(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一主面と前記一主面とは反対側の他の主面と、前記他の主面側に設けられた導電層とを有する半導体基板に、前記半導体基板の前記一主面から前記他の主面まで前記半導体基板を貫通する貫通孔を形成する工程と、
前記貫通孔の前記他の主面側の底部の少なくとも一部を被覆すると共に前記底部から前記貫通孔の側面を介して前記一主面まで延在する絶縁膜を形成する工程と、
少なくとも前記貫通孔の側面の前記絶縁膜上および前記一主面上の前記絶縁膜上に有機部材を塗布する工程と、
前記有機部材中の気泡および前記有機部材と前記絶縁膜との間の気泡を除去する工程と、
前記貫通孔の前記底部の前記有機部材に開孔を形成する工程と、
前記有機部材上を被覆すると共に前記開孔を介して前記導電層に接続された第2の導電層を形成する工程と、を備える半導体装置の製造方法。
前記有機部材上に第2の導電層を形成する工程は、前記一主面に選択的に形成したドライフィルムをマスクとして前記有機部材上に前記第2の導電層を形成する工程である請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
前記第2の導電層を形成する工程では、前記貫通孔内での膜厚よりも、前記一主面における膜厚の方が厚い前記第2の導電層を形成する請求項5記載の半導体装置の製造方法。
前記有機部材は、前記貫通孔の側面の前記絶縁膜上を被覆する第1領域と、前記導電層上を被覆する第2領域と、前記第1領域と前記第2領域とに両端を接すると共に断面視における表面が曲面となる第3領域と、を備え、
前記第3領域が前記導電層上の前記絶縁膜の端部を被覆する請求項1〜8のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
一主面と、前記一主面とは反対側の他の主面と、前記他の主面側に設けられた第1の導電層と、前記一主面から前記他の主面まで貫通する貫通孔と、を有する半導体基板と、
前記貫通孔の前記他の主面側の底部に前記第1の導電層を露出する第1の開孔を有すると共に前記底部から前記貫通孔の側面を介して前記一主面まで延在する絶縁膜と、
前記貫通孔の側面の前記絶縁膜上を被覆する第1領域と、平面視で前記第1の開孔と重なる第2の開孔を有すると共に前記第1の導電層上を被覆する第2領域と、前記第1領域と前記第2領域とに両端を接すると共に断面視における表面が曲面となる第3領域と、を備え、前記第3領域が前記第1の導電層上の前記絶縁膜の端部を被覆する有機絶縁膜と、
前記貫通孔の前記底部から前記貫通孔の側面に沿って前記一主面まで形成されると共に前記第1の開孔および前記第2の開孔を介して前記第1の導電層に接続された第2の導電層と、を備え、
前記第2の導電層は、前記貫通孔内での膜厚よりも、前記一主面における膜厚の方が厚い半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1−5(K)を参照すれば、本発明の好ましい第1の実施の形態の半導体装置1は、半導体シリコン基板10と、酸化シリコン膜12と、TiN膜14と、Al膜16と、貫通孔20と、CVD酸化膜22と、有機絶縁膜24と、シードメタル層26と、Cuめっき層30と、ソルダーレジスト32とを備えている。
【0012】
酸化シリコン膜12は、シリコン基板10の主面11上に設けられている。TiN膜14は、酸化シリコン膜12上に設けられている。Al膜16は、TiN膜14上に設けられている。
【0013】
貫通孔20は、シリコン基板10の主面11とは反対側の主面13から主面11までシリコン基板10を貫通し、さらに酸化シリコン膜12およびTiN膜14を貫通し、底部にAl膜16を露出して設けられている。
【0014】
CVD酸化膜22は、貫通孔20の側面21およびシリコン基板10の主面13上に設けられている。
【0015】
有機絶縁膜24は、貫通孔20内のCVD酸化膜22上および主面13上のCVD酸化膜22上ならびに貫通孔20の底部に露出するAl膜16上に設けられている。
【0016】
シードメタル層26は、貫通孔20の側面21上の有機絶縁膜24上、貫通孔20の底部の有機絶縁膜24上、主面13上の有機絶縁膜24上、貫通孔20の底部の有機絶縁膜24の開孔25の側壁上ならび有機絶縁膜24の開孔25に露出するAl膜16上に設けられている。
【0017】
Cuめっき層30は、貫通孔20の側面21の有機絶縁膜24上のシードメタル層26上、貫通孔20の底部の有機絶縁膜24上のシードメタル層26上および主面13上の有機絶縁膜24上のシードメタル層26上、貫通孔20の底部の有機絶縁膜24の開孔25の側壁上ならび有機絶縁膜24の開孔25に露出するAl膜16上に設けられたシードメタル層26上に設けられている。主面13上のCuめっき層30の膜厚は、貫通孔20の側面21や底部のCuめっき層30の膜厚よりも大きい。Cuめっき層30およびシードメタル層26は、シリコン貫通電極を構成している。
【0018】
ソルダーレジスト32は、シリコン基板10の主面13上の有機絶縁膜24上、主面13上のCuめっき層30上および貫通孔20内のCuめっき層30の開孔31内に設けられている。
【0019】
なお、MOSトランジスタ等の半導体素子等の回路素子(図示せず)は、シリコン基板10の主面11に形成され、酸化シリコン膜12によって覆われている。Al膜16は、半導体装置1を接続するデバイスパッド等として用いられる。
【0020】
次に、
図1−1〜1−5を参照して本発明の好ましい第1の実施の形態の半導体装置1の製造方法を説明する。
【0021】
MOSトランジスタ等の半導体素子等の回路素子(図示せず)を、シリコン基板10の主面11に形成する。
【0022】
図1―1(A)を参照すれば、次に、シリコン基板10の主面11上に酸化シリコン膜12を形成し、酸化シリコン膜12上にTiN膜14を形成し、TiN膜14上にAl膜16を形成する。なお、TiN膜14はAlのマイグレーションを防止するために設けている。
【0023】
図1―1(B)を参照すれば、次に、シリコン基板10の主面11とは反対側の主面13上にレジスト18を形成し、レジスト18に選択的に開孔19を形成する。その後、レジスト18をマスクとしてシリコン基板10をエッチングして、シリコン基板10の主面13から主面11までシリコン基板10を貫通する貫通孔20を形成する。
【0024】
図1―1(C)を参照すれば、次に、さらに酸化シリコン膜12およびTiN膜14をエッチングして、貫通孔20の底部にAl膜16を露出させる。
【0025】
図1―2(D)を参照すれば、次に、貫通孔20の側面21、底部およびシリコン基板10の主面13上に、CVD酸化膜22を形成する。なお、CVD酸化膜22は、一例として、200℃以下で形成してもよい。
【0026】
図1―2(E)を参照すれば、次に、CVD酸化膜22をエッチバックして、貫通孔20の底部にAl膜16を露出させる。
【0027】
図1―3(F)を参照すれば、次に、貫通孔20内のCVD酸化膜22上および主面13上のCVD酸化膜22上ならびに貫通孔20の底部に露出するAl膜16上に有機絶縁膜24を形成する。
【0028】
有機絶縁膜24を形成するには、まず、シリコン基板10の主面11を下側にして、主面13側から有機絶縁膜溶液を塗布して、有機絶縁膜24を、貫通孔20内のCVD酸化膜22上および主面13上のCVD酸化膜22上ならびに貫通孔20の底部に露出するAl膜16上に形成する。有機絶縁膜溶液の塗布はスピンコート等で行う。その後、有機絶縁膜溶液を塗布したシリコン基板10を真空容器内に入れ、真空容器内を真空引きして、真空状態で、有機絶縁膜24内部のマイクロバブル等の気泡や貫通孔20内に塗布した有機絶縁膜24とAl膜16やCVD酸化膜22との間に存在するエア溜り等の気泡を除去する。
【0029】
なお、有機絶縁膜24内部のマイクロバブル等の気泡は、塗布前の有機絶縁膜溶液の状態で除去することも可能であるが、有機絶縁膜24とAl膜16やCVD酸化膜22との間に存在するエア溜り等の気泡は、有機絶縁膜溶液の塗布時に生じるので、有機絶縁膜溶液を塗布した後に除去する。
【0030】
本実施の形態の有機絶縁膜24は、感光性の有機絶縁膜を使用する。真空状態で気泡を除去した後は、有機絶縁膜24のプリベークを行う。
【0031】
図1―3(G)を参照すれば、次に、貫通孔20の底部の有機絶縁膜24に、Al膜16を露出する開孔25を形成する。有機絶縁膜24は、感光性の有機絶縁膜であるので、フォトマスクを使用して、有機絶縁膜24を選択的に露光し、その後現像して、開孔25を形成する。
【0032】
図1―4(H)を参照すれば、次に、スパッタ法により、貫通孔20の側面21上の有機絶縁膜24上、貫通孔20の底部の有機絶縁膜24上、主面13上の有機絶縁膜24上、貫通孔20の底部の有機絶縁膜24の開孔25の側壁上ならび有機絶縁膜24の開孔25に露出するAl膜16上にシードメタル層26を形成する。シードメタル層26は、最初にTiをスパッタし、その後、Cuをスパッタして形成する。
【0033】
図1―4(I)を参照すれば、次に、ドライフィルム28を形成し、ドライフィルム28に選択的に開孔29を形成する。開孔29は、貫通孔20を露出し、貫通孔20周辺のシードメタル層26を露出するように形成する。なお、ドライフィルム28に代えて、液状レジストを使用すると、貫通孔20内に液状レジストが溜まってしまい、貫通孔20内から液状レジストを除去するのが困難となるので、ドライフィルム28を使用している。
【0034】
図1―5(J)を参照すれば、次に、ドライフィルム28をマスクとして、貫通孔20の側面21の有機絶縁膜24上のシードメタル層26上、貫通孔20の底部の有機絶縁膜24上のシードメタル層26上および主面13上の有機絶縁膜24上のシードメタル層26上、貫通孔20の底部の有機絶縁膜24の開孔25の側壁上ならび有機絶縁膜24の開孔25に露出するAl膜16上に設けられたシードメタル層26上に、Cuめっき層30を形成する。Cuめっき層30はシードメタル層26を利用した電解めっきで行う。電解めっきでは、主面13上の方が貫通孔20内よりも電流が流れやすいので、主面13上のCuめっき層30の膜厚は、貫通孔20の側面21や底部のCuめっき層30の膜厚よりも大きい。
【0035】
図1―5(K)を参照すれば、次に、ドライフィルム28を除去し、その後、Cuめっき層30に覆われていないシードメタル層26を除去する。その後、ソルダーレジスト32を、シリコン基板10の主面13上の有機絶縁膜24上、主面13上のCuめっき層30上および貫通孔20内のCuめっき層30の開孔31内に形成する。
【0036】
(比較例)
次に、
図9−1〜9−5を参照して比較例の半導体装置3の製造方法を説明する。
【0037】
まず、MOSトランジスタ等の半導体素子等の回路素子(図示せず)を、シリコン基板10の主面11に形成する。
【0038】
図9―1(A)を参照すれば、次に、シリコン基板10の主面11上に酸化シリコン膜12を形成し、酸化シリコン膜12上にTiN膜14を形成し、TiN膜14上にAl膜16を形成する。
【0039】
図9―1(B)を参照すれば、次に、シリコン基板10の主面11とは反対側の主面13上にレジスト18を形成し、レジスト18に選択的に開孔19を形成する。その後、レジスト18をマスクとしてシリコン基板10をエッチングして、シリコン基板10の主面13から主面11までシリコン基板10を貫通する貫通孔20を形成する。
【0040】
図9―1(C)を参照すれば、次に、さらに酸化シリコン膜12およびTiN膜14をエッチングして、貫通孔20の底部にAl膜16を露出させる。
【0041】
図9―2(D)を参照すれば、次に、貫通孔20の側面21、底部およびシリコン基板10の主面13上に、CVD酸化膜22を形成する。
【0042】
図9―2(E)を参照すれば、次に、CVD酸化膜22をエッチバックして、貫通孔20の底部にAl膜16を露出させる。
【0043】
図9―3(F)を参照すれば、次に、スパッタ法により、貫通孔20の側面21上のCVD酸化膜22上、主面13上のCVD酸化膜22上および貫通孔20の底部に露出するAl膜16上にシードメタル層26を形成する。シードメタル層26は、最初にTiをスパッタし、その後、Cuをスパッタして形成する。
【0044】
図9―3(G)を参照すれば、次に、ドライフィルム28を形成し、ドライフィルム28に選択的に開孔29を形成する。開孔29は、貫通孔20を露出し、貫通孔20周辺のシードメタル層26を露出するように形成する。
【0045】
図9―4(H)を参照すれば、次に、ドライフィルム28をマスクとして、貫通孔20の側面21のCVD酸化膜22上のシードメタル層26上、貫通孔20の底部に露出するAl膜16上のシードメタル層26上に、Cuめっき層30を形成する。Cuめっき層30はシードメタル層26を利用した電解めっきで行う。
【0046】
図9―4(I)を参照すれば、次に、ドライフィルム28を除去し、その後、Cuめっき層30に覆われていないシードメタル層26を除去する。
【0047】
図9―4(J)を参照すれば、次に、その後、ソルダーレジスト32を、シリコン基板10の主面13上のCVD酸化膜22上、主面13上のCuめっき層30上および貫通孔20内のCuめっき層30の開孔31内に形成する。
【0048】
(第1の実施の形態と比較例との比較)
シリコン基板10の主面13上ならびに貫通孔20の側面21および底部にCVD酸化膜22(
図1−2(D)、
図9−2(D)、
図11参照)を形成すると、CVDに使用される原料ガスの回り込みの影響等で、貫通孔20の底部に形成されるCVD酸化膜22よりも、シリコン基板10の主面13上に形成されるCVD酸化膜22の方が膜厚が厚くなり、また、貫通孔20の底部の角部に窪み221が生じる(
図11参照)。また、CVD酸化膜22を形成する際に、シリコン基板10の主面13上等でパーティクル221がCVD酸化膜22に取り込まれる場合もある(
図10参照)。
【0049】
このCVD酸化膜22を、ドライエッチングでエッチバックする(
図1−2(E)、
図9−2(E)参照)と、貫通孔20の底部に形成されていたCVD酸化膜22は除去されてAl膜16が露出する。エッチバック時には、反応生成物除去のために、アッシングと有機剥離洗浄を行う。この際に、洗浄液によるAl膜16のアンダーカットが生じ、CVD酸化膜22の窪み221等の影響もあり、貫通孔20の底部の角部の下部のAl膜16には窪み161が生じる(
図3、
図13参照)。
【0050】
また、CVD酸化膜22の表面には、ドライエッチングによるダメージ層23が形成される(
図12、
図13参照)。シリコン基板10の主面13上のCVD酸化膜22も薄くなり、パーティクル221がCVD酸化膜22表面のダメージ層23に接触したり(
図2、
図12参照)、CVD酸化膜22から突出する場合もある。
【0051】
スパッタにより貫通孔20内にシードメタル層26を均一に形成するのは困難である。比較例のように、スパッタによりシードメタル層26を形成すると、貫通孔20の底部の角部に生じたAl膜16の窪み161には、未スパッタ部分261やピンホールが発生する場合がある(
図15参照)。
【0052】
その後、シードメタル層26上にドライフィルム28を形成し、ドライフィルム28に選択的に開孔29を形成する(
図9―3(G)参照)と、ドライフィルム28の現像液34が未スパッタ部分261(
図15参照)やピンホールを介してAl膜16に侵入して、Al膜16を侵食し、
図17に示すように、Al浸食凹部162を形成してしまう。
【0053】
そして、その後、
図9―4(H)に示すように、ドライフィルム28をマスクにしてシードメタル層26上にCuめっき層30を形成する。この際には、
図19に示すように、Al浸食凹部162には、Cuめっき層30が形成されず、Al空洞部163となる。
【0054】
その後、
図9―5(J)に示すように、ソルダーレジスト32を形成する。その後の工程の半田ボール形成時のリフロ熱や半導体装置3の実装時の実装リフロ熱、外部応力、熱ストレス等が加わると、
図21に示すように、Al空洞部163を起点としてCVD酸化膜22にクラック221が生じ、その結果、リーク不良の可能性が高くなり、信頼性を低下させてしまう。
【0055】
また、シリコン基板10の主面13上については、ドライエッチングの後に、スパッタによりシードメタル層26を形成すると、ドライエッチングにより形成されたダメージ層23上にシードメタル層26が形成され(
図14参照)、その後、シードメタル層26がドライフィルム28の現像液34に晒され(
図16参照)、その後、シードメタル層26上にCuめっき層30が形成される(
図18参照)。
【0056】
図20を参照すれば、シリコン基板10の主面13上のCVD酸化膜22が薄くなり、パーティクル221がCVD酸化膜22表面のダメージ層23やシードメタル層26を介してCuめっき層30と接触したり、また、パーティクル221がCVD酸化膜22から突出して、シードメタル層26を介してCuめっき層30と接触したりする場合がある。このような場合には、パーティクル221を介してシリコン基板10とCuめっき層30との間でリークが発生する。
【0057】
また、シリコン基板10の貫通孔20側の角部102上のCVD酸化膜22等は、ドライエッチング時に薄くなりやすく、このような薄くなりやすい部分では、リークパス222が発生しやすい。そして、リークパス222を介してシリコン基板10とCuめっき層30との間でリークが発生する。
【0058】
さらに、シリコン貫通電極(TSV)を備える半導体装置の絶縁膜としてCVD酸化膜22を用いる場合には、デバイスや使用材料の温度制限が入る場合の成膜温度は、200℃以下となる。このような低温で成膜したCVD酸化膜22は信頼性が十分でない。
【0059】
これに対して、本発明の好ましい第1の実施の形態では、CVD酸化膜22をドライエッチングでエッチバックした(
図1−2(E)、
図2、
図3参照)後に、貫通孔20内のCVD酸化膜22上および主面13上のCVD酸化膜22上ならびに貫通孔20の底部に露出するAl膜16上に有機絶縁膜24を形成する(
図1−3(F)、
図4、
図5参照)。
【0060】
ドライエッチングの際に貫通孔20の底部の角部の下部のAl膜16に生じた窪み161(
図3参照)は、有機絶縁膜24によって覆われる(
図5参照)ので、その後、有機絶縁膜24上に形成したシードメタル層26上にドライフィルム28を形成し、ドライフィルム28に選択的に開孔29を形成する(
図1―4(I)参照)際に、ドライフィルム28の現像液34が窪み161に侵入して、Al膜16を侵食するのを防止できる(
図6参照)。
【0061】
また、CVD酸化膜22をドライエッチングでエッチバック(
図1−2(E)、
図2参照)することにより薄くなった、シリコン基板10の主面13上のCVD酸化膜22やシリコン基板10の貫通孔20側の角部102上のCVD酸化膜22は、有機絶縁膜24で覆われる(
図1―3(F)、
図4参照)。
【0062】
従って、その後、有機絶縁膜24上に形成したシードメタル層26上にCuめっき層30を形成しても(
図1―5(K)、
図7参照)、CVD酸化膜22は有機絶縁膜24で覆われているので、パーティクル221がCVD酸化膜22表面のダメージ層23やシードメタル層26を介してCuめっき層30と接触したり、また、CVD酸化膜22から突出したパーティクル221が、シードメタル層26を介してCuめっき層30と接触したりするのを防止でき、その結果、パーティクル221を介してシリコン基板10とCuめっき層30との間でリークが発生するのを防止できる。
【0063】
また、シリコン基板10の貫通孔20側の角部102上のCVD酸化膜22がドライエッチング時に薄くなってリークパス222が発生しても、CVD酸化膜22は有機絶縁膜24で覆われているので、リークパス222を介してシリコン基板10とCuめっき層30との間でリークが発生するのを防止できる。
【0064】
さらに、CVD酸化膜22の成膜温度が200℃以下であって、成膜したCVD酸化膜22は信頼性が十分でない場合にも、CVD酸化膜22は有機絶縁膜24で覆われているので、有機絶縁膜24によって十分な信頼性を得ることができる。
【0065】
また、有機絶縁膜24を形成する際には、有機絶縁膜溶液を塗布後、真空引きして、真空状態で、有機絶縁膜24内部のマイクロバブル等の気泡や貫通孔20内に塗布した有機絶縁膜24とAl膜16やCVD酸化膜22との間に存在するエア溜り等の気泡を除去している。気泡が有機絶縁膜24中や有機絶縁膜24とAl膜16やCVD酸化膜22との間に存在すると、有機絶縁膜24を形成後に行う熱処理等で気泡が破裂し、絶縁性を失う可能性があるが、本実施の形態では、真空状態で気泡を除去しているので、熱処理等で気泡が破裂し、絶縁性を失うことを防止または抑制できる。
【0066】
(第2の実施の形態)
図8−5(K)を参照すれば、本発明の好ましい第2の実施の形態の半導体装置2は、半導体シリコン基板10と、酸化シリコン膜12と、TiN膜14と、Al膜16と、貫通孔20と、CVD酸化膜22と、有機絶縁膜24と、シードメタル層26と、Cuめっき層30と、ソルダーレジスト32とを備えている。
【0067】
酸化シリコン膜12は、シリコン基板10の主面11上に設けられている。TiN膜14は、酸化シリコン膜12上に設けられている。Al膜16は、TiN膜14上に設けられている。
【0068】
貫通孔20は、シリコン基板10の主面11とは反対側の主面13から主面11までシリコン基板10を貫通し、さらに酸化シリコン膜12およびTiN膜14を貫通し、底部にAl膜16を露出して設けられている。
【0069】
CVD酸化膜22は、貫通孔20の側面21上、シリコン基板10の主面13上および貫通孔20の底部に露出するAl膜16上に設けられている。
【0070】
有機絶縁膜24は、貫通孔20の側面21上のCVD酸化膜22上および主面13上のCVD酸化膜22上ならびに貫通孔20の底部のCVD酸化膜22上に設けられている。
【0071】
シードメタル層26は、貫通孔20の側面21上の有機絶縁膜24上、貫通孔20の底部の有機絶縁膜24上、主面13上の有機絶縁膜24上、ならびに貫通孔20の底部の有機絶縁膜24の開孔25およびCVD酸化膜22の開孔23に露出するAl膜16上に設けられている。
【0072】
Cuめっき層30は、貫通孔20の側面21の有機絶縁膜24上のシードメタル層26上、貫通孔20の底部の有機絶縁膜24上のシードメタル層24上および主面13上の有機絶縁膜24上のシードメタル層26上ならびに貫通孔20の底部の有機絶縁膜24の開孔25およびCVD酸化膜22の開孔23に設けられたシードメタル層26上に設けられている。Cuめっき層30およびシードメタル層26は、シリコン貫通電極を構成している。主面13上のCuめっき層30の膜厚は、貫通孔20の側面21や底部のCuめっき層30の膜厚よりも大きい。
【0073】
ソルダーレジスト32は、シリコン基板10の主面13上の有機絶縁膜24上、主面13上のCuめっき層30上および貫通孔20内のCuめっき層30の開孔31内に設けられている。
【0074】
なお、MOSトランジスタ等の半導体素子等の回路素子(図示せず)は、シリコン基板10の主面11に形成され、酸化シリコン膜12によって覆われている。Al膜16は、半導体装置1を接続するデバイスパッド等として用いられる。
【0075】
次に、
図8−1〜8−5を参照して本発明の好ましい第2の実施の形態の半導体装置2の製造方法を説明する。
【0076】
まず、MOSトランジスタ等の半導体素子等の回路素子(図示せず)を、シリコン基板10の主面11に形成する。
【0077】
図8―1(A)を参照すれば、次に、シリコン基板10の主面11上に酸化シリコン膜12を形成し、酸化シリコン膜12上にTiN膜14を形成し、TiN膜14上にAl膜16を形成する。なお、TiN膜14はAlのマイグレーションを防止するために設けている。
【0078】
図8―1(B)を参照すれば、次に、シリコン基板10の主面11とは反対側の主面13上にレジスト18を形成し、レジスト18に選択的に開孔19を形成する。その後、レジスト18をマスクとしてシリコン基板10をエッチングして、シリコン基板10の主面13から主面11までシリコン基板10を貫通する貫通孔20を形成する。
【0079】
図8―1(C)を参照すれば、次に、さらに酸化シリコン膜12およびTiN膜14をエッチングして、貫通孔20の底部にAl膜16を露出させる。
【0080】
図8―2(D)を参照すれば、次に、貫通孔20の側面21、底部およびシリコン基板10の主面13上に、CVD酸化膜22を形成する。
【0081】
図8―2(E)を参照すれば、次に、貫通孔20の側面21上のCVD酸化膜22上および主面13上のCVD酸化膜22上ならびに貫通孔20の底部のCVD酸化膜22上に有機絶縁膜24を形成する。
【0082】
有機絶縁膜24を形成するには、まず、シリコン基板10の主面11を下側にして、主面13側から有機絶縁膜溶液を塗布して、有機絶縁膜24を、貫通孔20内のCVD酸化膜22上および主面13上のCVD酸化膜22上ならびに貫通孔20の底部のCVD酸化膜22上に形成する。有機絶縁膜溶液の塗布はスピンコート等で行う。その後、有機絶縁膜溶液を塗布したシリコン基板10を真空容器内に入れ、真空容器内を真空引きして、真空状態で、有機絶縁膜24内部のマイクロバブル等の気泡や貫通孔20内に塗布した有機絶縁膜24とCVD酸化膜22との間に存在するエア溜り等の気泡を除去する。
【0083】
なお、有機絶縁膜24内部のマイクロバブル等の気泡は、塗布前の有機絶縁膜溶液の状態で除去することも可能であるが、有機絶縁膜24とCVD酸化膜22との間に存在するエア溜り等の気泡は、有機絶縁膜溶液の塗布時に生じるので、有機絶縁膜溶液を塗布した後に除去する。
【0084】
本実施の形態の有機絶縁膜24は、感光性の有機絶縁膜を使用する。真空状態で気泡を除去した後は、有機絶縁膜24のプリベークを行う。
【0085】
図8―3(F)を参照すれば、次に、貫通孔20の底部の有機絶縁膜24に、CVD酸化膜22を露出する開孔25を形成する。有機絶縁膜24は、感光性の有機絶縁膜であるので、フォトマスクを使用して、有機絶縁膜24を選択的に露光し、その後現像して、開孔25を形成する。
【0086】
図8―3(G)を参照すれば、次に、開孔25を形成した有機絶縁膜24をマスクにしてドライエッチングを行い、有機絶縁膜24の開孔25の直下のCVD酸化膜22に開孔23を形成する。
【0087】
図8―4(H)を参照すれば、次に、スパッタ法により、貫通孔20の側面21上の有機絶縁膜24上、貫通孔20の底部の有機絶縁膜24上、主面13上の有機絶縁膜24上、貫通孔20の底部の有機絶縁膜24の開孔25の側壁上、CVD酸化膜22の開孔23の側壁上ならびに有機絶縁膜24の開孔25およびCVD酸化膜22の開孔23に露出するAl膜16上にシードメタル層26を形成する。シードメタル層26は、最初にTiをスパッタし、その後、Cuをスパッタして形成する。
【0088】
図8―4(I)を参照すれば、次に、ドライフィルム28を形成し、ドライフィルム28に選択的に開孔29を形成する。開孔29は、貫通孔20を露出し、貫通孔20周辺のシードメタル層26を露出するように形成する。
【0089】
図8―5(J)を参照すれば、次に、ドライフィルム28をマスクとして、貫通孔20内の側壁21上のシードメタル層26上、主面13上であってドライフィルム28の開孔29内のシードメタル層26上、貫通孔20の底部の有機絶縁膜24の開孔25の側壁上、CVD酸化膜22の開孔23の側壁上ならびに有機絶縁膜24の開孔25およびCVD酸化膜22の開孔23に露出するAl膜16上のシードメタル層26上に、Cuめっき層30を形成する。Cuめっき層30はシードメタル層26を利用した電解めっきで行う。電解めっきでは、主面13上の方が貫通孔20内よりも電流が流れやすいので、主面13上のCuめっき層30の膜厚は、貫通孔20の側面21や底部のCuめっき層30の膜厚よりも大きい。
【0090】
図8―5(K)を参照すれば、次に、ドライフィルム28を除去し、その後、Cuめっき層30に覆われていないシードメタル層26を除去する。その後、ソルダーレジスト32を、シリコン基板10の主面13上の有機絶縁膜24上、主面13上のCuめっき層30上および貫通孔20内のCuめっき層30の開孔31内に形成する。
【0091】
本発明の好ましい第2の実施の形態では、貫通孔20の側面21、底部およびシリコン基板10の主面13上にCVD酸化膜22を形成した(
図8―2(D)参照)後に、CVD酸化膜22上に有機絶縁膜24を形成し(
図8―2(E)参照)、その後、有機絶縁膜24にCVD酸化膜22を露出する開孔25を形成し(
図8―3(F)参照)、その後、開孔25を形成した有機絶縁膜24をマスクにして有機絶縁膜24の開孔25の直下のCVD酸化膜22に、Al膜16を露出する開孔23を形成する(
図8―3(G)参照)。
【0092】
このように、CVD酸化膜22と有機絶縁膜24の2層構造となっているので、CVD酸化膜22の薄膜化が可能となる。CVD酸化膜22はコスト高なので、薄膜化することによりコストダウンが図れる。また、薄膜化できればその分、CVD成膜装置の処理能力が向上する。
【0093】
また、第1の実施の形態のように、Al膜16を露出するのに、CVD酸化膜22をドライエッチングによるエッチバックを行わないので、エッチングダメージのないCVD酸化膜22が形成でき、より信頼性の高い絶縁膜形成が可能となる。また、CVD酸化膜22をドライエッチングによるエッチバックを行わないので、第1の実施の形態のように、ドライエッチングによるエッチバックの際に貫通孔20の底部の角部の下部のAl膜16に窪み161(
図3参照)が生じるのを防止できる。
【0094】
CVD酸化膜22は有機絶縁膜24で覆われているので、パーティクル221がCVD酸化膜22表面のシードメタル層26を介してCuめっき層30と接触したり、また、CVD酸化膜22から突出したパーティクル221が、シードメタル層26を介してCuめっき層30と接触したりするのを防止でき、その結果、パーティクル221を介してシリコン基板10とCuめっき層30との間でリークが発生するのを防止できる。
【0095】
さらに、CVD酸化膜22の成膜温度が200℃以下であって、成膜したCVD酸化膜22は信頼性が十分でない場合にも、CVD酸化膜22は有機絶縁膜24で覆われているので、有機絶縁膜24によって十分な信頼性を得ることができる。
【0096】
また、有機絶縁膜24を形成する際には、有機絶縁膜溶液を塗布後、真空引きして、真空状態で、有機絶縁膜24内部のマイクロバブル等の気泡や貫通孔20内に塗布した有機絶縁膜24とAl膜16やCVD酸化膜22との間に存在するエア溜り等の気泡を除去している。気泡が有機絶縁膜24中や有機絶縁膜24とAl膜16やCVD酸化膜22との間に存在すると、有機絶縁膜24を形成後に行う熱処理等で気泡が破裂し、絶縁性を失う可能性があるが、本実施の形態では、真空状態で気泡を除去しているので、熱処理等で気泡が破裂し、絶縁性を失うことを防止または抑制できる。
【0097】
なお、上記第1および第2の実施の形態では、有機絶縁膜24内部の気泡や有機絶縁膜24とAl膜16やCVD酸化膜22との間に存在する気泡は、真空状態で除去したが、真空状態でさらに、超音波を用いて有機絶縁膜溶液を塗布したシリコン基板10に振動を与えることによって、真空状態で気泡を除去する方法よりも、より有効に気泡を除去することができる。
【0098】
以上、本発明の種々の典型的な実施の形態を説明してきたが、本発明はそれらの実施の形態に限定されない。従って、本発明の範囲は、次の特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。