【課題を解決するための手段】
【0005】
例示的な偏光板は、偏光子と位相差層を含むことができる。上記位相差層は、上記偏光子の一側に積層されていてもよい。
図1は、順次積層されている偏光子101及び位相差層102を含む例示的な偏光板を示す。上記位相差層は、一軸性位相差フィルムまたは二軸性位相差フィルムを含むことができる。上記位相差層は、単層構造であるか、または多層構造であることができる。
【0006】
本明細書で用語「偏光子と偏光板」は、互いに区別される対象を指称する。用語「偏光子」は、偏光機能を有するフィルム、シートまたは素子その自体を意味し、用語「偏光板」は、上記偏光子及び該偏光子の一面または両面に積層されている他の要素を含む対象を意味する。上記で他の要素としては、上記位相差層や偏光子保護フィルムなどが例示されることができるが、これに制限されるものではない。
【0007】
本明細書で用語「一軸性位相差フィルム」は、x軸方向の屈折率(以下、Nx)、y軸方向の屈折率(以下、Ny)及びz軸方向の屈折率(以下、Nz)のうち2個の屈折率は同一であり、残りの1つの屈折率が異なっている層、フィルム、シートまたは素子を意味する。本明細書で用語「同一」は、実質的な同一であり、例えば、製造過程で発生する誤差または偏差を勘案した同一を意味する。上記でx軸は、例えば、
図2に示されたように、フィルム100の面内のいずれか一方向を意味し、y軸は、上記x軸に垂直する面内の方向を意味し、z軸は、上記x軸とy軸によって形成される平面の法線の方向、例えば位相差フィルム100の厚さ方向を意味することができる。1つの例示で、上記x軸は、位相差フィルムの遅相軸(slow axis)と平行な方向であり、y軸は、位相差フィルムの進相軸(fast axis)と平行な方向であることができる。特に別途規定しない限り、本明細書で用語「屈折率」は、約550nm波長の光に対する屈折率である。
【0008】
本明細書で一軸性位相差フィルムのうち下記数式1を満足するものは、正の一軸性位相差フィルムとして定義され、下記数式2を満足するものは、Cプレートとして定義される。
【0009】
[数式1]
Nx≠Ny=Nz
【0010】
[数式2]
Nx=Ny≠Nz
【0011】
本明細書で用語「二軸性位相差フィルム」は、Nx、Ny及びNzの3方向の屈折率がすべて互いに異なっている層、フィルム、シートまたは素子を意味することができる。二軸性位相差フィルムのうち下記数式3を満足するものは、正の二軸性位相差フィルムとして定義され、下記数式4を満足するものは、負の二軸性位相差フィルムとして定義されることができる。
【0012】
[数式3]
Nx≠Ny<Nz
【0013】
[数式4]
Nx≠Ny>Nz
【0014】
本明細書で位相差層または位相差フィルムの面内の位相差Rinは、下記数式5で計算され、厚さ方向の位相差Rthは、下記数式6で計算される。
【0015】
[数式5]
Rin=d×(Nx−Ny)
【0016】
[数式6]
Rth=d×(Nz−Ny)
【0017】
数式5及び6で、Rinは、面内の位相差であり、Rthは、厚さ方向の位相差であり、dは、位相差層または位相差フィルムの厚さであり、Nx、Ny及びNzは、それぞれ上記で定義したx軸、y軸及びz軸方向の屈折率である。
【0018】
偏光子は、様々な方向に振動する入射光から一方の方向に振動する光を抽出することができる機能性素子である。偏光子としては、例えば、公知された吸収型線偏光子を使用することができる。このような偏光子としては、PVA(poly(vinyl alcohol))偏光子が例示されることができる。1つの例示で、偏光板に含まれる偏光子は、二色性色素またはヨードが吸着及び配向されているPVAフィルムまたはシートであることができる。上記PVAは、例えば、ポリビニルアセテートをゲル化して得ることができる。
【0019】
ポリビニルアセテートとしては、ビニルアセテートの単独重合体;及びビニルアセテート及び他の単量体の共重合体などが例示されることができる。上記でビニルアセテートと共重合される他の単量体としては、不飽和カルボキシル酸化合物、オレフィン化合物、ビニルエーテル化合物、不飽和スルホン酸化合物及びアンモニウム基を有するアクリルアミド化合物などの一種または二種以上が例示されることができる。ポリビニルアセテートのゲル化度は、一般的に約85モル%〜約100モル%または98モル%〜100モル%程度である。線偏光子のポリビニルアルコールの重合度は、一般的に約1,000〜約10,000または約1,500〜約5,000であることができる。
【0020】
偏光板に含まれる位相差層は、厚さ方向の位相差が0nmを超過し、300nm以下であることができる。上記位相差層が2個以上の位相差フィルムを含む多層構造であり、多層構造の位相差層で2個以上の位相差フィルムがすべて厚さ方向の位相差を有する場合、上記厚さ方向の位相差は、各位相差フィルムの厚さ方向の位相差の合計数値であることができる。位相差層の厚さ方向の位相差の上限は、他の例示で270nm、250nm、240nm、230nm、220nm、200nm、190nm、180nm、170nm、160nm、155nm、150nm、130nm、120nm、110nm、100nm、80nmまたは70nmであることができる。位相差層の厚さ方向の位相差の下限は、他の例示で5nm、10nm、20nm、40nm、50nm、90nm、100nm、110nm、120nmまたは150nmであることができる。偏光板に厚さ方向の位相差を上記のように調節し、反射特性及び視感特性、特に傾斜角で反射特性と視感特性に優れた偏光板を提供することができる。
【0021】
これにより、偏光板は、例えば傾斜角50度で測定した反射率が12%以下、10%以下、8%以下、6%以下または5%以下であることができる。上記反射率は、可視光領域内のいずれか1つの波長の光に対する反射率、例えば、380nm〜700nm範囲のうちいずれか1つの波長の光に対する反射率であるか、あるいは可視光全領域に属する光に対する反射率であることができる。上記反射率は、例えば、偏光板の偏光子側で測定した反射率であることができる。上記反射率は、傾斜角50度の特定動径角または所定範囲の動径角で測定した反射率であるか、あるいは傾斜角50度でのすべての動径角に対して測定した強度であり、後述する実施例で記載した方式で測定した数値である。
【0022】
偏光板に含まれる位相差層は、例えば、1/4波長位相遅延特性を有することができる範囲で面内の位相差を有することができる。本明細書で用語「n波長の位相遅延特性」は、少なくとも一部の波長範囲内で、入射光を該入射光の波長のn倍だけ位相遅延させることができる特性を意味することができる。1つの例示で、位相差層は、550nmの波長の光に対する面内の位相差が100nm〜250nm、100nm〜220nm、100nm〜200nmまたは140nm〜170nm程度であることができる。上記位相差層が2個以上の位相差フィルムを含む多層構造であり、多層構造の位相差層で2個以上の位相差フィルムがいずれも面内の位相差を有する場合、上記位相差層の面内の位相差は、各位相差フィルムの面内の位相差の合計数値であることができる。
【0023】
1つの例示で上記位相差層は、下記数式7を満足することができる。
【0024】
[数式7]
R(450)/R(550)<R(650)/R(550)
【0025】
数式7でR(450)は、450nmの波長の光に対する位相差層の面内の位相差であり、R(550)は、550nmの波長の光に対する位相差層の面内の位相差であり、R(650)は、650nmの波長の光に対する位相差層の面内の位相差である。上記位相差層が2個以上の位相差フィルムを含む多層構造であり、多層構造の位相差層で2個以上の位相差フィルムがすべて面内の位相差を有する場合、上記位相差層の面内の位相差は、各位相差フィルムの面内の位相差の合計数値であることができる。
【0026】
数式7を満足する位相差層は、いわゆる逆波長分散特性(reverse wavelength dispersion)を満足する位相差層であり、このような位相差は、広い波長範囲で設計された位相遅延特性を示すことができる。例えば、位相差層は、数式8のR(450)/R(550)は、0.81〜0.99、0.82〜0.98、0.83〜0.97、0.84〜0.96、0.85〜0.95、0.86〜0.94、0.87〜0.93、0.88〜0.92または0.89〜0.91であり、数式8のR(650)/R(550)は、上記R(450)/R(550)より大きい値を有し、1.01〜1.19、1.02〜1.18、1.03〜1.17、1.04〜1.16、1.05〜1.15、1.06〜1.14、1.07〜1.13、1.08〜1.12または1.09〜1.11であることができる。位相差層が上記数式8を満足するようにする方法は、特に制限されず、例えば、後述するような位相差フィルムを使用して位相差層を構成する方式がある。
【0027】
1つの例示で、上記位相差層は、正の一軸性位相差フィルム及びCプレートを含むことができる。すなわち、位相差層は、正の一軸性位相差フィルムとCプレートの積層フィルムであることができる。位相差層が正の一軸性位相差フィルムとCプレートを含む場合に、例えば、
図4のように、偏光板で正の一軸性位相差フィルム1022に比べてCプレート1021が吸収型偏光子101に近く配置されているか、または
図5のように、正の一軸性位相差フィルム1022がCプレート1021に比べて偏光子101に近く配置されていてもよい。
【0028】
図4のような構造で、正の一軸性位相差フィルムの遅相軸(slow axis)と吸収型偏光子の光吸収軸とが成す角度は、例えば、約30度〜60度または約40度〜50度または約45度程度であることができる。このような配置で偏光板が適切な性能を示すことができる。
図4のような構造で、Cプレートの厚さ方向の位相差は、前述した位相差層の厚さ方向の位相差と同一の範囲であることができ、例えば、0nm〜200nm程度または約0nm超過及び200nm以下程度であることができる。また、
図4の構造で、正の一軸性位相差フィルムの面内の位相差は、前述した位相差層の面内の位相差と同一の範囲にあり得る。
【0029】
図5のような構造では、正の一軸性位相差フィルムの遅相軸(slow axis)と吸収型偏光子の光吸収軸とが成す角度は、例えば、約30度〜60度または約40度〜50度または約45度程度であることができる。このような配置で偏光板が適切な性能を示すことができる。
図5のような構造で、Cプレートの厚さ方向の位相差は、前述した位相差層の厚さ方向の位相差と同一の範囲であることができ、例えば、0nm〜200nm程度または約0nmを超過し、約200nm以下の範囲であることができる。また、
図5の構造で正の一軸性位相差フィルムの面内の位相差は、前述した位相差層の面内の位相差と同一の範囲にあり得る。
【0030】
他の例示で、位相差層は、正の二軸性位相差フィルムを含むことができる。正の二軸性位相差フィルムを含む場合に、位相差層は、上記フィルムの単層構造であるか、あるいは上記正の二軸性位相差フィルムと異なる位相差フィルムを含む多層構造であることができる。
【0031】
正の二軸性位相差フィルムの単層構造の場合に、上記正の二軸性位相差フィルムの遅相軸と吸収型偏光子の光吸収軸とが成す角度は、例えば、約30度〜60度または約40度〜50度または約45度程度であることができる。このような関係で、偏光板が適切な性能を示すことができる。このような構造で、正の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差は、上記位相差層の厚さ方向の位相差と同一の範囲であることができる。例えば、正の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差は、160nm以下、120nm以下、10nm〜110nmまたは40nm〜80nm程度であることができる。また、上記正の位相差フィルムの面内の位相差は、前述した位相差層の面内の位相差と同一の範囲にあり得る。
【0032】
正の二軸性位相差フィルムを含む多層構造の場合に、位相差層は、正の一軸性位相差フィルムをさらに含むことができる。このような場合に、
図6のように、位相差層で上記正の一軸性位相差フィルム1022に比べて正の二軸性位相差フィルム1023が吸収型偏光子101に近く配置されていてもよい。
【0033】
図6のような構造では、正の二軸性位相差フィルムの遅相軸と吸収型偏光子の光吸収軸は、互いに水平を成し、正の一軸性位相差フィルムの遅相軸と吸収型偏光子の光吸収軸とが成す角度は、約30度〜60度または約40度〜50度または約45度程度であることができる。本明細書で、用語「垂直、直交、水平または平行」は、目的する効果を損傷させない範囲での実質的な垂直、直交、水平または平行を意味する。したがって、上記各用語は、例えば、±15度以内、±10度以内、±5度以内または±3度以内の誤差を含むことができる。
【0034】
図6のような構造で、正の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差は、前述した位相差層の厚さ方向の位相差と同一の範囲にあり得る。例えば、
図6の構造で正の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差は、220nm以下、190nm以下、180nm以下、150nm以下、130nm以下または100nm以下であることができる。また、上記正の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差は、例えば、10nm以上または40nm以上であることができる。
【0035】
図6のような構造で、正の二軸性位相差フィルムの面内の位相差と正の一軸性位相差フィルムの面内の位相差は、その合計が上記位相差層の面内の位相差と同一範囲に属するように調節されることができる。例えば、正の二軸性位相差フィルムの面内の位相差は、10nm〜200nmの範囲であり、正の一軸性位相差フィルムの面内の位相差は、100nm〜200nmの範囲であり、且つその合計が上記位相差層の面内の位相差の範囲に属するように各フィルムの面内の位相差が調節されることができる。
【0036】
正の二軸性位相差フィルムを含む位相差層が多層構造の場合には、また、上記位相差層は、負の二軸性位相差フィルムをさらに含むことができる。このような場合には、例えば、
図7のように、偏光板で上記負の二軸性位相差フィルム1024に比べて正の二軸性位相差フィルム1023が吸収型偏光子101に近く配置されるか、あるいは
図8のように、負の二軸性位相差フィルム1024が正の二軸性位相差フィルム1023に比べて吸収型偏光子101にさらに近く配置されることができる。
【0037】
図7のような構造で、正の二軸性位相差フィルムの遅相軸と吸収型偏光子の光吸収軸は、互いに水平であることができる。また、負の二軸性位相差フィルムの遅相軸と吸収型偏光子の光吸収軸とが成す角度は、例えば、約30度〜60度または約40度〜50度または約45度程度であることができる。
【0038】
図7の構造で、正の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差と負の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差の合計数値は、上記位相差層の厚さ方向の位相差の範囲に属するように調節されることができ、例えば、上記合計数値は、60nm〜270nm、90nm〜240nm、120nm〜240nmまたは150nm〜220nmであることができる。例えば、上記正の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差は、約200nm〜約300nm、約200nm〜約270nmまたは約240nm程度であり、負の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差は、約0nm〜−180nmの範囲にあり、且つその合計が上記範囲に属するようにそれぞれの数値が調節されることができる。また、
図7の構造で、正の二軸性位相差フィルムの面内の位相差と負の二軸性位相差フィルムの面内の位相差の合計数値は、上記位相差層の面内の位相差の範囲に属するように調節されることができ、例えば、上記正の二軸性位相差フィルムの面内の位相差は、10nm〜200nm程度であり、負の二軸性位相差フィルムの面内の位相差は、100nm〜200nmの範囲にあり、且つその合計が上記範囲に属するようにそれぞれの数値が調節されることができる。
【0039】
一方、
図8の構造では、正の二軸性位相差フィルムの遅相軸と吸収型偏光子の光吸収軸とが成す角度は、約30度〜60度または約40度〜50度または約45度程度であることができる。また、負の二軸性位相差フィルムの遅相軸と吸収型偏光子の光吸収軸は、互いに水平であることができる。
【0040】
図8の構造で、正の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差と負の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差の合計数値は、上記位相差層の厚さ方向の位相差の範囲に属するように調節されることができ、例えば、上記合計数値は、60nm〜200nm、70nm〜180nm、90nm〜160nmまたは100nm〜155nmであることができる。例えば、上記正の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差は、約190nm〜300nmまたは約200nm〜300nmまたは約240nm程度であり、負の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差は、−60nm〜−180nmの範囲にあり、且つその合計が上記範囲に属するようにそれぞれの数値が調節されることができる。また、
図8の構造で、正の二軸性位相差フィルムの面内の位相差と負の二軸性位相差フィルムの面内の位相差の合計数値は、上記位相差層の面内の位相差の範囲に属するように調節されることができ、例えば、上記正の二軸性位相差フィルムの面内の位相差は、約190nm〜約300nmまたは約200nm〜約300nmまたは約240nm程度であり、負の二軸性位相差フィルムの面内の位相差は、−60nm〜−180nmの範囲にあり、且つその合計が上記範囲に属するようにそれぞれの数値が調節されることができる。
【0041】
偏光板の位相差層は、他の例示で、負の二軸性位相差フィルム及びCプレートを含むことができる。上記位相差層は、負の二軸性位相差フィルムとCプレートの積層フィルムであることができる。このような場合には、例えば、
図9に示されたように、Cプレート1021が吸収型偏光子101にさらに近く配置されるか、
図10に示されたように、負の二軸性位相差フィルム1024が吸収型偏光子101にさらに近く配置されることができる。
【0042】
図9のような構造で、負の二軸性位相差フィルムの遅相軸と吸収型偏光子の光吸収軸とが成す角度は、例えば、約30度〜60度または約40度〜50度または約45度程度であることができる。このような関係で、偏光板が適切な性能を示すことができる。
図9の構造で、Cプレートの厚さ方向の位相差と負の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差の合計数値は、上記位相差層の厚さ方向の位相差の範囲に属するように調節されることができ、例えば、上記合計数値は、70nm〜250nm、80nm〜220nm、100nm〜190nmまたは120nm〜170nmであることができる。例えば、上記負の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差は、0nm〜−170nm程度であり、Cプレートの厚さ方向の位相差は、約200nm〜約300nmまたは約240nmの範囲にあり、且つその合計が上記範囲に属するようにそれぞれの数値が調節されることができる。また、
図9の構造で、負の二軸性位相差フィルムの面内の位相差は、前述した位相差層の面内の位相差の範囲に属するように調節されることができる。
【0043】
図10のような構造で、負の二軸性位相差フィルムの遅相軸と吸収型偏光子の光吸収軸とが成す角度は、例えば、約30度〜60度または約40度〜50度または約45度程度であることができる。このような関係で、偏光板が適切な性能を示すことができる。
図10の構造で、Cプレートの厚さ方向の位相差と負の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差の合計数値は、上記位相差層の厚さ方向の位相差の範囲に属するように調節されることができ、例えば、上記合計数値は、50nm〜250nm、70nm〜230nm、90nm〜200nmまたは110nm〜180nmであることができる。例えば、上記負の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差は、0nm〜−160nm程度であり、Cプレートの厚さ方向の位相差は、約200nm〜約300nmまたは約230nmであり、且つその合計が上記範囲に属するようにそれぞれの数値が調節されることができる。また、
図10の構造で、負の二軸性位相差フィルムの面内の位相差は、前述した位相差層の面内の位相差の範囲に属するように調節されることができる。
【0044】
上記正の一軸性位相差フィルム、正または負の二軸性位相差フィルムまたはCプレートは、例えば、高分子フィルムまたは液晶フィルムであることができる。例えば、延伸により光学異方性を付与することができる光透過性の高分子フィルムを適切な方式で延伸したフィルムを使用するか、または液晶化合物を配向させて形成した液晶フィルムを使用して上記各フィルムを形成することができる。また、光学異方性を有する限り、無延伸の高分子フィルムをも使用することができる。1つの例示で、上記高分子フィルムとしては、光透過率が70%以上、80%以上または85%以上であり、吸収剤キャスト方式で製造されるフィルムを使用することができる。高分子フィルムは、通常、均質な延伸フィルムの生成可能性を考慮して、厚さが3mm以下、1μm〜1mmまたは5μm〜500μm程度のフィルムを使用することができる。
【0045】
高分子フィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルムまたはポリプロピレンフィルムなどのポリオレフィンフィルム、ポリノルボルネンフィルムなどの環状オレフィンポリマー(COP:Cycloolefin polymer)フィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリアクリレートフィルム、ポリビニルアルコールフィルムまたはTAC(Triacetyl cellulose)フィルムなどのセルロースエステル系ポリマーフィルムや上記ポリマーを形成する単量体のうち2種以上の単量体の共重合体フィルムなどが例示されることができる。1つの例示で、高分子フィルムとしては、環状オレフィンポリマーフィルムまたはアクリルフィルムを使用することができる。上記で環状オレフィンポリマーとしては、ノルボルネンなどの環状オレフィンの開環重合体またはその水素添加物、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンとアルファ−オレフィンのような他の共単量体の共重合体、または上記重合体または共重合体を不飽和カルボキシル酸やその誘導体などで変性させたグラフト重合体などが例示されることができるが、これに制限されるものではない。上記正の一軸性位相差フィルム、正または負の二軸性位相差フィルムまたはCプレートは、また、この分野で上記各フィルムを形成することができるものと公知されている液晶フィルムを使用して形成することができる。
【0046】
上記各位相差フィルムまたは上記位相差層と吸収型偏光子は、例えば、適切な粘着剤または接着剤によって互いに付着し、光学フィルムを形成することができる。位相差フィルムまたは位相差層と吸収型偏光子は、上記接着剤層または粘着剤層を通じて直接付着していてもよく、必要に応じて、プライマー層をさらに含んで付着していてもよい。
【0047】
位相差フィルム間または位相差フィルムと偏光子を付着する方法は、特に制限されない。例えば、接着剤または粘着剤組成物を偏光子または位相差フィルムの一面にコーティングし、ラミネートした後、接着剤組成物を硬化させるか、または接着剤または粘着剤組成物を使用した液滴(dropping)方式によって偏光子または位相差フィルムをラミネートし、組成物を硬化させる方式などを使用することができる。上記で組成物の硬化は、例えば、組成物に含まれている成分を考慮して適切な強度の活性エネルギー線を適切な光量で照射して行うことができる。
【0048】
偏光板は、また、偏光子の一面、例えば、偏光子及び位相差層の間または偏光子の位相差層に当接する面とは反対側面、または上記両側面に存在する偏光子保護フィルムをさらに含むことができる。使用することができる偏光子保護フィルムの種類は、特に制限されず、この分野に公知されている通常のフィルムがすべて使用されることができる。
【0049】
本発明は、また、ディスプレイ装置に関する。例示的なディスプレイ装置は、上記偏光板を含むことができる。
【0050】
偏光板を含むディスプレイ装置の具体的な種類は、特に制限されない。上記装置は、例えば、反射型または半透過反射型液晶表示装置(Liquid Crystal Display)のような液晶表示装置であるか、有機発光表示装置(Organic Light Emitting Device)などであることができる。
【0051】
ディスプレイ装置で偏光板の配置形態は、特に制限されず、例えば公知の形態が採用されることができる。例えば、反射型液晶表示装置において偏光板は、外部光の反射防止及び視認性の確保のために、液晶パネルの偏光板のうちいずれか1つの偏光板として使用されることができる。また、有機発光表示装置では、やはり外部光の反射防止と視認性の確保のために、上記偏光板は、有機発光表示装置の電極層の外側に配置されることができる。