(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合すること、生じるポリマーゲルを通気ベルト式乾燥機(through circulation belt dryer)上で乾燥させること、乾燥されたポリマーゲルを破砕すること、予備粉砕すること、不完全に乾燥された粒子を穴板を用いて分離すること、粉砕すること、および生じるポリマー粒子を分級することを含む、吸水性ポリマー粒子の製造方法に関する。
【0002】
吸水性ポリマー粒子は、おむつ、タンポン、サニタリーナプキンおよび他の衛生物品を製造するために、さらにはガーデニング市場における保水剤として使用されている。吸水性ポリマー粒子は、しばしば、「吸水性樹脂」、「超吸収体」、「超吸収性ポリマー」、「吸収性ポリマー」、「吸収性ゲル化材料」、「親水性ポリマー」または「ヒドロゲル」とも称される。
【0003】
吸収性ポリマー粒子の製造は、モノグラフ「Modern Superabsorbent Polymer Technology」、F.L. Buchholz and A.T. Graham, Wiley−VCH、1998、71〜103ページに記載されている。
【0004】
重合された際のヒドロゲルは好ましくは通気ベルト式乾燥機上で乾燥される。該方法において、不均質性とは、ゲル層がしばしば不均質に乾燥され、ヒドロゲルの各々の部分が過乾燥されなければならず、製造物の品質の損傷が引き起こされるか、またはヒドロゲルの一部が不充分にしか乾燥されないことを意味する。不完全に乾燥されたポリマー粒子は、引き続く工程段階において問題をもたらし、且つ、分離除去されなければならない。
【0005】
乾燥において不完全に乾燥されたポリマー粒子を回避するための方法は、例えばJPH06−73518号、JPH06−107800号、EP0497623号A2、EP0508810号A2およびEP0574248号A2から公知である。
【0006】
JP−H06−73518号は、ヒドロゲルをベルト式乾燥機上で乾燥させるための方法であって、乾燥機の電力出力が、ゲル層の現在の厚さに連続的に適合され、そのことによって不完全に乾燥されたポリマー粒子の部分が低減される前記方法を記載している。
【0007】
JP−H06−107800号は、過乾燥すること、および不完全に乾燥されたポリマー粒子の分離を、乾燥前に大きすぎる塊を除去することによって回避できることを教示している。
【0008】
EP0497623号A2は、乾燥前にヒドロゲルを押し出す方法を開示している。
【0009】
EP0508810号A2およびEP0574248号A2は重合反応器としての特定のニーダーの使用を教示しており、そこでは、乾燥前に比較的大きなヒドロゲル粒子が回避される。
【0010】
不完全に乾燥されたポリマー粒子の分離は、例えばEP0948997号A2、US6641064号およびUS7682702号内に記載されている。
【0011】
EP0948997号A2およびUS6641064号は、吸水性ポリマーの連続的な製造方法であって、不完全に乾燥されたポリマー粒子を分離除去し、且つ、適宜、乾燥段階に再循環する前記方法を開示している。
【0012】
US7782702号は、分離された不完全に乾燥されたポリマー粒子を、乾燥段階に再循環する前に粉砕することを教示している。
【0013】
本発明は、不完全に乾燥されたポリマー粒子を連続的に分離するための改善された方法を提供することを課題としている。
【0014】
本発明は、定例の整備作業が減少された、吸水性ポリマー粒子を連続的に生産するための改善された方法を提供することを課題としている。
【0015】
前記の課題は、
a) 酸基を有し且つ少なくとも部分的に中和され得る少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマー、
b) 少なくとも1つの架橋剤、
c) 少なくとも1つの開始剤、
d) 随意に、a)に記載されたモノマーと共重合可能な1つまたはそれより多くのエチレン性不飽和モノマー、および
e) 随意に、1つまたはそれより多くの水溶性ポリマー
を含むモノマー溶液または懸濁液を重合すること、生じるポリマーゲルを通気ベルト式乾燥機上で乾燥させること、乾燥されたポリマーゲルを破砕すること、予備粉砕すること、不完全に乾燥された粒子を振動ふるいによって分離すること、生じるポリマー粒子を粉砕し且つ分級することを含む吸水性ポリマー粒子の製造方法であって、その際、振動ふるいは、厚さ0.5〜5mm、開孔面積20〜80%、および穴径5〜20mmを有する穴板である、前記製造方法によって解決された。
【0016】
穴板の厚さは、好ましくは0.75〜4mm、より好ましくは0.9〜3mm、最も好ましくは1〜2mmである。穴板は好ましくはステンレス鋼製である。穴板の開孔面積は、好ましくは30〜70%、より好ましくは40〜65%、最も好ましくは45〜60%である。前記穴板の開孔面積は、穴板の全ての開口部の面積の和を、穴板の面積で割ったものである。穴の直径は、好ましくは6.5〜18mm、より好ましくは8〜16mm、最も好ましくは9〜15mmである。穴は、最短の開孔距離および最長の開孔距離が特定された範囲内である限り、任意の形状を有してよい。穴は好ましくは円形であり、且つ、穴の中心は
図1に示されるように等辺三角形を形成する。
【0017】
本発明は、通常のふるいを使用する代わりに穴板を使用することによって、振動ふるいの寿命が著しく改善することができるという知見に基づいている。
【0018】
通気ベルト式乾燥機上での乾燥後のヒドロゲルの湿分含有率は、好ましくは10質量%未満、より好ましくは7.5質量%未満、最も好ましくは5質量%未満であり、特定された湿分含有率は、生じ得る不均一性のために単なる平均値である。
【0019】
分離された不完全に乾燥されたポリマー粒子の湿分含有率は、好ましくは少なくとも10質量%、より好ましくは少なくとも15質量%、最も好ましくは少なくとも20質量%である。
【0020】
分離された不完全に乾燥されたポリマー粒子の量は、乾燥されたポリマーゲルに対して、好ましくは50質量%未満、より好ましくは35質量%未満、最も好ましくは25質量%未満である。
【0021】
分離された不完全に乾燥されたポリマー粒子は、乾燥されたポリマーゲルよりも高い湿分含有率を有する。通常、分離された不完全に乾燥されたポリマー粒子の湿分含有率は10質量%〜30質量%の範囲であり、湿分含有率は通常、粒径に伴って増加する。
【0022】
通気ベルト式乾燥機の最後での、乾燥されたポリマーゲルは多孔質シートの形状を有することがあり、それは任意の適した手段によって破砕されなければならない。好ましくは、通気ベルト式乾燥機の一部であり得る破砕機として歯付ロールが使用される。
【0023】
破砕によって形成される粗いポリマー粒子は、予備粉砕されなければならない。不完全に乾燥されたポリマー粒子は弾性であり、且つ、単に変形されるが、予備粉砕の間に破壊はされない。湿分含有率10質量%未満を有する粗いポリマー粒子は脆く、且つ、好ましくは0.1〜15mm、より好ましくは0.2〜10mm、最も好ましくは0.3〜8mmのメジアン粒径に予備粉砕される。それらの要求を満たす任意の適した手段を、予備粉砕のために使用できる。好ましくはロールミルが予備粉砕のために使用される。ロールミルは、好ましくは1〜10mm、より好ましくは1.2〜8mm、最も好ましくは1.5〜6mmのギャップ幅を有する。
【0024】
分離される不完全に乾燥されたポリマー粒子の分離後、残っている乾燥されたポリマー粒子を粉砕する。粉砕のための有用な手段は、ピンミル、ハンマミルまたは振動ミルである。好ましくは、多段式のロールミルを粉砕のために使用し、製造物の流れ方向においてギャップ幅が段階的に減少するものが好ましい。三段式のロールミルが特に好ましい。段階数の増加に伴い、粒径分布が狭くなる。本発明に関する多段式ロールミルとは、例えば、複数の連続したロール対を有するロールミル、または各々1つのロール対を有する複数の連続したロールミルである。ロールミルは、好ましくは0.1〜1mm、より好ましくは0.2〜0.9mm、最も好ましくは0.25〜0.8mmのギャップ幅を有する。
【0025】
本発明の好ましい実施態様において、分離された不完全に乾燥されたポリマー粒子がさらに乾燥される。分離された不完全に乾燥されたポリマー粒子を乾燥させるために有用な乾燥機は、いかなる制限も受けない。好ましくは接触式乾燥機、例えばパドル乾燥機またはディスク乾燥機がかかる乾燥のために有用である。
【0026】
本発明のより好ましい実施態様において、分離された不完全に乾燥されたポリマー粒子をさらなる乾燥前に切断する。かかる切断のために好ましくはカッティングミルが使用される。
【0027】
本発明の最も好ましい実施態様において、分離された不完全に乾燥されたポリマー粒子を、穴板を有する2つの振動ふるいのセットを用いて分離する。上方の穴板の穴径は、下方の穴板の穴径よりも好ましくは少なくとも0.5mm、より好ましくは少なくとも1mm、最も好ましくは少なくとも2mm大きい。さらなる乾燥に先立ち、上方の穴板によって分離される不完全に乾燥された粒子のみを切断することが非常に特に好ましい。
【0028】
不完全に乾燥された粒子、特により大きいものの切断は、かかる粒子のさらなる乾燥を改善する。
【0029】
吸水性ポリマー粒子の製造を、以下に詳細に記載する。
【0030】
吸水性ポリマー粒子は、モノマー溶液または懸濁液を重合することによって製造され、且つ典型的には水不溶性である。
【0031】
モノマーa)は好ましくは水溶性である、即ち、水中、23℃での可溶性が典型的には少なくとも1g/水100g、好ましくは少なくとも5g/水100g、より好ましくは少なくとも25g/水100g、および最も好ましくは少なくとも35g/水100gである。
【0032】
適したモノマーa)は、例えばエチレン性不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸およびイタコン酸である。特に好ましいモノマーは、アクリル酸およびメタクリル酸である。アクリル酸が非常に特に好ましい。
【0033】
さらに適したモノマーa)は、例えばエチレン性不飽和スルホン酸、例えばスチレンスルホン酸および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)である。
【0034】
不純物は重合に著しい影響を有することがある。従って、使用される原料は、最大限の純度を有するべきである。従って、多くの場合、モノマーa)を特に精製することが有利である。適した精製方法は、例えばWO2002/055469号A1、WO2003/078378号A1およびWO2004/035514号A1内に記載されている。適したモノマーa)は、例えば、WO2004/035514号A1に従って精製され且つ99.8460質量%のアクリル酸、0.0950質量%の酢酸、0.0332質量%の水、0.0203質量%のプロピオン酸、0.0001質量%のフルフラール、0.0001質量%のマレイン酸無水物、0.0003質量%のジアクリル酸および0.0050質量%のヒドロキノンモノメチルエーテルを含むアクリル酸である。
【0035】
モノマーa)の総量におけるアクリル酸および/またはその塩の割合は、好ましくは少なくとも50mol%、より好ましくは少なくとも90mol%、最も好ましくは少なくとも95mol%である。
【0036】
モノマーa)は典型的には重合阻害剤、好ましくはヒドロキノンモノエーテルを貯蔵安定剤として含む。
【0037】
モノマー溶液は、各々中和されていないモノマーa)に対して、好ましくは250質量ppmまで、好ましくは最大130質量ppm、より好ましくは最大70質量ppm、および好ましくは少なくとも10質量ppm、より好ましくは少なくとも30質量ppmおよび特に約50質量ppmのヒドロキノンモノエーテルを含む。例えば、モノマー溶液を、適切な含有率のヒドロキノンモノエーテルと共に酸基を有するエチレン性不飽和モノマーを使用することによって調製できる。
【0038】
好ましいヒドロキノンモノエーテルは、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)および/またはα−トコフェノール(ビタミンE)である。
【0039】
適した架橋剤b)は、架橋のために適した少なくとも2つの基を有する化合物である。かかる基は、例えば、ラジカル重合によりポリマー鎖内に導入可能なエチレン性不飽和基であり、且つ、モノマーa)の酸基と共有結合を形成できる官能基である。さらには、モノマーa)の少なくとも2つの酸基と配位結合を形成できる多価の金属塩も、架橋剤b)として適している。
【0040】
架橋剤b)は、好ましくはラジカル重合によりポリマーネットワーク中に導入可能な少なくとも2つの重合性基を有する化合物である。適した架橋剤b)は例えば、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルアミン、テトラアルキルアンモニウムクロリド、テトラアリルオキシエタン(EP0530438号A1に記載)、ジアクリレートおよびトリアクリレート(EP0547847号A1、EP0559476号A1、EP0632068号A1、WO93/21237号A1、WO2003/104299号A1、WO2003/104300号A1、WO2003/104301号A1およびDE10331450号A1に記載)、アクリレート基と同様にさらなるエチレン性不飽和基を含む混合アクリレート(DE10331456号A1およびDE10355401号A1に記載)、または架橋剤混合物(例えばDE19543368号A1、DE19646484号A1、WO90/15830号A1およびWO2002/032962号A2に記載)である。
【0041】
好ましい架橋剤b)は、ペンタエリトリチルトリアリルエーテル、テトラアリルオキシエタン、メチレンビスメタクリルアミド、15箇所エトキシ化されたトリメチロールプロパントリアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートおよびトリアリルアミンである。
【0042】
非常に特に好ましい架橋剤b)は、ポリエトキシ化および/またはポリプロポキシ化されたグリセロールであって、アクリル酸またはメタクリル酸でエステル化されてジアクリレートまたはトリアクリレートを生じるものであり、例えばWO2003/104301号A1内に記載されている。3〜10箇所エトキシ化されたグリセロールのジアクリレートおよび/またはトリアクリレートが特に有利である。1〜5箇所エトキシ化および/またはプロポキシ化されたグリセロールのジアクリレートまたはトリアクリレートが非常に特に好ましい。3〜5箇所エトキシ化および/またはプロポキシ化されたグリセロールのトリアクリレート、特に3箇所エトキシ化されたグリセロールのトリアクリレートが最も好ましい。
【0043】
架橋剤b)の量は、各々、モノマーa)に対して好ましくは0.05〜1.5質量%、より好ましくは0.1〜1質量%および最も好ましくは0.3〜0.6質量%である。架橋剤含有率が増加すると、遠心保持容量(CRC)が低下し、且つ、21.0g/cm
2の圧力下での吸収が最大値を通り過ぎる。
【0044】
使用される開始剤c)は、重合条件下で遊離基を生成する全ての化合物、例えば熱開始剤、レドックス開始剤、光開始剤であってよい。適したレドックス開始剤は、ペルオキソ二硫酸ナトリウム/アスコルビン酸、過酸化水素/アスコルビン酸、ペルオキソ二硫酸ナトリウム/重亜硫酸ナトリウム、および過酸化水素/重亜硫酸ナトリウムである。熱開始剤とレドックス開始剤との混合物、例えばペルオキソ二硫酸ナトリウム/過酸化水素/アスコルビン酸を使用することが好ましい。しかしながら、使用される還元成分は、好ましくは二ナトリウム2−ヒドロキシ−2−スルホナトアセテート、または二ナトリウム2−ヒドロキシ−2−スルフィナトアセテートと、二ナトリウム2−ヒドロキシ−2−スルホナトアセテートと、重亜硫酸ナトリウムとの混合物である。かかる混合物はBrueggolite(登録商標) FF6およびBrueggolite(登録商標) FF7 (Brueggemann Chemicals; ハイルブロン; ドイツ)として入手可能である。
【0045】
酸基を有するエチレン性不飽和モノマーa)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマーd)は、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレートである。
【0046】
使用される水溶性ポリマーe)は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、デンプン誘導体、変性セルロース、例えばメチルセルロースまたはヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン、ポリグリコールまたはポリアクリル酸、好ましくはデンプン、デンプン誘導体および変性セルロースであってよい。
【0047】
典型的には、モノマー水溶液が使用される。モノマー溶液の含水率は、好ましくは40〜75質量%、より好ましくは45〜70質量%、および最も好ましくは50〜65質量%である。モノマー懸濁液、即ち、過剰なモノマーa)、例えばアクリル酸ナトリウムを有するモノマー溶液を使用することも可能である。含水率が上昇すると、次の乾燥におけるエネルギーの需要が上昇し、且つ、含水率が低下すると、重合の熱は不充分にしか除去できなくなる。
【0048】
最適の作用のために、好ましい重合禁止剤は溶存酸素を必要とする。従って、モノマー溶液は、不活性化、即ち不活性ガス、好ましくは窒素または二酸化炭素の流通によって、重合前に溶存酸素をなくすことができる。モノマー溶液の酸素含有率は好ましくは、重合前に1質量ppm未満、より好ましくは0.5質量ppm未満、最も好ましくは0.1質量ppm未満に下げられる。
【0049】
重合反応をより良く制御するために、随意に、全ての公知のキレート剤をモノマー溶液もしくは懸濁液に、またはその原料に添加することが可能である。適したキレート剤は例えば、リン酸、二リン酸、三リン酸、ポリリン酸、クエン酸、酒石酸またはそれらの塩である。
【0050】
さらに適した例は、イミノ二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸、ニトリロトリプロピオン酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシンおよびトランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン四酢酸およびそれらの塩である。使用される量は、モノマーa)に対して、典型的には1〜30000ppm、好ましくは10〜1000ppm、優先的には20〜600ppm、より好ましくは50〜400ppm、最も好ましくは100〜300ppmである。
【0051】
前記モノマー溶液または懸濁液が重合される。適した反応器は、例えば混練反応器またはベルト式反応器である。ニーダーにおいて、モノマー水溶液もしくは懸濁液の重合において形成されたポリマーゲルを、例えば、WO2001/038402号A1内に記載されるような反転撹拌軸によって連続的に粉砕する。ベルト上での重合は、例えば、DE3825366号A1およびUS6241928号内に記載されている。ベルト式反応器内での重合は、さらなる工程段階において、例えば押出機またはニーダーにおいて粉砕されなければならないポリマーゲルを形成する。
【0052】
乾燥特性を改善するために、ニーダーを用いて得られた粉砕されたポリマーゲルを、追加的に押し出すことができる。
【0053】
生じるポリマーゲルの酸基は、典型的には部分的に中和されている。中和は、好ましくはモノマー段階で実施される。これは典型的には、水溶液として、または好ましくは固体としての中和剤内で混合することによって実施される。中和度は好ましくは50〜90mol%、より好ましくは60〜85mol%、且つ最も好ましくは65〜80モル%であり、このために通常の中和剤、好ましくはアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属炭酸塩またはアルカリ金属炭酸水素塩およびそれらの混合物を使用できる。アルカリ金属塩の代わりに、アンモニウム塩を使用することも可能である。特に好ましいアルカリ金属はナトリウムおよびカリウムであるが、しかし水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムおよびそれらの混合物が非常に特に好ましい。
【0054】
しかしながら、重合後に、該重合において形成されたポリマーゲルの段階で中和を行うことも可能である。重合前に、中和剤の一部分を実際にモノマー溶液に添加することにより、40mol%まで、好ましくは10〜30mol%およびより好ましくは15〜25mol%の酸基を中和し、且つポリマーゲルの段階で、重合後になって初めて所望の最終的な中和度に調節することも可能である。ポリマーゲルが重合後に少なくとも部分的に中和される場合には、該ポリマーゲルは好ましくは機械的に、例えば押出機を用いて粉砕され、この場合、中和剤は噴霧、散布または注ぎ入れられてよく、その後、入念に混入される。このために、得られるゲル体を均質化のために繰り返し押し出すことができる。
【0055】
生じるポリマーゲルを、通気ベルト式乾燥機において、残留湿分含有率が好ましくは0.5〜10質量%、より好ましくは1〜7質量%、最も好ましくは2〜5質量%になるまで乾燥させ、前記残留湿分含有率は、EDANA推奨試験方法WSP230.2−05「Mass Loss Upon Heating」によって測定される。高すぎる残留湿分含有率の場合、乾燥されたポリマーゲルは、低すぎるガラス転移温度T
gを有し、且つ、さらなる加工が困難になる。低すぎる残留湿分含有率の場合、乾燥されたポリマーゲルは脆すぎ、且つ、引く続く破砕および粉砕段階において、過剰に小さな粒径を有する不所望に多量のポリマー粒子が得られる(「微粉」)。乾燥前のゲルの固体含有率は、好ましくは25〜90質量%、より好ましくは35〜70質量%、および最も好ましくは40〜60質量%である。乾燥されたポリマーゲルは、予備整粒(pre−sizing)のために破砕される。破砕機は通気ベルト式乾燥機の一部であってよい。
【0056】
引き続き、乾燥されたポリマーゲルを破砕し、予備粉砕し、不完全に乾燥された粒子から分離し、粉砕し、且つ分級する。
【0057】
製造物の断片として除去されるポリマー粒子の平均粒径は、好ましくは少なくとも200μm、より好ましくは250〜600μm、および非常に特に300〜500μmである。製造物の断片の平均粒径を、EDANA推奨試験方法No.WSP220.2−05「Particle Size Distribution」を用いて測定することができ、その際、分級留分の質量割合は累加された形でプロットされ、且つ、平均粒径はグラフから決定される。ここで、平均粒径は、累積で50質量%をもたらすメッシュサイズの値である。
【0058】
少なくとも150μmの粒径を有する粒子の割合は、好ましくは少なくとも90質量%、より好ましくは少なくとも95質量%、最も好ましくは少なくとも98質量%である。
【0059】
小さすぎる粒径を有するポリマー粒子は、生理食塩水流れ誘導性(saline flow conductivity、SFC)を低下させる。従って、過度に小さいポリマー粒子(微粉)の割合は、低くなければならない。
【0060】
従って、過度に小さいポリマー粒子は典型的には除去され、且つ、工程に再循環される。これは好ましくは、重合前、重合の間または重合の直後、即ち、ポリマーゲルの乾燥前に行われる。過度に小さいポリマー粒子を、再循環の前または再循環の間に、水および/または水性の界面活性剤で湿らせることができる。
【0061】
過度に小さいポリマー粒子を、後の工程において、例えば表面の後架橋または他の被覆段階の後に除去することも可能である。この場合、再循環された過度に小さいポリマー粒子は表面が後架橋されているか、または他の手段において、例えばフュームドシリカで被覆されている。
【0062】
重合のために混練反応器が使用される場合、過度に小さいポリマー粒子は好ましくは重合の最後の1/3の間に添加される。
【0063】
過度に小さいポリマー粒子が非常に早い段階で、例えば実際にモノマー溶液に添加される場合、これは、生じる吸水性ポリマー粒子の遠心保持容量(CRC)を下げる。しかしながら、これは、例えば使用される架橋剤b)の量を調節することによって補償することができる。
【0064】
過度に小さいポリマー粒子が非常に遅い段階で添加される場合、例えば重合反応器の下流に接続される装置、例えば押出機まで添加されない場合、過度に小さいポリマー粒子を生じるポリマーゲル中に混入することは困難である。しかしながら、不充分に混入された過度に小さいポリマー粒子は、乾燥されたポリマーゲルから粉砕の間に再度分離され、従って、分級の間に再度除去され、且つ、再循環されるべき過度に小さいポリマー粒子の量を増加させる。
【0065】
最大850μmの粒径を有する粒子の割合は、好ましくは少なくとも90質量%、より好ましくは少なくとも95質量%、最も好ましくは少なくとも98質量%である。
【0066】
最大600μmの粒径を有する粒子の割合は、好ましくは少なくとも90質量%、より好ましくは少なくとも95質量%、最も好ましくは少なくとも98質量%である。
【0067】
過度に大きな粒径のポリマー粒子は、自由膨潤速度を低下させる。従って、過度に大きいポリマー粒子の割合も低くなければならない。
【0068】
従って、過度に大きいポリマー粒子は典型的には除去され、且つ、乾燥されたポリマーゲルの粉砕に再循環される。
【0069】
特性を改善するために、ポリマー粒子を次に、熱により後架橋することができる。適した表面後架橋剤は、ポリマー粒子の少なくとも2つの酸基と共有結合を形成できる基を含む化合物である。適した化合物は、例えば多官能性アミン、多官能性アミドアミン、多官能性エポキシド(EP0083022号A2、EP0543303号A1、およびEP0937736号A2内に記載)、二官能性または多官能性アルコール(DE3314019号A1、DE3523617号A1およびEP0450922号A2内に記載)、またはβ−ヒドロキシアルキルアミド(DE10204938号A1およびUS6239230号内に記載)である。
【0070】
適した表面後架橋剤として追加的に記載されるものは、環式炭酸塩(DE4020780号C1内)、2−オキサゾリジノンおよびその誘導体、例えば2−ヒドロキシエチル−2−オキサゾリジノン(DE19807502号A1内)、ビス−およびポリ−2−オキサゾリジノン(DE19807992号C1内)、2−オキソテトラヒドロ−1,3−オキサジンおよびその誘導体(DE19854573号A1内)、N−アシル−2−オキサゾリジノン(DE19854574号A1内)、環式ウレア(DE10204937号A1内)、二環式アミドアセタール(DE10334584号A1内)、オキセタンおよび環式ウレア(EP1199327号A2内)およびモルホリン−2,3−ジオンおよびその誘導体(WO2003/031482号A1内)である。
【0071】
好ましい表面後架橋剤は、炭酸エチレン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリアミドとエピクロロヒドリンとの反応生成物、およびプロピレングリコールと1,4−ブタンジオールとの混合物である。
【0072】
非常に特に好ましい表面後架橋剤は、2−ヒドロキシエチルオキサゾリジン−2−オン、オキサゾリジン−2−オンおよび1,3−プロパンジオールである。
【0073】
さらには、DE3713601号A1に記載されるとおり、追加的に重合可能なエチレン性不飽和基を含む表面後架橋剤を使用することも可能である。
【0074】
表面後架橋剤の量は、各々、ポリマー粒子に対して、好ましくは0.001〜2質量%、より好ましくは0.02〜1質量%、および最も好ましくは0.05〜0.2質量%である。
【0075】
本発明の好ましい実施態様において、表面後架橋剤に加えて、表面後架橋前、表面後架橋の間または表面後架橋後に、多価カチオンを粒子表面に施与することができる。
【0076】
本発明による方法において有用な多価カチオンは、例えば、二価のカチオン、例えば亜鉛、マグネシウム、カルシウム、鉄およびストロンチウムのカチオン、三価のカチオン、例えばアルミニウム、鉄、クロム、希土類およびマンガンのカチオン、四価のカチオン、例えばチタンおよびジルコニウムのカチオンである。可能な対イオンは、塩化物イオン、臭化物イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオンおよびカルボン酸イオン、例えば酢酸イオンおよび乳酸イオンである。硫酸アルミニウムおよび乳酸アルミニウムが好ましい。金属塩の他に、ポリアミンを多価カチオンとして使用することも可能である。
【0077】
使用される多価カチオンの量は、各々、ポリマー粒子に対して、例えば0.001〜1.5質量%、好ましくは0.005〜1質量%、およびより好ましくは0.02〜0.8質量%である。
【0078】
表面後架橋は典型的には表面後架橋剤の溶液を乾燥されたポリマー粒子上に噴霧する方式で実施される。噴霧塗布後、表面後架橋剤で被覆されたポリマー粒子を熱的に乾燥させ、且つ、乾燥の前または乾燥の間のいずれかで表面後架橋反応が起きることができる。
【0079】
表面後架橋剤の溶液の噴霧塗布を、好ましくは可動式混合器具、例えばスクリュー混合機、ディスク混合機、およびパドル混合機を備えた混合機内で実施する。水平混合機、例えばパドル混合機が特に好ましく、垂直混合機が非常に特に好ましい。水平混合機と垂直混合機とは、混合軸の位置によって区別される、即ち、水平混合機は水平に搭載された混合軸を有し、且つ、垂直混合機は垂直に搭載された混合軸を有する。適した混合機は、例えば、水平Pflugschar(登録商標)プロシェア混合機 (Gebr. Loedige Maschinenbau GmbH; パーダーボルン; ドイツ)、Vrieco−Nauta連続混合機 (Hosokawa Micron BV; ドゥーティンヘム; オランダ)、Processall Mixmill混合機 (Processall Incorporated; シンシナティ; 米国)およびSchugi Flexomix(登録商標) (Hosokawa Micron BV; ドゥーティンヘム; オランダ)である。しかしながら、流動床内で表面後架橋溶液を噴霧することも可能である。
【0080】
表面後架橋剤は典型的には水溶液の形態で使用される。ポリマー粒子内への表面後架橋剤の侵入深さを、非水性溶剤の含有率および溶剤の総量によって調節することができる。
【0081】
水が排他的に溶剤として使用される場合、有利には界面活性剤が添加される。これは、湿潤挙動を改善し、塊が形成する傾向を低下させる。しかしながら、溶剤混合物、例えばイソプロパノール/水、1,3−プロパンジオール/水、およびプロピレングリコール/水を使用することが好ましく、その際、質量の観点での混合比は好ましくは20:80〜40:60である。
【0082】
熱による表面後架橋を、好ましくは接触式乾燥機、より好ましくはパドル乾燥機、最も好ましくはディスク乾燥機内で実施する。適した乾燥機は、例えばHosokawa Bepex(登録商標) 水平パドル乾燥機(Hosokawa Micron GmbH; ラインガルテン; ドイツ)、Hosokawa Bepex(登録商標)ディスク乾燥機 (Hosokawa Micron GmbH; ラインガルテン; ドイツ)およびNaraパドル乾燥機(NARA Machinery Europe; フレッヒェン; ドイツ)である。さらには、流動床乾燥機も使用できる。
【0083】
熱による表面後架橋を、混合機自体の中で、外装を加熱することまたは温風中で吹き付けることによって実施できる。ダウンストリーム乾燥機、例えば棚段乾燥機、回転管状炉または加熱可能なスクリューも同様に適している。混合および乾燥を流動床式乾燥機内で行うことが特に有利である。
【0084】
好ましい表面後架橋温度は、100〜250℃、好ましくは120〜220℃、より好ましくは130〜210℃、および最も好ましくは150〜200℃の範囲である。反応混合機または乾燥機内でのこの温度での好ましい滞留時間は、好ましくは少なくとも10分、より好ましくは少なくとも20分、最も好ましくは少なくとも30分、および典型的には最長60分である。
【0085】
引き続き、表面後架橋されたポリマー粒子を再度分級し、過度に小さいポリマー粒子および/または過度に大きいポリマー粒子が除去され且つ工程に再循環される。
【0086】
特性をさらに改善するために、表面後架橋されたポリマー粒子を被覆するか、または再加湿することができる。
【0087】
再加湿は、好ましくは30〜80℃、より好ましくは35〜70℃、最も好ましくは40〜60℃で実施される。過度に低い温度では、吸水性ポリマー粒子は塊を形成する傾向があり、且つ、より高い温度では、水が既に著しく蒸発する。再加湿のために使用される水の量は、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%、および最も好ましくは3〜5質量%である。再加湿は、ポリマー粒子の機械的な安定性を高め、且つ、それらの静電荷の帯電傾向を低下させる。
【0088】
自由膨潤速度および生理食塩水流れ誘導性(SFC)を改善するために適した被覆は、例えば、無機の不活性物質、例えば水溶性の金属塩、有機ポリマー、カチオン性ポリマーおよび二価もしくは多価の金属カチオンである。ダストを結合するために適した被覆は、例えばポリオールである。ポリマー粒子の望ましくないケーク化傾向を打ち消すために適した被覆は、例えばフュームドシリカ、例えばAerosil(登録商標) 200および界面活性剤、例えばSpan(登録商標) 20である。
【0089】
本発明による方法によって製造された吸水性ポリマー粒子は、遠心保持容量(CRC)が、典型的には少なくとも15g/g、好ましくは少なくとも20g/g、より好ましくは少なくとも22g/g、特に好ましくは少なくとも24g/g、および最も好ましくは少なくとも26g/gである。吸水性ポリマー粒子の遠心保持容量(CRC)は、典型的には60g/g未満である。遠心保持容量(CRC)は、EDANA推奨試験方法No. WSP 241.2−05、「Fluid Retention Capacity in Saline, After Centrifugation」によって測定される。
【0090】
本発明による方法によって製造された吸水性ポリマー粒子は、49.2g/cm
2の圧力下での吸収が典型的には少なくとも15g/g、好ましくは少なくとも20g/g、より好ましくは少なくとも22g/g、特に好ましくは少なくとも24g/g、および最も好ましくは少なくとも26g/gである。吸水性ポリマー粒子の49.2g/cm
2の圧力下での吸収は、典型的には35g/g未満である。49.2g/cm
2の圧力下での吸収は、EDANA推奨試験方法No.WSP 242.2−05 「Absorption under Pressure, Gravimetric Determination」と同様に測定されるが、ただし、21.0g/cm
2の圧力の代わりに49.2g/cm
2の圧力に設定される点で異なる。
【0091】
方法:
特段記載されない限り、測定は、雰囲気温度23±2℃、および相対湿度50±10%で行われるべきである。測定前に吸水性ポリマー粒子を徹底的に混合する。
【0092】
遠心保持容量
吸水性ポリマー粒子の遠心保持容量(CRC)を、EDANA推奨試験方法No. WSP 241.2−05 「Centrifuge Retention Capacity」によって測定する。
【0093】
前記のEDANA試験方法は、例えばEDANA(Avenue Eugene Plasky 157, B−1030 ブリュッセル、ベルギー)から入手可能である。