(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
測定用光源が配置され、任意の位置に移動可能な被測定体と、前記測定用光源からの光を受光し、前記被測定体の位置を検出する位置検出装置とを備えた三次元測定システムであって、
前記位置検出装置は、撮像装置と、演算制御装置とを備え、
前記撮像装置は、互いに離間して設けられ、前記測定用光源からの光を第1軸上に集光する一対の第1光学系と、
この一対の第1光学系によって前記第1軸上に集光された光を受光し、前記第1軸上における第1輝度分布を検出する一対の第1ラインセンサと、
前記測定用光源からの光を前記第1軸と直交する第2軸上に集光する第2光学系と、
この第2光学系によって前記第2軸上に集光された光を受光し、前記第2軸上における第2輝度分布を検出する第2ラインセンサとを備え、
前記演算制御装置は、前記第1輝度分布および前記第2輝度分布に基づいて、前記被測定体の位置を表す位置情報を演算する位置演算部を備え、
前記被測定体または前記演算制御装置は、
前記被測定体から前記撮像装置までの距離情報を取得する距離取得部と、
前記距離情報で表される距離に基づいて、前記測定用光源の点灯時間を制御する点灯制御部とを備えていることを特徴とする三次元測定システム。
測定用光源が配置され、任意の位置に移動可能な被測定体と、前記測定用光源からの光を受光し、前記被測定体の位置を検出する位置検出装置とを用いた三次元測定方法であって、
前記位置検出装置を、撮像装置と、演算制御装置とで構成し、
前記撮像装置に、互いに離間して設けられ、前記測定用光源からの光を第1軸上に集光する一対の第1光学系と、
この一対の第1光学系によって前記第1軸上に集光された光を受光し、前記第1軸上における第1輝度分布を検出する一対の第1ラインセンサと、
前記測定用光源からの光を前記第1軸と直交する第2軸上に集光する第2光学系と、
この第2光学系によって前記第2軸上に集光された光を受光し、前記第2軸上における第2輝度分布を検出する第2ラインセンサとを設け、
前記被測定体または前記演算制御装置が、
前記被測定体から前記撮像装置までの距離情報を取得する工程と、
前記距離情報で表される距離に基づいて、前記測定用光源の点灯時間を制御する工程と、
前記第1輝度分布および前記第2輝度分布に基づいて、前記被測定体の位置を表す位置情報を演算する工程とを実行することを特徴とする三次元測定方法。
測定用光源が配置され、任意の位置に移動可能な被測定体と、前記測定用光源からの光を受光し、前記被測定体の位置を検出する位置検出装置とを備え、前記位置検出装置が撮像装置と、演算制御装置とで構成された三次元測定システムに用いられる被測定体であって、
前記演算制御装置に設けられた第1無線通信部と無線通信可能な第2無線通信部と、
任意の位置に移動可能な電力供給部と、
前記被測定体から前記撮像装置までの距離情報を取得する距離取得部と、
前記距離情報で表される距離に基づいて、前記測定用光源の点灯時間を制御する点灯制御部とを備え、
前記電力供給部は、前記測定用光源、前記第2無線通信部、前記距離取得部および前記点灯制御部に電力を供給し、
前記点灯制御部は、前記第1無線通信部から送信される前記測定用光源の基準点灯時間を表す基準点灯時間情報を、前記第2無線通信部を介して取得し、前記距離情報で表される距離に基づいて前記基準点灯時間を補正し、この補正結果に基づいて前記測定用光源の点灯時間を制御することを特徴とする被測定体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載のような構成では、IRセンサにおけるIR検出器からの信号(赤外線)の受信強度(受光強度)は、IR検出器からIRセンサまでの距離が短いほど強くなる。また、スキャナの位置などを決定するために必要な赤外線の受光量は、予め設定されている。
このため、IR検出器からIRセンサまでの距離が短い場合、位置などを決定するために必要な量の赤外線をIRセンサが受光した後も、IR検出器が赤外線を発光し続けてしまい、無駄な電力が消費されてしまう。
【0006】
本発明の目的は、測定用光源の消費電力を抑制できる三次元測定システム、三次元測定方法、および、被測定体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の三次元測定システムは、測定用光源が配置され、任意の位置に移動可能な被測定体と、前記測定用光源からの光を受光し、前記被測定体の位置を検出する位置検出装置とを備えた三次元測定システムであって、前記位置検出装置は、撮像装置と、演算制御装置とを備え、前記撮像装置は、互いに離間して設けられ、前記測定用光源からの光を第1軸上に集光する一対の第1光学系と、この一対の第1光学系によって前記第1軸上に集光された光を受光し、前記第1軸上における第1輝度分布を検出する一対の第1ラインセンサと、前記測定用光源からの光を前記第1軸と直交する第2軸上に集光する第2光学系と、この第2光学系によって前記第2軸上に集光された光を受光し、前記第2軸上における第2輝度分布を検出する第2ラインセンサとを備え、前記演算制御装置は、前記第1輝度分布および前記第2輝度分布に基づいて、前記被測定体の位置を表す位置情報を演算する位置演算部を備え、前記被測定体または前記演算制御装置は、前記被測定体から前記撮像装置までの距離情報を取得する距離取得部と、前記距離情報で表される距離に基づいて、前記測定用光源の点灯時間を制御する点灯制御部とを備えていることを特徴とする。
【0008】
本発明の三次元測定方法は、測定用光源が配置され、任意の位置に移動可能な被測定体と、前記測定用光源からの光を受光し、前記被測定体の位置を検出する位置検出装置とを用いた三次元測定方法であって、前記位置検出装置を、撮像装置と、演算制御装置とで構成し、前記撮像装置に、互いに離間して設けられ、前記測定用光源からの光を第1軸上に集光する一対の第1光学系と、この一対の第1光学系によって前記第1軸上に集光された光を受光し、前記第1軸上における第1輝度分布を検出する一対の第1ラインセンサと、前記測定用光源からの光を前記第1軸と直交する第2軸上に集光する第2光学系と、この第2光学系によって前記第2軸上に集光された光を受光し、前記第2軸上における第2輝度分布を検出する第2ラインセンサとを設け、前記被測定体または前記演算制御装置が、前記被測定体から前記撮像装置までの距離情報を取得する工程と、前記距離情報で表される距離に基づいて、前記測定用光源の点灯時間を制御する工程と、前記第1輝度分布および前記第2輝度分布に基づいて、前記被測定体の位置を表す位置情報を演算する工程とを実行することを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、被測定体または演算制御装置は、被測定体から撮像装置までの距離情報を取得し、この距離情報で表される距離に基づいて測定用光源の点灯時間を制御する。そして、撮像装置の第1,第2ラインセンサが、被測定体の測定用光源からの光を受光して第1,第2輝度分布を検出し、演算制御装置が、第1,第2輝度分布に基づいて、被測定体の位置情報を演算する。
このため、被測定体から撮像装置までの距離が所定距離より短く、当該所定距離の場合よりも第1,第2ラインセンサにおける光の受光強度が強い場合には、当該所定距離の場合よりも測定用光源の点灯時間を短くすることで、第1,第2ラインセンサが位置情報の演算に必要な量の光を受光した後に、測定用光源を消灯させることができる。したがって、測定用光源の消費電力を抑制することができる。
【0010】
本発明の三次元測定システムにおいて、前記演算制御装置は、第1無線通信部と、前記測定用光源の基準点灯時間を表す基準点灯時間情報を、前記第1無線通信部を介して送信する基準時間送信部とを備え、前記被測定体は、第2無線通信部と、任意の位置に移動可能な電力供給部と、前記距離取得部と、前記点灯制御部とを備え、前記電力供給部は、前記測定用光源、前記第2無線通信部、前記距離取得部および前記点灯制御部に電力を供給し、前記点灯制御部は、前記基準点灯時間情報を前記第2無線通信部を介して取得し、前記距離情報で表される距離に基づいて前記基準点灯時間を補正し、この補正結果に基づいて前記測定用光源の点灯時間を制御することが好ましい。
【0011】
このような構成によれば、被測定体の構成要素には、任意の位置に移動可能な電力供給部によって電力が供給される。そして、被測定体は、演算制御装置との無線通信によって基準点灯時間情報を取得し、距離情報で表される距離に基づいて、基準点灯時間情報で表される基準点灯時間を補正する。この後、被測定体は、この補正結果に基づいて測定用光源の点灯時間を制御する。
このように、被測定体において基準点灯時間を補正することで、演算制御装置の処理負荷を低減できる。また、移動可能な電力供給部で被測定体の構成要素に電力を供給するとともに、演算制御装置と被測定体との間で、基準点灯時間情報を無線通信によって送受信するため、無線通信可能な範囲において、演算制御装置に対する被測定体の位置を自由に調整することができ、様々な形状や大きさのワークを測定することができる。さらに、電力供給部の消費電力を抑制でき、電力供給部の交換や充電の頻度を少なくすることができる。
【0012】
本発明の三次元測定システムにおいて、前記撮像装置は、第3無線通信部と、測定信号を前記第3無線通信部を介して送信する測定信号送信部とを備え、前記被測定体は、前記第2無線通信部における前記測定信号の受信強度に基づいて、前記被測定体から前記撮像装置までの距離を測定し、前記距離情報を生成する距離測定部を備えていることが好ましい。
【0013】
このような構成によれば、被測定体と撮像装置との間で送受信される測定信号の受信強度に基づいて、被測定体から撮像装置までの距離を測定するため、正確な測定結果に基づいて測定用光源の点灯時間を適切に制御することができる。また、基準点灯時間情報の受信に用いる第2無線通信部を測定信号の受信にも用いることで、第2無線通信部を有効活用することができる。さらに、測定者が被測定体から撮像装置までの距離を測定する必要がなく、測定者の作業不可を低減することができる。
【0014】
本発明の被測定体は、測定用光源が配置され、任意の位置に移動可能な被測定体と、前記測定用光源からの光を受光し、前記被測定体の位置を検出する位置検出装置とを備え、前記位置検出装置が撮像装置と、演算制御装置とで構成された三次元測定システムに用いられる被測定体であって、前記演算制御装置に設けられた第1無線通信部と無線通信可能な第2無線通信部と、任意の位置に移動可能な電力供給部と、前記被測定体から前記撮像装置までの距離情報を取得する距離取得部と、前記距離情報で表される距離に基づいて、前記測定用光源の点灯時間を制御する点灯制御部とを備え、前記電力供給部は、前記測定用光源、前記第2無線通信部、前記距離取得部および前記点灯制御部に電力を供給し、前記点灯制御部は、前記第1無線通信部から送信される前記測定用光源の基準点灯時間を表す基準点灯時間情報を、前記第2無線通信部を介して取得し、前記距離情報で表される距離に基づいて前記基準点灯時間を補正し、この補正結果に基づいて前記測定用光源の点灯時間を制御することを特徴とする。
【0015】
このような構成によれば、上述の三次元システムに好適な被測定体を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<三次元測定システムの構成>
図1に示すように、本実施形態の三次元測定システム1は、被測定体としてのプローブ2と、位置検出装置4とを備えている。位置検出装置4は、撮像装置5と、演算制御装置7と、表示装置8とを備えている。
【0018】
プローブ2は、
図2に示すように、測定者が持って任意の位置に移動可能なプローブ本体21と、このプローブ本体21に一体的に設けられたスタイラス27とを備えている。
プローブ本体21は、一端が結合され、他端が次第に離れるように弓状に湾曲したのち再び結合した2本のアーム22,23を有し、測定者が両手で掴めるように構成されている。また、プローブ本体21の正面において、アーム22,23の一端結合部24と、アーム22,23の他端結合部25を挟んだ両側部とには、測定用光源としての3個ずつの第1〜第3赤外LED(発光ダイオード)261〜263と、第4〜第6赤外LED264〜266と、第7〜第9赤外LED267〜269とがそれぞれ配置されている。つまり、プローブ本体21には、合計9個の第1〜第9赤外LED261〜269が配置されている。
スタイラス27は、プローブ本体21のアーム22,23の他端結合部25から一端結合部24とは反対側に突出して設けられ、先端に球状の接触子28を有している。このように、プローブ本体21に対して第1〜第9赤外LED261〜269と接触子28とが所定の位置関係で配置されているため、第1〜第9赤外LED261〜269の座標を求めることにより、これらの座標から接触子28の座標を求めることができる。
【0019】
また、プローブ2は、
図2および
図3に示すように、プローブ本体21の内部に設けられた点灯装置29と、プローブ本体21にケーブル100を介して接続された第1RF(Radio Frequency)モバイルユニット30と、第1RFモバイルユニット30にケーブル101を介して接続された電力供給部としてのバッテリ34とを備えている。
【0020】
第1RFモバイルユニット30は、第2無線通信部31と、プローブ記憶部32と、プローブ制御部33とを備えている。
第2無線通信部31は、撮像装置5に設けられた後述する第3無線通信部61、および、演算制御装置7に設けられた後述する第1無線通信部711との間で、無線通信可能に構成されている。
プローブ制御部33は、プローブ記憶部32に記憶されたプログラムおよびデータをCPU(Central Processing Unit)が処理することにより構成されている。プローブ制御部33は、距離測定部331と、距離取得部332と、点灯制御部333とを備えている。
【0021】
距離測定部331は、第2無線通信部31における撮像装置5からの測定信号の受信強度を検出する。そして、距離測定部331は、この受信強度に基づいて、プローブ2から撮像装置5までの距離、具体的にはプローブ2のプローブ本体21から撮像装置5のケース52までの距離を測定し、この測定結果を表す距離情報を生成する。ここで、本実施形態で用いる測定信号の第2無線通信部31における受信強度は、例えば
図4に示すように、プローブ2から撮像装置5までの距離が短いほど強くなり、距離が長いほど弱くなる。距離測定部331は、この
図4に示すような関係と、第2無線通信部31における測定信号の受信強度とに基づいて、プローブ2から撮像装置5までの距離を測定する。
距離取得部332は、距離測定部331で生成された距離情報を取得する。
【0022】
点灯制御部333は、演算制御装置7から発信されるパルス信号に基づいて、第1〜第9赤外LED261〜269を順番に点灯させる。具体的には、点灯制御部333は、第1〜第9赤外LED261〜269の基準点灯時間を表す基準点灯時間情報としての基準点灯信号を、第2無線通信部31を介して演算制御装置7から取得する。そして、点灯制御部333は、距離取得部332で取得された距離情報の距離に基づいて、基準時間情報を補正する。さらに、点灯制御部333は、この補正結果をケーブル100を介して点灯装置29へ送信し、この補正結果に基づき点灯装置29に第1〜第9赤外LED261〜269の点灯時間を制御する。なお、点灯制御部333の処理の詳細については後述する。
【0023】
バッテリ34は、プローブ本体21および第1RFモバイルユニット30とともに、任意の位置に移動可能に構成されている。バッテリ34は、第2無線通信部31およびプローブ制御部33を含む第1RFモバイルユニット30の構成要素に電力を供給し、当該構成要素を駆動する。また、バッテリ34は、ケーブル100,101を介して、点灯装置29および第1〜第9赤外LED261〜269を含むプローブ本体21内の構成要素に電力を供給し、当該構成要素を駆動する。なお、バッテリ34は、充電可能であってもよいし、充電不可能であってもよい。
【0024】
撮像装置5は、
図1および
図3に示すように、三脚51と、この三脚51によって略水平に支持された横長箱状のケース52と、3つの検出部531,532,533と、フレームグラバ57と、測定信号送信部としても機能する撮像制御部58と、第2RF(Radio Frequency)モバイルユニット60とを備えている。
ケース52には、ケーブル102を介して演算制御装置7の後述する制御装置72に接続されるとともに、ケーブル103を介して第2RFモバイルユニット60に接続されている。
3つの検出部531,532,533は、
図5にも示すように、ケース52の正面3箇所、つまり、左右および中央に配置されている。検出部531〜533は、集光領域59から入射した光を1軸上に集光させるシリンドリカルレンズ541〜543と、このシリンドリカルレンズ541〜543によって集光された光を受光し、1軸上における輝度分布を表す輝度分布信号を出力するラインセンサ551〜553と、シリンドリカルレンズ541〜543への光の入射を制御するシャッタ561〜563を備えている。ラインセンサ551〜553は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)を一列に配列した構成である。なお、シャッタ561〜563としては、電子シャッタを用いてもよい。
【0025】
ここで、検出部531,533において、ラインセンサ551,553は、互いに離間して配置された第1ラインセンサを構成している。ラインセンサ551,553は、集光領域59のX軸(第1軸)と直交するY軸に対して直交し、かつ、X軸に対して僅か内向きに傾斜して配置されている。
シリンドリカルレンズ541,543は、第1光学系を構成している。シリンドリカルレンズ541,543は、ラインセンサ551,553の略中央位置でラインセンサ551,553に対して直交して(Y軸と平行に)配置されている。つまり、検出部531,533は、その向きが中央の検出部532側に僅かに向くように、内向きに傾斜して配置されている。これにより、集光領域59から入射した光は、ラインセンサ551,553によってX軸上の第1輝度分布として検出される。
また、検出部532において、ラインセンサ552は、第2ラインセンサを構成している。ラインセンサ552は、集光領域59のY軸と平行に配置されている。
シリンドリカルレンズ542は、第2光学系を構成している。シリンドリカルレンズ542は、ラインセンサ552の略中央位置でラインセンサ552に対して直交して(X軸と平行に)配置されている。これにより、集光領域59から入射した光は、ラインセンサ552によってY軸上の第2輝度分布として検出される。
各シャッタ561〜563は、各シリンドリカルレンズ541〜543に対し、各ラインセンサ551〜553と反対側に設けられている。
フレームグラバ57は、CCD素子から光強度プロファイル(X軸:ピクセル、Y軸:光強度)を取得する。
【0026】
撮像制御部58は、図示しない記憶部に記憶されたプログラムおよびデータをCPUが処理することにより構成されている。撮像制御部58は、演算制御装置7から発信されるパルス信号をケーブル102を介して取得し、このパルス信号に同期して、検出部531〜533のシャッタ561〜563の開閉を制御する。そして、撮像制御部58は、フレームグラバ57を介して、シャッタ561〜563が開いているラインセンサ551〜553からの画像を取り込み、輝度分布信号としてケーブル102を介して演算制御装置7へ送信する。このように、ケーブル102を介して輝度信号を演算制御装置7に送信するため、無線通信で送信する構成と比べて、送信速度を速くすることができる。
また、撮像制御部58は、測定信号を第2RFモバイルユニット60を介して第2無線通信部31へ送信する。
【0027】
第2RFモバイルユニット60は、第3無線通信部61を備えている。第3無線通信部61は、プローブ2に設けられた第2無線通信部31との間で、無線通信可能に構成されている。
【0028】
なお、ケース52内の構成要素を駆動するための電力は、ケーブル102を介して演算制御装置7の制御装置72から供給される。また、第2RFモバイルユニット60の構成要素を駆動するための電力も、ケーブル102,103を介して制御装置72から供給される。
【0029】
演算制御装置7は、RF(Radio Frequency)ベースステーション71と、このRFベースステーション71にケーブル104を介して接続された制御装置72とを備えている。
RFベースステーション71は、第1無線通信部711と、通信制御部712とを備えている。
第1無線通信部711は、プローブ2に設けられた第2無線通信部31との間で、無線通信可能に構成されている。
通信制御部712は、制御装置72から出力される各種信号や情報を処理して、第1無線通信部711を介して第2無線通信部31へ送信する。
なお、RFベースステーション71の構成要素を駆動するための電力は、ケーブル104を介して制御装置72から供給される。
【0030】
制御装置72は、演算記憶部721と、演算制御部722とを備えている。
演算制御部722は、演算記憶部721に記憶されたプログラムおよびデータをCPUが処理することにより構成されている。演算制御部722は、基準時間送信部としてのタイミング制御部723と、位置演算部724とを備えている。
なお、制御装置72の構成要素を駆動するための電力は、図示しないケーブルを介して商用電源から供給される。
【0031】
タイミング制御部723は、プローブ2の第1〜第9赤外LED261〜269を順番に点灯させる基準点灯信号を、RFベースステーション71を介して発信すると同時に、これに同期して、撮像装置5に対してもラインセンサ551〜553の輝度分布信号の取り込みを制御するパルス信号を、ケーブル102を介して発信する。
【0032】
位置演算部724は、撮像装置5からの輝度分布信号に基づいて、三次元測定システム1における接触子28の三次元座標を演算する。具体的には、位置演算部724は、三角測量法を用いて、第1〜第9赤外LED261〜269の三次元座標を演算する。なお、第1〜第9赤外LED261〜269の三次元座標は、特開2005−233759号公報に開示された公知の方法によって求めることができる。そして、位置演算部724は、プローブ2の位置(第1〜第9赤外LED261〜269の三次元座標)と、プローブ2の第1〜第9赤外LED261〜269に対する接触子28の位置とから、接触子28の三次元座標を演算する。なお、接触子28の三次元座標は、本発明の位置情報に該当する。
そして、位置演算部724は、接触子28の三次元座標の測定結果を表示装置8に表示させる。
【0033】
<ワーク測定処理>
次に、三次元測定システム1を用いたワークの測定処理について説明する。
なお、以下において、第1RFモバイルユニット30がプローブ本体21に固定されるとともに、第2RFモバイルユニット60がケース52に固定され、第1RFモバイルユニット30の第2無線通信部31から第2RFモバイルユニット60の第3無線通信部61までの距離が、プローブ2から撮像装置5までの距離と略等しい場合を例示して説明する。
【0034】
まず、
図6に示すように、測定者が図示しないコンピュータ等を用いて、演算制御装置7の制御装置72に測定条件をセットする(ステップS1)。測定条件としては、例えば第1〜第9赤外LED261〜269の点灯サイクル、点灯時間、点灯数(制御対象により異なる場合がある)、撮像装置5の撮像タイミングが例示できる。
その後、測定者がプローブ2の接触子28をワークの測定部位に接触させた状態において、プローブ2に設けられた図示省略の測定スイッチを押す。すると、制御装置72のタイミング制御部723は、測定条件に基づくパルス信号の出力を開始する(ステップS2)。
具体的には、タイミング制御部723は、
図7(A)に示すような、測定サイクルを表すパルス信号(サイクル信号)と、
図7(B)に示すような、第1〜第9赤外LED261〜269を順番に点灯(オンオフ)させるためのパルス信号(基準点灯信号)を、ケーブル104を介してRFベースステーション71へ出力する。さらに、タイミング制御部723は、サイクル信号と、撮像装置5のシャッタ561〜563を開閉させるためのパルス信号(開閉信号)とをケーブル102を介して撮像装置5へ出力する。
【0035】
ここで、
図7(B)に示す基準点灯信号における第1〜第9赤外LED261〜269の点灯時間T2は、プローブ2のプローブ本体21から撮像装置5のケース52までの距離が最大測定距離(例えば、第1〜第9赤外LED261〜269からの光を、撮像装置5の検出部531〜533で受光可能な最大距離)の場合でも、検出部531〜533において光を十分に蓄積できるように長めに設定されている。
なお、タイミング制御部723は、第1〜第9赤外LED261〜269から撮像装置5に入射される光量が閾値未満の場合、
図7(C)に示すように、第1〜第9赤外LED261〜269の点灯時間と同じ時間だけ、シャッタ561〜563を開くような開閉信号を送信してもよい。一方、タイミング制御部723は、撮像装置5に入射される光量が閾値以上の場合、
図7(D)に示すように、第1〜第9赤外LED261〜269の点灯時間より短い時間だけ、シャッタ561〜563を開くような開閉信号を送信してもよい。
また、第1〜第9赤外LED261〜269から撮像装置5に入射される光量が閾値未満か否かを判断する構成としては、図示しない光量計からの測定結果に基づきタイミング制御部723が判断してもよいし、図示しないコンピュータ等を用いた測定者の設定入力によりタイミング制御部723が判断してもよい。
【0036】
この後、RFベースステーション71の通信制御部712は、タイミング制御部723から取得したサイクル信号と基準点灯信号とを標本化する(ステップS3)。具体的には、通信制御部712は、
図7(A)に示すような1つの測定サイクルのサイクル時間T1と、
図7(B)に示すような第1〜第9赤外LED261〜269のそれぞれの点灯時間T2と、所定の赤外LEDが点灯してから次の赤外LEDが点灯するまでの点灯間隔T3とを計測し、これらの計測結果に関する標本化情報を生成する。
そして、通信制御部712は、ステップS3で標本化して得られた標本化情報を、第1無線通信部711を介した無線通信によって、第1RFモバイルユニット30へ送信する(ステップS4)。
【0037】
この後、第1RFモバイルユニット30の点灯制御部333は、第2無線通信部31を介して標本化情報を受信すると、この標本化情報に基づいて、
図7(A)に示すサイクル信号と、
図7(B)に示す基準点灯信号とを復元し(ステップS5)、プローブ記憶部32に記憶させる。
そして、第1RFモバイルユニット30の距離測定部331は、プローブ2から撮像装置5までの距離を測定し(ステップS6)、距離情報を距離取得部332へ出力する。このステップS6の処理に際し、例えば、撮像制御部58は、制御装置72からサイクル信号および開閉信号を取得したことをトリガとして、測定信号を第3無線通信部61を介した無線通信によって、第1RFモバイルユニット30へ送信する。そして、距離測定部331は、第2無線通信部31における測定信号の受信強度と
図4に示す関係とに基づいて、プローブ2から撮像装置5までの距離を測定する。
【0038】
次に、第1RFモバイルユニット30の点灯制御部333は、プローブ記憶部32に記憶された基準点灯信号の点灯時間T2を、距離情報の距離に基づいて補正し(ステップS7)、その補正結果を表す補正点灯信号をプローブ記憶部32に記憶させる。例えば、点灯制御部333は、プローブ2から撮像装置5までの距離が閾値よりも長い場合には、点灯時間T2を補正せずに、基準点灯信号を補正点灯信号としてプローブ記憶部32に記憶させる。一方、点灯制御部333は、距離が閾値よりも短い場合には、基準点灯信号を点灯時間T2が短くなるように補正して、補正点灯信号を生成する。そして、点灯制御部333は、例えば、
図7(E)に示すような補正点灯信号をプローブ記憶部32に記憶させる。
なお、点灯時間T2を短くする場合における距離と点灯時間T2との関係は、
図8に示す直線A1、折れ線A2、曲線A3、曲線A4のような、いずれの関係であってもよい。
【0039】
この後、点灯制御部333は、ケーブル100を介して補正点灯信号を点灯装置29へ出力し、この補正点灯信号に同期させて、第1〜第9赤外LED261〜269を順番に点灯させる(ステップS8)。
また、撮像制御部58は、サイクル信号に基づいて、このステップS8と略等しいタイミングで、開閉信号に同期して、シャッタ561〜563を同時に開閉し、第1〜第9赤外LED261〜269からの光を撮像する(ステップS9)。このような処理により、撮像装置5の検出部531〜533において、第1〜第9赤外LED261〜269からの光に基づいて、輝度分布信号が検出される。そして、撮像制御部58は、ケーブル102を介して輝度分布信号を演算制御装置7の制御装置72へ送信する。
【0040】
制御装置72の位置演算部724は、輝度分布信号を受信すると、接触子28の三次元座標を演算する(ステップS10)。これにより、プローブ2の接触子28が接触したワークの測定部位の座標を求めることができる。なお、ステップS10で得られた三次元座標に対し、空間精度補正と温度補正(例えば、温度によるラインセンサ551〜553の熱膨張や移動の影響を、排除するための補正)とのうち、少なくとも一方の補正を行ってもよい。
その後、点灯制御部333は、サイクル信号に基づいて次サイクルがあるか否かを判断し(ステップS11)、次サイクルがあると判断した場合、ステップS6の処理を行い、次サイクルがないと判断した場合、処理を終了する。
【0041】
<実施形態の効果>
本実施形態によれば、プローブ2は、当該プローブ2(第1〜第9赤外LED261〜269)から撮像装置5での距離情報を取得し、この距離情報で表される距離に基づいて第1〜第9赤外LED261〜269の点灯時間T2を制御する。そして、演算制御装置7は、撮像装置5で検出された第1,第2輝度分布に基づいて、プローブ2の位置情報を演算する。
このため、プローブ2から撮像装置5までの距離が閾値より短く、当該閾値以上の場合よりも撮像装置5における光の受光強度が強い場合には、当該閾値以上の場合よりも第1〜第9赤外LED261〜269の点灯時間T2を短くすることで、撮像装置5が位置情報の演算に必要な量の光を受光した後に、第1〜第9赤外LED261〜269を消灯させることができる。したがって、第1〜第9赤外LED261〜269の消費電力を抑制することができる。
【0042】
また、プローブ2の構成要素には、任意の位置に移動可能なバッテリ34によって電力が供給される。また、プローブ2は、距離情報で表される距離に基づいて、無線通信によって演算制御装置7から受信した基準点灯信号を補正し、この補正結果に基づいて第1〜第9赤外LED261〜269の点灯時間を制御する。
このため、プローブ2において基準点灯信号を補正することで、演算制御装置7の処理負荷を低減できる。また、移動可能なバッテリ34でプローブ2に電力を供給するとともに、演算制御装置7とプローブ2との間で基準点灯信号を無線通信によって送受信するため、無線通信可能な範囲において、演算制御装置7に対するプローブ2の位置を自由に調整することができ、様々な形状や大きさのワークを測定することができる。さらに、バッテリ34の消費電力を抑制でき、バッテリ34の交換や充電の頻度を少なくすることができる。
【0043】
さらに、プローブ2は、当該プローブ2と撮像装置5との間で送受信される測定信号の受信強度に基づいて、プローブ2から撮像装置5までの距離を測定する。このため、正確な測定結果に基づいて、第1〜第9赤外LED261〜269の点灯時間T2を適切に制御することができる。また、基準点灯信号の受信に用いる第2無線通信部31を測定信号の受信にも用いることで、第2無線通信部31を有効活用することができる上、プローブ2の構成を簡略にすることができる。さらに、測定者がプローブ2から撮像装置5までの距離を測定する必要がなく、測定者の作業不可を低減することができる。
【0044】
<変形例>
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は、本発明に含まれる。
【0045】
すなわち、本発明の被測定体として、接触子28を先端に有する接触式のプローブ2を例に説明したが、これに限らず、非接触式のプローブであってもよい。
例えば、
図9に示すように、非接触式のプローブ2Aは、プローブ本体21Aに、光をワークに向けて射出する発光器361Aと、ワークからの反射光を受光する受光器362Aと、この受光器362Aにおいて光を受光した位置からプローブ本体21Aに対するワークの位置情報を演算する演算器(図示省略)とを備えた非接触測定器36Aとを内蔵させた構成を有している。また、プローブ2Aには、点灯装置29と、第1RFモバイルユニット30(図示省略)と、40個の赤外LED901,902,903…と、プローブ2Aの構成要素に電力を供給するバッテリ34(図示省略)と、が設けられている。
この場合、演算制御装置7の位置演算部724は、撮像装置5による赤外LEDの撮像
結果に基づき求められたプローブ2Aの位置と、非接触測定器36Aによって求められた測定点の位置とから、非接触測定器36Aの光照射位置の座標を求める。
なお、非接触式のプローブ2Aでは、ワークに接触させる必要がないため、より複雑な形状をもつワークを測定することが可能となるが、そのためにプローブ2Aの様々な姿勢を検出できるように、より多くの赤外LED、例えば、40個の赤外LED901,902,903…が搭載されている。ただ、プローブ2Aの姿勢を検出するためには、必ずしも全ての赤外LEDが検出できなくてもよく、少なくとも3個の赤外LEDが検出できればプローブ2Aの姿勢を求めることができる。
さらに、本発明の被測定体としては、プローブに限らず、測定の対象となる公知の装置や公知の物体等を採用することができる。
【0046】
本発明の距離取得部および点灯制御部をプローブ2に設けた構成を例示したが、演算制御装置7に設けてもよい。
例えば、距離取得部332を演算制御装置7の制御装置72に設けるとともに、タイミング制御部723に補正点灯信号を生成する本発明の点灯制御部としての機能を持たせる。そして、ワーク測定処理の際には、まず、制御装置72の距離取得部332は、プローブ2の距離測定部331から距離情報を取得する。そして、タイミング制御部723は、距離情報と
図8に示す関係とに基づいて、補正点灯信号を生成してプローブ2へ送信する。この後、プローブ2は、補正点灯信号に基づいて、第1〜第9赤外LED261〜269の点灯時間T2を制御してもよい。
【0047】
プローブ2と撮像装置5との間で送受信される測定信号の受信強度に基づいて、プローブ2から撮像装置5までの距離を測定したが、以下のような構成としてもよい。
例えば、撮像装置5に第2RFモバイルユニット60を設けずに、演算制御装置7の制御装置72に、RFベースステーション71を介して測定信号を第1RFモバイルユニット30へ送信する測定信号送信部を設ける。そして、このような構成において、まず、プローブ2と演算制御装置7との間で送受信される測定信号の受信強度に基づいて、プローブ2が当該プローブ2から演算制御装置7までの距離を測定する。この後、プローブ2の距離測定部331は、当該距離測定部331に予め入力された演算制御装置7と撮像装置5との位置関係と、プローブ2から演算制御装置7までの距離の測定結果とに基づいて、プローブ2から撮像装置5までの距離を求める。そして、点灯制御部333は、この距離の測定結果に基づいて、補正点灯信号を生成してもよい。
なお、この構成においても、本発明の距離取得部(距離情報を取得する機能)と、点灯制御部(補正点灯信号を生成する機能)とを演算制御装置7に設け、当該演算制御装置7が、プローブ2で生成された測定情報を取得して補正点灯信号を生成し、当該補正点灯信号をプローブ2へ送信してもよいし、さらに距離測定部(プローブ2と演算制御装置7との間で送受信される測定信号の受信強度に基づいて、距離情報を生成する機能)を演算制御装置7に設けてもよい。
【0048】
点灯時間T2が基準点灯信号より短くなるような補正点灯信号が、プローブ2または演算制御装置7で生成された場合、撮像装置5のシャッタ561〜563を開く時間を、点灯時間T2にあわせて短くするようにしてもよい。この場合、点灯時間T2が短くなるように第1〜第9赤外LED261〜269が制御される旨の補正通知信号を、撮像装置5の撮像制御部58が取得し、当該撮像制御部58がシャッタ561〜563を開く時間を短くしてもよい。また、上記補正通知信号を取得した演算制御装置7のタイミング制御部723が開閉信号を補正して、シャッタ561〜563を開く時間が短くなるような補正開閉信号を生成し、この補正開閉信号を撮像装置5へ送信し、この補正開閉信号に基づいて撮像制御部58がシャッタ561〜563を開く時間を短くしてもよい。
【0049】
プローブ2と演算制御装置7との間で基準点灯信号を送受信する際に無線通信を用いるとともに、プローブ2の構成要素に電力を供給するためのバッテリ34を設けたが、プローブ2と演算制御装置7とに接続されたケーブルを介して、基準点灯信号の送受信と、プローブ2の構成要素への電力供給とを行ってもよい。このような構成でも、第1〜第9赤外LED261〜269の消費電力を抑制することができる。
【0050】
第1,第2RFモバイルユニット30,60を、プローブ本体21、ケース52から離れた位置に配置してもよい。この場合、測定信号の受信強度に基づいて測定された距離を、この離れた位置関係に基づき補正し、プローブ2から撮像装置5までの距離を求めればよい。
第1RFモバイルユニット30をプローブ本体21内に配置してもよいし、第2RFモバイルユニット60をケース52内に配置してもよいし、RFベースステーション71を制御装置72内に配置してもよい。
撮像制御部58と制御装置72との各種信号の送受信を、ケーブル102を介して行わずに、第1無線通信部711と第3無線通信部61との無線通信を利用して行ってもよい。なお、この場合、ケース52内の構成要素を駆動するための電力を供給するバッテリや商用電源が必要となる。
測定信号の受信強度に基づき得られた距離情報を距離取得部332が取得したが、例えば、測定者が設定入力した距離情報や、超音波での測定結果に基づく距離情報を、距離取得部332が取得するようにしてもよい。
本発明の電力供給部は、太陽電池であってもよい。
【0051】
本発明の測定用光源として9個の第1〜第9赤外LED261〜269を配置したが、少なくとも3個あればよい。
本発明の測定用光源としては、LED以外の公知の光源を採用することができ、発光する光も赤外線以外の光を採用することができる。
検出部531〜533の構成としては、シリンドリカルレンズ541〜543とラインセンサ551〜553とを含んで構成したが、集光領域59からの光を1軸方向へ集光できる光学素子であれば、シリンドリカルレンズでなくてもよい。