(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
発光部を形成するための第1電極及び第2電極が内部に設けられたガラス部材と、前記発光部に対して前記ガラス部材の前記第1電極側及び前記第2電極側にそれぞれ設けられた第1口金部材及び第2口金部材と、を有する放電ランプを発光させるための光源装置であって、
前記放電ランプを保管する保管部と、
前記放電ランプの前記第2口金部材を着脱可能に支持する支持部と、
前記支持部に支持された前記放電ランプの前記第1口金部材に電力を伝える部材を着脱可能に連結する連結部と、
前記支持部による前記第2口金部材の支持及び前記連結部による前記第1口金部材に対する前記電力を伝える部材の連結が解除されている状態で、前記第1口金部材を保持して前記放電ランプを前記保管部と前記支持部との間で搬送する搬送部と、
を備えることを特徴とする光源装置。
前記連結部は、前記第1部材を、前記第1口金部材の前記被連結部の2つの平面部に垂直な平面に沿った方向に変位可能に支持する第1ガイド部材を有することを特徴とする請求項4に記載の光源装置。
前記連結部は、前記第1部材を、前記第1口金部材の前記被連結部の2つの平面部に沿った方向に変位可能に支持する第2ガイド部材を有することを特徴とする請求項4又は5に記載の光源装置。
前記保管部にある未使用の放電ランプの前記第1口金部材の前記被保持部を保持し、該未使用の放電ランプの前記第2口金部材が前記支持部材によって支持可能な位置まで、該未使用の放電ランプを搬送することと、
前記未使用の放電ランプの前記第2口金部材を前記支持部材で支持することと、
前記未使用の放電ランプの前記第1口金部材の被連結部に、前記電力を伝える部材が連結された部材を面接触させることと、
を含むことを特徴とする請求項19に記載の交換方法。
発光部を形成するための第1電極及び第2電極が内部に設けられたガラス部材と、前記発光部に対して前記ガラス部材の前記第1電極側及び前記第2電極側にそれぞれ設けられた第1口金部材及び第2口金部材と、を有する放電ランプであって、
前記第1口金部材は、
電力を伝える部材が接触可能であり、かつ前記電力を伝える部材との電気的な接触抵抗を小さくするために、前記電力を伝える部材と面接触可能な被連結部と、
搬送部によって保持可能な非平面部又は傾斜部を含む被保持部と、を有することを特徴とする放電ランプ。
前記第1口金部材のうち、前記ガラス部材と前記被連結部及び前記被保持部との間に、放熱フィンが設けられたことを特徴とする請求項23〜27のいずれか一項に記載の放電ランプ。
前記第2口金部材は、支持部材に載置可能なフランジ部と、該フランジ部より断面積が小さい小径部と、該小径部より断面積が大きい段差部と、を有することを特徴とする請求項23〜28のいずれか一項に記載の放電ランプ。
発光部を形成するための第1電極及び第2電極が内部に設けられたガラス部材と、前記発光部に対して前記ガラス部材の前記第1電極側及び前記第2電極側にそれぞれ設けられた導電性を有する第1部材及び第2部材と、を有する放電ランプであって、
前記第1部材は、
電力を伝える部材が連結される被連結部と、
前記被連結部とは異なる位置に設けられ、前記放電ランプの搬送を行う搬送部に保持される被保持部と、
を有することを特徴とする放電ランプ。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態につき
図1〜
図12を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る光源装置30を備えた露光装置EXの概略構成を示す。露光装置EXは、一例として走査露光型の投影露光装置である。
図1において、光源装置30は、アーク放電型の超高圧水銀ランプよりなる放電ランプ1と、放電ランプ1の陰極側の口金部26を保持する支持部材33と、支持部材33を移動可能な引き出し部36(
図4(B)参照)と、支持部材33に対する口金部26の固定及び解除を行う駆動ユニット34と、放電ランプ1のガラス管25(バルブ)を囲むように配置された楕円鏡2(集光ミラー)と、露光時(放電ランプ1の使用時)に、放電ランプ1及び楕円鏡2等を収容する箱状のランプハウス31とを有する。露光時に、放電ランプ1のガラス管25内の発光部は、一例として楕円鏡2の第1焦点付近に配置されている。
【0016】
また、光源装置30は、放電ランプ1の陽極側の口金部28に着脱可能に連結可能な可撓性を持つ電力ケーブル24と、放電ランプ1の陰極側の口金部26に支持部材33を介して連結される可撓性を持つ電力ケーブル23と、電力ケーブル23,24を介して放電ランプ1に電力(電流)を供給して放電ランプ1を発光させる電源部20と、使用済みの放電ランプ1を交換する全自動型の交換装置50とを有する。交換装置50は、陽極側の口金部28に対する電力ケーブル24の着脱を行うクランプ機構52と、放電ランプ1を保管する保管部54と、支持部材33と保管部54との間で放電ランプ1を搬送するランプ搬送系56と、保管部54及びランプ搬送系56を収容する箱状のケーシング51とを有する。
【0017】
なお、支持部材33は、
図4(B)に示すように、実際には、上部に輪帯状のフランジ部が形成されたほぼ円筒状の金属製(導電性)の部材である。支持部材33は、後述のようにランプハウス31の内面のガイド部材41に沿って移動可能に支持された引き出し部36の中央に、そのフランジ部を介して固定されており、支持部材33と引き出し部36とは電気的に絶縁されている。また、引き出し部36の底面に口金部26用の駆動ユニット34が設けられている。
【0018】
図1において、光源装置30は、電源部20、駆動ユニット34、及びランプ搬送系56等の動作を制御する光源制御系32を有する。光源制御系32は、放電ランプ1の累積使用時間をモニタしており、その累積使用時間が予め定められている許容時間に達したときには、交換装置50を作動させてその使用済みの放電ランプ1を未使用の放電ランプに交換する。光源装置30の詳細な構成及び動作については後述する。
【0019】
露光装置EXは、光源装置30から供給される光束から選択される露光光ILを用いてマスクMを照明する照明光学系13と、露光光ILのもとでマスクMのパターンの像をフォトレジストが塗布されたガラス基板よりなるプレートP(感光基板)の表面に投影する投影光学系PLと、マスクMを移動するマスクステージMSTと、プレートPを移動する基板ステージPSTと、光源装置30を含む露光装置全体の動作を統括的に制御するコンピュータよりなる主制御系14とを備えている。
【0020】
一例として、露光装置EXは、液晶表示デバイス製造用の露光装置であり、露光装置EXの本体部(マスクステージMST、投影光学系PL、及び基板ステージPSTを含む部分)は、製造工場にある箱状のチャンバ(不図示)の内部に設置され、光源装置30は、そのチャンバの屋上RTに設置されている。光源装置30は、放電ランプ1の累積使用時間が許容時間に達したときに、その旨の情報を主制御系14に供給する。これに応じて、主制御系14は、光源装置30から放電ランプ1の交換が完了したことを示す情報が供給されるまで、露光装置EXの露光動作を停止させる。以下、投影光学系PLの光軸AXに平行にZ軸を取り、Z軸に垂直な平面(本実施形態ではほぼ水平面である)内で
図1の紙面に平行にX軸を、
図1の紙面に垂直にY軸を取って説明する。
【0021】
放電ランプ1から射出された光束は、楕円鏡2によって第2焦点付近に収束された後、シャッタ(不図示)の近傍を通過して発散光となって光路折り曲げ用のミラー3に入射する。ミラー3もランプハウス31内に収容されている。ミラー3で反射された光束は、ランプハウス31の光透過性の窓部材4を通過して干渉フィルタ5に入射し、干渉フィルタ5により所定の輝線(例えば波長365nmのi線)よりなる露光光ILのみが選択される。なお、露光光ILとしては、i線の他に、g線、h線、若しくはこれらの混合光等、又は水銀ランプ以外のランプの輝線等も使用できる。その選択された露光光ILは、フライアイレンズ6(オプティカル・インテグレータ)に入射し、フライアイレンズ6の射出面に配置された可変開口絞り(以下、照明σ絞りという)7上に多数の2次光源が形成される。可変σ絞り7を通過した露光光ILは、第1リレーレンズ8を経てマスクブラインド(可変視野絞り)9に入射する。マスクブラインド9の配置面はマスクMのパターン面と実質的に共役であり、駆動装置9aを介してマスクブラインド9の開口形状を設定することで、マスクM上での照明領域が規定される。また、プレートPのステップ移動時等に不要な露光光がプレートPに照射されないように、ステージ制御系15が駆動装置9aを介してマスクブラインド9を開閉することができる。
【0022】
マスクブラインド9を通過した露光光ILは、第2リレーレンズ10、露光光ILの光路を折り曲げるためのミラー11、及びコンデンサレンズ12を介してマスクMのパターン面のパターン領域を照明する。干渉フィルタ5、フライアイレンズ6、可変σ絞り7、リレーレンズ8,10、マスクブラインド9、ミラー11、及びコンデンサレンズ12を含んで照明光学系13が構成されている。光源装置30からの光束は、照明光学系13を経て露光光ILとしてマスクM(マスク)の例えばY方向に細長い照明領域を照明する。マスクMの照明領域内のパターンが投影光学系PLを介して、プレートPの一つのショット領域の露光領域(照明領域と光学的に共役な領域)に投影倍率β(βは例えば等倍、拡大倍率、又は縮小倍率)で投影される。なお、投影光学系PLとしては、複数の投影光学系が例えばY方向に2列に配列されたマルチ投影光学系等を使用してもよい。このように複数の投影光学系を使用する場合には、照明光学系13からの露光光ILは、マスクMのパターン面の複数の照明領域を並列に照明する。
【0023】
マスクMは、マスクベース(不図示)上でX方向、Y方向、及びZ軸回りの回転方向に微動可能なマスクステージMSTの上面に保持されている。マスクステージMSTの位置は、これに固定された移動鏡17Rに計測用レーザビームを照射するレーザ干渉計18Rによって高精度に計測され、この計測値がステージ制御系15及び主制御系14に供給されている。その計測値及び主制御系14からの制御情報に基づいて、ステージ制御系15がリニアモータ等を含む駆動系19Rを介してマスクステージMSTの位置を制御する。
【0024】
一方、プレートPは不図示のプレートホルダを介して基板ステージPSTの上面に保持され、基板ステージPSTはベース部材(不図示)上にX方向及びY方向に移動可能に載置されている。基板ステージPSTの位置は、これに固定された移動鏡17Wに計測用レーザビームを照射するレーザ干渉計18Wにより高精度に計測され、この計測値はステージ制御系15及び主制御系14に供給されている。その計測値及び主制御系14からの制御情報に基づいて、ステージ制御系15はリニアモータ等を含む駆動系19Wを介して基板ステージPST(プレートP)の位置を制御する。
【0025】
プレートPの露光時には、基板ステージPSTによりプレートPの各ショット領域を投影光学系PLの露光領域の手前に移動する動作(ステップ移動)と、光源装置30からの光束で照明光学系13を介してマスクMを照明しつつ、マスクM及びプレートPを投影光学系PLに対して同期してX方向(走査方向)に移動して、プレートPの一つのショット領域の全面にマスクMのパターンの像を露光する動作(走査露光)とが、ステップ・アンド・スキャン方式で繰り返される。これによって、マスクMのパターンの像がプレートPの各ショット領域に転写される。
【0026】
なお、この露光に際して予めアライメントを行うために、例えば基板ステージPSTの内部には、マスクMに形成されたアライメントマークの位置を検出するための空間像計測部22が設置され、投影光学系PLの側面には、プレートPの各ショット領域に付設されたアライメントマークの位置を検出するためのアライメント系21が設置されている。空間像計測部22及びアライメント系21の検出信号はアライメント信号処理系16に供給され、アライメント信号処理系16は、例えばそれらの検出信号を処理して、マスクMのアライメント情報及びプレートPの各ショット領域の配列情報を求め、求めた情報を主制御系14に供給する。主制御系14は、それらの情報に基づいてマスクMのアライメント及び露光時のプレートPの位置制御を行う。これによって、重ね合わせ露光時に高い重ね合わせ精度が得られる。
【0027】
次に、本実施形態の光源装置30の構成及び光源装置30を用いる放電ランプ1の交換動作等につき詳細に説明する。
図2(A)は、
図1中の光源装置30の放電ランプ1を示す。
図2(A)において、放電ランプ1は、バルブ部25a及びこれを挟むように固定されたほぼ対称で円筒状の2つの棒状部25b,25cからなるガラス管25と、一方の棒状部25bの端部に連結された陰極側の口金部26と、他方の外側に向けて一例として段階的に直径が小さくなる棒状部25cの端部に連結された陽極側の口金部28とを備えている。そのバルブ部25a内に発光部を形成するための陽極EL1及び陰極EL2が対向して固定され、陰極EL2及び陽極EL1はそれぞれ口金部26及び28に電気的に接続されている。口金部26及び28は電気伝導率及び熱伝導率の良好な金属(例えば真鍮等)から形成されている。口金部26、ガラス管25、及び口金部28は、ガラス管25の棒状部25b,25cの中心軸を結び発光部の中心を通る一つの直線に沿って配置されている。その棒状部25b,25cの中心軸を結ぶ直線に平行な方向が放電ランプ1の長手方向Lである。
【0028】
口金部26及び28は、基本的に陰極EL2及び陽極EL1に
図1の電源部20から電力ケーブル23及び24を介して電力を供給するための電力受給端子として使用される。その他に、口金部26は、ガラス管25(放電ランプ1)を支持部材33(
図4(B)参照)によって支持するための被支持部としても使用される。さらに、口金部26及び28にはともにガラス管25から伝導してくる熱を効率的に発散するための凹凸部(表面積を大きくした部分)が形成されている。
【0029】
また、陰極側の口金部26には、棒状部25bから開放端側に順に、棒状部25bの外径の2倍程度の外径の輪帯状のフランジ部26a(当接部及び長手方向Lの位置の規定部)と、棒状部25bの外径よりも僅かに大きい外径の円柱状の軸部26b(嵌合部又は位置の規定部)と、軸部26bよりも外径の小さい円柱状の小径部26kと、軸部26bより僅かに小さい外径、あるいは軸部26bと略同じ外形の円柱状の固定部26hとが形成されている。軸部26bと小径部26kとの境界部には面取り部26eが形成され、固定部26hの開放端側にも面取り部26iが形成されている。なお、円柱状の軸部26bの外形は、棒状部25bの外形とほぼ同じ外形であってもよい。小径部26kは、軸部26bと固定部26hとの間に、放電ランプ1の長手方向Lと交差する方向に関して凹部(段部)26fを設けることによって形成される。放電ランプ1を
図4(B)の支持部材33に載置する際に、フランジ部26aは支持部材33の中央の開口を囲む段差部に当接して、ガラス管25の発光部の長手方向L(第1方向)における位置決めの基準となり、軸部26bはその開口に嵌合して、その発光部の長手方向Lに直交する面内における位置決めの基準となる。
【0030】
また、固定部26hには、凹部26fによって被押圧面26gが形成されている。被押圧面26gは、長手方向Lに垂直な平面である。
図4(B)の駆動ユニット34は、放電ランプ1を支持部材33で支持する際に、口金部26の固定部26h(被押圧面26g)を下方(−Z方向)に付勢するレバー38と、固定部26hを付勢する方向にレバー38を反時計回りに回転させる引っ張りコイルばね39と、レバー38による口金部26の固定を解除するためにレバー38を時計回りに回転させる例えばエアシリンダ又は電磁シリンダ等の駆動部40とを有する。支持部材33に放電ランプ1を固定して支持する場合には、駆動部40によるレバー38の時計回りの回転を解除すればよく、支持部材33から放電ランプ1を取り出す際には、駆動部40によってレバー38を時計回りに回転すればよい。なお、駆動ユニット34としては、国際公開第2007/066947号パンフレットに記載されている機構を使用することもできる。
【0031】
図2(A)において、一例として、口金部26の軸部26bの表面には、フランジ部26aから面取り部26eにかけて、螺旋状の溝部26dが形成されている。この溝部26dには、外部から例えば冷却用の気体を供給することによって、放電ランプ1の冷却効果を高めることができる。なお、溝部26dは必ずしも設ける必要はない。この場合でも、放電ランプ1で発生する熱は、口金部26を介して、表面積が大きく熱容量の大きい支持部材33に流れるため、放電ランプ1の温度の上昇が抑制できる。なお、放電ランプ1の冷却効果を高めるために、
図4(B)の支持部材33の口金部26の固定部26hが差し込まれている開口内に、送風装置(不図示)から冷却された気体を送風するようにしてもよい。
【0032】
図2(C)は、
図2(A)の放電ランプ1のCC線に沿った断面図であり、この
図2(C)に示すように、口金部26のフランジ部26aには一例として90°間隔で2箇所の開口27A,27B(位置決め部)が形成されている。これに応じて、
図4(B)の支持部材33のフランジ部26aが載置される面には、2つのピン(不図示)が設けられている。支持部材33に放電ランプ1を載置する際に、フランジ部26aの開口27A,27Bにそれらの2つのピンが差し込まれることで、放電ランプ1の長手方向Lに沿った軸の回りの位置決めが行われる。それらの開口27A,27Bと陽極側の口金部28との相対的な角度は、口金部28と電力ケーブル24とを連結しやすい角度(所定角度)に設定されている。
【0033】
なお、陰極側の口金部26の形状は任意である。口金部26としては、例えばフランジ部26a及び軸部26bのみを備え、軸部26b中に駆動ユニット34のレバー38の先端部を差し込むことができる凹部が形成されているような部材を使用することもできる。
図2(B)は、
図2(A)の陽極側の口金部28を示す。
図2(A)及び(B)において、陽極側の口金部28は、放電ランプ1のガラス管25の棒状部25c側から開放端側に順に、棒状部25cの最大直径とほぼ同じ外径の複数の輪帯状の放熱フィン28jが形成された放熱部28iと、複数の放熱フィン28jが形成された部分に、ガラス管25の中心を通る直線の回りにほぼ等角度間隔で3箇所に形成された平坦部28f,28g,28hを含む被把持部28e(被保持部)と、V字型の2つの平面部28b,28cが形成されたほぼ三角柱状の端子部28a(被連結部)とを備えている。被把持部28eの平坦部28f,28g,28hのほぼ中央には、それぞれランプ搬送系56で放電ランプ1を掴む際にランプ搬送系56のピン86a(
図9(B)参照)を差し込むための小さい穴部h1,h2,h3が設けられている。
【0034】
また、本実施形態の口金部28は、被把持部28eの端部の平面に設けられた複数の開口28k内のボルト(不図示)によって、ガラス管25の棒状部25cの端部に設けられて、陽極EL1と電気的に接続されている金属製のロッド部(不図示)に連結されている。このため、口金部28は、放電ランプ1の使用後に取り外しができ、取り外した口金部28を新たな放電ランプ1を製造する際に再利用できるようになっている。なお、口金部28は、ガラス管25に接着又は溶着等により一体化されていても良い。
【0035】
図5は、陽極側の口金部28に電力ケーブル24を連結した状態を示す。
図5において、電力ケーブル24の端部には、口金部28の端子部28aの平面部28b,28cと同じ角度のV字型の溝部66aが形成された金属製(導電性)の部材(以下、給電ブロックという)66が連結されている。また、給電ブロック66は、L字型の基準レバー67の下端部に固定され、基準レバー67には、連結ピンP51を介して回転可能にL字型の駆動レバー69が連結され、駆動レバー69の下端部に連結ピンP52を介して回転可能にローラ70が固定されている。口金部28の端子部28aの平面部28b,28cと反対側の面(背面)には、ローラ70を収めることができる大きさの凹部28d(
図2(B)参照)が形成されている。
【0036】
ここで、三角柱状の端子部28aの背面に凹部28d(窪み)を設けたのは、放電ランプ1から放射された光を楕円鏡2によって集光するとき、ローラ70がその集光された光をできるだけ遮らないようにするためである。このため、例えばローラ70を小型にしたときには、凹部28dを設ける必要はない。また、後述のように給電ブロック66を端子部28aに連結する際に、放電ランプ1に作用する応力をできるだけ小さくするため(基準レバー67及び駆動レバー69の可撓性を大きくするため)に、さらに、楕円鏡2によって集光された光の遮光量を小さくするために、基準レバー67及び駆動レバー69はできるだけ薄く形成されている。また、
図5では、基準レバー67は2枚のL字型の部材の両端部(他方の端部は不図示)を連結したものであるが、基準レバー67は、1枚のL字型の部材から形成してもよいし、L字型でなくてもよい。
【0037】
給電ブロック66、基準レバー67及び駆動レバー69を含んでクランプ機構52が構成されている。基準レバー67及び駆動レバー69の他端側は、
図4(B)に示すようにそれぞれ細長く形成されている。給電ブロック66の溝部66aを口金部28の端子部28aの平面部28b,28cに密着するように押し当てた状態で、駆動レバー69の先端部のローラ70を端子部28aの凹部28dに差し込み、駆動レバー69を連結ピンP51(支点)の回りに反時計回りに回転させることで、テコの原理によって強い力で、ローラ70と給電ブロック66との間に端子部28aを安定に挟み込むことができる。この状態で、電力ケーブル24の電力(電流)は、小さい電気抵抗で給電ブロック66を介して口金部28に供給されるため、電力の損失が小さくなる。また、電力ケーブル24(給電ブロック66)を口金部28(端子部28a)から取り外す場合には、駆動レバー69を時計回りに回転させればよい。
【0038】
図2(B)において、口金部28の端子部28aは、V字型の平面部28b,28cによって給電ブロック66との間の電気抵抗(接触抵抗)を小さくできるとともに、クランプ機構52のローラ70が収められる凹部28dが設けられているため、給電ブロック66との連結を安定に行うことができる。なお、駆動レバー69の先端部にはローラ70を設けることなく、その先端部の形状を円弧状にして、この円弧状の部分をその凹部28dに押し当ててもよい。
【0039】
また、陽極側の口金部28の端子部28aの形状は、
図2(B)の形状に限定されることなく、
図3(B)、(C)、(D)、(E)に示すように種々の形状が可能である。なお、
図3(A)は、
図2(B)の口金部28の端子部28aを簡略化して示す。また、
図3(A)〜(E)において、A1〜E1はそれぞれ端子部の平面図、A2〜E2はそれぞれ端子部の側面図である。まず、
図3(B)の口金部28Aで示すように、端子部28Aaは断面形状が台形状でもよい。この場合、端子部28Aaの互いに対称に傾斜した2つの平面部28Ab,28Acに
図5のクランプ機構52の給電ブロック66の溝部66aが接触し、その台形状の断面の背面部28Ad(ローラ70を収めるための凹部が設けられていてもよい。以下同様。)にクランプ機構52の駆動レバー69の先端部(又はローラ70。以下同様)が押し当てられる。
【0040】
また、
図3(C)の口金部28Bで示すように、端子部28Baの断面形状は四角形以上の多角形でもよい。
図3(C)の例では、端子部28Baの断面形状はほぼ正五角形状であり、端子部28Baの互いに対称に傾斜した2つの平面部28Bb,28Bcに給電ブロック66の溝部66aが接触し、それらに対向する背面部28Bdに駆動レバー69の先端部が押し当てられる。
【0041】
また、
図3(D)の口金部28Cで示すように、端子部28Caの断面形状はほぼ正六角形状でもよい。この場合、端子部28Caの互いに対称に傾斜した2つの平面部28Cb,28Ccに給電ブロック66の溝部66aが接触し、それらに対向する背面部28Cdに駆動レバー69の先端部が押し当てられる。この場合には、さらに端子部28Caの他の1面おきに配置された3つの面28Cf,28Cg,28Chの中央部に、それぞれランプ搬送系56のピン86a(
図9(B)参照)を差し込むための小さい穴部h1,h2,h3が設けられている。これによって、端子部28Caを被把持部としても兼用できる。
【0042】
また、
図3(E)の口金部28Dで示すように、端子部28Daの断面形状はほぼ円形状でもよい。この場合、給電ブロック66Aの対応する溝はほぼ円柱の側面のような形状とされている。そして、端子部28Daの一方の半面側に給電ブロック66Aの溝部66aを接触させ、端子部28Daの他の半面側に設けた凹部(不図示)に駆動レバー69の先端部が押し当てられる。このように陽極側の口金部28の端子部28aの形状は任意である。
【0043】
なお、以下で参照する
図4(A)及び(B)等においては、説明の便宜上、放電ランプ1の口金部26,28の形状は簡略化して表されている。
次に、
図4(A)は
図1の光源装置30のランプハウス31及びケーシング51の内部を示す平面図、
図4(B)は
図4(A)の光源装置30を示す側面図である。なお、
図4(A)、(B)、及び以下で参照する
図6(A)、(B)等では、ランプハウス31、ケーシング51、放電ランプ1等を支持する支持部材33、及び引き出し部36等を断面で表している。
【0044】
図4(A)及び(B)において、ランプハウス31は、放電ランプ1が収容される下部ハウジング31Aと、ミラー3が収容され側面に窓部材4が設置された上部ハウジング31Bとに分かれている。ハウジング31A,31Bの隣接する面には、放電ランプ1からの光を通すための開口31Abが設けられ、下部ハウジング31Aの+X方向の側面には、放電ランプ1の交換時に放電ランプ1等を通すための開口部31Aaが設けられている。下部ハウジング31Aの+X方向の側面に交換装置50のケーシング51が設置され、開口部31Aaに対向するケーシング51の側面には、放電ランプ1等を通すための開口部51aが設けられている。
【0045】
ケーシング51の+X方向の側面には、放電ランプ1の搬出及び搬入用の窓部51bが設けられ、窓部51bはドア(以下、ランプ交換扉という)45によって開閉される。交換装置50のケーシング51と、下部ハウジング31Aとは、位置関係がずれないように不図示の連結部材等によって連結されている。ケーシング51内の+X方向の端部の窓部51bの近傍には、放電ランプ1用の保管部54が設置され、ケーシング51内の上部にランプ搬送系56が配置されている。また、ケーシング51には、不図示であるが、外気取り入れ口及び取り入れた外気から塵埃等を除去するフィルタが設けられている。
【0046】
また、下部ハウジング31AのY方向の2つの側面に対向するようにX方向に平行に1対のガイド部材41が設けられ、ガイド部材41に沿ってX方向に移動可能に引き出し部36が配置され、引き出し部36の中央部に支持部材33を介して放電ランプ1が支持されている。なお、ガイド部材41としては、例えばテレスコピック方式(多段式)のガイド機構を使用してもよい。また、引き出し部36には、放電ランプ1を囲むように、円形の開口2a(
図4(A)参照)が設けられた楕円鏡2が設置され、下部ハウジング31Aの上部に、放電ランプ1の口金部28に連結されたクランプ機構52を覆うように、円錐台の側面のような形状の遮光部材42が配置されている。遮光部材42の+X方向の側面には、放電ランプ1の交換時に放電ランプ1及びクランプ機構52を通すための開口(不図示)が設けられている。
【0047】
また、交換装置50は、上記の陰極側の口金部26用の駆動ユニット34、陽極側の口金部28用のクランプ機構52、保管部54、及びランプ搬送系56の他に、下部ハウジング31A内から開口部31Aa,51aを通してケーシング51側に引き出し部36を引き出す引き出し駆動ユニット60と、クランプ機構52による口金部28のクランプ及びその解除を行う駆動ユニット72とを有する。その引き出し駆動ユニット60は、
図4(A)に示すように、ケーシング51内の床面において、下部ハウジング31Aの中心を通りX軸に平行な直線よりも−Y方向側に、X方向に沿って配置されたガイド部材61と、ガイド部材61に沿ってX方向に移動可能に配置されたベーステーブル62と、ベーステーブル62をガイド部材61に沿ってX方向に駆動する例えばボールねじ方式、ベルト駆動方式、又はリニアモータ方式等の駆動部63と、連結部材43とを有する。連結部材43は、ベーステーブル62の−X方向側の端部において+Y方向に突き出るとともにZ方向に突き出た先端部62aと、引き出し部36の+X方向の端部でY方向の中央部に設けられた凸の被連結部36cとを連結する。
【0048】
引き出し駆動ユニット60の駆動部63で、ガイド部材61に沿ってベーステーブル62を+X方向に移動することによって、下部ハウジング31A内の引き出し部36を、引き出し部36に支持されている放電ランプ1がケーシング51内に入る位置まで移動する(引き出す)ことができる。なお、引き出し部36はガイド部材41によって支持されているとともに、引き出し部36はガイド部材41に沿ってX方向に円滑に移動可能であるため、ベーステーブル62には引き出し部36の荷重はほとんど作用していない。このため、引き出し駆動ユニット60としては、ガイド部材61を用いた機構ではなく、単に例えばエアシリンダ等で引き出し部36をX方向に移動する機構を用いてもよい。
【0049】
また、放電ランプ1の口金部28のクランプ機構52を駆動する駆動ユニット72は、ベーステーブル62の上面に固定されてX軸に対してわずかに(例えば15度程度)時計回りに傾斜した方向(以下、クランプ機構52の退避方向Dという)(
図4(A)参照)に沿って配置されたガイド部材73と、ガイド部材73に対して2つのスライダ74を介して退避方向Dに移動可能に載置された平板状の可動テーブル75と、可動テーブル75をベーステーブル62に対して退避方向Dに駆動するエアシリンダ又は電磁シリンダ等の駆動部77と、可動テーブル75の上面に固定されたZ方向に細長い支持部材65とを有する。さらに、可動テーブル75の上面の−X方向の端部にZ方向に細長い中継部材64が固定され、中継部材64の上部に電力ケーブル24の他端が連結され、中継部材64のZ方向の中央部に、支持部材33に連結された電力ケーブル23の他端が引き出し部36に設けられた開口を通して連結されている。電力ケーブル23,24は、さらに可撓性を持つ延長ケーブル(不図示)を介して
図1の電源部20に接続されている。
【0050】
図7(A)は、クランプ機構52及び駆動ユニット72の詳細な構成を示す。
図7(A)において、クランプ機構52の基準レバー67の+X方向の端部は、支持部材65の上端に短いリニアガイド71Hを介して、
図4(A)の退避方向Dに平行な可動方向D1(一軸方向)に微動可能に支持されている。また、駆動ユニット72は、基準レバー67の+X方向の端部の近傍の底部に一端が固定されて、駆動レバー69の+X方向の端部を上方に引き付ける引っ張りコイルばね68と、可動テーブル75の上面に一端が固定されて、駆動レバー69の+X方向の端部を下方(−Z方向)に変位させることができるエアシリンダ又は電磁シリンダ等の駆動部76とを有する。駆動部76の一端は、回転可能な継ぎ手76aを介して可動テーブル75に連結されている。駆動部76の可動子の先端部と駆動レバー69の端部とは、回転可能な継ぎ手76bを介して連結されている。一例として、継ぎ手76aとしてはいわゆるクレビスジョイントが使用でき、継ぎ手76bとしてはいわゆるナックルジョイントが使用できる。
【0051】
図7(A)の状態では、駆動部76は駆動レバー69の端部に力を作用させていないため、引っ張りコイルばね68によって駆動レバー69には基準レバー67に対して反時計回りの力が作用する。これによって、駆動レバー69の−X方向の端部に設けられたローラ70が口金部28の端子部28aを給電ブロック66側に付勢するため、端子部28aは給電ブロック66とローラ70とで安定に保持されている。この際に、可動テーブル75と放電ランプ1との間隔が目標値からずれていても、そのずれ量は、リニアガイド71Hを介して基準レバー67が可動方向D1に移動することで相殺される。なお、可動テーブル75ごとX方向に移動可能であれば、リニアガイド71Hは設けなくてもよい。
【0052】
次に、クランプ機構52による端子部28aのクランプを解除する場合には、
図7(B)に示すように、駆動部76によって駆動レバー69の端部を下方に引き付けて、ローラ70を端子部28aよりも高い位置まで移動させる。このとき、駆動レバー69の端部の位置は放電ランプ1に近付くが、それに応じて継ぎ手76aによって駆動部76がわずかに回転するため、駆動レバー69を変形させるような応力が作用することはない。この状態で、
図4(B)の駆動部77によって可動テーブル75を退避方向Dに沿って矢印A2で示す方向に移動することによって、クランプ機構52及び電力ケーブル24を口金部28から引き離すことができる。
【0053】
また、ランプ搬送系56は、放電ランプ1の陽極側の口金部28の被把持部28eを上方から把持する3つの爪部86と、これらの爪部86を開閉する把持爪開閉機構85と、放電ランプ1を把持して上下(Z方向)に移動するZ軸駆動機構84と、Z軸駆動機構84をZ軸に平行な軸の回りに旋回させる旋回軸83と、旋回軸83をケーシング51の天井部に支持する支持部82とを備えている。
【0054】
図9(A)は3つの爪部86で口金部28の被把持部28eを把持する状態を示す平面図、
図9(B)は
図9(A)の側面図である。
図9(A)に示すように、3つの爪部86の被把持部28eに対向する面にはそれぞれ小さいピン86aが設けられている。そして、ランプ搬送系56で放電ランプ1を把持する際には、3つの爪部86のピン86aがそれぞれ被把持部28eの平坦部28f,28g,28hの穴部h1,h2,h3に対向するように、把持爪開閉機構85を位置決めする。この状態で、
図9(B)に示すように、把持爪開閉機構85によって3つの爪部86を中心方向に移動して(閉じて)、3つのピン86aを対応する穴部h1,h2,h3に差し込み、さらに3つの爪部86の平面部が対応する平坦部28f,28g,28hに接触するまで3つの爪部86を閉じる。なお、3つの爪部86はそれぞれ半径方向に変位可能なバネ機構(不図示)を介して把持爪開閉機構85に連結されているため、口金部28を変形させるような応力が作用することはない。
【0055】
図4(A)及び(B)において、保管部54は、使用済みの放電ランプ1及び未使用の放電ランプ1(以下、放電ランプ1Nという)が載置される複数(
図4(A)では6個)の開口79a(
図11参照)が同心円状に設けられた回転可能なターンテーブル79と、ターンテーブル79を回転する駆動部80とを備えている。開口79aの数がターンテーブル79に保管できる放電ランプ1,1Nの個数であり、その保管できる放電ランプ1,1Nの個数は任意である。それらの開口79aに放電ランプ1又は1Nの陰極側の口金部26の先端部が差し込まれ、放電ランプ1又は1Nは口金部26のフランジ部26a(
図1(A)参照)を介して自重によってターンテーブル79に載置される。
【0056】
図11に示すように、ターンテーブル79の側面には複数の開口79aに対応してそれぞれ中央に凹部があり断面が半円状の位置決め用部材87が設けられ、ターンテーブル79の側面方向に、位置決め用部材87の凹部に係合可能な凸部が設けてありターンテーブル79の半径方向に変形可能な板ばね部88が配置されている。ターンテーブル79を回転軸79bの回りに回転して、位置決め用部材87が板ばね部88(弾性部材)に係合したときにターンテーブル79の回転を停止することで、開口79aの位置を放電ランプ1又は1Nをランプ搬送系56との間で受け渡す位置に正確に位置決めできる。なお、不図示であるが、ランプの向き(Z軸回り)を位置決めできるように開口79aの近傍には、
図2(C)の穴27A,27Bと嵌合するピン等が設けてある。
【0057】
以下、本実施形態の光源装置30において、交換装置50を用いて放電ランプ1を交換する際の動作の一例につき説明する。この交換動作は光源制御系32によって制御される。 はじめに作業者(不図示)は、
図4(A)に示されるように、交換装置50のケーシング51のランプ交換扉45を開けて、未使用の放電ランプ1Nの口金部26を保管部54のターンテーブル79の開口79aに差し込み、放電ランプ1Nの口金部26のフランジ部26aを介してターンテーブル79に取り付ける(放電ランプの補充)。ターンテーブル79は電源オフの状態では、手動で回転可能になっており、
図11を参照して説明したように、所定の位置決め用部材87が板ばね部88に係合するようにターンテーブル79を回転することで、ターンテーブル79の回転角を手動で正確に設定できる。なお、ターンテーブル79は電動で回転させて、ランプを設置するようにしてもよい。
【0058】
なお、放電ランプの補充は、
図1の電源部20からの電力の供給を停止して、
図4(B)の下部ハウジング31A内の放電ランプ1が消灯している状態で行なうのが望ましい。ただし、下部ハウジング31A内の放電ランプ1の光が外部に漏れ出ないような措置を施し、ターンテーブル79を絶縁材料から形成しておくことによって、放電ランプ1の点灯中にターンテーブル79との間でランプ交換を行なえるようにしても良い。一例として、
図4(A)では放電ランプ1,1Nをターンテーブル79に6本セット(補充)可能であるが、使用済みランプを回収するために、ターンテーブル79に空きを作っておく。
図4(A)及び(B)は、ランプハウス31内に放電ランプ1が入っている場合を示しているので、ターンテーブル79には、放電ランプ1Nが5本セットされる。この後、ランプ交換扉45が閉じられる。
【0059】
その後、任意のタイミング(例えば、プレートPの交換時や装置のメンテナンス時)に放電ランプ1を放電ランプ1Nに交換することができる。あるいは、放電ランプ1の累積使用時間が許容時間に達したときに、光源制御系32は主制御系14にその旨の情報を送信し、主制御系14は露光装置EXの露光動作を停止するようにしてもよい。光源制御系32は、電源部20からの放電ランプ1に対する電力の供給を停止させ、放電ランプ1を消灯させた後、交換装置50を作動させて放電ランプ1を保管部54に保管されている放電ランプ1Nで交換する。
【0060】
すなわち、まず
図4(B)において、ランプハウス31内で放電ランプ1及び楕円鏡2を一体的に支持する引き出し部36を、引き出し駆動ユニット60によって矢印A1で示すように+X方向の所定の位置まで引き出す。この結果、引き出し部36は、
図6(B)に示す位置まで引き出される。この際に、引き出し部36とともにクランプ機構52、中継部材64、及び駆動ユニット72も一体的に+X方向のケーシング51の内部に引き出される。なお、
図6(A)は
図6(B)の引き出し部36及び交換装置50を示す一部を断面とした平面図である。また、以下で参照する
図8、
図10(B)等では、図面の錯綜を避けるため、複数の放電ランプ1Nのうちの一部の図示を省略している。
【0061】
次に、
図7(B)を参照して説明したように、駆動ユニット72の駆動部76でクランプ機構52の駆動レバー69を下方に引いて、放電ランプ1の口金部28の端子部28aを強い力で給電ブロック66に押し付けていたローラ70を連結ピンP51(支点)を軸に回転させ、ローラ70を端子部28aよりも高い位置になるように端子部28aから分離させる。その後、駆動部77(
図4(B)参照)によって、クランプ機構52及び駆動部76を支持する可動テーブル75を退避方向Dに沿って矢印A2で示す方向に退避させる。このとき、ローラ70は口金部28の上方を通過することになる。
【0062】
その後、
図8に示すように、駆動ユニット34の駆動部40によりレバー38を時計回りに回転させて、陰極側の口金部26の固定部26hのクランプを解除する。これによって、口金部26は支持部材33から引き抜くことができる。なお、図面の錯綜を避けるため、以下で参照する
図10(B)等においては、口金部26用の駆動ユニット34の図示を省略する。なお、陰極側の口金部26のクランプ解除を陽極側口金部28のクランプ解除前に行っても構わない。
【0063】
次に、ランプ搬送系56の旋回軸83を旋回させて把持爪開閉機構85を放電ランプ1の口金部28の上方に移動する。そして、矢印A3で示すように、ランプ搬送系56のZ軸駆動機構84によって把持爪開閉機構85を降下させ、把持爪開閉機構85は、その底面の3つの爪部86を閉じることによって口金部28の被把持部28eを把持する(
図9(B)参照)。その後、
図10(B)に矢印A5で示すようにZ軸駆動機構84によって、放電ランプ1を把持している爪部86を上昇させる。この際に、放電ランプ1の陰極側の口金部26の下端が引き出し部36の上面よりも高くなる位置(すなわち、楕円鏡2の上面よりも高くなる位置)まで放電ランプ1を上昇させる。
【0064】
その後、
図10(A)に矢印A6で示すように、旋回軸83によって、放電ランプ1を把持した把持爪開閉機構85を約180度旋回させて、放電ランプ1をターンテーブル79の上方に移動させる。この際に、保管部54の駆動部80によってターンテーブル79を回転させ、ターンテーブル79の空いている開口79aを把持爪開閉機構85(放電ランプ1)の下方に移動させる。この状態で、把持爪開閉機構85を降下させ、放電ランプ1の口金部26の先端部が開口79a内に収容されてから爪部86を開くことで、使用済みの放電ランプ1はターンテーブル79の位置A7に載置される。
【0065】
その後、ランプ搬送系56の把持爪開閉機構85を上昇させ、矢印A8で示すように、ターンテーブル79を約60度回転させ、位置A9にある未使用の放電ランプ1Nを把持爪開閉機構85の下に移動させる。その後、再び把持爪開閉機構85を降下させて、爪部86によって未使用の放電ランプ1Nの口金部28の被把持部28eを把持した後、把持爪開閉機構85を上昇させる。そして、放電ランプ1の搬出時と逆の動きによって、点線の矢印B1で示すように、旋回軸83によって把持爪開閉機構85を約180度旋回させ、
図10(B)に点線の矢印B2で示すように、放電ランプ1Nを把持する把持爪開閉機構85を降下させ、放電ランプ1Nの陰極側の口金部26を支持部材33に載置する。その後、
図8に点線の矢印B3で示すように、把持爪開閉機構85を上昇させ、
図6(B)に示すように、駆動ユニット34によって陰極側の口金部26を支持部材33にクランプする。
【0066】
さらに、
図8の駆動部77によって、
図7(B)に示すように、クランプ機構52を支持する可動テーブル75を退避方向Dに沿って矢印B4で示す方向(放電ランプ1Nに近づく方向)に移動させ、給電ブロック66を放電ランプ1Nの口金部28の端子部28aに当接させる。その後、駆動部76が可動部を押し出すことで(エシリンダの場合には、吸引力を徐々に弱くすることで)、引っ張りコイルばね68の力によって駆動レバー69が連結ピンP51を中心に回転し、ローラ70が端子部28aに接触して端子部28aを給電ブロック66に強く押し付ける。その結果、陽極側の口金部28に対する給電が電力ロスなく可能となる。なお、陰極側口金部26のクランプを陽極側口金部28のクランプ後に行っても構わない。
【0067】
このとき、放電ランプ1Nの陰極側の口金部26は駆動ユニット34(
図6(B)参照)によって支持部材33に固定されているため、仮に給電ブロック66の退避方向Dの位置が固定された状態で、陽極側の口金部28に対する給電ブロック66の位置がずれていると、放電ランプ1Nに大きな力が加わり放電ランプ1Nを破損する恐れがある。それを防ぐために、本実施形態では、
図7(A)に示すように、給電ブロック66が取り付く基準レバー67は、リニアガイド71Hによって、方向D1(放電ランプ1Nに対して半径方向)に移動可能になっているため、その給電ブロック66の位置決め誤差を補正(吸収)できる。なお、リニアガイド71Hの代わりに可動テーブル75を方向D1に移動可能にしてもよい。
【0068】
また、口金部28用のクランプ機構52は、駆動レバー69の回転方向及び旋回方向(Z軸に平行な軸の回りの回転方向)には剛性が低く、基準レバー67及び/又は駆動レバー69が撓むことによってその回転方向及び旋回方向の位置決め誤差を吸収できるようになっている。さらに、給電ブロック66の口金部28との接触面である溝部66a(
図5参照)は、断面形状がZ方向の位置によらずに一定のV型であるため、口金部28と給電ブロック66との間でZ方向の位置がずれても問題にならない。
【0069】
図6(B)に示すように、放電ランプ1Nの口金部28に対するクランプ機構52による給電ブロック66のクランプが完了すると、引き出し駆動ユニット60によって、
図4(B)に点線の矢印B5で示すようにベーステーブル62を−X方向に移動することによって、引き出し部36を下部ハウジング31A内の元の位置まで戻す。これによって、使用済みの放電ランプ1が未使用の放電ランプ1Nと交換されたことになる。
【0070】
次に、本実施形態の放電ランプ1の製造方法の一例につき
図32(B)のフローチャートを参照して説明する。
まず、
図32(B)のステップ220において、
図12に示すように、内部に陽極EL1及び陰極EL2(
図2(A)参照)が設置されたガラス管25の棒状部25b側に金属製の棒状の口金管226(小型口金部材)が設けられ、棒状部25c側に金属製の棒状の口金管228(小型口金部材)が設けられたガラス部材(ランプ本体)を製造(準備)する。口金管228及び226はそれぞれ陽極EL1及び陰極EL2に電気的に接続されている。口金管228及び226はそれぞれガラス管25の封止部に溶着等により一体的に固定されている。
【0071】
次のステップ222において、
図2(A)の使用済みの放電ランプ1から陰極側の口金部26及び陽極側の口金部28を取り外す。なお、
図12の口金部26及び28の形状は、
図2(A)の口金部26及び28に比べて簡略化して表されている。この場合、一例として、口金管228の端部の中央に位置決め用の小さい凸部228aが設けられ、その凸部228aを囲むように複数のネジ穴228bが設けられている。また、円筒状の口金部28の内面の上部の中央に、凸部228aが収容できる穴部h4が形成され、ネジ穴228bに対応した位置にボルト用の複数の開口28kが形成されている。開口28kの上部にはボルトBA1のヘッド部を収容できる座グリ部が形成されている。
【0072】
また、口金管226の端部226aに直径の小さい嵌合部226bが設けられ、嵌合部226bの端面に複数のネジ穴226cが形成されている。また、口金部26のフランジ部26aの上部に嵌合部226bに嵌合可能な短い円筒状の連結部26pが設けられ、フランジ部26aの底面にネジ穴226cに対応した位置にボルト用の複数の開口26qが形成されている。開口26qの端部にはボルトBA2のヘッド部を収容できる座グリ部が形成されている。
【0073】
そして、ステップ224において、口金管228を覆うように複数のボルトBA1を介して口金部28を連結し、口金管226に複数のボルトBA2を介して口金部26を連結することによって、放電ランプ1が完成する。なお、ステップ222において、使用済みの放電ランプ1から口金部28及び26を取り外すためには、それぞれボルトBA1及びBA2を緩めればよい。
【0074】
この放電ランプ1の製造方法によれば、使用済みの放電ランプ1から取り外した口金部26,28を再利用できるため、複雑な形状の口金部26,28の製造個数を少なくでき、放電ランプ1の製造コストを抑制できる。
なお、口金部26,28を再利用する(換言すると、使用済みの放電ランプ1から口金部26,28を取り外す)代わりに、例えば別途製造された口金部26,28の少なくとも一方を準備し、それをランプ本体(口金管226,228)に取り付けて放電ランプ1を構成してもよい。また、口金部26,28の少なくとも一方を再利用する場合に、口金部26,28の全体を再利用する代わりに、口金部26,28の少なくとも一部(例えば、端子部28a、被把持部28eおよび放熱部28iの少なくとも一つのパーツ)のみ再利用するようにしてもよい。
また、
図12の例では、口金管228の側面と口金部28の内面との間には空間が設けられており、例えば電力ケーブル24と平行に配置された可撓性を持つチューブ(不図示)を介してその空間に例えば高圧エアを通すことにより、点灯中の放電ランプ1の放熱(ランプ冷却)を効率的に行えるようになっている。なお、口金管228,226と口金部28,26との結合に際して、ボルトの緩みを防止するため、ボルト締結と耐熱接着剤の注入とを併用しても良い。
【0075】
また、口金管228,226と口金部28,26との結合は、ボルト締結ではなく、溶接等により口金管228,226と口金部28,26とを一体的に形成しても良い。
なお、
図12の例では、口金部26及び28の両方を取り外しできるようにしているが、例えば陰極側の口金部26は、口金管226と一体的に形成しておいてもよい。
また、使用済みの放電ランプ1の口金部26,28を再利用しない場合には、陰極側の口金部26及び陽極側の口金部28をそれぞれ口金管226及び228と一体的に形成しておいてもよい。
【0076】
上述のように本実施形態の露光装置EXは光源装置30を備えている。光源装置30は、発光部を形成するための陽極EL1(第1電極)及び陰極EL2(第2電極)が内部に設けられたガラス管25(ガラス部材)と、その発光部に対してガラス管25の陽極EL1側及び陰極EL2側にそれぞれ設けられた口金部28(第1口金部材)及び口金部26(第2口金部材)と、を有する放電ランプ1を発光させるための光源装置である。そして、光源装置30は、放電ランプ1を保管する保管部54と、放電ランプ1の口金部26を着脱可能に支持する支持部材33(支持部)と、支持部材33に支持された放電ランプ1の口金部28に電力ケーブル24が連結された給電ブロック66(電力を伝える部材)を着脱可能に連結するクランプ機構52(連結部)と、支持部材33による口金部26の支持及びクランプ機構52による口金部28に対する給電ブロック66の連結が解除されている状態で、口金部28を保持して放電ランプ1を保管部54と支持部材33との間で搬送するランプ搬送系56(搬送部)と、を備えている。
【0077】
本実施形態の光源装置30によれば、放電ランプ1の口金部28に給電ブロック66(電力ケーブル24の端部)を着脱可能に連結するクランプ機構52が設けられているため、使用済みの放電ランプ1を支持部材33から取り出すときには、クランプ機構52によって口金部28から給電ブロック66を取り外し、未使用の放電ランプ1を支持部材33に装着するときには、クランプ機構52によって口金部28に給電ブロック66を連結することで、放電ランプ1の交換を効率的に行うことができる。
【0078】
また、使用済みの放電ランプ1の温度が高い場合でも、放電ランプ1の温度が下がるまで待つことなく放電ランプ1を交換できるため、ランプ交換時間を短縮することができる。
また、光源装置30のクランプ機構52及びランプ搬送系56(交換装置50)は、従来の光源装置(放電ランプの陰極側の口金部を所定の支持部材で支持している装置)に、少ない改造で後付けすることが可能である。この改造された光源装置で本実施形態の放電ランプ1を使用することによって、放電ランプの交換を効率的に自動的に行うことができる。
【0079】
また、本実施形態のクランプ機構52は、駆動レバー69の端部(ローラ70)が口金部28の端子部28aに接する作用点の近くに連結ピンP51(支点)が設けられ、引っ張りコイルばね68を設けた位置及び駆動部76によって駆動レバー69を引き込む位置(力点)がランプハウス31(楕円鏡2)外に配置されているため、広いスペースを使って口金部28をクランプするための大きな力を容易に得ることができる。また、クランプ機構52の駆動ユニット72をランプハウス31の外に配置して、ランプハウス31から離れた場所でクランプ機構52を操作できるため、クランプ機構52及び駆動ユニット72を従来の光源装置に小改造で後付けすることができる。
【0080】
また、本実施形態の放電ランプ1は、発光部を形成するための陽極EL1及び陰極EL2が内部に設けられたガラス管25(ガラス部材)と、その発光部に対してガラス管25の陽極EL1側及び陰極EL2側にそれぞれ設けられた口金部28及び口金部26と、を有する。そして、口金部28は、電力ケーブル24が連結された給電ブロック66(電力を伝える部材)が接触可能であり、かつ給電ブロック66との電気的な接触抵抗を小さくするために、給電ブロック66と面接触可能な平面部28b,28cが設けられた端子部28a(被連結部)と、ランプ搬送系56(搬送部)によって保持可能な非平面部(穴部h1,h2,h3)を含む被把持部28e(被保持部)と、を有する。
【0081】
この放電ランプ1によれば、本実施形態の光源装置30に使用した場合、クランプ機構52(連結部)によって電力ケーブル24に連結された給電ブロック66をその端子部28aに容易に面接触させることができるとともに、ランプ搬送系56によってその被把持部28eを保持して放電ランプ1を効率的に搬送できる。
また、被把持部28eには、例えば爪部86のピン86aが差し込める穴部h1,h2,h3を含む非平面部が設けられているため、放電ランプ1を安全に搬送できる。なお、被把持部28eには、非平面部を設ける代わりに、例えば下方ほど断面積が小さい傾斜部を設けておいてもよい。この傾斜部を爪部86で把持することによっても、放電ランプ1を安全に搬送できる。
【0082】
また、本実施形態の露光装置EXは、上記の光源装置30と、光源装置30の放電ランプ1から発生する光(露光光IL)でマスクMを照明する照明光学系13(照明系)と、露光光ILのもとでマスクMのパターンの像をプレートP(基板)に投影する投影光学系PLと、を備えている。露光装置EXによれば、放電ランプ1の交換時間が短縮できるため、露光工程のスループットを向上できる。
【0083】
また、本実施形態の放電ランプの交換方法は、
図32(A)のフローチャートで示すように、クランプ機構52によって、放電ランプ1の陽極側の口金部28の端子部28a(被連結部)に面接触しているとともに電力ケーブル24が連結された給電ブロック66を、端子部28aから離脱させるステップ202と、駆動ユニット34によって放電ランプ1の陰極側の口金部26を支持部材33から離脱可能にする(口金部26のクランプを解除する)ステップ204と、ランプ搬送系56によって放電ランプ1の口金部28の非平面部を含む被把持部28e(被保持部)を保持して放電ランプ1を保管部54に搬送するステップ206と、を含んでいる。
【0084】
この交換方法によれば、放電ランプ1の搬出を効率的に行うことができる。
また、その交換方法は、ランプ搬送系56によって、保管部54にある未使用の放電ランプ1Nの口金部28の被把持部28eを保持し、放電ランプ1Nの口金部26が支持部材33によって支持可能な位置まで、放電ランプ1Nを搬送するステップ208と、駆動ユニット34によって放電ランプ210の口金部26を支持部材33にクランプするステップ210と、クランプ機構52によって、放電ランプ1Nの口金部28の端子部28aに、電力ケーブル24が連結された給電ブロック66を面接触させる(給電ブロック66を用いて口金部28をクランプする)ステップ212と、を含んでいる。これによって、未使用の放電ランプ1Nの支持部材33への設置を効率的に行うことができる。
【0085】
また、本実施形態の放電ランプ1の点灯方法は、放電ランプ1Nの陽極側の口金部28の端子部28a(被連結部)に電力ケーブル24が連結された給電ブロック66を面接触させるステップ212と、放電ランプ1Nの口金部26を電力が供給可能な支持部材33で支持するステップ210と、電力ケーブル24及び支持部材33を介して放電ランプ1Nに電力を供給して放電ランプ1Nを点灯するステップ214と、を含む。この点灯方法によれば、端子部28aと給電ブロック66とが面接触しているため、小さい電力ロスで放電ランプ1を点灯できる。その後、ステップ214でその放電ランプ1からの光を用いて露光装置EXによって露光が行われる。
【0086】
なお、上述の実施形態では以下のような変形が可能である。
まず、上述の実施形態では、給電ブロック66に電力ケーブル24を用いて電力を供給しているが、給電ブロック66(放電ランプ1)に電力を供給する方法としては、電力ケーブル24を用いることなく、基準レバー67及び給電ブロック66を使って(導通して)行なっても良い。また、給電ブロック66には、電力だけでなく、口金部28の冷却用の圧縮空気も放電ランプ1に供給できるようにしても良い。
【0087】
また、上述の実施形態の給電ブロック66のクランプ機構52は、
図7(A)に示すように、放電ランプ1にクランプ機構駆動ユニット72から力が作用するのを防止するために、放電ランプ1の半径方向D1に基準レバー67が微動できるようにリニアガイド71Hを備えていた。これに対して、
図13(A)及び(B)の変形例のクランプ機構52Aで示すように、基準レバー67の先端部に、給電ブロック66と平行にZ方向に伸びるとともに下端部に給電ブロック66を支持可能な突部のあるL字型のガイド部材71Sを固定し、このガイド部材71Sと給電ブロック66との間に、給電ブロック66をガイド部材71Sに対して矢印A10で示すようにZ方向に微動可能にするためのリニアガイド71Vを設けてもよい。
【0088】
この変形例のクランプ機構52Aによれば、例えば放電ランプ1の使用中に放電ランプ1が熱膨張したときには、放電ランプ1の口金部28が給電ブロック66と一体的にリニアガイド71Vを介してガイド部材71Sに対して+Z方向に変位できるため、放電ランプ1に作用する応力を減少させることができる。このため、光源装置30から供給する光束の出力をより安定化できる。
【0089】
なお、放電ランプ1の口金部28の端子部28aと給電ブロック66との接触を確実に行なって接触抵抗を減らすために、例えば給電ブロック66のV字型の溝部66a(
図5参照)の表面(接触面)に複数の凹凸のパターン(いわゆるコンタクト)を設けても良い。これによって、いわゆる接点追従によって、放電ランプ1の交換を繰り返してV字型の溝部66aの表面が摩耗しても、口金部28と給電ブロック66との間の電気的な接触が確実に継続して行なわれる。
【0090】
また、
図7(A)のクランプ機構駆動ユニット72は、クランプ機構52の基準レバー67及び駆動レバー69を上下(Z方向)に開閉するように構成したが、左右(放電ランプ1の長手方向に垂直な方向)に開閉するようにしても構わない。そうすることによって、クランプ機構52は、駆動部77でクランプ機構52をX方向に移動する際に、駆動レバー69の先端部のローラ70を口金部28より高い位置まで退避させる必要がなくなる。すなわち、クランプ機構52の開閉動作だけで、放電ランプ1の上方にクランプ機構52の構成部材がなくなるため、放電ランプ1をZ方向に搬送できるようになる。
【0091】
また、上述の実施形態及びその変形例では、放電ランプ1の陰極側の口金部26の駆動ユニット34と
図13(B)に示す口金部28のクランプ機構52Aのクランプ機構駆動ユニット72とは互いに独立に駆動部を備えている。これに対して、
図14(A)に示す変形例のように、駆動部を共通化してもよい。
図14(A)において、クランプ機構52Aの駆動レバー69の+X方向の先端部には駆動部76の代わりにワイヤーロープ89Dの一端部が固定されており、ワイヤーロープ89Dの他端部は、支持部材65の下方にY軸に平行な軸の回りに回転可能に支持されたプーリ89Cを介して+X方向に延びている。ワイヤーロープ89Dの他端部はリニアアクチュエータ76の可動ロッド89Aの先端に円柱状の取付部材89Bを介して固定されている。リニアアクチュエータ76は、ベーステーブル62の上面に固定されており、可動ロッド89Aをベーステーブル62のガイド部材61(
図4(B)参照)に沿ったX方向に駆動させることができる。
【0092】
支持部材65が固定されている可動テーブル75Aは、スライダ74を介してガイド部材73の上面にX方向に移動可能に載置されている。可動テーブル75Aの+X方向の端部には、X方向に長い長穴75Aaが設けられており、長穴75Aa内に取付部材89Bの一部が挿入されている。また、可動テーブル75Aの−X方向の端部には、−X方向の先端にローラ89Fを備える片持ち支持のロッド89Gが−X方向に延びて取り付けられている。また、可動テーブル75Aには、ベーステーブル62の−X方向の端部から引っ張りコイルばね89Eにより、−X方向に向かう付勢力が与えられており、可動テーブル75は、
図14(A)の位置でストッパ(不図示)に−X方向に押し付けられて静止している。そして、引っ張りコイルばね89Eは、クランプ機構52Aの駆動レバー69を駆動するための引っ張りコイルばね68よりも張力が大きく設定されている。
【0093】
さらに、放電ランプ1の陰極側の口金部26の固定部26hにコの字型のレバー38Aの一方の端部38Aaが接触し、この端部38Aaは支持部材33内に一端が固定された引っ張りコイルばね39によって固定部26h側に付勢されている。レバー38A及び引っ張りコイルばね39を含んで口金部26のクランプ機構34Aが構成されている。放電ランプ1を支持部材33に固定している状態では、ロッド89Gの先端のローラ89Fは、レバー38Aの端部38Aaと他方の端部38Abとの間に位置している。ワイヤーロープ89D、プーリ89C、リニアアクチュエータ76L、可動テーブル75A、引っ張りコイルばね89E、及びロッド89A等を含んで、クランプ機構52A及び34Aを駆動する駆動ユニット72Aが構成されている。
【0094】
次に、駆動ユニット72Aの動作につき説明する。
図14(A)は、
図6(B)に示すように、引き出し駆動ユニット60によって放電ランプ1を支持する支持部材33がランプハウス31外に引き出された状態を示す。この状態では、リニアアクチュエータ76Lの可動ロッド89Aの先端の取付部材89Bは、長穴75Aa内の可動範囲の−X方向の端部付近に位置している。次に、リニアアクチュエータ76Lの可動ロッド89Aを+X方向に駆動すると、プーリ89Cを介してワイヤーロープ89Dが下方に引かれ、
図14(B)に示すように、クランプ機構52Aの駆動レバー69の+X方向の端部が下がって、給電ブロック66及びローラ70による口金部28のクランプが解除される。
【0095】
さらに、リニアアクチュエータ76Lの可動ロッド89Aを+X方向に駆動すると、可動ロッド89Aの先端の取付部材89Bが長穴75Aaの+X方向側の内面に接触し、ワイヤーロープ89Dはこれ以上引かれないが、これに替わって取付部材89Bは、可動テーブル75Aを引きながら+X方向への移動を続ける。その結果、可動テーブル75A上にあるクランプ機構52A及び支持部材65が全体として+X方向に移動し、放電ランプ1の上方からクランプ機構52Aが退避する。また、可動テーブル75Aの+X方向への退避の途中、あるいは退避の最後に、
図15に示すように、可動テーブル75Aに取り付けられたロッド89Gの先端のローラ89Fが、陰極側のクランプ機構34Aのレバー38Aの他方の端部38Abに接触して、レバー38Aを回転させ、陰極側の口金部26の支持部材33に対するクランプを解除する。
【0096】
その後、
図10(B)に示すように、ランプ搬送系56によって放電ランプ1の交換が行われる。放電ランプ1が交換された後は、上述の動作と逆の動作によって陰極側の口金部26がクランプされ、可動テーブル75Aの−X方向への移動により、クランプ機構52Aの給電ブロック66が放電ランプ1の口金部28に接触し、次に駆動レバー69の端部が上昇して再びローラ70及び給電ブロック66によって口金部28をクランプする。
【0097】
このように駆動ユニット72Aを用いることによって、一つのリニアアクチュエータ76L(駆動部)を用いて、クランプ機構52Aの解除及び退避、並びにクランプ機構34Aの解除、並びにこれらの動作と逆の動作を行わせることができる。すなわち、3つの動作を一つのアクチュエータで制御しているため、製造コストを低減できる。なお、アクチュエータの数は例えば2つにしてもよい。
【0098】
上述の説明では、クランプ機構52Aの駆動レバー69を引く力が可動テーブル75Aを+X方向にスライドさせる力よりも弱く設定してあったため、駆動レバー69を引き終えるまで、可動テーブル75Aが+X方向に移動しないようになっていた。しかしながら、上記のような一連の動きができる構成であれば、どのような機構を使っても良い。
[第2の実施形態]
第2の実施形態につき
図16〜
図18を参照して説明する。本実施形態の光源装置も
図1の露光装置EXの照明光学系13に露光用の照明光を供給するために使用される。上述の第1の実施形態では、放電ランプ1の陽極側の口金部28用のクランプ機構を駆動する駆動ユニット72は、引き出し駆動ユニット60の可動テーブル75で支持しているが、本実施形態ではその駆動ユニットをランプハウス内に設ける。なお、
図16〜
図18において
図4(A)、(B)に対応する部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0099】
図16は、本実施形態に係る光源装置30Aを示す。光源装置30Aは、放電ランプ1の陽極側の口金部28をクランプするクランプ機構52B、クランプ機構52Bを駆動する駆動ユニット72B、放電ランプ1の保管部54、及びランプ搬送系56Aを備えている。
図16において、ランプハウス31の下部ハウジング31A内の−X方向の端部に、支持台75Cを介して平板状のベース部材75Bが固定され、ベース部材75Bの上面に駆動部76を介して駆動レバー69の一方の端部が支持され、支持台75Cの上面に支持部材65を介して基準レバー67Aの一方の端部が支持され、基準レバー67Aの他方の端部の先端に給電ブロック66が固定され、駆動レバー69の他方の端部の先端にローラ70が取り付けられ、上部ハウジング31Bの底部と駆動レバー69との間に、駆動レバー69の−X方向の端部を引き上げる引っ張りコイルばね68が介装されている。なお、支持部材65の上面と基準レバー67Aの−X方向の端部との間には、基準レバー67Aを−X方向に微動可能に支持するリニアガイド71H(
図16では不図示。
図7(A)参照)が配置されている。
【0100】
本実施形態では、放電ランプ1が、
図2(A)の場合に対して180度回転した角度で支持部材33に支持されている。そして、給電ブロック66は放電ランプ1の陽極側の口金部28の端子部28aの−X方向側の平面部28b,28c(
図2(B)参照)に接触し、駆動部76の力を緩めることで、駆動レバー69が引っ張りコイルばね68の力によって時計回りに回転して、駆動レバー69の先端のローラ70が端子部28aの背面を−X方向に付勢することで、給電ブロック66とローラ70との間に端子部28aがクランプされる。基準レバー67A、駆動レバー69、及びローラ70を含んでクランプ機構52Bが構成され、駆動部76、支持部材65、及び引っ張りコイルばね68を含んで、クランプ機構52B用の駆動ユニット72Bが構成されている。
【0101】
また、ベース部材75Bの上面に中継部材64Aが固定され、給電ブロック66に一端が連結された電力ケーブル24の他端が中継部材64Aの上部に連結され、支持部材33に一端が連結された可撓性を持ち長さに余裕のある電力ケーブル(不図示)の他端が中継部材64Aの下部に連結され、電力ケーブル24等は延長ケーブル(不図示)を介して電源部(不図示)に接続されている。さらに、下部ハウジング31A内で放電ランプ1の上方にある遮光部材42Aには、+X方向の端部に放電ランプ1を通過させる開口(不図示)が設けられ、−X方向の端部にクランプ機構52Bを配置するための開口(不図示)が設けられている。また、放電ランプ1の陰極側の口金部26を支持部材33にクランプする駆動ユニット34(
図4(B)参照)は第1の実施形態と同様であるため、
図16等では、その駆動ユニット34の図示を省略する。
【0102】
また、交換装置50Aのケーシング51内に、ガイド部材61、ベーステーブル62A、ベーステーブル62AのZ方向に突き出た先端部62Aaと引き出し部36とを連結する連結部材43、及び駆動部63を含む引き出し駆動ユニット60Aが設置されている。さらに、ケーシング51内に、底面に設置された細長い支持部材90Aと、支持部材90Aの上端に固定されたX方向に長いX軸ガイド部材90Bと、X軸ガイド部材90BにX方向に移動可能に支持されるX軸駆動機構90Xと、X軸駆動機構90Xに支持されるZ軸駆動機構84と、Z軸駆動機構84の下端に設けられた把持爪開閉機構85と、把持爪開閉機構85に設けられた複数の爪部86とを含むランプ搬送系56Aが設置されている。ケーシング51内には放電ランプ1の保管部54も設置されている。引き出し駆動ユニット60A、ランプ搬送系56A、及び保管部54を含んで交換装置50Aが構成されている。この他の構成は
図4(B)の光源装置と同様である。
【0103】
本実施形態において、放電ランプ1を交換する場合には、まず、
図17に示すように、駆動ユニット72Bの駆動部76によって矢印A21で示す方向にクランプ機構52Bの駆動レバー69の端部を引き下げて、駆動レバー69の先端部のローラ70を陽極側の口金部28から分離させる。その後、引き出し駆動ユニット60Aが引き出し部36を+X方向にケーシング51内の所定の位置まで引き出す。次に、矢印A23で示すように、ランプ搬送系56Aの把持爪開閉機構85及び爪部86が−Z方向に降下して陽極側の口金部28を把持し、陰極側の口金部26のクランプが駆動ユニット(不図示)によって解除される。なお、爪部86が口金部28を把持する前に口金部26のクランプが解除されるようにしてもよい。その後、矢印A24で示すように、把持爪開閉機構85が上昇して、放電ランプ1の陰極側の口金部26を楕円鏡2よりもより高い位置まで移動する。
【0104】
その後、X軸駆動機構90Xは、矢印A25で示すように、X軸ガイド部材90Bに沿って+X方向に移動して、把持爪開閉機構85を保管部54のターンテーブル79の上方の位置A27に移動する。次に、矢印A26で示すように、把持爪開閉機構85は降下して、放電ランプ1をターンテーブル79の空いている開口に載置する。次に、把持爪開閉機構85は一度上昇し、ターンテーブル79が回転して未使用の放電ランプ1Nを把持爪開閉機構85の下方に移動させた後、再び、把持爪開閉機構85が降下して未使用の放電ランプ1Nを把持して上昇する。
【0105】
その後、放電ランプ1を搬出したときと逆の動作によって、放電ランプ1Nを支持部材33に設置し、引き出し駆動ユニット60Aによって引き出し部36を下部ハウジング31A内に戻す。そして、
図16に示すように、駆動ユニット72Bでクランプ機構52Bを駆動して放電ランプ1Nの陽極側の口金部28をクランプすることで、放電ランプ1の交換が完了する。
【0106】
本実施形態によれば、陽極側の口金部28のクランプ機構52Bの駆動ユニット72Bは、スライド機構を持たないので、全体として光源装置30Aの構成が簡素化され、製造コストを低減できる。また、陽極側の口金部28に給電する給電ブロック66に繋がっている電力ケーブル24は、引き出されてこないので、引き出し駆動ユニット60Aによって駆動される部分の構成を簡素化できる。
【0107】
また、本実施形態のランプ搬送系56Aは、X軸駆動機構90X及びZ軸駆動機構84を用いて直動方式で把持爪開閉機構85を駆動しているため、ターンテーブル79に円周に沿って放電ランプ1,1Nが近接して配置されていても、把持爪開閉機構85とターンテーブル79との間の位置決めを容易に行うことができる。
本実施形態では、以下のような変形が可能である。
【0108】
まず、本実施形態のランプ搬送系56Aの代わりに第1の実施形態のランプ搬送系56、又は多軸ロボットハンドなどを使用してもよい。
また、ランプ搬送系56Aの代わりに、
図18の変形例の光源装置30Bで示すように、旋回型のランプ搬送系56Bを備えてもよい。
図18において、ランプ搬送系56Bは、ケーシング51内の底面に設置された細長い支持部材90Cと、支持部材90Cの上端に固定された旋回駆動部90Dと、旋回駆動部90DによってZ軸に平行な軸の回りに旋回される旋回部90Eと、旋回部90Eの両端に固定されてそれぞれZ方向に移動可能なZ軸駆動機構84A,84Bと、Z軸駆動機構84A,84Bの下端部に設けられた把持爪開閉機構85A,85Bと、把持爪開閉機構85A,85Bによって開閉されるそれぞれ複数の爪部86A,86Bとを備えている。ランプ搬送系56Bで放電ランプ1の搬送を行う場合、一例として、一方の把持爪開閉機構85Aで爪部86Aを介して使用済みの放電ランプ1の口金部28を掴み、他方の把持爪開閉機構85Bで爪部86Bを介してターンテーブル79の未使用の放電ランプ1Nの口金部28を掴む。
【0109】
そして、Z軸駆動機構84A,84Bを介して放電ランプ1,1Nを上昇させた後、旋回駆動部90Dによって旋回部90Eを180度回転させてから、Z軸駆動機構84A,84Bを介して放電ランプ1,1Nを降下させることで、支持部材33とターンテーブル79との間で高速に放電ランプ1,1Nを交換できる。本実施形態では、ケーシング51内で支持部材33に支持されている放電ランプ1の斜め上方にクランプ機構52Bがないため、旋回部90Eの回転によって、把持爪開閉機構85Aの爪部86A(又は把持爪開閉機構85Bの爪部86B)は時計回り又は反時計回りのどちらの方向に回転してもクランプ機構52Bと接触する恐れがない。
【0110】
[第3の実施形態]
第3の実施形態につき
図19(A)〜
図25(B)を参照して説明する。本実施形態の光源装置も
図1の露光装置EXの照明光学系13に露光用の照明光を供給するために使用される。本実施形態の放電ランプは、陽極側の口金部の形状及びこの口金部のクランプ機構の構成が上述の実施形態と異なっている。なお、
図19(A)〜
図25(B)において
図2(A)、及び
図4(A)、(B)、及び
図16に対応する部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0111】
図19(A)は、本実施形態に係る放電ランプ1Aを示す。
図19(A)において、放電ランプ1Aは、バルブ部25Aa及びこれを挟むように固定された円筒状の2つの棒状部25Ab,25Acからなるガラス管25Aと、一方の棒状部25Abの端部に連結された陰極側の口金部126と、他方の棒状部25Acの端部に連結された陽極側の口金部128とを備えている。口金部128,126はそれぞれバルブ部25Aa内の陽極及び陰極(不図示)に電気的に接続されている。口金部126及び128は電気伝導率及び熱伝導率の良好な金属製である。
【0112】
また、陰極側の口金部126には、棒状部25Abから開放端側に順に、棒状部25Abより直径の大きい円筒状の接続部126kと、棒状部25Abの外径の2倍程度の外径の輪帯状のフランジ部126aと、棒状部25Abの外径よりも僅かに大きい外径の円柱状の軸部126bと、軸部126bよりも外径の小さい円柱状の小径部126fと、軸部126bより僅かに小さい外径、あるいは軸部126bと略同じ外形の円柱状の固定部126hと、面取り部126iと、小径部126fより直径の小さい先端部126jとが形成されている。放電ランプ1Aを後述の
図20(B)の支持部材33に載置する際に、フランジ部126aは支持部材33の中央の開口を囲む段差部に当接する。また、固定部126hには、
図4(B)の駆動ユニット34によって
図20(B)の支持部材33にクランプできる。なお、
図20(B)では駆動ユニット34の図示は省略している。
【0113】
また、陽極側の口金部128は、放電ランプ1Aのガラス管25Aの棒状部25Ac側から開放端側に順に、棒状部25Acの直径よりもわずかに大きい外径の円筒状の接続部128kと、棒状部25Acの直径とほぼ同じ外径の円筒状の中間部128mと、複数の輪帯状の放熱フィン128jが形成された放熱部128iと、端子部128aとを備えている。端子部128aは、先端部に向けて順に、次第に直径が小さくなる円錐の側面状の凸の連結部128bと、接続部128kより直径の小さい円柱状の軸部128cと、直径が次第に小さくなり再び大きくなる凹部e1と、軸部128cとほぼ同じ直径の円柱状の先端部128dと、面取り部e2とを有する。
【0114】
図19(B)に示すように、本実施形態では、陽極側の口金部128に電力ケーブル24を着脱可能に連結するために、複数の円筒状の部材を組み合わせて構成される部材(以下、給電ソケットという)152を用いる。
図19(B)において、給電ソケット152は、口金部128の連結部128bと同じ形状の凹の接触面153aが形成された輪帯状の連結部153と、連結部153の上部に固定された円筒状の外筒部154と、外筒部154の先端のフランジ部154aに当接する段差部155aが形成され、連結部153と外筒部154との間に配置された下端が円筒状のボタンスイッチ部155と、連結部153とボタンスイッチ部155との間に介装される圧縮コイルばね156とを有する。連結部153、外筒部154、及び内筒部155は電気伝導率及び熱伝導率の良好な金属製である。
【0115】
連結部153は、外筒部154の底面に例えばボルト(不図示)等で固定され、外筒部154の外面には凹部154bが形成され、電力ケーブル24の端部は外筒部154の外面に連結されている。また、連結部153は、口金部128の軸部128c及び先端部128dに緩く嵌合する内面153bと、それぞれ球体(ボールベアリング)球体157が配置された複数の開口h4(
図24参照)が設けられたリテイナ部153cとを有する。ボタンスイッチ部155の下端の凹部には、球体157を外側に逃がすためのテーパ部155bが形成され、その凹部の上面には口金部128の先端部128dに接触可能な小さい凹部155dが形成されている。
【0116】
図19(B)の状態では、連結部153のリテイナ部153cに保持された複数の球体157は、端子部128aの凹部e1内に収まっており、圧縮コイルばね156によってボタンスイッチ部155から連結部153側に付勢力が作用して、連結部153の接触面153aは端子部128aの連結部128bに押し付けられる。このとき、電力ケーブル24に供給される電力(電流)は、外筒部154及び連結部153を介して小さい電気抵抗(接触抵抗)で口金部128に供給される。
【0117】
また、
図19(B)の給電ソケット152においては、一例として、外筒部154に通気孔154cが形成され、電力ケーブル24内に設けられた送風管(不図示)を介して外部から通気孔154cに冷却された空気を供給できるように構成されている。その空気は、連結部153と外筒部154との間の空間に供給され、口金部128を効率的に冷却できる。なお、その冷却された空気を供給する機構は省略可能であり、この場合には、通気孔154cは設ける必要がない。給電ソケット152の口金部128からの取り外し及び口金部128への取り付けを行う機構については後述する。
【0118】
図20(A)は、本実施形態に係る光源装置30Cを示す一部を切り欠いた平面図、
図20(B)は
図20(A)の一部を切り欠いた側面図である。
図20(B)において、下部ハウジング31A内の引き出し部36に固定された支持部材33に放電ランプ1Aの陰極側の口金部126のフランジ部126aが設置され、固定部126hが駆動ユニット34(
図4(B)参照)によって支持部材33にクランプされている。また、引き出し部36の+X方向の端部の上面に中継部材64が固定され、中継部材64の先端部に電力ケーブル24の一端が連結され、電力ケーブル24の他端は給電ソケット152を介して放電ランプ1Aの陽極側の口金部128に連結されている。また、支持部材33に連結された電力ケーブル(不図示)も中継部材64に連結されている。
【0119】
また、ケーシング51内に、引き出し部36をケーシング51側に引き出す引き出し駆動ユニット60A、放電ランプ1A及び未使用の放電ランプ1A(以下、放電ランプ1ANという)を保管する保管部54、ランプ搬送系56C、及び放電ランプ1Aの口金部128に対する給電ソケット152の着脱を行う機構(以下、給電ソケット付け替え用の駆動ユニットという)72Cとが設置されている。引き出し駆動ユニット60A、保管部54、ランプ搬送系56C、及び駆動ユニット72Cを含んで光源装置30Cの交換装置50Cが構成されている。
図20(A)及び(B)に示すように、ランプ搬送系56Cは、底面にガイド部材61に対して−Y方向側に設置された細長い支持部材90Aと、支持部材90Aの上端に固定されたX方向に長いX軸ガイド部材90Bと、X軸ガイド部材90BにX方向に移動可能に支持されるX軸駆動機構90Xと、X軸駆動機構90Xに支持されるZ軸駆動機構84Bと、Z軸駆動機構84Bの下端に設けられて、放電ランプ1Aの陽極側の口金部128を把持する把持部162と、を有する。
【0120】
また、給電ソケット付け替え用の駆動ユニット72Cは、底面にガイド部材61に対して+Y方向側に設置された細長い支持部材90Fと、支持部材90Fの上端にZ軸に平行な軸の回りにほぼ30度の範囲内で旋回可能に連結された旋回部90Gと、旋回部90Gの先端の収納部90R内に設けられたZ軸駆動機構84Aと、Z軸駆動機構84Aの下端に設けられて、放電ランプ1Aの口金部128に対する給電ソケット152の着脱を行う部材(以下、把持部という)160と、を有する。
【0121】
本実施形態において、放電ランプ1Aの交換を行う場合、第1の実施形態と同様に、
図21に矢印A31で示すように、引き出し駆動ユニット60Aが、放電ランプ1Aを支持する引き出し部36をケーシング51内の所定の位置まで引き出す。次に、引き出された放電ランプ1Aの上空で待機していた駆動ユニット72Cの把持部160が降下して給電ソケット152を放電ランプ1Aの口金部128から外して給電ソケット152のみを持ち上げる。
【0122】
次に、
図25(A)に矢印A38で示すように、旋回部90Gを約30度旋回して給電ソケット152を保持している把持部160を放電ランプ1Aの上方から退避させる。その後、ランプ搬送系56Cにおいて、矢印A36で示すようにX軸駆動機構90Xを放電ランプ1Aの上方に移動する。そして、
図25(B)に示すように、Z軸駆動機構84Bによって把持部162を放電ランプ1Aの口金部128に降下させ、把持部162によって例えば口金部128の先端部128d(
図19(A)参照)を保持する。その後、矢印A37で示すように、放電ランプ1Aを楕円鏡2より高く持ち上げた後、
図17の例と同様に、ランプ搬送系56Cを用いて、放電ランプ1Aを保管部54に設置し、保管部54から未使用の放電ランプ1ANを支持部材33に載置する。その後、駆動ユニット72Cによって放電ランプ1ANの口金部128に給電ソケット152を装着し、引き出し駆動ユニット60Aによって引き出し部36を下部ハウジング31A内に戻すことで、放電ランプ1Aの交換が完了する。
【0123】
次に、本実施形態の
図21の駆動ユニット72Cの把持部160の構成等につき、
図22(A)〜
図24を参照して説明する。
図22(A)に示すように、駆動ユニット72CのZ軸駆動機構84Aの下端に固定された把持部160は、Z軸駆動機構84Aに固定されて、Z軸に平行な軸の回りにほぼ等角度間隔で配置された3つの腕部164a,164b,164c(164cは不図示)を有する第1リンク部164と、第1リンク部164の中央の底面に固定されて中央に等角度間隔で3箇所の開口166aが形成されて、Z方向に駆動可能なピストン部165と、開口166aにそれぞれ一端部が設置されたほぼT字型の3つの第2リンク部167A,167B,167C(167Cは不図示)と、を有する。さらに、把持部160は、3つの腕部164a,164b,164cに回転可能な支点E1等を介して連結されるとともに、3つの第2リンク部167A,167B,167Cに回転可能な支点E4等を介して連結された3つのアーム部169A,169B,169C(169Cは不図示)と、3つの腕部164a,164b,164cに回転可能な支点E2等を介して連結されるとともに、3つの第2リンク部167A,167B,167Cに回転可能な支点E3等を介して連結された3つの第3リンク部168A,168B,168C(168Cは不図示)とを有する。なお、以下では、Z軸に平行な軸の回りにほぼ等角度間隔で配置された3つのアーム部169A,169B,169C等を単にアーム部169A,169B等という。
【0124】
把持部160で給電ソケット152を放電ランプ1Aの口金部128から取り外す場合、
図22(B)に示すように、把持部160を降下させて、アーム部169A,169Bの先端の凸部が給電ソケット152の外筒部154の凹部154bに対向する位置で把持部160の降下を停止する。次に、
図23(A)に矢印A32で示すように、中央のピストン部165が押し下げられると、第1リンク部164、第2リンク部167A,167B及び第3リンク部168A,168Bよりなるリンク機構の働きによって、アーム部169A,169Bの先端は内側に移動し、その先端の凸部は外筒部154の凹部154bに掛けられる。
【0125】
次に、
図23(B)に矢印A33で示すように、ピストン部165が給電ソケット152のボタンスイッチ部155を押し下げると、給電ソケット152内の球体157がボタンスイッチ部155のテーパ部155b(
図24参照)に沿って外側に移動し、口金部128の端子部128aに対するクランプは解除される。このとき、把持部160の上述のリンク機構は、いわゆるトグル機構になっているため、ピストン部165が大きく下方に移動しても、アーム部169A,169Bの位置はほぼ変わらない。このため、3本のアーム部169A,169Bで給電ソケット152を支えながら、給電ソケット152による口金部128のクランプを解除することができる。したがって、放電ランプ1Aには下に押し付けられる力はかからない。
【0126】
その後、
図24に矢印A35で示すように、駆動ユニット72CのZ軸駆動機構84Aを駆動して、給電ソケット152を保持した把持部160を上昇させることで、放電ランプ1Aの口金部128から給電ソケット152を上方に取り外すことができる。また、上述の動作と逆の動作によって、給電ソケット152を口金部128に取り付けることができる。
【0127】
なお、本実施形態では、以下のような変形が可能である。
まず、本実施形態の給電ソケット付け替え用の駆動ユニット72Cには、
図20(B)に示すように旋回部90Gが設けられているが、旋回部90Gを設けることなく、Z軸駆動機構84A及び把持部160をX軸に沿って移動させてもよい。この場合には、引き出し部36(放電ランプ1A)を下部ハウジング31A外に引き出したところで一旦、引き出し部36を停止させ、Z軸駆動機構84Aによって把持部160を降下させ、把持部160で放電ランプ1Aから給電ソケット152を取り外し、給電ソケット152を保持した把持部160を上昇させる。その後、再び引き出し駆動ユニット60Aによって、引き出し部36を+X方向に引き出した後、ランプ搬送系56Cによって放電ランプ1Aを交換することになる。この場合には、駆動ユニット72Cに旋回部90Gを設ける必要がないため、駆動ユニット72Cの製造コストを低減できる。
【0128】
また、
図20(B)において、ランプ搬送系56CのX軸ガイド部材90Bに沿って、把持部162用のZ軸駆動機構84Bとともに、把持部160用のZ軸駆動機構84AをX方向に移動可能に支持してもよい。この構成では、把持部160で放電ランプ1Aの給電ソケット152を取り外した後、把持部160をZ軸駆動機構84Bに沿って−X方向の端部に移動した後、把持部162を放電ランプ1Aの上方に移動して、放電ランプ1Aを交換することができる。そのため、上述の変形例のように引き出し部36(引き出し駆動ユニット60A)を2箇所で停止させる必要はない。よって、引き出し駆動ユニット60Aの駆動部63として、例えばエアシリンダなどを使用できる。
なお、放電ランプ1Aの製造方法として、上述した放電ランプ1と同様の製造方法を用いることができる。すなわち、ランプ本体(ガラス部材)と口金部126,128とをそれぞれ準備し、それらを互いに連結することで放電ランプ1Aを構成することができる。このとき口金部126,128は、例えば使用済みの放電ランプ1Aから取り外したものを再利用するように準備してもよい。また、口金部126,128の少なくとも一方を再利用する場合に、口金部126,128の全体を再利用する代わりに、口金部126,128の少なくとも一部(例えば、端子部128aおよび放熱部128iの少なくとも一つのパーツ)のみ再利用するようにしてもよい。
【0129】
[第4の実施形態]
第4の実施形態につき
図26(A)〜
図27を参照して説明する。本実施形態の光源装置も露光装置の照明光学系に露光用の照明光を供給するために使用される。本実施形態の光源装置は複数(一例として3個)のランプハウスを備え、複数のランプハウス内の放電ランプから射出される光を合成して露光装置の照明光学系に供給するものである。なお、
図26(A)〜
図30において
図1、及び
図4(A)、(B)に対応する部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0130】
図26(A)及び(B)は、それぞれ本実施形態に係る露光装置EXAを示す平面図、
図27は、露光装置EXAを示す一部を切り欠いた側面図である。
図26(A)において、露光装置EXAの照明光学系及び露光本体部(
図1の露光装置EXから光源装置30を除いた部分)が、箱状のチャンバ92内に配置されている。露光装置EXAは光源装置30Dを備えている。光源装置30Dは、チャンバ92の屋上RTに放射状に設置された第1、第2、及び第3のランプハウス29A,29B,29Cと、屋上RTに設置されたランプハウス29A,29B,29Cから射出される光束を合成して階下の照明光学系(不図示)に供給する合成部93と、ランプハウス29A〜29C内の使用済みの放電ランプ1を交換する交換装置50Dと、放電ランプ1及び未使用の放電ランプ1Nを保管する保管部54とを備えている。保管部54はカバー(不図示)で覆われている。
【0131】
ランプハウス29A〜29Cは、それぞれ
図4(B)の使用時の放電ランプ1及び楕円鏡2が収容される下部ハウジング31A、及びミラー3及び窓部材4が配置された上部ハウジング31Bを有する(
図27参照)。なお、
図26(A)、(B)においては、ランプハウス29A〜29Cのうちの下部ハウジング31Aのみが図示されている。ランプハウス29A〜29Cの使用時の放電ランプ1の陽極側の口金部28には、それぞれ
図4(B)のクランプ機構52によって電力ケーブル24の給電ブロック66が連結されている。
【0132】
また、交換装置50Dは、ランプハウス29A,29B,29Cにそれぞれ近接して配置されたケーシング51A,51B,51Cと、ケーシング51A〜51C内にそれぞれ配置されて、対応するランプハウス29A〜29C内の放電ランプ1を支持する引き出し部36をケーシング51A〜51C内に引き出す
図4(B)の引き出し駆動ユニット60と、を備えている。ケーシング51A〜51Cの高さは、下部ハウジング31Aの高さとほぼ同じであり(
図27参照)、ケーシング51A〜51Cの上面には、開閉式のカバー(不図示)が設けられている。また、交換装置50Dは、ケーシング51A〜51C内にそれぞれ配置されて、引き出された放電ランプ1の陽極側の口金部28のクランプ機構52によるクランプを解除する
図4(B)の駆動ユニット72C、ケーシング51A〜51C内にそれぞれ配置されて、引き出された放電ランプ1の陰極側の口金部26のクランプを解除する
図4(B)の駆動ユニット34と、ケーシング51A〜51Cに引き出された引き出し部36(支持部材33)に支持されている使用済みの放電ランプ1を交換するランプ搬送系56Dとを備えている。
【0133】
また、ランプ搬送系56Dは、屋上RTのケーシング51Cに近接して設けられた支柱90Hと、支柱90Hに支持されてY方向に延びたY軸駆動部90Iと、Y軸駆動部90IによってY方向に駆動される旋回駆動部90Dと、旋回駆動部90DによってZ軸に平行な軸の回りに旋回される旋回部90Eと、旋回部90Eの両端に固定されたZ軸駆動機構84A及び84Bと、Z軸駆動機構84A及び84Bの下端に連結された把持爪開閉機構85A及び85Bと、把持爪開閉機構85A及び85Bによって開閉される複数の爪部86A及び86Bとを備えている。Y軸駆動部90Iは、例えばボールねじ方式又はリニアモータ方式等で旋回駆動部90DをY方向に駆動する。このようにランプ搬送系56Dは、2つの把持爪開閉機構85A,85Bを備えているため、同時に2本の放電ランプ1(又は未使用の放電ランプ1N)を把持することがでる。なお、放電ランプ1,1Nの回転角を調整するために、Z軸駆動機構84A,84Bと把持爪開閉機構85A,85Bとの間に回転軸(不図示)を設けてもよい。
【0134】
また、
図27に示すように、光源装置30Dは、チャンバ92の側面に設置されたエレベータ95と、エレベータ95内で1階に近い位置P7と屋上RTに近い位置P6との間で昇降する昇降部94とを備えている。昇降部94の上面には保管部54(駆動部80及びターンテーブル79)が設置されている。
本実施形態において、例えばランプハウス29B,29C内の放電ランプ1を交換する場合には、
図26(A)に示すように、ケーシング51B,51C内に放電ランプ1を支持する引き出し部36を引き出す。そして、一例として、ランプ搬送系56Dの一方の把持爪開閉機構85A及び爪部86Aにより保管部54にある未使用の放電ランプ1Nを把持して、把持爪開閉機構85Aを上昇させる。その後、
図26(B)に点線で示すように、ランプ搬送系56Dの旋回部90Eをケーシング51Bの上方に移動し、他方の把持爪開閉機構85B及び爪部86Bによりケーシング51B内の放電ランプ1Nを把持し、一方の把持爪開閉機構85A及び爪部86Aによって保持されている放電ランプ1Nをケーシング51Bの引き出し部36(支持部材33)に設置する。この際の放電ランプ1の口金部28に対するクランプ機構52の解除等の動作は第1の実施形態と同様である。
【0135】
その後、
図26(B)に実線で示すように、ランプ搬送系56Dの旋回部90Eをケーシング51Cの上方に移動し、一方の把持爪開閉機構85A及び爪部86Aによりケーシング51C内の放電ランプ1を把持し、把持爪開閉機構85A,85Bを上昇させて、旋回部90Eを保管部54の上方に移動し、爪部86A,86Bで把持されている2本の使用済みの放電ランプ1を保管部54のターンテーブル79に載置する。その後、一方の把持爪開閉機構85A及び爪部86Aによりターンテーブル79の未使用の放電ランプ1Nを把持し、旋回部90Eをケーシング51Cの上方に移動して、ケーシング51内の引き出し部36に放電ランプ1を載置した後、ケーシング51B,51C内の引き出し部36をランプハウス29B,29Cの下部ハウジング31A内に戻すことで、ランプハウス29B,29C内の放電ランプ1の未使用の放電ランプ1Nへの交換が完了する。ランプハウス29A内の放電ランプ1の交換も同様に行うことができる。
【0136】
また、保管部54のターンテーブル79にある使用済みの放電ランプ1が多くなったときには、
図27に示すように、エレベータ95によって保管部54を1階の位置P7に移動する。そして、作業者がエレベータ95の1階のランプ交換扉45Aを開き、ターンテーブル79の使用済みの放電ランプ1を回収し、未使用の放電ランプ1Nを補充する。その後、エレベータ95によって保管部54を屋上RTに近い位置P6まで移動することで、光源装置30D内の複数の放電ランプ1の交換を行うことができる。
【0137】
本実施形態によれば、作業者は複数のランプハウス29A〜29Cに対して、1箇所で放電ランプの補充及び回収ができるので効率が良い。また、1対の把持爪開閉機構85A,85B及び爪部86A,86Bを備えているため、Y軸駆動部90Iに沿った旋回部90Eの走行距離が長くなっても、放電ランプの交換が短時間で行なえる。
また、各ランプハウス29A〜29Cに対応して配置されるケーシング51A〜51C内には引き出し駆動ユニット60及びクランプ機構52用の駆動ユニット72Cのみを取り付ければよいため、チャンバ92の屋上RTの設置面積を少なくすることができ、狭い屋上RTにも光源装置30Dを容易に設置できる。
【0138】
なお、放電ランプの交換時間をより短縮するために、放電ランプを保管するターンテーブル79の数やランプ搬送系56Dの数を増やして、ランプ交換時間を短縮するようにしても良い。
また、放電ランプ補充用のターンテーブルと回収用のターンテーブルとを分けて配置しても良い。
【0139】
また、複数のランプハウス29A〜29Cの上方を横切るように配置したY軸駆動部90I(ランプ搬送系56Dの走行軸)は、屋上RTに複数の支柱によって取り付けられていても良いし、チャンバ92とは分離して配置された例えば工場の天井部に懸垂するように支持されていても良い。また、ランプハウス29A〜29Cもチャンバ92から離れた場所にまとめて設けられていても良い。
【0140】
[第5の実施形態]
第5の実施形態につき
図28〜
図31(B)を参照して説明する。上述の実施形態では、放電ランプ1,1Aの陰極側の口金部26,126を支持部材33に位置決めして固定した状態で、陽極側の口金部28,128をランプ搬送系56,56C等の爪部86又は把持部160等で把持しているが、放電ランプ1,1Aの形状精度が低い場合には、爪部86又は把持部160等で口金部28,128を把持できない恐れがある。放電ランプ1,1Aの形状精度が低い場合に、爪部86又は把持部160等のロボットハンドで口金部28,128を把持できるためには、ロボットハンドには、コンプライアンス機能(柔軟性)が必要である。そこで、本実施形態では、放電ランプとの位置関係に対して柔軟性を持つ放電ランプの把持機構、及びこのような把持機構で把持するのに適した形状の口金を有する放電ランプを提供する。この放電ランプ及び把持機構は、それぞれ例えば
図4(B)の光源装置30中の放電ランプ1及びランプ搬送系56に使用できるものである。なお、
図28〜
図31(B)において
図19(A)及び(B)に対応する部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0141】
図28は、本実施形態に係る放電ランプ1Bを示す。
図28において、放電ランプ1Bは、ガラス管25Aと、ガラス管25Aの一方の棒状部25Abの端部に連結された陰極側の口金部126と、ガラス管25Aの他方の棒状部25Acの端部に連結された陽極側の口金部128Aとを備えている。口金部128A,126はそれぞれガラス管25Aのバルブ部25Aa内の陽極及び陰極(不図示)に電気的に接続されている。口金部126及び128Aは電気伝導率及び熱伝導率の良好な金属製である。
【0142】
また、陽極側の口金部128Aには、放電ランプ1Bの棒状部25Ac側から開放端側に順に、棒状部25Acの直径よりもわずかに大きい外径の円筒状の接続部128Akと、棒状部25Acの直径とほぼ同じ外径の円筒状の中間部128Amと、複数の輪帯状の放熱フィン128Ajが形成された放熱部128Aiと、放熱フィン128Ajの半径よりもわずかに大きい半径を持つ球体の一部である球帯部128Ae(被保持部又は被把持部)と、
図2(A)の端子部128aと同じ形状の端子部128Aaとが形成されている。球帯部128Aeは、その球体の放電ランプ1Bの長手方向に沿った両端部を対称に、その長手方向に垂直な面で切り落とした形状である。球帯128Aeの高さ(放電ランプ1Bの長手方向の長さ)は、その球体の半径の2/3程度に設定されている。口金部128Aは、熱伝導率及び電気伝導率が良好な金属(例えば真鍮)から一体的に形成されている。なお、口金部128Aを、個別に製造した各部分(球帯部128Ae、端子部128Aa)を連結して形成しても良い。
【0143】
図29(A)は、本実施形態に係る把持機構としてのハンド部85Dを示す一部を切り欠いた平面図、
図29(B)は、
図29(A)の一部を切り欠いた正面図である。なお、
図29(A)は
図29(B)のAA線に沿った断面図でもある。また、
図29(A)、(B)において、支持される放電ランプ1Bの長手方向に沿ってZ軸を取り、Z軸に垂直な面内の直交する方向にX軸及びY軸を取って説明する。また、X軸、Y軸、及びZ軸に平行な軸の回りの回転方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向とも呼ぶこととする。また、
図29(B)に示すように、本実施形態のハンド部85Dは、一例として
図4(B)のランプ搬送系56のZ軸駆動機構84に把持爪開閉機構85の代わりに取り付けることができる。
【0144】
図29(A)、(B)において、ハンド部85Dは、X方向及びY方向のコンプライアンス機構(柔軟性を持つ機構)を備えている。
ハンド部85Dは、Z軸駆動機構84の底面に固定された、直方体で下方に開いた箱形状の筐体172と、筐体172の下端に固定されて、外形が筐体172と同じで高さの低い、矩形の枠状の枠部材173aとを有する。枠部材173aの肉厚(XY面内の幅)は全周にわたって(角部を除く)同じであり、その肉厚は、筐体172の側面部の肉厚よりも広い。
【0145】
また、枠部材173aの底面には、中央部に円形の穴が開いた矩形の平板状の下板173bが固定されている。下板173bは例えば金属(ステンレスなど)より形成されている。また、枠部材173aの上面で筐体172の内部には、筐体172の内面に微少な隙間で、平面視矩形で厚さの薄い、中央部に円形の穴が開いた平板状の上板177が配置されている。上板177は例えば合成樹脂(プラスチックなど)から形成されている。上板177の穴径は下板173bの穴径とほぼ等しい。
【0146】
筐体172の内部の天井と上板177の上面との間には、複数の圧縮コイルばね180が圧縮された状態で取り付けられており、上板177は枠部材173aに上から所定の力で押し付けられている。また、圧縮コイルばね180にはガイド棒181が設けられている。
ハンド部85Dは、下端部に円板状の取付部材175を介して複数(例えば3本)のZ方向に延びた指部86Dを有しており、取付部材175内の開閉装置(不図示)により、平面視、放射状に同期して(同じ速度で同じ距離だけ)複数の指部86Dを開閉することができるようになっている。
【0147】
取付部材175の上面には、円筒部材174が上下方向(Z方向)に延びて取り付けられている。円筒部材174は、円柱状の部材でもよい。円筒部材174のZ方向の中間位置には平面視、矩形のフランジ部174aが設けられている。円筒部材174(フランジ部174a)は、例えば金属(アルミニウム合金など)から形成されている。円筒部材174のフランジ部174aを挟む円筒状の部分の直径は下板173b及び上板177の穴径よりも小さく、フランジ部174aの外形の幅は下板173b及び上板177の穴径よりも大きい。上板177と下板173bが円筒部材174の矩形のフランジ部174aを上下から挟むように、円筒部材174の円筒部が上板177と下板173bの穴に挿通されている。円筒部材174の上下の端部は、中間の円筒部よりも直径の大きいヘッド部174b及び連結部174cとされている。
【0148】
フランジ部174aの厚さ(Z方向の幅)は、枠部材173aの厚さ(Z方向の幅)よりも薄い。したがって、上板177と下板173bとの間には、フランジ部174aがZ方向に変位可能な隙間がある。フランジ部174aを含む円筒部材174は、取付部材175の一部であっても良く、円筒部材174の底部に、指部86Dを開閉させるアクチュエータ等が取り付けられていても良い。
【0149】
また、
図29(A)に示すように、上板177と下板173bとの間には、フランジ部174aを内包するように、平面視が矩形でZ方向の厚さが、枠部材173aの厚さよりも小さく、かつフランジ部174aの厚さとほぼ等しい小型の矩形の枠状部材(以下、小型枠状部材という)173cが配置されている。小型枠状部材173cの長さ(向かい合う辺のうち、長い方(Y方向)の長さ)は、枠部材173aの一方の向かい合う平行な内面間の長さ(Y方向の内寸)よりやや短く、小型枠状部材173cの幅(向かい合う辺のうち、短い方(X方向)の長さ)は、枠部材173aの他方の向かい合う平行な内面間の長さ(X方向の内寸)よりも十分に短く設定されている。また、小型枠状部材173cの矩形の穴のX方向の幅(X方向の内寸)は、フランジ部174aのX方向の長さよりやや長く、小型枠状部材173cの矩形の穴のY方向の長さ(Y方向の内寸)は、フランジ部174aのY方向長さよりも十分に長く設定されている。そのため、フランジ部174a(すなわち、円筒部材174)は、小型枠状部材173cと共に(小型枠状部材173cをフランジ部174aが押して)X方向に移動可能であり、フランジ部174aは小型枠状部材173cの内壁面に沿ってY方向に移動可能である。また、フランジ部174aは、小型枠状部材173cのX方向の内壁とY方向の外壁とによって、θz方向の回転が規制されている。
【0150】
また、円筒部材174の上板177より上の部分には、
図29(B)に示すように、放射状に配置した3本以上の棒状部材178を介して引っ張りコイルばね179の一端が取り付けられている。引っ張りコイルばね179の他端は、筐体172の天井であって、引っ張りコイルばね179の一端側の取り付け位置よりも外側(平面視、円筒部材174を中心として半径方向の外側)に、放射状にわずかに引き伸ばされた状態で取り付けられている。そのため、円筒部材174には、放射状に斜め上方に引く力が与えられており、反対方向に張られた引っ張りコイルばね179の力の釣り合いによって、中心位置に留まっている。このとき、円筒部材174に取付部材175を介して取り付けられた指部86Dが何も把持していない状態で、取付部材175及び指部86Dの自重に打ち勝って、フランジ部174aの上面が上板177に軽く接触するように、引っ張りコイルばね179の強さと取り付け角度とが決定されている。また、このとき、複数の圧縮コイルばね180の力によって、上板177が上方に持ち上がらない程度に、圧縮コイルばね180の力が決定されている。
【0151】
その結果、引っ張りコイルばね179により吊り上げられている円筒部材174(すなわち、取付部材175及び指部86D)は、フランジ部174aと合成樹脂製の上板177との間の摩擦抵抗によって、振動的になるのを抑えると共に、低い摩擦係数により水平方向の移動が阻害されるのを防いでいる。
指部86Dの内側は、
図28の放電ランプ1Bの口金部128の球帯部128Aeの表面に沿う(嵌合可能な)曲率で凹状に形成されている。取付部材175の底面の複数の指部86Dの付け根の部分の中央には、円柱状の案内ブロック176が固定されており、案内ブロック176の先端から指部86Dに設けた凹部の曲率中心までのZ方向の距離が、放電ランプ1Bの口金部128の先端から球帯部128Aeの中心までのZ方向(放電ランプ1Bの長手方向)の距離とほぼ同じになるように、案内ブロック176のZ方向の高さが調整されている。そのため、案内ブロック176が放電ランプ1Bの口金部128Aの先端に接触した状態で、指部86Dを閉じれば、放電ランプ1Bの球帯部128Aeに指部86Dの凹部が嵌合し、確実に放電ランプ1Bを把持できるようになっている。なお、案内ブロック176は省略することもできる。
【0152】
次に、本実施形態の放電ランプ1B及びハンド部85Dによって、ハンド部85Dに対して6自由度方向(X、Y、Z方向、及びθx、θy、θz方向)にずれて置かれた放電ランプ1Bを自動的に把持する動作について詳細に説明する。
図30(A)に示すように、放電ランプ1Bの陽極側の口金部128Aは、例えば、設計上の受け渡し位置からθy方向に傾き、+X方向にずれているものとする。ハンド部85Dは、不図示のX方向及びY方向への駆動機構(例えば
図4(B)の旋回軸83)によって、放電ランプ1Bの上方のX方向及びY方向の目標位置へ移動する。次に、取付部材175が複数の指部86Dを開き(開状態として)、Z軸駆動機構84によって指部86Dは放電ランプ1Bの把持位置まで降下してくる。そして、取付部材175の中央部に設けられた案内ブロック176に放電ランプ1Bの口金部128Aの先端部が接触する高さでハンド部85Dは降下を停止し、指部86Dは閉動作を開始する。
【0153】
このとき、放電ランプ1BのZ方向長さが目標とする長さよりも長い場合には、案内ブロック176が口金部128Aに接触した後もハンド部85Dは降下を続けることになる。そのとき、案内ブロック176が放電ランプ1Bを下方(−Z方向)へ押さないように、フランジ部174aが上板177を複数の圧縮コイルばね180の力に打ち勝って、上方(+Z方向)へ押し上げる。その結果、放電ランプ1Bには大きな力がかからない。一方、放電ランプ1BのZ方向の長さが目標とする長さよりも短い場合には、指部86Dの凹部の曲率中心の位置と口金部128Aの球帯部128Aeの中心位置とがZ方向にずれている。この状態で指部86Dを閉じると、指部86Dに設けられた凹部の下方の縁が球帯部128AeのZ方向の中心より下方に接触する。その後、さらに指部86Dを閉じると、上板177に接触していたフランジ部174aが引っ張りコイルばね179の力に打ち勝って下板173bとの間の隙間分だけ下方へ移動することが可能であるため、指部86Dは球帯部128Aeの曲率を持つ表面に案内されて下方へ移動し、指部86Dの凹部と球帯部128Aeの表面とが嵌合するように、指部86Dは球帯部128Aeに密着する。
【0154】
これは、指部86Dに設けた凹部が球帯部128Aeを挟むことによって、求心作用を働かせて、フランジ部174aと下板173bとの間の隙間分だけ下方へ指部86Dを移動できるようにしたものである。この他に、ハンド部85Dにおいて、放電ランプ1Bが短かったときのことを考慮して、Z軸駆動機構84によってハンド部85Dを常に目標とする高さよりも−Z方向に移動させ、案内ブロック176が口金部128Aの先端に接触してから指部86Dの閉動作を行なうようにしても良い。
【0155】
指部86Dが閉動作を行なうと、
図30(B)に示すように、口金部128Aが傾いているため、+X方向側の指部86Dが−X方向側の指部86Dよりも先に口金部128Aに接触するが、−X方向側の指部86Dも口金部128Aに接触するように、さらに指部86Dを同期して閉じていくと、
図31(A)に示すように、+X方向側の指部86Dが口金部128Aから受ける反力によって、ハンド部85Dには全体を+X方向へ押す力がかかる。その結果、引っ張りコイルばね179の力の釣り合い、及びフランジ部174aと上板177との摩擦によって平衡が保たれていた円筒部材174は、引っ張りコイルばね179の釣り合い力及びフランジ部174aと上板177との摩擦力に打ち勝って、+X方向へ容易に移動しながら、3本の指部86Dで口金部128Aの球帯部128Aeを確実に把持する。このとき、口金部128Aがθx、θy、θz方向に傾いていても、球帯部128Aeの球面がシフトしても、その形状は変化しないので、指部86Dは回転方向のコンプライアンス機能がなくとも口金部128Aを確実に把持することができる。
【0156】
そして、
図31(B)に示すように、指部86Dが放電ランプ1Bの口金部128Aを把持して、Z軸駆動機構84を駆動してハンド部85Dによって放電ランプ1Bを持ち上げようとすると、引っ張りコイルばね179によって斜め上方に力が与えられ、上板177に接触していたフランジ部174aは、放電ランプ1Bの重さによって下方に移動し、フランジ部174aは下板173bに接触する。下板173bとフランジ部174aとの間の摩擦係数は比較的大きいので、指部86Dは引っ張りコイルばね179の力の釣り合いによる求心力に打ち勝って+X方向にずれた位置を保ちながら(コンプライアンス・オフの状態で)上昇する。その結果、ハンド部85DをX方向及び/又はY方向に移動することによって、放電ランプ1Bの形状誤差に関わらず、放電ランプ1Bを目標とする位置(例えば
図4(B)の保管部54のターンテーブル79の上方)に移動することができ、放電ランプ1Bを未使用の放電ランプと交換できる。
【0157】
なお、上述の実施形態では、指部86Dに上向きの大きな力がかかった場合に、圧縮コイルばね180で下方に押付けられている上板177を、フランジ部174aが押し上げて、その大きな力を上方に逃がす機能(バッファ機能)を有していた。そのように指部86DがZ方向に逃げる機構は、そのような機構に限らず、ハンド部85Dの全体をZ方向に駆動する機構をZ軸駆動機構84に設けても良い。
【0158】
また、上述の実施形態では、陽極側の口金部128Aの指部86Dが把持する部位(球帯部128Ae)についてのみ説明したが、
図4(B)の電力ケーブル24の端部の給電ブロック66を例えば
図28の端子部128Aaに連結するために、端子部128Aaの形状を
図2(A)の端子部28a、又は
図3(B)〜(E)の端子部28Aa〜28Da等の形状にすればよい。
なお、放電ランプ1Bの製造方法として、上述した放電ランプ1,1Aと同様の製造方法を用いることができる。すなわち、ランプ本体(ガラス部材)と口金部126,128Aとをそれぞれ準備し、それらを互いに連結することで放電ランプ1Bを構成することができる。このとき口金部126,128Aは、例えば使用済みの放電ランプ1Bから取り外したものを再利用するように準備してもよい。また、口金部126,128Aの少なくとも一方を再利用する場合に、口金部126,128Aの全体を再利用する代わりに、口金部126,128Aの少なくとも一部(例えば、端子部128Aa、放球帯部128Aeおよび熱部128Aiの少なくとも一つのパーツ)のみ再利用するようにしてもよい。
【0159】
なお、上記の各実施形態の交換装置50等は全自動方式で放電ランプ1,1A,1B等の交換を行うが、例えばクランプ機構52及び駆動ユニット72のみを使用して、引き出し部36の引き出し、及びランプ搬送系56等による放電ランプ1,1A,1Bの搬送の一部をマニュアル操作で行うようにしてもよい。
また、上記の各実施形態の交換装置では、ターンテーブル79の各開口79a毎にランプを交換する(すなわち、未使用ランプをセット(補充)し、使用済みランプを回収する)こととしたが、例えば、駆動部80に対してターンテーブル79を着脱可能にして、ターンテーブル79の開口79aにランプをセットした(差し込んだ)状態でターンテーブル79と共にランプを交換するようにしてもよい。その場合、ターンテーブル79をランプの搬送用キャリアとして使用してもよい。
上述の各実施形態の露光装置又はこれらの露光装置を用いる露光方法を使用して、基板(プレートP)上に所定のパターン(回路パターン、電極パターン等)を形成することによって、液晶表示素子等の液晶デバイスを製造することができる。以下、
図33のステップS401〜S404を参照して、この製造方法の一例につき説明する。
【0160】
図33のステップS401(パターン形成工程)では、先ず、露光対象の基板上にフォトレジストを塗布して感光基板(プレートP)を準備する塗布工程、上記の露光装置を用いて液晶表示素子用のマスクのパターンをその感光基板上に転写露光する露光工程、及びその感光基板を現像する現像工程が実行される。この塗布工程、露光工程、及び現像工程を含むリソグラフィ工程によって、その基板上に所定のレジストパターンが形成される。このリソグラフィ工程に続いて、そのレジストパターンを加工用のマスクとしたエッチング工程、及びレジスト剥離工程等を経て、その基板上に多数の電極等を含む所定パターンが形成される。そのリソグラフィ工程等は、プレートP上のレイヤ数に応じて複数回実行される。
【0161】
その次のステップS402(カラーフィルタ形成工程)では、赤R、緑G、青Bに対応した3つの微細なフィルタの組をマトリックス状に多数配列するか、又は赤R、緑G、青Bの3本のストライプ状の複数のフィルタの組を水平走査線方向に配列することによってカラーフィルタを形成する。その次のステップS403(セル組立工程)では、例えばステップS401にて得られた所定パターンを有する基板とステップS402にて得られたカラーフィルタとの間に液晶を注入して、液晶パネル(液晶セル)を製造する。
【0162】
その後のステップS404(モジュール組立工程)では、そのようにして組み立てられた液晶パネル(液晶セル)に表示動作を行わせるための電気回路、及びバックライト等の部品を取り付けて、液晶表示素子として完成させる。上述の液晶表示素子の製造方法によれば、露光装置において放電ランプの交換を効率的に行うことができるため、高いスループットが得られる。
【0163】
なお、本発明は、液晶表示素子の製造プロセスへの適用に限定されることなく、例えば、プラズマディスプレイ等のディスプレイ装置の製造プロセスや、撮像素子(CCD等)、マイクロマシーン、MEMS(Microelectromechanical Systems:微小電気機械システム)、セラミックスウエハ等を基板として用いる薄膜磁気ヘッド、及び半導体素子等の各種デバイスの製造プロセスにも広く適用できる。
【0164】
なお、上述の実施形態の光源装置は、上述のステップ・アンド・スキャン方式の走査露光型の投影露光装置(スキャナー等)の他に、ステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパー等)の露光光源にも適用できる。また、上述の実施形態の光源装置は、投影光学系を使用しないプロキシミティ方式若しくはコンタクト方式の露光装置の光源装置、又は露光装置以外の機器の光源にも適用することができる。
【0165】
このように本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得る。
また、本願に記載した上記公報、各国際公開パンフレット、米国特許、又は米国特許出願公開明細書における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。また、明細書、特許請求の範囲、図面、及び要約を含む2014年3月28日付け提出の日本国特許出願第2014−070609号の全ての開示内容は、そっくりそのまま引用して本願に組み込まれている。