(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
《第1の実施形態》
以下、第1の実施形態について、
図1〜
図11(B)を用いて説明する。
【0012】
図1には、液晶露光装置10の構成が概略的に示されている。液晶露光装置10は、例えば液晶表示装置(フラットパネルディスプレイ)などに用いられる矩形(角型)のガラス基板P(以下、単に基板Pと称する)を露光対象物とする投影露光装置である。
【0013】
液晶露光装置10は、照明系IOP、マスクMを保持するマスクステージMST、投影光学系PL、装置本体30、表面(
図1で+Z側を向いた面)にレジスト(感応剤)が塗布された基板Pを保持する基板ステージ装置PST、外部装置(例えば、コータ・デベロッパ装置)との間で基板の受け渡しを行うポート部60(
図1では不図示。
図5参照)、及びこれらの制御系等を有している。以下、露光時にマスクMと基板Pとが投影光学系PLに対してそれぞれ相対走査される方向をX軸方向とし、水平面内でX軸に直交する方向をY軸方向、X軸及びY軸に直交する方向をZ軸方向とし、X軸、Y軸、及びZ軸回りの回転方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向として説明を行う。また、X軸、Y軸、及びZ軸方向に関する位置をそれぞれX位置、Y位置、及びZ位置として説明を行う。
【0014】
照明系IOPは、例えば米国特許第6,552,775号明細書などに開示される照明系と同様に構成されている。すなわち、照明系IOPは、図示しない光源(例えば、水銀ランプ)から射出された光を、それぞれ図示しない反射鏡、ダイクロイックミラー、シャッター、波長選択フィルタ、各種レンズなどを介して、露光用照明光(照明光)ILとしてマスクMに照射する。照明光ILとしては、例えばi線(波長365nm)、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)などの光(あるいは、上記i線、g線、h線の合成光)が用いられる。
【0015】
マスクステージMSTには、回路パターンなどがそのパターン面に形成されたマスクMが、例えば真空吸着により吸着保持されている。マスクステージMSTは、装置本体30(ボディ)の一部である鏡筒定盤31上に搭載され、例えばリニアモータを含むマスクステージ駆動系(不図示)により走査方向(X軸方向)に所定の長ストロークで駆動されるとともに、Y軸方向、及びθz方向に適宜微少駆動される。マスクステージMSTのXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)は、不図示のレーザ干渉計を含むマスク干渉計システムにより計測される。
【0016】
投影光学系PLは、マスクステージMSTの下方に配置され、鏡筒定盤31に支持されている。投影光学系PLは、例えば米国特許第6,552,775号明細書に開示された投影光学系と同様に構成されている。すなわち、投影光学系PLは、マスクMのパターン像の投影領域が千鳥状に配置された複数の投影光学系(マルチレンズ投影光学系)を含み、Y軸方向を長手方向とする長方形状の単一のイメージフィールドを持つ投影光学系と同等に機能する。本実施形態では、複数の投影光学系それぞれとしては、例えば両側テレセントリックな等倍系で正立正像を形成するものが用いられている。
【0017】
このため、照明系IOPからの照明光ILによってマスクM上の照明領域が照明されると、マスクMを通過した照明光ILにより、投影光学系PLを介してその照明領域内のマスクMの回路パターンの投影像(部分正立像)が、基板P上の照明領域に共役な照明光ILの照射領域(露光領域)に形成される。そして、マスクステージMSTと基板ステージ装置PSTとの同期駆動によって、照明領域(照明光IL)に対してマスクMを走査方向に相対移動させるとともに、露光領域(照明光IL)に対して基板Pを走査方向に相対移動させることで、基板P上の1つのショット領域の走査露光が行われ、そのショット領域にマスクMに形成されたパターンが転写される。すなわち、本実施形態では照明系IOP及び投影光学系PLによって基板P上にマスクMのパターンが生成され、照明光ILによる基板P上の感応層(レジスト層)の露光によって基板P上にそのパターンが形成される。
【0018】
装置本体30は、鏡筒定盤31、一対のサイドコラム32、基板ステージ架台33を有している。鏡筒定盤31は、XY平面に平行に配置された板状の部材から成り、上記投影光学系PL、マスクステージMSTなどを支持している。一対のサイドコラム32は、Y軸方向に離間して配置され、鏡筒定盤31の+Y側の端部近傍、及び−Y側の端部近傍をそれぞれ下方から支持している。基板ステージ架台33は、Y軸方向に延びる部材から成り、
図2及び
図3から分かるように、X軸方向に離間して、例えば2つ設けられている。
図1に戻り、+Y側のサイドコラム32は、例えば2つの基板ステージ架台33の+Y側の端部近傍上に、−Y側のサイドコラム32は、例えば2つの基板ステージ架台33の−Y側の端部近傍上にそれぞれ搭載されている。基板ステージ架台33は、その長手方向の端部近傍が、クリーンルームの床11上に設置された防振装置34により下方から支持されている。これにより、装置本体30(及び投影光学系PL、マスクステージMSTなど)が、床11から振動的に分離される。
【0019】
基板ステージ装置PSTは、
図3に示されるように、一対のベースフレーム14、補助ベースフレーム15、及び基板ステージ20を備えている。
【0020】
一方のベースフレーム14は、+X側の基板ステージ架台33の+X側に、他方のベースフレーム14は、−X側の基板ステージ架台33の−X側に、補助ベースフレーム15は、一対の基板ステージ架台33の間に、それぞれ基板ステージ架台33に所定距離隔てて(非接触状態で)配置されている。一対のベースフレーム14及び補助ベースフレーム15は、それぞれY軸方向に延びるYZ平面に平行な板状部材から成り、複数のアジャスタ装置を介して高さ位置(Z位置)が調整可能に床11上に設置されている。一対のベースフレーム14、及び補助ベースフレーム15それぞれの上端面(+Z側の端部)には、
図2に示されるように、Y軸方向に延びる機械的なYリニアガイド装置(一軸ガイド装置)の要素であるYリニアガイド16aが固定されている。
【0021】
図1に戻り、基板ステージ20は、Y粗動ステージ23y、X粗動ステージ23x、微動ステージ21、基板ホルダ40、複数の基板リフト装置45、Yステップ定盤50、重量キャンセル装置54、及び基板搬出装置70を有している。
【0022】
Y粗動ステージ23yは、
図3に示されるように、一対のベースフレーム14、及び補助ベースフレーム15上に搭載されている。Y粗動ステージ23yは、
図2に示されるように、一対のXビーム25を有している。一対のXビーム25それぞれは、X軸方向に延びるYZ断面が矩形の部材から成り、Y軸方向に所定間隔で互いに平行に配置されている。一対のXビーム25は、+X側及び−X側の端部近傍それぞれにおいて、Yキャリッジ26により互いに接続されている。Yキャリッジ26は、Y軸方向に延びるXY平面に平行な板状部材から成り、その上面上に一対のXビーム25が搭載されている。また、一対のXビーム25は、
図3に示されるように、その長手方向の中央部が補助キャリッジ26aにより接続されている。
【0023】
また、
図1及び
図3から分かるように、Yキャリッジ26の下面、及び補助キャリッジ26aの下面には、上記Yリニアガイド16aと共にYリニアガイド装置16を構成するYスライド部材16bが複数(
図3では紙面奥行き方向に重なっている)固定されている。Yスライド部材16bは、対応するYリニアガイド16aに低摩擦でスライド自在に係合しており、Y粗動ステージ23yは、一対のベースフレーム14、及び補助ベースフレーム15上を低摩擦でY軸方向に所定のストロークで移動可能となっている。一対のXビーム25の下面のZ位置は、一対の基板ステージ架台33の上面よりも+Z側に設定されており、Y粗動ステージ23yは、一対の基板ステージ架台33(すなわち装置本体30)から振動的に分離されている。
【0024】
Y粗動ステージ23yは、
図2に示されるように、一対のY送りねじ装置17によりY軸方向に駆動される。一対のY送りねじ装置17それぞれは、ベースフレーム14の外側面に取り付けられたモータにより回転駆動されるねじ軸17aと、Yキャリッジ26に取り付けられた複数の循環式ボール(不図示)を有するナット17bとを含む。Y粗動ステージ23yのY位置情報は、不図示のリニアエンコーダシステムにより求められる。なお、Y粗動ステージ23y(一対のXビーム25)をY軸方向に駆動するためのYアクチュエータの種類は、上記ボールねじ装置に限らず、例えばリニアモータ、ベルト駆動装置などであっても良い。また、補助ベースフレーム15に上記Y送りねじ装置17と同様な構成の(あるいは別種の)Yアクチュエータを配置しても良い。また、Y送りねじ装置17はひとつでも良い。
【0025】
一対のXビーム25それぞれの上面には、
図4に示されるように、X軸方向に延びる機械的な一軸ガイド装置の要素であるXリニアガイド27aが、Y軸方向に所定間隔でひとつのXビーム25につき、例えば2本、互いに平行に固定されている。また、一対のXビーム25それぞれの上面であって、一対のXリニアガイド27a間の領域には、X軸方向に所定間隔で配列された複数の永久磁石を含む磁石ユニット28a(X固定子)が固定されている。
【0026】
X粗動ステージ23xは、平面視矩形の板状部材から成り、その中央部に開口部が形成されている。X粗動ステージ23xの下面には、上記Xリニアガイド27aと共にXリニアガイド装置27を構成するXスライド部材27bが固定されている。Xスライド部材27bは、一本のXリニアガイド27aにつき、X軸方向に所定間隔で、例えば4個設けられている(
図3参照)。Xスライド部材27bは、対応するXリニアガイド27aに低摩擦でスライド自在に係合しており、X粗動ステージ23xは、一対のXビーム25上を低摩擦でX軸方向に所定のストロークで移動可能となっている。また、X粗動ステージ23xの下面には、一対の磁石ユニット28aそれぞれに所定のクリアランスを介して対向し、一対の磁石ユニット28aと共にX粗動ステージをX軸方向に所定のストロークで駆動するための一対のXリニアモータ28を構成する一対のコイルユニット28b(X可動子)が固定されている。
【0027】
X粗動ステージ23xは、Xリニアガイド装置27によりY粗動ステージ23yに対するY軸方向への相対移動が制限されており、Y粗動ステージ23yと一体的にY軸方向に移動する。すなわち、X粗動ステージ23xは、Y粗動ステージ23yと共に、ガントリ式の2軸ステージ装置を構成している。Y粗動ステージ23yのY位置情報、及びX粗動ステージ23xのX位置情報は、それぞれ不図示のリニアエンコーダシステムにより求められる。
【0028】
微動ステージ21は、平面視矩形の箱形部材から成り、その上面に基板ホルダ40が固定されている。微動ステージ21は、X粗動ステージ23xに固定された固定子と、微動ステージ21に固定された可動子とから成る複数のボイスコイルモータを含む微動ステージ駆動系により、X粗動ステージ23x上で3自由度方向(X軸、Y軸、θz方向)に微少駆動される。複数のボイスコイルモータには、複数のXボイスコイルモータ18x(
図3参照。ただし
図3では紙面奥行き方向に重なっている。また
図1では不図示)、及び複数のYボイスコイルモータ18y(
図1参照。ただし
図1では紙面奥行き方向に重なっている。また
図3では不図示)が含まれる。微動ステージ21は、上記複数のボイスコイルモータが発生する推力によりX粗動ステージ23xに誘導されることにより、そのX粗動ステージ23xと共にX軸方向、及び/又はY軸方向に所定のストロークで移動する。また、微動ステージ21は、複数のボイスコイルモータによりX粗動ステージ23xに対して上記3自由度方向に適宜微少駆動される。
【0029】
また、微動ステージ駆動系は、
図1に示されるように、微動ステージ21をθx、θy、及びZ軸方向の3自由度方向に微少駆動するための複数のZボイスコイルモータ18zを有している。複数のZボイスコイルモータ18zは、例えば微動ステージ21の四隅部に対応する箇所に配置されている(
図1では、4つのZボイスコイルモータ18zのうち2つのみが示され、他の2つは図示省略。また、
図4では不図示)。複数のボイスコイルモータを含み、微動ステージ駆動系の構成については、例えば米国特許出願公開第2010/0018950号明細書に開示されている。
【0030】
図1に戻り、微動ステージ21のXY平面内の位置情報(θz方向の回転量情報を含む)は、装置本体30に固定されたレーザ干渉計19を含む基板干渉計システムにより、微動ステージ21にミラーベース24を介してそれぞれ固定されたX移動鏡22x(
図1では不図示。
図2参照)、及びY移動鏡22yを用いて求められる。なお、レーザ干渉計19には、X移動鏡22xに対応するXレーザ干渉計、及びY移動鏡22yに対応するYレーザ干渉計がそれぞれ複数含まれるが、
図1では代表してひとつのYレーザ干渉計のみが示されている。また、微動ステージ21のθx、θy、及びZ軸方向それぞれの位置情報は、
図4に示されるように、微動ステージ21の下面に固定された複数のZセンサ56により、後述する重量キャンセル装置54に固定されたターゲット57を用いて求められる。上記微動ステージ21の位置計測系の構成については、例えば米国特許出願公開第2010/0018950号明細書に開示されている。
【0031】
基板ホルダ40は、
図1及び
図2から分かるように、XY平面に平行な平面視矩形の板状部材から成り、その上面には、基板Pを真空吸着により吸着保持するための不図示の微少な孔部が複数形成されている。また、基板ホルダ40の上面には、
図2に示されるように、X軸方向に延びるX溝41がY軸方向に所定間隔で複数(例えば4本)形成されている。基板ホルダ40のX軸及びY軸方向それぞれの寸法は、基板PのX軸及びY軸方向それぞれの寸法よりも幾分短く設定され、基板ホルダ40上に基板Pが載置された状態で、基板Pの端部が基板ホルダ40の端部からはみ出すようになっている。これは、基板Pの裏面にレジストが付着する可能性があり、そのレジストが基板ホルダ40に付着しないようにするためである。
【0032】
図4に示されるように、複数(本実施形態では、例えば16台)の基板リフト装置45それぞれは、X粗動ステージ23xの上面に固定されZアクチュエータ46と、Zアクチュエータ46の+Z側の端部に取り付けられたエア浮上装置47とを有する。基板ホルダ40に形成された複数のX溝41を規定する底面には、基板ホルダ40を上下方向に貫通する貫通孔42がX軸方向に所定間隔で複数(例えば4つ)形成されている。また、微動ステージ21には、上記複数の貫通孔42に対応する位置に貫通孔21aが複数形成されている。貫通孔21a、42には、Zアクチュエータ46の一部が挿通されている。X溝41を規定する壁面とエア浮上装置47との間、及びZアクチュエータ46と貫通孔21a、42を規定する壁面との間それぞれには、微動ステージ21がX粗動ステージ23xに対して微少駆動される際に互いに接触しない程度の隙間が設定されている。Zアクチュエータ46の種類は、特に限定されないが、例えばエアシリンダ装置、送りねじ装置、カム装置などを用いることができる。
【0033】
エア浮上装置47は、
図2に示されるように、ひとつのX溝41内にX軸方向に所定間隔で複数(例えば4台)収容されている。複数のエア浮上装置47それぞれは、XY平面に平行な板状部材から成り、対応するZアクチュエータ46(
図2では不図示。
図4参照)により、その上面が基板ホルダ40の上面(基板載置面)から+Z側に突き出した位置と、基板ホルダ40の上面より−Z側に下がった(引っ込んだ)位置との間でZ軸(上下)方向に同期駆動される。エア浮上装置47の上面には、不図示の微少な孔部が複数形成されており、その孔部から加圧気体(例えば、空気)を噴出し、微少なクリアランスを介して基板Pを浮上支持することができるようになっている。また、複数のエア浮上装置47の少なくとも一部は、基板Pとの間の気体を吸引して基板Pを吸着保持することができるようになっている。なお、エア浮上装置47において、気体噴出用の孔部と気体吸引用の孔部とは、同じであっても良いし、それぞれ別であっても良い。また、本第1の実施形態では、X溝41が、例えば4本形成されているが、X溝41の数、及びエア浮上装置47(基板リフト装置45)の数、配置などはこれに限定されず、例えば基板Pの大きさなどに応じて適宜変更可能である。
【0034】
Yステップ定盤50は、X軸方向に伸びるYZ断面矩形の部材から成り、一対のXビーム25それぞれに所定距離隔てた状態で(非接触状態で)、一対のXビーム25間に挿入されている。Yステップ定盤50の長手方向の寸法は、微動ステージ21のX軸方向に関する移動ストロークよりも幾分長めに設定されている。Yステップ定盤50の上面は、平面度が非常に高く仕上げられている。Yステップ定盤50は、
図4に示されるように、一対の基板ステージ架台33それぞれの上面に固定された複数のYリニアガイド35aと、Yステップ定盤50の下面に固定された複数のYスライド部材35bとにより構成される複数のYリニアガイド装置35により、一対の基板ステージ架台33上でY軸方向に所定のストロークで直進案内される。
【0035】
Yステップ定盤50は、
図2に示されるように、+X側、及び−X側の端部近傍それぞれにおいて、一対のフレクシャ装置51と称される装置を介して一対のXビーム25に機械的に連結されている。これにより、Yステップ定盤50とY粗動ステージ23yとは、一体的にY軸方向に移動する。フレクシャ装置51は、例えばXY平面に平行に配置された厚さの薄い帯状の鋼板と、その鋼板の両端部に設けられた滑節装置(例えばボールジョイント、又はヒンジ装置)とを含み、上記鋼板が滑節装置を介してYステップ定盤50、及びXビーム25間に架設されている。従って、フレクシャ装置51は、Y軸方向の剛性に比べて他の5自由度方向(X,Z,θx、θy、θz方向)の剛性が低く、上記5自由度方向に関してYステップ定盤50とY粗動ステージ23yとが振動的に分離される。なお、Yステップ定盤50のY位置は、例えばリニアモータ、送りねじ装置などのアクチュエータによりY粗動ステージ23yと独立して制御しても良い。
【0036】
重量キャンセル装置54は、
図4に示されるように、Z軸方向に延びる一本の柱状の部材から成り、後述するレベリング装置59と称される装置を介して微動ステージ21を下方から支持している。重量キャンセル装置54は、X粗動ステージ23xに形成された開口部内に挿入されている。本実施形態の重量キャンセル装置54は、例えば米国特許出願公開第2010/0018950号明細書に開示される重量キャンセル装置と同様に構成されている。すなわち、重量キャンセル装置54は、不図示の空気ばねなどを有し、その空気ばねが発生する重力方向上向き(+Z方向)の力により、微動ステージ21、基板ホルダ40などを含む系の重量(重量加速度による下向き(−Z方向)の力)を打ち消し、これにより微動ステージ駆動系を構成する複数のボイスコイルモータの負荷を低減する。
【0037】
重量キャンセル装置54は、複数のフレクシャ装置55を介してX粗動ステージ23xに機械的に接続されており、X粗動ステージ23xと一体的にX軸方向、及び/又はY軸方向に移動する。フレクシャ装置55の構成は、前述したYステップ定盤50とXビーム25とを接続するフレクシャ装置51の構成と概ね同じである。レベリング装置59は、球面軸受け装置(あるいは例えば米国特許出願公開第2010/0018950号明細書に開示されるような疑似球面軸受け装置)を含み、微動ステージ21をθx及びθy方向に揺動(チルト)自在に下方から支持している。
【0038】
ここで、重量キャンセル装置54は、その下面に取り付けられた複数のエアベアリング58を介して、Yステップ定盤50上に非接触状態で搭載されている。重量キャンセル装置54は、X粗動ステージ23xと一体的にX軸方向に移動する際には、Yステップ定盤50上を移動する。これに対し、重量キャンセル装置54は、X粗動ステージ23xと一体的にY軸方向に移動する際には、Y粗動ステージ23y、及びYステップ定盤50と一体的にY軸方向に移動するのでYステップ定盤50上から脱落することがない。
【0039】
基板搬出装置70は、基板ホルダ40上に載置された基板Pを後述する基板ステージ装置PSTの外部(本実施形態では後述するポート部60の基板ガイド装置62(
図5参照))に向けて搬出する装置であり、一対のXビーム25のうち、+Y側のXビーム25の外側面(+Y側を向いた面)に取り付けられている。基板搬出装置70は、搬出対象の基板Pの下面を吸着保持する吸着パッド71、吸着パッドを支持する支持部材72、支持部材72(及び吸着パッド71)をX軸方向に直進案内する一対のXリニアガイド装置73、支持部材72(及び吸着パッド71)をX軸方向に駆動するためのXリニアモータ74を有している。なお、
図4は、
図3のA−A線断面図であるが、基板搬出装置70の構成の説明のため、吸着パッド71及び支持部材72が−X側のストロークエンドに位置した状態で示されている。
【0040】
吸着パッド71は、
図4に示されるように、YZ断面逆L字状の部材から成り、XY平面に平行な部分は、
図2に示されるように、X軸方向を長手方向とする平面視矩形の板状の部材から成る。吸着パッド71は、外部に設置された不図示のバキューム装置に接続されており、上記XY平面に平行な部分の上面が基板吸着面部として機能する。支持部材72は、
図3に示されるように、Z軸方向に延びるXZ平面に平行な板状の部材から成り、その上端部(+Z側の端部)近傍に吸着パッド71が取り付けられている。支持部材72は、Y軸方向の剛性よりもX軸方向の剛性が高い構造になっている。支持部材72は、Z軸方向に関する中央部よりも幾分+Z側の部分が+X側に向けて曲がって形成されており、その上端部が下端部(−Z側の端部)よりも+X側(すなわちポート部60(
図3では不図示。
図5参照)側)に突き出している。また、支持部材72と基板ホルダ40との間には、
図4に示されるように、支持部材72と基板ホルダ40とが隣接した状態で基板ホルダ40がX粗動ステージ23xに対してY軸方向、及び/又はθz方向に微少駆動された場合であっても互いに接触しない程度のクリアランスが設定されている。
【0041】
ここで、吸着パッド71は、+Y側の端部近傍が支持部材72に接続されることにより−Y側の端部が支持部材72の−Y側を向いた面から−Y側(基板ホルダ40側)に突き出して配置されており、その−Y側の端部のY位置は基板ホルダ40の+Y側の端部よりも−Y側に位置している。すなわち、基板ステージ20を+Z側から見た場合、基板ホルダ40のX位置にもよるが、吸着パッド71は、基板ホルダ40の上方に位置する(Z軸方向に重なる)。また、吸着パッド71は、その下面のZ位置が基板ホルダ40の上面のZ位置よりも高く位置するように(基板ホルダ40のZ位置が微少範囲で変化するので、例えば基板ホルダ40をZ軸方向に関する中立位置に位置させた状態で基板ホルダ40の上面のZ位置よりも高く位置するように)支持部材72に支持されている。これにより、基板Pが複数の基板リフト装置45により基板ホルダ40の上面から上昇駆動された(持ち上げられた)状態で、吸着パッド71を基板Pと基板ホルダ40との間に挿入することができるようになっている。
【0042】
支持部材72の下端部近傍の一面は、+Y側のXビーム25の外側面に対向している。これに対し、+Y側のXビーム25の外側面には、
図3に示されるように、X軸方向に延びるXリニアガイド73aがZ軸方向に所定間隔で、例えば2本(一対)固定されている。一対のXリニアガイド73aは、その長さ(X軸方向の寸法)がXビーム25のほぼ半分(あるいは基板PのX軸方向に関する長さと同程度)に設定され、Xビーム25のX軸方向に関する中央部よりも+X側(ポート部60(
図3では不図示。
図5参照)側)の領域に配置されている。また、支持部材72の一面(Xビーム25に対する対向面)には、不図示の転動体(例えば循環式のボールなど)を含み、Xリニアガイド73aに対して機械的にスライド自在に係合するXスライダ73bが、一本のXリニアガイド73aに対して、例えば2つX軸方向所定間隔で固定されている。上記Xリニアガイド73aと、そのXリニアガイド73aに対応する、例えば2つのXスライダ73bにより、支持部材72(及び吸着パッド71)をX軸方向に直進案内するためのXリニアガイド装置73が構成されている。
【0043】
また、上記一対のXリニアガイド73aの間には、X軸方向に所定間隔で配列された複数の永久磁石を含む磁石ユニット74aが固定されている。これに対し、支持部材72の一面(Xビーム25に対する対向面)には、コイルを含むコイルユニット74bが磁石ユニット74aに所定間隔で対向して固定されている。上記磁石ユニット74a(X固定子)と、その磁石ユニット74aに対応するコイルユニット74b(X可動子)により、支持部材72(及び吸着パッド71)をX軸方向に駆動するためのXリニアモータ74が構成されている。なお、支持部材72(及び吸着パッド71)をX軸方向に駆動するためのアクチュエータとしては、これに限られず、例えばボールねじ(送りねじ)装置、ロープ(あるいはベルトなど)を用いた牽引装置など、他の一軸アクチュエータを用いても良い。また、+Y側のXビーム25の外側面であって、磁石ユニット74aの両端部近傍それぞれには、支持部材72の移動可能範囲を機械的に規定するストッッパ75が固定されている。
【0044】
基板ステージ20では、基板Pの搬出動作を行う際、複数の基板リフト装置45それぞれのエア浮上装置47の上面がZ位置が基板ホルダ40の上面よりも+Z側となるように複数のZアクチュエータ46が制御される。そして、基板搬出装置70では、吸着パッド71が基板Pの−X側かつ+Y側の端部(角部)近傍における下面を吸着保持し、その状態で支持部材72がXリニアモータ74に駆動されることにより、基板Pが基板ホルダ40上を+X方向に移動してポート部60に搬出される。この際、複数のエア浮上装置47それぞれからは、基板Pの下面に対して加圧気体が噴出され、基板Pが浮上支持される。これにより、基板Pが低摩擦で基板ホルダ40上を移動する。
【0045】
ここで、基板搬出装置70では、
図3に示されるように、支持部材72を+X側のストロークエンドに位置させたときの吸着パッド71のX位置が、X粗動ステージ23xを+X側のストロークエンドに位置させたときの基板ホルダ40のよりも+X側となるように、支持部材72の形状(曲がり量)が設定されている。これにより、基板Pに対する露光処理などが行われている間、吸着パッド71をX粗動ステージ23xの移動可能範囲の外側に退避させておくことができる。なお、本実施形態では、支持部材72の中間部が曲げて形成されているが、吸着パッド71を基板ホルダ40のX軸方向に関する移動可能範囲の外側に退避させることができれば、支持部材72の形状はこれに限られない。
【0046】
ポート部60は、
図5に示されるように、不図示の外部装置(例えば、コータ・デベロッパ装置)から搬入された基板Pを基板ステージ20に向けて搬送する基板搬入装置61と、露光済みの基板(
図5では不図示)を基板ステージ20から受け取る基板ガイド装置62と、を備えている。基板搬入装置61、及び基板ガイド装置62は、装置本体30(
図5では不図示。
図1参照)の+X側に隣接して装置本体30と共に不図示のチャンバ内に収容されている。なお、
図5では、図面の錯綜を避けるため、基板ステージ20のうち、基板ホルダ40、及び基板搬出装置70(吸着パッド71及び支持部材72)を除く部材の図示が省略されている。また、
図5に示される基板ステージ20は、Y粗動ステージ23y(
図5では不図示。
図1参照)がその移動可能範囲のほぼ中央に、X粗動ステージ23x(
図5では不図示。
図1参照)がその+X側のストロークエンドにそれぞれ位置した状態が示されている。以下、
図5に示される基板ステージ20の位置を基板交換位置と称して説明する。
【0047】
基板搬入装置61は、搬入対象の基板Pを下方から支持して吸着保持するフォークハンド61aと、フォークハンド61aをX軸方向に駆動する一対の駆動ユニット61bとを有しており、フォークハンド61a上に載置された基板Pを基板ガイド装置62の上方から基板交換位置に位置した基板ステージ20の上方まで、XY平面に沿って搬送することができるようになっている。また、基板ガイド装置62は、複数のエア浮上装置63を有し、搬出対象の基板(
図5では不図示)を下方から浮上支持することができるようになっている。複数のエア浮上装置63は、
図6(A)に示されるように、Zアクチュエータ64によりZ軸方向に所定のストロークで同期駆動される。また、複数のエア浮上装置63は、不図示のXアクチュエータによりX軸方向に所定のストロークで駆動されるベース65上に搭載されており、床11(
図6(A)では不図示。
図1参照)上に設置された架台66上で一体的にX軸方向に駆動される。また、
図5に示されるように、複数のエア浮上装置63は、−X側(基板ステージ20側)において+X側より台数が多く配置されており、複数のエア浮上装置63により規定される基板ガイド面は、平面視で底辺が基板Pの幅方向寸法よりも長い台形状となっている。
【0048】
上述のようにして構成された液晶露光装置10(
図1参照)では、不図示の主制御装置の管理の下、不図示のマスクローダによって、マスクステージMST上へのマスクMのロードが行われるとともに、基板搬入装置61によって、基板ホルダ40上への基板Pのロードが行なわれる。その後、主制御装置により、不図示のアライメント検出系を用いてアライメント計測が実行され、そのアライメント計測の終了後、基板上に設定された複数のショット領域に逐次ステップ・アンド・スキャン方式の露光動作が行なわれる。なお、この露光動作は従来から行われているステップ・アンド・スキャン方式の露光動作と同様であるので、その詳細な説明は省略するものとする。そして、露光処理が終了した基板が基板搬出装置70により基板ホルダ40上からポート部60に搬出されるとともに、次に露光される別の基板が基板ホルダ40に搬送されることにより、基板ホルダ40上の基板の交換が行われ、複数の基板に対し、露光動作などが連続して行われる。
【0049】
以下、液晶露光装置10における基板ホルダ40上の基板P(便宜上、複数の基板Pを基板P
1、基板P
2、基板P
3と称する)の交換動作について
図6(A)〜
図11(B)を用いて説明する。以下の基板交換動作は、不図示の主制御装置の管理の下に行われる。なお、
図6(A)〜
図11(B)では、理解を容易にするため、基板ホルダ40が断面図で示されるとともに、複数のボイスコイルモータなどを含み、一部が省略されている。
【0050】
図6(A)において、基板ステージ20の基板ホルダ40には、基板P
1が保持されている。また、フォークハンド61aには、基板P
1が基板ホルダ40から搬出された後、次に基板ホルダ40に保持される予定の基板P
2(次の基板P
2)が保持されている。基板搬入ロボットアーム68、及び基板搬出ロボットアーム69は、液晶露光装置10(
図1参照)の外部と液晶露光装置10の内部との間を移動可能なフォークハンド(フォークハンド61aとほぼ同じ構成)を有している。
【0051】
主制御装置は、基板P
1上に設定された複数のショット領域のうち、最後のショット領域に対する露光処理が終了した後、
図6(B)に示されるように、露光終了位置から基板ステージ20を制御して基板交換位置に移動させる。上記露光処理が行われている最中、基板搬出装置70の支持部材72は、+X側のストロークエンドに位置され、吸着パッド71は、基板PのX軸方向に関する移動可能範囲の外側に退避している。従って、基板P
1の搬出のために、X粗動ステージ23x(及び基板ホルダ40)がX軸方向に移動しても、基板P
1と吸着パッド71とが接触しない。また、これと並行して、フォークハンド61aが−X方向に駆動され、これにより基板P
2が基板交換位置の上方に位置する。さらに、ポート部60では、基板ガイド装置62が基板ステージ20に接近する方向に駆動される。
【0052】
基板ステージ20が基板交換位置に到達すると、主制御装置は、
図7(A)に示されるように、基板ホルダ40による基板P
1の吸着保持を解除させるとともに、複数の基板リフト装置45を制御して、エア浮上装置47を上昇駆動する。これにより、基板P
1の下面と、基板ホルダ40の上面との間に隙間が形成される。次いで、
図7(B)に示されるように、基板搬出装置70の支持部材72が−X方向に駆動され、これにより吸着パッド71が基板P
1の下面と、基板ホルダ40の上面との間の隙間を通過し、基板P
1の−X側かつ+Y側の端部(角部)近傍の下方に位置される。この後、複数のエア浮上装置47が下降駆動され、基板P
1の下面が吸着パッド71に吸着保持される。また、複数のエア浮上装置47は、基板P
1の下面に対して加圧気体を噴出して基板P
1を浮上支持する。このとき、基板ステージ20の複数のエア浮上装置47とポート部60の複数のエア浮上装置63とは、互いの上面のZ位置がほぼ同じとなるように制御される。
【0053】
この後、
図8(A)に示されるように、基板搬出装置70の支持部材72が+X方向に駆動され、これにより、吸着パッド71に吸着保持された基板P
1が複数のエア浮上装置47、及び複数のエア浮上装置63の上面により形成されるXY平面に平行な面(ガイド面)に沿って+X方向に移動し、基板ホルダ40からポート部60に搬出される。この際、複数のエア浮上装置63の上面からも、基板P
1に対して加圧気体が噴出される。これにより、基板P
1を高速、且つ低発塵で移動させることができる。
【0054】
基板P
1が基板ホルダ40上から複数のエア浮上装置63上に受け渡されると、
図8(B)に示されるように、吸着パッド71による基板P
1の吸着保持が解除されるとともに、複数のエア浮上装置63からの加圧気体の噴出が停止される。これにより、基板P
1が複数のエア浮上装置63上に載置され、次いで基板P
1を支持した基板ガイド装置62が+X方向に駆動される。なお、基板搬出装置70が
図8(B)に示される位置に位置する基板ガイド装置62上にまで基板P
1を搬送することができれば、基板ガイド装置62を予め基板ステージ20側に移動させておく必要はない(移動不可でも良い)。また、基板ステージ20では、複数のエア浮上装置47が上昇駆動され、基板P
2の下面を下方から押圧する。フォークハンド61aでは、基板P
2の吸着保持が解除され、これにより、基板P
2がフォークハンド61aから離間する。なお、フォークハンド61aを降下させて基板P
2を複数のエア浮上装置47に受け渡しても良い。
【0055】
基板P
2とフォークハンド61aとが離間すると、
図9(A)に示されるように、フォークハンド61aが+X方向に駆動され、基板交換位置の上方から退避し、基板ガイド装置62の上方の位置に復帰する。また、ポート部60では、複数のエア浮上装置63が幾分下降駆動される。次いで、
図9(B)に示されるように、基板ステージ20において、複数のエア浮上装置47が下降駆動され、基板P
2が基板ホルダ40上に載置される。また、ポート部60では、基板搬出ロボットアーム69が基板P
1の下方に挿入される。
【0056】
この後、
図10(A)に示されるように、基板ホルダ40に基板P
2が吸着保持され、その基板P
2に関するアライメント動作、露光動作などを行うためにX粗動ステージ23xがポート部60から離間する方向に駆動される。また、ポート部60では、基板P
1が基板搬出ロボットアーム69によりポート部60から回収され、不図示の外部装置に搬送される。また、複数のエア浮上装置63が上昇駆動される。基板搬入ロボットアーム68は、基板P
3を保持している。
【0057】
この後、
図10(B)に示されるように、基板搬入ロボットアーム68が基板P
3を複数のエア浮上装置63の上方に搬送し、
図11(A)に示されるように、基板P
3を複数のエア浮上装置63に受け渡す。この後、
図11(B)に示されるように、複数のエア浮上装置63が下降駆動され、基板P
3がフォークハンド61aに載置される(
図6(A)に示される状態に戻る)。この際、基板P
3を複数のエア浮上装置63上で浮上させた状態でフォークハンド61aに対する位置合わせ(アライメント)を行なっても良い。上記アライメントは、例えば基板P
3を端部(エッジ)位置をエッジセンサ、あるいはカメラ等で検出しつつ、基板P
3を端部の複数個所を押圧することによって行なう。
【0058】
以上説明したように、本第1の実施形態によれば、基板搬出装置70が基板ステージ20のうち、スキャン動作時には静止状態とされるY粗動ステージ23yに取り付けられているので、X粗動ステージ23xの位置制御に影響がなく、スキャン動作時に基板PのX位置を高精度で制御できる。また、基板ステージ20は、基板搬出装置70を有するY粗動ステージ23y上にX粗動ステージ23x、及び微動ステージ21が搭載される構造(Y粗動ステージ23yが一番下になる構造)なので、基板搬出装置70のメンテナンスも容易である。また、基板搬出装置70は、吸着パッド71(及び支持部材72)をX軸(1軸)方向に移動させるのみなので、構成、及び制御が簡単であり、例えば多関節ロボットアームに比べ低コストである。また、基板搬出装置70は、吸着パッド71を基板PのX軸方向に関する移動可能範囲の外側に退避させることができるので、吸着パッド71と基板P(あるいは基板ホルダ40)との高さ位置(Z位置)が同じであっても、互いに接触することを防止できる。
【0059】
また、基板ステージ20が基板搬出装置70を有しているので、ポート部60には、基板Pを基板ステージ20に搬送するための基板搬入装置61のみを配置すれば良い。すなわち、本第1の実施形態では、基板ステージ20に保持される基板の交換動作時において、基板交換位置に位置した基板ステージ20の上方には基板搬入装置61のフォークハンド61aのみを位置させるだけで良く、仮に基板搬出用ロボットアームと、基板搬入用ロボットアームとを有する公知の基板交換装置をポート部60に設ける場合に比べ、
図4に示されるように、基板ホルダ40と鏡筒定盤31との間のスペースが狭い場合であっても容易に基板Pの交換動作を行うことができる。
【0060】
また、基板ステージ20が基板搬出装置70を有しているので、基板ステージ20の位置(X位置、及び/又はY位置)に関わらず基板ステージ20からの基板搬出動作を行うことができる。従って、最終ショット領域の露光終了後であって、基板ステージ20が基板交換位置に到達する前(基板ステージ20の移動中を含む)に基板Pの搬出動作を開始することができる。また、ポート部60において、複数のエア浮上装置63により形成される基板Pのガイド面が基板Pよりも広幅に設定されているので、基板ステージ20を基板ガイド装置62とのY軸方向の位置あわせを厳密に行う必要がない(基板ホルダ40がX軸に対して斜めに移動している際中に搬出動作を開始しても良い)。従って、基板交換のサイクルタイムを短縮できる。
【0061】
また、基板リフト装置45において、エア浮上装置47を上下動させるためのZアクチュエータ46がX粗動ステージ23xに搭載されているので、仮に微動ステージ21(あるいは基板ホルダ40)内にZアクチュエータを内蔵する場合に比べ、微動ステージ21を薄型化、軽量化することができ、且つZ軸方向のストロークが長いZアクチュエータを用いることができるので、エア浮上装置47を長ストロークで駆動することができる。
【0062】
《第2の実施形態》
次に第2の実施形態について
図12〜
図15を用いて説明する。
【0063】
第2の実施形態に係る基板ステージ120は、基板ホルダ140、基板リフト装置145(
図12では不図示。
図13参照)、及び基板搬出装置170の構成が上記第1の実施形態と異なる。以下、上記第1の実施形態と同様の構成、及び機能を有する部材については、上記第1の実施形態と同じ(又は末尾の共通な)符号を用いてその説明を省略する。
【0064】
図12に示されるように、第2の実施形態に係る基板ステージ120の基板ホルダ140の上面には、不図示の微少な孔部が複数形成されており、その孔部から加圧気体(例えば、空気)を噴出し、微少なクリアランスを介して基板Pを浮上支持すること、及び基板Pとの間の気体を吸引して基板Pを吸着保持することができるようになっている。なお、基板ホルダ140において、気体噴出用の孔部と気体吸引用の孔とは、同じであっても良いし、それぞれ別であっても良い。
【0065】
また、基板ホルダ140には、
図13に示されるように、複数の基板リフト装置145に対応する位置にZ軸方向に貫通する貫通孔142が複数形成されている。複数(本第2の実施形態では、例えば16台)の基板リフト装置145それぞれは、Zアクチュエータ46により上下(Z軸)方向に駆動されるリフトピン147を有しており、上記貫通孔142内には、リフトピン147が収容されている。
【0066】
基板ステージ120は、基板ホルダ140上に載置された基板Pを基板ホルダ140に対してY軸方向にスライドさせるための基板スライド装置80を有している。基板スライド装置80は、
図12に示されるように、X軸方向に所定間隔で、例えば2つ配置されている。ただし、基板スライド装置80の数、及び配置はこれに限られず適宜変更可能である。
【0067】
基板ホルダ140には、
図13に示されるように、基板スライド装置80に対応する位置に切り欠き143が形成されている。切り欠き143は、基板ホルダ140の上面側及び−Y側の側面側に開口して形成されている。
【0068】
基板スライド装置80は、ベース81,Yリニアガイド82、Yスライド部材83,及び押圧ピン84を備えている。ベース81は、Y軸方向に延びる平面視矩形の平板状の部材から成り、その+Y側の端部側が、上記切り欠き143内に挿入されるとともに、−Y側の端部側が基板ホルダ140の−Y側の端部から−Y側(外側)に突き出している。ベース81は、その下面が基板ホルダ140に固定されている。Yリニアガイド82は、ベース81の上面に固定されている。Yスライド部材83は、Yリニアガイド82にスライド自在に機械的に係合している。押圧ピン84は、Z軸方向に延びる円柱状の部材から成り、Yスライド部材83に固定されている。押圧ピン84の+Z側の端部のZ位置は、基板ホルダ140の上面よりも+Z側に設定されている。基板スライド装置80は、押圧ピン84をY軸方向に駆動するための不図示のYアクチュエータを備えており、押圧ピン84は、
図13に示される基板ホルダ140の外側であって基板Pに接触しない位置と、
図15に示される一部が切り欠き143内に収容される位置との間で駆動される。
【0069】
基板搬出装置170は、上記第1の実施形態と同様に、+Y側のXビーム25に一対のXリニアガイド装置73を介して取り付けられた支持部材72が、Xリニアモータ74によりX軸方向に所定のストロークで駆動される。上記第1の実施形態の吸着パッド71は、
図4に示されるように、YZ断面逆L字状に形成され、基板吸着面部が支持部材72の−Y側の側面から−Y側に突き出し、そのY位置が基板ホルダ40と一部重複しているのに対し、
図12及び
図13から分かるように、本第2の実施形態の吸着パッド171の基板吸着面部は、基板ホルダ140上に基板Pが載置された状態でX軸方向に移動してもその基板Pに接触しないように基板ホルダ140の外側(+Y側)に配置されている。また、吸着パッド171の上面(吸着面)のZ位置は、基板ホルダ140の上面(基板載置面)よりも幾分−Z側(下方)に設定されている。
【0070】
また、上記第1の実施形態では、
図2に示されるように、基板Pに対する露光処理時に、吸着パッド71が基板P(基板ホルダ40)のX軸方向に関する移動可能範囲の外側(具体的には+X側の外側)で待機するのに対し、本第2の実施形態では、
図12に示されるように、基板Pに対する露光処理時であっても、吸着パッド171は、基板ホルダ140の移動可能範囲内に配置される。この場合であっても、基板P(及び基板ホルダ140)がX軸方向に移動する際に基板Pと吸着パッド171とが接触しない(
図13参照)。また、基板スライド装置80の押圧ピン84も、基板Pと接触しないように、−Y側のストロークエンドに位置される。
【0071】
基板ステージ120において、基板Pの搬出は、
図15に示されるように、基板ホルダ140から基板Pの下面に対して加圧気体が噴出され、基板Pが浮上した状態で行われる。基板ステージ120では、基板スライド装置80の押圧ピン84が+Y側に駆動され、これにより、基板Pの+Y側の端部が基板ホルダ140の+Y側の端部から+Y側に所定量突き出す。次いで、Zボイスコイルモータ18zにより(あるいは、重量キャンセル装置54が有する空気ばね(不図示)内が減圧されることにより)微動ステージ21及び基板ホルダ140が降下する。これにより、基板Pは、基板ホルダ140上で浮上したまま降下して+Y側かつ−X側の端部近傍が、予め基板Pの下方に位置していた吸着パッド171に吸着保持される。なお、本第2の実施形態では、基板リフト装置145は、基板搬入装置61(
図15では不図示。
図5参照)から基板Pを受け取る際にのみ用いられ、基板P搬出には用いられない。
【0072】
この後、
図14に示されるように、吸着パッド171が+X方向に駆動されることにより、基板Pが基板ホルダ140の上面に沿ってポート部60(
図14では不図示。
図5参照)に搬出される。
【0073】
以上説明した第2の実施形態によれば、吸着パッド171を基板PのX軸方向に関する移動可能範囲の外側に待機させておく必要がないので、露光処理の終了後、迅速に基板Pの搬出動作を開始することができる。従って、基板交換のサイクルタイムを短縮できる。なお、本第2の実施形態では、基板Pと吸着パッド71とを接触させるために基板ホルダ140を下降駆動させる場合を説明したが、これに限られず、基板搬出装置170に吸着パッド71を上下方向に駆動する駆動装置を設け、吸着パッド71を駆動することにより、基板Pと吸着パッド71とを接触させても良い。また、基板スライド装置80は、微動ステージ21、あるいはX粗動ステージ23x上に設けられても良い。
【0074】
なお、基板ステージ装置を含み、液晶露光装置の構成は、上記第1及び第2の実施形態に記載されたものに限らず、適宜変更が可能である。例えば、上記第1の実施形態において、
図4に示されるように、基板搬出装置70の吸着パッド71は、基板Pと基板ホルダ40との間に挿入可能となるように、予め支持部材72から基板ホルダ40側に突き出して配置されているが、例えば
図16に示される第1の変形例に係る基板ステージ220のように、吸着パッド271をY軸方向に駆動するY駆動装置275を介して支持部材72上に搭載し、基板Pに対する露光処理などを行う際には吸着パッド271を基板Pから退避させるとともに、基板Pの搬出時にのみ、基板Pと基板ホルダ40との間に挿入させても良い。上記第1の実施形態では、基板Pをポート部に受け渡す際、
図7(B)に示されるように、基板Pを基板ホルダ40の上面から離間させた後、吸着パッド71を基板Pと基板ホルダ40との間を通過させて基板Pを吸着可能な位置に移動させる必要があるが、
図16に示される基板搬出装置270では、基板Pが基板ホルダ40上に載置された状態で、吸着パッド271を基板Pの−X側かつ+Y側の端部近傍を吸着可能な位置に移動させることができる。従って、基板搬出に要する時間を短縮できる。
【0075】
また、基板Pを基板ホルダ40上から持ち上げるための基板リフト装置45の構成は、上記第1の実施形態のものに限られない。例えば、
図17に示される第2の変形例に係る基板ステージ320が有する複数の基板リフト装置340それぞれは、X軸方向に延びる棒状の部材から成り、X溝41内に収容されたベース部材341、ベース部材341の上面にX軸方向に所定間隔で取り付けられた複数(例えば6つ)の多孔質部材342、ベース部材341をZ軸方向に駆動(上下動)させる一対のZアクチュエータ343(
図17では不図示。
図18(A)参照)などを備える。ベース部材341の長手方向寸法は、基板P(
図17では不図示。
図20(B)参照)の長手方向寸法と同程度に(本第2の変形例では幾分短く)設定されている。
【0076】
基板リフト装置340は、
図18(B)に示されるように、Y軸方向に所定間隔(基板ホルダ40に形成された複数のX溝41に対応する間隔)で、例えば5台設けられている。なお、本第2の変形例の基板ホルダ40は、X溝41の数、及びX溝41が基板ホルダ40の+X側及び−X側の端部に開口していない点が上記第1の実施形態と異なるが、便宜上上記第1の実施形態と同じ符号を用いる。
【0077】
図18(A)に示されるように、ベース部材341の下面であって、ベース部材341の長手方向の両端部近傍それぞれには、Z軸方向に延びる脚部344が固定されている。上記X溝41を規定する底面には、基板ホルダ40を上下方向に貫通する貫通孔42が一対形成されており、該一対の貫通孔42それぞれに脚部344が挿通されている。X溝41を規定する壁面とベース部材341との間、及び貫通孔42を規定する壁面と脚部344との間には、それぞれ微動ステージ21がX粗動ステージ23xに対して微少駆動される際に互いに接触しない程度の隙間が設定されている。
【0078】
一対のZアクチュエータ343は、X粗動ステージ23xの上面であって、上記一対の脚部344それぞれに対応する部位に固定されている。Zアクチュエータ343としては、エアシリンダなどを用いることができる。X粗動ステージ23xの上面におけるZアクチュエータ343の近傍には、L字状の部材から成るステー345が固定されている。ベース部材341は、脚部344に固定されたZリニアガイド346と、ステー345に取り付けられたZスライド部材347とから成るZリニアガイド装置の作用により、
図18(C)に示されるように、X粗動ステージ23xに対してZ軸方向(上下方向)に直進案内される。
【0079】
ここで、ベース部材341は、
図19(A)に示されるように中空に形成されており、上面に複数の孔部が形成されている。多孔質部材342(
図19(A)では不図示。
図17参照)は、該複数の孔部を塞ぐように取り付けられている。ベース部材341には、基板ホルダ40(
図19(A)では不図示。
図17参照)の外部から配管部材348を介して加圧気体が供給されており、上記複数の孔部、及び多孔質部材342を介して加圧気体が基板P(
図19(A)では不図示。
図18(D)参照)の下面に対して噴出される。なお、配管部材348は、
図19(A)に示されるように、一方の脚部344を中空に形成するとともベース部材341と連通させ、該一方の脚部344に接続しても良いし、
図19(B)に示されるように、ベース部材341の長手方向の一端部に接続しても良い。なお、ベース部材341には多孔質部材342を取り付けなくても良い。つまり、ベース部材の表面は多孔質絞りによるエアベアリングを形成するのではなく、穴や溝加工による表面絞りやオリフィス絞り、これらを組み合わせた複合絞りのエアベアリング(一体成形加工)としても良い。
【0080】
基板ステージ320では、
図20(A)に示されるように、ベース部材341が上昇駆動された状態で、基板搬入装置61のフォークハンド61aが基板Pを基板ホルダ40の上方に搬送し(基板Pが基板ホルダ40の上方に搬送された後にベース部材341を上昇駆動しても良い)、次いで、
図20(B)に示されるように、フォークハンド61aが下降駆動されると共に−X方向(基板ホルダ40から離間する方向)に駆動されることにより(フォークハンド61aを下降駆動せずにベース部材341を更に上昇駆動しても良い)、基板Pが基板リフト装置340に受け渡される。この後、
図20(C)に示されるように、ベース部材341が下降駆動され、基板Pが基板ホルダ40の上面上に載置される。また、基板Pの搬出時には、
図20(D)に示されるように、ベース部材341が上昇駆動され、基板Pが基板ホルダ40の上面から離間した状態で多孔質部材342から基板Pの下面に加圧気体が噴出される。以下、基板搬出装置70(
図20(D)では不図示。
図3など参照)により基板Pが搬出される。
【0081】
本第2の変形例によれば、ひとつのベース部材341に対して加圧気体供給用の配管をひとつ接続すれば良いので、装置の構成が簡単である(これに対し、上記第1の実施形態(
図4参照)では複数の基板リフト装置45それぞれのエア浮上装置47に対して個別に加圧気体供給用の配管を接続する必要がある)。また、微動ステージ21に貫通孔を形成する必要がないので、微動ステージ21の剛性低下を抑制できる。また、微動ステージ21の下方にZアクチュエータ343を配置することができないような場合(例えば、重量キャンセル装置54が大型である場合)であっても、好適に用いることができる。なお、本第2の変形例では、ひとつのベース部材341につき、X軸方向に離間した、例えば2つのZアクチュエータ343が設けられたが、これに限られず、該例えば2つのZアクチュエータ343により、複数のベース部材341をまとめて駆動しても良い。また、本第2の変形例に係る基板リフト装置340は、基板搬出装置を有していない基板ステージ装置(例えば、基板搬出装置がポート部側に設けられているような場合)にも適用可能である。
【0082】
また、上記第2の変形例において、
図21(A)に示されるように、ベース部材341の両端部近傍であって、脚部344よりも更に外側(端部側)に引っ張りコイルばね349の一端を接続しても良い。引っ張りコイルばね349は、中間部が基板ホルダ40に形成された貫通孔43に挿入され、他端がステー345(すなわちX粗動ステージ23x)に接続されている。これにより、
図21(B)に示されるように、ベース部材341を上昇駆動したときに、該ベース部材341の両端部近傍それぞれには、ベース部材341と脚部344との接続部近傍を中心として、ベース部材341の端部が下方に下がるようなモーメントが作用する。これにより、ベース部材341の長手方向中央部の自重による撓みが抑制される。
【0083】
また、基板Pを基板ホルダ40上から搬出する基板搬出装置70の構成も適宜変更可能である。
図22には、第3の変形例に係る基板ステージ420が示されている。基板ステージ420では、Xビーム425が上記第1の実施形態(
図1など参照)に比べて狭幅(高さ方向寸法が幅方向寸法よりも長い)に形成されており、X粗動ステージ23xを駆動するためのXリニアモータ28を構成する磁石ユニット28aがXビーム425の両側面に固定されている。また、X粗動ステージ23xの下面には、一対のXビーム425に対応して一対のXキャリッジ29が固定されている。Xキャリッジ29は、YZ断面逆U字状の部材から成り、一対の対向面間に対応するXビーム425が挿入されている。Xキャリッジ29の一対の対向面には、磁石ユニット28aに対向してコイルユニット28bが固定されている。
【0084】
基板搬出装置470において、吸着パッド71を支持する支持部材72は、Y粗動ステージ23yに固定された固定部76aと、支持部材72の下端部近傍に上記固定部76aに対向して固定された可動部76bとを含むX駆動ユニット76によりX軸方向に所定のストロークで駆動される。基板ステージ420において、一対のXビーム425の+X側の端部近傍を相互に接続するYキャリッジ26、及び補助キャリッジ26a(
図22では不図示。
図3参照)は、+Y側のXビーム425の+Y側の側面よりも+Y側に突き出している。固定部76aは、X軸方向に延びる部材から成り、Yキャリッジ26、及び補助キャリッジ26aそれぞれの+Y側の端部近傍上に架設されている。不図示であるが、X駆動ユニット76は、支持部材72をX軸方向に所定のストロークで駆動するための要素(例えばXリニアモータの固定子及び可動子、Xリニアガイド装置のガイド部材及びスライド部材)を含む。これにより、上記第1の実施形態と同様に、支持部材72が基板PのX軸方向に関する長さと同等のストロークでX軸方向に駆動される。なお、
図23に示される第4の変形例に係る基板ステージ520のように、基板搬出装置570は、X駆動ユニット76の固定部76bがXキャリッジ29に固定されても良い。
【0085】
なお、上記基板ステージ420、520において、基板Pを基板ホルダ40から離間させる基板リフト装置は、図面の錯綜を避けるために図示が省略されているが、上記第1の実施形態に係る基板リフト装置45(
図3参照)、上記第2の実施形態に係る基板リフト装置145(
図13参照)、上記第2の変形例に係る基板リフト装置340(
図18参照)のいずれを用いても良い。
【0086】
また、上記第1及び第2の実施形態(上記第1〜第4の変形例も含む。以下同じ)において、基板搬出装置70、170、270それぞれは、+Y側のXビーム25の外側面(Y粗動ステージ23yの一方の側面)にひとつ取り付けられたが、基板搬出装置70、170、270の数、及び配置は、これに限られず、例えば+Y側のXビームの外側面にX軸方向に所定間隔で支持部材72及び吸着パッド71を複数(例えば2つ)配置し、それぞれ基板PのX軸方向に離間した互いに異なる複数箇所を保持しても良い。また、基板搬出装置70、170、270を、−Y側のXビーム25にも追加的に取り付け、基板Pの+Y側の端部近傍と併せて−Y側の端部近傍(あるいは−Y側の端部近傍のみ)を保持するようにしても良い。
【0087】
また、上記第1及び第2の実施形態では、基板ステージ20、120、220それぞれが有する基板搬出装置70、170、270のみを用いて基板Pをポート部60に搬出したが、例えば、これと併せてポート部60に基板搬出装置を配置し、基板ホルダ40、140から基板Pが所定量(例えば上記及び第2の実施形態の半分程度)搬出された状態でその基板Pを保持して基板Pの搬出を行っても良い。この場合、基板ステージ20、120、220側の吸着パッド71,171のX軸方向に関するストロークを短くすることができる。
【0088】
また、基板ステージ20、120、220それぞれとポート部60との間で行われる基板Pの受け渡し(搬入及び搬出)は、例えば米国特許第6,559,928号明細書に開示されるような基板Pを下方から支持する基板支持部材を用いて行っても良い。この場合であっても基板搬出装置70、170、270を用いて基板支持部材を駆動することにより基板Pを上記第1及び第2の実施形態と同様に基板ステージ20、120、220から搬出できる。また、上記第1及び第2の実施形態の基板搬出装置70、170、270は、基板Pを真空吸着により保持したが、これに限らず、その他の保持(例えば機械的な保持)方式により保持しても良い。
【0089】
また、上記第1の実施形態において、複数の基板リフト装置45は、X粗動ステージ23x上に配置されたが、これに限られず、基板ホルダ40、あるいは微動ステージ21内に内蔵されても良い。また、上記第2の実施形態でも同様に、複数の基板リフト装置145が基板ホルダ140、あるいは微動ステージ21内に内蔵されても良い。
【0090】
また、照明光は、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの紫外光や、F
2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光であっても良い。また、照明光としては、例えばDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。また、固体レーザ(波長:355nm、266nm)などを使用しても良い。
【0091】
また、上記第1及び第2の実施形態では、投影光学系PLが、複数本の投影光学ユニットを備えたマルチレンズ方式の投影光学系である場合について説明したが、投影光学ユニットの本数はこれに限らず、1本以上あれば良い。また、マルチレンズ方式の投影光学系に限らず、例えばオフナー型の大型ミラーを用いた投影光学系などであっても良い。また、上記実施形態では投影光学系PLとして、投影倍率が等倍のものを用いる場合について説明したが、これに限らず、投影光学系は縮小系及び拡大系のいずれでも良い。
【0092】
なお、上記第1及び第2の実施形態においては、光透過性のマスク基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6,778,257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて、透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(可変成形マスク)、例えば、非発光型画像表示素子(空間光変調器とも呼ばれる)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)を用いる可変成形マスクを用いても良い。
【0093】
なお、露光装置としては、サイズ(外径、対角線の長さ、一辺の少なくとも1つを含む)が500mm以上の基板、例えば液晶表示素子などのフラットパネルディスプレイ用の大型基板を露光する露光装置に対して適用することが特に有効である。
【0094】
また、露光装置としては、ステップ・アンド・リピート方式の露光装置、ステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用することができる。また、露光装置において、搬出装置により搬出される物体は、露光対象物体である基板などに限られず、マスクなどのパターン保持体(原版)であっても良い。
【0095】
また、露光装置の用途としては、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置に限定されることなく、例えば半導体製造用の露光装置、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるマスク又はレチクルを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。なお、露光対象となる物体はガラスプレートに限られるものでなく、例えばウエハ、セラミック基板、フィルム部材、あるいはマスクブランクスなど、他の物体でも良い。また、露光対象物がフラットパネルディスプレイ用の基板である場合、その基板の厚さは特に限定されず、例えばフィルム状(可撓性を有するシート状の部材)のものも含まれる。
【0096】
液晶表示素子(あるいは半導体素子)などの電子デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたマスク(あるいはレチクル)を製作するステップ、ガラス基板(あるいはウエハ)を製作するステップ、上述した各実施形態の露光装置、及びその露光方法によりマスク(レチクル)のパターンをガラス基板に転写するリソグラフィステップ、露光されたガラス基板を現像する現像ステップ、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去るエッチングステップ、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除くレジスト除去ステップ、デバイス組み立てステップ、検査ステップ等を経て製造される。この場合、リソグラフィステップで、上記実施形態の露光装置を用いて前述の露光方法が実行され、ガラス基板上にデバイスパターンが形成されるので、高集積度のデバイスを生産性良く製造することができる。