【実施例】
【0037】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例及び比較例において特に断りがない場合は、「部」及び「%」は質量基準である。
【0038】
[合成例1]
N−ブロモスクシンイミド 530部を温度が10℃以下の濃硫酸52500部に添加し、次いで特開平11−335575に記載の方法で合成した化合物A(下記構造)350部を添加し、室温で20時間撹拌した。次いでこれを氷525000部に注ぎ、沈殿物を得た。得られた沈殿物を濾過し、酸が検出されなくなるまで水で洗浄し、次いで30000部のエタノールで洗浄し、90℃で乾燥し、生成物B 390部を得た。
【0039】
【化6】
【0040】
得られた生成物B 390部をN,N−ジメチルホルムアミド2000部に添加し、次いで4−ジメチルアミノピリジン100部、ジ−tert−ブチルジカーボネート800部(「tert」はターシャリーの意味で記載している)を添加し、室温で16時間攪拌した。次いでこれを水8000部に注ぎ、クロロホルム8000部で抽出し、クロロホルム層を減圧下で濃縮し生成物Cを得た。
【0041】
得られた生成物Cを、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール/ジメチルスルホキシド)で分離して得られた単一化合物9種を有する溶液それぞれを濃縮し、N,N−ジメチルアセトアミド500部及びトルエン−4−スルホン酸一水和物50部を添加し、130℃で4時間攪拌し、沈殿物を得た。沈殿物を濾過し、N,N−ジメチルアセトアミド200部及びメタノール800部で洗浄し、90℃で乾燥し、化合物1〜9を得た。
【0042】
・化合物1 0.9部(収率 0.2%)
・化合物2 1.2部(収率 0.3%)
・化合物3 0.8部(収率 0.2%)
・化合物4 0.6部(収率 0.1%)
・化合物5 0.5部(収率 0.1%)
・化合物6 0.8部(収率 0.2%)
・化合物7 1.3部(収率 0.2%)
・化合物8 1.8部(収率 0.3%)
・化合物9 3.4部(収率 0.6%)
【0043】
得られた化合物1〜9について、それぞれ約5mgをテトラヒドロフラン 1.0mLに分散させたものを用いて、GC/TOFMS JMS−T100GC(日本電子株式会社製)で分子量を測定したところ、化合物1、化合物2はm/z=546、化合物3、化合物4、化合物5、化合物6はm/z=624、化合物7、化合物8はm/z=704、化合物9はm/z=782であった。
化合物1〜9について具体的な構造を下記する。
【0044】
【化7】
【0045】
【化8】
【0046】
【化9】
【0047】
【化10】
【0048】
【化11】
【0049】
【化12】
【0050】
【化13】
【0051】
【化14】
【0052】
【化15】
【0053】
[合成例2]
ジブロモイソシアヌル酸 957部を温度が10℃以下の濃硫酸52500部に添加し、次いで化合物Dとクロラニルを用いて特開平11−335575に記載の方法で合成した化合物E 350部を添加し、室温で20時間撹拌した。次いでこれを氷525000部に注ぎ、沈殿物を得た。得られた沈殿物を濾過し、酸が検出されなくなるまで水で洗浄し、次いで30000部のエタノールで洗浄し、90℃で乾燥し、生成物F 280部を得た。
【0054】
【化16】
【0055】
【化17】
【0056】
【化18】
【0057】
得られた生成物F 約5mgをテトラヒドロフラン 1.0mLに分散させたものを用いて、GC/TOFMS JMS−T100GC(日本電子株式会社製)で分子量を測定したところ、m/z=680(化合物10、化合物11、化合物12、化合物13の混合物)、m/z=758(化合物14、化合物15の混合物)、m/z=838(化合物16)、その他の化合物の混合物が1:8:87:4の割合で含まれていた。
【0058】
【化19】
【0059】
【化20】
【0060】
【化21】
【0061】
【化22】
【0062】
【化23】
【0063】
【化24】
【0064】
【化25】
【0065】
[合成例3]
ジブロモイソシアヌル酸 1060部を温度が10℃以下の濃硫酸52500部に添加し、次いで化合物Gとクロラニルを用いて特開平11−335575に記載の方法で合成した化合物H(下記構造)350部を添加し、室温で20時間撹拌した。次いでこれを氷525000部に注ぎ、沈殿物を得た。得られた沈殿物を濾過し、酸が検出されなくなるまで水で洗浄し、次いで30000部のエタノールで洗浄し、90℃で乾燥し、生成物I 267部を得た。
【0066】
【化26】
【0067】
【化27】
【0068】
得られた生成物I 約5mgをテトラヒドロフラン 1.0mLに分散させたものを用いて、GC/TOFMS JMS−T100GC(日本電子株式会社製)で分子量を測定したところ、m/z=736(化合物17、化合物18、化合物19、化合物20の混合物)、m/z=814(化合物21、化合物22の混合物)、m/z=894(化合物23)、その他の化合物の混合物が1:10:84:5の割合で含まれていた。
【0069】
【化28】
【0070】
【化29】
【0071】
【化30】
【0072】
【化31】
【0073】
【化32】
【0074】
【化33】
【0075】
【化34】
【0076】
[合成例4]
ジブロモイソシアヌル酸 957部を温度が10℃以下の濃硫酸52500部に添加し、次いで化合物Jとクロラニルを用いて特開平11−335575に記載の方法で合成した化合物K 350部を添加し、室温で20時間撹拌した。次いでこれを氷525000部に注ぎ、沈殿物を得た。得られた沈殿物を濾過し、酸が検出されなくなるまで水で洗浄し、次いで30000部のエタノールで洗浄し、90℃で乾燥し、生成物L 318部を得た。
【0077】
【化35】
【0078】
【化36】
【0079】
得られた生成物L 約5mgをテトラヒドロフラン 1.0mLに分散させたものを用いて、GC/TOFMS JMS−T100GC(日本電子株式会社製)で分子量を測定したところ、m/z=600(化合物24、化合物25の混合物)m/z=680(化合物26、化合物27、化合物28、化合物29の混合物)、m/z=758(化合物30、化合物31の混合物)、m/z=838(化合物32)、その他の化合物の混合物が1:5:12:78:4の割合で含まれていた。
【0080】
【化37】
【0081】
【化38】
【0082】
【化39】
【0083】
【化40】
【0084】
【化41】
【0085】
【化42】
【0086】
【化43】
【0087】
【化44】
【0088】
【化45】
【0089】
[合成例5]
ジブロモイソシアヌル酸 1019部を温度が10℃以下の濃硫酸52500部に添加し、次いで化合物Mとブロマニルを用いて特開平11−335575に記載の方法で合成した化合物N 350部を添加し、室温で20時間撹拌した。次いでこれを氷525000部に注ぎ、沈殿物を得た。得られた沈殿物を濾過し、酸が検出されなくなるまで水で洗浄し、次いで30000部のエタノールで洗浄し、90℃で乾燥し、生成物P 378部を得た。
【0090】
【化46】
【0091】
【化47】
【0092】
【化48】
【0093】
得られた生成物P 約5mgをテトラヒドロフラン 1.0mLに分散させたものを用いて、GC/TOFMS JMS−T100GC(日本電子株式会社製)で分子量を測定したところ、m/z=634(化合物33、化合物34の混合物)m/z=714(化合物35、化合物36、化合物37、化合物38の混合物)、m/z=792(化合物39、化合物40の混合物)、m/z=878(化合物41)、その他の化合物の混合物が7:12:31:47:3の割合で含まれていた。
【0094】
【化49】
【0095】
【化50】
【0096】
【化51】
【0097】
【化52】
【0098】
【化53】
【0099】
【化54】
【0100】
【化55】
【0101】
【化56】
【0102】
【化57】
【0103】
[合成例6]
N−ヨードスクシンイミド 1338部を温度が10℃以下の濃硫酸52500部に添加し、次いで化合物Jとクロラニルを用いて特開平11−335575に記載の方法で合成した化合物K 350部を添加し、室温で20時間撹拌した。次いでこれを氷525000部に注ぎ、沈殿物を得た。得られた沈殿物を濾過し、酸が検出されなくなるまで水で洗浄し、次いで30000部のエタノールで洗浄し、90℃で乾燥し、生成物Q 252部を得た。
【0104】
得られた生成物Q 約5mgをテトラヒドロフラン 1.0mLに分散させたものを用いて、GC/TOFMS JMS−T100GC(日本電子株式会社製)で分子量を測定したところ、m/z=648(化合物42、化合物43の混合物)m/z=774(化合物44、化合物45、化合物46、化合物47の混合物)、m/z=900(化合物48、化合物49の混合物)、m/z=1026(化合物50)、その他の化合物の混合物が16:33:30:14:7の割合で含まれていた。
【0105】
【化58】
【0106】
【化59】
【0107】
【化60】
【0108】
【化61】
【0109】
【化62】
【0110】
【化63】
【0111】
【化64】
【0112】
【化65】
【0113】
【化66】
【0114】
[実施例1]
前記合成例1で得られた化合物1 0.4部、味の素ファインテクノ株式会社製の樹脂系分散剤であるPB−821(製品名) 0.5部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 7.4部を混合し、0.2〜0.3mmφのジルコニアビーズを加え、ペイントコンディショナーで2時間分散し、着色組成物を得た。得られた着色組成物 0.1部にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 99.9部を添加し、評価用組成物(N−1)を調製した。
【0115】
[実施例2]
化合物1に代えて、化合物2を用いる以外は、上記実施例1と同様な操作を行い、評価用組成物(N−2)を調製した。
【0116】
[実施例3]
化合物1に代えて、化合物3を用いる以外は、上記実施例1と同様な操作を行い、評価用組成物(N−3)を調製した。
【0117】
[実施例4]
化合物1に代えて、化合物4を用いる以外は、上記実施例1と同様な操作を行い、評価用組成物(N−4)を調製した。
【0118】
[実施例5]
化合物1に代えて、化合物5を用いる以外は、上記実施例1と同様な操作を行い、評価用組成物(N−5)を調製した。
【0119】
[実施例6]
化合物1に代えて、化合物6を用いる以外は、上記実施例1と同様な操作を行い、評価用組成物(N−6)を調製した。
【0120】
[実施例7]
化合物1に代えて、化合物7を用いる以外は、上記実施例1と同様な操作を行い、評価用組成物(N−7)を調製した。
【0121】
[実施例8]
化合物1に代えて、化合物8を用いる以外は、上記実施例1と同様な操作を行い、評価用組成物(N−8)を調製した。
【0122】
[実施例9]
化合物1に代えて、化合物9を用いる以外は、上記実施例1と同様な操作を行い、評価用組成物(N−9)を調製した。
【0123】
[実施例10]
上記実施例1で用いた化合物1 0.4部に代えて、化合物1 0.05部、化合物2 0.05部、化合物3 0.025部、化合物4 0.025部、化合物5 0.025部、化合物6 0.025部、化合物7 0.05部、化合物8 0.05部、及び化合物9 0.1部の混合物を用いる以外は、上記実施例1と同様な操作を行い、評価用組成物(N−10)を調製した。
【0124】
[実施例11]
上記実施例1で用いた化合物1 0.4部に代えて、化合物1 0.02部、化合物2 0.02部、化合物3 0.02部、化合物4 0.02部、化合物5 0.02部、化合物6 0.02部、化合物7 0.04部、化合物8 0.04部、及び化合物9 0.2部の混合物を用いる以外は、上記実施例1と同様な操作を行い、評価用組成物(N−11)を調製した。
【0125】
[実施例12]
上記実施例1で用いた化合物1 0.4部に代えて、化合物1 0.01部、化合物2 0.01部、化合物3 0.01部、化合物4 0.01部、化合物5 0.01部、化合物6 0.01部、化合物7 0.02部、化合物8 0.02部、及び化合物9 0.3部の混合物を用いる以外は、上記実施例1と同様な操作を行い、評価用組成物(N−12)を調製した。
【0126】
[実施例13]
上記実施例1で用いた化合物1 0.4部に代えて、化合物1 0.1部、化合物2 0.1部、化合物3 0.02部、化合物4 0.02部、化合物5 0.02部、化合物6 0.02部、化合物7 0.04部、化合物8 0.04部、及び化合物9 0.04部の混合物を用いる以外は、上記実施例1と同様な操作を行い、評価用組成物(N−13)を調製した。
【0127】
[実施例14]
上記実施例1で用いた化合物1 0.4部に代えて、化合物1 0.15部、化合物2 0.15部、化合物3 0.01部、化合物4 0.01部、化合物5 0.01部、化合物6 0.01部、化合物7 0.02部、化合物8 0.02部、及び化合物9 0.02部の混合物を用いる以外は、上記実施例1と同様な操作を行い、評価用組成物(N−14)を調製した。
【0128】
[実施例15]
上記実施例1で用いた化合物1 0.4部に代えて、化合物1 0.04部、化合物2 0.04部、化合物3 0.05部、化合物4 0.05部、化合物5 0.05部、化合物6 0.05部、化合物7 0.04部、化合物8 0.04部、及び化合物9 0.04部の混合物を用いる以外は、上記実施例1と同様な操作を行い、評価用組成物(N−15)を調製した。
【0129】
[実施例16]
上記実施例1で用いた化合物1 0.4部に代えて、化合物3 0.05部、化合物4 0.05部、化合物5 0.05部、化合物6 0.05部、化合物7 0.1部、及び化合物8 0.1部の混合物を用いる以外は、上記実施例1と同様な操作を行い、評価用組成物(N−16)を調製した。
【0130】
[実施例17]
上記実施例1で用いた化合物1 0.4部に代えて、化合物1 0.1部、化合物2 0.1部、及び化合物9 0.2部の混合物を用いる以外は、上記実施例1と同様な操作を行い、評価用組成物(N−17)を調製した。
【0131】
[実施例18]
上記実施例1で用いた化合物1 0.4部に代えて、生成物F 0.4部を用いる以外は、上記実施例1と同様な操作を行い、評価用組成物(N−19)を調製した。
【0132】
[実施例19]
上記実施例1で用いた化合物1 0.4部に代えて、生成物I 0.4部を用いる以外は、上記実施例1と同様な操作を行い、評価用組成物(N−20)を調製した。
【0133】
[実施例20]
上記実施例1で用いた化合物1 0.4部に代えて、生成物L 0.4部を用いる以外は、上記実施例1と同様な操作を行い、評価用組成物(N−21)を調製した。
【0134】
[実施例21]
上記実施例1で用いた化合物1 0.4部に代えて、生成物P 0.4部を用いる以外は、上記実施例1と同様な操作を行い、評価用組成物(N−22)を調製した。
【0135】
[実施例22]
上記実施例1で用いた化合物1 0.4部に代えて、生成物Q 0.4部を用いる以外は、上記実施例1と同様な操作を行い、評価用組成物(N−23)を調製した。
【0136】
[比較例1]
上記実施例1で用いた化合物1に代えて、Hostaperm Blue R5R VP2548 (C.I.Pigment Blue 80、クラリアント社製)を用いる以外は、上記実施例1と同様な操作を行い、評価用組成物(N−18)を調製した。
【0137】
<ピークトップ位置の確認>
上記実施例1〜22及び比較例1で得られた評価用組成物(N−1)〜(N−23)の吸光スペクトルを分光光度計(U−3900、株式会社日立ハイテクサイエンス製)により測定した。結果を表1に示す。
【0138】
【表1】
【0139】
比較例と比べ、本発明化合物は吸光スペクトルピーク波長が長波長側にシフトし、赤みの少ない青色を示していた。
【0140】
本発明化合物は、ベンズイミダゾロンジオキサジン構造を有する化合物でありながら、比較として用いたC.I.Pigment Blue 80(特開平7−196663号公報に記載の化合物であり、本技術分野において代表的な青色顔料のひとつ)よりも長波長域に吸収を有する(より青みである)という格別顕著な効果を奏する。本発明化合物は、ベンズイミダゾロンジオキサジン構造中のベンゼン環の水素原子をハロゲン原子で置換したものであり、これにより、光吸収帯の長波長シフトが生じたためと推測される。このような本発明化合物は、上述したような多様な用途に用いることができる。