特許第6315050号(P6315050)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ニコンの特許一覧

特許6315050露光装置、露光方法及びデバイス製造方法
<>
  • 特許6315050-露光装置、露光方法及びデバイス製造方法 図000002
  • 特許6315050-露光装置、露光方法及びデバイス製造方法 図000003
  • 特許6315050-露光装置、露光方法及びデバイス製造方法 図000004
  • 特許6315050-露光装置、露光方法及びデバイス製造方法 図000005
  • 特許6315050-露光装置、露光方法及びデバイス製造方法 図000006
  • 特許6315050-露光装置、露光方法及びデバイス製造方法 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6315050
(24)【登録日】2018年4月6日
(45)【発行日】2018年4月25日
(54)【発明の名称】露光装置、露光方法及びデバイス製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20180416BHJP
   G02B 19/00 20060101ALI20180416BHJP
【FI】
   G03F7/20 521
   G02B19/00
【請求項の数】44
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2016-192920(P2016-192920)
(22)【出願日】2016年9月30日
(62)【分割の表示】特願2015-237657(P2015-237657)の分割
【原出願日】2005年3月23日
(65)【公開番号】特開2017-4026(P2017-4026A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2016年10月31日
(31)【優先権主張番号】特願2004-89348(P2004-89348)
(32)【優先日】2004年3月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(72)【発明者】
【氏名】原 英明
【審査官】 赤尾 隼人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−021375(JP,A)
【文献】 特開2017−004027(JP,A)
【文献】 特開2016−218489(JP,A)
【文献】 国際公開第99/049504(WO,A1)
【文献】 特開昭59−019912(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子からの露光光を、基板上の一部に形成される液浸領域の液体を介して前記基板に照射して、前記基板を露光する露光装置において、
液体供給口を有する第1ノズル部材と、
前記基板の表面が対向するように設けられた液体回収口を有する第2ノズル部材と、
前記光学素子の光軸に垂直な方向に前記第2ノズル部材を移動可能な駆動装置と、
前記光学素子の光軸に垂直な方向における前記ノズル部材の位置情報を取得するための位置計測器と、を備え、
前記液体供給口からの液体供給と並行して前記液体回収口からの液体回収を行って前記液浸領域が形成される露光装置。
【請求項2】
前記駆動装置による前記第2ノズル部材の移動は、前記位置計測器の計測結果に基づいて行われる請求項1記載の露光装置。
【請求項3】
前記位置計測器は、前記光学素子を有する投影光学系に対する前記ノズル部材の位置情報を取得する請求項1または2記載の露光装置。
【請求項4】
前記基板を保持する基板ステージをさらに備え、
前記位置計測器は、前記基板ステージに対する前記ノズル部材の位置情報を取得する請求項1から3のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項5】
前記基板を保持する基板ステージをさらに備え、
前記光軸に垂直な方向における前記基板ステージの位置に基づいて前記駆動装置による前記第2ノズル部材の移動を制御する請求項1から4のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項6】
前記駆動装置による前記第2ノズル部材の移動は、前記位置計測器の計測結果に基づくフィードバック制御で行われる請求項1から5のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項7】
光学素子からの露光光を、基板上の一部に形成される液浸領域の液体を介して前記基板に照射して、前記基板を露光する露光装置において、
液体供給口を有する第1ノズル部材と、
前記基板の表面が対向するように設けられた液体回収口を有する第2ノズル部材と、
前記光学素子の光軸に垂直な方向に前記第2ノズル部材を移動可能な駆動装置と、
前記基板を保持する基板ステージと、
を備え、
前記液体供給口からの液体供給と並行して前記液体回収口からの液体回収を行って前記液浸領域が形成され、
前記光軸に垂直な方向における前記基板ステージの位置に基づいて前記駆動装置による前記第2ノズル部材の移動を制御する露光装置。
【請求項8】
前記駆動装置による前記第2ノズル部材の移動は、前記基板の移動条件に基づいて行われる請求項1から7のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項9】
前記基板の移動条件は、前記基板の移動速度を含む請求項8記載の露光装置。
【請求項10】
前記駆動装置による前記第2ノズル部材の移動は、前記基板の移動の態様に基づいて行われる請求項1から9のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項11】
前記基板の移動の態様は、前記基板の移動速度を含む請求項10記載の露光装置。
【請求項12】
前記駆動装置による前記第2ノズル部材の移動は、前記基板の位置に基づいて行われる請求項1から11のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項13】
前記駆動装置による前記第2ノズル部材の移動は、前記液体の物性に基づいて行われる請求項1から12のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項14】
前記液体の物性は、前記液体の粘度を含む請求項13記載の露光装置。
【請求項15】
前記ノズル部材の加速度情報を計測する加速度計測器を備え、
前記駆動装置による前記第2ノズル部材の移動は、前記加速度計測器の計測結果に基づいて行われる請求項1から14のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項16】
前記駆動装置は、前記露光光の光軸方向に前記第2ノズル部材を移動可能である請求項1から15のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項17】
前記駆動装置は、6自由度の方向に関して前記ノズル部材を駆動可能である請求項1から16のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項18】
前記第2ノズル部材から前記光学素子を有する投影光学系への振動伝達を抑制する防振装置をさらに備える請求項1から17のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項19】
前記第2ノズル部材と前記光学素子を有する投影光学系との間に配置された防振装置をさらに備える請求項1から18のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項20】
前記液体供給口は、前記基板の表面が対向するように設けられている請求項1から19のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項21】
前記液体回収口は、前記露光光の光路に対して前記液体供給口の外側に設けられる請求項20記載の露光装置。
【請求項22】
請求項1から21のいずれか一項記載の露光装置を用いるデバイス製造方法。
【請求項23】
光学素子からの露光光を、基板上の一部に形成される液浸領域の液体を介して前記基板に照射して、前記基板を露光する露光装置を用いた露光方法において、
前記露光装置は、液体供給口を有する第1ノズル部材と、前記基板の表面が対向するように設けられた液体回収口を有する第2ノズル部材と、を備え、
前記光学素子の光軸に垂直な方向に前記第2ノズル部材を移動させることと、
前記光学素子の光軸に垂直な方向における前記ノズル部材の位置情報を取得することと、
前記液体供給口からの液体供給と並行して前記液体回収口からの液体回収を行って前記液浸領域を形成することと、
を含む露光方法。
【請求項24】
前記位置情報に基づいて前記第2ノズル部材を移動させることを含む請求項23記載の露光方法。
【請求項25】
前記光学素子を有する投影光学系に対する前記ノズル部材の位置情報を取得することを含む請求項23または24記載の露光方法。
【請求項26】
前記露光装置は、前記基板を保持する基板ステージをさらに備え、
前記基板ステージに対する前記ノズル部材の位置情報を取得することを含む請求項23から25のいずれか一項記載の露光方法。
【請求項27】
前記露光装置は、前記基板を保持する基板ステージをさらに備え、
前記光軸に垂直な方向における前記基板ステージの位置に基づいて前記第2ノズル部材を移動させることを含む請求項23から26のいずれか一項記載の露光方法。
【請求項28】
前記位置情報に基づくフィードバック制御を用いて前記第2ノズル部材を移動させることを含む請求項23から27のいずれか一項記載の露光方法。
【請求項29】
光学素子からの露光光を、基板上の一部に形成される液浸領域の液体を介して前記基板に照射して、前記基板を露光する露光装置を用いた露光方法において、
前記露光装置は、液体供給口を有する第1ノズル部材と、前記基板の表面が対向するように設けられた液体回収口を有する第2ノズル部材と、前記基板を保持する基板ステージと、を備え、
前記光学素子の光軸に垂直な方向に前記第2ノズル部材を移動させることと、
前記液体供給口からの液体供給と並行して前記液体回収口からの液体回収を行って前記液浸領域を形成することと、
前記光軸に垂直な方向における前記基板ステージの位置に基づいて前記第2ノズル部材を移動させることと、
を含む露光方法。
【請求項30】
前記基板の移動条件に基づいて前記第2ノズル部材を移動させることを含む請求項23から29のいずれか一項記載の露光方法。
【請求項31】
前記基板の移動条件は、前記基板の移動速度を含む請求項30記載の露光方法。
【請求項32】
前記基板の移動の態様に基づいて前記第2ノズル部材を移動させることを含む請求項23から31のいずれか一項記載の露光方法。
【請求項33】
前記基板の移動の態様は、前記基板の移動速度を含む請求項32記載の露光方法。
【請求項34】
前記基板の位置に基づいて前記第2ノズル部材を移動させることを含む請求項23から33のいずれか一項記載の露光方法。
【請求項35】
前記液体の物性に基づいて前記第2ノズル部材を移動させることを含む請求項23から34のいずれか一項記載の露光方法。
【請求項36】
前記液体の物性は、前記液体の粘度を含む請求項35記載の露光方法。
【請求項37】
前記ノズル部材の加速度情報を計測することと、
前記加速度情報に基づいて前記第2ノズル部材を移動させることと、
を含む請求項23から36のいずれか一項記載の露光方法。
【請求項38】
前記露光光の光軸方向に前記第2ノズル部材を移動させることを含む請求項23から37のいずれか一項記載の露光方法。
【請求項39】
6自由度の方向に関して前記ノズル部材を移動させることを含む請求項23から38のいずれか一項記載の露光方法。
【請求項40】
前記露光装置は、前記第2ノズル部材から前記光学素子を有する投影光学系への振動伝達を抑制する防振装置をさらに備える請求項23から39のいずれか一項記載の露光方法。
【請求項41】
前記露光装置は、前記第2ノズル部材と前記光学素子を有する投影光学系との間に配置された防振装置をさらに備える請求項23から40のいずれか一項記載の露光方法。
【請求項42】
前記液体供給口は、前記基板の表面が対向するように設けられている請求項23から41のいずれか一項記載の露光方法。
【請求項43】
前記液体回収口は、前記露光光の光路に対して前記液体供給口の外側に設けられる請求項42記載の露光方法。
【請求項44】
請求項23から43のいずれか一項記載の露光方法を用いるデバイス製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を介して基板を露光する露光装置、露光方法、この露光装置を用いるデバイス製造方法、及びこの露光方法を用いるデバイス製造方法に関するものである。
本願は、2004年3月25日に出願された特願2004−89348号に対し優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスや液晶表示デバイスは、マスク上に形成されたパターンを感光性の基板上に転写する、所謂フォトリソグラフィの手法により製造される。このフォトリソグラフィ工程で使用される露光装置は、マスクを支持するマスクステージと基板を支持する基板ステージとを有し、マスクステージ及び基板ステージを逐次移動しながらマスクのパターンを投影光学系を介して基板に転写するものである。近年、デバイスパターンのより一層の高集積化に対応するために投影光学系の更なる高解像度化が望まれている。投影光学系の解像度は、使用する露光波長が短くなるほど、また投影光学系の開口数が大きいほど高くなる。そのため、露光装置で使用される露光波長は年々短波長化しており、投影光学系の開口数も増大している。そして、現在主流の露光波長は、KrFエキシマレーザの248nmであるが、更に短波長のArFエキシマレーザの193nmも実用化されつつある。また、露光を行う際には、解像度と同様に焦点深度(DOF)も重要となる。解像度R、及び焦点深度δはそれぞれ以下の式で表される。
R=k・λ/NA … (1)δ=±k・λ/NA … (2)
ここで、λは露光波長、NAは投影光学系の開口数、k、kはプロセス係数である。(1)式、(2)式より、解像度Rを高めるために、露光波長λを短くして、開口数NAを大きくすると、焦点深度δが狭くなることが分かる。
【0003】
焦点深度δが狭くなり過ぎると、投影光学系の像面に対して基板表面を合致させることが困難となり、露光動作時のフォーカスマージンが不足する恐れがある。そこで、実質的に露光波長を短くして、且つ焦点深度を広くする方法として、例えば下記特許文献1に開示されている液浸法が提案されている。この液浸法は、投影光学系の先端面(下面)と基板表面との間を水や有機溶媒等の液体で満たし、液体中での露光光の波長が、空気中の1/n(nは液体の屈折率で通常1.2〜1.6程度)になることを利用して解像度を向上するとともに、焦点深度を約n倍に拡大するというものである。本国際出願で指定した指定国(又は選択した選択国)の国内法令で許される限りにおいて、下記パンフレットの開示を援用して本明細書の一部とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第99/49504号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来技術においては、液体の供給及び回収はノズルを使って行われるが、上記ノズルで生じた振動が例えば投影光学系に伝わると、投影光学系と液体とを介して基板上に投影されるパターン像が劣化する可能性がある。また、液体の圧力変化によりノズルの位置が変動する可能性もあり、液体の供給及び回収を所望状態で行うことが困難となる可能性もある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、液体の供給及び回収を所望状態で行うことができ、基板上に投影されるパターン像の劣化を抑えることができる露光装置、及びこの露光装置を用いるデバイス製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明は実施の形態に示す図1図6に対応付けした以下の構成を採用している。
本発明の露光装置(EX)は、液体(LQ)を介して基板(P)を露光する露光装置において、液体(LQ)を供給する供給口(12)及び液体(LQ)を回収する回収口(22)のうち少なくともいずれか一方を有するノズル部材(70)と、所定の支持部材(7、1)に対してノズル部材(70)を防振支持する防振機構(60)とを備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、所定の支持部材に対してノズル部材を防振支持する防振機構を設けたので、ノズル部材で発生した振動が露光精度に与える影響を抑えることができる。したがって、基板上に投影されるパターン像の劣化を防止することができる。
【0009】
本発明の露光装置(EX)は、液体(LQ)を介して基板(P)を露光する露光装置において、液体(LQ)を供給する供給口(12)及び液体(LQ)を回収する回収口(22)のうち少なくともいずれか一方を有するノズル部材(70)と、ノズル部材(70)を支持する支持部材(7、1)と、支持部材(7、1)とノズル部材(70)との位置関係を調整する調整機構(60)とを備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、調整機構によって支持部材に対するノズル部材の位置を調整することができ、ノズル部材を最適位置に配置した状態で液浸領域を形成するための液体の供給及び回収を行うことができる。したがって、液浸領域を良好に形成して精度良く液浸露光することができる。
【0011】
本発明の露光装置(EX)は、光学系(PL)と液体(LQ)を介して基板(P)を露光する露光装置において、液体(LQ)を供給する供給口(12)及び液体(LQ)を回収する回収口(22)のうち少なくともいずれか一方を有し、所定の支持部材(7、1)に支持されたノズル部材(70)と、光学系(PL)とノズル部材(70)との位置関係を調整する調整機構(60)とを備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、調整機構によって光学系に対するノズル部材の位置を調整することができ、ノズル部材を最適位置に配置した状態で液浸領域を形成するための液体の供給及び回収を行うことができる。したがって、液浸領域を良好に形成して精度良く液浸露光することができる。
【0013】
本発明の露光装置(EX)は、液体(LQ)を介して基板(P)を露光する露光装置において、液体(LQ)を供給する供給口(12)及び液体(LQ)を回収する回収口(22)のうち少なくともいずれか一方を有し、所定の支持部材(7、1)に支持されたノズル部材(70)と、基板(P)を保持する基板ステージ(PST)と、支持部材(7、1)に対してノズル部材(70)を駆動する駆動装置(61、62、63)を有し、基板ステージ(PST)とノズル部材(70)との位置関係を調整する調整機構(60)とを備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、調整機構によって基板ステージに対するノズル部材の位置を調整することができ、ノズル部材を最適位置に配置した状態で液浸領域を形成するための液体の供給及び回収を行うことができる。したがって、液浸領域を良好に形成して精度良く液浸露光することができる。
また、本発明の異なる態様の露光装置(EX)は、液体(LQ)を介して基板(P)を露光する露光装置であって、液体(LQ)を供給する供給口(12)及び液体(LQ)を回収する回収口(22)の少なくとも一方を有するノズル部材(70)を備え、ノズル部材(70)の少なくとも一部が基板(P)を露光する露光光の光軸(AX)の方向に移動可能であるように構成した。
【0015】
本発明のデバイス製造方法は、上記記載の露光装置(EX)を用いることを特徴とする。本発明によれば、基板上にパターン像を精度良く転写することができるので、所望性能を有するデバイスを製造することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、液体の供給及び回収を所望状態で行うことができ、基板上に投影されるパターン像の劣化を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の露光装置の一実施形態を示す概略構成図である。
図2】ノズル部材近傍を示す側面図である。
図3】ノズル部材を示す平面図である。
図4】本発明の露光装置の別の実施形態を示す側面図である。
図5】本発明の露光装置の別の実施形態を示す側面図である。
図6】半導体デバイスの製造工程の一例を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の露光装置及びデバイス製造方法について図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の露光装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【0019】
図1において、露光装置EXは、マスクMを支持するマスクステージMSTと、基板Pを支持する基板ステージPSTと、マスクステージMSTに支持されているマスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターン像を基板ステージPSTに支持されている基板Pに投影露光する投影光学系PLと、露光装置EX全体の動作を統括制御する制御装置CONTとを備えている。
【0020】
制御装置CONTは、露光装置EXの各種測定手段(例えば、干渉計35、45、フォーカス・レベリング検出系、ノズル位置計測器84〜86等)や駆動装置(例えば、マスクステージ駆動装置、基板ステージ駆動装置、ノズル駆動装置61〜63等)等に接続されており、それらとの間で測定結果や駆動指令の伝達が可能なように構成されている。
【0021】
更に、露光装置EXは、マスクステージMST及び投影光学系PLを支持するメインコラム1を備えている。メインコラム1は床面に水平に載置されたベースプレートBP上に設置されている。メインコラム1には、内側に向けて突出する上側段部3及び下側段部7が形成されている。
【0022】
本実施形態の露光装置EXは、露光波長を実質的に短くして解像度を向上するとともに焦点深度を実質的に広くするために液浸法を適用した液浸露光装置であって、基板P上に液体LQを供給する液体供給機構10と、基板P上の液体LQを回収する液体回収機構20とを備えている。露光装置EXは、少なくともマスクMのパターン像を基板P上に転写している間、液体供給機構10から供給した液体LQにより投影光学系PLの投影領域AR1を含む基板P上の一部に液浸領域AR2を形成する。具体的には、露光装置EXは、投影光学系PLの像面側先端部の光学素子2と基板Pの表面との間に液体LQを満たし、この投影光学系PLと基板Pとの間の液体LQ及び投影光学系PLを介してマスクMのパターン像を基板P上に投影することによってこの基板Pを露光する。
【0023】
本実施形態では、露光装置EXとしてマスクMと基板Pとを走査方向における互いに異なる向き(逆方向)に同期移動しつつマスクMに形成されたパターンを基板Pに露光する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)を使用する場合を例にして説明する。以下の説明において、投影光学系PLの光軸AXと一致する方向をZ軸方向、Z軸方向に垂直な平面内でマスクMと基板Pとの同期移動方向(走査方向)をX軸方向、Z軸方向及びX軸方向に垂直な方向(非走査方向)をY軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。なお、ここでいう「基板」は半導体ウエハ上に感光性材料であるフォトレジストを塗布したものを含み、「マスク」は基板上に縮小投影されるデバイスパターンを形成されたレチクルを含む。
【0024】
照明光学系ILは、メインコラム1の上部に固定された支持コラム4により支持されている。照明光学系ILは、マスクステージMSTに支持されているマスクMを露光光ELで照明するものであり、露光用光源、露光用光源から射出された光束の照度を均一化するオプティカルインテグレータ、オプティカルインテグレータからの露光光ELを集光するコンデンサレンズ、リレーレンズ系、及び露光光ELによるマスクM上の照明領域をスリット状に設定する可変視野絞り等を有している。マスクM上の所定の照明領域は照明光学系ILにより均一な照度分布の露光光ELで照明される。照明光学系ILから射出される露光光ELとしては、例えば水銀ランプから射出される紫外域の輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)や、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びFレーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)等が用いられる。本実施形態においてはArFエキシマレーザ光が用いられる。
【0025】
本実施形態において、液体LQには純水が用いられる。純水はArFエキシマレーザ光のみならず、例えば水銀ランプから射出される紫外域の輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)も透過可能である。
【0026】
マスクステージMSTは、マスクMを支持するものであって、その中央部にマスクMのパターン像を通過させる開口部36を備えている。メインコラム1の上側段部3には、防振ユニット33を介してマスク定盤31が支持されている。マスク定盤31の中央部にも、マスクMのパターン像を通過させる開口部37が形成されている。マスクステージMSTの下面には非接触軸受である気体軸受(エアベアリング)32が複数設けられている。
マスクステージMSTはエアベアリング32によりマスク定盤31の上面(ガイド面)31Aに対して非接触支持されており、リニアモータ等のマスクステージ駆動装置により、投影光学系PLの光軸AXに垂直な平面内、すなわちXY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微小回転可能である。マスクステージMST上の+X側の所定位置には移動鏡34が設けられている。また、移動鏡34に対向する位置にはレーザ干渉計35が設けられている。同様に、不図示ではあるが、マスクステージMST上の+Y側にも移動鏡が設けられ、これに対向する位置にはレーザ干渉計が設けられている。マスクステージMST上のマスクMの2次元方向の位置、及びθZ方向の回転角(場合によってはθX、θY方向の回転角も含む)はレーザ干渉計35によりリアルタイムで計測され、計測結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTは、レーザ干渉計35及び前記マスクステージ駆動装置に接続されており、レーザ干渉計35の計測結果に基づいてマスクステージ駆動装置を駆動することでマスクステージMSTに支持されているマスクMの位置決めを行う。
【0027】
投影光学系PLは、マスクMのパターンを所定の投影倍率βで基板Pに投影露光するものであって、基板P側(投影光学系PLの像面側)の終端部に設けられた光学素子(レンズ)2を含む複数の光学素子で構成されており、これら光学素子は鏡筒PKで支持されている。本実施形態において、投影光学系PLは、投影倍率βが例えば1/4あるいは1/5の縮小系である。なお、投影光学系PLは等倍系及び拡大系のいずれでもよい。また、本実施形態の投影光学系PLの先端部の光学素子(レンズ)2は鏡筒PKに対して着脱(交換)可能に設けられており、光学素子2には液浸領域AR2の液体LQが接触する。
【0028】
光学素子2は螢石で形成されている。螢石は水との親和性が高いので、光学素子2の液体接触面2Aのほぼ全面に液体LQを密着させることができる。すなわち、本実施形態においては光学素子2の液体接触面2Aとの親和性が高い液体(水)LQを供給するようにしているので、光学素子2の液体接触面2Aと液体LQとの密着性が高く、光学素子2と基板Pとの間の光路を液体LQで確実に満たすことができる。なお、光学素子2は水との親和性が高い石英であってもよい。また光学素子2の液体接触面2Aに、MgF、Al、SiO等を付着させる等の親水(親液)処理を施して、液体LQとの親和性をより高めるようにしてもよい。
【0029】
鏡筒PKの外周部にはフランジ部8が設けられている。また、メインコラム1の下側段部7の上面には、防振ユニット6を介して鏡筒定盤5が支持されている。そして、フランジ部8が鏡筒定盤5に係合することによって、鏡筒PKが鏡筒定盤5に支持される。投影光学系PLは、鏡筒定盤5及び防振ユニット6を介してメインコラム1の下側段部7に支持された構成となっている。
【0030】
基板ステージPSTは、基板ホルダPHを介して基板Pを保持して移動可能に設けられている。基板ステージPST上には凹部46が設けられており、基板ホルダPHは凹部46に配置されている。基板ステージPSTのうち凹部46以外の上面47は、基板ホルダPHに保持された基板Pの表面とほぼ同じ高さ(面一)になるような平坦面(平坦部)となっている。
【0031】
基板Pの周囲に基板P表面とほぼ面一の上面47を設けたことにより、基板Pのエッジ領域Eを液浸露光するときにおいても、投影光学系PLの像面側に液体LQを保持して液浸領域AR2を良好に形成することができる。また、基板Pのエッジ部と上面47との間には0.1〜2mm程度の隙間があるが、液体LQの表面張力によりその隙間に液体LQが流れ込むことはほとんどなく、基板Pの周縁近傍を露光する場合にも、上面47により投影光学系PLの下に液体LQを保持することができる。
【0032】
基板ステージPSTの上面47は撥液化処理されて撥液性を有している。上面47の撥液化処理としては、例えばフッ素系樹脂材料あるいはアクリル系樹脂材料等の撥液性材料を塗布、あるいは前記撥液性材料からなる薄膜を貼付する。撥液性にするための撥液性材料としては液体LQに対して非溶解性の材料が用いられる。なお、基板ステージPST全体又は一部を例えばポリ四フッ化エチレン(テフロン(登録商標))等のフッ素系樹脂をはじめとする撥液性を有する材料で形成してもよい。
【0033】
基板ステージPSTの下面には複数の非接触ベアリングである気体軸受(エアベアリング)42が設けられている。ベースプレートBP上には、防振ユニット43を介して基板定盤41が支持されている。基板ステージPSTはエアベアリング42により基板定盤(ベース部)41の上面(ガイド面)41Aに対して非接触支持されており、後述するリニアモータ51、52、53等を含む基板ステージ駆動装置により、投影光学系PLの光軸AXに垂直な平面内、すなわちXY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微小回転可能である。更に、基板ステージPSTは、Z軸方向、θX方向、及びθY方向にも移動可能に設けられている。
【0034】
基板ステージPSTは、Xガイドステージ54によりX軸方向に移動自在に支持されている。基板ステージPSTは、Xガイドステージ54に対してZ軸方向に所定量のギャップを維持する磁石及びアクチュエータからなる磁気ガイドにより非接触で支持されている。基板ステージPSTは、Xガイドステージ54に案内されつつXリニアモータ53によりX軸方向に所定ストロークで移動可能である。Xリニアモータ53は、Xガイドステージ54にX軸方向に延びるように設けられた固定子53Aと、この固定子53Aに対応して設けられ基板ステージPSTに固定された可動子53Bとを備えている。そして、可動子53Bが固定子53Aに対して駆動することで基板ステージPSTがX軸方向に移動する。基板ステージPSTはXガイドステージ54に非接触支持された状態でXリニアモータ53によりX軸方向に移動する。
【0035】
Xガイドステージ54の長手方向両端には、このXガイドステージ54を基板ステージPSTとともにY軸方向に移動可能な一対のYリニアモータ51、52が設けられている。Yリニアモータ51、52のそれぞれは、Xガイドステージ54の長手方向両端に設けられた可動子51B、52Bと、この可動子51B、52Bに対応して設けられた固定子51A、52Aとを備えている。固定子51A、51BはベースプレートBP上に支持されている。そして、可動子51B、52Bが固定子51A、52Aに対して駆動することでXガイドステージ54が基板ステージPSTとともにY軸方向に移動する。また、Yリニアモータ51、52のそれぞれの駆動を調整することでXガイドステージ54はθZ方向にも回転移動可能となっている。したがって、このYリニアモータ51、52により基板ステージPSTがXガイドステージ54とほぼ一体的にY軸方向及びθZ方向に移動可能となっている。
【0036】
基板定盤41を挟んでX軸方向両側のそれぞれには、Xガイドステージ54のY軸方向への移動を案内するガイド部55、55が設けられている。ガイド部55はベースプレートBP上に支持されている。一方、Xガイドステージ54の下面の長手方向両端部のそれぞれには凹形状の被ガイド部材57が設けられている。ガイド部55は被ガイド部材57と係合し、ガイド部55の上面(ガイド面)と被ガイド部材57の内面とが対向するように設けられている。ガイド部55のガイド面には非接触ベアリングである気体軸受(エアベアリング)56が設けられており、Xガイドステージ54はガイド面に対して非接触支持されている。
【0037】
上記リニアモータ51、52、53を含む基板ステージ駆動装置は制御装置CONTに接続されており、制御装置CONTは基板ステージ駆動装置を制御する。また露光装置EXは、基板ステージPSTに支持されている基板Pの表面の位置を検出するフォーカス・レベリング検出系(不図示)を備えている。フォーカス・レベリング検出系は制御装置CONTに接続されており、制御装置CONTはフォーカス・レベリング検出系の検出結果に基づいて、基板ステージPST上の基板Pのフォーカス位置(Z位置)及び傾斜角を制御して基板Pの表面をオートフォーカス方式、及びオートレベリング方式で投影光学系PLの像面に合わせ込む。
【0038】
基板ステージPSTには移動鏡44が設けられている。移動鏡44の上面は基板ステージPSTの上面47とほぼ面一となっている。移動鏡44の上面も、基板ステージPSTの上面47同様、撥液化処理されて撥液性を有している。また、移動鏡44に対向する位置にはレーザ干渉計45が設けられている。基板ステージPST上の基板Pの2次元方向の位置、及び回転角はレーザ干渉計45によりリアルタイムで計測され、計測結果は制御装置CONTに出力される。レーザ干渉計45及び基板ステージ駆動装置は制御装置CONTに接続されており、制御装置CONTはレーザ干渉計45の計測結果に基づいて基板ステージ駆動装置を駆動することで基板ステージPSTに支持されている基板PのXY平面内での位置決めを行う。
【0039】
液体供給機構10は、所定の液体LQを投影光学系PLの像面側に供給するためのものであって、液体LQを送出可能な液体供給部11と、液体供給部11にその一端部を接続する供給管13(13A、13B)とを備えている。液体供給部11は、液体LQを収容するタンク、及び加圧ポンプ等を備えている。制御装置CONTは液体供給部11に接続しており、液体供給部11の液体供給動作は制御装置CONTにより制御される。基板P上に液浸領域AR2を形成する際、液体供給機構10は液体LQを基板P上に供給する。
【0040】
液体回収機構20は、投影光学系PLの像面側の液体LQを回収するためのものであって、液体LQを回収可能な液体回収部21と、液体回収部21にその一端部を接続する回収管23(23A、23B)とを備えている。液体回収部21は例えば真空ポンプ等の真空系(吸引装置)、回収された液体LQと気体とを分離する気液分離器、及び回収した液体LQを収容するタンク等を備えている。なお真空系として、露光装置EXに真空ポンプを設けずに、露光装置EXが配置される工場の真空系を用いるようにしてもよい。制御装置CONTは液体回収部21に接続しており、液体回収部21の液体回収動作は制御装置CONTにより制御される。基板P上に液浸領域AR2を形成するために、液体回収機構20は液体供給機構10より供給された基板P上の液体LQを所定量回収する。
【0041】
投影光学系PLを構成する複数の光学素子のうち、液体LQに接する光学素子2の近傍にはノズル部材70が配置されている。ノズル部材70は、メインコラム1の下側段部7に対して防振機構60により防振支持されている。ノズル部材70は、基板P(基板ステージPST)の上方において、光学素子2の側面を囲むように設けられた環状部材であり、液体供給機構10及び液体回収機構20それぞれの一部を構成するものである。
【0042】
なお、ノズル部材70は、例えばアルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ジュラルミン、及びこれらを含む合金によって形成されている。あるいは、ノズル部材70は、ガラス(石英)等の光透過性を有する透明部材(光学部材)によって構成されてもよい。
【0043】
次に、図2及び図3を参照しながらノズル部材70について説明する。図2はノズル部材70近傍の拡大側面図、図3はノズル部材70を上方から見た平面図である。
【0044】
ノズル部材70は、基板P(基板ステージPST)の上方に設けられ、その基板P表面に対向するように配置された液体供給口12(12A、12B)を備えている。本実施形態において、ノズル部材70は2つの液体供給口12A、12Bを有している。液体供給口12A、12Bは、ノズル部材70の下面70Aに設けられている。
【0045】
また、ノズル部材70は、その内部に液体供給口12(12A、12B)に対応した供給流路14(14A、14B)を有している。前記供給管13(13A、13B)は、液体供給口12A、12B及び供給流路14A、14Bに対応するように複数(2つ)設けられている。
【0046】
更に、ノズル部材70は、基板P(基板ステージPST)の上方に設けられ、その基板P表面に対向するように配置された液体回収口22(22A、22B)を備えている。本実施形態において、ノズル部材70は2つの液体回収口22A、22Bを有している。液体回収口22A、22Bはノズル部材70の下面70Aに設けられている。
【0047】
また、ノズル部材70は、その内部に液体回収口22A、22Bに対応した回収流路24(24A、24B)を有している。前記回収管23(23A、23B)は、液体回収口22A、22B及び回収流路24A、24Bに対応するように複数(2つ)設けられている。
【0048】
上記供給管13A、13Bの他端部は、伸縮可能で可撓性を有するチューブ部材16(16A、16B)の一端部に接続されている。供給流路14A、14Bの一端部は前記チューブ部材16A、16Bの他端部に接続され、供給流路14A、14Bの他端部は液体供給口12A、12Bに接続されている。
【0049】
また、上記回収管23A、23Bの他端部は、伸縮可能で可撓性を有するチューブ部材26(26A、26B)の一端部に接続されている。回収流路24A、24Bの一端部は前記チューブ部材26A、26Bの他端部に接続され、回収流路24A、24Bの他端部は液体回収口22A、22Bに接続されている。
【0050】
液体供給機構10を構成する液体供給口12A、12Bは、投影光学系PLの投影領域AR1を挟んだX軸方向両側のそれぞれの位置に設けられており、液体回収機構20を構成する液体回収口22A、22Bは、投影光学系PLの投影領域AR1に対して液体供給機構10の液体供給口12A、12Bの外側に設けられている。図3に示すように、本実施形態における投影光学系PLの投影領域AR1は、Y軸方向を長手方向とし、X軸方向を短手方向とした平面視矩形状に設定されている。液体供給口12A、12Bのそれぞれは、Y軸方向を長手方向とし、その両端部を内側に曲げたスリット状に形成されている。
液体回収口22A、22Bのそれぞれは、Y軸方向を長手方向とし、その両端部を内側に曲げたスリット状に形成されており、液体供給口12A、12B及び投影領域AR1を囲むように設けられている。
【0051】
ノズル部材70の下面(液体接触面)70Aは、光学素子2の液体接触面2A同様、親液性(親水性)を有している。また、ノズル部材70の下面70Aはほぼ平坦面であり、光学素子2の下面2Aも平坦面となっており、ノズル部材70の下面70Aと光学素子2の下面2Aとはほぼ面一となっている。これにより、広い範囲で液浸領域AR2を良好に形成することができる。
【0052】
ノズル部材70は、上記供給流路14及び回収流路24を形成された本体部70Bと、本体部70Bの外側の鍔部70Tとを備えている。また、メインコラム1の下側段部7には、ノズル部材70の鍔部70Tを配置可能な内側を向く凹部7Hが形成されている。
【0053】
防振機構60は、ノズル部材70をメインコラム1の下側段部7に対して防振支持するものであって、下側段部7の凹部7Hとノズル部材70の鍔部70Tとを連結する複数のノズル駆動装置61(61A〜61C)、62(62A)、63(63A〜63C)を含み、メインコラム1の下側段部7に対してノズル部材70を能動的に防振するアクティブ防振機構65と、下側段部7の凹部7Hの底面7Aに対してノズル部材70の鍔部70Tを受動的に防振支持するパッシブ防振機構72(72A〜72C)とを備えている。
【0054】
ノズル駆動装置61〜63は、例えばローレンツ力で駆動するボイスコイルモータやリニアモータ等によって構成されている。ローレンツ力で駆動するボイスコイルモータ等はコイル部とマグネット部とを有し、それらコイル部とマグネット部とは非接触状態で駆動する。そのため、ノズル駆動装置61〜63を、ボイスコイルモータ等のローレンツ力で駆動する駆動装置によって構成することで、振動の発生を抑制することができる。
【0055】
また、パッシブ防振機構72は、例えば空気バネ(エアシリンダ、エアベローズ)などによって構成され、気体(空気)の弾性作用によってノズル部材70を防振支持する。本実施形態においては、図3に示すように、パッシブ防振機構72(72A〜72C)は、投影光学系PLを囲むように複数(3つ)設けられている。
【0056】
また、防振機構60は、投影光学系PL(光学素子2)に対してノズル部材70を離した状態で支持している。ノズル部材70と投影光学系PL(光学素子2)とが離れて支持されていることにより、ノズル部材70で発生した振動は投影光学系PLに直接的に伝達されない。
【0057】
また、液体供給機構10及び液体回収機構20は、所定の支持機構により、鏡筒定盤5に対して分離して支持されている。これにより、液体供給機構10及び液体回収機構20で生じた振動が、鏡筒定盤5を介して投影光学系PLに伝わることがない。
【0058】
アクティブ防振機構65は、下側段部7の凹部7HのX側の内側面7Bとノズル部材70のX側の側面とを連結し、内側面7B(下側段部7)に対してノズル部材70をX軸方向に駆動するX駆動装置61(61A〜61C)と、下側段部7の凹部7HのY側の内側面7Bとノズル部材70のY側の側面とを連結し、内側面7B(下側段部7)に対してノズル部材70をY軸方向に駆動するY駆動装置62(62A)と、下側段部7の凹部7Hの天井面7Cとノズル部材70の上面とを連結し、天井面7C(下側段部7)に対してノズル部材70をZ軸方向に駆動するZ駆動装置63(63A〜63C)とを備えている。
これら各駆動装置61〜63と制御装置CONTとは接続されており、制御装置CONTは、各駆動装置61〜63の駆動を制御する。
【0059】
本実施形態においては、防振機構60は複数(3つ)のX駆動装置61を備えている。
具体的には、防振機構60は、ノズル部材70の+X側においてY軸方向に並んで設けられた2つのX駆動装置61A、61Bと、ノズル部材70の−X側に設けられたX駆動装置61Cとを備えている。制御装置CONTは、複数のX駆動装置61A〜61Cを同じ駆動量で駆動することで、ノズル部材70をX軸方向に移動(並進)することができる。
また、複数のX駆動装置61A〜61Cを互いに異なる駆動量で駆動することで、ノズル部材70をθZ方向に移動(回転)することができる。
【0060】
また、本実施形態においては、防振機構60はY駆動装置62を1つ備えている。具体的には、防振機構60は、ノズル部材70の−Y側に設けられたY駆動装置62Aを備えている。制御装置CONTは、Y駆動装置62Aを駆動することで、ノズル部材70をY軸方向に移動(並進)することができる。
【0061】
また、本実施形態においては、防振機構60は複数(3つ)のZ駆動装置63を備えている。具体的には、防振機構60は、ノズル部材70の+Z側に設けられ、投影光学系PLを囲むように設けられた3つのZ駆動装置63A、63B、63Cを備えている。制御装置CONTは、複数のZ駆動装置63A〜63Cを同じ駆動量で駆動することで、ノズル部材70をZ軸方向に移動(並進)することができる。また、複数のZ駆動装置63A〜63Cを互いに異なる駆動量で駆動することで、ノズル部材70をθX方向及びθY方向に移動(回転)することができる。
【0062】
このように、防振機構60は、複数の駆動装置61〜63によって、6自由度の方向(X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向)に関してノズル部材60を駆動することができる。
【0063】
なお本実施形態においては、パッシブ駆動機構72(72A〜72C)とZ駆動装置63(63A〜63C)とは同じ数だけ設けられている。また、図3に示すように、パッシブ駆動機構72A〜72CのそれぞれとZ駆動装置63A〜63Cのそれぞれとは、互いに近接して配置されている。
【0064】
なお、X駆動装置61、Y駆動装置62、及びZ駆動装置63の数及び配置は任意に設定可能である。例えばZ駆動装置63を、ノズル部材70の鍔部70Tの下面と下側段部7の凹部7Tの底面7Aとを連結するように設けてもよい。あるいは、X駆動装置61を1つとし、Y駆動装置62を2つ設けてもよい。要は、複数の駆動装置61〜63を用いてノズル部材70を6自由度の方向に駆動可能なように構成されていればよい。
【0065】
また、パッシブ駆動機構72(72A〜72C)のノズル部材70への各作用点と、Z駆動装置63(63A〜63C)のノズル部材70への各作用点とを、XY平面上でそれぞれ一致させるようにして、対応する各作用点が同一線(軸)上に位置するように設定してもよい。
【0066】
なお、露光装置EXは、駆動装置61〜63の温度調整(冷却)を行う不図示の温調系(冷却系)を備えている。駆動装置61〜63は発熱源となるため、冷却系を使って冷却することで、露光装置EXのおかれている環境(温度)の変動を抑えることができる。なお、冷却系は、液浸露光用の液体LQを使って冷却を行ってもよいし、液浸露光用の液体LQとは別の所定の冷却用液体(冷媒)を使って冷却を行ってもよい。
【0067】
また、露光装置EXは、メインコラム1の下側段部7とノズル部材70との位置関係を計測するノズル位置計測器80を備えている。本実施形態においては、ノズル位置計測器80はレーザ干渉計によって構成されている。ノズル位置計測器80は、下側段部7の凹部7HのX側の内側面7Bとノズル部材70のX側の側面との距離(相対位置)を計測するX干渉計81(81A、81B)と、下側段部7の凹部7HのY側の内側面7Bとノズル部材70のY側の側面との距離(相対位置)を計測するY干渉計82(82A)と、下側段部7の凹部7Hの天井面7Cとノズル部材70の上面との距離(相対位置)を計測するZ干渉計83(83A〜83C)とを備えている。これら各干渉計81〜83と制御装置CONTとは接続されており、各干渉計81〜83の計測結果は、制御装置CONTに出力される。
【0068】
本実施形態においては、ノズル位置計測器80は複数(2つ)のX干渉計81を備えている。具体的には、ノズル位置計測器80は、下側段部7の凹部7Hの+X側の内側面7BにおいてY軸方向に並んで設けられた2つのX干渉計81A、81Bを備えている。また、ノズル部材70の+X側の側面において、前記X干渉計81A、81Bのそれぞれに対向する位置には、反射面84A、84Bが設けられている。制御装置CONTは、X干渉計81A、81Bのうち少なくともいずれか一方の計測結果に基づいて、下側段部7に対するノズル部材70のX軸方向に関する位置を求めることができる。また制御装置CONTは、複数のX干渉計81A、81Bのそれぞれの計測結果に基づいて、下側段部7に対するノズル部材70のθZ方向に関する位置を求めることができる。
【0069】
また、本実施形態においては、ノズル位置計測器80はY干渉計82を1つ備えている。具体的には、ノズル位置計測器80は、下側段部7の凹部7Hの−Y側の内側面7Bに設けられたY干渉計82Aを備えている。また、ノズル部材70の−Y側の側面において、前記Y干渉計82Aに対向する位置には、反射面85Aが設けられている。制御装置CONTは、Y干渉計82Aの計測結果に基づいて、下側段部7に対するノズル部材70のY軸方向に関する位置を求めることができる。
【0070】
また、本実施形態においては、ノズル位置計測器80は複数(3つ)のZ干渉計83を備えている。具体的には、ノズル位置計測器80は、下側段部7の凹部7Hの天井面7CにおいてX軸方向に並んで設けられたZ干渉計83A、83Bと、そのZ干渉計83Bに対してY軸方向に関して並ぶ位置に設けられたZ干渉計83Cとを備えている。また、ノズル部材70の上面において、前記Z干渉計83A、83B、83Cのそれぞれに対向する位置には、反射面86A、86B、86Cが設けられている。制御装置CONTは、Z干渉計83A、83B、83Cのうち少なくともいずれか一つの計測結果に基づいて、下側段部7に対するノズル部材70のZ軸方向に関する位置を求めることができる。また制御装置CONTは、複数のZ干渉計83A、83B、83Cのうち少なくともいずれか2つの計測結果に基づいて、下側段部7に対するノズル部材70のθX方向及びθY方向に関する位置を求めることができる。
【0071】
このように、制御装置CONTは、複数の干渉計81〜83の計測結果に基づいて、6自由度の方向(X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向)に関する下側段部7(メインコラム1)に対するノズル部材70の位置を求めることができる。
【0072】
なお、X干渉計81、Y干渉計82、及びZ干渉計83の数及び配置は任意に設定可能である。例えばZ干渉計83を、ノズル部材70の鍔部70Tの下面と下側段部7の凹部7Tの底面7Aとの距離(相対位置)を計測するように設けてもよい。あるいは、X干渉計81を1つとし、Y干渉計82を2つ設けてもよい。要は、複数の干渉計81〜83を用いてノズル部材70の6自由度の方向に関する位置を計測可能なように構成されていればよい。
【0073】
なお、ノズル位置計測器80としては、干渉計に限られず、例えば静電容量センサ、エンコーダ等、他の構成を有する位置計測器を用いることも可能である。
【0074】
また、露光装置EXは、ノズル部材70の加速度情報を計測する加速度計測器90を備えている。本実施形態においては、加速度計測器90は、ノズル部材70のX軸方向に関する加速度を計測するX加速度計測器91(91A、91B)と、ノズル部材70のY軸方向に関する加速度を計測するY加速度計測器92(92A)と、ノズル部材70のZ軸方向に関する加速度を計測するZ加速度計測器93(93A〜93C)とを備えている。
これら各加速度計測器91〜93と制御装置CONTとは接続されており、各加速度計測器91〜93の計測結果は、制御装置CONTに出力される。
【0075】
本実施形態においては、加速度計測器90は複数(2つ)のX加速度計測器91を備えている。具体的には、加速度計測器90は、ノズル部材70の+X側の側面においてY軸方向に並んで設けられた2つのX加速度計測器91A、91Bを備えている。制御装置CONTは、X加速度計測器91A、91Bのうち少なくともいずれか一方の計測結果に基づいて、ノズル部材70のX軸方向に関する加速度を求めることができる。また制御装置CONTは、複数のX加速度計測器91A、91Bのそれぞれの計測結果に基づいて、ノズル部材70のθZ方向に関する加速度を求めることができる。
【0076】
また、本実施形態においては、加速度計測器90はY加速度計測器92を1つ備えている。具体的には、加速度計測器90は、ノズル部材70の−Y側の側面に設けられたY加速度計測器92Aを備えている。制御装置CONTは、Y加速度計測器92Aの計測結果に基づいて、ノズル部材70のY軸方向に関する加速度を求めることができる。
【0077】
また、本実施形態においては、加速度計測器90は複数(3つ)のZ加速度計測器93を備えている。具体的には、加速度計測器90は、ノズル部材70の上面においてX軸方向に並んで設けられたZ加速度計測器93A、93Bと、そのZ加速度計測器93Bに対してY軸方向に関して並ぶ位置に設けられたZ加速度計測器93Cとを備えている。制御装置CONTは、Z加速度計測器93A、93B、93Cのうち少なくともいずれか一つの計測結果に基づいて、ノズル部材70のZ軸方向に関する加速度を求めることができる。また制御装置CONTは、複数のZ加速度計測器93A、93B、93Cのうち少なくともいずれか2つの計測結果に基づいて、ノズル部材70のθX方向及びθY方向に関する加速度を求めることができる。
【0078】
このように、制御装置CONTは、複数の加速度計測器91〜93の計測結果に基づいて、6自由度の方向(X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向)に関するノズル部材70の加速度を求めることができる。
【0079】
なお、X加速度計測器91、Y加速度計測器92、及びZ加速度計測器93の数及び配置は任意に設定可能である。例えばZ加速度計測器93を、ノズル部材70の鍔部70Tの下面に設けてもよい。あるいは、X加速度計測器91を1つとし、Y加速度計測器92を2つ設けてもよい。要は、複数の加速度計測器91〜93を用いてノズル部材70の6自由度の方向に関する加速度を計測可能なように構成されていればよい。
【0080】
次に、上述した構成を有する露光装置EXを用いてマスクMのパターン像を基板Pに露光する方法について説明する。
【0081】
制御装置CONTは、液体供給機構10による基板P上に対する液体LQの供給と並行して、液体回収機構20による基板P上の液体LQの回収を行いつつ、基板Pを支持する基板ステージPSTをX軸方向(走査方向)に移動しながら、マスクMのパターン像を投影光学系PLと基板Pとの間の液体LQ及び投影光学系PLを介して基板P上に投影露光する。
【0082】
液浸領域AR2を形成するために液体供給機構10の液体供給部11から供給された液体LQは、供給管13A、13B、及びチューブ部材16A、16Bを流通した後、ノズル部材70内部に形成された供給流路14A、14Bを介して液体供給口12A、12Bより基板P上に供給される。液体供給口12A、12Bから基板P上に供給された液体LQは、投影光学系PLの先端部(光学素子2)の下端面と基板Pとの間に濡れ拡がるように供給され、投影領域AR1を含む基板P上の一部に、基板Pよりも小さく且つ投影領域AR1よりも大きい液浸領域AR2を局所的に形成する。このとき、制御装置CONTは、液体供給機構10のうち投影領域AR1のX軸方向(走査方向)両側に配置された液体供給口12A、12Bのそれぞれより、走査方向に関して投影領域AR1の両側から基板P上への液体LQの供給を同時に行う。これにより、液浸領域AR2は均一且つ良好に形成されている。
【0083】
また、基板P上の液体LQは、ノズル部材70の液体回収口22A、22Bより回収された後、回収流路24A、24B、チューブ部材26A、26B、及び回収管23A、23Bを介して液体回収部21に回収される。このとき、制御装置CONTは液体回収部21による単位時間あたりの液体回収量を制御可能であり、基板Pの液体LQは単位時間あたり所定量だけ回収される。
【0084】
本実施形態における露光装置EXは、マスクMと基板PとをX軸方向(走査方向)に移動しながらマスクMのパターン像を基板Pに投影露光するものであって、走査露光時には、液浸領域AR2の液体LQ及び投影光学系PLを介してマスクMの一部のパターン像が投影領域AR1内に投影され、マスクMが−X方向(又は+X方向)に速度Vで移動するのに同期して、基板Pが投影領域AR1に対して+X方向(又は−X方向)に速度β・V(βは投影倍率)で移動する。基板P上には複数のショット領域が設定されており、1つのショット領域への露光終了後に、基板Pのステッピング移動によって次のショット領域が走査開始位置に移動し、以下、ステップ・アンド・スキャン方式で基板Pを移動しながら各ショット領域に対する走査露光処理が順次行われる。
【0085】
液体LQの供給及び回収を行うことにより、ノズル部材70に振動が生じる場合がある。また、走査露光するための基板ステージPSTのXY方向への移動やフォーカス・レベリング調整のためのZ軸方向及び傾斜方向(θX、θY方向)への移動により基板P側で生じる振動成分が、液浸領域AR2の液体LQを介してノズル部材70に伝わる場合もある。また、基板Pを走査した場合、液浸領域AR2の液体LQの粘性抵抗によりノズル部材70を動かす場合も考えられる。すなわち、液浸領域AR2の液体LQがノズル部材70に力を及ぼす可能性もある。
【0086】
ノズル部材70を支持する下側段部7(メインコラム1)は投影光学系PLも支持しているため、ノズル部材70で生じた振動は投影光学系PLに伝達される可能性がある。ノズル部材70で生じた振動が、投影光学系PLに伝達されると、投影光学系PL及び液体LQを介して基板P上に投影されるパターン像が劣化する。そこで、制御装置CONTは、防振機構60を使って、ノズル部材70の振動が投影光学系PLに伝わらないように防振する。
【0087】
ノズル部材70が振動したとき、メインコラム1の下側段部7に対するノズル部材70の位置が変動するため、制御装置CONTは、ノズル位置計測器80の計測結果に基づいて、防振機構60の駆動装置61〜63を駆動する。下側段部7に対するノズル部材70の位置はノズル位置計測器80によって計測される。制御装置CONTは、ノズル位置計測器80の計測結果に基づいて、下側段部7に対するノズル部材70の位置を所望状態に維持するように、すなわち、下側段部7とノズル部材70との位置関係を一定に保つように、防振機構60の駆動装置61〜63を駆動する。
【0088】
このとき、制御装置CONTは、X、Y、Z位置計測器81、82、83それぞれの計測結果に基づいて演算処理を行い、下側段部7に対するノズル部材70の6自由度の方向(X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向)に関する各位置情報を求める。制御装置CONTは、前記求めた6自由度の方向に関する位置情報に基づいて、X、Y、Z駆動装置61、62、63のそれぞれを駆動することにより、下側段部7に対するノズル部材70の6自由度の方向(X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向)に関する各位置を制御する。
【0089】
また、ノズル部材70は空気バネを含むパッシブ防振機構72によって支持されているため、その空気バネの気体の弾性作用によって、ノズル部材70側から下側段部7に伝わろうとする振動の高周波成分を低減することができる。そして、駆動装置61〜63を含むアクティブ防振機構65により、振動の比較的低周波成分(例えば1Hz〜10Hz)を低減することで、防振機構60は、広い周波数帯域において除振効果を得ることができる。このように、駆動装置61〜63を使ったアクティブ防振(能動的防振)と、気体の弾性作用を使ったパッシブ防振(受動的防振)とを組み合わせることで、ノズル部材70に作用した振動が下側段部7を介して投影光学系PLに伝わることを効果的に抑えることができる。また、ノズル部材70の振動成分のうち、非常に低い周波数成分(例えば1Hz以下の周波数成分)は、基板P上へのパターン転写精度に影響が少ないと考えられるため、その周波数成分に対する防振制御は行わないように防振機構60の制御系を構築することもできる。こうすることにより、制御系の発振などの不都合を防止し、制御系を比較的簡易な構成で構築することができる。
【0090】
以上説明したように、防振機構60によって、ノズル部材70で生じた振動が、下側段部7(メインコラム1)を介して投影光学系PLに伝達することを防止することができる。したがって、投影光学系PL及び液体LQを介して基板P上に投影されるパターン像の劣化を防止することができる。
【0091】
また、防振機構60は、投影光学系PL(光学素子2)に対してノズル部材70を離した状態で支持している。ノズル部材70と投影光学系PL(光学素子2)とが離れて支持されていることにより、ノズル部材70で発生した振動は投影光学系PLに直接的に伝達されない。
【0092】
また、液体供給機構10及び液体回収機構20は、所定の支持機構により、鏡筒定盤5に対して分離して支持されている。これにより、液体供給機構10及び液体回収機構20で生じた振動が、鏡筒定盤5を介して投影光学系PLに伝わることがない。
【0093】
また、本実施形態においては、供給管13A、13Bとノズル部材70の供給流路14A、14Bとは、伸縮可能で可撓性を有するチューブ部材16A、16Bを介して接続されている。同様に、回収管23A、23Bとノズル部材の回収流路24A、24Bとは、伸縮可能で可撓性を有するチューブ部材26A、26Bを介して接続されている。そのため、駆動装置61〜63を使ってノズル部材70を駆動するときも、そのノズル部材70の駆動は妨げられないようになっている。したがって、防振機構60は、下側段部7に対してノズル部材70を良好に防振支持することができる。
【0094】
また、基板ステージPSTの位置情報を計測するための干渉計システムの参照鏡(固定鏡)を投影光学系PLの鏡筒PKに取り付けられる構成が考えられるが、投影光学系PLに振動が伝わらないようにすることで、基板ステージPSTの位置情報を計測するための干渉計システムの参照鏡(固定鏡)が鏡筒PKに取り付けられていても、基板ステージPSTの位置情報の計測、及びその計測結果に基づいた位置制御を精度良く行うことができる。
【0095】
また、上述したように、液浸領域AR2の液体LQがノズル部材70に力を及ぼす可能性もあり、その力によってノズル部材70の位置が変動し、基板Pや投影領域AR1、あるいは液浸領域AR2に対してノズル部材70が最適な位置に配置されない状態で、液体LQの供給及び回収を行ってしまう可能性もある。その場合、制御装置CONTは、防振機構60の駆動装置61〜63を使って、下側段部7(メインコラム1)とノズル部材70との位置関係を調整することによって、ノズル部材70を最適位置に配置した状態で液浸領域AR2を形成するための液体LQの供給及び回収を行うことができる。したがって、液浸領域AR2を良好に形成して精度良く液浸露光することができる。
【0096】
また、制御装置CONTは、駆動装置61〜63を使って、ノズル部材70の位置を調整可能である。そのため、例えば基板Pの液浸露光終了後、基板P上(基板ステージPST上)の液体LQを回収するために、ノズル部材70を−Z方向(下方向)に移動してノズル部材70の液体回収口22と基板Pとを近づけた状態で、液体回収を行うといったこともできる。
【0097】
あるいは、液浸露光条件(基板Pの走査速度、液体LQの物性(粘性)など)に応じて、基板P表面とノズル部材70の下面70Aとの距離を含む、基板Pとノズル部材70との位置関係を、駆動装置61〜63を使って調整し、液浸露光することも可能である。また、ノズル部材70を使用しないときは、ノズル部材70を+Z方向(上方向)に移動させておいて、ノズル部材70と基板Pまたはノズル部材70と基板ステージPSTとの接触を防止するようにしてもよい。
【0098】
なお、上述した実施形態においては、ノズル部材70の振動が下側段部7を介して投影光学系PLに伝わらないように、制御装置CONTは、ノズル位置計測器80の計測結果に基づいて、駆動装置61〜63を駆動しているが、加速度計測器90の計測結果に基づいて、駆動装置61〜63を駆動するようにしてもよい。このとき、制御装置CONTは、X、Y、Z加速度計測器91、92、93それぞれの計測結果に基づいて演算処理を行い、ノズル部材70の6自由度の方向(X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向)に関する各加速度情報を求める。制御装置CONTは、前記求めた6自由度の方向に関する加速度情報に基づいて、X、Y、Z駆動装置61、62、63のそれぞれを駆動することにより、ノズル部材70の6自由度の方向(X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向)に関する振動成分を抑える。
【0099】
また、制御装置CONTは、ノズル位置計測器80の計測結果と加速度計測器90の計測結果との双方を考慮して、駆動装置61〜63を駆動するようにしてもよい。
【0100】
また、防振機構60としては、アクティブ防振機構65を設けずに、パッシブ防振機構72のみによって構成することが可能であるし、パッシブ防振機構72を設けずに、アクティブ防振機構65のみによって構成することも可能である。
【0101】
なお、上述した実施形態においては、ノズル部材70は液体供給口12及び液体回収口22の双方を有しているが、液体供給口12を有するノズル部材(供給ノズル)と液体回収口22を有するノズル部材(回収ノズル)とを分けて設けてもよい。その場合、防振機構(調整機構)60は、供給ノズル及び回収ノズルの双方に設けられてもよいし、いずれか一方に設けられてもよい。
【0102】
なお、上述した実施形態において、ノズル部材70の位置制御(下側段部7に対するアクティブ防振制御)は、位置計測器80によるノズル部材70の位置計測結果に基づいて行われるフィードバック制御であるが、その場合、制御に遅れが生じる可能性がある。そこで、露光前に、走査露光時における露光装置EXや液体LQの挙動に関する物理量を予め求め、その求めた物理量に基づいて、露光時に駆動装置61〜63を駆動することでノズル部材70の姿勢制御を行うフィードフォワード制御を採用し、アクティブ防振することも可能である。なお、フィードバック制御とフィードフォワード制御とを組み合わせることも可能である。
【0103】
フィードフォワード制御を行う場合、予めテスト露光を行い、複数の物理量の導出を行う。すなわち、露光装置EXの系の同定実験を行い、その系の物理量を含む動特性を求める。同定実験では、液体供給機構10及び液体回収機構20によるノズル部材70の液体供給口12及び液体回収口22を介した液体LQの供給及び回収を行い、光学素子2及びノズル部材70と基板Pとの間に液浸領域AR2を形成した状態で基板ステージPSTを走査し、ノズル位置計測器80を使って物理量を検出する。なお、同定実験中においては当然のことながら駆動装置61〜63は駆動されない。検出する物理量としては、露光シーケンス中での時刻、基板Pの位置、速度、及び加速度、ノズル部材70の位置、速度、及び加速度、ノズル部材70と基板Pとの相対位置、相対速度、及び相対加速度等が挙げられる。これら位置、速度、及び加速度は、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の全て(6自由度)に関する値が検出される。更に、検出する物理量として、供給する液体LQの量(体積、質量)や物性(粘性など)等も挙げられる。同定実験で検出された上記複数の物理量は制御装置CONTに記憶される。制御装置CONTは、検出した物理量に基づいて、駆動装置61〜63を駆動するための制御量を決定し、その決定した物理量に基づいて、下側段部7に対する防振を行うように駆動装置61〜63を駆動しつつ本露光を行う。このように、制御装置CONTは、駆動装置61〜63を使って、露光装置EX自身の動特性(動作)に応じて防振を行うが可能であり、下側段部7とノズル部材70との位置関係を所望状態に維持することができる。
【0104】
次に、本発明の別の実施形態について説明する。以下の説明において、上述した実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略もしくは省略する。
【0105】
図4は本発明の別の実施形態を示す図である。図4において、露光装置EXは、メインコラム1の下側段部7に支持された投影光学系PLとノズル部材70との位置関係を計測するノズル位置計測器100を備えている。ノズル位置計測器100は、投影光学系PLとノズル部材70とのX軸方向に関する位置関係を計測するX干渉計101(101A、101B)と、投影光学系PLとノズル部材70とのY軸方向に関する位置関係を計測するY干渉計102(但し、図4には図示されていない)と、投影光学系PLとノズル部材70とのZ軸方向に関する位置関係を計測するZ干渉計103(103A〜103C、但し103Cは図4には図示されていない)とを備えている。これら各干渉計101〜103は投影光学系PLの鏡筒PKに取り付けられている。各干渉計101〜103と制御装置CONTとは接続されており、各干渉計101〜103の計測結果は、制御装置CONTに出力される。
【0106】
制御装置CONTは、複数の干渉計101〜103の計測結果に基づいて、6自由度の方向(X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向)に関する投影光学系PL(鏡筒PK)に対するノズル部材70の位置を求めることができる。制御装置CONTは、求めた前記位置情報に基づいて、ノズル部材70の振動が投影光学系PLに伝わらないように駆動装置61〜63を駆動する。あるいは、制御装置CONTは、求めた前記位置情報に基づいて、駆動装置61〜63を駆動して、投影光学系PLとノズル部材70との位置関係を調整する。
【0107】
図5は本発明の別の実施形態を示す図である。図5において、露光装置EXは、基板ステージPSTとノズル部材70との位置関係を計測するノズル位置計測器110を備えている。ノズル位置計測器110は、基板ステージPSTとノズル部材70とのX軸方向に関する位置関係を計測するX干渉計111(111A、111B)と、基板ステージPSTとノズル部材70とのY軸方向に関する位置関係を計測するY干渉計112(但し、図5には図示されていない)と、基板ステージPSTとノズル部材70とのZ軸方向に関する位置関係を計測するZ干渉計113(113A〜113C、但し113Cは図5には図示されていない)とを備えている。これら各干渉計111〜113は基板ステージPSTのうち露光処理を妨げない所定位置に取り付けられている。図5においては、各干渉計111〜113は基板ステージPSTの側面に取り付けられている。各干渉計111〜113と制御装置CONTとは接続されており、各干渉計111〜113の計測結果は、制御装置CONTに出力される。
【0108】
制御装置CONTは、複数の干渉計111〜103の計測結果に基づいて、6自由度の方向(X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向)に関する基板ステージPSTに対するノズル部材70の位置を求めることができる。制御装置CONTは、求めた前記位置情報に基づいて、駆動装置61〜63を駆動して、基板ステージPSTとノズル部材70との位置関係を調整する。
【0109】
上述したように、本実施形態における液体LQは純水により構成されている。純水は、半導体製造工場等で容易に大量に入手できるとともに、基板P上のフォトレジストや光学素子(レンズ)等に対する悪影響がない利点がある。また、純水は環境に対する悪影響がないとともに、不純物の含有量が極めて低いため、基板Pの表面、及び投影光学系PLの先端面に設けられている光学素子の表面を洗浄する作用も期待できる。なお工場等から供給される純水の純度が低い場合には、露光装置が超純水製造器を持つようにしてもよい。
【0110】
そして、波長が193nm程度の露光光ELに対する純水(水)の屈折率nはほぼ1.44と言われており、露光光ELの光源としてArFエキシマレーザ光(波長193nm)を用いた場合、基板P上では1/n、すなわち約134nmに短波長化されて高い解像度が得られる。更に、焦点深度は空気中に比べて約n倍、すなわち約1.44倍に拡大されるため、空気中で使用する場合と同程度の焦点深度が確保できればよい場合には、投影光学系PLの開口数をより増加させることができ、この点でも解像度が向上する。
【0111】
なお、上述したように液浸法を用いた場合には、投影光学系の開口数NAが0.9〜1.3になることもある。このように投影光学系の開口数NAが大きくなる場合には、従来から露光光として用いられているランダム偏光光では偏光効果によって結像性能が悪化することもあるので、偏光照明を用いるのが望ましい。その場合、マスク(レチクル)のライン・アンド・スペースパターンのラインパターンの長手方向に合わせた直線偏光照明を行い、マスク(レチクル)のパターンからは、S偏光成分(TE偏光成分)、すなわちラインパターンの長手方向に沿った偏光方向成分の回折光が多く射出されるようにするとよい。投影光学系PLと基板P表面に塗布されたレジストとの間が液体で満たされている場合、投影光学系PLと基板P表面に塗布されたレジストとの間が空気(気体)で満たされている場合に比べて、コントラストの向上に寄与するS偏光成分(TE偏光成分)の回折光のレジスト表面での透過率が高くなるため、投影光学系の開口数NAが1.0を越えるような場合でも高い結像性能を得ることができる。また、位相シフトマスクや特開平6−188169号公報に開示されているようなラインパターンの長手方向に合わせた斜入射照明法(特にダイポール照明法)等を適宜組み合わせると更に効果的である。例えば、透過率6%のハーフトーン型の位相シフトマスク(ハーフピッチ45nm程度のパターン)を、直線偏光照明法とダイポール照明法とを併用して照明する場合、照明系の瞳面においてダイポールを形成する二光束の外接円で規定される照明σを0.95、その瞳面における各光束の半径を0.125σ、投影光学系PLの開口数をNA=1.2とすると、ランダム偏光光を用いるよりも、焦点深度(DOF)を150nm程度増加させることができる。
【0112】
また、例えばArFエキシマレーザを露光光とし、1/4程度の縮小倍率の投影光学系PLを使って、微細なライン・アンド・スペースパターン(例えば25〜50nm程度のライン・アンド・スペース)を基板P上に露光するような場合、マスクMの構造(例えばパターンの微細度やクロムの厚み)によっては、Wave guide効果によりマスクMが偏光板として作用し、コントラストを低下させるP偏光成分(TM偏光成分)の回折光よりS偏光成分(TE偏光成分)の回折光が多くマスクMから射出されるようになる。この場合、上述の直線偏光照明を用いることが望ましいが、ランダム偏光光でマスクMを照明しても、投影光学系PLの開口数NAが0.9〜1.3のように大きい場合でも高い解像性能を得ることができる。
【0113】
また、マスクM上の極微細なライン・アンド・スペースパターンを基板P上に露光するような場合、Wire Grid効果によりP偏光成分(TM偏光成分)がS偏光成分(TE偏光成分)よりも大きくなる可能性もあるが、例えばArFエキシマレーザを露光光とし、1/4程度の縮小倍率の投影光学系PLを使って、25nmより大きいライン・アンド・スペースパターンを基板P上に露光するような場合には、S偏光成分(TE偏光成分)の回折光がP偏光成分(TM偏光成分)の回折光よりも多くマスクMから射出されるので、投影光学系PLの開口数NAが0.9〜1.3のように大きい場合でも高い解像性能を得ることができる。
【0114】
更に、マスク(レチクル)のラインパターンの長手方向に合わせた直線偏光照明(S偏光照明)だけでなく、特開平6−53120号公報に開示されているように、光軸を中心とした円の接線(周)方向に直線偏光する偏光照明法と斜入射照明法との組み合わせも効果的である。特に、マスク(レチクル)のパターンが所定の一方向に延びるラインパターンだけでなく、複数の異なる方向に延びるラインパターンが混在する場合には、同じく特開平6−53120号公報に開示されているように、光軸を中心とした円の接線方向に直線偏光する偏光照明法と輪帯照明法とを併用することによって、投影光学系の開口数NAが大きい場合でも高い結像性能を得ることができる。例えば、透過率6%のハーフトーン型の位相シフトマスク(ハーフピッチ63nm程度のパターン)を、光軸を中心とした円の接線方向に直線偏光する偏光照明法と輪帯照明法(輪帯比3/4)とを併用して照明する場合、照明σを0.95、投影光学系PLの開口数をNA=1.00とすると、ランダム偏光光を用いるよりも、焦点深度(DOF)を250nm程度増加させることができ、ハーフピッチ55nm程度のパターンで投影光学系の開口数NA=1.2では、焦点深度を100nm程度増加させることができる。
【0115】
本実施形態では、投影光学系PLの先端に光学素子2が取り付けられており、このレンズにより投影光学系PLの光学特性、例えば収差(球面収差、コマ収差等)の調整を行うことができる。なお、投影光学系PLの先端に取り付ける光学素子としては、投影光学系PLの光学特性の調整に用いる光学プレートであってもよい。あるいは露光光ELを透過可能な平行平面板であってもよい。
【0116】
なお、液体LQの流れによって生じる投影光学系PLの先端の光学素子と基板Pとの間の圧力が大きい場合には、その光学素子を交換可能とするのではなく、その圧力によって光学素子が動かないように堅固に固定してもよい。
【0117】
なお、本実施形態では、投影光学系PLと基板P表面との間は液体LQで満たされている構成であるが、例えば基板Pの表面に平行平面板からなるカバーガラスを取り付けた状態で液体LQを満たす構成であってもよい。
【0118】
なお、本実施形態の液体LQは水であるが、水以外の液体であってもよい、例えば、露光光ELの光源がFレーザである場合、このFレーザ光は水を透過しないので、液体LQとしてはFレーザ光を透過可能な例えば、過フッ化ポリエーテル(PFPE)やフッ素系オイル等のフッ素系流体であってもよい。この場合、液体LQと接触する部分には、例えばフッ素を含む極性の小さい分子構造の物質で薄膜を形成することで親液化処理する。また、液体LQとしては、その他にも、露光光ELに対する透過性があってできるだけ屈折率が高く、投影光学系PLや基板P表面に塗布されているフォトレジストに対して安定なもの(例えばセダー油)を用いることも可能である。この場合も表面処理は用いる液体LQの極性に応じて行われる。
【0119】
なお、上記各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板や、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
【0120】
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。また、本発明は基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写するステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
【0121】
また、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で第1パターンの縮小像を投影光学系(例えば1/8縮小倍率で反射素子を含まない屈折型投影光学系)を用いて基板P上に一括露光する方式の露光装置にも適用できる。この場合、更にその後に、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で第2パターンの縮小像をその投影光学系を用いて、第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光するスティッチ方式の一括露光装置にも適用できる。
【0122】
本発明は、例えは、特開平10−163099号公報、特開平10−214783号公報及びこれらに対応する米国特許6,400,441号と、特表2000−505958号公報及びこれに対応する米国特許5,969,441号及び米国特許6,262,796号に記載されているツインステージ型の露光装置にも適用できる。本国際出願で指定した指定国(又は選択した選択国)の国内法令で許される限りにおいて、上記公報または米国特許における開示を援用して本明細書の一部とする。
また、本発明は、特開平11−135400号に開示されているように、ウエハ等の被処理基板を保持して移動可能な露光ステージと、各種の計測部材やセンサを備えた計測ステージとを備えた露光装置にも適用することができる。本国際出願で指定した指定国(又は選択した選択国)の国内法令で許される限りにおいて、上記公報及び対応する米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(または位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスク、あるいは光反射性の基板上に所定の反射パターン光反射型マスクを用いたが、それらに限定されるものではない。例えば、そのようなマスクに代えて、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターンまたは反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(光学系の一種とする)を用いるようにしても良い。このような電子マスクは、例えば米国特許第6,778,257号公報に開示されている。本国際出願で指定した指定国(又は選択した選択国)の国内法令で許される限りにおいて、上記米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。なお、上述の電子マスクとは、非発光型画像表示素子と自発光型画像表示素子との双方を含む概念である。
また、例えば、2光束干渉露光と呼ばれているような、複数の光束の干渉によって生じる干渉縞を基板に露光するような露光装置にも適用することができる。そのような露光方法及び露光装置は、例えば、国際公開第01/35168号パンフレットに開示されている。本国際出願で指定した指定国(又は選択した選択国)の国内法令で許される限りにおいて、上記パンフレットにおける開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
【0123】
また、上述の実施形態では、投影光学系PLと基板Pとの間に局所的に液体を満たす露光装置を採用しているが、露光対象の基板を保持したステージを液槽の中で移動させる液浸露光装置や、ステージ上に所定深さの液体槽を形成しその中に基板を保持する液浸露光装置にも本発明を適用可能である。露光対象の基板を保持したステージを液槽の中で移動させる液浸露光装置の構造及び露光動作については、例えば、特開平6−124873号公報に、ステージ上に所定深さの液体槽を形成してその中に基板を保持する液浸露光装置については、例えは特開平10−303114号公報や米国特許第5,825,043号にそれぞれ開示されている。本国際出願で指定した指定国(又は選択した選択国)の国内法令で許される限りにおいて、上記公報または米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
また、上述の液浸法を適用した露光装置は、投影光学系PLの終端光学部材の射出側の光路空間を液体(純水)で満たしてウエハW(基板P)を露光する構成になっているが、国際公開第2004/019128号パンフレットに開示されているように、投影光学系の終端光学部材の入射側の光路空間も液体(純水)で満たすようにしてもよい。本国際出願で指定した指定国(又は選択した選択国)の国内法令で許される限りにおいて、上記パンフレットにおける開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
【0124】
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
【0125】
基板ステージPSTやマスクステージMSTにリニアモータ(USP5,623,853またはUSP5,528,118参照)を用いる場合は、エアベアリングを用いたエア浮上型およびローレンツ力またはリアクタンス力を用いた磁気浮上型のどちらを用いてもよい。また、各ステージPST、MSTは、ガイドに沿って移動するタイプでもよく、ガイドを設けないガイドレスタイプであってもよい。本国際出願で指定した指定国(又は選択した選択国)の国内法令で許される限りにおいて、上記米国特許における開示を援用して本明細書の一部とする。
【0126】
各ステージPST、MSTの駆動機構としては、二次元に磁石を配置した磁石ユニットと、二次元にコイルを配置した電機子ユニットとを対向させ電磁力により各ステージPST、MSTを駆動する平面モータを用いてもよい。この場合、磁石ユニットと電機子ユニットとのいずれか一方をステージPST、MSTに接続し、磁石ユニットと電機子ユニットとの他方をステージPST、MSTの移動面側に設ければよい。
【0127】
基板ステージPSTの移動により発生する反力は、投影光学系PLに伝わらないように、特開平8−166475号公報及びこれに対応する米国特許5,528,118号に記載されているようなフレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がすようにしてもよい。本国際出願で指定した指定国(又は選択した選択国)の国内法令で許される限りにおいて、上記公報または米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
また、マスクステージMSTの移動により発生する反力は、投影光学系PLに伝わらないように、特開平8−330224号公報及びこれに対応する米国特許5,874,820号に記載されているようなフレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がすようにしてもよい。本国際出願で指定した指定国(又は選択した選択国)の国内法令で許される限りにおいて、上記公報または米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
【0128】
以上のように、本願実施形態の露光装置EXは、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0129】
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図6に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置EXによりマスクのパターンを基板に露光する基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
【符号の説明】
【0130】
1…メインコラム(支持部材)、2…光学素子、7…下側段部(支持部材)、12…液体供給口、22…液体回収口、60…防振機構(調整機構)、61〜63…駆動装置、65…アクティブ防振機構、70…ノズル部材、72…パッシブ防振機構、80、100、110…位置計測器、90…加速度計測器、AR1…投影領域、AR2…液浸領域、EX…露光装置、LQ…液体、P…基板、PL…投影光学系、PST…基板ステージ
図1
図2
図3
図4
図5
図6