(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記透光性部材と前記波長変換部材とを固定する工程において、前記レーザダイオードからの光が前記貫通孔に入射する側から、前記波長変換部材と前記透光性部材とを順に前記貫通孔内に配置する、請求項1に記載の発光装置の製造方法。
前記バインダの融点と前記透光性部材の融点との差が500℃〜2500℃である前記バインダ及び前記透光性部材を用いる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
前記波長変換部材を準備する工程において、前記バインダとして、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化バリウムおよび酸化チタンからなる群から選択される少なくとも1つを用いる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
前記透光性部材を準備する工程において、前記ガラスとして、ソーダガラス、ホウ珪酸ガラスおよび鉛ガラスからなる群から選択される少なくとも1つを用いる、請求項8に記載の発光装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の発光装置を添付の図を参照しながら以下に第1〜第6の実施形態を具体的に挙げて説明する。ただし、本発明の発光装置は、以下の第1〜第6の実施形態に限定されるものではない。
【0010】
<第1の実施形態>
図1の概略図に本発明の第1の実施形態の発光装置10(以下、「第1の発光装置」と略記する場合もある)の全体図を示す。
図2は、
図1に示す発光装置10の先端部分(特に支持体3の周辺部分)をより詳細に説明するための概略断面図である。また、
図3の概略図は、本発明の発光装置10における波長変換部材2と支持体3との関係をより詳細に説明するための概略断面図であり、
図4は、
図3に示す発光装置10の上方(すなわち光の出射面側)から見た平面図である。
【0011】
図1、
図2および
図3に示すように、本発明の発光装置10は、レーザ光を発振することのできるレーザダイオード1(以下、「LD」と略記する場合もある)と、LDから出射される光の波長を変換することのできる波長変換部材2と、LDから出射される光が波長変換部材2の2つの面(例えば、
図3に詳しく示す形態において、かかる2つの面は、A面(波長変換部材2のLD側の面とは反対側の面)と、B面(波長変換部材2のLD側の面)であり、互いに対向する一対の主面を指す)を通過するように波長変換部材2を支持することのできる支持体3と、を含む。
ここで、波長変換部材2は、蛍光体と、かかる蛍光体を保持するためのバインダと、を含む。そして、本実施形態では、波長変換部材2に含まれるバインダとしては、透光性部材4aおよび4b(以下、あわせて「透光性部材4」と略記する場合もある)よりも融点の高いものが使用される。
【0012】
これにより、比較的融点の高いバインダを用いたとしても、透光性部材4により波長変換部材2を支持体3に固定することができる。さらに、本実施形態では、LDの高出力化によって蛍光体が高温に発熱したとしても、バインダ自体が融解することを抑制することができるので、バインダの変形や変色を抑制することができる。一方、透光性部材はバインダよりも融点は低いが、蛍光体から離して配置されるので、蛍光体の発熱による透光性部材の変形等を抑制することもできる。つまり、本発明では、発光装置の耐熱性を向上させることができるので、安定した光学特性を有する発光装置を提供することができる。
【0013】
以下、発光装置10で使用する主な部材について詳しく説明する。
【0014】
(レーザダイオード)
本発明において、レーザダイオード1(以下、LD)は、レーザ光を発振することができるものであれば、特に制限なく使用することができる。
【0015】
LDとしては、例えば300nm〜500nm、好ましくは400nm〜470nm、より好ましくは420nm〜470nmに発光ピーク波長を有するものを用いることができる。また、典型的には、端面発光型のLDが使用できる。
【0016】
LDとしては、高出力のものを用いることができ、例えば、1つのLDにおいて、1W〜5Wの出力のものを用いることができる。また、複数個のLDを使用することでさらに高出力のものとすることもできる。本発明の発光装置10は、上述の通り、熱に強い特性を有するので、高出力のLDを採用する場合に特に効果的である。
【0017】
なお、1つの発光装置に使用するLDの数は1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。2つ以上のLDを用いる場合には、それらの波長は、同じ波長帯であってもよいし、あるいは異なっていても、重複していてもよい。
【0018】
(波長変換部材)
波長変換部材2は、少なくとも蛍光体とバインダとを含み、LDから出射される光の波長を変換する機能を有するものである。これにより、典型的には、LDからの光と、波長変換部材2で波長が変換された光(すなわち蛍光体からの光)との混色光を発光装置から外部に放出することができる。
【0019】
波長変換部材2は、LDからの光が通過する2つの面を有していれば、その形状に特に制限はなく、例えば、
図3では、かかる2つの面は互いに対向していて、そのそれぞれが平面(すなわち板状)である。他の形状としては、例えば、その両面を凸状としてもよい。
【0020】
波長変換部材2が板状の形状を有する場合には、例えば、
図3に示すように、LDから出射される光が透過する2つの面(すなわち、
図3のA面およびB面)は、互いに平行であることが好ましい。また、波長変換部材2のA面およびB面は、LDからの光の進行方向を示す軸線、すなわち光軸Lに対して、それぞれ垂直に配置されることが好ましい。なお、
図3では、便宜上、光軸Lを直線で示すが、本実施形態ではLDからの光は、
図1に示すように、光ファイバ13を通して波長変換部材2へと光を伝搬することができるので、LDと波長変換部材2との位置関係は任意に自由に選択することができ、
図3に示すような直線の対応関係に限定されるものではない。
【0021】
波長変換部材2のA面およびB面をその上側(すなわち光の出射面側)から見た形状に特に制限はなく、例えば、円形や、三角形、四角形等の多角形などの形状を発光装置の用途および目的に応じて任意に適宜選択して決定すればよい。また、波長変換部材2のA面およびB面の大きさ(面積)は、同一であっても、異なっていてもよい。発光装置10では、
図4に示すように、発光装置10のその上側から見た平面図では、波長変換部材2の形状は、四角形(好ましくは正方形)であり、A面とB面の大きさは、同一である。
【0022】
波長変換部材2に含まれる蛍光体に特に制限はないが、例えば、青色光を発振するLDを用いる場合には、黄色光に発光する蛍光体を用いることができる。これにより、LDからの光と蛍光体からの光との混色により、白色光とすることができる。
【0023】
もちろん、LDから放出される光として紫外光を用いることもできる。この場合、例えば、赤色発光、青色発光および緑色発光の3種の蛍光体を用いることで、これらの蛍光体からの3色の光の混色により、白色光を得ることができる。
【0024】
蛍光体としては、例えば、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(以下、「YAG系蛍光体」)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(以下、「LAG系蛍光体」)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(以下、「TAG系蛍光体」)等を単独または組み合わせて使用することができる。
【0025】
波長変換部材2における蛍光体の配合量に特に制限はないが、波長変換部材2の総重量に対して、例えば0.05重量%〜50重量%、好ましくは1重量%〜15重量%とすることができる。配合量を0.05重量%以上とすることで蛍光体がLDからの光を十分に変換することができ、配合量を50重量%以下とすることで蛍光体から生じる熱量を低減することができる。
【0026】
波長変換部材2に含まれるバインダについては特に制限はないが、上述の通り、バインダが透光性部材よりも高い融点を有するように選択することが重要である。
【0027】
このように融点を設定することで、LDの高出力化により蛍光体が高温に発熱したとしても、バインダ自体が融解することを抑制することができ、ひいてはバインダの変形や変色を抑制することができる。また、透光性部材4よりも熱伝導率に優れるバインダを用いれば蛍光体からの熱を効率よく伝搬することができるので、LDの高出力化にともなう蛍光体からの発熱をうまく放散することができる。
【0028】
ここで、波長変換部材2に含まれるバインダの融点と透光性部材4の融点との差は、500℃〜2500℃であり、好ましくは800℃〜1500℃とすることができる。融点の差を500℃以上とすることで透光性部材4が変形する前にバインダが変形する事態を抑制することができ、融点の差を2500℃以下とすることで両者をある程度まで任意に選択することができる。
【0029】
バインダの融点は、通常1000℃〜3000℃、好ましくは1300℃〜2500℃、さらに好ましくは1500℃〜2000℃である。バインダの融点を1000℃以上とすることで透光性部材の支持体への融着等の工程におけるバインダの変形等を抑制することができるとともに、比較的融点の高い透光性部材を選択することができる。また、バインダの融点を3000℃以下とすることで例えばバインダを焼結により成形する工程が容易になり、より安定した品質で波長変換部材を製造することができる。
【0030】
波長変換部材2に含まれるバインダとしては、例えば、酸化アルミニウム(Al
2O
3、融点:約1900℃〜2100℃)、二酸化ケイ素(SiO
2、融点:約1500℃〜1700℃)、酸化ジルコニウム(ZrO
2、融点:約2600℃〜2800℃)、酸化バリウム(BaO、融点:1800℃〜2000℃)、酸化チタン(TiO
2、融点:1700℃〜1900℃)などが挙げられる。なかでも、融点、熱の伝搬性および拡散性等の観点から、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素が好ましく、特に酸化アルミニウムを使用することが好ましい。
【0031】
本発明において、バインダは、単一の材料で構成してもよいし、2種以上の材料を組み合わせて用いてもよい。なお、バインダが2種以上の材料からなる場合には、透光性部材4と比較するバインダの融点は、それらのうち最も低いものである。
【0032】
また、波長変換部材2は、必要に応じて、光散乱材を含んでいてもよい。光散乱材としては、波長変換部材2に含まれるバインダよりも融点が高く、バインダとの屈折率に差があればよい。バインダを構成する材料にもよるが、光散乱材としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタンなどを使用することができる。また、光散乱材の配合量は、使用するバインダよりも少ない量であれば、特に制限はない。
【0033】
さらに、波長変換部材2の表面(LD側の面、LDとは反対側の面、あるいはその両面)には、必要に応じて、反射防止層(AR層)などの層が任意に設けられていてもよい。
【0034】
また、本実施形態では、複数の波長変換部材2を配置してもよい。なお、かかる複数の波長変換部材2は、同一のものであっても、異なるものであっていてもよい。
【0035】
なお、本発明では、波長変換部材2は、蛍光体と、バインダ、および必要に応じて光散乱材などの任意の他の成分を混合し、焼結などの従来公知の方法に従って所望の寸法および形状に成形したものを用いることができる。
【0036】
(透光性部材)
透光性部材4は、光源からの光を透過することができ、なおかつ融着により支持体3と結合され得るものであり、必要に応じて、上述の波長変換部材2を少なくとも部分的に被覆し、例えば、
図3に示すように透光性部材4a,4bとして波長変換部材2の光透過面A,Bの両方に配置され、波長変換部材2の支持体3への固定を補助し得る役割を果たすものである。また、透光性部材4は、支持体3の貫通孔5内において主として波長変換部材2が配置されていない部分、特に以下にて詳細に説明する支持体3の貫通孔5の内壁と、波長変換部材2の光透過面Aおよび/またはBとに融着されることが好ましい。
【0037】
また、ここで、波長変換部材2と支持体3とを結合させるために従来公知の一般的な手法を用いてもよく、例えば、波長変換部材2の側面と支持体3の貫通孔5の内壁とを低融点ガラスなどを用いて融着することもできる。しかし、このような場合には、低融点ガラスの位置合わせが難しく、再現性良く両者を融着することができないという問題がある。さらに、波長変換部材2の側面の面積は限られているので、仮に低融点ガラスの位置合わせができて両者を接合できたとしても、十分な強度が得られにくいという問題もある。そこで、本実施形態では、
図3において詳しく示すように、波長変換部材2のA面に透光性部材4aを配置し、そして波長変換部材2のB面に透光性部材4bを配置し、その後、透光性部材4aおよび4bのそれぞれを支持体3、特に支持体3の貫通孔5の内壁に融着させることによって、波長変換部材2を支持体3に固定することができる。波長変換部材2の両面に透光性部材4aおよび4bを設けることで波長変換部材2を支持体3により強固に固定することができる。また、本実施形態では、透光性部材4aおよび4bの両方を介して、支持体3に熱を伝搬して放散させることもできるので、発光装置の放熱性はさらに向上する。
【0038】
透光性部材4aおよび/または4bは、波長変換部材2よりも屈折率を低くすることができる。例えば、透光性部材4aの屈折率を波長変換部材2の屈折率よりも低くすれば、光の出射効率を高めることができる。また、透光性部材4bの屈折率を波長変換部材2の屈折率よりも低くすれば、光の入射効率を高めることができる。
【0039】
透光性部材4aおよび4bは、それぞれ、融着により支持体3へと結合することができればその材料に特に制限はないが、本発明では、上述の通り、透光性部材4aおよび4bは、それぞれ、波長変換部材2に含まれるバインダよりも融点が低くなるようにその材料を適宜選択することが重要である。
【0040】
透光性部材の融点は、通常200℃〜1000℃、好ましくは500℃〜900℃とすることができる。融点を200℃以上とすることで、透光性部材の耐熱性、耐候性、透光性などの性能を向上させることができる。また、融点を1000℃以下とすることで、透光性部材は支持体に融着しやすくなり、発光装置の生産性を向上させることができる。
【0041】
ここで、透光性部材の融点は、温度の上昇に伴って透光性部材が軟化を開始する温度を意味し、本発明では、透光性部材を構成する主材料の軟化点を透光性部材の融点と定義する。
【0042】
透光性部材を構成する主材料としては、ソーダガラス(又はソーダ石灰ガラス)、ホウ珪酸ガラス、鉛ガラス等のガラスを好適に使用することができる。
【0043】
ソーダガラスは、一般には、二酸化ケイ素(SiO
2)、酸化ナトリウム(Na
2O)および/または酸化カリウム(K
2O)を主成分とするガラスを意味し、本発明では、従来公知のソーダガラスを特に制限なく使用することができる。ソーダガラスの軟化点は、通常500℃〜800℃であり、好ましくは600℃〜800℃である。
【0044】
ホウ珪酸ガラスは、一般には、二酸化ケイ素(SiO
2)を主成分とし、さらに酸化ホウ素(無水ホウ酸)(B
2O
3)などの成分を含むガラスであり、本発明では、従来公知のホウ珪酸ガラスを特に制限なく使用することができる。ホウ珪酸ガラスの軟化点は、通常500℃〜1000℃であり、好ましくは500℃〜900℃である。
【0045】
鉛ガラスは、一般には、二酸化ケイ素(SiO
2)および酸化鉛(PbO)を主成分とするガラスを意味し、本発明では、従来公知の鉛ガラスを特に制限なく使用することができる。鉛ガラスの軟化点は、通常300℃〜600℃であり、好ましくは500℃〜600℃である。
【0046】
耐光性、耐候性、透光性などの観点から、ホウ珪酸ガラスを使用することが好ましい。
【0047】
なお、上述のように波長変換部材2に光散乱材を配合すると、波長変換部材2の成形時に光散乱材とバインダとが反応し、透過率が悪化するおそれがある。また、波長変換部材2は、上述のとおり、一定量の蛍光体を含むため、光散乱材の含有量にはどうしても限界がある。そこで、本実施形態では、波長変換部材2には光散乱材を配合せずに、透光性部材4に光散乱材を配合することで、波長変換部材2の局所的な透過率の悪化を抑制しつつ、比較的多くの光散乱材を透光性部材4に用いることができる。例えば、
図3に示す透光性部材4aに光散乱材を配合すれば、光が散乱した状態で光を取り出すことができるので、所望の配光を得ることができる。また、
図3に示す透光性部材4bに光散乱材を配合すれば、光の密度が低下した状態で光を蛍光体に当てることができるので、蛍光体の発熱の軽減および出射光の色むらを改善することができる。透光性部材4に配合する光散乱材に特に制限はないが、例えば、酸化ケイ素や酸化チタンなどを使用することができる。なお、光散乱材の透光性部材4への配合量に特に制限はない。
【0048】
また、透光性部材4は、波長変換部材2に入射する光および/または波長変換部材2から出射する光を所望の色調に補正することを目的として、必要に応じて波長変換部材2に含まれる蛍光体と比較して少量の蛍光体を含んでいてもよい。蛍光体としては、特に制限はなく、例えば、赤色系蛍光体などを含ませることができる。
【0049】
また、本実施形態において、透光性部材4は、上記ガラスなどの材料に光散乱材などの任意の他の成分を必要に応じて配合したものを所望の形状および寸法に成形したものを用いることができる。
【0050】
透光性部材4の支持体3への結合は、例えば、透光性部材4を波長変換部材2とともに支持体3上に適切に配置した後、その全体を加熱することで、透光性部材4を支持体3に融着させることによって行われる。このとき、透光性部材4と波長変換部材2とが融着により結合していてもよい。ただし、このとき、透光性部材4は溶融するが、波長変換部材2のバインダは溶融しない温度および圧力を選択することが好ましい。これにより、波長変換部材2を融解させることなく、透光性部材4を支持体3に融着より結合させて波長変換部材2を支持体3に固定することができる。
【0051】
(支持体)
図3に示すように、支持体3は、LDからの光が通過するように光の進行方向に拡がる貫通孔5を有し、その貫通孔5の内壁にて波長変換部材2を物理的に支持し得るものである。なお、本発明において支持体3の貫通孔5が光の進行方向に拡がるとは、貫通孔5の直径が光の進行方向に沿って大きくなることを意味する。
【0052】
支持体3は、光軸Lとほぼ同軸に形成される貫通孔5を有する円盤状の台座部7と、かかる台座部7の下面(すなわちLD側の面)でその周縁部を支持する円筒形状のスリーブ部8と、から構成される。本実施形態では、台座部7とスリーブ部8とが一体式に形成されることが好ましい。
【0053】
本実施形態では、支持体3の台座部7に設けた貫通孔5の内壁が光の進行方向に沿って拡がるテーパ面を有するので、かかるテーパ面では支持体3と透光性部材4aおよび4bとの結合面積が増大し、融着による結合強度が増大する。また、かかるテーパ面によって、光のLD側へ逆行を防止することもできる。なお、本実施形態において、テーパ面の角度に特に制限はなく、所望の用途に応じて、任意に適宜決定すればよい。
【0054】
図3に示すように、貫通孔5の内壁はその全域においてテーパ面とはなっておらず、その途中に波長変換部材2を支持することのできるステージ6が設けられている。ステージ6は光軸Lと垂直をなす面を有しており、これにより波長変換部材2の位置合わせが容易となる。また、ステージ6を設けることで透光性部材4aおよび4bを貫通孔5の内壁に融着させることが比較的容易となる。
【0055】
次に、
図3の発光装置10を上方(すなわち波長変換部材2のA面側)から見た平面図を
図4に示す。
図4に示すように、貫通孔5のLD側の開口部P、貫通孔5のLDとは反対側の開口部Q、ステージ6に設けられた開口部R、およびステージ6の周縁部Sは、光軸Lを中心として、同心円状に拡がっていることが好ましい。なお、開口部P、QおよびRならびに周縁部Sの形状は
図4に示す円形のものに限定されるものではない。
【0056】
波長変換部材2をステージ6に載置することより、波長変換部材2と支持体3(特にステージ6)との接触面積を比較的容易に増加させることができる。これにより、波長変換部材2から支持体3への放熱経路が確保され得るので、さらに放熱性、耐熱性に優れる発光装置を得ることができる。
【0057】
また、
図3に示すように、透光性部材4aは、ステージ6において、支持体3と部分的に接触するように構成することができる。これにより、透光性部材4aと支持体3との接触面積を比較的容易に増加させることができるので、より強固に透光性部材4aを支持体3に融着により結合させることができる。
【0058】
支持体3の台座部7およびスリーブ部8を構成する材料に特に制限はないが、ともに熱膨張率が透光性部材4に近い材料が好ましい。また、放熱性の良い材料が好ましい。かかる物質としては、代表的には金属、例えば、鉄、ニッケル、コバルト、アルミニウムおよびそれらの合金、例えば、ステンレス鋼、Ni−Fe合金、コバールなどが挙げられる。なかでも、熱膨張率の観点から、コバール、アルミニウムを使用することが好ましい。
【0059】
また、支持体3、特に貫通孔5の内壁面には、銀を含む材料からなる反射膜を設けることもできる。これにより光の取り出し効率をさらに向上させることができる。
【0060】
支持体3は、かかる材料から、従来公知の方法(例えば、プレス加工、切削加工など)によって作製することができる。
(その他の部材)
【0061】
ここで、本発明の第1の実施形態の発光装置10では、
図1に示すように、LDと波長変換部材2との間に光ファイバ13を配置してもよい。これにより、LDからの光を、光ファイバ13を通して波長変換部材2に伝搬して波長変換部材2に照射することができるので、両者の相対的な位置関係を比較的自由に設計することができる。光ファイバ13は、例えば、ガラス、好ましくは石英ガラス、樹脂などから構成され得る。
【0062】
そして、
図2に示すように、光ファイバ13の先端部(すなわち、光ファイバ13の波長変換部材側の端部)は、支持体3のスリーブ部の内部空間と係合して接続するためにアダプタ14を備えていてもよい。
【0063】
また、光ファイバ13の他方の端部(すなわち、LD側の端部)には、
図1に示すように、光ファイバ13とLDまたはLDを含むデバイスとの接続を容易にするためにコネクタ12を備えていてもよい。
【0064】
さらに、
図1に示すように、光ファイバ13のLD側の端面にはLDからの光を集光させるために、光ファイバ13のLD側の端面とLDとの間にレンズ11を配置してもよい。かかるレンズ11は、LDからの光を、光ファイバ13の端面に集光させることができれば、その種類に特に制限はない。
【0065】
なお、本発明の発光装置は、上述の構成を有するが、本発明の発光装置は、かかる第1の実施形態の構成に限定されるものではない。
【0066】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態に係る発光装置20は、支持体3の周辺の構成以外は
図1に示す通りであり、具体的には、
図5に示すように、波長変換部材2、支持体3ならびに透光性部材4aおよび4bの形状がそれぞれ
図3に示す第1の実施形態とは異なるものである。また、
図5に示す実施形態では、支持体3の貫通孔の内部においては、
図3に示す第1の実施形態のようにステージ部6は形成されておらず、その全域がテーパ面となっている。他の構成については上述の第1の発光装置と同様である。
【0067】
第2の実施形態では、貫通孔5の内壁の全域をテーパ面とすることによって、融着による透光性部材4aおよび4bと、支持体3との結合面積が増大し、波長変換部材2をさらに強固に固定することができる。また、かかるテーパ面によって、光の逆行を防止することもできる。形成されるテーパ面の角度に特に制限はなく、所望の用途に応じて、任意に適宜決定すればよい。また、波長変換部材2および透光性部材4aおよび4bは、テーパ面の形状に合わせて、その寸法および形状を調整すればよい。
【0068】
第2の発光装置において、波長変換部材2ならびに透光性部材4aおよび4bは、光軸Lを中心として、同軸に配置されることが好ましい。例えば、
図6の上面図に示すように、支持体3に設けた貫通孔のLD側の開口部Pと、支持体3に設けた貫通孔のLDとは反対側の開口部Qと、波長変換部材2のLD側の周縁部Tと、波長変換部材2のLDとは反対側の周縁部Uとが、光軸Lを中心として、同心円状に拡がる形状および寸法を有することが好ましい。
【0069】
透光性部材4aは、その光の入射側の周縁部が、波長変換部材2の光の出射側の周縁部Uとほぼ一致し、これらが同じ形状および寸法を有することが好ましく、透光性部材4aの光の出射側の周縁部は、支持体3に設けた貫通孔の光の出射側の開口部Qとほぼ一致し、これらが同じ形状および寸法を有することが好ましい。
【0070】
また、透光性部材4bは、その光の入射側の周縁部が、支持体3に設けた貫通孔の光の入射側の開口部Pとほぼ一致し、これらが同じ形状および寸法を有することが好ましく、透光性部材4bの光の出射側の周縁部は、波長変換部材2の光の入射側の周縁部Tとほぼ一致し、これらが同じ形状および寸法を有することが好ましい。
【0071】
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態に係る発光装置30は、発光装置全体としては
図1に示す通りであり、具体的には、
図7に示すように、波長変換部材2、支持体3および透光性部材4aの形状がそれぞれ
図3に示す第1の実施形態とは異なるものである。また、
図7に示す実施形態では、支持体3の貫通孔の内壁において、
図3に示す第1の実施形態のようにステージ部6は形成されておらず、その全域がテーパ面となっている。さらに、本実施形態では、第1の実施形態で用いられる透光性部材4bは配置されておらず、透光性部材4aのみを配置することを特徴とする。他の構成については上述の第1の発光装置と同様である。なお、
図7に示す波長変換部材2、支持体3および透光性部材4aは、
図5および6に示すものと同一の形状を有していてもよい。ただし、その寸法は、同一であっても、異なっていてもよい。
【0072】
このような構成であっても、透光性部材4aにより、波長変換部材2を支持体3に固定することができる。本実施形態では、透光性部材4bが設けられていないので色むらが生じやすい傾向にはあるが、LDからの出射光が直接波長変換部材2に照射されるため、さらに出力を向上させることができる。また、本実施形態において、貫通孔内に透光性部材4bが存在しない部分では、貫通孔がLD側に向かってテーパ状に狭くなっているので、波長変換部材2がこの貫通孔からその下方に脱落することもない。
【0073】
<第4の実施形態>
本発明の第4の実施形態に係る発光装置40は、発光装置全体としては
図1に示す通りであるが、具体的には、
図8に示すように、
図3の第1の実施形態で用いられる透光性部材4bは配置されておらず、透光性部材として、透光性部材4aのみを配置することを特徴とする。他の構成については上述の第1の発光装置と同様である。
【0074】
このような構成であっても、透光性部材4aにより、波長変換部材2を支持体3に固定することができる。また、透光性部材4bがない部分では貫通孔が狭くなっているので、貫通孔の下方から波長変換部材2が脱落することもない。
【0075】
<第5の実施形態>
本発明の第5の実施形態に係る発光装置50は、発光装置全体としては
図1に示す通りであるが、具体的には、
図9に示すように、波長変換部材2、支持体3および透光性部材4bの形状がそれぞれ
図3に示す第1の実施形態とは異なる。また、
図9に示す実施形態では、支持体3の貫通孔の内壁において、
図3の第1の実施形態のようにステージ部6は形成されておらず、その全域がテーパ面となっている。さらに、本実施形態では、
図3に示す第1の実施形態で用いられる透光性部材4aは配置されておらず、波長変換部材2のA面が光の出射面となり、透光性部材として、透光性部材4bのみを配置することを特徴とする。他の構成については上述の第1の発光装置と同様である。なお、
図9に示す波長変換部材2、支持体3および透光性部材4bは、
図5および6に示すものと同一の形状を有していてもよい。ただし、その寸法は、同一であっても、異なっていてもよい。
【0076】
このような構成であっても、透光性部材4bにより、波長変換部材2を支持体3に固定することができる。このとき、透光性部材4bと波長変換部材2は透光性部材4bの融着により結合している。
【0077】
<第6の実施形態>
本発明の第6の実施形態に係る発光装置60は、発光装置全体としては
図1に示す通りであるが、具体的には、
図10に示すように、
図3に示す第1の実施形態で用いられる透光性部材4aが配置されておらず、波長変換部材2のA面が光の出射面となり、透光性部材として、透光性部材4bのみが配置されていることを特徴とする。他の構成については上述の第1の発光装置と同様である。
【0078】
このような構成であっても、透光性部材4bにより、波長変換部材2を支持体3に固定することができる。このとき、透光性部材4bと波長変換部材2は透光性部材4bの融着により結合している。
【0079】
<他の実施形態>
図11に本発明の他の実施形態に係る発光装置70の構成を説明するための概略断面図を示す。
【0080】
図11に示すように、レーザダイオード1と、波長変換部材2との間には、上述の実施形態で用いられるレンズ11、コネクタ12、光ファイバ13およびアダプタ14などの部材は設けられておらず、レーザダイオード1が支持体3のスリーブ部8の内部空間19に配置されていることを除いては、上述の第1から第6の実施形態で説明した発光装置と実質的に同様である。
【0081】
このとき、レーザダイオード1は、必要に応じてヒートシンク18を用いて板状のステム15に固定され、スリーブ部8の内部空間19はステム15によって密閉することができる。ステム15には、外部電力と電気的に接続するための複数のリード16a,16bがそれぞれステム15に設けた複数の貫通孔を通して配置され、かかる貫通孔は、低融点ガラスなどの材料から構成される封止材17a、17bでさらに密閉することができる。また、レーザダイオード1は、ワイヤー等の導電部材を介してリード16a,16bと電気的に接続することができる。
【0082】
本実施形態では、このような構成であっても、例えば
図3〜10に示す上記で説明した第1から第6の実施形態における構成を好適に採用することができ、波長変換部材2と支持体3とを特定の関係とすることにより、同様の効果を得ることができる。
【0083】
なお、本実施形態では、レーザダイオード1と波長変換部材2との間には他の部材は介在させていないが、例えば、両者の間にはレーザ光を集光させることのできるレンズなどの部材を設けてもよい。