特許第6331460号(P6331460)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6331460エポキシ化合物及びその製造方法、エポキシ化合物含有組成物並びに硬化物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6331460
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】エポキシ化合物及びその製造方法、エポキシ化合物含有組成物並びに硬化物
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/68 20060101AFI20180521BHJP
   C08G 59/20 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   C08G59/68
   C08G59/20
【請求項の数】3
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-33183(P2014-33183)
(22)【出願日】2014年2月24日
(65)【公開番号】特開2015-157907(P2015-157907A)
(43)【公開日】2015年9月3日
【審査請求日】2016年8月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(72)【発明者】
【氏名】戸部 暁文
(72)【発明者】
【氏名】向坂 菜摘
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 明広
【審査官】 藤井 明子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−092158(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/161606(WO,A1)
【文献】 特表平07−503273(JP,A)
【文献】 特開平03−115424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 59/00−59/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子内に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物(A)と、芳香環に結合した水
酸基を2個以上有するフェノール系化合物(B)を下記式(1)で表されるホスフィン系
化合物(C)の存在下に反応させ、エポキシ当量が3,800〜50,000g/当量で
あるエポキシ化合物を得る、エポキシ化合物の製造方法。
【化1】
(上記式(1)中、R〜Rはそれぞれ独立して炭素数1〜10の炭化水素基又は炭素
数1〜10のアルコキシ基であり、x=y=z=1である。)
【請求項2】
前記式(1)において、R〜Rが炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10
のアルコキシ基である、請求項1に記載のエポキシ化合物の製造方法。
【請求項3】
エポキシ化合物(A)1.00モルに対し、フェノール系化合物(B)を0.05〜1
.25モル用い、かつホスフィン系化合物(C)の使用量がエポキシ化合物(A)の使用
量の10〜50,000重量ppmである、請求項1又は2に記載のエポキシ化合物の製
造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ化合物を十分に高分子量化させることが可能であり、かつ得られたエポキシ化合物が他の成分、特に硬化剤と混合した際の貯蔵安定性に優れるエポキシ化合物の製造方法及び該製造方法により得られるエポキシ化合物に関する。また、本発明は、該エポキシ化合物を用いて得られるエポキシ化合物含有組成物及び硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
エポキシ化合物は耐熱性、接着性、耐薬品性、耐水性、機械的強度及び電気特性等に優れていることから、塗料、土木、接着、電気材料用途等の分野で広く使用されている。
【0003】
エポキシ化合物の製造方法としては、一般的に、フェノール系化合物にアルカリの存在下、エピハロヒドリンを反応させるタフィー法(一段法)、エポキシ化合物とフェノール系化合物を触媒の存在下反応させるアドバンス法(二段法)等が知られている。アドバンス法はタフィー法に比べて食塩等の副生成物がほとんど生じないため、合成後に精製することが困難な高分子量エポキシ化合物の製造に適した方法であることが知られている。非特許文献1にはアドバンス法によりエポキシ化合物を製造する際の触媒として、オニウム塩系化合物類、アルカリ性化合物類、リン系化合物類等が使用されることが記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】総説 エポキシ樹脂 第1巻 基礎編I エポキシ樹脂技術協会(2003)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
エポキシ化合物を前述したような塗料、土木、接着、電気材料等の分野で用いる場合、硬化剤を始めとする多材料との混合物として使用することが一般的であるが、本発明者らの詳細な検討によれば、アドバンス法で製造する際に、上記非特許文献1に記載されているようなオニウム塩系化合物類、アルカリ性化合物類を触媒として使用して得られたエポキシ化合物は、他材料と混合した際の貯蔵安定性が不十分となる場合があることが判明した。また、上記非特許文献1にはリン系化合物類としてトリフェニルホスフィンが触媒として使用されることが記載されているが、トリフェニルホスフィンはアドバンス法の触媒としては活性が不十分であり、十分に高分子量化させたエポキシ化合物を得ることが難しいことが判明した。
【0006】
本発明は上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものである。即ち、本発明の課題は、エポキシ化合物とフェノール系化合物とを反応させたときに十分に高分子量化させたエポキシ化合物を得ることが可能であり、かつ得られたエポキシ化合物が他材料との貯蔵安定性に優れるエポキシ化合物の製造方法及び該製造方法により得られるエポキシ化合物、並びに該エポキシ化合物を用いて得られるエポキシ化合物含有組成物及び硬化物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、エポキシ化合物とフェノール系化合物を原料として用いてエポキシ化合物を得る際に、特定のホスフィン系化合物の
存在下で反応させることにより、上記課題を解決し得ることを見出したものであることを見出したものである。即ち、本発明の要旨は以下の[1]〜[10]に存する。
【0008】
[1] エポキシ化合物(A)とフェノール系化合物(B)を下記式(1)で表されるホスフィン系化合物(C)の存在下に反応させるエポキシ化合物の製造方法。
【0009】
【化1】
【0010】
(上記式(1)中、R〜Rはそれぞれ独立して炭素数1〜10の炭化水素基又は炭素数1〜10のアルコキシ基であり、x、y及びzはそれぞれ独立して0〜5の整数であり、かつx、y及びzのうちの少なくとも1つは1〜5の整数である。)
【0011】
[2] 前記式(1)において、R〜Rが炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のアルコキシ基である、[1]に記載のエポキシ化合物の製造方法。
【0012】
[3] 前記式(1)においてx=y=z=1である、[1]又は[2]に記載のエポキシ化合物の製造方法。
【0013】
[4] エポキシ化合物(A)1.00モルに対し、フェノール系化合物(B)を0.05〜1.25モル用い、かつホスフィン系化合物(C)の使用量がエポキシ化合物(A)の使用量の10〜50,000重量ppmである、[1]乃至[3]のいずれか1つに記載のエポキシ化合物の製造方法。
【0014】
[5] [1]乃至[4]のいずれか1つに記載のエポキシ化合物の製造方法により得られる、エポキシ化合物。
【0015】
[6] エポキシ当量が100〜200,000g/当量である、[5]に記載のエポキシ化合物。
【0016】
[7] [5]又は[6]に記載のエポキシ化合物と、硬化剤とを含む、エポキシ化合物含有組成物。
【0017】
[8] 前記エポキシ化合物100重量部に対し、硬化剤0.1〜100重量部を含む、[7]に記載のエポキシ化合物含有組成物。
【0018】
[9] 前記硬化剤が、多官能フェノール類、ポリイソシアネート系化合物、アミン系化合物、酸無水物系化合物、イミダゾール系化合物、アミド系化合物、カチオン重合開始剤及び有機ホスフィン類からなる群のうちの少なくとも1つである、[7]又は[8]に記載のエポキシ化合物含有組成物。
【0019】
[10] [7]乃至[9]のいずれか1つに記載のエポキシ化合物含有組成物を硬化させてなる、硬化物。
【発明の効果】
【0020】
本発明の製造方法は、十分に高分子量化させたエポキシ化合物を得ることが可能であり、かつ得られたエポキシ化合物は、他の成分、特に硬化剤を配合した際の貯蔵安定性に優れたものである。このことから、本発明のエポキシ化合物の製造方法により得られるエポキシ化合物、及びそれを配合したエポキシ化合物含有組成物は、塗料、電気・電子材料、接着剤、炭素繊維強化樹脂(CFRP)等の分野において好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
〔エポキシ化合物の製造方法〕
本発明のエポキシ化合物の製造方法は、エポキシ化合物(A)とフェノール系化合物(B)を下記式(1)で表されるホスフィン系化合物(C)の存在下に反応させるものである。
【0022】
【化2】
【0023】
(上記式(1)中、R〜Rはそれぞれ独立して炭素数1〜10の炭化水素基又は炭素数1〜10のアルコキシ基であり、x、y及びzはそれぞれ独立して0〜5の整数であり、かつx、y及びzのうちの少なくとも1つは1〜5の整数である。)
【0024】
なお、本発明において、本発明のエポキシ化合物の製造方法を「本発明の製造方法」と称することがある。また、本発明のエポキシ化合物の製造方法により得られるエポキシ化合物を「本発明のエポキシ化合物」と称することがある。
【0025】
本発明のエポキシ化合物は、他の成分、特に硬化剤と配合したときに、貯蔵安定性に顕著に優れるという効果を奏する。これは、本発明において使用するホスフィン系化合物(C)が酸化されやすく、反応終了後には速やかに失活するためであると考えられる。また、本発明において使用するホスフィン系化合物(C)は、トリフェニルホスフィンと比較してアドバンス法での活性が高く、十分に高分子量化したエポキシ化合物を得ることができる。これはホスフィン系化合物(C)のベンゼン環に炭素数1〜10の炭化水素基又は炭素数1〜10のアルコキシ基を少なくとも1つ置換しており、この置換基によりホスフィン系化合物(C)中のリン原子付近の電子密度が高められ、触媒活性が高くなるためであると考えられる。
【0026】
[エポキシ化合物(A)]本発明の製造方法において、原料として用いるエポキシ化合物(A)は、分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物であればどのようなものでもよく、2官能エポキシ化合物と多官能エポキシ化合物(本発明において、「多官能エポキシ化合物」とは、3官能以上のエポキシ化合物を意味する。)が挙げられる。
【0027】
2官能エポキシ化合物としては例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールEジグリシジルエーテル、ビスフェノールZジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ビスフェノールADジグリシジルエーテル、ビスフェノールアセトフェノンジグリシジルエーテル、ビスフェノールトリメチルシクロヘキサンジグリシジルエーテル、ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテル、テトラメチルビスフェノールAジグリシジルエーテル、テトラメチルビスフェノールFジグリシジルエーテル、テトラ−t−ブチルビスフェノールAジ
グリシジルエーテル、テトラメチルビスフェノールSジグリシジルエーテル等のビスフェノール系ジグリシジルエーテル類;ビフェノールジグリシジルエーテル、テトラメチルビフェノールジグリシジルエーテル、ジメチルビフェノールジグリシジルエーテル、テトラ−t−ブチルビフェノールジグリシジルエーテル等のビフェノール系ジグリシジルエーテル類;ハイドロキノンジグリシジルエーテル、メチルハイドロキノンジグリシジルエーテル、ジブチルハイドロキノンジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、メチルレゾルシンジグリシジルエーテル等のベンゼンジオール系ジグリシジルエーテル類;ジヒドロアントラハイドロキノンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシジフェニルエーテルジグリシジルエーテル、チオジフェノールジグリシジルエーテル、ジヒドロキシナフタレンジグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0028】
2官能エポキシ化合物としては更に、以上に挙げたエポキシ化合物の芳香環に水素を添加したエポキシ化合物;アジピン酸、コハク酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、ダイマー酸等の種々のカルボン酸類と、エピハロヒドリンとから製造されるエポキシ化合物;ジアミノジフェニルメタン、アミノフェノール、キシレンジアミン等の種々のアミン化合物と、エピハロヒドリンとから製造されるエポキシ化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,5−ペンタンジオールジグリシジルエーテル、ポリペンタメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリヘキサメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,7−ヘプタンジオールジグリシジルエーテル、ポリヘプタメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,8−オクタンジオールジグリシジルエーテル、1,10−デカンジオールジグリシジルエーテル、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールジグリシジルエーテル等の鎖状構造のみからなる(ポリ)アルキレングリコールジグリシジルエーテル;1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル等の環状構造を有するアルキレングリコールジグリシジルエーテル等も挙げられる。
【0029】
多官能エポキシ化合物としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノール変性キシレン型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、テトラフェノールエタン型エポキシ樹脂や、これら種々のフェノール類と、ヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザール等の種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂類、重質油又はピッチ類とフェノール類とホルムアルデヒド類との共縮合樹脂等の各種のフェノール系化合物等を使用したエポキシ樹脂等が挙げられる。
【0030】
以上に挙げたエポキシ化合物の中でも、本発明の製造方法が特に有効なのは、エポキシ化合物(A)とフェノール系化合物(B)との反応時にゲル化を抑制しやすいという観点から、2官能エポキシ化合物である。また、以上に挙げたエポキシ化合物(A)は1種のみでも複数種を組み合わせて使用することもできる。
【0031】
[フェノール系化合物(B)]本発明の製造方法において、原料として用いるフェノール化合物(B)としては、芳香環に結合した水酸基を2個以上有する化合物であればどのような化合物であってもよい。
【0032】
フェノール系化合物(B)としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、
ビスフェノールE、ビスフェノールZ、ビスフェノールS、ビスフェノールAD、ビスフェノールアセトフェノン、ビスフェノールトリメチルシクロヘキサン、ビスフェノールフルオレン、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラ−t−ブチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールS等のビスフェノール類;ビフェノール、テトラメチルビフェノール、ジメチルビフェノール、テトラ−t−ブチルビフェノール等のビフェノール類;ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ジブチルハイドロキノン、レゾルシン、メチルレゾルシン等のベンゼンジオール類(ここで、「ベンゼンジオール類」とは、1個のベンゼン環を有する化合物であって、当該ベンゼン環に2個の水酸基が直接結合した化合物である。);ジヒドロアントラハイドロキノン等のジヒドロアントラハイドロキノン類;ジヒドロキシジフェニルエーテル等のジヒドロキシジフェニルエーテル類;チオジフェノール等のチオジフェノール類;ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類;ジヒドロキシスチルベン等のジヒドロキシスチルベン類;フェノールノボラック樹脂類、クレゾールノボラック樹脂類、ビスフェノールAノボラック樹脂等のビスフェノール系ノボラック樹脂類;ナフトールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、テルペンフェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、フェノールビフェニレン樹脂、フェノール変性キシレン樹脂等の種々のフェノール樹脂類や、これらの種々のフェノール類と、ヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザール等の種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂類;重質油又はピッチ類とフェノール類とホルムアルデヒド類との共縮合樹脂等の各種のフェノール系化合物等が挙げられる。以上に挙げたフェノール化合物(B)は、1種のみでも複数種を組み合わせて使用することもできる。
【0033】
[エポキシ化合物(A)とフェノール化合物(B)の使用量]
本発明に使用するフェノール化合物(B)の使用量は、エポキシ化合物(A)1.00モルに対し、0.05モル以上であることが好ましく、0.10モル以上であることがより好ましく、0.15モル以上であることが更に好ましく、0.20モル以上であることが特に好ましい。一方、本発明に使用するフェノール化合物(B)の使用量は、エポキシ化合物(A)1.00モルに対し、1.25モル以下であることが望ましく、1.20モル以下であることが好ましく、モル1.15以下であることが更に好ましく、1.10モル以下であることが特に好ましい。使用するフェノール化合物(B)の配合量が上記下限値以上であると分子量伸長の点で好ましく、特に、この範囲において、低分子量のエポキシ化合物を得たい場合にはフェノール化合物の量を少なくし、高分子量のエポキシ化合物を得たい場合にはフェノール化合物の量を多くすればよい。一方、上記上限値以下であると硬化性が良好なエポキシ化合物が得られ易いために好ましい。
【0034】
[ホスフィン系化合物(C)]
本発明に用いるホスフィン系化合物(C)は前記式(1)で表される化合物である。ホスフィン系化合物(C)は、エポキシ化合物(A)とフェノール系化合物(B)との反応における触媒として作用する。
【0035】
前記式(1)中、R〜Rはそれぞれ独立して炭素数1〜10の炭化水素基又は炭素数1〜10のアルコキシ基であり、R〜Rが炭素数1〜10の炭化水素基である場合、該炭化水素基は直鎖状構造であっても、分岐鎖状構造であっても、また、環状構造であってもよい。R〜Rは、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基であることがより好ましい。また、R〜Rの置換位置は特に制限されないが、式(1)中の3個の芳香環のそれぞれにおいて、リン原子と結合した位置を1位としたときに、4位の位置に置換していることが好ましい。
【0036】
また、前記式(1)中、x、y及びzはそれぞれ独立して0〜5の整数であり、かつx
、y及びzのうちの少なくとも1つは1〜5の整数である。x、y及びzのうちの少なくとも1つは、4以下の整数であることが好ましく、3以下の整数であることがより好ましく、1であることが最も好ましい。また、x、y及びzは同じ値であることが好ましい。
【0037】
ホスフィン系化合物(C)としては、例えば、トリ−o−トリルホスフィン、トリ−m−トリルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、トリ−2,4−キシリルホスフィン、
トリ−2,5−キシリルホスフィン、トリ−3,5−キシリルホスフィン、トリス(p−tert−ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(p−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(p−tert−ブトキシフェニル)ホスフィン、トリ(p−n−オクチルフェニル)ホスフィン、トリ(p−n−ノニルフェニル)ホスフィン等が挙げられる。なお、ホスフィン系化合物(C)は、1種のみでも複数種を組み合わせて使用することもできる。
【0038】
本発明に用いるホスフィン系化合物(C)の使用量としては、エポキシ化合物(A)の配合量に対して10重量ppm以上であることが好ましく、50重量ppm以上であることがより好ましく、100重量ppm以上であることが特に好ましい。一方、本発明に使用するホスフィン系化合物(C)の配合量としては、エポキシ化合物(A)の配合量に対して50,000重量ppm以下であることが好ましく、20,000重量ppm以下であることがより好ましく、10,000重量ppm以下であることが更に好ましく、5,000重量ppm以下であることが特に好ましい。使用するホスフィン系化合物(C)の配合量が上記下限値以上であると分子量伸長の点、貯蔵安定性が良好となり易い点で好ましく、上記上限値以下であると貯蔵安定性が良好となり易い点で好ましい。
【0039】
本発明に使用するホスフィン系化合物(C)は、そのまま原料と混合して用いてもよいが、予め溶媒で希釈してから用いることもできる。その溶媒としては、エポキシ化合物(A)、フェノール化合物(B)等の原料を溶解するものであれば、どのようなものでもよいが、通常は有機溶媒であり、例えば、芳香族系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、グリコールエーテル系溶媒等が挙げられる。
【0040】
芳香族系溶媒の具体例としては例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。ケトン系溶媒としては例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−オクタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、アセチルアセトン等が挙げられる。アミド系溶媒は例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン等が挙げられる。グリコールエーテル系溶媒としては例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。以上に挙げた有機溶媒は1種のみを用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0041】
[その他の触媒]
本発明において、ホスフィン系化合物(C)と共に、その他の触媒を組み合わせて用いてもよい。その他の触媒としては、通常、アドバンス法の触媒として用いられるものであれば特に制限されないが、例えば、アルカリ金属化合物、ホスフィン系化合物(C)以外の有機リン化合物、第3級アミン、第4級アンモニウム塩、環状アミン類、イミダゾール
類等が挙げられる。
【0042】
アルカリ金属化合物の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等のアルカリ金属アルコキシド;アルカリ金属フェノキシド、水素化ナトリウム、水素化リチウム等のアルカリ金属の水素化物;酢酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム等の有機酸のアルカリ金属塩等が挙げられる。
【0043】
ホスフィン系化合物(C)以外の有機リン化合物の具体例としては、トリフェニルホスフィン、テトラメチルホスホニウムブロマイド、テトラメチルホスホニウムアイオダイド、テトラメチルホスホニウムハイドロオキサイド、トリメチルシクロヘキシルホスホニウムクロライド、トリメチルシクロヘキシルホスホニウムブロマイド、トリメチルベンジルホスホニウムクロライド、トリメチルベンジルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、トリフェニルメチルホスホニウムブロマイド、トリフェニルメチルホスホニウムアイオダイド、トリフェニルエチルホスホニウムクロライド、トリフェニルエチルホスホニウムブロマイド、トリフェニルエチルホスホニウムアイオダイド、トリフェニルベンジルホスホニウムクロライド、トリフェニルベンジルホスホニウムブロマイド等が挙げられる。
【0044】
第3級アミン類の具体例としては、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリエタノールアミン、ベンジルジメチルアミン等が挙げられる。
【0045】
第4級アンモニウム塩の具体例としては、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、トリエチルメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムアイオダイド、テトラプロピルアンモニウムブロマイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムアイオダイド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、フェニルトリメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
【0046】
環状アミン類の具体例としては、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセン、1,5ジアザビシクロ(4,3,0)−5−ノネン等が挙げられる。イミダゾール類の具体例としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等が挙げられる。
【0047】
以上に挙げたその他の触媒は1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その他の触媒の使用量は通常、エポキシ化合物(A)の使用量の10,000重量ppm以下であり、好ましくは500重量ppm以下であり、より好ましくは25重量ppm以下であり、更に好ましくは1重量ppm以下であり、特に好ましくは0.1重量ppm以下である。
【0048】
以上に挙げたその他の触媒は、ホスフィン系化合物(C)と同様、有機溶媒又は水で希釈してから用いることができる。その有機溶媒としては、原料であるエポキシ化合物(A)とフェノール系化合物(B)を溶解するものであれば、どのようなものでもよいが、具体的にはホスフィン系化合物(C)に用いることのできる溶媒として挙げた有機溶媒と同
様のものを用いることができる。
【0049】
[反応条件]
エポキシ化合物(A)とフェノール化合物(B)との反応は、常圧、加圧、減圧いずれの条件で行うこともできる。また、反応温度は通常、80〜240℃、好ましくは100〜220℃、より好ましくは120〜200℃である。反応温度が上記下限以上であると反応を進行させやすいために好ましい。また、反応温度が上記上限以下であると副反応が進行しにくく、高純度のエポキシ化合物を得る観点から好ましい。
【0050】
反応時間としては特に限定されないが、通常0.5〜24時間であり、好ましくは1〜22時間であり、更に好ましくは1.5〜20時間である。反応時間が上記上限以下であると、生産効率向上の点で好ましく、上記下限以上であると、未反応成分を削減できる点で好ましい。
【0051】
[溶媒]
本発明の製造方法では、その反応工程において、溶媒を用いてもよい。この溶媒としては、原料を溶解するものであれば、どのようなものでもよいが、通常は有機溶媒である。
【0052】
有機溶媒としては例えば、芳香族系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、グリコールエーテル系溶媒等が挙げられる。芳香族系溶媒の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−オクタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、アセチルアセトン等が挙げられる。アミド系溶媒の具体例としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン等が挙げられる。グリコールエーテル系溶媒の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。
【0053】
以上に挙げた溶媒は1種のみを用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、反応途中で高粘性生成物が生じたときは溶媒を更に加えて反応を続けることもできる。
【0054】
[溶剤]
本発明のエポキシ化合物は、反応終了後に溶剤を混合して固形分濃度を調整してもよい。その溶剤としては、通常、エポキシ化合物を溶解するものであれば、どのようなものでもよいが、通常は有機溶剤である。有機溶剤の具体例としては前述の有機溶媒として挙げたものと同様のものを用いることができる。なお、本発明において、「溶媒」と「溶剤」という語は、エポキシ化合物の反応時に用いるものを「溶媒」、反応終了後に用いるものを「溶剤」として用いることとするが、同種のものを用いても、異種のものを用いてもよい。
【0055】
溶剤はエポキシ化合物に対し、固形分濃度が10〜90重量%となるように用いることが好ましい。また、20〜80重量%となるように用いることがより好ましい。
【0056】
[エポキシ当量]
本発明のエポキシ化合物は、エポキシ当量が、100g/eq以上であることが好ましく、200g/eq以上であることがより好ましく、300g/eq以上であることが更に好ましく、500g/eq以上であることが特に好ましい。一方、200,000g/eq以下であることが好ましく、150,000g/eq以下であることがより好ましく、100,000g/eq以下であることが更に好ましく、50,000g/eq以下であることが特に好ましい。エポキシ当量が上記下限値以上であるとエポキシ化合物の可撓性の観点で好ましく、上記上限値以下であると、後述するエポキシ化合物含有組成物を硬化させる際、エポキシ基間の架橋点間密度が高くなり硬化物性を得やすい点で好ましい。なお、本発明において「エポキシ当量」とは、「1当量のエポキシ基を含むエポキシ化合物の質量」と定義され、JIS K7236に準じて測定することができる。
【0057】
〔エポキシ化合物含有組成物〕
本発明のエポキシ化合物含有組成物は、少なくとも前述した本発明のエポキシ化合物と硬化剤とを含むものである。また、本発明のエポキシ化合物含有組成物には、必要に応じて、他のエポキシ化合物、硬化促進剤、その他の成分等を適宜配合することができる。本発明のエポキシ化合物含有組成物は貯蔵安定性に優れるものである。
【0058】
[硬化剤]
本発明のエポキシ化合物含有組成物に用いる硬化剤は、エポキシ化合物のエポキシ基間の架橋反応及び/又は鎖長延長反応に寄与する物質である。なお、本発明においては通常、「硬化促進剤」と呼ばれるものであってもエポキシ化合物のエポキシ基間の架橋反応及び/又は鎖長延長反応に寄与する物質であれば、硬化剤とみなすこととする。
【0059】
本発明のエポキシ化合物含有組成物における硬化剤の含有量は、本発明のエポキシ化合物100重量部に対して好ましくは0.1〜100重量部である。また、より好ましくは80重量部以下であり、更に好ましくは60重量部以下である。
【0060】
また、本発明のエポキシ化合物含有組成物において、後述する他のエポキシ化合物が含まれる場合、硬化剤の含有量は、固形分としての全エポキシ化合物成分100重量部に対して好ましくは0.1〜100重量部である。また、より好ましくは80重量部以下であり、更に好ましくは60重量部以下である。なお、本発明において、「固形分」とは溶媒を除いた成分を意味し、固体のエポキシ化合物のみならず、半固形や粘稠な液状物をも含むものとする。また、「全エポキシ化合物成分」とは、本発明のエポキシ化合物と後述する他のエポキシ化合物との合計を意味する。
【0061】
本発明のエポキシ化合物含有組成物において、硬化剤としては多官能フェノール類、ポリイソシアネート系化合物、アミン系化合物、酸無水物系化合物、イミダゾール系化合物、アミド系化合物、カチオン重合開始剤及び有機ホスフィン類からなる群のうちの少なくとも1つを用いることが好ましい。
【0062】
多官能フェノール類の例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールB、ビスフェノールAD、ビスフェノールZ、テトラブロモビスフェノールA等のビスフェノール類、4,4’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール等のビフェノール類;カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ジヒドロキシナフタレン類;及びこれらの化合物の芳香環に結合した水素原子がハロゲン基、アルキル基、アリール基、エーテル基、エステル基、硫黄、リン、珪素等のヘテロ元素を含む有機置換基等の非妨害性置換基で置換されたもの等が挙げられる。更に、これらのフェノール類やフェノール、クレゾール、アルキルフェノール等の単官能フェノール類とアルデヒド類の重縮合物であるノボラック類、レゾール類等が挙げられる
【0063】
ポリイソシアネート系化合物の具体例としては、トリレンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等のポリイソシアネート化合物が挙げられる。更に、これらのポリイソシアネート化合物と、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、水等の活性水素原子を有する化合物との反応により得られるポリイソシアネート化合物(例えば、ポリイソシアネート化合物のアダクト体、ポリイソシアネート化合物のビュレット体等)、又は前記のポリイソシアネート化合物の3〜5量体(例えば、ポリイソシアネート化合物のイソシアヌレート体等)等を挙げることができる。
【0064】
アミン系化合物の例としては、脂肪族の一級、二級、三級アミン、芳香族の一級、二級、三級アミン、環状アミン、グアニジン類、尿素誘導体等があり、具体的には、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル、メタキシレンジアミン、ジシアンジアミド、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−5−ノネン、ジメチル尿素、グアニル尿素等が挙げられる。
【0065】
酸無水物系化合物の例としては、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水マレイン酸と不飽和化合物の縮合物等が挙げられる。
【0066】
イミダゾール系化合物の例としては、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール等が挙げられる。なお、イミダゾール類は後述する硬化促進剤としての機能も果たすが、本発明においては硬化剤に分類するものとする。
【0067】
アミド系化合物の例としては、ジシアンジアミド及びその誘導体、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
【0068】
カチオン重合開始剤は、熱又は活性エネルギー線照射によってカチオンを発生するものであり、芳香族オニウム塩等が挙げられる。具体的には、SbF−、BF−、AsF−、PF−、CFSO、B(C)4−等のアニオン成分とヨウ素、硫黄、窒素、リン等の原子を含む芳香族カチオン成分とからなる化合物等が挙げられる。特に、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルフォニウム塩が好ましい。
【0069】
有機ホスフィン類としては、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフイン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等が例示され、ホスホニウム塩としては、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート、テトラブチルホスホニウム・テトラブチルボレート等が例示され、テトラフェニルボロン塩としては、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等が例示される。
【0070】
多官能フェノール類、アミン系化合物、酸無水物系化合物を用いる場合は、エポキシ化合物含有組成物中の全エポキシ基に対する硬化剤中の官能基(多官能フェノール類の水酸基、アミン系化合物のアミノ基又は酸無水物系化合物の酸無水物基)の当量比で0.8〜
1.5の範囲となるように用いることが好ましい。イミダゾール系化合物を用いる場合、固形分としての全エポキシ化合物成分100重量部に対して0.5〜10重量部の範囲で用いることが好ましい。アミド系化合物を用いる場合、固形分としての全エポキシ化合物成分とアミド系化合物との合計量に対して0.1〜20重量%の範囲で用いることが好ましい。カチオン重合開始剤を用いる場合、固形分としての全エポキシ化合物成分100重量部に対し、0.01〜15重量部の範囲で用いることが好ましい。有機ホスフィン類を用いる場合、固形分としての全エポキシ化合物成分と有機ホスフィン類との合計量に対して0.1〜20重量%の範囲で用いることが好ましい。
【0071】
本発明のエポキシ化合物含有組成物には以上に挙げた硬化剤の他、例えば、メルカプタン系化合物、有機酸ジヒドラジド、ハロゲン化ホウ素アミン錯体等も用いることができる。これらの硬化剤は1種のみで用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0072】
[他のエポキシ化合物]
本発明のエポキシ化合物含有組成物には、本発明のエポキシ化合物以外のエポキシ化合物(本明細書において、「他のエポキシ化合物」と称することがある。)を用いることができる。なお、他のエポキシ化合物はエポキシ化合物(A)とフェノール系化合物(B)をホスフィン系化合物(C)の存在下で反応させて得られたものでなければ、その化合物の種類は本発明のエポキシ化合物と同種の化合物であってもよい。
【0073】
他のエポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、その他の多官能フェノール型エポキシ樹脂等のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、上記芳香族エポキシ樹脂の芳香環を水素添加したエポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂等のエポキシ化合物が挙げられる。以上に挙げた他のエポキシ化合物は1種のみで用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、貯蔵安定性の観点からは、エポキシ化合物含有組成物を保管する際等には他のエポキシ化合物を含まないか、本発明のエポキシ化合物よりも少量の配合量としておくことが好ましい。
【0074】
[その他の成分]
本発明のエポキシ化合物含有組成物には、以上に挙げた成分以外に、その他の成分を含有することができる。その他の成分としては例えば、硬化促進剤(ただし、前記硬化剤に該当するものを除く。)、カップリング剤、難燃剤、酸化防止剤、光安定剤、可塑剤、反応性希釈剤、充填顔料、無機充填材、有機充填材等が挙げられる。上記したようなその他の成分はエポキシ化合物含有組成物の所望の物性により適宜組み合わせて用いることができる。
【0075】
〔硬化物〕
本発明のエポキシ化合物含有組成物を硬化させることにより、硬化物を得ることができる。ここでいう「硬化」とは熱及び/又は光等によりエポキシ樹脂組成物を意図的に硬化させることを意味するものであり、その硬化の程度は所望の物性、用途により制御すればよい。また、硬化の程度は完全硬化の状態であっても、半硬化の状態であってもよいが、エポキシ基と硬化剤の硬化反応の反応率として通常、5〜95%である。
【0076】
本発明のエポキシ化合物含有組成物を硬化させてなる硬化物とする際のエポキシ化合物含有組成物の硬化方法は、エポキシ化合物含有組成物中の配合成分や配合量によっても異なるが、通常、80〜200℃で60〜180分の加熱条件が挙げられる。この加熱は8
0〜160℃で10〜30分の一次加熱と、一次加熱温度よりも40〜120℃高い120〜200℃で60〜150分の二次加熱との二段処理で行うことが、硬化不良を少なくする点で好ましい。
【0077】
硬化物を半硬化物として製造する際には、加熱等により形状が保てる程度にエポキシ化合物含有組成物の硬化反応を進行させればよい。エポキシ化合物含有組成物が溶剤を含んでいる場合には、加熱、減圧、風乾等の手法で大部分の溶剤を除去するが、半硬化物中に5重量%以下の溶剤を残留させてもよい。
【0078】
〔用途〕
本発明の製造方法によれば、十分に高分子量化させたエポキシ化合物を得ることが可能であり、かつ得られたエポキシ化合物は、他の成分、特に硬化剤を配合した際の貯蔵安定性に優れたものである。このことから、本発明のエポキシ化合物の製造方法により得られるエポキシ化合物、及びそれを配合したエポキシ化合物含有組成物は、塗料、電気・電子材料、接着剤、炭素繊維強化樹脂(CFRP)等の分野において好適に用いることができる。
【実施例】
【0079】
以下、本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
【0080】
〔原料等〕
以下の実施例において用いた原料、触媒、溶媒及び溶剤は以下の通りである。
【0081】
[エポキシ化合物(A)]
A−1:ビスフェノールFジグリシジルエーテル(三菱化学社製 jER(登録商標) 806H、エポキシ当量:170g/eq)
A−2:ビスフェノールAジグリシジルエーテル(三菱化学社製 jER(登録商標) 828US、エポキシ当量:186g/eq)
【0082】
[フェノール系化合物(B)]
B−1:ビスフェノールF(フェノール性水酸基当量:100g/eq)
B−2:ビスフェノールA(フェノール性水酸基当量:114g/eq)
【0083】
[ホスフィン系化合物(C)]
C−1:トリ(p−トリル)ホスフィン(北興化学工業社製、下記式(2)で表される化合物)10重量%トルエン溶液
C−2:トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン(北興化学工業社製、下記式(3)で表される化合物)10重量%トルエン溶液
C−3:トリ(p−tert−ブチルフェニル)ホスフィン(北興化学工業社製、下記式(4)で表される化合物)10重量%トルエン溶液
【0084】
【化3】
【0085】
[その他の触媒(比較例用)]
c−1:テトラメチルアンモニウムヒドロキシド27重量%水溶液(日本特殊化学工業社製)
c−2:テトラメチルアンモニウムクロリド50重量%水溶液(日本特殊化学工業社製)c−3:エチルトリフェニルホスホニウムヨージド(北興化学工業社製)20重量%エタノール溶液
c−4:水酸化ナトリウム10重量%水溶液
c−5:トリフェニルホスフィン(北興化学工業社製)10重量%トルエン溶液
【0086】
[溶媒]
D−1:メチルエチルケトン
D−2:メチルイソブチルケトン
D−3:トルエン
【0087】
[溶剤]
E−1:メチルエチルケトン
E−2:メチルイソブチルケトン
E−3:トルエン
【0088】
〔評価方法〕
以下の実施例・比較例における評価方法は以下の通りである。
【0089】
[エポキシ当量]
実施例1−1〜1−5及び比較例1−1〜1〜5で得られたエポキシ化合物について、JIS K 7236に基づいてエポキシ当量を測定した。
【0090】
[貯蔵安定性]
実施例2−1〜2−5及び比較例2−1〜2〜5で得られたエポキシ化合物含有組成物について、23℃で24時間放置した後の状態を目視で観察し、以下の基準で貯蔵安定性を評価した。
○:ゲル化せずに流動性があるもの
△:ゲル化しなかったが、増粘し、流動性が低下したもの
×:ゲル化し流動性をもたなくなったもの
【0091】
〔エポキシ化合物の製造・評価〕
(実施例1−1)
ビスフェノールFジグリシジルエーテル(A−1)500.0重量部、ビスフェノールF(B−1)223.8重量部、トリ(p−トリル)ホスフィン10重量%トルエン溶液(C−1)2.0重量部を耐圧反応容器に入れ、窒素ガス雰囲気下170℃で6時間、重合反応を行い、目的とするエポキシ化合物を得た。これを723.8重量部のメチルエチルケトン(E−1)中に溶解させた。得られたエポキシ化合物について、エポキシ当量を前記の方法にて評価した。その結果は、表−1に示した通りである。
【0092】
(実施例1−2)
ビスフェノールAジグリシジルエーテル(A−2)500.0重量部、ビスフェノールF(B−1)244.4重量部、トリ(p−トリル)ホスフィン10重量%トルエン溶液(C−1)5.0重量部、トルエン(D−3)39.2重量部を耐圧反応容器に入れ、窒素ガス雰囲気下170℃で6時間、重合反応を行い、目的とするエポキシ化合物を得た。これを46.1重量部のメチルイソブチルケトン(E−2)、46.1重量部のトルエン(E−3)、613.0重量部のメチルエチルケトン(E−1)の混合溶剤中に溶解させた。得られたエポキシ化合物について、エポキシ当量を前記の方法にて評価した。その結果は、表−1に示した通りである。
【0093】
(実施例1−3)
ビスフェノールAジグリシジルエーテル(A−2)1200.0重量部、ビスフェノールF(B−1)586.5重量部、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン10重量%トルエン溶液(C−2)11.0重量部、トルエン(D−3)94.0重量部を耐圧反応容器に入れ、窒素ガス雰囲気下170℃で6時間、重合反応を行い、目的とするエポキシ化合物を得た。これを116.0重量部のメチルイソブチルケトン(E−2)、116.0重量部のトルエン(E−3)、1471.2重量部のメチルエチルケトン(E−3)の混合溶剤中に溶解させた。得られたエポキシ化合物について、エポキシ当量を前記の方法にて評価した。その結果は、表−1に示した通りである。
【0094】
(実施例1−4)
ビスフェノールAジグリシジルエーテル(A−2)400.0重量部、ビスフェノールF(B−1)195.5重量部、トリ(p−tert−ブチルフェニル)ホスフィン10重量%トルエン溶液(C−3)4.0重量部、トルエン(D−3)27.3重量部を耐圧反応容器に入れ、窒素ガス雰囲気下170℃で6時間、重合反応を行い、目的とするエポキシ化合物を得た。これを38.9重量部のメチルイソブチルケトン(E−2)、38.9重量部のトルエン(E−3)、490.4重量部のメチルエチルケトン(E−1)の混合溶剤中に溶解させた。得られたエポキシ化合物について、エポキシ当量を前記の方法にて評価した。その結果は、表−1に示した通りである。
【0095】
(実施例1−5)
ビスフェノールAジグリシジルエーテル(A−2)400.0重量部、ビスフェノールA(B−2)229.1重量部、トリ(p−トリル)ホスフィン10重量%トルエン溶液(C−1)8.0重量部、トルエン(D−3)61.9重量部を耐圧反応容器に入れ、窒素ガス雰囲気下170℃で6時間、重合反応を行い、目的とするエポキシ化合物を得た。これを20.6重量部のメチルイソブチルケトン(E−2)、20.6重量部のトルエン(E−3)、518.1重量部のメチルエチルケトン(E−1)の混合溶剤中に溶解させた。得られたエポキシ化合物について、エポキシ当量を前記の方法にて評価した。その結果は、表−1に示した通りである。
【0096】
(比較例1−1)
ビスフェノールAジグリシジルエーテル(A−2)526.0重量部、ビスフェノールF(B−1)264.3重量部、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド27重量%水溶液(c−1)を3.0重量部、メチルエチルケトン(D−1)197.6重量部を耐圧反応容器に入れ、窒素ガス雰囲気下135℃で6時間、重合反応を行い、目的とするエポキシ化合物を得た。これを597.8重量部のメチルエチルケトン(E−1)中に溶解させた。得られたエポキシ化合物について、エポキシ当量を前記の方法にて評価した。その結果は、表−1に示した通りである。
【0097】
(比較例1−2)
ビスフェノールAジグリシジルエーテル(A−2)500.0重量部、ビスフェノールF(B−1)246.6重量部、テトラメチルアンモニウムクロリド50重量%水溶液(c−2)を1.6重量部、反応溶剤として19.7重量部のメチルイソブチルケトン、トルエン(D−3)19.7重量部を耐圧反応容器に入れ、窒素ガス雰囲気下165℃で6時間、重合反応を行い、目的とするエポキシ化合物を得た。これを46.2重量部のメチルイソブチルケトン(E−2)、46.2重量部のトルエン(E−3)、614.9重量部のメチルエチルケトン(E−1)の混合溶剤中に溶解させた。得られたエポキシ化合物について、エポキシ当量を前記の方法にて評価した。その結果は、表−1に示した通りである。
【0098】
(比較例1−3)
ビスフェノールAジグリシジルエーテル(A−2)500.0重量部、ビスフェノールF(B−1)244.4重量部、エチルトリフェニルホスホニウムヨージド(北興化学工業社製)20重量%エタノール溶液(c−3)2.5重量部、19.6重量部のメチルイソブチルケトン(D−2)、19.6重量部のトルエン(D−3)を耐圧反応容器に入れ、窒素ガス雰囲気下165℃で6時間、重合反応を行い、目的とするエポキシ化合物を得た。これを46.1重量部のメチルイソブチルケトン(E−2)、46.1重量部のトルエン(E−3)、613.0重量部のメチルエチルケトン(E−1)の混合溶剤中に溶解させた。得られたエポキシ化合物について、エポキシ当量を前記の方法にて評価した。その結果は、表−1に示した通りである。
【0099】
(比較例1−4)
ビスフェノールAジグリシジルエーテル(A−2)502.9重量部、ビスフェノールA(B−2)212.6重量部、水酸化ナトリウム10重量%水溶液(c−4)3.0重量部を耐圧反応容器に入れ、窒素ガス雰囲気下165℃で6時間、重合反応を行い、目的とするエポキシ化合物を得た。これを715.5重量部のメチルエチルケトン(E−1)中に溶解させた。得られたエポキシ化合物について、エポキシ当量を前記の方法にて評価した。その結果は、表−1に示した通りである。
【0100】
(比較例1−5)
ビスフェノールAジグリシジルエーテル(A−2)500.0重量部、ビスフェノールF(B−1)244.0重量部、トリフェニルホスフィン10重量%トルエン溶液(c−5)を10.0重量部、39.2重量部のトルエン(D−3)を耐圧反応容器に入れ、窒素ガス雰囲気下165℃で6時間、重合反応を行い、目的とするエポキシ化合物を得た。これを44.8重量部のメチルイソブチルケトン(E−2)、44.8重量部のトルエン(E−3)、609.0重量部のメチルエチルケトン(E−1)の混合溶剤中に溶解させた。得られたエポキシ化合物について、エポキシ当量を前記の方法にて評価した。その結果は、表−1に示した通りである。比較例1−5では用いた触媒種とその使用料以外は実施例1−2と同様の条件で実施したが、実施例1−2と比較してエポキシ当量の値が半分程度であり、十分に高分子量化したエポキシ化合物を得ることができなかった。
【0101】
【表1】
【0102】
(実施例2−1〜2−5、比較例2−1〜2−5)
実施例1−1〜1−5及び比較例1−1〜1−5のそれぞれにおいて得られたエポキシ化合物、及びイソホロンジイソシアネートのアダクト体(三菱化学社製 マイテック(登録商標) NY260A NCO基量:10.8重量%)を表−2に示した通り配合した。得られたエポキシ化合物含有組成物について、前記の方法にて貯蔵安定性を評価した。
その結果を表−2に示す。
【0103】
【表2】
【0104】
[評価結果]
表−1に示したように、実施例1−1と比較例1−4はエポキシ化合物(A)の使用量
に対し、フェノール化合物(B)の使用量を比較的少量として低分子量のエポキシ化合物を得るための条件とした例であり、一方、実施例1−2〜1−5及び比較例1−1〜1−3、1−5はエポキシ化合物(A)の使用量に対し、フェノール化合物(B)の使用量を比較的多量として高分子量のエポキシ化合物を得るための条件とした例である。比較例1−5は実施例1−2に対して触媒種を変更し、更にその使用量を多くした以外は同様の条件であったにも関わらず、得られたエポキシ化合物のエポキシ当量の値が半分程度であった、このことから、触媒としてトリフェニルホスフィンを用いた場合には、エポキシ化合物の高分子量化が十分に進行しないことがわかる。
【0105】
また、表−2からわかるように、比較例1−1〜1−4のそれぞれで得られたエポキシ化合物を用いた実施例2−1〜2−4のエポキシ化合物含有組成物と比較して実施例1−1〜1−5のそれぞれで得られたエポキシ化合物を用いた実施例2−1〜2−5のエポキシ化合物含有組成物は貯蔵安定性に優れたものであったことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明の製造方法によれば、十分に高分子量化させたエポキシ化合物を得ることが可能であり、かつ得られたエポキシ化合物は、他の成分、特に硬化剤を配合した際の貯蔵安定性に優れたものである。このことから、本発明のエポキシ化合物の製造方法により得られるエポキシ化合物、及びそれを配合したエポキシ化合物含有組成物は、塗料、電気・電子材料、接着剤、炭素繊維強化樹脂(CFRP)等の分野において好適に用いることができる。