特許第6328977号(P6328977)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6328977
(24)【登録日】2018年4月27日
(45)【発行日】2018年5月23日
(54)【発明の名称】基板研磨装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/34 20120101AFI20180514BHJP
   B24B 55/06 20060101ALI20180514BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20180514BHJP
【FI】
   B24B37/34
   B24B55/06
   H01L21/304 621D
【請求項の数】9
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-74111(P2014-74111)
(22)【出願日】2014年3月31日
(65)【公開番号】特開2015-196206(P2015-196206A)
(43)【公開日】2015年11月9日
【審査請求日】2016年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(72)【発明者】
【氏名】青野 弘
(72)【発明者】
【氏名】曽根 忠一
(72)【発明者】
【氏名】相澤 英夫
(72)【発明者】
【氏名】新海 健史
【審査官】 小川 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−121698(JP,A)
【文献】 特開平07−276241(JP,A)
【文献】 特開2010−082759(JP,A)
【文献】 特開2008−296293(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/34
B24B 55/06
H01L 21/304
B23Q 11/08
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨チャンバと、
前記研磨チャンバ内において基板を研磨する研磨部と、
前記研磨チャンバ内に気体を供給する気体供給口と、
前記気体を前記研磨チャンバ内から排出する気体排出口と、
前記研磨チャンバ内の壁面に設けられ、前記研磨チャンバ内に洗浄液を霧状に噴霧する噴霧ノズルと、
を備えた基板研磨装置であって、
前記気体供給口は、前記研磨チャンバの内側の側壁面の中心から側方にオフセットされた位置に配置されており、
前記噴霧ノズルは、前記研磨チャンバの内側の側壁面に設けられ、
前記気体排出口は、前記研磨チャンバの内側の底面に設けられている、ことを特徴とする基板研磨装置。
【請求項2】
前記噴霧ノズルの向きは、前記研磨チャンバ内の壁面から中央の空間に向けて前記洗浄液を噴霧するように設定されている、請求項1に記載の基板研磨装置。
【請求項3】
複数の前記気体供給口が、前記研磨チャンバ内の上部においてそれぞれ異なる位置に設けられている、請求項1または請求項2に記載の基板研磨装置。
【請求項4】
前記気体供給口は、前記研磨チャンバの上部に設けられており、
前記噴霧ノズルは、前記気体供給口の近傍に配置されている、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の基板研磨装置。
【請求項5】
前記気体排出口は、前記研磨チャンバの下部の前記研磨部の近傍に設けられており、
前記噴霧ノズルは、前記気体排出口の近傍に配置されている、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の基板研磨装置。
【請求項6】
前記噴霧ノズルの向きは、前記気体供給口から供給された気体の流れと反対の向きに設定されている、請求項1ないし請求項のいずれかに記載の基板研磨装置。
【請求項7】
前記噴霧ノズルの向きは、前記気体供給口から供給された気体の流れと同じ向きに設定されている、請求項1ないし請求項のいずれかに記載の基板研磨装置。
【請求項8】
前記研磨チャンバ内を洗浄するためのハンド式の洗浄具と、
前記研磨チャンバの外から前記ハンド式の洗浄具を操作するための密閉型グローブと、
を備える、請求項1ないし請求項のいずれかに記載の基板研磨装置。
【請求項9】
前記密閉型グローブを前記研磨チャンバ内の壁面に固定するための固定部材を備える、請求項に記載の基板研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板の表面を研磨する基板研磨装置に関し、特に、基板の研磨時に有毒物質が発生する場合に好適な基板研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化合物半導体基板(ウエハ)の研磨では危険な薬液が使用される場合がある。例えばSiC基板ではHFが使用されることがある(特許文献1参照)。また、GaAs基板では研磨廃液には有害なヒ素が混入される場合もある。
【0003】
従来の基板研磨装置では、研磨雰囲気を局所的に隔離し、ダウンフロー排気して有害物質の外部への漏れを防止している。ところが、この装置は、研磨部に付着した有害物質を洗浄したり、研磨雰囲気に浮遊した有害物質を湿潤化してトラップするものではない。そこで、研磨部の洗浄や研磨雰囲気の浮遊物質のトラップを行う洗浄装置が提案されている(特許文献2参照)。この従来の洗浄装置では、研磨チャンバ内にノズルを設置し、ノズルから洗浄液を噴射して研磨チャンバ内の壁面や天井面を洗浄する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−166709号公報
【特許文献2】特開2008−296293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の洗浄装置は、研磨チャンバ内の壁面や天井面を洗浄することを目的とするもので、研磨チャンバ内の空間に浮遊している有害物質をトラップすることは想定されていない。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、研磨チャンバ内に浮遊している有害物質を効果的にトラップすることのできる基板研磨装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の基板研磨装置は、研磨チャンバ内において基板を研磨する研磨部と、研磨チャンバ内に気体を供給する気体供給口と、気体を研磨チャンバ内から排出する気体排出口と、研磨チャンバ内の壁面に設けられ、研磨チャンバ内に洗浄液を霧状に噴霧する噴霧ノズルと、を備えた基板研磨装置であって、気体供給口は、研磨チャンバ内の壁面の中心から側方にオフセットされた位置に配置されており、噴霧ノズルの向きは、研磨チャンバ内の壁面から中央の空間に向けて洗浄液を噴霧するように設定されている。
【0008】
この構成により、研磨チャンバ内の壁面のオフセットされた位置の気体供給口から気体が供給されると、研磨チャンバ内において気体が旋回するようになる。そこに、研磨チャンバの中央の空間に向けて噴霧ノズルから洗浄液を噴霧すると、霧状の洗浄液が気体にのって研磨チャンバ内を旋回する。これにより、基板の研磨時に研磨チャンバ内で有害物質(粉末やガス)が発生した場合であっても、その有害物質を洗浄液でトラップすることができる。洗浄液によってトラップされた有害物質は気体とともに気体排出口から排出される。このようにして、研磨チャンバ内に浮遊している有害物質を、効果的にトラップして安全に排出することができる。
【0009】
また、本発明の基板研磨装置では、複数の気体供給口が、研磨チャンバ内の上部においてそれぞれ異なる位置に設けられてもよい。
【0010】
この構成により、研磨チャンバ内の上部の異なる位置に設けられた複数の気体供給口から気体が供給されるので、研磨チャンバ内において気体が旋回しやすくすることができる。
【0011】
また、本発明の基板研磨装置では、気体供給口は、研磨チャンバの上部に設けられており、噴霧ノズルは、気体供給口の近傍に配置されてもよい。
【0012】
この構成により、研磨チャンバの上部の気体供給口から気体が供給されるとすぐに気体に洗浄液をのせることができ、早い段階から研磨チャンバ内の有害物質をトラップすることができる。
【0013】
また、本発明の基板研磨装置では、気体排出口は、研磨チャンバの下部の研磨部の近傍に設けられており、噴霧ノズルは、気体排出口の近傍に配置されてもよい。
【0014】
この構成により、研磨チャンバの下部において基板の研磨時に有害物質(粉末やガス)が発生した場合に、発生した場所の近くで(発生してからすぐに)その有害物質をトラップすることができる。
【0015】
また、本発明の基板研磨装置では、噴霧ノズルの向きは、気体供給口から供給された気体の流れと反対の向きに設定されてもよい。
【0016】
この構成により、研磨チャンバ内で有害物質が気体にのって流れてきたときに、その気体(有害物質)に向けて洗浄液が噴霧される。したがって、気体にのって流れてきた有害物質を洗浄液によって効果的にトラップすることができる。
【0017】
また、本発明の基板研磨装置では、噴霧ノズルの向きは、気体供給口から供給された気体の流れと同じ向きに設定されてもよい。
【0018】
この構成により、研磨チャンバ内で流れる気体と同じ向きに洗浄液が噴霧される。したがって、研磨チャンバ内を流れる気体に洗浄液をのせて、研磨チャンバ内の広い範囲の有害物質を効果的にトラップすることができる。
【0019】
また、本発明の基板研磨装置は、研磨チャンバ内を洗浄するためのハンド式の洗浄具と、研磨チャンバの外からハンド式の洗浄具を操作するための密閉型グローブと、を備えてもよい。
【0020】
この構成により、洗浄液によるトラップだけでは有害物質の除去が不十分である場合には、密閉型グローブを介してハンド式の洗浄具を操作して、研磨チャンバ内に残った有害物質を洗浄することができる。
【0021】
また、本発明の基板研磨装置では、前記密閉型グローブを前記研磨チャンバ内の壁面に固定するための固定部材を備えてもよい。
【0022】
この構成により、密閉型グローブの不使用時などには、密閉型グローブを固定部材で研磨チャンバ内の壁面に固定することができ、研磨チャンバ内の他の構造物に密閉型グローブが接触するのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、研磨チャンバ内に浮遊している有害物質を効果的にトラップすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態における基板研磨装置が適用される基板処理装置の全体構成を示す平面図である。
図2】第1研磨ユニットを模式的に示す斜視図である。
図3】トップリングの構造を模式的に示す断面図である。
図4】トップリングの他の構造例を模式的に示す断面図である。
図5】トップリングを回転および揺動させる機構を説明するための断面図である。
図6】研磨テーブルの内部構造を模式的に示す断面図である。
図7】光学式センサを備えた研磨テーブルを示す模式図である。
図8】マイクロ波センサを備えた研磨テーブルを示す模式図である。
図9】ドレッサを示す斜視図である。
図10】ドレッサが研磨パッドの研磨面をドレッシングしているときの移動軌跡を示す平面図である。
図11図11(a)はアトマイザを示す斜視図であり、図11(b)はアームの下部を示す模式図である。
図12図12(a)はアトマイザの内部構造を示す側面図であり、図12(b)はアトマイザを示す平面図である。
図13図13(a)は研磨液供給ノズルを示す斜視図であり、図13(b)は研磨液供給ノズルの先端を下から見た拡大模式図である。
図14】研磨部の純水供給配管を示す模式図である。
図15】本発明の一実施形態における基板研磨装置の説明図である。
図16】基板研磨装置の他の例(変形例1)の説明図である。
図17】基板研磨装置の他の例(変形例2)の説明図である。
図18】基板研磨装置の他の例(変形例3)の説明図である。
図19】本発明の一実施形態における噴霧ノズルの向きの説明図である。
図20】噴霧ノズルの向きの他の例の説明図である。
図21】本発明の一実施形態における基板研磨装置の平面図である。
図22】本発明の一実施形態におけるハンド式の洗浄具の説明図である。
図23】本発明の一実施形態における密閉型グローブの説明図である。
図24】本発明の一実施形態における密閉型グローブの固定部材の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る基板研磨装置の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係る基板研磨装置が適用される基板処理装置の全体構成を示す平面図である。図1に示すように、この基板処理装置は、略矩形状のハウジング1を備えており、ハウジング1の内部は隔壁1a,1bによってロード/アンロード部2と研磨部3と洗浄部4とに区画されている。これらのロード/アンロード部2、研磨部3、および洗浄部4は、それぞれ独立に組み立てられ、独立に排気される。また、基板処理装置は、基板処理動作を制御する制御部5を有している。
【0027】
研磨部3は、ウェハの研磨(平坦化)が行われる領域であり、第1研磨ユニット3A、第2研磨ユニット3B、第3研磨ユニット3C、第4研磨ユニット3Dを備えている。これらの第1研磨ユニット3A、第2研磨ユニット3B、第3研磨ユニット3C、および第4研磨ユニット3Dは、図1に示すように、基板処理装置の長手方向に沿って配列されている。
【0028】
図1に示すように、第1研磨ユニット3Aは、研磨面を有する研磨パッド10が取り付けられた研磨テーブル30Aと、ウェハを保持しかつウェハを研磨テーブル30A上の研磨パッド10に押圧しながら研磨するためのトップリング31Aと、研磨パッド10に研磨液やドレッシング液(例えば、純水)を供給するための研磨液供給ノズル32Aと、研磨パッド10の研磨面のドレッシングを行うためのドレッサ33Aと、液体(例えば純水)と気体(例えば窒素ガス)の混合流体または液体(例えば純水)を霧状にして研磨面に噴射するアトマイザ34Aとを備えている。
【0029】
同様に、第2研磨ユニット3Bは、研磨パッド10が取り付けられた研磨テーブル30Bと、トップリング31Bと、研磨液供給ノズル32Bと、ドレッサ33Bと、アトマイザ34Bとを備えており、第3研磨ユニット3Cは、研磨パッド10が取り付けられた研磨テーブル30Cと、トップリング31Cと、研磨液供給ノズル32Cと、ドレッサ33Cと、アトマイザ34Cとを備えており、第4研磨ユニット3Dは、研磨パッド10が取り付けられた研磨テーブル30Dと、トップリング31Dと、研磨液供給ノズル32Dと、ドレッサ33Dと、アトマイザ34Dとを備えている。
【0030】
第1研磨ユニット3A、第2研磨ユニット3B、第3研磨ユニット3C、および第4研磨ユニット3Dは、互いに同一の構成を有しているので、以下、第1研磨ユニット31Aについて説明する。
【0031】
図2は、第1研磨ユニット3Aを模式的に示す斜視図である。トップリング31Aは、トップリングシャフト36に支持されている。研磨テーブル30Aの上面には研磨パッド10が貼付されており、この研磨パッド10の上面はウェハWを研磨する研磨面を構成する。なお、研磨パッド10に代えて固定砥粒を用いることもできる。トップリング31Aおよび研磨テーブル30Aは、矢印で示すように、その軸心周りに回転するように構成されている。ウェハWは、トップリング31Aの下面に真空吸着により保持される。研磨時には、研磨液供給ノズル32Aから研磨パッド10の研磨面に研磨液が供給され、研磨対象であるウェハWがトップリング31Aにより研磨面に押圧されて研磨される。
【0032】
図3はトップリング31Aの構造を模式的に示す断面図である。トップリング31Aは、トップリングシャフト36の下端に自在継手37を介して連結されている。自在継手37は、トップリング31Aとトップリングシャフト36との互いの傾動を許容しつつ、トップリングシャフト36の回転をトップリング31Aに伝達するボールジョイントである。トップリング31Aは、略円盤状のトップリング本体38と、トップリング本体38の下部に配置されたリテーナリング40とを備えている。トップリング本体38は金属やセラミックス等の強度および剛性が高い材料から形成されている。また、リテーナリング40は、剛性の高い樹脂材またはセラミックス等から形成されている。なお、リテーナリング40をトップリング本体38と一体的に形成することとしてもよい。
【0033】
トップリング本体38およびリテーナリング40の内側に形成された空間内には、ウェハWに当接する円形の弾性パッド42と、弾性膜からなる環状の加圧シート43と、弾性パッド42を保持する概略円盤状のチャッキングプレート44とが収容されている。弾性パッド42の上周端部はチャッキングプレート44に保持され、弾性パッド42とチャッキングプレート44との間には、4つの圧力室(エアバッグ)P1,P2,P3,P4が設けられている。圧力室P1,P2,P3,P4は弾性パッド42とチャッキングプレート44とによって形成されている。圧力室P1,P2,P3,P4にはそれぞれ流体路51,52,53,54を介して加圧空気等の加圧流体が供給され、あるいは真空引きがされるようになっている。中央の圧力室P1は円形であり、他の圧力室P2,P3,P4は環状である。これらの圧力室P1,P2,P3,P4は、同心上に配列されている。
【0034】
圧力室P1,P2,P3,P4の内部圧力は後述する圧力調整部により互いに独立して変化させることが可能であり、これにより、ウェハWの4つの領域、すなわち、中央部、内側中間部、外側中間部、および周縁部に対する押圧力を独立に調整することができる。また、トップリング31Aの全体を昇降させることにより、リテーナリング40を所定の押圧力で研磨パッド10に押圧できるようになっている。チャッキングプレート44とトップリング本体38との間には圧力室P5が形成され、この圧力室P5には流体路55を介して加圧流体が供給され、あるいは真空引きがされるようになっている。これにより、チャッキングプレート44および弾性パッド42全体が上下方向に動くことができる。
【0035】
ウェハWの周端部はリテーナリング40に囲まれており、研磨中にウェハWがトップリング31Aから飛び出さないようになっている。圧力室P3を構成する、弾性パッド42の部位には開口(図示せず)が形成されており、圧力室P3に真空を形成することによりウェハWがトップリング31Aに吸着保持されるようになっている。また、この圧力室P3に窒素ガス、乾燥空気、圧縮空気等を供給することにより、ウェハWがトップリング31Aからリリースされるようになっている。
【0036】
図4はトップリング31Aの他の構造例を模式的に示す断面図である。この例では、チャッキングプレートは設けられていなく、弾性パッド42はトップリング本体38の下面に取り付けられている。また、チャッキングプレートとトップリング本体38との間の圧力室P5も設けられていない。これに代えて、リテーナリング40とトップリング本体38との間には弾性バッグ46が配置されており、その弾性バッグ46の内部には圧力室P6が形成されている。リテーナリング40はトップリング本体38に対して相対的に上下動可能となっている。圧力室P6には流体路56が連通しており、加圧空気等の加圧流体が流体路56を通じて圧力室P6に供給されるようになっている。圧力室P6の内部圧力は後述する圧力調整部により調整可能となっている。したがって、ウェハWに対する押圧力とは独立してリテーナリング40の研磨パッド10に対する押圧力を調整することができる。他の構成および動作は、図3に示すトップリングの構成と同一である。本実施形態では、図3または図4のいずれのタイプのトップリングを用いることができる。
【0037】
図5はトップリング31Aを回転および揺動させる機構を説明するための断面図である。トップリングシャフト(例えば、スプラインシャフト)36はトップリングヘッド60に回転自在に支持されている。また、トップリングシャフト36は、プーリ61,62およびベルト63を介してモータM1の回転軸に連結されており、モータM1によってトップリングシャフト36およびトップリング31Aがその軸心周りに回転する。このモータM1はトップリングヘッド60の上部に取り付けられている。また、トップリングヘッド60とトップリングシャフト36とは、上下駆動源としてのエアシリンダ65によって連結されている。このエアシリンダ65に供給されるエア(圧縮気体)によりトップリングシャフト36およびトップリング31Aが一体に上下動する。なお、エアシリンダ65に代えて、ボールねじおよびサーボモータを有する機構を上下駆動源として用いてもよい。
【0038】
トップリングヘッド60は、支持軸67に軸受72を介して回転自在に支持されている。この支持軸67は固定軸であり、回転しない構造となっている。トップリングヘッド60にはモータM2が設置されており、トップリングヘッド60とモータM2との相対位置は固定である。このモータM2の回転軸は、図示しない回転伝達機構(歯車など)を介して支持軸67に連結されており、モータM2を回転させることによって、トップリングヘッド60が支持軸67を中心として揺動(スイング)するようになっている。したがって、トップリングヘッド60の揺動運動により、その先端に支持されたトップリング31Aは研磨テーブル30Aの上方の研磨位置と研磨テーブル30Aの側方の搬送位置との間を移動する。なお、本実施形態では、トップリング31Aを揺動させる揺動機構はモータM2から構成される。
【0039】
トップリングシャフト36の内部には、その長手方向に延びる貫通孔(図示せず)が形成されている。上述したトップリング31Aの流体路51,52,53,54,55,56は、この貫通孔を通って、トップリングシャフト36の上端に設けられている回転継手69に接続されている。この回転継手69を介してトップリング31Aに加圧気体(クリーンエア)や窒素ガスなどの流体が供給され、またトップリング31Aから気体が真空排気される。回転継手69には、上記流体通路51,52,53,54,55,56(図3および図4参照)に連通する複数の流体管70が接続され、これら流体管70は圧力調整部75に接続されている。また、エアシリンダ65に加圧空気を供給する流体管71も圧力調整部75に接続されている。
【0040】
圧力調整部75は、トップリング31Aに供給される流体の圧力を調整する電空レギュレータや、流体管70,71に接続される配管、これら配管に設けられたエアオペレートバルブ、これらのエアオペレートバルブの作動源となるエアの圧力を調整する電空レギュレータ、トップリング31Aに真空を形成するエジェクタなどを有しており、これらが集合して1つのブロック(ユニット)を構成している。圧力調整部75は、トップリングヘッド60の上部に固定されている。トップリング31Aの圧力室P1,P2,P3,P4,P5(図3参照)に供給される加圧気体や、エアシリンダ65に供給される加圧空気の圧力は、この圧力調整部75の電空レギュレータによって調整される。同様に、圧力調整部75のエジェクタによってトップリング31AのエアバッグP1,P2,P3,P4内や、チャッキングプレート44とトップリング本体38の間の圧力室P5内に真空が形成される。
【0041】
このように、圧力調整機器である電空レギュレータやバルブがトップリング31Aの近くに設置されているので、トップリング31A内の圧力の制御性が向上される。より具体的には、電空レギュレータと圧力室P1,P2,P3,P4,P5との距離が短いので、制御部5からの圧力変更指令に対する応答性が向上する。同様に、真空源であるエジェクタもトップリング31Aの近くに設置されているので、トップリング31A内に真空を形成するときの応答性が向上する。また、圧力調整部75の裏面を、電装機器の取り付け用台座として利用することができ、従来必要であった取付用のフレームを不要とすることができる。
【0042】
トップリングヘッド60、トップリング31A、圧力調整部75、トップリングシャフト36、モータM1、モータM2、エアシリンダ65は、1つのモジュール(以下、トップリングアッセンブリという)として構成されている。すなわち、トップリングシャフト36、モータM1、モータM2、圧力調整部75、エアシリンダ65は、トップリングヘッド60に取り付けられている。トップリングヘッド60は、支持軸67から取り外しできるように構成されている。したがって、トップリングヘッド60と支持軸67とを分離することにより、トップリングアッセンブリを基板処理装置から取り外すことができる。このような構成によれば、支持軸67やトップリングヘッド60などのメンテナンス性を向上させることができる。例えば、軸受72から異音が発生したときに、軸受72を容易に交換することができ、また、モータM2や回転伝達機構(減速機)を交換する際に、隣接する機器を取り外す必要もない。
【0043】
図6は、研磨テーブル30Aの内部構造を模式的に示す断面図である。図6に示すように、研磨テーブル30Aの内部には、ウェハWの膜の状態を検知するセンサ76が埋設されている。この例では、センサ76として渦電流センサが用いられている。センサ76の信号は制御部5に送信され、制御部5によって膜厚を表すモニタリング信号が生成されるようになっている。このモニタリング信号(およびセンサ信号)の値は膜厚自体を示すものではないが、モニタリング信号の値は膜厚に応じて変化する。したがって、モニタリング信号はウェハWの膜厚を示す信号ということができる。
【0044】
制御部5は、モニタリング信号に基づいて各圧力室P1,P2,P3,P4の内部圧力を決定し、決定された内部圧力が各圧力室P1,P2,P3,P4に形成されるように圧力調整部75に指令を出すようになっている。制御部5は、モニタリング信号に基づいて各圧力室P1,P2,P3,P4の内部圧力を操作する圧力制御部として、および研磨終点を検知する終点検知部として機能する。
【0045】
センサ76は、第1研磨ユニット3Aと同様に、第2研磨ユニット3B、第3研磨ユニット3C、および第4研磨ユニット3Dの研磨テーブルにも設けられている。制御部5は、各研磨ユニット3A〜3Dのセンサ76から送られてくる信号からモニタリング信号を生成し、各研磨ユニット3A〜3Dでのウェハの研磨の進捗を監視する。複数のウェハが研磨ユニット3A〜3Dで研磨されている場合、制御部5は、ウェハの膜厚を示すモニタリング信号を研磨中に監視し、それらのモニタリング信号に基づいて、研磨ユニット3A〜3Dでの研磨時間がほぼ同一となるようにトップリング31A〜31Dの押圧力を制御する。このように研磨中のトップリング31A〜31Dの押圧力をモニタリング信号に基づいて調整することで、研磨ユニット3A〜3Dでの研磨時間を平準化することができる。
【0046】
ウェハWは、第1研磨ユニット3A、第2研磨ユニット3B、第3研磨ユニット3C、第4研磨ユニット3Dのいずれかで研磨されてもよく、またはこれらの研磨ユニット3A〜3Dから予め選択された複数の研磨ユニットで連続的に研磨されてもよい。例えば、ウェハWを第1研磨ユニット3A→第2研磨ユニット3Bの順で研磨してもよく、またはウェハWを第3研磨ユニット3C→第4研磨ユニット3Dの順で研磨してもよい。さらに、ウェハWを第1研磨ユニット3A→第2研磨ユニット3B→第3研磨ユニット3C→第4研磨ユニット3Dの順で研磨してもよい。いずれの場合でも、研磨ユニット3A〜3Dのすべての研磨時間を平準化することで、スループットを向上させることができる。
【0047】
渦電流センサは、ウェハの膜が金属膜である場合に好適に用いられる。ウェハの膜が酸化膜などの光透過性を有する膜である場合には、センサ76として光学式センサを用いることができる。あるいは、センサ76としてマイクロ波センサを用いてもよい。マイクロ波センサは、金属膜および非金属膜のいずれの場合にも用いることができる。以下、光学式センサおよびマイクロ波センサの一例について説明する。
【0048】
図7は、光学式センサを備えた研磨テーブルを示す模式図である。図7に示すように、研磨テーブル30Aの内部に、ウェハWの膜の状態を検知する光学式センサ76が埋設されている。このセンサ76は、ウェハWに光を照射し、ウェハWからの反射光の強度(反射強度または反射率)からウェハWの膜の状態(膜厚など)を検知する。
【0049】
また、研磨パッド10には、センサ76からの光を透過させるための透光部77が取付けられている。この透光部77は、透過率の高い材質で形成されており、例えば、無発泡ポリウレタンなどにより形成される。あるいは、研磨パッド10に貫通孔を設け、この貫通孔がウェハWに塞がれる間下方から透明液を流すことにより、透光部77を構成してもよい。透光部77は、トップリング31Aに保持されたウェハWの中心を通過する位置に配置される。
【0050】
センサ76は、図7に示すように、光源78aと、光源78aからの光をウェハWの被研磨面に照射する発光部としての発光光ファイバ78bと、被研磨面からの反射光を受光する受光部としての受光光ファイバ78cと、受光光ファイバ78cにより受光された光を分光する分光器およびこの分光器により分光された光を電気的情報として蓄積する複数の受光素子とを内部に有する分光器ユニット78dと、光源78aの点灯および消灯や分光器ユニット78d内の受光素子の読取開始のタイミングなどの制御を行う動作制御部78eと、動作制御部78eに電力を供給する電源78fとを備えている。なお、光源78aおよび分光器ユニット78dには、動作制御部78eを介して電力が供給される。
【0051】
発光光ファイバ78bの発光端と受光光ファイバ78cの受光端は、ウェハWの被研磨面に対して略垂直になるように構成されている。分光器ユニット78d内の受光素子としては、例えば128素子のフォトダイオードアレイを用いることができる。分光器ユニット78dは、動作制御部78eに接続されている。分光器ユニット78d内の受光素子からの情報は、動作制御部78eに送られ、この情報に基づいて反射光のスペクトルデータが生成される。すなわち、動作制御部78eは、受光素子に蓄積された電気的情報を読み取って反射光のスペクトルデータを生成する。このスペクトルデータは、波長に従って分解された反射光の強度を示し、膜厚によって変化する。
【0052】
動作制御部78eは、上述した制御部5に接続されている。このようにして、動作制御部78eで生成されたスペクトルデータは、制御部5に送信される。制御部5では、動作制御部78eから受信したスペクトルデータに基づいて、ウェハWの膜厚に関連付けられた特性値を算出して、これをモニタリング信号として使用する。
【0053】
図8は、マイクロ波センサを備えた研磨テーブルを示す模式図である。センサ76は、マイクロ波をウェハWの被研磨面に向けて照射するアンテナ80aと、アンテナ80aにマイクロ波を供給するセンサ本体80bと、アンテナ80aとセンサ本体80bとを接続する導波管81とを備えている。アンテナ80aは研磨テーブル30Aに埋設されており、トップリング31Aに保持されたウェハWの中心位置に対向するように配置されている。
【0054】
センサ本体80bは、マイクロ波を生成してアンテナ80aにマイクロ波を供給するマイクロ波源80cと、マイクロ波源80cにより生成されたマイクロ波(入射波)とウェハWの表面から反射したマイクロ波(反射波)とを分離させる分離器80dと、分離器80dにより分離された反射波を受信して反射波の振幅および位相を検出する検出部80eとを備えている。なお、分離器80dとしては、方向性結合器が好適に用いられる。
【0055】
アンテナ80aは導波管81を介して分離器80dに接続されている。マイクロ波源80cは分離器80dに接続され、マイクロ波源80cにより生成されたマイクロ波は、分離器80dおよび導波管81を介してアンテナ80aに供給される。マイクロ波はアンテナ80aからウェハWに向けて照射され、研磨パッド10を透過(貫通)してウェハWに到達する。ウェハWからの反射波は再び研磨パッド10を透過した後、アンテナ80aにより受信される。
【0056】
反射波はアンテナ80aから導波管81を介して分離器80dに送られ、分離器80dによって入射波と反射波とが分離される。分離器80dにより分離された反射波は検出部80eに送信される。検出部80eでは反射波の振幅および位相が検出される。反射波の振幅は電力(dbmまたはW)または電圧(V)として検出され、反射波の位相は検出部80eに内蔵された位相計測器(図示せず)により検出される。検出部80eによって検出された反射波の振幅および位相は制御部5に送られ、ここで反射波の振幅および位相に基づいてウェハWの金属膜や非金属膜などの膜厚が解析される。解析された値は、モニタリング信号として制御部5により監視される。
【0057】
図9は、本発明の一実施例として用いうるドレッサ33Aを示す斜視図である。図9に示すように、ドレッサ33Aは、ドレッサアーム85と、ドレッサアーム85の先端に回転自在に取り付けられたドレッシング部材86と、ドレッサアーム85の他端に連結される揺動軸88と、揺動軸88を中心にドレッサアーム85を揺動(スイング)させる駆動機構としてのモータ89とを備えている。ドレッシング部材86は円形のドレッシング面を有しており、ドレッシング面には硬質な粒子が固定されている。この硬質な粒子としては、ダイヤモンド粒子やセラミック粒子などが挙げられる。ドレッサアーム85内には、図示しないモータが内蔵されており、このモータによってドレッシング部材86が回転するようになっている。揺動軸88は図示しない昇降機構に連結されており、この昇降機構によりドレッサアーム85が下降することでドレッシング部材86が研磨パッド10の研磨面を押圧するようになっている。
【0058】
図10は、ドレッサ33Aが研磨パッド10の研磨面をドレッシングしているときの移動軌跡を示す平面図である。図10に示すように、ドレッサアーム85は研磨パッド10の半径よりも長く、揺動軸88は、研磨パッド10の径方向外側に位置している。研磨パッド10の研磨面をドレッシングするときは、研磨パッド10を回転させるとともに、モータによりドレッシング部材86を回転させ、次いで昇降機構によりドレッサアーム85を下降させ、ドレッシング部材86を回転する研磨パッド10の研磨面に摺接させる。その状態で、モータ89によりドレッサアーム85を揺動(スイング)させる。研磨パッド10のドレッシング中は、研磨液供給ノズル32Aからドレッシング液としての純水が研磨パッド10の研磨面に供給される。ドレッサアーム85の揺動により、その先端に位置するドレッシング部材86は、図10に示すように、研磨パッド10の研磨面の端から端まで研磨面の中心部を経由して横切るように移動することができる。この揺動動作により、ドレッシング部材86は研磨パッド10の研磨面をその中心を含む全体に亘ってドレッシングすることができ、研磨面へのドレス効果を飛躍的に高めることができる。したがって、研磨面全体を均一にドレッシングすることができ、平坦な研磨面を得ることができる。
【0059】
なお、ドレッシング終了後は、ドレッサアーム85は、図10に示すように、研磨テーブル30Aの側方の待機位置A1に移動する。ドレッサ33Aのメンテナンス時には、ドレッサアーム85は、待機位置A1と略反対側のメンテナンス位置A4に移動する。なお、図10に示すように、ドレッシングをしている間、研磨面の端部にある位置A2と、研磨面の中心にある位置A3との間で、ドレッサアーム85を揺動させてもよい。このような動作によれば、ドレッシング動作を迅速に行うことができ、かつドレッシング動作を確実に終了させることができる。
【0060】
上述の例では、揺動軸88に連結された昇降機構により、ドレッサアーム85およびドレッシング部材86を一体に上下動させているが、昇降機構をドレッサアーム85に内蔵し、この昇降機構によりドレッシング部材86を上下動させてもよい。さらに、他の変形例では、揺動軸88を上下動させる第1の昇降機構を設けるとともに、ドレッシング部材86を上下動させる第2の昇降機構をドレッサアーム85に内蔵することもできる。この場合、第1の昇降機構によってドレッサアーム85を下降させ、ドレッサアーム85が所定の高さ位置となった時点で、第2の昇降機構によりドレッシング部材86を下降させることができる。このような構成によれば、ドレッシング時の研磨面に対する押圧力やドレッシング部材86の高さを正確に調整することができる。
【0061】
図11(a)はアトマイザ34Aを示す斜視図である。アトマイザ34Aは、下部に1または複数の噴射孔を有するアーム90と、このアーム90に連結された流体流路91と、アーム90を支持する揺動軸94とを備えている。図11(b)はアーム90の下部を示す模式図である。図11(b)に示す例では、アーム90の下部には複数の噴射孔90aが等間隔に形成されている。流体流路91としては、チューブ、またはパイプ、またはこれらの組み合わせから構成することができる。
【0062】
図12(a)はアトマイザ34Aの内部構造を示す側面図であり、図12(b)はアトマイザ34Aを示す平面図である。流体流路91の開口端部は、図示しない流体供給パイプに接続され、この流体供給パイプから流体が流体流路91に供給されるようになっている。用いられる流体の例としては、液体(例えば純水)、または液体と気体の混合流体(例えば、純水と窒素ガスの混合流体)などが挙げられる。流体流路91はアーム90の噴射孔90aに連通しており、流体は霧状となって噴射孔90aから研磨パッド10の研磨面に噴射される。
【0063】
アーム90は、図11(a)および図12(b)の点線で示すように、揺動軸94を中心として洗浄位置と退避位置との間で旋回可能となっている。アーム90の可動角度は約90°である。通常、アーム90は洗浄位置にあり、図1に示すように、研磨パッド10の研磨面の径方向に沿って配置されている。研磨パッド10の交換などのメンテナンス時には、アーム90は手動により退避位置に移動する。したがって、メンテナンス時にアーム90を取り外す必要がなく、メンテナンス性を向上させることができる。なお、回転機構を揺動軸94に連結し、この回転機構によりアーム90を旋回させてもよい。
【0064】
図12(b)に示すように、アーム90の両側面には、互いに形状の異なる2つの補強部材96,96が設けられている。これらの補強部材96,96を設けることにより、洗浄位置と退避位置との間でアーム90が旋回動作を行ったときに、アーム90の軸心が大幅にぶれることがなく、アトマイジング動作を効果的に行うことができる。また、アトマイザ34Aは、アーム90の旋回位置(アーム90が旋回可能な角度範囲)を固定するためのレバー95を備えている。すなわち、レバー95を操作することにより、アーム90の旋回可能な角度を条件に合わせて調整することができる。レバー95を回すと、アーム90が自由に旋回可能となり、手動によりアーム90を洗浄位置と退避位置との間で移動させる。そして、レバー95を締めると、アーム90の位置が洗浄位置と退避位置のいずれかで固定される。
【0065】
アトマイザのアーム90は折りたたみ可能な構造とすることもできる。具体的には、アーム90をジョイントで連結された少なくとも2つのアーム部材から構成してもよい。この場合、折りたたまれたときのアーム部材同士がなす角度は、1°以上45°以下とし、好ましくは5°以上30°以下とする。アーム部材同士がなす角度が45°よりも大きいと、アーム90が占めるスペースが大きくなり、1°未満とすると、アーム90の幅を薄くせざるを得ず、機械的強度が低くなる。この例では、アーム90は揺動軸94周りに回転しないように構成してもよい。研磨パッド10の交換などのメンテナンス時には、アーム90を折りたたむことによって、アトマイザがメンテナンス作業の邪魔にならないようにすることができる。他の変形例としては、アトマイザのアーム90を伸縮自在な構造とすることもできる。この例でも、メンテナンス時にアーム90を縮めることによって、アトマイザが邪魔となることはない。
【0066】
このアトマイザ34Aを設ける目的は、研磨パッド10の研磨面に残留する研磨屑や砥粒などを高圧の流体により洗い流すことである。アトマイザ34Aの流体圧による研磨面の浄化と、機械的接触であるドレッサ33Aによる研磨面の目立て作業により、より好ましいドレッシング、すなわち研磨面の再生を達成することができる。通常は接触型のドレッサ(ダイヤモンドドレッサ等)によるドレッシングの後に、アトマイザによる研磨面の再生を行う場合が多い。
【0067】
図13(a)は研磨液供給ノズル32Aを示す斜視図であり、図13(b)は研磨液供給ノズル32Aの先端を下から見た拡大模式図である。図13および図13(b)に示すように、研磨液供給ノズル32Aは、純水やスラリーなどの研磨液を研磨パッド10の研磨面に供給するための複数のチューブ100と、これら複数のチューブ100を覆うパイプアーム101と、パイプアーム101を支持する揺動軸102とを備えている。複数のチューブ100は、通常、純水を供給するための純水供給チューブと、異なる種類のスラリーを供給する複数のスラリー供給チューブとから構成される。複数のチューブ100として、例えば、スラリーが通液している2つ以上4つ以下(例えば3本)のスラリー供給チューブと、純水が通水している1つまたは2つの純水供給チューブから構成することができる。
【0068】
複数のチューブ100は、パイプアーム101の内部を通ってパイプアーム101の先端まで延びており、パイプアーム101はチューブ100のほぼ全体を覆っている。パイプアーム101の先端には補強材103が固定されている。チューブ100の先端は研磨パッド10の上方に位置しており、チューブ100から研磨液が研磨パッド10の研磨面上に供給されるようになっている。図13(a)に示す矢印は、研磨面に供給される研磨液を表している。揺動軸102は図示しない回転機構(モータなど)に連結されており、揺動軸102を回転させることにより、研磨面上の所望の位置に研磨液を供給することが可能となっている。研磨パッド10の交換などのメンテナンス時には、パイプアーム101が揺動軸102を中心として回転機構により揺動し、研磨テーブル30Aの側方の退避位置に移動する。
【0069】
上述したように、パイプアーム101によって複数のチューブ100のほぼ全体が覆われているので、パイプアーム101で複数のチューブ100をカバーしなかった場合に比べて、ノズル32A全体としての表面積が小さすることができる。したがって、研磨やアトマイザによる処理のときに舞い上がったスラリーの一部が付着する面積が小さくなる。その結果、付着したスラリーの落下に起因する研磨プロセスへの悪影響が防止され、さらに研磨液供給ノズル32Aの洗浄が容易となる。
【0070】
図14は、研磨部3の純水供給配管を示す模式図である。この基板処理装置では、第1研磨ユニット3Aと第2研磨ユニット3Bは1つのユニットとして第1研磨部3aを構成しており、第3研磨ユニット3Cと第4研磨ユニット3Dは1つのユニットとして第2研磨部3bを構成している。第1研磨部3aと第2研磨部3bとは互いに分割可能に構成されている。上述したように、研磨部3は、純水、空気、窒素ガスなどの種々の流体を使用する。例えば、図14に示すように、純水(DIW)は、図示しない純水供給源から基板処理装置の純水供給管110に供給される。この純水供給管110は研磨部3の研磨ユニット3A,3B,3C,3Dを通って延び、これら研磨ユニット3A,3B,3C,3Dにそれぞれ設けられた分配制御部113に接続されている。
【0071】
純水供給管110は第1研磨部3aと第2研磨部3bとの間で分割されており、分割された純水供給管110の端部同士は図示しない連結機構により連結されている。各研磨ユニットで使用される純水の用途としては、トップリングの洗浄(例えば、トップリングの外周側面の洗浄、基板保持面の洗浄、リテーナリングの洗浄)、ウェハの搬送ハンドの洗浄(例えば、後述する第1および第2のリニアトランスポータの搬送ハンドの洗浄)、研磨されたウェハの洗浄、研磨パッドのドレッシング、ドレッサの洗浄(例えば、ドレッシング部材の洗浄)、ドレッサアームの洗浄、研磨液供給ノズルの洗浄、およびアトマイザによる研磨パッドの洗浄が挙げられる。
【0072】
純水は純水供給管110を通って各分配制御部113に流入し、各分配制御部113により各ユースポイントに分配される。ユースポイントは、上述したトップリング洗浄用のノズルやドレッサ洗浄用のノズルなどの純水が使用される箇所である。純水は分配制御部113から研磨ユニット内に設けられた洗浄ノズル(例えば、上述したトップリング洗浄用のノズルやドレッサ洗浄用のノズル)などの末端機器に供給される。例えば、上述した研磨液供給ノズルの純水供給チューブ100(図13(a)参照)には、研磨ユニットごとの分配制御部113により調整された流量の純水が供給される。このように、分配制御部113は研磨ユニットごとに配置されているので、1つのヘッダから複数のパイプを介して各研磨ユニットに供給する従来の構造に比べて、パイプの本数を少なくすることができる。また、このことは、第1研磨部3aと第2研磨部3bとの間のパイプを連結する連結機構が少なくなることを意味するので、構造がシンプルになるとともに、純水のリークのリスクが低減される。なお、アトマイザは多量の純水を必要とするので、図14に示すように、アトマイザ専用の純水供給管112を設けることが好ましい。
【0073】
各分配制御部113は、トップリング洗浄用のノズル(図示せず)や純水供給チューブ100(図13(a)参照)などのユースポイントに連通するバルブボックス113aと、バルブボックス113aの上流側に設けられた圧力計113bと、この圧力計113bの上流側に設けられた流量レギュレータ113cとを備えている。バルブボックス113aは、ユースポイントにそれぞれ連通する複数のパイプと、これらパイプにそれぞれ設けられるバルブとを有している。
【0074】
圧力計113bは、バルブボックス113aに送られる純水の圧力を測定し、流量レギュレータ113cは、圧力計113bの測定値が所定の値に維持されるよう純水の流量を調整する。このように、純水の流量の制御がそれぞれの研磨ユニットで行われるので、研磨ユニット間での純水の使用による影響を低減させ、安定した純水の供給が可能になる。したがって、ある研磨ユニットでの純水の流量が他の研磨ユニットでの純水の使用の影響により不安定になるという従来の構造における問題を解決することができる。なお、図14に示す例では、各研磨ユニットに流量レギュレータ113cが設けられているが、2つの研磨ユニットにつき1つの流量レギュレータ113cを配置してもよい。例えば、研磨ユニット3A,3Bにそれぞれ設けられた2つのバルブボックス113aの上流側に1組の圧力計113bおよび流量レギュレータ113cを設け、同様に、研磨ユニット3C,3Dにそれぞれ設けられた2つのバルブボックス113aの上流側に1組の圧力計113bおよび流量レギュレータ113cを設けてもよい。
【0075】
図14に示す例では、トップリング洗浄用のノズル(図示せず)や純水供給チューブ100などのユースポイント用の純水供給管110とは別に、アトマイザ34A,34B,34C,34D専用の純水供給管112が設けられている。純水供給管112は、アトマイザ34A,34B,34C,34Dに接続され、アトマイザ34A,34B,34C,34Dの上流側には、流量制御部114がそれぞれ設けられている。この流量制御部114は、純水供給管112から供給される純水の流量を調整し、その調整された流量の純水をアトマイザに送るように構成されている。
【0076】
それぞれの流量制御部114は、上述した分配制御部113と同様に、バルブと、圧力計と、流量レギュレータとを有しており、これらの配置は分配制御部113における配置と同様である。制御部5は、流量制御部114の圧力計の測定値に基づき、所定の流量の純水が各アトマイザに供給されるように流量制御部114の流量レギュレータの動作を制御する。
【0077】
図14に示すように、純水供給管110と純水供給管112とは、それぞれ独立して純水供給源に連結されており、独立した純水供給経路が確保されている。このような配置により、アトマイザでの純水の使用が他のユースポイントでの純水の流量に影響を与えることを防止することができる。
【0078】
なお、図14は純水を供給する純水供給管110について説明しているが、図14に示す配管および分配制御部の配置は、エア、窒素ガス、スラリーなどの他の流体の供給管にも適用できる。例えば、複数種のスラリーを移送する複数のスラリー供給管を設け、これらのスラリー供給管に接続される分配制御部を研磨ユニットごとに設けることができる。各分配制御部は、研磨処理に応じて選択されたスラリーを上述した研磨液供給ノズル(図13(a)参照)に供給する。分配制御部は研磨ユニットごとに設けられるので、研磨液供給ノズルに供給されるスラリーの種類を研磨ユニットごとに変えることができる。さらに、研磨液供給ノズルに供給されるスラリーの流量を分配制御部によって調整することができる。
【0079】
つぎに、本発明の実施の形態の基板研磨装置の特徴的な構成について、図15図24を用いて説明する。図15は、本実施の形態における基板研磨装置の説明図である。図15に示すように、本実施の形態では、研磨チャンバ300の上部に、研磨チャンバ300内に気体を供給する気体供給口301が設けられている。気体は、例えば空気である。また、研磨チャンバ300内の壁面には、研磨チャンバ300内に洗浄液を霧状に噴霧する噴霧ノズル302が設けられている。研磨チャンバ300の下部には、基板を研磨する研磨部(研磨テーブル)303と、研磨チャンバ300内から気体を排出する気体排出口304が設けられている。この場合、気体排出口304は、研磨部303の近傍に設けられている。
【0080】
図15に示すように、気体供給口301は、研磨チャンバ300内の壁面の中心から側方にオフセットされた位置に配置されている。このように気体供給口301をオフセットすることにより、気体供給口301から供給された気体(空気)が研磨チャンバ300内で旋回するようになる。
【0081】
噴霧ノズル302は、複数設けることができる。図15の例では、4つの噴霧ノズル302は、研磨チャンバ300の上部に設けられており、例えば、そのうちの1つの噴霧ノズル302が、気体供給口301の近傍に配置されている。また、噴霧ノズル302は、研磨チャンバ300の下部に設けることもできる。図16の例では、4つの噴霧ノズル302が、研磨チャンバ300の下部に設けられており、例えば、そのうちの1つの噴霧ノズル302が、気体排出口304の近傍に配置されている。
【0082】
図15および図16の例では、一つの気体供給口301が研磨チャンバ300内に設けられている場合を示したが、図17および図18に示すように、複数の気体供給口301が研磨チャンバ300内に設けられてもよい。例えば、図17および図18では、研磨チャンバ300内の上部のそれぞれ異なる位置に、4つの気体供給口301が設けられている。
【0083】
図15図18に示すように、噴霧ノズル302の向きは、研磨チャンバ300内の壁面から中央の空間に向けて洗浄液を噴霧するように設定されている。この場合、噴霧ノズル302の向きは、気体供給口301から供給された気体の流れと反対の向きに設定することができる(図19参照)。また、噴霧ノズル302の向きは、気体供給口301から供給された気体の流れと同じ向きに設定してもよい(図20参照)。
【0084】
図21は、図1の研磨部3に対応している。図21の上側は、図1の左側に対応している。図21の上側には開閉可能なメンテナンス扉310が設けられており、メンテナンス扉310を開けることによって、研磨装置の外部から研磨部のメンテナンスを行うことができる。そして、研磨装置のメンテナンス扉310側の側面に、密閉型グローブの開口部が設けられている。密閉型グローブの開口部は、メンテナンス扉に設けてもよいし、研磨装置の側面であってメンテナンス扉ではない壁面に設けてもよい。
【0085】
図21に示すように、研磨チャンバ300内には、グローブボックス305が設けられている。そして、グローブボックス305には、研磨チャンバ300内を洗浄するためのハンド式の洗浄具306と、研磨チャンバ300の外からハンド式の洗浄具306を操作するための密閉型グローブ307が備えられている(図22および図23参照)。
【0086】
密閉型グローブ307は、洗浄に使用する薬液が浸透しない素材で製造されている。密閉型グローブ307の開口部は、研磨チャンバ300の外部に開放されており、作業者が手を入れることができるようになっている。密閉型グローブ307の内部は、研磨チャンバ300の内部の雰囲気とは隔絶されている。洗浄時に作業者は、密閉型グローブ307の開口部から手を入れて、ハンド式の洗浄具306を用いて研磨チャンバ300の内部を洗浄する。
【0087】
また、このグローブボックス305には、密閉型グローブ307を研磨チャンバ300内の壁面に固定するための固定部材308が備えられている(図24参照)。固定部材308は、研磨チャンバ300の外から固定/解除の操作を行うことができる。また、ハンド式の洗浄具306も、不使用時には研磨チャンバ300内の壁面の収納部309に収納される(図22参照)。
【0088】
このような本実施の形態の基板研磨装置によれば、研磨チャンバ300内の壁面のオフセットされた位置の気体供給口301から気体が供給されると、研磨チャンバ300内において気体が旋回するようになる。そこに、研磨チャンバ300の中央の空間に向けて噴霧ノズル302から洗浄液を噴霧すると、霧状の洗浄液が気体にのって研磨チャンバ300内を旋回する。これにより、基板の研磨時に研磨チャンバ300内で有害物質(粉末やガス)が発生した場合であっても、その有害物質を洗浄液でトラップすることができる。洗浄液によってトラップされた有害物質は気体とともに気体排出口304から排出される。このようにして、研磨チャンバ300内に浮遊している有害物質を、効果的にトラップして安全に排出することができる。
【0089】
本実施の形態では、複数の気体供給口301が、研磨チャンバ300内の上部においてそれぞれ異なる位置に設けられている。したがって、研磨チャンバ300内の上部の異なる位置に設けられた複数の気体供給口301から気体が供給され、研磨チャンバ300内において気体が旋回しやすくすることができる。
【0090】
また、本実施の形態では、気体供給口301が、研磨チャンバ300の上部に設けられており、噴霧ノズル302が、気体供給口301の近傍に配置されている。したがって、研磨チャンバ300の上部の気体供給口301から気体が供給されるとすぐに気体に洗浄液をのせることができ、早い段階から研磨チャンバ300内の有害物質をトラップすることができる。
【0091】
あるいは、気体排出口304が、研磨チャンバ300の下部の研磨部303の近傍に設けられており、噴霧ノズル302が、気体排出口304の近傍に配置されている。したがって、研磨チャンバ300の下部において基板の研磨時に有害物質(粉末やガス)が発生した場合に、発生した場所の近くで(発生してからすぐに)その有害物質をトラップすることができる。
【0092】
また、本実施の形態では、噴霧ノズル302の向きが、気体供給口301から供給された気体の流れと反対の向きに設定されてている。したがって、研磨チャンバ300内で有害物質が気体にのって流れてきたときに、その気体(有害物質)に向けて洗浄液が噴霧される。これにより、気体にのって流れてきた有害物質を洗浄液によって効果的にトラップすることができる。
【0093】
あるいは、噴霧ノズル302の向きは、気体供給口301から供給された気体の流れと同じ向きに設定されている。したがって、研磨チャンバ300内で流れる気体と同じ向きに洗浄液が噴霧される。これにより、研磨チャンバ300内を流れる気体に洗浄液をのせて、研磨チャンバ300内の広い範囲の有害物質を効果的にトラップすることができる。
【0094】
また、本実施の形態では、基板研磨装置に、研磨チャンバ300内を洗浄するためのハンド式の洗浄具306と、研磨チャンバ300の外からハンド式の洗浄具306を操作するための密閉型グローブ307が備えられている。したがって、洗浄液によるトラップだけでは有害物質の除去が不十分である場合には、密閉型グローブ307を介してハンド式の洗浄具306を操作して、研磨チャンバ300内に残った有害物質を洗浄することができる。
【0095】
この場合、基板研磨装置に、密閉型グローブ307を研磨チャンバ300内の壁面に固定するための固定部材308を備えられている。したがって、密閉型グローブ307の不使用時などには、密閉型グローブ307を固定部材308で研磨チャンバ300内の壁面に固定することができ、研磨チャンバ300内の他の構造物に密閉型グローブ307が接触するのを防ぐことができる。
【0096】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0097】
以上のように、本発明にかかる基板研磨装置は、研磨チャンバ内に浮遊している有害物質を効果的にトラップすることができるという効果を有し、基板処理装置などに適用され有用である。
【符号の説明】
【0098】
300 研磨チャンバ
301 気体供給口
302 噴霧ノズル
303 研磨部(研磨テーブル)
304 気体排出口
305 グローブボックス
306 ハンド式の洗浄具
307 密閉型グローブ
308 固定部材
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