(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記(B)成分中の式[A1]、式[A2]及び式[A3]で示されるアルコキシシランの割合が、全てのアルコキシシラン中、それぞれ1〜40モル%、1〜70モル%、1〜99モル%である請求項1に記載の組成物。
電極を備えた一対の基板の間に液晶層を有してなり、前記一対の基板の間に活性エネルギー線及び熱の少なくとも一方により重合する重合性化合物を含む液晶組成物を配置し、前記電極間に電圧を印加しつつ前記重合性化合物を重合させる工程を経て製造される液晶表示素子に用いられる、請求項7に記載の液晶配向膜。
電極を備えた一対の基板の間に液晶層を有してなり、前記一対の基板の間に活性エネルギー線及び熱の少なくとも一方により重合する重合性基を含む液晶配向膜を配置し、前記電極間に電圧を印加しつつ前記重合性基を重合させる工程を経て製造される液晶表示素子に用いられる、請求項7に記載の液晶配向膜。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、下記式[1]の構造を有するセルロース系の重合体である(A)成分、並びに下記式[A1]、[A2]及び[A3]で示されるアルコキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むアルコキシシランを重縮合させて得られる(B)成分を含有する組成物である。
【0024】
(A)成分:下記の式[1]で示される構造を有する重合体(特定セルロース系重合体ともいう)。
【化7】
(X
1、X
2、X
3、X
4、X
5及びX
6は、それぞれ独立に、下記の式[1a]〜[1m]から選ばれる構造の基を示し、nは100〜1000000の整数を示す。)
【0025】
【化8】
(X
7、X
8、X
9、X
10、X
11、X
12、X
13及びX
14は、それぞれ独立に、ベンゼン環、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基又はブチル基を示す。nは0〜3の整数を示す。mは0〜3の整数を示す。)
【0026】
(B)成分:下記の式[A1]、式[A2]及び式[A3]で示されるアルコキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むアルコキシシランを重縮合させて得られるポリシロキサン(特定ポリシロキサンともいう)。
【化9】
(A
1は下記の式[2]で示される構造、炭素数6〜18のアルキル基、又はベンゼン環、シクロヘキサン環又は複素環を有する炭素数6〜24の有機基を示す。A
2は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。A
3は炭素数1〜5のアルキル基を示す。mは1又は2の整数、nは0〜2の整数、pは0〜3の整数。ただし、m+n+pは4である。)
【0027】
【化10】
(Y
1は単結合、−(CH
2)
a−(aは1〜15の整数である)、−O−、−CH
2O−、−COO−又は−OCO−を示す。Y
2は単結合又は−(CH
2)
b−(bは1〜15の整数である)を示す。Y
3は単結合、−(CH
2)
c−(cは1〜15の整数である)、−O−、−CH
2O−、−COO−又は−OCO−を示す。Y
4はベンゼン環、シクロヘキサン環及び複素環から選ばれる2価の環状基、又はステロイド骨格を有する炭素数17〜51の2価の有機基を示し、前記環状基上の任意の水素原子は、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルコキシル基又はフッ素原子で置換されていてもよい。Y
5はベンゼン環、シクロヘキサン環及び複素環から選ばれる2価の環状基を示し、これらの環状基上の任意の水素原子は、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルコキシル基又はフッ素原子で置換されていてもよい。nは0〜4の整数を示す。Y
6は炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜18のアルコキシル基又は炭素数1〜18のフッ素含有アルコキシル基を示す。)
【0028】
【化11】
(B
1はビニル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基、メタクリル基、アクリル基、ウレイド基又はシンナモイル基を有する炭素数2〜12の有機基を示す。B
2は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。B
3は炭素数1〜5のアルキル基を示す。mは1又は2の整数、nは0〜2の整数、pは0〜3の整数。ただし、m+n+pは4である。)
【0029】
【化12】
(D
1は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。D
2は炭素数1〜5のアルキル基を示す。nは0〜3の整数を示す。)
【0030】
本発明の特定セルロース系重合体は、特定ポリシロキサン系重合体との相溶性が高い。そのため、これらを含む組成物、及び該組成物を用いる液晶配向処理剤(本発明の液晶配向処理剤ともいう)は、保存時において、上記重合体の析出は起こらず、保存安定性に優れた組成物あるいは液晶配向処理剤となる。
また、特定セルロース系重合体と特定ポリシロキサン系重合体の相溶性が高いことから、組成物、及び該組成物を用いる液晶配向処理剤を基板に塗布した際、形成される樹脂被膜あるいは液晶配向膜上のピンホールの発生を抑制できる。
【0031】
本発明の組成物及び液晶配向処理剤は、特定セルロース系重合体を含んでいるため、これらから形成される樹脂被膜あるいは液晶配向膜の段差追随性が高い、すなわち、基板段差の凹凸に対して、均一な膜厚の樹脂被膜あるいは液晶配向膜を得ることができる。
更に、本発明の組成物は、特定セルロース系重合体とともに、耐光性及び耐熱性に優れた特定ポリシロキサンを含んでいるため、光や熱に対する樹脂被膜の安定性が高くなる。
加えて、上記特定セルロース系重合体は、OH基(水酸基)やCOOH基(カルボン酸基)を多く有しているため、金属や低分子量の有機化合物などのイオン性不純物をトラップすることができる。そのため、本発明の液晶配向処理剤から得られる液晶配向膜は、液晶配向膜の下に有機部材からなる絶縁膜がある状態で光を照射しても、電圧保持率に優れる。
【0032】
すなわち、本発明の組成物は、保存時に重合体の析出が起こらない等、保存安定性に優れ、樹脂被膜を形成する際のピンホールの発生を抑制することができ、更には、段差基板の凹凸に対して段差追随性が高い。
また、本発明の液晶配向処理剤においても、液晶配向処理剤の保存時に重合体の析出が起こらない等、保存安定性に優れ、液晶配向膜を形成する際のピンホールの発生を抑制することができ、更には、段差基板の凹凸に対して段差追随性が高い。
以下、本発明の組成物に含有される各成分について説明する。
【0033】
<特定セルロース系重合体>
(A)成分である特定セルロース系重合体は、下記の式[1]で示される構造の重合体である。
【化13】
式[1]中、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5及びX
6は、それぞれ独立して、下記の式[1a]〜[1m]から選ばれる構造の基を示す。
【0035】
式[1c]〜式[1m]中、X
7、X
8、X
9、X
10、X
11、X
12、X
13及びX
14は、それぞれベンゼン環、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基又はブチル基を示す。
式[1h]中、nは0〜3の整数を示す。なかでも、0又は1の整数が好ましい。
式[1i]中、mは0〜3の整数を示す。なかでも、0又は1の整数が好ましい。
【0036】
X
1、X
2、X
3、X
4、X
5及びX
6は、それぞれ独立して、式[1a]〜[1m]から選らばれる構造の基を示すが、これらの基は、1種類であっても2種類以上の複数種であっても良い。特に、特定セルロース系重合体の溶媒への溶解性、組成物又は液晶配向処理剤の塗布性の点から、2種類以上の複数種の基を用いることが好ましい。更に好ましいのは、式[1a]の構造の基と式[1b]〜式[1k]から選ばれる構造の基を用いることである。更には、式[1a]の構造の基と式[1c]、式[1d]、式[1e]、式[1h]又は式[1i]の構造の基を用いることが好ましい。
式[1]中、nは100〜1000000の整数を示す。なかでも、特定セルロース系重合体の溶媒への溶解性や、組成物又は液晶配向処理剤として調整した際の取り扱い性の点から、100〜500000が好ましい。より好ましいのは、100〜100000である。
【0037】
本発明の特定セルロース系重合体の具体例としては、下記のものが挙げられるが、これらの例に限定されるものではない。
例えば、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ブチルセルロース、メチルエチルセルロース、アセチルセルロース、セルロースプロピオネート、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メチルアミノセルロース、エチルアミノセルロース、プロピルアミノセルロース、ベンジルセルロース、トリベンゾイルセルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース又はカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースが挙げられる。なかでも、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、アセチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ベンジルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、カルボキシメチルエチルセルロース又はカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースが好ましい。より好ましくは、メチルセルロース、エチルセルロース、アセチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート又はカルボキシメチルエチルセルロースである。特に好ましくは、メチルセルロース、エチルセルロース、アセチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートである。
【0038】
これらの特定セルロース誘導体は、一般に入手することができる。また、式[1b]〜[1m]で示される構造の基を導入する方法には、特に制限はなく、既存の手法を用いることができる。
例えば、式[1b]の構造の基を導入する場合は、セルロースとベンジルクロリドとをアルカリ存在下で反応させる方法があり、式[1c]の構造の基を導入する場合は、セルロースとX
7の構造の基を有するハロゲン化合物とをアルカリ存在下で反応させる方法があり、式[1d]の構造の基を導入する場合は、セルロースとX
8の構造の基を有する酸クロリド化合物とをアルカリ存在下で反応させる方法やセルロースと無水酢酸とを反応させる方法が挙げられる。
【0039】
また、式[1e]の構造の基を導入する場合は、セルロースとX
9−OHの構造の基を有するハロゲン化合物とをアルカリ存在下で反応させる方法があり、式[1f]の構造の基を導入する場合は、セルロースとX
10−COOHの構造の基を有するハロゲン化合物とをアルカリ存在下で反応させる方法が挙げられる。更に、式[1g]の構造の基を導入する場合は、セルロースとX
11−NH
2の構造の基を有するハロゲン化合物とをアルカリ存在下で反応させる方法があり、式[1h]の構造を導入する場合は、セルロースとフタル酸とを反応させる方法があり、式[1i]の構造を導入する場合は、セルロースとX
12とフタル酸骨格を有するハロゲン化合物とをアルカリ存在下で反応させる方法があり、式[1k]の構造を導入する場合は、セルロースと無水マレイン酸とを反応させる方法が挙げられる。
【0040】
前記式[1]で示される、これら特定セルロース系重合体は、本発明の特定セルロース系重合体の溶媒への溶解性、組成物及び液晶配向処理剤の塗布性、更には、液晶配向膜にした場合における液晶の配向性、電圧保持率、蓄積電荷などの特性に応じて、1種類又は2種類以上を混合して使用することができる。
【0041】
<特定ポリシロキサン>
本発明の(B)成分である特定ポリシロキサンは、下記の式[A1]、式[A2]及び式[A3]で示されるアルコキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むアルコキシシランを重縮合させて得られるポリシロキサンである。
【0042】
本発明の式[A1]で示されるアルコキシシランは、下記の構造を有するアルコキシシランである。
【化15】
式[A1]中、A
1は下記の式[2]で示される構造の何れか、炭素数6〜18のアルキル基、又はベンゼン環、シクロヘキサン環若しくは複素環を有する炭素数6〜24の有機基を示す。なかでも、下記の式[2]で示される構造の何れか、又は炭素数6〜18のアルキル基が好ましい。
【0043】
【化16】
式[2]中、Y
1は単結合、−(CH
2)
a−(aは1〜15の整数である)、−O−、−CH
2O−、−COO−又は−OCO−を示す。なかでも、原料の入手性や合成の容易さの点から、単結合、−(CH
2)
a−(aは1〜15の整数である)、−O−、−CH
2O−又は−COO−が好ましい。より好ましいのは、単結合、−(CH
2)
a−(aは1〜10の整数である)、−O−、−CH
2O−又は−COO−である。
【0044】
Y
2は単結合又は−(CH
2)
b−(bは1〜15の整数である)を示す。なかでも、単結合又は−(CH
2)
b−(bは1〜10の整数である)が好ましい。
Y
3は単結合、−(CH
2)
c−(cは1〜15の整数である)、−O−、−CH
2O−、−COO−又は−OCO−を示す。なかでも、合成の容易さの点から、単結合、−(CH
2)
c−(cは1〜15の整数である)、−O−、−CH
2O−又は−COO−が好ましい。より好ましいのは、単結合、−(CH
2)
c−(cは1〜10の整数である)、−O−、−CH
2O−又は−COO−である。
【0045】
Y
4はベンゼン環、シクロヘキサン環又は複素環から選ばれる2価の環状基であり、これらの環状基条の任意の水素原子は、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルコキシル基又はフッ素原子で置換されていてもよい。更に、Y
4は、ステロイド骨格を有する炭素数17〜51の有機基から選ばれる2価の有機基であってもよい。なかでも、合成の容易さの点から、ベンゼン環、シクロへキサン環又はステロイド骨格を有する炭素数17〜51の有機基が好ましい。
【0046】
Y
5はベンゼン環、シクロヘキサン環又は複素環から選ばれる2価の環状基を示し、これらの環状基上の任意の水素原子は、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルコキシル基又はフッ素原子で置換されていてもよい。なかでも、ベンゼン環又はシクロへキサン環が好ましい。
nは0〜4の整数を示す。なかでも、原料の入手性や合成の容易さの点から、0〜3が好ましい。より好ましいのは、0〜2である。
【0047】
Y
6は炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜18のアルコキシル基又は炭素数1〜18のフッ素含有アルコキシル基を示す。なかでも、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜10のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜18のアルコキシル基又は炭素数1〜10のフッ素含有アルコキシル基が好ましい。より好ましくは、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシル基である。特に好ましくは、炭素数1〜9のアルキル基又は炭素数1〜9のアルコキシル基である。
【0048】
式[2]におけるY
1、Y
2、Y
3、Y
4、Y
5、Y
6及びnの好ましい組み合わせとしては、国際公開公報WO2011/132751(2011.10.27公開)の13〜34頁の表6〜表47に掲載される(2−1)〜(2−629)と同じ組み合わせが挙げられる。なお、国際公開公報の各表におけるY1〜Y6は、それぞれ、本発明のY
1〜Y
6に読み替えるものとする。また、国際公開公報の各表に掲載される(2−605)〜(2−629)における、ステロイド骨格を有する炭素数12〜25の有機基は、本発明のステロイド骨格を有する炭素数17〜51の有機基に読み替えるものとする。
【0049】
式[A1]中、A
2はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。なかでも、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。
A
3はそれぞれ炭素数1〜5のアルキル基である。なかでも、重縮合の反応性の点から、炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。
mは1又は2の整数である。なかでも、合成の点からは、1が好ましい。
nは0〜2の整数である。pは0〜3の整数である。なかでも、重縮合の反応性の点から、1〜3の整数が好ましい。より好ましくは、2又は3である。
m+n+pは4である。
【0050】
式[A1]で示されるアルコキシシランの具体例としては、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ヘプタデシルトリメトキシシラン、ヘプタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、ノナデシルトリメトキシシラン、ノナデシルトリエトキシシラン、イソオクチルトリエトキシシラン、フェネチルトリエトキシシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルトリメトキシシラン、m−スチリルエチルトリメトキシシラン、p−スチリルエチルトリメトキシシラン、1−ナフチルトリエトキシシラン、1−ナフチルトリメトキシシラン、トリエトキシ−1H,1H,2H,2H−トリデカフルオロ−n−オクチルシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、トリエトキシフェニルシランなどが挙げられる。
【0051】
更には、下記の式[A1−1]〜[A1−32]で示されるアルコキシシランを挙げることができる。
【化17】
【化18】
【0055】
【化25】
(R
1は炭素数1〜3のアルキル基を示す。R
2は炭素数1〜3のアルキル基を示す。mは2又は3を示し、nは0又は1を示す。)
【0056】
【化26】
(R
1は炭素数1〜3のアルキル基を示す。R
2は炭素数1〜3のアルキル基を示す。mは2又は3を示し、nは0又は1を示す。
R
3は−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−CON(CH
3)−、−N(CH
3)CO−、−OCH
2−、−CH
2O−、−COOCH
2−又は−CH
2OCO−を示す。
R
4は炭素数1〜12のアルキル基、アルコキシ基フッ素含有アルキル基又はフッ素含有アルコキシ基を示す。)
【0057】
【化27】
(R
1は炭素数1〜3のアルキル基を示す。R
2は炭素数1〜3のアルキル基を示す。mは2又は3を示し、nは0又は1を示す。
R
3は−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−CON(CH
3)−、−N(CH
3)CO−、−OCH
2−、−CH
2O−、−COOCH
2−又は−CH
2OCO−を示す。
R
4は炭素数1〜12のアルキル基、アルコキシ基フッ素含有アルキル基、はフッ素含有アルコキシ基、フッ素基、シアノ基、トリフルオロメタン基、ニトロ基、アゾ基、ホルミル基、アセチル基、アセトキシ基又は水酸基を示す。)
【0059】
【化29】
(R
1は炭素数1〜3のアルキル基を示す。R
2は炭素数1〜3のアルキル基を示す。mは2又は3を示し、nは0又は1を示す。
R
3は−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−CON(CH
3)−、−N(CH
3)CO−、−OCH
2−、−CH
2O−、−COOCH
2−又は−CH
2OCO−を示す。
R
4は炭素数1〜12のアルキル基、アルコキシ基フッ素含有アルキル基又はフッ素含有アルコキシ基を示す。)
【0060】
【化30】
(R
1は炭素数1〜3のアルキル基を示す。R
2は炭素数1〜3のアルキル基を示す。mは2又は3を示し、nは0又は1を示す。
B
4はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数3〜20のアルキル基を示し、B
3は1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基を示す。B
2は酸素原子又は−COO−*(但し、「*」を付した結合手がB
3と結合する。)を示し、B
1は酸素原子又は−COO−*(但し、「*」を付した結合手が(CH
2)a
2)と結合する。)を示す。また、a
1は0又は1の整数を示し、a
2は2〜10の整数を示し、a
3は0又は1の整数を示す。)
【0061】
上記の式[A1]で示されるアルコキシシランは、本発明の特定ポリシロキサンの溶媒への溶解性、組成物及び液晶配向処理剤の塗布性、更には、液晶配向膜にした場合における液晶の配向性、電圧保持率、蓄積電荷などの特性に応じて、1種類又は2種類以上を混合して使用することができる。
【0062】
本発明の式[A2]で示されるアルコキシシランは、下記の構造を有するアルコキシシランである。
【化31】
式[A2]中、B
1はビニル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基、メタクリル基、アクリル基、ウレイド基又はシンナモイル基を有する炭素数2〜12の有機基であるなかでも、入手の容易さの点から、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、アクリル基又はウレイド基が好ましい。より好ましくは、メタクリル基、アクリル基又はウレイド基である。
【0063】
式[A2]中、B
2は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。なかでも、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。B
3はそれぞれ炭素数1〜5のアルキル基である。なかでも、重縮合の反応性の点から、炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。mは1又は2の整数である。なかでも、合成の点からは、1が好ましい。nは0〜2の整数である。pは0〜3の整数である。なかでも、重縮合の反応性の点から、1〜3の整数が好ましい。より好ましくは、2又は3である。m+n+pは4である。
【0064】
式[A2]で示されるアルコキシシランの具体例としては、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、m−スチリルエチルトリエトキシシラン、p−スチリルエチルトリエトキシシラン、m−スチリルメチルトリエトキシシラン、p−スチリルメチルトリエトキシシラン、3−(N−スチリルメチル−2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、ジエトキシ(3−グリシジルオキシプロピル)メチルシラン、3−グリシジルオキシプロピル(ジメトキシ)メチルシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルジメトキシメチルシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシ[3−(フェニルアミノ)プロピル]シラン、3−メルカプトプロピル(ジメトキシ)メチルシラン、(3−メルカプトプロピル)トリエトキシシラン、(3−メルカプトプロピル)トリメトキシシラン、3−(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネート、3−(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレート、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、 3−(トリエトキシシリル)プロピルアクリレート、3−(トリメトキシシリル)プロピルアクリレート、3−(トリエトキシシリル)エチルメタクリレート、3−(トリメトキシシリル)エチルメタクリレート、3−(トリエトキシシリル)エチルアクリレート、3−(トリメトキシシリル)エチルアクリレート、3−(トリエトキシシリル)メチルメタクリレート、3−(トリメトキシシリル)メチルメタクリレート、 3−(トリエトキシシリル)メチルアクリレート、3−(トリメトキシシリル)メチルアクリレート、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリプロポキシシラン、(R)−N−1−フェニルエチル−N’−トリエトキシシリルプロピルウレア、(R)−N−1−フェニルエチル−N’−トリメトキシシリルプロピルウレア、ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ウレア、ビス[3−(トリプロポキシシリル)プロピル]ウレア、1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ウレアなどが挙げられる。
【0065】
なかでも、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレート、3−(トリメトキシシリル)プロピルアクリレート、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3−グリシジルオキシプロピル(ジメトキシ)メチルシラン、3−グリシジルオキシプロピル(ジエトキシ)メチルシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン又は2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが好ましい。
上記の式[A2]で示されるアルコキシシランは、本発明の特定ポリシロキサンの溶媒への溶解性、組成物及び液晶配向処理剤の塗布性、更には、液晶配向膜にした場合における液晶の配向性、電圧保持率、蓄積電荷などの特性に応じて、1種類又は2種類以上を混合して使用することができる。
【0066】
本発明の式[A3]で示されるアルコキシシランは、下記の構造を有するアルコキシシランである。
【化32】
式[A3]中、D
1は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。これらは、ハロゲン原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等で置換されていても良い。D
1としては、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。
D
2は炭素数1〜5のアルキル基である。なかでも、重縮合の反応性の点から、炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。nは0〜3の整数である。
【0067】
式[A3]で示されるアルコキシシランの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエトキシジエチルシラン、ジブトキシジメチルシラン、(クロロメチル)トリエトキシシラン、3−クロロプロピルジメトキシメチルシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−シアノエチルトリエトキシシラン、トリメトキシ(3,3,3−トリフルオロプロピル)シラン、ヘキシルトリメトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピルクロライドなどが挙げられる。
また、式[A3]中、nが0であるアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン又はテトラブトキシシランが挙げられ、これらアルコキシシランを用いることが好ましい。
【0068】
上記の式[A3]で示されるアルコキシシランは、本発明の特定ポリシロキサンの溶媒への溶解性、組成物及び液晶配向処理剤の塗布性、更には、液晶配向膜にした場合における液晶の配向性、電圧保持率、蓄積電荷などの特性に応じて、1種類又は2種類以上を混合して使用することができる。
【0069】
本発明の特定ポリシロキサンは、前記式[A1]、式[A2]及び式[A3]で示されるアルコキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むアルコキシシランを重縮合させて得られるポリシロキサンであるが、これらアルコキシシランを複数種含むアルコキシシランを重縮合させて得られるポリシロキサンが好ましい。
すなわち、前記式[A1]及び式[A2]で示される2種類のアルコキシシランを重縮合させて得られるポリシロキサン、前記式[A1]及び式[A3]で示される2種類のアルコキシシランを重縮合させて得られるポリシロキサン、前記式[A2]及び式[A3]で示される2種類のアルコキシシランを重縮合させて得られるポリシロキサン、及び前記式[A1]、式[A2]及び式[A3]で示される3種類のアルコキシシランを重縮合させて得られるポリシロキサンが好ましい。
特に、本発明の組成物から得られる樹脂被膜の疎水性を高める場合や、本発明の液晶配向処理剤から得られる液晶配向膜を、液晶を垂直に配向させて表示を行う液晶表示素子に用いる場合は、上述した組み合わせのなかで、前記式[A1]のアルコキシシランを用いて得られるポリシロキサンを用いることが好ましい。
【0070】
上記特定ポリシロキサンを作製する際、複数種のアルコキシランを用いる場合、式[A1]で示されるアルコキシシランは、すべてのアルコキシシラン中、1〜40モル%であることが好ましく、より好ましくは、1〜30モル%である。また、式[A2]で示されるアルコキシシランは、すべてのアルコキシシラン中、1〜70モル%であることが好ましく、より好ましくは、1〜60モル%である。更に、式[A3]で示されるアルコキシシランは、すべてのアルコキシシラン中、1〜99モル%であることが好ましくは、より好ましくは、1〜80モル%である。
【0071】
上記特定ポリシロキサンを得る方法は特に限定されない。本発明における特定ポリシロキサンは、前記式[A1]、式[A2]及び式[A3]で示されるアルコキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むアルコキシシランを溶媒中で重合させて得る。また、本発明の特定ポリシロキサンは、アルコキシシランを重縮合して、溶媒に均一に溶解した溶液として得られる。
【0072】
上記特定ポリシロキサンを重縮合する方法は特に限定されない。例えば、アルコキシシランを本発明の特定溶媒、アルコール系溶媒又はグリコール系溶媒中で、加水分解・重縮合反応させる方法が挙げられる。その際、加水分解・重縮合反応は、部分的に加水分解させても、完全に加水分解させてもよい。完全に加水分解する場合は、理論上、アルコキシシラン中のすべてのアルコキシ基の0.5倍モル量の水を加えればよいが、通常は0.5倍モル量よりも過剰量の水を加えることが好ましい。
上記特定ポリシロキサンを得るための加水分解・重縮合反応に用いる水の量は、目的に応じて適宜選択することができるが、アルコキシシラン中のすべてのアルコキシ基の0.5〜3.0倍モル量が好ましく、0.5〜2.5倍モル量がより好ましい。
【0073】
また、加水分解・重縮合反応を促進する目的で、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、蟻酸、蓚酸、マレイン酸、フマル酸などの酸性化合物;アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、トリエチルアミンなどのアルカリ性化合物;塩酸、硝酸などの金属塩;などを触媒として用いることができる。更に、アルコキシシランが溶解した溶液を加熱することで、加水分解・重縮合反応を促進させることもできる。その際、加熱温度及び加熱時間は、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、50℃で24時間加熱攪拌、その後、還流下で1時間加熱攪拌するなどの条件が挙げられる。
【0074】
更に、重縮合させる別の方法として、アルコキシシラン、有機溶媒及び蓚酸の混合物を加熱して、重縮合反応する方法が挙げられる。具体的には、あらかじめ、本発明の特定溶媒やアルコール溶媒に蓚酸を加えて、蓚酸の溶液とした後、該溶液を加熱した状態で、アルコキシシランを混合する方法である。その際、上記反応に用いる蓚酸の量は、アルコキシシラン中の全てのアルコキシ基の1モルに対して、0.2〜2.5モルが好ましく、0.5〜2.0モルがより好ましい。また、この反応は、溶液の温度が50〜180℃で行うことができるが、溶媒の蒸発や揮散が起こらないように、還流下で数十分から数十時間で行うことが好ましい。
【0075】
上記特定ポリシロキサンを得る重縮合反応において、前記式[A1]、式[A2]及び式[A3]で示されるアルコキシシランを複数種用いる場合は、あらかじめ複数種のアルコキシシランを混合した混合物を用いて反応しても、複数種のアルコキシシランを順次添加しながら反応してもよい。
アルコキシシランの重縮合反応に用いる溶媒としては、アルコキシシランが溶解するものであれば、特に限定されない。また、アルコキシシランが溶解しない溶媒であっても、アルコキシシランの重縮合反応の進行とともに溶解するものであればよい。
【0076】
重縮合反応に用いる溶媒として、一般的には、アルコキシシランの重縮合反応によりアルコールが発生するため、アルコール系溶媒、グリコール系溶媒、グリコールエーテル系溶媒又はアルコールと相溶性がよい有機溶媒が用いられる。このような重縮合反応に用いる溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール系溶媒;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、へキシレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどのグルコール系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶媒;N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホトリアミド、m−クレゾールなどのアルコールと相溶性のよい有機溶媒が挙げられる。
本発明において、重縮合反応の際に用いるこれらの溶媒は、1種類又は2種類以上を混合して用いることができる。
【0077】
上記方法により得られた特定ポリシロキサンの重合溶液は、原料として仕込んだ全アルコキシシランが有する珪素原子をSiO
2に換算した濃度(SiO
2換算濃度ともいう)が、30質量%以下であることが好ましい。なかでも、5〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。この濃度範囲において、任意の濃度を選択することで、溶液中のゲルの発生を抑制することができ、均一な特定ポリシロキサンの重縮合溶液を得ることができる。
本発明においては、上記の方法で得られた特定ポリシロキサンの重縮合溶液を、そのまま本発明の(B)成分の特定ポリシロキサンの溶液としてもよいし、必要に応じて、上記の方法で得られた特定ポリシロキサンの重縮合溶液を濃縮したり、溶媒を加えて希釈したり、他の溶媒に置換して、(B)成分の特定ポリシロキサンの溶液としてもよい。
【0078】
溶媒を加えて希釈する際に用いる溶媒(添加溶媒ともいう)としては、重縮合反応に用いる溶媒やその他の溶媒であってもよい。この添加溶媒は、特定ポリシロキサンが均一に溶解している限りにおいては特に限定されず、1種類又は2種類以上を任意に選択して使用することができる。このような添加溶媒としては、上記の重縮合反応に用いる溶媒に加え、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸エチルなどのエステル系溶媒などが挙げられる。
本発明において、(B)成分の特定ポリシロキサンは、(A)成分の特定セルロース系重合体を混合する前に、特定ポリシロキサンを得る際の重縮合反応で発生するアルコールを、常圧又は減圧で留去することが好ましい。
【0079】
<組成物・液晶配向処理剤>
本発明の組成物又は液晶配向処理剤は、樹脂被膜又は液晶配向膜(総称して樹脂被膜ともいう)を形成するための塗布溶液であり、特定セルロース系重合体、特定ポリシロキサン及び溶媒を含有する被膜を形成するための塗布溶液である。
本発明の組成物又は液晶配向処理剤における特定セルロース系重合体と特定ポリシロキサンの割合は、特定ポリシロキサンを1とした場合(質量比)、特定セルロース系重合体の割合は、0.01〜99である。好ましいのは、0.1〜9であり、特に好ましいのは、0.1〜3である。
【0080】
本発明の組成物又は液晶液晶配向処理剤における、すべての重合体成分は、すべてが本発明の特定セルロース系重合体及び特定ポリシロキサンであってもよく、それ以外の他の重合体が混合されていてもよい。
本発明の組成物又は液晶配向処理剤中の重合体成分の含有量は、0.1〜50質量%、好ましくは1〜40質量%、より好ましくは1〜35質量%である。
その際、それ以外の他の重合体の含有量は、すべての重合体成分を100質量%とした場合、それ以外の他の重合体は0.5〜15質量%、好ましくは、0.5〜10質量%である。
それ以外の他の重合体としては、セルロース系重合体及びポリシロキサン以外の重合体、具体的には、ポリアミド酸、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、アクリルポリマー、メタクリルポリマー、ポリヒドロキシスチレン、ノボラック樹脂などが挙げられる。
【0081】
本発明の組成物又は液晶配向処理剤中の溶媒の含有量は、組成物又は液晶配向処理剤の塗布方法や目的とする膜厚を得るという観点から、適宜選択することができる。なかでも、塗布により均一な樹脂被膜又は液晶配向膜を形成するとい観点から、組成物又は液晶配向処理剤中の溶媒の含有量は、50〜99.9質量%であることが好ましい。なかでも、60〜99質量%が好ましく、特に好ましくは、65〜99質量%である。また、本発明の組成物を用いて、フィルムを作製する場合には、組成物中の溶媒の含有量は低くする必要がある。その際の組成物中の溶媒の含有量は、40〜95質量%であることが好ましい。
本発明の組成物又は液晶配向処理剤に用いる溶媒は、特定ポリシロキサンの重縮合溶液をそのまま用いてもよいし、特定ポリシロキサンの重縮合溶液に新たな溶媒を添加してもよく、更には、特性ポリシロキサンの重縮合溶液を新たな溶媒に置換してもよい。
【0082】
その際に用いる新たな溶媒としては、特定セルロース系重合体及び特定ポリシロキサンを溶解させる有機溶媒であれば特に限定されない。下記に、その具体例を挙げるが、これらの例に限定されるものではない。
例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エタノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、ネオペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、1,2−ブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、3−エトキシブチルアセタート、1−メチルペンチルアセタート、2−エチルブチルアセタート、2−エチルヘキシルアセタート、エチレングリコールモノアセタート、エチレングリコールジアセタート、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、2−(メトキシメトキシ)エタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソアミルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、フルフリルアルコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、1−(ブトキシエトキシ)プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノアセタート、エチレングリコールジアセタート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアセタート、ジエチレングリコールアセタート、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチルエチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、乳酸メチルエステル、乳酸エチルエステル、乳酸n−プロピルエステル、乳酸n−ブチルエステル、乳酸イソアミルエステルなどが挙げられる。
【0083】
更には、下記の式[S1]及び式[S2]で示される溶媒も挙げられる。
【化33】
(式[S1]中、X
1は炭素数1〜3のアルキル基を示す。式[S2]中、X
2は炭素数1〜3のアルキル基を示す。)
【0084】
なかでも、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、2−メチル−1−ブタノール、1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、フルフリルアルコールが好ましい。
【0085】
特に好ましくは、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、フルフリルアルコールが挙げられる。
【0086】
上記溶媒は、特定セルロース系重合体及び特定ポリシロキサンの溶解性や組成物又は液晶配向処理剤を塗布した際の樹脂被膜又は液晶配向膜の塗膜性や表面平滑性の特性に応じて、1種類又は2種類以上を混合して用いることができる。
本発明の組成物又は液晶配向処理剤には、本発明の効果を損なわない限り、エポキシ基、イソシアネート基、オキセタン基又はシクロカーボネート基を有する化合物、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基及び低級アルコキシアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基を有する化合物(総称して架橋性化合物ともいう)を導入することもできる。その際、これら置換基は、架橋性化合物中に2個以上有する必要がある。
【0087】
エポキシ基又はイソシアネート基を有する架橋性化合物としては、例えば、ビスフェノールアセトングリシジルエーテル、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、テトラグリシジルアミノジフェニレン、テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、テトラグリシジル−1,3−ビス(アミノエチル)シクロヘキサン、テトラフェニルグリシジルエーテルエタン、トリフェニルグリシジルエーテルエタン、ビスフェノールヘキサフルオロアセトジグリシジルエーテル、1,3−ビス(1−(2,3−エポキシプロポキシ)−1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロメチル)ベンゼン、4,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)オクタフルオロビフェニル、トリグリシジル−p−アミノフェノール、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、2−(4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル)−2−(4−(1,1−ビス(4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル)エチル)フェニル)プロパン、1,3−ビス(4−(1−(4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル)−1−(4−(1−(4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル)−1−メチルエチル)フェニル)エチル)フェノキシ)−2−プロパノールなどが挙げられる。
【0088】
オキセタン基を有する架橋性化合物としては、下記の式[4]で示すオキセタン基を少なくとも2個有する架橋性化合物である。
【化34】
具体的には、国際公開公報WO2011/132751(2011.10.27公開)の58頁〜59頁に掲載される式[4a]〜[4k]で示される架橋性化合物が挙げられる。
【0089】
シクロカーボネート基を有する架橋性化合物としては、下記の式[5]で示されるシクロカーボネート基を、少なくとも2個有する架橋性化合物である。
【化35】
具体的には、国際公開公報WO2012/014898(2012.2.2公開)の76頁〜82頁に掲載される式[5−1]〜[5−42]で示される架橋性化合物が挙げられる。
【0090】
ヒドロキシル基及びアルコキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基を有する架橋性化合物としては、ヒドロキシル基又はアルコキシル基を有するアミノ樹脂、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、グリコールウリル−ホルムアルデヒド樹脂、スクシニルアミド−ホルムアルデヒド樹脂、エチレン尿素−ホルムアルデヒド樹脂などが挙げられる。具体的には、アミノ基の水素原子がメチロール基、アルコキシメチル基又はその両方で置換されたメラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体、グリコールウリルなどを用いることができる。このメラミン誘導体又はベンゾグアナミン誘導体は、2量体又は3量体として存在することも可能である。これらはトリアジン環1個当たり、メチロール基又はアルコキシメチル基を平均3個以上6個以下有するものが好ましい。
【0091】
このようなメラミン誘導体又はベンゾグアナミン誘導体の例としては、市販品のトリアジン環1個当たりメトキシメチル基が平均3.7個置換されているMX−750、トリアジン環1個当たりメトキシメチル基が平均5.8個置換されているMW−30(以上、三和ケミカル社製)、サイメル300、301、303、350、370、771、325、327、703、712などのメトキシメチル化メラミン、サイメル235、236、238、212、253、254などのメトキシメチル化ブトキシメチル化メラミン、サイメル506、508などのブトキシメチル化メラミン、サイメル1141のようなカルボキシル基含有メトキシメチル化イソブトキシメチル化メラミン、サイメル1123のようなメトキシメチル化エトキシメチル化ベンゾグアナミン、サイメル1123−10のようなメトキシメチル化ブトキシメチル化ベンゾグアナミン、サイメル1128のようなブトキシメチル化ベンゾグアナミン、サイメル1125−80のようなカルボキシル基含有メトキシメチル化エトキシメチル化ベンゾグアナミン(以上、三井サイアナミド社製)が挙げられる。
また、グリコールウリルの例として、サイメル1170のようなブトキシメチル化グリコールウリル、サイメル1172のようなメチロール化グリコールウリル、パウダーリンク1174のようなメトキシメチロール化グリコールウリルなどが挙げられる。
【0092】
ヒドロキシル基若しくはアルコキシル基を有するベンゼン、フェノール性化合物などの架橋性化合物としては、例えば、1,3,5−トリス(メトキシメチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(イソプロポキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(sec−ブトキシメチル)ベンゼン、2,6−ジヒドロキシメチル−p−tert−ブチルフェノールなどが挙げられる。
より具体的には、国際公開公報WO2011/132751(2011.10.27公開)の62頁〜66頁に掲載される、式[6−1]〜[6−48]で示される架橋性化合物が挙げられる。
【0093】
重合性不飽和結合を有する架橋性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパン、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート等の重合性不飽和基を分子内に3個有する架橋性化合物、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイドビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイドビスフェノール型ジ(メタ)アクリレート、1,6−へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどの重合性不飽和基を分子内に2個有する架橋性化合物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルリン酸エステル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の重合性不飽和基を分子内に1個有する架橋性化合物が挙げられる。
【0094】
更に、下記の式[7]で示される化合物を架橋性化合物として用いることもできる。
【化36】
(E
1はシクロヘキサン環、ビシクロヘキサン環、ベンゼン環、ビフェニル環、ターフェニル環、ナフタレン環、フルオレン環、アントラセン環及びフェナントレン環からなる群から選ばれる基を示す。E
2は下記の式[7a]及び式[7b]から選ばれる基を示し、nは1〜4の整数を示す。)
【化37】
上記した化合物は架橋性化合物の一例であり、これらに限定されるものではない。また、本発明の組成物又は液晶配向処理剤に用いる架橋性化合物は、1種類であってもよく、2種類以上組み合わせてもよい。
【0095】
本発明の組成物又は液晶配向処理剤における、架橋性化合物の含有量は、組成物又は液晶配向処理剤中のすべての重合体成分100質量部に対して、0.1〜150質量部であることが好ましい。架橋反応が進行し、目的の効果を発現させるためには、すべての重合体成分100質量部に対して0.1〜100質量部がより好ましく、1〜50質量部が最も好ましい。
【0096】
本発明の組成物又は液晶配向処理剤においては、樹脂被膜又は液晶配向膜中の電荷移動を促進させる化合物として、国際公開公報WO2011/132751(2011.10.27公開)の69頁〜73頁に掲載される、式[M1]〜[M156]で示される窒素含有複素環アミン化合物を添加することが好ましい。このアミン化合物は、組成物又は液晶配向処理剤に直接添加しても構わないが、適当な溶媒で希釈して、濃度0.1〜10質量%、好ましくは1〜7質量%の溶液にしてから添加することが好ましい。用いる溶媒としては、特定セルロース系重合体及び特定ポリシロキサンを溶解させる溶媒であれば特に限定されない。
【0097】
本発明の組成物又は液晶配向処理剤においては、効果を損なわない限り、組成物又はそれを用いた液晶配向処理剤を塗布した際の樹脂被膜又は液晶配向膜の膜厚の均一性や、表面平滑性を向上させる化合物を用いることができる。更に、樹脂被膜又は液晶配向膜と基板との密着性を向上させる化合物などを用いることもできる。
樹脂被膜又は液晶配向膜の膜厚の均一性や表面平滑性を向上させる化合物としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ノ二オン系界面活性剤などが挙げられる。
【0098】
より具体的には、例えば、エフトップEF301、EF303、EF352(以上、トーケムプロダクツ社製)、メガファックF171、F173、R−30(以上、大日本インキ社製)、フロラードFC430、FC431(以上、住友スリーエム社製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(以上、旭硝子社製)などが挙げられる。これらの界面活性剤の使用割合は、組成物又は液晶配向処理剤中のすべての重合体成分100質量部に対して、好ましくは0.01〜2質量部、より好ましくは0.01〜1質量部である。
【0099】
樹脂被膜又は液晶配向膜と基板との密着性を向上させる化合物の具体例としては、以下に示す官能性シラン含有化合物やエポキシ基含有化合物が挙げられる。
例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,N’,N’,−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’,−テトラグリシジル−4、4’−ジアミノジフェニルメタンなどが挙げられる。
【0100】
これら基板との密着させる化合物を使用する場合は、組成物又は液晶配向処理剤中のすべての重合体成分100質量部に対して0.1〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜20質量部である。0.1質量部未満であると密着性向上の効果は期待できず、30質量部よりも多くなると組成物又は液晶配向処理剤の保存安定性が悪くなる場合がある。
本発明の組成物又は液晶配向処理剤には、上記以外の化合物の他に、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、垂直液晶配向膜の誘電率や導電性などの電気特性を変化させる目的の誘電体や導電物質を添加してもよい。
【0101】
<樹脂被膜>
本発明の組成物は、基板上に塗布、焼成した後、樹脂被膜として用いることができる。この際に用いる基板としては、目的とするデバイスに応じて、ガラス基板、シリコンウェハ、アクリル基板やポリカーボネート基板などのプラスチック基板なども用いることができる。また、樹脂被膜をそのままフィルム基板として用いることもできる。
組成物の塗布方法は、特に限定されないが、工業的には、ディップ法、ロールコータ法、スリットコータ法、スピンナー法、スプレー法、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェット法などの方法が一般的である。これらは、目的に応じていずれの方法を用いてもよい。
組成物を基板上に塗布した後は、ホットプレート、熱循環型オーブン、IR(赤外線)型オーブンなどの加熱手段により、組成物に用いる溶媒に応じて、30〜300℃、好ましくは30〜250℃の温度で溶媒を蒸発させて樹脂被膜とすることができる。
焼成後の樹脂被膜の厚みは、目的に応じて、0.01〜100μmに調整することができる。
【0102】
<液晶配向膜・液晶表示素子>
本発明の組成物を用いた液晶配向処理剤は、基板上に塗布、焼成した後、ラビング処理や光照射などで配向処理をして、液晶配向膜として用いることができる。
また、液晶を垂直に配向させて表示を行う液晶表示素子に対しては、配向処理なしでも液晶配向膜として用いることができる。
この際に用いる基板としては、透明性の高い基板であれば特に限定されず、ガラス基板の他、アクリル基板、ポリカーボネート基板、PET(ポリエチレンテレフタレート)基板などのプラスチック基板なども用いることができる。プロセスの簡素化の観点からは、液晶駆動のためのITO電極などが形成された基板を用いることが好ましい。また、反射型の液晶表示素子では、片側の基板のみにならばシリコンウェハなどの不透明な基板も使用でき、この場合の電極としてはアルミなどの光を反射する材料も使用できる。
【0103】
液晶配向処理剤の塗布方法は、特に限定されないが、工業的には、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェット法などの方法が一般的である。その他の塗布方法としては、ディップ法、ロールコータ法、スリットコータ法、スピンナー法、スプレー法などがあり、目的に応じてこれらを用いてもよい。
液晶配向処理剤を基板上に塗布した後は、ホットプレート、熱循環型オーブン、IR(赤外線)型オーブンなどの加熱手段により、液晶配向処理剤に用いる溶媒に応じて、30〜300℃、好ましくは30〜250℃の温度で溶媒を蒸発させて液晶配向膜とすることができる。
焼成後の液晶配向膜の厚みは、厚すぎると液晶表示素子の消費電力の面で不利となり、薄すぎると液晶表示素子の信頼性が低下する場合があるので、好ましくは5〜300nm、より好ましくは10〜100nmである。液晶を水平配向や傾斜配向させる場合は、焼成後の液晶配向膜をラビング、偏光紫外線照射等で処理する。
【0104】
本発明の液晶表示素子は、上記した手法により、本発明の液晶配向処理剤から液晶配向膜付き基板を得た後、公知の方法で液晶セルを作製して液晶表示素子としたものである。
液晶セルの作製方法としては、液晶配向膜の形成された一対の基板を用意し、片方の基板の液晶配向膜上にスペーサを散布し、液晶配向膜面が内側になるようにして、もう片方の基板を貼り合わせ、液晶を減圧注入して封止する方法、スペーサを散布した液晶配向膜面に液晶を滴下した後に、基板を貼り合わせて封止を行う方法などが例示できる。
【0105】
更に、本発明の液晶配向処理剤は、電極を備えた一対の基板の間に液晶層を有してなり、一対の基板の間に活性エネルギー線及び熱の少なくとも一方により重合する重合性化合物を含む液晶組成物を配置し、電極間に電圧を印加しつつ、活性エネルギー線の照射及び加熱の少なくとも一方により、重合性化合物を重合させる工程を経て製造される液晶表示素子にも好ましく用いられる。
ここで、活性エネルギー線としては、紫外線が好適である。紫外線としては、波長が300〜400nm、好ましくは310〜360nmである。加熱による重合の場合、加熱温度は40〜120℃、好ましくは60〜80℃である。また、紫外線と加熱を同時に行ってもよい。
【0106】
上記の液晶表示素子は、PSA(Polymer Sustained Alignment)方式により、液晶分子のプレチルトを制御するものである。PSA方式では、液晶材料中に少量の光重合性化合物、例えば光重合性モノマーを混入しておき、液晶セルを組み立てた後、液晶層に所定の電圧を印加した状態で、光重合性化合物に紫外線などを照射し、生成した重合体によって液晶分子のプレチルトを制御する。重合体が生成するときの液晶分子の配向状態が、電圧を取り去った後においても記憶されるので、液晶層に形成される電界などを制御することにより、液晶分子のプレチルトを調整することができる。また、PSA方式では、ラビング処理を必要としないので、ラビング処理によってプレチルトを制御することが難しい垂直配向型の液晶層の形成に適している。
【0107】
すなわち、本発明の液晶表示素子は、上記した手法により本発明の液晶配向処理剤から液晶配向膜付き基板を得た後、液晶セルを作製し、紫外線の照射及び加熱の少なくとも一方により重合性化合物を重合することで、液晶分子の配向を制御するものとすることができる。
PSA方式の液晶セル作製の一例を挙げるならば、液晶配向膜の形成された一対の基板を用意し、片方の基板の液晶配向膜上にスペーサを散布し、液晶配向膜面が内側になるようにして、もう片方の基板を貼り合わせ、液晶を減圧注入して封止する方法、スペーサを散布した液晶配向膜面に液晶を滴下した後に、基板を貼り合わせて封止を行う方法などが挙げられる。
【0108】
液晶には、熱や紫外線照射により重合する重合性化合物が混合される。重合性化合物としては、アクリレート基やメタクリレート基等の重合性不飽和基を分子内に1個以上有する化合物が挙げられる。その際、重合性化合物は、液晶成分の100質量部に対して0.01〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5質量部である。重合性化合物が0.01質量部未満であると、重合性化合物が重合せずに液晶の配向制御できなくなり、10質量部よりも多くなると、未反応の重合性化合物が多くなって液晶表示素子の焼き付き特性が低下する。
液晶セルを作製した後は、液晶セルに交流又は直流の電圧を印加しながら、熱や紫外線を照射して重合性化合物を重合する。これにより、液晶分子の配向を制御することができる。
【0109】
更に、本発明の液晶配向処理剤は、電極を備えた一対の基板の間に液晶層を有してなり、前記一対の基板の間に活性エネルギー線及び熱の少なくとも一方により重合する重合性基を含む液晶配向膜を配置し、電極間に電圧を印加する工程を経て製造される液晶表示素子にも好ましく用いられる。
ここで、活性エネルギー線としては、紫外線が好適である。紫外線としては、波長が300〜400nm、好ましくは310〜360nmである。加熱による重合の場合、加熱温度は40〜120℃、好ましくは60〜80℃である。また、紫外線と加熱を同時に行ってもよい。
【0110】
活性エネルギー線及び熱の少なくとも一方により重合する重合性基を含む液晶配向膜を得るためには、この重合性基を含む化合物を液晶配向処理剤中に添加する方法や、重合性基を含む重合体成分を用いる方法が挙げられる。
本発明の液晶配向処理剤は、熱や紫外線の照射により反応する2重結合部位を持つ特定化合物を含んでいるため、紫外線の照射及び加熱の少なくとも一方により液晶分子の配向を制御することができる。
液晶セル作製の一例を挙げるならば、液晶配向膜の形成された一対の基板を用意し、片方の基板の液晶配向膜上にスペーサを散布し、液晶配向膜面が内側になるようにして、もう片方の基板を貼り合わせ、液晶を減圧注入して封止する方法、スペーサを散布した液晶配向膜面に液晶を滴下した後に、基板を貼り合わせて封止を行う方法などが挙げられる。
液晶セルを作製した後は、液晶セルに交流又は直流の電圧を印加しながら、熱や紫外線を照射することで、液晶分子の配向を制御することができる。
本発明の液晶配向処理剤を用いて作製された液晶表示素子は、信頼性に優れたものとなり、大画面で高精細の液晶テレビなどに好適に利用できる。
【実施例】
【0111】
以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、これらに限定して解釈されるものではない。
[合成例、実施例及び比較例で用いる化合物の略号]
<(A)成分である特定セルロース系重合体>
CE−1:ヒドロキシエチルセルロース(WAKO社製)
CE−2:ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(ACROS社製)
CE−3:ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(信越化学社製)
【0112】
<(B)成分である特定ポリシロキサンを作製するためのモノマー>
B1:下記の式[B1]で示されるアルコキシシランモノマー(式[A1]で示されるアルコキシシランモノマー)
B2:オクタデシルトリエトキシシラン(式[A1]で示されるアルコキシシランモノマー)
B3:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(式[A2]で示されるアルコキシシランモノマー)
B4:3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン(式[A2]で示されるアルコキシシランモノマー)
B5:テトラエトキシシラン(式[A3]で示されるアルコキシシランモノマー)
【化38】
【0113】
<ポリイミド系重合体を製造するためのモノマー>
C1:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
C2:ビシクロ[3,3,0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸二無水物
C3:p−フェニレンジアミン
C4:1,3−ジアミノ−4−〔4−(トランス−4−n−ヘプチルシクロへキシル)フェノキシ〕ベンゼン
【化39】
<溶媒>
EC:ジエチレングリコールモノエチルエーテル
BCS:エチレングリコールモノブチルエーテル
PB:プロピレングリコールモノブチルエーテル
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
【0114】
[ポリイミド系重合体の分子量の測定方法]
ポリイミド前駆体及びポリイミドの分子量は、常温ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置(GPC−101)(昭和電工社製)、カラム(KD−803,KD−805)(Shodex社製)を用いて、以下のようにして測定した。
カラム温度:50℃
溶離液:N,N’−ジメチルホルムアミド(添加剤として、臭化リチウム−水和物(LiBr・H
2O)が30mmol/L(リットル)、リン酸・無水結晶(o−リン酸)が30mmol/L、テトラヒドロフラン(THF)が10ml/L)
流速:1.0ml/分
検量線作成用標準サンプル:TSK 標準ポリエチレンオキサイド(分子量;約900,000、150,000、100,000及び30,000)(東ソー社製)及びポリエチレングリコール(分子量;約12,000、4,000及び1,000)(ポリマーラボラトリー社製)。
【0115】
[イミド化率の測定方法]
ポリイミド粉末20mgをNMR(核磁気共鳴)サンプル管(NMRサンプリングチューブスタンダード,φ5(草野科学社製))に入れ、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d6,0.05質量%TMS(テトラメチルシラン)混合品)(0.53ml)を添加し、超音波をかけて完全に溶解させた。この溶液をNMR測定機(JNW−ECA500)(日本電子データム社製)にて500MHzのプロトンNMRを測定した。イミド化率は、イミド化前後で変化しない構造に由来するプロトンを基準プロトンとして決め、このプロトンのピーク積算値と、9.5〜10.0ppm付近に現れるアミド酸のNH基に由来するプロトンピーク積算値とを用い以下の式によって求めた。
イミド化率(%)=(1−α・x/y)×100
上記式において、xはアミド酸のNH基由来のプロトンピーク積算値、yは基準プロトンのピーク積算値、αはポリアミド酸(イミド化率が0%)の場合におけるアミド酸のNH基プロトン1個に対する基準プロトンの個数割合である。
【0116】
[特定ポリシロキサンの合成]
<合成例1>
温度計及び還流管を備え付けた200mlの四つ口反応フラスコ中で、EC(31.6g)、及びB5(41.7g)を混合して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、あらかじめEC(15.8g)、水(10.8g)及び触媒として蓚酸(0.20g)を混合した溶液を、25℃にて30分かけて滴下し、更に25℃にて室温で30分間撹拌した。その後、オイルバスを用いて加熱して60分間還流させた後、放冷してSiO
2換算濃度が12質量%のポリシロキサン溶液(1)を得た。
【0117】
<合成例2>
温度計及び還流管を備え付けた200mlの四つ口反応フラスコ中で、EC(28.3g)、B3(7.45g)及びB5(32.5g)を混合して、アルコキシシランモノマーの溶液を調整した。この溶液に、あらかじめEC(12.6g)、水(10.8g)及び触媒として蓚酸(0.70g)を混合して調整しておいた溶液を、25℃にて30分かけて滴下し、更に25℃にて30分間撹拌した。その後、オイルバスを用いて加熱して30分間還流させた後、あらかじめ調整しておいたB4の含有量が92質量%のメタノール溶液(1.20g)とEC(0.90g)の混合溶液を加えた。更に30分間還流させた後、放冷してSiO
2換算濃度が12質量%のポリシロキサン溶液(2)を得た。
【0118】
<合成例3>
温度計及び還流管を備え付けた200mlの四つ口反応フラスコ中で、EC(28.3g)、B1(4.10g)、B3(7.45g)及びB5(32.5g)を混合して、アルコキシシランモノマーの溶液を調整した。この溶液に、あらかじめEC(14.2g)、水(10.8g)及び触媒として蓚酸(0.70g)を混合して調整しておいた溶液を、25℃にて30分かけて滴下し、更に25℃にて30分間撹拌した。その後、オイルバスを用いて加熱して30分間還流させた後、あらかじめ調整しておいたB4の含有量が92質量%のメタノール溶液(1.20g)とEC(0.90g)の混合溶液を加えた。更に30分間還流させた後、放冷してSiO
2換算濃度が12質量%のポリシロキサン溶液(3)を得た。
【0119】
<合成例4>
温度計及び還流管を備え付けた200mlの四つ口反応フラスコ中で、EC(28.3g)、B2(4.10g)、B3(7.45g)及びB5(32.5g)を混合して、アルコキシシランモノマーの溶液を調整した。この溶液に、あらかじめEC(14.2g)、水(10.8g)及び触媒として蓚酸(0.70g)を混合して調整しておいた溶液を、25℃にて30分かけて滴下し、更に25℃にて30分間撹拌した。その後、オイルバスを用いて加熱して30分間還流させた後、あらかじめ調整しておいたB4の含有量が92質量%のメタノール溶液(1.20g)とEC(0.90g)の混合溶液を加えた。更に30分間還流させた後、放冷してSiO
2換算濃度が12質量%のポリシロキサン溶液(4)を得た。
【0120】
<合成例5>
温度計及び還流管を備え付けた200mlの四つ口反応フラスコ中で、EC(29.2g)、B1(4.10g)及びB5(38.8g)を混合して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、あらかじめEC(14.6g)、水(10.8g)及び触媒として蓚酸(0.50g)を混合して調整しておいた溶液を、25℃にて30分かけて滴下し、更に25℃にて30分間撹拌した。その後、オイルバスを用いて加熱して30分間還流させた後、あらかじめ調整しておいたB4の含有量92質量%のメタノール溶液(1.20g)とEC(0.90g)の混合溶液を加えた。更に30分間還流させた後、放冷してSiO
2換算濃度が12質量%のポリシロキサン溶液(5)を得た。
合成例1〜5において用いたアルコキシシランモノマー、使用量などをまとめて表1に示す。
【0121】
【表1】
【0122】
[ポリイミド系重合体の合成]
<合成例6>
C2(4.06g,16.2mmol)及びC3(3.49g,32.4mmol)をNMP(21.3g)中で混合し、50℃で2時間反応させた後、C1(3.12g,15.9mmol)とNMP(10.7g)を加え、40℃で6時間反応させ、樹脂固形分濃度が25質量%のポリアミド酸溶液(1)を得た。このポリアミド酸の数平均分子量は25,900、重量平均分子量は76,400であった。
【0123】
<合成例7>
C2(3.83g,15.3mmol)、C3(1.65g,15.3mmol)及びC4(6.04g,15.3mmol)をNMP(28.9g)中で混合し、50℃で2時間反応させた後、C1(2.94g,15.0mmol)とNMP(14.5g)を加え、40℃で6時間反応させ、樹脂固形分濃度が25質量%のポリアミド酸溶液(2)を得た。このポリアミド酸の数平均分子量は19,300、重量平均分子量は68,200であった。
【0124】
<合成例8>
合成例7で得られたポリアミド酸溶液(2)(30.0g)に、NMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(3.90g)及びピリジン(2.40g)を加え、70℃で2時間反応させた。この反応溶液をメタノール(460ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(3)を得た。このポリイミドのイミド化率は61%であり、数平均分子量は21,200、重量平均分子量は59,500であった。
【0125】
[組成物及び液晶配向処理剤の製造]
実施例1〜14及び比較例1〜4では、組成物の製造例を記載する。また、これらの組成物は液晶配向処理剤の評価のためにも使用される。
組成物及び液晶配向処理剤を表2〜4に示す。
実施例及び比較例で得られた組成物(液晶配向処理剤に用いる場合がある。)を用い、[組成物又は液晶配向処理剤の保存安定性試験]、[段差基板における組成物又は液晶配向処理剤の印刷性の評価]、[液晶配向処理剤のインクジェット塗布性の評価]、[液晶セルの作製及び液晶配向性の評価(通常セル)]、[液晶セルの作製及び液晶配向性の評価(PSAセル)]及び[絶縁膜塗布基板での電圧保持率の評価]を行った。上記試験、評価における条件は、下記のとおりである。
【0126】
[組成物又は液晶配向処理剤の保存安定性試験]
実施例及び比較例で得られた組成物を用いて、これら組成物の保存安定性試験を行った。具体的には、これら組成物を細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過し、−15℃にて72時間保管した。その後、目視観察にて、組成物中の濁りや析出物の発生を確認した。
表5〜7に、実施例及び比較例で得られた組成物(含む液晶配向処理剤)の保存安定性試験の結果を示す。なお、表中、濁りや析出物が見られずに均一な溶液であったものを○とし、濁りや析出物が見られたものを×とした。
【0127】
また、−15℃にて72時間保管した組成物を、純水及びIPA(イソプロピルアルコール)にて洗浄を行ったITO電極付きガラス基板(縦40mm×横30mm,厚さ0.7mm)のITO面にスピンコートし、ホットプレート上にて100℃で5分間加熱処理をして、樹脂被膜付きのITO基板を作製した。その後、得られた樹脂被膜付き基板のピンホールの評価を行った。具体的には、この樹脂被膜付き基板をナトリウムランプの下で目視観察をして、樹脂被膜上のピンホールの数を数えた。なお、ピンホールの数が少ないものほど、組成物中の析出物が少なく、本評価に優れるとした。
表5〜7に、実施例及び比較例で得られた組成物(含む液晶配向処理剤)から形成された樹脂被膜上のピンホールの数の評価結果を示す。
なお、実施例及び比較例で得られた組成物は、液晶配向処理剤に用いることができる。そのため、実施例及び比較例で得られた組成物の保存安定性試験の結果は、液晶配向処理剤としての保存安定性試験の結果とすることが可能である。
【0128】
[組成物又は液晶配向処理剤の印刷性の評価(段差基板における樹脂被膜又は液晶配向膜の追随性の評価)]
実施例及び比較例で得られた組成物(含む液晶配向処理剤)を用いて、段差基板に対する印刷性の評価を行った。具体的には、これら組成物を細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過した。その後、濾過後の組成物を用いて、基板の中心に対して70×70mmの範囲に、100×100μmのドットパターン(ドット間距離50μm、ドットの厚さ0.5μm)を付けたガラス基板(縦100mm×横100mm、厚さ0.7mm)に対して、印刷を行った。印刷機には簡易印刷機S15型(日本写真印刷社製)を用い、印刷面積が基板の中心に対して80×80mmの範囲、印圧が0.2mm、捨て基板が5枚、印刷から仮乾燥までの時間が90秒、仮乾燥がホットプレート上にて70℃で5分間の条件で行った。
【0129】
得られた樹脂被膜に関して、段差基板に対する樹脂被膜の追随性の評価を行った。具体的には、得られた樹脂被膜付き基板の断面を、走査型電子顕微鏡(S−4800)(日立ハイテク社製)で観察して、ドット上部の樹脂被膜の膜厚とドット間の樹脂被膜の膜厚とを確認比較することで行った。より具体的には、
図1中の(1)の膜厚(ドット上部の樹脂被膜の膜厚で、ドットの中央部の膜厚)と(2)の膜厚(ドット間の樹脂被膜の膜厚で、ドット間中央部の膜厚)を確認し、その差が小さいものほど、段差基板に対する樹脂被膜の追随性に優れるとした。
【0130】
表5〜7に、実施例及び比較例で得られた組成物(含む液晶配向処理剤)の印刷性の評価として、
図1中の(1)の膜厚、(2)の膜厚及び膜厚比(((1)の膜厚/(2)の膜厚)×100)の結果を、まとめて示す。
なお、実施例及び比較例で得られた組成物は、液晶配向処理剤に用いることができる。そのため、実施例及び比較例で得られた組成物の段差基板に対する樹脂被膜の追随性の結果は、液晶配向処理剤の段差基板に対する樹脂被膜の追随性の結果とすることが可能である。
【0131】
[液晶配向処理剤のインクジェット塗布性の評価]
実施例6で得られた液晶配向処理剤(3)及び実施例12で得られた液晶配向処理剤(9)を、細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過し、インクジェット塗布性の評価を行った。具体的には、インクジェット塗布機に、HIS−200(日立プラントテクノロジー社製)を用いて、純水及びIPA(イソプロピルアルコール)にて洗浄を行ったITO(酸化インジウムスズ)蒸着基板上に、塗布面積が70×70mm、ノズルピッチが0.423mm、スキャンピッチが0.5mm、塗布速度が40mm/秒、塗布から仮乾燥までの時間が60秒、仮乾燥がホットプレート上にて70℃で5分間の条件で塗布を行った。
得られた液晶配向膜付き基板をナトリウムランプの下で目視観察をして、液晶配向膜上のピンホールの数を数えたところ、いずれの実施例で得られた液晶配向膜とも、ピンホールは3個以下であった。また、いずれの実施例とも、塗膜均一性に優れた液晶配向膜が得られた。
【0132】
[液晶セルの作製及び液晶配向性の評価(通常セル)]
実施例及び比較例で得られた液晶配向処理剤を、細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過し、−15℃にて72時間保管した液晶配向処理剤を用いて、液晶セルの作製(通常セル)を行った。具体的には、これら液晶配向処理剤を、純水及びIPAにて洗浄を行った30×40mmITO電極付き基板(縦40mm×横30mm、厚さ0.7mm)のITO面にスピンコートし、ホットプレート上にて100℃で5分間、更に熱循環型クリーンオーブンにて200℃で30分間加熱処理をして、膜厚が100nmのポリイミド液晶配向膜付きのITO基板を得た。
【0133】
得られた液晶配向膜付きのITO基板を2枚用意し、液晶配向膜面を内側にして6μmのスペーサーを挟んで組み合わせ、シール剤(XN−1500T)(三井化学社製)を印刷した。次いで、他方の基板と液晶配向膜面が向き合うようにして貼り合わせた後、シール剤を熱循環型クリーンオーブン中にて、120℃で90分間加熱処理をすることにより硬化して空セルを作製した。この空セルに減圧注入法によって、ネマチック液晶(MLC−6608)(メルク・ジャパン社製)を注入し、注入口を封止して液晶セル(通常セル)を得た。
得られた液晶セルを用いて、液晶配向性の評価を行った。液晶配向性は、液晶セルを偏光顕微鏡(ECLIPSE E600WPOL)(ニコン社製)で観察し、配向欠陥の有無を確認した。具体的には、配向欠陥が見られなかったものを、本評価に優れるとした(表8及び表9中に、「良好」と示した。)。
表8及び表9に、実施例及び比較例で得られた液晶配向処理剤を用いて形成された液晶セルの液晶配向性の結果を示す。
【0134】
[液晶セルの作製及び液晶配向性の評価(PSAセル)]
実施例4で得られた液晶配向処理剤(1)、実施例7で得られた液晶配向処理剤(4)及び実施例11で得られた液晶配向処理剤(8)を細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過し、−15℃にて48時間保管した溶液を用いて、液晶セルの作製及び液晶配向性の評価(PSAセル)を行った。
これら液晶配向処理剤を、純水及びIPAにて洗浄した、中心に10×10mmのパターン間隔20μmのITO電極付き基板(縦40mm×横30mm、厚さ0.7mm)と中心に10×40mmのITO電極付き基板(縦40mm×横30mm、厚さ0.7mm)のITO面にスピンコートし、ホットプレート上にて100℃で5分間、更に熱循環型クリーンオーブンにて200℃で30分間加熱処理をして、膜厚が100nmのポリイミド塗膜を得た。
【0135】
この液晶配向膜付き基板を、液晶配向膜面を内側にして、6μmのスペーサーを挟んで組み合わせ、シール剤で周囲を接着して空セルを作製した。この空セルに減圧注入法によって、ネマティック液晶(MLC−6608)(メルク・ジャパン社製)に、下記の式で示される重合性化合物(1)を、ネマティック液晶(MLC−6608)の100質量%に対して0.3質量%混合した液晶を注入し、注入口を封止して、液晶セルを得た。
【化40】
得られた液晶セルに、交流5Vの電圧を印加しながら、照度60mWのメタルハライドランプを用いて、350nm以下の波長をカットし、365nm換算で20J/cm
2の紫外線照射を行い、液晶の配向方向が制御された液晶セル(PSAセル)を得た。液晶セルに紫外線を照射している際の照射装置内の温度は、50℃であった。
【0136】
この液晶セルの紫外線照射前と紫外線照射後の液晶の応答速度を測定した。応答速度は、透過率90%から透過率10%までのT90→T10を測定した。
実施例で得られたPSAセルは、紫外線照射前の液晶セルに比べて、紫外線照射後の液晶セルの応答速度が早くなったことから、液晶の配向方向が制御されたことを確認した。また、いずれの液晶セルとも、偏光顕微鏡(ECLIPSE E600WPOL)(ニコン社製)での観察により、液晶は均一に配向していることを確認した。
【0137】
[絶縁膜塗布基板での電圧保持率の評価]
(絶縁膜用組成物の調製)
100mlナス型フラスコに、アクリル系樹脂((メタ)アクリル酸/ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/メチル(メタ)アクリレート=9/25.5/65.5(モル比)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液、固形分濃度:22.0重量%、重量平均分子量6000(ポリスチレン換算))(7.07g)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(25.1g)、KAYARADDPHA−40H(日本化薬社製)(3.30g)、I−369(チバスペシャリティーケミカルズ社製)(0.30g)、ITX(ファーストケミカルコーポレーション社製)、及びメガファックR−30(0.015g)を加え、25℃で3時間攪拌し、絶縁膜用組成物を得た。この絶縁膜用組成物には不溶物は見られず、均一な溶液が得られた。
【0138】
(絶縁膜塗布基板の作製)
上記で得られた絶縁膜用組成物を0.2μmのフィルターを用いてろ過を行った。その後、ろ過した後の組成物を、純水及びIPAにて洗浄した中心に10×10mmのパターン間隔20μmのITO電極付き基板(縦40mm×横30mm、厚さ0.7mm)と中心に10×40mmのITO電極付き基板(縦40mm×横30mm、厚さ0.7mm)のITO面にスピンコートし、ホットプレート上にて110℃で5分間加熱処理をした。この塗膜に、紫外線照射装置PLA−501(F)(キャノン社製)により、365nmにおける照射量が、500mJ/cm
2の紫外線を照射し、ホットプレート上にて120℃で1分間加熱処理をした。その後、更にホットプレート上にて200℃で60分間加熱処理を行い、膜厚1.12μmの絶縁膜が塗布された基板を得た。
【0139】
(液晶セルの作製)
実施例及び比較例で得られた液晶配向処理剤を細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過し、液晶セルを作製した。これら液晶配向処理剤を上記で得られた絶縁膜塗布基板の絶縁膜塗布面にスピンコートし、ホットプレート上にて100℃で5分間、更に熱循環型クリーンオーブンにて200℃で30分間加熱処理をして、膜厚が100nmのポリイミド液晶配向膜付きのITO基板を得た。
得られた液晶配向膜付きのITO基板を2枚用意し、液晶配向膜面を内側にして6μmのスペーサーを挟んで組み合わせ、シール剤(XN−1500T)(三井化学社製)を印刷した。次いで、他方の基板と液晶配向膜面が向き合うようにして貼り合わせた後、シール剤を熱循環型クリーンオーブン中にて120℃で90分間加熱処理をすることにより硬化して空セルを作製した。この空セルに減圧注入法によって、液晶を注入し、注入口を封止して液晶セルを得た。
【0140】
(電圧保持率の評価)
上記で得られた液晶セルに、70℃の温度下で1Vの電圧を60μs印加し、16.67ms後及び50ms後の電圧を測定し、電圧がどのくらい保持できているかを電圧保持率(VHRともいう)として計算した。なお、測定は、電圧保持率測定装置(VHR−1)(東陽テクニカ社製)を使用し、Voltage:±1V、Pulse Width:60μs、Flame Period:16.67ms及び50msの設定で行った。
電圧保持率の測定が終了した液晶セルに、365nm換算で10J/cm
2の紫外線を照射した後、同様条件にて、VHRの測定を行った。なお、紫外線照射は、卓上型UV硬化装置(HCT3B28HEX−1)(センライト社製(SEN LIGHT CORPORATION))を用いて行った。
表8及び表9に、実施例及び比較例で得られた液晶配向処理剤を用いて作製された絶縁膜塗布基板での電圧保持率の評価の結果を示す。
【0141】
以下に、実施例1〜14、及び比較例1〜4における組成物(液晶配向処理剤に用いる場合がある。)の調製方法を記載する。
表2〜4には、各実施例及び比較例で使用した特定セルロース系重合体、特定ポリシロキサン、溶媒、及び組成物中の固形分濃度(%)等をまとめて示す。
また、得られた組成物(含む液晶配向処理剤)の評価は、[組成物又は液晶配向処理剤の保存安定性試験]、[段差基板における組成物又は液晶配向処理剤の印刷性の評価]、[液晶配向処理剤のインクジェット塗布性の評価]、[液晶セルの作製及び液晶配向性の評価(通常セル)]、[液晶セルの作製及び液晶配向性の評価(PSAセル)]及び[絶縁膜塗布基板での電圧保持率の評価]等を行った。
実施例1〜14、及び比較例1〜4で得られた組成物(含む液晶配向処理剤)の上記評価の結果は、表5〜9にまとめて示す。
【0142】
<実施例1>
CE−2(0.72g)をEC(9.00g)及びBCS(10.5g)中で混合し、40℃で6時間攪拌した。その後、合成例1の合成手法で得られたポリシロキサン溶液(1)(6.00g)を加え、25℃で2時間攪拌し、組成物(1)を得た。この組成物に、濁りや析出物の発生などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0143】
<実施例2>
CE−1(0.15g)をEC(2.20g)及びBCS(13.6g)中で混合し、40℃で6時間攪拌した。その後、合成例2の合成手法で得られたポリシロキサン溶液(2)(11.3g)を加え、25℃で2時間攪拌し、組成物(2)を得た。この組成物に、濁りや析出物の発生などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0144】
<実施例3>
CE−2(0.95g)をEC(12.5g)及びBCS(10.1g)中で混合し、40℃で6時間攪拌した。その後、合成例2の合成手法で得られたポリシロキサン溶液(2)(5.28g)を加え、25℃で2時間攪拌し、組成物(3)を得た。この組成物に、濁りや析出物の発生などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
【0145】
<実施例4>
CE−2(0.65g)をEC(11.9g)及びBCS(8.90g)中で混合し、40℃で6時間攪拌した。その後、合成例3の合成手法で得られたポリシロキサン溶液(3)(8.13g)を加え、25℃で2時間攪拌し、組成物(4)を得た。この組成物に、濁りや析出物の発生などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。なお、この組成物(4)は、液晶配向処理剤(1)としても評価に用いた。
【0146】
<実施例5>
CE−3(0.50g)をEC(1.90g)及びPB(12.1g)中で混合し、40℃で6時間攪拌した。その後、合成例3の合成手法で得られたポリシロキサン溶液(3)(8.13g)を加え、25℃で2時間攪拌し、組成物(5)を得た。この組成物に、濁りや析出物の発生などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。なお、この組成物(5)は、液晶配向処理剤(2)としても評価に用いた。
【0147】
<実施例6>
CE−2(0.50g)をEC(12.0g)及びPB(22.9g)中で混合し、40℃で6時間攪拌した。その後、合成例3の合成手法で得られたポリシロキサン溶液(3)(6.25g)を加え、25℃で2時間攪拌し、組成物(6)を得た。この組成物に、濁りや析出物の発生などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。なお、この組成物(6)は、液晶配向処理剤(3)としても評価に用いた。
【0148】
<実施例7>
CE−2(0.80g)をEC(7.10g)及びBCS(14.5g)中で混合し、40℃で6時間攪拌した。その後、合成例3の合成手法で得られたポリシロキサン溶液(3)(6.67g)を加え、25℃で2時間攪拌し、組成物(7)を得た。この組成物に、濁りや析出物の発生などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。なお、この組成物(7)は、液晶配向処理剤(4)としても評価に用いた。
【0149】
<実施例8>
CE−2(0.30g)をEC(0.60g)及びPB(16.4g)中で混合し、40℃で6時間攪拌した。その後、合成例4の合成手法で得られたポリシロキサン溶液(4)(10.0g)を加え、25℃で2時間攪拌し、組成物(8)を得た。この組成物に、濁りや析出物の発生などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。なお、この組成物(8)は、液晶配向処理剤(5)としても評価に用いた。
【0150】
<実施例9>
CE−2(0.65g)をEC(9.00g)及びBCS(11.8g)中で混合し、40℃で6時間攪拌した。その後、合成例4の合成手法で得られたポリシロキサン溶液(4)(8.13g)を加え、25℃で2時間攪拌し、組成物(9)を得た。この組成物に、濁りや析出物の発生などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。なお、この組成物(9)は、液晶配向処理剤(6)としても評価に用いた。
【0151】
<実施例10>
CE−1(0.15g)をEC(7.70g)及びBCS(8.20g)中で混合し、40℃で6時間攪拌した。その後、合成例4の合成手法で得られたポリシロキサン溶液(4)(11.3g)を加え、25℃で2時間攪拌し、組成物(10)を得た。この組成物に、濁りや析出物の発生などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。なお、この組成物(10)は、液晶配向処理剤(7)としても評価に用いた。
【0152】
<実施例11>
CE−2(0.50g)をEC(9.50g)及びPB(10.6g)中で混合し、40℃で6時間攪拌した。その後、合成例5の合成手法で得られたポリシロキサン溶液(5)(9.72g)を加え、25℃で2時間攪拌し、組成物(11)を得た。この組成物に、濁りや析出物の発生などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。なお、この組成物(11)は、液晶配向処理剤(8)としても評価に用いた。
【0153】
<実施例12>
CE−2(0.45g)をEC(23.3g)及びPB(17.5g)中で混合し、40℃で6時間攪拌した。その後、合成例5の合成手法で得られたポリシロキサン溶液(5)(8.75g)を加え、25℃で2時間攪拌し、組成物(12)を得た。この組成物に、濁りや析出物の発生などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。なお、この組成物(12)は、液晶配向処理剤(9)としても評価に用いた。
【0154】
<実施例13>
CE−3(0.40g)をEC(8.50g)及びBCS(10.2g)中で混合し、40℃で6時間攪拌した。その後、合成例5の合成手法で得られたポリシロキサン溶液(5)(10.0g)を加え、25℃で2時間攪拌し、組成物(13)を得た。この組成物に、濁りや析出物の発生などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。なお、この組成物(13)は、液晶配向処理剤(10)としても評価に用いた。
【0155】
<実施例14>
CE−3(0.75g)をEC(8.00g)及びPB(12.3g)中で混合し、40℃で6時間攪拌した。その後、合成例5の合成手法で得られたポリシロキサン溶液(5)(6.25g)を加え、25℃で2時間攪拌し、組成物(14)を得た。この組成物に、濁りや析出物の発生などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。なお、この組成物(14)は、液晶配向処理剤(11)としても評価に用いた。
【0156】
<比較例1>
合成例6の合成手法で得られた樹脂固形分濃度25質量%のポリアミド酸溶液(1)(2.60g)に、NMP(10.0g)及びBCS(8.90g)を加え、25℃にて2時間攪拌した。その後、合成例3の合成手法で得られたポリシロキサン溶液(3)(8.13g)を加えたが、その直後に析出物が発生した。それから、25℃で2時間攪拌し、組成物(15)を得た。ただし、この組成物中には、析出物が見られた。なお、この組成物(15)は、液晶配向処理剤(12)としても評価に用いた。
【0157】
<比較例2>
合成例7の合成手法で得られた樹脂固形分濃度25質量%のポリアミド酸溶液(2)(2.60g)に、NMP(10.0g)及びBCS(8.90g)を加え、25℃にて2時間攪拌した。その後、合成例3の合成手法で得られたポリシロキサン溶液(3)(8.13g)を加えたが、その直後に析出物が発生した。それから、25℃で2時間攪拌し、組成物(16)を得た。ただし、この組成物中には、析出物が見られた。なお、この組成物(16)は、液晶配向処理剤(13)としても評価に用いた。
【0158】
<比較例3>
合成例8の合成手法で得られたポリイミド粉末(3)(0.45g)をEC(8.20g)及びBCS(6.10g)中で混合し、70℃で15時間攪拌した。しかしながら、ポリイミド粉末(3)は、溶解しなかった。
そこで、ポリイミド粉末(3)(0.45g)をNMP(8.20g)及びBCS(6.10g)中で混合し、70℃で8時間攪拌した。その後、合成例3の合成手法で得られたポリシロキサン溶液(3)(5.63g)を加えたが、その直後に析出物が発生した。それから、25℃で2時間攪拌し、組成物(17)を得た。ただし、この組成物中には、析出物が見られた。なお、この組成物(17)は、液晶配向処理剤(14)としても評価に用いた。
【0159】
<比較例4>
合成例3の合成手法で得られたポリシロキサン溶液(3)(12.5g)に、EC(6.60g)及びBCS(8.20g)を加え、25℃で4時間攪拌し、組成物(18)を得た。この組成物に、濁りや析出物の発生などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。なお、この組成物(18)は、液晶配向処理剤(15)としても評価に用いた。
【0160】
【表2】
*2:組成物(液晶配向処理剤)中の重合体の占める割合を示す。
【0161】
【表3】
*3:組成物(液晶配向処理剤)中の重合体の占める割合を示す。
【0162】
【表4】
*4:組成物(液晶配向処理剤)中の重合体の占める割合を示す。
【0163】
【表5】
【0164】
【表6】
【0165】
【表7】
【0166】
【表8】
【0167】
【表9】
*5:ピンホールによる配向欠陥が10個以上観察された。
【0168】
上記の結果からわかるように、実施例の組成物は、比較例に比べて、組成物の保存時に重合体の析出が起こらずに保存安定性に優れ、樹脂被膜を形成する際のピンホールの発生を抑制することができた。更には、段差基板の凹凸に対して段差追随性が高い樹脂被膜を得ることができた。
具体的には、本発明の(B)成分である特定ポリシロキサン及び(A)成分である特定セルロース系重合体を用いた組成物(実施例4)と、これと同じ構造の特定ポリシロキサン及び特定セルロース系重合体以外の重合体を用いた組成物(実施例4と比較例1、2又は3)との比較である。特に、比較例1〜3においては、重合体にポリイミド系重合体を用いており、ポリイミド系重合体に特定ポリシロキサンを混合させると析出物が発生し、組成物の保存安定性も悪くなった。また、これら比較例の組成物から得られた液晶配向処理剤を用いて、液晶セルを作製すると、ピンホールに伴う配向欠陥が多く見られた。
【0169】
更に、本発明の(B)成分である特定ポリシロキサン及び本発明の(A)成分である特定セルロース系重合体を用いた組成物(実施例4)と、特定ポリシロキサンのみを用いた組成物(比較例4)との比較において、比較例4の組成物は、組成物の保存安定性に優れ、樹脂被膜を形成する際のピンホールの発生を抑制することができるものの、段差基板の凹凸に対する段差追随性が低くなった。
これらの実施例の組成物は、液晶配向処理剤としても評価に用いたが、これらの実施例の組成物を用いた場合の評価結果は、液晶配向処理剤としての結果とすることが可能である。
【0170】
更に、絶縁膜塗布基板での電圧保持率の評価において、本発明の組成物から得られた液晶配向処理剤は、比較例の組成物から得られた液晶配向処理剤に比べて、液晶配向膜の下に有機部材からなる絶縁膜がある状態で光を照射しても、電圧保持率に優れる結果が得られた。具体的には、本発明の(B)成分である特定ポリシロキサン及び(A)成分である特定セルロース系重合体を用いた組成物(実施例4)と、同じ構造の特定ポリシロキサンと特定セルロース系重合体以外の重合体を用いた組成物(比較例1、2又は3)との比較、更には、本発明の(B)成分である特定ポリシロキサン及び(A)成分である特定セルロース系重合体を用いた組成物(実施例4)と、同じ構造の特定ポリシロキサンのみを用いた組成物(比較例4)との比較である。