(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2導電部材配置工程の後、前記第1導電部材、前記絶縁部材及び前記第2導電部材に圧力を加える加圧工程を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の配線基体の製造方法。
前記切断工程により露出された、前記第1導電部材及び前記第2導電部材の露出面に金属膜を形成する金属膜形成工程を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の配線基体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の実施の形態について適宜図面を参照して説明する。ただし、以下に説明する配線基体は、本開示の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本開示を以下のものに限定しない。また、一の実施の形態、実施例において説明する内容は、他の実施の形態、実施例にも適用可能である。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を容易にするため、誇張していることがある。
【0010】
<第1実施形態>
図1〜5は本実施形態に係る配線基体100の製造過程を示す概略図であり、
図6は配線基体100の概略図である。本実施形態による配線基体の製造方法は、第1導電部材準備工程と、絶縁部材被覆工程と、第2導電部材配置工程と、切断工程を有する。
【0011】
(第1導電部材準備工程)
第1導電部材準備工程では、例えば
図1に示すように円柱状の第1導電部材30aを複数準備する。本実施形態では、第1導電部材30aの他に、第1導電部材と略同じ形状のスペーサ部材40aも準備する。スペーサ部材40aは、本実施形態では、その表面が絶縁性を有している。つぎに、例えば、シート状の絶縁部材の上に所定の周期で第1導電部材30a及びスペーサ部材40aを第1導電部材30aの長手方向の側面とスペーサ部材40aの長手方向の側面とが略平行になるように並べて配置する。
図1では、2本の第1導電部材30aの間に1本のスペーサ部材40aが配置され、2本の円柱状の第1導電部材30aの外側にもスペーサ部材40aが配置されている。
【0012】
(絶縁部材被覆工程)
第1導電部材準備工程の後、例えば、
図1では複数の楕円形の開口部20aを設けた可撓性を有するシート状の絶縁部材10aにより第1導電部材30aおよびスペーサ部材40aの長手方向の側面が被覆される。これにより、シート状の絶縁部材10aが、第1導電部材30aおよびスペーサ部材40aの側面に接して、開口部20aから第1導電部材30aの円柱側面の一部が見えることとなる。開口部20aは、所定の位置の第1導電部材30aの上の長手方向に沿ってそれぞれ離間して複数形成されている。
【0013】
(2回目の導電部材等配置工程及び絶縁部材被覆工程)
次に
図2に示すように、隣接する第1導電部材30aとスペーサ部材40aの間の絶縁部材10aの上に第1導電部材30bおよびスペーサ部材40bを配置する。第1導電部材配置工程で配置された1段目の第1導電部材30aと、絶縁部材10aを介して2段目に配置される第1導電部材30bの間には開口部20aは形成されていないため、第1導電部材30aと30bは導通しない。2段目に配置される第1導電部材30bおよびスペーサ部材40bを被覆するように、絶縁部材被覆工程と同様に開口部20bを有する絶縁部材10bを配置する。このとき、1段目を覆う絶縁部材10の開口部20aに対応する2段目を覆う絶縁部材10bの開口部20bの開口部が1段目を覆う絶縁部材10aの開口部20aと重なるように配置する。
【0014】
(第2導電部材配置工程)
絶縁部材被覆工程の後、絶縁部材10aと絶縁部材10bが重なる開口部20a、20bの上を含む所定位置に、例えば、第1導電部材30a、30bと同材質で同形状の第2導電部材50を、第1導電部材30a、30bの長手方向の側面と第2導電部材50の長手方向の側面とが略平行になるように配置する。1段目に配置された第1導電部材30aと、3段目に配置された第2導電部材50とは、開口部を介して隣接するように配置される。ここでも、第2導電部材50と略同じ形状のスペーサ部材40cを第2導電部材50の間に配置することができる。
図3では、2本の円柱状の第2導電部材50の間に1つのスペーサ部材40cが配置され、2本の円柱状の第2導電部材50の外側にもスペーサ部材40cが配置されている。配線の設計に依存して、3段目に第2導電部材50、スペーサ部材40c及び第1導電部材が配置されてもよい。
【0015】
本実施形態では、第1導電部材30a、30b、第2導電部材50、スペーサ部材40a、40b、40cの形状を同形状のものとして説明したが、同形状でなくてもよく、配列及び積み重ねに適した形状であればよい。例えば板状、六角柱形状などでよい。
【0016】
なお、第1導電部材30aは、絶縁部材被覆工程の前に準備され配置される導電部材(以下、第1導電部材および第2導電部材をまとめて「導電部材」ということがある)であり、第2導電部材50は、絶縁部材被覆工程の後に絶縁部材10aの開口部20aの上に配置される導電部材である。つまり、第1導電部材30aと第2導電部材50は絶縁部材10aと開口部20aを挟んで配置されている。ここで、「第1」および「第2」は相対的なものである。つまり、第2導電部材配置工程の後に絶縁部材被覆工程を経て、開口部を挟んで導電部材が配置されれば、「第2導電部材」と呼ばれた導電部材は「第1導電部材」と呼び名が変わる。
図2は2回目の絶縁部材被覆工程の後を表し、
図3は3回目の絶縁部材被覆工程の後を表し、
図4(A)〜(C)は、第2導電部材配置工程と絶縁部材被覆工程を所定回数繰り返した後を表している。
図4(C)に示されるように、複数の導電部材及びスペーサ部材が束状になることで、積層体90が形成される。
【0017】
(加圧工程)
第2導電部材配置工程と絶縁部材被覆工程を所定回数繰り返した後、例えば、
図4(C)に示される積層体90の側面方向および/または上下面方向から圧力をかけて、導電部材及びスペーサ部材を変形させて積層体90内部において空隙を減らし、絶縁部材に設けた開口部において隣接する導電部材を接触または接続するとともに、配線基体の気密性を高めることができる。必要に応じ、加圧と同時に加熱してもよい。加圧工程を行う場合、導電部材は、例えば、銅クラッドアルミ線のような柔らかい金属線が適する。加圧工程は、積層体90を形成した後に設けることも、第2導電部材配置工程の後に設けることもできる。本実施形態では
図3に示すように1段目に配置された第1導電部材30aと3段目に配置された第2導電部材50とが接触または接続されるが、開口部20a、20bの形成箇所を変更することで、1段目と2段目の導電部材を接触または接続させてもよい。
図4において形成される積層体90では、導電部材とスペーサ部材とが六方最密配置とされている。
【0018】
(接合工程)
絶縁部材10aに設けた開口部20aにおいて、隣接する第1導電部材30aと第2導電部材50を、開口部20aで電気的及び機械的に接続する工程を有していてもよい。第1導電部材30aと第2導電部材50の接合は、圧接、融着、半田付け、導電性接着剤による接着などの接続方法を適宜用いることが出来る。接続方法に応じて、加圧、加熱、乾燥など適宜接続条件を選べばよく、前述した加圧工程がこれを兼ねていてもよい。
【0019】
また、半田箔または半田ペーストや銀ペースト等の導電性の接合材を開口部に配置してもよい。接合材の配置は、絶縁部材被覆工程と第2導電部材配置工程の間に、接続方法に応じて設けることができる。導電部材同士を開口部で接合することにより、導電部材が配線の一部を形成する。
【0020】
さらに、配線基体の機械的強度や放熱性を確保するため、スペーサ部材同士を絶縁部材に設けた開口部を介して接続してもよい。
【0021】
(切断工程)
切断工程では、例えば、加圧、接合工程を経た
図4(C)に示される積層体90を厚さ1.6mmで切断(スライス)し、
図5に示される配線基体100を形成する。切断の厚みは、例えば0.5mm〜10mm程度であってよい。切断は、第1導電部材30a、30b、第2導電部材50及びスペーサ部材40a、40b、40cの柱状の中心軸に対して略90°で行うことができる。なお、略90°に限られず、第1導電部材30a、30b、第2導電部材50及びスペーサ部材40a、40b、40cの柱状の中心軸と切断面が交わるように切断してもよい。これにより、切断面に複数の絶縁部材、導電部材及びスペーサ部材の切断面が露出される。切断により
図5に示すように、絶縁部材10、導電体130及びスペーサ片140が略面一に配置された平板状の配線基体100が形成される。この切断されて露出する面が、発光素子等の半導体素子載置面となる。
【0022】
ここで、導電体130は第1導電部材、第2導電部材50を切断(スライス)して形成されるもので、スペーサ片140はスペーサ部材40a、40b、40cを切断(スライス)して形成されるものである。切断する方法としては、丸鋸等の鋸、トムソン刃等によるほか、レーザ加工等によるスライシング等が挙げられる。また、切断工程には切断後の後処理としてバリ取り作業が含まれることがある。
【0023】
(金属膜形成工程)
切断工程において切断されて露出された配線基体100の露出面のうち、半導体素子載置側の面(以下、「表面」ともいう)あるいはその裏面の所定の領域に、メッキやスパッタ等、または金属箔の貼り付け等によって金属膜を形成してもよい。金属膜の材料としては、金属膜が半導体素子又は発光装置の外部と接続端子(例えばコネクタ)等を介して接続されることから、導電性の高いものや、機械的及び電気的な接続性が高いものが好ましい。また、半導体素子が発光素子の場合は、金属膜には光反射性の高い材料(例えば、Ag等)を用いることが好ましい。金属膜は全ての導電体に形成しなくてもよく、例えば半導体素子もしくは外部接続端子の載置領域あるいはその周囲などの必要な領域に形成されていればよい。金属膜の形成は任意であり、導電体の材質や構成によっては形成されなくてもよい。
【0024】
(絶縁保護被膜を形成する工程)
配線基体100の半導体素子載置側の面あるいはその裏面の所定の領域に、塗布あるいは貼り付け等によって
図6に示すように絶縁保護被膜160を形成してもよい。図示しないが、
図6の配線基体100の裏面全面に配線基体として必要な絶縁距離(沿面距離および空間距離)を確保するため、絶縁保護被膜が形成される。半導体素子が発光素子の場合は、配線基体100は表面に光反射機能を有することが好ましく、例えば、白色フィラーを配合したBステージエポキシ樹脂、白色ワニスや、接着層付白色ポリイミドフィルムなどの白色フィラーを配合した耐熱性樹脂フィルム(例えば、アラミド樹脂フィルム、ポリアミドイミド樹脂フィルム、等)に接着性を付加したもの等を用い、配線基体の半導体素子載置側の面の所定の領域に絶縁保護被膜160として、絶縁性光反射層を形成することができる。配線基体100は裏面に熱伝導性を有することが好ましく、例えば、厚み方向に熱伝導性有機繊維を配向させた高熱伝導絶縁シート等を用い、配線基体の裏面の所定の領域に絶縁保護被膜160として、絶縁性高熱伝導層を形成することができる。
【0025】
(発光素子を搭載する工程)
上記の工程を経て得られた
図6に示す絶縁性保護被膜付配線基体に、
図7に示すように発光素子200を載置する。本実施形態においては、
図7に示すように、正負一対の電極を発光面に対向する側に備える発光素子200を、配線基体100の半導体素子載置側の面に4直列が2並列になるように実装する。この時、導電体130の上に形成される一つの金属膜あるいは導電体と一つの発光素子200の正または負の電極がそれぞれ電気的に接続される。発光素子載置用の配線基体100と発光素子200との間の導電接続手段としては、半田や異方性導電ペースト等を用いることができる。ここで、発光素子200は、LEDチップであってもよく、パッケージングされたLEDであってもよい。
【0026】
本実施形態に係る配線基体100は、導電部材を切断して個片化された導電体130(金属片)を絶縁性樹脂フィルム等の絶縁部材10の開口部を通して接合して配線とすることにより、任意の配線パターンを形成することができる。これにより、複数の発光素子200の配線が可能となる。また、導電体130が配線基体100の底面近傍まで延在するため、低い電気抵抗(良好なコンダクタンス)と共に、ヒートシンク機能と高い放熱性を備える配線基体を得ることが出来る。
【0027】
また、本実施形態の配線基体の製造方法によれば、金属箔をエッチング等により加工して製造する従来のプリント配線板(PWB)の場合の加工で排出される廃液や廃棄物を生成することなく、配線基体を作ることが出来るため、廃棄物処理費用を削減することが出来る。
【0028】
以上では、単層の配線基体の製造方法を述べたが、所定の単層の配線基体を複数枚貼り合わせて、両面あるいは2層以上の配線基体としてもよい。
【0029】
<第2実施形態>
第2実施形態は
図8〜13に示すように、第1導電部材30aと第2導電部材50とを、開口部20aを有する絶縁部材10aを介して積層する。スペーサ部材40a、40b、40cとして導電部材と同材質で同形状のものを用いる以外は第1実施形態と同様に形成することができる。
本実施形態によれば、スペーサ部材が導電部材からなるので、低い電気抵抗を有すると共に、より高い放熱性を備える配線基体を得ることができる。
【0030】
<第3実施形態>
第3実施形態では
図14に示すように、配線となる一部の導電部材として、丸管及び/又は樹脂コアの外側に金属層が形成された導電部材を配置し、第1実施形態と同様に配線基体とすることで軽量化を図っている。
図14Aは本実施形態の配線基体の斜視図であり、
図14Bは
図14AのA−A´における断面図である。樹脂コア32の側面外側に金属層34が形成された導電部材を切断することで、樹脂コア導電体132となり、丸管を切断することで貫通孔含有導電体134となる。本実施形態では、シート状の絶縁部材10に設けた開口部に例えば半田等の導電性の接合材136を配し導電部材同士の電気的接続を図り配線形成している。
【0031】
貫通孔含有導電体134の貫通孔内面は導電部材であり、さらに切断面に金属膜33をメッキで形成してもよい。これにより、スルーホールを有する配線基板とすることができるため、リード部品(アキシャル部品やラジアル部品など。具体的には、砲弾型LED、キャンパッケージ、DIPなど)を実装することが可能となる。
【0032】
<第4実施形態>
第4実施形態では、樹脂被膜で覆われた導体を帯状に束ねたフラットケーブルもしくはフレキシブルフラットケーブル(Flexible Flat Cable:FFC)の絶縁部材である樹脂被膜の所定領域を除去した開口部に導体(例えば、錫めっき丸銅線、錫めっき軟銅箔)を露出させたものを複数準備し、向きをそろえて積み重ね固定し積層体(束)を形成する。開口部を介して隣接する導体を電気的に接続し、積層体(束)を切断(スライス)することで配線基体の半導体素子搭載面を形成する。
【0033】
第1実施形態では、導電体の上に絶縁部材を重ねることで積層体を形成しているが、本実施形態ではあらかじめ導電体130を絶縁部材10で挟んで積層されたフラットケーブルもしくはフレキシブルフラットケーブルを重ねることで積層体を構成する。
【0034】
図15Aは第4実施形態の積層体をスライスして配線基体としたものであり、
図15Bは
図15AにおけるB−B´断面図である。絶縁部材10の所定の箇所に開口部が形成されており、開口部に導電ペースト等の接合材136を充填することで、導電体130同士を電気的に接続して配線形成している。
本実施形態にかかる製造方法で作られる配線基体は、第1実施形態にかかる製造方法で作られる配線基体と同等の放熱性及び電気伝導性を備えることができる。
【0035】
以下に、実施の形態の発光装置の各構成部材に適した材料等について説明する。
(絶縁部材)
絶縁部材は耐熱性を有することが好ましい。さらに、UL94格付けV−0程度、またはVTM−0程度の難燃性を備えることが好ましい。例えば、絶縁性樹脂フィルム、絶縁性樹脂膜、絶縁性樹脂シート、LTCC用セラミックグリーンシートなどである。切断工程の前までは導電部材の側面を覆い、切断工程後は導電体の側面を覆う。絶縁部材の厚さは例えば10〜100μmとすることができる。接着性を絶縁部材表面に備えていてもよく、これにより絶縁部材の上に配置する導電部材や絶縁部材を仮固定することができる。絶縁部材に設ける開口部の大きさは、例えば0.1mm
2とか1mm
2とかにすることができる。導電部材の幅よりも大きく形成されていてもよく、2以上の導電部材および/またはスペーサ部材に跨るように1つの開口部が形成されていてもよい。開口部の形状は、円形、楕円形、矩形など所望の形状とすることができる。
【0036】
発光素子を載置する配線基体の場合、絶縁部材は発光素子からの光を吸収しにくく、光劣化および熱劣化しにくい材料でからなることが好ましい。フィラー等を含有し光反射性または遮光性を備えていてもよい。
【0037】
(導電部材)
第1導電部材30a、30bおよび第2導電部材50は、切断(スライス)により得られる配線基体の数を多くするために、柱状であることが好ましい。柱状形状の切断により得られる断面の外形は、円形、楕円形の他、三角形、四角形、六角形などが好ましい。これらの形状とすることにより、導電部材を積層する際に隣接する導電部材間の空隙が少なく、隣接する導電部材同士の間隔を狭くすることができるため、隣接する導電部材同士の接合にとって好ましい。柱状形状の断面外形が円形の場合は、導電部材は丸線となり、断面外形が矩形の場合は平角線となる。また、単線に限らず撚り線(例えば、スズメッキ軟銅線等の撚り線)を用いることもできる。
【0038】
導電部材は、電気伝導性及び熱伝導性が良好であること、具体的には銅、銀、アルミニウム、スズ、金、白金、各種半田またはこれらの合金などの材料を含むことが好ましい。導電部材は、高い熱伝導性が必要な場合以外は均一材料から構成されなくてもよく、層構造を備えていてもよい。導電部材が層構造を備える場合、表層(最外層)は電気伝導性が良好な材料で、内部は電気伝導性に関わらず軽量な材料(例えば、アルミニウム、樹脂)または空隙であることが、配線基体の軽量化に寄与するため好ましい。
【0039】
導電部材表面は平滑であることで、表面積が減ることによる酸化物等の導電性阻害物質の形成抑制ができるため、電気的接続に望ましい。酸化物等の導電性阻害物質の形成抑制のための表面メッキがほどこされていてもよい。第1導電部材と第2導電部材は必ずしも同材質または同構造に限られないが、配線の一部となるため電気伝導性が良好であることがともに好ましく、異種金属接触腐食を防止するためには導電部材表面が同種金属であることが好ましい。
【0040】
(導電体)
導電体130は、導電部材を切断(スライス)することで形成される。絶縁部材を切断したものであるため、前述した導電部材と同じ材料を用いることができる。
【0041】
導電体表面は平滑であることで、表面積が減ることによる酸化物等の導電性阻害物質の形成抑制ができるため、電気的接続に望ましい。発光素子等の半導体素子を搭載する導電部材断面からなる導電体表面は半導体素子との電気接続性が高いことが望ましく、半導体素子が載る導電部材断面からなる導電体表面に金属膜をメッキ等の手法で形成し、電気接続性を高めることができる。つまり、導電体表面は、半田濡れ性の高いことや半田材との合金化がしやすいことが好ましい。また、発光素子を載置する導電部材断面からなる導電体表面は搭載される発光素子から発せられる光に対する反射性が高いことが光取り出し効率を高くするために好ましい。さらに、光取り出し効率を高くするために発光素子と導電部材断面からなる導電体表面との間にアンダーフィルとして光反射部材を設けることがある。
【0042】
(スペーサ部材、スペーサ片)
スペーサ部材を切断(スライス)して形成するスペーサ片は、配線基体を構成する部材であり、通電する配線とならない配線基体の支持部分に配置される。スペーサ部材及びスペーサ片は、通電しないため絶縁性でも導電性でもよい。絶縁部材との接着性が良好で、所定の機械的強度があり、導電部材(導電体)より密度が低い(すなわち、軽量である)ことが配線基体の機械的強度の確保と軽量化に好ましい。例えば、スペーサ部材となる樹脂製の線材を切断(スライス)した樹脂片は、スペーサ片となりうる。なお、本実施形態において、スペーサ部材及びスペーサ片は必ずしも用いる必要はない。半導体素子が底面に通電されないヒートシンクを備えるパッケージングされたLED等の場合、ヒートシンクに熱的に接続されるスペーサ部材及びそれに隣接するスペーサ部材は熱伝導性がよいものであることが半導体素子の放熱のために好ましい。
【0043】
発光素子を載置する配線基体の場合、発光素子を載置する領域近傍のスペーサ片は発光素子からの光を吸収しにくく、光劣化および熱劣化しにくい材料でからなることが好ましく、フィラー等を含有し遮光性とくに光反射性を備えることが好ましい。
【0044】
(金属膜)
金属膜は、絶縁部材、導電部材及びスペーサ部材を積層した積層体を切断(スライス)し露出された、導電体及び/またはスペーサ片若しくは絶縁体の断面の所定領域に形成される導電性の膜である。半導体素子あるいは外部接続端子との電気接続性を高めるため、また、半導体素子が発光素子の場合は光反射性を高めるために、配線基体の所定領域に形成される。金属膜は、半導体素子と電気的に接続される場合は電気伝導性及び熱伝導性が良好であること、具体的には銅、銀、アルミニウム、スズ、金、白金、各種半田などを最も外側の膜に含むことが好ましい。
【0045】
(絶縁性光反射層)
絶縁性光反射層は、半導体素子が発光素子の場合は光反射性を高めるため配線基体の発光素子載置側の面の発光素子からの光が照射される領域を覆う。載置する発光素子の発光波長に対して反射率が高いことが好ましく、例えば搭載する発光素子からの出射光に対する反射率が70%以上となるように設定されることが好ましい。また、導電体の発光素子からの出射光に対する反射率よりも絶縁性光反射層の反射率が高いことが好ましい。
【0046】
(絶縁保護被膜)
配線基体の表面(半導体素子載置側の面)及び裏面の絶縁保護被膜としてはワニス、ソルダーレジスト、永久レジスト等の塗膜やフィルム状若しくはシート状の半硬化材を用いることが出来る。裏面に設け導電体を露出させる場合、例えば、感光性フィルムレジストのように感光性を備えるものでもよい。
【実施例1】
【0047】
第1導電部材であるφ1.2mmスズメッキ銅線(丸線)を複数準備する。フィルム状の絶縁部材(0.1mm厚)およびその他の部材も準備する。次に、絶縁部材である光反射性絶縁フィルムの所定位置に、スズメッキ銅線(丸線)を等間隔(例えば、丸線の直径の√3倍+絶縁フィルム厚の2倍≒2.3mm周期)に平行に、例えば100本並べ配置する。光反射性絶縁フィルムは、例えば、Bステージエポキシ樹脂の接着シートを用いることができる。接着シートには熱伝導性を高めるためにアルミナ等の無機フィラーが含有されていてもよい。
【0048】
所定位置に所定寸法および所定形状の開口部(例えば、φ0.4mmとすると開口部面積約0.126mm
2)を備えた光反射性絶縁フィルムを、配置したスズメッキ銅線(丸線)の上に重ね被覆する。その後、開口部を半田箔または半田ペーストで埋める。
【0049】
第1導電部材を被覆した光反射性絶縁フィルムの上の所定位置に、第2導電部材であるスズメッキ銅線(丸線)を等間隔(例えば、2.3mm周期)に平行に並べ配置する。このように、スズメッキ銅線の配置と光反射性絶縁フィルムの被覆を所定回数繰り返して、スズメッキ銅線(丸線)と光反射性絶縁フィルムの積層体(束)を形成する。この積層体の断面において、スズメッキ銅線(丸線)は三角格子点に配され、六方最密配置とする。スズメッキ銅線(丸線)とスズメッキ銅線(丸線)との間に光反射性絶縁フィルムが存在する。光反射性絶縁フィルムの開口部はスズメッキ銅線(丸線)の上の所定位置に存在し、その開口部で隣接する丸線により半田箔または半田ペーストを挟持する。
【0050】
積層体の周囲から圧力をかけ、例えば、100〜200℃、0.5〜数時間程度、加熱保持して光反射性絶縁フィルムを硬化させ、積層体を固める。十分な圧力を掛けると、スズメッキ銅線(丸線)の断面形状が円形から六角形に変形し、積層体内部に空隙をなくし、積層体を切断して形成する配線基体の気密性を高めることができる。
【0051】
半田箔または半田ペーストが融ける程度の熱を加えて半田を溶融し、その後冷却して、光反射性絶縁フィルムの開口部にて隣接するスズメッキ銅線同士を、半田を介して電気的に接合する。加熱時の雰囲気としては、水素含有窒素雰囲気(還元性雰囲気)とすることが半田の酸化を抑制するために好ましい。
【0052】
その後、所定位置で積層体を1.6mm厚に切断(スライス)し、配線基板を形成する。切断は、スズメッキ銅線の中心軸に対して略90°で行う。この配線基板は、半導体素子載置側の面である上面(表面)からその裏面である下面にわたって一体の導電体(スズメッキ銅線の切断片である金属片)が、その外周の少なくとも一部が絶縁材で覆われて複数固定されている。また、開口部の両側の金属片同士が配線基板内部の絶縁部材の開口部で接合されて配線を形成している。ここで、開口部の開口面積を従来PWBの表面のメッキ層あるいは金属箔の断面積より大きくすることで、従来PWBの配線の電気抵抗よりも、金属片が接合されてなる配線の電気抵抗の方が、低くなる。また、配線の機械的強度も向上する。
【0053】
切断(スライス)により配線基体の上下面に露出した所定領域の金属片に配線を通して電気を流し、導電メッキ(例えば、電解メッキでNi/Ag)を施し、金属膜付配線基体を形成する。電解メッキ(電気メッキ)は無電解メッキに比し処理時間が短く低コストであり、外観に優れ電気抵抗が低く、メッキ液温を低くでき、種々の材料に適応しやすい。
【0054】
電気メッキを施さない金属片表面(スズメッキ銅線断面)は、例えば白色ワニスなどの光反射性絶縁樹脂被膜からなる絶縁性光反射層で覆う。
絶縁性光反射層を形成した後、半導体素子として発光素子を配線基体の上面の所定の一対の(メッキを施した)金属片表面の上に載置する。メッキされた金属片表面と発光素子との間の電気的接続手段としては、半田付け、導電ペースト、バンプ接合などを用いることができる。