(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記パッケージにおいて、前記第1の電極は、第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを持ち、前記第1のアウターリード部の一部が前記第1の貫通孔の一部となっており、
前記第2の電極は、第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを持ち、前記第2のアウターリード部の一部が前記第2の貫通孔の一部となっている、請求項3に記載のパッケージの製造方法。
前記金型は、前記第1の電極及び前記第2の電極の上に形成する壁部に相当する凹みを有し、前記凹みに前記第1の樹脂を注入する請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のパッケージの製造方法。
前記第1の樹脂を注入する工程は、トランスファーモールド若しくはインジェクションモールドである請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載のパッケージの製造方法。
平面視において、前記有底凹部は、第1の外側面、前記第1の外側面と隣接する第2の外側面、前記第2の外側面と隣接し前記第1の外側面と対向する第3の外側面、及び、前記第1の外側面と前記第3の外側面と隣接する第4の外側面、を有し、
前記第1のアウターリード部は、前記第1の外側面にあり、
前記第2のアウターリード部は、前記第3の外側面にある請求項13に記載のパッケージ。
前記第1のアウターリード部の隣にある前記鍔部の厚みは、前記第1のアウターリード部の厚みに対して、1.2〜2.0倍である請求項13又は請求項14に記載のパッケージ。
前記第1のアウターリード部の隣にある前記鍔部の厚みは、前記第1のアウターリード部の厚みに対して、1.2〜2.0倍である部分と、前記第1のアウターリード部の厚みと同じである部分と、を併せ持つ請求項13又は請求項14に記載のパッケージ。
前記第1のアウターリード部の隣にある前記鍔部の厚みは、前記第1のアウターリード部の厚みに対して、0.5〜0.8倍である請求項13又は請求項14に記載のパッケージ。
前記第1のアウターリード部の隣にある前記鍔部の厚みは、前記第1のアウターリード部の厚みに対して、0.5〜0.8倍である部分と、前記第1のアウターリード部の厚みと同じである部分と、を併せ持つ請求項14に記載のパッケージ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態の一例を示すパッケージの製造方法及び発光装置の製造方法、並びにパッケージ及び発光装置を説明する。なお、以下の説明において参照する図面は、本実施形態を概略的に示したものであるため、各部材のスケールや間隔、位置関係などが誇張、あるいは、部材の一部の図示が省略されている場合がある。また、以下の説明では、同一の名称及び符号については原則として同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略することとする。
特に断りのない限り、壁部に対して垂直な方向を指すときは「幅」とし、壁部に対して平行な方向を指すときは「長さ」とする。
【0013】
[第1の実施形態に係るパッケージ及び発光装置]
<パッケージ100の構成>
図面を用いて説明する。
図1は、第1の実施形態に係るパッケージの概略を示す図であり、パッケージの全体を示す斜視図である。
図2は、第1の実施形態に係るパッケージの概略を示す図であり、パッケージの上面図である。
図3は、第1の実施形態に係るパッケージの概略を示す図であり、
図2のIII−III断面矢視図である。
図4は第1の実施形態に係るパッケージの概略を示す図であり、パッケージの側面図である。
図5は第1の実施形態に係るパッケージの概略を示す図であり、パッケージの側面図である。
図6は、第1の実施形態に係るパッケージの概略を示す図であり、パッケージの底面図である。
パッケージ100は、全体の形状が略直方体であって、有底凹部110が形成されている。また、パッケージ100は、第1の電極10と、第2の電極20と、第1の樹脂30と、を備えている。
【0014】
第1の電極10は、第1のアウターリード部11と、第1のインナーリード部12と、を備えている。
第1のアウターリード部11は、第1の樹脂30の壁部31の外側に位置するリード部分をいう。第1のアウターリード部11は先端に第1の凹み部711を備え、壁部31から垂直に延びている形状を成しているが、これに限定されず、さらに一部切り欠きや凹み、貫通孔を設けたものでもよい。ただし、第1のアウターリード部11の先端に凹みを設けず、平坦であってもよい。
【0015】
第1のインナーリード部12は、第1の樹脂30の壁部31の内側及び壁部31の下に位置するリード部分をいう。第1のインナーリード部12の形状は平面視では略矩形であるが、形状はこれに限定されず、一部切り欠きや凹み、貫通孔を設けたものでもよい。パッケージ100の背面視において、第1の樹脂30から露出されている第1のアウターリード部11の幅W1は、ここでは、第1の樹脂30から露出されている第1のインナーリード部12の幅W2より短く形成されている。第1のインナーリード部12は、有底凹部110の底部に配置される。
【0016】
第2の電極20は、第2のアウターリード部21と、第2のインナーリード部22と、を備えている。第2のアウターリード部21は、第1の樹脂30の壁部31の外側に位置するリード部分をいう。第2のアウターリード部21は先端に第2の凹み部721を備え、壁部31から垂直に延びている形状を成しているが、これに限定されず、さらに一部切り欠きや凹み、貫通孔を設けたものでもよい。ただし、第2のアウターリード部21の先端に凹みを設けず、平坦であってもよい。
【0017】
第2のインナーリード部22は、第1の樹脂30の壁部31の内側及び壁部31の下に位置するリード部分をいう。第2のインナーリード部22の形状は平面視では略矩形であるが、形状はこれに限定されず、一部切り欠きや凹み、貫通孔を設けたものでもよい。パッケージ100の背面視において、第1の樹脂30から露出されている第2のアウターリード部21の幅W3は、ここでは、第1の樹脂30から露出されている第2のインナーリード部22の幅W4より短く形成されている。第2のインナーリード部22は、有底凹部110の底部に配置される。
【0018】
第1の電極10と第2の電極20とは、パッケージ100の底面において、第1の樹脂30から外側に露出して形成されている。パッケージ100の底面の外側は、外部の基板に実装される側の面である。第1の電極10と第2の電極20とは、離間させて配置されており、第1の電極10と第2の電極20との間には、第1の樹脂30が介在しており、有底凹部110の底部の一部を成す。発光装置1として使用される際、第1の電極10と第2の電極20とは、アノード電極、カソード電極にそれぞれ相当し、それぞれ極性が異なることを意味する。
【0019】
第1の電極10及び第2の電極20の長さ、幅、厚さは特に限定されず、目的及び用途に応じて適宜選択することができる。第1のアウターリード部11は、上面と下面及び第1の凹み部711の側面が金属で覆われており、第1の凹み部711の両隣の側面は金属で覆われていない。また、第2のアウターリード部21も同様に、上面と下面及び第2の凹み部721の側面が金属で覆われており、第2の凹み部721の両隣の側面は金属で覆われていない。このように金属で第1のアウターリード部11、第2のアウターリード部12を覆うため、半田等を用いて発光装置1を実装する際、発光装置1の実装性を向上することができる。半田はメッキされていない部分との接合性に乏しいためが、メッキされている部分との接合性に富むため、メッキされている金属層の面積を増やすことにより、半田が金属層上に這い上がり、半田の実装性を向上することができる。そのため、第1の凹み部711、第2の凹み部721の側面の面積を増やすことが好ましい。
第1の電極10、第2の電極20の材質は、例えば銅や鉄、銅合金、鉄合金等が好ましく、その最表面は、例えば、銀やアルミニウム、金等の光反射率の高い金属材料にて被覆されていることが好ましい。第1の電極10等を被覆する金属の厚みは特に限定されないが効率良く光反射される程度の厚み、0.1〜30μm程度が好ましく、1〜20μ程度がより好ましい。また金属は均一な膜状、層状となっていることが好ましい。金属の層は1層だけでなく、2層以上の複数層であってもよい。
【0020】
第1の樹脂30は、壁部31と、鍔部32とを備えている。第1の樹脂30は第1の電極10と第2の電極20とを固定している。壁部31は、有底凹部110の側壁を構成する。鍔部32は、第1のアウターリード部11と異なる厚みを持つ部分を有する。鍔部32は、平面視で第1のアウターリード部11の両隣において、壁部31から外側方にほぼ同一の幅を持つ。平面視において、壁部31は、矩形となる四辺が、第1の電極10及び第2の電極20の上に形成されている。また、壁部31は、矩形の対向する2辺により、第1の電極10を挟み込むように形成されると共に、第2の電極20を挟み込むように形成されている。これにより、壁部31は、第1の電極10及び第2の電極20を固定することができる。また、第1の樹脂30は、有底凹部110の底部にある第1の電極10と第2の電極20との間にも配置される。ここで、有底凹部110の底部にある第1の樹脂30が第1の電極10と「ほぼ同じ厚み」という場合は、第1の樹脂30の厚みが、第1の電極10に対して0.8〜1.0倍の厚みであることを言う。第1の樹脂30の厚みが、物理的に同じ厚み、つまり、1.0倍であるものとすることもできるが、第1の樹脂30を第1の電極10よりも薄くすることもできる。例えば、第1の電極10と第2の電極20との間の第1の樹脂30の厚みは、第1の電極10の厚みよりも薄いものとすることができる。これにより第1の電極10と第2の電極20との間の短絡をより効果的に防止することができる。また、背面視において、第1の電極10及び第2の電極20よりも第1の樹脂30の方が内側に凹んだものとすることもできる。
【0021】
第1の樹脂30は成形、硬化、固化の前後を問わず、第1の樹脂30と表現する。例えば、第1の樹脂30として、エポキシ樹脂を使用する場合、成形前において第1の樹脂30は不定形であったり、液状であったりするのに対し、成形後においては第1の樹脂30は所定の形状を成している。
平面視において、パッケージ100は、第1の外側面101、第1の外側面101と隣接する第2の外側面102、第2の外側面102と隣接し第1の外側面101と対向する第3の外側面103、及び、第1の外側面101と第3の外側面103と隣接する第4の外側面104、を有する。第1のアウターリード部11は、第1の外側面101に配置され、第2のアウターリード部21は、第3の外側面103に配置されている。
壁部31は、平面視で矩形の凹部を構成するように形成され、その形状は平面視では矩形の環状に形成されている。この壁部31の高さ、長さ、幅は特に限定されず、目的及び用途に応じて適宜選択することができる。
【0022】
平面視において、第1の樹脂30は鍔部32を持っている。鍔部32は、壁部31から側方に突出している。鍔部32は、第1の外側面101にある第1のアウターリード部11に隣接して形成され、また、第3の外側面103にある第2のアウターリード部21に隣接して形成される。第1のアウターリード部11の両隣の少なくともいずれか一方にある鍔部32の厚みは、第1のアウターリード部11の厚みと異なる厚みである。
ここでは、第1のアウターリード部11の両隣のうちの一方の鍔部32の厚みは、第1のアウターリード部11の厚みよりも厚い。第1のアウターリード部11の隣にある鍔部32の厚みは、第1のアウターリード部の厚みに対し、1.2〜2.0倍であることが好ましい。また、第1のアウターリード部11の隣にある鍔部32の厚みは、第1のアウターリード部の厚みに対し、1.2〜2.0倍である部分と、第1のアウターリード部11の厚みと同じである部分と、を併せ持つことが好ましい。第1のアウターリード部11の隣にある鍔部32の厚みは、第1のアウターリード部の厚みに対し、1.3〜1.8倍であることが更に好ましい。鍔部32を所定の厚みとすることで、発光装置の実装時のひっかかりを低減することができる。また、このように鍔部32の厚みを形成することでカソードマーク、又は、アノードマークとすることができる。
【0023】
第1のアウターリード部11と異なる厚みである鍔部32の幅は、第1のアウターリード部11の幅とほぼ同じであることが好ましい。これにより平面視において鍔部32の幅を一定にすることができる。
【0024】
鍔部32は、第3の外側面103の第2のアウターリード部21の両隣に配置されているが、鍔部32は、第3の外側面103の第2のアウターリード部21の両隣の少なくとも一方に配置されていてもよい。鍔部32は、第2の外側面102、及び、第4の外側面104にも備えられているが、鍔部32は、第2の外側面102、及び、第4の外側面104のいずれか一方に備えられていてもよい。第2の外側面102にある鍔部32の幅と、第4の外側面104にある鍔部32の幅と、は、ほぼ同じであることが好ましい。バランスよく配置されており、安定するからである。第1のアウターリード部11の両隣に配置される鍔部32の幅と、第2の外側面102にある鍔部32の幅と、は、ほぼ同じであることが好ましい。全ての鍔部32の幅を同じにすることで鍔部32にかかる応力を均一にすることができるからである。第1の電極10の厚みと、第1のアウターリード部11の両隣に配置される鍔部32の一方の厚みと、は上述のごとき、異なる厚みを有するが、第1の電極10の厚みと、第1のアウターリード部11の両隣に配置される鍔部32の他方の厚みとはほぼ同じ厚みであり、また第2の外側面102にある鍔部32の厚みも、第1のアウターリード部11の両隣に配置される鍔部32の厚みとほぼ同じであることが好ましい。これによっても、鍔部32にかかる応力を均一にすることができるからである。
【0025】
第2の外側面102及び第4の外側面104は、第1の樹脂30のみで構成されていることが好ましい。つまり、第1の電極10及び第2の電極20が第1の樹脂30から露出していない。これにより第1の樹脂30中への水分等の侵入を抑制することができる。
第1のアウターリード部11及び第2のアウターリード部21と鍔部32は、面一で形成されていてもよく、第1のアウターリード部11及び第2のアウターリード部21の方が鍔部32より外側に突出していてもよい。第1のアウターリード部11及び第2のアウターリード部21により実装面に実装することができ、実装安定性を向上することができるからである。第1の実施形態では第1の樹脂30の注入口555を第1の樹脂30の硬化又は固化後に切除される位置である第1の電極10の隣に設けているので、第1の樹脂30を注入して硬化又は固化させた後に切除すると第1の電極10の隣に1つの鍔部32が残ることになる。第1の樹脂30は、壁部31の4面に鍔部32を備えるが、その個数は1個以上であればよい。鍔部を設けない場合は壁部31の外側面が上面から底面にかけて平面的に形成されている。
第1の外側面101乃至第4の外側面104にある鍔部32の幅は壁部31の幅よりも短いことが好ましい。鍔部32の幅はパッケージ100のサイズにもよるが、1mm以下が好ましく、0.5mm以下がより好ましく、0.1mm以下がさらに好ましい。
【0026】
第1の樹脂30の材質としては、例えば熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を挙げることができる。
熱可塑性樹脂の場合、例えば、ポリフタルアミド樹脂、液晶ポリマー、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、不飽和ポリエステル、ポリアミド樹脂などを用いることができる。
熱硬化性樹脂の場合、例えば、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂などを用いることができる。
第1の樹脂30の壁部31の内周面において光を効率よく反射するために、第1の樹脂30に光反射部材が含有されていることが好ましい。光反射部材は、例えば、酸化チタン、ガラスフィラー、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛等の白色フィラーなどの光反射率の高い材料である。反射率は可視光の反射率が70%以上、若しくは80%以上が好ましい。特に、発光素子の出射する波長域において反射率が70%以上、若しくは80%以上が好ましい。酸化チタン等の配合量は5重量%以上、50重量%以下であればよく、10重量%〜30重量%が好ましい。
【0027】
以上説明したように、パッケージ100は、第1の樹脂30の注入口555を第1の樹脂30の硬化又は固化後に切除される位置に設けているのでパッケージ100の厚みを薄くすることができる。特に、パッケージ100の裏面側の厚み、つまり、第1の樹脂30の鍔部32、第1の電極10、及び第2の電極20等の厚みを従来よりも薄くすることができる。このため、パッケージ100に搭載する発光素子等の動作時の放熱性を向上させることができる。
【0028】
<パッケージ100、発光装置1の製造方法>
次にパッケージ100、及び、発光装置1の製造方法について、
図7から
図16を参照して説明する。
図7はリードフレームの平面図である。
図8は
図7のVIII−VIII断面矢視図である。
図9は
図11のXII−XII線に対応した位置におけるリードフレームとモールド金型の配置を模式的に示す断面図である。
図10は
図11のXIII−XIII線に対応した位置におけるリードフレームとモールド金型の配置を模式的に示す断面図である。
図11はリードフレームの上面図である。このリードフレームは上金型と下金型で挟まれており、説明の便宜上、金型の一部を透過して表している。
図12は第1の樹脂注入後の
図11のXII−XII断面矢視図である。
図13は、第1の樹脂注入後の
図11のXIII−XIII断面矢視図である。
図14は硬化又は固化されたパッケージの概略平面図である。
図13は、第1の電極と第1の接続部との間の一部が切断されたパッケージの概略平面図である。
図14は、第1の電極が電解メッキされたパッケージの概略平面図である。
図15は、
図14のXV−XV断面矢視図である。
図16は、発光装置の全体を示す斜視図である。
第1の実施形態のパッケージの製造方法は、下記(1)から(4)の工程を有する。
【0029】
(1)リードフレームを準備する。
リードフレームを準備する工程では、パッケージの形成予定領域600に、第1の電極10と、第1の電極10とは異なる第2の電極20と、を有するリードフレーム5を準備する。
または、フレーム7と、第1の電極10と、第2の電極20と、フレーム7と第1の電極10とを繋ぐ第1の接続部8と、フレーム7と第2の電極20とを繋ぐ第2の接続部9と、を有する。リードフレーム5は、第1の電極10と第1の接続部8との間に第1の貫通孔710、第2の電極20と第2の接続部9との間に第2の貫通孔720、があるリードフレーム5を準備する。平板状のリードフレーム5は一部に空間を持つ。
【0030】
第1の電極10と第2の電極20との間に隙間を設けている。この隙間はリードフレーム5の厚さと同等若しくはそれよりも広い幅を有していることが好ましい。第1の電極10、第2の電極20は角部に丸みを帯びた略四角形の部分と、略四角形の幅よりも狭い部分と、を持つ。第1の電極10、第2の電極20の狭い部分と同程度の幅を持つ、第1の接続部8、第2の接続部9をリードフレーム5は有しており、パッケージの形成予定領域600の外側に繋がっている。このリードフレーム5の空間は打ち抜き、切り欠き、エッチング等で形成することができる。ここで、パッケージの形成予定領域600とは、リードフレーム5から分離された、成形後のパッケージ100の底面の外周となる領域である。リードフレーム5から分離されたとは、第1の電極10、第2の電極20が、フレーム7、第1の接続部8、第2の接続部9から分離されたことをいう。また、リードフレーム5における第1の電極10とは、成形後の第1の電極10に相当する部分を意味し、個片化する前の状態をいう。同様に、リードフレーム5における第2の電極20とは、成形後の第2の電極20に相当する部分を意味し、個片化する前の状態をいう。なお、簡略のため、リードフレーム5は、1個のパッケージの形成予定領域600を備えるものとして説明するが、その個数は複数でもよい。
【0031】
リードフレーム5は、板状の部材であり、第1の電極10及び第2の電極20の周囲に所定形状の隙間部を有し、第1の電極10と第2の電極20とは対面する部分が離間している。リードフレーム5は、第1の電極10及び第2の電極20の周囲を取り囲む枠状のフレーム7を備えている。
【0032】
第1の電極10は、成形後の第1のアウターリード部11に相当する部分が第1の接続部8によってフレーム7と接続されている。リードフレーム5には、隙間部として第1の空間6aと第2の空間6bとが第1の電極10、又は、第1の接続部8の両隣に形成されている。なお、後記するように、第1の実施形態では第1の空間6aから第1の樹脂30を注入している。
【0033】
第2の電極20は、成形後の第2のアウターリード部21に相当する部分が第2の接続部9によってフレーム7と接続されている。リードフレーム5には、隙間部として第3の空間6cと第4の空間6dとが第2の電極20、又は、第2の接続部9の両隣に形成されている。
【0034】
(2)リードフレームを金型に配置する。
リードフレームを金型に配置する工程では、リードフレーム5の第1の電極10と第2の電極20とを、上下に分割されたモールド金型500の上金型550と下金型560で挟み込む。なお、説明の都合上、リードフレーム5の下面と下金型560とが離間した状態で示したが、リードフレーム5は下金型560に固定される。
ここで、下金型560に凸部を配置してもよい。この凸部は、第2の空間6b、第3の空間6c、第4の空間6dに嵌まり込み、リードフレーム5を固定する程度の大きさを有する。下金型560に配置される凸部は上金型550と接触し、第1の樹脂30の流れを制限する。これにより第1の樹脂30の成形後、第2の空間6b、第3の空間6c、第4の空間6dに第1の樹脂30が充填されておらず、空間が維持され、鍔部32の切除を省くことができる。
【0035】
モールド金型500の上金型550は、第1の電極10及び第2の電極20の上に形成する第1の樹脂30の壁部31に相当する凹み501を有している。上金型550に設けた凹み501に第1の樹脂30を注入する。この上金型550の凹み501はリング状に繋がっている。その凹み501とは別の位置、平面視で凹み501の外側に注入口555となる貫通孔が上金型550に形成されている。リードフレーム5と上金型550、リードフレーム5と下金型560、とのそれぞれの隙間に第1の樹脂30が入り込まない程度に強固に挟み込んでいる。リードフレーム5と上金型550、リードフレーム5と下金型560、との隙間に第1の樹脂30が入り込み、発光素子の実装領域のリードフレーム5の表面に第1の樹脂30が被着すると、バリ取りの工程が必要となる。
【0036】
(3)金型に第1の樹脂を注入し成形する。
モールド金型500の上金型550は、パッケージの形成予定領域600の外側に注入口555を備えている。上金型550の注入口555が相当する部分にリードフレーム5の第1の空間6aが配置されている。注入口555は、第1の電極10の外側となる一方のフレーム7側に形成されている。ここで、注入口555から注入される第1の樹脂30には、光反射部材が予め混合されている。
【0037】
この工程では、リードフレーム5を上金型550と下金型560で挟み込んだモールド金型500内に、平面視において、第1の電極10、第1のアウターリード部11の隣となる注入口555から第1の樹脂30を注入している。
準備されたリードフレーム5には、第1の電極10の隣又は第1の接続部8の隣に第1の空間6aが形成されており、第1の空間6aから第1の樹脂30を注入する。注入口555から注入された第1の樹脂30はリードフレーム5の第1の空間6aを通って、上金型550の凹み501に注入される。ここでは、注入口555を1個で説明しているが、複数個、上金型550に設けることができる。また、上金型550に注入口555を設けているが、下金型560に注入口を設け、下金型560側から第1の樹脂30を注入することもできる。
【0038】
上金型550と下金型560とで挟まされた、注入口555が配置される第1の空間6aにおいて、凹み501への注入口556に相当する箇所は、第1のアウターリード部11の厚みよりも大きく開口されている。第1のアウターリード部11の厚みよりも大きく凹み501への注入口556が開口されているため、粘度の高い第1の樹脂30を効率良く金型500内に注入することができる。例えば、液状の第1の樹脂30内に粒子状の光反射部材を多数分散させると粘度が上昇する。粘度が高い第1の樹脂30を金型500内に注入しようとしても注入口556が小さいと効率良く第1の樹脂30を金型500内に注入することができない。そこで注入口556を大きくすることで粘度の高い第1の樹脂30を効率良く金型500内に注入することができる。また、熱硬化性樹脂よりも熱可塑性樹脂の方が一般に粘度が高いため、熱可塑性樹脂を使用する際に注入口を大きくすることは極めて有効である。さらに、射出成形(インジェクションモールド)に用いる樹脂は、トランスファーモールドに用いる樹脂よりも粘度が高いため、射出成形を行う際に注入口556を大きくすることは極めて有効である。
【0039】
第1の樹脂30を注入する工程は、射出成形(インジェクションモールド)やトランスファーモールド、押出成形など公知の成形方法を利用することができる。
このように金型500内に注入された第1の樹脂30は硬化又は固化され、上下に分割されたモールド金型500の上金型550が有する凹み501に相当する壁部31が成形される。また壁部31の外側面から突出するように鍔部32が成形される。鍔部32を成形することにより第1の樹脂30の実装面の面積を広くすることができ、実装安定性を向上することができる。
【0040】
例えば、第1の樹脂30がポリフタルアミド樹脂のような熱可塑性樹脂である場合、射出成形(インジェクションモールド)で成形することができる。熱可塑性樹脂は熱硬化性樹脂よりも一般的に粘度が高いため、射出成形に適しており、注入口は大きい方が好ましい。金型500内に注入される熱可塑性樹脂は、高温にして溶融させ、低温の金型に入れて冷却により固化させればよい。また、熱可塑性樹脂は熱硬化性樹脂よりも一般的に粘度が高く、さらに光反射率を高めるため粒子状の光反射部材を高濃度に混合しようとすると熱可塑性樹脂の粘度は更に上昇する。よって、注入口は大きい方がよい。この注入口を大きくすることで、高濃度の第1の樹脂30を金型500内に注入することができる。ひいては第1の樹脂30に光反射部材を高濃度に充填することができ、それによって壁部31に含まれる光反射部材の濃度を高めることができ、壁部31の光反射率を高くすることができる。よって、光反射率の高いパッケージを提供することができる。
【0041】
ここで従来は、パッケージの背面に注入口を備えていたため、パッケージの厚みが厚くなり薄型のパッケージを製造することが困難である。それに対し、この実施形態に係るパッケージは、第1のアウターリード部11の隣の空間に注入口556を設けているため、薄型のパッケージを製造することができる。
【0042】
(4)リードフレームを切断する。
少なくとも鍔部32の一部を残しつつ、リードフレーム5を切断する。これによりパッケージ100の個片化を行い、パッケージ100を製造することができる。
また、第1の樹脂30を硬化又は固化した後、第1の電極10の隣から第1の樹脂30の注入痕155を切除し、かつ、リードフレーム5を切断することによってパッケージ100を個片化する。
【0043】
このリードフレーム5の切断は一工程で行うことができる他、複数回の工程に分けてもよい。リードフレーム5の切断を一工程で行うことにより平面視において第1のアウターリード部11と鍔部32との切断面を面一とすることができる。第1のアウターリード部11と鍔部32との切断面を面一とすることにより、第1のアウターリード部11と鍔部32との密着性を向上することができる。また、第1のアウターリード部11と鍔部32との間に段差がないため、実装時のひっかかりがなくなり、実装精度が向上する。
第1の樹脂30を注入する箇所の鍔部32の厚みは、第1のリードフレーム5の厚みよりも厚いが、その他の箇所における鍔部32の厚みは、第1のリードフレーム5の厚みと同じ又は薄いため、第1のアウターリード部11と鍔部32の切断は容易に行うことができる。
前記(1)から(4)の工程により、パッケージ100を製造することができる。
【0044】
<発光装置1の構成>
次に、
図16を参照して発光装置1の構成について説明する。
図16は第1の実施形態に係る発光装置の概略を示す図であり、発光装置の全体を示す斜視図である。
発光装置1は、パッケージ100と、発光素子200と、ワイヤ250と、第2の樹脂300とを備えている。発光素子200は、パッケージ100の第2の電極20の上に実装されている。ここで用いられる発光素子200は形状や大きさ等が特に限定されない。発光素子200の発光色としては、用途に応じて任意の波長のものを選択することができる。例えば、波長430〜490nmの光を発する青色の発光素子としては、窒化物半導体を用いることができる。発光装置1は保護素子を備えてもよく、保護素子は第2の樹脂300で覆ってもよい。
【0045】
ワイヤ250は、発光素子200や保護素子等の電子部品と、第1の電極10や第2の電極20を電気的に接続するための導電性の配線である。ワイヤ250の材質としては、金、銀、銅、白金、アルミニウム等の金属、及び、それらの合金を用いたものが挙げられるが、特に、熱伝導率等に優れた金を用いるのが好ましい。なお、ワイヤ250の太さは特に限定されず、目的及び用途に応じて適宜選択することができる。
【0046】
第2の樹脂300は、パッケージ100の中に実装された発光素子200等を被覆するものである。第2の樹脂300は、発光素子200等を、外力、埃、水分などから保護すると共に、発光素子200等の耐熱性、耐候性、耐光性を良好なものとするために設けられている。第2の樹脂300の材質としては、熱硬化性樹脂、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂等の透明な材料を挙げることができる。このような材料に加えて、所定の機能を持たせるために、蛍光体や光反射率が高い物質等のフィラーを含有させることもできる。
【0047】
第2の樹脂300は、例えば蛍光体を混合することで、発光装置1の色調調整を容易にすることができる。なお、蛍光体としては、第2の樹脂300よりも比重が大きく、発光素子200からの光を吸収し、波長変換するものを用いることができる。蛍光体は、第2の樹脂300よりも比重が大きいと、第1の電極10及び第2の電極20の側に沈降するので好ましい。
具体的には、例えば、YAG(Y
3Al
5O
12:Ce)やシリケート等の黄色蛍光体、あるいは、CASN(CaAlSiN
3:Eu)やKSF(K
2SiF
6:Mn)等の赤色蛍光体、を挙げることができる。
【0048】
第2の樹脂300に含有させるフィラーとしては、例えば、SiO
2、TiO
2、Al
2O
3、ZrO
2、MgO等の光反射率が高い物質を好適に用いることができる。また、所望外の波長をカットする目的で、例えば、有機や無機の着色染料や着色顔料を用いることができる。
【0049】
<発光装置1の製造方法>
(発光装置1の第1の製造方法)
発光装置1の第1の製造方法では、パッケージ100を製造する工程において(4)の工程後、又は(4)の工程の前に、パッケージ100の第1の電極10又は第2の電極20上に、発光素子200を実装する。(4)の工程の前とは、リードフレーム5から分離されていないパッケージ100の第1の電極10又は第2の電極20の上に発光素子200を実装する。
【0050】
発光素子200は、上面に一対のn電極及びp電極が形成された片面電極構造の素子である。この場合、発光素子200は、その裏面が絶縁性のダイボンド部材で第1の電極10に接合され、上面の一方の電極がワイヤ250によって第1の電極10に接続され、上面の他方の電極がワイヤ250によって第2の電極20に接続される。
【0051】
続いて、パッケージ100の第1の樹脂30の壁部31に囲まれた凹部内に第2の樹脂300を塗布し、発光素子200を封止する。このとき、第2の樹脂300を第1の樹脂30の凹部の上面まで滴下する。第1の樹脂30の凹部内に第2の樹脂300を充填する方法は、例えば、滴下、射出、圧縮や押出などを用いることもできる。ただし、滴下によれば、第1の樹脂30の凹部内に残存する空気を効果的に排出できるので、滴下により充填することが好ましい。
【0052】
(発光装置1の第2の製造方法)
なお、発光装置1の第1の製造方法では、予め発光素子200をパッケージ100の第1の電極10又は第2の電極20上に実装した後に個片化して製造したが、第2の製造方法では、予め個片化したパッケージ100を製造する工程後に、パッケージ100に発光素子200を実装してもよい。すなわち、個片化されたパッケージ100に、発光素子200を実装する。
【0053】
[第2の実施形態に係るパッケージ及び発光装置]
第2の実施形態に係るパッケージ及び発光装置について図面を用いて説明する。
図17は、パッケージの全体を示す斜視図である。
図18は、パッケージの上面図である。
図19は、
図18のXIX−XIX断面矢視図である。
図20は、パッケージの側面図である。
図21は、パッケージの側面図である。
図20はパッケージの長辺側の側面図であるのに対し、
図21はパッケージの短辺側の側面図である。
図22は、
図18のXIX−XIX線に対応した位置におけるリードフレームとモールド金型の配置を模式的に示す断面図である。
図23は、第1の樹脂注入後の
図18のXIX−XIX断面矢視図である。第2の実施形態に係るパッケージ及び発光装置は、第1の実施形態に係るパッケージ及び発光装置とほぼ同様の構成を採るところは説明を省略することもある。
【0054】
パッケージ100Aは、全体の形状が略直方体であって、有底凹部110Aが形成されている。また、パッケージ100Aは、第1の電極10Aと、第2の電極20Aと、第1の樹脂30Aと、を備えている。
第1の樹脂30Aは、壁部31Aと、鍔部32Aとを備えている。鍔部32Aは、第1のアウターリード部11Aと異なる厚みを持つ部分を有する。鍔部32Aは、平面視で第1のアウターリード部11Aの両隣において、壁部31Aから外側方に所定の幅を持つ。この所定の幅は第1のアウターリード部11Aの幅とほぼ同じ幅と、第1のアウターリード部11Aの幅よりも短い幅と、を併せ持つ。第1のアウターリード部11Aの幅とほぼ同じ幅の鍔部32Aは第1のアウターリード部11Aのすぐ隣にあり、第1のアウターリード部11Aの幅よりも短い幅の鍔部32Aは第1のアウターリード部11Aから少し離れた位置にある。
【0055】
平面視において、第1の樹脂30Aは鍔部32Aを持っている。鍔部32Aは、壁部31Aから側方に突出している。鍔部32Aは、第1の外側面101Aにある第1のアウターリード部11Aに隣接して形成され、また、第3の外側面103Aにある第2のアウターリード部21Aに隣接して形成される。第1のアウターリード部11Aの両隣の少なくともいずれか一方にある鍔部32Aの厚みは、第1のアウターリード部11Aの厚みと異なる厚みである。
【0056】
ここでは、第1のアウターリード部11Aの両隣の鍔部32Aの厚みは、第1のアウターリード部11Aの厚みよりも薄い。第1のアウターリード部11Aの隣にある鍔部32Aの厚みは、第1のアウターリード部Aの厚みに対し、0.5〜0.8倍であることが好ましい。また、第1のアウターリード部11Aの隣にある鍔部32Aの厚みは、第1のアウターリード部Aの厚みに対し、0.5〜0.8倍である部分と、第1のアウターリード部11Aの厚みと同じである部分と、を併せ持つことが好ましい。第1のアウターリード部11Aの隣にある鍔部32Aの厚みは、第1のアウターリード部11Aの厚みに対し、0.7倍以下であることが更に好ましい。
【0057】
また、第1のアウターリード部11Aの両隣の鍔部32Aの厚みは、壁部31Aの高さに対して0.005〜0.3倍であることが好ましく、0.01〜0.2倍であることがより好ましい。鍔部32Aの厚みを所定の厚みに抑えることにより、第1の樹脂30Aの4辺の蓄熱を均一にすることができる。また、第1の外側面101Aと第4の外側面104Aの交点である鍔部32Aの厚さを、第1の外側面101Aと第2の外側面102Aの交点である鍔部32A、第2の外側面102Aと第3の外側面103Aの交点である鍔部32A、第3の外側面103Aと第4の外側面104Aの交点である鍔部32Aの厚さよりと異なる厚さ、ここでは薄くすることができる。第1の外側面101Aと第4の外側面104Aの交点である鍔部32Aの厚さは、第4の外側面104Aにある鍔部32Aの厚さよりも薄いものとすることができる。
このように鍔部32Aの厚みの一部を薄く形成することでカソードマーク、又は、アノードマークとすることができる。
第1のアウターリード部11Aの厚みより薄い厚みである鍔部32Aの幅は、第1のアウターリード部11Aの幅よりも短いことが好ましい。第1のアウターリード部11Aの厚みよりも薄い鍔部32Aは欠け易いためである。
【0058】
鍔部32Aは、第3の外側面103Aの第2のアウターリード部21Aの両隣に配置されているが、鍔部32Aは、第3の外側面103Aの第2のアウターリード部21Aの両隣の少なくとも一方に配置されていてもよい。鍔部32Aは、第2の外側面102A、及び、第4の外側面104Aにも備えられているが、鍔部32Aは、第2の外側面102A、及び、第4の外側面104Aのいずれか一方に備えられていてもよい。第2の外側面102Aにある鍔部32Aの幅と、第4の外側面104Aにある鍔部32Aの幅と、は、ほぼ同じであることが好ましい。バランスよく配置されており、安定するからである。第1のアウターリード部11Aの両隣に配置される鍔部32Aの幅と、第2の外側面102Aにある鍔部32Aの幅と、は、ほぼ同じであることが好ましい。鍔部32Aの幅を同じにすることで鍔部32Aにかかる応力を均一にすることができるからである。第1のアウターリード部11Aの両隣に配置される鍔部32Aの一方の厚みは、第1の電極10Aの厚みに比べ薄いが、第1のアウターリード部11Aの両隣に配置される鍔部32Aの他方の厚みは、第1の電極10Aの厚みとほぼ同じ厚みとすることもできる。これによっても、鍔部32Aにかかる応力を均一にすることができるからである。
【0059】
上金型と下金型とで挟まされた、注入口が配置される第1の空間において、凹みへの注入口に相当する箇所は、第1のアウターリード部11Aの厚みよりも小さく開口されている。第1のアウターリード部11Aの厚みよりも小さく凹みへの注入口が開口されているため、粘度の低い第1の樹脂30Aを効率良く金型内に注入することができる。例えば、熱可塑性樹脂よりも熱硬化性樹脂の方が一般に粘度が低いため、熱硬化性樹脂を使用する際に注入口を小さくすることは極めて有効である。さらに、トランスファーモールドは、射出成形よりも樹脂の粘度が低いため、トランスファーモールドを行う際に注入口を小さくすることは極めて有効である。また、粘度の低い液状の第1の樹脂30Aを用いる場合、粒子状の光反射部材を充填させ所定の粘度となるように粘度を調整するが、光反射部材の充填量が多くなく所定の粘度まで高くならないような場合であっても注入口を小さくすることで第1の樹脂30Aを成形することができる。
第2の実施形態では、一例として、第1の樹脂30Aが例えばエポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂であるものとする。この場合、第1の樹脂30Aを注入する工程は、トラスファーモールドを用いる。トランスファーモールドでは、予め、上金型に繋がる所定の容器に、所定の大きさを有するペレット状の熱硬化性樹脂(タブレット)を入れておく。
【0060】
トランスファーモールドの場合、リードフレームは加熱された上金型と下金型とで挟み込まれる。金型は、第1の電極及び第2の電極の上に形成する壁部に相当する凹みを有し、この凹みに第1の樹脂を注入する。上金型に繋がる所定の容器に例えばピストンにより圧力を加えることにより、所定の容器から、注入口を通じて上金型の凹みに、第1の樹脂として溶融状態の熱硬化性樹脂が注入される。充填された第1の樹脂である熱硬化性樹脂を加熱する。そして、加熱により硬化した熱硬化性樹脂が第1の樹脂となる。硬化は1段階で行うこともできるが、やや低い加熱温度で仮硬化、高い加熱温度で本硬化となるよう2段階で行うことが好ましい。2段階で行うことにより強固な第1の樹脂とすることができるからである。また、粘度の低い熱硬化性樹脂であっても注入口を小さくすることで、所定の容器から金型に通じる経路に所定の圧力がかけることができ、成形し易くすることができる。
【0061】
[第3の実施形態に係るパッケージの製造方法]
第3の実施形態に係るパッケージの製造方法について、図を用いて説明する。
図24は、第3の実施形態に係るリードフレームの平面図である。
図25は、第3の実施形態に係るパッケージの製造工程の概略を示す図であり、
図24のXXV−XXV線に対応した位置におけるリードフレームとモールド金型の配置を模式的に示す断面図である。
リードフレーム5Cは、一対の第1の電極10C、第2の電極20Cを2行2列で4組配置している。第1の樹脂が入った所定の容器から所定の空間に繋がる経路は4つの管に枝分かれしている。このように所定の容器から所定の空間に繋がる経路を枝分かれすることにより、所定の容器の数を減らすことができ、製造コストを下げることができる。
【0062】
[第4の実施形態に係るパッケージ及び発光装置]
第4の実施形態に係るパッケージの製造方法について、図を用いて説明する。
図26は、第4の実施形態に係るパッケージの概略を示す図であり、パッケージの側面図である。
パッケージは第1の電極10D、第2の電極、所定の高さを有する壁部31Dを有する。第1の電極10D、第2の電極の厚みは、第1の樹脂の壁部31Dの高さの0.4〜0.6倍程度である。このように壁部31Dを所定の厚みにすることでパッケージを薄型にすることができる。
なお、第1の電極、第2の電極を固定し、壁部の高さを低くする場合の他、壁部の高さを固定し、第1の電極、第2の電極の厚みを厚くする場合を含む。第1の電極、第2の電極の厚みを厚くすることで発光素子からの放熱を向上させることができる。
【0063】
[第5の実施形態に係るパッケージ及び発光装置]
第5の実施形態に係るパッケージの製造方法について、図を用いて説明する。
図27は、第5の実施形態に係るパッケージの概略を示す図であり、パッケージの断面図である。
パッケージは、第1の電極10E、第2の電極20E、第1の樹脂30Eを有する。第1の樹脂30Eは、第1の電極10Eと第2の電極20Eとの間、及び、壁部31Eにある。第1の電極10Eと第2の電極20Eとの間の第1の樹脂30Eは第1の電極10Eよりも薄く、内側に凹んでいる。このように第1の樹脂30Eを凹ませることで、第1の電極10Eと第2の電極20Eとの短絡を効率よく防止することができる。
【0064】
[変形例1]
図7に示すリードフレーム5には、第1のアウターリード部11の両隣に第1の空間6aと第2の空間6bとが形成されており、この2つの空間に第1の樹脂30を注入するための注入口を2つ設けても良い。
図13に示すモールド金型500の上金型550において、1つの注入口555が形成されているものとしたが、第1の電極10の両隣の位置に2つの注入口を形成し、2つの注入口から第1の樹脂30を注入してもよい。
また、第1の電極10の隣だけでなく、第2の電極20の片隣または両隣に相当する位置にも注入口を設け、第1の樹脂30を注入することもできる。
2つの注入口は、1つの注入口と同様、リードフレーム5の厚みよりも大きい開口を有するものを使用することができる。
注入口の数を増やすことにより第1の樹脂30の注入時間を短縮することができる。また第1の樹脂30の注入時の圧力を低減することができる。2つの注入口から第1の樹脂30を注入し、鍔部32を広く設けた状態で2つの注入口を切除することにより、パッケージ100の裏面側の実装面が広くなり、実装安定性を向上することができる。
【0065】
[変形例2]
図7に示すリードフレーム5の形状は一例であり、例えば、第1の電極10と第2の電極20のサイズを等しくしてもよいし、互いに異なる形状としてもよい。
図8に矩形の仮想線で示すパッケージの形成予定領域600のうち左右の短辺の中央に位置する箇所のリードフレーム5に貫通孔を設けてもよい。
【0066】
[変形例3]
第1の実施形態に係るパッケージの製造方法において、(1)〜(3)の後、以下の工程を行うこともできる。
(4−2)第1の電極と第1の接続部との間の一部を切断する。
第1の樹脂を成形した後、パッケージの形成予定領域の外縁において第1の貫通孔、又は、第2の貫通孔を通るリードフレームの一部を切断する。
または、第1の樹脂を成形した後、第1の貫通孔を通り第1の電極と第1の接続部との間の一部を切断する。第1の電極と第1の接続部とを跨ぐように第1の貫通孔が配置されている。言い換えると第1の貫通孔を挟んで両隣に第1の電極と第1の接続部が配置されている。その一方の第1の電極と第1の接続部との境界を切断する。第1の貫通孔内には第1の樹脂が配置されていないため、第1の接続部のみ切断すればよい。第1の電極と第1の接続部との切断において、パッケージ側に配置されたリードフレームの一部は第1の電極となり、フレームと接続される側は第1の接続部となる。第1の貫通孔は第1の電極と第1の接続部とに跨がって配置される。第1の貫通孔を予めリードフレームに形成しておくことで、切断工程において切断面積を少なくすることができる。第1のアウターリード部11の一部が第1の貫通孔710の一部となる。
【0067】
第2の電極、第2の接続部、第2の貫通孔の切断も、第1の電極、第1の接続部、第1の貫通孔の切断とほぼ同様とすることができる。
切断はカッター、ダイサーで第1の電極と第1の接続部との間の一部の全体を一括に切断する他、複数回に分けて切断することもできる。
第1の電極と第1の接続部との切断面は、平らであることが好ましいが、切断面に凹凸があってもよい。また、切断面は第1の電極の平面に対して垂直な面であることが好ましいが、傾斜していてもよい。後のメッキ工程において、この切断面は金属で被覆される。
【0068】
(5−2)第1の電極と第2の電極を電解メッキする。
モールド金型から第1の樹脂が成形されたリードフレームを取り出し、リードフレームを電気的に接続し、第1の電極と第2の電極とを電解メッキする。リードフレームは第1の樹脂から露出されている部分のみ金属で被覆される。よって第1のアウターリード部の上面及び下面、第1の凹み部の側面、切断面、第1のインナーリードの上面及び下面、第2のアウターリード部の上面及び下面、第2の凹み部の側面、切断面、第2のインナーリードの上面及び下面にメッキが形成される。メッキは1層のみでなく、2層以上の複数層とすることもできる。複数層とする場合は、この電解メッキの工程を複数回繰り返すことにより行うことができる。
【0069】
(6−2)第1の電極と第1の接続部との間の残部を切断する。
第1の貫通孔を通り、第1の電極、特に第1のアウターリード部と第1の接続部との間の残部を切断する。また、同様に、第2の貫通孔を通り、第2の電極、特に第2のアウターリード部と第2の接続部との間の残部を切断する。
または、パッケージの形成予定領域の外縁において第1の貫通孔を通るリードフレームの残部、第2の貫通孔を通るリードフレームの残部、を切断する。
この残部を切断する工程は、注入口の注入痕を切除する工程とともに行われることが好ましい。注入痕と残部とを同時に切除することにより第1の電極の先端が鍔部と同一面にすることができる。これにより第2の空間に形成された鍔部と平面視において異なる幅とすることができる。この鍔部の幅を異ならせることでアノードマーク又はカソードマークとすることができる。
【0070】
第1のアウターリード部の上面、下面、第1の凹み部、先端の一方の側面はメッキが施されており、この残部に相当する側面はメッキが施されていない。
第1の樹脂の注入口の注入痕を切除する。
第1の樹脂を硬化又は固化した後、第1の樹脂の注入口の注入痕を切除する。また第1の樹脂とリードフレームとを切断し、パッケージを個片化する。パッケージの形成予定領域の矩形のうち左右の短辺は、リードフレーム及び第1の樹脂に当たる。切断される位置のリードフレームには、円形、楕円形状、多角形、略多角形などの切り欠き又は貫通孔を設け、切断されるリードフレームの面積を減らすこともできる。
【0071】
この実施形態では、リードフレームからパッケージを個片化する際に、パッケージの形成予定領域の短辺のリードを切断するが、第1の樹脂はフレームによって保持されている。そのため、フレームから所定の圧力をパッケージに加えることにより個片化が可能となる。第1の樹脂の注入及び硬化又は固化後には、上金型の凹み部分に第1の樹脂が充填されているので、第1の樹脂の端部分も同時に切断されることになる。
【0072】
第1の電極の隣から第1の樹脂の注入痕を切除することができる。これにより、パッケージの表面には、注入痕が残らない。この切断を行うタイミングは、発光素子を実装する前でもよいし、発光素子を実装した後でもよい。以上の工程により、パッケージを製造することができる。
鍔部の厚みを薄くすることで第1のリードフレーム及び鍔部の切断を容易にすることができる。最初に切断する第1の電極の隣の鍔部を第1の電極と同じにし、後に切断する第1の電極の隣の鍔部を第1の電極よりも厚くすることで、最初の切断を容易にすることができる。
【実施例】
【0073】
実施例として、第1の実施形態に係るパッケージを参照して説明するが、発明はこの実施例に限定されない。実施例の大きさは±10%の誤差を含む。
実施例に係るパッケージ100の大きさは、縦約2.2mm×横約1.4mm×高さ約0.7mmである。この大きさは、第1の電極10と第2の電極20も含んだ大きさである。対向する壁部31の外側面101,103間の距離は縦約2.0mmであり、第1の電極10のアウターリード部11、第2の電極20のアウターリード部21の幅は壁部31から約0.1mmである。第1の電極10、第2の電極20の厚みは0.1mmである。第1の電極10の隣に位置する鍔部32の一方の厚みは0.2mmであり、鍔部32の他方の厚みは0.1mmである。第1の電極10の隣にある鍔部32の一方の厚みのうち第1のアウターリード部11に近い側は第1のアウターリード部11と同じ厚みの0.1mmである。また、第2の外側面102、第3の外側面103にある鍔部32の厚みは0.1mmである。第4の外側面104にある鍔部32の厚みは、第1の外側面101に近い側の鍔部32の厚みは0.2mmであり、第3の外側面103に近い側の鍔部32の厚みは0.1mmである。第1の凹み部711、第2の凹み部721は、第1のアウターリード部11、第2のアウターリード部12の先端から約0.05mm内側に入る。壁部31の内側面の距離は縦約1.65mm×横1.1mmのであり、角部に丸みを有する略四角形である。
【0074】
第1の電極10、第2の電極20は、銅を母材としており、第1の樹脂30から露出する部分に銀メッキが施されている。第1の樹脂30は光反射部材が含有されたポリアミド樹脂を用い、光反射部材として酸化チタンを用いる。第2の樹脂300はシリコーン樹脂を用いる。発光素子200はサファイア基板に窒化物半導体が積層されたものを用いる。発光素子200と第1の電極10、第2の電極20とを電気的に接続するワイヤ250は主成分に金を含むものを用いる。これにより、薄型の発光装置を提供することができる。