(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の第1外部接続部のうち両端に設けられた第1外部接続部のそれぞれから、前記両端に設けられた第1外部接続部の外側であって前記第2外部接続部が設けられた側と反対の側において延伸する第3外側延伸部と、
前記複数の第2外部接続部のうち両端に設けられた第2外部接続部のそれぞれから、前記両端に設けられた第2外部接続部の外側であって前記第1外部接続部が設けられた側と反対の側において延伸する第4外側延伸部と、を有する、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の発光素子。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための、発光素子を例示するものであって、本発明は、発光素子を以下のものに特定しない。また、特定的な記載がない限りは、構成部材の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0010】
[第1実施形態]
第1実施形態に係る発光素子100について、
図1及び
図2を参考にしながら説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る発光素子100を示す概略平面図である(
図1では
図2の半導体部10から下の構成は省略)。また、
図2は、本発明の第1実施形態に係る発光素子において、
図1のX−Y断面を示す概略断面図である。
図5は、実施例1に係る発光素子(a)と比較例1に係る発光素子(b)の光取出し面内における輝度分布を色彩輝度計により作成した図である。
【0011】
第1実施形態に係る発光素子100は、半導体部10と、光取出し面となる半導体部10の上面に設けられた上部電極20と、半導体部10の下面に設けられた下部電極30とを備える。上部電極20は、半導体部10の上方から見て、第1直線L1上に並ぶ複数の第1外部接続部21Aと、第1直線L1と平行な第2直線L2上に並ぶ複数の第2外部接続部21Bと、第1外部接続部21Aのそれぞれから、第1直線L1及び第2直線L2と平行であって第1直線L1と第2直線L2に挟まれた領域を2等分する第3直線L3を超えて延伸する第1内側延伸部22aと、第2外部接続部21Bのそれぞれから、第3直線L3を超えて延伸する第2内側延伸部22bと、第1外部接続部21Aのそれぞれから第2外部接続部21Bが設けられた側と反対の側に延伸し、隣り合う2つの第1外部接続部21Aを連結する第1外側延伸部23aと、第2外部接続部21Bのそれぞれから第1外部接続部21Aが設けられた側と反対の側に延伸し、隣り合う2つの第2外部接続部21Bを連結する第2外側延伸部23bとを有することを特徴とする。なお、本実施形態における第1直線L1、第2直線L2、第3直線L3は構成を簡便に説明するための仮想線である。
【0012】
これにより、外部接続部21Aと外部接続部21Bに挟まれた内側の領域、つまり発光素子100の中央領域においては、第1外部接続部21Aと第2外部接続部21Bとのそれぞれから交互に延伸された第1内側延伸部22aと第2内側延伸部22bとが密に配置され、電流密度を高めることができる。さらに、外部接続部21よりも外側の領域においても、隣り合う二つの外部接続部21を連結した外側延伸部23が、電流の拡散しづらい隣り合う二つの外部接続部21間の外側の領域を囲むように配置されることによって電流が拡散しやすくなり、中央領域と同様に電流密度を高めることができる。したがって、光取出し面において、外部接続部21よりも内側の領域と外側の領域との電流密度の差を小さくし均一化することができるため、
図5(a)に示すように光取出し面内の輝度分布の偏りが改善された発光素子100とすることができる。
【0013】
以下、発光素子100を構成する主な構成要素について説明する。
【0014】
(半導体部10)
半導体部10は、発光素子100における発光機能を果たす部材である。半導体部10は、
図2に示すように、正負が一対となった電極である上部電極20と下部電極30とを有し、上部電極20と下部電極30とが半導体部10を挟んで対向する。また、半導体部10の光取出し面は、上面側から見て矩形状に形成されており、本実施形態では一辺が約2mmの略正方形である。半導体部10は、下から第2半導体層13、発光層12、第1半導体層11が順に積層された構造を有する。
【0015】
第1半導体層11は、半導体部10の上側に形成され、上部電極20と接続させるための部位である。また、第2半導体層13は、半導体部10の下側に形成され、下部電極30と接続させるための部位である。第1半導体層11及び第2半導体層13は、互いに異なる極性を有する。本実施形態では、第1半導体層11をn型半導体、第2半導体層をp型半導体とし、上部電極20で拡散された電流が半導体部10を介して下部電極30に流れ込む。
【0016】
第1半導体層11及び第2半導体層13を構成する材料については特に限定されないが、種々のものを用いることができる。本実施形態では第1半導体層11及び第2半導体層13を構成する材料としてIn
xAl
yGa
1−x−yN(0≦x<1、0≦y<1)を用いた。
【0017】
(上部電極20)
上部電極20は、半導体部10に対して電流を供給するための電極である。ここでは、上部電極20は、正負が一対となった電極のうち、負極であるn側電極として機能する。上部電極20は、
図2に示すように半導体部10の上面に形成され、半導体部10を介して下部電極30と対向している。上部電極20は、
図1に示すように、外部接続部21(21A及び21B)と、それぞれの外部接続部21から延伸する内側延伸部22(22a〜22d)及び外側延伸部23(23a〜23d)とを備えている。
【0018】
また、上部電極20は、光取出し面における電流密度の偏りを軽減する観点から、光取出し面の中心に対して回転対称に設けられていることが好ましい。これにより、光取り出し面における上部電極20の配置が対称となり、上部電極20を介して拡散される電流を光取出し面において均一化することができる。その結果、光取出し面における電流密度の偏りを軽減し光取出し面内の輝度分布を改善することができる。
【0019】
(外部接続部21)
外部接続部21は、上部電極20において、外部の電源と電気的に接続された導電性のワイヤ等と接続するための部分である。
図1に示すように、外部接続部21は、半導体部10の上面において、第1直線L1上に並ぶ複数の第1外部接続部21Aと、第1直線L1に平行な第2直線L2上に並ぶ複数の第2外部接続部21Bとを有している。また、本実施形態においては、上部電極20および半導体部10が後述する第1保護層60に被覆されている。このため、外部接続部21の上部は、第1保護膜60から円形状に開口しており、外部接続部21の上面の大部分が外部に露出するように構成されている。そして、このように外部に露出された外部接続部21に導電性のワイヤ等がボンディングされ、外部の電源と電気的に接続される。また、このとき、第1直線L1及び第2直線L2は共に、発光素子100の周縁部の共通する一辺と平行であることが好ましい。
【0020】
さらに、外部接続部21は、第1直線L1上又は第2直線L2上において、等間隔に配置されることが好ましい。これにより、隣り合う外部接続部21の距離が等しくなるため、外部接続部21間に拡散される電流の偏りを抑制することができ、光取出し面内における外部接続部21間の輝度分布の偏りを軽減することができる。
【0021】
また、第1外部接続部21Aと第2外部接続部21Bとは、第3直線L3に対して対称に配置されていることが好ましい。これにより、発光素子100の光取出し面において、電流が供給される外部接続部21の配置が対称となるため、電流密度の偏りをさらに軽減することができる。
【0022】
また、外部に露出された外部接続部21の径(パッド電極の径)は、あまり大きいと外部接続部21による光吸収が起こるため、なるべく小さくすることが好ましい。
【0023】
(内側延伸部22)
内側延伸部22は、上部電極20において、外部接続部21に供給された電流を発光素子100の光取出し面における第1外部接続部21A及び第2外部接続部21Bに挟まれた領域、つまり中央領域に拡散させるための部分である。
図1に示すように、内側延伸部22は、第1外部接続部21Aのそれぞれから、第3直線L3を超えて延伸する第1内側延伸部22aと、第2外部接続部21Bのそれぞれから、第3直線L3を超えて延伸する第2内側延伸部22bとを有している。つまり、発光素子100の中央領域において、第1内側延伸部22a及び第2内側延伸部22bの先端側が第3直線L3方向において互いに対向するように配置され、電極が密に配置されることになる。その結果、それぞれの外部接続部21から内側延伸部22を介して、外部接続部21から距離が離れており電流が拡散されづらい領域を互いに補助し合える電極配置とすることができるため、中央領域に効率良く電流を拡散することができる。また、このとき、第3直線L3は、発光素子100の周縁部の一辺と平行であって、光取出し面の面積を略半分にする線、つまり中心線であることが好ましい。
【0024】
さらに、
図1に示すように、内側延伸部22は、第1外部接続部21Aのそれぞれから、第3直線L3に向かって第3直線L3を超えないように延伸する第3内側延伸部22cと、第2外部接続部21Bのそれぞれから、第3直線L3に向かって第3直線L3を超えないように延伸する第4内側延伸部22dとを設けることができる。これにより、第1内側延伸部22a及び第2内側延伸部22bにおいて、外部接続部21から離れ電流を拡散させづらい延伸部の先端側に、外部接続部21から比較的距離が近く電流を拡散させやすい第3内側延伸部22c及び第4内側延伸部22dを配置することができる。したがって、第3内側延伸部22c及び第4内側延伸部22dを介して、第1内側延伸部22a及び第2内側延伸部22bの先端側周辺に電流を拡散し、電流の拡散が弱くなる領域を補助することができる。その結果、光取出し面に配置された内側延伸部22間の電流密度の偏りをさらに軽減することができる。
【0025】
また、第1内側延伸部22a及び第2内側延伸部22bは、第3内側延伸部22c及び第4内側延伸部22dと接触又は重畳しないように設けることが好ましい。これにより、延伸部が接触又は重畳した際の電流の集中を抑制することができる。
【0026】
内側延伸部22は、外部接続部21から第1直線L1又は第2直線L2に対して傾斜する方向に延伸した後、第1直線L1又は第2直線L2に対して垂直方向に延伸していることが好ましい。これにより、電流が集中しやすい外部接続部21の周辺において、内側延伸部22同士が近接することを抑制し、電流を広範囲に拡散することができる。また、このとき、内側延伸部22は角部を含まない曲線形状で配置されることで、角部による電流の集中を抑制することもできる。
【0027】
さらに、第1内側延伸部22a及び第4内側延伸部22dと、第2内側延伸部22b及び第3内側延伸部22cとは、同じ直線上を延伸し、第1直線L1又は第2直線L2に対して垂直な方向において、互いに対向するように配置されていることが好ましい。これにより、第1内側延伸部22aと第4内側延伸部22dとの電極間、第2内側延伸部22bと第3内側延伸部22cとの電極間は、第1直線L1又は第2直線L2に対して垂直な方向において最短距離に配置されることになる。その結果、それぞれの電極間における電流の拡散を効率良く補助し合える電極配置とすることができる。
【0028】
(外側延伸部23)
外側延伸部23は、上部電極20において、外部接続部21に供給された電流を発光素子100の光取出し面における外部接続部21よりも外側の領域に拡散させるための部分である。
図1に示すように、上部電極20は、第1外部接続部21Aのそれぞれから第2外部接続部21Bが設けられた側と反対の側に延伸し、隣り合う2つの第1外部接続部21Aを連結する第1外側延伸部23aと、第2外部接続部21Bのそれぞれから第1外部接続部21Aが設けられた側と反対の側に延伸し、隣り合う2つの第2外部接続部21Bを連結する第2外側延伸部23bとを有している。つまり、1つの外部接続部21から外側に延伸しただけでは十分に電流を拡散させづらい外側の領域、特に隣り合う2つの外部接続部21間の外側の領域を、それぞれの外部接続部21から電流を補助し合う第2外側延伸部23bが囲むように配置することができる。その結果、前記した内側延伸部22と同様に光取出し面における電流密度を高めることができる。
【0029】
さらに、外側延伸部23は、複数の第1外部接続部21Aのうち両端に設けられた第1外部接続部21Aのそれぞれから、両端に設けられた第1外部接続部21Aの外側であって第2外部接続部21Bが設けられた側と反対の側において延伸する第3外側延伸部23cと、複数の第2外部接続部21Bのうち両端に設けられた第2外部接続部21Bのそれぞれから、両端に設けられた第2外部接続部21Bの外側であって第1外部接続部21Aが設けられた側と反対の側において延伸する第4外側延伸部23dとを有することができる。これにより、両端の外部接続部21A,21Bから距離が離れており電流が拡散しづらい半導体部10上面の角部に、第3外側延伸部23c及び第4外側延伸部23dが配置されて、外部接続部21からの電流を効率良く拡散することができる。
【0030】
また、第1外側延伸部23a及び第2外側延伸部23bが、第1外部接続部21A及び第2外部接続部21Bの近傍で連結された場合、供給された電流が第1外部接続部21A及び第2外部接続部21Bの周辺に集中してしまう。このため、第1外側延伸部23a及び第2外側延伸部23bは、発光素子100の周縁部付近を通過するように配置されることが好ましい。これにより、第1外部接続部21A及び第2外部接続部21Bの周辺で電流が必要以上に集中してしまうことを抑制し、外側延伸部23間の電流密度の偏りをさらに軽減することができる。
【0031】
(下部電極30)
下部電極30は、半導体部10に対して電流を供給するための電極である。ここでは、下部電極30は、発光素子100が備える正負が一対となった電極のうち、正極であるp側電極として機能する。下部電極30は、
図2に示すように、半導体部10の下面に形成され、半導体部10を介して上部電極20と対向している。
【0032】
下部電極30は、
図2に示すように、支持基板40の上部に、接合層50を介して複数形成されている。また、平面視において上部電極20と下部電極30とは形成箇所が重ならないように形成されていることが好ましい。発光素子100は、上部電極20と下部電極30との位置関係をこのような関係とすることで、上部電極20と下部電極30との間を流れる電流が半導体層内を膜厚方向に最短で流れることがなく、電流が面内に広範囲に分散されるようになる。したがって、半導体部10内で比較的均一に発光するようになり、光の取出し効率が向上する。
【0033】
また、下部電極30の面積は上部電極20の面積よりも大きく形成することが好ましい。発光素子100は、上部電極20および下部電極30の面積をこのような関係とすることで、電流注入領域の面積を大きくすることができ、発光効率を向上させることができる。また、発光による熱の放熱性も向上させることができ、発光素子100の放熱性を改善することができる。
【0034】
下部電極30の厚さについては特に限定されないが導電性の観点から、例えば0.05〜0.5μmとすることが好ましい。また、下部電極30の材料としては、Ni,Au,W,Pt,Ti,Al,Ir,Rh,RhO,Ag等を用いることができ、その中でも、反射率の高いRh,Ag,Ni,Auや、下からPt/Ti/Ni/Agの順番に積層した多層膜を用いることが好ましい。
(支持基板40)
【0035】
支持基板40は、電極や半導体部10等の各部材を積層するためのものである。支持基板40は、
図2に示すように矩形平板上に形成されている。支持基板40は、
図2では半導体部10より大きい面積を有するが、半導体部10と同じ面積でもよい。また、支持基板40の厚さは特に限定されないが、放熱性の観点から、例えば50〜500μmとすることが好ましい。
【0036】
支持基板40の材料としては、Si,SiC,AlN、AlSiC、Cu−W、Cu−Mo、Cu−ダイヤ等の金属とセラミックの積層体等を用いることができる。そしてその中でも、安価でチップ化のしやすいSi、Cu−Wを用いることが好ましい。
【0037】
(接合層50)
接合層50は、支持基板40に、下部電極30および第2保護膜70を、接合するとともに支持基板40を介して下部電極30と後記する裏面メタライズ80層とを電気的に接続するための導電性の層である。接合層50は、
図2に示すように、支持基板40の上部に形成されている。
【0038】
接合層50は、
図2に示すように、支持基板40の上面全体に形成される。また、接合層50の厚さは特に限定されないが、接合性および導電性の観点から、例えば3〜4μmとすることが好ましい。また、接合層50の材料としては、少なくともSn,Pb等の低融点材料を含み、Ti,Pt,Au,Sn,Au,Ag,Cu,Bi,Pb,Zn等の金属材料およびこれらの合金を用いることができ、その中でも、下からTiSi2/Pt/Au/AuSn/Au/Ptの順番に積層した多層膜を用いることが好ましい。
【0039】
(第1保護膜60)
第1保護膜60は、上部電極20および半導体部10を、電流のショートや埃・塵の付着等による物理的ダメージから保護するための層である。第1保護膜60は、
図2に示すように、上部電極20および半導体部10の上部に全面的に形成されている。但し、第1保護膜60は、
図2に示すように、第1外部接続部21Aおよび第2外部接続部21Bの開口部の上部において円形状に開口されており、第1外部接続部21Aおよび第2外部接続部21Bの大部分が外部に露出されるように構成される。
【0040】
また、第1保護膜60の材料は限定されず、種々のものを用いることができる。本実施形態ではSiO
2を用いた。第1保護膜60の厚さについては特に限定されないが、例えば0.2〜0.5μmとすることが好ましい。
【0041】
<第2保護膜70>
第2保護膜70は、下部電極30および半導体部10を、電流のショート等による物理的ダメージから保護するための層である。第2保護膜70は、
図2に示すように、接合層50における下部電極30の隣接する領域に形成されている。
【0042】
なお、第2保護膜70の厚さについては特に限定されないが、例えば0.2〜0.5μmとすることが好ましい。また、第2保護膜70の材料としては、Ti,Al,SiO
2,ZrO
2等を用いることができ、その中でも、下からTi/SiO
2の順番に積層した多層膜を用いることが好ましい。
【0043】
なお、第2保護膜70の下面側、すなわち接合層50側に、さらに下からTi/Ptの順番に積層した高反射率の金属膜を形成してもよい。発光素子100は、このように第2保護膜70の下面に金属膜を形成することにより、反射率を高めることができ、光の取出し効率を向上させることができる。
【0044】
<裏面メタライズ層80>
裏面メタライズ層80は、発光素子100において、オーミック電極として機能する層である。裏面メタライズ層80は、
図2に示すように、支持基板40において接合層50が形成されている面の反対側に形成されている。
【0045】
裏面メタライズ層80は、
図2に示すように、支持基板40の下面全体に形成される。また、裏面メタライズ層80の厚さは特に限定されないが、導電性の観点から、例えば0.5〜0.6μmとすることが好ましい。また、裏面メタライズ層80を構成する材料としては、下からAu/AuSn/Pt/Ti/SiO
2の順番に積層した多層膜を用いることが好ましい。
【0046】
[発光素子の製造方法]
以下、本発明の第1実施形態に係る発光素子100の製造方法について、簡単に説明する。発光素子100の製造方法は、半導体部形成工程と、下部電極形成工程と、第2保護膜形成工程と、接合層形成工程と、貼り合わせ工程と、上部電極形成工程と、第1保護膜形成工程と、を含む。以下、各工程について説明する。なお、発光素子100の構成については前記説明した通りであるため、説明を省略する。
【0047】
<半導体部形成工程>
半導体部形成工程は、異種基板上に第1半導体層11、発光層12、及び第2半導体層13からなる半導体部10を形成する工程である。半導体部形成工程では、サファイア等からなる異種基板上の表面に、所定の半導体材料、ドーパント等を含むガスを供給して、第1半導体層11、発光層12及び第2半導体層13の順に形成させる。
【0048】
<下部電極形成工程>
下部電極形成工程は、半導体部10上に下部電極30を形成する工程である。下部電極形成工程では、半導体部10の第2半導体層13上の表面に、レジストを用いて下部電極30に対応したマスクを形成し、スパッタリング等で電極材料を積層することによって、下部電極30を形成する。
【0049】
<第2保護膜形成工程>
第2保護膜形成工程は、半導体部10上に第2保護膜70を形成する工程である。第2保護膜形成工程では、半導体部10の第2導電型半導体層上の表面に、レジストを用いて第2保護膜70に対応したマスクを形成し、スパッタリング等で絶縁膜材料を積層することによって、第2保護膜70を形成する。
【0050】
<接合層形成工程>
接合層形成工程は、半導体部10、上部電極20及び第2保護膜70上に接合層50を形成する工程である。接合層形成工程では、半導体部10、上部電極20及び第2保護膜70上に、スパッタリング等で導電膜材料を積層することによって、接合層50を形成する。
【0051】
<貼り合わせ工程>
貼り合わせ工程は、半導体部10を備える異種基板と支持基板40とを貼り合わせる工程である。貼り合わせ工程では、前記した接合層50が形成された支持基板40を用意し、支持基板40の接合層と異種基板の接合層とを貼り合わせ、互いに接合する。そして、異種基板を除去する。なお、貼り合わせ工程後、支持基板40の厚みを薄くすることで発光素子を小型化することもできる。
【0052】
<上部電極形成工程>
上部電極形成工程は、半導体部10上に上部電極20を形成する工程である。上部電極形成工程では、半導体部10の第1半導体層11上の表面に、レジストを用いて電極に対応したマスクを形成し、スパッタリング等で電極材料を積層することによって、上部電極20を形成する。そして、レジストを除去することによって、上部電極20が形成されていない領域を形成する。なお、図示は省略するが、上部電極20を形成する前に、半導体部10の上面に凹凸(ディンプル加工)部を形成することもできる。
【0053】
<第1保護膜形成工程>
第1保護膜形成工程は、半導体部10上に第1保護膜60を形成する工程である。第1保護膜形成工程では、半導体部10上の表面に、スパッタリング等で絶縁膜材料を積層することによって、第1保護膜60を形成する。そして、第1保護膜60のうち上部電極20の外部接続部21に相当する領域を除去し、外部接続部21を露出させる。
[第2実施形態]
【0054】
第2実施形態に係る発光素子200について、
図3を参照しながら説明する。
図3は、発光素子200を示す平面図である。発光素子200は、発光素子100と比べて、上部電極20の配置のみが異なる構成である。
【0055】
発光素子200の上部電極20は、
図3に示すように外部接続部21(21A、21B)と、内側延伸部22(22a、22b)と、外側延伸部23(23a〜23d)とを備える。発光素子100の上部電極20と比較すると、発光素子200の上部電極20は、第3内側延伸部22c及び第4内側延伸部22dを備えていないこと以外は実質的に発光素子100と同じである。
【0056】
図3に示すように、第1外部接続部21A及び第2外部接続部21Bは、第3直線L3に対して互い違いに配置されている。これにより、第1内側延伸部22a及び第2内側延伸部22bを第1直線L1又は第2直線L2に対して垂直な方向に向かって直線状に延伸しても、内側延伸部22同士が重畳又は接触するおそれがなくなる。したがって、直線状の内側延伸部22により、外部接続部21から比較的離れた領域にも効率良く電流を拡散することができる。
【0057】
また、第1内側延伸部22a及び第2内側延伸部22bは、発光素子100と比較して、第1直線L1又は第2直線L2と平行な方向に対して対向する延伸部が多くなっている。これにより、第1内側延伸部22a及び第2内側延伸部22bが電流の拡散を補助し合える領域が増えるため、光取出し面の中央領域における電流密度の偏りを軽減することができる。
[第3実施形態]
【0058】
第2実施形態に係る発光素子300について、
図4を参照しながら説明する。
図4は、発光素子300を示す平面図である。発光素子300は、発光素子100と比べて、上部電極20の配置のみが異なる構成である。
【0059】
発光素子300の上部電極20は、
図4に示すように、第3内側延伸部22c及び第4内側延伸部22dを備えていないこと以外は実質的に発光素子100と同じである。
【0060】
図4に示すように、それぞれの第1内側延伸部22aは、第2外部接続部21Bの近傍まで延伸し、それぞれの第2内側延伸部22bは第1外部接続部21Aの近傍まで延伸している。これにより、第1内側延伸部22a及び第2内側延伸部22bが、第3直線L3と平行な方向に対して対向している延伸部が多くなっている。したがって、第1内側延伸部22a及び第2内側延伸部22bが電流の拡散を補助し合える領域が増えるため、中央領域における電流密度の偏りを軽減することができる。
【0061】
なお、
図1に記載の発光素子100では、第1外部接続部21A、第2外部接続部21B、第1内側延伸部22a、第2内側延伸部22b、第1外側延伸部23a、第2外側延伸部23bの構成を備えていれば、第3内側延伸部22c、第4内側延伸部22d、第3外側延伸部23c、第4外側延伸部23dが形成されていない状態であっても構わない。さらに、
図1に記載の発光素子100では、第1外部接続部21A、第2外部接続部21B、第1内側延伸部22a、第2内側延伸部22b、第1外側延伸部23a、第2外側延伸部23b、第3内側延伸部22c、第4内側延伸部22dの構成を備えていれば、第3外側延伸部23c、第4外側延伸部23dが形成されていない状態であっても構わない。また、
図1に記載の発光素子100では、第1外部接続部21A、第2外部接続部21B、第1内側延伸部22a、第2内側延伸部22b、第1外側延伸部23a、第2外側延伸部23b、第3外側延伸部23c、第4外側延伸部23dの構成を備えていれば、第3内側延伸部22c、第4内側延伸部22dが形成されていない状態であっても構わない。
そして、
図3,4に記載の発光装置200,300では、第1外部接続部21A、第2外部接続部21B、第1内側延伸部22a、第2内側延伸部22b、第1外側延伸部23a、第2外側延伸部23bの構成を備えていれば、第3外側延伸部23c、第4外側延伸部23dが形成されていない状態であっても構わない。
【実施例】
【0062】
以下、本発明に係る発光素子が奏する効果を確認する実施例について、
図5を参照しながら説明する。本実施例では、各発光素子の光取り出し面における輝度分布を比較した。なお、各発光素子の光取り出し面における輝度分布を示す図は色彩輝度計により作成し、図の左に配置されたカラーバーは、上に進むほど輝度が高いことを示している。
[実施例1]
【0063】
実施例1に係る発光素子は、上部電極20が、外部接続部21(21A及び21B)と、外部接続部21から延伸する内側延伸部22(22a〜22d)と、外側延伸部23(23a〜23d)とを備えており、前記した第1実施形態に係る発光素子100と同様のものである。
【0064】
そのため、光取出し面において、外部接続部21よりも内側の領域と外側の領域との電流密度の差を小さくし均一化することができ、
図5(a)に示すように、光取出し面内の輝度分布の偏りが改善されていることがわかる。
[比較例1]
【0065】
比較例に係る発光素子は、上部電極が、外部接続部と、外部接続部から内側に延伸する延伸部と、外部接続部から外側に延伸する延伸部と、隣り合う外部接続部のそれぞれを直線状に連結する延伸部とを備えているが、第1実施形態における内側延伸部22c,22dと、外側延伸部23a〜23dとを備えていない。
【0066】
そのため、光取り出し面において、外部接続部21よりも内側の領域の電流密度が増加するとともに、外側の領域の電流密度は低下しているため、電流密度の差が大きくなり、
図5(b)に示すように、光取り出し面内において均一な輝度分布を得ることができていないことがわかる。