(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0013】
図1及び
図2は実施形態の電池内蔵基板に内蔵される二次電池を示す断面図、
図3〜
図9は実施形態の電池内蔵基板の製造方法を示す図、
図10は実施形態の電池内蔵基板を示す図である。
【0014】
以下、電池内蔵基板の製造方法を説明しながら、電池内蔵基板の構造について説明する。
【0015】
最初に、実施形態の電池内蔵基板に内蔵される二次電池について説明する。
図1に示すように、二次電池5aは、上面に絶縁層12が形成された基板10と、基板10上の絶縁層12の上に配置された電池本体20とを備えている。
【0016】
図1の例では、基板10はシリコン基板から形成され、絶縁層12はシリコン窒化層(SiN)又はシリコン酸化層(SiO
2)から形成される。あるいは、基板10はガラス基板などの絶縁基板から形成されてもよい。基板10が絶縁基板から形成される場合は、絶縁層12が省略される。
【0017】
電池本体20は、基板10上の絶縁層12の上に配置された(+)電極22a及び(−)電極22bを備えている。また、電池本体20は、(+)電極22aの上に、下から順に、正極24、電解質層25及び負極26を備えており、正極24が(+)電極22aの一端側に接続されている。(+)電極22aの他端側が露出して接続部となっている。
【0018】
電解質層25及び負極26は(−)電極22bの一端まで延在しており、負極26が(−)電極22bの一端側に接続されている。(−)電極22bの他端側が露出して接続部となっている。
【0019】
さらに、正極24、電解質層25及び負極26が保護層28によって被覆されている。
【0020】
(+)電極22a及び(−)電極22bは、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金から形成され、表面にニッケルめっきが施されている。
【0021】
絶縁層12を含む基板10の厚みは150μm程度であり、電池本体20の厚みは25μm程度である。
【0022】
二次電池5aは、全固体薄膜二次電池であり、例えば、電解質層25としてLiPON(リン酸リチウムオキシナイトライド)を使用するリチウムイオン電池がある。リチウムイオン電池では、放電時は、リチウム分子が負極26に電子を渡すことによりリチウムイオンとなる。そのリチウムイオンは電解質層25を経て正極24へと移動し、正極24側にリチウム化合物となって貯蔵される。
【0023】
逆に、充電時には、正極24のリチウム化合物が分離され、リチウムイオンが電解質層25を通って負極26に到達し、電子を貰ってリチウム分子となり、負極26に貯蔵される。
【0024】
二次電池5aでは、充電するときに電解質層25の体積が増加し、また放電するときに電解質層25の体積が減少する。このように、二次電池5aでは、使用時にその体積が増減する特性を有する。このため、二次電池5aを配線基板のエポキシ樹脂などの比較的剛性の高い絶縁層に埋設させると、二次電池5aの体積変化による応力を解放することができず、二次電池5aが破損することがある。
【0025】
このため、本実施形態では、エポキシ樹脂などの一般的な層間絶縁材料よりも剛性の低い低剛性絶縁層からなる被覆絶縁部で二次電池5aを被覆することにより、二次電池5aの体積変化による応力を解放できるようにする。
【0026】
以下、二次電池5aの上に被覆絶縁部(低剛性絶縁部)を形成する方法について説明する。
【0027】
図2(a)は
図1の二次電池5aの電池本体20を模式的に描いた縮小図である。
図2(a)では、電池本体20の内部を省略し、(+)電極22a及び(−)電極22bの各接続部が示されている。
【0028】
また、
図2(b)は
図2(a)の二次電池5aを上側からみた平面図である。
図2(a)は
図2(b)のI−Iに沿った断面図に相当する。
【0029】
以下の説明では、
図2(a)に描いた二次電池5aを使用して説明する。
【0030】
最初に、二次電池を被覆絶縁部(低剛性絶縁部)で被覆する第1の方法について説明する。
図3(a)に示すように、まず、二次電池5aを150℃程度の温度で加熱処理しながら、ワイヤボンディング法により、二次電池5aの(+)電極22a及び(−)電極22bの各接続部に金ワイヤから金バンプ30aを形成する。
【0031】
二次電池5aの上面からの金バンプ30aの突出高さは、例えば30〜50μmに設定される。金バンプ30aの他に、銅バンプなどの他の金属からなる金属バンプをワイヤボンディング法などにより形成してもよい。
【0032】
次いで、
図3(b)に示すように、金バンプ30aが形成された二次電池5aの上に被覆絶縁部40を形成する。被覆絶縁部40は、配線基板の層間絶縁材料として使用される一般的な絶縁層よりも剛性の低い特性を有する。
【0033】
配線基板の層間絶縁材料として使用される樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂又はフェノール樹脂などがある。
【0034】
一方、被覆絶縁部40としては、好適には、ゴム弾性を有する樹脂が使用される。被覆絶縁部40としては、シリコーンエラストマー又はシリコーンゲルなどのシリコーン樹脂が好適に使用される。シリコーン樹脂の他に、ウレタン樹脂、又はポリオレフィン樹脂などを使用してもよい。
【0035】
被覆絶縁部40は、液状のシリコーン樹脂をスピンコート法又はポッティング法によって二次電池5aの上に塗布した後に、加熱処理して硬化させることにより形成される。
【0036】
被覆絶縁部40は、二次電池5aの上に5〜25μm程度の厚みになるように形成され、金バンプ30aの先端側が被覆絶縁部40から突出して露出した状態となる。
【0037】
樹脂の剛性は、変形のしにくさの度合いであり、引張り強さにより比較することができる。引張り強さの値が低い樹脂は剛性が低いことを意味する。配線基板の一般的な層間絶縁材料として使用されるエポキシ樹脂の引張り強さは、70MPa〜100MPaである。一方、被覆絶縁部40として使用されるシリコーン樹脂の引張り強さは0.5MPa〜10MPaである。
【0038】
このように、被覆絶縁部40(シリコーン樹脂)の引張り強さの値は、エポキシ樹脂の引張り強さの値よりもかなり低いため、被覆絶縁部40(シリコーン樹脂)の剛性がかなり低いことが理解される。
【0039】
図3(b)の例では、被覆絶縁部40の側面と二次電池5aの基板10の側面とが同一面となるように、二次電池5aの周囲に型枠を配置した状態で被覆絶縁部40が形成される。あるいは、被覆絶縁部40が二次電池5aの基板10の側面に流れ込んで被覆するようにしてもよい。
【0040】
続いて、
図3(c)に示すように、
図3(b)の構造体を下型及び上型で挟んで押圧することにより、金バンプ30aの先端側の突出部を
つぶす。この処理はコイニング加工とも呼ばれる。これにより、金バンプ30aの上面と被覆絶縁部40の上面とが同一面となって平坦化される。
【0041】
あるいは、サーフェスプレーナーで金バンプ30aの先端側の突出部を切断して、被覆絶縁部40の上面と同一面となるように平坦化してもよい。
【0042】
以上により、上面側が被覆絶縁部40で被覆され、金バンプ30aから形成された接続電極30が被覆絶縁部40から露出する構造の二次電池部品5が得られる。接続電極30は、側面が被覆絶縁部40に埋設された状態で上面が露出して形成される。
【0043】
次に、二次電池を被覆絶縁部(低剛性絶縁部)で被覆する第2の方法について説明する。前述した形態では、個片化された個々の二次電池5aの上に被覆絶縁部40を形成する方法を説明した。第2の方法では、複数の電池本体が並んで配置されたシリコンウェハの上に被覆絶縁部を形成する。
【0044】
詳しく説明すると、まず、
図4(a)に示すように、上面に絶縁層12が形成され、その上に複数の電池本体20が横方向に並んで配置されたシリコンウェハ10aを用意する。各電池本体20を囲む周囲の領域にはダイシング領域Dが画定されている。
【0045】
次いで、
図4(b)に示すように、前述した
図3(a)の工程と同様な方法により、電池本体20の(+)電極22a及び(−)電極22bの接続部上に金バンプ30aを形成する。
【0046】
続いて、
図4(c)に示すように、前述した
図3(b)の工程と同様な方法により、シリコンウェハ10aの全面に、各電池本体20を被覆し、かつ金バンプ30aの先端側が突出して露出するように被覆絶縁部40を形成する。
【0047】
さらに、
図4(d)に示すように、前述した
図3(c)の工程と同様な方法により、金バンプ30aの先端側に露出する突出部を除去して、金バンプ30aの上面と被覆絶縁部40の上面とが同一面となるように平坦化する。
【0048】
これにより、金バンプ30aから接続電極30が形成される。接続電極30は、側面が被覆絶縁部40に埋設された状態で上面が露出して形成される。
【0049】
その後に、
図4(d)及び(e)に示すように、シリコンウェハ10aのダイシング領域Dで、被覆絶縁部40の上面からシリコンウェハ10aの下面まで切削装置の回転ブレードなどにより切断する。シリコンウェハ10aが分割されて個々の基板10となる。
【0050】
以上により、
図4(e)に示すように、前述した
図3(c)と同一構造の二次電池部品5が得られる。なお、シリコンウェハ10aの代わりに、ガラスウェハなどの絶縁材料からなるウェハを使用してもよい。
【0051】
次に、二次電池を被覆絶縁部(低剛性絶縁部)で被覆する第3の方法について説明する。前述した第1及び第2の方法では、ワイヤボンディング法によって二次電池5aに金バンプ30aを形成している。第3の方法では、電解めっきによって二次電池5aに金属バンプを形成する。
【0052】
詳しく説明すると、
図5(a)に示すように、前述した
図4(a)と同様に、複数の電池本体20が配置されたシリコンウェハ10aを用意する。そして、シリコンウェハ10a及び電池本体20の上に銅などからなるシード層32を無電解めっき又はスパッタ法により形成する。
【0053】
次いで、
図5(b)に示すように、金属バンプが配置される部分に開口部14aが設けられためっきレジスト層14をシード層32の上に形成する。
【0054】
さらに、
図5(c)に示すように、シード層32をめっき給電経路に利用する電解めっきにより、めっきレジスト層14の開口部14aに金属めっき層34を形成する。金属めっき層34は、銅又は金などから形成される。その後に、
図5(d)に示すように、めっきレジスト層14を除去する。
【0055】
続いて、
図6(a)に示すように、金属めっき層34をマスクにしてシード層32をウェットエッチングにより除去する。
【0056】
これにより、電池本体20の(+)電極22a及び(−)電極22bの各接続部に、上側に突出する金属バンプ31aが形成される。金属バンプ31aは、シード層32及び金属めっき層34から形成される。
【0057】
次いで、
図6(b)に示すように、前述した
図3(b)の工程と同様な方法により、シリコンウェハ10aの全面に、各電池本体20を被覆し、かつ金属バンプ31aの先端側が突出して露出するように被覆絶縁部40を形成する。
【0058】
さらに、
図6(c)に示すように、前述した
図3(c)の工程と同様な方法により、金属バンプ31aの先端側に露出する突出部を除去して、金属バンプ31aの上面と被覆絶縁部40の上面とが同一面となるように平坦化する。これより、金属バンプ31aから接続電極31が形成される。接続電極31は、側面が被覆絶縁部40に埋設された状態で上面が露出して形成される。
【0059】
その後に、
図6(c)及び(d)に示すように、シリコンウェハ10aのダイシング領域Dで、被覆絶縁部40の上面からシリコンウェハ10aの下面まで切断する。シリコンウェハ10aが分割されて個々の基板10となる。
【0060】
以上により、
図6(d)に示すように、上面側が被覆絶縁部40で被覆され、金属バンプ31aから形成された接続電極31が被覆絶縁部40から露出する構造の二次電池部品5が得られる。
【0061】
なお、シリコンウェハ10aの代わりに、ガラスウェハなどの絶縁材料からなるウェハを使用してもよい。
【0062】
次に、前述した
図3(c)の被覆絶縁部40を備えた二次電池部品5を配線基板に内蔵させる方法について説明する。
図7(a)に示すように、まず、第1絶縁層52の一方の面に金属箔54が形成された積層基材50を用意する。例えば、第1絶縁層52はエポキシ樹脂から形成され、金属箔54は銅から形成される。積層基材50は、樹脂フィルムの上に接着剤を介して金属箔を熱プレスすることにより形成される。
【0063】
そして、
図7(b)に示すように、積層基材50の第1絶縁層52の露出面に
図3(c)の二次電池部品5を載置する。二次電池部品5の被覆絶縁部40及び接続電極30が上側を向くように、二次電池部品5の基板10の背面が積層基材50の第1絶縁層52に接着剤(不図示)によって接着される。
【0064】
二次電池を低剛性絶縁層で被覆するには、一般的な層間絶縁層と異なる樹脂材料を使用するため、新規な設備及びそれを設置するスペースが必要となる。このため、配線基板を製造するための既存のラインに低剛性絶縁層を形成する工程を導入しにくい課題がある。
【0065】
本実施形態では、配線基板の製造用の既存のラインとは別の製造ラインで、二次電池5aを被覆絶縁部40で被覆している。このため、配線基板の製造用の既存のラインに、被覆絶縁部40を形成する工程を新たに導入する必要がない。
【0066】
また、配線部材の製造と同時に平行して二次電池5aに被覆絶縁部40を形成できるため、手番短縮を図ることができる。
【0067】
このように、予め部品単体の状態の二次電池5aを被覆絶縁部40で被覆することから、配線基板の製造用の既存のラインに新規な工程を追加する必要がないので、生産効率を向上させることができる。
【0068】
次いで、
図7(c)に示すように、未硬化の樹脂フィルム62aの一方の面に金属箔64が形成された積層基材60を用意する。そして、積層基材60の樹脂フィルム62aを二次電池部品5側に押圧しながら加熱処理する。
【0069】
これにより、
図7(d)に示すように、二次電池部品5が樹脂フィルム62a内に埋め込まれるように樹脂フィルム62aが流動化し、硬化することにより、第1絶縁層52の上に二次電池部品5を覆う第2絶縁層62が形成される。第2絶縁層62は上面に金属箔64が配置された状態で形成される。第2絶縁層62及び金属箔64の上面が平坦になった状態で、第2絶縁層62に二次電池5が埋め込まれた状態となる。
【0070】
このようにして、第1絶縁層52及び第2絶縁層62により絶縁基板6が形成され、二次電池5aが絶縁基板6の中に埋設される。
【0071】
続いて、
図8(a)に示すように、上面側の金属箔64及び第2絶縁層62を加工することにより、二次電池部品5の接続電極30に到達するビアホールVHを形成する。金属箔64はウェットエッチングにより除去され、第2絶縁層62はレーザにより除去される。
【0072】
また、二次電池部品5の両外側の領域に、上側の金属箔64から下側の金属箔54まで貫通する貫通孔THを形成する。両面側の金属箔54,64はウェットエッチングにより除去され、第1絶縁層52及び第2絶縁層62はレーザによって除去される。
【0073】
あるいは、金属箔54,64をウェットエッチングで除去せずに、金属箔54,64及び第1、第2絶縁層52,62をレーザで一括加工してビアホールVH及び貫通孔THを形成してもよい。
【0074】
その後に、過マンガン酸カリウム溶液などでビアホールVH及び貫通孔TH内をデスミア処理することにより、ビアホールVH及び貫通孔TH内に残留する樹脂スミアをクリーニングする。
【0075】
次いで、
図8(b)に示すように、
図8(a)の構造体の両面側の金属箔54,64の上、ビアホールVH及び貫通孔THの内面に無電解めっきにより、銅などからなるシード層72を形成する。
【0076】
次いで、
図9(a)に示すように、シード層72をめっき給電経路に利用する電解めっきにより、ビアホールVH及び貫通孔TH内、両面側の金属箔54,64の上に銅などからなる金属めっき層74を形成する。金属めっき層74はビアホールVH及び貫通孔THを完全に埋め込んで形成される。
【0077】
あるいは、ビアホールVH及び貫通孔TH内を完全に埋め込まないように側壁に金属めっき層を形成し、残りの孔に導電ペーストを充填してもよい。
【0078】
続いて、
図9(b)に示すように、両面側の金属めっき層74の上に、配線層のパターンに対応するようにフォトレジスト層16をフォトリソグラフィによってそれぞれパターニングする。
【0079】
さらに、絶縁基板6の上面側において、フォトレジスト層16をマスクにして、金属めっき層74、シード層72、金属箔64をウェットエッチングしてパターン化する。また同時に、絶縁基板6の下面側において、フォトレジスト層16をマスクにして、金属めっき層74、シード層72、金属箔54をウェットエッチングしてパターン化する。その後に、フォトレジスト層16が除去される。
【0080】
これにより、
図9(c)に示すように、絶縁基板6の上面側では、下から順に積層された金属箔64、シード層72及び金属めっき層74から第1配線層W1が形成される。第1配線層W1は、ビアホールVH内のビア導体VCを介して二次電池部品5の接続電極30に接続される。
【0081】
また、絶縁基板6の下面側では、第1絶縁層52側から順に積層された金属箔54、シード層72及び金属めっき層74から第2配線層W2が形成される。第2配線層W2は、貫通孔TH内に充填された貫通導体TCを介して第1配線層W1に接続される。
【0082】
その後に、
図10に示すように、絶縁基板6の上面側において、第1配線層W1の接続部上に開口部42aが設けられたソルダレジス層42を第2絶縁層62の上に形成する。また同様に、絶縁基板6の下面側において、第2配線層W2の接続部上に開口部44aが設けられたソルダレジスト層44を第1絶縁層52の上に形成する。
【0083】
その後に、多面取りの大型基板を使用する場合は、ダイシング領域で切削装置の回転ブレードなどにより配線部材を切断して個片化する。
【0084】
以上により、実施形態の電池内蔵基板1が
得られる。
【0085】
図10に示すように、実施形態の電池内蔵基板1は、第1絶縁層52及びその上の第2絶縁層62から形成される絶縁基板6を備えている。第1絶縁層52の上に前述した
図3(c)で説明した被覆絶縁部40を備えた二次電池部品5が載置されている。そして、第1絶縁層52の上に二次電池部品5を覆う第2絶縁層62が形成されている。
二次電池部品5は被覆絶縁部40及び接続電極30が上側を向いた状態で第2絶縁層62に埋設されている。このようにして、二次電池部品5は第1絶縁層52と第2絶縁層62との間に埋設されている。
【0086】
本実施形態では、予め被覆絶縁部40を備えた二次電池部品5が第1絶縁層52の上に載置される。このため、二次電池5aのみが被覆絶縁部40で被覆され、二次電池部品5よりも外側領域には被覆絶縁部40は存在しない。
【0087】
二次電池部品5の接続電極30の側面は被覆絶縁部40に埋設されており、接続電極30の上面が被覆絶縁部40から露出している。二次電池部品5の接続電極30の上面と被覆絶縁部40の上面とは同一面となっている。二次電池部品5は、その側面にも被覆絶縁部40を備えていてもよい。
【0088】
第2絶縁層62には、二次電池部品5の接続電極30に到達するビアホールVHが形成されている。さらに、第2絶縁層62の上には、ビアホールVH内のビア導体VCを介して二次電池部品5の接続電極30に接続される第1配線層W1が形成されている。第1配線層W1は、金属箔64、シード層72及び金属めっき層74から形成される。
【0089】
また、第1絶縁層52の下面には、金属箔54、シード層72及び金属めっき層74から形成される第2配線層W2が形成されている。
【0090】
また、絶縁基板6には上面から下面まで貫通する貫通孔THが形成されている。第1配線層W1と第2配線層W2とは、貫通孔THに充填された貫通導体TCを介して相互接続されている。
【0091】
絶縁基板6の上面側には、第1配線層W1の接続部上に開口部42aが設けられたソルダレジスト層42が形成されている。また、絶縁基板6の下面側には、第2配線層W2の接続部上に開口部44aが設けられたソルダレジスト層44が形成されている。
【0092】
本実施形態の電池内蔵基板1では、第1絶縁層52及び第2絶縁層62はエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、又はフェノール樹脂などから形成される。
【0093】
一方、二次電池部品5が備える被覆絶縁部40は、第1絶縁層52及び第2絶縁層62よりも剛性の低い低剛性樹脂から形成され、好適な一例としてシリコーン樹脂から形成される。
【0094】
二次電池5aの体積は、充放電に伴って電解質層5(
図1)の体積が増減することにより変化する。本実施形態と違って、二次電池5aが比較的剛性の高いエポキシ樹脂層などで被覆される場合は、二次電池5aの体積変化による応力を解放することができず、二次電池5aに応力がかかり、二次電池5aに破損が発生しやすい。
【0095】
しかし、本実施形態では、二次電池部品5が低剛性の被覆絶縁部40を備えているため、二次電池部品5の体積が変化するとき、その応力を被覆絶縁部40で解放することができる。
【0096】
従って、二次電池部品5に体積変化による応力がかかりにくくなるため、二次電池部品5の破損が防止される。これにより、二次電池部品5が内蔵された電池内蔵基板1の信頼性を向上させることができる。
【0097】
また、前述した製造方法で説明したように、二次電池部品5が備える被覆絶縁部40は、配線基板の製造用の既存のラインで形成するのではなく、別の製造ラインで形成される。このため、予め被覆絶縁部40を備えた二次電池部品5を配線基板の製造用の既存のラインに持ち込んで配線部材に搭載すればよいので、生産効率を向上させることができる。
【0098】
図11に示すように、前述した
図10の電池内蔵基板1をベースにして、両面側にビルドアップ配線を形成して多層配線基板を構築してもよい。
【0099】
図11の例では、前述した
図10の電池内蔵基板1をベースにして、両面側に、第1配線層W1及び第2配線層W2に到達するビアホールVHxを備えた第3絶縁層68がそれぞれ形成されている。
【0100】
さらに、両面側において、ビアホールVHxを介して第1配線層W1及び第2配線層W2に接続される第3配線層W3が第3絶縁層68の上にそれぞれ形成されている。
【0101】
また、両面側の第3絶縁層68の上に、第3配線層W3の上に開口部42aが設けられたソルダレジスト層42がそれぞれ形成されている。ビルドアップ配線の積層数は任意に設定することができる。
【0102】
また、
図12には、その他の実施形態の電池内蔵基板1aが示されている。
図12に示すように、その他の実施形態の電池内蔵基板1aでは、絶縁層としてガラスエポキシ樹脂などのコア基板7の上に前述した
図3(c)の二次電池部品5が配置されている。
【0103】
コア基板7の両面には第1配線層W1及び第2配線層W2が形成されている。両面側の第1、第2配線層W1,W2はコア基板7に形成された貫通導体TCを介して相互接続されている。
【0104】
コア基板7の両面側には、絶縁層69がそれぞれ形成されている。そして、二次電池部品5が絶縁層69の中に埋設されている。コア基板7の上面側の絶縁層69には、第1配線層W1及び二次電池部品5の接続電極30にそれぞれ到達するビアホールVHが形成されている。
【0105】
さらに、コア基板7の上面側の絶縁層69の上に、ビアホールVHを介して第1配線層W1及び二次電池部品5の接続電極30にそれぞれ接続される第3配線層W3が形成されている。第3配線層W3はセミアディティブ法により形成される。
【0106】
また、コア基板7の下面側の絶縁層69には、第2配線層W2に到達するビアホールVHが形成されている。そして、コア基板7の下面側の絶縁層69の上に、ビアホールVHを介して第2配線層W2に接続される第4配線層W4が形成されている。
【0107】
さらに、両面側の絶縁層69の上には、第3配線層W3及び第4配線層W4の各接続部上に開口部42aが設けられたソルダレジスト層42がそれぞれ形成されている。コア基板7の両面側に積層する配線層の積層数は任意に設定することができる。また、二次電池部品5をコア基板7の両面に形成されたビルドアップ配線層のうちの任意の層間絶縁層に埋設してもよい。
【0108】
次に、
図10の二次電池部品5が内蔵された電池内蔵基板1を使用する電子部品装置の例について説明する。
図13に示すように、前述した
図10の電池内蔵基板1を用意し、電池内蔵基板1の下側の第2配線層W2の接続部に第1電子部品91の端子91aがはんだ層86によって接続される。第1電子部品91は、例えば光発電装置、熱電発電装置、又は振動発電装置などの発電装置であり、電池内蔵基板1に内蔵された二次電池部品5に電力を供給する。
【0109】
また、電池内蔵基板1の上面側の第1配線層W1の接続部に第2電子部品92がバンプ電極92aを介してフリップチップ接続される。第2電子部品92は、例えば電源管理ICであり、二次電池部品5の電力を管理する。
【0110】
図13の例では、電池内蔵基板1の両面側に第1電子部品91及び第2電子部品92をそれぞれ接続しているが、電池内蔵基板1の両面側の第1配線層W1及び第2配線層W2の少なくとも一方に所要の電子部品が接続されていてもよい。あるいは、電池内蔵基板1に二次電池部品5のみが内蔵され、他の配線基板から電力が供給されるようにしてもよい。
【0111】
さらに、中間配線基板2を用意する。中間配線基板2では、絶縁基板6aの両面側に配線層Wxがそれぞれ形成されている。両面側の配線層Wxは絶縁基板6aに形成された貫通導体TCを介して相互接続されている。
【0112】
絶縁基板6aの両面側には、配線層Wxの接続部上に開口部46aが設けられたソルダレジスト層46がそれぞれ形成されている。さらに、絶縁基板6aの上面側の配線層Wxの接続部に第3電子部品93がバンプ電極93aを介してフリップチップ接続されている。第3電子部品93は、例えばCPUなどの半導体チップである。
【0113】
そして、電池内蔵基板1の上に中間配線基板2が配置され、電池内蔵基板1の上面側の第1配線層W1と中間配線基板2の下面側の配線層Wxとがはんだボール80によって接続される。はんだボール80は、銅ボール82の外面にはんだ層84が被覆されて形成される。あるいは、はんだボール80は、樹脂ボールの外面にはんだ層が被覆されて形成されてもよいし、全体がはんだから形成されていてもよい。
【0114】
さらに、上側配線基板3を用意する。上側配線基板3では、絶縁基板6bの両面側に配線層Wyがそれぞれ形成されている。両面側の配線層Wyは絶縁基板6bに形成された貫通導体TCを介して相互接続されている。
【0115】
絶縁基板6bの両面側には、配線層Wyの接続部上に開口部48aが設けられたソルダレジスト層48がそれぞれ形成されている。さらに、絶縁基板6bの上面側の配線層Wyの接続部に第4電子部品94がバンプ電極94aを介してフリップチップ接続されている。第4電子部品94は、例えばセンサである。
【0116】
そして、中間配線基板2の上に上側配線基板3が配置され、中間配線基板2の上面側の第1配線層Wxと上側配線基板3の下面側の配線層Wyとがはんだボール80によって接続される。
【0117】
また、上側配線基板3の上面には、所定形状の配線パターンWzが露出している。この配線パターンWzは、例えば無線通信のためのアンテナである。
【0118】
以上により、
図10の電池内蔵基板1を使用する電子部品装置4が構築される。
【0119】
実施形態の電子部品装置4の第2〜第3電子部品92,93,94は、電池内蔵基板1に内蔵された二次電池部品5から供給される電力により動作する。
【0120】
そして、二次電池部品5は、電池内蔵基板1に実装された第1電子部品91(発電装置)により生成される電力により充電される。このようにして、電子部品装置4の動作によって二次電池部品5が充放電される。
【0121】
図13において、電池内蔵基板1と中間配線基板2との間、中間配線基板2と上側配線基板3との間及び第1〜第4電子部品91,92,93,94の下側に封止樹脂を充填してもよい。