特許第6331916号(P6331916)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 旭硝子株式会社の特許一覧

特許6331916複層ガラス窓の施工用押え冶具および複層ガラス窓の施工方法
<>
  • 特許6331916-複層ガラス窓の施工用押え冶具および複層ガラス窓の施工方法 図000002
  • 特許6331916-複層ガラス窓の施工用押え冶具および複層ガラス窓の施工方法 図000003
  • 特許6331916-複層ガラス窓の施工用押え冶具および複層ガラス窓の施工方法 図000004
  • 特許6331916-複層ガラス窓の施工用押え冶具および複層ガラス窓の施工方法 図000005
  • 特許6331916-複層ガラス窓の施工用押え冶具および複層ガラス窓の施工方法 図000006
  • 特許6331916-複層ガラス窓の施工用押え冶具および複層ガラス窓の施工方法 図000007
  • 特許6331916-複層ガラス窓の施工用押え冶具および複層ガラス窓の施工方法 図000008
  • 特許6331916-複層ガラス窓の施工用押え冶具および複層ガラス窓の施工方法 図000009
  • 特許6331916-複層ガラス窓の施工用押え冶具および複層ガラス窓の施工方法 図000010
  • 特許6331916-複層ガラス窓の施工用押え冶具および複層ガラス窓の施工方法 図000011
  • 特許6331916-複層ガラス窓の施工用押え冶具および複層ガラス窓の施工方法 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6331916
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】複層ガラス窓の施工用押え冶具および複層ガラス窓の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/673 20060101AFI20180521BHJP
【FI】
   E06B3/673
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-190317(P2014-190317)
(22)【出願日】2014年9月18日
(65)【公開番号】特開2016-61082(P2016-61082A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2017年2月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】旭硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090918
【弁理士】
【氏名又は名称】泉名 謙治
(74)【代理人】
【識別番号】100082887
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 利春
(74)【代理人】
【識別番号】100175237
【弁理士】
【氏名又は名称】加納 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100181331
【弁理士】
【氏名又は名称】金 鎭文
(74)【代理人】
【識別番号】100183597
【弁理士】
【氏名又は名称】比企野 健
(72)【発明者】
【氏名】福田 光夫
(72)【発明者】
【氏名】小島 浩士
(72)【発明者】
【氏名】荒巻 粛
【審査官】 小澤 尚由
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−140766(JP,A)
【文献】 特開平10−072978(JP,A)
【文献】 特開2000−248845(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0199591(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/66−3/673
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状のガラス板と当該ガラス板の4辺の周辺部に沿って取り付けられたスペーサとを有する矩形状のスペーサ付きガラス板を、建造物の開口部に取付けられた既存のガラス窓に、前記スペーサに形成されたシール材を介して取り付けて複層ガラス窓を施工するに際して使用する施工用押え冶具であって、当該施工用押え冶具は、前記した既存のガラス窓の隅部の一辺と対向する第1の台座部と当該隅部の他の一辺と対向する第2の台座部と、前記第1および第2の台座部の既存のガラス窓と対向する面に設けられた吸着部材と、前記第1および第2の台座部を連結するコーナー連結ベースと、前記コーナー連結ベースに設けられ、前記スペーサ付きガラス板を押圧する押え部材と、を有することを特徴とする複層ガラス窓の施工用押え冶具。
【請求項2】
前記押え部材は、スペーサ付きガラス板の隅部と当接して当該隅部を押圧するガラス板押え盤と、当該ガラス板押え盤を上下に高さ調整する調整軸と、を有することを特徴とする請求項1に記載の複層ガラス窓の施工用押え冶具。
【請求項3】
前記した第1の台座部と第2の台座部とは、その長手方向において既存のガラス窓の隅部の二辺と対向すべく、直角状に配されていることを特徴とする請求項1に記載の複層ガラス窓の施工用押え冶具。
【請求項4】
建造物の開口部に取付けられた既存のガラス窓に、当該ガラス窓より小寸法の矩形状のガラス板と当該ガラス板の4辺の周辺部に沿ってシール材を介して取り付けられたスペーサとを有する矩形状のスペーサ付きガラス板を、前記シール材を介して取り付け、次いでスペーサ付きガラス板を既存のガラス窓に対して、吸着部材付きの第1および第2台座部とスペーサ付きガラス板を押圧する押え部材とを有する押え冶具を押し当てて圧着する工程を有する複層ガラス窓の施工方法であって、前記工程は、前記スペーサ付きガラス板が既存のガラス窓に取り付けられた状態で生じるスペーサ付きガラス板と既存のガラス窓との周辺部の隙間に、前記押え冶具のガラス窓の周辺部と対向する吸着部材付きの第1および第2の台座部をそれぞれ嵌挿し、前記吸着部材付き台座部をガラス窓の周辺部に吸着させ、位置決めするとともに、前記押え部材をスペーサ付きガラス板に押し当てて既存のガラス窓とスペーサ付きガラス板との間隔を所定の間隔に圧着する工程を含むことを特徴とする複層ガラス窓の施工方法。
【請求項5】
建造物の開口部に取付けられた既存のガラス窓に、当該ガラス窓より小寸法の矩形状のガラス板と当該ガラス板の4辺の周辺部に沿ってシール材を介して取り付けられたスペーサとを有する矩形状のスペーサ付きガラス板を、前記シール材を介して取り付け、次いで、スペーサ付きガラス板を既存のガラス窓に対して、前記した既存のガラスの隅部の一辺と対向する第1の台座部と当該隅部の他の一辺と対向する第2の台座部と、前記第1および第2の台座部の既存のガラス窓と対向する面に設けられた吸着部材と、前記第1および第2の台座部を連結するコーナー連結ベースと、前記コーナー連結ベースに設けられ、前記スペーサ付きガラス板を押圧する押え部材と、を有する押え冶具を押し当てて圧着する工程を有する複層ガラス窓の施工方法であって、前記工程は、前記スペーサ付きガラス板が既存のガラス窓に取り付けられた状態で生じるスペーサ付きガラス板と既存のガラス窓との周辺部の隙間に、前記押え冶具のガラス窓の周辺部と対向する吸着部材付きの第1および第2の台座部をそれぞれ嵌挿し、前記吸着部材付き台座部をガラス窓の周辺部に吸着させ、位置決めするとともに、前記押え部材のガラス押え盤をスペーサ付きガラス板に押し当て、ガラス押え盤を上下に高さ調整する調整軸により既存のガラス窓とスペーサ付きガラス板との間隔を所定の間隔に圧着する工程を含むことを特徴とする請求項4に記載の複層ガラス窓の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複層ガラス窓の施工用押え冶具および複層ガラス窓の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2枚のガラス板を、スペーサを介して隔置し、中空層が形成されてなる複層ガラスは、断熱性及び防音性に優れており、ビル用、住宅用、その他各種建造物の窓用として広く普及している。
一方、建造物に施工されている既存の単板構成のガラス窓に、新規のガラス板を並設することによって、前記ガラス窓を複層ガラス窓に改築することが、例えば特許文献1に提案されている。既存のガラス窓を複層ガラス窓の一部として利用することにより、新たに複層ガラスを嵌め込む場合に比べ、施工費を削減できるとともに、施工期間の短縮、既存のガラス窓の廃棄が不要、及びサッシの交換が不要という利点がある。
【0003】
複層ガラス窓化のために、新規なガラス板にスペーサを接着したものを既存のガラス窓に取り付ける施工方法は、例えば、一方の側面にブチルゴム(一次シール材)が形成されたスペーサをガラス窓の周縁部にブチルゴムを介して接着し、次いで、前記スペーサの他方の側面に新規のガラス板をブチルゴムによって接着し、次いで、既存のガラス窓と新規のガラス板との間の端縁部の隙間に形状保持のためのシール材(二次シール材)を打設する工程を経る。
しかしながら、前記した既存のガラス窓に新規のガラス板を取り付ける複層ガラス窓の組立方法では、一次シール材であるブチルゴムを、スペーサ付きガラス板と既存のガラス窓との双方に施工現場にて接着するため、施工現場での複層ガラス窓の組立作業に手間がかかるという問題点があった。
【0004】
かかる問題点の解決が図られた複層ガラス窓を施工現場にて容易に組み立てることができるスペーサ付きガラス板及び複層ガラス窓の組立方法が、特許文献2として提案されている。特許文献2に記載の複層ガラス窓の施工方法は、既存の矩形状のガラス窓に、複層ガラス化するためのシール材としてのブチルゴムが塗工されたスペーサを周辺部に有する矩形状のスペーサ付きガラス板を、スペーサを介して配した後、前記ブチルゴムをガラス窓に圧着させることにより、スペーサ付きガラス板を既存のガラス窓に取付けている。その圧着方法としては、スペーサ付きガラス板の表面からスペーサに沿ってローラーを押しつけて走行させることにより行うことが記載されている。一方、作業員が施工現場で、既存のガラス窓にスペーサ付きガラス板を取り付けた後、作業員が手で押すという手法も行なわれていた。
【0005】
ブチルゴムは、ローラーの押し付け圧に対して反発する性質を有しているため、ローラーによる圧着方法では、シール材をガラス窓に確実に圧着することが難しいという問題点が見出された。そこで、特許文献3では、複層ガラス窓化した後、その空気層の空気を吸引し、空気層を減圧しながらシール材を既存のガラス窓を徐々に押圧させていくことにより、シール材を既存のガラス窓に圧着させることが提案されている。
【0006】
しかしながら、特許文献2および特許文献3のいずれの方法も、矩形状のスペーサ付きガラス板を、既存のガラス窓に配してシール材を介して圧着させる際、隅部においてスペーサ付きガラス板の反り返りが発生することがあり、4隅部においてシール材の圧着不良が生じる問題点や、隅部の圧着の安定性のばらつきによる耐久性不良の問題点や、寸法精度の誤差が生じる問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−3647号公報
【特許文献2】特開2012−148966号公報
【特許文献3】特開2012−140766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、矩形状のスペーサ付きガラス板の隅部に位置するシール材を既存のガラス窓に確実に圧着できる複層ガラス窓の施工用押え冶具および複層ガラス窓の施工方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、前記した目的に応じて鋭意検討した結果、下記する(1)〜(5)の構成を採用することにより、前記の目的を達成することを見出し、本発明として提案するに至ったものである。
【0010】
(1)矩形状のガラス板と当該ガラス板の4辺の周辺部に沿って取り付けられたスペーサとを有する矩形状のスペーサ付きガラス板を、建造物の開口部に取付けられた既存のガラス窓に、前記スペーサに形成されたシール材を介して取り付けて複層ガラス窓を施工するに際して使用する施工用押え冶具であって、当該施工用押え冶具は、前記した既存のガラス窓の隅部の一辺と対向する第1の台座部と当該隅部の他の一辺と対向する第2の台座部と、前記第1および第2の台座部の既存のガラス窓と対向する面に設けられた吸着部材と、前記第1および第2の台座部を連結するコーナー連結ベースと、前記コーナー連結ベースに設けられ、前記スペーサ付きガラス板を押圧する押え部材と、を有することを特徴とする複層ガラス窓の施工用押え冶具。
(2)前記押え部材は、スペーサ付きガラス板の隅部と当接して当該隅部を押圧するガラス板押え盤と、当該ガラス板押え盤を上下に高さ調整する調整軸と、を有することを特徴とする上記(1)に記載の複層ガラス窓の施工用押え冶具。
(3)前記した第1の台座部と第2の台座部とは、その長手方向において既存のガラス窓の隅部の二辺と対向すべく、直角状に配されていることを特徴とする上記(1)に記載の複層ガラス窓の施工用押え冶具。
【0011】
(4)建造物の開口部に取付けられた既存のガラス窓に、当該ガラス窓より小寸法の矩形状のガラス板と当該ガラス板の4辺の周辺部に沿ってシール材を介して取り付けられたスペーサとを有する矩形状のスペーサ付きガラス板を、前記シール材を介して取り付け、次いでスペーサ付きガラス板を既存のガラス窓に対して、吸着部材付きの第1および第2台座部とスペーサ付きガラス板を押圧する押え部材とを有する押え冶具を押し当てて圧着する工程を有する複層ガラス窓の施工方法であって、前記工程は、前記スペーサ付きガラス板が既存のガラス窓に取り付けられた状態で生じるスペーサ付きガラス板と既存のガラス窓との周辺部の隙間に、前記押え冶具のガラス窓の周辺部と対向する吸着部材付きの第1および第2の台座部をそれぞれ嵌挿し、吸着部材付き台座部をガラス窓の周辺部に吸着させ、位置決めするとともに、前記押え部材をスペーサ付きガラス板に押し当てて既存のガラス窓とスペーサ付きガラス板との間隔を所定の間隔に圧着する工程を含むことを特徴とする複層ガラス窓の施工方法。
【0012】
(5)建造物の開口部に取付けられた既存のガラス窓に、当該ガラス窓より小寸法の矩形状のガラス板と当該ガラス板の4辺の周辺部に沿ってシール材を介して取り付けられたスペーサとを有する矩形状のスペーサ付きガラス板を、前記シール材を介して取り付け、次いで、スペーサ付きガラス板を既存のガラス窓に対して、前記した既存のガラスの隅部の一辺と対向する第1の台座部と当該隅部の他の一辺と対向する第2の台座部と、前記第1および第2の台座部の既存のガラス窓と対向する面に設けられた吸着部材と、前記第1および第2の台座部を連結するコーナー連結ベースと、前記コーナー連結ベースに設けられ、前記スペーサ付きガラス板を押圧する押え部材と、を有する押え冶具を押し当てて圧着する工程を有する複層ガラス窓の施工方法であって、前記工程は、前記スペーサ付きガラス板が既存のガラス窓に取り付けられた状態で生じるスペーサ付きガラス板と既存のガラス窓との周辺部の隙間に、前記押え冶具のガラス窓の周辺部と対向する吸着部材付きの第1および第2の台座部をそれぞれ嵌挿し、前記吸着部材付き台座部をガラス窓の周辺部に吸着させ、位置決めするとともに、前記押え部材のガラス押え盤をスペーサ付きガラス板に押し当て、ガラス押え盤を上下に高さ調整する調整軸により既存のガラス窓とスペーサ付きガラス板との間隔を所定の間隔に圧着する工程を含むことを特徴とする請求項4に記載の複層ガラス窓の施工方法。


【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、矩形状のガラス板と当該ガラス板の4辺の周辺部に沿って取り付けられたスペーサとを有する矩形状のスペーサ付きガラス板を、建造物の開口部に取付けられた既存のガラス窓に、前記スペーサに形成されたシール材を介して取り付け、次いで圧着して複層ガラス窓を施工する工程において、前記スペーサ付きガラス板が既存のガラス窓に取り付けられた状態で生じるスペーサ付きガラス板と既存のガラス窓との周辺部の隙間を利用し、既存のガラス窓に反力を持たせるような構造を有する押え冶具をスペーサ付きガラス板の隅部に配して、既存のガラス窓に対して押しつけ、圧着することができ、スペーサ付きガラス板と既存のガラス窓との隅部の圧着作業の簡便化と、隅部の圧着の安定化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】既存のガラス窓にスペーサ付きガラス板を組み付ける直前の状態を示した側面断面図。
図2】既存のガラス窓にスペーサ付きガラス板を組み付けた状態を示した側面断面図。
図3】本発明の複層窓ガラスの施工状態の説明図。
図4】既存のガラス窓とスペーサ付きガラス板との寸法関係の説明図。
図5】本発明の一実施形態に係わる本発明の複層ガラス窓の施工の途中の状態を示す概略縦断面図。
図6】本発明の他の実施形態に係わる本発明の複層ガラス窓の施工状態を示す概略縦断面図。
図7】本発明の複層ガラス窓の施工用押え冶具の基本構成を示す概略平面図。
図8図7の冶具の概略側面図。
図9図7の基本構成に基づく複層ガラス窓の施工用押え冶具の図面であり、(a)は、その正面方向から見た斜視図、(b)は、裏面方向から見た斜視図。
図10】本発明の一実施形態に係わる本発明の複層ガラス窓の施工方法を説明するための部分的概略横断面図。
図11】本発明の一実施形態に係わる本発明の複層ガラス窓の施工方法を説明するための部分的概略平面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係わる複層ガラス窓の施工用押え冶具および複層ガラス窓の施工方法の好ましい実施形態について、添付図面に従って説明する。この説明に当たっては、理解を容易にするために、まず複層ガラス窓の施工方法について説明する。
図1、2に示すように、複層ガラス窓を施工する現場にて、既存の矩形状のガラス窓1に矩形状のスペーサ付きガラス板2を取り付けることで複層ガラス窓3が組み立てられる。スペーサ付きガラス板2は、施工性および耐久性を考慮して、通常は室内側面に取付けられる。
【0016】
建造物の開口部に嵌め込まれたガラス窓1は、図3に示されるごとく、通常、その上辺においては、上側の枠体31に嵌め込まれ、シーラント材32によって接着されており、また、下辺においては、ガラス窓1の小口面に対応する部分の所定箇所に配されたセッティングブロック33を介して下側の枠体34に嵌め込まれ、ガラス窓1の下辺においても枠体34にシーラント材35によって接着されている。図示していないが、ガラス窓の左右の縦辺も同様に枠体の縦部に嵌め込まれ、シーラント材によって接着されている。
【0017】
スペーサ付きガラス板2は、ガラス窓1とともに複層ガラス窓を構成するガラス板であり、矩形状のガラス板21と、シール材22と、スペーサ23と、シール材24とを有している。矩形状のガラス板21は、既存の矩形状のガラス窓1のうち枠体4に嵌め込まれた部分を除いた露出の寸法より小さいサイズのガラス板である。より具体的には、図1のように、スペーサ付きガラス板2のガラス窓1への取付けが容易となるように、矩形状のガラス板21の4辺の端面とガラス窓1の枠体4に嵌め込まれた部分の境界線との間隔Pが15mm以上確保されるような、ガラス窓1より小サイズの寸法のガラス板21であるのが好ましい。
【0018】
例えば、矩形状のスペーサ付きガラス板2のガラス板21は、図4のように、施工された既存の矩形状のガラス窓1の内側に納まる小サイズの寸法とし、ガラス窓1の周縁部に間隔L、M、N、Oが形成されるように配される。通常、ガラス窓の周辺部は、建築物の窓の開口部の枠体に所定の呑込み寸法をもって納まるように施工される。従って、枠体から露出したガラス窓1の辺と、対応するガラス板21の辺との間の間隔L、M、N、Oの寸法は、例えば、それぞれ18mm程度となる様に、スペーサ付きガラス板の横寸法は、ガラス窓の横寸法より小さくし、またスペーサ付きガラス板の縦寸法は、ガラス窓の縦寸法より小さくする。なお、図4において、斜線で示したガラス窓1の周辺部分Bは、ガラス窓1の枠体に納まった部分を示し、線Cがガラス窓1の枠体に納まった部分とガラス窓1の透視部分との境界線であり、この境界線の内側が建築物の窓の開口部に施工されたガラス窓の透視有効領域となる。
また、ガラス窓およびスペーサ付きガラス板のそれぞれの板厚としては、ガラス窓1の強度を損なうことなく、複層ガラス窓の軽量化、施工しやすさの面から、スペーサ付きガラス板の板厚は、ガラス窓のガラス板厚と同等または薄い方が好ましい。例えば、スペーサ付きガラス板の板厚は、5〜12mmが実用的である。
【0019】
スペーサ付きガラス板2としては、例えば、ガラス板21の一方の面の周縁部よりも内側であって、枠状のスペーサ23のガラス板21と面する部分の両方の側面に、予めシール材を塗工して形成されたシール材22、24付きのスペーサ付きガラス板2が使用される。あるいは、ガラス板21の一方の面の周縁部よりも内側であって、枠状のスペーサ23の一方の側面が配置される部分に、または枠状のスペーサ23のガラス板21と面する部分の側面に、予めシール材を塗工して形成されたシール材22付きのスペーサ付きガラス板2が使用される。
【0020】
上記したシール材22、24は、複層ガラスにおける一次シール材に該当するものであり、かかるシール材としては、スペーサ23とガラス窓1およびガラス板21との接着力が充分確保され、透湿防止性で、耐久性の高いブチルゴム系のシール材が最適である。
かかるスペーサ付きガラス板は、複層ガラス窓を施工する現場ではなく、別途工場にて生産管理が施された条件下で製造されるのが好ましい。
【0021】
スペーサ付きガラス板2のガラス板21としては、通常、建築用として用いられているフロート板ガラス、普通ガラス板、熱線吸収ガラス板、紫外線吸収ガラス板、熱線反射ガラス板であってもよいが、複層ガラス窓の断熱性および遮熱性の向上のため、ガラス板21のガラス窓1側の面に、Low−E(Low−Emissivity)膜が形成されたLow−Eガラス板(低放射ガラス板)を使用するのが特に好ましい。また、型板ガラス、合わせガラス、線・網入りガラス板、倍強度ガラス、強化ガラス(風冷強化ガラス、化学強化ガラス)や、これらの機能が複合化されたガラス板などを、目的とする要求仕様に応じて適宜使用することができる。また、ガラス板21の取り扱い中に、ガラス板21が破損しないように、ガラス板21の周縁部に面取り加工を施しておくことが好ましい。
【0022】
スペーサ23としては、図1、2、5、6に示されるように、通常の複層ガラスにおいて使用されている断面が略角筒状のアルミニウム製のスペーサが使用される。略角筒状のアルミニウム製のスペーサの場合には、このスペーサの空間部の必要箇所には、複層ガラス窓の結露防止のための乾燥剤26(例えば、シリカゲル等)が充填される。また、略角筒状のアルミニウム製のスペーサの場合には、その空間層27となる側の内面部に、通気性の溝部28を設けることが好ましい。この溝部は、スペーサの空間部と空間層27との間を通気可能にするように形成されたものであり、通気孔を通してスペーサの空間部に充填された乾燥剤により空間層の乾燥状態を維持し、結露を低減できる。
【0023】
上記したスペーサ23は、通常、矩形状のガラス板21に対応した4辺(即ち、下辺側、左辺側、右辺側及び上辺側)を有する枠状となるように、下辺側、左辺側、右辺側及び上辺側の各スペーサのそれぞれが突き合わされる4つの角のコーナーにおいては、コーナーブロックを差し込み、それぞれのスペーサが連結される。
なお、乾燥剤は、例えば、矩形形状の多層ガラスのいずれか一辺のスペーサに充填してもよいし、複数辺のスペーサに充填してもよいし、また、一辺のスペーサの一部に部分的に充填してもよい。
【0024】
(複層ガラス窓の組み立て方法)
複層ガラス窓の組立てを行うに当たっては、別途工場にて製作されたスペーサ付きガラス板2を、工場から複層ガラス窓の施工現場へ搬入する。次に、図1のように、シール材24を介してスペーサ付きガラス板2をガラス窓1に取り付ける。図1は、ガラス窓1に対し、室内側からスペーサ付きガラス板2を取り付ける態様を示した例であるが、ガラス窓1に対し、室外側からスペーサ付きガラス板2を取り付ける態様としてもよい。
スペーサ付きガラス板2のガラス窓1への取り付けに当たっては、ガラス窓1の左右側の辺の所定箇所に位置決め用のガイドブロックを配するとともに、図3のように、スペーサ付きガラス板2の下辺側の所定箇所にセッティングブロック36を配し、スペーサ付きガラス板2をガラス窓1に向かって(すなわち、図3における矢印方向)進行させ、スペーサ付きガラス板2をガラス窓1に対してシール材24を介して圧着する。図示した例においては、セッティングブロック36は、スペーサ付きガラス板2の下辺に間隔をあけて2個配置されている。なお、必要に応じて、左右の側辺側にもセッティングブロックを配してもよい。
【0025】
次いで、ガラス窓1に取り付けたスペーサ付きガラス板2の上下辺と左右辺とを押圧して圧着するとともに、後述する複層ガラス窓の施工用押え冶具を使用して、4つの隅部を同時、あるいは順次押し付けて圧着させる。
なお、スペーサ付きガラス板2をシール材24を介してガラス窓1に取り付けた後、別途用意した押圧密着冶具によってスペーサ付きガラス板2の4辺を同時、あるいは順次押し付けて4辺を圧着させることもできる。
【0026】
必要に応じて、ガラス窓1に対してスペーサ付きガラス板2を取り付け、圧着して複層ガラス窓の組立て体を製造した後、ガラス窓1とスペーサ付きガラス板2との間の空間層27を減圧し、次いで減圧された空間層27にガスを注入してもよい。
また、スペーサ付きガラス板2とガラス窓1とが、シール材24を介して充分圧着しているかどうかの圧着性の確認は、空間層27の空気を吸い出して減圧状態を作り、空間層27の間隔や圧力変化が無いことによって行なうことができる。
【0027】
次に、図5に示すように、スペーサ付きガラス板の4辺近傍であって、スペーサ付きガラス板2の端部のガラス窓1側の間隙部40に二次シール材が充填される。二次シール材としては、ガラスに対する接着性が高いシリコーン系シーラント、又はポリサルファイド系シーラントが使用される。また、二次シール材は染料又は顔料によって暗色系、例えば黒色に着色されているのが意匠上好ましい。更に、二次シール材は、スペーサ付きガラス板の4辺の外側に位置するガラス窓の枠状の面であって、スペーサ付きガラス板側に向いた面にも塗布されているのがより好ましい。なお、図5の(a)は、複層ガラス窓の下辺側部分の縦断面図を示し、図5の(b)は、複層ガラス窓の上辺側部分の縦断面図を示す。
図6は、スペーサ付きガラス板2の端部のガラス窓1側の間隙部40に二次シール材を充填した状態を示した複層ガラス窓の上辺側の概略図面であり、41Aは、スペーサ付きガラス板2の端部のガラス窓1側の間隙部40に充填された二次シール材を示し、41Bは、スペーサ付きガラス板の4辺の外側に位置するガラス窓の枠状の面であって、スペーサ付きガラス板側に向いた面にも塗布された二次シール材を示す。なお、同図は、複層ガラス窓の上辺側を例示した図面であるが、複層ガラス窓の下辺側も左右の側辺側も同様に二次シール材を形成することができる。
【0028】
次に、本発明の複層ガラス窓の施工用押え冶具について、図7〜11を参照して詳説する。
本発明の複層ガラス窓の施工用押え冶具50は、図10に示すように、矩形状のガラス板21と当該ガラス板21の4辺の周辺部に沿って取り付けられたスペーサ23とを有する矩形状のスペーサ付きガラス板2を、建造物の開口部に取付けられた既存のガラス窓1に前記スペーサ23を、シール材を介して取り付け、次いで圧着して複層ガラス窓を施工するに際して使用するものであり、スペーサ付きガラス板2が既存のガラス窓1に取り付ける際に形成されるスペーサ付きガラス板2と枠体71に嵌め込まれた既存のガラス窓1との周辺部の隙間70を利用して用いられる。
上記隙間70は、図10(a)のように、ガラス窓1の周辺部において、ガラス窓1が嵌め込まれた枠体71と、ガラス窓1の室内側の面に取り付けられたスペーサ付きガラス板2の端面との間に形成される。この隙間70は、ガラス窓1とスペーサ付きガラス板2の周辺部にシール材やコーキング材などを打設するのが容易となるように、またスペーサ付きガラス板2の既存のガラス窓1に対する層間変形を吸収するために設ける。この隙間の間隔は、15mm以上確保する。
【0029】
本発明の複層ガラス窓の施工用押え冶具50は、基本的には、図7〜9に示すように、前記した既存のガラス窓の隅部の一辺と対向する第1の台座部51と当該隅部の他の一辺と対向する第2の台座部52と、第1および第2の台座部51、52の既存のガラス窓1と対向する面のそれぞれに設けられた吸着部材53と、第1および第2の台座部51、52を連結するコーナー連結ベース54と、コーナー連結ベース54を介して設けられたスペーサ付きガラス板の隅部を押圧する押え部材55と、を有する。
上記した第1の台座部51と第2の台座部52は、スペーサ付きガラス板2と枠体71に嵌め込まれた既存のガラス窓1との周辺部の隙間70に配され、ガラス窓1の周縁部に対して吸着部材53を介して対向する部分である。第1および第2の台座部51、52は、上記隙間70に嵌まり込み、ガラス窓1によって充分支持され、シール材の圧着に効果的な働きをするように、その長さおよび幅が適宜選択される。その横断面形状は、隙間70の幅と略一致する幅を持った長方形状であるのが好ましい。
【0030】
ガラス窓1およびスペーサ付きガラス板2は、通常矩形であり、隅部の角度は90度であるので、ガラス窓1の隅部に対応できるように、上記した第1の台座部51と第2の台座部52とは、その長手方向において直角状となるように配される。例えば、図11に示すように、第1の台座部51と第2の台座部52とは、ガラス窓1の隅部の2辺LとМとに当接するように、直角状に配されるのが好ましい。
第1および第2の台座部51、52としては、上記した隙間70に支障なく嵌装されるように、その外形形状は、縦断面および横断面が矩形であって、その縦方向の両側面は、ガラス窓1の枠体の外側表面およびガラス板21の端面との間で障害が生じないように、平面状とするのが好ましい。例えば、その外形形状は、長方体である。
第1の台座部51と第2の台座部52とは、ガラス窓1の隅部の先端まで延長されず、第1の台座部51と第2の台座部52のガラス窓1の隅部方向の先端において両者が合致せず、余白部を形成されるように配するのが好ましい。このように余白部を設けることにより、施工用押え冶具50のガラス窓1の隅部への圧着作業時の装着を円滑に行うことができる。
【0031】
第1の台座部51と第2の台座部52とを直角状に配設するために、第1の台座部51と第2の台座部52との間の横方向にコーナー連結ベース54が装着されている。このコーナー連結ベース54は、例えば、そのフランジ部62を利用して第1の台座部51と第2の台座部52のそれぞれの内面側にねじ63によりネジ止めされている。なお、ネジ止めを外すことにより、第1の台座部51と第2の台座部52とを別々に取り離すことができ、別体化された吸着部材付きの第1の台座部51と第2の台座部52をガラス板への吸着装置としても利用できる。
第1および第2の台座部51、52のガラス窓1と対向する面のそれぞれに、かつガラス窓1と当接するように設けられた吸着部材53は、従来から使用されているガラス板用の吸盤ゴムパッドなどが好ましく使用できる。吸着ゴムパッドは、円形状の吸盤を持ったもの、あるいは長方形状の吸盤を持ったものなどが使用できるが、これらに限定されるものではない。また、吸着部材53は、第1の台座部51および第2の台座部52のガラス窓1と対向する底面側の所定個所に1つ、あるいは複数個配される。
吸着部材53には、吸着部材によるガラス窓1の表面への吸着を確実にするために、また吸着を解除するために、上下に昇降する吸着部材用ガイド64を設けることが好ましい。また、複層ガラス窓化への施工時の圧着作業時の吸着を一層確実に維持するために、吸着部材への付勢力機構を付設してもよい。
【0032】
前記押え部材55は、図7〜9に示すように、スペーサ付きガラス板2の隅部と当接して当該隅部を押圧するガラス板押え盤56と、当該ガラス板押え盤56を上下に高さ調整する調整軸57とを有する。
ガラス板押え盤56は、スペーサ付きガラス板2の隅部と当接し、隅部を均一に押圧できるように、円盤状、その他所望の形状の剛性を持った部材であるのが好ましい。また、ガラス板押え盤56の調整軸57の上方側に緩衝部品を介在させてもよい。また、ガラス板押え盤56のスペーサ付きガラス板2との当接面側には、吸着部材を付設してもよい。
調整軸57は、コーナー連結ベース54を貫通して装着されており、調整軸57の中間部においてコーナー連結ベース54に対しナット締めされており、上下の調整ができるようにされている。これにより、複層ガラス窓化への施工時の圧着作業時の圧着操作の最適化を図ることができる。
前記ガラス板押え盤56のスペーサ付きガラス板2の隅部との当接面には、ゴム板等の緩衝部材67を配してもよい。
また、調整軸57の上端には、調整軸57の操作が容易となるようにノブ59を設ける。
また、第1の台座部51と第2の台座部52の上部には、図9(a)のようにクランプレバー60を取り付けてもよい。これにより、第1の台座部51と第2の台座部52の高さ調整が容易に行える。
本発明の複層ガラス窓の施工用押え冶具の第1の台座部、第2の台座部、コーナー連結ベースおよび調整軸の各部材は、剛性の高い金属製材料によって構成するのが好ましい。
【0033】
本発明の複層ガラス窓の施工用押え冶具により複層ガラス窓の施工方法に当たっては、図10に示すように、スペーサ付きガラス板2を既存のガラス窓1に取り付けられた状態で、隅部において形成される、スペーサ付きガラス板2と枠体71に嵌め込まれた既存のガラス窓1との周辺部の隙間70に、複層ガラス窓の施工用押え冶具50の第1の台座部51と第2の台座部52をそれぞれ配する。この際、第1の台座部51と第2の台座部52は、吸着部材53の吸着によって、押え冶具50は、ガラス窓1の隅部にしっかりと位置決めされる。
次いで、押え冶具50のノブ59を回転させて調整軸57を所定の位置まで下降させて緩衝部材67付きのガラス押え盤56をスペーサ付きガラス板2の隅部と当接させ、その位置で押え付け状態を維持してスペーサ付きガラス板2をガラス窓1に圧着する。
なお、複層ガラス窓の施工に当たり、施工された複層ガラス窓の空気層の減圧時に発生する力の反力が、つまり、スペーサ付きガラス板が弾性変形しようとする力の反力(スペーサ付きガラス板の弾性変形を阻止する抗力)が、押え冶具に伝達し、押え冶具がスペーサ付きガラス板の隅部の面をガラス窓に向けて押圧する。よって、本発明の一態様によれば、押え冶具を4台用意し、スペーサ付きガラス板の4つの隅部に配置すれば、スペーサ付きガラス板の4つ隅部の面をガラス窓に同時に押圧でき、効果的である。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の複層ガラス窓の施工用押え冶具によれば、矩形状のガラス板と当該ガラス板の4辺の周辺部に沿って取り付けられたスペーサとを有する矩形状のスペーサ付きガラス板を、建造物の開口部に取付けられた既存のガラス窓に、前記スペーサに形成されたシール材を介して取り付け、次いで圧着して複層ガラス窓を施工する工程において、前記スペーサ付きガラス板が既存のガラス窓に取り付けられた状態で生じるスペーサ付きガラス板と既存のガラス窓との周辺部の隙間に利用し、既存のガラス窓に反力を持たせるような構造を有する前記押え冶具をスペーサ付きガラス板の隅部に配して既存のガラス窓に対して押しつけ、圧着することができ、圧着作業の簡便化と、隅部の圧着の安定化を図ることができ、既存のガラス窓を複層ガラス窓化する際に利用する冶具として有用である。
【符号の説明】
【0035】
1:ガラス窓、 2:スペーサ付きガラス板、 3:複層ガラス窓、 21:スペーサ付きガラス板のガラス板、 22、24:シール材、 23:スペーサ、 26:乾燥剤、 27:空間層、 28:溝部、 31:上辺の枠体、 32、35:シーラント材、 33、36:セッティングブロック、 34:下辺の枠体、 40:間隙部、 50:複層ガラス窓の施工用押え冶具、 51:第1の台座部、 52:第2の台座部、 53:吸着部材、 54:コーナー連結ベース、 55:押え部材、 56:ガラス板押え盤、 57:調整軸、 59:ノブ、 60:クランプレバー、 62:フランジ部、 63:ねじ、 64:吸着部材用ガイド、 67:緩衝部材、 70:間隙、 71:枠体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11