(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、フラグメント処理においては、ヘッダを付加するため、ヘッダの長さ分の通信のオーバーヘッドが発生してしまうという問題がある。例えば、上述の非特許文献1の場合、下位層のヘッダには、16ビットのシーケンス制御フィールドと1ビットのMore Flagパラメータが用意されているので、合計で17ビットの通信のオーバーヘッドが発生している。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、フラグメント処理による通信のオーバーヘッドを抑えることができる送信装置、受信装置、送信方法、受信方法およびプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、本発明の一態様は、上位層のパケットを一定長のデータに分割する分割部と、分割した前記一定長のデータにヘッダを付加して、当該層のパケットを生成するヘッダ付加部と、生成した前記パケットを送信する送信部とを具備し、前記ヘッダは、前記当該層のパケットにおける前記上位層のパケットの開始点位置を示す情報を含むことを特徴とする送信装置である。
【0007】
(2)また、本発明の他の態様は、一定長のパケットを受信する受信部と、前記一定長のパケットのヘッダが表す上位層のパケットの開始点位置を参照して、前記一定長のパケットのペイロードから前記上位層のパケットを生成する結合部とを具備することを特徴とする受信装置である。
【0008】
(3)また、本発明の他の態様は、(2)に記載の受信装置であって、前記一定長のパケットについて誤り検出を行い、誤りを検出した前記一定長のパケットのヘッダに含まれる前記上位層のパケットの開始点位置に、予め決められた値を格納する検出部とを具備し、
前記結合部は、前記開始点位置が前記予め決められた値である前記一定長のパケットは、パケットロスしたパケットであると判定することを特徴とする。
【0009】
(4)また、本発明の他の態様は、上位層のパケットを一定長のデータに分割する第1の過程と、分割した前記一定長のデータにヘッダを付加して、当該層のパケットを生成する第2の過程と、生成した前記パケットを送信する第3の過程とを有し、前記ヘッダは、前記当該層のパケットにおける前記上位層のパケットの開始点位置を示す情報を含むことを特徴とする送信方法である。
【0010】
(5)また、本発明の他の態様は、一定長のパケットを受信する第1の過程と、前記一定長のパケットのヘッダが表す上位層のパケットの開始点位置を参照して、前記一定長のパケットのペイロードから前記上位層のパケットを生成する第2の過程とを有することを特徴とする受信方法である。
【0011】
(6)また、本発明の他の態様は、コンピュータを、上位層のパケットを一定長のデータに分割する分割部、分割した前記一定長のデータにヘッダを付加して、当該層のパケットを生成するヘッダ付加部、生成した前記パケットを送信する送信部として機能させるためのプログラムであって、前記ヘッダは、前記当該層のパケットにおける前記上位層のパケットの開始点位置を示す情報を含むことを特徴とする。
【0012】
(7)また、本発明の他の態様は、コンピュータを、一定長のパケットを受信する受信部、前記一定長のパケットのヘッダが表す上位層のパケットの開始点位置を参照して、前記一定長のパケットのペイロードから前記上位層のパケットを生成する結合部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、フラグメント処理による通信のオーバーヘッドを抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、この発明の第1の実施形態による通信システム10の構成を示す概略ブロック図である。通信システム10は、複数の通信装置100と、複数の通信装置100を互いに接続するネットワーク200とを含んで構成される。
【0016】
通信装置100は、ネットワーク200を介して、他の通信装置100と通信する。ネットワーク200は、データリンク層のネットワークを一つのみ有するネットワークであり、イーサネット(登録商標)などの有線通信によるネットワークであってもよいし、IEEE802.11などの無線通信によるネットワークであってもよい。なお、ネットワーク200が、データリンク層にて用いるプロトコルとしては、イーサネット(登録商標)、PPP(Point-to-Point Protocol)、HDLC(High-Level Data Link Control)、ADCCP(Advanced Data Communications Control Protocol)などが挙げられるが、これら以外であってもよい。
【0017】
図2は、通信装置100の構成を示す概略ブロック図である。通信装置100は、上位層送信部101、下位層送信部102、下位層受信部103、上位層受信部104を含んで構成される。上位層送信部101は、データリンク層のパケット(以降、上位層のパケットという)を生成し、下位層送信部102に入力する。下位層送信部102は、入力された上位層のパケットに対して、フラグメント処理を行うことで、下位層のパケットを生成し、他の通信装置100に送信する。
【0018】
下位層受信部103は、他の通信装置100から下位層のパケットを受信する。下位層受信部103は、受信した下位層のパケットから抽出したデータを結合することで、上位層のパケットを生成し、上位層受信部104に入力する。上位層受信部104は、入力された上位層のパケットに対する処理(例えば、パケットロス時の再送など)を行う。
【0019】
図3は、本実施形態におけるフラグメント処理を説明する図である。
図3に示す例は、上位層のパケットA、B、C…、から、物理層に近い下位層のパケット1、2、3…、へのフラグメント処理である。本実施形態におけるフラグメント処理では、上位層のパケットは可変長であり、下位層のパケットは一定長である。下位層のパケットには、そのペイロード長(バイト=オクテット)数+1を表せるビット数のパケットヘッダが付加されている。すなわち、パケットヘッダのビット数をb、ペイロードのバイト数をLとしたとき、L+1<2
bを満たす。そして、パケットヘッダには、バイト単位の上位層のパケットの開始点位置が記述されている。
【0020】
例えば、パケット1のヘッダには、パケット1のペイロードにおけるパケットAの開始点位置であるH1(この場合、H1は「1」)が記述されている。また、パケット2は、いずれの上位層のパケットの開始点位置も含んでいないので、開始点位置H2として「0」が記述されている。また、パケット3のヘッダには、パケット3のペイロードにおけるパケットBの開始点位置であるH3が記述されている。同様に、パケット4のヘッダには、パケット4のペイロードにおけるパケットCの開始点位置であるH4が記述されている。なお、パケット5のヘッダには、スタッフィングSFの開始点位置であるH5が記述されている。
【0021】
図4は、本実施形態におけるフラグメントの逆処理を説明する図である。下位層の各パケットを受信した時は、はじめに下位層のパケットヘッダを解析する。ヘッダに、「0」ではなく開始点位置があれば、その部分を分割点として上位層のパケットとする。ヘッダに、開始点位置として「0」が記述されているときは、上位層のパケット分割を行わず、そのまま結合する。パケットロスが発生したときは、ヘッダに、開始点位置として「255」を記述するなどして、パケットロスをヘッダに加えた上で上位層に通知する。なお、パケットロスとは、何らかの理由でパケットが失われたことを示す。
【0022】
図5は、下位層のパケットのヘッダを説明する表である。本実施形態における下位層のパケットは、ヘッダと、ペイロードと、誤り検出符号とからなる。ヘッダの長さは、1バイトであり、ペイロードの長さは254バイトである。例えば、上位層のパケットの開始点位置が100バイト目の場合、ヘッダは10進数で「100」となる。すなわち、ヘッダは、値が1〜254のときは、上位層のパケットの開始点位置を表す。また通常は上位層のパケットの方が下位層のパケットよりも長いため、下位層のパケットに上位層のパケットの切れ目(開始点)が存在しない場合がある。その場合のヘッダは10進数で「0」である。パケットの分割と結合にはこれだけの情報があれば十分だが、下位層のパケットのパケットロスを通知する場合、ヘッダは10進数で「255」である。なお、本実施形態では、1バイトのヘッダが示すことのできる、上位層のパケットの開始点位置の最大値である254バイトを、ペイロード長としているが、ペイロード長は、該最大値よりも小さくてもよい。
【0023】
図6は、下位層送信部102の構成を示す概略ブロック図である。
図6に示す構成は、通信装置100が無線通信装置である場合の構成である。下位層送信部102は、分割部121、ヘッダ付加部122、誤り検出符号付加部123、変調部124、送信高周波部125、送信アンテナ126を含んで構成される。変調部124と、送信高周波部125と、送信アンテナ126とで、送信部12として機能する。分割部121は、上位層のパケットを、一定長(254バイト)のデータに分割する。ヘッダ付加部122は、一定長に分割されたデータにヘッダを付加する。ヘッダには、上位層のパケットの開始点を解析して生成された値が記述される。
【0024】
誤り検出符号付加部123は、ヘッダ付加部122がヘッダを付加したデータに、誤り検出符号を付加し、下位層のパケットとする。誤り検出符号は、例えば、32ビットの巡回冗長検査(Cyclic Redundancy Check;CRC)である。なお、上述したように、ヘッダが8ビット、ペイロードが254バイト、誤り検出符号が32ビットであるので、これらの合計である259バイトが、下位層のパケットの長さである。
【0025】
変調部124は、誤り検出符号が付加された下位層のパケットを変調することで、変調信号を生成する。なお、多値数などの変調方式、シングルキャリアか、マルチキャリアかなどの搬送方式などは、どのようなものであってもよい。送信高周波部125は、変調信号を、送信用の無線周波数に変換する。送信高周波部125は、帯域外の成分をカットするフィルタリング処理なども行う。なお、無線周波数の周波数帯域は、どのようなものであってもよい。送信アンテナ126は、無線周波数に変換された信号を送信する。
【0026】
図7は、下位層受信部103の構成を示す概略ブロック図である。
図7に示す構成は、通信装置100が無線通信装置である場合の構成である。下位層受信部103は、受信アンテナ131、受信高周波部132、復調部133、誤り検出部134、ヘッダ解析部135、結合部136を含んで構成される。受信アンテナ131と、受信高周波部132と、復調部133とで、受信部13として機能する。受信アンテナ131は、他の通信装置100の送信アンテナ126が送信した信号を受信する。受信高周波部132は、受信した信号を、ベースバンド周波数に変換して、ベースバンド信号を生成する。受信高周波部132は、帯域外の成分をカットするフィルタリング処理なども行う。
【0027】
復調部133は、ベースバンド信号を復調する。復調部133は、復調により得られたビット列を、下位層のパケットの長さである259バイト毎に分割することで、下位層のパケットとする。誤り検出部134は、復調部133により、下位層のパケットとされたビット列に含まれる誤り検出符号を用いて、該ビット列の誤り検出を行う。誤り検出部134は、誤りが検出された下位層のパケットのヘッダに、パケットロスを表す「255」を設定する。
【0028】
ヘッダ解析部135は、誤り検出部134が誤り検出した下位層のパケットのヘッダを解析する。ヘッダ解析部135は、解析結果とともに、その下位層のパケットを、結合部136に入力する。ヘッダ解析部135は、ヘッダが「0」のときは、上位層のパケットの開始点なしと判定する。また、ヘッダ解析部135は、ヘッダが「1〜254」のときは、上位層のパケットの開始点があり、ヘッダの値が開始点位置であると判定する。また、ヘッダ解析部135は、ヘッダが「255」のときは、その下位層のパケットがパケットロスとなったと判定する。
【0029】
結合部136は、入力された解析結果を参照して、下層のパケットのペイロードを結合することで、上位層のパケットを生成する。なお、結合部136は、ヘッダ解析部135から解析結果としてパケットロスを入力されたときは、上位層受信部104にパケットロスを通知する。
【0030】
図8は、分割部121から誤り検出符号付加部123までの動作を説明するフローチャートである。分割部121は、上位層のパケットから一定長のデータを分割する(Sa1)。ヘッダ付加部122は、分割したデータに、上位層のパケットの終点が含まれているか判定する(Sa2)。含まれていないと判定したときは(Sa2−No)、ヘッダ付加部122は、ヘッダに「0」を書き込み(Sa3)、ステップSa7に進む。
【0031】
一方、ステップSa2にて、含まれていると判定したときは(Sa2−Yes)、分割部121が、次の上位層のパケットから、データを分割し、ステップSa1にて分割したデータの末尾に連結し、さらに、ヘッダに開始点位置を書き込む(Sa4)。なお、分割するデータの長さは、ステップSa2にて判定した終点の次のバイトからステップSa1における一定長に到達するまでの長さである。また、ヘッダに書き込む開始点位置は、終点の次のバイトの位置である。
【0032】
次に、ヘッダ付加部122は、連結したデータに、2個目以降の上位層のパケットの終点が含まれているか判定する(Sa5)。含まれていないと判定したときは(Sa5−No)、ステップSa7に進む。一方、ステップSa5にて、含まれていると判定したときは(Sa5―Yes)、終点の次のバイト以降をスタッフィングバイトで埋める(Sa6)。
【0033】
ステップSa7では、誤り検出符号付加部123が、ヘッダと、データとを含めた誤り検出符号を算出する。誤り検出符号付加部123は、ヘッダと、データと、誤り検出符号とを連結して、下位層のパケットとする。次に、分割部121が、分割されていない上位層のパケットが残っているか否かを判定する(Sa8)。残っていると判定したときは(Sa8−Yes)、ステップSa1に戻る。残っていないと判定したときは(Sa8−No)、処理を終了する。
【0034】
図9は、誤り検出部134から誤り結合部136までの動作を説明するフローチャートである。誤り検出部134は、復調部133から入力された下位層のパケットについて、誤り検出を行う(Sb1)。誤り検出部134は、誤りがあったか否かを判定する(Sb2)。誤りが無いと判定したときは(Sb2−No)、ステップSb4に進む。誤りがあると判定したときは(Sb1−Yes)、誤り検出部134は、該下位層のパケットのヘッダに、パケットロスを表す「255」を書き込み(Sb3)、ステップSb4に進む。
【0035】
ステップSb4では、ヘッダ解析部135が、該下位層のパケットから、ヘッダを切り取る。結合部136は、切り取ったヘッダの値が「0」であるか否かを判定する(Sb5)。「0」であると判定したときは(Sb5−Yes)、結合部136は、該下位層のパケットのペイロードを全て、作業中の上位層のパケットに連結し(Sb6)、ステップSb10に進む。一方、ステップSb5にて、「0」でないと判定したときは(Sb5−No)、結合部136は、切り取ったヘッダの値が「255」であるか否かを判定する(Sb7)。「255」であると判定したときは(Sb7−Yes)、結合部136は、上位層受信部104にパケットロスを通知し(Sb8)、ステップSb10に進む。
【0036】
一方、ステップSb7にて、「255」でないと判定したときは(Sb7−No)、結合部136は、該下位層のパケットのペイロードのうち、ヘッダの値−1までを、作業中の上位層のパケットに連結し、該作業中の上位層のパケットを完成とする。結合部136は、該下位層のパケットのペイロードのうち、ヘッダの値以降を、次の作業中の上位層のパケットとし(Sb9)、ステップSb10に進む。
【0037】
ステップSb10では、誤り検出部134は、復調部133から入力された下位層のパケットに残りがあるか否かを判定する。残りがあると判定したときは(Sb10−Yes)、ステップSb1に戻る。ステップSb10にて、残りがないと判定したときは(Sb10−No)、処理を終了する。
【0038】
なお、本実施形態の上位層のパケットと、下位層のパケットとの関係を複数回繰り返すようにしてもよい。送信側では、例えば、上述の上位層のパケットを一定長に分割して下位層のパケットとする。その下位層のパケットを分割して、データリンク層のパケットとする。さらに、該データリンク層のパケットを上位層のパケットとして一定長に分割して、下位層のパケットとする。これで、上位層のパケットと、下位層のパケットとの関係を2回繰り返したことになる。受信側も同様である。
また、上位層送信部101と、下位層送信部102とで、送信装置として機能する。また、上位層受信部104と、下位層受信部103とで、受信装置として機能する。
【0039】
このように、通信装置100は、分割部121と、ヘッダ付加部122とを有する。分割部121は、上位層のパケットを一定長のデータに分割する。ヘッダ付加部122は、分割した一定長のデータに、下位層のパケットにおける上位層のパケットの開始点位置を示す情報をヘッダとして付加する。
また、通信装置100の結合部136は、受信した一定長のパケットのヘッダが表す上位層のパケットの開始点位置を参照して、一定長のパケットのペイロードから上位層のパケットを生成する。
【0040】
これにより、下位層におけるヘッダは、シーケンス制御フィールドなど下位層のパケットを識別する領域を含まないので、ヘッダのサイズを抑えることができる。すなわち、フラグメント処理による通信のオーバーヘッドを抑えることができる。
【0041】
(変形例)
第1の実施形態では、下位層のパケットには誤り検出符号を付したが、誤り検出可能な誤り訂正符号を用いるようにしてもよい。本変形例では、内符号・外符号の二重符号とし、より誤り耐性を高めている。なお、内符号、外符号については、例えば、ARIB STD−B11,“テレビジョン放送番組素材伝送用可搬形マイクロ波帯デジタル無線伝送システム”,2.2版,標準規格,Nov.2005.や、ARIB STD−B33,“テレビジョン放送番組素材伝送用可搬型OFDM方式デジタル無線伝送システム”,1.2版,標準規格,Mar.2011.に記載されている。
【0042】
図10は、本変形例の誤り検出符号付加部123の構成を示す概略ブロック図である。誤り検出符号付加部123は、外符号化部1231、内符号化部1232を含んで構成される。外符号化部1231は、ヘッダ付加部122がヘッダを付加したデータに対して、誤り検出可能な誤り訂正符号化(外符号)を行う。誤り検出可能な誤り訂正符号としては、例えば、RS(Reed-Solomon)符号を用いることができる。内符号化部1232は、外符号化部1231により外符号化された、ヘッダを付加したデータに対して、誤り訂正符号化(内符号)を行う。誤り訂正符号化には、例えば、畳み込み符号を用いることができる。
【0043】
図11は、本変形例の誤り検出部134の構成を示す概略ブロック図である。誤り検出部134は、内符号復号部1341、外符号復号・誤り検出部1342を含んで構成される。内符号復号部1341は、復調部133により、下位層のパケットとされたビット列に対して、内符号の復号処理を行う。外符号復号・誤り検出部1342は、内符号復号部1341による復号処理結果に対して、外符号の復号処理と、誤り検出とを行う。外符号復号・誤り検出部1342は、誤りが検出された下位層のパケットのヘッダに、パケットロスを表す「255」を設定する。
【0044】
本変形例においても、第1の実施形態と同様に、下位層におけるヘッダは、シーケンス制御フィールドなど下位層のパケットを識別する領域を含まないので、ヘッダのサイズを抑えることができる。すなわち、フラグメント処理による通信のオーバーヘッドを抑えることができる。
【0045】
(第2の実施形態)
第2の実施形態における通信システムは、
図1の通信装置100に変えて通信装置100aを有する。通信装置100aは、受信した下位層のパケットに誤りを検出すると、再送を要求するARQ(Automatic Repeat reQuest)を行う点が、通信装置100と異なる。
【0046】
図12は、通信装置100aの構成を示す概略ブロック図である。同図において、
図2の各部に対応する部分には、同一の符号を付し、説明を省略する。通信装置100aは、上位層送信部101、下位層送信部102a、下位層受信部103a、上位層受信部104を含んで構成される。
【0047】
下位層送信部102aは、
図2の下位層送信部102とは、下位層受信部103aが受信した下位層のパケットに関する応答の送信と、下位層受信部103aが否定応答を受信したときに、該否定応答に応じたパケットの再送信とを行う点が異なる。下位層受信部103aは、
図2の下位層受信部103とは、受信した下位層のパケットに関する応答を生成する点と、下位層送信部102aが送信した下位層のパケットに対する応答を分離し、下位層送信部102aに通知する点とが異なる。
【0048】
図13は、下位層送信部102aと下位層受信部103aとの構成を示す概略ブロック図である。同図において、
図6、
図7の各部に対応する部分には、同一の符号を付し、説明を省略する。下位層送信部102aは、分割部121、ヘッダ付加部122、誤り検出符号付加部123、送信パケットバッファ127、応答付加部128、送信部12を含んで構成される。下位層受信部103aは、受信部13、応答分離部137、誤り検出部134、受信パケットバッファ138、ヘッダ解析部135、結合部136、応答生成部139を含んで構成される。
【0049】
送信パケットバッファ127は、送信した下位層のパケットを記憶しており、下位層受信部103aから否定応答を通知されると、該否定応答に対応する下位層のパケットを再送信させる。応答付加部128は、下位層受信部103aが生成した応答を、下位層のパケットと多重し、送信部12に送信させる。なお、応答は、受信した下位層のパケット毎に生成され、誤りが検出されなかったことを示す肯定応答(ACK)と、誤りが検出されたので、再送信を要求する否定応答(NACK)とがある。
【0050】
応答分離部137は、受信部13が復調したビット列から、下位層送信部102aが送信した下位層のパケットに対する応答を分離し、送信パケットバッファ127に通知する。受信パケットバッファ138は、誤りが検出されなかった下位層のパケットを記憶する。受信パケットバッファ138は、再送信により、パケットの受信順が、元の送信順と変わってしまったときに、元の送信順に並び替えて、ヘッダ解析部135に入力する。
【0051】
なお、受信パケットバッファ138は、再送信を、例えば所定の回数繰り返しても、誤りが検出されるパケットについては、ヘッダにパケットロスを表す「255」を書き込み、ヘッダ解析部135に入力する。応答生成部139は、誤り検出部134が誤りを検出したときは、否定応答を生成し、誤りを検出しなかったときは、肯定応答を生成し、応答付加部128に入力する。
【0052】
このようにARQを用いる場合でも、第1の実施形態と同様に、下位層におけるヘッダは、シーケンス制御フィールドなど下位層のパケットを識別する領域を含まないので、ヘッダのサイズを抑えることができる。すなわち、フラグメント処理による通信のオーバーヘッドを抑えることができる。
【0053】
(第3の実施形態)
第3の実施形態における通信装置100aは、誤り訂正と、ARQとを組み合わせたHARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)を行う点が、第2の実施形態における通信装置100aと異なる。なお、HARQは、チェイス合成(Chase Combining)を用いる方式や、IR(Incremental Redundancy)合成を用いる方式など、どのような方式であってもよい。
【0054】
図14は、下位層送信部102aと下位層受信部103aとの構成を示す概略ブロック図である。同図において、
図13の各部に対応する部分には、同一の符号を付し、説明を省略する。下位層送信部102aは、分割部121、ヘッダ付加部122、誤り検出・誤り訂正符号化部123a、送信パケットバッファ127、応答付加部128、送信部12を含んで構成される。下位層受信部103aは、受信部13、応答分離部137、復号前バッファ140、誤り検出復号部134a、受信パケットバッファ138、ヘッダ解析部135、結合部136、応答生成部139を含んで構成される。
【0055】
誤り検出・誤り訂正符号化部123aは、誤り検出可能な誤り訂正符号により、ヘッダ付加部122がヘッダを付加したデータを符号化し、下位層のパケットとする。なお、第1の実施形態の変形例のように、外符号と、内符号とを用いるようにしてもよい。復号前バッファ140は、受信部13が復調したビット列(軟判定値)から応答を分離した残りの部分、すなわち、下位層のパケットを記憶する。再送信された下位層のパケットを受信したときは、復号前バッファ140は、該再送信された下位層のパケットのビット列と、該パケットの初送のビット列とを合成する。なお、ビット列と、ビット列との合成は、互いに対応するビットの軟判定値の和をとることで行う。
【0056】
誤り検出復号部134aは、下位層のパケットについて、誤り検出・誤り訂正符号化部123aにて用いた符号の復号処理と、誤り検出処理とを行う。再送信された下位層のパケットを受信したときは、誤り検出復号部134aは、復号前バッファ140が合成したビット列について、誤り検出・誤り訂正符号化部123aにて用いた符号の復号処理と、誤り検出処理とを行う。
【0057】
このようにHARQを用いる場合でも、第1の実施形態と同様に、下位層におけるヘッダは、シーケンス制御フィールドなど下位層のパケットを識別する領域を含まないので、ヘッダのサイズを抑えることができる。すなわち、フラグメント処理による通信のオーバーヘッドを抑えることができる。
【0058】
また、上述の各実施形態における通信装置、送信装置、受信装置の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、通信装置、送信装置、受信装置を実現するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0059】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0060】
また、上述の各実施形態における通信装置、送信装置、受信装置の各機能ブロックは個別にチップ化してもよいし、一部、または全部を集積してチップ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず、専用回路、または汎用プロセッサで実現しても良い。ハイブリッド、モノリシックのいずれでも良い。一部は、ハードウェアにより、一部はソフトウェアにより機能を実現させても良い。
また、半導体技術の進歩により、LSIに代替する集積回路化等の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能である。
【0061】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。