(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アクリル−シリコーン系グラフト共重合体におけるアクリル基及び/又はメタクリル基を有するオルガノポリシロキサン化合物(A)とラジカル重合性モノマー(B)との重合質量比率[(A)/(B)]が30/70〜99/1であることを特徴とする請求項1又は2記載の剥離シート用オルガノポリシロキサン組成物。
硬化皮膜にTesa7475テープを貼り付けて、180°の角度、剥離速度0.3m/分で測定した剥離力が50mN/25mm以下であり、残留接着率が80%以上であることを特徴とする請求項7記載の剥離シート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明についてより詳細に説明する。
[アクリル−シリコーン系グラフト共重合体]
本発明で用いられるアクリル−シリコーン系グラフト共重合体は、アクリル基及び/又はメタクリル基を有する(以下、(メタ)アクリル基ともいう)オルガノポリシロキサン化合物(A)と1分子中に1個のラジカル重合性基を有するラジカル重合性モノマー(B)との共重合体である。
【0013】
該共重合体の重量平均分子量は、トルエンを展開溶媒としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」と略)の測定結果からポリスチレン換算で1,000〜100,000であり、好ましくは1,500〜50,000であり、より好ましくは2,000〜30,000である。重量平均分子量が1,000未満では残留接着率が低下し、100,000を超えるとオルガノポリシロキサン組成物への分散性が低下する。
【0014】
[(A)成分:(メタ)アクリル基を有するオルガノポリシロキサン化合物]
本発明で用いられるオルガノポリシロキサン化合物(A)は、(メタ)アクリル基を有するものである限り特に制限されないが、1分子中に1個のラジカル重合性基を有するラジカル重合性モノマー(B)との共重合のし易さ、オルガノポリシロキサン化合物自体の合成のし易さ、及び本発明の軽剥離添加剤の効果等の点から、下記一般式(1)で表されるラジカル重合性シリコーンマクロモノマーであることが好ましい。
【化3】
【0015】
上記一般式(1)中、R
1は水素原子又はメチル基であり、Xは酸素原子、NH基及びイオウ原子から選ばれる2価の官能基である。
Yは炭素数1〜12、好ましくは1〜10の酸素原子を介在してもよい2価炭化水素基であり、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基(トリメチレン基、メチルエチレン基)、ブチレン基(テトラメチレン基、メチルプロピレン基)、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基等のアルキレン基、フェニレン基等のアリーレン基、これらの基の2種以上の組み合わせ(アルキレン・アリーレン基等)、−CH
2CH
2−O−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−O−CH
2CH
2−O−CH
2CH
2−、−CH(CH
3)CH
2−O−CH(CH
3)CH
2−、−CH
2CH
2CH
2CH
2−O−CH
2CH
2CH
2CH
2−などが挙げられる。Yとしては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が好ましい。
aは0〜1,000、好ましくは0〜500、より好ましくは0〜200の整数である。
【0016】
R
2は同一でも異なってもよい炭素数1〜20、好ましくは1〜18の非置換又は置換の1価炭化水素基、水素原子、水酸基、炭素数1〜10、好ましくは1〜8のアルコキシ基又は下記一般式(2)で表される置換基である。
【0017】
【化4】
(式中、R
3は同一でも異なってもよい炭素数1〜20、好ましくは1〜18の非置換又は置換の1価炭化水素基、水素原子、水酸基又は炭素数1〜10、好ましくは1〜8のアルコキシ基である。bは0〜300の整数である。)
【0018】
ここで、R
2、R
3の炭素数1〜20の非置換又は置換の1価炭化水素基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基又はこれらの基の炭素原子に結合している水素原子の一部又は全部をヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン原子等で置換したヒドロキシプロピル基、シアノエチル基、1−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等が挙げられる。炭素数1〜10のアルコキシ基として、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。R
2として、好ましくはアルキル基又はアリール基、更に好ましくは炭素数1〜5のアルキル基である。R
3として、好ましくはアルキル基又はアリール基、更に好ましくは炭素数1〜5のアルキル基である。
bは0〜300、好ましくは0〜100、より好ましくは0〜50の整数である。
【0019】
(A)成分の具体的な例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中のOMeはメトキシ基、Phはフェニル基を表す。
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
(式中、c,d,e,fは、1≦c≦12、0≦d≦1,000、0≦e≦1,000、0≦d+e≦1,000、0≦f≦300である。)
【0020】
(A)成分として、上記一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサン化合物を用いた場合、側鎖にオルガノポリシロキサン基を有するシリコーングラフトアクリルポリマーが得られる。
【0021】
本発明のアクリル−シリコーン系グラフト共重合体としては、かかるシリコーングラフトアクリルポリマー以外にも、主鎖にオルガノシロキサン基が導入されたものを用いることもできる。このような主鎖にオルガノシロキサン基を導入するために用いられるオルガノポリシロキサン化合物としては、両末端にアクリル基やメタクリル基を有する変性シリコーン(A’)が挙げられる。
【0022】
具体的な例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中のPhはフェニル基を表す。
【化14】
【化15】
(式中、g、h、iは、1≦g≦12、0≦h≦1,000、0≦i≦1,000、0≦h+i≦1,000である。)
【0023】
(A’)成分を用いる場合の配合量は、上記(A)成分に対して1〜50質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましい。少なすぎると主鎖にオルガノシロキサン基を導入することによる軽剥離効果が得られない場合があり、多すぎると組成物への相溶性が低下する場合がある。
【0024】
[(B)成分:ラジカル重合性モノマー]
本発明で用いられるラジカル重合性モノマー(B)は、1種単独でも、2種以上を混合して用いてもよく、ラジカル重合性基を1分子中に1個有する化合物であれば特に制限されない。
(B)成分としては、アクリル、メタクリル、スチリル、ケイ皮酸エステル、ビニル、アリル等のラジカル重合性基を1分子中に1個有する化合物が例示でき、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリフロロプロピル(メタ)アクリレート、パーフロロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のエステル化合物類;グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有ラジカル重合性モノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有ラジカル重合性モノマー;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリブトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリイソプロペノキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン、スチリルトリエトキシシラン、α−メチルスチリルトリメトキシシランなどのラジカル重合性シラン化合物;ポリオキシアルキレン基含有ラジカル重合性モノマー;グリセロール(メタ)アクリレートが例示される。
本発明の軽剥離添加剤によって得られる軽剥離効果、高残留接着率効果を考慮すると、炭素数1〜30のアルキル(メタ)アクリレートを含有することが好ましく、更に好ましくはメチル(メタ)アクリレートを含有することである。
【0025】
[(A)成分/(B)成分比]
(メタ)アクリル基を有するオルガノポリシロキサン化合物(A)と1分子中に1個のラジカル重合性基を有するラジカル重合性モノマー(B)との重合質量比率[(A)/(B)]は30/70〜99/1の範囲内にあることが好ましく、より好ましくは40/60〜97/3、更に好ましくは50/50〜95/5である。重合質量比率[(A)/(B)]が30/70より小さくなるとシリコーン成分が少なくなるため、オルガノポリシロキサン組成物への相溶性が低下し、軽剥離添加剤が分離する場合がある。また99/1より大きくなると軽剥離効果が低下する場合がある。
なお、上記(A’)成分を用いる場合、上記重合質量比率は、[〔(A)+(A’)〕/(B)]として、30/70〜99/1の範囲内にあることが好ましく、40/60〜97/3の範囲内にあることがより好ましく、50/50〜95/5の範囲内にあることが更に好ましい。
【0026】
[アクリル−シリコーン系グラフト共重合体の合成方法]
(メタ)アクリル基を有するオルガノポリシロキサン化合物(A)と1分子中に1個のラジカル重合性基を有するラジカル重合性モノマー(B)とを含むモノマー原料の共重合は、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2−エチルペルオキシヘキサン酸tert−ブチル等の過酸化物類、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ系化合物等の通常のラジカル重合開始剤の存在下に行なわれ、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法の何れの方法を適用することも可能である。
【0027】
本発明においては、これらの重合法のうち、特に溶液重合法が得られるアクリル−シリコーン系グラフト共重合体の分子量を最適範囲に調整することが容易であるため好ましい。この場合に用いられる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル等のエステル類、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等のアルコール類等の1種、又は2種以上の混合物が挙げられる。
【0028】
重合温度は50〜180℃の範囲が好ましく、特に60〜120℃の範囲が好ましい。この温度条件下であれば、1〜10時間程度で重合反応を完結させることができる。共重合溶液から共重合体を取り出す方法は特に制限はないが、溶媒を蒸発させる方法、共重合溶液に水、メタノール等の貧溶媒を添加し、共重合体を析出させ、乾燥させる方法などが挙げられる。
【0029】
[オルガノポリシロキサン組成物]
本発明のアクリル−シリコーン系グラフト共重合体を含有する剥離シート用軽剥離添加剤を使用する剥離シート用オルガノポリシロキサン組成物としては、
(a)1分子中に2個以上のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、
(b)上記アクリル−シリコーン系グラフト共重合体を含有する剥離シート用軽剥離添加剤、
(c)ケイ素原子結合水素原子を1分子中に2個以上含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(d)白金族金属系触媒、
及び必要により、任意成分として
(e)希釈用の溶剤又は水
を含有する組成物が好ましい。
【0030】
[(a):アルケニル基を有するオルガノポリシロキサン]
上記(a)成分は、1分子中に2個以上のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンであり、下記一般式(3)で表される1分子中に2個以上のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンであることが好ましい。
【0032】
上記式(3)中、R
4は同一又は異なってもよい脂肪族不飽和結合を有さない炭素数1〜20の非置換又は置換の1価炭化水素基、
及び炭素数2〜12の酸素原子を介在してもよいアルケニル基から選択される基であり、R
4の少なくとも2個はアルケニル基である。
【0033】
上記炭素数1〜20の1価炭化水素基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、シクロヘキシル基等の好ましくは炭素数5〜8のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等の好ましくは炭素数6〜10のアリール基、ベンジル基等の好ましくは炭素数7〜10のアラルキル基、又はこれらの基の炭素原子に結合している水素原子の一部又は全部をヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン原子等で置換したヒドロキシプロピル基、シアノエチル基、1−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等から選択される炭素数1〜10の1価炭化水素基が挙げられるが、特に剥離性の観点からアルキル基、アリール基であることが好ましく、更にメチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基がより好ましい。
【0034】
炭素数2〜12の酸素原子を介在してもよいアルケニル基としては、−(CH
2)
n−CH=CH
2(nは0又は1〜10の整数)で表される基であることが好ましく、具体的には、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、デセニル基が挙げられる。また、そのメチレン鎖にエーテル結合を含んでもよく、例えば−(CH
2)
2−O−CH
2−CH=CH
2、−(CH
2)
3−O−CH
2−CH=CH
2が挙げられる。これらの中でもビニル基が好ましい。
【0035】
(a)成分のオルガノポリシロキサンの1分子中のアルケニル基は2個以上であり、2個未満では硬化後も未架橋分子が残る可能性が高く、キュアー性が低下するため望ましくない。好ましくはオルガノポリシロキサン100gあたりのアルケニル基含有量として、0.001〜0.5モルであり、より好ましくは0.002〜0.45モルである。この含有量が0.001モル未満ではキュアー性が低下する場合があり、0.5モルを超えると重剥離化する場合がある。
【0036】
上記式(3)中のjは2以上、好ましくは2〜300の整数、kは1以上、好ましくは30〜20,000の整数、lは0以上、好ましくは0〜100の整数、mは0以上、好ましくは0〜100の整数で、30≦j+k+l+m≦20,000であり、好ましくは50≦j+k+l+m≦15,000である。j+k+l+mが30未満では基材への浸み込みが過大になり易いという不具合が生じ、20,000を超えると基材への塗工性が低下し、高速塗工においてはミスト発生が起こる場合がある。
【0037】
また、(a)成分の25℃における粘度は、50mPa・sから30%トルエン溶液での粘度50,000mPa・s、特に50mPa・sから30%トルエン溶液での粘度30,000mPa・sであることが好ましい。なお、粘度は、回転粘度計により測定することができる(以下同じ)。
【0038】
(a)成分の具体的な例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中のMe、Vi、Phはそれぞれメチル基、ビニル基、フェニル基を表す。
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
(式中、o、pは、30≦o≦15,000、1≦p≦15,000、31≦o+p≦15,030である。)
【0039】
[(b):軽剥離添加剤]
(b)成分は、上記アクリル−シリコーン系グラフト共重合体を含有する剥離シート用軽剥離添加剤であり、該成分を配合することによって目的とする非常に軽い剥離力を得ることができ、剥離された粘着シートの残留接着率が高い優れた剥離皮膜を与えることができる。
【0040】
(b)成分の配合量は、(a)成分100質量部に対して0.1〜20質量部であり、より好ましくは0.1〜10質量部である。(b)成分が少なすぎると軽剥離効果が小さくなる場合があり、多すぎると硬化性が低下する場合がある。
【0041】
[(c):オルガノハイドロジェンポリシロキサン]
(c)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1分子中にケイ素原子に結合した水素原子(以下、「SiH基」ともいう)を少なくとも2個有し、このSiH基と(a)成分中のアルケニル基とが付加反応して硬化皮膜が形成されるものである。かかる(c)成分としては、例えば、下記平均組成式(4)で表されるものが挙げられる。
【0042】
R
5qH
rSiO
(4-q-r)/2 (4)
上記式(4)中、R
5は脂肪族不飽和結合を有さない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、シクロヘキシル基等の好ましくは炭素数5〜8のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等の好ましくは炭素数6〜10のアリール基、ベンジル基等の好ましくは炭素数7〜10のアラルキル基又はこれらの基の炭素原子に結合している水素原子の一部又は全部をヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン原子等で置換したヒドロキシプロピル基、シアノエチル基、1−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等が例示される。その中でもアルキル基、アリール基が好ましく、付加反応速度向上の観点からメチル基であることが更に好ましい。
qは0〜2.7、好ましくは0.4〜2.5の正数であり、rは0.1〜3、好ましくは0.1〜2の正数であり、q+rは3以下、特に0.5〜2.7を満たす。
【0043】
上記式(4)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンの例としては、R
5HSiO
2/2単位(R
5は上記と同じ、以下同じ)、HSiO
3/2単位、及びR
52HSiO
1/2単位の少なくとも1種を有し、場合により更にR
52SiO
2/2単位、R
5SiO
3/2単位、及びR
53SiO
1/2単位の少なくとも1種を含んでなるポリマー又はコポリマーが例示されるが、R
5HSiO
2/2単位又はR
52HSiO
1/2単位を合計して1分子中に少なくとも2個、好ましくは10〜100個有するものであることが好ましい。また、SiO
4/2単位を、本発明の効果が得られる範囲で含有してもよい。
なお、SiH基の含有量は、オルガノポリシロキサン中0.1〜3モル/100g、特に0.2〜2モル/100gであることが好ましい。
これは直鎖状、環状のいずれであってもよい。
【0044】
(c)成分の具体的な例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中のPhはフェニル基を表す。
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
【化28】
(式中、s、tは2≦s≦100、1≦tである。)
【0045】
(c)成分の配合量は、適度の架橋密度が得られる点で、(a)成分100質量部に対して0.1〜30質量部であり、0.5〜15質量部であることが好ましく、0.5〜10質量部であることがより好ましい。
更に、このとき、(c)成分の配合量は、(a)成分のアルケニル基1モルに対する本(c)成分中のケイ素原子に結合した水素原子のモル数が1〜5、特に1.3〜2.5の範囲となる量であることが好ましい。モル比が1より小さいと硬化性が低下する上、基材との密着が悪くなる場合があり、5よりも大きいと剥離力が大きくなる場合があり、実用的な剥離特性が得難い。
【0046】
[(d):白金族金属系触媒]
(d)成分の白金族金属系触媒は、(a)成分と(c)成分との付加反応を促進するための触媒であり、所謂ヒドロシリル化反応を促進するものとして当業者に公知のものはいずれも使用することができる。このような白金族金属系触媒としては、例えば白金系、パラジウム系、ロジウム系、ルテニウム系等の触媒が挙げられ、これらの中で特に白金系触媒が好ましく用いられる。この白金系触媒としては、例えば、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液又はアルデヒド溶液、塩化白金酸の各種オレフィン又はビニルシロキサンとの錯体等が挙げられる。
【0047】
(d)成分の配合量は、触媒としての所謂有効量でよいが、具体的には、良好な硬化皮膜を得ると共に経済的な見地から、(a)成分に対して白金族金属の質量換算として10〜1,000ppm、特に20〜500ppmの範囲とすることが好ましい。
【0048】
[(e):希釈用の溶剤又は水]
本発明のオルガノポリシロキサン組成物には、任意成分として希釈用の溶剤又は水を配合することができる。
本発明のオルガノポリシロキサン組成物は、上記(a)〜(d)成分の所定量を配合することによって得られる無溶媒型の組成物とすることもできるが、必要により水で希釈したエマルション組成物、又は溶剤で希釈した溶剤型組成物として使用することも可能である。溶剤又は水で希釈することで、塗工作業性の改善、塗工皮膜の厚さや表面の仕上がり状態など塗工皮膜状態の改善など実用上の利点が得られる。
【0049】
使用可能な溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系化合物、ヘキサン、ヘプタン、イソパラフィン等の脂肪族炭化水素系化合物、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン化合物、メタノール、エタノール、i−プロパノール等のアルコール化合物、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル化合物、ジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサンなどのエーテル化合物、鉱油等が挙げられるが、シリコーンを溶解させることができる化合物であればいずれのものでもよい。
【0050】
(e)成分を配合する場合の配合量としては、(a)成分100質量部に対して100〜20,000質量部、特に200〜10,000質量部であることが好ましい。100質量部未満では希釈による利点が得られない場合があり、20,000質量部を超えても効果の向上はあまり望めない。
【0051】
[その他任意成分]
本発明のオルガノポリシロキサン組成物は、上記(a)〜(d)成分の所定量を配合することによって得られるが、その他の成分を必要に応じて本発明の目的、効果を損なわない範囲で添加することができる。シリコーン系剥離剤組成物に通常使用されるものとして公知のものを通常の配合量で添加することができる。
【0052】
その他の任意的添加成分としては、例えば、ポットライフ延長剤として、各種有機窒素化合物、有機リン化合物、アセチレン系化合物、オキシム化合物、有機クロロ化合物などが公知のものとして使用できる。例えば、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ペンテン−3−オール、フェニルブチノール等のアセチレン系アルコール、3−メチル−3−1−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−イン等のアセチレン系化合物、これらのアセチレン系化合物とアルコキシシラン又はシロキサンあるいはハイドロジェンシランとの反応物、テトラメチルビニルシロキサン環状体等のビニルシロキサン、ベンゾトリアゾール等の有機窒素化合物及びその他の有機リン化合物、オキシム化合物、有機クロム化合物等が挙げられる。
これら化合物の配合量は、良好なポットライフが得られる量であればよく、一般に(a)成分100質量部に対して0.01〜10質量部が好ましく、より好ましくは0.05〜5質量部である。
【0053】
エマルション組成物とするには、界面活性剤、高分子量乳化剤を配合することができ、適当な配合量は、(a)成分100質量部に対して0.1〜10質量部の範囲である。
【0054】
更に、本発明の効果を妨げない範囲で必要に応じて、その他、任意の成分として公知の酸化防止剤、顔料、安定剤、帯電防止剤、消泡剤、密着向上剤、増粘剤、シリカ等の無機充填剤を配合することができる。
【0055】
剥離シート用オルガノポリシロキサン組成物の調製は、(a)〜(c)成分及び任意成分を予め均一に混合した後、(d)成分を使用直前に添加する方法がポットライフの面で望ましい。
【0056】
なお、本発明のアクリル−シリコーン系グラフト共重合体を含有する剥離シート用軽剥離添加剤は、本発明の効果が得られる範囲内において、上記の付加硬化型オルガノポリシロキサン組成物以外の組成物へも配合して使用することができる。例えば、水酸基を有するオルガノポリシロキサン、アルコキシ基を有するオルガノポリシロキサン及び縮合触媒を含む縮合硬化型オルガノポリシロキサン組成物;アクリロイルオキシ基などラジカル重合性基を有するオルガノポリシロキサンと光重合開始剤を含むラジカルUV硬化型組成物;エポキシ基を有するオルガノポリシロキサン、オニウム塩などの光酸発生触媒を含むカチオンUV硬化型組成物などである。
【0057】
[塗工品]
上記の剥離シート用オルガノポリシロキサン組成物をそのまま、あるいは更に上述した希釈用の溶剤や水で上述した範囲にて希釈した後、コンマコーター、リップコーター、ロールコーター、ダイコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、キスコーター、グラビアコーター、ワイヤーバーコーターなどによる塗工、スクリーン塗工、浸漬塗工、キャスト塗工等の塗工方法を用いて紙、フィルム等のシート状基材の片面又は両面上に0.01〜100g/m
2塗工した後、50〜200℃で1〜120秒間加熱することにより、基材上に硬化皮膜を形成させることができる。基材の両面に剥離層を作る場合は、基材の片面ずつ硬化皮膜の形成操作を行なうことが好ましい。
なお、本発明において、剥離シートとは、シート状基材が紙であるものに加え、公知の各種フィルム等で形成されたものも含む。
【0058】
基材の例としては、ポリエチレンラミネート紙、グラシン紙、上質紙、クラフト紙、クレーコート紙など各種コート紙、ユポなど合成紙、ポリエチレンフィルム、CPPやOPPなどのポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリ乳酸フィルム、ポリフェノールフィルム、ポリカーボネートフィルムなどが挙げられる。これらの基材と剥離層の密着性を向上させるために、基材面にコロナ処理、エッチング処理、あるいはプラズマ処理したものを用いてもよい。
【0059】
[性能]
本発明において、ポリエチレンラミネート紙基材上に上記オルガノポリシロキサン組成物を1.0〜1.2g/m
2塗工した後、140℃で30秒間加熱することにより作製した剥離シートは、FINAT試験法により測定される剥離力が、好ましくは50mN/25mm以下、より好ましくは40mN/25mm以下である。これにより、高い離型性が必要とされる粘着テープに対する剥離材料として用いることができるメリットがある。
また、本発明の剥離シートの残留接着率は、80%以上、特に85%以上とすることができるため、本発明の剥離シートから剥がしたシール等は、十分な接着力を維持しており、被着体に貼った場合にしっかりとくっつけることができる。
なお、上記剥離力及び残留接着率は以下の手順で測定される。
【0060】
[剥離力測定方法]
剥離シートに幅25mmアクリル系粘着テープTesa7475(Tesa Tape.Inc製商品名)を貼り、70℃の乾燥機中20g/cm
2の荷重をかけ24時間後に取り出す。30分ほど空冷した後、引張試験機(株式会社島津製作所製 DSC−500型試験機)を用いて180゜の角度、剥離速度0.3m/分でTesa7475テープを引張り、剥離させるのに要する力(mN/25mm)、即ち、剥離力を測定する。
【0061】
[残留接着率測定方法]
上記の剥離力の測定で剥離させたTesa7475テープをSUSステンレス板に貼り付け、上記の引張試験機により180゜の角度、剥離速度0.3m/分でTesa7475テープを引張り、剥離させるのに要する力F(mN/25mm)を測定する。比較として未使用のTesa7475テープをSUSステンレス板に貼り付け、Fの測定と同様にして、剥離させるのに要する力F
0(mN/25mm)を測定する。式:F/F
0×100により残留接着率(%)を計算して、剥離力測定後のTesa7475テープと未使用のTesa7475テープを比較して何%の接着力が残っているかを評価する。
【実施例】
【0062】
以下、合成例、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0063】
軽剥離添加剤の合成
[合成例1]
撹拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置を備えたガラス製反応装置に、トルエン30.0質量部を仕込み、90〜100℃に加熱後、下記式(5)で表わされるラジカル重合性シリコーンマクロモノマー27.0質量部(0.013mol)、メチルメタクリレート4.9質量部(0.049mol)、ステアリルメタクリレート34.5質量部(0.102mol)、2−エチルペルオキシヘキサン酸tert−ブチル2.5質量部(0.012mol)及びトルエン51.8質量部の混合物を窒素通気下に4時間かけて滴下した。更に90〜100℃で2時間重合後、2−エチルペルオキシヘキサン酸tert−ブチル0.4質量部(0.002mol)を加え、2時間重合を行なった。次いで真空乾燥機中で150℃/10mmHgの条件で乾燥し、アクリル−シリコーン系グラフト共重合体を得た。GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量は14,000であった。
【化29】
【0064】
[合成例2]
合成例1の混合液を、上記式(5)のラジカル重合性シリコーンマクロモノマー45.6質量部(0.022mol)、メチルメタクリレート4.4質量部(0.044mol)、ステアリルメタクリレート33.2質量部(0.098mol)、2−エチルペルオキシヘキサン酸tert−ブチル2.5質量部(0.012mol)及びトルエン51.8質量部の混合液に変えた他は、合成例1と同様にして行ない、アクリル−シリコーン系グラフト共重合体を得た。GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量は18,000であった。
【0065】
[合成例3]
合成例1の混合液を、上記式(5)のラジカル重合性シリコーンマクロモノマー45.6質量部(0.022mol)、メチルメタクリレート9.3質量部(0.093mol)、ステアリルメタクリレート16.6質量部(0.049mol)、2−エチルペルオキシヘキサン酸tert−ブチル2.5質量部(0.012mol)及びトルエン51.8質量部の混合液に変えた他は、合成例1と同様にして行ない、アクリル−シリコーン系グラフト共重合体を得た。GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量は14,000であった。
【0066】
[合成例4]
合成例1の混合液を、上記式(5)のラジカル重合性シリコーンマクロモノマー91.2質量部(0.044mol)、メチルメタクリレート2.2質量部(0.022mol)、ステアリルメタクリレート33.2質量部(0.098mol)、2−エチルペルオキシヘキサン酸tert−ブチル2.5質量部(0.012mol)及びトルエン51.8質量部の混合液に変えた他は、合成例1と同様にして行ない、アクリル−シリコーン系グラフト共重合体を得た。GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量は24,000であった。
【0067】
[合成例5]
合成例1の混合液を、上記式(5)のラジカル重合性シリコーンマクロモノマー45.6質量部(0.022mol)、メチルメタクリレート14.2質量部(0.142mol)、2−エチルペルオキシヘキサン酸tert−ブチル2.5質量部(0.012mol)及びトルエン51.8質量部の混合液に変えた他は、合成例1と同様にして行ない、アクリル−シリコーン系グラフト共重合体を得た。GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量は9,000であった。
【0068】
[合成例6]
合成例1の混合液を、上記式(5)のラジカル重合性シリコーンマクロモノマー45.6質量部(0.022mol)、メチルメタクリレート14.2質量部(0.142mol)、2−エチルペルオキシヘキサン酸tert−ブチル1.3質量部(0.006mol)及びトルエン51.8質量部の混合液に変えた他は、合成例1と同様にして行ない、アクリル−シリコーン系グラフト共重合体を得た。GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量は16,000であった。
【0069】
[合成例7]
合成例1の混合液を、下記式(6)のラジカル重合性シリコーンマクロモノマー55.7質量部(0.067mol)、メチルメタクリレート9.8質量部(0.098mol)、2−エチルペルオキシヘキサン酸tert−ブチル2.5質量部(0.012mol)及びトルエン51.8質量部の混合液に変えた他は、合成例1と同様にして行ない、アクリル−シリコーン系グラフト共重合体を得た。GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量は9,000であった。
【化30】
【0070】
[合成例8]
合成例1の混合液を、上記式(6)のラジカル重合性シリコーンマクロモノマー55.7質量部(0.067mol)、メチルメタクリレート9.8質量部(0.098mol)、2−エチルペルオキシヘキサン酸tert−ブチル0.2質量部(0.001mol)及びトルエン51.8質量部の混合液に変えた他は、合成例1と同様にして行ない、アクリル−シリコーン系グラフト共重合体を得た。GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量は82,000であった。
【0071】
[合成例9]
合成例1の混合液を、上記式(6)のラジカル重合性シリコーンマクロモノマー74.2質量部(0.089mol)、メチルメタクリレート7.5質量部(0.075mol)、2−エチルペルオキシヘキサン酸tert−ブチル13.9質量部(0.064mol)及びトルエン51.8質量部の混合液に変えた他は、合成例1と同様にして行ない、アクリル−シリコーン系グラフト共重合体を得た。GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量は2,000であった。
【0072】
[合成例10]
合成例1の混合液を、上記式(6)のラジカル重合性シリコーンマクロモノマー74.2質量部(0.089mol)、メチルメタクリレート7.5質量部(0.075mol)、2−エチルペルオキシヘキサン酸tert−ブチル2.5質量部(0.012mol)及びトルエン51.8質量部の混合液に変えた他は、合成例1と同様にして行ない、アクリル−シリコーン系グラフト共重合体を得た。GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量は11,000であった。
【0073】
[合成例11]
合成例1の混合液を、上記式(6)のラジカル重合性シリコーンマクロモノマー5.3質量部(0.006mol)、メチルメタクリレート15.8質量部(0.158mol)、2−エチルペルオキシヘキサン酸tert−ブチル1.3質量部(0.006mol)及びトルエン51.8質量部の混合液に変えた他は、合成例1と同様にして行ない、アクリル−シリコーン系グラフト共重合体を得た。GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量は6,000であった。
【0074】
[合成例12]
合成例1の混合液を、上記式(6)のラジカル重合性シリコーンマクロモノマー55.7質量部(0.067mol)、メチルメタクリレート9.8質量部(0.098mol)、2−エチルペルオキシヘキサン酸tert−ブチル0.1質量部(0.0005mol)及びトルエン51.8質量部の混合液に変えた他は、合成例1と同様にして行ない、アクリル−シリコーン系グラフト共重合体を得た。GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量は172,000であった。
【0075】
[合成例13]
合成例1の混合液を、メチルメタクリレート5.5質量部(0.055mol)、ステアリルメタクリレート36.9質量部(0.109mol)、2−エチルペルオキシヘキサン酸tert−ブチル2.5質量部(0.012mol)及びトルエン51.8質量部の混合液に変えた他は、合成例1と同様にして行ない、アクリル系グラフト共重合体を得た。GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量は6,000であった。
【0076】
オルガノポリシロキサン組成物及び剥離シートの調製
[実施例1]
(a)成分として、下記式(7)で表される両末端にビニルジメチルシロキシ基を有するジオルガノポリシロキサン100質量部、(b)成分として、合成例1のアクリル−シリコーン系グラフト共重合体を2質量部、(c)成分として、下記式(8)で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン2.2質量部、任意成分として、エチニルシクロヘキサノール1.0質量部を混合し、使用直前に(d)成分として塩化白金酸とビニルシロキサンの錯体を(a)成分に対して白金質量換算で100ppmになるように加えることでオルガノポリシロキサン組成物を調製した。
ポリエチレンラミネート紙基材に上記調製したオルガノポリシロキサン組成物を1.0〜1.2g/m
2となるように塗工し、140℃の熱風式乾燥機中で30秒間加熱して皮膜を形成することで、剥離シートを作製した。
【化31】
【化32】
【0077】
[実施例2]
実施例1において、(b)成分を合成例2とした以外は同様に実施した。
【0078】
[実施例3]
実施例1において、(b)成分を合成例3とした以外は同様に実施した。
【0079】
[実施例4]
実施例1において、(b)成分を合成例4とした以外は同様に実施した。
【0080】
[実施例5]
実施例1において、(b)成分を合成例5とした以外は同様に実施した。
【0081】
[実施例6]
実施例1において、(b)成分を合成例6とした以外は同様に実施した。
【0082】
[実施例7]
実施例1において、(b)成分を合成例7とした以外は同様に実施した。
【0083】
[実施例8]
実施例1において、(b)成分を合成例8とした以外は同様に実施した。
【0084】
[実施例9]
実施例1において、(b)成分を合成例9とした以外は同様に実施した。
【0085】
[実施例10]
実施例1において、(b)成分を合成例10とした以外は同様に実施した。
【0086】
[実施例11]
実施例1において、(b)成分を合成例11とした以外は同様に実施した。
【0087】
[比較例1]
実施例1において、(b)成分を添加しない以外は同様に実施した。
【0088】
[比較例2]
実施例1において、(b)成分を合成例12とした以外は同様に実施した。
【0089】
[比較例3]
実施例1において、(b)成分を合成例13とした以外は同様に実施した。
【0090】
[比較例4]
実施例1において、(b)成分を下記式(9)で表されるフェニル基含有オルガノポリシロキサン2質量部とした以外は同様に実施した。
【化33】
(u、vは粘度3,000mm
2/s、フェニル基5モル%とする正数である。)
【0091】
[比較例5]
実施例1において、(b)成分を下記式(10)で表される末端がジメチルビニルシリル基、トリメチルシリル基でそれぞれ封鎖され、側鎖にフェニル基を含有するオルガノポリシロキサンとした以外は同様に実施した。
【化34】
(w、xは粘度3,000mm
2/s、フェニル基5モル%とする正数である。)
【0092】
[比較例6]
実施例1において、(b)成分を下記式(11)で表される両末端がジメチルハイドロキシシリル基で封鎖され、側鎖にフェニル基を含有するオルガノポリシロキサンとした以外は同様に実施した。
【化35】
(y、zは粘度3,000mPa・s、フェニル基5モル%とする正数である。)
【0093】
[実施例12]
(a)成分として、30質量%トルエン溶液の25℃での粘度が5,000mPa・sであり、分子鎖の両末端は(CH
3)
3SiO
1/2で表されるトリメチルシリル基で封鎖され、末端を除く主骨格は(CH
3)(CH
2=CH)SiO
2/2で表されるメチルビニルシロキサン単位が1.5モル%と(CH
3)
2SiO
2/2で表されるジメチルシロキサン単位が98.5モル%で構成されているオルガノポリシロキサン(ビニル基含有量=0.02モル/100g)を30質量部、(b)成分として、合成例2のアクリル−シリコーン系グラフト共重合体を0.6質量部、(c)成分として、上記式(8)で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン0.7質量部、(e)成分として、トルエンを570質量部、任意成分として、3−メチル−1−ブチン−3−オール1.0質量部を混合し、使用直前に(d)成分として塩化白金酸とビニルシロキサンの錯体を(a)成分に対して白金質量換算で100ppmになるように加えることでオルガノポリシロキサン組成物を調製した。
ポリエチレンラミネート紙基材に上記調製したオルガノポリシロキサン組成物を0.7〜0.8g/m
2となるように塗工し、140℃の熱風式乾燥機中で30秒間加熱して皮膜を形成することで、剥離シートを作製した。
【0094】
[実施例13]
実施例12において、(b)成分を合成例5とした以外は同様に実施した。
【0095】
[比較例7]
実施例12において、(b)成分を添加しない以外は同様に実施した。
【0096】
[比較例8]
実施例12において、(b)成分を上記式(9)で表されるフェニル基含有オルガノポリシロキサン0.3質量部とした以外は同様に実施した。
【0097】
[評価]
<組成物外観測定方法>
実施例及び比較例で調製したオルガノポリシロキサン組成物の外観を目視で観察し、下記基準で評価した。また、調製した後に、0℃下で6ヶ月間経過させて同様に観察し、下記基準で評価した。
A:組成物への分散性が良好
B:添加剤と組成物が分離
【0098】
<剥離力測定方法>
FINAT試験法に準拠し、作製した剥離シートに幅25mmアクリル系粘着テープTesa7475(Tesa Tape.Inc製商品名)を貼り、23℃中で70g/cm
2及び70℃の乾燥機中20g/cm
2の荷重をかけ24時間後に取り出した。30分ほど空冷した後、引張試験機(株式会社島津製作所製 DSC−500型試験機)を用いて180゜の角度、剥離速度0.3m/分でTesa7475テープを引張り、剥離させるのに要する力(mN/25mm)を測定した。
【0099】
<残留接着率測定方法>
FINAT試験法に準拠し、上記の剥離力の測定で剥離させたTesa7475テープをSUSステンレス板に貼り付け、上記の引張試験機により180゜の角度、剥離速度0.3m/分でTesa7475テープを引張り、剥離させるのに要する力F(mN/25mm)を測定した。比較として未使用のTesa7475テープをSUSステンレス板に貼り付け、Fの測定と同様にして、剥離させるのに要する力F
0(mN/25mm)を測定した。式:F/F
0×100により残留接着率(%)を計算して、剥離力測定後のTesa7475テープと未使用のTesa7475テープを比較して何%の接着力が残っているかを評価した。
【0100】
上記の方法による評価結果、並びに実施例に用いた軽剥離添加剤、その重量平均分子量及び原料質量比を表1、2に示す。
【0101】
【表1】
【0102】
【表2】
【0103】
評価の結果、従来の軽剥離添加剤に比べて、剥離力は軽く、残留接着率が高いことが示された。