特許第6332372号(P6332372)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6332372焦点調節装置およびそれを備えた撮像装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6332372
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】焦点調節装置およびそれを備えた撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/28 20060101AFI20180521BHJP
   G02B 7/34 20060101ALI20180521BHJP
   G02B 7/36 20060101ALI20180521BHJP
   G03B 13/36 20060101ALI20180521BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   G02B7/28 N
   G02B7/34
   G02B7/36
   G03B13/36
   H04N5/232 120
【請求項の数】8
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-179339(P2016-179339)
(22)【出願日】2016年9月14日
(62)【分割の表示】特願2011-144742(P2011-144742)の分割
【原出願日】2011年6月29日
(65)【公開番号】特開2017-21364(P2017-21364A)
(43)【公開日】2017年1月26日
【審査請求日】2016年9月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】とこしえ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】高原 宏明
【審査官】 小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−142723(JP,A)
【文献】 特開2011−022386(JP,A)
【文献】 特開2004−191674(JP,A)
【文献】 特開2009−244429(JP,A)
【文献】 特開2010−113272(JP,A)
【文献】 特開2006−072005(JP,A)
【文献】 特開2013−011763(JP,A)
【文献】 特開2001−281530(JP,A)
【文献】 特開平06−070226(JP,A)
【文献】 特開2000−131594(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/28
G02B 7/34
G02B 7/36
G03B 13/36
H04N 5/232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
焦点調節光学系を有する光学系による像を撮像して信号を出力する撮像素子と、
前記撮像素子から出力される信号に基づいて、前記光学系による像が結像する位置と前記撮像素子とのずれ量を検出する検出部と、
前記撮像素子から出力される前記信号に基づいて、前記光学系による像のコントラストを検出するコントラスト検出部と、
前記検出部によりずれ量が検出できない場合、前記撮像素子による撮像時の露出値を変えずに、または前記露出値を所定範囲に制限して、前記検出部によるずれ量の検出と前記コントラスト検出部によるコントラスト検出とを行い、前記検出部により検出されたずれ量、または前記コントラスト検出部により検出されたコントラストに基づいて前記焦点調節光学系の位置を制御する制御部と、を備える焦点調節装置。
【請求項2】
請求項1記載の焦点調節装置において、
前記制御部は、前記検出部がずれ量を検出する領域と前記コントラスト検出部がコントラストを検出する領域とを含む前記撮像素子における領域の露出値を変えずに、または前記露出値を所定範囲に制限して、前記検出部によるずれ量の検出と前記コントラスト検出部によるコントラスト検出とを行う焦点調節装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の焦点調節装置において、
前記制御部は、前記検出部によりずれ量が検出できない場合、前記焦点調節光学系の光軸方向に前記焦点調節光学系を移動させながら、前記検出部によるずれ量の検出と前記コントラスト検出部によるコントラスト検出とを行う焦点調節装置。
【請求項4】
請求項3に記載の焦点調節装置において、
前記制御部は、前記検出部がずれ量を検出する領域と前記コントラスト検出部がコントラストを検出する領域とを含む前記撮像素子における領域の露出値を変えずに、または前記露出値を所定範囲に制限して、前記焦点調節光学系の光軸方向に前記焦点調節光学系を移動させる焦点調節装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の焦点検出装置において、
前記制御部は、前記検出部によりずれ量が検出できた場合、前記ずれ量に基づいて前記焦点調節光学系の位置を制御する焦点調節装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の焦点検出装置において、
前記制御部は、前記検出部によりずれ量が検出できなかった場合、前記コントラスト検出部が検出するコントラストに基づいて前記焦点調節光学系の位置を制御する焦点調節装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の焦点検出装置において、
前記露出値は、絞り値、前記撮像素子のISO感度、前記撮像素子の電荷蓄積時間のうちの少なくとも1つの値で決まる値である焦点調節装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の焦点調節装置を備える撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焦点調節装置およびそれを備えた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、光学系の焦点調節を行う際に、焦点調節精度を高めるために、まず、位相差検出方式により光学系の焦点状態の検出を行い、位相差検出方式による検出結果に基づいて、焦点調節用光学系を合焦位置近傍まで駆動し、次いで、合焦位置近傍において、コントラスト検出方式によって光学系の焦点状態の検出を行い、該コントラスト検出方式による検出結果に基づいて、焦点調節光学系を合焦位置まで駆動する技術が知られている。(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−109690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1は、まず、位相差検出方式による焦点検出を行い、これに続いて、コントラスト検出方式による焦点検出を行うものであるため、光学系の焦点調節に時間がかかる場合があった。これに対し、位相差方式による焦点検出と、コントラスト検出方式による焦点検出とを同時に行う方法も考えられるが、このような方法においては、以下のような問題があった。すなわち、焦点検出動作中に自動露出制御が行われてしまうと、焦点検出動作中であっても、被写体の明るさに応じて、絞りやISO感度が変化してしまう場合があった。この場合において、絞りやISO感度が変化してしまうと、焦点評価値の算出に影響し、その結果、コントラスト検出方式による合焦位置の検出ができないという問題があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、焦点状態の検出を適切に行うことができる焦点調節装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の解決手段によって上記課題を解決する。なお、以下においては、本発明の実施形態を示す図面に対応する符号を付して説明するが、この符号は発明の理解を容易にするためだけのものであって発明を限定する趣旨ではない。
【0007】
[1]本発明に係る焦点調節装置は、焦点調節光学系を有する光学系(31,32,33)による像を撮像して信号を出力する撮像素子と、前記撮像素子から出力される信号に基づいて、前記光学系による像が結像する位置と前記撮像素子とのずれ量を検出する検出部と、前記撮像素子から出力される前記信号に基づいて、前記光学系による像のコントラストを検出するコントラスト検出部と、前記検出部によりずれ量が検出できない場合、前記撮像素子による撮像時の露出値を変えずに、または前記露出値を所定範囲に制限して、前記検出部によるずれ量の検出と前記コントラスト検出部によるコントラスト検出とを行い、前記検出部により検出されたずれ量、または前記コントラスト検出部により検出されたコントラストに基づいて前記焦点調節光学系の位置を制御する制御部(21)とを備える。
【0008】
[2]上記焦点調節装置に係る発明において、前記制御部(21)が、前記検出部がずれ量を検出する領域と前記コントラスト検出部がコントラストを検出する領域とを含む前記撮像素子における領域の露出値を変えずに、または前記露出値を所定範囲に制限して、前記検出部によるずれ量の検出と前記コントラスト検出部によるコントラスト検出とを行うように構成することができる。
【0009】
[3]上記焦点調節装置に係る発明において、前記制御部(21)が、前記検出部によりずれ量が検出できない場合、前記焦点調節光学系の光軸方向に前記焦点調節光学系を移動させながら、前記検出部によるずれ量の検出と前記コントラスト検出部によるコントラスト検出とを行うように構成することができる。
【0010】
[4]上記焦点調節装置に係る発明において、前記制御部(21)が、前記検出部がずれ量を検出する領域と前記コントラスト検出部がコントラストを検出する領域とを含む前記撮像素子における領域の露出値を変えずに、または前記露出値を所定範囲に制限して、前記焦点調節光学系の光軸方向に前記焦点調節光学系を移動させるように構成することができる。
【0011】
[5]上記焦点調節装置に係る発明において、前記制御部(21)が、前記検出部によりずれ量が検出できた場合、前記ずれ量に基づいて前記焦点調節光学系の位置を制御するように構成することができる。
【0012】
[6]上記焦点調節装置に係る発明において、前記制御部(21)が、前記検出部によりずれ量が検出できなかった場合、前記コントラスト検出部が検出するコントラストに基づいて前記焦点調節光学系の位置を制御するように構成することができる。
【0013】
[7]上記焦点調節装置に係る発明において、前記露出値は、絞り値、前記撮像素子のISO感度、前記撮像素子の電荷蓄積時間のうちの少なくとも1つの値で決まる値である。
【0014】
[8]本発明に係る撮像装置は、上記焦点調節装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、焦点状態の検出を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本実施形態に係るデジタルカメラ1を示すブロック図である。
図2図2は、図1に示す撮像素子の撮像面における焦点検出位置を示す正面図である。
図3図3は、図2のIII部を拡大して焦点検出画素222a,222bの配列を模式的に示す正面図である。
図4図4は、図2のIV部を拡大して焦点検出画素222a,222bの配列を模式的に示す正面図である。
図5図5は、撮像画素221の一つを拡大して示す正面図である。
図6図6(A)は、焦点検出画素222aの一つを拡大して示す正面図、図6(B)は、焦点検出画素222bの一つを拡大して示す正面図である。
図7図7は、撮像画素221の一つを拡大して示す断面図である。
図8図8(A)は、焦点検出画素222aの一つを拡大して示す断面図、図8(B)は、焦点検出画素222bの一つを拡大して示す断面図である。
図9図9は、3つの撮像画素RGBそれぞれの波長に対する相対感度を示す分光特性図である。
図10図10は、焦点検出画素の波長に対する相対感度を示す分光特性図である。
図11図11は、図3および図4のXI-XI線に沿う断面図である。
図12図12は、本発明の実施形態に係るカメラの動作例を示すフローチャートである。
図13図13は、本実施形態に係るスキャン動作における、フォーカスレンズ位置と焦点評価値との関係、およびフォーカスレンズ位置と時間との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係るデジタルカメラ1を示す要部構成図である。本実施形態のデジタルカメラ1(以下、単にカメラ1という。)は、カメラ本体2とレンズ鏡筒3から構成され、これらカメラ本体2とレンズ鏡筒3はマウント部4により着脱可能に結合されている。
【0019】
レンズ鏡筒3は、カメラ本体2に着脱可能な交換レンズである。図1に示すように、レンズ鏡筒3には、レンズ31,32,33、および絞り34を含む撮影光学系が内蔵されている。
【0020】
レンズ32は、フォーカスレンズであり、光軸L1方向に移動することで、撮影光学系の焦点距離を調節可能となっている。フォーカスレンズ32は、レンズ鏡筒3の光軸L1に沿って移動可能に設けられ、エンコーダ35によってその位置が検出されつつフォーカスレンズ駆動モータ36によってその位置が調節される。
【0021】
このフォーカスレンズ32の光軸L1に沿う移動機構の具体的構成は特に限定されない。一例を挙げれば、レンズ鏡筒3に固定された固定筒に回転可能に回転筒を挿入し、この回転筒の内周面にヘリコイド溝(螺旋溝)を形成するとともに、フォーカスレンズ32を固定するレンズ枠の端部をヘリコイド溝に嵌合させる。そして、フォーカスレンズ駆動モータ36によって回転筒を回転させることで、レンズ枠に固定されたフォーカスレンズ32が光軸L1に沿って直進移動することになる。
【0022】
上述したようにレンズ鏡筒3に対して回転筒を回転させることによりレンズ枠に固定されたフォーカスレンズ32は光軸L1方向に直進移動するが、その駆動源としてのフォーカスレンズ駆動モータ36がレンズ鏡筒3に設けられている。フォーカスレンズ駆動モータ36と回転筒とは、たとえば複数の歯車からなる変速機で連結され、フォーカスレンズ駆動モータ36の駆動軸を何れか一方向へ回転駆動すると所定のギヤ比で回転筒に伝達され、そして、回転筒が何れか一方向へ回転することで、レンズ枠に固定されたフォーカスレンズ32が光軸L1の何れかの方向へ直進移動することになる。なお、フォーカスレンズ駆動モータ36の駆動軸が逆方向に回転駆動すると、変速機を構成する複数の歯車も逆方向に回転し、フォーカスレンズ32は光軸L1の逆方向へ直進移動することになる。
【0023】
フォーカスレンズ32の位置はエンコーダ35によって検出される。既述したとおり、フォーカスレンズ32の光軸L1方向の位置は回転筒の回転角に相関するので、たとえばレンズ鏡筒3に対する回転筒の相対的な回転角を検出すれば求めることができる。
【0024】
本実施形態のエンコーダ35としては、回転筒の回転駆動に連結された回転円板の回転をフォトインタラプタなどの光センサで検出して、回転数に応じたパルス信号を出力するものや、固定筒と回転筒の何れか一方に設けられたフレキシブルプリント配線板の表面のエンコーダパターンに、何れか他方に設けられたブラシ接点を接触させ、回転筒の移動量(回転方向でも光軸方向の何れでもよい)に応じた接触位置の変化を検出回路で検出するものなどを用いることができる。
【0025】
フォーカスレンズ32は、上述した回転筒の回転によってカメラボディ側の端部(至近端ともいう)から被写体側の端部(無限端ともいう)までの間を光軸L1方向に移動することができる。ちなみに、エンコーダ35で検出されたフォーカスレンズ32の現在位置情報は、レンズ制御部37を介して後述するカメラ制御部21へ送出され、フォーカスレンズ駆動モータ36は、この情報に基づいて演算されたフォーカスレンズ32の駆動位置が、カメラ制御部21からレンズ制御部37を介して送出されることにより駆動する。
【0026】
絞り34は、上記撮影光学系を通過して撮像素子22に至る光束の光量を制限するとともにボケ量を調整するために、光軸L1を中心にした開口径が調節可能に構成されている。絞り34による開口径の調節は、たとえば、カメラ制御部21により演算された絞り値に応じた信号が、カメラ制御部21からレンズ制御部37を介して送出されることにより行われる。また、カメラ本体2に設けられた操作部28によるマニュアル操作により、設定された開口径がカメラ制御部21からレンズ制御部37に入力される。絞り34の開口径は図示しない絞り開口センサにより検出され、レンズ制御部37で現在の開口径が認識される。
【0027】
一方、カメラ本体2には、上記撮影光学系からの光束L1を受光する撮像素子22が、撮影光学系の予定焦点面に設けられ、その前面にシャッター23が設けられている。撮像素子22はCCDなどのデバイスから構成され、受光した光信号を電気信号に変換してカメラ制御部21に送出する。カメラ制御部21に送出された撮影画像情報は、逐次、液晶駆動回路25に送出されて観察光学系の電子ビューファインダ(EVF)26に表示されるとともに、操作部28に備えられたレリーズボタン(不図示)が全押しされた場合には、その撮影画像情報が、記録媒体であるメモリ24に記録される。なお、メモリ24は着脱可能なカード型メモリや内蔵型メモリの何れをも用いることができる。撮像素子22の構造の詳細は後述する。
【0028】
カメラ本体2には、撮像素子22で撮像される像を観察するための観察光学系が設けられている。本実施形態の観察光学系は、液晶表示素子からなる電子ビューファインダ(EVF)26と、これを駆動する液晶駆動回路25と、接眼レンズ27とを備えている。液晶駆動回路25は、撮像素子22で撮像され、カメラ制御部21へ送出された撮影画像情報を読み込み、これに基づいて電子ビューファインダ26を駆動する。これにより、ユーザは、接眼レンズ27を通して現在の撮影画像を観察することができる。なお、光軸L2による上記観察光学系に代えて、または、これに加えて、液晶ディスプレイをカメラ本体2の背面等に設け、この液晶ディスプレイに撮影画像を表示させることもできる。
【0029】
カメラ本体2にはカメラ制御部21が設けられている。カメラ制御部21は、マウント部4に設けられた電気信号接点部41によりレンズ制御部37と電気的に接続され、このレンズ制御部37からレンズ情報を受信するとともに、レンズ制御部37へデフォーカス量や絞り開口径(絞り値)などの情報を送信する。また、カメラ制御部21は、上述したように撮像素子22から画素出力を読み出すとともに、読み出した画素出力について、必要に応じて所定の情報処理を施すことにより画像情報を生成し、生成した画像情報を、電子ビューファインダ26の液晶駆動回路25やメモリ24に出力する。また、カメラ制御部21は、撮像素子22の出力に基づいて測光演算処理を行い、この測光結果に基づいて、後述する露出制御を行う。その他、カメラ制御部21は、撮像素子22からの画像情報の補正やレンズ鏡筒3の焦点調節状態、絞り調節状態などを検出するなど、カメラ1全体の制御を司る。
【0030】
また、カメラ制御部21は、上記に加えて、撮像素子22から読み出した画素データに基づき、位相検出方式による撮影光学系の焦点状態の検出、およびコントラスト検出方式による撮影光学系の焦点状態の検出を行う。なお、具体的な焦点状態の検出方法については、後述する。
【0031】
操作部28は、シャッターレリーズボタンやユーザがカメラ1の各種動作モードを設定するための入力スイッチであり、オートフォーカスモード/マニュアルフォーカスモードの切換や、オードフォーカスモードの中でも、ワンショットモード/コンティニュアスモードの切換が行えるようになっている。ここで、ワンショットモードとは、一度調節したフォーカスレンズ32の位置を固定し、そのフォーカスレンズ位置で撮影するモードであるのに対し、コンティニュアスモードとは、フォーカスレンズ32の位置を固定することなく被写体に応じてフォーカスレンズ位置を調節するモードである。この操作部28により設定された各種モードはカメラ制御部21へ送出され、当該カメラ制御部21によりカメラ1全体の動作が制御される。また、シャッターレリーズボタンは、ボタンの半押しでONとなる第1スイッチSW1と、ボタンの全押しでONとなる第2スイッチSW2とを含む。
【0032】
次に、本実施形態に係る撮像素子22について説明する。
【0033】
図2は、撮像素子22の撮像面を示す正面図、図3は、図2のIII部を拡大して焦点検出画素222a,222bの配列を模式的に示す正面図、図4は、図2のIV部を拡大して焦点検出画素222a,222bの配列を模式的に示す正面図である。
【0034】
本実施形態の撮像素子22は、図3および図4に示すように、複数の撮像画素221が、撮像面の平面上に二次元的に配列され、緑色の波長領域を透過するカラーフィルタを有する緑画素Gと、赤色の波長領域を透過するカラーフィルタを有する赤画素Rと、青色の波長領域を透過するカラーフィルタを有する青画素Bがいわゆるベイヤー配列(Bayer Arrangement)されたものである。すなわち、隣接する4つの画素群223(稠密正方格子配列)において一方の対角線上に2つの緑画素が配列され、他方の対角線上に赤画素と青画素が1つずつ配列されている。このベイヤー配列された画素群223を単位として、当該画素群223を撮像素子22の撮像面に二次元状に繰り返し配列することで撮像素子22が構成されている。
【0035】
なお、単位画素群223の配列は、図示する稠密正方格子以外にも、たとえば稠密六方格子配列にすることもできる。また、カラーフィルタの構成や配列はこれに限定されることはなく、補色フィルタ(緑:G、イエロー:Ye、マゼンタ:Mg,シアン:Cy)の配列を採用することもできる。
【0036】
図5は、撮像画素221の一つを拡大して示す正面図、図7は断面図である。一つの撮像画素221は、マイクロレンズ2211と、光電変換部2212と、図示しないカラーフィルタから構成され、図7の断面図に示すように、撮像素子22の半導体回路基板2213の表面に光電変換部2212が造り込まれ、その表面にマイクロレンズ2211が形成されている。光電変換部2212は、マイクロレンズ2211により撮影光学系31の射出瞳(たとえばF1.0)を通過する撮像光束を受光する形状とされ、撮像光束を受光する。
【0037】
なお、本実施形態のカラーフィルタはマイクロレンズ2211と光電変換部2212との間に設けられ、緑画素Gと赤画素Rと青画素Bのそれぞれのカラーフィルタの分光感度は、たとえば図9に示すとおりとされている。図9は、図3および図4に示す3つの撮像画素RGBそれぞれの波長に対する相対感度を示す分光特性図である。
【0038】
図2に戻り、撮像素子22の撮像面の中心、ならびに中心から上下および左右対称位置の5箇所には、上述した撮像画素221に代えて焦点検出画素222a,222bが配列された焦点検出画素列22a,22b,22c,22d,22eが設けられている。そして、図3図4に示すように、一つの焦点検出画素列は、複数の焦点検出画素222aおよび222bが、互いに隣接して交互に、横一列(22a,22d,22e)または縦一列(22b,22c)に配列されて構成されている。本実施形態においては、焦点検出画素222aおよび222bは、ベイヤー配列された撮像画素221の緑画素Gと青画素Bとの位置にギャップを設けることなく密に配列されている。
【0039】
なお、図2に示す焦点検出画素列22a〜22eの位置は図示する位置にのみ限定されず、何れか一箇所、二箇所または三箇所等にすることもでき、また、六箇所以上の位置に配置することもできる。また、実際の焦点検出に際しては、複数配置された焦点検出画素列22a〜22eの中から、ユーザが操作部28を手動操作することにより所望の焦点検出画素列を、焦点検出エリア(焦点検出位置)として選択することもできる。
【0040】
図6(A)は、焦点検出画素222aの一つを拡大して示す正面図、図8(A)は、焦点検出画素222aの断面図である。また、図6(B)は、焦点検出画素222bの一つを拡大して示す正面図、図8(B)は、焦点検出画素222bの断面図である。焦点検出画素222aは、図6(A)に示すように、マイクロレンズ2221aと、半円形状の光電変換部2222aとから構成され、図8(A)の断面図に示すように、撮像素子22の半導体回路基板2213の表面に光電変換部2222aが造り込まれ、その表面にマイクロレンズ2221aが形成されている。また、焦点検出画素222bは、図6(B)に示すように、マイクロレンズ2221bと、光電変換部2222bとから構成され、図8(B)の断面図に示すように、撮像素子22の半導体回路基板2213の表面に光電変換部2222bが造り込まれ、その表面にマイクロレンズ2221bが形成されている。そして、これら焦点検出画素222aおよび222bは、図3図4に示すように、互いに隣接して交互に、横一列または縦一列に配列されることにより、図2に示す焦点検出画素列22a〜22eを構成する。
【0041】
なお、焦点検出画素222a,222bの光電変換部2222a,2222bは、マイクロレンズ2221a,2221bにより撮影光学系の射出瞳の所定の領域(たとえばF2.8)を通過する光束を受光するような形状とされる。また、焦点検出画素222a,222bにはカラーフィルタは設けられておらず、その分光特性は、光電変換を行うフォトダイオードの分光特性と、図示しない赤外カットフィルタの分光特性を総合したものとなっている。図10に焦点検出画素222a,222bの分光特性を示すが、相対感度は、図9に示す撮像画素221の青画素B、緑画素Gおよび赤画素Rの各感度を加算したような分光特性とされ、また感度が現れる光波長領域は、図10に示す撮像画素221の青画素B、緑画素Gおよび赤画素Rの感度の光波長領域を包摂した領域となっている。ただし、撮像画素221と同じカラーフィルタのうちの一つ、たとえば緑フィルタを備えるように構成することもできる。なお、図10は、図3および図4に示す焦点検出画素の波長に対する相対感度を示す分光特性図である。
【0042】
また、図6(A)、図6(B)に示す焦点検出画素222a,222bの光電変換部2222a,2222bは半円形状としたが、光電変換部2222a,2222bの形状はこれに限定されず、他の形状、たとえば、楕円形状、矩形状、多角形状とすることもできる。
【0043】
ここで、上述した焦点検出画素222a,222bの画素出力に基づいて撮影光学系の焦点状態を検出する、いわゆる位相差検出方式について説明する。
【0044】
図11は、図3および図4のXI-XI線に沿う断面図であり、撮影光軸L1近傍に配置され、互いに隣接する焦点検出画素222a−1,222b−1,222a−2,222b−2が、射出瞳34の測距瞳341,342から照射される光束AB1−1,AB2−1,AB1−2,AB2−2をそれぞれ受光していることを示している。なお、図11においては、複数の焦点検出画素222a,222bのうち、撮影光軸L近傍に位置するもののみを例示して示したが、図11に示す焦点検出画素以外のその他の焦点検出画素についても、同様に、一対の測距瞳341,342から照射される光束をそれぞれ受光するように構成されている。
【0045】
ここで、射出瞳34とは、撮影光学系の予定焦点面に配置された焦点検出画素222a,222bのマイクロレンズ2221a,2221bの前方の距離Dの位置に設定された像である。距離Dは、マイクロレンズの曲率、屈折率、マイクロレンズと光電変換部との距離などに応じて一義的に決まる値であって、この距離Dを測距瞳距離と称する。また、測距瞳341,342とは、焦点検出画素222a,222bのマイクロレンズ2221a,2221bにより、それぞれ投影された光電変換部2222a,2222bの像をいう。
【0046】
なお、図11において焦点検出画素222a−1,222b−1,222a−2,222b−2の配列方向は一対の測距瞳341,342の並び方向と一致している。
【0047】
また、図11に示すように、焦点検出画素222a−1,222b−1,222a−2,222b−2のマイクロレンズ2221a−1,2221b−1,2221a−2,2221b−2は、撮影光学系の予定焦点面近傍に配置されている。そして、マイクロレンズ2221a−1,2221b−1,2221a−2,2221b−2の背後に配置された各光電変換部2222a−1,2222b−1,2222a−2,2222b−2の形状が、各マイクロレンズ2221a−1,2221b−1,2221a−2,2221b−2から測距距離Dだけ離れた射出瞳34上に投影され、その投影形状は測距瞳341,342を形成する。
【0048】
すなわち、測距距離Dにある射出瞳34上で、各焦点検出画素の光電変換部の投影形状(測距瞳341,342)が一致するように、各焦点検出画素におけるマイクロレンズと光電変換部の相対的位置関係が定められ、それにより各焦点検出画素における光電変換部の投影方向が決定されている。
【0049】
図11に示すように、焦点検出画素222a−1の光電変換部2222a−1は、測距瞳341を通過し、マイクロレンズ2221a−1に向う光束AB1−1によりマイクロレンズ2221a−1上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。同様に、焦点検出画素222a−2の光電変換部2222a−2は測距瞳341を通過し、マイクロレンズ2221a−2に向う光束AB1−2によりマイクロレンズマイクロレンズ2221a−2上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。
【0050】
また、焦点検出画素222b−1の光電変換部2222b−1は測距瞳342を通過し、マイクロレンズ2221b−1に向う光束AB2−1によりマイクロレンズマイクロレンズ2221b−1上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。同様に、焦点検出画素222b−2の光電変換部2222b−2は測距瞳342を通過し、マイクロレンズ2221b−2に向う光束AB2−2によりマイクロレンズ2221b−2上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。
【0051】
そして、上述した2種類の焦点検出画素222a,222bを、図3および図4に示すように直線状に複数配置し、各焦点検出画素222a,222bの光電変換部2222a,2222bの出力を、測距瞳341と測距瞳342とのそれぞれに対応した出力グループにまとめることにより、測距瞳341と測距瞳342とのそれぞれを通過する焦点検出光束が焦点検出画素列上に形成する一対の像の強度分布に関するデータが得られる。そして、この強度分布データに対し、相関演算処理または位相差検出処理などの像ズレ検出演算処理を施すことにより、いわゆる位相差検出方式による像ズレ量を検出することができる。
【0052】
そして、得られた像ズレ量に一対の測距瞳の重心間隔に応じた変換演算を施すことにより、予定焦点面に対する現在の焦点面(予定焦点面上のマイクロレンズアレイの位置に対応した焦点検出位置における焦点面をいう。)の偏差、すなわちデフォーカス量を求めることができる。
【0053】
なお、これら位相差検出方式による像ズレ量の演算と、これに基づくデフォーカス量の演算は、カメラ制御部21により実行される。
【0054】
また、カメラ制御部21は、撮像素子22の撮像画素221の出力を読み出し、読み出した画素出力に基づき、焦点評価値の演算を行う。この焦点評価値は、たとえば撮像素子22の撮像画素221からの画像出力の高周波成分を、高周波透過フィルタを用いて抽出し、これを積算して焦点電圧を検出することで求めることができる。また、遮断周波数が異なる2つの高周波透過フィルタを用いて高周波成分を抽出し、それぞれを積算して焦点電圧を検出することでも求めることができる。
【0055】
そして、カメラ制御部21は、レンズ制御部37に制御信号を送出してフォーカスレンズ32を所定のサンプリング間隔(距離)で駆動させ、それぞれの位置における焦点評価値を求め、該焦点評価値が最大となるフォーカスレンズ32の位置を合焦位置として求める、コントラスト検出方式による焦点検出を実行する。なお、この合焦位置は、たとえば内挿法などの演算方式を用いて求められる。
【0056】
次いで、本実施形態に係るカメラ1の動作例を説明する。図12は、本実施形態に係るカメラ1の動作を示すフローチャートである。なお、以下の動作は、カメラ1の電源がONされることにより開始される。また、以下においては、ワンショットモード、すなわち、一度調節したフォーカスレンズ32の位置を固定し、そのフォーカスレンズ位置で撮影するモードが選択されている場合を例示して説明を行なう。
【0057】
まず、ステップS1では、カメラ制御部21によるスルー画像の生成、および観察光学系の電子ビューファインダ26による、スルー画像の表示が開始される。具体的には、撮像素子22により露光動作が行なわれ、カメラ制御部21により、撮像画素221の画素データの読み出しが行なわれる。そして、カメラ制御部21は、読み出したデータに基づきスルー画像を生成し、生成されたスルー画像は液晶駆動回路25に送出され、観察光学系の電子ビューファインダ26に表示される。そして、これにより、接眼レンズ27を介して、ユーザは被写体の動画を視認することが可能となる。なお、スルー画像の生成、およびスルー画像の表示は、所定の間隔で繰り返し実行される。また、本実施形態において、カメラ制御部21は、撮像素子22から読み出した出力データに基づいて、測光演算処理を実行し、この測光演算処理の結果に基づいて露出制御を行う。なお、スルー画像生成時の露出制御においては、撮影画面全体で適正露出が得られるように、露出制御が行われる。
【0058】
次いで、ステップS2では、カメラ制御部21により、スキャン動作許可指令が、レンズ制御部37に送出され、スキャン動作が許可状態とされる。なお、スキャン動作については、後述する。
【0059】
ステップS3では、カメラ制御部21により、位相差検出方式によるデフォーカス量の算出処理が開始される。本実施形態では、位相差検出方式によるデフォーカス量の算出処理は、次のように行なわれる。すなわち、まず、カメラ制御部21により、撮像素子22の5つの焦点検出画素列22a〜22eを構成する各焦点検出画素222a,222bから一対の像に対応した一対の像データの読み出しが行なわれる。この場合、撮影者の手動操作により、特定の焦点検出エリア(焦点検出位置)が選択されているときは、その焦点検出位置に対応する焦点検出画素からのデータのみを読み出すような構成としてもよい。そして、カメラ制御部21は、読み出された一対の像データに基づいて像ズレ検出演算処理(相関演算処理)を実行し、5つの焦点検出画素列22a〜22eに対応する焦点検出エリアにおける像ズレ量を演算し、さらに像ズレ量をデフォーカス量に変換する。また、カメラ制御部21は、算出したデフォーカス量の信頼性の評価を行う。なお、デフォーカス量の信頼性の評価は、たとえば、一対の像データの一致度やコントラストなどに基づいて行なわれる。
【0060】
そして、このような位相差検出方式によるデフォーカス量の算出処理は、後述するステップS14において、合焦ロック(フォーカスレンズ32の駆動を禁止する処理)が行なわれるまで、所定の間隔で繰り返し実行される。
【0061】
ステップS4では、カメラ制御部21により、操作部28に備えられたシャッターレリーズボタンの半押し(第1スイッチSW1のオン)がされたかどうかの判断が行なわれる。第1スイッチSW1がオンした場合はステップS5に進む。一方、第1スイッチSW1がオンしていない場合は、第1スイッチSW1がオンされるまで、ステップS4を繰り返す。すなわち、第1スイッチSW1がオンされるまで、スルー画像の生成・表示、および位相差検出方式によるデフォーカス量の算出処理が繰り返し実行される。
【0062】
ステップS5では、カメラ制御部21により、位相差検出方式により、デフォーカス量が算出できたか否かの判定が行なわれる。デフォーカス量が算出できた場合には、測距可能と判断して、ステップS14に進む。一方、デフォーカス量が算出できなかった場合には、測距不能と判断して、ステップS6に進む。なお、本実施形態においては、デフォーカス量の算出ができた場合でも、算出されたデフォーカス量の信頼性が低い場合にも、デフォーカス量の算出ができなかったものとして扱い、ステップS6に進むこととする。本実施形態においては、たとえば、被写体のコントラストが低い場合、被写体が超低輝度被写体である場合、あるいは被写体が超高輝度被写体である場合などにおいて、デフォーカス量の信頼性が低いと判断される。
【0063】
なお、ステップS5においては、直近の一回のデフォーカス量算出処理の結果を用いて、上記判定を行なってもよいが、直近数回のデフォーカス量算出処理において、連続して、デフォーカス量が算出できなかった場合、あるいは、連続して、デフォーカス量の信頼性が低かった場合に、測距不能と判断して、ステップS6に進み、逆に、直近数回のデフォーカス量算出処理において、一度でもデフォーカス量が算出された場合には、測距可能と判断して、ステップS14に進むような構成としてもよい。
【0064】
ステップS5において、デフォーカス量が算出できたと判定され、測距可能と判断された場合には、ステップS14に進み、ステップS14〜S18において、位相差検出方式により算出されたデフォーカス量に基づく、合焦動作が行なわれる。
【0065】
すなわち、まず、ステップS14において、カメラ制御部21により、スキャン動作禁止処理が行なわれる。具体的には、カメラ制御部21により、スキャン動作禁止指令が、レンズ制御部37に送出され、スキャン動作が禁止状態とされる。なお、スキャン動作については、後述する。
【0066】
ステップS15では、スキャン動作が禁止されているため、カメラ制御部21により、露出制御のロックを解除する処理が行われる。具体的には、後述するステップS9で露出制御がロックされている場合に、カメラ制御部21により、露出制御のロックが解除され、露出制御値が変更可能とされる。なお、ステップS9で露出制御がロックされていない場合は、そのまま、ステップS16に進む。
【0067】
ステップS16では、ステップS3において位相差検出方式により算出されたデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ32を、合焦位置まで駆動させる処理が行なわれる。具体的には、カメラ制御部21により、位相差検出方式により算出されたデフォーカス量から、フォーカスレンズ32を合焦位置まで駆動させるのに必要となるレンズ駆動量の算出が行なわれ、算出されたレンズ駆動量が、レンズ制御部37を介して、フォーカスレンズ駆動モータ36に送出される。そして、フォーカスレンズ駆動モータ36は、カメラ制御部21により算出されたレンズ駆動量に基づいて、フォーカスレンズ32を合焦位置まで駆動させる。
【0068】
なお、本実施形態においては、フォーカスレンズ駆動モータ36を駆動させ、フォーカスレンズ32を合焦位置まで駆動させている間においても、カメラ制御部21は、位相差検出方式によるデフォーカス量の算出を繰り返し行い、その結果、新たなデフォーカス量が算出された場合には、カメラ制御部21は、新たなデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ32を駆動させる。
【0069】
そして、フォーカスレンズ32の合焦位置への駆動が完了すると、ステップS17に進み、合焦表示が行なわれ、次いで、ステップS18に進み、合焦ロック(フォーカスレンズ32の駆動を禁止する処理)が行なわれる。なお、ステップS17における合焦表示は、たとえば、電子ビューファインダ26により行われる。また、合焦表示を行なう際には、位相差検出方式により合焦動作が行われた旨を撮影者に報知するための表示を併せて行なってもよい。
【0070】
一方、ステップS5において、デフォーカス量が算出できなかったと判定された場合、または、算出されたデフォーカス量の信頼性が低いと判定された場合には、ステップS6に進む。ステップS6では、カメラ制御部21により、位相差検出方式用の焦点検出エリアの設定、およびコントラスト検出方式用の焦点検出エリアの設定が行われる。具体的には、カメラ制御部21は、例えば、撮影者の手動操作、または撮影シーンに基づいて、図2に示す撮像素子22の5つの焦点検出画素列22a〜22eのうち特定の焦点検出画素列を、位相差検出方式用の焦点検出エリアとして設定する。これとともに、カメラ制御部21は、同様に、撮影者の手動操作、または撮影シーンに基づいて、撮像素子22の撮像面のうち、対応する領域を、コントラスト検出方式用の焦点検出エリアとして設定する。なお、本実施形態において、カメラ制御部21は、撮影者の手動操作、または撮影シーンに応じて、位相差検出方式用の焦点検出エリアと、コントラスト検出方式用の焦点検出エリアとを、重複させて設定してもよいし、あるいは、それぞれ離れた位置に設定してもよい。
【0071】
そして、ステップS7では、カメラ制御部21により、露出制御値の算出が行われる。具体的には、カメラ制御部21は、まず、ステップS6で設定された位相差検出方式用の焦点検出エリア、およびコントラスト検出方式用の焦点検出エリアを含む撮像素子22上の所定の領域から画素出力を読み出し、読み出した画素出力に基づいて、測光演算処理を行う。そして、カメラ制御部21は、ステップS6で設定した位相差検出方式用の焦点検出エリア、およびコントラスト検出方式用の焦点検出エリアを含む所定の領域において、適正露出を得ることができるように、測光演算処理の測光結果に基づいて、露出制御値の算出を行う。本実施形態においては、露出制御値として、例えば、ISO感度、絞り値、および蓄積時間が算出される。なお、本実施形態においては、ISO感度、絞り値、および蓄積時間のうち、いずれか1つの露出制御値のみを算出する構成としてもよいし、あるいは、ISO感度、絞り値、および蓄積時間のうち、いずれか2つの露出制御値を算出する構成としてもよい。
【0072】
また、本実施形態においては、適正露出を得るように、露出制御値を演算しているが、この構成に限定されず、例えば、適正露出よりも明るい露出(例えば、適正露出よりも2段階明るい露出)を得るように、露出制御値を演算する構成としてもよい。
【0073】
ステップS8では、カメラ制御部21により、ステップS7で算出した露出制御値に基づいて、露出制御が行われる。具体的には、カメラ制御部21は、例えば、ステップS7で算出した絞り値を、レンズ制御部37を介して、絞り34に送出することで、絞り34を、適正露出を得るために適切な開口径となるように制御する。また、カメラ制御部21は、ステップS7で算出したISO感度および蓄積時間に基づいて、撮像画素221の画素出力および撮像画素221による電荷蓄積時間のそれぞれを、適正露出を得るために適切なものとなるように制御する。
【0074】
なお、本実施形態においては、より正確な露出を得るために、ステップS7の露出制御値の算出と、ステップS8の露出制御とを繰り返す(フィードバック)構成としてもよい。具体的には、ステップS8の露出制御後に、ステップS6で設定された位相差検出方式用の焦点検出エリア、およびコントラスト検出方式用の焦点検出エリアを含む撮像素子22上の所定の領域から画素出力を再度取得し、露出制御後に得られた画素出力に基づいて、露出制御値を再度算出する。そして、露出制御後の画素出力から算出した露出制御値に基づいて、再度、露出制御を行う。同様に、露出制御値の算出と、算出した露出制御値に基づく露出制御とを、所定レベルの露出値が得られるまで繰り返す構成としてもよい。また、このような構成において、露出制御を複数回繰り返しても、所定レベルの露出値を得ることができない場合(例えば、暗黒の場合)がある。そのため、露出制御の繰り返し時間を、撮影者の使用感を損なわない所定時間に限る構成としてもよいし、露出制御の制御回数を、所定回数(N回)に限る構成としてもよい。
【0075】
次に、ステップS9では、カメラ制御部21により、露出制御をロックする処理が行われる。すなわち、ステップS9では、カメラ制御部21により、ステップS7において算出された露出制御値が固定され、露出制御値が変更されないように、露出制御をロックする処理が行われる。なお、露出制御のロックは、スキャン動作中に露出制御が実行されることを防止するものであるため、後述するスキャン動作が終了した後に解除される(ステップS15,S22,S26)。なお、露出制御値の固定とは、露出制御値を所定の値に固定するものでもよいし、露出制御値を限られた特定の範囲に制限(固定)するものであってもよい。
【0076】
そして、ステップS10では、カメラ制御部21により、スキャン動作の開始処理が行なわれる。本実施形態のスキャン動作は、フォーカスレンズ駆動モータ36により、フォーカスレンズ32をスキャン駆動させながら、カメラ制御部21により、位相差検出方式によるデフォーカス量の算出、および焦点評価値の算出を、所定の間隔で同時に行い、これにより、位相差検出方式による合焦位置の検出と、コントラスト検出方式による合焦位置の検出とを、所定の間隔で、同時に実行する動作である。
【0077】
具体的には、カメラ制御部21は、レンズ制御部37にスキャン駆動開始指令を送出し、レンズ制御部37は、カメラ制御部21からの指令に基づき、フォーカスレンズ駆動モータ36を駆動させ、フォーカスレンズ32を光軸L1に沿ってスキャン駆動させる。なお、フォーカスレンズ32のスキャン駆動は、無限端から至近端に向かって行なってもよいし、あるいは、至近端から無限端に向かって行なってもよい。
【0078】
そして、カメラ制御部21は、フォーカスレンズ32を駆動させながら、所定間隔で、位相差検出方式用の焦点検出エリアにおける焦点検出画素222a,222bから一対の像に対応した一対の像データの読み出しを行い、これに基づき、位相差検出方式により、デフォーカス量の算出および算出されたデフォーカス量の信頼性の評価を行う。それとともに、カメラ制御部21は、フォーカスレンズ32を駆動させながら、所定間隔で、コントラスト検出方式用の焦点検出エリアにおける撮像画素221から画素出力の読み出しを行い、これに基づき、焦点評価値を算出し、これにより、異なるフォーカスレンズ位置における焦点評価値を取得することで、コントラスト検出方式により合焦位置の検出を行う。
【0079】
次に、ステップS11では、カメラ制御部21により、スキャン動作を行なった結果、位相差検出方式により、デフォーカス量が算出できたか否かの判定が行なわれる。デフォーカス量が算出できた場合には、測距可能と判断して、ステップS19に進み、一方、デフォーカス量が算出できなかった場合には、測距不能と判断して、ステップS12に進む。なお、ステップS11においては、上述したステップS5と同様に、デフォーカス量の算出ができた場合でも、算出されたデフォーカス量の信頼性が低い場合には、デフォーカス量の算出ができなかったものとして扱い、ステップS12に進むこととする。
【0080】
ステップS12では、カメラ制御部21により、スキャン動作を行なった結果、コントラスト検出方式により、合焦位置の検出ができたか否かの判定が行なわれる。コントラスト検出方式により、合焦位置の検出ができた場合には、ステップS20に進み、一方、合焦位置の検出ができなかった場合には、ステップS13に進む。
【0081】
ステップS13では、カメラ制御部21により、スキャン動作を、フォーカスレンズ32の駆動可能範囲の全域について行なったか否かの判定が行なわれる。フォーカスレンズ32の駆動可能範囲の全域について、スキャン動作を行なっていない場合には、ステップS11に戻り、ステップS11〜S13を繰り返すことにより、スキャン動作、すなわち、フォーカスレンズ32をスキャン駆動させながら、位相差検出方式によるデフォーカス量の算出、およびコントラスト検出方式による合焦位置の検出を、所定の間隔で同時に実行する動作を継続して行なう。一方、フォーカスレンズ32の駆動可能範囲の全域について、スキャン動作の実行を完了している場合には、ステップS25に進む。
【0082】
そして、スキャン動作を実行した結果、ステップS11において、位相差検出方式により、デフォーカス量が算出できたと判定された場合には、ステップS19に進み、ステップS19、S14〜S18において、位相差検出方式により算出されたデフォーカス量に基づく、合焦動作が行なわれる。
【0083】
すなわち、まず、ステップS19において、カメラ制御部21により、スキャン動作の停止処理が行なわれた後、ステップS14に進み、カメラ制御部21により、スキャン動作禁止処理が行なわれる。
【0084】
そして、ステップS15で、露出制御のロックが解除された後、ステップS16に進み、上記と同様にして、位相差検出方式により算出されたデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ32を、合焦位置まで駆動させる処理が行なわれ、その後、ステップS17に進み、合焦表示が行なわれた後、ステップS18において、合焦ロックが行なわれる。
【0085】
また、スキャン動作を実行した結果、ステップS12において、コントラスト検出方式により、合焦位置が検出できたと判定された場合には、ステップS20に進み、ステップS20〜S24において、コントラスト検出方式により検出された合焦位置に基づく、合焦動作が行なわれる。
【0086】
すなわち、まず、ステップS20において、カメラ制御部21により、スキャン動作の停止処理が行なわれた後、ステップS21に進み、上述したステップS14と同様に、カメラ制御部21により、スキャン動作禁止処理が行なわれる。
【0087】
そして、ステップS22に進み、上述したステップS15と同様に、露出制御のロックが解除された後、ステップS23に進み、コントラスト検出方式により検出された合焦位置に基づいて、フォーカスレンズ32を、合焦位置まで駆動させる合焦駆動処理が行なわれる。ここで、図13に、スキャン動作の結果、コントラスト検出方式により合焦位置が検出された場合における、フォーカスレンズ位置と焦点評価値との関係、およびフォーカスレンズ位置と時間との関係を表す図を示す。図13に示すように、スキャン動作開始時には、フォーカスレンズ32は、図13に示すP0に位置しており、P0から、無限遠側から至近側に向けてフォーカスレンズ32を駆動させながら、焦点評価値の取得を行う。そして、フォーカスレンズ32を、図13に示すP1の位置に移動させた時点において、焦点評価値のピーク位置(合焦位置)が検出されると(ステップS12=Yes)、スキャン動作を停止し(ステップS20)、スキャン動作の禁止処理(ステップS21)が行なわれた後、露出制御のロックが解除され(ステップS22)、フォーカスレンズ32を合焦位置(図13中、P2の位置)まで駆動するための合焦駆動(ステップS23)が行なわれる。
【0088】
なお、本実施形態においては、ステップS12において、コントラスト検出方式により、合焦位置が検出できたと判定され、コントラスト検出方式による検出結果に基づいて、フォーカスレンズ32を合焦位置への駆動を行う際には、フォーカスレンズ32の合焦位置への駆動が完了するまでは、位相差検出方式による焦点検出結果に基づく、フォーカスレンズ32の駆動を禁止する。すなわち、コントラスト検出方式により、合焦位置が検出できたと判定された後においては、位相差検出方式によりデフォーカス量が算出できた場合でも、位相差検出方式の結果に基づいたフォーカスレンズ32の駆動を禁止する。これにより、フォーカスレンズ32のハンチング現象を抑制することができる。
【0089】
そして、フォーカスレンズ32の合焦位置への駆動が完了すると、ステップS24に進み、合焦表示が行なわれ、次いで、ステップS18に進み、合焦ロック(フォーカスレンズ32の駆動を禁止する処理)が行なわれる。なお、ステップS24における合焦表示は、たとえば、電子ビューファインダ26により行われる。また、合焦表示を行なう際には、コントラスト検出方式により合焦動作が行われた旨を撮影者に報知するための表示を併せて行なってもよい。
【0090】
なお、本実施形態のスキャン動作においては、上述したステップS11〜S13を繰り返し実行することで、フォーカスレンズ32をスキャン駆動させながら、位相差検出方式によるデフォーカス量の算出、およびコントラスト検出方式による合焦位置の検出を所定の間隔で同時に実行する。そして、上述したステップS11〜S13を繰り返し実行した結果、位相差検出方式およびコントラスト検出方式のうち、先にデフォーカス量の算出、または合焦位置の検出ができた検出方式による、焦点検出結果を用いて、フォーカスレンズ32を、合焦位置まで駆動させる処理を行なう。また、上述したように、本実施形態のスキャン動作においては、位相差検出方式によりデフォーカス量が算出できたか否かを判断した(ステップS11)後に、コントラスト検出方式により合焦位置の検出ができたか否かの判断を行う(ステップS12)ことで、位相差検出方式とコントラスト検出方式とで同時期にデフォーカス量の算出および合焦位置の検出ができた場合に、位相差検出方式による焦点検出結果を、コントラスト検出方式による焦点検出結果よりも優先して、採用するものである。
【0091】
一方、ステップS13において、フォーカスレンズ32の駆動可能範囲の全域について、スキャン動作の実行が完了していると判定された場合には、ステップS25に進む。ステップS25では、スキャン動作を行なった結果、位相差検出方式およびコントラスト検出方式のいずれの方式によっても、焦点検出を行うことができなかったため、スキャン動作の終了処理が行なわれ、次いで、ステップS26に進み、上述したステップS15と同様に、露出制御のロックが解除された後、ステップS27に進み、合焦不能表示が行なわれる。合焦不能表示は、たとえば、電子ビューファインダ26により行われる。
【0092】
そして、ステップS28に進み、カメラ制御部21により、シャッターレリーズボタンの半押し(第1スイッチSW1のオン)がされた状態が継続しているか否かの判定が行なわれる。第1スイッチSW1がオンしている場合はステップS29に進み、第1スイッチSW1がオフとされた場合は、ステップS31に進む。
【0093】
ステップS28において、第1スイッチSW1がオンしていると判定された場合には、ステップS29に進み、上述したステップS5と同様に、位相差検出方式により、デフォーカス量が算出できたか否かの判定が行なわれる。その結果、デフォーカス量が算出できたと判定された場合には、ステップS30に進み、合焦不能表示をオフとする処理が行なわれた後、ステップS14に進み、ステップS14〜S18において、位相差検出方式により算出されたデフォーカス量に基づく、合焦動作が行なわれる。一方、デフォーカス量が算出できなかったと判定された場合には、ステップS28に戻り、第1スイッチSW1がオンとされている状態が継続している間、ステップS28、S29を繰り返し実行する。なお、この場合においては、フォーカスレンズ32は、停止した状態であるため、コントラスト検出方式による焦点検出は実行されず、位相差検出方式による焦点検出のみが行われることとなる。
【0094】
一方、ステップS28において、第1スイッチSW1がオフとされたと判定された場合には、ステップS31に進み、合焦不能表示をオフとする処理が行なわれた後、ステップS4に戻る。
【0095】
本実施形態のカメラ1は、以上のように動作する。
【0096】
本実施形態においては、まず、位相差検出方式により、デフォーカス量の算出を行い、デフォーカス量を算出できた場合には、算出したデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ32を合焦位置まで駆動させ、デフォーカス量を算出できない場合には、フォーカスレンズ32をスキャン駆動させながら、位相差検出方式によるデフォーカス量の算出、およびコントラスト検出方式による合焦位置の検出を同時に実行するスキャン動作を実行する。そして、スキャン動作を実行した結果、位相差検出方式およびコントラスト検出方式のうち、先にデフォーカス量の算出、または合焦位置の検出ができた検出方式による、焦点検出結果を用いて、フォーカスレンズ32を合焦位置まで駆動させる処理を行なう。そのため、本実施形態によれば、位相差検出方式により撮影光学系の焦点状態の検出がし難い場合(たとえば、反射率が同じで、異なる色の被写体を撮影する場合)や、コントラスト検出方式により撮影光学系の焦点状態の検出がし難い場合(たとえば、輝度が低い被写体を撮影する場合)のいずれの場合でも、撮影光学系の焦点調節を適切に行なうことができる。また、本実施形態によれば、位相差検出方式によるデフォーカス量の算出、およびコントラスト検出方式による合焦位置の検出を同時に実行し、先に焦点検出ができた方式により、撮影光学系の焦点調節を行なうため、まず、従来技術(すなわち、位相差検出方式により合焦位置近傍までフォーカスレンズ32を駆動し、次いで、合焦位置近でコントラスト検出方式による合焦位置の検出を行う技術)と比較して、撮影光学系の焦点調節を短い時間で行なうことができる。
【0097】
さらに、本実施形態によれば、スキャン動作を実行する前に、適切な露出を得るために、絞り値、ISO感度、蓄積時間などの露出制御値を算出し、算出した露出制御値に基づいて、露出制御を実行するとともに、スキャン動作中において、露出制御値が変化しないように、露出制御のロックを行うものである。これにより、本実施形態では、スキャン動作中に、被写体の明るさに応じて露出制御値が変化してしまうことを有効に防止することができるため、コントラスト検出方式による焦点評価値を算出する際の露出制御の影響を有効に防止することができ、その結果、コントラスト検出方式により合焦位置を適切に検出することができる。また、本実施形態では、スキャン動作中に、被写体の明るさに応じてISO感度が変更することを有効に防止することができるため、ISO感度に応じたS/N比の変化を有効に防止することができ、焦点調節の精度が変わるなどの影響を受けにくくなり、合焦位置を安定して検出することができる。
【0098】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0099】
たとえば、上述した実施形態では、操作部28に備えられたシャッターレリーズボタンの半押し(第1スイッチSW1のオン)がされる前に、位相差検出方式によるデフォーカス量の算出処理を開始するような構成を例示したが(図12に示すステップS3,S4)、シャッターレリーズボタンの半押しがされた後に、位相差検出方式によるデフォーカス量の算出処理を開始するような構成としてもよい。
【0100】
また、上述した実施形態では、図13に示すように、コントラスト検出方式により合焦位置が検出された場合に、フォーカスレンズ32を、直接、合焦位置まで駆動させているが、例えば、ガタ詰めのため、一度、合焦位置を超えた位置までフォーカスレンズ32を駆動させた後、合焦位置に、フォーカスレンズ32を戻す構成としてもよい。
【0101】
さらに、上述した実施形態では、コントラスト検出方式による焦点検出と同時に、位相差検出方式による焦点検出を行うために、撮像素子22に、焦点検出画素222a,222bを備える構成としているが、この構成に限定されるものではなく、例えば、半透過型のペリクルミラーを用いて、光学系からの光束を分岐し、一部の光束を図示しない位相差検出モジュールに導くことで、コントラスト検出方式による焦点検出と同時に、位相差焦点検出方式による焦点検出を行うこともできる。
【0102】
なお、上述した実施形態のカメラ1は特に限定されず、例えば、デジタルビデオカメラ、一眼レフデジタルカメラ、レンズ一体型のデジタルカメラ、携帯電話用のカメラなどのその他の光学機器に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0103】
1…デジタルカメラ
2…カメラ本体
21…カメラ制御部
22…撮像素子
221…撮像画素
222a,222b…焦点検出画素
3…レンズ鏡筒
32…フォーカスレンズ
36…フォーカスレンズ駆動モータ
37…レンズ制御
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