(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6319320
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】ズームレンズおよび光学機器
(51)【国際特許分類】
G02B 15/20 20060101AFI20180423BHJP
【FI】
G02B15/20
【請求項の数】12
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2015-548998(P2015-548998)
(86)(22)【出願日】2014年11月21日
(86)【国際出願番号】JP2014005861
(87)【国際公開番号】WO2015075943
(87)【国際公開日】20150528
【審査請求日】2016年5月18日
(31)【優先権主張番号】特願2013-241490(P2013-241490)
(32)【優先日】2013年11月22日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2014-9276(P2014-9276)
(32)【優先日】2014年1月22日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2014-9277(P2014-9277)
(32)【優先日】2014年1月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100097984
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100157417
【弁理士】
【氏名又は名称】並木 敏章
(72)【発明者】
【氏名】西 泰史
【審査官】
森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】
特開平4−146407(JP,A)
【文献】
特開昭63−205629(JP,A)
【文献】
特開昭63−266415(JP,A)
【文献】
特開平7−151970(JP,A)
【文献】
特開平11−258506(JP,A)
【文献】
特開2009−294513(JP,A)
【文献】
特開2010−175899(JP,A)
【文献】
特開2010−191199(JP,A)
【文献】
特開2011−90265(JP,A)
【文献】
特開2012−048199(JP,A)
【文献】
特開2012−247564(JP,A)
【文献】
特開2013−011819(JP,A)
【文献】
特開2013−088737(JP,A)
【文献】
特開2013−134303(JP,A)
【文献】
特開2013−224993(JP,A)
【文献】
特開2013−228500(JP,A)
【文献】
特開2013−23506(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0308043(US,A1)
【文献】
特開2013−254160(JP,A)
【文献】
特開2014−16400(JP,A)
【文献】
特開2014−95754(JP,A)
【文献】
特開2014−145963(JP,A)
【文献】
特開2014−153436(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 − 17/08
G02B 21/02 − 21/04
G02B 25/00 − 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有する第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群とにより実質的に5個のレンズ群からなり、
広角端状態から望遠端状態への変倍の際、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔、および前記第4レンズ群と前記第5レンズ群との間隔がそれぞれ変化するように、前記第1レンズ群、前記第2レンズ群、前記第3レンズ群、前記第4レンズ群、および前記第5レンズ群がそれぞれ光軸に沿って移動し、
以下の条件式を満足することを特徴とするズームレンズ。
0.25<f1/ft<0.38
−0.176<(f1×fw)/(f2×ft)<−0.160
但し、
f1:前記第1レンズ群の焦点距離、
ft:前記ズームレンズの望遠端状態における焦点距離、
fw:前記ズームレンズの広角端状態における焦点距離、
f2:前記第2レンズ群の焦点距離。
【請求項2】
光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有する第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群とにより実質的に5個のレンズ群からなり、
広角端状態から望遠端状態への変倍の際、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔、および前記第4レンズ群と前記第5レンズ群との間隔がそれぞれ変化するように、前記第1レンズ群、前記第2レンズ群、前記第3レンズ群、前記第4レンズ群、および前記第5レンズ群がそれぞれ光軸に沿って移動し、
以下の条件式を満足することを特徴とするズームレンズ。
0.25<f1/ft<0.34
−0.180<(f1×fw)/(f2×ft)<−0.160
但し、
f1:前記第1レンズ群の焦点距離、
ft:前記ズームレンズの望遠端状態における焦点距離、
fw:前記ズームレンズの広角端状態における焦点距離、
f2:前記第2レンズ群の焦点距離。
【請求項3】
光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有する第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群とにより実質的に5個のレンズ群からなり、
広角端状態から望遠端状態への変倍の際、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔、および前記第4レンズ群と前記第5レンズ群との間隔がそれぞれ変化するように、前記第1レンズ群、前記第2レンズ群、前記第3レンズ群、前記第4レンズ群、および前記第5レンズ群がそれぞれ光軸に沿って移動し、
前記第4レンズ群は、1枚の正レンズと1枚の負レンズとの接合レンズからなり、
以下の条件式を満足することを特徴とするズームレンズ。
0.25<f1/ft<0.38
−0.180<(f1×fw)/(f2×ft)<−0.160
但し、
f1:前記第1レンズ群の焦点距離、
ft:前記ズームレンズの望遠端状態における焦点距離、
fw:前記ズームレンズの広角端状態における焦点距離、
f2:前記第2レンズ群の焦点距離。
【請求項4】
光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有する第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群とにより実質的に5個のレンズ群からなり、
広角端状態から望遠端状態への変倍の際、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔、および前記第4レンズ群と前記第5レンズ群との間隔がそれぞれ変化するように、前記第1レンズ群、前記第2レンズ群、前記第3レンズ群、前記第4レンズ群、および前記第5レンズ群がそれぞれ光軸に沿って移動し、
以下の条件式を満足することを特徴とするズームレンズ。
0.25<f1/ft<0.38
−0.180<(f1×fw)/(f2×ft)<−0.160
−0.18<f4/ft<−0.14
但し、
f1:前記第1レンズ群の焦点距離、
ft:前記ズームレンズの望遠端状態における焦点距離、
fw:前記ズームレンズの広角端状態における焦点距離、
f2:前記第2レンズ群の焦点距離、
f4:前記第4レンズ群の焦点距離。
【請求項5】
前記第4レンズ群は、1枚の正レンズと1枚の負レンズとの接合レンズからなることを特徴とする請求項4に記載のズームレンズ。
【請求項6】
前記第1レンズ群は、3枚の正レンズを有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のズームレンズ。
【請求項7】
前記第1レンズ群は、正レンズと負レンズとの接合レンズを有し、以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のズームレンズ。
0.367<nN1−nP1
80<νP1
但し、
nN1:前記第1レンズ群の前記接合レンズを構成する前記負レンズのd線に対する屈折率、
nP1:前記第1レンズ群の前記接合レンズを構成する前記正レンズのd線に対する屈折率、
νP1:前記第1レンズ群の前記接合レンズを構成する前記正レンズのアッベ数。
【請求項8】
前記第3レンズ群の物体側近傍に開口絞りが配設され、以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のズームレンズ。
0.084<ΔZwt/ft<0.090
但し、
ΔZwt:広角端状態から望遠端状態への変倍の際における、前記開口絞りの物体側への光軸上の移動距離。
【請求項9】
無限遠物体から有限距離物体への合焦の際、前記第5レンズ群が光軸に沿って物体側に移動し、
前記第5レンズ群は、1枚の正レンズと1枚の負レンズとの接合レンズからなることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のズームレンズ。
【請求項10】
前記第2レンズ群は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、第1の負レンズと、第2の負レンズと、正レンズと第3の負レンズとの接合レンズとからなることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のズームレンズ。
【請求項11】
前記第3レンズ群は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、第1の正レンズと、第2の正レンズと負レンズとの接合レンズと、第3の正レンズとからなることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のズームレンズ。
【請求項12】
物体の像を所定の面上に結像させるズームレンズを備えた光学機器であって、
前記ズームレンズが請求項1〜11のいずれかに記載のズームレンズであることを特徴とする光学機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ズームレンズ
および光学機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、写真用カメラ、電子スチルカメラ、ビデオカメラ等に適用可能であって、大きな変倍比を有したズームレンズが種々提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−98699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のズームレンズでは、光学系全体の小型化を図りながら、変倍比を大きくすることが困難であった。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、小型でありながら大きな変倍比を有し、良好な光学性能を備えたズームレンズ
および光学機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の本発明に係るズームレンズは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有する第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群とにより実質的に5個のレンズ群からなり、広角端状態から望遠端状態への変倍の際、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔、および前記第4レンズ群と前記第5レンズ群との間隔がそれぞれ変化するように、前記第1レンズ群、前記第2レンズ群、前記第3レンズ群、前記第4レンズ群、および前記第5レンズ群がそれぞれ光軸に沿って移動し、以下の条件式を満足している。
【0009】
0.25<f1/ft<0.38
−0.176<(f1×fw)/(f2×ft)<−0.160
但し、
f1:前記第1レンズ群の焦点距離、
ft:前記ズームレンズの望遠端状態における焦点距離、
fw:前記ズームレンズの広角端状態における焦点距離、
f2:前記第2レンズ群の焦点距離。
【0010】
第2の本発明に係るズームレンズは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有する第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群とにより実質的に5個のレンズ群からなり、広角端状態から望遠端状態への変倍の際、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔、および前記第4レンズ群と前記第5レンズ群との間隔がそれぞれ変化するように、前記第1レンズ群、前記第2レンズ群、前記第3レンズ群、前記第4レンズ群、および前記第5レンズ群がそれぞれ光軸に沿って移動し、以下の条件式を満足している。
【0011】
0.25<f1/ft<0.34
−0.180<(f1×fw)/(f2×ft)<−0.160
但し、
f1:前記第1レンズ群の焦点距離、
ft:前記ズームレンズの望遠端状態における焦点距離、
fw:前記ズームレンズの広角端状態における焦点距離、
f2:前記第2レンズ群の焦点距離。
【0012】
第3の本発明に係るズームレンズは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有する第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群とにより実質的に5個のレンズ群からなり、広角端状態から望遠端状態への変倍の際、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔、および前記第4レンズ群と前記第5レンズ群との間隔がそれぞれ変化するように、前記第1レンズ群、前記第2レンズ群、前記第3レンズ群、前記第4レンズ群、および前記第5レンズ群がそれぞれ光軸に沿って移動し、前記第4レンズ群は、1枚の正レンズと1枚の負レンズとの接合レンズからなり、以下の条件式を満足している。
【0013】
0.25<f1/ft<0.38
−0.180<(f1×fw)/(f2×ft)<−0.160
但し、
f1:前記第1レンズ群の焦点距離、
ft:前記ズームレンズの望遠端状態における焦点距離、
fw:前記ズームレンズの広角端状態における焦点距離、
f2:前記第2レンズ群の焦点距離。
【0014】
第4の本発明に係るズームレンズは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有する第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群とにより実質的に5個のレンズ群からなり、広角端状態から望遠端状態への変倍の際、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔、および前記第4レンズ群と前記第5レンズ群との間隔がそれぞれ変化するように、前記第1レンズ群、前記第2レンズ群、前記第3レンズ群、前記第4レンズ群、および前記第5レンズ群がそれぞれ光軸に沿って移動し、以下の条件式を満足している。
【0015】
0.25<f1/ft<0.38
−0.180<(f1×fw)/(f2×ft)<−0.160
−0.18<f4/ft<−0.14
但し、
f1:前記第1レンズ群の焦点距離、
ft:前記ズームレンズの望遠端状態における焦点距離、
fw:前記ズームレンズの広角端状態における焦点距離、
f2:前記第2レンズ群の焦点距離、
f4:前記第4レンズ群の焦点距離。
【0029】
本発明に係る光学機器は、物体の像を所定の面上に結像させるズームレンズを備えた光学機器であって、前記ズームレンズとして第1〜
第4の本発明に係るズームレンズを用いている。
【発明の効果】
【0035】
いずれかの本発明によれば、小型でありながら大きな変倍比を有し、良好な光学性能を備えたズームレンズ
および光学機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】(a)は第1実施例に係るズームレンズの広角端状態におけるレンズ構成図であり、(b)は中間焦点距離状態におけるレンズ構成図であり、(c)は望遠端状態におけるレンズ構成図である。
【
図2】(a)は第1実施例に係るズームレンズの広角端状態における無限遠合焦時の諸収差図であり、(b)は中間焦点距離状態における無限遠合焦時の諸収差図であり、(c)は望遠端状態における無限遠合焦時の諸収差図である。
【
図3】(a)は第2実施例に係るズームレンズの広角端状態におけるレンズ構成図であり、(b)は中間焦点距離状態におけるレンズ構成図であり、(c)は望遠端状態におけるレンズ構成図である。
【
図4】(a)は第2実施例に係るズームレンズの広角端状態における無限遠合焦時の諸収差図であり、(b)は中間焦点距離状態における無限遠合焦時の諸収差図であり、(c)は望遠端状態における無限遠合焦時の諸収差図である。
【
図5】(a)は第3実施例に係るズームレンズの広角端状態におけるレンズ構成図であり、(b)は中間焦点距離状態におけるレンズ構成図であり、(c)は望遠端状態におけるレンズ構成図である。
【
図6】(a)は第3実施例に係るズームレンズの広角端状態における無限遠合焦時の諸収差図であり、(b)は中間焦点距離状態における無限遠合焦時の諸収差図であり、(c)は望遠端状態における無限遠合焦時の諸収差図である。
【
図7】(a)はデジタルスチルカメラの正面図であり、(b)はデジタルスチルカメラの背面図である。
【
図8】
図7(a)中の矢印A−A´に沿った断面図である。
【
図9】第1の実施形態に係るズームレンズの製造方法を示すフローチャートである。
【
図10】第2の実施形態に係るズームレンズの製造方法を示すフローチャートである。
【
図11】第3の実施形態に係るズームレンズの製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態(第1〜第3の実施形態)】
【0037】
以下、第1の実施形態について図を参照しながら説明する。第1の実施形態に係るズームレンズを備えた第1の実施形態デジタルスチルカメラCAMが
図7および
図8に示されている。
図7において、(a)はデジタルスチルカメラCAMの正面図を、(b)はデジタルスチルカメラCAMの背面図をそれぞれ示す。
図8は
図7(a)中の矢印A−A´に沿った断面図を示す。
【0038】
図7に示すデジタルスチルカメラCAMは、不図示の電源釦を押すと、撮影レンズ(ZL)の不図示のシャッタが開放されて、撮影レンズ(ZL)で被写体(物体)からの光が集光され、
図8に示す像面Iに配置された撮像素子C(例えば、CCDやCMOS等)に結像される。撮像素子Cに結像された被写体像は、デジタルスチルカメラCAMの背後に配置された液晶モニターMに表示される。撮影者は、液晶モニターMを見ながら被写体像の構図を決めた後、レリーズ釦B1を押し下げて被写体像を撮像素子で撮影し、不図示のメモリーに記録保存する。
【0039】
撮影レンズは、後述の第1の実施形態に係るズームレンズZLで構成されている。また、デジタルスチルカメラCAMには、被写体が暗い場合に補助光を発光する補助光発光部DL、撮影レンズ(ズームレンズZL)を広角端状態(W)から望遠端状態(T)にズーミング(変倍)する際のワイド(W)−テレ(T)釦B2、およびデジタルスチルカメラCAMの種々の条件設定等に使用するファンクション釦B3等が配置されている。
【0040】
第1の実施形態に係るズームレンズZLは、例えば
図1に示すように、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5とを備えて構成される。広角端状態から望遠端状態への変倍(ズーミング)の際、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔、および第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との間隔がそれぞれ変化するように、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3、第4レンズ群G4、および第5レンズ群G5がそれぞれ光軸に沿って移動する。そして、ズームレンズZLは、次の条件式(1)で表される条件を満足する。
【0041】
0.25<f1/ft<0.38 …(1)
但し、
f1:第1レンズ群G1の焦点距離、
ft:ズームレンズZLの望遠端状態における焦点距離。
【0042】
条件式(1)は、ズームレンズZL全系の望遠端状態における焦点距離に対し、第1レンズ群G1の焦点距離を規定する条件式である。条件式(1)を満足することにより、望遠端状態における望遠比を小さくしてズームレンズZLの全長を短くすることができる。これにより、小型でありながら大きな変倍比を有し、良好な光学性能を備えたズームレンズZLを実現することができる。なお、条件式(1)の上限値を上回る条件である場合、ズームレンズZLの大型化を招く。条件式(1)の上限値を上回る条件で、ズームレンズZLの小型化を図ると、第1レンズ群G1の屈折力が小さくなるので、第3レンズ群G3の屈折力を大きくする必要があり、変倍域全域において球面収差がマイナス側に大きく発生するため好ましくない。一方、条件式(1)の下限値を下回る条件である場合、第1レンズ群G1の屈折力が大きくなり、望遠端状態において球面収差と像面湾曲がマイナス側に大きく発生するため好ましくない。
【0043】
第1の実施形態の効果をより確実にするために、条件式(1)の上限値を0.34に設定することが望ましい。また、条件式(1)の上限値を0.33に設定することがより望ましい。一方、第1の実施形態の効果をより確実にするために、条件式(1)の下限値を0.30に設定することが望ましい。
【0044】
第1の実施形態に係るズームレンズZLにおいて、次の条件式(2)で表される条件を満足することが好ましい。
【0045】
−0.180<(f1×fw)/(f2×ft)<−0.160 …(2)
但し、
fw:ズームレンズZLの広角端状態における焦点距離、
f2:第2レンズ群G2の焦点距離。
【0046】
条件式(2)は、第2レンズ群G2の焦点距離に対する第1レンズ群G1の焦点距離を規定する条件式である。条件式(2)を満足することにより、高い結像性能を有する小型のズームレンズZLを達成することができる。なお、条件式(2)の上限値を上回る条件である場合、望遠端状態において球面収差がマイナス側に大きく発生するため好ましくない。一方、条件式(2)の下限値を下回る条件である場合、望遠端状態において球面収差がプラス側に大きく発生するため好ましくない。
【0047】
第1の実施形態の効果をより確実にするために、条件式(2)の上限値を−0.167に設定することが望ましい。一方、第1の実施形態の効果をより確実にするために、条件式(2)の下限値を−0.176に設定することが望ましい。
【0048】
第1の実施形態に係るズームレンズZLにおいて、第1レンズ群G1は、3枚の正レンズを有することが好ましい。この構成により、望遠端状態において球面収差とコマ収差を良好に補正することができる。
【0049】
第1の実施形態に係るズームレンズZLにおいて、第1レンズ群G1は、正レンズと負レンズとの接合レンズを有し、次の条件式(3)および条件式(4)で表される条件を満足することが好ましい。
【0050】
0.367<nN1−nP1 …(3)
80<νP1 …(4)
但し、
nN1:第1レンズ群G1の接合レンズを構成する負レンズのd線に対する屈折率、
nP1:第1レンズ群G1の接合レンズを構成する正レンズのd線に対する屈折率、
νP1:第1レンズ群G1の接合レンズを構成する正レンズのアッベ数。
【0051】
条件式(3)は、第1レンズ群G1の接合レンズを構成する正レンズと負レンズにおける屈折率の差を規定する条件式である。条件式(3)を満足することにより、第1レンズ群G1で発生する球面収差を良好に補正することができる。条件式(3)の下限値を下回る条件である場合、第1レンズ群G1の接合レンズを構成する正レンズと負レンズにおける屈折率差が小さくなりすぎて、望遠端状態において球面収差の曲りが大きくなるため好ましくない。
【0052】
第1の実施形態の効果をより確実にするために、条件式(3)の下限値を0.370に設定することが望ましい。
【0053】
条件式(4)は、第1レンズ群G1の接合レンズを構成する正レンズのアッベ数を規定する条件式である。条件式(4)を満足することにより、望遠端状態における軸上色収差と倍率色収差を良好に補正することができる。なお、条件式(4)の下限値を下回る条件である場合、望遠端状態において軸上色収差がマイナス側に大きく発生し、倍率色収差がプラス側に大きく発生するため、好ましくない。
【0054】
第1の実施形態の効果をより確実にするために、条件式(4)の下限値を90に設定することが望ましい。なお、条件式(4)を満足する正レンズは柔らかくて傷つきやすいため、当該正レンズの物体側に負レンズを配置して接合することが好ましい。この構成により、正レンズの物体側のレンズ面が負レンズに覆われるため、条件式(4)を満足する正レンズの物体側のレンズ面に傷がつきにくくなる。
【0055】
第1の実施形態に係るズームレンズZLにおいて、次の条件式(5)で表される条件を満足することが好ましい。
【0056】
−0.18<f4/ft<−0.14 …(5)
但し、
f4:第4レンズ群4の焦点距離。
【0057】
条件式(5)は、ズームレンズZL全系の望遠端状態における焦点距離に対し、第4レンズ群G4の焦点距離を規定する条件式である。条件式(5)を満足することにより、ズームレンズZLの前玉径を縮小することができる。なお、条件式(5)の上限値を上回る条件である場合、広角端状態において球面収差がプラス側に大きく発生するため好ましくない。一方、条件式(5)の下限値を下回る条件である場合、開口絞りSより像側の負レンズの効果が小さくなり、ズームレンズZLの前玉径を十分に縮小することが困難になる。
【0058】
第1の実施形態の効果をより確実にするために、条件式(5)の上限値を−0.15に設定することが望ましい。一方、第1の実施形態の効果をより確実にするために、条件式(5)の下限値を−0.17に設定することが望ましい。
【0059】
第1の実施形態に係るズームレンズZLにおいて、第4レンズ群G4は、1枚の正レンズと1枚の負レンズとの接合レンズからなることが好ましい。この構成により、第4レンズ群G4単体での軸上色収差を良好に補正することができ、ズームレンズZL全系での軸上色収差の補正が容易になる。また、第4レンズ群G4が偏芯したときの性能劣化を小さくすることができる。なお、第5レンズ群G5が、1枚の正レンズと1枚の負レンズとの接合レンズから構成されてもよく、この構成により、第4レンズ群G4の場合と同様の効果を得ることができる。
【0060】
第1の実施形態に係るズームレンズZLにおいて、第3レンズ群G3の物体側近傍に開口絞りSが配設され、次の条件式(6)で表される条件を満足することが好ましい。
【0061】
0.084<ΔZwt/ft<0.090 …(6)
但し、
ΔZwt:広角端状態から望遠端状態への変倍の際における、開口絞りSの物体側への光軸上の移動距離。
【0062】
条件式(6)は、ズームレンズZL全系の望遠端状態における焦点距離に対し、広角端状態から望遠端状態への変倍の際における、開口絞りSの物体側への光軸上の移動距離を規定する条件式である。一般的に、開口絞りSの光軸上の移動距離が大きくなるほど、変倍によるFナンバーの変化量は大きくなる。そこで、条件式(6)を満足することにより、広角端状態から望遠端状態への変倍によるFナンバーの変化量を適切な範囲に設定しつつ、望遠端状態での全系の焦点距離を大きくして大きな変倍比を確保することができる。なお、条件式(6)の上限値を上回る条件である場合、望遠端状態でのFナンバーが必要以上に大きくなるか、広角端状態でのFナンバーが小さくなり球面収差の補正が困難となるため好ましくない。一方、条件式(6)の下限値を下回る条件である場合、広角端状態でのFナンバーを小さくしようとすると望遠端状態でのFナンバーも小さくなり球面収差の補正が困難となるため好ましくない。
【0063】
第1の実施形態の効果をより確実にするために、条件式(6)の上限値を0.088に設定することが望ましい。一方、第1の実施形態の効果をより確実にするために、条件式(6)の下限値を0.086に設定することが望ましい。
【0064】
ここで、第1の実施形態に係るズームレンズZLの製造方法について、
図9を参照しながら説明する。まず、円筒状の鏡筒内に、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5とを組み込む(ステップST10)。そして、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3、第4レンズ群G4、および第5レンズ群G5を光軸に沿って移動させることにより、広角端状態から望遠端状態への変倍(ズーミング)が行われるように、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3、第4レンズ群G4、および第5レンズ群G5を駆動可能に構成する(ステップST20)。
【0065】
レンズの組み込みを行うステップST10において、前述の条件式(1)等を満足するように、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3、第4レンズ群G4、および第5レンズ群G5を配置する。このような製造方法によれば、小型でありながら大きな変倍比を有し、良好な光学性能を備えたズームレンズZLを得ることができる。
【0066】
次に、第2の実施形態について、図を参照しながら説明する。後述の第2の実施形態に係るズームレンズZLを備えたデジタルスチルカメラCAMが
図7および
図8に示されている。このデジタルスチルカメラCAMは、第1の実施形態のものと同一であり、既にその構成説明を行っているので、ここでの説明は省略する。
【0067】
第2の実施形態に係るズームレンズZLは、例えば
図1に示すように、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5とを備えて構成される。広角端状態から望遠端状態への変倍(ズーミング)の際、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔、および第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との間隔がそれぞれ変化するように、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3、第4レンズ群G4、および第5レンズ群G5がそれぞれ光軸に沿って移動する。
【0068】
そして、第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、第1負レンズと、第2負レンズと、正レンズと、第3負レンズとからなり、正レンズと第3負レンズとが接合されるようになっている。この構成により、広角端状態における倍率色収差を良好に補正することができ、また、広角端状態から望遠端状態への変倍の際の色収差の変動を小さくすることができる。これにより、小型でありながら大きな変倍比を有し、良好な光学性能を備えたズームレンズZLを実現することができる。
【0069】
第2の実施形態に係るズームレンズZLにおいて、次の条件式(7)で表される条件を満足することが好ましい。
【0070】
−0.180<(f1×fw)/(f2×ft)<−0.160 …(7)
但し、
fw:ズームレンズZLの広角端状態における焦点距離、
ft:ズームレンズZLの望遠端状態における焦点距離、
f1:第1レンズ群G1の焦点距離、
f2:第2レンズ群G2の焦点距離。
【0071】
条件式(7)は、第2レンズ群G2の焦点距離に対する第1レンズ群G1の焦点距離を規定する条件式である。条件式(7)を満足することにより、高い結像性能を有する小型のズームレンズZLを達成することができる。なお、条件式(7)の上限値を上回る条件である場合、望遠端状態において球面収差がマイナス側に大きく発生するため好ましくない。一方、条件式(7)の下限値を下回る条件である場合、望遠端状態において球面収差がプラス側に大きく発生するため好ましくない。
【0072】
第2の実施形態の効果をより確実にするために、条件式(7)の上限値を−0.167に設定することが望ましい。一方、第2の実施形態の効果をより確実にするために、条件式(7)の下限値を−0.176に設定することが望ましい。
【0073】
第2の実施形態に係るズームレンズZLにおいて、次の条件式(8)で表される条件を満足することが好ましい。
【0074】
−0.180<f4/ft<−0.140 …(8)
但し、
ft:ズームレンズZLの望遠端状態における焦点距離、
f4:第4レンズ群G4の焦点距離。
【0075】
条件式(8)は、ズームレンズZL全系の望遠端状態における焦点距離に対し、第4レンズ群G4の焦点距離を規定する条件式である。条件式(8)を満足することにより、ズームレンズZLの前玉径を縮小することができる。なお、条件式(8)の上限値を上回る条件である場合、広角端状態において球面収差がプラス側に大きく発生するため好ましくない。一方、条件式(8)の下限値を下回る条件である場合、開口絞りSより像側の負レンズの効果が小さくなり、ズームレンズZLの前玉径を十分に縮小することが困難になる。
【0076】
第2の実施形態の効果をより確実にするために、条件式(8)の上限値を−0.150に設定することが望ましい。一方、第2の実施形態の効果をより確実にするために、条件式(8)の下限値を−0.170に設定することが望ましい。
【0077】
第2の実施形態に係るズームレンズZLにおいて、第4レンズ群G4は、1枚の正レンズと1枚の負レンズとの接合レンズからなることが好ましい。この構成により、第4レンズ群G4単体での軸上色収差を良好に補正することができ、ズームレンズZL全系での軸上色収差の補正が容易になる。また、第4レンズ群G4が偏芯したときの性能劣化を小さくすることができる。なお、第5レンズ群G5が、1枚の正レンズと1枚の負レンズとの接合レンズから構成されてもよく、この構成により、第4レンズ群G4の場合と同様の効果を得ることができる。
【0078】
ここで、第2の実施形態に係るズームレンズZLの製造方法について、
図10を参照しながら説明する。まず、円筒状の鏡筒内に、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5とを組み込む(ステップST10)。そして、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3、第4レンズ群G4、および第5レンズ群G5を光軸に沿って移動させることにより、広角端状態から望遠端状態への変倍(ズーミング)が行われるように、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3、第4レンズ群G4、および第5レンズ群G5を駆動可能に構成する(ステップST20)。
【0079】
レンズの組み込みを行うステップST10において、第2レンズ群G2として、光軸に沿って物体側から順に、第1負レンズと、第2負レンズと、正レンズと、第3負レンズとを配置し、正レンズと第3負レンズとを接合するようにする。このような製造方法によれば、小型でありながら大きな変倍比を有し、良好な光学性能を備えたズームレンズZLを得ることができる。
【0080】
次に、第3の実施形態について、図を参照しながら説明する。後述の第3の実施形態に係るズームレンズZLを備えたデジタルスチルカメラCAMが
図7および
図8に示されている。このデジタルスチルカメラCAMは、第1の実施形態のものと同一であり、既にその構成説明を行っているので、ここでの説明は省略する。
【0081】
第3の実施形態に係るズームレンズZLは、例えば
図1に示すように、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5とを備えて構成される。広角端状態から望遠端状態への変倍(ズーミング)の際、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔、および第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との間隔がそれぞれ変化するように、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3、第4レンズ群G4、および第5レンズ群G5がそれぞれ光軸に沿って移動する。そして、ズームレンズZLは、次の条件式(9)〜(10)で表される条件を満足する。
【0082】
−0.90<f2/TL2<−0.60 …(9)
−0.180<f4/ft<−0.140 …(10)
但し、
f2:第2レンズ群G2の焦点距離、
TL2:第2レンズ群G2の光軸上の長さ、
f4:第4レンズ群G4の焦点距離、
ft:ズームレンズZLの望遠端状態における焦点距離。
【0083】
条件式(9)〜(10)を満足することにより、小型でありながら大きな変倍比を有し、良好な光学性能を備えたズームレンズZLを実現することができる。
【0084】
条件式(9)は、第2レンズ群G2の光軸上の長さに対し、第2レンズ群G2の焦点距離を規定する条件式である。条件式(9)を満足することにより、第2レンズ群G2の光軸上の長さを短くすることにより、ズームレンズZLの全長を長くすることなく、第2レンズ群G2の変倍時の移動量を確保することができる。なお、条件式(9)の下限値を下回る条件である場合、第2レンズ群G2の光軸上の長さが長くなり、光学全長が長くなる、または第2レンズ群G2の主点距離が短くなり、望遠端状態において球面収差がプラス側に大きく発生するため好ましくない。一方、条件式(9)の上限値を上回る条件である場合、第2レンズ群G2の焦点距離が長くなり、変倍比を確保するために第2レンズ群G2の移動量が大きくなってしまい、ズームレンズZLの大型化を招く。条件式(9)の上限値を上回る条件で、ズームレンズZLの小型化を図ると、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4の屈折力を大きくし、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4での望遠比を小さくする必要があり、変倍域全域において球面収差がマイナス側に大きく発生するため好ましくない。
【0085】
第3の実施形態の効果をより確実にするために、条件式(9)の上限値を−0.69に設定することが望ましい。また、条件式(9)の上限値を−0.72に設定することがより望ましい。一方、第3の実施形態の効果をより確実にするために、条件式(9)の下限値を−0.81に設定することが望ましい。また、条件式(9)の下限値を−0.77に設定することがより望ましい。
【0086】
条件式(10)は、ズームレンズZL全系の望遠端状態における焦点距離に対し、第4レンズ群G4の焦点距離を規定する条件式である。条件式(10)を満足することにより、ズームレンズZLの前玉径を縮小することができる。なお、条件式(10)の上限値を上回る条件である場合、広角端状態において球面収差がプラス側に大きく発生するため好ましくない。一方、条件式(10)の下限値を下回る条件である場合、開口絞りSより像側の負レンズの効果が小さくなり、ズームレンズZLの前玉径を十分に縮小することが困難になる。
【0087】
第3の実施形態の効果をより確実にするために、条件式(10)の上限値を−0.150に設定することが望ましい。一方、第3の実施形態の効果をより確実にするために、条件式(10)の下限値を−0.170に設定することが望ましい。
【0088】
第3の実施形態に係るズームレンズZLにおいて、次の条件式(11)で表される条件を満足することが好ましい。
【0089】
−0.180<(f1×fw)/(f2×ft)<−0.160 …(11)
但し、
f1:第1レンズ群G1の焦点距離、
fw:ズームレンズZLの広角端状態における焦点距離。
【0090】
条件式(11)は、第2レンズ群G2の焦点距離に対する第1レンズ群G1の焦点距離を規定する条件式である。条件式(3)を満足することにより、高い結像性能を有する小型のズームレンズZLを達成することができる。なお、条件式(11)の上限値を上回る条件である場合、望遠端状態において球面収差がマイナス側に大きく発生するため好ましくない。一方、条件式(11)の下限値を下回る条件である場合、望遠端状態において球面収差がプラス側に大きく発生するため好ましくない。
【0091】
第3の実施形態の効果をより確実にするために、条件式(11)の上限値を−0.167に設定することが望ましい。一方、第3の実施形態の効果をより確実にするために、条件式(11)の下限値を−0.176に設定することが望ましい。
【0092】
第3の実施形態に係るズームレンズZLにおいて、第4レンズ群G4は、1枚の正レンズと1枚の負レンズとの接合レンズからなることが好ましい。この構成により、第4レンズ群G4単体での軸上色収差を良好に補正することができ、ズームレンズZL全系での軸上色収差の補正が容易になる。また、第4レンズ群G4が偏芯したときの性能劣化を小さくすることができる。なお、第5レンズ群G5が、1枚の正レンズと1枚の負レンズとの接合レンズから構成されてもよく、この構成により、第4レンズ群G4の場合と同様の効果を得ることができる。
【0093】
第3の実施形態に係るズームレンズZLにおいて、次の条件式(12)で表される条件を満足することが好ましい。
【0094】
0.20<(n2f×ft)/(ν2f×r2f)<1.00 …(12)
但し、
n2f:第2レンズ群G2における最も像側のレンズのd線に対する屈折率、
ft:ズームレンズZLの望遠端状態における焦点距離、
ν2f:第2レンズ群G2における最も像側のレンズのアッベ数、
r2f:第2レンズ群G2における最も像側のレンズ面の曲率半径。
【0095】
条件式(12)は、第2レンズ群G2における最も像側のレンズのd線に対する屈折率と、第2レンズ群G2における最も像側のレンズ面の曲率半径を規定する条件式である。条件式(12)を満足することにより、良好な光学性能を維持しつつ望遠端状態におけるズームレンズZLの全長を短くすることができる。なお、条件式(12)の上限値を上回る条件である場合、第2レンズ群G2における最も像側のレンズ面の曲率半径が小さくなる。この場合、望遠端状態における第2レンズ群G2と開口絞りSとの間隔を広げる必要があり、望遠端状態におけるズームレンズZLの全長が長くなるため好ましくない。一方、条件式(12)の下限値を下回る条件である場合、広角端状態において像面湾曲がプラス側に大きく発生するため好ましくない。
【0096】
第3の実施形態の効果をより確実にするために、条件式(12)の上限値を0.73に設定することが望ましい。また、条件式(12)の上限値を0.50に設定することがより望ましい。一方、第3の実施形態の効果をより確実にするために、条件式(12)の下限値を0.29に設定することが望ましい。また、条件式(12)の下限値を0.35に設定することがより望ましい。
【0097】
ここで、第3の実施形態に係るズームレンズZLの製造方法について、
図11を参照しながら説明する。まず、円筒状の鏡筒内に、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5とを組み込む(ステップST10)。そして、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3、第4レンズ群G4、および第5レンズ群G5を光軸に沿って移動させることにより、広角端状態から望遠端状態への変倍(ズーミング)が行われるように、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3、第4レンズ群G4、および第5レンズ群G5を駆動可能に構成する(ステップST20)。
【0098】
レンズの組み込みを行うステップST10において、前述の条件式(9)〜(10)等を満足するように、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3、第4レンズ群G4、および第5レンズ群G5を配置する。このような製造方法によれば、小型でありながら大きな変倍比を有し、良好な光学性能を備えたズームレンズZLを得ることができる。
【0099】
(第1実施例)
以下、本願の各実施例を添付図面に基づいて説明する。まず、本願の第1実施例について
図1〜
図2および表1を用いて説明する。
図1(a)は第1実施例に係るズームレンズZL(ZL1)の広角端状態におけるレンズ構成図であり、
図1(b)は中間焦点距離状態におけるレンズ構成図であり、
図1(c)は望遠端状態におけるレンズ構成図である。第1実施例に係るズームレンズZL1は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5とを備えて構成される。そして、広角端状態から望遠端状態への変倍(ズーミング)の際、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が増加し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が減少し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔が変化し、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との間隔が変化するように、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3、第4レンズ群G4、および第5レンズ群G5がそれぞれ光軸に沿って移動するようになっている。
【0100】
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL11と、両凸形状の第1の正レンズL12と、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の第2の正レンズL13と、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の第3の正レンズL14とから構成される。第1レンズ群G1において、負レンズL11と第1の正レンズL12は互いに接合された接合レンズとなっている。
【0101】
第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、像面I側に凹面を向けた第1の負レンズL21と、両凹形状の第2の負レンズL22と、両凸形状の正レンズL23と、両凹形状の第3の負レンズL24とから構成される。第2レンズ群G2において、正レンズL23と第3の負レンズL24は互いに接合された接合レンズとなっている。
【0102】
第3レンズ群G3は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凸形状の第1の正レンズL31と、両凸形状の第2の正レンズL32と、両凹形状の負レンズL33と、両凸形状の第3の正レンズL34とから構成される。第3レンズ群G3において、第2の正レンズL32と負レンズL33は互いに接合された接合レンズとなっている。また、第1の正レンズL31における両側のレンズ面が非球面となっている。
【0103】
第4レンズ群G4は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凸形状の正レンズL41と、両凹形状の負レンズL42とから構成される。第4レンズ群G4において、正レンズL41と負レンズL42は互いに接合された接合レンズとなっている。
【0104】
第5レンズ群G5は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凸形状の正レンズL51と、像面I側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL52とから構成される。第5レンズ群G5において、正レンズL51と負レンズL52は互いに接合された接合レンズとなっている。また、正レンズL51における物体側のレンズ面が非球面となっている。
【0105】
開口絞りSは、第3レンズ群G3の物体側近傍に配設され、広角端状態から望遠端状態への変倍(ズーミング)の際、第3レンズ群G3と同一軌道で移動するようになっている。なお、無限遠物体から至近距離物体(有限距離物体)へのフォーカシングは、第5レンズ群G5を光軸に沿って物体側へ移動させることにより行う。また、第5レンズ群G5と像面Iとの間に配置されたフィルタ群FLは、ローパスフィルタや赤外カットフィルタ等から構成されている。
【0106】
以下に、表1〜表3を示すが、これらは第1〜第3実施例に係るズームレンズの諸元の値をそれぞれ掲げた表である。各表の[全体諸元]には、広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態の各状態におけるズームレンズZLの焦点距離f、FナンバーFNO、半画角ω、像高Yの値をそれぞれ示す。また、[レンズ諸元]において、第1カラム(面番号)は物体側から数えた際のレンズ面の番号を、第2カラムRはレンズ面の曲率半径を、第3カラムDはレンズ面の光軸上の間隔を、第4カラムνdはd線(波長λ=587.6nm)に対するアッベ数を、第5カラムndはd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率をそれぞれ示している。なお、第1カラム(面番号)の右に付した*は、そのレンズ面が非球面であることを示す。また、曲率半径「0.0000」は平面を示し、空気の屈折率nd=1.000000はその記載を省略している。
【0107】
[非球面データ]において示す非球面係数は、光軸に垂直な方向の高さをyとし、高さyにおける各非球面の頂点の接平面から各非球面までの光軸に沿った距離(サグ量)をX(y)とし、近軸曲率半径(基準球面の曲率半径)をRとし、円錐定数をκとし、n次(n=4,6,8,10)の非球面係数をAnとしたとき、次式(A)で表される。なお、各実施例において、2次の非球面係数A2は0であり、記載を省略している。また、[非球面データ]において、「E-n」は「×10
-n」を示す。
【0108】
X(y)=(y
2/R)/{1+(1−κ×y
2/R
2)
1/2}
+A4×y
4+A6×y
6+A8×y
8+A10×y
10 …(A)
【0109】
[可変間隔データ]には、広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態の各状態(無限遠合焦時)におけるズームレンズZLの焦点距離f、可変間隔、バックフォーカスBF、全長TL(ズームレンズZLの最初の光学面から最終の光学面(像面I)までの長さ)の値をそれぞれ示す。[レンズ群焦点距離]には、各レンズ群の焦点距離の値をそれぞれ示す。[条件式対応値]には、各条件式の対応値を示す。
【0110】
なお、以下の全ての諸元値において掲載されている焦点距離f、曲率半径R、その他の長さの単位は一般に「mm」が使われるが、光学系は、比例拡大または比例縮小しても同等の光学性能が得られるので、これに限られるものではない。また、後述の第2〜第3実施例の諸元値においても、本実施例と同様の符号を用いる。
【0111】
下の表1に、第1実施例における各諸元を示す。なお、表1における第1面〜第28面の曲率半径Rは、
図1(a)における第1面〜第28面に付した符号R1〜R28に対応している。また、第29面〜第32面は平面であり、
図1(a)において対応する面の図示を省略する。また、表1における群番号G1〜G5は、
図1における各レンズ群G1〜G5に対応している。また、第1実施例において、第16面、第17面、および第26面の各レンズ面は非球面形状に形成されている。
【0112】
(表1)
[全体諸元]
ズーム比=56.905
広角端状態 中間焦点距離状態 望遠端状態
f 4.40 33.00 250.30
FNO 3.29 5.24 6.80
ω 43.91° 6.98° 0.91°
Y 3.43 4.05 4.05
[レンズ諸元]
面番号 R D νd nd
1 232.0166 1.8000 39.61 1.804400
2 64.8025 5.6500 95.00 1.437000
3 -368.2363 0.2000
4 72.6782 4.0500 82.57 1.497820
5 795.4829 0.2000
6 57.5710 4.1000 82.57 1.497820
7 320.3057 D7
8 949.5174 1.0000 40.66 1.883000
9 8.6239 4.5000
10 -26.4521 0.9000 40.66 1.883000
11 286.6814 0.2000
12 17.3116 3.0000 20.88 1.922860
13 -35.6212 0.9000 35.25 1.910820
14 33.3143 D14
15 0.0000 0.7500 (開口絞り)
16* 7.9259 2.5000 71.67 1.553320
17* -57.9778 0.2000
18 15.5668 2.1000 67.90 1.593190
19 -158.2026 0.8000 40.66 1.883000
20 7.1185 0.6500
21 12.8425 1.9000 70.31 1.487490
22 -33.1659 D22
23 38.7655 1.2000 28.69 1.795040
24 -77.0801 0.6000 42.09 1.799520
25 16.5271 d25
26* 16.0820 3.0500 58.28 1.622630
27 -14.0205 0.8000 37.18 1.834000
28 -106.3282 D28
29 0.0000 0.2100 63.88 1.516800
30 0.0000 1.3480
31 0.0000 0.5000 63.88 1.516800
32 0.0000 BF
[非球面データ]
第16面
κ=-0.3575,A4=1.79600E-04,A6=4.41968E-07,A8=0.00000E+00,A10=0.00000E+00
第17面
κ=1.0000,A4=4.43002E-05,A6=-4.79298E-08,A8=0.00000E+00,A10=0.00000E+00
第26面
κ=1.0000,A4=2.13923E-05,A6=1.24506E-07,A8=0.00000E+00,A10=0.00000E+00
[可変間隔データ]
広角端状態 中間焦点距離状態 望遠端状態
(無限遠) (無限遠) (無限遠)
f 4.40 33.00 250.30
D7 0.78796 39.29867 63.11146
D14 43.22595 12.48438 2.08709
D22 0.58671 8.53209 7.30074
D25 7.16472 7.43038 26.40747
D28 6.13849 14.70884 2.42338
BF 0.53000 0.53000 0.53000
TL 101.54184 126.09236 144.96814
[レンズ群焦点距離]
群番号 群初面 群焦点距離(f1〜f5)
G1 1 81.00000
G2 8 -8.50000
G3 16 16.68966
G4 23 -37.13123
G5 26 31.32288
[条件式対応値]
条件式(1) f1/ft=0.32
条件式(2)、(7)、(11) (f1×fw)/(f2×ft)=-0.167
条件式(3) nN1−nP1=0.367
条件式(4) νP1=95.00
条件式(5)、(8)、(10) f4/ft=-0.148
条件式(6) ΔZwt/ft=0.089
条件式(9) f2/TL2=-0.810
条件式(12) (n2f×ft)/(ν2f×r2f)=0.407
【0113】
このように本実施例では、上記条件式(1)〜(12)が全て満たされていることが分かる。
【0114】
図2(a)〜(c)は、第1実施例に係るズームレンズZL1の諸収差図である。ここで、
図2(a)は広角端状態(f=4.40mm)における無限遠合焦時の諸収差図であり、
図2(b)は中間焦点距離状態(f=33.00mm)における無限遠合焦時の諸収差図であり、
図2(c)は望遠端状態(f=250.30mm)における無限遠合焦時の諸収差図である。各収差図において、FNOはFナンバーを、Yは像高をそれぞれ示す。また、各収差図において、dはd線(λ=587.6nm)、gはg線(λ=435.8nm)における収差をそれぞれ示す。また、非点収差を示す収差図において、実線はサジタル像面を示し、破線はメリディオナル像面を示している。以上、収差図の説明は他の実施例においても同様である。
【0115】
そして、各収差図より、第1実施例では、広角端状態から望遠端状態までの各焦点距離状態において諸収差が良好に補正され、優れた光学性能を有していることがわかる。その結果、第1実施例のズームレンズZL1を搭載することにより、デジタルスチルカメラCAMにおいても、優れた光学性能を確保することができる。
【0116】
(第2実施例)
以下、本願の第2実施例について
図3〜
図4および表2を用いて説明する。
図3(a)は第2実施例に係るズームレンズZL(ZL2)の広角端状態におけるレンズ構成図であり、
図3(b)は中間焦点距離状態におけるレンズ構成図であり、
図3(c)は望遠端状態におけるレンズ構成図である。第2実施例に係るズームレンズZL2は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5とを備えて構成される。そして、広角端状態から望遠端状態への変倍(ズーミング)の際、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が増加し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が減少し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔が変化し、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との間隔が変化するように、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3、第4レンズ群G4、および第5レンズ群G5がそれぞれ光軸に沿って移動するようになっている。
【0117】
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL11と、両凸形状の第1の正レンズL12と、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の第2の正レンズL13と、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の第3の正レンズL14とから構成される。第1レンズ群G1において、負レンズL11と第1の正レンズL12は互いに接合された接合レンズとなっている。
【0118】
第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、像面I側に凹面を向けた第1の負レンズL21と、両凹形状の第2の負レンズL22と、両凸形状の正レンズL23と、両凹形状の第3の負レンズL24とから構成される。第2レンズ群G2において、正レンズL23と第3の負レンズL24は互いに接合された接合レンズとなっている。
【0119】
第3レンズ群G3は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凸形状の第1の正レンズL31と、物体側に凸面を向けた第2の正レンズL32と、像面I側に凹面を向けた負レンズL33と、両凸形状の第3の正レンズL34とから構成される。第3レンズ群G3において、第2の正レンズL32と負レンズL33は互いに接合された接合レンズとなっている。また、第1の正レンズL31における両側のレンズ面が非球面となっている。
【0120】
第4レンズ群G4は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凸形状の正レンズL41と、両凹形状の負レンズL42とから構成される。第4レンズ群G4において、正レンズL41と負レンズL42は互いに接合された接合レンズとなっている。
【0121】
第5レンズ群G5は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凸形状の正レンズL51と、像面I側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL52とから構成される。第5レンズ群G5において、正レンズL51と負レンズL52は互いに接合された接合レンズとなっている。また、正レンズL51における物体側のレンズ面が非球面となっている。
【0122】
開口絞りSは、第3レンズ群G3の物体側近傍に配設され、広角端状態から望遠端状態への変倍(ズーミング)の際、第3レンズ群G3と同一軌道で移動するようになっている。なお、無限遠物体から至近距離物体(有限距離物体)へのフォーカシングは、第5レンズ群G5を光軸に沿って物体側へ移動させることにより行う。また、第5レンズ群G5と像面Iとの間に配置されたフィルタ群FLは、ローパスフィルタや赤外カットフィルタ等から構成されている。
【0123】
下の表2に、第2実施例における各諸元を示す。なお、表2における第1面〜第28面の曲率半径Rは、
図3(a)における第1面〜第28面に付した符号R1〜R28に対応している。また、第29面〜第32面は平面であり、
図3(a)において対応する面の図示を省略する。また、表2における群番号G1〜G5は、
図3における各レンズ群G1〜G5に対応している。また、第2実施例において、第16面、第17面、および第26面の各レンズ面は非球面形状に形成されている。
【0124】
(表2)
[全体諸元]
ズーム比=56.96
広角端状態 中間焦点距離状態 望遠端状態
f 4.40 33.20 250.61
FNO 3.41 5.34 6.69
ω 43.90° 6.94° 0.91°
Y 3.43 4.05 4.05
[レンズ諸元]
面番号 R D νd nd
1 283.8635 1.8000 39.61 1.804400
2 66.0031 5.6500 95.00 1.437000
3 -244.4056 0.2000
4 70.1583 4.0500 82.57 1.497820
5 640.8571 0.2000
6 56.2115 4.1000 82.57 1.497820
7 286.2808 D7
8 -1400.8161 1.0000 47.35 1.788000
9 7.9433 4.5000
10 -23.9387 0.9000 42.73 1.834810
11 54.6102 0.2000
12 17.2566 3.0000 20.88 1.922860
13 -46.1324 0.9000 35.25 1.910820
14 46.1324 D14
15 0.0000 0.7500 (開口絞り)
16* 9.5535 2.5000 71.67 1.553320
17* -72.3929 0.2000
18 10.5738 2.1000 82.57 1.497820
19 -811.9421 0.8000 40.66 1.883000
20 8.1310 0.6500
21 21.2521 1.9000 70.31 1.487490
22 -21.2521 D22
23 40.5152 1.2000 25.45 1.805180
24 -90.5269 0.6000 40.97 1.806100
25 16.4742 D25
26* 16.1274 3.0500 58.28 1.622630
27 -12.9457 0.8000 37.18 1.834000
28 -90.6714 D28
29 0.0000 0.2100 63.88 1.516800
30 0.0000 1.2180
31 0.0000 0.5000 63.88 1.516800
32 0.0000 BF
[非球面データ]
第16面
κ=0.5602,A4=-1.97251E-05,A6=4.63015E-07,A8=0.00000E+00,A10=0.00000E+00
第17面
κ=1.0000,A4=5.07627E-05,A6=2.26946E-07,A8=0.00000E+00,A10=0.00000E+00
第26面
κ=1.0000,A4=2.10907E-05,A6=1.90396E-07,A8=0.00000E+00,A10=0.00000E+00
[可変間隔データ]
広角端状態 中間焦点距離状態 望遠端状態
(無限遠) (無限遠) (無限遠)
f 4.40 33.20 250.61
D7 0.78856 38.98294 62.22136
D14 42.46359 11.70181 2.04839
D22 1.08941 9.00658 8.04140
D25 9.07755 7.64986 26.11914
D28 5.45698 15.81339 3.54723
BF 0.53000 0.53000 0.53000
TL 102.38408 126.66256 145.48551
[レンズ群焦点距離]
群番号 群初面 群焦点距離(f1〜f5)
G1 1 79.47658
G2 8 -8.04863
G3 16 16.53205
G4 23 -35.58931
G5 26 31.34725
[条件式対応値]
条件式(1) f1/ft=0.32
条件式(2)、(7)、(11) (f1×fw)/(f2×ft)=-0.173
条件式(3) nN1−nP1=0.367
条件式(4) νP1=95.00
条件式(5)、(8)、(10) f4/ft=-0.142
条件式(6) ΔZwt/ft=0.088
条件式(9) f2/TL2=-0.767
条件式(12) (n2f×ft)/(ν2f×r2f)=0.294
【0125】
このように本実施例では、上記条件式(1)〜(12)が全て満たされていることが分かる。
【0126】
図4(a)〜(c)は、第2実施例に係るズームレンズZL2の諸収差図である。ここで、
図4(a)は広角端状態(f=4.40mm)における無限遠合焦時の諸収差図であり、
図4(b)は中間焦点距離状態(f=33.20mm)における無限遠合焦時の諸収差図であり、
図4(c)は望遠端状態(f=250.61mm)における無限遠合焦時の諸収差図である。そして、各収差図より、第2実施例では、広角端状態から望遠端状態までの各焦点距離状態において諸収差が良好に補正され、優れた光学性能を有していることがわかる。その結果、第2実施例のズームレンズZL2を搭載することにより、デジタルスチルカメラCAMにおいても、優れた光学性能を確保することができる。
【0127】
(第3実施例)
以下、本願の第3実施例について
図5〜
図6および表3を用いて説明する。
図5(a)は第3実施例に係るズームレンズZL(ZL3)の広角端状態におけるレンズ構成図であり、
図5(b)は中間焦点距離状態におけるレンズ構成図であり、
図5(c)は望遠端状態におけるレンズ構成図である。第3実施例に係るズームレンズZL3は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5とを備えて構成される。そして、広角端状態から望遠端状態への変倍(ズーミング)の際、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔が増加し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が減少し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔が変化し、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との間隔が変化するように、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3、第4レンズ群G4、および第5レンズ群G5がそれぞれ光軸に沿って移動するようになっている。
【0128】
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL11と、両凸形状の第1の正レンズL12と、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の第2の正レンズL13と、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の第3の正レンズL14とから構成される。第1レンズ群G1において、負レンズL11と第1の正レンズL12は互いに接合された接合レンズとなっている。
【0129】
第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、像面I側に凹面を向けた第1の負レンズL21と、像面I側に凸面を向けたメニスカス形状の第2の負レンズL22と、両凸形状の正レンズL23と、両凹形状の第3の負レンズL24とから構成される。第2レンズ群G2において、正レンズL23と第3の負レンズL24は互いに接合された接合レンズとなっている。
【0130】
第3レンズ群G3は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凸形状の第1の正レンズL31と、両凸形状の第2の正レンズL32と、両凹形状の負レンズL33と、両凸形状の第3の正レンズL34とから構成される。第3レンズ群G3において、第2の正レンズL32と負レンズL33は互いに接合された接合レンズとなっている。また、第1の正レンズL31における両側のレンズ面が非球面となっている。
【0131】
第4レンズ群G4は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の正レンズL41と、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL42とから構成される。第4レンズ群G4において、正レンズL41と負レンズL42は互いに接合された接合レンズとなっている。
【0132】
第5レンズ群G5は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凸形状の正レンズL51と、像面I側に凸面を向けたメニスカス形状の負レンズL52とから構成される。第5レンズ群G5において、正レンズL51と負レンズL52は互いに接合された接合レンズとなっている。また、正レンズL51における物体側のレンズ面が非球面となっている。
【0133】
開口絞りSは、第3レンズ群G3の物体側近傍に配設され、広角端状態から望遠端状態への変倍(ズーミング)の際、第3レンズ群G3と同一軌道で移動するようになっている。なお、無限遠物体から至近距離物体(有限距離物体)へのフォーカシングは、第5レンズ群G5を光軸に沿って物体側へ移動させることにより行う。また、第5レンズ群G5と像面Iとの間に配置されたフィルタ群FLは、ローパスフィルタや赤外カットフィルタ等から構成されている。
【0134】
下の表3に、第3実施例における各諸元を示す。なお、表3における第1面〜第28面の曲率半径Rは、
図5(a)における第1面〜第28面に付した符号R1〜R28に対応している。また、第29面〜第32面は平面であり、
図5(a)において対応する面の図示を省略する。また、表3における群番号G1〜G5は、
図5における各レンズ群G1〜G5に対応している。また、第3実施例において、第16面、第17面、および第26面の各レンズ面は非球面形状に形成されている。
【0135】
(表3)
[全体諸元]
ズーム比=56.835
広角端状態 中間焦点距離状態 望遠端状態
f 4.40 33.00 250.00
FNO 3.41 4.49 6.48
ω 43.91° 6.98° 0.91°
Y 3.43 4.05 4.05
[レンズ諸元]
面番号 R D νd nd
1 205.6164 1.8000 40.66 1.883000
2 61.6090 5.6500 95.00 1.437000
3 -324.2007 0.2000
4 70.4934 4.0500 82.57 1.497820
5 867.8172 0.2000
6 52.0955 4.1000 82.57 1.497820
7 362.4668 D7
8 -1680.9225 1.0000 40.66 1.883000
9 8.3884 4.5000
10 -22.8207 0.9000 46.59 1.816000
11 -209.0345 0.2000
12 14.1862 3.0000 20.88 1.922860
13 -81.1634 0.9000 35.25 1.910820
14 18.6274 D14
15 0.0000 0.7500 (開口絞り)
16* 10.1147 2.5000 71.67 1.553320
17* -50.0000 0.2000
18 108.8627 2.1000 63.34 1.618000
19 -13.3036 0.8000 46.59 1.816000
20 11.7659 0.8000
21 16.6753 1.9000 63.88 1.516800
22 -14.6420 D22
23 28.0885 1.2000 28.69 1.795040
24 44.8967 0.6000 42.09 1.799520
25 15.4924 D25
26* 18.5168 3.0500 65.44 1.603000
27 -11.3088 0.8000 37.18 1.834000
28 -34.8472 D28
29 0.0000 0.2100 63.88 1.516800
30 0.0000 1.3480
31 0.0000 0.5000 63.88 1.516800
32 0.0000 BF
[非球面データ]
第16面
κ=0.5886,A4=-8.28313E-06,A6=4.41968E-07,A8=0.00000E+00,A10=0.00000E+00
第17面
κ=1.0000,A4=7.83065E-05,A6=-4.79298E-08,A8=0.00000E+00,A10=0.00000E+00
第26面
κ=1.0000,A4=2.13923E-05,A6=1.24506E-07,A8=0.00000E+00,A10=0.00000E+00
[可変間隔データ]
広角端状態 中間焦点距離状態 望遠端状態
(無限遠) (無限遠) (無限遠)
f 4.40 33.00 250.00
D7 0.78753 39.66023 60.10680
D14 40.75983 9.95274 2.08714
D22 2.04196 10.00538 9.28399
D25 12.03913 7.11125 28.13863
D28 7.11966 20.94668 5.17139
BF 0.53000 0.53000 0.53000
TL 106.53610 131.46428 148.57595
[レンズ群焦点距離]
群番号 群初面 群焦点距離(f1〜f5)
G1 1 76.00000
G2 8 -7.60000
G3 16 18.50000
G4 23 -46.00000
G5 26 28.00000
[条件式対応値]
条件式(1) f1/ft=0.30
条件式(2)、(7)、(11) (f1×fw)/(f2×ft)=-0.176
条件式(3) nN1−nP1=0.446
条件式(4) νP1=95.00
条件式(5)、(8)、(10) f4/ft=-0.184
条件式(6) ΔZwt/ft=0.086
条件式(9) f2/TL2=-0.724
条件式(12) (n2f×ft)/(ν2f×r2f)=0.728
【0136】
このように本実施例では、上記条件式(1)〜(12)が全て満たされていることが分かる。
【0137】
図6(a)〜(c)は、第3実施例に係るズームレンズZL3の諸収差図である。ここで、
図6(a)は広角端状態(f=4.40mm)における無限遠合焦時の諸収差図であり、
図6(b)は中間焦点距離状態(f=33.00mm)における無限遠合焦時の諸収差図であり、
図6(c)は望遠端状態(f=250.00mm)における無限遠合焦時の諸収差図である。そして、各収差図より、第3実施例では、広角端状態から望遠端状態までの各焦点距離状態において諸収差が良好に補正され、優れた光学性能を有していることがわかる。その結果、第3実施例のズームレンズZL3を搭載することにより、デジタルスチルカメラCAMにおいても、優れた光学性能を確保することができる。
【0138】
以上、各実施例によれば、小型でありながら大きな変倍比を有し、良好な光学性能を備えたズームレンズおよび光学機器(デジタルスチルカメラ)を実現することができる。
【0139】
なお、上述の実施形態において、以下に記載の内容は、光学性能を損なわない範囲で適宜採用可能である。
【0140】
上述の各実施例において、ズームレンズとして5群構成を示したが、6群等の他の群構成にも適用可能である。また、最も物体側にレンズまたはレンズ群を追加した構成や、最も像側にレンズまたはレンズ群を追加した構成でも構わない。また、レンズ群とは、変倍時に変化する空気間隔で分離された、少なくとも1枚のレンズを有する部分を示す。
【0141】
また、単独または複数のレンズ群、または部分レンズ群を光軸方向に移動させて、無限遠物体から近距離物体への合焦を行う合焦レンズ群としてもよい。この合焦レンズ群は、オートフォーカスにも適用することができ、オートフォーカス用の(超音波モーター等を用いた)モーター駆動にも適している。特に、第5レンズ群を合焦レンズ群とするのが好ましい。
【0142】
また、レンズ群または部分レンズ群を光軸に垂直な方向の成分を持つように移動させ、または、光軸を含む面内方向に回転移動(揺動)させて、手ブレによって生じる像ブレを補正する防振レンズ群としてもよい。特に、第3レンズ群を防振レンズ群とするのが好ましい。
【0143】
また、レンズ面は、球面または平面で形成されても、非球面で形成されても構わない。レンズ面が球面または平面の場合、レンズ加工および組立調整が容易になり、加工および組立調整の誤差による光学性能の劣化を防げるので好ましい。また、像面がずれた場合でも描写性能の劣化が少ないので好ましい。レンズ面が非球面の場合、非球面は、研削加工による非球面、ガラスを型で非球面形状に形成したガラスモールド非球面、ガラスの表面に樹脂を非球面形状に形成した複合型非球面のいずれの非球面でも構わない。また、レンズ面は回折面としてもよく、レンズを屈折率分布型レンズ(GRINレンズ)あるいはプラスチックレンズとしてもよい。
【0144】
また、開口絞りは第3レンズ群に配置されるのが好ましいが、開口絞りとしての部材を設けずに、レンズの枠でその役割を代用してもよい。また、上述の各実施例において、開口絞りは、広角端状態から望遠端状態への変倍(ズーミング)の際、第3レンズ群と同一軌道で移動するようになっているが、第3レンズ群と別軌道で移動するようにしてもよい。
【0145】
また、各レンズ面には、フレアやゴーストを軽減し高コントラストの高い光学性能を達成するために、広い波長域で高い透過率を有する反射防止膜を施してもよい。
【0146】
また、本実施形態のズームレンズは、変倍比が50〜70程度である。
【0147】
また、本実施形態のズームレンズをデジタルスチルカメラに使用しているが、これに限られるものではなく、デジタルビデオカメラ等の光学機器にも使用することができる。
【符号の説明】
【0148】
CAM デジタルスチルカメラ(光学機器)
ZL ズームレンズ
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
G4 第4レンズ群
G5 第5レンズ群
S 開口絞り
I 像面