特許第6315032号(P6315032)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6315032
(24)【登録日】2018年4月6日
(45)【発行日】2018年4月25日
(54)【発明の名称】撮像素子および撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20180416BHJP
   H04N 5/369 20110101ALI20180416BHJP
   G02B 7/28 20060101ALI20180416BHJP
   G02B 7/34 20060101ALI20180416BHJP
   G03B 13/36 20060101ALI20180416BHJP
【FI】
   H01L27/146 A
   H04N5/369
   G02B7/28 N
   G02B7/34
   G03B13/36
   H01L27/146 D
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-135031(P2016-135031)
(22)【出願日】2016年7月7日
(62)【分割の表示】特願2012-129207(P2012-129207)の分割
【原出願日】2012年6月6日
(65)【公開番号】特開2016-208042(P2016-208042A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2016年7月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100084412
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 冬紀
(74)【代理人】
【識別番号】100078189
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 隆男
(72)【発明者】
【氏名】村田 寛信
【審査官】 梶尾 誠哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−289828(JP,A)
【文献】 特開2011−176714(JP,A)
【文献】 特開2008−312073(JP,A)
【文献】 特開2012−49201(JP,A)
【文献】 特開2013−254076(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
G02B 7/28
G02B 7/34
G03B 13/36
H04N 5/369
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系からの光が入射される撮像素子であって、
第1方向においてそれぞれ順番に配置され、第1分光特性を有するフィルタを介して入射した光により前記光学系の焦点調節に用いるとともに、画像生成用に互いに加算される信号を生成する第1画素及び第2画素と、
前記第1方向と交差する第2方向においてそれぞれ順番に配置され、前記第1分光特性とは異なる第2分光特性を有するフィルタを介して入射した光により画像生成用に互いに加算される信号を生成する第3画素及び第4画素と、を備え、
前記第1画素及び前記第3画素と前記第2画素及び前記第4画素とは、前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向においてそれぞれ順番に配置され、
前記第1方向において前記第1画素及び前記第2画素が配置される間隔は、前記第3方向において、前記第1画素及び前記第3画素が配置される間隔と前記第2画素及び前記第4画素が配置される間隔とよりも広い撮像素子。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像素子において、
前記第2方向において前記第3画素及び前記第4画素が配置される間隔は、前記第3方向において、前記第1画素及び前記第3画素が配置される間隔と前記第2画素及び前記第4画素が配置される間隔とよりも広い撮像素子。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の撮像素子において、
前記第1画素、前記第2画素、前記第3画素及び前記第4画素は、光を電荷に変換する光電変換部をそれぞれ有し、
前記第1画素の前記光電変換部と前記第2画素の前記光電変換部とは、第1開口からの光が入射され、
前記第3画素の前記光電変換部と前記第4画素の前記光電変換部とは、前記第1開口よりも開口面積が広い第2開口からの光が入射される撮像素子。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第2方向においてそれぞれ順番に配置され、前記第1分光特性及び前記第2分光特性とは異なる第3分光特性を有するフィルタを介して入射した光により画像生成用に互いに加算される信号を生成する第5画素及び第6画素を備える撮像素子。
【請求項5】
請求項4に記載の撮像素子において、
前記第2画素、前記第4画素及び前記第5画素は、前記第3方向においてそれぞれ順番に配置される撮像素子。
【請求項6】
請求項4に記載の撮像素子において、
前記第1方向において前記第1画素及び前記第2画素が配置される間隔は、前記第3方向において、前記第2画素、前記第4画素及び前記第5画素がそれぞれ配置される間隔よりも広い撮像素子。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載の撮像素子において、
前記第2方向において前記第5画素及び前記第6画素が配置される間隔は、前記第3方向において、前記第1画素及び前記第3画素が配置される間隔と前記第2画素及び前記第4画素が配置される間隔とよりも広い撮像素子。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1方向と前記第2方向とは、互いに直交している撮像素子。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の撮像素子を含む撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像素子の一部に配置された複数の焦点検出専用の画素からの出力信号に基づいて、瞳分割型位相差方式による焦点検出を行う撮像装置が知られている(特許文献1参照)。
従来技術では焦点検出用画素が離散配置されているため、焦点検出用画素を連続配置した場合と比べて焦点検出精度が低くなってしまう。しかしながら従来技術において焦点検出用画素を連続配置しようとすると、焦点検出用画素が配置された位置において画像信号を補間する補間処理が複雑になってしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−77770号公報
【発明の概要】
【0004】
第1の態様による撮像素子は、光学系からの光が入射される撮像素子であって、第1方向においてそれぞれ順番に配置され、第1分光特性を有するフィルタを介して入射した光により前記光学系の焦点調節に用いるとともに、画像生成用に互いに加算される信号を生成する第1画素及び第2画素と、前記第1方向と交差する第2方向においてそれぞれ順番に配置され、前記第1分光特性とは異なる第2分光特性を有するフィルタを介して入射した光により画像生成用に互いに加算される信号を生成する第3画素及び第4画素と、を備え、前記第1画素及び前記第3画素と前記第2画素及び前記第4画素とは、前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向においてそれぞれ順番に配置され、前記第1方向において前記第1画素及び前記第2画素が配置される間隔は、前記第3方向において、前記第1画素及び前記第3画素が配置される間隔と前記第2画素及び前記第4画素が配置される間隔とよりも広い。
第2の態様による撮像装置は、第1の態様による撮像素子を含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本発明の実施の形態によるデジタルカメラの構成を例示する図である。
図2】撮像素子における単位画素を説明する図である。
図3】撮像素子における単位画素を説明する図である。
図4】マイクロレンズを説明する図である。
図5】撮像素子における画素の配置を例示する平面図である。
図6】瞳分割型位相差方式による焦点検出方法を説明する図である。
図7】G画像信号の生成方法を説明する図である。
図8】B画像信号およびR画像信号の生成方法を説明する図である。
図9】ベイヤー配列の画像信号を説明する図である。
図10】変形例1における焦点検出用画素の配置例を説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。また、以下の説明および図面において、X方向を水平方向、Y方向を垂直方向、Z方向を前後方向とする。図1は、本発明の一実施の形態によるデジタルカメラの構成を例示する図である。デジタルカメラ1は、交換レンズ2とカメラボディ3から構成される。交換レンズ2は、マウント部4を介してカメラボディ3に装着される。
【0007】
交換レンズ2は、レンズ制御部5、主レンズ9、ズームレンズ8、フォーカシングレンズ7、および絞り6を含む。レンズ制御部5は、マイクロコンピュータとメモリなどで構成され、フォーカシングレンズ7と絞り6の駆動制御、絞り6の開口状態の検出、ズームレンズ8およびフォーカシングレンズ7の位置検出、後述するカメラボディ3側のボディ制御部14に対するレンズ情報の送信、ボディ制御部14からのカメラ情報の受信などを行う。
【0008】
カメラボディ3は、撮像素子12、撮像素子駆動制御部19、ボディ制御部14、液晶表示素子駆動回路15、液晶表示素子16、接眼レンズ17、および操作部材18などを含み、着脱可能なメモリカード20が装着されている。撮像素子12は、CCDやCMOSなどから構成され、交換レンズ2の予定結像面に配置されて交換レンズ2により結像される被写体像を撮像する。
【0009】
ボディ制御部14は、マイクロコンピュータとメモリなどで構成される。ボディ制御部14は、デジタルカメラ全体の動作制御を行う。ボディ制御部14とレンズ制御部5は、マウント部4の電気接点部13を介して通信を行うように構成される。
【0010】
撮像素子駆動制御部19は、ボディ制御部14からの指示に応じて撮像素子12で必要な制御信号を生成する。液晶表示素子駆動回路15は、ボディ制御部14からの指示に応じて液晶ビューファインダー(EVF:電子ビューファインダー)を構成する液晶表示素子16を駆動する。撮影者は、接眼レンズ17を介して液晶表示素子16に表示された像を観察する。メモリカード20は、画像データなどを格納記憶する記憶媒体である。
【0011】
交換レンズ2によって撮像素子12上に結像された被写体像は、撮像素子12によって光電変換される。撮像素子12は、撮像素子駆動制御部19からの制御信号によって光電変換信号の蓄積および信号読出しのタイミング(フレームレート)が制御される。撮像素子12からの出力信号は、不図示のA/D変換部でデジタルデータに変換され、ボディ制御部14へ送られる。
【0012】
ボディ制御部14は、撮像素子12からの所定の焦点検出エリアに対応する出力信号に基づいてデフォーカス量を算出し、このデフォーカス量をレンズ制御部5へ送る。レンズ制御部5は、ボディ制御部14から受信したデフォーカス量に基づいてフォーカシングレンズ駆動量を算出し、このレンズ駆動量に基づいてフォーカシングレンズ7を不図示のモーター等で駆動して合焦位置へ移動させる。
【0013】
また、ボディ制御部14は、撮影指示後に撮像素子12から出力された信号に基づいて記録用の画像データを生成する。ボディ制御部14は、生成した画像データをメモリカード20に格納するとともに液晶表示素子駆動回路15へ送り、液晶表示素子16に再生表示させる。
【0014】
なお、カメラボディ3にはシャッターボタン、焦点検出エリアの設定部材などを含む操作部材18が設けられている。ボディ制御部14は、これらの操作部材18からの操作信号を検出し、検出結果に応じた動作(撮影処理、焦点検出エリアの設定など)の制御を行う。
【0015】
<撮像素子の説明>
本実施形態は、撮像素子12に特徴を有するので、以降は撮像素子12を中心に説明する。まず、撮像素子12における単位画素20の形成方法について説明する。図2(A)に示すように、単位画素20は、所定のサイズで設計された略正方形形状でなり、矩形状の光電変換部(PD)30を有する。また、図2(B)に示すように、単位画素20は、各辺がX方向およびY方向に対して略45度回転されて配置される。なお、このとき光電変換部30は回転されずに縦横比が変更されて配置される。またこのとき光電変換部30は、図2(A)で示した光電変換部30と面積を等しくするために単位画素20の形状に合わせて4角が削られる。そして単位画素20内には、不図示のトランジスタが配置される。
【0016】
また、撮像素子12には、焦点検出用の画素(焦点検出用画素と呼ぶ)と、焦点検出用画素以外の画素(撮像用画素と呼ぶ)の2種類の単位画素20が設けられている。焦点検出用画素では、図3に示すように、例えば遮光金属膜40などで光電変換部30の半分が覆われ、光電変換部30が半面開口される。なお、焦点検出用画素としては、図3(A)に示すように、光電変換部30の右半分が開口された単位画素20(以下、右開口焦点検出用画素と呼ぶ)と、図3(B)に示すように、光電変換部30の左半分が開口された単位画素20(以下、左開口焦点検出用画素と呼ぶ)とが設けられる。
【0017】
その後、単位画素20には、公知の配線工程および平坦化工程を経た後にカラーフィルタ層が配置される。赤色成分の光を受光する撮像用画素(R画素)には、赤色成分の光のみを透過させるカラーフィルタ層が配置される。緑色成分の光を受光する撮像用画素(G画素)には、緑色成分の光のみを透過させるカラーフィルタ層が配置される。青色成分の光を受光する撮像用画素(B画素)には、青色成分の光のみを透過させるカラーフィルタ層が配置される。また、焦点検出用画素には、緑色成分の光のみを透過させるカラーフィルタ層が配置される。すなわち、焦点検出用画素は、緑色成分の光のみを受光する。
【0018】
カラーフィルタ層が形成された後、単位画素20に対して、マイクロレンズを形成するオンチップレンズ形成工程が行われる。本実施形態では、この単位画素20に配置されるマイクロレンズを、図4(A)に示すように円形の球面レンズから4辺を落とすような形状とする。こうすることにより、図4(B)に示すようにマイクロレンズ50を稠密に配置することができるため、レンズ開口を拡げることができる。
【0019】
次に、図5を用いて撮像素子12における画素の配置を説明する。なお、図5では、撮像素子12の一部を抜き出して図示している。また、図5において、左半分または右半分に斜線が描かれた画素は、焦点検出用画素を示す。左半分に斜線が描かれた画素は、右開口焦点検出用画素を示し、右半分に斜線が描かれた画素は、左開口焦点検出用画素を示す。また図5では、図示の都合上マイクロレンズ50の形状を円形で示しているが、実際は図4(B)に示した形状であるとする。
【0020】
撮像素子12は、複数のG画素が所定のピッチでX方向に配列された第1の画素列60と、複数のB画素およびR画素が交互に所定のピッチでX方向に配列された第2の画素列70とを有する。複数の第1の画素列60および第2の画素列70は、交互に所定のピッチでY方向に並置されている。また、第1の画素列60および第2の画素列70は、互いにX方向に上記所定のピッチの半分ずれて配置されている。上述したように各単位画素20の各辺は、X方向およびY方向に対して略45度傾くように配置されているため、このように隣接する画素列を上記所定のピッチの半分ずらして配置することで複数の単位画素20を稠密に配置することができる。
【0021】
このような画素の配置は、換言すれば以下のように説明できる。撮像素子12は、複数のG画素が所定のピッチでY方向に配列された第3の画素列80と、複数のB画素が所定のピッチでY方向に配列された第4の画素列90と、複数のG画素が所定のピッチでY方向に配列された第5の画素列100と、複数のR画素が所定のピッチでY方向に配列された第6の画素列110と、を有する。第3の画素列80の右隣には第4の画素列90が並置され、第4の画素列90の右隣には第5の画素列100が並置され、第5の画素列100の右隣には第6の画素列110が並置されている。第3〜第6の画素列80〜110は、互いに隣接する画素列においてY方向に上記所定のピッチの半分ずれて配置されている。そして撮像素子12において、この第3〜第6の画素列80〜110から構成される画素列の組がX方向に複数並置されている。
【0022】
また、複数の第1の画素列60のうち一部の第1の画素列60において、一部のG画素に置換して、複数の右開口焦点検出用画素および左開口焦点検出用画素が設けられている。換言すれば、複数の第3の画素列80および第5の画素列100のうち一部の第3の画素列80および第5の画素列100において、一部のG画素に置換して、複数の右開口焦点検出用画素および左開口焦点検出用画素が設けられている。これら複数の右開口焦点検出用画素および左開口焦点検出用画素は、所定の焦点検出エリアにおいて、X方向に交互に連続して並置されている。
【0023】
<焦点検出処理>
次に、撮像素子12からの出力信号に基づいて焦点検出を行う焦点検出処理について説明する。図6に示すように交換レンズ2の射出瞳200の第1領域201を通過する光束Aは、右開口焦点検出用画素21に入射し、射出瞳200の第2領域202を通過する光束Bは、左開口焦点検出用画素22に入射する。
【0024】
合焦時は撮像素子12に鮮鋭像が結ばれる状態であるため、上述したように異なる瞳位置に瞳分割された光束による一対の像は撮像素子12上で一致する。つまり、光束Aを受光する複数の右開口焦点検出用画素から得られる信号波形(信号列a1、a2、a3、a4…)と、光束Bを受光する複数の左開口焦点検出用画素から得られる信号波形(信号列b1、b2、b3、b4…)とは、その形状が重なる。
【0025】
一方、非合焦時は撮像素子12の手前で鮮鋭像を結ぶ状態、あるいは撮像素子12の後ろ側に鮮鋭像を結ぶ状態であるため、上記瞳分割された光束による一対の像は撮像素子12上では一致しない。この場合の右開口焦点検出用画素から得られる信号波形(信号列a1、a2、a3、a4…)および左開口焦点検出用画素から得られる信号波形(信号列b1、b2、b3、b4…)は、合焦状態からのずれ(デフォーカス量)に応じて、互いの位置関係(像ずれ方向および像ずれ量)が異なる。
【0026】
ボディ制御部14は、右開口焦点検出用画素から得られる信号波形(信号列a1、a2、a3、a4…)および左開口焦点検出用画素から得られる信号波形(信号列b1、b2、b3、b4…)の位置関係に基づいて交換レンズ2による焦点位置の調節状態(デフォーカス量)を算出し、算出結果をカメラ情報としてレンズ制御部5へ送信する。レンズ制御部5がカメラ情報に基づいてフォーカシングレンズ7を光軸方向へ進退移動させると、撮像素子12上に鮮鋭像を結ぶようにフォーカスが調節される。
【0027】
<画像信号生成処理>
次に、撮像素子12からの出力信号に基づいてカラー画像信号を生成する画像信号生成処理について図7図9を用いて説明する。図7は、G画像信号の生成について説明する図である。図7(A)において、両矢印は信号を加算するG画素の組を示している。図7(B)は、この加算の結果得られるG画像信号を説明する図である。画像信号生成処理において、ボディ制御部14は、各第1の画素列60において、X方向に互いに隣接する2つのG画素からの出力信号を加算してG画像信号を生成する。
【0028】
具体的に、ボディ制御部14は、Y方向n+1列目の第1の画素列60において、X方向m列目、Y方向n+1列目のG画素(以下、G(m,n+1)画素と示す)からの出力信号とG(m+2,n+1)画素からの出力信号とを加算することにより、G(m+1,n+1)画素に相当するG画像信号を生成する。同様にして、ボディ制御部14は、G(m+4,n+1)画素およびG(m+6,n+1)画素からの出力信号を加算することにより、G(m+5,n+1)画素に相当するG画像信号を生成する。同様に、Y方向n+1列目の第1の画素列60において、G(m+9,n+1)画素、G(m+13,n+1)画素、G(m+17,n+1)画素、…、に相当するG画像信号を生成する。
【0029】
また、ボディ制御部14は、Y方向n+3列目の第1の画素列60においては、G(m+2、n+3)画素およびG(m+4、n+3)画素からの出力信号を加算することにより、G(m+3,n+3)画素に相当するG画像信号を生成する。同様にして、ボディ制御部14は、G(m+6,n+3)画素およびG(m+8,n+3)画素からの出力信号を加算することにより、G(m+7,n+3)画素に相当するG画像信号を生成する。同様に、Y方向n+3列目の第1の画素列60において、G(m+11,n+3)画素、G(m+15,n+3)画素、G(m+19,n+3)画素、…、に相当するG画像信号を生成する。
【0030】
また、ボディ制御部14は、Y方向n+5列目、n+9列目、n+13列目、…、の第1の画素列60においては、上述したY方向n+1列目と同様にしてG画像信号を生成し、Y方向n+7列目、n+11列目、n+15列目、…、の第1の画素列60においては、上述したY方向n+3列目と同様にしてG画像信号を生成する。すなわち、Y方向に互いに隣接する2つの第1の画素列60では、加算するG画素の組をX方向に1つのG画素分ずらすようにする。この結果、図7(B)に示すように、複数のG画素がX方向に4画素ピッチで配列されたG画素列がY方向に複数並置され、Y方向に互いに隣接するG画素列がX方向に2画素ピッチ分ずれているG画素配置に相当するG画像信号が生成される。
【0031】
また図7(A)において、G(m+6,n+7)画素およびG(m+10,n+7)画素は右開口焦点検出用画素であり、G(m+8,n+7)画素およびG(m+12,n+7)画素は、左開口焦点検出用画素である。ボディ制御部14は、焦点検出用画素についても上述と同様にX方向に隣接する右開口焦点検出用画素および左開口焦点検出用画素を加算してG画像信号を生成する。すなわちボディ制御部14は、G(m+6,n+7)画素およびG(m+8,n+7)画素を加算してG(m+7,n+7)画素に相当するG画像信号を生成し、G(m+10,n+7)画素およびG(m+12,n+7)画素を加算してG(m+11,n+7)画素に相当するG画像信号を生成する。なお、このG(m+7,n+7)画素およびG(m+11,n+7)画素を、図7(B)に斜線で示している。
【0032】
G(m+7,n+7)画素およびG(m+11,n+7)画素に相当するG画像信号は、半面開口された右開口焦点検出用画素および左開口焦点検出用画素を加算した信号であるため、2つの撮像用画素を加算した信号の2分の1の出力となる。したがって右開口焦点検出用画素および左開口焦点検出用画素を加算した信号を2倍することにより、2つの撮像用画素を加算したG画像信号と同等のG画像信号を得ることができる。ゆえにボディ制御部14は、焦点検出用画素については、撮像用画素と同様にしてX方向に隣接する2つの焦点検出用画素を組にして加算し、加算した信号を2倍することでG画像信号を生成する。
【0033】
また図8は、B画像信号およびR画像信号の生成について説明する図である。図8(A)において、両矢印は信号を加算するB画素の組およびR画素の組を示している。図8(B)は、この加算の結果得られるB画像信号およびR画像信号を説明する図である。画像信号生成処理において、ボディ制御部14は、第4の画素列90において、Y方向に互いに隣接する2つのB画素からの出力信号を加算してB画像信号を生成する。また、ボディ制御部14は、第6の画素列110において、Y方向に互いに隣接する2つのR画素からの出力信号を加算してR画像信号を生成する。
【0034】
具体的に、ボディ制御部14は、X方向m+1列目の第4の画素列90において、X方向m+1列目、Y方向n+2列目のB画素(以下、B(m+1,n+2)画素と示す)からの出力信号とB(m+1,n+4)画素からの出力信号とを加算することにより、B(m+1,n+3)画素に相当するB画像信号を生成する。同様にして、ボディ制御部14は、B(m+1,n+6)画素およびG(m+1,n+8)画素からの出力信号を加算することにより、B(m+1,n+7)画素に相当するB画像信号を生成する。同様に、X方向m+1列目の第4の画素列90において、B(m+1,n+11)画素、B(m+1,n+15)画素、B(m+1,n+9)画素、…、に相当するB画像信号を生成する。そして、ボディ制御部14は、X方向m+5列目、m+9列目、m+13列目、…、の第4の画素列90において、上述したX方向m+1列目と同様にしてB画像信号を生成する。
【0035】
また、ボディ制御部14は、X方向m+3列目の第6の画素列110においては、X方向m+3列目、Y方向n列目のR画素(以下、R(m+3,n)画素と示す)からの出力信号とR(m+3,n+2)画素からの出力信号とを加算することにより、R(m+3,n+1)画素に相当するR画像信号を生成する。同様にして、ボディ制御部14は、R(m+3,n+4)画素およびR(m+3,n+6)画素からの出力信号を加算することにより、R(m+3,n+5)画素に相当するR画像信号を生成する。同様に、X方向m+3列目の第4の画素列90において、R(m+3,n+9)画素、R(m+3,n+13)画素、R(m+3,n+17)画素、…、に相当するR画像信号を生成する。そして、ボディ制御部14は、X方向m+7列目、m+11列目、m+15列目、…、の第6の画素列110において、上述したX方向m+3列目と同様にしてR画像信号を生成する。
【0036】
すなわちボディ制御部14は、第4の画素列90および第6の画素列110では、加算するB画素またはR画素の組をY方向に1つのB画素またはR画素分ずらすようにする。この結果、図8(B)に示すように、複数のB画素がX方向に4画素ピッチで並べられたB画素列と複数のR画素がX方向に4画素ピッチで並べられたR画素列とがY方向に交互に並置され、Y方向に互いに隣接するB画素列およびR画素列がX方向に2画素ピッチ分ずれている画素配置に相当するB画像信号およびR画像信号が生成される。
【0037】
また、加算するB画素またはR画素の組は、加算の結果得られるB画像信号およびR画像信号の画素配置が、上述したG画素の組の加算の結果得られるG画像信号の画素配置と重ならないように設定される。例えば、G(m,n+1)画素とG(m+2,n+1)画素とを加算してG(m+1,n+1)画素に相当するG画像信号を生成する場合、B(m+1,n)画素とB(m+1,n+2)画素とを加算するとB(m+1,n+1)画素に相当するB画像信号が生成され、G画像信号と画素位置が重なってしまう。したがってこの場合は、B(m+1,n+2)画素とB(m+1,n+4)画素とを組にして加算して、B(m+1,n+3)画素に相当するB画像信号を生成するようにして、G画像信号と画素位置が重ならないようにする。
【0038】
ボディ制御部14は、このようにして得られたG画像信号、B画像信号およびR画像信号を合成することにより、図9に示すように、正方配列のベイヤー配列でなる画像信号を得ることができる。なお、ここで得られる画像信号は、撮像素子12に含まれる画素数の2分の1の画素数である。
【0039】
ボディ制御部14は、このようにして得られたベイヤー配列の画像信号に対して色補間処理を行い、不足する色成分の画像信号を生成する。ベイヤー配列における色補間処理は公知であるので、詳細な説明は省略する。この色補間処理の結果、カラー画像信号(RGB)が得られる。ボディ制御部14は、このカラー画像信号を用いて、例えば記録用画像のファイルを生成してメモリカード20に記録する。
【0040】
以上説明した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)撮像素子12は、交換レンズ2を通過した光束を受光する複数の画素からなる画素群を備え、画素群は、互いに異なる第1、第2および第3の分光感度をそれぞれ有するG画素、B画素およびR画素を有し、複数のG画素が水平方向に並置された第1の画素列60と複数のB画素およびR画素が水平方向に交互に並置された第2の画素列70とが、垂直方向に交互に複数並置され、第1の画素列60と第2の画素列70は水平方向に略半ピッチずれており、複数の第1の画素列60のうち少なくとも一部の第1の画素列60には、少なくとも一部のG画素に置換して、第1の分光感度を有する焦点検出用画素が複数設けられ、複数の焦点検出用画素は、交換レンズ2の瞳の一対の領域を通った一対の光束を受光して、一対の光束により形成される一対の像に対応する一対の像信号を出力するように構成した。これにより、焦点検出用画素において画像信号を補間する補間処理を複雑にせずに、焦点検出用画素を連続配置することができ、焦点検出精度を向上できる。
【0041】
(2)撮像素子12は、交換レンズ2を通過した光束を受光する複数の画素からなる画素群を備え、画素群は、互いに異なる第1、第2および第3の分光感度をそれぞれ有するG画素、B画素およびR画素を有し、複数のG画素が垂直方向に並置された第3の画素列80と、第3の画素列80の右隣に並置され且つ複数のB画素が垂直方向に並置された第4の画素列90と、第4の画素列90の右隣に並置され且つ複数のG画素が垂直方向に並置された第5の画素列100と、第5の画素列100の右隣に並置され且つ複数のR画素が垂直方向に並置された第6の画素列110と、から構成される画素列の組120が水平方向に複数並置されており、第3乃至第6の画素列80〜110は、互いに隣接する画素列において垂直方向に略半ピッチずれて並置されており、複数の第3および第5の画素列80,100のうち少なくとも一部の第3および第5の画素列80,100には、少なくとも一部のG画素に置換して、第1の分光感度を有する焦点検出用画素が複数設けられ、複数の焦点検出用画素は、交換レンズ2の瞳の一対の領域を通った一対の光束を受光して、一対の光束により形成される一対の像に対応する一対の像信号を出力するように構成した。これにより、焦点検出用画素において画像信号を補間する補間処理を複雑にせずに、焦点検出用画素を連続配置することができ、焦点検出精度を向上できる。
【0042】
(3)上記(1)または(2)の撮像素子12において、単位画素20の平面形状がX方向およびY方向に対して各辺を略45度傾いた正方形であるように構成したので、単位画素20の開口率を高めることができ、焦点検出精度を高めることができる。換言すれば、開口率を低下させることなく、撮像素子12を小型化することができる。
【0043】
(4)デジタルカメラ1は、上記(1)または(2)の撮像素子12と、水平方向に互いに隣接する2つのG画素からの出力信号を加算し、垂直方向に互いに隣接する2つのB画素からの出力信号を加算し、垂直方向に互いに隣接する2つのR画素からの出力信号を加算することにより、ベイヤー配列の信号を生成するボディ制御部14と、ベイヤー配列の信号に基づいてカラー画像信号を生成するボディ制御部14と、を備える。これにより、色補間処理において、ベイヤー配列における色補間処理を行う既存の画像処理エンジンを用いることができる。
【0044】
(5)上記(4)のデジタルカメラにおいて、撮像素子12は、交換レンズ2の射出瞳200の第1領域201を通過する光束を受光する右開口焦点検出用画素21と、交換レンズ2の射出瞳200の第2領域202を通過する光束を受光する左開口焦点検出用画素22とを有し、右開口焦点検出用画素21および左開口焦点検出用画素22は交互に複数並置されており、ボディ制御部14は、水平方向に互いに隣接する右開口焦点検出用画素21および左開口焦点検出用画素22からの出力信号を加算し、当該加算した信号を所定の倍率(2倍)で乗算し、当該乗算した信号と上記ベイヤー配列の信号とに基づいてカラー画像信号を生成するように構成した。これにより、焦点検出用画素からの出力信号を用いて画像信号を簡易に生成することができる。
【0045】
(変形例1)
上述した実施の形態では、第3の画素列80および第5の画素列100において、一部のG画素に置換して焦点検出用画素が設けられている例について説明した。しかしながら、図10に示すように、第3の画素列80および第5の画素列100において、全ての画素を焦点検出用画素とするようにしてもよい。
【0046】
この場合、例えば図10(A)に示すように、第3の画素列80を全て左開口焦点検出用画素とし、第5の画素列100を全て右開口焦点検出用画素とするようにしてもよい。これにより、第1の画素列60において左開口焦点検出用画素および右開口焦点検出用画素がX方向に交互に並置される。
【0047】
また例えば、図10(B)に示すように、第3の画素列80においてY方向に左開口焦点検出用画素および右開口焦点検出用画素を交互に並べると共に、第5の画素列100においてY方向に左開口焦点検出用画素および右開口焦点検出用画素を交互に並べるようにしてもよい。この場合、第1の画素列60において、左開口焦点検出用画素および右開口焦点検出用画素がX方向に交互に並置されるようにする。
【0048】
変形例1によれば、撮像素子12の全体に焦点検出用画素が配置されるので、焦点検出エリアが限定されず、撮影画面上のどの位置においても焦点検出を行うことができる。
【0049】
(変形例2)
上述した実施の形態では、左開口焦点検出用画素および右開口焦点検出用画素を設け、X方向について像ずれ量を求めてデフォーカス量を検出する例について説明した。しかしながら、光電変換部30の上半分を開口した上開口焦点検出用画素および光電変換部30の下半分を開口した下開口焦点検出用画素を設け、Y方向について像ずれ量を求めてデフォーカス量を検出するようにしてもよい。
【0050】
この場合、第3の画素列80および第5の画素列100の少なくとも一部のG画素に置換して、上開口焦点検出用画素および下開口焦点検出用画素がY方向に交互に並置される。また、このY方向に並置された焦点検出用画素列をX方向に隣接して少なくとも2列以上設けるようにし、上開口焦点検出用画素および下開口焦点検出用画素がX方向にも交互に並置されるようにする。これにより、上述した実施の形態と同様に、X方向に隣接する上開口焦点検出用画素および下開口焦点検出用画素を加算して2倍することで、撮像用画素と同等のG画像信号を生成することができる。
【0051】
また撮像素子12に、左開口焦点検出用画素および右開口焦点検出用画素と、上開口焦点検出用画素および下開口焦点検出用画素とを両方設けるようにしてもよい。
【0052】
(変形例3)
上述した実施の形態では、光電変換部30の半分が開口された焦点検出用画素を設ける例について説明した。しかしながら、2つの光電変換部を有する焦点検出用画素を設けるようにしてもよい。この場合、2つの光電変換部は、交換レンズ2の射出瞳200の一対の領域を通過した一対の光束をそれぞれ受光する。
【0053】
(変形例4)
上述した実施の形態では、単位画素20におけるマイクロレンズの形状を、図4(A)に示したように円形の球面レンズから4辺を落とした形状とする例について説明したが、これに限らず、例えば円形の球面レンズとしてもよい。
【0054】
(変形例5)
上述した実施の形態では、単位画素20の形状を略正方形とする例について説明したが、これに限らず、例えば、X方向およびY方向に略45度傾斜した4辺を含む八角形であってもよい。
【0055】
また上述した実施の形態では、単位画素20の各辺をX方向およびY方向に略45度回転させて配置する例について説明したが、これに限らず、単位画素20の各辺をX方向またはY方向に平行に配置するようにしてもよい。この場合であっても、互いに隣接する単位画素20どうしの配置を半ピッチずらして千鳥配置にすればよい。
【0056】
(変形例6)
上述した実施の形態では、撮像素子12に、原色系(RGB)のカラーフィルタを用いる場合について説明したが、補色系(CMY)のカラーフィルタを用いるようにしてもよい。
【0057】
(変形例7)
上述した実施の形態では、カメラボディ3に交換レンズ2が装着される構成のデジタルカメラ1に本発明を適用するようにしたが、これに限らなくてもよい。たとえば、レンズ一体型のデジタルカメラにも本発明を適用することができる。
【0058】
以上の説明はあくまで一例であり、上記の実施形態の構成に何ら限定されるものではない。また、上記実施形態に各変形例の構成を適宜組み合わせてもかまわない。
【符号の説明】
【0059】
1…デジタルカメラ、2…交換レンズ、12…撮像素子、14…ボディ制御部、50…マイクロレンズ、200…射出瞳
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10