(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記摺接領域の筒本体の長さ方向における長さが、隣接する他の筒本体の端部の外周面と摺接する、端部の内周面を有する筒本体の内周面の最外部の内径の60%以上である請求項1〜3のいずれか一項に記載の集水ヘッダー。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した集水ヘッダーでは、長尺の部材に対して接続する膜モジュールの数に併せて、同数の孔を設ける必要がある。そのため、接続する膜モジュールの数が増えることで、より長い部材に多くの孔を設ける必要がある。その結果、集水ヘッダーを製造するための加工工程が多くなり、組み立てが煩雑になってしまう。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、組み立てが容易な集水ヘッダー及び膜モジュールユニット、並びにこれらを用いた水処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下の態様を有する。
[1]複数本の膜モジュールから濾液を集め取り出すための集水ヘッダーであって、
少なくとも一方の端部が開口した筒状をなし、前記端部同士が互いに水密に順次連結される筒本体を有する複数の筒部を備え、
前記複数の筒部のうちの少なくとも一つの筒部が、前記膜モジュールと接続されて前記膜モジュールから前記濾液が流入する接続部を有し、
前記複数の筒部のうちの少なくとも一つの筒部が、前記筒本体の内部の前記濾液を外部に排出可能な取水部を有する集水ヘッダー。
[2]前記筒本体の端部の摺接領域の外周面と、隣接する他の筒本体の端部の摺接領域の内周面とが摺接されて、筒本体と隣接する他の筒本体とが連結されている[1]に記載の集水ヘッダー。
[3]隣接する他の筒本体の端部の内周面と摺接する、端部の外周面を有する筒本体の摺接領域に、少なくとも一つの貫通孔が形成されており、
前記貫通孔が、前記隣接する他の筒本体の接続部と連通している[2]に記載の集水ヘッダー。
[4]隣接する他の筒本体の端部の外周面と摺接する、端部の内周面を有する筒本体の内周面に、位置決め機構を備える[2]又は[3]に記載の集水ヘッダー。
[5]前記位置決め機構が前記内周面から内方に突出した凸部である[4]に記載の集水ヘッダー。
[6]前記摺接領域の筒本体の長さ方向における長さが、隣接する他の筒本体の端部の外周面と摺接する、端部の内周面を有する筒本体の内周面の最外部の内径の60%以上である[2]〜[5]のいずれか一項に記載の集水ヘッダー。
[7]前記接続部は、筒状をなして前記筒本体の外周面から延びる接続部本体を有する[1]〜[6]のいずれか一項に記載の集水ヘッダー。
[8]前記接続部本体は、前記接続部本体の前記筒本体と接続されている側と反対側の先端部の外周面に、螺旋状の凹凸が形成されたネジ構造を有する[7]に記載の集水ヘッダー。
[9]前記接続部本体は、前記接続部本体の前記筒本体と接続されている側に、前記接続部本体の外周面と前記筒本体の外周面とを繋ぐ補強部を有する[7]又は[8]に記載の集水ヘッダー。
[10]前記摺接領域に位置する前記接続部本体の補強部が、前記筒本体の外周に沿って、前記外周の周方向全体にわたって配置されている[9]に記載の集水ヘッダー。
[11]樹脂材料で成形された樹脂成形部材である、[1]〜[10]のいずれか一項に記載の集水ヘッダー。
[12][1]〜[11]のいずれか一項に記載の集水ヘッダーと、
前記接続部に接続される膜モジュールと、
前記集水ヘッダー及び前記膜モジュールが取り付けられたフレーム部とを備える膜モジュールユニット。
[13][12]に記載の膜モジュールユニットを用いることを特徴とする水処理方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、組み立てが容易な集水ヘッダーを提供することができる。
また、本発明によれば、組み立てが容易な集水ヘッダーを用いた膜モジュールユニット、及びこれを用いた水処理方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<集水ヘッダーおよび膜モジュールユニット>
[第一実施形態]
以下、本発明の第一実施形態の膜モジュールユニット1について図面を参照して詳細に説明する。
膜モジュールユニット1は、被処理水が貯留されている槽内に浸漬されることで、被処理水を濾過して汚泥と濾液である処理水とを固液分離させる。本実施形態の膜モジュールユニット1は、
図1に示すように、フレーム部2と、散気管3と、膜モジュール4と、集水ヘッダー5と、合流管10とを備えている。
【0012】
フレーム部2は、膜モジュールユニット1の各構成を設置可能とされている。フレーム部2は、散気管3、膜モジュール4、及び集水ヘッダー5が取り付けられている。本実施形態のフレーム部2は、チャンネル材からなる複数(本実施形態では4本)の縦フレーム2Tを備えている。各縦フレーム2Tの上部及び下部は互いに離間した状態で横フレーム2Yによって接続されている。これにより、フレーム部2では、枠状の骨格が形成されている。フレーム部2は、縦フレーム2T及び横フレーム2Yで囲まれた面が、板材2Pによって覆われている。なお、
図1においては、一部の板材2Pの図示が省略されている。
【0013】
散気管3は、膜モジュール4よりも下部でフレーム部2に固定されている。散気管3は、縦フレーム2Tに囲まれた範囲内で下部に配置された横フレーム2Yに固定されている。散気管3は、酸素を排出するための複数の散気穴(不図示)が形成されている。散気管3は、図示しないブロワーによって酸素が供給されている。
【0014】
膜モジュール4は、複数の中空糸膜をシート状とした中空糸膜シート状物41と、中空糸膜シート状物41の両側の端部を支持するハウジング42とを有している。膜モジュール4は、フレーム部2の内部に複数配置されている。膜モジュール4は、フレーム部2の内部で中空糸膜シート状物41の長手方向が縦フレーム2Tの延在する方向と平行になるように配置されている。複数の膜モジュール4は、中空糸膜シート状物41が構成する面が互いに対面するように配置されている。膜モジュール4は、両端のハウジング42を介してフレーム部2に固定されている。膜モジュール4は、フレーム部2に固定された状態で、上部に配置されるハウジング42に中空糸膜の内部の濾水を外部に取り出すための取水口43が設けられている。
【0015】
なお、本実施形態における上部とは、縦フレーム2Tの延びている上下方向(鉛直方向)の上方側の部分である。また、下部とは、縦フレーム2Tの延びている上下方向(鉛直方向)の下側の部分である。
【0016】
集水ヘッダー5は、複数本の膜モジュール4から濾液を集めて膜モジュールユニット1の外部に取り出すために用いられる。集水ヘッダー5は、フレーム部2の上部に配置されている。集水ヘッダー5は、上部の横フレーム2Yに固定されている。集水ヘッダー5は、後述する合流管10を介して膜モジュール4と接続されている。集水ヘッダー5は、複数の筒部6を有する。本実施形態の集水ヘッダー5は、
図2及び
図3に示すように、複数の筒部6が互いに連結することによって構成されている。
【0017】
筒部6は、少なくとも一方の端部が開口した筒状をなす筒本体61を有する。複数の筒部6は、端部同士が互いに水密に順次連結される。複数の筒部6は、中心軸線Oが同軸上に配置された状態で互いに連結される。複数の筒部6のうちの少なくとも一つの筒部6が、接続部62を有する。複数の筒部6のうちの少なくとも一つの筒部6が、取水部63を有する。
【0018】
具体的には、第一実施形態の集水ヘッダー5は、筒部6として、一つの第一端筒部7と、複数の中間筒部8と、一つの第二端筒部9とを有する。
【0019】
第一端筒部7は、集水ヘッダー5の一方の端部である集水ヘッダー5の第一端部5a側を構成している。第一端筒部7は、集水ヘッダー5の第一端部5aを閉塞している。本実施形態の第一端筒部7は、樹脂材料で成型されることで形成されている。第一端筒部7は、例えば、PVCで形成された管材である。第一端筒部7は、
図4及び
図5に示すように、第一端筒本体71(筒本体61)と、複数の第一端接続部72(接続部62)とを有する。第一端筒部7には、取水部63が設けられていない。
【0020】
第一端筒本体71は、第一中心軸線O7を中心とする筒状をなしている。第一端筒本体71は、第一端筒本体71における一方の端部である第一端部7aが閉塞され、他方の端部である第二端部7bが開口した有底円筒状をなしている。第一端筒本体71は、外径が一定の大きさで形成されている。第一端筒本体71は、第二端部7bの外周面が、隣接する他の筒本体61である中間筒本体81の第一端部8a側の内周面と摺接した状態で連結されている。開口している第二端部7bの端面には、半円形状をなして第一端部7a側に向かって窪む第一凹部711が形成されている。第一端筒本体71は、外周面に第一貫通孔712が形成されている。第一貫通孔712は、第一凹部711よりも第一端部7a側に形成されている。つまり、第一貫通孔712は、第一中心軸線O7の延びる方向に第一凹部711と間隔を空けて並んで形成されている。
【0021】
第一端接続部72は、合流管10を介して膜モジュール4のハウジング42と接続されて、膜モジュール4からの濾液を第一端筒本体71に流入させる。複数の第一端接続部72は、第一貫通孔712よりも第一端部7a側に形成されている。第一端接続部72は、第一中心軸線O7の延びる方向に一列に並んで複数配置されている。本実施形態の第一端接続部72は、第一凹部711と第一貫通孔712との間隔と同じだけ互いに離れて三つ設けられている。第一端接続部72は、第一端筒本体71と一体に形成されている。第一端接続部72は、第一端接続部本体721(接続部本体)と、第一端補強部722(補強部)とを有する。
【0022】
第一端接続部本体721は、筒状をなして第一端筒本体71の外周面から延びている。
第一端接続部本体721は、第一端筒本体71を内外にわたって連通している。本実施形態の第一端接続部本体721は、第一端筒本体71の外周面から第一中心軸線O7に対して垂直に延在している。第一端接続部本体721は、円筒状をなしている。第一端接続部本体721は、第一端筒本体71と接続されている側と反対側である第一端接続部本体721の先端部の外周面に、螺旋状の凹凸が形成されたネジ構造Mを有する。具体的には、ネジ構造Mとして、先端部から一定の領域の外周面に螺旋状の溝が第一端接続部本体721に形成されている。なお、第一接続部本体721は、凹部の構造であって中空管の側面から内方に突出したスリーブ部を有して形成されていてもよいが、本実施形態のように、中空管の側面から外方に突出した凸部構造である第一接続部本体721を有していることが好ましい。
【0023】
第一端補強部722は、第一端接続部本体721の第一端筒本体71と接続されている側で、第一端接続部本体721の外周面と第一端筒本体71の外周面とを繋いでいる。本実施形態の第一端補強部722は、三角リブである。第一端補強部722は、第一端接続部本体721を挟んで対称に一対配置されている。
【0024】
中間筒部8は、集水ヘッダー5の中央部分を構成している。本実施形態の中間筒部8は、第一端筒部7と同様に、樹脂材料で成型されることで形成されている。中間筒部8は、例えば、PVCで形成された管材である。本実施形態では、三つの中間筒部8を有している。中間筒部8は、
図6及び
図7に示すように、中間筒本体81(筒本体61)と、複数の中間接続部82(接続部62)とを有する。
【0025】
中間筒本体81は、中間中心軸線O8を中心とする筒状をなしている。中間筒本体81は、両側の端部が開口した円筒状をなしている。中間筒本体81は、中間筒本体81における一方の端部である第一端部8a側に、他方の端部である第二端部8b側よりも外径の大きな中間拡径領域813を有している。中間拡径領域813は、中間筒本体81の第一端部8aから所定の領域にわたって形成されている。中間拡径領域813では、内径が中間筒本体81の第二端部8bの内径よりも大きく形成されている。中間拡径領域813では、第二端部8b側から第一端部8a側に向かうにしたがって中間中心軸線O8に近づくように内周面が傾斜している。内周面が傾斜してテーパ状をなしているために、中間筒本体81では、第一端部8aの内径が第二端部8bの外径よりもわずかに小さく形成されている。中間筒本体81の中間拡径領域813の内周面が、隣接する他の中間筒本体81の第二端部8bの外周面や、第一端筒本体71の第一端部7aの外周面と摺接した状態で接着されることで、中間筒部8同士の間や中間筒部8と第一端筒部7との間が水密に連結される。
【0026】
中間筒本体81の外径の小さい側である第二端部8bの端面には、半円形状をなして第一端部8a側に向かって窪む中間凹部811が形成されている。中間筒本体81は、外周面に中間貫通孔812が形成されている。中間貫通孔812は、中間凹部811よりも第一端部8a側に形成されている。つまり、中間貫通孔812は、第一凹部711と第一貫通孔712との間隔と同じだけの間隔を、中間凹部811に対して中間中心軸線O8の延びる方向に空けて並んで形成されている。
【0027】
中間接続部82は、合流管10を介して膜モジュール4のハウジング42と接続され、膜モジュール4からの濾液を中間筒本体81に流入させる。本実施形態の中間接続部82は、第一端接続部72と同じ形状をなしている。複数の中間接続部82は、中間貫通孔812よりも第一端部8a側に形成されている。中間接続部82は、中間中心軸線O8の延びる方向に一列に並んで複数配置されている。本実施形態の中間接続部82は、第一端接続部72と同様に、同じ間隔を空けて四つ設けられている。中間接続部82は、中間筒本体81と一体に形成されている。中間接続部82は、中間接続部本体821(接続部本体)と、中間補強部822(補強部)とを有する。
【0028】
中間接続部本体821は、筒状をなして中間筒本体81の外周面から延びている。中間接続部本体821は、中間筒本体81を内外にわたって連通している。本実施形態の中間接続部本体821は、中間筒本体81の外周面から中間中心軸線O8に対して垂直に延在している。中間接続部本体821は、円筒状をなしている。中間接続部本体821は、中間筒本体81と接続されている側と反対側である中間接続部本体821の先端部の外周面に、螺旋状の凹凸が形成されたネジ構造Mを有する。具体的には、ネジ構造Mとして、先端部から一定の領域の外周面に螺旋状の溝が中間接続部本体821に形成されている。
【0029】
中間補強部822は、中間接続部本体821の中間筒本体81と接続されている側で、中間接続部本体821の外周面と中間筒本体81の外周面とを繋いでいる。本実施形態の中間補強部822は、第一端補強部722と同じ形状をなしている。中間補強部822は、中間接続部本体821を挟んで対称に一対配置されている。
【0030】
第二端筒部9は、集水ヘッダー5の他方の端部である第二端部5b側を構成している。
第二端筒部9は、集水ヘッダー5の第二端部5bを閉塞している。本実施形態の第二端筒部9は、第一端筒部7や中間筒部8と同様に、樹脂材料で成型されることで形成されている。第一端筒部7は、例えば、PVCで形成された管材である。第二端筒部9は、
図8及び
図9に示すように、第二端筒本体91(筒本体61)と、複数の第二端接続部92(接続部62)と、取水部63とを有する。
【0031】
第二端筒本体91は、第二中心軸線O9を中心とする筒状をなしている。第二端筒本体91は、第二端筒本体91における一方の端部である第一端部9aが開口し、他方の端部である第二端部8bが閉塞された有底円筒状をなしている。第二端筒本体91は、第一端部9a側に第二端部9b側よりも外径の大きな第二拡径領域913を有している。第二拡径領域913は、第二端筒本体91の第一端部9aから第二端部9bに向かって所定の領域にわたって形成されている。第二拡径領域913では、内径が第二端筒本体91の第二端部9bの内径よりも大きく形成されている。第二拡径領域913では、第二端部9b側から第一端部9a側に向かうにしたがって第二中心軸線O9に近づくように内周面が傾斜している。内周面が傾斜してテーパ状をなしているために、第二端筒本体91では、第一端部9a側の内径が第二端部9bの外径よりも小さく形成されている。第二端筒本体91の第二拡径領域913の内周面が、隣接する中間筒本体81の第二端部8bの外周面と摺接した状態で接着されることで、中間筒部8と第二端筒部9との間が水密に連結される。
【0032】
第二端接続部92は、合流管10を介して膜モジュール4のハウジング42と接続され、膜モジュール4からの濾液を第二端筒本体91に流入させる。本実施形態の第二端接続部92は、第一端接続部72及び中間接続部82と同じ形状をなしている。第二端接続部92は、第二中心軸線O9の延びる方向に一列に並んで複数配置されている。本実施形態の第二端接続部92は、第一端接続部72や中間接続部82と同様に、同じ間隔を空けて五つ設けられている。第二端接続部92は、第二端接続部本体921(接続部本体)と、第二端補強部922(補強部)とを有する。
【0033】
第二端接続部本体921は、筒状をなして第二端筒本体91の外周面から延びている。
第二端接続部本体921は、第二端筒本体91を内外にわたって連通している。本実施形態の第二端接続部本体921は、第二端筒本体91の外周面から第二中心軸線O9に対して垂直に延在している。第二端接続部本体921は、円筒状をなしている。第二端接続部本体921は、第二端筒本体91と接続されている側と反対側である第二端接続部本体921の先端部で、外周面に螺旋状の凹凸が形成されたネジ構造Mを有する。具体的には、ネジ構造Mとして、先端部から一定の領域の外周面に螺旋状の溝が第二端接続部本体921に形成されている。
【0034】
第二端補強部922は、第二端接続部本体921の第二端筒本体91と接続されている側で、第二端接続部本体921の外周面と第二端筒本体91の外周面とを繋いでいる。本実施形態の第二端補強部922は、第一端補強部722及び中間補強部822と同じ形状をなしている。第二端補強部922は、第二端接続部本体921を挟んで対称に一対配置されている。
【0035】
取水部63は、複数の筒部6の内部の濾液を外部に排出可能とされている。取水部63は、ホース(図示略)を介して吸引ポンプ(図示略)と接続される。本実施形態の吸引ポンプを作動させることによって、第二端筒部9の内部の被処理水が外部に取水部63を介して排出される。これにより、取水部63は、第一端筒部7、中間筒部8、及び第二端筒部9の連結された複数の筒部6の内部の濾液を外部に排出可能としている。取水部63は、円筒状をなして第二端筒本体91の外周面から延びている。本実施形態の取水部63は、第二端接続部92が配置されている位置から第二中心軸線O9を中心に90°回転した位置に設けられている。取水部63は、第二中心軸線O9の延びる方向における第二端筒本体91の中間付近に設けられている。取水部63は、第二端筒本体91の外周面から第二中心軸線O9に対して垂直に延在している。取水部63は、第二端接続部本体921よりの大きな径を有する円筒状をなしている。
【0036】
合流管10は、
図1に示すように、膜モジュール4のハウジング42の取水口43と、接続部62である第一端接続部72、中間接続部82、及び第二端接続部92とを接続している。本実施形態の合流管10は、U字型をなして両端が開口した筒状の配管である。
合流管10は、一方の端部がハウジング42に設けられた取水口43に対して着脱可能とされている。合流管10は、取水口43に対して着脱可能とされた端部と逆側の端部が、第一端接続部本体721、中間接続部本体821、及び第二端接続部本体921に着脱可能とされている。本実施形態の合流管10は、第一端接続部本体721、中間接続部本体821、及び第二端接続部本体921の先端部にOリング等のシール部材を介して嵌め込まれている。合流管10は、第一端接続部本体721、中間接続部本体821、及び第二端接続部本体921の内周面に対して外周面が摺接した状態で嵌め込まれている。
【0037】
図2及び
図3に示すように、集水ヘッダー5においては、第一端筒本体71の第二端部7bに対して中間筒本体81の第一端部8aが嵌め込まれる。その結果、第一端筒本体71は、第二端部7b側の外周面を中間筒本体81の中間拡径領域813の内周面と摺接させながら中間筒本体81と連結される。ここで、筒本体61と隣接する他の筒本体61とが摺接する領域を「摺接領域」と言う。従って、第一端筒本体71の第二端部7bの外周面において、中間筒本体81の中間拡径領域813の内周面と摺接する領域は、第一端筒本体71における摺接領域であり、中間筒本体81の中間拡径領域813の内周面において、第一端筒本体71の第二端部7bの外周面と摺接する領域は、中間筒本体81における摺接領域である。
これにより、第一端筒部7は、第一中心軸線O7の位置と中間中心軸線O8の位置とを一致させた状態で中間筒部8と連結される。この際、第一端筒部7の第一貫通孔712や第一凹部711の位置が、中間筒部8の中間接続部本体821の位置と一致している。これにより、第一端筒部7と中間筒部8とが重なった状態でも、中間接続部本体821は第一端筒部7及び中間筒部8の内外に連通した状態となっている。
【0038】
なお、筒本体61(以下の数段落において、仮に筒本体61Aとする。)の端部の外周面と、隣接する他の筒本体61(以下の数段落において、仮に筒本体61Bとする。)の端部の内周面を摺接させるにあたって、筒本体61Aの摺接領域における貫通孔や凹部の位置と、筒本体61Bの摺接領域における接続部本体の位置とを一致させるために、筒本体61Bの内周面に位置決め機構を備えることが好ましい。
位置決め機構は、筒本体61Aと筒本体61Bとが、決められた摺接領域で摺接できるよう、筒本体61Bの内周面に内方に突出した凸部を形成したものであってもよい。凸部は、内周面の一部に設けられていてもよいし、全部に設けられていてもよい。筒本体61B内部の濾液の流通を妨げないためには、内周面全体(貫通孔が存在する部分を除く。)にわたって、筒本体61Aの厚み程度の高さ、又はそれ未満の高さの凸部を設けることが好ましい。
【0039】
また、摺接領域の筒本体の長さ方向に沿った長さは、筒本体61Bの内周面の最外部(
図6における第一端部8a、
図8における第一端部9a)の内径の60〜100%が好ましく、75〜95%がより好ましく、85〜90%がさらに好ましい。
摺接領域の筒本体の長さ方向に沿った長さが前記下限値以上であれば、中心軸がぶれにくく、前記上限値以下であれば、組立が容易である。
【0040】
第一端部8aが第一端筒部7と連結された中間筒部8は、第二端部8bが他の中間筒部8と連結される。つまり、中間筒本体81は、第二端部8b側の外周面を他の中間筒本体81の中間拡径領域813の内周面と摺接させながら、他の中間筒本体81と連結される(中間筒本体81の第二端部8b側の外周面のうち、他の中間筒本体81の中間拡径領域813の内周面に摺接する領域、及び、他の中間筒本体81の中間拡径領域813の内周面のうち、中間筒本体81の第二端部8bの外周面と摺接する領域は、いずれも摺接領域である。)。これにより、中間筒部8同士は、中間中心軸線O8の位置を互いに一致させた状態で連結される。このように複数の中間筒部8が連結される。本実施形態では、三つの中間筒部8が連結される。
【0041】
複数連結された中間筒部8うちの最も第二端部8b側に配置された中間筒部8は、第二端部8bが第二端筒部9と連結される。最も第二端部8b側の中間筒本体81は、第二端部8bの外周面を第二端筒本体91の第二拡径領域913の内周面と摺接させながら第二端筒本体91と連結される(中間筒本体81の第二端部8b側の外周面のうち、第二端筒本体91の第二拡径領域913の内周面に摺接する領域、及び、第二端筒本体91の第二拡径領域913の内周面のうち、中間筒本体81の第二端部8bの外周面と摺接する領域は、いずれも摺接領域である。)。これにより、第二端筒部9は、第二中心軸線O9の位置と中間中心軸線O8の位置とを一致させた状態で中間筒部8と連結される。このようにして、集水ヘッダー5が複数の筒部6によって組み上げられる。
【0042】
上記のような第一実施形態の集水ヘッダー5によれば、第一端筒部7、中間筒部8、及び第二端筒部9が、集水ヘッダー5の中心軸線Oの延びる方向に互いに水密に連結されている。第一端筒部7、中間筒部8、及び第二端筒部9にはそれぞれ接続部62として、第一端接続部72や中間接続部82や第二端接続部92が設けられている。そのため、第一端筒部7、中間筒部8、及び第二端筒部9を中心軸線Oの延びる方向にそれぞれ連結させるだけで、膜モジュール4に接続可能な集水ヘッダー5を得ることができる。したがって、少ない部材を中心軸線Oの延びる方向に単に連結させるだけの容易な組み立てにより、集水ヘッダー5を得ることができる。
【0043】
また、第一端筒部7、中間筒部8、及び第二端筒部9を樹脂材料によって成型することで、安価で量産性に優れた材料で集水ヘッダー5を形成することができる。さらに、樹脂材料で形成されることで、金属材料で形成した場合に比べて軽量化を図ることができる。
【0044】
また、接続する膜モジュール4の数に併せて、中間筒部8の数を変えるだけで、中心軸線Oの延びる方向に長さを変化させて、任意の長さの集水ヘッダー5を得ることができる。
【0045】
また、中間筒本体81に中間拡径領域813が形成されている。そのため、第一端筒部7の第二端部7bの外周面と中間筒部8の第一端部8aの内周面とを摺接させたり、隣接する中間筒部8の外周面と内周面とを摺接させたりすることができる。同様に、第二端筒本体91に第二拡径領域913が形成されている。そのため、第二端筒部9の第二端部9bの外周面と中間筒部8の第一端部8aの内周面とを摺接させることができる。したがって、隣接する筒部6同士の連結強度を高めて、互いに水密に連結させることが容易にできる。
【0046】
また、中間拡径領域813や第二拡径領域913の内周面がテーパ状をなしている。そのため、部分的に干渉した状態で、隣接する第一端筒部7や中間筒部8と連結させることができる。したがって、隣接する筒部6同士の連結強度をより一層高めて、互いに水密に連結させることが容易にできる。
【0047】
また、膜モジュール4と合流管10を介して接続される第一端接続部72は、筒状をなす第一端接続部本体721を有している。同様に、中間接続部82は、筒状をなす中間接続部本体821を有している。第二端接続部92は、筒状をなす第二端接続部本体921を有している。そのため、単に第一端筒本体71、中間筒本体81、及び第二端筒本体91に合流管10を嵌め込むための孔(凹部)を形成した場合に比べて、接続部62にOリング等のシール部材を設け易くすることができる。したがって、第一端筒部7、中間筒部8、及び第二端部8bと合流管10とを水密に連結することができる。
【0048】
また、第一端接続部本体721、中間接続部本体821、及び第二端接続部本体921の先端部の外周面に、螺旋状の凹凸が形成されたネジ構造Mを有している。そのため、内周面にネジ構造が形成された蓋のような部材を用いることで、ネジ構造Mを介して嵌合させて接続することができる。したがって、第一端接続部本体721、中間接続部本体821、及び第二端接続部92に他の部材を単に嵌め込む場合に比べて、より強固に接続させることができ、脱落を防止することができる。そのため、仮に、部分的に膜モジュール4と接続する必要が無い接続部62があっても、その接続部62を閉塞することができる。
【0049】
さらに、第一端接続部本体721、中間接続部本体821、及び第二端接続部本体921の内周面ではなく、外周面にネジ構造Mが形成されていることで合流管10を接続する際のシール性が損なわれてしまうことを抑制できる。つまり、本実施形態のように、第一端接続部本体721、中間接続部本体821、及び第二端接続部本体921の内部に合流管10が嵌まり込む構造とすることで、第一端接続部本体721、中間接続部本体821、及び第二端接続部本体921と合流管10との連結にネジ構造Mが影響を与えることを防ぐことができる。
【0050】
また、第一端補強部722を有することで、第一端接続部本体721と第一端筒本体71との接合強度を向上させることができる。同様に、中間補強部822及び第二端補強部922を有することで、中間接続部本体821と中間筒本体81との接合強度や第二端接続部本体921と第二端筒本体91との接合強度を向上させることができる。
【0051】
[第二実施形態]
以下、本発明の第二実施形態の集水ヘッダー5Aについて図面を参照して詳細に説明する。
なお、本発明の第一実施形態の膜モジュールユニット1における集水ヘッダー5に代えて、集水ヘッダー5Aを採用することにより、本発明の第二実施形態の膜モジュールユニットとすることができる。
第二実施形態においては第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。この第二実施形態の集水ヘッダーは、取水部の構成について、第一実施形態と大きく相違する。
【0052】
第二実施形態の集水ヘッダー5Aは、
図10及び
図11に示すように、第一実施形態とは異なる複数の筒部6が互いに連結されることによって構成されている。具体的には、第二実施形態の集水ヘッダー5Aは、筒部6として、複数の第二中間筒部80と、端筒部70と、取水筒部90とを有する。
【0053】
第二中間筒部80は、集水ヘッダー5Aの中央部分を構成している。第二中間筒部80は、第一実施形態の中間筒部8よりも多くの中間接続部82が設けられている。第二中間筒部80は、第一実施形態の中間筒部8と同様に、樹脂材料で成型されることで形成されている。第二中間筒部80は、例えば、PVCで形成された管材である。第二実施形態の集水ヘッダー5Aは、二つの第二中間筒部80を有している。第二中間筒部80は、第二中間筒本体810(筒本体61)と、複数の中間接続部82とを有する。
【0054】
第二中間筒本体810は、第一実施形態の中間筒本体81よりも長く形成されている。
第二中間筒本体810は、両側の端部が開口した円筒状をなしている。第二中間筒本体810は、中間筒本体81と同様に、第二中間筒本体810における他方の端部である第二端部に一方の端部である第一端部側に中間拡径領域813を有している。第二中間筒本体810の中間拡径領域813の内周面が、隣接する他の第二中間筒本体810の第一端部の外周面や、取水筒部90の第一端部の外周面と摺接した状態で接着されることで、第二中間筒部80同士の間や第二中間筒部80と取水筒部90との間が水密に連結される。
【0055】
中間接続部82は、第一実施形態と同様の形状をなしている。第二実施形態の中間接続部82は、互いに離れて十箇所に設けられている。中間接続部82は、第二中間筒本体810と一体に形成されている。
【0056】
端筒部70は、第二実施形態の集水ヘッダー5Aの一方の端部である第一端部5a側を構成している。端筒部70は、集水ヘッダー5の第一端部5aを閉塞している。本実施形態の端筒部70は、第二中間筒部80と同様に、樹脂材料で成型されることで形成されている。端筒部70は、例えば、PVCで形成された管材である。端筒部70は、接続部62や取水部63を有しておらず、筒本体61である端筒本体71Aのみを有している。
【0057】
端筒本体71Aは、有底円筒状をなしている。端筒本体71Aは、第二中間筒本体810の第二端部と同じ大きさの外径で形成されている。端筒本体71Aは、開口している端部に第二中間筒本体810の第一端部が嵌まり込む。これにより、端筒本体71Aの内周面が、隣接する第二中間筒本体810の外周面と摺接した状態で接着されることで、第二中間筒部80と端筒部70との間が水密に連結される。
【0058】
取水筒部90は、第二実施形態の集水ヘッダー5の他方の端部である第二端部5b側を構成している。本実施形態の取水筒部90は、第二中間筒部80及び端筒部70と同様に、樹脂材料で成型されることで形成されている。取水筒部90は、例えば、PVCで形成された管材である。取水筒部90は、接続部62を有しておらず、取水筒本体91Aと取水部63Aを有している。
【0059】
本実施形態の取水筒本体91Aは、取水部63Aと一体をなしている。取水筒本体91Aは、L字型の管状の継手(エルボ)である。取水筒本体91Aは、第二中間筒部80の第二端部と同じ大きさの外径で形成されている。取水筒本体91Aは、外周面が取水筒本体91Aや第二中間筒部80の内周面と摺接可能とされた管材を介して、第二中間筒部80と連結されている。これにより、取水筒本体91Aが、隣接する第二中間筒本体810に対して管材を介して水密に連結される。また、取水筒部90は、第二中間筒部80と連結されていない側の端部が開口されており、ホース(図示略)を介して吸引ポンプ(図示略)と接続される。つまり、第二実施形態の取水部63Aは、取水筒本体91Aの第二中間筒部80と連結されていない側の端部によって構成されている。
【0060】
上記のような第二実施形態の集水ヘッダー5Aにおいても、第一実施形態の集水ヘッダー5と同様の作用効果を得ることができる。
【0061】
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態の例について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0062】
第一実施形態および第二実施形態では、補強部(第一端補強部711、中間補強部822、第二端補強部922)を、接続部本体の筒本体と接続されている側で、接続部本体の外周面と筒本体の外周面をつなぐように、接続部本体を挟んで対称に一対配置された三角リブで示しているが、補強部の態様はこのような態様に限定されるものではない。
例えば、一部の補強部の形状が他の補強部の形状と異なっていてもよく、
図12及び
図13に示すように、摺動領域に位置する接続部本体(一部が摺動領域に位置する接続部本体を含む。)の補強部(例えば、中間補強部についての822A)が、筒本体の外周に沿って、外周の周方向全体にわたって配置されていてもよい。ここで、外周の周方向全体にわたって配置されるとは、外周の周方向全体の長さの80%以上の範囲に配置されていることを指す。即ち、
図12及び
図13に示すように、一部が筒本体の外周面の高さと同一になり、補強部が一部途切れた形状となっていても、外周の周方向全体の長さの80%以上の範囲に補強部が配置されていればよい。
【0063】
第一実施形態及び第二実施形態では、第一端接続部72、中間接続部82、第二端接続部92等の接続部62の形状を全て同じとしたが、接続部62はこのような形状に限定されるものでない。接続部62は、設けられる筒部6に応じてそれぞれ異なる形状であってもよい。
【0064】
また、第一実施形態では、第二端筒部9のみが取水部63を有し、第二実施形態では、取水筒部90が取水部63を有していたが、このように一つの筒部6のみが取水部63を有している構造に限定されるものではない。例えば、第一実施形態の集水ヘッダー5において、第一端筒部7や中間筒部8に取水部63を有することで、一つの集水ヘッダー5に対して複数の取水部63を有していてもよい。また、第二実施形態の集水ヘッダー5Aにおいて、端筒部70に取水部63Aを有することで、一つの集水ヘッダー5Aに対して複数の取水部63Aを有していてもよい。
【0065】
また、第一実施形態の第一端筒部7、中間筒部8、及び第二端筒部9のように、すべての筒部6が接続部62を有していることに限定されるものではない。例えば、第一端筒部7や第二端筒部9に接続部62が設けられていなくてもよい。
【0066】
また、本実施形態では、中間筒本体81の第一端部8a側のみに中間拡径領域813が設けられていたがこのような構造に限定されるものではない。同様に、第二端筒本体91の第一端部9a側のみに第二拡径領域913が設けられていたが、このような構造に限定されるものではない。したがって、例えば、中間筒本体81の第二端部8b側や第二端筒本体91の第二端部9b側に、中間拡径領域813や第二拡径領域913に相当するような隣接する部材の外周面と摺接可能な内周面を有する拡径領域を有していても良い。
【0067】
また、隣接する筒部6同士は、単に嵌め込まれて連結される構造に限定されるものではない。したがって、隣接する筒部6は、筒部6同士の間を溶接される溶接部とすることで、より強固に連結されてもよい。
【0068】
<水処理方法>
本発明の水処理方法では、本発明の集水ヘッダーと、集水ヘッダーが備える接続部に接続される膜モジュールと、集水ヘッダー及び膜モジュールが取り付けられたフレーム部とを備える、本発明の膜モジュールユニットを用いて水処理が行われる。本発明の膜モジュールユニットが用いられる以外は、公知の態様を採用することができる。