(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本願の変倍光学系、光学装置、及び変倍光学系の製造方法について説明する。
本願の変倍光学系は、光軸に沿って物体側から順に、正屈折力の第1レンズ群と、負屈折力の第2レンズ群と、正屈折力の第3レンズ群と、正屈折力の第4レンズ群と、第5レンズ群とを有し、広角端状態から望遠端状態への変倍時に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔と、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔と、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔と、前記第4レンズ群と前記第5レンズ群との間隔とが変化し、前記第5レンズ群は像面に対して移動することを特徴としている。この構成により、本願の変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態への変倍を実現し、変倍に伴う歪曲収差、非点収差、及び球面収差のそれぞれの変動を抑えることができる。
【0012】
また、本願の変倍光学系は、無限遠物体から近距離物体への合焦を、第3レンズ群を光軸に沿って移動させる構成である。この構成により、望遠側の合焦時の移動量を抑え、光学系全系の全長を抑えて小型化できるようになり、加えて望遠側において合焦レンズ群である第3レンズ群に入射する光線の光軸からの高さの変動を抑え、合焦時における球面収差や非点収差の変動を抑えることができる。
【0013】
また、本願の変倍光学系は、以下の条件式(1)を満足することを特徴としている。
(1) 0.010<(d5it−d5iw)/(d3it−d3iw)<1.000
但し、
d3it:望遠端状態における前記第3レンズ群の最も像側のレンズ面から像面までの光軸上の距離
d3iw:広角端状態における前記第3レンズ群の最も像側のレンズ面から像面までの光軸上の距離
d5it:望遠端状態における前記第5レンズ群の最も像側のレンズ面から像面までの光軸上の距離
d5iw:広角端状態における前記第5レンズ群の最も像側のレンズ面から像面までの光軸上の距離
【0014】
条件式(1)は、広角端状態から望遠端状態への変倍時における、第3レンズ群の最も像側のレンズ面から像面までの光軸上の距離変化と、第5レンズ群の最も像側のレンズ面から像面までの光軸上の距離変化の比の適切な範囲を規定するものである。本願の変倍光学系は、条件式(1)を満足することにより、広角端状態から望遠端状態への変倍時に非点収差の変動や歪曲収差の変動を抑えることができる。
本願の変倍光学系の条件式(1)の対応値が下限値を下回ると、第4レンズ群から第5レンズ群へ入射する軸外光束の光軸からの高さが変倍に伴って大きく変化する。このため、変倍時に第5レンズ群で発生する非点収差の変動や歪曲収差の変動が過大になり、高い光学性能を実現できなくなってしまう。また、第5レンズ群へ入射する軸外光束の光軸からの高さが高くなり、第5レンズ群の径が大きくなる。なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(1)の下限値を0.020とすることがより好ましい。
一方、本願の変倍光学系の条件式(1)の対応値が上限値を上回ると、変倍時に第3レンズ群で発生する非点収差の変動を第5レンズ群で抑えることが困難となり、高い光学性能を実現できなくなってしまう。なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(1)の上限値を0.700とすることがより好ましい。
なお、高変倍を実現するために、広角端状態から望遠端状態への変倍時に、第3レンズ群の最も像側のレンズ面から像面までの光軸上の距離は大きくなる、すなわち条件式(1)の分母は正の値が好ましい。これにより、第3レンズ群で発生する非点収差の変動を抑えることができる。
【0015】
また、本願の変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態への変倍時に、前記第1レンズ群が物体側へ移動することが望ましい。この構成により、変倍時に第1レンズ群を通過する軸外光束の光軸からの高さの変化を抑えることができ、第1レンズ群の外径を小さくできるだけでなく、変倍時に非点収差の変動を抑えることができる。
【0016】
また、本願の変倍光学系は、以下の条件式(2)を満足することが望ましい。
(2) 0.010 < (d4t−d4w)/f4 < 1.000
但し、
d4t:望遠端状態における前記第4レンズ群の最も像側のレンズ面から前記第5レンズ群の最も物体側のレンズ面までの光軸上の距離
d4w:広角端状態における前記第4レンズ群の最も像側のレンズ面から前記第5レンズ群の最も物体側のレンズ面までの光軸上の距離
f4:前記第4レンズ群の焦点距離
【0017】
条件式(2)は、広角端状態から望遠端状態への変倍時における、第4レンズ群の最も像側のレンズ面から第5レンズ群の最も物体側のレンズ面までの光軸上の間隔変化の適切な範囲を規定するものである。本願の変倍光学系は、条件式(2)を満足することにより、広角端状態から望遠端状態への変倍時に非点収差の変動と歪曲収差の変動を抑えることができる。
本願の変倍光学系の条件式(2)の対応値が下限値を下回ると、変倍時に第4レンズ群で発生する非点収差の変動や歪曲収差の変動を第5レンズ群で抑えることが困難となり、高い光学性能を実現できなくなってしまう。なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(2)の下限値を0.200とすることがより好ましい。
一方、本願の変倍光学系の条件式(2)の対応値が上限値を上回ると、第4レンズ群から第5レンズ群へ入射する軸外光束の光軸からの高さが変倍に伴って大きく変化する。このため、変倍時に第5レンズ群で発生する非点収差の変動や歪曲収差の変動が過大になり、高い光学性能を実現できなくなってしまう。また、第5レンズ群における軸外光束の光軸からの高さが増大するため、第5レンズ群の外径が大型化してしまう。なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(2)の上限値を0.800とすることがより好ましい。
【0018】
また、本願の変倍光学系は、以下の条件式(3)を満足することが望ましい。
(3) 0.030 < (−f2)/ft < 0.120
但し、
ft:望遠端状態における前記変倍光学系の全系の焦点距離
f2:前記第2レンズ群の焦点距離
【0019】
条件式(3)は、第2レンズ群の適切な焦点距離範囲を規定するものである。本願の変倍光学系は、条件式(3)を満足することにより、広角端状態から望遠端状態への変倍時に、球面収差や非点収差の変動を抑えることができる。
本願の変倍光学系の条件式(3)の対応値が下限値を下回ると、変倍時の第2レンズ群で発生する球面収差や非点収差の変動を抑えることが困難となり、高い光学性能を実現できなくなってしますう。なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(3)の下限値を0.045とすることがより好ましい。
一方、本願の変倍光学系の条件式(3)の対応値が上限値を上回ると、所定の変倍比を得る為に、変倍時の第1レンズ群と第2レンズ群との間隔変化量を大きくする必要がある。これにより、小型化しづらくなるばかりでなく、第1レンズ群から第2レンズ群へ入射する軸上光束の径が変倍に伴って大きく変化する。このため、変倍時に球面収差の変動が過大になり、高い光学性能を実現できなくなってしまう。なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(3)の上限値を0.095とすることがより好ましい。
【0020】
また、本願の変倍光学系は、以下の条件式(4)を満足することが望ましい。
(4) 0.300 < f3/f4 < 1.500
但し、
f3:前記第3レンズ群の焦点距離
f4:前記第4レンズ群の焦点距離
【0021】
条件式(4)は、広角端状態から望遠端状態への変倍時における、第3レンズ群と第4レンズ群の適切な焦点距離比の範囲を規定するものである。本願の変倍光学系は、条件式(4)を満足することにより、広角端状態から望遠端状態への変倍時に球面収差や非点収差の変動を抑えることができる。
本願の変倍光学系の条件式(4)の対応値が下限値を下回ると、変倍時に第3レンズ群で発生する球面収差の変動や非点収差の変動を抑えることが困難になり、高い光学性能を実現できなくなってしまう。なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(4)の下限値を0.600とすることがより好ましい。
一方、本願の変倍光学系の条件式(4)の対応値が上限値を上回ると、変倍時に第4レンズ群で発生する球面収差の変動や非点収差の変動を抑えることが困難になり、高い光学性能を実現できなくなってしまう。なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(4)の上限値を1.250とすることがより好ましい。
【0022】
また、本願の変倍光学系は開口絞りを有し、広角端状態から望遠端状態への変倍時に、開口絞りと前記第4レンズ群との距離が不変であることが望ましい。この構成により、広角端状態から望遠端状態への変倍時に、第4レンズ群に入射する軸外光束の光軸からの高さの変化を抑えることができ、変倍時に非点収差及び歪曲収差の変動を抑えることができる。
【0023】
また、本願の変倍光学系は開口絞りを有し、開口絞りは、光軸に沿って前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間に配置されることが望ましい。この構成により、広角端状態から望遠端状態への変倍時に、第3レンズ群に入射する軸上光束の光軸からの高さの変化を抑えることができ、変倍時の球面収差の変動を抑えることができる。
【0024】
また、本願の変倍光学系は、無限遠物体から近距離物体への合焦時に、前記第3レンズ群が像側へ移動することが望ましい。本願の変倍光学系は、合焦時に第3レンズ群を像側へ移動させることで無限遠物体から近距離物体への合焦を効率的に行うことができ、球面収差や非点収差の変動を抑えることができる。
【0025】
また、本願の変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態への変倍時に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔が増加することが望ましい。この構成により、第2レンズ群の倍率を増倍することができ、高変倍比を効率的に実現し変倍時の球面収差の変動や非点収差の変動を抑えることができる。
【0026】
また、本願の変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態への変倍時に、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔が減少することが望ましい。この構成により、第3レンズ群から第5レンズ群の合成倍率を増倍することができ、高変倍比を効率的に実現し変倍時の球面収差や非点収差の変動を抑えることができる。
【0027】
また、本願の変倍光学系は、前記第5レンズ群が正の屈折力を有することが望ましい。この構成により、第5レンズ群の使用倍率が等倍よりも小さくなり、第1レンズ群から第4レンズ群までの合成焦点距離を相対的に大きくすることができる。その結果、製造時に第1レンズ群から第4レンズ群において発生するレンズどうしの偏芯に起因する偏芯コマ収差等の影響を相対的に小さく抑えることができ、高い光学性能を実現することができる。
【0028】
本願の光学装置は、上述した構成の変倍光学系を有することを特徴としている。これにより、高変倍比を有し、小型で、高い光学性能を有する光学装置を実現することができる。
【0029】
本願の変倍光学系の製造方法は、光軸に沿って物体側から順に、正屈折力の第1レンズ群と、負屈折力の第2レンズ群と、正屈折力の第3レンズ群と、正屈折力の第4レンズ群と、第5レンズ群とを有する変倍光学系の製造方法であって、
前記第3レンズ群と前記第5レンズ群とが以下の条件式(1)を満足するようにし、
広角端状態から望遠端状態への変倍時に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔と、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔と、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔と、前記第4レンズ群と前記第5レンズ群との間隔とが変化するようにし、前記第5レンズ群が像面に対して移動するようにし、
無限遠物体から近距離物体への合焦時に、前記第3レンズ群を光軸に沿って移動するようにすることを特徴としている。これにより、高変倍比を有し、小型で、無限遠物体から近距離物体への合焦時に高い光学性能を有する変倍光学系を製造することができる。
(1) 0.010<(d5it−d5iw)/(d3it−d3iw)<1.000
但し、
d3it:望遠端状態における前記第3レンズ群の最も像側のレンズ面から像面までの光軸上の距離
d3iw:広角端状態における前記第3レンズ群の最も像側のレンズ面から像面までの光軸上の距離
d5it:望遠端状態における前記第5レンズ群の最も像側のレンズ面から像面までの光軸上の距離
d5iw:広角端状態における前記第5レンズ群の最も像側のレンズ面から像面までの光軸上の距離
【0030】
以下、本願の数値実施例に係る変倍光学系を添付図面に基づいて説明する。
【0031】
(第1実施例)
図1(a)、
図1(b)、及び
図1(c)はそれぞれ、本願の第1実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における断面図である。
本実施例に係る変倍光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5とから構成されている。第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間には、開口絞りSが備えられている。
【0032】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と両凸形状の正レンズL12との接合レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13とからなる。
第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と、両凹形状の負レンズL22と、両凸形状の正レンズL23と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL24との接合レンズとからなる。なお、負メニスカスレンズL21は物体側のレンズ面を非球面形状としたガラスモールド非球面レンズである。
【0033】
第3レンズ群G3は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL31と両凸形状の正レンズL32との接合レンズからなる。
第4レンズ群G4は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL41と両凹形状の負レンズL42との接合レンズと、両凸形状の正レンズL43と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL44との接合レンズと、両凹形状の負レンズL45と両凸形状の正レンズL46との接合レンズと、両凸形状の正レンズL47と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL48との接合レンズとからなる。なお、負メニスカスレンズL48は像側のレンズ面を非球面形状としたガラスモールド非球面レンズである。
【0034】
第5レンズ群G5は、物体側から順に、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL51と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL52との接合レンズからなる。なお、負メニスカスレンズL52は像側のレンズ面を非球面形状としたガラスモールド非球面レンズである。
【0035】
以上の構成の下、本実施例に係る変倍光学系では、広角端状態から望遠端状態への変倍時に、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との空気間隔、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との空気間隔、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との空気間隔、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との空気間隔、及び第5レンズ群G5と像面Iとの空気間隔がそれぞれ変化するように、第1レンズ群G1〜第5レンズ群G5が光軸に沿って移動する。
詳細には、第1レンズ群G1〜第5レンズ群G5が物体側へ移動する。なお、開口絞りSは変倍時に第4レンズ群G4と一体的に物体側へ移動する。
また、無限遠物体から近距離物体への合焦は、第3レンズ群G3を光軸に沿って像面I側に移動させることで行う。
【0036】
これにより、変倍時に、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との空気間隔が増加し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との空気間隔が減少し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との空気間隔が増加し、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との空気間隔が増加し、第5レンズ群G5と像面Iとの空気間隔が増加する。なお、変倍時に開口絞りSと第3レンズ群G3との空気間隔が減少する。
これらにより、本実施例に係る変倍光学系は、高変倍率を有し、且つ小型に構成されている。
【0037】
以下の表1に、本実施例に係る変倍光学系の諸元の値を掲げる。
表1において、fは焦点距離、BFはバックフォーカス(最も像側のレンズ面と像面Iとの光軸上の距離)を示す。
[面データ]において、面番号は物体側から数えた光学面の順番、rは曲率半径、dは面間隔(第n面(nは整数)と第n+1面との間隔)、ndはd線(波長587.6nm)に対する屈折率、νdはd線(波長587.6nm)に対するアッベ数をそれぞれ示している。また、物面は物体面、可変は可変の面間隔、絞りSは開口絞りS、像面は像面Iをそれぞれ示している。なお、曲率半径r=∞は平面を示している。非球面は面番号に*を付して曲率半径rの欄に近軸曲率半径の値を示している。空気の屈折率nd=1.000000の記載は省略している。
【0038】
[非球面データ]には、[面データ]に示した非球面について、その形状を次式で表した場合の非球面係数及び円錐定数を示す。
x=(h
2/r)/[1+{1−κ(h/r)
2}
1/2]
+A4h
4+A6h
6+A8h
8+A10h
10+A12h
12
ここで、hを光軸に垂直な方向の高さ、xを高さhにおける非球面の頂点の接平面から当該非球面までの光軸方向に沿った距離(サグ量)、κを円錐定数、A4,A6,A8,A10,A12を非球面係数、rを基準球面の曲率半径(近軸曲率半径)とする。なお、「E−n」(nは整数)は「×10
−n」を示し、例えば「1.234E-05」は「1.234×10
−5」を示す。2次の非球面係数A2は0であり、記載を省略している。
【0039】
[各種データ]において、FNOはFナンバー、ωは半画角(単位は「°」)、Yは像高、TLは変倍光学系の全長(無限遠物体合焦時の第1面から像面Iまでの光軸上の距離)、dnは第n面と第n+1面との可変の間隔、φは開口絞りSの絞り径をそれぞれ示す。なお、これらの値は無限遠物体合焦時のものである。また、Wは広角端状態、Mは中間焦点距離状態、Tは望遠端状態をそれぞれ示す。
[合焦時の合焦群移動量]は、無限遠合焦状態から近距離合焦状態(撮影倍率-0.0100倍)への、合焦レンズ群(第3レンズ群)の移動量を示す。ここで、合焦レンズ群の移動方向は像側への移動を正とする。また撮影距離は、物体から像面までの距離を示す。
[レンズ群データ]には、各レンズ群の始面と焦点距離を示す。
[条件式対応値]には、本実施例に係る変倍光学系の各条件式の対応値を示す。
【0040】
ここで、表1に掲載されている焦点距離f、曲率半径r及びその他の長さの単位は一般に「mm」が使われる。しかしながら光学系は、比例拡大又は比例縮小しても同等の光学性能が得られるため、これに限られるものではない。
なお、以上に述べた表1の符号は、後述する各実施例の表においても同様に用いるものとする。
【0041】
(表1)第1実施例
[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞
1 135.6506 1.6350 1.950000 29.37
2 41.9822 8.2991 1.497820 82.57
3 -344.6351 0.1000
4 45.0112 4.7994 1.834810 42.73
5 373.7571 可変
*6 345.5995 1.0000 1.851348 40.10
7 9.1082 4.2862
8 -21.4543 1.0000 1.903660 31.27
9 38.9573 0.7420
10 26.9213 4.0891 1.808090 22.74
11 -12.6120 1.0000 1.883000 40.66
12 -42.4301 可変
13(絞りS) ∞ 可変
14 29.6793 1.0000 1.883000 40.66
15 15.0612 3.3397 1.593190 67.90
16 -42.4934 可変
17 12.5743 8.9691 1.717000 47.97
18 -33.1381 1.0000 1.883000 40.66
19 10.7605 2.0000
20 19.2566 3.2971 1.516800 63.88
21 -11.7331 1.0000 1.850260 32.35
22 -20.8570 1.5000
23 -40.3315 1.0000 1.950000 29.37
24 11.6425 3.4850 1.672700 32.18
25 -26.8269 0.1735
26 33.9424 5.2543 1.581440 40.98
27 -8.0332 1.0000 1.820798 42.71
*28 -31.1190 可変
29 -40.0000 2.0872 1.497820 82.57
30 -16.7056 1.0000 1.834410 37.28
*31 -21.8116 BF
像面 ∞
[非球面データ]
第6面
κ 11.00000
A4 3.74799E-05
A6 -8.44116E-08
A8 -3.25426E-09
A10 4.01677E-11
A12 -1.75260E-13
第28面
κ 1.00000
A4 -7.52150E-05
A6 -3.56328E-07
A8 1.74159E-09
A10 -3.33007E-11
A12 0.00000E+00
第31面
κ 1.00000
A4 2.74991E-05
A6 -2.52954E-09
A8 -1.90467E-10
A10 0.00000E+00
A12 0.00000E+00
[各種データ]
変倍比 14.13
W T
f 9.27 〜 130.95
FNO 4.12 〜 5.77
ω 42.66 〜 3.35°
Y 8.00 〜 8.00
TL 111.87 〜 169.05
W M T
f 9.27000 60.49999 130.94999
ω 42.66043 7.22371 3.35343
FNO 4.12 5.77 5.77
φ 8.49 9.57 11.01
d5 2.10000 36.64491 46.82787
d12 24.15923 5.26241 2.20000
d13 4.86826 4.21826 1.80000
d16 2.25000 2.90000 5.31826
d28 1.50000 29.01348 34.90774
BF 13.93934 14.90154 14.93894
[合焦時の合焦群移動量]
W M T
撮影倍率 -0.0100 -0.0100 -0.0100
撮影距離 901.6746 5886.4066 12728.2773
移動量 0.1610 0.1701 0.3030
[レンズ群データ]
群 始面 f
1 1 69.37620
2 6 -9.50000
3 14 41.26133
4 17 51.13596
5 29 150.09211
[条件式対応値]
(1)(d5it−d5iw)/(d3it−d3iw) = 0.027
(2)(d4t−d4w)/f4 = 0.653
(3)(−f2)/ft = 0.073
(4)f3/f4 = 0.807
【0042】
図2(a)、
図2(b)、及び
図2(c)はそれぞれ、本願の第1実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時の諸収差図である。
図3(a)、
図3(b)、及び
図3(c)はそれぞれ、本願の第1実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における近距離物体合焦時(撮影倍率-0.0100倍)の諸収差図である。
【0043】
各収差図において、FNOはFナンバー、NAは最も像側のレンズから射出する光線の開口数、Aは光線入射角即ち半画角(単位は「°」)、H0は物体高(単位:mm)をそれぞれ示す。dはd線(波長587.6nm)、gはg線(波長435.8nm)における収差をそれぞれ示し、d、gの記載のないものはd線における収差を示す。非点収差図において、実線はサジタル像面、破線はメリディオナル像面をそれぞれ示す。なお、後述する各実施例の収差図においても、本実施例と同様の符号を用いる。
【0044】
各収差図より、本実施例に係る変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態にわたって、また、無限遠物体合焦状態から近距離物体合焦状態まで諸収差が良好に補正され、高い光学性能を有していることがわかる。
【0045】
(第2実施例)
図4(a)、
図4(b)、及び
図4(c)はそれぞれ、本願の第2実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における断面図である。
本実施例に係る変倍光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4と、負の屈折力を有する第5レンズ群G5とから構成されている。第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間には、開口絞りSが備えられている。
【0046】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と両凸形状の正レンズL12との接合レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13とからなる。
第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と、両凹形状の負レンズL22と、両凸形状の正レンズL23と両凹形状の負レンズL24との接合レンズとからなる。なお、負メニスカスレンズL21は物体側のレンズ面を非球面形状としたガラスモールド非球面レンズである。
【0047】
第3レンズ群G3は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL31と両凸形状の正レンズL32との接合レンズからなる。
第4レンズ群G4は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL41と両凹形状の負レンズL42との接合レンズと、両凸形状の正レンズL43と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL44との接合レンズと、両凹形状の負レンズL45と両凸形状の正レンズL46との接合レンズと、両凸形状の正レンズL47と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL48との接合レンズとからなる。なお、負メニスカスレンズL48は像側のレンズ面を非球面形状としたガラスモールド非球面レンズである。
【0048】
第5レンズ群G5は、物体側から順に、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL51と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL52との接合レンズからなる。なお、負メニスカスレンズL52は像側のレンズ面を非球面形状としたガラスモールド非球面レンズである。
【0049】
以上の構成の下、本実施例に係る変倍光学系では、広角端状態から望遠端状態への変倍時に、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との空気間隔、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との空気間隔、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との空気間隔、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との空気間隔、及び第5レンズ群G5と像面Iとの空気間隔がそれぞれ変化するように、第1レンズ群G1〜第5レンズ群G5が光軸に沿って移動する。
詳細には、第1レンズ群G1〜第5レンズ群G5が物体側へ移動する。なお、開口絞りSは変倍時に第4レンズ群G4と一体的に物体側へ移動する。
また、無限遠物体から近距離物体への合焦は、第3レンズ群G3を光軸に沿って像面I側に移動させることで行う。
【0050】
これにより、変倍時に、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との空気間隔が増加し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との空気間隔が減少し、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との空気間隔が増加し、第5レンズ群G5と像面Iとの空気間隔が増加する。第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との空気間隔は、広角端状態から中間焦点距離状態まで減少し、中間焦点距離状態から望遠端状態まで増加する。なお、変倍時に開口絞りSと第3レンズ群G3との空気間隔は、広角端状態から中間焦点距離状態まで増加し、中間焦点距離状態から望遠端状態まで減少する。
これらにより、本実施例に係る変倍光学系は、高変倍率を有し、且つ小型に構成されている。
以下の表2に、本実施例に係る変倍光学系の諸元の値を掲げる。
【0051】
(表2)第2実施例
[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞
1 141.5341 1.6350 1.950000 29.37
2 42.4212 8.4111 1.497820 82.57
3 -315.7583 0.1000
4 44.6738 4.8257 1.834810 42.73
5 329.2991 可変
*6 500.0000 1.0000 1.851348 40.10
7 9.1215 4.1187
8 -36.3703 1.0000 1.903660 31.27
9 36.8310 0.5585
10 20.9196 4.4577 1.808090 22.74
11 -11.3592 1.0000 1.883000 40.66
12 231.4820 可変
13(絞りS) ∞ 可変
14 27.6206 1.0000 1.883000 40.66
15 13.6993 3.2013 1.593190 67.90
16 -42.3833 可変
17 13.2112 9.5050 1.717000 47.97
18 -49.0716 1.0000 1.883000 40.66
19 11.5987 2.0000
20 23.5510 3.3277 1.516800 63.88
21 -10.5463 1.0000 1.850260 32.35
22 -17.4426 1.5000
23 -39.5142 1.0000 1.950000 29.37
24 14.3546 3.3123 1.672700 32.18
25 -31.7031 1.0351
26 20.4892 5.4304 1.581440 40.98
27 -9.0024 1.0000 1.820798 42.71
*28 -40.3228 可変
29 -59.5141 1.1354 1.497820 82.57
30 -26.1606 1.0000 1.834410 37.28
*31 -50.8846 BF
像面 ∞
[非球面データ]
第6面
κ -9.00000
A4 3.41888E-05
A6 -2.73054E-08
A8 -3.06893E-09
A10 3.86737E-11
A12 -1.69230E-13
第28面
κ 1.00000
A4 -6.20378E-05
A6 -2.88775E-07
A8 3.11023E-09
A10 -4.32584E-11
A12 0.00000E+00
第31面
κ 1.00000
A4 2.66064E-05
A6 1.04446E-07
A8 -5.78528E-10
A10 0.00000E+00
A12 0.00000E+00
[各種データ]
変倍比 14.13
W T
f 9.27 〜 130.95
FNO 4.12 〜 5.81
ω 42.67 〜 3.42°
Y 8.00 〜 8.00
TL 111.02 〜 169.05
W M T
f 9.27006 60.50093 130.95187
ω 42.67385 7.37624 3.41696
FNO 4.12 5.77 5.81
φ 8.83 9.26 10.38
d5 2.10000 37.01608 47.51778
d12 23.62886 5.00952 2.20000
d13 2.40610 3.40014 1.80000
d16 3.89404 2.90000 4.50014
d28 1.50000 16.70292 20.53836
BF 13.93925 26.92305 28.93970
[合焦時の合焦群移動量]
W M T
撮影倍率 -0.0100 -0.0100 -0.0100
撮影距離 902.7175 5891.6497 12742.6968
移動量 0.1146 0.1322 0.2361
[レンズ群データ]
群 始面 f
1 1 70.20776
2 6 -8.28282
3 14 40.62229
4 17 37.83706
5 29 -216.44842
[条件式対応値]
(1)(d5it−d5iw)/(d3it−d3iw) = 0.433
(2)(d4t−d4w)/f4 = 0.503
(3)(−f2)/ft = 0.063
(4)f3/f4 = 1.074
【0052】
図5(a)、
図5(b)、及び
図5(c)はそれぞれ、本願の第2実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時の諸収差図である。
図6(a)、
図6(b)、及び
図6(c)はそれぞれ、本願の第2実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における近距離物体合焦時(撮影倍率-0.0100倍)の諸収差図である。
【0053】
各収差図より、本実施例に係る変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態にわたって、また、無限遠物体合焦状態から近距離物体合焦状態まで諸収差が良好に補正され、高い光学性能を有していることがわかる。
【0054】
(第3実施例)
図7(a)、
図7(b)、及び
図7(c)はそれぞれ、本願の第3実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における断面図である。
本実施例に係る変倍光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5とから構成されている。第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間には、開口絞りSが備えられている。
【0055】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と両凸形状の正レンズL12との接合レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13とからなる。
第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と、両凹形状の負レンズL22と、両凸形状の正レンズL23と両凹形状の負レンズL24との接合レンズとからなる。なお、負メニスカスレンズL21は物体側のレンズ面を非球面形状としたガラスモールド非球面レンズである。
【0056】
第3レンズ群G3は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL31と両凸形状の正レンズL32との接合レンズからなる。
第4レンズ群G4は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL41と物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL42との接合レンズと、両凸形状の正レンズL43と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL44との接合レンズと、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL45と、両凸形状の正レンズL46と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL47との接合レンズとからなる。なお、負メニスカスレンズL45は物体側のレンズ面を非球面形状としたガラスモールド非球面レンズであり、負メニスカスレンズL47は像側のレンズ面を非球面形状としたガラスモールド非球面レンズである。
【0057】
第5レンズ群G5は、物体側から順に、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL51と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL52との接合レンズからなる。なお、負メニスカスレンズL52は像側のレンズ面を非球面形状としたガラスモールド非球面レンズである。
【0058】
以上の構成の下、本実施例に係る変倍光学系では、広角端状態から望遠端状態への変倍時に、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との空気間隔、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との空気間隔、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との空気間隔、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との空気間隔、及び第5レンズ群G5と像面Iとの空気間隔がそれぞれ変化するように、第1レンズ群G1〜第5レンズ群G5が光軸に沿って移動する。
詳細には、第1レンズ群G1〜第4レンズ群G4が物体側へ移動する。第5レンズ群G5は、広角端状態から中間焦点距離状態まで物体側へ移動し、中間焦点距離状態から望遠端状態までは像側へ移動する。なお、開口絞りSは変倍時に第4レンズ群G4と一体的に物体側へ移動する。
また、無限遠物体から近距離物体への合焦は、第3レンズ群G3を光軸に沿って像面I側に移動させることで行う。
【0059】
これにより、変倍時に、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との空気間隔が増加し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との空気間隔が減少し、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との空気間隔が増加する。第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との空気間隔は、広角端状態から中間焦点距離状態まで減少し、中間焦点距離状態から望遠端状態まで増加する。第5レンズ群G5と像面Iとの空気間隔は、広角端状態から中間焦点距離状態まで増加し、中間焦点距離状態から望遠端状態まで減少する。なお、変倍時に開口絞りSと第3レンズ群G3との空気間隔は、広角端状態から中間焦点距離状態まで増加し、中間焦点距離状態から望遠端状態まで減少する。
これらにより、本実施例に係る変倍光学系は、高変倍率を有し、且つ小型に構成されている。
以下の表3に、本実施例に係る変倍光学系の諸元の値を掲げる。
【0060】
(表3)第3実施例
[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞
1 125.4788 1.6350 1.950000 29.37
2 42.8963 8.6176 1.497820 82.57
3 -200.0000 0.1000
4 41.6251 4.9380 1.816000 46.59
5 230.0985 可変
*6 500.0000 1.0000 1.851348 40.10
7 9.5652 3.8048
8 -36.8357 1.0000 1.883000 40.66
9 44.2906 0.3520
10 18.6401 4.2703 1.808090 22.74
11 -12.0124 1.0000 1.902650 35.72
12 83.8674 可変
13(絞りS) ∞ 可変
14 23.0558 1.0000 1.883000 40.66
15 12.1495 3.4115 1.593190 67.90
16 -46.4710 可変
17 13.4790 6.8280 1.816000 46.59
18 22.4551 1.0000 1.850260 32.35
19 10.9985 2.0000
20 19.0986 3.2170 1.516800 63.88
21 -11.7780 1.0000 1.850260 32.35
22 -21.0372 1.5000
*23 689.8893 1.0000 1.806100 40.73
24 15.3049 2.8460
25 16.4239 5.9978 1.567320 42.58
26 -8.0000 1.0000 1.851348 40.10
*27 -24.2284 可変
28 -40.0000 1.6708 1.497820 82.57
29 -19.2635 1.0000 1.834410 37.28
*30 -24.2511 BF
像面 ∞
[非球面データ]
第6面
κ 11.00000
A4 1.38428E-05
A6 2.39881E-07
A8 -9.46864E-09
A10 1.17699E-10
A12 -5.24010E-13
第23面
κ 1.00000
A4 -1.65484E-05
A6 7.20023E-07
A8 -8.24637E-09
A10 1.55522E-10
A12 0.00000E+00
第27面
κ 1.00000
A4 -5.27520E-05
A6 1.28445E-07
A8 -5.41725E-09
A10 1.08848E-11
A12 0.00000E+00
第30面
κ 1.00000
A4 3.58303E-05
A6 -1.13073E-07
A8 6.69333E-10
A10 0.00000E+00
A12 0.00000E+00
[各種データ]
変倍比 14.13
W T
f 10.30 〜 145.50
FNO 4.12 〜 5.77
ω 39.66 〜 3.01°
Y 8.00 〜 8.00
TL 107.35 〜 157.35
W M T
f 10.30000 59.49997 145.49942
ω 39.65540 7.34800 3.01140
FNO 4.12 5.76 5.77
φ 8.49 8.51 10.06
d5 2.10000 32.00138 41.35684
d12 22.21167 6.19340 2.20000
d13 3.21330 4.23594 1.80000
d16 4.08103 3.05839 5.49433
d27 1.60536 23.96409 31.36057
BF 13.94931 15.18421 14.94893
[合焦時の合焦群移動量]
W M T
撮影倍率 -0.0100 -0.0100 -0.0100
撮影距離 1003.1781 5789.3595 14161.5191
移動量 0.1286 0.1638 0.3103
[レンズ群データ]
群 始面 f
1 1 62.41033
2 6 -8.66265
3 14 37.00000
4 17 45.93796
5 28 189.05625
[条件式対応値]
(1)(d5it−d5iw)/(d3it−d3iw) = 0.031
(2)(d4t−d4w)/f4 = 0.648
(3)(−f2)/ft = 0.060
(4)f3/f4 = 0.805
【0061】
図8(a)、
図8(b)、及び
図8(c)はそれぞれ、本願の第3実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時の諸収差図である。
図9(a)、
図9(b)、及び
図9(c)はそれぞれ、本願の第3実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における近距離物体合焦時(撮影倍率-0.0100倍)の諸収差図である。
【0062】
各収差図より、本実施例に係る変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態にわたって、また、無限遠物体合焦状態から近距離物体合焦状態まで諸収差が良好に補正され、高い光学性能を有していることがわかる。
【0063】
(第4実施例)
図10(a)、
図10(b)、及び
図10(c)はそれぞれ、本願の第4実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における断面図である。
本実施例に係る変倍光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4と、負の屈折力を有する第5レンズ群G5とから構成されている。第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間には、開口絞りSが備えられている。
【0064】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と両凸形状の正レンズL12との接合レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13とからなる。
第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と、両凹形状の負レンズL22と、両凸形状の正レンズL23と両凹形状の負レンズL24との接合レンズとからなる。なお、負メニスカスレンズL21は物体側のレンズ面を非球面形状としたガラスモールド非球面レンズである。
【0065】
第3レンズ群G3は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL31と両凸形状の正レンズL32との接合レンズからなる。
第4レンズ群G4は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL41と物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL42との接合レンズと、両凸形状の正レンズL43と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL44との接合レンズと、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL45と、両凸形状の正レンズL46と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL47との接合レンズとからなる。なお、負メニスカスレンズL45は物体側のレンズ面を非球面形状としたガラスモールド非球面レンズであり、負メニスカスレンズL47は像側のレンズ面を非球面形状としたガラスモールド非球面レンズである。
【0066】
第5レンズ群G5は、物体側から順に、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL51と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL52との接合レンズからなる。なお、負メニスカスレンズL52は像側のレンズ面を非球面形状としたガラスモールド非球面レンズである。
【0067】
以上の構成の下、本実施例に係る変倍光学系では、広角端状態から望遠端状態への変倍時に、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との空気間隔、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との空気間隔、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との空気間隔、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との空気間隔、及び第5レンズ群G5と像面Iとの空気間隔がそれぞれ変化するように、第1レンズ群G1〜第5レンズ群G5が光軸に沿って移動する。
詳細には、第1レンズ群G1〜第5レンズ群G5が物体側へ移動する。なお、開口絞りSは変倍時に第4レンズ群G4と一体的に物体側へ移動する。
また、無限遠物体から近距離物体への合焦は、第3レンズ群G3を光軸に沿って像面I側に移動させることで行う。
【0068】
これにより、変倍時に、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との空気間隔が増加し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との空気間隔が減少し、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との空気間隔が増加し、第5レンズ群G5と像面Iとの空気間隔が増加する。第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との空気間隔は、広角端状態から中間焦点距離状態まで減少し、中間焦点距離状態から望遠端状態まで増加する。なお、変倍時に開口絞りSと第3レンズ群G3との空気間隔は、広角端状態から中間焦点距離状態まで増加し、中間焦点距離状態から望遠端状態まで減少する。
これらにより、本実施例に係る変倍光学系は、高変倍率を有し、且つ小型に構成されている。
以下の表4に、本実施例に係る変倍光学系の諸元の値を掲げる。
【0069】
(表4)第4実施例
[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞
1 128.6583 1.6350 1.950000 29.37
2 43.3153 8.5924 1.497820 82.57
3 -200.5952 0.1000
4 41.6932 4.9416 1.816000 46.59
5 226.2028 可変
*6 500.0000 1.0000 1.851348 40.10
7 9.4698 3.7102
8 -51.4849 1.0000 1.883000 40.66
9 32.3052 0.4591
10 17.6836 4.3937 1.808090 22.74
11 -11.5727 1.0000 1.902650 35.72
12 68.1728 可変
13(絞りS) ∞ 可変
14 23.9084 1.0000 1.883000 40.66
15 12.0540 3.5286 1.593190 67.90
16 -41.2723 可変
17 13.3372 7.1262 1.816000 46.59
18 23.6925 1.0000 1.850260 32.35
19 10.6208 2.0000
20 22.6183 3.2312 1.516800 63.88
21 -10.6478 1.0000 1.850260 32.35
22 -17.8847 1.5000
*23 88.9298 1.0000 1.806100 40.73
24 14.7135 3.2670
25 17.6589 5.9445 1.567320 42.58
26 -8.0000 1.0000 1.851348 40.10
*27 -23.1716 可変
28 -86.3077 1.3257 1.497820 82.57
29 -40.4370 1.0000 1.834410 37.28
*30 -70.0000 BF
像面 ∞
[非球面データ]
第6面
κ 11.00000
A4 2.16452E-05
A6 -6.30268E-08
A8 -2.73814E-09
A10 5.05766E-11
A12 -2.61890E-13
第23面
κ 1.00000
A4 -2.28843E-05
A6 8.75761E-07
A8 -2.20702E-08
A10 4.21746E-10
A12 0.00000E+00
第27面
κ 1.00000
A4 -8.32547E-05
A6 -6.55824E-08
A8 1.23463E-09
A10 -5.63694E-11
A12 0.00000E+00
第30面
κ 1.00000
A4 3.80084E-05
A6 -2.56034E-08
A8 4.99788E-11
A10 0.00000E+00
A12 0.00000E+00
[各種データ]
変倍比 14.13
W T
f 10.30 〜 145.50
FNO 4.12 〜 5.85
ω 39.50 〜 3.03°
Y 8.00 〜 8.00
TL 107.35 〜 157.35
W M T
f 10.30000 59.49985 145.49848
ω 39.49758 7.41063 3.03486
FNO 4.12 5.76 5.85
φ 8.71 8.62 10.14
d5 2.10000 32.37072 41.89456
d12 22.31334 6.07934 2.20000
d13 3.17825 4.10045 1.80000
d16 3.82220 2.90000 5.20045
d27 1.23135 12.66515 16.54997
BF 13.94909 25.45018 28.94846
[合焦時の合焦群移動量]
W M T
撮影倍率 -0.0100 -0.0100 -0.0100
撮影距離 1003.5628 5791.2514 14169.5696
移動量 0.1205 0.1520 0.2832
[レンズ群データ]
群 始面 f
1 1 63.10081
2 6 -8.44812
3 14 37.00000
4 17 42.46436
5 28 -485.09743
[条件式対応値]
(1)(d5it−d5iw)/(d3it−d3iw) = 0.473
(2)(d4t−d4w)/f4 = 0.361
(3)(−f2)/ft = 0.058
(4)f3/f4 = 0.871
【0070】
図11(a)、
図11(b)、及び
図11(c)はそれぞれ、本願の第4実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時の諸収差図である。
図12(a)、
図12(b)、及び
図12(c)はそれぞれ、本願の第4実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における近距離物体合焦時(撮影倍率-0.0100倍)の諸収差図である。
【0071】
各収差図より、本実施例に係る変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態にわたって、また、無限遠物体合焦状態から近距離物体合焦状態まで諸収差が良好に補正され、高い光学性能を有していることがわかる。
【0072】
上記各実施例によれば、高変倍比を有し、小型で、高い光学性能を有する変倍光学系を実現することができる。
なお、上記各実施例は本願発明の一具体例を示しているものであり、本願発明はこれらに限定されるものではない。以下の内容は、本願の変倍光学系の光学性能を損なわない範囲で適宜採用することが可能である。
【0073】
本願の変倍光学系の数値実施例として5群構成のものを示したが、本願はこれに限られず、その他の群構成(例えば、6群、7群等)の変倍光学系を構成することもできる。具体的には、本願の変倍光学系の最も物体側や最も像側にレンズ又はレンズ群を追加した構成でも構わない。なお、レンズ群とは、変倍時に変化する空気間隔で分離された、少なくとも1枚のレンズを有する部分を示す。
【0074】
また、本願の変倍光学系は、無限遠物体から近距離物体への合焦を行うために、レンズ群の一部、1つのレンズ群全体、或いは複数のレンズ群を合焦レンズ群として光軸方向へ移動させる構成としてもよい。本願の変倍光学系では第3レンズ群全体を合焦レンズ群とする例を示したが、第1レンズ群の少なくとも一部又は第2レンズ群の少なくとも一部又は第3レンズ群の少なくとも一部又は第4レンズ群の少なくとも一部又は第5レンズ群の少なくとも一部又はそれらの組合せで合焦レンズ群とすることも可能である。また、斯かる合焦レンズ群は、オートフォーカスに適用することも可能であり、オートフォーカス用のモータ、例えば超音波モータ等による駆動にも適している。
【0075】
また、本願の変倍光学系において、いずれかのレンズ群全体又はその一部を、防振レンズ群として光軸に対して垂直な方向の成分を含むように移動させ、又は光軸を含む面内方向へ回転移動(揺動)させることにより、手ぶれ等によって生じる像ぶれを補正する構成とすることもできる。特に、本願の変倍光学系では第2レンズ群の少なくとも一部又は第3レンズ群の少なくとも一部又は第4レンズ群の少なくとも一部又は第5レンズ群の少なくとも一部を防振レンズ群とすることが好ましい。
【0076】
また、本願の変倍光学系を構成するレンズのレンズ面は、球面又は平面としてもよく、或いは非球面としてもよい。レンズ面が球面又は平面の場合、レンズ加工及び組立調整が容易になり、レンズ加工及び組立調整の誤差による光学性能の劣化を防ぐことができるため好ましい。また、像面がずれた場合でも描写性能の劣化が少ないため好ましい。レンズ面が非球面の場合、研削加工による非球面、ガラスを型で非球面形状に成型したガラスモールド非球面、又はガラス表面に設けた樹脂を非球面形状に形成した複合型非球面のいずれでもよい。また、レンズ面は回折面としてもよく、レンズを屈折率分布型レンズ(GRINレンズ)或いはプラスチックレンズとしてもよい。
【0077】
また、本願の変倍光学系において開口絞りは第3レンズ群の近傍に配置されているが、開口絞りとして部材を設けずにレンズ枠でその役割を代用する構成としてもよい。
また、本願の変倍光学系を構成するレンズのレンズ面に、広い波長域で高い透過率を有する反射防止膜を施してもよい。これにより、フレアやゴーストを軽減し、高コントラストの高い光学性能を達成することができる。
【0078】
次に、本願の変倍光学系を備えたカメラを
図13に基づいて説明する。
図13は、本願の変倍光学系を備えたカメラの構成を示す図である。
図13に示すようにカメラ1は、撮影レンズ2として上記第1実施例に係る変倍光学系を備えたレンズ交換式の所謂ミラーレスカメラである。
本カメラ1において、不図示の物体(被写体)からの光は、撮影レンズ2で集光されて、不図示のOLPF(Optical low pass filter:光学ローパスフィルタ)を介して撮像部3の撮像面上に被写体像を形成する。そして、撮像部3に設けられた光電変換素子によって被写体像が光電変換されて被写体の画像が生成される。この画像は、カメラ1に設けられたEVF(Electronic view finder:電子ビューファインダ)4に表示される。これにより撮影者は、EVF4を介して被写体を観察することができる。
また、撮影者によって不図示のレリーズボタンが押されると、撮像部3で生成された被写体の画像が不図示のメモリに記憶される。このようにして、撮影者は本カメラ1による被写体の撮影を行うことができる。
【0079】
ここで、本カメラ1に撮影レンズ2として搭載した上記第1実施例に係る変倍光学系は、高変倍比を有し、小型で、高い光学性能を有する変倍光学系である。したがって本カメラ1は、高変倍比を有しつつ、小型化と高い光学性能を実現することができる。なお、上記第2〜第4実施例に係る変倍光学系を撮影レンズ2として搭載したカメラを構成しても、上記カメラ1と同様の効果を奏することができる。また、クイックリターンミラーを有し、ファインダ光学系によって被写体を観察する一眼レフタイプのカメラに上記各実施例に係る変倍光学系を搭載した場合でも、上記カメラ1と同様の効果を奏することができる。
【0080】
最後に、本願の変倍光学系の製造方法の概略を
図14に基づいて説明する。
図14に示す本願の変倍光学系の製造方法は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、正の屈折力を有する第4レンズ群と、第5レンズ群とを有する変倍光学系の製造方法であって、以下のステップS1、S2、S3を含むものである。
【0081】
ステップS1:第3レンズ群と第5レンズ群とが以下の条件式(1)を満足するようにし、各レンズ群をレンズ鏡筒内に物体側から順に配置する。
(1) 0.010<(d5it−d5iw)/(d3it−d3iw)<1.000
但し、
d3it:望遠端状態における前記第3レンズ群の最も像側のレンズ面から像面までの光軸上の距離
d3iw:広角端状態における前記第3レンズ群の最も像側のレンズ面から像面までの光軸上の距離
d5it:望遠端状態における前記第5レンズ群の最も像側のレンズ面から像面までの光軸上の距離
d5iw:広角端状態における前記第5レンズ群の最も像側のレンズ面から像面までの光軸上の距離
【0082】
ステップS2:レンズ鏡筒に公知の移動機構を設ける等することで、広角端状態から望遠端状態への変倍時に、第1レンズ群と第2レンズ群との間隔と、第2レンズ群と第3レンズ群との間隔と、第3レンズ群と第4レンズ群との間隔と、第4レンズ群と第5レンズ群との間隔とが変化するようにし、第5レンズ群が像面に対して移動するようにする。
ステップS3:レンズ鏡筒に公知の移動機構を設ける等することで、無限遠物体から近距離物体への合焦時に、第3レンズ群が光軸に沿って移動するようにする。
【0083】
斯かる本願の変倍光学系の製造方法によれば、高変倍比を有し、小型で、高い光学性能を有する変倍光学系を製造することができる。