(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記固定支持部は、前記駆動用素子および前記検出用素子を覆い隠すカバー部を備え、前記第1フレキシブル基板は、前記カバー部の外側に前記第1固定部を固定され、前記カバー部に設けられた通過穴を通じて前記駆動用素子に結合され、前記第2フレキシブル基板は、前記カバー部の外側に前記第3固定部を固定され、前記カバー部に設けられた他の通過穴を通じて前記検出用素子に結合される請求項1に記載の光学機器。
前記駆動用素子は、前記移動平面上の第1方向に前記補正レンズ保持枠を移動させる第1コイルと、前記移動平面上で前記第1方向と交差する第2方向に前記補正レンズ保持枠を移動させる第2コイルとを含み、
前記検出用素子は、前記第1方向に前記補正レンズ保持枠が移動した場合に変位する第1素子と、前記第2方向に前記補正レンズ保持枠が移動した場合に変位する第2素子と含み、
前記第1フレキシブル基板は、前記第1コイルおよび前記第2素子の間において前記補正レンズ保持枠に前記第2固定部を固定されて、前記第1コイルおよび前記第2コイルに前記電力を供給し、
前記第2フレキシブル基板は、前記第1素子および前記第2素子の間において前記補正レンズ保持枠に前記第4固定部を固定されて、前記第1素子および前記第2素子に前記電力を供給する
請求項1または2に記載の光学機器。
前記駆動用素子は、前記移動平面上の第1方向に前記補正レンズ保持枠を移動させる第1コイルと、前記移動平面上で前記第1方向と交差する第2方向に前記補正レンズ保持枠を移動させる第2コイルとを含み、
前記検出用素子は、前記第1方向に前記補正レンズ保持枠が移動した場合に変位する第1素子と、前記第2方向に前記補正レンズ保持枠が移動した場合に変位する第2素子と含み、
前記第1フレキシブル基板は、前記第1コイルおよび前記第2コイルの一方と、前記第1素子および前記第2素子の一方とに前記電力を供給し、
前記第2フレキシブル基板は、前記第1コイルおよび前記第2コイルの他方と、前記第1素子および前記第2素子の他方とに前記電力を供給する
請求項1または2に記載の光学機器。
前記第1フレキシブル基板は、前記補正レンズの径方向に前記付勢力が生じるように、時計回りおよび反時計回りの一方に巻いた渦巻きをなす形状の部分を前記第1固定部と前記第2固定部との間に有し、
前記第2フレキシブル基板は、前記補正レンズの径方向に付勢力が生じるように、時計回りおよび反時計回りの他方に巻いた渦巻きをなす形状の部分を前記第3固定部と前記第4固定部との間に有する
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の光学機器。
前記移動平面上において、前記第1フレキシブル基板の弾性変形により生じる付勢力の方向と、前記第2フレキシブル基板の弾性変形により生じる付勢力の方向とは、略90度の角度をなす請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の光学機器。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、下記の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0008】
図1は、撮像装置100の模式図である。撮像装置100は、像振れを補正する機能を備えた光学機器の一例である。撮像装置100は、レンズ鏡筒110およびカメラボディ120を備える。レンズ鏡筒110は、光軸X上に配列された複数のレンズを含む光学系112を有する。カメラボディ120は、撮像素子122を有する。
【0009】
撮像装置100は、レンズ鏡筒110の光学系112が撮像素子122の受光面に形成した被写体像を、電気信号として記録することにより撮像する。なお、以降の説明においては、レンズ鏡筒110に対して物体側を撮像装置100の前側と記載する。また、レンズ鏡筒110に対してカメラボディ120側を後側と記載する。
【0010】
レンズ鏡筒110は、光学系112における像振れを補正する像振れ補正部200を更に備える。像振れ補正部200は、検出部210および補正レンズユニット220を有する。
【0011】
検出部210は、光軸Xに対して交差し、且つ、互いに交差する2方向について加速度を検出する加速度センサ212、214を含む。検出部210は、加速度センサ212、214が検出した加速度に基づいて、レンズ鏡筒110の変位を算出する。
【0012】
補正レンズユニット220は、補正レンズ230およびアクチュエータ240を有する。補正レンズ230は、光学系112の一部をなし、光軸Xと交差する方向に変位することにより、光学系112が形成する像の結像位置を光軸Xと交差する方向に変位させる。
【0013】
アクチュエータ240は、検出部210が算出したレンズ鏡筒110の変位により生じる像振れを打ち消すべく、補正レンズ230を駆動して、光軸Xと交差する移動面に沿って移動させる。これにより、光学系112における像振れが補償され、撮像素子122に鮮明な像が形成される。
【0014】
図2は、補正レンズユニット220の斜視図である。補正レンズユニット220は、補正レンズ230およびレンズ保持枠232と、それらを収容したケース250およびカバー260と、フレキシブル基板270、280とを有する。
【0015】
補正レンズユニット220において、補正レンズ230は、レンズ保持枠232に保持される。補正レンズ230およびレンズ保持枠232の組立体は、ケース250およびカバー260を合わせることにより形成された円盤状の容器に収容されて支持される。
【0016】
ケース250は、図中背面側に位置し、周縁部に複数の固定ピン252を有する。これにより、ケース250を、レンズ鏡筒110に対して固定して固定支持部を形成できる。カバー260は、複数の固定ねじ262によりケース250に対してねじ止めされる。これにより、ケース250およびカバー260は一体化され、ケース250がレンズ鏡筒110に固定された場合は、カバー260もレンズ鏡筒110に対して固定される。
【0017】
また、カバー260は、中央に設けられた中央開口部264と、中央開口部の側部に配された一対の通過穴263、265とを有する。中央開口部264は、ケース250およびカバー260に収容した補正レンズ230の直径よりも僅かに大きな内径を有し、補正レンズ230をカバー260から外部に向かって露出させる。通過穴263、265のそれぞれは、ケース250およびカバー260の内外で、フレキシブル基板270、280を連通させる。
【0018】
フレキシブル基板270、280は、ケース250およびカバー260の内部と外部とを電気的に結合する。第1のフレキシブル基板280に着目すると、図中に現れている範囲でフレキシブル基板280の一端に位置するケース側固定部282において、ケース250の外面に貼り付けて固定された第1固定部を形成する。また、フレキシブル基板280の他端に位置する保持枠側固定部284は、ケース250およびカバー260の内部に収容されたレンズ保持枠232に対して貼り付けて固定されることにより第2固定部を形成する。
【0019】
更に、フレキシブル基板280は、ケース側固定部282と保持枠側固定部284との間で時計回りの渦巻き状に折り曲げられた渦巻部286を有する。渦巻部286を設けて弾性をもたせることにより、レンズ保持枠232がケース250に対して変位した場合にフレキシブル基板280に対してかかる負荷が緩和される。
【0020】
同様に、第2のフレキシブル基板270は、図中に現れている範囲でフレキシブル基板270のケース側固定部272は、ケース250の外面に貼り付けて固定された第3固定部を形成する。また、フレキシブル基板270の保持枠側固定部274は、ケース250およびカバー260の内部に収容されたレンズ保持枠232に対して貼り付けて固定されて、第4固定部を形成する。
【0021】
更に、フレキシブル基板270は、ケース側固定部272と保持枠側固定部274との間で反時計回りの渦巻き状に折り曲げられた渦巻部276を有する。渦巻部276を設けて弾性をもたせることにより、レンズ保持枠232がケース250に対して変位した場合にフレキシブル基板270に対してかかる負荷が緩和される。
【0022】
なお、カバー260には、一対のヨーク242が固定されている。ヨーク242は磁性体板により形成され、補正レンズユニット220に内蔵されるアクチュエータ240の磁気回路の一部をなす。アクチュエータ240の構造は、他の図を参照して説明する。
【0023】
図3は、補正レンズユニット220からカバー260を取り除いた状態を示す斜視図である。
図3において斜線を付した領域は、アクチュエータ240が動作した場合に、レンズ保持枠232と共にケース250に対して変位する部分を示す。また、
図3における固定ねじ262およびフレキシブル基板270、280は、カバー260が存在している場合と同じ状態で描かれている。
【0024】
補正レンズユニット220において、ケース250とレンズ保持枠232の間には、複数の転動ボール290が挟まれる。また、レンズ保持枠232は、複数の懸架ばね292によりケース250に繋がれる。懸架ばね292は、転動ボール290を間に挟んだ状態で、レンズ保持枠232をケース250に向かって引きつける。これにより、レンズ保持枠232は、転動ボール290を脱落させることなく、ケース250に対して平行に円滑に変位できる状態で、ケース250に保持される。
【0025】
レンズ保持枠232には、一対のコイル246、247が、補正レンズ230の周囲に搭載される。一対のコイル246、247は、それぞれ長円形をなす。また、一対のコイル246、247は、各々の長手方向が光軸Xと直交し、且つ、コイル246、247同志も長手方向が直交する方向に配置される。
【0026】
また、レンズ保持枠232には、一対のフレキシブル基板270、280が貼り付けられる。一対のフレキシブル基板270、280の一端は、レンズ保持枠232から、補正レンズ230の径方向外側に伸びて、レンズ保持枠232の外側に取り出される。
【0027】
図4は、補正レンズユニット220からカバー260を取り除いた状態の正面図である。
図4において斜線を付した領域は、フレキシブル基板270、280において、レンズ保持枠232の表面に貼り付けられた部分を示す。また、
図3と同様に、
図4においても、固定ねじ262およびフレキシブル基板270、280は、カバー260が存在していた場合と同じ状態で描かれている。
【0028】
図中で上側に位置する一方のフレキシブル基板270は、ケース側固定部272から渦巻部276を経てレンズ保持枠232に至る。また、レンズ保持枠232におけるフレキシブル基板270は、光軸Xと平行にレンズ保持枠232から立ち上がるポスト238に沿ってレンズ保持枠232の表面に至り、補正レンズ230の周囲を時計回りと反時計回りとにそれぞれ略45度周回する周回部275、279を経て、補正レンズ230の径方向に伸びる一対の給電部277、278を形成する。
【0029】
フレキシブル基板270の給電部277、278の裏面には、発光ダイオード等の発光素子235、236がそれぞれ実装される。これら発光素子には、フレキシブル基板270を通じて、レンズ保持枠232の外部から発光電力を供給できる。
【0030】
図中で下側に位置する他方のフレキシブル基板280は、ケース側固定部282から渦巻部286を経てレンズ保持枠232に至る。また、レンズ保持枠232におけるフレキシブル基板280は、光軸Xと平行にレンズ保持枠232から立ち上がるポスト239を伝ってレンズ保持枠232の表面に至る。更に、フレキシブル基板280は、補正レンズ230の周囲を時計回りに約135度周回する周回部288を経て、コイル246、247に接続される。これにより、レンズ保持枠232の外部から、フレキシブル基板280を通じて、コイル246、247に駆動電力を供給できる。
【0031】
補正レンズユニット220のレンズ保持枠232においては、一対のコイル246、247と、一対の発光素子235、236とが、略90°間隔で配置される。これにより、一対のコイル246、247は、互いに直交する駆動力を発生して、レンズ保持枠232を二次元的に変位させる。また、一対の発光素子235、236は、互いに直交する方向の変位を高感度に検出して、移動平面におけるレンズ保持枠232の二次元的位置の高精度な検出に寄与する。
【0032】
更に、フレキシブル基板270、280のそれぞれの渦巻部276、286は、一対のコイル246、247および一対の発光素子235、236の間の空いたスペースに配される。これにより、渦巻部276、286は、レンズ保持枠232の移動平面上において、光軸Xに対して略90°をなす位置に配される。従って、渦巻部276、286を、図中で光軸Xを通過する水平線に対して対称な位置に配することができる。
【0033】
図5は、補正レンズユニット220の断面図であり、ケース250、カバー260およびレンズ保持枠232を分離した状態を示す。なお、図示の断面は、補正レンズユニット220を、光軸Xを通る垂直面により切った断面であり、
図2において矢印Aにより示される位置の断面に相当する。
【0034】
レンズ保持枠232は、補正レンズ230に対して図中上側に、発光素子236を保持する。また、レンズ保持枠232は、発光素子236が放射した光を絞って細いビームにするスリット234を有する。これにより、発光素子236が発光した場合は、ケース250に向かって細いビームが照射される。
【0035】
また、レンズ保持枠232は、補正レンズ230に対して図中下側に、一方のコイル246を保持する。コイル246は、光軸Xと直交する面内で巻かれており、駆動電力を供給された場合に、光軸方向の磁束を発生する。
【0036】
ケース250は、補正レンズ230に対応した開口を有する環状のケース基板254を有する。これにより、補正レンズユニット220の後側においても補正レンズ230が外部に向かって露出する。ケース基板254には、レンズ保持枠232側の発光素子236に対向する位置に、PSD256(Position Sensitive Detector)が実装される。
【0037】
また、ケース250は、コイル246に対向する位置に、マグネット244を備える。更に、マグネット244におけるコイル246に対して裏面側には、ヨーク242が配される。ヨーク242は磁性体板により形成され、マグネット244の背面に沿った状態で固定される。
【0038】
カバー260も、コイル246に対向する位置に、マグネット244を備える。更に、マグネット244におけるコイル246に対して裏面側には、ヨーク242が配される。ヨーク242も、磁性体板により形成され、マグネット244に隣接してカバー260に固定される。または、ケース250側に固定されたヨーク242と、カバー260側のヨーク242とをカシメ等で固定してもよい。
【0039】
なお、カバー260に設けられたヨーク242は、
図2において、カバー260の表面に現れていた部材である。即ち、カバー260において、ヨーク242はカバー260を厚さ方向に貫通する。
【0040】
図6は、補正レンズユニット220の断面図である。
図6は、
図5と同じ視点から描かれており、ケース250、レンズ保持枠232およびカバー260が組み立てられた状態を示す。
【0041】
補正レンズユニット220において、レンズ保持枠232は、ケース250およびカバー260に挟まれる。補正レンズユニット220の図中下部には、コイル246と、コイル246を挟むマグネット244とにより、アクチュエータ240が形成される。
【0042】
フレキシブル基板280を通じてコイル246に駆動電力を供給された場合、アクチュエータ240は、光軸Xと直交する方向にレンズ保持枠232を駆動する。これにより、ケース250およびカバー260に対して補正レンズ230が光軸Xと交差する方向に移動して、光学系112が形成する像が撮像素子122においても変位する。
【0043】
なお、アクチュエータ240において、ヨーク242は、コイル246に対してマグネット244の外側に配される。これにより、マグネット244が形成する磁界が外部に漏れることが抑制され、アクチュエータ240の駆動効率が向上する。
【0044】
補正レンズユニット220の上部には、スリット234、発光素子236およびPSD256(Position Sensitive Detector)により変位検出部が形成される。レンズ保持枠232に固定された発光素子236は、スリット234を通じて、図中左側に位置するPSD256に向かって絞られたビーム光を照射する。
【0045】
レンズ保持枠232がケース250に対して変位した場合は、PSD256における照射位置が変化するので、PSD256の出力の変化に基づいてレンズ保持枠232の変位を検出できる。これにより、検出した補正レンズ230の変位に基づいて、アクチュエータ240の動作を高精度に帰還制御できる。
【0046】
図7は、補正レンズユニット220の正面図である。補正レンズユニット220には、カバー260が再び取り付けられている。
【0047】
補正レンズユニット220において、フレキシブル基板270、280の渦巻部276、286は互いに反対巻きになっている。即ち、図示の例では、発光電力を供給するフレキシブル基板270の渦巻部276は、内側から外側に向かって、図中反時計回りに巻いた形状を有する。これに対して、駆動電力を供給するフレキシブル基板280の渦巻部286は、内側から外側に向かって、図中時計回りに巻いた形状を有する。
【0048】
これにより、レンズ保持枠232がケース250に対して変位した場合に、フレキシブル基板270、280の一方が変形により付勢力を増すと、他方の付勢力が減じることになり、互いに打ち消し合う。よって、レンズ保持枠232の変位量が変わっても、フレキシブル基板270、280からレンズ保持枠232に加わる付勢力の変化が抑制される。これにより、レンズ保持枠232は、アクチュエータ240に投入した駆動電力に比例して変位し、像振れ補正部200における像振れを精度よく補正できる。
【0049】
なお、フレキシブル基板270、280の一方は発光素子235、236の発光電力を供給し、他方はアクチュエータ240の駆動電力を供給する。このため、フレキシブル基板270、280相互の電気的な仕様は異なる。しかしながら、上記のように、フレキシブル基板270、280による付勢力の影響を抑制するという目的に照らして、フレキシブル基板270、280の機械的な特性、即ち、基板の弾性率が揃っているか、少なくとも近いことが好ましい。
【0050】
また、上記の例では、一方のフレキシブル基板270が発光素子235、236に発光電力を供給し、他方のフレキシブル基板280がコイル246、247に駆動電力を供給する組み合わせを示した。しかしながら、例えば、一方のフレキシブル基板270が、一方の発光素子236と一方のコイル247とに電力を供給し、他方のフレキシブル基板280が、他方の発光素子235と他方のコイル246とに電力を供給する組み合わせにしてもよい。この場合は、フレキシブル基板270、280の各々に設けられる導体線路の仕様が等しくなるので、フレキシブル基板270、280の弾性を打ち消し合う効果がより高くなる。
また、上記の例では、アクチュエータ240の一例としてボイスコイルモータを記載したが、駆動用素子は補正レンズ230を駆動することができればよく、ボイスコイルモータに限定されない。さらに、検出用素子も、補正レンズ230の位置検出ができればよく、発光素子236とPSD256等に限定されない。
【0051】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。