(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6321331
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】複合シート、その製造方法及びこれを含むディスプレイ基板
(51)【国際特許分類】
C08J 5/04 20060101AFI20180423BHJP
B32B 5/28 20060101ALI20180423BHJP
C08L 83/05 20060101ALI20180423BHJP
C08L 83/07 20060101ALI20180423BHJP
【FI】
C08J5/04CFH
B32B5/28 Z
C08L83/05
C08L83/07
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-122603(P2013-122603)
(22)【出願日】2013年6月11日
(65)【公開番号】特開2013-256661(P2013-256661A)
(43)【公開日】2013年12月26日
【審査請求日】2016年4月27日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0062916
(32)【優先日】2012年6月12日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514278061
【氏名又は名称】サムスン エスディアイ カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】林 成▲翰▼
(72)【発明者】
【氏名】金 榮權
(72)【発明者】
【氏名】崔 碩元
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲尚▼杰
(72)【発明者】
【氏名】▲鄭▼ 殷煥
(72)【発明者】
【氏名】李 雨晋
【審査官】
増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭52−063495(JP,A)
【文献】
特表2008−530340(JP,A)
【文献】
特開2008−201971(JP,A)
【文献】
特開昭62−013453(JP,A)
【文献】
特開2011−068787(JP,A)
【文献】
特表2009−503230(JP,A)
【文献】
特公昭49−006160(JP,B1)
【文献】
特開平05−051873(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 5/04
B32B 5/28
C08L 83/05
C08L 83/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリックス;及び
前記マトリックス内に含浸された補強材;
を含む複合シートであり、
下記数式1による350℃における質量変化率(△W)が98%以上であり、100μNで測定した緩和弾性率が1000MPa以下であることを特徴とし:
【数1】
(式中、Waは50mgのサンプルを熱重量分析(TGA/DSC1)を用いて25℃〜350℃までの温度区間を5℃/分の条件で窒素雰囲気下において昇温した後で測定したサンプルの質量、Wbは25℃でのサンプルの初期質量である)
前記マトリックスは、環状シロキサンと直鎖の末端ビニル基含有ポリシロキサンの反応物を含み、前記直鎖の末端ビニル基含有ポリシロキサンは、下記式2で表される化合物
であって、前記環状シロキサンと前記直鎖の末端ビニル基含有ポリシロキサンのモル当量比は、0.5:1〜2.5:1であることを特徴とする、複合シート:
【化1】
(式2で、R
1及びR
2は、それぞれ独立して水素、炭素数1〜5の置換若しくは非置換アルキル基又は炭素数6〜12の置換若しくは非置換アリール基で、pは1〜20の整数で、qは0〜20の整数である)。
【請求項2】
前記環状シロキサンは、下記式1で表される化合物を含むことを特徴とする、請求項1に記載の複合シート:
【化2】
(式1で、R
1、R
2、及びR
3は、それぞれ独立して水素、炭素数1〜5の置換若しくは非置換アルキル基又は炭素数6〜12の置換若しくは非置換アリール基で、n及びmはそれぞれ0〜6の整数で、n+mは3〜6の整数である)。
【請求項3】
550nm波長における透過度が90%以上である、請求項1に記載の複合シート。
【請求項4】
ASTM D522による耐屈曲性が5mm未満であり、熱膨張係数(CTE)が10ppm/K未満である、請求項1に記載の複合シート。
【請求項5】
前記補強材は、ガラス繊維布(glass fiber cloth)、ガラス織物(glass fibric)、ガラス不織布及びガラスメッシュ(glass mesh)からなる群から選ばれる1種以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載の複合シート。
【請求項6】
環状シロキサンと直鎖の末端ビニル基含有ポリシロキサンを含むマトリックス用組成物を製造し;
前記マトリックス用組成物に補強材を含浸し硬化させることを含む、複合シートの製造方法であって、
前記直鎖の末端ビニル基含有ポリシロキサンは、下記式2で表される化合物
であって、前記環状シロキサンと前記直鎖の末端ビニル基含有ポリシロキサンのモル当量比は、0.5:1〜2.5:1であることを特徴とする、方法:
【化3】
(式2で、R
1及びR
2は、それぞれ独立して水素、炭素数1〜5の置換若しくは非置換アルキル基又は炭素数6〜12の置換若しくは非置換アリール基で、pは1〜20の整数で、qは0〜20の整数である)。
【請求項7】
前記環状シロキサンは、下記式1で表される化合物を含むことを特徴とする、請求項
6に記載の方法:
【化4】
(式1で、R
1、R
2、及びR
3は、それぞれ独立して水素、炭素数1〜5の置換若しくは非置換アルキル基又は炭素数6〜12の置換若しくは非置換アリール基で、n及びmはそれぞれ0〜6の整数で、n+mは3〜6の整数である)。
【請求項8】
請求項1に記載の複合シートを含むディスプレイ基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合シート、その製造方法及びこれを含むディスプレイ基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガラス基板は、耐熱性及び透明性に優れ、線膨張係数が低い。よって、ガラス基板は液晶表示装置や有機EL表示装置用基板、カラーフィルタ基板、太陽電池基板等に広く使われてきた。しかし、ガラス基板は厚い厚さと重い重量により液晶表示装置の薄型化および軽量化に限界があり、耐衝撃に脆弱だという問題点がある。また、ガラス素材の脆性によってディスプレイ用基板として使用するには適していない。
【0003】
これにより、プラスチック光学フィルム素材のディスプレイ基板が従来のガラス基板を代替する素材として脚光を浴びている。しかし、プラスチック光学フィルム素材は熱膨張係数が高いだけでなく、剛性に劣るという問題がある。よって、高分子材料であるマトリックス樹脂にガラスファイバー又はガラスクロスを含む補強材を含浸させることにより、剛性を補完すると共に透明基板を製作する方法が用いられている。
【0004】
近年、ゴム状素材を用いて補強材との含浸工程を通じて低熱膨張係数の透明基板を製造する方法が提示された。このような素材のうち直鎖のポリオルガノシロキサン樹脂が脚光を浴びている。直鎖のポリオルガノシロキサン樹脂で作られた透明基板の場合、透明性、柔軟性等の基板としての物性が非常に優れ、軽量性に優れる。また、直鎖のポリオルガノシロキサン樹脂は、硬化性に優れ、化学的安定性等の様々な長所を有するため、産業的に応用されているが、250℃以上の温度では揮発性を有する環状構造のシクロトリシロキサンを形成しながら分解することで知られているため、基板素材としての適用に限界がある。
【0005】
このような問題を解決するために、シリコーン樹脂の熱安定性を増加させようとする試みが現在まで行われている。例えば、特許文献1には、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンと1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン(1,3,5,7−tetravinyl−1,3,5,7−tetramethylcyclotetrasiloxane)とを反応させて耐熱性が増加したシリコーン樹脂が開示されている。また、特許文献2には、1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンと1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン(1,4−bis(dimethylsilyl)benzene)とを反応させて耐熱性が増加したシリコーン樹脂が開示されている。
【0006】
しかし、このような特許に表されているシリコーン樹脂は、耐熱性が増加した代わりに柔軟性が減少し、脆くなるという短所がある。シリコンマトリックスの架橋程度が増加するにつれシクロトリシロキサンの形成は阻害されるが、シリコーン樹脂自体の物性がゴム状からガラス状に変化するためである。
【0007】
よって、耐熱性に優れると共に柔軟性と機械的性質に優れ、光学特性に優れてディスプレイ基板に適した新たな素材の開発が必要な実情にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−298606号公報
【特許文献2】US2009/0069525
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、耐熱性と熱安定性に優れ、基板素材としての適した機械的性質を有し、柔軟性と機械的性質に優れ、光学特性に優れることからディスプレイ基板に適し、小型化、薄型化、軽量化、及び低価格化の実現が可能な複合シートと、機械的性質の調節が容易な複合シートの製造方法及び前記複合シートを用いたディスプレイ基板を提供する。
【0010】
本発明の複合シートは、350℃以上の高温環境で環変形及び熱分解が抑制されるため、基板製作時の高温工程で発生し得る材料の不良を改善できる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の態様の一つは、複合シートに関するものである。前記複合シートは、マトリックス;及びマトリックス内に含浸された補強材を含み、前記複合シートは、下記数式1による350℃における質量変化率(△W)が98%以上で、100μNで測定した緩和弾性率が1000MPa以下であることを特徴とする:
【数1】
(式中、Waは50mgのサンプルを熱重量分析(TGA/DSC1)を用いて25℃〜350℃までの温度区間を5℃/分の条件で窒素雰囲気下において昇温した後で測定したサンプルの質量、Wbは25℃でのサンプルの初期質量である)。
【0012】
一実施形態において、マトリックスは環状シロキサンを含むシリコーン系樹脂を含み得る。
【0013】
別の実施形態において、マトリックスは環状シロキサンと直鎖の末端ビニル基含有ポリシロキサンの反応物を含み得る。
【0014】
環状シロキサンは、下記式1で表すことができる:
【化1】
(式1で、R
1、R
2、及びR
3は、それぞれ独立して水素、炭素数1〜5の置換若しくは非置換されたアルキル基又は炭素数6〜12の置換若しくは非置換されたアリール基で、n及びmはそれぞれ0〜6の整数で、n+mは3〜6の整数である)。
【0015】
直鎖の末端ビニル基含有ポリシロキサンは、下記式2で表すことができる:
【化2】
(式2で、R
1及びR
2は、それぞれ独立して水素、炭素数1〜5の置換若しくは非置換されたアルキル基又は炭素数6〜12の置換若しくは非置換されたアリール基で、pは1〜20の整数で、qは0〜20の整数である)。
【0016】
環状シロキサンと直鎖の末端ビニル基含有ポリシロキサンのモル当量比は、0.5:1〜2.5:1になり得る。
【0017】
複合シートは、下記数式1による350℃における質量変化率(△W)が98%以上になり得る。
【0018】
【数2】
(式中、Waは50mgのサンプルを熱重量分析(TGA/DSC1)を用いて25℃〜350℃までの温度区間を5℃/分の条件で窒素雰囲気下において昇温した後で測定したサンプルの質量、Wbは25℃でのサンプルの初期質量である)。
【0019】
複合シートは、550nm波長における透過度が90%以上になり得る。
【0020】
複合シートは、ASTM D522による耐屈曲性が5mm未満で、熱膨張係数(CTE)が10ppm/K未満になり得る。
【0021】
補強材は、ガラス繊維布(glass fiber cloth)、ガラス織物(glass fibric)、ガラス不織布及びガラスメッシュ(glass mesh)からなる群から選ばれる1種以上を含み得る。
【0022】
本発明の別の態様は、複合シートの製造方法に関するものである。前記方法は、環状シロキサンと直鎖の末端ビニル基含有ポリシロキサンを含むマトリックス用組成物を製造し;そして前記マトリックス用組成物に補強材を含浸し硬化させることを含む。
【0023】
本発明のまた別の態様は、前記複合シートを含むディスプレイ基板に関するものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明の複合シートは、マトリックス;及び前記マトリックス内に含浸された補強材を含み、前記複合シートは、下記数式1による350℃における質量変化率(△W)が98%以上で、100μNで測定した緩和弾性率が10〜200MPaであることを特徴とする。前記複合シートは、350℃以上の高温環境で環変形及び熱分解が抑制されるため、基板製作時の高温工程で発生し得る材料の不良を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施形態に係る複合シートの断面図を概略的に示したものである。
【
図2】環状シロキサンと直鎖の末端ビニル基含有ポリシロキサンが結合した形態を概略的に図示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係る複合シートの断面を概略的に示したものである。
図1によると、本発明の一実施形態に係る複合シート10はマトリックス1内に補強材2が含まれた構造からなっている。
図1は、補強材2が層構造として含まれている場合を示しているが、本発明はそれに限られるものではない。補強材は、支持体としてのマトリックスに含浸されて内部に存在し得る。図には示されていないが、補強材2はマトリックス1に分散しているか、 織り込まれた形態で含浸され得、マトリックス1に一方向(Uni-direction)に配列されて含浸されることもあり得る。補強材2は単一層或いは複数層として形成され得る。
【0027】
前記マトリックスは環状シロキサンを含むシリコーン樹脂を含み得る。
【0028】
一実施形態において、マトリックスは環状シロキサンと直鎖の末端ビニル基含有ポリシロキサンの反応物を含み得る。
【0029】
一実施形態において、複合シートは環状シロキサンと直鎖の末端ビニル基含有ポリシロキサンを含むマトリックス用組成物を製造し;そして前記マトリックス用組成物に補強材を含浸し、硬化させて製造できる。
【0030】
図2は、本発明の環状シロキサンと直鎖の末端ビニル基含有ポリシロキサンが結合された形態を概略的に示したものである。環状シロキサンの水素と直鎖の末端ビニル基含有ポリシロキサン中のビニル基が反応して結合し、
図2に示したように環状シロキサン(A)間に直鎖の末端ビニル基含有ポリシロキサン(B)が連結された構造を有するようになる。
【0031】
環状シロキサンは、下記式1で表すことができる:
【化3】
(式1で、R
1、R
2、及びR
3は、それぞれ独立して水素、炭素数1〜5の置換若しくは非置換されたアルキル基又は炭素数6〜12の置換若しくは非置換されたアリール基で、n及びmはそれぞれ0〜6の整数で、n+mは3〜6の整数である)。
【0032】
一実施形態において、mが0の場合、R
1及びR
2のいずれかは水素になり得る。
【0033】
本明細書において「置換された」は、少なくとも1つの水素原子が、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボニル基、チオール基、エステル基、エーテル基、カルボキシル基またはその塩、スルホン酸基またはその塩、ホスフェート基またはその塩、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、炭素数3〜30のシクロアルキル基、炭素数3〜30のシクロアルケニル基、炭素数3〜30のシクロアルキニル基またはこれらの組み合わせで置換されたことを意味する。
【0034】
環状シロキサンの具体的な例としては、テトラメチルシクロテトラシロキサン、テトラエチルシクロテトラシロキサン、テトラプロピルシクロテトラシロキサン、テトラブチルシクロテトラシロキサン、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、ペンタエチルシクロペンタシロキサン、ヘキサメチルシクロヘキサシロキサン等が使用できる。
【0035】
直鎖の末端ビニル基含有ポリシロキサンは、末端にビニル基を含有する直鎖の構造のシロキサンであり、当量比を満たす範囲内で可能である。例えば、マトリックス中25〜50モル%含有できる。前記範囲で硬化効率が高く、硬化後に弾性を有することができる。
【0036】
一実施形態において、直鎖の末端ビニル基含有ポリシロキサンは、下記式2で表すことができる:
【化4】
(式2で、R
1及びR
2は、それぞれ独立して水素、炭素数1〜5の置換若しくは非置換されたアルキル基又は炭素数6〜12の置換若しくは非置換されたアリール基で、pは1〜20の整数で、qは0〜20の整数である)。
【0037】
直鎖の末端ビニル基含有ポリシロキサンの具体的な例としては、DMS−V03、V05、V21(Gelest,Inc.により製造されたビニル末端ポリジメチルシロキシシラン)等が使用できる。
【0038】
一実施形態において、直鎖の末端ビニル基含有ポリシロキサンの重量平均分子量は100〜10,000g/molになり得る。前記範囲で優れた熱安定性と透過度及び耐屈曲性を得ることができる。好ましくは、直鎖の末端ビニル基含有ポリシロキサンの重量平均分子量は200〜5,000g/mol、より好ましくは300〜1,000g/mol、最も好ましくは350〜700g/molになり得る。重量平均分子量はGPC(Gel permeation Chromatography)法で測定された値である。
【0039】
本発明では、直鎖の末端ビニル基含有ポリシロキサンの分子量調節により機械的性質を調節できる。
【0040】
一実施形態において、環状シロキサンと直鎖の末端ビニル基含有ポリシロキサンのモル当量比は0.5:1〜2.5:1になり得る。前記範囲で硬化効率が高い。好ましくは1.0:1〜2.0:1である。モル当量比は、ビニル基のモル数に対する環状シロキサンのSi−H基のモル数のモル比である。
【0041】
マトリックス組成物は、必要に応じて触媒と抑制剤等の通常の添加剤をさらに含むことができる。
【0042】
補強材は、ガラス繊維布(glass fiber cloth)、ガラス織物(glass fibric)、ガラス不織布及びガラスメッシュ(glass mesh)からなる群から選ばれる1種以上を含むことができる。好ましくはガラス繊維布を使用できる。
【0043】
補強材は、マトリックスとの屈折率の差が0.01以下になり得る。前記範囲内で、優れた透明性と透光性を有することができる。好ましくは、マトリックスとの屈折率の差が0.0001〜0.007になり得る。
【0044】
マトリックス用組成物に補強材を含浸させた後、離型処理されたフィルム間に入れ、ラミネーション(lamination)し、硬化させて製造できる。
【0045】
本発明の複合シートにおいてマトリックスと補強材は70:30〜95:5の質量比、好ましくは80:20〜90:10の質量比で含むことができる。前記範囲で、ディスプレイ基板に適した複合シートの物性を有することができる。
【0046】
本明細書において「含浸」は、補強材がマトリックス内に単層または複層構造で形成されたものを含み得る。
【0047】
硬化は、40℃〜120℃、好ましくは50℃〜100℃で、0.1分〜10時間、好ましくは30分〜5時間行うことができる。前記範囲において、マトリックスと補強材の十分な硬化を確保しながら、機械的強度を高めることができる。
【0048】
本発明の複合シートの厚さは15μm〜200μmになり得る。前記範囲で、ディスプレイ基板用途の複合シートとして使用できる。
【0049】
一実施形態において、マトリックスのガラス転移温度は−40℃〜−20℃になり得る。この場合、ディスプレイ用途として使用する際、作動温度範囲である常温〜80℃で、柔軟性と剛性に優れ、熱膨張係数が小さいという長所がある。
【0050】
本発明の複合シートは、下記数式1による350℃における質量変化率(△W)が98%以上、例えば98.5〜99.9%になり得る:
【数3】
(式中、Waは50mgのサンプルを熱重量分析(TGA/DSC1)を用いて25℃〜350℃までの温度区間を5℃/分の条件で窒素雰囲気下において昇温した後で測定したサンプルの質量、Wbは25℃でのサンプルの初期質量である)。
【0051】
複合シートは、100μNで測定した緩和弾性率が1000MPa以下になり得る。 例えば10〜200MPa、20〜150MPa、一実施形態では20〜100MPaになり得る。
【0052】
また、複合シートは、550nm波長での透過度が90%以上、好ましくは90〜99%になり得る。
【0053】
複合シートは、ASTM D522による耐屈曲性が5mm未満、例えば0.1〜3.5mmで、熱膨張係数(CTE)が10ppm/K未満、例えば0.1〜5ppm/Kになり得る。
【0054】
別の実施形態では、複合シートは少なくとも一面に平滑層、ガスバリア層等をさらに形成できる。これらの形成方法は、本発明の属する分野における通常の知識を有する者によって容易に形成できる。
【0055】
本発明のまた別の態様は、複合シートを含むディスプレイ基板に関するものである。ディスプレイ基板は、液晶表示装置(LCD)用基板、カラーフィルタ(color filter)用基板、有機EL表示装置用基板、太陽電池用基板、タッチスクリーンパネル(touch screen panel)用基板等のディスプレイ又は光学素子の用途として用いることができる。
【0056】
以下、本発明の好ましい実施例を通じて本発明の構成及び作用をより詳しく説明する。但し、これは本発明の好ましい例示として提示するものであり、如何なる意味でもこれによって本発明が制限されると解釈してはならない。
【0057】
ここに記載していない内容は、当業者であれば十分に技術的に類推できるもののため、その説明は省略する。
【実施例】
【0058】
実施例1
テトラメチルシクロテトラシロキサンを直鎖のビニル末端ポリオルガノシロキサンであるDMS−V03(Gelest Inc.,MW500,DP5)と2:1の当量比で混合した後、ボルテックスミキサーを用いてよく混ぜ合わせた。前記混合物をD−glass系ガラス繊維(Nittobo社製造,製品名3313)に含浸した後、離型処理がされたガラス基板間に入れ、粘度が増加するまで常温で24時間放置した。その後、上段面をガラス基板で覆い、ラミネーターを用いて余分な樹脂を除去し、100℃のオーブンで4時間熱硬化して透明なシリコーン複合シートを生成した。
【0059】
実施例2
ビニル末端ポリオルガノシロキサンとして、DMS−V03の代わりにDMS−V05(Gelest Inc.,MW800,DP9)を使用したことを除いて、実施例1と同様に行った。
【0060】
実施例3
ビニル末端ポリオルガノシロキサンとして、DMS−V03の代わりにDMS−V21(Gelest Inc.,MW6000,DP65)を使用したことを除いて、実施例1と同様に行った。
【0061】
比較例1
Dow Corning社で製造したポリオルガノシロキサンであるSylgard184 AパートとBパートを1:10の質量比で混合した後、ボルテックスミキサーを用いてよく混ぜ合わせた。前記混合物をE−glass系ガラス繊維(Nittobo社製造,製品名3313)に含浸した後、離型処理がされたガラス基板間に入れ、ラミネーターを用いて余分な樹脂を除去した後、100℃のオーブンで4時間熱硬化して透明なシリコーン複合シートを生成した。
【0062】
比較例2
ビニル末端ポリオルガノシロキサンとして、テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサンを使用したことを除いて、実施例1と同様に行った。
【0063】
実施例と比較例で製造した複合シートに対して、下記の物性を評価し、その結果を表1に示した。
【0064】
物性評価方法
(1)熱安定性:Mettler toledo社のTGA/DSC1 Thermogravimetric Analysisを用いて50mgのサンプルをロードした後、25℃〜350℃の温度区間を5℃/分の条件で窒素雰囲気下において昇温し、質量減量を測定した。初期質量と、250℃の場合、300℃の場合、及び350℃の場合のそれぞれに対して質量を測定し、下記数式によって質量変化率(△W)を求めた。
【数4】
(式中、Waは50mgのサンプルを熱重量分析(TGA/DSC1)を用いて25℃〜350℃までの温度区間を5℃/分の条件で窒素雰囲気下において昇温した後で測定したサンプルの質量、Wbは25℃でのサンプルの初期質量である)。
【0065】
(2)緩和弾性率:Hysitron社のTriboindentorを用いて室温で100μN Force−control modeで測定した。(単位:MPa)
【0066】
(3)透過度[%]:UV−Vis spectrometer(JASCO instrument V−550)を用いて550nm波長での透過度(%)を評価した。
【0067】
(4)耐屈曲性[mm]:ASTM D522によって直径0.5〜10mmのSUS材質の円筒に1cm幅に切断した複合シートを巻き付けた後、1kgの力を1分間加え、顕微鏡で複合シートの破損有無を観察し耐屈曲性を測定した。
【0068】
(5)CTE[ppm/K]:TA社のThermomechanical Analyzer model Q400を用いて引張モードで−10〜300℃の区間を5℃/分の速度で測定してCTEを測定した。
【0069】
【表1】
【0070】
表1に示したように、実施例1〜3は熱安定性と透過度、耐屈曲性及び熱膨張係数が全て優れていることが分かる。それに比べて比較例1は、熱安定性と透過度が劣り、耐屈曲性も良くないことが分かる。直鎖の末端ビニル基含有ポリシロキサンの代わりに環状シロキサンを適用した比較例2の場合、熱安定性は優れたが透過度と耐屈曲性が劣り、特に熱膨張係数が高いためディスプレイ基板には適さないことが確認できる。
【0071】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は実施例に限定されるのではなく、相違する多様な形態に製造でき、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須的な特徴を変更せずに他の実施形態で実施できるということを理解できると考える。そのため、以上で記述した実施例は、全ての面において例示的なものであり、限定的なものではないことを理解しなければならない。