特許第6331037号(P6331037)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6331037ディスプレイ基板用樹脂組成物、ディスプレイ基板用樹脂薄膜及びディスプレイ基板用樹脂薄膜の製造方法。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6331037
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】ディスプレイ基板用樹脂組成物、ディスプレイ基板用樹脂薄膜及びディスプレイ基板用樹脂薄膜の製造方法。
(51)【国際特許分類】
   C08G 73/10 20060101AFI20180521BHJP
【FI】
   C08G73/10
【請求項の数】9
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-505515(P2015-505515)
(86)(22)【出願日】2014年3月12日
(86)【国際出願番号】JP2014056494
(87)【国際公開番号】WO2014142170
(87)【国際公開日】20140918
【審査請求日】2017年2月8日
(31)【優先権主張番号】特願2013-51458(P2013-51458)
(32)【優先日】2013年3月14日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】田村 隆行
【審査官】 海老原 えい子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−155433(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/133168(WO,A1)
【文献】 特開2013−117015(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 73/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1−1)で表される3種の構造単位を合計で少なくとも50モル%含有する重量平均分子量が5000以上であるポリアミック酸を含むディスプレイ基板用樹脂組成物。
【化1】
〔式中、Arは、式(2)〜(4)のいずれかで表される2価の基を表し、Arは、式(5)で表される2価の基を表し、Arは、式(6)で表される2価の基を表し、Arは、式(7)又は(8)で表される4価の基を表し、n〜nは、各構造単位の数を示し、n/(n+n)=2.0〜9.0及びn/n=0.1〜10を満たす。〕
【化2】
【請求項2】
前記ポリアミック酸が、式(1−2)で表される請求項1に記載のディスプレイ基板用樹脂組成物。
【化3】
{式(1−2)中、Xは、式(9)又は(10)で表される1価の基を表し、Xは、式(11)又は(12)で表される1価の基を表し、Ar〜Ar及びn〜nは、前記と同じ意味を示す。X及びXは、独立して式(1−1)で表される3種の構造単位と任意に結合している。
【化4】
〔式(9)〜(12)中、Yは、式(13)〜(15)のいずれかで表される2価の基を表し、Yは、式(16)で表される1価の基を表し、Arは、前記式(2)〜(6)のいずれかで表される2価の基を表し、Arは、前記式(7)又は式(8)で表される4価の基を表す。
【化5】
(式(13)〜(16)中、R〜Rは、互いに独立して、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表し、Zは、式(17)又は(18)で表される1価の基を表し、qは、ベンゼン環に結合するZの数を示し、1〜3の整数を表す。
【化6】
(式(17)及び(18)中、R〜Rは、互いに独立して、水素原子又は炭素数6〜20のアリール基を表す。))〕}
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のディスプレイ基板用樹脂組成物を用いて作製されるディスプレイ基板用樹脂薄膜。
【請求項4】
請求項3に記載のディスプレイ基板用樹脂薄膜を備える画像表示装置。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載のディスプレイ基板用樹脂組成物を用いることを特徴とするディスプレイ基板用樹脂薄膜の製造方法。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載のディスプレイ基板用樹脂組成物を基材上に塗布し、50℃〜100℃で5分間〜2時間、100℃超〜200℃で5分間〜2時間、200℃超〜375℃で5分間〜2時間、375℃超〜450℃で30分〜4時間順次加熱することを特徴とするディスプレイ基板用樹脂薄膜の製造方法。
【請求項7】
請求項3に記載のディスプレイ基板用樹脂薄膜を用いることを特徴とする画像表示装置の製造方法。
【請求項8】
式(1−1)で表される3種の構造単位を合計で少なくとも50モル%含有する重量平均分子量が5000以上であるポリアミック酸。
【化7】
〔式中、Arは、式(2)〜(4)のいずれかで表される2価の基を表し、Arは、式(5)で表される2価の基を表し、Arは、式(6)で表される2価の基を表し、Arは、式(7)又は(8)で表される4価の基を表し、n〜nは、各構造単位の数を示し、n/(n+n)=2.0〜9.0及びn/n=0.1〜10を満たす。〕
【化8】
【請求項9】
式(1−2)で表される請求項8に記載のポリアミック酸。
【化9】
{式(1−2)中、Xは、式(9)又は(10)で表される1価の基を表し、Xは、式(11)又は(12)で表される1価の基を表し、Ar〜Ar及びn〜nは、前記と同じ意味を示す。X及びXは、独立して式(1−1)で表される3種の構造単位と任意に結合している。
【化10】
〔式(9)〜(12)中、Yは、式(13)〜(15)のいずれかで表される2価の基を表し、Yは、式(16)で表される1価の基を表し、Arは、前記式(2)〜(6
)のいずれかで表される2価の基を表し、Arは、式(7)又は式(8)で表される4価の基を表す。
【化11】
(式(13)〜(16)中、R〜Rは、互いに独立して、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表し、Zは、式(17)又は(18)で表される1価の基を表し、qは、ベンゼン環に結合するZの数を示し、1〜3の整数を表す。
【化12】
(式(17)及び(18)中、R〜Rは、互いに独立して、水素原子又は炭素数6〜20のアリール基を表す。))〕}
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ基板用樹脂組成物、ディスプレイ基板用樹脂薄膜及びディスプレイ基板用樹脂薄膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイや液晶ディスプレイなどの表示装置の分野においては、高精細化に加え、軽量化、フレキシブル化等に対する要求がますます高まっている。そのような事情の下、製造が容易で、高い耐熱性を持つことが知られるポリイミド樹脂が、ガラスに代わるディスプレイ用基板材料として注目を集めている。
しかしながら、ポリイミドをディスプレイ基板の材料として用いるには、ガラスと同程度の小さい線膨張係数(5〜15ppm/K程度)を有することが必要とされるが、多くのポリイミドは60〜80ppm/K程度の線膨張係数を有することから、大半のポリイミドは、ディスプレイの基板材料に適さない。
【0003】
すなわち、高精細ディスプレイにはアクティブマトリックス駆動のパネルが使用されており、マトリックス状の画素電極に加えて薄膜アクティブ素子を含むアクティブマトリックス層を形成するには、200℃以上の高温処理だけでなく、正確な位置合わせも必須となる。しかし、ポリイミドは線膨張特性(線膨張係数)の点でガラスに劣るため、高温下においてガラス基板より大きく収縮しまたは膨張してしまうので、ポリイミドを基板材料として用いたとき、ディスプレイの製造プロセスで高い寸法安定性を維持することが困難となる場合が多い。
それゆえ、ポリイミドの耐熱性を活かすとともに、好適な線膨張特性を実現するためには、より適切な分子設計が必要とされる。
【0004】
この点について、上記事情に鑑み工夫された線膨張係数が低いポリイミドフィルムが既に提案されている(特許文献1)。しかし、この提案技術においては、汎用性に乏しい酸二無水物をポリイミドの原料に用いているため、得られるポリイミドフィルムが高価となり、その結果、そのフィルムを用いたディスプレイ自体の価格も高くなることが予想される。
一方、汎用性のある酸無水物であるビフェニルテトラカルボン酸二無水物やピロメリット酸無水物を用いて製造したポリイミドに関する報告も種々されているが(特許文献2〜4及び非特許文献1)、前者のビフェニルテトラカルボン酸二無水物を用いて製造したポリイミドは、製造プロセスに必要な高温領域(250℃〜400℃)で線膨張係数が高くなるという問題があり、また後者のピロメリット酸無水物を用いたときは、汎用性のあるジアミンであるp−フェニレンジアミンとの組み合わせにおいて、得られるポリイミドの柔軟性が低下してしまうという問題がある。
【0005】
このように、汎用性のあるジアミンと汎用性のある酸二無水物とから得られ、ディスプレイ基板に必要な特性を持つポリイミドフィルムの製造に適したポリアミック酸や、それを含む樹脂組成物は具体的に知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2008/047591号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2011/151898号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2012/033213号パンフレット
【特許文献4】特開2010−202729号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Journal of Applied Polymer Science, Vol.62, 2303−2310(1996)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、汎用性のあるジアミンと汎用性のある酸二無水物とから得られ、ディスプレイの製造プロセスに耐え得る高い耐熱性、適度な柔軟性、及び適度な線膨張係数、特に400℃付近における適度な線膨張係数、を有する樹脂薄膜を形成することができるディスプレイ基板用樹脂組成物を提供することを目的とする。
なお、ここでいう適度な柔軟性とは、自己支持性があり、かつ、90度に曲げても割れない程度の高い柔軟性をいう。また、適度な線膨張係数とは、例えば基材がガラスであるとき、その基材のガラスと同等もしくはそれより低い線膨張係数(5〜15ppm/K程度)をいう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、ベンゼンテトラカルボン酸二無水物と、フェニレンジアミンと、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンと、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニルとから誘導されるポリアミック酸を含む組成物によって、ディスプレイ基板に必要な高い耐熱性、適度な柔軟性及び適度な線膨張係数を持つ樹脂薄膜が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は、
1. 式(1−1)で表される3種構造単位を合計で少なくとも50モル%含有する重量平均分子量が5000以上であるポリアミック酸を含むディスプレイ基板用樹脂組成物、
【化1】
〔式中、Arは、式(2)〜(4)のいずれかで表される2価の基を表し、Arは、式(5)で表される2価の基を表し、Arは、式(6)で表される2価の基を表し、Arは、式(7)又は(8)で表される4価の基を表し、n〜nは、各構造単位の数を示し、n/(n+n)=2.0〜9.0及びn/n=0.1〜10を満たす。〕
【化2】
2. 前記ポリアミック酸が、式(1−2)で表される1のディスプレイ基板用樹脂組成物、
【化3】
{式(1−2)中、Xは、式(9)又は(10)で表される1価の基を表し、Xは、式(11)又は(12)で表される1価の基を表し、Ar〜Ar及びn〜nは、前記と同じ意味を示す。X及びXは、独立して式(1−1)で表される3種の構造単位と任意に結合している。
【化4】
〔式(9)〜(12)中、Yは、式(13)〜(15)のいずれかで表される2価の基を表し、Yは、式(16)で表される1価の基を表し、Arは、前記式(2)〜(6)のいずれかで表される2価の基を表し、Arは、前記式(7)又は式(8)で表される4価の基を表す。
【化5】
(式(13)〜(16)中、R〜Rは、互いに独立して、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表し、Zは、式(17)又は(18)で表される1価の基を表し、qは、ベンゼン環に結合するZの数を示し、1〜3の整数を表す。
【化6】
(式(17)及び(18)中、R〜Rは、互いに独立して、水素原子又は炭素数6〜20のアリール基を表す。))〕}
3. 1又は2のディスプレイ基板用樹脂組成物を用いて作製されるディスプレイ基板用樹脂薄膜、
4. 1又は2のディスプレイ基板用樹脂組成物を基材上に塗布し、50℃〜100℃で5分間〜2時間、100℃超〜200℃で5分間〜2時間、200℃超〜375℃で5分間〜2時間、375℃超〜450℃で30分〜4時間順次加熱して作製されるディスプレイ基板用樹脂薄膜、
5. 3又は4のディスプレイ基板用樹脂薄膜を備える画像表示装置、
6. 1又は2のディスプレイ基板用樹脂組成物を用いることを特徴とするディスプレイ基板用樹脂薄膜の製造方法、
7. 1又は2のディスプレイ基板用樹脂組成物を基材上に塗布し、50℃〜100℃で5分間〜2時間、100℃超〜200℃で5分間〜2時間、200℃超〜375℃で5分間〜2時間、375℃超〜450℃で30分〜4時間順次加熱することを特徴とするディスプレイ基板用樹脂薄膜の製造方法、
8. 3又は4のディスプレイ基板用樹脂薄膜を用いることを特徴とする画像表示装置の製造方法、
9. 式(1−1)で表される3種の構造単位を合計で少なくとも50モル%含有する重量平均分子量が5000以上であるポリアミック酸、
【化7】
〔式中、Arは、式(2)〜(4)のいずれかで表される2価の基を表し、Arは、式(5)で表される2価の基を表し、Arは、式(6)で表される2価の基を表し、Arは、式(7)又は(8)で表される4価の基を表し、n〜nは、各構造単位の数を示し、n/(n+n)=2.0〜9.0及びn/n=0.1〜10を満たす。〕
【化8】
10.式(1−2)で表される9のポリアミック酸
【化9】
{式(1−2)中、Xは、式(9)又は(10)で表される1価の基を表し、Xは、式(11)又は(12)で表される1価の基を表し、Ar〜Ar及びn〜nは、前記と同じ意味を示す。X及びXは、独立して式(1−1)で表される3種の構造単位と任意に結合している。
【化10】
〔式(9)〜(12)中、Yは、式(13)〜(15)のいずれかで表される2価の基を表し、Yは、式(16)で表される1価の基を表し、Arは、前記式(2)〜(6)のいずれかで表される2価の基を表し、Arは、前記式(7)又は式(8)で表される4価の基を表す。
【化11】
(式(13)〜(16)中、R〜Rは、互いに独立して、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表し、Zは、式(17)又は(18)で表される1価の基を表し、qは、ベンゼン環に結合するZの数を示し、1〜3の整数を表す。
【化12】
(式(17)及び(18)中、R〜Rは、互いに独立して、水素原子又は炭素数6〜20のアリール基を表す。))〕}
を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のディスプレイ基板用樹脂組成物は、汎用性のある酸二無水物及び汎用性のあるジアミンから製造することができ、これを用いることで、ウェットプロセスによって、高い耐熱性、適度な柔軟性及び適度な線膨張係数、特に400℃付近における適度な線膨張係数、を有する樹脂薄膜を大面積で再現性よく得ることができる。
それゆえ、本発明のディスプレイ基板用樹脂組成物を用いることで、ディスプレイの軽量化やコンパクト化だけでなく、原材料費の低減や製造効率の向上によるディスプレイの低価格化等も図ることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のディスプレイ基板用樹脂組成物は、式(1−1)で表される3種の構造単位を合計で少なくとも50モル%含有する重量平均分子量が5000以上であるポリアミック酸を含む。
【0013】
【化13】
【0014】
式(1−1)において、Arは、式(2)〜(4)のいずれかで表される2価の基を表し、Arは、式(5)で表される2価の基を表し、Arは、式(6)で表される2価の基を表す。特に、高い柔軟性を有する樹脂薄膜を再現性よく得ることを考慮すると、Arとしては、式(2)又は(3)で表される基が好ましく、式(2)で表される基が最適である。
【0015】
【化14】
【0016】
式(1−1)において、Arは、式(7)又は(8)で表される4価の基を表す。特に、高い柔軟性を有する樹脂薄膜を再現性よく得ることを考慮すると、Arとしては、式(7)で表される基が最適である。
【化15】
【0017】
式(1−1)において、n〜nは、各構造単位の数を示し、n/(n+n)=2.0〜9.0及びn/n=0.1〜10を満たす。
適度な線膨脹係数を有する樹脂薄膜を再現性よく得ることを考慮すると、n〜nは、n/(n+n)=2.1〜7.0を満たすことが好ましく、2.3〜5.0を満たすことがより好ましい。一方、n及びnは、n/n=0.2〜5.0を満たすことが好ましく、0.5〜2.0を満たすことがより好ましい。
【0018】
本発明では、両末端に不飽和結合を有する、式(1−2)で表されるポリアミック酸を用いることで、より高い耐熱性を有する樹脂薄膜を再現性よく得ることができる。
【化16】
(式中、Ar〜Ar及びn〜nは、前記と同じ意味を示す。)
【0019】
式(1−2)中、Xは、式(9)又は(10)で表される1価の基を表し、Xは、式(11)又は(12)で表される1価の基を表す。また、X及びXは、独立して式(1−1)で表わされる3種の構造単位と任意に結合している。
【化17】
(式中、Arは、前記式(2)〜(6)のいずれかで表される2価の基を表し、Arは、前記と同じ意味を示す。)
【0020】
式(9)〜(12)中、Yは、式(13)〜(15)のいずれかで表される2価の基を表し、Yは、式(16)で表される1価の基を表す。
【化18】
【0021】
式(13)及び(16)中、Zは、式(17)又は(18)で表される1価の基を表す。
【化19】
【0022】
式(17)及び(18)中、R〜Rは、互いに独立して、水素原子又は炭素数6〜20のアリール基を表す。
炭素数6〜20のアリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基等が挙げられる。
【0023】
〜Rは、ポリアミック酸の有機溶媒への溶解性を高めることを考慮すると、水素原子又は炭素数14以下のアリール基が好ましく、水素原子又は炭素数10以下のアリール基がより好ましく、水素原子又はフェニル基がより一層好ましい。また、R〜Rのうち1つが水素原子であることが好ましく、2つが水素原子であることがより好ましい。
【0024】
式(13)及び(16)中、qは、ベンゼン環に結合するZの数を示し、1〜3の整数であり、例えば1又は2であることが好ましい。なお、qが2以上である場合、複数のZは、全て同一であってもよく異なっていてもよい。
【0025】
式(14)及び(15)中、R〜Rは、互いに独立して、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。
炭素数1〜20のアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等の炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖状アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ビシクロブチル基、ビシクロペンチル基、ビシクロヘキシル基、ビシクロヘプチル基、ビシクロオクチル基、ビシクロノニル基、ビシクロデシル基等の炭素数3〜20の環状アルキル基等が挙げられる。
【0026】
〜Rは、ポリアミック酸の有機溶媒への溶解性を高めることを考慮すると、水素原子又は炭素数10以下のアルキル基が好ましく、水素原子又は炭素数4以下のアルキル基がより好ましく、水素原子又はメチル基がより一層好ましい。また、R及びRと、R及びRのうちそれぞれ1つは水素原子が好ましい。
【0027】
なお、本願明細書において、式(1−1)で表される3種の構造単位を含有するポリアミック酸及び式(1−2)で表されるポリアミック酸は、式(a)で表される構造単位、式(b)で表される構造単位及び式(c)で表される構造単位の3種を合計で50モル%以上ポリマー鎖中に含有し、これらの構造単位が任意の順序(これら各単位の間に他の構成単位を含んでも良い)で結合したポリアミック酸を意味する。よって、本願明細書においては、その意味を明示すべく、本願請求項において式(1−1)及び(1−2)中の各構造単位は、繰り返し単位と異なり、結合手が括弧を突き抜けていない記載となっている。
なお、このような他の構造単位としては、2−メチル−1,4−フェニレンジアミン、5−メチル−1,3−フェニレンジアミン、4−メチル−1,3−フェニレンジアミン、ベンジジン、2,2’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、2,3’−ジメチルベンジジン、4,4’−ジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、5−アミノ−2−(3−アミノフェニル)−1H−ベンゾイミダゾール等のジアミンと、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’、4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、3,3’、4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物等の酸二無水物とを反応させて誘導される構造が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【化20】
(式中、Ar〜Arは、前記と同じ意味を示す。)
【0028】
本発明で用いるポリアミック酸は、式(1−1)で表される3種の構造単位を合計で少なくとも50モル%、好ましくは少なくとも60モル%、より好ましくは少なくとも70モル%、より一層好ましくは少なくとも80モル%、さらに好ましくは少なくとも90モル%、含有する。このようなポリアミック酸を用いることで、ディスプレイ基板に適した特性を持つ樹脂薄膜を再現性よく得ることができる。
【0029】
本発明で用いるポリアミック酸は、式(1−1)で表される3種の構造単位(式(a)〜(c)で表される構造単位)以外にも、他の構造単位を含んでもよいが、そのような構造単位の含有量は、50モル%未満である必要があり、40モル%未満であることが好ましく、30モル%未満であることがより好ましく、20モル%未満であることがより一層好ましく、10モル%未満であることがさらに好ましい。
【0030】
式(1−1)で表される3種の構造単位を含有するポリアミック酸は、式(19)〜(21)で表されるジアミンと、式(22)で表される酸二無水物とを反応させることで、得ることができる。
【0031】
【化21】
(式中、Ar及びArは、前記と同じ意味を示す。)
【0032】
式(19)〜(21)で表されるジアミン及び式(22)で表される酸二無水物は、市販品を用いてもよく、公知の方法によって合成したものを用いてもよい。
式(19)で表されるジアミンとしては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン又はo−フェニレンジアミンが挙げられる。
式(22)で表される酸二無水物としては、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物又は1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物(ピロメリット酸無水物)が挙げられる。
【0033】
また、本発明の式(1−2)で表されるポリアミック酸は、式(19)〜(21)で表されるジアミンと、式(22)で表される酸二無水物と、式(23)〜(25)のいずれかで表される酸無水物及び/又は式(26)で表されるアミンと、を反応させることで、得ることができる。
【0034】
【化22】
(式中、R〜R、Z及びqは、前記と同じ意味を示す。)
【0035】
式(23)〜(25)で表される酸無水物及び式(26)で表されるアミンは、市販品を用いてもよく、公知の方法によって合成したものを用いてもよい。
式(23)で表される酸無水物としては、3−ビニルフタル酸無水物、4−ビニルフタル酸無水物、4−フェニルエチニルフタル酸無水物、4−エチニルフタル酸無水物が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
式(24)で表される酸無水物としては、5―ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
式(25)で表される酸無水物としては、無水マレイン酸、シトラコン酸無水物等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
式(26)で表されるアミンとしては、2−エチニルアニリン、3−エチニルアニリン、4−エチニルアニリン等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0036】
上記反応において、式(19)〜(21)で表されるジアミン及び式(26)で表されるアミン(以下、アミン成分という。)と、式(22)で表される酸二無水物及び式(23)〜(25)で表される酸無水物(以下、酸無水物成分という。)の仕込み比(モル比)は、ポリアミック酸の分子量等を勘案して適宜設定するものではあるが、アミン成分1に対して、通常、酸無水物成分0.6〜1.4程度とすることができ、好ましくは0.8〜1.2程度である。
【0037】
また、式(19)〜(21)で表される各種ジアミンの仕込み比(モル比)に関しては、式(20)で表されるジアミンのモル数(m)及び式(21)で表されるジアミンのモル数(m)の合計を1とした場合に、式(19)で表されるジアミンのモル数(m)を、通常2.0〜9.0程度とすることができ、好ましくは2.1〜7.0、より好ましくは2.3〜5.0である。すなわち、m〜mは、通常、m/(m+m)=2.0〜9.0であり、好ましくは2.1〜7.0であり、より好ましくは2.3〜5.0である。
【0038】
一方、式(20)〜(21)で表される各種ジアミンの仕込み比(モル比)に関しては、式(21)で表されるジアミン1に対して、式(20)で表されるジアミン0.1〜10程度とすることができ、好ましくは0.2〜5.0、より好ましくは0.5〜2.0である。すなわち、m〜mは、通常、m/m=0.1〜10であり、好ましくは0.2〜5.0であり、より好ましくは0.5〜2.0である。
【0039】
上記反応は溶媒中で行うことが好ましく、溶媒を使用する場合、その種類は、反応に悪影響を及ぼさないものであれば、各種溶媒を用いることができる。
具体例としては、m−クレゾール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピルアミド、3−エトキシ−N,N−ジメチルプロピルアミド、3−プロポキシ−N,N−ジメチルプロピルアミド、3−イソプロポキシ−N,N−ジメチルプロピルアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピルアミド、3−sec−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピルアミド、3−tert−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピルアミド、γ−ブチロラクトン等のプロトン性溶剤等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0040】
反応温度は、用いる溶媒の融点から沸点までの範囲で適宜設定すればよく、通常0〜100℃程度であるが、得られるポリアミック酸のイミド化を防いでポリアミック酸単位の高含有量を維持するためには、好ましくは0〜70℃程度であり、より好ましくは0〜60℃程度であり、より一層好ましくは0〜50℃程度である。
反応時間は、反応温度や原料物質の反応性に依存するため一概に規定できないが、通常1〜100時間程度である。
以上説明した方法によって、目的とするポリアミック酸を含む反応溶液を得ることができる。
【0041】
本発明においては、通常、上記反応溶液をろ過した後、そのろ液をそのまま、又は、希釈若しくは濃縮し、ディスプレイ基板用樹脂組成物(ワニス)として用いる。このようにすることで、得られる樹脂薄膜の耐熱性、柔軟性あるいは線膨張特性の悪化の原因となり得る不純物の混入を低減できるだけでなく、効率よく組成物を得ることができる。
希釈や濃縮に用いる溶媒は、特に限定されるものではなく、例えば、上記反応の反応溶媒の具体例と同様のものが挙げられ、それらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、平坦性の高い樹脂薄膜を再現性よく得ることを考慮すると、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトンが好ましい。
【0042】
また、本発明においては、上記反応溶液を常法に従って後処理してポリアミック酸を単離した後、単離したポリアミック酸を溶媒に溶解又は分散させることで得られるワニスを、ディスプレイ基板用樹脂組成物として用いてもよい。この場合、平坦性の高い樹脂薄膜を再現性よく得ることを考慮すると、ポリアミック酸は溶媒に溶解していることが好ましい。溶解や分散に用いる溶媒は、特に限定されるものではなく、例えば、上記反応の反応溶媒の具体例と同様のものが挙げられ、それらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0043】
ポリアミック酸のワニス総質量に対する濃度は、作製する薄膜の厚みやワニス粘度等を勘案して適宜設定するものではあるが、通常0.5〜30質量%程度、好ましくは5〜25質量%程度である。
また、ワニスの粘度も、作製する薄膜の厚み等を勘案し適宜設定するものではあるが、特に5〜50μm程度の厚さの樹脂薄膜を再現性よく得ることを目的とする場合、通常、25℃で500〜50,000mPa・s程度、好ましくは1,000〜20,000mPa・s程度である。
【0044】
本発明のディスプレイ基板用樹脂組成物は、架橋剤(以下、架橋性化合物ともいう。)を含むこともできる。架橋剤の含有量は、通常、ポリアミック酸100質量部に対して、20質量部程度以下である。
【0045】
以下に、架橋性化合物の具体例を挙げるが、これに限定されない。
エポキシ基を2個以上含有する化合物としては、エポリードGT−401、エポリードGT−403、エポリードGT−301、エポリードGT−302、セロキサイド2021、セロキサイド3000(以上、ダイセル化学工業(株)製)等のシクロヘキセン構造を有するエポキシ化合物;エピコート1001、エピコート1002、エピコート1003、エピコート1004、エピコート1007、エピコート1009、エピコート1010、エピコート828(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)等のビスフェノールA型エポキシ化合物;エピコート807(ジャパンエポキシレジン(株)製)等のビスフェノールF型エポキシ化合物;エピコート152、エピコート154(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、EPPN201、EPPN202(以上、日本化薬(株)製)等のフェノールノボラック型エポキシ化合物;ECON−102、ECON−103S、ECON−104S、ECON−1020、ECON−1025、ECON−1027(以上、日本化薬(株)製)、エピコート180S75(ジャパンエポキシレジン(株)製)等のクレゾールノボラック型エポキシ化合物;V8000−C7(DIC(株)製)等のナフタレン型エポキシ化合物;デナコールEX−252(ナガセケムテックス(株)製)、CY175、CY177、CY179、アラルダイトCY−182、アラルダイトCY−192、アラルダイトCY−184(以上、BASF社製)、エピクロン200、エピクロン400(以上、DIC(株)製)、エピコート871、エピコート872(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、ED−5661、ED−5662(以上、セラニーズコーティング(株)製)等の脂環式エポキシ化合物;デナコールEX−611、デナコールEX−612、デナコールEX−614、デナコールEX−622、デナコールEX−411、デナコールEX−512、デナコールEX−522、デナコールEX−421、デナコールEX−313、デナコールEX−314、デナコールEX−312(以上、ナガセケムテックス(株)製)等の脂肪族ポリグリシジルエーテル化合物が挙げられる。
【0046】
アミノ基の水素原子がメチロール基、アルコキシメチル基又はその両方で置換された基を有する、メラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体又はグリコールウリルとしては、トリアジン環1個当たりメトキシメチル基が平均3.7個置換されているMX−750、トリアジン環1個当たりメトキシメチル基が平均5.8個置換されているMW−30(以上、(株)三和ケミカル製);サイメル300、サイメル301、サイメル303、サイメル350、サイメル370、サイメル771、サイメル325、サイメル327、サイメル703、サイメル712等のメトキシメチル化メラミン;サイメル235、サイメル236、サイメル238、サイメル212、サイメル253、サイメル254等のメトキシメチル化ブトキシメチル化メラミン;サイメル506、サイメル508等のブトキシメチル化メラミン;サイメル1141のようなカルボキシル基含有メトキシメチル化イソブトキシメチル化メラミン;サイメル1123のようなメトキシメチル化エトキシメチル化ベンゾグアナミン;サイメル1123−10のようなメトキシメチル化ブトキシメチル化ベンゾグアナミン;サイメル1128のようなブトキシメチル化ベンゾグアナミン;サイメル1125−80のようなカルボキシル基含有メトキシメチル化エトキシメチル化ベンゾグアナミン;サイメル1170のようなブトキシメチル化グリコールウリル;サイメル1172のようなメチロール化グリコールウリル(以上、三井サイアナミッド(株)製)等が挙げられる。
【0047】
以上説明した本発明のディスプレイ基板用樹脂組成物を基体に塗布して加熱することで、高い耐熱性と、適度な柔軟性と、適度な線膨張係数とを有するポリイミドからなる樹脂薄膜を得ることができる。
基体(基材)としては、例えば、プラスチック(ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ、メラミン、トリアセチルセルロース、ABS、AS、ノルボルネン系樹脂等)、金属、木材、紙、ガラス、スレート等が挙げられるが、得られる樹脂薄膜が良好な剥離性を示すことから、ガラス基体が最適である
【0048】
塗布する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、キャストコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、インクジェット法、印刷法(凸版、凹版、平版、スクリーン印刷等)等が挙げられる。
【0049】
加熱温度は、450℃以下が好ましい。450℃を超えると、得られる樹脂薄膜が脆くなり、ディスプレイ基板用途に適した樹脂薄膜を得ることができない場合がある。
また、高い耐熱性と低い線膨張係数を有する樹脂薄膜を得ることを考慮すると、塗布した樹脂組成物を50℃〜100℃で5分間〜2時間加熱した後に、そのまま段階的に加熱温度を上昇させて最終的に375℃超〜450℃で30分〜4時間加熱することが望ましい。
特に、塗布した樹脂組成物は、50℃〜100℃で5分間〜2時間加熱した後に、100℃超〜200℃で5分間〜2時間、次いで、200℃超〜375℃で5分間〜2時間、最後に375℃超〜450℃で30分〜4時間加熱することが好ましい。
加熱に用いる器具は、例えばホットプレート、オーブン等が挙げられる。加熱雰囲気は、空気下であっても不活性ガス下であってもよく、また、常圧下であっても減圧下であってもよい。
【0050】
樹脂薄膜の厚さは、特にフレキシブルディスプレイ用の基板として用いる場合、通常1〜60μm程度、好ましくは5〜50μm程度であり、加熱前の塗膜の厚さを調整して所望の厚さの樹脂薄膜を形成する。
【0051】
以上説明した樹脂薄膜は、フレキシブルディスプレイ基板のベースフィルムとして必要な各要求性能を満たすことから、フレキシブルディスプレイ基板のベースフィルムとして使用するのに最適である。
【実施例】
【0052】
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0053】
[1]実施例で用いる略記号
<無水物>
PMDA:ピロメリット酸無水物
4EPA:4−エチニルフタル酸無水物
BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
【0054】
<アミン>
PDA:p−フェニレンジアミン
FDA:9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン
BAPB:4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル
4EA:4−エチニルアニリン
【0055】
<溶剤>
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
【0056】
[2]ディスプレイ基板用樹脂組成物の調整(ポリアミック酸の合成)
<実施例1>
PDA 0.446g(0.0041モル)とFDA 0.187g(0.00054モル)とBAPB 0.198g(0.00054モル)をNMP 23.0gに溶解し、PMDA 1.17g(0.0054モル)を添加した後、窒素雰囲気下、23℃で24時間反応させた。得られたポリマーのMwは175,100、分子量分布は2.5であった。この溶液をディスプレイ基板用樹脂組成物とした。
なお、重量分子量(Mw)及び分子量分布の測定は、日本分光(株)製GPC装置(カラム:ShodexSB803HQ及びSB804HQ;溶出溶媒:ジメチルホルムアミド;流量:0.9mL/分;カラム温度:40℃;Mw:ポリスチレン換算値)を用いて行った(以下、同じ。)。
【0057】
<実施例2>
PDA 0.493g(0.0046モル)とFDA 0.206g(0.00059モル)とBAPB 0.218g(0.00059モル)をNMP 22.8gに溶解し、PMDA 1.29g(0.0059モル)を添加した後、窒素雰囲気下、23℃で1時間撹拌後、4EA 0.0416g(0.00036モル)を添加し、さらに23時間反応させた。得られたポリマーのMwは123,500、分子量分布は2.3であった。この溶液をディスプレイ基板用樹脂組成物とした。
【0058】
<実施例3>
PDA 0.487g(0.0045モル)とFDA 0.204g(0.00058モル)とBAPB 0.215g(0.00058モル)をNMP 22.8gに溶解し、PMDA 1.28g(0.0058モル)を添加した後、窒素雰囲気下、23℃で1時間撹拌後、4EA 0.0685g(0.00059モル)を添加し、さらに23時間反応させた。得られたポリマーのMwは114,800、分子量分布は2.3であった。この溶液をディスプレイ基板用樹脂組成物とした。
【0059】
<実施例4>
PDA 0.601g(0.0056モル)とFDA 0.258g(0.00074モル)とBAPB 0.273g(0.00074モル)をNMP 22.3gに溶解し、PMDA 1.62g(0.0074モル)を添加した後、窒素雰囲気下、23℃で24時間反応させた。得られたポリマーのMwは147,800、分子量分布は2.5であった。この溶液をディスプレイ基板用樹脂組成物とした。
【0060】
<実施例5>
PDA 0.636g(0.0059モル)とFDA 0.273g(0.00078モル)とBAPB 0.289g(0.00078モル)をNMP 22.0gに溶解し、PMDA 1.71g(0.0078モル)を添加した後、窒素雰囲気下、23℃で1時間撹拌後、4EA 0.0919g(0.00078モル)を添加し、さらに23時間反応させた。得られたポリマーのMwは128,700、分子量分布は2.4であった。この溶液をディスプレイ基板用樹脂組成物とした。
【0061】
<実施例6>
PDA 0.578g(0.0053モル)とFDA 0.233g(0.00067モル)とBAPB 0.246g(0.00067モル)をNMP 22.5gに溶解し、PMDA 1.44g(0.0066モル)を添加した後、窒素雰囲気下、23℃で24時間反応させた。得られたポリマーのMwは143,800、分子量分布は3.4であった。この溶液をディスプレイ基板用樹脂組成物とした。
【0062】
<実施例7>
PDA 0.760g(0.0070モル)とFDA 0.306g(0.00089モル)とBAPB 0.324g(0.00089モル)をNMP 21.8gに溶解し、PMDA 1.86g(0.0085モル)を添加した後、窒素雰囲気下、23℃で24時間反応させた。得られたポリマーのMwは65,300、分子量分布は3.1であった。この溶液をディスプレイ基板用樹脂組成物とした。
【0063】
<実施例8>
PDA 0.601g(0.0056モル)とFDA 0.242g(0.00070モル)とBAPB 0.256g(0.00070モル)をNMP 22.4gに溶解し、PMDA 1.50g(0.0069モル)を添加した後、窒素雰囲気下、23℃で1時間撹拌後、4EPA 0.0239g(0.00014モル)を添加し、さらに23時間反応させた。得られたポリマーのMwは87,400、分子量分布は1.9であった。この溶液をディスプレイ基板用樹脂組成物とした。
【0064】
<実施例9>
PDA 0.591g(0.0055モル)とFDA 0.238g(0.00068モル)とBAPB 0.252g(0.00068モル)をNMP 22.4gに溶解し、PMDA 1.47g(0.0068モル)を添加した後、窒素雰囲気下、23℃で1時間撹拌後、4EPA 0.0705g(0.00041モル)を添加し、さらに23時間反応させた。得られたポリマーのMwは78,100、分子量分布は2.1であった。この溶液をディスプレイ基板用樹脂組成物とした。
【0065】
<実施例10>
PDA 0.797g(0.0074モル)とFDA 0.321g(0.00092モル)とBAPB 0.339g(0.00092モル)をNMP 21.5gに溶解し、PMDA 1.95g(0.0089モル)を添加した後、窒素雰囲気下、23℃で1時間撹拌後、4EPA 0.0951g(0.00055モル)を添加し、さらに23時間反応させた。得られたポリマーのMwは58,000、分子量分布は2.4であった。この溶液をディスプレイ基板用樹脂組成物とした。
【0066】
<比較例1>
PDA 0.780g(0.0072モル)とFDA 0.314g(0.00090モル)とBAPB 0.332g(0.00090モル)をNMP 21.3gに溶解し、PMDA 0.865g(0.0040モル)とBPDA 1.46g(0.0050モル)を添加した後、窒素雰囲気下、23℃で24時間反応させた。得られたポリマーのMwは81,900、分子量分布は3.3であった。この溶液を樹脂組成物とした。
【0067】
[3]ディスプレイ基板用樹脂薄膜の作製(ポリイミドフィルムの作製)
<実施例11>
実施例1で得られたディスプレイ基板用樹脂組成物を、ドクターブレードでガラス基板上に塗布し、120℃で30分間、続いて150℃で30分間、続いて180℃で30分間、空気中でベークを行い、続いて210℃で30分間、続いて240℃で30分間、続いて300℃で20分間、続いて400℃で60分間、窒素雰囲気下でベークを行って樹脂薄膜を作製した。
【0068】
<実施例12〜20及び比較例2>
実施例1で得られたディスプレイ基板用樹脂組成物の代わりに、それぞれ実施例2〜10で得られたディスプレイ基板用樹脂組成物及び比較例1で得られた樹脂組成物を用いた以外は、実施例11と同様の方法で樹脂薄膜を作製した。
【0069】
[4]樹脂薄膜の評価
得られた樹脂薄膜の評価を以下の方法で行った。結果を表1に示す。なお、薄膜は、各評価のためにそれぞれ作製した。膜厚は、柔軟性評価に用いた樹脂薄膜の値を示した。
【0070】
<膜厚の測定>
樹脂薄膜の膜厚を(株)ミツトヨ製マイクロメータを用いて測定した。
【0071】
<耐熱性評価>
樹脂薄膜の5%質量減少温度(Td5%(℃))を測定した。測定は、ブルカー・エイエックスエス(株)製TG/DTA2000SAを用いて行った(昇温レート:毎分10℃で50℃から800℃まで)。
【0072】
<剥離性及び柔軟性評価>
樹脂薄膜をガラス基板から剥離する際の剥がし易さを評価した。剥離性の評価は、ガラス基板上に形成した樹脂薄膜にカッターナイフを用いて短冊状に切り込みを入れ、その短冊状のフィルムがガラス基板から容易に剥離できるか否かを確認することで行った。フィルムとガラス基板との間にナイフの歯を挿入することで引っかかりなくファイルを剥離できた場合を良好、それ以外の場合を不良とした。
また、剥離した樹脂薄膜の柔軟性を評価した。柔軟性の評価は、剥離した樹脂薄膜を手で曲げたり引っ張ったりしたときの薄膜の壊れやすさ(クラック、ひび、破れ等)を目視で確認することで行った。手で90度に曲げても引っ張っても破壊されなかった場合を良好、それ以外の場合を不良とした。
【0073】
<線膨張係数の測定>
樹脂薄膜の線膨張係数を測定した。測定は、(株)島津製作所製TMA−60(昇温レート:毎分10℃で50℃から400℃まで)を用いて行った。なお、係数は、低温(100℃〜250℃)側と高温(250℃〜400℃)側の各温度領域での平均値を示した。
【0074】
【表1】
【0075】
表1に示される通り、比較例2の樹脂薄膜に関しては、耐熱性及び柔軟性は実施例の樹脂薄膜と同程度であったが、ガラス基板からの剥離性が悪く、また高温領域(250℃〜400℃)での線膨張係数が22ppmという高い値であった。一方、実施例11〜20の樹脂薄膜は、ガラス基板からの剥離性に優れるだけでなく、高い耐熱性、適度な柔軟性を有し、更に、低温及び高温のいずれの温度領域においても適度な線膨張係数を有していた。
【0076】
樹脂薄膜をディスプレイ基板として用いるには、高い耐熱性、適度な柔軟性及び適度な線膨張係数が必要となる。
また、通常、ディスプレイの製造においては、基体上に樹脂組成物を塗布して加熱することで樹脂薄膜が製造され、基体上に形成された樹脂薄膜を剥離せずに、その上にアクティブマトリックス層等を順次形成し、最後に基体から樹脂薄膜を剥離する手法がとられることから、基板用樹脂薄膜は基体からの良好な剥離性を持つことが好ましい。
【0077】
上記結果から、本発明の樹脂組成物から得られた樹脂薄膜は、高い耐熱性、適度な柔軟性及び適度な線膨張係数を有するだけでなく、基体からの良好な剥離性を示すことから、ディスプレイ基板用途に特に適していることがわかる。