(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態について適宜図面を参照して説明する。ただし、以下に説明する発光装置は、本開示の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本開示を以下のものに限定しない。また、一の実施の形態、実施例において説明する内容は、他の実施の形態、実施例にも適用可能である。
【0010】
本発明の実施形態に係る発光装置100について、
図1〜
図3を参照しながら説明する。なお、配線の形状及び発光素子の配置の説明のため、
図2では枠体130及び封止部材132を図示していない。また、
図3では発光装置100の支持体及び配線のみを表示しており、
図3(a)は第1配線、
図3(b)は第2配線、
図3(c)は第3配線をそれぞれ黒塗りで示している。
【0011】
図1〜
図3に示すように、本実施形態の発光装置100は、支持体102と、支持体102の表面に形成される第1配線104、第2配線106、第3配線108とを有する。
本実施形態では、調色を可能とするため、異なる3色(例えばRGB)の発光素子群をそれぞれ独立駆動できるよう、3系統の回路を有している。
図2及び
図3(a)に示すように、第1発光素子120は第1配線104にフリップチップ実装されており、第1配線104によって複数の第1発光素子120が電気的に直列または並列に接続されている。
【0012】
さらに、第1配線104上には、第2発光素子122が載置される。第2発光素子122は、第1配線104に接合材を用いて接合される。第1配線104と第2発光素子122は電気的に接続されていない。具体的には、第2発光素子122は第1配線104との接合部分である底面が、第2発光素子の半導体構造とは絶縁されており、上面に少なくとも一対の電極を有する形状とされている。第2発光素子122の底面には金属膜が形成されていることが好ましく、これにより半田等の接合部材を用いてセルフアライメント効果を得ることができる。なお、この金属膜は、半導体構造とは絶縁されている。一方、第1発光素子120は第1配線104にフリップチップ実装されるため、底面側に少なくとも一対の電極を有している。なお、本明細書においては、支持体102に発光素子が載置されたときに上側になる面を発光素子の上面といい、支持体102への載置面を発光素子の底面というものとする。
【0013】
第1配線104に載置される第2発光素子122は、電気的に接続された第1発光素子120と第1発光素子120の間に配置される。つまり、回路上隣接する第1の発光素子同士を繋ぐ配線が、第2発光素子122のダイパッド部を兼ねる構成となる。
【0014】
図4は本実施形態に係る第1配線104と第2配線106の配置例を示す簡略図である。第1配線104上に載置される第1発光素子120及び第2発光素子122は、その外形を破線とし、透過させて示している。
【0015】
第1配線104は、第1発光素子120が載置される部分となる第1ダイパッド部10を載置される第1発光素子120の数に応じて複数有している。第1ダイパッド部10は、第1発光素子120の第1電極(例えばP電極)と接続される第1部分11と、第1発光素子120の第2電極(例えばN電極)と接続される第2部分12とを有しており、それぞれ離間されて配置されている。
第1発光素子120の少なくとも一対の電極は、第1部分11及び第2部分12と、導電部材を介してフリップチップ接続される。
【0016】
第2発光素子122が載置される第2ダイパッド部20は、回路上隣接する第1の発光素子同士を繋ぐ第1配線104上に形成されている。
図4に示す例では、一方の第1ダイパッド部10の第2部分12と、第2ダイパッド部20と、他方の第1ダイパッド部10の第1部分11が繋がって形成されており、第1発光素子120は直列接続とされている。
【0017】
第2発光素子122は、第1配線104の第2ダイパッド部20に載置されている。第2発光素子122の第1配線104との接合部分は絶縁性とされており、第2発光素子122と第1配線104は電気的に接続されていない。
図4では、第2発光素子122の底面の全面が第2ダイパッド部20上に配置されている。第2ダイパッド部の形状を第2発光素子122の外形に沿うような形状とすることで、半田等を用いたセルフアライメント効果を得ることができるため好ましい。なお、第2ダイパッド部20の表面積は、第2発光素子122の底面の表面積よりも小さくされていてもよく、この場合は、第2発光素子122は第1配線104と支持体102の双方に載置される。小さく形成される場合であっても、発光素子の外形に沿う部分を設け、セルフアライメント効果を得ることが好ましい。
【0018】
ここで、第2ダイパッド部20は、第2発光素子122の底面が接している領域のことをいい、セルフアライメント効果が得られるものに限られない。例えば、
図6に示すように、第2ダイパッド部20は、第1ダイパッド部10を繋ぐ線状のパターンであってもよい。
【0019】
第2発光素子122は、第1配線104とは電気的に接続されない第2配線106と電気的に接続される。具体的には、第2発光素子122の上面側に配置された少なくとも一対の電極と第2配線106とがワイヤにより電気的に接続される。なお、
図4では1つの第2発光素子122の一対の電極が、それぞれ第2配線106とワイヤにより接続されているが、第2発光素子同士を複数ワイヤで接続したものを第2配線106と接続してもよい。
【0020】
図5に、第1発光素子120が並列接続されている例を示す。
この場合は、2つの第1ダイパッド部10の第2部分12同士が、第2ダイパッド部20を挟んで繋がって形成されることで、第1発光素子120を並列接続することができる。
【0021】
以上に述べたように、第1発光素子120を駆動させる配線に、電気的に非接続な状態で第2発光素子122が載置されることにより、配線の多層化を抑制し、限られた領域内で異なる色の発光素子を独立駆動させつつ、分散させて配置することができる。これにより、特定の発光色が偏って配置されることによって生じる色ムラを抑制することができる。また、配線を単層配線とすることでコストの上昇を抑制することができ、多層配線を前提とする場合でも積層数を抑制する事で同様の効果を得ることができる。
【0022】
さらに、第1発光素子、第2発光素子とは異なる発光色の第3発光素子を用いてもよい。第3発光素子124は、第1及び第2配線とは独立して制御される第3配線により駆動されることが好ましい。RGB3色の発光素子を用いることにより、フルカラーが発光可能な調色タイプの発光装置とすることができる。
【0023】
また、第3発光素子は第3配線30にフリップチップ実装され、前記第3配線によって電気的に接続され、電気的に接続された複数の第3発光素子の間に位置する第3配線に、第2発光素子が前記第3配線とは電気的に非接続な状態で載置されていてもよい。これにより、第3配線上にも第2発光素子を配置することができるため、3種類の発光素子を分散して配置することが容易となる。
【0024】
なお、フリップチップ実装を採用することで、発光素子から生じる熱の放熱性が向上するため、発光素子により多くの電流を流すことが可能になる。これにより、用いる発光素子の数を低減することができる。それぞれの発光素子の個数及び発光色は、発光装置の発光色を考慮して適宜選択することができる。
【0025】
第1発光素子120の電極の平面形状は、第1ダイパッド部10の平面形状と略一致していることが好ましい。また、第2発光素子122の底面の平面形状は、第2ダイパッド部20の平面形状と略一致していることが好ましい。これにより、接合部材を用いて発光素子を実装する際に、セルフアライメント効果を用いて第パッド部と発光素子の位置合わせが容易となる。位置合わせ精度を向上することができるため、高密度実装が可能となる。高密度実装により発光径を小さくすることができる。例えば、発光径を小さくし、かつ光束を高くするため、隣接する発光素子の間隔は0.1mm〜0.5mmであることが好ましい。
【0026】
次に、
図2及び
図3を参照して、RGBの発光素子を用いた調色可能な発光装置の例を説明する。
図2の例では、第1発光素子として青色発光素子、第2発光素子として赤色発光素子、第3発光素子として緑色発光素子を用いている。各色の発光素子は、それぞれ第1配線104、第2配線106、第3配線108により独立制御が可能な配線とされている。
図3(a)で黒塗りされているのが第1配線104、
図3(b)で黒塗りされているのが第2配線106、
図3(c)で黒塗りされているのが第3配線108である。
【0027】
図2に示す第1発光素子120は11直列に接続されており、第2発光素子122は14直3並列に接続されており、第3発光素子は9直3並列に接続されている。
【0028】
図2及び
図3に示すように、第2発光素子122は、第1配線104及び第3配線108の双方に分散して配置されている。また、それぞれの配線は外部接続端子を一対にするために、枠体130、すなわち発光領域の外側において、他の配線のいずれか一方を跨ぐように、ジャンパー抵抗134により電気的に接続されている。
【0029】
第1〜第3配線は、支持体102の上面端部に、それぞれ一対の電極パッド4、6、8を有している。また、第1配線及び第3配線には、保護素子126が載置され、発光素子と逆並列になるよう、電気的に接続されている。
【0030】
以下、本実施の形態に係る発光装置100の好ましい形態について説明する。
【0031】
(支持体)
支持体102は、表面に配線を有し、発光素子を載置する台座となる部材である。コストを抑える観点から、絶縁部材からなる平板状であることが好ましいが、発光素子を載置する部分に凹部を有するものであってもよい。
【0032】
支持体102の材料としては、劣化の少ない材料である無機部材であることが好ましく、特にセラミックスが好ましい。セラミックスの材料としては、例えば、アルミナ、ムライト、フォルステライト、窒化アルミニウム(AlN)、炭化ケイ素(SiC)、低温同時焼成セラミックス(LTCC)等が挙げられる。なかでも、放熱性を高めるという観点から窒化アルミニウムを用いることが好ましく、熱伝導率が160W/m・K以上の部材を用いることが好ましく、170W/m・K以上の部材を用いることがより好ましい。
【0033】
また、支持体自体の反射率を高くしたい場合は、支持体102は、アルミナ、イットリア、ジルコニア、チタニア、ダイヤモンド、酸化カルシウム、および硫酸バリウムなど無機材料の粒子が互いに一部分で一体化されることで多数の空隙を有する多孔質に形成されていてもよい。これにより、空気とこれらの材料間の屈折率差で反射率を向上させることができる。例えば、波長450nmにおける反射率が80%以上のものが好ましく、85%以上のものがより好ましい。
【0034】
また、セラミックスの他、本実施形態に適用可能な材料として、樹脂を材料とすることができる。このような樹脂材料としては、脂肪族ポリアミド樹脂、半芳香族ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンテレフタレート、液晶ポリマー、ポリカーボネート樹脂、シンジオタクチックポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリアリレート樹脂等の熱可塑性樹脂、ポリビスマレイミドトリアジン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ変性樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂から形成されてもよい。
【0035】
本実施形態では、支持体102は平面視で長方形の外形を有する例を説明したが、これに限定されず、正方形や多角形であってもよい。
【0036】
(第1配線及び第2配線)
支持体102の表面には、第1配線104及び第2配線106が形成されている。配線は、発光素子に電力を供給するための導電性部材であり、第1配線104は第1発光素子120と、第2配線106は第2発光素子122とそれぞれ電気的に接続される。
また、基板の端部に外部電源を印加するためのパッド部を有していてもよく、パッド部にコネクタを接続して、コネクタを介して外部電源を供給してもよい。
【0037】
支持体102としてセラミックスを用いる場合、配線は金属層として形成される。例えば、支持体102の表面に高融点金属からなるメタライズ層を形成して、コファイア法により全体を焼成することで形成してもよいし、焼結した支持体102上に、各種ペーストを塗布したり、スパッタで金属膜を積層したりするポストファイア法により形成してもよい。また、金属層を基板の表面に形成した後、ドライフィルムレジストを用いたエッチング等により、配線パターンを形成してもよい。
【0038】
セラミックスに形成する配線の材料としては、W、Mo、Ti、Ni、Au、Cu、Ag、Pd、Rh、Pt、Sn等を主成分とする金属又は合金層を支持体に配置することによって形成される。具体的には、蒸着、スパッタ、印刷法等により、さらに、その上にめっき等により形成することができる。劣化が少なく、接合部材との密着性の観点から、Auを主成分とする金属を配線の最表面に用いることが好ましい。
【0039】
さらに、放熱性を高めるために熱伝導率の高いCuを他の金属よりも厚く形成してもよい。例えば、25μm以上のCuを含有する層を形成することが好ましい。
【0040】
また、支持体102の材料として樹脂を用いる場合は、樹脂を半硬化したプリプレグに金属板を張り付けて熱硬化させ、その後フォトリソグラフィー法等を用いて金属板を所望の形状にパターニングすることで導電部材を形成することができる。この場合も、さらに表面をめっきしてもよい。
【0041】
なお、導電部材を形成する際に、合わせて位置決め用のマークや、極性を示すマーク、温度測定用のパターンを同時に形成してもよい。本実施形態では
図2に示すように、温度測定用パターンTPが形成されている。
【0042】
(発光素子)
発光素子(第1発光素子120及び第2発光素子122)は、例えばLED素子等の半導体発光素子を用いることができる。
【0043】
発光素子の正負一対の電極は、半導体積層体の同一面側に形成されている。これにより、第1配線104の第1ダイパッド部10と発光素子の正負の電極を対向させて接合するフリップチップ実装を行うことができる。
【0044】
発光素子の正負の電極は、例えば、Au、Pt、Pd、Rh、Ni、W、Mo、Cr、Ti等又はこれらの合金の単層膜又は積層膜によって形成することができる。具体的には、半導体層側からTi/Rh/Au、W/Pt/Au、Rh/Pt/Au、W/Pt/Au、Ni/Pt/Au、Ti/Rh等のように積層された積層膜が挙げられる。膜厚は、当該分野で用いられる膜の膜厚のいずれでもよい。
【0045】
発光素子は、紫外光または可視光を出射するものであってよい。第1発光素子と第2発光素子の発光色を異ならせることにより、各色を独立制御して、調色可能な発光装置とすることができる。なお、発光素子の他に、保護素子等を備えていてもよい。保護素子はワイヤで接続してもよいし、フリップチップ実装してもよい。
【0046】
また、発光素子は所望の発光色のものを用いることができる。例えば、蛍光体等の波長変換部材を有する発光素子を用いてもよく、これにより白色発光が可能な発光素子としてもよいし、青色発光素子と赤色蛍光体を用いて赤色発光素子としてもよい。
【0047】
(接合部材)
接合部材は、発光素子を第1配線104に固定する部材である。
接合部材は、当該分野で公知の材料のいずれをも用いることができる。第1発光素子120をフリップチップ実装する場合は、導電性の接合部材が挙げられる。具体的には、例えば、錫-ビスマス系、錫-銅系、錫-銀系、金-錫系などの半田(具体的には、AgとCuとSnとを主成分とする合金、CuとSnとを主成分とする合金、BiとSnとを主成分とする合金等)、共晶合金(AuとSnとを主成分とする合金、AuとSiとを主成分とする合金、AuとGeとを主成分とする合金等)銀、金、パラジウムなどの導電性ペースト、バンプ、異方性導電材、低融点金属などのろう材等が挙げられる。なかでも、半田を用いることにより、高精度のセルフアライメント効果を発揮させることができる。
【0048】
第2発光素子122を接合する材料としては、第2発光素子との絶縁性が確保できる場合は第1発光素子の場合と同様に導電性の接合部材を用いることが好ましい。これにより、セルフアライメント効果を得ることができる。また、絶縁性を確実に確保するために、絶縁性の接合部材を用いてもよい。
【0049】
(枠体)
枠体130は、
図1に示すように、支持体102上において発光素子の周囲を囲うように枠状に形成される。この枠体に囲まれた領域に、後述する封止部材132を充填することにより、発光素子を封止部材で被覆する。
枠体は光反射性を有することが好ましい。枠体は、例えば、絶縁性の樹脂に光反射部材を含有させたものを用いることが好ましい。また、ある程度の強度を確保するために、例えば熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等を用いることができる。より具体的には、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、BTレジンや、PPAやシリコーン樹脂などが挙げられる。保護素子等の非発光デバイスを基板に実装する場合には、光吸収の原因となるため、光反射性を有する枠体内に埋設することが好ましい。このような枠体は、ディスペンサで樹脂を吐出しながら描画する方法や、樹脂印刷法、トランスファー成形、圧縮成形などで形成することができる。
【0050】
枠体の光反射率が、配線部の光反射率よりも高い場合、配線部を覆うように枠体を形成することが好ましい。
【0051】
(封止部材)
封止部材132は、電気的絶縁性を有し、発光素子から出射される光を透過可能であり、かつ固化前は流動性を有する材料であることが好ましい。封止部材の光透過率は、好ましくは70%以上である。光透過性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリノルボルネン樹脂、またはこれらの樹脂を1種以上含むハイブリッド樹脂等が挙げられる。中でも、シリコーン樹脂は、耐熱性や耐光性に優れ、固化後の体積収縮が少ないので好ましい。封止部材132には、発光素子が発する光の少なくとも一部により励起されて発光素子の発光波長とは異なる波長の光を発する波長変換部材を含んでもよい。