(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6321335
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】バッテリシステムを制御する方法、バッテリシステム、および、車両
(51)【国際特許分類】
H02J 1/00 20060101AFI20180423BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20180423BHJP
【FI】
H02J1/00 306L
H02J7/00 302A
H02J7/00 Y
H02J1/00 309R
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-153303(P2013-153303)
(22)【出願日】2013年7月24日
(65)【公開番号】特開2014-27870(P2014-27870A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2016年7月25日
(31)【優先権主張番号】10 2012 213 057.8
(32)【優先日】2012年7月25日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501125231
【氏名又は名称】ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000981
【氏名又は名称】アイ・ピー・ディー国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ザルツィガー、ヤン
(72)【発明者】
【氏名】アンジツェック、ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】リッシェン、ヨアヒム
【審査官】
永井 啓司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−211900(JP,A)
【文献】
特開2008−113484(JP,A)
【文献】
特開2005−354789(JP,A)
【文献】
特開2009−038925(JP,A)
【文献】
特開2008−022675(JP,A)
【文献】
特開平10−191639(JP,A)
【文献】
特開2008−178286(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J1/00−1/16
7/00−7/12
7/34−7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのバッテリセル(102)と、少なくとも1つの前記バッテリセル(102)に接続された高電圧ネットワーク(104)であって、少なくとも1つのプリチャージ抵抗(114)を有するプリチャージ回路を備えた前記高電圧ネットワーク(104)と、特定の容量を有する中間回路コンデンサ(108)備えた構成要素(106)と、を有するバッテリシステム(100)を制御する方法(400;500)であって、
前記方法(400;500)は、少なくとも、
‐充電の前に、前記中間回路コンデンサ(108)の第1の電圧を測定する工程と(402)、
‐前記中間回路コンデンサ(108)を充電する工程と(404;512)、
‐前記充電の後に、前記中間回路コンデンサ(108)の第2の電圧を測定する工程と(406)、
を有する、前記方法(400;500)において、
‐前記第1の電圧と前記第2の電圧とから電圧差を形成する工程(408)と、
‐前記中間回路コンデンサ(108)における前記電圧差に基づいて、および、前記中間回路コンデンサ(108)の前記容量に基づいて、前記プリチャージ抵抗(114)により受け取られたエネルギーを定める工程(410;514)と、
を有することを特徴とする、方法(400;500)。
【請求項2】
前記方法は、
‐最悪の場合に前記プリチャージ抵抗(114)により受け取られるエネルギーW
W.C.を、以下の数式にしたがって定める工程(506)
をさらに含む、請求項1に記載の方法(400;500)。
【数1】
ただし、
U
Batterieは、バッテリ電圧であり、
R
vは、プリチャージ抵抗のオーム抵抗であり、
tは、前記エネルギーが受け取られる時間
【請求項3】
前記方法は、
‐前記プリチャージ抵抗(114)により放出される熱エネルギーを定める工程(504)
をさらに含む、請求項1または2に記載の方法(400;500)。
【請求項4】
前記方法は、
‐前記プリチャージ抵抗(114)の熱負荷耐性に基づいて、および、前記プリチャージ抵抗(114)により放出される前記熱エネルギーに基づいて、前記プリチャージ抵抗(114)について、所定期間に渡る最大電力を設定する工程
をさらに含む、請求項3に記載の方法(400;500)。
【請求項5】
前記方法は、
‐前記中間回路コンデンサ(108)の充電曲線を予測する工程
をさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法(400、500)。
【請求項6】
前記方法は、
‐前記中間回路コンデンサ(108)の前記充電曲線を測定する工程と、
‐前記予測された充電曲線と、前記測定された充電曲線とを比較する工程と、
をさらに含む、請求項5に記載の方法(400;500)。
【請求項7】
前記方法は、
‐予測された充電曲線と測定された充電曲線とが一致しない場合に故障と確定する工程
をさらに含む、請求項6に記載の方法(400;500)。
【請求項8】
前記方法は、
‐放電リレー(116)と放電抵抗(118)とを備える放電回路を介して、前記中間回路コンデンサ(108)を放電させる工程、
をさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法(400;500)。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法(400、500)を実行するよう構成されたバッテリ管理ユニット(120)を有する、バッテリシステム(100)。
【請求項10】
少なくとも1つのバッテリセル(102)と、
少なくとも1つの前記バッテリセル(102)に接続された高電圧ネットワーク(104)であって、前記高電圧ネットワーク(104)は、駆動接触器(110)と、充電接触器(112)および充電抵抗(114)から成る直列回路とを有するプリチャージ回路を備え、前記直列回路は、前記駆動接触器(110)と並列に接続される、前記高電圧ネットワーク(104)と、
中間回路コンデンサ(108)と、放電リレー(116)および当該放電リレー(116)に対して直列に接続された放電抵抗(118)を備える放電回路とを備える構成要素(106)であって、前記プリチャージ回路と前記構成要素(106)とは、前記少なくとも1つのバッテリセル(102)について直列回路を形成し、前記放電回路は、前記中間回路コンデンサ(108)に並列に接続される、前記構成要素(106)と、
を有する、請求項9に記載のバッテリシステム(100)。
【請求項11】
請求項9または10に記載のバッテリシステム(100)を備えた車両において、前記バッテリシステム(100)は、前記車両の駆動システムと接続される、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリシステムを制御する方法、本方法を実行するよう構成されたバッテリ管理ユニットを有するバッテリシステム、および、バッテリシステムを有する車両に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車および電気自動車では、バッテリパックが接触器によって、駆動部、補助発電機、充電プラグ等の他の車両構成要素と接続される。これらの車両構成要素は、単相もしくは多相の交流電圧またはパルス状の直流電圧をバッテリ電圧から形成する装置を介して、電力供給されることが多い。その際発生するピーク負荷のために、このような装置には、電気的な蓄電装置、通常ではコンデンサが設けられる。このようなコンデンサは大抵容量が大きく、中間回路コンデンサとも呼ばれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
車両構成要素が接続される場合には、最初に、中間回路コンデンサが充電され、引き続いて、車両構成要素自体が作動される。このような中間回路コンデンサの充電は、通常では、プリチャージ回路を用いて実現される。その際に、急速充電によって、給電線内、プリチャージ回路の構成要素内、および、中間回路コンデンサ内で大電流が発生する。この大電流は、これら構成要素の寿命を縮める可能性がある。ゆっくりとした充電は、構成要素を痛めないが、車両構成要素を作動できるまで、対応してより長い時間が必要となる。
【0004】
独国特許出願公開第102010038892号明細書にはさらに、プリチャージ抵抗の現在の温度を推定するために、プリチャージ回路の動作データを収集する監視ユニットが記載されている。このために、監視ユニットは、プリチャージ抵抗に接して配置された温度センサを利用せず、プリチャージ抵抗を通って流れる電流と、バッテリ電圧と、時間単位ごとの作動プロセスの数と、作動プロセスの長さと、周囲温度と、を測定し、これに基づいて現在の温度を推定する。現在の温度が閾値を超えている場合には、プリチャージ抵抗は過熱状態にある可能性があり、もはや駆動させてはならない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に基づいて、バッテリシステムを制御する方法が提供される。バッテリシステムは、少なくとも1つのバッテリセルと、少なくとも1つのバッテリセルに接続された高電圧ネットワークであって、少なくとも1つのプリチャージ抵抗を有するプリチャージ回路を備えた上記高電圧ネットワークを備える。バッテリシステムは、特定の容量を有する中間回路コンデンサを有する構成要素をさらに備える。本方法は、少なくとも以下の工程を有する。すなわち、充電の前に、中間回路コンデンサの第1の電圧を測定する工程と、中間回路コンデンサを充電する工程と、充電の後に、中間回路コンデンサの第2の電圧を測定する工程と、第1の電圧と第2の電圧とから電圧差を形成する工程と、中間回路コンデンサの電圧差に基づいて、および、中間回路コンデンサの容量に基づいて、プリチャージ抵抗により受け取られるエネルギーを定める工程と、を有する。
【0006】
さらに、本方法を実行するよう構成されたバッテリ管理ユニットを有するバッテリシステムが提案される。
【0007】
さらに、上記バッテリシステムを備えた車両が提案され、その際、バッテリシステムは、車両の駆動システムと接続される。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る方法によって、プリチャージ抵抗により実際に受け取られるエネルギーを定めることが可能となる。プリチャージ抵抗への最大熱負荷を制限するために、公知の方法は、通常では、実行された中間回路コンデンサの充電の回数を数える。所定数を超える場合には、従来では、充電抵抗を介して充電が防止された。しかしながら、従来のこのような数える方法では、中間回路コンデンサが、僅かな電圧ごとに複数回連続して充電される可能性があり、したがって、観察期間に渡ってプリチャージ抵抗により放出される熱エネルギーが、中間回路コンデンサがほぼ完全に充電される場合よりも少ないということが考慮されていない。
【0009】
さらに、本発明に係る方法によって、プリチャージ抵抗への熱負荷を定め、これにより、バッテリシステムのより良好な可用性を実現することが可能となる。プリチャージ(事前充電)に関与する構成要素の寿命を長くすることが可能である。バッテリシステムの信頼性も、本発明に係る方法によって改善することが可能である。
【0010】
本発明のさらなる別の構成において、最悪の場合にプリチャージ抵抗により受け取られるエネルギーを定めることが可能である。最悪の場合は、英語で「worst case」とも呼ばれ、特に、プリチャージ抵抗が、所定時間の間大電流に晒される状況を含む。このことは、故障の場合、すなわち、接続された構成要素がショートし、バッテリ管理ユニットが充電を中断するまで、プリチャージ抵抗に全電圧がかかる場合に起こりうる。プリチャージ抵抗に全バッテリ電圧が印加される場合に、上記受け取られるエネルギーは、バッテリ電圧の2乗を、プリチャージ抵抗のオーム抵抗で割って商を形成し、この商に大電流が流れる時間を乗算することで定めることが可能である。好適に、プリチャージ抵抗は、このような個別の電流パルス負荷に耐えられるよう構成される。
【0011】
さらなる別の好適な処理工程において、プリチャージ抵抗により放出されるエネルギーを定めることが可能である。プリチャージ抵抗がクリティカルなエネルギーを受け取ったかどうか、または、当該エネルギーを受け取る前なのかを定めるために、特に、受け取られたエネルギーと放出されたエネルギーとの差分が計算される。その際、放出されるエネルギーは、基本的に、プリチャージ抵抗の熱容量と、プリチャージ抵抗の温度と、周囲との温度差とに依存する。さらに好適に、プリチャージ抵抗について、所定期間に渡る最大電力が設定される。この最大電力は、プリチャージ抵抗の熱負荷耐性と、プリチャージ抵抗により放出されるエネルギーとに基づきうる。所定時間に渡り最大電力を超える場合には、プリチャージ抵抗に過負荷がかかっている可能性がある。
【0012】
好適に、本発明は、中間回路コンデンサの充電曲線を予測する工程をさらに含む。コンデンサの充電曲線は、一般的には1−e
x関数に導かれ、その際、xは、分子が時間で、分母が、コンデンサ容量が乗算されたプリチャージ抵抗の商である。1−e
x充電曲線は、中間回路コンデンサの充電中にプリチャージ回路に印加される充電電圧、すなわち特にバッテリ電圧に近似する。さらに、中間回路コンデンサの充電曲線を測定し、予測された充電曲線と、測定された充電曲線とを比較することは有利である。予測された充電曲線と測定された充電曲線とが一致しない場合には故障と確定することが可能である。この故障は、バッテリシステム内、または、バッテリシステムの構成要素内、例えば中間回路コンデンサ内に存在しうる。
【0013】
さらなる別の好適な実施形態において、本方法は、放電リレーと放電抵抗とを備える放電回路を介して、中間回路コンデンサを放電させる工程をさらに含んでもよい。
【0014】
さらなる別の実施形態において、バッテリシステムは、少なくとも1つのバッテリセルと、高電圧ネットワークと、構成要素とを備えうる。高電圧ネットワークは、特に少なくとも1つのバッテリセルに接続され、基本的にプリチャージ回路を備える。プリチャージ回路は、駆動接触器と、プリチャージ接触器およびプリチャージ抵抗から成る直列回路とを備えてもよく、その際、直列回路は駆動接触器に並列に接続される。構成要素は、好適に中間回路コンデンサを備え、その際、プリチャージ回路と構成要素とは、少なくとも1つのバッテリセルについて、直列回路を形成することが可能である。さらに、構成要素は、放電リレーと、当該放電リレーに対して直列に接続された放電抵抗とを好適に備える放電回路を備える。放電回路は、特に中間回路コンデンサに並列に接続される。
【0015】
好適に、バッテリシステムは、リチウムイオンバッテリシステムである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の実施例が、図面および以下の明細書の記載によって詳細に解説される。
【
図1】本発明の第1の実施例に係るバッテリシステムである。
【
図2】中間回路コンデンサの受け取った電力を示すグラフである。
【
図3】中間回路コンデンサの受け取った電力を示すさらなる別のグラフである。
【
図5】本発明のさらなる別の実施例に係る方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本特許出願の範囲において、「受け取られるエネルギー」という概念、および「放出されるエネルギー」という概念が利用される。「受け取られるエネルギー」は、連続する電流の流れとしての電気エネルギーが関わっている。受け取られるエネルギーの一例が、
図2の枠内で検討される。「放出されるエネルギー」は、熱エネルギーが関わっている。
【0018】
図1は、本発明の第1の実施例に係るバッテリシステム100を示している。この第1の実施例では、複数のリチウムイオンバッテリセル102の直列回路と、高電圧ネットワーク104とが示され、その際に、高電圧ネットワーク104は、複数のリチウムイオンバッテリセル102の直列回路に接続される。高電圧ネットワーク104は、さらなる別の構成要素106と接続可能であり、この構成要素106は、例えば、中間回路コンデンサ108、放電回路、パルスインバータ、または、電動機のような他の消費機器を含んでもよい。
【0019】
高電圧ネットワーク104はプリチャージ回路を備え、このプリチャージ回路自体は、駆動接触器110と、プリチャージ接触器112およびプリチャージ抵抗114から成る直列回路と、を備え、その際に、この直列回路は、駆動接触器112に並列に接続される。プリチャージ回路と中間回路コンデンサ108とは、リチウムイオンバッテリセル102に関して直列回路を形成する。リチウムイオンバッテリセル102は、バッテリまたは蓄電池を形成する。
【0020】
放電回路は、放電リレー116と、当該放電リレー116に対して直列に接続された放電抵抗118とを備える。放電回路は、構成要素106または中間回路コンデンサ108に対して並列に接続される。
【0021】
バッテリシステム100はさらに、以下で特に
図4、5で記載する方法の1つを実行するよう構成されたバッテリ管理ユニット120を備える。
【0022】
電動機、補助発電機、バッテリシステム100の消費機器としての充電ユニットのような車両構成要素の駆動によって、特に、当該車両構成要素の作動または停止の際にピーク負荷が引き起こされ、このピーク負荷は、通常ではバッテリシステム100内の電子的な蓄電器内に蓄えられる。中間回路コンデンサ108は、このような電子的蓄電器を形成する。車両構成要素が、バッテリシステム100に接続される場合には、最初に中間回路コンデンサ108が充電され、その後、車両構成要素自体が作動される。中間回路コンデンサ108の充電は、リチウムイオンバッテリセル102からプリチャージ抵抗114を介して行われ、その際に、バッテリ管理ユニット120は、プリチャージ接触器112がプリチャージ抵抗114とリチウムイオンバッテリセル102とを接続するように、プリチャージ接触器112を制御する。中間回路コンデンサ108の充電が終了した後に、バッテリ管理ユニット120は、車両構成要素を作動させるために駆動接触器110を閉鎖する。
【0023】
中間回路コンデンサ108の急速充電により、給電線内および高電圧ネットワーク104の構成要素内で大電流が発生する。この大電流によって、該当する給電線および構成要素の寿命が短くなる。ゆっくりとした充電であれば、上記構成要素は傷まないだろうが、車両構成要素を作動できるまでに、対応してより長い時間が必要となる。
【0024】
中間回路コンデンサ108を通る電流は、当該中間回路コンデンサ108が充電される程度に応じて下がる。これに関して、
図2は、時間t
1に渡る充電の間にプリチャージ抵抗114により受け取られる電力の推移を示している。
図2に示される電力曲線の面積は、プリチャージ抵抗により受け取られるエネルギーに相当する。その際、コンデンサの充電の開始時に、高い電力P
Pが抵抗内で受け取られ、熱に変換される。
図2は、例えば、3回の連続する事前充電を示している。
【0025】
その際に、複数回実行された充電による負荷は、
図3で電力の推移P
Cとして示されるように、時間t
vに渡り積算された個々の負荷に相当する。
【0026】
図4には、本発明の一実施例に係る方法400が示されている。第1の工程402において、バッテリ管理ユニット120は、中間回路コンデンサ108の第1の電圧を測定する。次の工程404において、バッテリ管理ユニット120は、中間回路コンデンサ108が充電されるように、プリチャージ回路を制御する。次の工程406において、バッテリ管理ユニット120は、充電後の中間回路コンデンサ108の第2の電圧を測定し、引き続いて工程408において、測定された第1の電圧と第2の電圧との電圧差を形成する。バッテリ管理ユニット120は、次の工程410において、プリチャージ抵抗により受け取られたエネルギーを定める。
【0027】
図5には、本発明のさらなる別の実施例に係る方法500が示されている。第1の処理工程502において、プリチャージ抵抗の初期温度が、不揮発性メモリから読み出され、または、例えば、約60℃の周囲温度の高さに定められる。次の工程504において、プリチャージ抵抗により放出された、熱の形態によるエネルギーが定められ、その際、熱放出によってプリチャージ抵抗の冷却がもたらされる。
【0028】
プリチャージ抵抗の熱放出および温度変化は、工程504において、以下のように定めることが可能である。
【0029】
【数1】
ただし、
Tは、プリチャージ抵抗の定められた現在の温度であり、
Wは、プリチャージ抵抗により放出されたエネルギーであり、
C
pは、ジュールごとケルビンによるプリ-チャージ抵抗の熱容量であり、
G
thは、周囲温度での、ワットごとケルビンによる熱伝導率であり、
T
Umgebung,maxは、最大周囲温度であり、
t
abgelaufenは、熱放出の間に経過した時間
【0030】
次の工程506において、最悪の場合(worst case)にプリチャージ抵抗により受け取られるエネルギーが、以下のように定められる。
【0031】
【数2】
ただし、W
w.c.は、単位ジュールによる、最悪の場合(worst case)にプリチャージ抵抗114により受け取られるエネルギーであって、バッテリセル102の全電圧、すなわち、バッテリ電圧U
Batterie、プリチャージ抵抗のオーム抵抗R
v、および、上記エネルギーが受け取られる時間tから獲得される上記エネルギー
【0032】
次の工程508において、最悪の場合のプリチャージ抵抗114の温度T
w.c.が、以下のように定められる。
【0033】
【数3】
ただし、Tは、第1回目の処理過程でのプリチャージ抵抗114の現在の温度、すなわち、例えば周囲温度
【0034】
次の工程510において、最悪の場合の温度T
w.c.が、プリチャージ抵抗について定められた最大温度よりも低いかという条件について検査される。この条件が満たされる場合には、本法は、次の工程512に進む。工程512では、中間回路コンデンサ108が充電されまたは事前充電される。工程510において上記条件が満たされない場合には、本方法500は、工程504に戻り、工程504で、プリチャージ抵抗114が冷却され、または、プリチャージ抵抗114の冷却が確認される。
【0035】
工程514において、プリチャージ抵抗により実際に受け取られたエネルギーが、以下のように定められる。
【0036】
【数4】
ただし、
Wは、定められた、プリチャージ抵抗により受け取られたエネルギーであり、
U
Batterieは、バッテリの全電圧であり、その際、この全電圧から、バッテリセルとプリチャージ抵抗114との間の接続要素の電圧U
Linkが減算され、
R
vは、プリチャージ抵抗のオーム抵抗であり、
t
Ladeは、中間回路コンデンサ108の充電の間に経過した時間
【0037】
次の工程516において、充電プロセスが終了したかという条件について検査される。この条件が満たされる場合には、本方法500は次の工程518に進む。516において上記条件が満たされない場合には、本方法500は工程514に戻り、中間回路コンデンサ108はさらに充電され、その間に、プリチャージ抵抗により受け取られるエネルギーが引き続き定められる。
【0038】
工程518では、中間回路コンデンサ108の事前充電終了後のプリチャージ抵抗114の加熱または温度Tが、以下のように定められる。
【0040】
図4および5に記載される方法は、バッテリシステム100内のプリチャージ抵抗114の熱防護のために利用することが可能であり、その際に、バッテリ管理ユニット120は、このような方法を実行するよう構成される。バッテリシステム100自体は車両内で利用することが可能であり、車両の信頼性をより高めるために役立つ。
【0041】
オームの法則に対応して、充電の前または後に電圧を定める代わりに、事前充電の間の電流フロー測定することも可能である。これについて、プリチャージ抵抗の受け取られたエネルギーについての数式が、対応して有効である。
【0042】
さらなる別の実施例において、中間回路を充電するために、プリチャージ抵抗の箇所でさらなる別のプリチャージ回路を利用することが可能である。