(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のような熱交換器は、熱媒体同士の熱交換を効率よく行うため、熱伝導性の良い金属プレートで形成される。しかし、金属プレートでは、熱が外部に逃げてしまうため、熱を有効に利用することが困難であった。
【0006】
また、このような熱交換器は、加工部位が多く、ろう付けなどの作業が必要となることから、製造性が悪い。また、ろう材が熱媒体等に溶け出すため、熱性能の劣化の恐れがある。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、簡易な構造で製造性が良好であり、効率よく熱交換を行うことが可能な熱交換器等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するため、第1の発明は、熱交換器であって、金属製の仕切り部材と、樹脂製の枠部材と、前記仕切り部材と前記枠部材とが交互に積層され、前記仕切り部材同士の間に流路が形成さ
れ、前記枠部材と略同一の高さである筒状体をさらに具備し、前記仕切り部材には、熱媒体の流路となる孔が設けられ、対向する前記仕切り部材の前記孔同士の間には、前記筒状体が配置され、前記仕切り部材同士の間に前記仕切り部材の面方向に流路が形成されるとともに、前記孔及び前記筒状体により、前記仕切り部材の積層方向に流路が形成され、前記筒状体は、前記枠部材と略同一の高さであり、側面に流体通過用の孔を有する第1の筒状体と、前記枠部材と略同一の高さであり、側面に流体通過用の孔を有さない第2の筒状体と、からなり、前記仕切り部材には、熱媒体の流路となる少なくとも2対の孔が設けられ、対向する前記仕切り部材の孔同士の間には、少なくとも一対の前記第1の筒状体と、少なくとも一対の前記第2の筒状体が配置され、前記仕切り部材と前記枠部材との積層方向には、前記第1の筒状体と前記第2の筒状体とが交互に配置され、前記仕切り部材同士の間に流路が形成され、前記枠部材と、前記第1の筒状体および前記第2の筒状体とが、一体で形成されることを特徴とする熱交換器である。
【0013】
前記仕切り部材の表面は、粗面化処理が施され、前記仕切り部材と、前記枠部材、前記第1の筒状体および前記第2の筒状体とが、溶着していることが望ましい。
【0014】
前記枠部材は、外周部を形成する枠部で囲まれた内部において、前記枠部同士を連結する補強部を具備し、前記補強部には、流路が形成されてもよい。
【0015】
前記枠部材の少なくとも一部には、側面に流通孔が形成されてもよい。
【0016】
前記仕切り部材の少なくとも一部に凹凸形状が形成されてもよい。
【0017】
前記仕切り部材には、支持部が形成され、互いに対向する前記仕切り部材同士は、前記支持部によって互いに接触してもよい。
【0018】
前記仕切り部材には、少なくとも一部にフィンが起立してもよい。
【0019】
前記仕切り部材の内部には、蓄熱材が封入されてもよい。
【0020】
前記仕切り部材の内部には、ヒートパイプが埋設されてもよい。
【0021】
第1の発明によれば、枠部材が、積層可能な樹脂製であるため、枠部材と仕切り部材とを積層させて熱交換器を形成した際に、外部に対する断熱性が良好である。また、枠部材と仕切り部材とはロウ付けではなく、例えば溶着などによって接合されるため、製造性にも優れる。
また、仕切り部材で筒状体を挟み込み、仕切り部材に設けた孔と筒状体を流路とすることで、2方向に流路を形成することができる。また、孔を有する筒状部材と孔を有さない筒状部材とを交互に配置することで、二つの独立した流路を構成することができる。また、筒状部材と枠部材とを一体で構成することで、筒状部材と仕切り部材との位置合わせが容易であり、製造性が優れる。
【0026】
また、仕切り部材の表面に粗面化処理が施されれば、仕切り部材と枠部材とを溶着した際に、接合強度を向上させることができる。
【0027】
また、枠部材の対向する枠部同士を連結する補強部を形成することで、上下の仕切り部材の変形を抑制することができる。この際、補強部に流路を形成することで、熱媒体の流れがせき止められることがない。
【0028】
また、枠部材の側面の一部に流通孔を形成することで、熱媒体を、熱交換器の側方から流入させ、または流出させることができる。
【0029】
また、仕切り部材の少なくとも一部を凹凸形状とすることで、熱媒体との接触面積を増大させることができる。また、熱媒体に乱流を生じさせやすくなるため、より高い熱交換効率を得ることができる。
【0030】
また、仕切り部材に支持部を形成し、上下の仕切り部材同士を支持部によって互いに接触させることで、仕切り部材の変形を抑制することができる。
【0031】
また、仕切り部材にフィンを起立させることで、熱媒体との接触面積を増大させることができる。また、熱媒体に乱流を生じさせやすくなるため、より高い熱交換効率を得ることができる。
【0032】
また、仕切り部材に蓄熱材を封入することで、蓄熱材と熱媒体との熱交換を行うことができる。
【0033】
また、仕切り部材にヒートパイプを埋設することで、熱交換器の使用初期において、より早く熱を仕切り部材の全面に拡散させることができる。
【0034】
第2の発明は、熱交換器の製造方法であって、金属製の仕切り部材と、前記仕切り部材と略同一のサイズの樹脂製の枠部材と、を用い、前記仕切り部材と前記枠部材とを交互に積層し、前記仕切り部材を加熱することで、前記仕切り部材と、前記枠部材を溶着し、前記仕切り部材同士の間に流路を形成することを特徴とする熱交換器の製造方法である。
【0035】
前記枠部材と略同一の高さである筒状体をさらに用い、前記仕切り部材には、熱媒体の流路となる孔が設けられ、対向する前記仕切り部材の前記孔同士の間に、前記筒状体を配置し、前記仕切り部材同士の間に前記仕切り部材の面方向に流路を形成するとともに、前記孔及び前記筒状体により、前記仕切り部材の積層方向に流路を形成してもよい。
【0036】
前記仕切り部材を、誘導加熱により加熱してもよい。
【0037】
前記仕切り部材に通電することで前仕切り部材を加熱してもよい。
【0038】
第2の発明によれば、仕切り部材と枠部材とを積層し、仕切り部材を加熱することで一体化することができるため、外部との断熱性も優れた熱交換器を容易に得ることができる。
【0039】
特に、仕切り部材の加熱を、誘導加熱または通電により行うことで、短時間で容易に仕切り部材と枠部材とを溶着させ一体化することができる。結果、低コストで軽量で熱性能に優れた熱交換器を得ることができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、簡易な構造で製造性が良好であり、効率よく熱交換を行うことが可能な熱交換器等を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0042】
(実施形態1)
以下、本発明の実施の形態にかかる熱交換器1について説明する。
図1は、熱交換器1を示す分解斜視図であり、
図2は、組立斜視図である。熱交換器1は、主に、下蓋部材3、仕切り部材4、枠部材7、筒状部材9a、9b等から構成される。なお、
図1において、仕切り部材4、枠部材7、筒状部材9a、9bの繰り返し積層分の図示を省略し、1層分のみを図示する。
【0043】
下蓋部材3は、樹脂製の部材であり、外周部に壁部11が形成される。壁部11で囲まれる部位は、凹部となり、熱媒体の流路となる。
【0044】
下蓋部材3の上面には、仕切り部材4が配置される。仕切り部材4は、アルミニウム、銅、ステンレス等の金属製の板状部材である。仕切り部材4の角部近傍には孔13が4か所形成される。なお、孔13の個数は、少なくとも4か所(2対)形成されればよく、4つ以上であってもよい。仕切り部材4は、下蓋部材3の外形と略同一の外形を有し、ほぼ同一のサイズである。仕切り部材4は、下蓋部材3の壁部11の上面と密着する。
【0045】
仕切り部材4の上面には、筒状部材9a、9bと枠部材7が配置される。枠部材7は樹脂製の部材であり、例えば、耐熱性に優れるポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)で構成される。枠部材7は、略矩形形状であり、各辺を構成する枠部以外は空間となる。枠部材7は、仕切り部材4の外形と略同一の外形を有し、ほぼ同一のサイズである。枠部材7は、仕切り部材4の上面と密着する。
【0046】
筒状部材9a、9bは樹脂製の部材であり、例えば枠部材7と同一の材質で構成される。筒状部材9a、9bは、略円筒状の形状である。筒状部材9a、9bの内径は、仕切り部材4の孔13の径と略一致する。また、筒状部材9a、9bの高さは、枠部材7の高さとほぼ一致する。
【0047】
筒状部材9aは、側面に孔などが形成されない筒体である。一方、筒状部材9bは、側面の少なくとも一部に孔15が形成される。筒状部材9a、9bは、それぞれ、一対設けられる。すなわち、仕切り部材4上には、筒状部材9a、9bは少なくとも2つずつ配置される。なお、筒状部材9a、9bの総数は、孔13の個数と同数とする。
【0048】
筒状部材9a、9bは、それぞれ、孔13上に配置される。すなわち、筒状部材9a、9bの中空部は、孔13と連通する。筒状部材9a、9bは、それぞれ、例えば、互いに対角線上に配置される。すなわち、一方の対角線上に対向するように、筒状部材9aが配置され、他方の対角線上に対向するように、筒状部材9bが配置される。なお、筒状部材9a、9bは、枠部材7の内部に位置する。また、筒状部材9a、9bは、仕切り部材4の上面と密着する。
【0049】
ここで、本発明の熱交換器1は、一枚の仕切り部材4および枠部材7と、対応する数の筒状部材9a、9bを一ユニットとして、複数層に積層される。
図2に示す例では、前述したユニットが3層に積層される。なお、本発明では、前述したユニットが複数層に積層されれば、積層数は限定されない。
【0050】
ここで、ユニットを積層する際には、筒状部材9a、9bが積層方向に交互になるように配置する。すなわち、各層ごとに、筒状部材9a、9bの位置が入れ替わるように配置される。
【0051】
最上部には、仕切り部材4が配置される。最上部に配置した仕切り部材4の孔13の内、一対(例えば筒状部材9aと連通する孔13)が、第1の熱媒体の流入口及び流出口となる。また、他の一対(例えば筒状部材9bと連通する孔13)が、第2の熱媒体の流入口及び流出口となる。なお、最下部と最上部の構成は、特に限定されない。
【0052】
次に、熱交換器1の製造方法を説明する。前述のように、各パーツを積層する。したがって、熱交換器1は、樹脂製パーツ(下蓋部材3、枠部材7、筒状部材9a、9b)と金属製パーツ(仕切り部材4)とが、交互に配置される。
【0053】
この状態で、全体に所定の荷重をかけ、仕切り部材4を加熱する。以上により、仕切り部材4と接触している樹脂が溶融(軟化)して、樹脂製パーツと金属製パーツとが溶着する。すなわち、下蓋部材3、枠部材7および筒状部材9a、9bと、仕切り部材4との互いの接触が溶着する。したがって、各パーツが一体化するととともに、接合部から熱媒体が漏れ出すことがない。
【0054】
なお、仕切り部材4の加熱方法としては、特に限定されない。例えば、誘導加熱によって仕切り部材4を加熱してもよい。また、仕切り部材4に通電することによって、抵抗により発熱させてもよい。なお、溶着以外の方法で互いを気密に接合してもよい。
【0055】
また、仕切り部材4の表面を、あらかじめ粗面化処理しておくこともできる。このようにすることで、樹脂と仕切り部材4との接合強度を高めることができる。
【0056】
次に、熱交換器1の機能について説明する。
図3(a)は、熱交換器1の断面図であり、
図2の3A−3A線断面図である。また、
図3(b)は、
図2の3B−3B線断面図である。
【0057】
図3(a)に示すように、一対の孔13は、最上部に配置された筒状部材9aと連通する。また、最上部の筒状部材9aの下方には、仕切り部材4の孔13を介して、筒状部材9b、筒状部材9aの順に交互に連通し、最下部の筒状部材9aは、下蓋部材3の凹部と連通する。
【0058】
一方の孔13から第1の熱媒体(水や油などの液体や、空気などの気体のいずれでもよい。以下同様)が導入される。最上部の筒状部材9aに導入された熱媒体は、孔13を通過して下方の筒状部材9bに導入される。ここで、筒状部材9bには、側面に孔15が設けられるため、熱媒体の一部は、孔15から筒状部材9bの外部に流出する(図中矢印C)。筒状部材9bの孔15から流出した熱媒体は、仕切り部材4同士の間(上から2層目)を通過する。すなわち、仕切り部材4同士の間が流路となる。
【0059】
仕切り部材4同士の間を流れた熱媒体は、対向する位置の筒状部材9bの孔15から筒状部材9bに流入する。筒状部材9b内に流入した熱媒体は、上方の孔13から排出される(図中矢印D)。
【0060】
同様に、筒状部材9bの孔15から外部に流出しなかった残りの熱媒体は、そのまま、下方の筒状部材9aに流入する。さらに、最下部の筒状部材9aに流入した熱媒体は、最下部の下蓋部材3の凹部に流入する。熱媒体は、仕切り部材4と下蓋部材3の間の空間(上から4層目)を流れ、対向する位置の孔13から、筒状部材9aに流入し、筒状部材9b、9aを通過して、上方の孔13から排出される。以上のように、第1の熱媒体は、上から2層目と4層目を流路として、流入口から流出口へ流れる。
【0061】
一方、
図3(b)に示すように、他の一対の孔13は、最上部に配置された筒状部材9bと連通する。また、最上部の筒状部材9bの下方には、仕切り部材4の孔13を介して、筒状部材9a、筒状部材9bの順に交互に連通する。なお、最下部の仕切り部材4には、4カ所に孔13が形成されず、筒状部材9bに対応する位置には孔13が形成されない。すなわち、最下部の筒状部材9bは下部が塞がれる。
【0062】
一方の孔13から第2の熱媒体が導入される。最上部の筒状部材9bの側面に孔15が設けられるため、導入された熱媒体の一部は、孔15から筒状部材9bの外部に流出する(図中矢印E)。筒状部材9bの孔15から流出した熱媒体は、仕切り部材4の間(上から1層目)を通過する。すなわち、仕切り部材4同士の間が流路となる。
【0063】
仕切り部材4同士の間を流れた熱媒体は、対向する位置の筒状部材9bの孔15から筒状部材9bに流入する。筒状部材9b内に流入した熱媒体は、上方の孔13から排出される(図中矢印F)。
【0064】
同様に、筒状部材9bの孔15から外部に流出しなかった残りの熱媒体は、そのまま、下方の筒状部材9aに流入する。さらに、筒状部材9aに流入した熱媒体は、最下部の筒状部材9bに流入する。熱媒体は、筒状部材9bの孔15から流出し、仕切り部材4の間(上から3層目)を流れる。熱媒体は、さらに対向する位置の孔15から、筒状部材9b内部に流入し、筒状部材9a、9bを通過して、上方の孔13から排出される。以上のように、第2の熱媒体は、上から1層目と3層目を流路として、流入口から流出口へ流れる。
【0065】
本発明の熱交換器1では、各層交互に、第1の熱媒体の流路と、第2の熱媒体の流路になる。すなわち、上から偶数層の流路が、第1の熱媒体の流路となり、上から奇数層の流路が、第2の熱媒体となる。前述したように、各部材同士は気密に接合されるため、熱媒体同士が混ざり合うことがない。
【0066】
熱媒体同士は、仕切り部材4を介して熱交換を行うことができる。すなわち、熱伝導に優れる仕切り部材4は、両側を流れるそれぞれの熱媒体同士の熱を輸送する。したがって、熱交換器1内で効率よく熱媒体同士の熱交換を行うことができる。
【0067】
以上、本実施の形態によれば、熱媒体同士の間は、熱導電率の高い金属製の仕切り部材4を用いるため、熱交換効率が高い。一方、周囲の枠部材7は樹脂製であるため、外部に熱が放出されることを抑制することができる。
【0068】
また、個々のパーツは、金属と樹脂との熱溶着によって接合されるため、比較的低い温度で接合することができ、製造が容易である。
【0069】
また、2種類の熱媒体が、各層交互に流れるため、効率よく、熱媒体同士の熱交換を行うことができる。この際、各層の流路は、仕切り部材4と枠部材7および筒状部材9a、9bで構成されるユニットを積層するのみであるため、製造が容易である。
【0070】
(実施形態2)
次に、第2の実施の形態について説明する。
図4は、熱交換器1aを示す斜視図、
図5は、
図4の5−5線断面図、
図6(a)は、
図4の6A−6A線断面図、
図6(b)は、
図4の6B−6B線断面図である。なお、以下の説明において、熱交換器1等と同様の機能を奏する構成については、
図1〜
図3と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0071】
熱交換器1aは、熱交換器1とほぼ同様の構成であるが、上蓋部材17が用いられる点と、枠部材7aが用いられる点で異なる。上蓋部材17は、樹脂製の部材であり、例えば枠部材7等と同一の材質で構成される。上蓋部材17は、下蓋部材3に対し、孔19が形成される点と、筒部18が形成される点で異なる。
【0072】
上蓋部材17は、仕切り部材4の外形と略同一の外形を有し、ほぼ同一のサイズである。上蓋部材17は、仕切り部材4の上面と密着する。上蓋部材17には、少なくとも一対の孔19が対角線上に形成される。孔19が形成される位置には、筒部18が形成される。すなわち、筒部18は一対形成される。筒部18は、筒状部材9bとほぼ同様の構成であり、上蓋部材17と一体で形成される。筒部18の側面には孔20が形成される。上蓋部材17に設けられた孔19は、筒部18と連通する。筒部18の高さは、上蓋部材17の高さとほぼ同様である。
【0073】
枠部材7aは、枠部材7とほぼ同様の構成であるが、一方の側面の一部に孔21が形成される。孔21は、流通孔である。枠部材7aは、熱交換器1に対し、最上部と最下部の枠部材7に代えて配置される。なお、上段側の枠部材7aと下段側の枠部材7aは、孔21が逆向きに向くように配置される。
【0074】
次に、熱交換器1aの機能を説明する。なお、本実施形態では、最上部と最下部の仕切り部材4は、孔13が4カ所ではなく2か所に配置される。
【0075】
図5に示すように、一対の筒部18(孔19)は、仕切り部材4と接合されて、孔13を介して、最上部に配置された筒状部材9aと連通する。また、最上部の筒状部材9aの下方には、仕切り部材4の孔13を介して、筒状部材9b、筒状部材9aの順に交互に連通し、最下部の筒状部材9aは、下蓋部材3の凹部と連通する。
【0076】
一方の孔19から第1の熱媒体が導入される。筒部18に流入した熱媒体の一部は、孔20から上蓋部材17と仕切り部材4の間(上から1層目)に流出する(図中矢印I)。1層目を流れた熱媒体は、対向する位置の孔20から、筒部18に流入し、上方の孔19から排出される(図中矢印J)。
【0077】
筒部18の孔20から外部に流出しなかった残りの熱媒体は、そのまま、孔13を介して下方の筒状部材9aに流入する。最上部の筒状部材9aに導入された熱媒体は、孔13を通過してさらに下方の筒状部材9bに導入される。前述したように、熱媒体の一部は、孔15から筒状部材9bの外部に流出し(上から3層目)、さらに、対向する位置の筒状部材9bの孔15から筒状部材9bに流入する。筒状部材9b内に流入した熱媒体は、上方の孔13から排出される。
【0078】
さらに、筒状部材9bの孔15から外部に流出しなかった残りの熱媒体は、そのまま、孔13を介して下方の筒状部材9aに流入する。さらに、最下部の筒状部材9aに流入した熱媒体は、最下部の下蓋部材3の凹部に流入する。熱媒体は、仕切り部材4と下蓋部材3の間の空間(上から5層目)を流れ、対向する位置の孔13から、筒状部材9aに流入し、筒状部材9b、9aを通過して、上方の孔13から排出される。以上のように、第1の熱媒体は、上から1層目と3層目と5層目を流路として、流入口から流出口へ流れる。
【0079】
一方、
図6(a)、
図6(b)に示すように、2層目と4層目は、1層目、3層目、5層目とは独立する。ここで、2層目と4層目を構成する枠部材7aの側面には、孔21が形成される(
図6(b))。なお、
図4、
図6(a)、
図6(b)では、上段側の枠部材7aと下段側の枠部材7aとで、孔21が互いに対向する面に形成される。
【0080】
一方の孔21(
図6(b))から流入した第2の熱媒体が導入される(上から4層目)。導入された熱媒体の一部は、仕切り部材4同士の間を流れて、対向する位置の筒状部材9bに孔15を介して流入する(
図6(a))。筒状部材9bに流入した熱媒体は、孔13を介して上方の筒状部材9aを通過し、さらに上方の筒状部材9bに導入される(図中矢印K)。筒状部材9b内の熱媒体は、さらに、孔15から筒状部材9bの外部に流出する(上から2層目)。筒状部材9bから流出した熱媒体は、孔21から外部に排出される(
図6(b))。
【0081】
また、4層目の孔21から導入された熱媒体の一部は、手前側の筒状部材9bの孔15から、筒状部材9bに流入する(
図6(a))。筒状部材9bに流入した熱媒体は、孔13を介して上方の筒状部材9aを通過し、さらに上方の筒状部材9bに導入される。筒状部材9b内の熱媒体は、孔15から筒状部材9bの外部(上から2層目)に流出する。熱媒体は、仕切り部材4同士の間を流れ(図中矢印K)、孔21から外部に排出される。以上のように、第2の熱媒体は、上から2層目と4層目を流路として、流入口から流出口へ流れる(
図6(b))。
【0082】
以上、第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、枠部材7aを用いることで、側面から熱媒体を導入・排出することができる。なお、熱交換器1に対して、上蓋部材17のみを適用してもよく、枠部材7aのみを適用してもよい。
【0083】
(実施形態3)
図7は、枠部材7bを示す斜視図である。枠部材7bは枠部材7と略同様であるが、筒状部材9a、9bが一体で構成される点が異なる。すなわち、枠部材7bには、筒状部23a、23bが設けられる。筒状部23a、23bは、それぞれ、筒状部材9a、9bと同様の構造である。すなわち、筒状部23bの側面には孔25が設けられる。また、筒状部23aの側面には孔は形成されない。
【0084】
筒状部23a、23bは、枠部に形成されたアームによって一体化される。また、枠部材7bは、筒状部23a、23bおよび枠部がすべて同一高さで構成される。
【0085】
枠部材7bと仕切り部材4とを積層することで1層分のユニットが構成される。なお、枠部材7bの側面の一部に孔21を形成してもよい。前述した熱交換器1、1aに対して、枠部材7、7aに代えて枠部材7bを適用することで、熱交換器を構成することができる。
【0086】
第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、枠部材7bを用いることで、筒状部23a、23bの位置決めが容易である。このため、製造が容易である。
【0087】
(実施形態4)
図8は、枠部材7cを示す斜視図である。枠部材7cは枠部材7bと略同様であるが、補強部27が設けられる点が異なる。補強部27は、対向する枠部同士を連結するように設けられる。
【0088】
補強部27は、枠部や筒状部23a、23bと同一高さで構成される。補強部27には、流路29が形成される。流路29は、補強部27の一部が切り欠かれたように形成される。すなわち、補強部27で仕切られた、枠部で囲まれた空間同士が、流路29で連通する。
【0089】
枠部材7cと仕切り部材4とを積層することで1層分のユニットが構成される。なお、補強部27を、前述した他の枠部材に適用してもよい。
【0090】
第4の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、枠部材7cを用いることで、補強部27が上下の仕切り部材4と接触する。このため、仕切り部材4が熱媒体の圧力によって変形することを抑制することができる。また、流路29が形成されるため熱媒体の流れが堰き止められることがない。
【0091】
(実施形態5)
図9は、熱交換器1bを示す断面図である。熱交換器1bは熱交換器1と略同様であるが、仕切り部材4aが用いられる点で異なる。仕切り部材4aは、少なくとも一部に凹凸形状が形成される。
【0092】
仕切り部材4aの凹凸形状は、例えば、複数の錐形状に形成される。仕切り部材4aが金属板である場合には、プレス等で凹凸形状を形成することができる。なお、凹凸形状は、図示したような形状ではなく、矩形形状や円弧形状であってもよく、仕切り部材4aの表面に溶接で別部材を接合して形成してもよく、切削などで形成してもよい。
【0093】
第5の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、仕切り部材4aに凹凸形状を形成することで、熱媒体との接触面積を増大させることができる。また、仕切り部材4aと接触する熱媒体に乱流を発生させることができる。したがって、仕切り部材4aを挟んで流れる熱媒体同士の熱交換効率が向上する。
【0094】
また、仕切り部材4aに凹凸形状が形成されることで、凹凸形状がリブの役割を果たし、仕切り部材4aを補強することができる。
【0095】
(実施形態6)
図10は、熱交換器1cを示す断面図である。熱交換器1cは熱交換器1bと略同様であるが、仕切り部材4bが用いられる点で異なる。仕切り部材4bは、少なくとも一部には、支持部32が形成される。
【0096】
支持部32は、仕切り部材4bの上方または下方に形成される突起状の部位である。支持部32は、上下の他の仕切り部材4bと接触する。すなわち、仕切り部材4b同士は部分的に接触しあう。
【0097】
なお、支持部32は、図示したような、仕切り部材4bに形成された凹凸形状を上下の他の仕切り部材まで延長したものには限られない。例えば、支持部32は、他の部材を接合して形成してもよい。また、支持部32以外の部位に、凹凸を形成しなくてもよい。
【0098】
第6の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、仕切り部材4bに支持部32を形成することで、熱媒体との接触面積の増大や熱媒体に乱流を発生させることができる。
【0099】
また、仕切り部材4b同士が互いに接触することで、仕切り部材4bの変形を抑制することができる。例えば、熱交換を行う熱媒体の圧力が異なる場合、仕切り部材が変形する恐れがあるが、支持部32によって、この変形を抑制することができる。
【0100】
(実施形態7)
図11は、熱交換器1dを示す断面図である。熱交換器1dは熱交換器1bと略同様であるが、仕切り部材4cが用いられる点で異なる。仕切り部材4cは、少なくとも一部には、フィン31が形成される。
【0101】
仕切り部材4cの両面には、複数のフィン31が起立する。フィン31は仕切り部材4cの両面に形成された突起状の部位である。なお、フィン31の形状や配置は図示した例には限られない。
【0102】
第7の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、仕切り部材4cにフィン31を形成することで、熱媒体との接触面積の増大や熱媒体に乱流を発生させることができる。したがって、熱交換効率を高めることができる。
【0103】
(実施形態8)
図12は、熱交換器1eを示す断面図である。熱交換器1eは熱交換器1bと略同様であるが、仕切り部材4dが用いられる点で異なる。
【0104】
仕切り部材4dは、例えば、一対の板状部材を接合したケース状の部材である。仕切り部材4dの内部には、蓄熱材33が封入される。蓄熱材33は、一時的に熱を蓄えることができればよく、例えば、パラフィンや関東商事社製の「パッサーモ」(商品名)等を使用することができる。
【0105】
第8の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、仕切り部材4dに蓄熱材33が封入されるため、例えば使用初期において、蓄熱材33に蓄熱された熱によって熱媒体を加温することができる。
【0106】
(実施形態9)
図13は、熱交換器1fを示す断面図である。熱交換器1fは熱交換器1bと略同様であるが、仕切り部材4eが用いられる点で異なる。
【0107】
仕切り部材4eは、例えば、板状の部材に溝加工が施されて、ヒートパイプ35が接合される。ヒートパイプ35は、例えば、熱媒体の流れ方向に沿って複数配置される。
【0108】
第10の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、仕切り部材4eにヒートパイプ35が埋設されるため、例えば使用初期において、直ちに仕切り部材4eの部位による温度差を解消して均一にすることができる。このため、熱交換効率を高めることができる。
【0109】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0110】
たとえば、各実施形態で示した構成は、互いに組み合わせることができることは言うまでもない。
【0111】
また、上述した各実施形態では、全て筒状体(筒状部材または筒部)を用いた例を示したが、仕切り部材4等と枠部材7等とを積層させて、仕切り部材4同士の間を流路とすることができれば、筒状体は必ずしも必要ではない。この場合には、枠部材7aの側面に形成した孔21や、上下の蓋部材の孔19を流入口および流出口として用い、各層内を流路として利用することができる。
【0112】
また、二種類の筒状体を用いる例を示したが、筒状体は一種類でも良い。筒状体を一種類としても、例えば、仕切り部材同士の間に仕切り部材の面方向に流路が形成することができるとともに、孔13及び筒状体により、仕切り部材の積層方向にも流路を形成することができる。
【0113】
この場合、仕切り部材へ設ける孔は、一か所のみでもよい。このようにしても、筒状体に形成された孔15によって、各層に交互に熱媒体を流すことができる。
【0114】
但し、筒状体を積層させて用いる場合において、一方の積層構造を流入口側とし、他方の積層構造を流出口側とする場合には、仕切り部材に少なくとも一対の孔13を形成することが望ましい。また、さらに、前述した様に、二種類の筒状体を交互に積層し、仕切り部材に少なくとも二対の孔13を形成すれば、各層を交互に独立した流路を形成することができる。