特許第6331389号(P6331389)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6331389
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/50 20100101AFI20180521BHJP
   H01L 33/58 20100101ALI20180521BHJP
【FI】
   H01L33/50
   H01L33/58
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-271859(P2013-271859)
(22)【出願日】2013年12月27日
(65)【公開番号】特開2015-126209(P2015-126209A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2016年11月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】川野 雄祐
【審査官】 大和田 有軌
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−182724(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0087108(US,A1)
【文献】 特開2010−118560(JP,A)
【文献】 特開2009−038348(JP,A)
【文献】 特開2010−123918(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/069671(WO,A1)
【文献】 特表2012−516026(JP,A)
【文献】 特開2013−183042(JP,A)
【文献】 特表2012−503876(JP,A)
【文献】 特開2013−089814(JP,A)
【文献】 特開2006−005367(JP,A)
【文献】 特開2013−251417(JP,A)
【文献】 特開2013−182918(JP,A)
【文献】 特開2013−182917(JP,A)
【文献】 特開2013−016588(JP,A)
【文献】 特開2012−124443(JP,A)
【文献】 特開2012−059939(JP,A)
【文献】 特開2008−283155(JP,A)
【文献】 特開2008−270701(JP,A)
【文献】 特開2008−108835(JP,A)
【文献】 特開2006−309209(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0322067(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0001299(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 − 33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、
前記基体上に配置される第1発光素子及び第2発光素子と、
前記第1発光素子の上面に設けられた第1透光性部材と、
前記第2発光素子の上面に設けられた第2透光性部材と、
前記第1及び第2発光素子の側面並びに前記第1及び第2透光性部材の側面を被覆する遮光部材と、を有し、
前記第1及び第2発光素子は青色光を発する発光素子であり、前記基体にフリップチップ実装され、
前記第1透光性部材は波長変換部材を含まず、
前記第2透光性部材は、無機材料からなる透明板と、蛍光体及び有機材料からなるバインダを含みかつ前記透明板の下面に形成された波長変換部材と、を備え、
前記遮光部材は、前記透明板及び前記波長変換部材の側面を直接被覆することを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記遮光部材は、前記第1及び第2透光性部材の下面の一部を被覆することを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第2透光性部材に含まれる波長変換部材は、前記第2発光素子からの光により赤色又は緑色に発光する波長変換部材であることを特徴とする請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
複数の前記第1発光素子の上面に前記第1透光性部材が設けられており、又は/且つ、複数の前記第2発光素子の上面に前記第2透光性部材が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の発光装置。
【請求項5】
前記遮光部材は光反射性樹脂であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の発光装置。
【請求項6】
前記基体上に配置される第3発光素子と、
前記第3発光素子の上面に設けられた第3透光性部材と、
前記第3発光素子の側面及び前記第3透光性部材の側面を被覆する遮光部材と、を有し、
前記第3発光素子は青色光を発する発光素子であり、
前記第2透光性部材は、前記第2発光素子からの光により赤色又は緑色のいずれか一方に発光する波長変換部材を含み、
前記第3透光性部材は、前記第3発光素子からの光により赤色又は緑色の他の一方に発光する波長変換部材を含むことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項7】
前記基体上に配置される第3発光素子と、
前記第3発光素子の上面に設けられた第3透光性部材と、
前記第3発光素子の側面及び前記第3透光性部材の側面を被覆する遮光部材と、を有し、
前記第3発光素子は青色光を発する発光素子であり、前記基体にフリップチップ実装され、
前記第2透光性部材は、前記第2発光素子からの光により赤色又は緑色のいずれか一方に発光する波長変換部材を含み、
前記第3透光性部材は、前記第3発光素子からの光により黄色に発光する波長変換部材を含むことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項8】
前記基体上に配置される第3発光素子と、
前記第3発光素子の上面に設けられた第3透光性部材と、
前記第3発光素子の側面及び前記第3透光性部材の側面を被覆する遮光部材と、を有し、
前記第3発光素子は青色光を発する発光素子であり、前記基体にフリップチップ実装され、
前記第2透光性部材は、前記第2発光素子からの光により赤色又は緑色のいずれか一方に発光する波長変換部材を含み、
前記第3透光性部材は、前記第3発光素子からの光により赤色に発光する波長変換部材と緑色に発光する波長変換部材とを含むことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項9】
基体上に、青色光を発する第1発光素子及び青色光を発する第2発光素子をフリップチップ実装する工程と、
前記第1発光素子の上面に波長変換部材を含まない第1透光性部材を載置する工程と、
無機材料からなる透明板の下面に、スクリーン印刷法によって、蛍光体及び有機材料からなるバインダを含む波長変換部材を形成することにより、前記透明板及び前記波長変換部材を含む第2透光性部材を準備する工程と、
前記第2発光素子の上面に前記第2透光性部材を載置する工程と、
前記第1発光素子の側面、前記第2発光素子の側面、前記第1透光性部材の側面並びに前記第2透光性部材に含まれる前記透明板及び前記波長変換部材の側面を直接被覆するように遮光部材を形成する工程と、を有する発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の半導体発光装置は、パッケージの凹部に、赤色発光素子、青色発光素子、及び緑色発光素子が配置されている(例えば、図1及び図2参照)。これにより、1つの半導体発光装置内から異なる色を発光させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-188201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の半導体発光装置においては、赤色、緑色及び青色発光素子のそれぞれの駆動電圧、温度特性及び寿命特性が異なることから、半導体発光装置として特性が安定していなかった。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、特性が安定した発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる発光装置は、基体と、基体上に配置される第1発光素子及び第2発光素子と、第1発光素子の上面に設けられた第1透光性部材と、第2発光素子の上面に設けられた第2透光性部材と、第1及び第2発光素子の側面並びに第1及び第2透光性部材の側面を被覆する遮光部材と、を有する。特に、第1及び第2発光素子は青色光を発する発光素子であり、第1透光性部材は波長変換部材を含まず、第2透光性部材は波長変換部材を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、発光装置内に載置する発光素子を青色光を発する発光素子に統一し、波長変換部材を用いて異なる色を発光させているため、特性の安定した発光装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る発光装置を光取出し面側から見た概略平面図である。
図2図2は、図1の発光装置を説明するための概略断面図である。
図3図3は、図1の発光装置の第2透光性部材の変形例を示すための概略断面図である。
図4図4は、第2実施形態に係る発光装置を光取出し面側から見た概略平面図である。
図5図5は、図4の発光装置を説明するための概略断面図である。
図6図6は、第3実施形態に係る発光装置を光取出し面側から見た概略平面図である。
図7図7は、第4実施形態に係る発光装置を光取出し面側から見た概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を説明する。ただし、以下に示す形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明を以下に限定するものではない。また、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするために誇張していることがある。さらに、同一の名称、符号については、原則として同一もしくは同質の部材を示しており、重複した説明は適宜省略する。なお、各部材については少なくとも1つあればよく、複数個あってもよいものとする。
【0010】
<第1実施形態>
図1に、本実施形態に係る発光装置100を光取出し面(上面)側から見た概略平面図を示す。また、図2図1のX−Xにおける概略断面図である。発光装置100は、基体10と、基体10上に配置される第1発光素子21及び第2発光素子22と、第1発光素子21の上面に設けられた第1透光性部材31と、第2発光素子22の上面に設けられた第2透光性部材32と、第1及び第2発光素子の側面並びに第1及び第2透光性部材の側面を被覆する遮光部材40と、を有する。特に、第1及び第2発光素子は青色光を発する発光素子であり、第1透光性部材31は波長変換部材を含まず、第2透光性部材32は波長変換部材を含む。
【0011】
本実施形態では、発光装置100内に載置される発光素子(第1発光素子21及び第2発光素子22)を青色光を発する発光素子で統一し、波長変換部材を含む透光性部材と波長変換部材を含まない透光性部材とを用いて異なる色を発光させている。これにより、異なる種類の発光素子を用いる必要がないため、寿命特性を各色で揃えることができる。
以下に、発光装置100に用いられる主な部材について詳しく説明する。
【0012】
(基体10)
基体10は、第1発光素子21及び第2発光素子22を載置するための部材であり、基体10上には配線が形成されている。第1発光素子21及び第2発光素子22は、配線に対して直接的に配置されてもよいし、何らかの部材を介して間接的に配置されてもよい。基体10の形状は特に限定されないが、好ましくは、板状体とすることができる。
【0013】
基体10としては、例えば、セラミックス(Al、AlNなど)、あるいはフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、BT樹脂(bismaleimide triazine resin)、ポリフタルアミド(PPA)樹脂などを用いることができる。発光装置100では、セラミックスを用いており、外部からの電力を供給するために各色につき一対の電極が備えられている。
【0014】
図1では上面視において正方形で示しているが、基体10の形状は、例えば長方形とすることもできる。また、基体10の外形(つまり、発光装置100の外形)は、例えば、一辺が5mm以下、好ましくは3.5mm以下とすることができる。こうすることで、基体10を別の部材に実装する際に生じる半田のクラック発生を抑制することができる。なお、ここでは一例を示したのみであり、この大きさに限定されないことは言うまでもない。
【0015】
(第1発光素子21及び第2発光素子22)
第1発光素子21及び第2発光素子22は青色に発する発光素子(以下、青色発光素子という。)であり、基体上に載置されている。青色発光素子としては、青色領域(430nm〜490nm)にピーク波長を有するGaN系のLEDを用いることができる。こうすることで、素子間における特性のばらつきをより低減し、安定した特性を得ることができる。
【0016】
第1発光素子21及び第2発光素子22としてはサファイア基板などの透光性の成長基板を備えるものを用いてもよいし、成長基板を剥離し半導体層が露出しているものを用いてもよい。各発光素子は、フリップチップ実装で基体に載置するのが好ましい。発光装置100においては、バンプにより基体と電気的に接続されているが、他の例としてAuSnペースト、半田ペースト、異方性導電層等の導電部材を用いて接続することもできる。
【0017】
(第1透光性部材31及び第2透光性部材32)
第1透光性部材31は第1発光素子21の上面に、第2透光性部材32は第2発光素子22の上面にそれぞれ設けられている。図1においては、各発光素子が形成されている領域を点線で示している。各発光素子の上面は、各発光素子が成長基板を備える場合は成長基板で構成され、各発光素子が成長基板を剥離している場合は半導体層で構成される。後者の場合は、半導体層に直接透光性部材が接合されることとなる。各透光性部材(第1透光性部材31及び第2透光性部材32)と各発光素子(第1発光素子21及び第2発光素子22)とは、圧着、焼結、接着剤による接着等公知の方法により接続することができる。各透光性部材の形状は特に限定されないが、好ましくは板状体とする。
【0018】
第1透光性部材31と第2透光性部材32とは、0.2mm以上間隔を置いて配置するのが好ましい。間隔を一定以上とすることで、ある発光素子から出射された光が、遮光部材40を通過してその素子の上面に接続された透光性部材以外の透光性部材に入射して混色するのを防止することができる。透光性部材間の間隔は広い方が良いが、広すぎると発光装置の大きさが大きくなるので、混色を防止する程度の間隔をあけておけば良い。
【0019】
第1透光性部材31は、波長変換部材を含まない部材である。つまり、第1透光性部材31においては、第1発光素子21からの光(青色光)の波長を変えることなく外部へと放出する。第1発光素子21の上面に第1透光性部材31を載置することにより、第1透光性部材31の上面の高さと第2透光性部材32の上面と高さを揃えることができる。こうすることで、光の出射面の高さが各色で揃い、光が広がりにくくなるため、レンズまたはリフレクタ等の光学部品を大きくする必要がなくなる。また、第1透光性部材31の側方に遮光部材40を形成しやすくなる。なお、本明細書において「波長変換部材を含まない」とは、波長変換部材を全く含まないものはもちろんのこと、波長変換されない程度に波長変換部材を含むもの(不純物程度に波長変換部材を含むもの)も含む。
【0020】
第1透光性部材31としては、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、シリコーン樹脂、変性エポキシ樹脂、変性シリコーン樹脂、ポリアミドなどの耐候性に優れた有機材料、又はガラス、セラミックス等の無機材料を用いることができる。また、第1透光性部材31中には光散乱材を含有させることができる。光散乱材としては、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン等を用いることができる。
【0021】
第1透光性部材31は1つの第1発光素子21の上面に1つの透光性部材を設けることもできるし、複数の第1発光素子21の上面に1つの第1透光性部材を設けることもできる。前者の構成によれば各発光素子の実装傾きを考慮する必要がなくなるため実装が容易となり、後者の構成によれば光を取り出す面積を大きくできるため発光強度を向上させることができる。発光装置100においては1つの第1発光素子21に対して1つの第1透光性部材31を載置している。このとき、第1透光性部材31の下面の面積と第1発光素子21の上面の面積とを同じに形成することもできるが、好ましくは第1発光素子21の上面の面積よりも大きくなるように形成する。これにより、第1透光性部材31を第1発光素子21上に載置する際に、実装が容易となるとともに、光取出し効率も向上する。
【0022】
第2透光性部材32は、第2発光素子22からの光の波長を変換して出射する波長変換部材を含む部材である。第2透光性部材32に含まれる波長変換部材は、第2発光素子22からの光(青色光)により励起され、第2発光素子22の発光波長よりも長い波長(例えば赤色又は緑色)を発光する波長変換部材とすることができる。
【0023】
発光装置100では、第2透光性部材32に含まれる波長変換部材として赤色に発光する蛍光体を用いている。赤色に発光する蛍光体(赤色蛍光体)としては、たとえばSCASN系蛍光体、CASN系蛍光体等の窒化物系蛍光体、KSiF:Mn等のフッ化物系蛍光体等を用いることができる。
【0024】
発光装置100では、図2に示すようにバインダ中に蛍光体を含有したもの(図示せず。)を第2透光性部材32としている。バインダとしては、シリコーン樹脂若しくはエポキシ樹脂からなる有機材料、又は酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化チタン(TiO)、若しくはガラス等の無機材料を用いることができるが、好ましくは無機材料とすることができる。バインダとして無機材料を用いれば、熱や光によりバインダ自体が変色したり変形したりすることを抑制することができる。なお、発光装置100においては、バインダとしてホウ珪酸ガラスを、波長変換部材として第2発光素子22からの光で励起されて赤色を発光する赤色蛍光体(SCASN)を用いている。
【0025】
また、第2透光性部材32の別の形態として、図3に示すように透明板32aの下面に波長変換部材32bを設けて構成することもできる。例えば、蛍光体のみからなる波長変換部材を透明板32aの下面に形成することもできるし、バインダ中に波長変換部材を含有したものを透明板32aの下面に設けることもできる。図3においては、波長変換部材含有のバインダを透明板32aの下面に形成している。
【0026】
図3の第2透光性部材32は、例えばスクリーン印刷法等により透明板32aの下面に形成することができる。透明板32aとしてはガラス等の無機材料を用いることができ、バインダとしてはシリコーン樹脂若しくはエポキシ樹脂からなる有機材料を用いることができる。発光装置100では、透明板32aとしてホウ珪酸ガラスを、バインダとしてシリコーン樹脂を用いている。第2透光性部材32として波長変換部材を含有するものを用いる場合は焼成時の温度を考慮し耐熱性の高い波長変換部材、もしくは焼成温度の低いガラス等を選択する必要があるが、波長変換部材を透明板32aの下面に設けることで耐熱性を考慮することなく蛍光体を選択することが可能となる。
【0027】
また、第2透光性部材32は第1透光性部材31同様に、1つの第2発光素子22の上面に第2透光性部材32を設けることもできるし、複数の第2発光素子22の上面に第2透光性部材32を設けることもできる。つまり1つの第2発光素子22に対して1つの第2透光性部材32を設けることもできるし、複数の第2発光素子22に対して1つの第2透光性部材32を設けることもできる。また、第2透光性部材32の上面の面積は波長変換部材の濃度等に合わせて適宜変更することができ、例えば、第1透光性部材31の上面の面積よりも大きくなるように形成することができる。
【0028】
(遮光部材40)
第1発光素子21及び第2発光素子22の側面並びに第1透光性部材31及び第2透光性部材32の側面は遮光部材40により被覆されている。こうすることで、各発光素子及び各透光性部材の側面へと向かう光(青色光及び波長変換された光)を遮ることができるため、配光が広がらず見切りがよい光とすることができる。また、配光の広がりを抑制できることで、レンズまたはリフレクタ等の光学部品を使用する場合に、光学部品も小さくすることができる。
【0029】
遮光部材40としては、例えば、TiO、Al、ZrO、MgOなどの光反射部材を含有したフェノール樹脂、エポキシ樹脂、BT樹脂、PPA樹脂、またはシリコーン樹脂などの光反射性樹脂等を用いることができる。なお、発光装置100ではTiOを含有したシリコーン樹脂を用いている。
【0030】
遮光部材40は、側面のみならず、第1透光性部材31及び第2透光性部材32の下面の一部も被覆することができる。好ましくは、第1透光性部材31及び第2透光性部材32の下面において第1及び第2発光素子22と接しない領域すべてを被覆する。こうすることで、第1透光性部材31及び第2透光性部材32に入射した光のうち上面で反射して下面へと向かう光も遮光部材40で反射させることができるため、効率よく光を取り出すことができる。
【0031】
また、遮光部材40は第1発光素子21及び第2発光素子22においても同様に下面の一部を被覆することができる。つまり、基体上における第1発光素子21及び第2発光素子22並びに第1透光性部材31及び第2透光性部材32のうち、第1透光性部材31及び第2透光性部材32の上面以外の露出領域全てを被覆することができる。こうすることで、第1及び第2発光素子22の下面へと向かう光の一部を反射させて取り出すことができる。
【0032】
(保護素子)
基体10上には、第1発光素子21及び第2発光素子22の他に保護素子を設けることもできる。保護素子を設けることで、過大な電圧印加による素子破壊や性能劣化から保護することができる。保護素子は特に限定されるものではなく、公知のもののいずれでもよい。保護素子は、遮光部材に埋設して配置することが好ましい。
【0033】
<第2実施形態>
図4に本実施形態に係る発光装置200を光取出し面側から見た概略平面図を示す。また、図5図4のX−X線の概略断面図である。発光装置200は、次に説明する事項以外は、第1実施形態において記載した事項と実質的に同一である。
【0034】
発光装置200では、発光装置100の構成に加えて第3発光素子23及び第3透光性部材33が基体上に設けられており、第3発光素子23及び第3透光性部材33の側面に遮光部材40が設けられている。特に、第2透光性部材32は第2発光素子22からの光により赤色又は緑色のいずれか一方に発光する波長変換部材を含み、第3透光性部材33は第3発光素子23からの光により赤色又は緑色の他の一方に発光する波長変換部材を含んでいる。なお、遮光部材40は第1実施形態において説明した遮光部材40と共通である。また、基体10の形状は上面視において長方形であり、各発光素子が長手方向に一列に配置されている。
【0035】
発光装置200において、第3発光素子23には青色発光素子を用いており、第3透光性部材33に含まれる波長変換部材には緑色に発光する蛍光体(緑色蛍光体)を用いている。なお、第3発光素子23は、第1及び第2発光素子22の構成と同様の構成を採用することができ、緑色蛍光体としては、例えば、クロロシリケート蛍光体やβサイアロン蛍光体等を用いることができる。
【0036】
発光装置200によれば、安定した特性を得ながら、1つの発光装置内から光の3原色(赤色・青色・緑色)を発光させることができる。これにより、光学部品等と組み合わせて使用する際に、光学部品も小型化することができる。
【0037】
<第3実施形態>
図6に本実施形態に係る発光装置300を光取出し面側から見た概略断面図を示す。発光装置300は、次に説明する事項以外は、第1実施形態において記載した事項と実質的に同一である。
【0038】
発光装置300は、発光装置100の構成に加えて第3発光素子23及び第3透光性部材33が基体上に設けられており、第3発光素子23及び第3透光性部材33の側面に遮光部材40が設けられている。特に、第2透光性部材32は第2発光素子22からの光により赤色又は緑色のいずれか一方に発光する波長変換部材を含み、第3透光性部材33は、第3発光素子23からの光と第3透光性部材33に含まれる波長変換部材からの光とにより白色に発光するような波長変換部材を含む。
【0039】
発光装置300は、第3発光素子23には青色発光素子を用いている。第3透光性部材33に含まれる波長変換部材としては、例えば第3発光素子23からの光により黄色に発光する蛍光体(黄色蛍光体)を用いることができる。黄色蛍光体としては、例えば、YAG系蛍光体、LAG系蛍光体を用いることができる。
【0040】
また、第3透光性部材33は、第3発光素子からの光により赤色に発光する波長変換部材と第3発光素子からの光により緑色に発光する波長変換部材とを含んで構成することもできる。緑色に発光する波長変換部材としては緑色蛍光体、赤色に発光する波長変換部材としては赤色蛍光体を用いることができ、例えば、緑色蛍光体としてβサイアロン、赤色蛍光体としてKSiF:Mnを用いることができる。これにより、カラーフィルタと組み合わせた際に発光強度を大きくすることができる。
【0041】
発光装置300の第3発光素子23の上面においては、第3発光素子23からの青色光と第3透光性部材33に含まれる波長変換部材とからの光により白色光が放出されることとなる。このとき、第1発光素子21と第3発光素子23、第2発光素子22と第3発光素子23、のように青色光又は緑色光を白色光と組み合わせて発光させることで、青色光や緑色光の色純度は下がるものの光束を向上させることができる。
【0042】
なお、発光装置300では第2透光性部材32に含まれる波長変換部材として第2発光素子22からの光(青色光)に対して緑色光を発する緑色蛍光体を用いているが、青色光に対して赤色光を発する赤色蛍光体を用いることもできる。
【0043】
<第4実施形態>
図7に本実施形態に係る発光装置400を光取出し面側から見た概略平面図を示す。発光装置400は、次に説明する事項以外は、第3実施形態において記載した事項と実質的に同一である。
【0044】
発光装置400は、発光装置300の構成に加えて、第4発光素子24及び第4透光性部材34が基体上に設けられており、第4発光素子24及び第4透光性部材34の側面に遮光部材40が設けられている。
【0045】
発光装置400は、第4発光素子24には青色発光素子を用いており、第4透光性部材34に含まれる波長変換部材としては第4発光素子24からの光(青色光)により赤色に発光する赤色蛍光体を用いている。
【0046】
これにより、特性が安定しており、高光束で且つ小型化可能な発光装置とすることができる。
【0047】
以上、本発明の第1実施形態から第5実施形態に係る発光装置は、様々な用途に用いることができる。特に好ましくは、例えば、投射型ディスプレイ(ピコプロジェクタ、プロジェクタ他)等に用いることができる。
【符号の説明】
【0048】
100、200、300、400…発光装置
10…基体
21…第1発光素子
22…第2発光素子
23…第3発光素子
24…第4発光素子
31…第1透光性部材
32…第2透光性部材
32a…透明板
32b…波長変換部材
33…第3透光性部材
34…第4透光性部材
40…遮光部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7