特許第6321323号(P6321323)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6321323
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】磁気センサ
(51)【国際特許分類】
   G01R 33/09 20060101AFI20180423BHJP
   G01R 33/02 20060101ALI20180423BHJP
【FI】
   G01R33/09
   G01R33/02 V
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-58199(P2013-58199)
(22)【出願日】2013年3月21日
(65)【公開番号】特開2014-182096(P2014-182096A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2015年12月10日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】303046277
【氏名又は名称】旭化成エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】四竈 格久
(72)【発明者】
【氏名】片桐 洋次
【審査官】 小川 浩史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−127788(JP,A)
【文献】 特開2012−112689(JP,A)
【文献】 特許第6126348(JP,B2)
【文献】 特許第6226447(JP,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0137275(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0126229(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 33/00−33/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板平面に対して任意の軸方向の磁場を検知できるようにした磁気センサにおいて、
前記基板平面に平行に配置された一方及び他方の感磁部と、該一方及び他方の感磁部の近傍かつ前記磁気センサを平面視したとき前記基板平面における前記一方及び他方の感磁部の長手方向に少なくとも一部が重なる位置に配置されている矩形状の磁気収束部とを備え、
前記一方及び他方の感磁部は前記基板平面に対して平行であって、前記磁気収束部の短手方向に平行な同一の方向に感磁軸を持つ素子であり、
前記一方及び他方の感磁部が、前記磁気センサを平面視したときに、前記磁気収束部の短手方向の中線が、前記一方及び他方の感磁部の一部と交差するように配置され、
前記一方及び他方の感磁部の中心同士を結ぶ仮想線分と、前記磁気収束部の中心同士を結ぶ仮想線分とが平行であるか、又は
前記一方及び他方の感磁部の中心同士を結ぶ仮想線分と、前記磁気収束部の長手方向の中線とが垂直で、
前記一方の感磁部からの出力信号及び他方の感磁部からの出力信号の差分により、前記基板平面に対して垂直方向の軸方向の磁場成分、または、前記基板平面に対して平行かつ前記感磁部の感磁軸に垂直な軸方向の磁場成分に応じた信号を出力することを特徴とする磁気センサ。
【請求項2】
前記磁気センサを平面視したとき、前記感磁部と前記磁気収束部の重なる面積が等しいことを特徴とする請求項に記載の磁気センサ。
【請求項3】
前記一方及び他方の感磁部の出力が入力される差分回路を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気センサ。
【請求項4】
前記一方及び他方の感磁部が、第1及び第2の感磁部で、前記磁気収束部が、第1及び第2の磁気収束部であり、
該第1及び第2の磁気収束部は前記基板の同一面に配置され、
前記第1及び第2の感磁部が、前記磁気センサを平面視したとき、該第1及び第2の磁気収束部どうしが対向する側に配置され、
前記第1の磁気収束部が前記第1の感磁部の長手方向に少なくとも一部が重なる位置に配置され、
前記の第2磁気収束部が前記第2の感磁部の長手方向に少なくとも一部が重なる位置に配置され、
前記第1及び第2感磁部の中心同士を結ぶ仮想線分と、前記第1及び第2の磁気収束部の中心同士を結ぶ仮想線分とが平行であり、
前記第1の感磁部の出力信号をS1、前記第2の感磁部の出力信号をS2、前記第1及び第2感磁部の抵抗をR、X方向の磁場をBx(磁場変換効率a)、Z方向の磁場をBz(磁場変換効率c)とした場合に、前記差分回路が、
S1=R+aBx−cBz
S2=R+aBx+cBz
S2−S1=2cBz
の演算をすることを特徴とする請求項に記載の磁気センサ。
【請求項5】
基板平面に対して任意の軸方向の磁場を検知できるようにした磁気センサにおいて、
前記基板平面に平行に配置された一方及び他方の感磁部と、該一方及び他方の感磁部の近傍かつ前記磁気センサを平面視したとき前記基板平面における前記一方及び他方の感磁部の長手方向に少なくとも一部が重なる位置に配置されている矩形状の磁気収束部と、前記一方及び他方の感磁部の出力が入力される差分回路とを備え、
前記一方及び他方の感磁部は前記基板平面に対して平行であって、前記磁気収束部の短手方向に平行な同一の方向に感磁軸を持つ素子であり、
前記一方及び他方の感磁部が、前記磁気センサを平面視したときに、前記磁気収束部の短手方向の中線が、前記一方及び他方の感磁部の一部と交差するように配置され、
前記一方の感磁部からの出力信号及び他方の感磁部からの出力信号の差分により、前記基板平面に対して垂直方向の軸方向の磁場成分、または、前記基板平面に対して平行かつ前記感磁部の感磁軸に垂直な軸方向の磁場成分に応じた信号を出力する磁気センサであって、
前記一方及び他方の感磁部が、第3及び第4の感磁部で、前記磁気収束部が、前記第3及び第4の感磁部に間に配置された単一の第3の磁気収束部であり、該第3の磁気収束部が、両側部において、前記第3及び第4の感磁部の長手方向に少なくとも一部が重なる位置に配置され、前記第3及び第4の感磁部の中心同士を結ぶ仮想線分と、前記第3の磁気収束部の長手方向の中線が垂直であり、
前記第3の感磁部の出力信号をS3、前記第4の感磁部の出力信号をS4、前記第3及び第4感磁部の抵抗をR、X方向の磁場をBx(磁場変換効率a)、Z方向の磁場をBz(磁場変換効率c)とした場合に、前記差分回路が、
S3=R+aBx+cBz
S4=R+aBx−cBz
S3−S4=2cBz
の演算をすることを特徴とする磁気センサ。
【請求項6】
前記一方及び他方の感磁部が、第5及び第6の感磁部で、前記磁気収束部が、第5及び第6の磁気収束部であり、
該第5及び第6の磁気収束部は前記基板の同一面に配置され、
該第5及び第6の感磁部が、前記磁気センサを平面視したとき、該第5及び第6の磁気収束部どうしが対向する側とは反対側に配置され、
前記第5の磁気収束部が前記第5の感磁部の長手方向に少なくとも一部が重なる位置に配置され、
前記第6の磁気収束部が前記第6の感磁部の長手方向に少なくとも一部が重なる位置に配置されていて、
前記第5の感磁部の出力信号をS5、前記第6の感磁部の出力信号をS6、前記第5及び第6感磁部の抵抗をR、X方向の磁場をBx(磁場変換効率a)、Z方向の磁場をBz(磁場変換効率c)とした場合に、前記差分回路が、
S5=R+aBx+cBz
S6=R+aBx−cBz
S5−S6=2cBz
の演算をすることを特徴とする請求項に記載の磁気センサ。
【請求項7】
前記一方及び他方の感磁部が、第7及び第8の感磁部で、前記磁気収束部が、第6乃至第8の磁気収束部であり、
前記第6の磁気収束部と前記第8の磁気収束部とが、前記第7の磁気収束部の長手方向の中線に対して線対称で、
前記第6の磁気収束部が、前記第7の感磁部の長手方向に少なくとも一部が重なる位置に配置され、かつ前記第7の磁気収束部が、前記第8の感磁部の長手方向に少なくとも一部が重なる位置に配置され、
前記第7及び第8の感磁部からの出力信号の差分により、前記基板平面に対して平行、かつ前記第7及び第8の感磁部の感磁軸に垂直な軸方向の磁場成分に応じた信号を出力することを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の磁気センサ。
【請求項8】
前記第6の磁気収束部と前記第7の感磁部とからなる配置パターンと、前記第7の磁気収束部と前記第8の感磁部とからなる配置パターンとが、
前記第6の磁気収束部と前記第7の感磁部とからなる配置パターンを、前記第6の磁気収束部の短手方向の任意の軸に対して線対称な仮想パターンとして基板表面に対して平行にシフトさせると、前記第7の磁気収束部と前記第8の感磁部とからなる配置パターンと重なる関係にある配置パターンであることを特徴とする請求項に記載の磁気センサ。
【請求項9】
基板平面に対して任意の軸方向の磁場を検知できるようにした磁気センサにおいて、
前記基板平面に平行に配置された一方及び他方の感磁部と、該一方及び他方の感磁部の近傍かつ前記磁気センサを平面視したとき前記基板平面における前記一方及び他方の感磁部の長手方向に少なくとも一部が重なる位置に配置されている矩形状の磁気収束部とを備え、
前記一方及び他方の感磁部は前記基板平面に対して平行であって、前記磁気収束部の短手方向に平行な同一の方向に感磁軸を持つ素子であり、
前記一方及び他方の感磁部が、前記磁気センサを平面視したときに、前記磁気収束部の短手方向の中線が、前記一方及び他方の感磁部の一部と交差するように配置され、
前記一方の感磁部からの出力信号及び他方の感磁部からの出力信号の差分により、前記基板平面に対して垂直方向の軸方向の磁場成分、または、前記基板平面に対して平行かつ前記感磁部の感磁軸に垂直な軸方向の磁場成分に応じた信号を出力する磁気センサであって、
前記一方及び他方の感磁部が、第7及び第8の感磁部で、前記磁気収束部が、第6乃至第8の磁気収束部であり、
前記第6の磁気収束部と前記第8の磁気収束部とが、前記第7の磁気収束部の長手方向の中線に対して線対称で、
前記第6の磁気収束部が、前記第7の感磁部の長手方向に少なくとも一部が重なる位置に配置され、かつ前記第7の磁気収束部が、前記第8の感磁部の長手方向に少なくとも一部が重なる位置に配置され、
前記第7の磁気収束部の短手方向の中線が、
前記第6及び第8の磁気収束部の中心同士を結ぶ仮想線分と平行で、かつ重ならず、
前記第7及び第8の感磁部からの出力信号の差分により、前記基板平面に対して平行、かつ前記第7及び第8の感磁部の感磁軸に垂直な軸方向の磁場成分に応じた信号を出力することを特徴とする磁気センサ。
【請求項10】
前記一方及び他方の感磁部が、第7及び第8の感磁部で、前記磁気収束部が、第6乃至第8の磁気収束部であり、
前記第6の磁気収束部と前記第8の磁気収束部とが、前記第7の磁気収束部の長手方向の中線に対して線対称で、
前記第6の磁気収束部が、前記第7の感磁部の長手方向に少なくとも一部が重なる位置に配置され、かつ前記第7の磁気収束部が、前記第8の感磁部の長手方向に少なくとも一部が重なる位置に配置され、
前記第7及び第8の感磁部からの出力信号の差分により、前記基板平面に対して平行、かつ前記第7及び第8の感磁部の感磁軸に垂直な軸方向の磁場成分に応じた信号を出力し、
前記第7の感磁部の出力信号をS7、前記第8の感磁部の出力信号をS8、前記第7及び第8感磁部の抵抗をR、X方向の磁場をBx(磁場変換効率a)、Y方向の磁場をBy(磁場変換効率b)、Z方向の磁場をBz(磁場変換効率c)とした場合に、前記差分回路が、
S7=R+aBx+bBy−cBz
S8=R+aBx−bBy−cBz
S7−S8=2bBy
の演算をすることを特徴とする請求項に記載の磁気センサ。
【請求項11】
前記仮想線分が、お互いに重なっていないことを特徴とする請求項1〜4、6〜8、10のいずれかに記載の磁気センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気センサに関し、より詳細には、磁気抵抗素子を備え、消費電流の増大を招くことなく、また温度による影響を最小限に抑え任意の方向の磁場を検知できる磁気センサに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に磁気の有無を検出する巨大磁気抵抗(Giant Magnet Resistance;GMR)素子は広く知られている。磁場をかけると電気抵抗率が増加する現象を磁気抵抗効果というが、一般の物質では変化率は数%であるが、このGMR素子では数10%に達することから、ハードディスクのヘッドに広く用いられている。
【0003】
図1は、従来のGMR素子の動作原理を説明するための斜視図で、図2は、図1の部分断面図である。図中符号1は反強磁性層、2はピンド層(固定層)、3はCu層(スペーサ層)、4はフリー層(自由回転層)を示している。磁性材料の磁化の向きで電子のスピン散乱が変わり抵抗が変化する。つまり、ΔR=(RAP−R)R(RAP;上下の磁化の向きが反平行のとき、R;上下の磁化の向きが反平行のとき)で表される。
固定層2の磁気モーメントは、反強磁性層1との磁気結合により方向が固定されている。漏れ磁場により磁化自由回転層4の磁気モーメントの方向が変化すると、Cu層3を流れる電流が変化し、漏れ磁場の変化が読み取れる。
【0004】
図3は、従来のGMR素子の積層構造を説明するための構成図で、図中符号11は絶縁膜、12はフリー層(自由回転層)、13は導電層、14はピンド層(固定層)、15は反強磁性層、16は絶縁膜から構成され、フリー層(自由回転層)12は自由に磁化の向きが回転する層で、NiFe又はCoFe/NiFeから構成され、導電層13は電流を流し、スピン散乱が起きる層で、Cuから構成され、ピンド層(固定層)14は磁化の向きが一定方向に固定された層で、CoFe又はCoFe/Ru/CoFeから構成され、反強磁性層15はピンド層14の磁化の向きを固定するための層で、PtMn又はIrMnから構成され、層11,16はTaやCr、NiFeCr、AlOから構成されている。またピンド層は反強磁性層を用いずにセルフバイアス構造を用いても良い。
【0005】
例えば、特許文献1に記載のものは、GMR素子を用いた磁気記録システムに関するもので、自由強磁性体層の静磁気結合が最小となるよう改良された固定強磁性体層を有するスピン・バルブ磁気抵抗(MR)センサで、その図4には、自由強磁性体層と固定強磁性体層とを有する積層構造が記載されている。
また、例えば、特許文献2に記載のものは、磁界の方向の影響を受けることが少なく磁界の大きさを精度よく検出できる巨大磁気抵抗素子に関するもので、このGMR素子は、GMRチップ上に対してバイアス磁石とともに設置されている。
【0006】
また、例えば、特許文献3に記載のものは、方位検出に関して高い感度を有し、小型で量産性にも優れた3軸磁気センサに関するもので、基板表面に平行で互いに直交するように設定した2軸(X、Y軸)方向で地磁気成分を検知する2軸磁気センサ部と、2軸磁気センサ部上に配置され前記2軸を含む面に対して垂直方向(Z軸)の磁界を集める磁性部材とを備えており、磁気感知軸の異なる磁気抵抗素子でブリッジを形成することにより従来よりも少ない素子数で3軸検知センサが実現可能であると提案している。
また、例えば、特許文献4に記載のものは、温度の影響を受けることが少なく磁界の大きさを精度よく検出できるトンネル磁気抵抗素子に関するもので、このTMR素子は、チップ上に磁気遮蔽されているものと磁場に対して応答するものそれぞれを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−169026号公報
【特許文献2】特開2012−112689号公報
【特許文献3】特開2012−127788号公報
【特許文献4】特開2001−345498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載のものは、自由強磁性体層と固定強磁性体層とを有する積層構造を備えたGMR素子が開示されているものの、本発明の磁気センサのような磁気抵抗素子と磁気収束板とを組み合わせた配置パターンについては何ら開示されていない。
また、特許文献2及び3の磁気センサは、磁気抵抗素子を用いてブリッジを形成し、その中点電位を出力信号として取り出すため、磁気抵抗素子を形成する物質の抵抗値を出力に含んでしまうため外部の温度に対して出力信号が敏感に変動してしまう。
【0009】
また、特許文献4に記載のGMR素子は、GMRチップ上に対して磁気遮蔽されている素子と磁場に対して応答する素子それぞれを有している単軸センサであるが、この構造では磁気抵抗素子の感磁軸方向の磁場のみしか検知することが出来ない。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、周囲の温度の影響を最小限に抑え、かつ、感磁軸方向以外の磁場を検知できる単軸の磁気センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、このような目的を達成するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、基板平面に対して任意の軸方向の磁場を検知できるようにした磁気センサにおいて、前記基板平面に平行に配置された一方及び他方の感磁部(21,22,41,42,61,62,81,82)と、該一方及び他方の感磁部の近傍かつ前記磁気センサを平面視したとき前記基板平面における前記一方及び他方の感磁部の長手方向に少なくとも一部が重なる位置に配置されている矩形状の磁気収束部(31,32,50,71,72,91,92)とを備え、前記一方及び他方の感磁部は前記基板平面に対して平行であって、前記磁気収束部の短手方向に平行な同一の方向に感磁軸を持つ素子であり、前記一方及び他方の感磁部(21,22,41,42,61,62,81,82)が、前記磁気センサを平面視したときに、前記磁気収束部(31,32,50,71,72,91,92)の短手方向の中線(N2)が、前記一方及び他方の感磁部(21,22,41,42,61,62,81,82)の一部と交差するように配置され、前記一方及び他方の感磁部(21,22,41,42,61,62,81,82)の中心同士を結ぶ仮想線分(M)と、前記磁気収束部(31,32,71,72,91,92)の中心同士を結ぶ仮想線分(N)とが平行であるか、又は前記一方及び他方の感磁部の中心同士を結ぶ仮想線分と、前記磁気収束部(50)の長手方向の中線(N1)とが垂直で、前記一方の感磁部からの出力信号及び他方の感磁部(21,22,41,42,61,62,81,82)からの出力信号の差分により、前記基板平面に対して垂直方向の軸方向の磁場成分、または、前記基板平面に対して平行かつ前記感磁部の感磁軸に垂直な軸方向の磁場成分に応じた信号を出力することを特徴とする磁気センサ。(図5乃至図9;全実施例)
【0011】
また、請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明において、前記磁気センサを平面視したとき、前記感磁部と前記磁気収束部の重なる面積が等しいことを特徴とする。
また、請求項に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記一方及び他方の感磁部の出力が入力される差分回路を備えていることを特徴とする。
【0013】
また、請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明において、前記一方及び他方の感磁部が、第1及び第2の感磁部(21,22)で、前記磁気収束部が、第1及び第2の磁気収束部(31,32)であり、該第1及び第2の磁気収束部は前記基板の同一面に配置され、前記第1及び第2の感磁部が、前記磁気センサを平面視したとき、該第1及び第2の磁気収束部どうしが対向する側に配置され、前記第1の磁気収束部が前記第1の感磁部の長手方向に少なくとも一部が重なる位置に配置され、前記の第2磁気収束部が前記第2の感磁部の長手方向に少なくとも一部が重なる位置に配置され、前記第1及び第2感磁部の中心同士を結ぶ仮想線分(M)と、前記第1及び第2の磁気収束部の中心同士を結ぶ仮想線分(N)とが平行であり、前記第1の感磁部(21)の出力信号をS1、前記第2の感磁部(22)の出力信号をS2、前記第1及び第2感磁部(21,22)の抵抗をR、X方向の磁場をBx(磁場変換効率a)、Z方向の磁場をBz(磁場変換効率c)とした場合に、前記差分回路が、S1=R+aBx−cBz S2=R+aBx+cBz S2−S1=2cBzの演算をすることを特徴とする。
【0015】
また、請求項に記載の発明は、基板平面に対して任意の軸方向の磁場を検知できるようにした磁気センサにおいて、前記基板平面に平行に配置された一方及び他方の感磁部と、該一方及び他方の感磁部の近傍かつ前記磁気センサを平面視したとき前記基板平面における前記一方及び他方の感磁部の長手方向に少なくとも一部が重なる位置に配置されている矩形状の磁気収束部と、前記一方及び他方の感磁部の出力が入力される差分回路とを備え、前記一方及び他方の感磁部は前記基板平面に対して平行であって、前記磁気収束部の短手方向に平行な同一の方向に感磁軸を持つ素子であり、前記一方及び他方の感磁部が、前記磁気センサを平面視したときに、前記磁気収束部の短手方向の中線が、前記一方及び他方の感磁部の一部と交差するように配置され、前記一方の感磁部からの出力信号及び他方の感磁部からの出力信号の差分により、前記基板平面に対して垂直方向の軸方向の磁場成分、または、前記基板平面に対して平行かつ前記感磁部の感磁軸に垂直な軸方向の磁場成分に応じた信号を出力する磁気センサであって、前記一方及び他方の感磁部が、第3及び第4の感磁部(41,42)で、前記磁気収束部が、前記第3及び第4の感磁部に間に配置された単一の第3の磁気収束部(50)であり、該第3の磁気収束部が、両側部において、前記第3及び第4の感磁部の長手方向に少なくとも一部が重なる位置に配置され、前記第3及び第4の感磁部の中心同士を結ぶ仮想線分(M)と、前記第3の磁気収束部の長手方向の中線(N1)が垂直であり、前記第3の感磁部(41)の出力信号をS3、前記第4の感磁部(42)の出力信号をS4、前記第3及び第4感磁部(41,42)の抵抗をR、X方向の磁場をBx(磁場変換効率a)、Z方向の磁場をBz(磁場変換効率c)とした場合に、前記差分回路が、S3=R+aBx+cBz S4=R+aBx−cBz S3−S4=2cBzの演算をすることを特徴とする。
【0017】
また、請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明において、前記一方及び他方の感磁部が、第5及び第6の感磁部(61,62)で、前記磁気収束部が、第5及び第6の磁気収束部(71,72)であり、該第5及び第6の磁気収束部は前記基板の同一面に配置され、該第5及び第6の感磁部が、前記磁気センサを平面視したとき、該第5及び第6の磁気収束部どうしが対向する側とは反対側に配置され、前記第5の磁気収束部が前記第5の感磁部の長手方向に少なくとも一部が重なる位置に配置され、前記第6の磁気収束部が前記第6の感磁部の長手方向に少なくとも一部が重なる位置に配置されていて、前記第5の感磁部(61)の出力信号をS5、前記第6の感磁部(62)の出力信号をS6、前記第5及び第6感磁部(61,62)の抵抗をR、X方向の磁場をBx(磁場変換効率a)、Z方向の磁場をBz(磁場変換効率c)とした場合に、前記差分回路が、S5=R+aBx+cBz S6=R+aBx−cBz S5−S6=2cBzの演算をすることを特徴とする。
【0018】
また、請求項に記載の発明は、請求項1乃至のいずれかに記載の発明において、前記一方及び他方の感磁部が、第7及び第8の感磁部(81,82)で、前記磁気収束部が、第6乃至第8の磁気収束部(91,92,93)であり、前記第6の磁気収束部(91)と前記第8の磁気収束部(93)とが、前記第7の磁気収束部(92)の長手方向の中線(N1)に対して線対称で、前記第6の磁気収束部(91)が、前記第7の感磁部(81)の長手方向に少なくとも一部が重なる位置に配置され、かつ前記第7の磁気収束部(92)が、前記第8の感磁部(82)の長手方向に少なくとも一部が重なる位置に配置され、前記第7及び第8の感磁部(81,82)からの出力信号の差分により、前記基板平面に対して平行、かつ前記第7及び第8の感磁部の感磁軸に垂直な軸方向の磁場成分に応じた信号を出力することを特徴とする。(図9;実施例4)
【0019】
また、請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明において、前記第6の磁気収束部と前記第7の感磁部とからなる配置パターンを前記第6の磁気収束部の短手方向の任意の軸に対して線対称な仮想パターンとして基板表面に対して平行にシフトさせると、前記第7の磁気収束部と前記第8の感磁部とからなる配置パターンと重なる関係にある配置パターンであることを特徴とする。
また、請求項に記載の発明は、基板平面に対して任意の軸方向の磁場を検知できるようにした磁気センサにおいて、前記基板平面に平行に配置された一方及び他方の感磁部と、該一方及び他方の感磁部の近傍かつ前記磁気センサを平面視したとき前記基板平面における前記一方及び他方の感磁部の長手方向に少なくとも一部が重なる位置に配置されている矩形状の磁気収束部とを備え、前記一方及び他方の感磁部は前記基板平面に対して平行であって、前記磁気収束部の短手方向に平行な同一の方向に感磁軸を持つ素子であり、前記一方及び他方の感磁部が、前記磁気センサを平面視したときに、前記磁気収束部の短手方向の中線が、前記一方及び他方の感磁部の一部と交差するように配置され、前記一方の感磁部からの出力信号及び他方の感磁部からの出力信号の差分により、前記基板平面に対して垂直方向の軸方向の磁場成分、または、前記基板平面に対して平行かつ前記感磁部の感磁軸に垂直な軸方向の磁場成分に応じた信号を出力する磁気センサであって、前記一方及び他方の感磁部が、第7及び第8の感磁部で、前記磁気収束部が、第6乃至第8の磁気収束部であり、前記第6の磁気収束部と前記第8の磁気収束部とが、前記第7の磁気収束部の長手方向の中線に対して線対称で、前記第6の磁気収束部が、前記第7の感磁部の長手方向に少なくとも一部が重なる位置に配置され、かつ前記第7の磁気収束部が、前記第8の感磁部の長手方向に少なくとも一部が重なる位置に配置され、前記第7の磁気収束部の短手方向の中線が前記第6及び第8の磁気収束部の中心同士を結ぶ仮想線分と平行で、かつ重ならず、前記第7及び第8の感磁部からの出力信号の差分により、前記基板平面に対して平行、かつ前記第7及び第8の感磁部の感磁軸に垂直な軸方向の磁場成分に応じた信号を出力することを特徴とする。
【0020】
また、請求項10に記載の発明は、請求項に記載の発明において、前記一方及び他方の感磁部が、第7及び第8の感磁部(81,82)で、前記磁気収束部が、第6乃至第8の磁気収束部(91,92,93)であり、前記第6の磁気収束部(91)と前記第8の磁気収束部(93)とが、前記第7の磁気収束部(92)の長手方向の中線(N1)に対して線対称で、前記第6の磁気収束部(91)が、前記第7の感磁部(81)の長手方向に少なくとも一部が重なる位置に配置され、かつ前記第7の磁気収束部(92)が、前記第8の感磁部(82)の長手方向に少なくとも一部が重なる位置に配置され、前記第7及び第8の感磁部(81,82)からの出力信号の差分により、前記基板平面に対して平行、かつ前記第7及び第8の感磁部の感磁軸に垂直な軸方向の磁場成分に応じた信号を出力し、前記第7の感磁部の出力信号をS7、前記第8の感磁部の出力信号をS8、前記第7及び第8感磁部の抵抗をR、X方向の磁場をBx(磁場変換効率a)、Y方向の磁場をBy(磁場変換効率b)、Z方向の磁場をBz(磁場変換効率c)とした場合に、前記差分回路が、S7=R+aBx+bBy−cBz S8=R+aBx−bBy−cBz S7−S8=2bByの演算をすることを特徴とする。
また、請求項11に記載の発明は、請求項1〜4、6〜8、10のいずれかに記載の発明において、前記仮想線分が、お互いに重なっていないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、一方及び他方の感磁部からの出力信号の差分により、基板平面に対して垂直方向の軸方向の磁場成分、又は感磁部の感磁軸に対して垂直かつ基板平面に対して平行方向の軸方向の磁場成分に応じた信号を出力することができるので、周囲の温度の影響を最小限に抑え、かつ、感磁軸方向以外の磁場を検知できる単軸の磁気センサを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】従来のGMR素子の動作原理を説明するための斜視図である。
図2図1の部分断面図である。
図3】従来のGMR素子の積層構造を説明するための構成図である。
図4】GMRのパターン形状を説明するための平面図である。
図5】(a),(b)は、本発明に係る磁気センサの実施例1を説明するための構成図である。
図6】(a),(b)は、本実施例1における差分回路の演算について説明するための構成図である。
図7】本発明に係る磁気センサの実施例2を説明するための構成図である。
図8】本発明に係る磁気センサの実施例3を説明するための構成図である。
図9】本発明に係る磁気センサの実施例4を説明するための構成図である。
図10】本発明における差分回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の磁気センサは、基板平面に対して任意の軸方向の磁場を検知できるようにした磁気センサである。各実施例で順次説明するように、基板平面に平行に配置された一方及び他方の感磁部21,22,41,42,61,62,81,82と、感磁部の近傍に配置された磁気収束部31,32,50,71,72,91,92とを備え、一方及び他方の感磁部21,22,41,42,61,62,81,82は、磁気センサを平面視したときに、磁気収束部31,32,50,71,72,91,92の短手方向の中線が一方及び他方の感磁部21,22,41,42,61,62,81,82の一部と交差するように配置されている。
【0024】
また、一方及び他方の感磁部21,22,41,42,61,62,81,82の中心同士を結ぶ仮想線分Mと、磁気収束部31,32,71,72,91,92の中心同士を結ぶ仮想線分Nとが平行又は磁気収束部50の長手方向の中線N1が垂直である。
このような構成により、一方及び他方の感磁部21,22,41,42,61,62,81,82からの出力信号の差分により、基板平面に対して垂直方向の軸方向の磁場成分、または、前記基板平面に対して平行かつ感磁部の感磁軸に垂直な軸方向の磁場成分に応じた信号を出力することができる。
【0025】
つまり、本発明は、2つのセンサの差分を取るだけで、温度特性による素子特性変化の影響がキャンセルされ、感磁部の感磁軸以外の方向の磁場を検出できる単軸磁気センサを実現することができる。
また、測定精度向上の観点から、磁気センサを平面視したとき、感磁部と磁気収束部が重なる面積が等しいことが好ましい。
以下に、図面を参照して具体的な各実施例について説明する。
【実施例1】
【0026】
図5(a),(b)は、本発明に係る磁気センサの実施例1を説明するための構成図で、図5(a)は上面図、図5(b)は図5(a)の断面図である。図中符号21は第1の感磁部、22は第2の感磁部、31は第1の磁気収束部、32は第2の磁気収束部を示している。なお、基板は図示していないが、その基板上には各々の感磁部21,22及び磁気収束部31,32が設けられている。
本実施例1の磁気センサは、基板平面に対して任意の軸方向の磁場を検知できるようにした磁気センサである。なお、基板平面とは基板の表面側の平面を意味している。
第1及び第2の感磁部21,22は、基板平面に平行に配置されている。また、第1及び第2の磁気収束部31,32は、第1及び第2の感磁部21,22の長手方向に少なくとも一部が重なる位置に配置されている。つまり、第1及び第2の磁気収束部31,32は、各々の対向する側において、第1及び第2の感磁部21,22の長手方向に少なくとも一部が重なる位置に配置されている。なお、対向する側とは、磁気センサを平面視したとき、基板平面に平行に配置された第1の磁気収束部31と第2の磁気収束部32の互いに対向する側を意味している。
【0027】
また、磁気センサを平面視したとき、第1及び第2の感磁部21,22と磁気収束部31,32の重なる面積が等しくなるように配置されている。
また、第1及び第2の感磁部21,22の中心同士を結ぶ仮想線分Mと、第1及び第2の磁気収束部31,32の中心同士を結ぶ仮想線分Nとが平行である。
このような構成により、第1及び第2の感磁部21,22からの出力信号の差分により、基板平面に対して垂直方向の軸方向の磁場成分に応じた信号を出力することができる。
また、本実施例1の磁気センサは、第1及び第2の感磁部21,22の出力が入力される差分回路(図示せず)を備えている。
【0028】
また、図5に示す磁気センサでは、仮想線分(M,N)は、お互いに重なっていないように構成されているが、本発明はこれに限定されず、重なっていてもよい。また、感磁部は、特定の方向に感磁軸を持つ素子であれば特に制限されず、例えば、巨大磁気抵抗素子(GMR)又はトンネル磁気抵抗素子(TMR)、異方性磁気抵抗素子(AMR)等を用いる。また、感磁部の短手方向の幅は、0.1〜20ミクロンであることが好ましい。
また、磁気収束部は、NiFe、NiFeB、NiFeCo、CoFeのいずれかの軟磁性材料からなることが好ましい。また、磁気収束部の厚みは、1〜40ミクロンであることが好ましい。
【0029】
図6(a),(b)は、本実施例1における差分回路の演算について説明するための構成図で、図6(a)は上面図、図6(b)は図6(a)の断面図である。図中符号21a,22aは感磁軸を示している。なお、図5(a),(b)と同じ機能を有する構成要素には同一の符号を付してある。
第1の感磁部21の出力信号をS1、第2の感磁部22の出力信号をS2、第1及び第2感磁部21,22の抵抗をR、X方向の磁場をBx(磁場変換効率a)、Z方向の磁場をBz(磁場変換効率c)とした場合に、差分回路は、
S1=R+aBx−cBz
S2=R+aBx+cBz
S2−S1=2cBz
の演算を行う。これにより、基板平面に対して垂直方向の軸方向の磁場成分(Z軸方向の磁場)を検出することができる。
【実施例2】
【0030】
図7は、本発明に係る磁気センサの実施例2を説明するための構成図で、図中符号41は第3の感磁部、42は第4の感磁部、50は第3の磁気収束部を示している。
第3の磁気収束部50は、第3及び第4の感磁部41,42との間に配置された単一の磁気収束部であり、この第3の磁気収束部50は、その両側部において、第3及び第4の感磁部41,42の長手方向に少なくとも一部が重なる位置に配置され、第3及び第4の感磁部41,42の中心同士を結ぶ仮想線分Mと、第3の磁気収束部50の長手方向の中線N1とが垂直である。
このような構成により、第3及び第4の感磁部41,42からの出力信号の差分により、基板平面に対して垂直方向の軸方向の磁場成分に応じた信号を出力することができる。
【0031】
第3の感磁部41の出力信号をS3、第4の感磁部42の出力信号をS4、第3及び第4感磁部41,42の抵抗をR、X方向の磁場をBx(磁場変換効率a)、Z方向の磁場をBz(磁場変換効率c)とした場合に、差分回路は、
S3=R+aBx+cBz
S4=R+aBx−cBz
S3−S4=2cBz
の演算を行う。これにより、基板平面に対して垂直方向の軸方向の磁場成分(Z軸方向の磁場)を検出することができる。
【実施例3】
【0032】
図8は、本発明に係る磁気センサの実施例3を説明するための構成図で、図中符号61は第5の感磁部、62は第6の感磁部、71は第5の磁気収束部、72は第6の磁気収束部を示している。なお、基板は図示していないが、その基板上には各々の感磁部61,62及び磁気収束部71,72が設けられている。
本実施例3の磁気センサは、基板平面に対して任意の軸方向の磁場を検知できるようにした磁気センサである。なお、基板平面とは基板の表面側の平面を意味している。
第1及び第2の磁気収束部71,72は、対向する側と反対側において、第5及び第6の感磁部61,62の長手方向に少なくとも一部が重なる位置に配置されている。なお、対向する側とは、磁気センサを平面視したとき、基板平面に平行に配置された第5の磁気収束部71と第6の磁気収束部72の互いに対向する側を意味している。
このような構成により、第5及び第6の感磁部61,62からの出力信号の差分により、基板平面に対して垂直方向の軸方向の磁場成分に応じた信号を出力することができる。
【0033】
第5の感磁部61の出力信号をS5、第6の感磁部62の出力信号をS6、第5及び第6感磁部61,62の抵抗をR、X方向の磁場をBx(磁場変換効率a)、Z方向の磁場をBz(磁場変換効率c)とした場合に、差分回路は、
S5=R+aBx+cBz
S6=R+aBx−cBz
S5−S6=2cBz
の演算を行う。これにより、基板平面に対して垂直方向の軸方向の磁場成分(Z軸方向)の磁場を検出することができる。
【実施例4】
【0034】
図9は、本発明に係る磁気センサの実施例4を説明するための構成図で、図中符号81は第7の感磁部、82は第8の感磁部、91は第6の磁気収束部、92は第7の磁気収束部、93は第8の磁気収束部を示している。
第6の磁気収束部91と第8の磁気収束部93とは、第7の磁気収束部92の長手方向の中線N1に対して線対称である。また、第6の磁気収束部91が、第7の感磁部81の長手方向に少なくとも一部が重なる位置に配置され、かつ第7の磁気収束部92が、第8の感磁部82の長手方向に少なくとも一部が重なる位置に配置されている。
【0035】
また、第6の磁気収束部91と第7の感磁部81とからなる配置パターンと、第7の磁気収束部92と第8の感磁部82とからなる配置パターンとが、前記第6の磁気収束部の短手方向の任意の軸に対して線対称ある。図9においては、また、第6の磁気収束部91と第7の感磁部81とからなる配置パターンを、前記第7の感磁部81の短手方向かつ該第7の感磁部81の中心を通る軸Pに対して線対称な仮想パターンとしてX軸方向にシフトすると、第7の磁気収束部92と第8の感磁部82とからなる配置パターンと重なるように配置されている。
【0036】
また、第7の磁気収束部92の短手方向の中線N2が第6及び第8の磁気収束部91,93の中心同士を結ぶ仮想線分Nと平行で、かつ重ならないように構成されている。また、第7、第8の感磁部の中心を通る線Pは、第6及び第8の磁気収束部91,93の中心同士を結ぶ仮想線分Nと平行で、かつ重ならないように構成されている。
このような構成により、第7及び第8の感磁部81,82からの出力信号の差分により、基板平面に対して平行、かつ第7及び第8の感磁部81,82の感磁軸に垂直な軸方向の磁場成分に応じた信号を出力することができる。
【0037】
第7の感磁部81の出力信号をS7、第8の感磁部82の出力信号をS8、第7及び第8感磁部81,82の抵抗をR、X方向の磁場をBx(磁場変換効率a)、Y方向の磁場をBy(磁場変換効率b)、Z方向の磁場をBz(磁場変換効率c)とした場合に、差分回路は、
S7=R+aBx+bBy−cBz
S8=R+aBx−bBy−cBz
S7−S8=2bBy
の演算を行う。これにより、前記基板平面に対して平行かつ感磁部の感磁軸に垂直な軸方向の磁場成分(Y軸方向の磁場)を検出することができる。
上述した各実施例における差分回路は、2つの入力の差に応じた信号を出力するものであればよく、アナログ回路で実現する場合は、例えば、図10に示す様な差動増幅回路(Vout=R2(V1−V2)/R1)を用いることが出来るが、本発明はこれに限定されない。
【0038】
以上のように、本発明の磁気センサによれば、一方及び他方の感磁部からの出力信号の差分により、基板平面に対して垂直方向の軸方向の磁場成分、又は感磁部の感磁軸に対して垂直かつ基板平面に対して平行方向の軸方向の磁場成分に応じた信号を出力することができるので、周囲の温度の影響を最小限に抑え、かつ、感磁軸方向以外の磁場を検知できる単軸の磁気センサを実現することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 反強磁性層
2 ピンド層(固定層)
3 Cu層(スペーサ層)
4 フリー層(自由回転層)
11,16 層
12 フリー層(自由回転層)
13 導電層
14 ピンド層(固定層)
15 反強磁性層
21 第1の感磁部
22 第2の感磁部
31 第1の磁気収束部
32 第2の磁気収束部
21a,22a 感磁軸
41 第3の感磁部
42 第4の感磁部
50 第3の磁気収束部
61 第5の感磁部
62 第6の感磁部
71 第5の磁気収束部
72 第6の磁気収束部
81 第7の感磁部
82 第8の感磁部
91 第6の磁気収束部
92 第7の磁気収束部
93 第8の磁気収束部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10