより、受光基板103および処理基板201の間には基板の厚さ方向の電気的接続が形成され、受光基板103および処理基板201は積層基板301となる。
【0074】
なお、少なくとも、上記のように受光基板103および処理基板201を接合するまでの段階では、受光基板103および処理基板201のそれぞれに、支持基板110、210が残されている。これにより、受光基板103および処理基板201のそれぞれは、接合に係る機械的な負荷に耐えることができる。
【0075】
図16に示した積層半導体装置403を製造する場合、受光基板103および処理基板201を接合した後に、受光基板103の支持基板110を除去し、処理基板201の支持基板210を薄化する。支持基板110、210は、例えば、化学機械研磨により除去または薄化される。
【0076】
化学機械研磨においては、研磨工具から支持基板110、210にかかる圧力も、研磨効率に影響する。一方、積層基板301においては、支持基板110、210の研磨される面に対する裏面が、バンプ162、262に支持された領域と、バンプ162、262が存在せずに浮いた領域とがある。このため、平坦な研磨工具を用いても、支持基板110、210の研磨量に分布が生じる。
【0077】
図19は、受光基板103の支持基板110を研磨した後の状態を示す模式的断面図である。図示のように、バンプ162、262が存在する領域は、バンプ162、262により裏面から強固に支持されるので、研磨効率が上昇して研磨量が増加する。これに対して、バンプ162、262が存在しない領域は、研磨量が少ない。このため、積層半導体装置402の面方向について、バンプ162、262が存在する領域には陥没部155が形成される。
【0078】
このように、バンプ162、262により接合された受光基板103および処理基板201を有する積層基板301を研磨した場合、基板に厚さの分布が生じる。このため、入射光を透過させる受光基板103においては、受光基板103および処理基板201の厚さの分布に応じて光学特性が変化する。また、受光基板103および処理基板201含まれる半導体素子の特性も、基板の厚さの分布に応じて変化する。
【0079】
図20は、積層半導体装置403の模式的断面図であり、積層半導体装置403の面方向について、バンプ162、262、フォトダイオード132およびゲート電極140の相対位置に着目して描かれている。図面を簡潔にする目的で、配線層等の一部の断面は簡略化されている。
【0080】
積層半導体装置403においては、積層半導体装置403の面方向についてフォトダイオード132と同じ位置に、換言すれば、積層半導体装置403の厚さ方向についてフォトダイオード132と重なる位置に、バンプ162、262が配されている。よって、支持基板110、210の研磨により生じる厚さ分布の周期と、基板の光学的特性の影響を受けるフォトダイオード132の配列周期とが一致する。これにより、フォトダイオード132の特性のばらつきが抑制される。
【0081】
同様に、フォトダイオード132の各々に隣接して配置された電界効果トランジスタ等の半導体素子のそれぞれも、基板の厚さ分布の周期と等しい周期で配置される。よって、半導体素子の特性のばらつきも抑制される。
【0082】
図21は、他の積層半導体装置404の模式的断面図である。積層半導体装置404においては、受光基板104および処理基板202が、バンプ162、262により接合されている。
【0083】
積層半導体装置404におけるバンプ162、262は、積層半導体装置404の面方向について、それぞれ隣あったフォトダイオード132の中間に配される。これにより、バンプ162、262の配列周期は、フォトダイオード132の配列周期のちょうど2倍になる。よって、バンプ162、262の存在により生じた厚さ分布による光学特性の変化は、フォトダイオード132の各々に対して等しく影響し、フォトダイオード132の特性のばらつきは抑制される。
【0084】
図22は、また他の積層半導体装置405の模式的断面図である。積層半導体装置405においては、受光基板105および処理基板203が、バンプ162、262により接合されている。
【0085】
積層半導体装置405の受光基板105においては、隣接する一対のフォトダイオード132の一方の直下に接続部360が配される。ただし、積層半導体装置405は、
図15に示した積層半導体装置402の受光基板102と同様に、ベイヤー配列のオンチップカラーフィルタ180を備えてカラーイメージセンサを形成する。よって、各帯域に対応したサブピクセルに着目すると、フォトダイオード132は、積層半導体装置402の面方向について、バンプ162、262に対して一定の相対位置を有する。よって、基板の厚さの分布に起因するフォトダイオード132の特性のばらつきは抑制される。
【0086】
図23は、また、他の積層半導体装置406の模式的断面図である。
図23は、積層半導体装置406における処理基板200側に着目して描かれている。
【0087】
積層半導体装置406においても、接続部360からの熱応力が多層配線層250を通じて半導体ウェル230に作用する。しかしながら、既に説明したように、処理基板200は、支持基板210の一部に支持されて高い剛性を有する。よって、接続部360の熱応力は、専ら受光基板100に影響する。
【0088】
一方、処理基板200は、支持基板210を貫通して、支持基板210の厚さ方向に電気的接続を形成する貫通電極256を有する。貫通電極256は、厚い支持基板210を貫通する長さを有するので、処理基板200の半導体ウェル230に応力を及ぼす。
【0089】
そこで、積層半導体装置406の処理基板では、電界効果トランジスタ等の半導体素子を形成するゲート電極240を、積層半導体装置406の面方向について、貫通電極256の直近の位置に、貫通電極256と同じ数配置している。これにより、貫通電極256から半導体素子に作用する応力は略均一になり、支持基板210の応力分布に起因する半導体素子の特性のばらつきが抑制される。
【0090】
図24は、また他の積層半導体装置407の模式的断面図である。
図24は、積層半導体装置407における処理基板204に着目して描かれている。
【0091】
積層半導体装置407の処理基板204においては、貫通電極256のそれぞれが、積層半導体装置407の面方向についてそれぞれ隣あったゲート電極240の中間に配される。これにより、貫通電極256の配列周期は、半導体素子の配列周期の2倍になる。しかしながら、貫通電極256の各々からゲート電極240までの間隔はいずれも等しい。よって、貫通電極256により生じた応力は、半導体素子の各々に対して等しく作用し、半導体素子の特性のばらつきが抑制される。
【0092】
なお、処理基板204に形成される処理回路211の構造は、受光基板100に形成される受光回路111に比較すると周期性が低い。しかしながら、特性を揃えることが望ましい一部の半導体素子を選択して、貫通電極256から等間隔になる位置に配置することにより、素子特性のばらつきを抑制できる。
【0093】
また、フォトダイオード132、ゲート電極240、接続部360等の配置の周期性が、積層半導体装置400、401、402、403、404、405、406、407全体で一定ではない場合であっても、例えば、特性を揃えることが望ましい半導体素子を、接続部360の配置間隔が等しい領域に配置することにより、特性のばらつきを抑制できる。更に、半導体素子の特性のばらつきを抑制する目的で、接続部360の配置間隔を調整してもよい。また更に、半導体素子の特性のばらつきを抑制する目的で、電気的接続には用いないダミーの接続部360を配置してもよい。
【0094】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。