【文献】
CHO WON-JEA,SYNTHESIS AND BIOLOGICAL EVALUATION OF 3-ARYLISOQUINOLINES AS ANTITUMOR AGENTS,BIOORGANIC & MEDICINAL CHEMISTRY LETTERS,英国,1998年 1月 6日,V8 N1-6,P41-46
【文献】
SEUNG HOON CHEON,STRUCTURE-ACTIVITY RELATIONSHIP STUDIES OF ISOQUINOLINONE TYPE ANTICANCER AGENT,ARCHIVES OF PHARMACOL RESEARCH,KR,2001年,V24 N4,P276-280
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも1つの請求項1に記載の化合物および/またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、互変異性体もしくは立体異性体、あるいは全ての比率でのそれらの混合物、ならびに、任意に薬学的に許容し得るキャリア、賦形剤またはビヒクルを含む、医薬。
頭部、頸部、眼、口、咽喉、食道、気管支、喉頭、咽頭、胸部、骨、肺、結腸、直腸、胃、前立腺、膀胱、子宮、子宮頸部、乳房、卵巣、精巣または他の生殖器官、皮膚、甲状腺、血液、リンパ節、腎臓、肝臓、膵臓、脳、中枢神経系の癌、固形腫瘍および血液由来腫瘍の群から選択される疾患の処置および/または予防のための使用のための、請求項3に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0020】
用語、化合物の溶媒和物とは、化合物への、不活性な溶媒分子の、それらの相互の引力により形成する付加(adduction)を意味するものと考えられる。溶媒和物は、例えば、一もしくは二水和物またはアルコキシドである。
本発明はまた、塩の溶媒和物に関することが理解される。
用語、薬学的に許容し得る誘導体とは、例えば、本発明による化合物の塩、およびまたいわゆるプロドラッグ化合物を意味するものと解される。
【0021】
本明細書において用いられる場合、および他に示されない限り、用語「プロドラッグ」とは、式Iの化合物の誘導体であって、生物学的条件下において(in vitroまたはin vivoで)、加水分解、酸化、または他の反応により、活性な化合物、特に式Iの化合物を提供することができるものを意味する。プロドラッグの例として、限定されないが、生物加水分解可能な(biohydrolyzable)部分、例えば生物加水分解可能なアミド、生物加水分解可能なエステル、生物加水分解可能なカルバメート、生物加水分解可能なカルボナート、生物加水分解可能なウレイド、および生物加水分解可能なホスファートのアナログなどを含む、式Iの化合物の誘導体および代謝物が挙げられる。ある態様において、カルボキシル官能基を有する化合物のプロドラッグは、カルボン酸の低級アルキルエステルである。カルボン酸エステルは、分子上に存在するカルボン酸部分のうちのいずれかをエステル化することにより、便利に形成される。プロドラッグは、典型的には、周知の方法、例えばBurger 's Medicinal Chemistry and Drug Discovery、第六版(Donald J. Abraham編、2001年、Wiley)およびDesign and Application of Prodrugs(H.Bundgaard編、1985年、Harwood Academic Publishers Gmfh)により記載されるものなどを用いて調製することができる。
【0022】
表現「有効量」は、組織、系、動物またはヒトにおいて、例えば研究者または医師により求められるかまたは所望される生物学的または医学的応答を引き起こす、医薬の量または医薬活性成分の量を表わす。
さらに、表現「治療有効量」は、この量を投与されていない対応する対象と比較して、以下の結果を有する量を表わす:疾患、症候群、状態、愁訴、障害または副作用の、処置改善、治癒、予防または除去、あるいは、疾患、愁訴または障害の進行の低減。
表現「治療有効量」はまた、正常な生理学的機能を亢進させるために有効な量を包含する。
【0023】
本発明はまた、式Iの化合物の混合物、例えば、2つのジアステレオマーの、例えば1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:10、1:100または1:1000の比における混合物の使用に関する。
それらは、特に好ましくは、立体異性体化合物の混合物である。
「互変異性体」とは、化合物の異性体形態であって、互いに平衡にあるものを指す。異性体形態の濃度は、化合物が見出される環境に依存し、例えば、化合物が固体であるのか、または有機性もしくは水性の溶液中のものであるのかに依存して異なり得る。
【0024】
本発明は、式Iの化合物およびその塩、ならびに、式Iの化合物ならびにその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、互変異性体および立体異性体の調製のためのプロセスに関し、該プロセスは、以下を特徴とする:
a)式II
【化3】
式中、R
1、X、Yおよびnは、請求項1において示される意味を有する、
の化合物を、NH
3と反応させること、
もしくは、
b)ラジカルYを、
i)ハロゲン原子をエステル基に変換すること、
ii)エステル基をアルコール基に変換すること、
iii)鈴木カップリングで、ハロゲン化されたフェニル環をアリール化された(arylated)フェニル環に変換すること、
により、別のラジカルYに変換すること、
および/または
式Iの塩基または酸を、その塩の1つに変換すること。
【0025】
上および下において、ラジカルR
1、X、Yおよびnは、他に明示的に記述されない限り、式Iについて示される意味を有する。
Aは、アルキルを表わし、これは、非分枝状(直鎖状)または分枝状であって、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のC原子を有する。Aは、好ましくは、メチル、さらには、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチル、さらにはまた、ペンチル、1−、2−または3−メチルブチル、1,1−、1,2−または2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、1−、2−、3−または4−メチルペンチル、1,1−、1,2−、1,3−、2,2−、2,3−または3,3−ジメチルブチル、1−または2−エチルブチル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、1,1,2−または1,2,2−トリメチルプロピル、さらに好ましくは、例えば、トリフルオロメチルを表わす。
【0026】
Aは、非常に特に好ましくは、1、2、3、4、5または6個のC原子を有するアルキル、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルまたは1,1,1−トリフルオロエチルを表わす。
さらに、Aは、好ましくは、CH
2OCH
3、CH
2CH
2OHまたはCH
2CH
2OCH
3を表わす。
Cycは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルを表わし、これは好ましくは、未置換であるか、またはOH、HalもしくはAにより一置換されている
【0027】
R
1は、特に好ましくは、H、F、Cl、CH
3、OCH
3またはCF
3を表わす。
R
2は、好ましくは、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチルまたはヘキシル、特に好ましくは、Hまたはメチルを表わす。
【0028】
Arは、好ましくは、o−、m−またはp−トリル、o−、m−またはp−エチルフェニル、o−、m−またはp−プロピルフェニル、o−、m−またはp−イソプロピルフェニル、o−、m−またはp−tert−ブチルフェニル、o−、m−またはp−ヒドロキシフェニル、o−、m−またはp−ニトロフェニル、o−、m−またはp−アミノフェニル、o−、m−またはp−(N−メチルアミノ)フェニル、o−、m−またはp−(N−メチルアミノカルボニル)フェニル、o−、m−またはp−メトキシフェニル、o−、m−またはp−エトキシフェニル、o−、m−またはp−エトキシカルボニルフェニル、o−、m−またはp−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル、o−、m−またはp−(N,N−ジメチルアミノカルボニル)フェニル、o−、m−またはp−(N−エチルアミノ)フェニル、o−、m−またはp−(N,N−ジエチルアミノ)フェニル、o−、m−またはp−フルオロフェニル、o−、m−またはp−ブロモフェニル、o−、m−またはp−クロロフェニル、o−、m−またはp−(メチルスルホンアミド)フェニル、o−、m−またはp−(メチルスルホニル)フェニル、o−、m−またはp−シアノフェニル、o−、m−またはp−カルボキシフェニル、o−、m−またはp−メトキシカルボニルフェニル、o−、m−またはp−ホルミルフェニル、o−、m−またはp−アセチルフェニル、o−、m−またはp−アミノスルホニルフェニル、o−、m−またはp−[2−(モルホリン−4−イル)エトキシ]フェニル、o−、m−またはp−[3−(N,N−ジエチルアミノ)プロポキシ]フェニル、さらには、好ましくは、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジフルオロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジクロロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジブロモフェニル、2,4−または2,5−ジニトロフェニル、2,5−または3,4−ジメトキシフェニル、3−ニトロ−4−クロロフェニル、3−アミノ−4−クロロ−、2−アミノ−3−クロロ−、2−アミノ−4−クロロ−、2−アミノ−5−クロロ−または2−アミノ−6−クロロフェニル、2−ニトロ−4−N,N−ジメチルアミノ−または3−ニトロ−4−N,N−ジメチルアミノフェニル、2,3−ジアミノフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,6−または3,4,5−トリクロロフェニル、2,4,6−トリメトキシフェニル、2−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル、p−ヨードフェニル、3,6−ジクロロ−4−アミノフェニル、4−フルオロ−3−クロロフェニル、2−フルオロ−4−ブロモフェニル、2,5−ジフルオロ−4−ブロモフェニル、3−ブロモ−6−メトキシフェニル、3−クロロ−6−メトキシフェニル、3−クロロ−4−アセタミドフェニル、3−フルオロ−4−メトキシフェニル、3−アミノ−6−メチルフェニル、3−クロロ−4−アセタミドフェニルまたは2,5−ジメチル−4−クロロフェニルを表わす。
Arは、さらに好ましくは、フェニルを表わし、これは、Hal、A、[C(R
2)
2]
pHet
2または[C(R
2)
2]
pCOOR
2により一置換されている。
【0029】
Het
1は、好ましくは、ピロリジニル、アゼチジニル、テトラヒドロイミダゾリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラゾリル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、ヘキサヒドロピリダジニル、ヘキサヒドロピリミジニル、[1,3]ジオキソラニル、ピペラジニル、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、キノリル、1,3−ベンゾジオキソリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、イミダゾピリジルまたはフロ[3,2−b]ピリジルを表わし、これらの各々は、未置換であるか、またはAおよび/もしくは[C(R
2)
2]
pOR
2により、一もしくは二置換されている。
【0030】
Het
1は、特に好ましくは、ピロリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロフラニル、オキセタニルまたはピラゾリルを表わし、これらの各々は、未置換であるか、またはAまたは[C(R
2)
2]
pOR
2により一置換されている。
Het
2は、特に好ましくは、ピロリジニル、ピペリジニルまたはピラゾリルを表わし、これらの各々は、Aにより一置換されている。
Halは、好ましくは、F、ClまたはBr、しかしまたI、特に好ましくは、FまたはClを表わす。
【0031】
本発明を通して、1回より多く現れる全てのラジカルは、同一であっても異なっていてもよく、すなわち、互いに独立している。
式Iの化合物は、1または2以上のキラル中心を有していてもよく、したがって、多様な立体異性体形態において現れ得る。式Iは、全てのこれらの形態を包含する。
【0032】
したがって、本発明は、特に、前記ラジカルのうちの少なくとも1つが、上記の好ましい意味のうちの1つを有する、式Iの化合物に関する。幾つかの好ましい化合物の群は、以下の下位式Ia〜Idにより表わすことができ、これは、式Iに準拠し、ここで、より詳細に指定されないラジカルは、式Iについて示される意味を有するが、
式中、
Iaにおいて、Arは、フェニルを表わし、これは、Hal、A、[C(R
2)
2]
pHet
2または[C(R
2)
2]
pCOOR
2により一置換されており;
【0033】
Ibにおいて、Het
1は、ピロリジニル、アゼチジニル、テトラヒドロイミダゾリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラゾリル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、ヘキサヒドロピリダジニル、ヘキサヒドロピリミジニル、[1,3]ジオキソラニル、ピペラジニル、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、キノリル、1,3−ベンゾジオキソリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、イミダゾピリジルまたはフロ[3,2−b]ピリジルを表わし、これらの各々は、未置換であるか、またはAおよび/もしくは[C(R
2)
2]
pOR
2により、一もしくは二置換されており;
Icにおいて、Het
2は、ピロリジニル、ピペリジニルまたはピラゾリルを表わし、これらの各々は、Aにより一置換されており;
【0034】
Idにおいて、R
1は、F、Cl、CH
3、OCH
3、CF
3、CHF
2またはCH
2Fを表わし、
R
2は、H、または1〜6個のC原子を有する非分枝状もしくは分枝状アルキルをを表わし、
Xは、CまたはNを表わし、ただし、1つのみのXがNを表わし、
Yは、A、Cyc、[C(R
2)
2]
qOA、[C(R
2)
2]
qN(R
2)
2、[C(R
2)
2]
pHet
1、[C(R
2)
2]
pCOOR
2、[C(R
2)
2]
pCON(R
2)
2または[C(R
2)
2]
pSO
2N(R
2)
2を表わし、
Het
1は、ピロリジニル、アゼチジニル、テトラヒドロイミダゾリル、テトラヒドロフラニル、オキセタニル、テトラヒドロピラゾリル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、ヘキサヒドロピリダジニル、ヘキサヒドロピリミジニル、[1,3]ジオキソラニル、ピペラジニル、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、キノリル、1,3−ベンゾジオキソリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、イミダゾピリジルまたはフロ[3,2−b]ピリジルを表わし、これらの各々は、未置換であるか、またはAおよび/もしくは[C(R
2)
2]
pOR
2により、一もしくは二置換されており、
Aは、1〜10個のC原子を有する非分枝状もしくは分枝状アルキルを表わし、ここで、2個の隣接する炭素原子は、二重結合を形成してもよく、ならびに/または、1個もしくは2個の隣接しないCHおよび/もしくはCH
2基は、N原子により置き換えられてもよく、ならびにここで、1〜7個のH原子は、FまたはClにより置き換えられてもよく、
Cycは、3〜7個のC原子を有するシクロアルキルを表わし、これらは、未置換であるか、またはOH、HalもしくはAにより一置換されており、
nは、0、1または2を表わし、
pは、0、1、2、3または4を表わし、
qは、1、2、3または4を表わし、
ただし、R
1が存在しないか、またはメチルもしくはメトキシである場合、Yは、メチル、トリフルオロメチル、ピペリジノメチル、ブチル、3−メトキシ−1−プロピルまたは4−モルホリニルではなく、
またはその薬学的に許容し得る溶媒和物、塩、互変異性体もしくは立体異性体、あるいは全ての比率でのそれらの混合物。
【0035】
さらに、式Iの化合物およびまたそれらの調製のための出発材料は、文献において(例えばHouben-Weyl、Methoden der organischen Chemie[Methods of Organic Chemistry](Georg-Thieme-Verlag, Stuttgart)などの標準的な研究において)記載されるように、正確には反応のための既知で好適な反応条件下において、それ自体公知の方法により調製される。ここで、それ自体公知のバリアントもまた使用することができ、それらはここではこれ以上詳しくは言及しない。
【0036】
出発材料である式IIの化合物は、一般に知られている。しかしながら、それらが新規である場合でもそれ自体公知の方法により調製することができる。
式Iの化合物は、好ましくは、式IIの化合物をNH
3と反応させることにより得ることができる。
【0037】
用いられる条件に依存して、反応時間は数分間〜14日間の間であり、反応温度は、約−10℃〜140℃、通常は30℃〜130℃、特に約60℃〜約120℃である。反応は、不活性な溶媒中で行われる。
【0038】
好適な不活性な溶媒の例は、ヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエンまたはキシレンなどの炭化水素;トリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロホルムまたはジクロロメタンなどの塩素化炭化水素;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノールまたはtert−ブタノールなどのアルコール;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)またはジオキサンなどのエーテル;エチレングリコールモノメチルもしくはモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル(diglyme)などのグリコールエーテル;アセトンまたはブタノンなどのケトン;アセタミド、ジメチルアセタミドまたはジメチルホルムアミド(DMF)などのアミド;アセトニトリルなどのニトリル;ジメチルスルホキシド(DMSO)などのスルホキシド;二硫化炭素;ギ酸または酢酸などのカルボン酸;ニトロメタンまたはニトロベンゼンなどのニトロ化合物;酢酸エチルなどのエステル、あるいは前記溶媒の混合物である。
DMFが特に好ましい。
【0039】
式Iの化合物は、さらには、ラジカルYを、
i)ハロゲン原子をエステル基に変換すること、
ii)エステル基をアルコール基に変換すること、
iii)鈴木カップリングで、ハロゲン化されたフェニル環をアリール化されたフェニル環に変換すること
により、別のラジカルYに変換することにより、得ることができる。
【0040】
ステップi):
ハロゲン原子をエステル基に変換することは、好ましくは、一酸化炭素を用いて、好ましくは有機溶媒中で;好ましくはメタノールおよびトルエン中で、標準的な条件下において行われる。
好ましくは、反応は、加圧下、好ましくは2〜4バールにおいて行われる。
好ましくは、パラジウムおよび/または鉄の錯体を添加し、好ましい錯体は、(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン)ジクロロパラジウム(II)または1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセンである。
用いられる条件に依存して、反応時間は数分間〜14日間の間であり、反応温度は、約40℃〜140℃、通常は60℃〜130℃、特に約90℃〜約110℃である。
【0041】
ステップii):
エステル基をアルコール基に変換することは、好ましくは、塩化セリウム(III)の存在下において、アルキル塩化マグネシウムと共にTHF中で標準的な条件下において、または水酸化アルミニウムリチウムと共にTHF中で行われる。
【0042】
ステップiii):
ハロゲン化されたフェニル環をアリール化されたフェニル環に変換することは、鈴木カップリングのための標準的な条件下において行われる。
【0043】
ステップiv):
ハロゲン化されたアルキル基をアルキル基に変換することは、好ましくは、LiAlH
4と共にTHF中で、または亜鉛と共に酢酸中で、標準的な条件下において、行われる。
エステルは、例えば、酢酸を用いて、または水中のNaOHもしくはKOH、水/THFもしくは水/ジオキサンを用いて、室温において、0〜100℃で、鹸化することができる。
【0044】
薬学的塩および他の形態
本発明による前記化合物は、それらの最終的な非塩形態において用いることができる。一方、本発明はまた、薬学的に許容し得る塩の形態におけるこれらの化合物の使用を包含し、これらは、多様な有機および無機の酸および塩基から、当該分野において公知の手順により誘導することができる。式Iの化合物の薬学的に許容し得る塩の形態は、大部分、従来の方法により調製される。式Iの化合物がカルボキシル基を含む場合、その好適な塩のうちの1つは、当該化合物を好適な塩基と反応させて、対応する塩基付加塩を得ることにより、形成することができる。かかる塩基は、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化リチウムを含むアルカリ金属水酸化物;水酸化バリウムおよび水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物;アルカリ金属アルコキシド、例えばカリウムエトキシドおよびナトリウムプロポキシド;ならびに、例えばピペリジン、ジエタノールアミンおよびN−メチルグルタミンなどの多様な有機塩基である。式Iの化合物のアルミニウム塩も、同様に含まれる。ある式Iの化合物の場合、これらの化合物を薬学的に許容し得る有機および無機酸、例えば、塩化水素、臭化水素またはヨウ化水素などのハロゲン化水素、硫酸、硝酸またはリン酸などの他の鉱酸およびその対応する塩、ならびに、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸およびベンゼンスルホン酸などのアルキル−およびモノアリールスルホン酸、ならびに、酢酸、トリフルオロ酢酸、酒石酸、マレイン酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、サリチル酸、アスコルビン酸などの他の有機酸およびその対応する塩で処理することにより、酸付加塩を形成することができる。したがって、式Iの化合物の薬学的に許容し得る酸付加塩として、以下:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アルギナート(arginate)、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシラート)、重硫酸塩、亜硫酸水素塩、臭化物塩、酪酸塩、樟脳酸塩(camphorate)、カンファースルホン酸塩、カプリル酸塩、塩化物塩、クロロ安息香酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、二グルコン酸塩、リン酸二水素塩、ジニトロ安息香酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、ギ酸塩、ガラクタル酸塩(galacterate)(ムチン酸から)、ガラクツロン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリセロ硫酸塩、ヘミコハク酸塩、半硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ヨウ化物塩、イセチオン酸塩、イソ酪酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタリン酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル安息香酸塩、一水素リン酸塩(monohydrogenphosphate)、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、オレイン酸塩、パルモ酸塩(palmoate)、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニル酢酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、フタル酸塩が挙げられるが、これは限定を表すものではない。
【0045】
さらに、本発明による化合物の塩基性塩として、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、鉄(III)、鉄(II)、リチウム、マグネシウム、マンガン(III)、マンガン(II)、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛の塩が挙げられるが、これは限定を表わすことを意図しない。前述の塩のうち、アンモニウム;アルカリ金属塩ナトリウムおよびカリウム、ならびにアルカリ土類金属塩カルシウムおよびマグネシウムが好ましい。式Iの化合物の塩であって、薬学的に許容し得る有機の非毒性の塩基から誘導されるものとして、一級、二級および三級アミン、置換アミンが挙げられ、これはまた、天然に存在する置換アミン、環状アミン、および塩基性イオン交換樹脂、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、クロロプロカイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン(ベンザチン)、ジシクロヘキシルアミン、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リドカイン、リジン、メグルミン、N−メチル−D−グルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、およびトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン(トロメタミン)が挙げられるが、これは限定を表わすことを意図しない。
【0046】
塩基性の窒素含有基を含む本発明の化合物は、(C
1−C
4)アルキルハライド、例えばメチル、エチル、イソプロピルおよびtert−ブチルの塩化物、臭化物およびヨウ化物;ジ(C
1−C
4)アルキル硫酸塩、例えばジメチル、ジエチルおよびジアミル硫酸塩;(C
10−C
18)アルキルハライド、例えばデシル、ドデシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリルの塩化物、臭化物およびヨウ化物;ならびに、アリール(C
1−C
4)アルキルハライド、例えば塩化ベンジルおよび臭化フェネチルなどの剤を用いて、四級化することができる。水溶性および脂溶性の両方の本発明による化合物を、かかる塩を用いて調製することができる。
【0047】
前述の薬学的塩のうちの好ましいものとして、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ベシル酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、ヘミコハク酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、イセチオン酸塩、マンデル酸塩、メグルミン、硝酸塩、オレイン酸塩、ホスホン酸塩、ピバル酸塩、リン酸ナトリウム、ステアリン酸塩、硫酸塩、スルホサリチル酸塩、酒石酸塩、チオリンゴ酸塩、トシル酸塩、およびトロメタミンが挙げられるが、これは限定を表わすことを意図しない。
二塩酸塩、臭化水素酸塩、マレイン酸塩、メシラート、リン酸塩、硫酸塩およびコハク酸塩が特に好ましい。
【0048】
塩基性の式Iの化合物の酸付加塩は、従来の様式において、遊離の塩基形態を、十分な量の望ましい酸と接触させて、塩の形成を引き起こすことにより調製される。遊離の塩基は、従来の様式において、塩の形態を塩基と接触させて、遊離の塩基を単離することにより再生することができる。遊離の塩基形態は、特定の点において、対応するその塩の形態と、極性溶媒中での可溶性などの特定の物理的特性に関して異なる。本発明の目的のためには、しかし、塩は、他の点においては、そのそれぞれの遊離の塩基形態に対応する。
【0049】
前述のとおり、式Iの化合物の薬学的に許容し得る塩基付加塩は、アルカリ金属およびアルカリ土類金属または有機アミンなどの、金属またはアミンにより形成される。好ましい金属は、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウムである。好ましい有機アミンは、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N−メチル−D−グルカミンおよびプロカインである。
【0050】
酸性の本発明による化合物の塩基付加塩は、従来の様式において、遊離の酸形態を、十分な量の望ましい塩基と接触させて、塩の形成を引き起こすことにより調製される。遊離の酸は、従来の様式において、塩の形態を酸と接触させて、遊離の酸を単離することにより再生することができる。遊離の酸形態は、特定の点において、対応するその塩の形態と、極性溶媒中での可溶性などの特定の物理的特性に関して異なる。本発明の目的のためには、しかし、塩は、他の点においては、そのそれぞれの遊離の酸形態に対応する。
【0051】
本発明による化合物が、この型の薬学的に許容し得る塩を形成することができる1より多くの基を含む場合、本発明はまた、複塩(multiple salts)を包含する。典型的な複塩の形態として、例えば、酒石酸水素塩、二酢酸塩、二フマル酸塩(difumarate)、ジメグルミン、二リン酸塩、二ナトリウム塩および三塩酸塩が挙げられるが、これは限定を表わすことを意図しない。
【0052】
上述のことに関して、本発明に関連する表現「薬学的に許容し得る塩」とは(この塩形態が、活性成分に対して、当該活性成分の遊離形態または当該活性成分の先に用いられた任意の他の塩形態と比較して、改善された薬物動態学的特性を付与する場合は特に)、式Iの化合物をその塩のうちの一つの形態において含む活性成分を意味するものと考えられる。活性成分の薬学的に許容し得る塩形態はまた、この活性成分に、先には有しなかった所望の薬物動態学的特性を初めて提供するものであってもよく、さらには、この活性成分の薬力学に対して、体内におけるその治療効力に関して、正の影響を有していてもよい。
【0053】
同位体
さらに、式Iの化合物は、その同位体標識された形態を含むことが意図される。式Iの化合物の同位体標識された形態は、当該化合物の1または2以上の原子が、通常天然に存在する原子の原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子により置き換えられているという事実を除いては、この化合物と同一である。容易に市販で入手し得、周知の方法により式Iの化合物中に組み込むことができる同位体の例として、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素および塩素の同位体、例えばそれぞれ、
2H、
3H、
13C、
14C、
15N、
18O、
17O、
31P、
32P、
35S、
18Fおよび
36Clが挙げられる。式Iの化合物、そのプロドラッグまたは薬学的に許容し得る塩であって、上述の同位体の1または2以上および/または他の原子の他の同位体を含むものはいずれも、本発明の一部であるものと意図される。同位体標識された式Iの化合物は、多数の有益な方法において用いることができる。例として、例えば
3Hまたは
14Cなどの放射性同位体が組み込まれている同位体標識された式Iの化合物は、医薬および/または基質組織分布アッセイのために好適である。これらの放射性同位体、すなわちトリチウム(
3H)および炭素14(
14C)は、それらの簡易な調製および優れた検出能のために、特に好ましい。より重い同位体、例えばデューテリウム(
2H)の式Iの化合物中への組み込みは、この同位体標識された化合物のより高い代謝安定性のために、治療的利点を有する。より高い代謝安定性は、直接的に、より長いin vivoでの半減期またはより低い投与量と言い換えられ、これらは、殆どの状況において、本発明の好ましい態様を表わすであろう。同位体標識された式Iの化合物は、通常は、本文における合成スキームおよび関連する記載において、例のパートにおいて、および調製のパートにおいて開示される手順を、同位体標識されていない反応物を容易に利用可能な同位体標識された反応物で置き換えて行うことにより、調製することができる。
【0054】
化合物の酸化的代謝を一次動的同位体効果(primary kinetic isotope effect)により操作することを目的として、デューテリウム(
2H)をまた、式Iの化合物中に組み込んでもよい。一次動的同位体効果とは、同位体の核の交換から生じる化学反応についての速度の変化であり、これは、今度はこの同位体交換の後での共有結合の形成のために必要な基底状態エネルギーの変化により引き起こされる。より重い同位体の交換は、通常は、化学結合のための基底状態エネルギーの低下をもたらし、したがって、律速な結合の切断における速度の低下を引き起こす。結合の切断が、多生成物反応の座標に沿った鞍点領域においてまたはその付近において起こる場合、生成物の分布比は、実質的に変更され得る。説明すると、デューテリウムが交換不可能な位置において炭素原子に結合している場合、k
M/k
D=2〜7の速度差が典型的である。この速度差が、酸化に対して感受性である式Iの化合物に対してうまく適用される場合、この化合物のin vivoでのプロフィールは、それにより劇的に改変され得、改善された薬物動態学的特性をもたらし得る。
【0055】
治療剤を発見および開発する場合、当業者は、所望のin vitro特性を保持しつつ薬物動態学的パラメーターを最適化することを試みる。低い薬物動態学的プロフィールを有する多くの化合物は、酸化的代謝に対して感受性であると仮定することは妥当である。現在利用可能なin vitroでの肝臓ミクロソームアッセイは、この型の酸化的代謝の経過についての有益な情報を提供し、これが次いで、かかる酸化的代謝に対する耐性を通して改善された安定性を有する、重水素化された式Iの化合物の合理的な設計を可能にする。式Iの化合物の薬物動態学的プロフィールの著しい改善は、これにより得られ、in vivoでの半減期(t/2)、最大治療効果における濃度(C
max)、用量応答曲線下面積(AUC)、およびFの増大に関して;ならびに、クリアランスの低下、用量および材料のコストに関して、定量的に表わすことができる。
【0056】
以下は、上記を説明することを意図する:酸化的代謝のための複数の可能な攻撃の部位、例えばベンジルの水素原子および窒素原子に結合している水素原子を有する式Iの化合物を、それらの水素原子の一部、殆どまたは全てが、デューテリウム原子により置き換えられるように、多様な組み合わせの水素原子がデューテリウムにより置き換えられた一連のアナログとして調製する。半減期の決定は、酸化的代謝に対する耐性の改善の程度を、有利に、かつ正確に決定することを可能にする。この方法において、親化合物の半減期が、この型のデューテリウム−水素交換の結果として100%まで延長され得ることが決定される。
【0057】
式Iの化合物におけるデューテリウム−水素交換はまた、望ましくない毒性の代謝物を減少させるかまたは除去するために、出発化合物の代謝物スペクトルの有利な改変を達成するためにも用いることができる。例えば、毒性の代謝物が酸化的な炭素−水素(C−H)結合の切断を通して生じる場合、重水素化されたアナログは、特定の酸化が律速段階でない場合ですら、望ましくない代謝物の産生を著しく減少させるかまたは除去するであろうことが、妥当に仮定される。デューテリウム−水素交換に関するさらなる最先端の情報は、例えば、Hanzlik et al., J. Org. Chem. 55, 3992-3997, 1990, Reider et al., J. Org. Chem. 52, 3326-3334, 1987, Foster, Adv. Drug Res. 14, 1-40, 1985, Gillette et al., Biochemistry 33(10), 2927-2937, 1994、およびJarman et al., Carcinogenesis 16(4), 683-688, 1993において提供される。
【0058】
本発明は、さらには、少なくとも1つの式Iの化合物および/またはその薬学的に許容し得る誘導体、溶媒和物もしくは立体異性体、あるいは全ての比率でのそれらの混合物、ならびに任意に賦形剤および/またはアジュバントを含む、医薬に関する。
【0059】
医薬処方物は、投与単位の形態において投与してもよく、これは、投与単位あたり、予め決定された量の活性成分を含む。かかる単位は、処置される状態、投与の方法、ならびに患者の年齢、体重および状態に依存して、例えば0.5mg〜1g、好ましくは、1mg〜700mg、特に好ましくは、5mg〜100mgの本発明による化合物を含んでもよく、または、医薬処方物は、投与単位の形態において投与してもよく、これは、投与単位あたり、予め決定された量の活性成分を含む。好ましい投与単位処方物は、上記のような日用量もしくは部分用量、または活性成分の対応する画分を含むものである。さらに、この型の医薬処方物は、製薬の分野において一般に公知のプロセスを用いて調製することができる。
【0060】
医薬処方物は、任意の所望される好適な方法、例えば、経口(口腔内または舌下を含む)、直腸、鼻腔内、局所(口腔内、舌下もしくは経皮を含む)、膣または非経口(皮下、筋肉内、静脈内もしくは皮内を含む)による方法を介する投与のために適応させることができる。かかる処方物は、製薬の分野において一般に公知の全てのプロセスを用いて、例えば活性成分を賦形剤またはアジュバントと組み合わせることにより、調製することができる。
【0061】
経口投与に適合させた医薬処方物は、例えば、カプセルもしくは錠剤;粉末もしくは顆粒;水性もしくは非水性の液体中の溶液もしくは懸濁液;可食性の泡体もしくは泡状食品;または水中油型の液状乳液もしくは油中水型の液状乳液などの、個別の単位として投与することができる。
【0062】
したがって、例えば、錠剤またはカプセルの形態における経口投与の場合、活性成分構成要素は、例えばエタノール、グリセロール、水などの、経口の非毒性かつ薬学的に許容し得る不活性な賦形剤と組み合わせることができる。粉末は、化合物を好適な微細なサイズまで粉砕して、それを、同様の様式において粉砕した医薬用賦形剤、例えばデンプンまたはマンニトールなどの可食性の炭水化物と混合することにより調製する。香味剤、保存剤、分散剤および色素も、同様に存在していてもよい。
【0063】
カプセルは、上記のように粉末混合物を調製して、成形されたゼラチンのシェルをそれで充填することにより調製する。流動促進剤および潤滑剤、例えば高分散ケイ酸、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムまたは固体形態におけるポリエチレングリコールなどを、充填操作の前にポリエチレングリコールに添加してもよい。崩壊剤または可溶化剤、例えば、寒天、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウムなども、カプセルが服用された後の医薬のアベイラビリティーを改善するために、同様に添加することができる。
【0064】
さらに、所望されるかまたは必要である場合、好適な結合剤、潤滑剤および崩壊剤も、同様に混合物中に組み込むことができる。好適な結合剤として、デンプン、ゼラチン、天然の糖、例えば、ブドウ糖またはベータ−ラクトースなど、トウモロコシから作られた甘味料、天然および合成のゴム、例えば、アラビアゴム、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウムなど、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ロウなどが挙げられる。これらの投与形態において用いられる潤滑剤として、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが挙げられる。崩壊剤として、それらに限定されることなく、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが挙げられる。錠剤は、例えば、粉末混合物を調製し、混合物を造粒または乾式プレスし、潤滑剤および崩壊剤を添加し、混合物全体を圧縮して錠剤を得ることにより、処方する。粉末混合物は、好適な様式において粉砕した化合物を、任意に、結合剤(例えばカルボキシメチルセルロース、アルギナート、ゼラチンもしくはポリビニルピロリドンなど)、溶解遅延剤(例えばパラフィンなど)、吸収促進剤(例えば四級塩など)、および/または吸収剤(例えばベントナイト、カオリンもしくはリン酸二カルシウムなど)と共に、上記のように希釈剤または基剤と混合することにより調製する。粉末混合物は、それを、結合剤、例えば、シロップ、デンプンペースト、アラビアゴム粘液、またはセルロースもしくはポリマー材料の溶液などにより湿潤化して、それを、篩を通して圧縮することにより、造粒することができる。造粒の代替として、粉末混合物を打錠機にかけて、不均一な形状の塊を得、これを破壊して顆粒を得る。錠剤成型鋳型にくっつくことを防止するために、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルクまたは鉱油の添加により、顆粒を潤滑化してもよい。潤滑化した混合物を、次いで圧縮して、錠剤を得る。本発明による化合物はまた、自由に流動する不活性な賦形剤と組み合わせて、次いで、造粒または乾式プレスの工程を行わずに、直接圧縮して錠剤を得てもよい。シェラック密封層、糖またはポリマー材料の層、およびロウの光沢層からなる透明または不透明な保護層が存在してもよい。異なる投与単位間を区別することができるように、これらのコーティングに色素を添加してもよい。
【0065】
経口用液体、例えば溶液、シロップおよびエリキシル剤などは、所与の量が、予め特定された量の化合物を含むように、投与単位の形態において調製することができる。シロップは、化合物を好適な香味剤と共に水溶液中に溶解することにより調製することができ、一方、エリキシル剤は、非毒性のアルコール性ビヒクルを用いて調製する。懸濁液は、非毒性のビヒクル中での化合物の分散により処方することができる。可溶化剤および乳化剤(例えばエトキシル化イソステアリルアルコールおよびポリオキシエチレンソルビトールエーテルなど)、保存剤、香味添加物(例えばペパーミント油、または天然の甘味料もしくはサッカリン、または人工甘味料など)なども、同様に添加することができる。
【0066】
経口投与のための投与単位処方物は、所望される場合、マイクロカプセル中に封入してもよい。処方物はまた、例えば粒子状の材料をポリマー、ロウなどの中にコーティングまたは包埋することにより、放出が延長または遅延されるように調製してもよい。
【0067】
式Iの化合物ならびにその塩、溶媒和物および生理学的に機能的な誘導体はまた、例えば、小さな単層ビヒクル、大きな単層ビヒクルおよび複層ビヒクルなどのリポソーム送達系の形態において投与してもよい。リポソームは、例えばコレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンなどの多様なリン脂質から形成することができる。
【0068】
式Iの化合物ならびにその塩、溶媒和物および生理学的に機能的な誘導体はまた、化合物分子が結合する個々のキャリアとしてモノクローナル抗体を用いて、送達してもよい。化合物は、標的化された医薬キャリアとしての可溶性ポリマーに結合していてもよい。かかるポリマーは、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルトアミドフェノールまたはポリエチレンオキシドポリリジン(パルミトイルラジカルにより置換されたもの)を包含し得る。化合物は、さらに、医薬の徐放を達成するために好適であるクラスの生分解性ポリマー、例えばポリ乳酸、ポリ−イプシロン−カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリラート、およびハイドロゲルの架橋または両親媒性のブロックコポリマーに結合していてもよい。
【0069】
経皮投与に適合させた医薬処方物は、レシピエントの上皮との伸展した緊密な接触のために、独立した硬膏剤として投与してもよい。したがって、例えば、活性成分は、硬膏剤から、Pharmaceutical Research, 3(6), 318 (1986)において一般的意味において記載されるようなイオン泳動により、送達することができる。
局所投与に適合させた医薬化合物は、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、粉末、溶液、ペースト、ゲル、スプレー、エアロゾルまたはオイルとして処方してもよい。
【0070】
眼または他の外組織、例えば口および皮膚の処置のために、処方物は、好ましくは、局所用軟膏またはクリームとして適用される。軟膏を得るための処方の場合、活性成分は、パラフィンまたは水混和性のクリーム用基剤のいずれかと共に使用することができる。あるいは、活性成分は、水中油型のクリーム用基剤または油中水型の基剤と共に、クリームを生じるように処方することができる。
【0071】
眼への局所投与に適合させた医薬処方物は、活性成分が好適なキャリア、特に水性溶媒中に溶解または懸濁されている点眼剤を含む。
口における局所投与に適合させた医薬処方物は、ロゼンジ、トローチおよび洗口剤を包含する。
直腸投与に適合させた医薬処方物は、坐剤または浣腸の形態において投与することができる。
【0072】
鼻投与に適合させた医薬処方物であって、キャリア物質が固体であるものは、例えば20〜500マイクロンの範囲の粒子サイズを有する粗粉末を含み、これは、嗅ぎタバコが服用される様式において、すなわち、鼻の近傍に保持された粉末を含む容器からの鼻腔を介する迅速吸入により、投与される。液体をキャリア物質として用いる鼻用スプレーまたは点鼻剤としての投与のために好適な処方物は、水または油中の活性成分溶液を包含する。
【0073】
吸入による投与に適合させた医薬処方物は、微細に粒子化されたダストまたはミストを包含し、これらは、エアロゾル、ネブライザーまたは吸入器を備えた、多様な型の加圧ディスペンサーにより発生させることができる。
膣投与に適合させた医薬処方物は、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡体またはスプレー処方物として投与することができる。
【0074】
非経口投与に適合させた医薬処方物として、抗酸化剤、緩衝化剤、静菌剤、および溶質(これにより、処方物が処置されるべきレシピエントの血液と等張となる)を含む、水性および非水性の無菌の注射溶液;ならびに水性および非水性の無菌の懸濁液(これは懸濁媒および増粘剤を含んでもよい)が挙げられる。処方物は、単一用量または複数用量の容器、例えば密封されたアンプルおよびバイアルで投与することができ、使用の直前の無菌のキャリア液体、例えば注射の目的のための水、の添加しか必要としないように、フリーズドライ(凍結乾燥)された状態で貯蔵することができる。レシピにしたがって調製される注射用の溶液および懸濁液は、無菌の粉末、顆粒および錠剤から調製してもよい。
【0075】
言うまでもないことであるが、上記の特に言及される構成要素に加えて、処方物は、特定の型の処方に関して当該分野において通常のものである他の剤を含んでもよい;したがって、例えば、経口投与のために好適である処方物は、香味剤を含んでもよい。
【0076】
式Iの化合物の治療有効量は、例えば動物の年齢および体重、処置を必要とする正確な状態およびその重篤度、処方物の性質および投与の方法を含む、多数の要因に依存し、最終的には、処置している医師または獣医師により決定される。しかし、本発明による化合物の有効量は、一般に、レシピエント(哺乳動物)の体重1kgあたり1日あたり0.1〜100mgの範囲、特に典型的には体重1kgあたり1日あたり1〜10mgの範囲である。したがって、体重70kgの成体哺乳動物のための1日あたりの実際の量は、通常70〜700mgであり、ここで、この量は、1日あたりの単一用量として投与しても、あるいは、通常は、合計の日用量が同じであるように1日あたりの一連の部分用量(例えば2、3、4、5または6回など)で投与してもよい。塩もしくは溶媒和物またはその生理学的に機能的な誘導体の有効量は、本発明による化合物自体の有効量の画分として決定することができる。上記の他の状態の処置のためにも、同様の用量が好適であることが推測される。
【0077】
この型の組み合わせ処置は、当該処置の個々の成分の、同時の、連続的、または別々の分配を用いて、達成することができる。この型の組み合わせ製品は、本発明による化合物を使用する。
【0078】
本発明は、さらに、少なくとも1つの式Iの化合物および/またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物もしくは立体異性体、あるいは全ての比率でのそれらの混合物、ならびに少なくとも1つのさらなる医薬活性成分を含む、医薬に関する。
【0079】
本発明はまた、以下:
(a)式Iの化合物および/または、その薬学的に許容し得る塩、溶媒和物もしくは立体異性体、あるいは全ての比率でのそれらの混合物の有効量
ならびに
(b)さらなる医薬活性成分の有効量
の別々のパックからなるセット(キット)に関する。
【0080】
セットは、ボックス、個別のボトル、バッグまたはアンプルなどの好適な容器を含む。セットは、例えば、各々が、式Iの化合物および/または、その薬学的に許容し得る塩、溶媒和物もしくは立体異性体、あるいは全ての比率でのそれらの混合物の有効量、ならびに、さらなる医薬活性成分の有効量を、溶解されたまたは凍結乾燥された形態において含む、別々のアンプルを含んでもよい。
【0081】
「処置する」とは、本明細書において用いられる場合、障害もしくは疾患に関連する症状の完全なもしくは部分的な緩和、または、それらの症状のさらなる進行もしくは悪化の遅延もしくは停止、または疾患もしくは障害を発症するリスクがある対象における当該疾患もしくは障害の防止(prevention)もしくは予防(prophylaxis)を意味する。
【0082】
式(I)の化合物に関する用語「有効量」とは、障害もしくは疾患に関連する症状の完全なもしくは部分的な緩和、または、それらの症状のさらなる進行もしくは悪化の遅延もしくは停止、または、本明細書において開示される疾患もしくは障害(炎症状態、免疫学的状態、癌もしくは代謝的状態など)を発症するリスクを有する対象における当該疾患もしくは障害の防止(prevention)もしくは予防(prophylaxis)が可能な量を意味し得る。
【0083】
一態様において、式(I)の化合物の有効量とは、細胞において、例えばin vitroまたはin vivoで、タンキラーゼを阻害する量である。幾つかの態様において、式(I)の化合物の有効量は、細胞において、タンキラーゼを、未処置の細胞におけるタンキラーゼの活性と比較して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または99%阻害する。例えば医薬組成物中の式(I)の化合物の有効量は、所望される効果を発揮するレベルにおけるもの;例えば、経口および非経口投与の両方のための単位投与量において、対象の体重1kgあたり約0.005mg/kg〜対象の体重1kgあたり約10mgである。
【0084】
使用
本発明の化合物は、哺乳動物のため、特にヒトのための、癌、多発性硬化症、心臓血管疾患、中枢神経系傷害および様々な形態の炎症の処置における医薬活性成分として、好適である。
本発明は、癌、多発性硬化症、心臓血管疾患、中枢神経系傷害および様々な形態の炎症の処置または予防のための医薬の調製のための、式Iの化合物ならびに/またはその生理学的に許容し得る塩および溶媒和物の使用を包含する。
炎症性疾患の例として、関節リウマチ、乾癬、接触性皮膚炎、遅延型過敏性反応などが挙げられる。
【0085】
また包含されるのは、哺乳動物におけるタンキラーゼにより誘導される疾患またはタンキラーゼにより誘導される状態の処置または予防のための医薬の調製のための、式Iの化合物ならびに/またはその生理学的に許容し得る塩および溶媒和物の使用であり、この方法において、本発明による化合物の治療有効量が、かかる処置を必要とする病気の哺乳動物に投与される。治療的な量は、具体的な疾患により変化し、当業者により、過度の努力なしに決定することができる。
【0086】
表現「タンキラーゼにより誘導される疾患または状態」とは、1または2以上のタンキラーゼの活性に依存する病態を指す。タンキラーゼの活性に関連する疾患として、癌、多発性硬化症、心臓血管疾患、中枢神経系傷害および様々な形態の炎症が挙げられる。
本発明は特に、タンキラーゼの阻害、制御および/または調節的阻害が役割を果たす疾患の処置のための使用のための、式Iの化合物またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、互変異性体もしくは立体異性体、あるいは全ての比率でのそれらの混合物に関する。
【0087】
本発明は特に、タンキラーゼの阻害のための使用のための、式Iの化合物またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、互変異性体もしくは立体異性体、あるいは全ての比率でのそれらの混合物を含むものに関する。
本発明は特に、癌、多発性硬化症、心臓血管疾患、中枢神経系傷害および様々な形態の炎症の処置のための使用のための、式Iの化合物またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、互変異性体もしくは立体異性体、あるいは全ての比率でのそれらの混合物に関する。
【0088】
本発明は特に、癌、多発性硬化症、心臓血管疾患、中枢神経系傷害および様々な形態の炎症を処置または予防するための方法に関し、該方法は、それを必要とする対象に、式Iの化合物またはその薬学的に許容し得る塩、互変異性体、立体異性体もしくは溶媒和物の有効量を投与することを含む。
【0089】
処置または予防のために式Iの化合物が有用である代表的な癌として、限定されないが、頭部、頸部、眼、口、咽喉、食道、気管支、喉頭、咽頭、胸部、骨、肺、結腸、直腸、胃、前立腺、膀胱、子宮、子宮頸部、乳房、卵巣、精巣または他の生殖器官、皮膚、甲状腺、血液、リンパ節、腎臓、肝臓、膵臓、脳、中枢神経系の癌、固形腫瘍および血液由来腫瘍が挙げられる。
処置または予防のために式Iの化合物が有用である代表的な心臓血管疾患として、限定されないが、再狭窄、アテローム性動脈硬化症およびその結果(脳卒中、心筋梗塞、心臓、肺、腸、腎臓、肝臓、膵臓、脾臓または脳に対する虚血性傷害など)が挙げられる。
【0090】
本発明は、増殖性、自己免疫性、抗炎症性、または感染性の疾患または障害を処置する方法に関し、該方法は、それを必要とする対象に、式Iの化合物の治療有効量を投与することを含む。
好ましくは、本発明は、疾患が癌である方法に関する。
特に好ましくは、本発明は、疾患が癌であり、投与が、少なくとも1つの他の活性薬剤の投与と同時であるか、連続的であるか、または交互である方法に関する。
【0091】
開示される式Iの化合物は、抗癌剤を含む他の既知の治療剤と組み合わせて投与することができる。ここで用いられる場合、用語「抗癌剤」は、癌を処置することを目的として癌を有する患者に投与される任意の剤に関する。
【0092】
本明細書において定義される抗癌処置は、単独治療として適用されても、本発明の化合物に加えて、従来の手術または放射線療法または化学療法を伴ってもよい。かかる化学療法は、以下のカテゴリーの抗腫瘍剤の1または2以上を含んでもよい:
(i)医学腫瘍学において用いられるような抗増殖/抗悪性腫瘍(antineoplastic)/DNA傷害剤、およびそれらの組み合わせ、例えばアルキル化剤(例えばシスプラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファンおよびニトロソウレア);代謝拮抗薬(例えば葉酸代謝拮抗薬、例えば、5フルオロウラシルおよびテガフールのようなフルオロピリミジン、ラルチトレキセド、メトトレキサート、シトシンアラビノシド、ヒドロキシウレアおよびゲムシタビン);抗腫瘍性抗生物質(例えば、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシン−C、ダクチノマイシンおよびミスラマイシンのようなアントラサイクリン);有糸分裂阻害薬(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシンおよびビノレルビンのようなビンカアルカロイド、ならびに、タキソールおよびタキソテールのようなタキソイド);トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エトポシドおよびテニポシドのようなエピポドフィロトキシン、アムサクリン、トポテカン、イリノテカンおよびカンプトテシン)、ならびに細胞分化剤(例えば全トランス型レチノイン酸、13−シスレチノイン酸およびフェンレチニド);
【0093】
(ii)細胞分裂阻害剤、例えば、抗エストロゲン剤(例えばタモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン(droloxifene)およびヨードキシフェン(iodoxyfene))、エストロゲン受容体下方調節剤(例えばフルベストラント)、抗アンドロゲン薬(例えばビカルタミド、フルタミド、ニルタミドおよび酢酸シプロテロン)、LHRHアンタゴニストまたはLHRHアゴニスト(例えばゴセレリン、リュープロレリンおよびブセレリン)、プロゲステロン類(例えば酢酸メゲストロール)、アロマターゼ阻害剤(例えば、アナストロゾール、レトロゾール、ボラゾール(vorazole)およびエキセメスタン)、ならびに5α−レダクターゼの阻害剤、例えばフィナステリド;
【0094】
(iii)癌細胞の浸潤を阻害する剤(例えばマリマスタットのようなメタロプロテイナーゼ阻害剤、およびウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター受容体機能の阻害剤);
【0095】
(iv)増殖因子機能の阻害剤、例えば以下を含む阻害剤:増殖因子抗体、増殖因子受容体抗体(例えば抗erbb2抗体トラスツズマブ[Herceptin
TM]および抗erbbl抗体セツキシマブ[C225])、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤およびセリン/スレオニンキナーゼ阻害剤、例えば上皮増殖因子ファミリーの阻害剤(例えば、N(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−メトキシ−6−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン−4−アミン(ゲフィチニブ、AZD1839)、N(3−エチニルフェニル)−6,7ビス(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−アミン(エルロチニブ、OSI-774)および6アクリルアミド−N−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−(3−モルホリノプロポキシ)−キナゾリン−4−アミン(CI 1033)などのEGFRファミリーチロシンキナーゼ阻害剤)、例えば血小板由来増殖因子ファミリーの阻害剤、ならびに例えば肝細胞増殖因子ファミリーの阻害剤;
【0096】
(v)抗血管新生剤、例えば、血管内皮増殖因子の効果を阻害するもの(例えば抗血管内皮細胞増殖因子抗体ベバシズマブ[Avastin
TM]、公開された国際特許出願WO 97/22596、WO 97/30035、WO 97/32856およびWO 98/13354において開示されるものなどの化合物)、ならびに他の機序により作用する化合物(例えばリノミド(linomide)、インテグリンαvβ3の機能の阻害剤、およびアンジオスタチン);
【0097】
(vi)血管傷害剤、例えば、コンブレタスタチンA4ならびに国際特許出願WO 99/02166、WO 00/40529、WO 00/41669、WO 01/92224、WO 02/04434およびWO 02/08213において開示される化合物;
(vii)アンチセンス治療、例えば、抗RasアンチセンスであるISIS 2503などの、上で列記した標的を対象とするもの;
【0098】
(viii)以下を含む遺伝子治療アプローチ:例えば、異常なp53、または異常なBRCA1もしくはBRCA2などの異常な遺伝子の置き換えのためのアプローチ、シトシンデアミナーゼ、チミジンキナーゼまたは細菌のニトロレダクターゼ酵素を用いるものなどのGDEPT(遺伝子指向性酵素プロドラッグ治療)アプローチ、ならびに、多剤耐性遺伝子治療などの化学療法または放射線療法に対する患者の耐容性を増大させるためのアプローチ;ならびに
【0099】
(ix)例えば以下を含む免疫治療アプローチ:患者の腫瘍細胞の免疫原性を増大させるためのex-vivoおよびin-vivoでのアプローチ、例えばインターロイキン2、インターロイキン4または顆粒球マクロファージコロニー刺激因子などのサイトカインによるトランスフェクション、T細胞アネルギーを軽減するためのアプローチ、サイトカインによりトランスフェクトされた樹状細胞などのトランスフェクトされた免疫細胞を用いるアプローチ、サイトカインによりトランスフェクトされた腫瘍細胞株を用いるアプローチ、および抗イディオタイプ抗体を用いるアプローチ。
【0100】
以下の表1からの医薬は、これらに限るものではないが、式Iの化合物と好ましく組み合わされる。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【0101】
以下の略語は、それぞれ、以下の定義を指す:
aq(水溶液)、h(時間)、g(グラム)、L(リットル)、mg(ミリグラム)、MHz(メガヘルツ)、min.(分)、mm(ミリメートル)、mmol(ミリモル)、mM(ミリモル濃度)、m.p.(融点)、eq(当量)、mL(ミリリットル)、L(マイクロリットル)、ACN(アセトニトリル)、AcOH(酢酸)、CDCl
3(重水素化クロロホルム)、CD
3OD(重水素化メタノール)、CH
3CN(アセトニトリル)、c-hex(シクロヘキサン)、DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)、DCM(ジクロロメタン)、DIC(ジイソプロピルカルボジイミド)、DIEA(ジイソプロピルエチル−アミン)、DMF(ジメチルホルムアミド)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、DMSO−d
6(重水素化ジメチルスルホキシド)、EDC(1−(3−ジメチル−アミノ−プロピル)−3−エチルカルボジイミド)、ESI(エレクトロスプレーイオン化)、EtOAc(酢酸エチル)、Et
2O(ジエチルエーテル)、EtOH(エタノール)、HATU(ジメチルアミノ−([1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−3−イルオキシ)−メチレン]−ジメチル−アンモニウムヘキサフルオロホスファート)、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)、i−PrOH(2−プロパノール)、K
2CO
3(炭酸カリウム)、LC(液体クロマトグラフィー)、MeOH(メタノール)、MgSO
4(硫酸マグネシウム)、MS(質量分析)、MTBE(メチルtert−ブチルエーテル)、NaHCO
3(炭酸水素ナトリウム)、NaBH
4(水素化ホウ素ナトリウム)、NMM(N−メチルモルホリン)、NMR(核磁気共鳴)、PyBOP(ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスファート)、RT(室温)、Rt(保持時間)、SPE(固相抽出)、TBTU(2−(1−H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート)、TEA(トリエチルアミン)、TFA(トリフルオロ酢酸)、THF(テトラヒドロフラン)、TLC(薄層クロマトグラフィー)、UV(紫外光)。
【0102】
in vitroアッセイの説明
略語:
GST=グルタチオン−S−トランスフェラーゼ
FRET=蛍光共鳴エネルギー移動
HTRF(登録商標)=(均一時間分解蛍光)
HEPES=4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸バッファー
DTT=ジチオトレイトール
BSA=ウシ血清アルブミン
CHAPS=洗剤;
CHAPS=3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホン酸
ストレプトアビジン−XLent(登録商標)は、幾つかのアッセイ(とくに、高感度を必要とするもの)のための性能が増強されたコンジュゲートを生じるようにカップリング条件が最適化されている、ハイグレードのストレプトアビジン−XL665コンジュゲートである。
【0103】
タンキラーゼ1および2の生化学的活性試験:自己PARシレーション(Autoparsylation)アッセイ
自己PARシレーションアッセイは、2つのステップにおいて実行される:それぞれ、GSTタグ付けされたタンキラーゼ−1、タンキラーゼ−2が、共基質としてのビオチン化されたNADから、ビオチン化されたADP−リボースを自身にトランスファーする酵素反応、ならびに、酵素のGSTタグに結合したクリプテート標識抗GSTと、ビオチン−PARシレーション残基に結合したXlent(登録商標)標識ストレプトアビジンとの間の時間分解FRETが分析される検出反応。自己PARシレーション活性は、HTRFシグナルの増大を介して直接的に検出可能であった。
【0104】
自己PARシレーションアッセイは、384ウェルのHTRF(登録商標)(Cisbio, Codolet, France)アッセイフォーマットとして、Greiner low volume nbの384ウェルのマイクロタイタープレートで行い、ハイスループットスクリーニングのために用いる。それぞれ、250nMのGSTタグされたタンキラーゼ−1(1023〜1327aa)、約250nMのGSTタグされたタンキラーゼ−2(873〜1166aa)および共基質として5μMのbio-NAD(Biolog, Life science Inst., Bremen, Germany)を、5μlの合計容積(50mMのHEPES、4mMの塩化Mg、0.05%のPluronic F-68、1.4mMのDTT、0.5%のDMSO、pH7.7)中で、試験化合物(10希釈濃度)の存在下において、90分間、30℃でインキュベートする。1μlの50mMのEDTA溶液の添加により反応を停止させる。2μlの検出溶液(50mMのHEPES、800mMのKF、0.1%のBSA、20mMのEDTA、0.1%のCHAPS、pH7.0中の、1.6μMのSA-Xlent(登録商標)(Cisbio, Codolet, France)、7.4nMの抗GST-K(登録商標)(Eu標識抗GST、Cisbio, Codolet, France))を添加する。1時間の室温でのインキュベーションの後で、Envisionマルチモードリーダー(Perkin Elmer LAS Germany GmbH)を用いて、励起波長340nm(レーザーモード)ならびに発光波長615nmおよび665nmにおいて、HTRFを測定する。発光シグナルの比を決定する。用いる完全な値が、阻害剤フリーの反応である。用いる薬理学的なゼロ値は、5μMの最終濃度におけるXAV-939(Tocris)である。GeneDataからのいずれかのプログラムSymyx Assay Explorer(登録商標)またはCondosseo(登録商標)を用いて、阻害値(IC50)を決定する。
【0105】
細胞によるタンキラーゼの阻害の測定
タンキラーゼは、細胞のAxin2のレベルを調節することが示されている(Huangら、2009;Nature)ので、Axin2レベルの増大を、Luminexベースのアッセイにおける細胞によるタンキラーゼの阻害の決定のための読み出し値として用いる。
【0106】
大腸癌細胞株DLD1の細胞を、96ウェルプレート中に、ウェルあたり1.5×10
4細胞で播種する。翌日、細胞を、7ステップにおける試験化合物の連続希釈物で、3複製として、0.3%の最終DMSO濃度で処理する。24時間後、溶解バッファー(20mMのトリス/HCl(pH8.0)、150mMのNaCl、1%のNP40、10%のグリセロール)中で細胞を溶解し、96ウェルフィルタープレート(0.65μm)を通しての遠心分離によりライセートを清澄化する。蛍光カルボキシビーズ(carboxybead)に結合しているモノクローナル抗Axin2抗体(R&D Systems #MAB6078)とのインキュベーションにより、Axin2タンパク質を細胞ライセートから単離する。次いで、ポリクローナル抗Axin2抗体(Cell Signaling #2151)および適切なPE−蛍光二次抗体により、結合しているAxin2を特異的に検出する。単離されるAxin2タンパク質の量は、Luminex
200マシン(Luminex Corporation)において、製造者の指示に従って、ウェルあたり100回のイベントを計数することにより、検出する。試験化合物によるタンキラーゼの阻害は、より高レベルのAxin2をもたらし、このことは、検出可能な蛍光の増大と直接的に相関する。対照として、細胞を、溶媒単独(中性対照)、およびAxin2の最大の増大についての対照として参照されるタンキラーゼ参照阻害剤IWR-2(3E-06 M)により処理する。分析のために、得られるデータを、未処理の溶媒対照に対して正規化し、Assay Explorerソフトウェア(Accelrys)を用いて、EC
50値の決定のためにフィットさせる。
【0107】
PARP1アッセイの説明
PARP-1の生化学的活性試験:自己PARシレーションアッセイ
自己PARシレーションアッセイは、2つのステップにおいて実行される:HisタグされたParp-1が、共基質としてビオチン化されたNAD/NADから、ビオチン化されたADP−リボース/ADP−リボースを、自身にトランスファーする酵素反応、ならびに、酵素のHisタグに結合したクリプテート標識抗His抗体と、ビオチン−PARシレーション残基に結合したXlent(登録商標)標識ストレプトアビジンとの間の時間分解FRETが分析される検出反応。
【0108】
自己PARシレーションアッセイは、384ウェルのHTRF(登録商標)(Cisbio, Codolet, France)アッセイフォーマットとして、Greiner low volume nbの384ウェルのマイクロタイタープレートで行う。35nMのHisタグされたParp-1(ヒト、組換え、Enzo Life Sciences GmbH, Loerrach, Germany)および、共基質として125nMのbio-NAD(Biolog, Life science Inst., Bremen, Germany)と800nMのNADとの混合物を、6μlの合計容積(100mMのトリス/HCl、4mMの塩化Mg、0.01%のIGEPAL(登録商標)CA630、1mMのDTT、0.5%のDMSO、pH8、13ng/μlの活性化DNA(BPS Bioscience, San Diego, US))において、試験化合物(10希釈濃度)の存在下において、150分間、23℃でインキュベートする。4μlの停止/検出溶液(50mMのHEPES、400mMのKF、0.1%のBSA、20mMのEDTA、pH7.0中の、70nMのSA-Xlent(登録商標)(Cisbio, Codolet, France)、2.5nMの抗His-K(登録商標)(Eu標識抗His、Cisbio, Codolet, France))の添加により、反応を停止させる。室温での1時間のインキュベーションの後で、Envisionマルチモードリーダー(Perkin Elmer LAS Germany GmbH)により、励起波長340nm(レーザーモード)ならびに発光波長615nmおよび665nmにおいて、HTRFを測定する。発光シグナルの比を決定する。用いる完全な値が、阻害剤フリーの反応である。用いる薬理学的なゼロ値は、1μMの最終濃度におけるOlaparib (LClabs, Woburn, US)である。GeneDataからのいずれかのプログラムSymyx Assay Explorer(登録商標)またはCondosseo(登録商標)を用いて、阻害値(IC50)を決定する。
【0109】
TNKS1およびTNKS2のELISAアッセイの説明
TNKS1および2の生化学的活性試験:活性ELISA(自己PARシレーションアッセイ)
TNKS1および2の自己PARシレーション活性の分析のために、活性ELISAを行う:第1のステップにおいて、GSTタグされたTNKSを、グルタチオンコートされたプレート上に捕捉する。次いで、化合物の存在/不在下において、ビオチン化NADによる活性アッセイを行う。酵素反応の間に、GSTタグされたTNKSが、共基質としてのビオチン化NADから、ビオチン化ADP−リボースを、自身にトランスファーする。検出のために、ビオチン化TNKSに結合するストレプトアビジン−HRPコンジュゲートを添加し、それにより、プレートに捕捉させる。それぞれのビオチン化された自己PARシレーションされたTNKSの量を、HRPについての発光基質により検出する。発光シグナルのレベルは、自己PARシレーションされたTNKSの量に直接的に相関し、したがって、TNKSの活性に直接的に相関する。
【0110】
活性ELISAは、384ウェルグルタチオンコートされたマイクロタイタープレート(Express capture グルタチオンコートされたプレート, Biocat, Heidelberg, Germany)で行う。プレートを、PBSで予め平衡化する。次いで、プレートを、それぞれ、50μlの20ng/ウェルのGSTタグされたTnks-1(1023−1327aa、インハウスで調製される)、GSTタグされたTnks-2(873〜1166aa、インハウスで調製される)と共に、アッセイバッファー(50mMのHEPES、4mMの塩化Mg、0.05%のPluronic F-68、2mMのDTT、pH7.7)中で、一晩4℃でインキュベートする。プレートを、PBS-Tween-20で3回洗浄する。50μlのブロッキングバッファー(PBS、0.05%のTween-20、0.5%のBSA)と共に室温で20分間インキュベートすることにより、ウェルをブロッキングする。その後、プレートを、PBS-Tween-20で3回洗浄する。酵素反応は、50μlの反応溶液(50mMのHEPES、4mMの塩化Mg、0.05%のPluronic F-68、1.4mMのDTT、0.5%のDMSO、pH7.7)中で、共基質として10μMのbio-NAD(Biolog, Life science Inst., Bremen, Germany)と共に、試験化合物(10希釈濃度)の不在下または存在下において、1時間、30℃で行う。PBS-Tween-20による3回の洗浄により、反応を停止させる。検出のために、PBS/0.05%のTween-20/0.01%のBSA中の、50μlの20ng/μlのストレプトアビジン、HRPコンジュゲート(MoBiTec, Goettingen, Germany)を添加し、プレートを、30分間室温でインキュベートする。PBS-Tween-20で3回の洗浄した後で、50μlのSuperSignal ELISA Femto Maximum sensitivity基質溶液(ThermoFisherScientific (Pierce), Bonn, Germany)を添加する。1分間の室温でのインキュベーションの後で、Envisionマルチモードリーダー(Perkin Elmer LAS Germany GmbH)により、700nmにおいて、発光シグナルを測定する。用いる完全な値が、阻害剤フリーの反応である。用いる薬理学的なゼロ値は、5μMの最終濃度におけるXAV-939(Tocris)である。GeneDataからのいずれかのプログラムSymyx Assay Explorer(登録商標)またはCondosseo(登録商標)を用いて、阻害値(IC50)を決定する。
【0111】
上および下において、全て温度を℃で示す。以下の例において、「慣用的な操作」とは、以下を意味する:必要な場合は水を添加し、必要な場合は最終生成物の構成に依存してpHを2〜10の値に調製し、混合物を酢酸エチルまたはジクロロメタンで抽出し、相を分離し、有機相を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発させて、残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーおよび/または再結晶化により精製する。シリカゲル上でのRf値;溶離液:酢酸エチル/メタノール9:1。
【0112】
HPLC/MS条件A
カラム:Chromolith PerformanceROD RP-18e、100×3mm
2
勾配:A:B=99:1〜0:100、1.8分において
流速:2.0ml/分
溶離液A:水+0.05%のギ酸
溶離液B:アセトニトリル+0.04%のギ酸
波長:220nm
質量分析:ポジティブモード
【0113】
HPLC/MS条件B
カラム:Chromolith PerformanceROD RP-18e、100×3mm
2
勾配:A:B=99:1〜0:100、3.5分において
流速:2.0ml/分
溶離液A:水+0.05%のギ酸
溶離液B:アセトニトリル+0.04%のギ酸
波長:220nm
質量分析:ポジティブモード
【0114】
Bruker DPX-300、DRX-400またはAVII-400分光計において、重水素化された溶媒の残留シグナルを内部参照として用いて、
1H NMRを記録した。化学シフト(δ)を、残留溶媒シグナルに相対的にppmで報告する(DMSO-d
6中の
1H NMRについてδ=2.49ppm)。
1H NMRデータは、以下のとおり報告する:化学シフト(多重度、カップリング定数、および水素の数)。多重度は、以下のとおり略される:s(singlet)、d(doublet)、t(triplet)、q(quartet)、m(multiplet)、br(broad)。
マイクロ波化学は、Personal Chemistry製のシングルモードマイクロ波リアクターEmrysTM Optimiserにおいて行う。
【0115】
例1
3−(4−tert−ブチル−フェニル)−2H−[2,6]ナフチジリジン−1−オン(「A1」)の合成
【化4】
DMF(6ml)中の3−ブロモ−イソニコチン酸メチルエステル(648mg、3.00mmol)の溶液に、ビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)−クロリド(210mg、0.30mmol)、ヨウ化銅(I)(17.1mg、0.090mmol)、トリエチルアミン(1.25ml、9.00mmol)および1−tert−ブチル−4−エチニル−ベンゼン(570mg、3.60mmol)を添加する。生じる暗褐色溶液に窒素をフラッシュし、80℃まで加熱し、閉じた反応バイアル中でこの温度において3時間撹拌する。反応混合物を、室温まで冷却させ、真空中で容積を減少させる。残渣を、シリカゲルカラム上で、シクロヘキサン/酢酸エチルを溶離液として、クロマトグラフィーに供して、3−(4−tert−ブチル−フェニルエチニル)−イソニコチン酸メチルエステルを、褐色のオイルとして得る;HPLC/MS 2.28分(A)、[M+H]294。
【0116】
3−(4−tert−ブチル−フェニルエチニル)−イソニコチン酸メチルエステル(786mg、2.68mmol)とポリリン酸(10g)との混合物を、80℃まで加熱し、この温度において3日間撹拌する。反応混合物を、室温まで冷却させ、水を添加する。生じる沈澱を濾過除去し、水で洗浄し、真空下で乾燥させて、3−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラノ[4,3−c]ピリジン−1−オンを、オリーヴグリーンの粉末として得る;HPLC/MS 2.16分(A)、[M+H]280;
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ = 9.08 (s, 1H), 8.76 (d, J=5.2, 1H), 8.00 (d, J=5.1, 1H), 7.86 (d, J=8.6, 2H), 7.58 (d, J=8.6, 2H), 7.55 (s, 1H), 1.33 (s, 9H)。
【0117】
DMF(2ml)中の3−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラノ[4,3−c]ピリジン−1−オン(556mg、1.99mmol)の懸濁液に、アンモニア水(25重量%、2ml)を添加し、混合物を80℃で44時間撹拌する。反応混合物を水で希釈する。生じる沈澱を濾過除去し、水で洗浄し、真空下で乾燥させて、3−(4−tert−ブチル−フェニル)−2H−[2,6]ナフチジリジン−1−オンと、3−(4−tert−ブチル−フェニル)−3−ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−2H−[2,6]ナフチジリジン−1−オンとの混合物を得る。ジクロロメタン(4ml)中のこの材料の懸濁液に、ギ酸(0.5ml)を添加し、生じる溶液を2時間室温で撹拌する。次いで、飽和炭酸水素ナトリウム溶液を添加する。生じる沈澱を濾過除去し、水で洗浄し、真空下で乾燥させて、3−(4−tert−ブチル−フェニル)−2H−[2,6]ナフチジリジン−1−オンを、オフホワイトの粉末として得る;HPLC/MS 1.88分(A)、[M+H]279。
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ = 11.83 (s, 1H), 9.09 (s, 1H), 8.59 (d, J=5.3, 1H), 7.98 (d, J=5.3, 1H), 7.76 (d, J=8.5, 2H), 7.53 (d, J=8.5, 2H), 7.00 (s, 1H), 1.33 (s, 9H)。
【0118】
例2
4−(1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−3−イル)−安息香酸メチルエステル(「A2」)および3−[4−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−フェニル]−2H−イソキノリン−1−オン(「A3」)の合成
【化5】
DMF(10ml)中の2−ヨード−安息香酸メチルエステル(1.31g、5.00mmol)の溶液に、ビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)−クロリド(351mg、0.50mmol)、ヨウ化銅(I)(28.5mg、0.15mmol)、トリエチルアミン(2.08ml、15.0mmol)および1−ブロモ−4−エチニル−ベンゼン(905mg、5.00mmol)を添加する。生じる暗褐色溶液に窒素をフラッシュし、80℃まで加熱し、閉じた反応バイアル中でこの温度において16時間撹拌する。反応混合物を、室温まで冷却させ、水とジクロロメタンとの間で分割する。有機相を1NのHClで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下において蒸発させる。残渣を、シリカゲルカラム上で、シクロヘキサン/酢酸エチルを溶離液として、クロマトグラフィーに供して、2−(4−ブロモ−フェニルエチニル)−安息香酸メチルエステルを、褐色のオイルとして得る;HPLC/MS 3.46分(B)、[M+H]315/317。
【0119】
2−(4−ブロモ−フェニルエチニル)−安息香酸メチルエステル(1.24g、3.95mmol)とポリリン酸(16g)との混合物を、80℃まで加熱し、この温度において20時間撹拌する。反応混合物を、室温まで冷却させ、水を添加する。生じる沈澱を濾過除去し、水で洗浄し、真空下で乾燥させて、3−(4−ブロモ−フェニル)−イソクロメン−1−オンを、褐色粉末として得る;HPLC/MS 2.18分(A)、[M+H]301/303。
【0120】
DMF(7ml)中の3−(4−ブロモ−フェニル)−イソクロメン−1−オン(1.05g、3.50mmol)の懸濁液に、アンモニア水(25重量%、7ml)を添加し、混合物を80℃で3日間、撹拌する。反応混合物を水で希釈する。生じる沈澱を濾過除去し、水で洗浄し、真空下で乾燥させて、3−(4−ブロモ−フェニル)−2H−イソキノリン−1−オンを、褐色粉末として得る;HPLC/MS 1.96分(A)、[M+H]300/302;
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ = 11.53 (s, 1H), 8.21 (d, J=7.7, 1H), 7.72 (m, 6H), 7.50 (ddd, J=8.2, 5.4, 2.9, 1H), 6.95 (s, 1H)。
【0121】
オートクレーブにて、メタノール(10ml)およびトルエン(10ml)中の3−(4−ブロモ−フェニル)−2H−イソキノリン−1−オン(942mg、3.14mmol)およびトリエチルアミン(0.70ml、5.04mmol)の溶液に、窒素をフラッシュする。(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン)ジクロロパラジウム(II)(77mg、0.09mmol)および1,1−ビス−(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン(70mg、0.13mmol)を添加する。次いで、オートクレーブに一酸化炭素を充填し、100℃まで加熱する。オートクレーブを、16時間、2〜3バールの一酸化炭素圧で、この温度に保持する。オートクレーブを、大気圧にして、反応混合物を室温まで冷却させる。沈澱が形成され、これを濾過除去し、メタノールで洗浄し、真空下で乾燥させて、4−(1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−3−イル)−安息香酸メチルエステルを、オフホワイトの針状晶として得る; HPLC/MS 2.47分(B)、[M+H]280;
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ = 11.61 (s, 1H), 8.22 (d, J=7.9, 1H), 8.05 (d, J=8.4, 2H), 7.95 m, 2H), 7.75 (d, J=3.8, 2H), 7.53 (m, 1H), 7.06 (s, 1H), 3.89 (s, 3H)。
【0122】
4−(7−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−3−イル)−安息香酸メチルエステル(「A4」)を、同様に調製する:
HPLC/MS 1.84分(A)、[M+H]298;
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ = 11.75 (s, 1H), 8.05 (d, J=8.6, 2H), 7.94 (d, J=8.6, 2H), 7.86 (m, 2H), 7.65 (td, J=8.7, 2.8, 1H), 7.10 (s, 1H), 3.89 (s, 3H)。
【0123】
THF(7ml)中の4−(1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−3−イル)−安息香酸メチルエステル(494mg、1.77mmol)の懸濁液に、塩化セリウム(III)(481mg、1.95mmol)を添加する。混合物を室温で1時間撹拌する。次いで、メチル塩化マグネシウム(THF中20%の溶液、2.70ml、7.44mmol)を添加し、反応混合物を室温でさらに1時間撹拌する。注意深く、反応混合物に水を添加する。混合物を、セライトのパッドを通して濾過し、水とジクロロメタンとの間で分割する。有機相を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発させる。残渣をtert−ブチルメチルエーテルで練和して、3−[4−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−フェニル]−2H−イソキノリン−1−オンを、明黄色の粉末として得る;HPLC/MS 1.66分(A)、[M+H]280;
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ = 11.46 (s, 1H), 8.20 (dd, J=7.8, 0.6, 1H), 7.72 (m, 4H), 7.58 (d, J=8.6, 2H), 7.48 (ddd, J=8.2, 5.2, 3.1, 1H), 6.90 (s, 1H), 5.11 (s, 1H), 1.46 (s, 6H)。
【0124】
以下の化合物を、同様に調製する:
6−フルオロ−3−[4−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−フェニル]−2H−イソキノリン−1−オン(「A5」)
【化6】
HPLC/MS 1.72分(A)、[M+H]298;
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ = 11.51 (s, 1H), 8.25 (dd, J=8.9, 6.0, 1H), 7.72 (d, J=8.5, 2H), 7.58 (d, J=8.5, 2H), 7.50 (dd, J=10.0, 2.5, 1H), 7.30 (td, J=8.8, 2.6, 1H), 6.88 (s, 1H), 5.10 (s, 1H), 1.46 (s, 6H);
【0125】
7−フルオロ−3−[4−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−フェニル]−2H−イソキノリン−1−オン(「A6」)
HPLC/MS 1.71分(A)、[M+H]298;
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ = 11.58 (s, 1H), 7.85 (dd, J=9.5, 2.8, 1H), 7.80 (dd, J=8.8, 5.3, 1H), 7.72 (d, J=8.5, 2H), 7.62 (m, 1H), 7.57 (d, J=8.5, 2H), 6.95 (s, 1H), 5.08 (s, 1H), 1.46 (s, 6H);
3−[4−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−フェニル]−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン(「A7」)
HPLC/MS 1.76分(A)、[M+H]294;
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ = 11.35 (s, 1H), 8.01 (s, 1H), 7.72 (d, J=8.5, 2H), 7.56 (m, 4H), 6.86 (s, 1H), 5.08 (s, 1H), 2.45 (s, 3H), 1.46 (s, 6H);
【0126】
3−[4−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)フェニル]−2H−2,6−ナフチジリジン−1−オン(「A23」)
【化7】
HPLC/MS 1.42分(A)、[M+H]281;
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ = 11.83 (s, 1H), 9.10 (s, 1H), 8.61 (d, J=5.3, 1H), 8.00 (d, J=5.3, 1H), 7.75 (m, 2H), 7.60 (m, 2H), 7.02 (s, 1H), 5.11 (s, 1H), 1.47 (s, 6H);
【0127】
3−[4−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)フェニル]−2H−2,7−ナフチジリジン−1−オン(「A24」)
【化8】
HPLC/MS 1.27分(A)、[M+H]281;
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ = 11.78 (s, 1H), 9.31 (s, 1H), 8.69 (d, J=5.5, 1H), 7.75 (m, 2H), 7.60 (m, 3H), 6.89 (s, 1H), 5.12 (s, 1H), 1.46 (s, 6H);
【0128】
7−クロロ−3−[4−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)フェニル]−2H−イソキノリン−1−オン(「A25」)
【化9】
HPLC/MS 1.83分(A)、[M+H]314;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ [ppm] 11.65 (s, 1H), 8.13 (s, 1H), 7.80− 7.69 (m, 4H), 7.62 − 7.54 (m, 2H), 6.94 (s, 1H), 5.11 (s, 1H), 1.46 (s, 6H);
【0129】
3−[4−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)フェニル]−5−メトキシ−2H−イソキノリン−1−オン(「A26」)
【化10】
【0130】
8−フルオロ−3−[4−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)フェニル]−2H−イソキノリン−1−オン(「A27」)
【化11】
HPLC/MS 1.67分(A)、[M+H]298;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ [ppm] 11.42 (s, 1H), 7.82 − 7.70 (m, 2H), 7.67 (td, J = 8.0, 4.9 Hz, 1H), 7.62 − 7.53 (m, 2H), 7.50 (dd, J = 8.1, 1.0 Hz, 1H), 7.16 (ddd, J = 11.9, 8.0, 1.1 Hz, 1H), 6.90 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 5.10 (s, 1H), 1.46 (s, 6H);
【0131】
5−フルオロ−3−[4−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)フェニル]−2H−イソキノリン−1−オン(「A28」)
【化12】
HPLC/MS 1.75分(A)、[M+H]298;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ [ppm] 11.69 (s, 1H), 8.04 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.80 − 7.72 (m, 2H), 7.64 − 7.54 (m, 3H), 7.48 (td, J = 8.0, 5.3 Hz, 1H), 6.84 (s, 1H), 5.12 (s, 1H), 1.46 (s, 6H);
【0132】
5,7−ジフルオロ−3−[4−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−フェニル]−2H−イソキノリン−1−オン(「A33」)
【化13】
HPLC/MS 1.82分(A)、[M+H]316;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.82 (s, 1H), 7.80 − 7.68 (m, 4H), 7.63 − 7.54 (m, 2H), 6.83 (s, 1H), 5.12 (s, 1H), 1.46 (s, 6H)。
【0133】
例3
3−(4−ヒドロキシメチル−フェニル)−2H−イソキノリン−1−オン(「A8」)の合成
【化14】
窒素下において、水素化アルミニウムリチウム(22.8mg、0.60mmol)を、THF(3ml)中の4−(1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−3−イル)−安息香酸メチルエステル(83.8mg、0.301mmol)(調製については、先の例を参照)の懸濁液に添加する。反応混合物を、環境温度で16時間撹拌する。反応混合物に、数滴のメタノール、および次いでHCl(2N水溶液、0.5ml)を、ゆっくりと添加する。それを次いで、セライトのパッド上で濾過する。濾過物を蒸発させて、残渣をtert−ブチルメチルエーテルで練和して、3−(4−ヒドロキシメチル−フェニル)−2H−イソキノリン−1−オンを、褐色粉末として得る;HPLC/MS 1.55分(A)、[M+H]252;
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ = 11.49 (s, 1H), 8.20 (dd, J=7.8, 0.6, 1H), 7.76 (d, J=8.3, 2H), 7.71 (m, 2H), 7.48 (ddd, J=8.2, 4.8, 3.6, 1H), 7.43 (d, J=8.4, 2H), 6.91 (s, 1H), 5.25 (s, 1H), 4.56 (s, 2H)。
【0134】
例4
7−フルオロ−3−p−トリル−2H−イソキノリン−1−オン(「A9」)の合成
【化15】
DMF(4ml)中の2−ブロモ−5−フルオロ−安息香酸メチルエステル(466mg、2.00mmol)の溶液に、ビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)−クロリド(104mg、0.20mmol)、ヨウ化銅(I)(11.4mg、0.060mmol)、トリエチルアミン(0.83ml、6.00mmol)および1−エチニル−4−メチル−ベンゼン(279mg、2.40mmol)を添加する。生じる暗褐色溶液に窒素をフラッシュし、80℃まで加熱し、閉じた反応バイアル中でこの温度において16時間撹拌する。反応混合物を、室温まで冷却させ、水とジクロロメタンとの間で分割する。有機相を1NのHClで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下において蒸発させる。残渣を、シリカゲルカラム上で、シクロヘキサン/酢酸エチルを溶離液として、クロマトグラフィーに供して、5−フルオロ−2−p−トリルエチニル−安息香酸メチルエステルを褐色のオイルとして得る;HPLC/MS 2.29分(A)、[M+H]269。
【0135】
5−フルオロ−2−p−トリルエチニル−安息香酸メチルエステル(359mg、1.34mmol)とポリリン酸(4g)との混合物を、80℃まで加熱し、この温度において20時間撹拌する。反応混合物を、室温まで冷却させ、水を添加する。混合物を、水とジクロロメタンとの間で分割する。有機相を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発させる。残渣を、シリカゲルカラム上で、シクロヘキサン/ジクロロメタンを溶離液として、クロマトグラフィーに供して、7−フルオロ−3−p−トリル−イソクロメン−1−オンをオフホワイトの固体として得る;HPLC/MS 2.16分(A)、[M+H]255。
【0136】
DMF(1.5ml)中の7−フルオロ−3−p−トリル−イソクロメン−1−オン(200mg、0.79mmol)の懸濁液に、アンモニア水(25重量%、1.5ml)を添加し、混合物を80℃で3日間撹拌する。反応混合物を水で希釈する。生じる沈澱を濾過除去し、水で洗浄し、真空下で乾燥させて、7−フルオロ−3−p−トリル−2H−イソキノリン−1−オンと7−フルオロ−3−ヒドロキシ−3−p−トリル−3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−オンとの混合物を得る。ジクロロメタン(2ml)中のこの材料の懸濁液に、ギ酸(100μl)を添加し、生じる溶液を8時間室温で撹拌する。溶液を乾燥するまで蒸発させて、7−フルオロ−3−p−トリル−2H−イソキノリン−1−オンを、白色固体として得る;HPLC/MS 1.92分(A)、[M+H]254;
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ = 11.60 (s, 1H), 7.85 (dd, J=9.5, 2.8, 1H), 7.80 (dd, J=8.8, 5.3, 1H), 7.68 (d, J=8.2, 2H), 7.62 (td, J=8.7, 2.8, 1H), 7.30 (d, J=8.0, 2H), 6.94 (s, 1H), 2.37 (s, 3H)。
【0137】
以下の化合物を、同様に調製する:
6−フルオロ−3−p−トリル−2H−イソキノリン−1−オン(「A10」)
HPLC/MS 1.93分(A)、[M+H]254;
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ = 11.51 (s, 1H), 8.24 (dd, J=8.9, 6.0, 1H), 7.68 (d, J=8.2, 2H), 7.49 (dd, J=10.0, 2.5, 1H), 7.30 (m, 3H), 6.87 (s, 1H), 2.37 (s, 3H);
8−フルオロ−3−p−トリル−2H−イソキノリン−1−オン(「A11」)
HPLC/MS 1.87分(A)、[M+H]254;
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ = 11.40 (s, 1H), 7.67 (m, 3H), 7.49 (d, J=7.3, 1H), 7.30 (d, J=8.0, 2H), 7.16 (ddd, J=12.0, 8.0, 1.0, 1H), 6.88 (d, J=2.3, 1H), 2.37 (s, 3H);
5−フルオロ−3−p−トリル−2H−イソキノリン−1−オン(「A12」)
HPLC/MS 1.98分(A)、[M+H]254;
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ = 11.66 (s, 1H), 8.03 (d, J=7.9, 1H), 7.72 (d, J=8.2, 2H), 7.58 (ddd, J=10.3, 8.0, 1.1, 1H), 7.47 (td, J=8.0, 5.3, 1H), 7.31 (d, J=7.9, 2H), 6.82 (s, 1H), 2.37 (s, 3H);
【0138】
5−メチル−3−(p−トリル)−2H−イソキノリン−1−オン(「A29」)
【化16】
HPLC/MS 1.98分(A)、[M+H]250;
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ = 11.47 (s, 1H), 8.07 (ddt, J=8.0, 1.5, 0.7, 1H), 7.72 (m, 2H), 7.55 (ddd, J = 7.2, 1.4, 0.9, 1H), 7.35 (dd, J = 8.0, 7.2, 1H), 7.31 (m, 2H), 6.82 (s, 1H), 2.55 (s, 3H), 2.37 (s, 3H);
【0139】
3−(p−トリル)−5−(トリフルオロメチル)−2H−イソキノリン−1−オン(「A30」)
【化17】
HPLC/MS 2.11分(A)、[M+H]304;
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ = 11.92 (s, 1H), 8.51 (d, J=8.0, 1H), 8.13 (d, J=7.1, 1H), 7.64 (m, 3H), 7.34 (d, J=7.9, 2H), 6.72 (m, 1H), 2.38 (s, 3H)。
【0140】
例5
3−[4−(1−フルオロ−1−メチル−エチル)−フェニル]−2H−イソキノリン−1−オン(「A13」)の合成
【化18】
ジクロロメタン(0.5ml)中の3−[4−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−フェニル]−2H−イソキノリン−1−オン(55.8mg、0.20mmol)の懸濁液を、−78℃まで冷却する。ジエチルアミノ硫化三フッ化物(sulfurtrifluoride)(105μl、0.80mmol)を添加する。反応混合物を、30分以内に室温まで到達させる(透明な溶液の形成)。反応混合物を蒸発させ、残渣を水および飽和炭酸水素ナトリウム溶液で処理する。固体を濾過除去し、シリカゲルカラム上で、シクロヘキサン/酢酸エチルを溶離液として用いて、クロマトグラフィーに供し、3−[4−(1−フルオロ−1−メチル−エチル)−フェニル]−2H−イソキノリン−1−オンを、微細な白色粉末として得る;HPLC/MS 1.94分(A)、[M+H]282;
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ = 11.49 (s, 1H), 8.22 (d, J=8.1, 1H), 7.83 (d, J=8.2, 2H), 7.73 (m 2H), 7.54 (d, J=8.4, 2H), 7.50 (ddd, J=8.2, 5.0, 3.3, 1H), 6.94 (s, 1H), 1.70 (d, J=22.2, 6H)。
【0141】
例6
3−[4−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−2H−[2,7]ナフチジリジン−1−オン(「A14」)の合成
【化19】
DMF(20ml)中の4−ブロモ−ニコチノニトリル(1.10g、6.00mmol)の溶液に、ビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)−クロリド(211mg、0.30mmol)、ヨウ化銅(I)(34mg、0.18mmol)、トリエチルアミン(1.66ml、12.0mmol)および1−ブロモ−4−エチニル−ベンゼン(1.19g、6.6mmol)を添加する。混合物に窒素をフラッシュし、80℃まで加熱し、閉じた反応バイアル中でこの温度で4時間撹拌する。反応混合物を、室温まで冷却させ、水とジクロロメタンとの間で分割する。有機相を1NのHClで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で蒸発させる。残渣を、シリカゲルカラム上で、シクロヘキサン/酢酸エチルを溶離液として、クロマトグラフィーに供して、4−(4−ブロモ−フェニルエチニル)−ニコチノニトリルを、明黄色粉末として得る;HPLC/MS 2.09分(B)、[M+H]283/285。
【0142】
4−(4−ブロモ−フェニルエチニル)−ニコチノニトリル(546mg、1.93mmol)とポリリン酸(8g)との混合物を、80℃まで加熱し、この温度で20時間撹拌する。反応混合物を、室温まで冷却させ、水を添加する。生じる沈澱を濾過除去し、水で洗浄し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で練和する。固体を濾過除去し、水で洗浄し、真空下で乾燥させて、3−(4−ブロモ−フェニル)−ピラノ[3,4−c]ピリジン−1−オンを、ライトベージュの固体として得る;HPLC/MS 1.92分(A)、[M+H]302/304。
【0143】
DMF(3ml)中の3−(4−ブロモ−フェニル)−ピラノ[3,4−c]ピリジン−1−オン(378mg、1.25mmol)の懸濁液に、アンモニア水(25重量%、3ml)を添加し、混合物を80℃で20時間撹拌する。反応混合物を水で希釈する。生じる沈澱を濾過除去し、水で洗浄し、真空下で乾燥させて、3−(4−ブロモ−フェニル)−2H−[2,7]ナフチジリジン−1−オンを、黄色固体として得る;HPLC/MS 1.48分(A)、[M+H]301/303。
【0144】
DMF(1ml)および水(0.25ml)中の3−(4−ブロモ−フェニル)−2H−[2,7]ナフチジリジン−1−オン(63.2mg、0.210mmol)、1−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール(65.5mg、0.32mmol)および炭酸水素ナトリウム(21.2mg、0.25mmol)の懸濁液に窒素をフラッシュし、40℃まで加熱する。次いで、ビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)−クロリド(3.0mg、0.004mmol)を添加する。反応混合物を80℃まで加熱し、この温度で20時間撹拌する。混合物を、室温まで冷却させ、過剰の水を添加する。生じる沈澱を濾過除去し、水で洗浄し、真空下で乾燥させて、3−[4−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−2H−[2,7]ナフチジリジン−1−オンをオリーヴグリーンの固体として得る;HPLC/MS 1.33分(A)、[M+H]303;
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ = 11.80 (s, 1H), 9.31 (s, 1H), 8.69 (d, J=5.5, 1H), 8.26 (s, 1H), 7.98 (s, 1H), 7.82 (d, J=8.5, 2H), 7.72 (d, J=8.5, 2H), 7.59 (d, J=5.1, 1H), 6.94 (s, 1H), 3.89 (s, 3H)。
【0145】
例7
3−[4−(1−メトキシ−1−メチル−エチル)−フェニル]−2H−イソキノリン−1−オン(「15」)の合成
【化20】
メタノール(1ml)中の3−[4−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−フェニル]−2H−イソキノリン−1−オン(83.8mg、0.30mmol)の懸濁液に、トルエン−4−スルホン酸一水和物(5.2mg、0.030mmol)を添加する。反応混合物を5日間、環境温度で撹拌する。反応混合物(白色の懸濁液)を蒸発させて、残渣を、シリカゲルカラム上で、シクロヘキサン/酢酸エチルを溶離液として、クロマトグラフィーに供して、3−[4−(1−メトキシ−1−メチル−エチル)−フェニル]−2H−イソキノリン−1−オンを白色の結晶として得る;HPLC/MS 2.66分(B)、[M+H]294;
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ = 11.45 (s, 1H), 8.22 (dd, J=7.8, 0.7, 1H), 7.81 (d, J=8.6, 2H), 7.73 (m, 2H), 7.50 (m, 3H), 6.94 (s, 1H), 3.04 (s, 3H), 1.50 (s, 6H)。
【0146】
例8
7−フルオロ−3−{4−[1−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−1−メチル−エチル]−フェニル}−2H−イソキノリン−1−オン(「A16」)および7−フルオロ−3−(4−イソプロペニル−フェニル)−2H−イソキノリン−1−オン(「A17」)の合成
【化21】
【0147】
エタン−1,2−ジオール(0.9ml)中の7−フルオロ−3−[4−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−フェニル]−2H−イソキノリン−1−オン(29.7mg、0.10mmol)の懸濁液に、トルエン−4−スルホン酸一水和物(3.8mg、0.020mmol)を添加する。反応混合物を、11日間、環境温度で撹拌する。反応混合物を、水とジクロロメタンとの間で分割する。有機相を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発させる。残渣を、シリカゲルカラム上で、シクロヘキサン/酢酸エチルを溶離液として、クロマトグラフィーに供して、2つの生成物を得る:
7−フルオロ−3−{4−[1−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−1−メチル−エチル]−フェニル}−2H−イソキノリン−1−オンを、白色固体として;HPLC/MS 1.73分(A)、[M+H]342;
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ = 11.60 (s, 1H), 7.86 (dd, J=9.5, 2.8, 1H), 7.81 (dd, J=8.8, 5.4, 1H), 7.77 (d, J=8.4, 2H), 7.63 (td, J=8.7, 2.8, 1H), 7.55 (d, J=8.5, 2H), 6.98 (s, 1H), 4.56 (t, J=5.4, 1H), 3.50 (q, J=5.3, 2H), 3.19 (t, J=5.6, 2H), 1.50 (s, 6H)
および
7−フルオロ−3−(4−イソプロペニル−フェニル)−2H−イソキノリン−1−オンを、白色固体として;HPLC/MS 2.05分(A)、[M+H]280;
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ = 11.64 (s, 1H), 7.86 (dd, J=9.5, 2.8, 1H), 7.82 (dd, J=8.9, 5.4, 1H), 7.79 (d, J=8.5, 2H), 7.63 (m, 3H), 7.01 (s, 1H), 5.54 (s, 1H), 5.18 (m, 1H), 2.15 (s, 3H)。
【0148】
例9
7−フルオロ−3−[4−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−2H−イソキノリン−1−オン(「A18」)の合成
【化22】
DMF(1ml)および水(0.5ml)中の3−(4−ブロモ−フェニル)−7−フルオロ−2H−イソキノリン−1−オン(159mg、0.50mmol)、1−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール(114mg、0.55mmol)および炭酸水素ナトリウム(50.4mg、0.60mmol)の懸濁液に窒素をフラッシュし、40℃まで加熱する。次いで、ビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)−クロリド(7.0mg、0.01mmol)を添加する。反応混合物を80℃まで加熱し、この温度において20時間撹拌する。混合物を、室温まで冷却させ、過剰の水を添加する。生じる沈澱を濾過除去し、水で洗浄する。残渣を、シリカゲルカラム上で、メタノール/ジクロロメタンによるクロマトグラフィーに供し、7−フルオロ−3−[4−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−2H−イソキノリン−1−オンを、黄土色の固体として得る;HPLC/MS 2.43分(B)、[M+H]320;
1H NMR (500 MHz, DMSO) δ = 11.60 (s, 1H), 8.24 (s, 1H), 7.96 (d, J=0.4, 1H), 7.86 (dd, J=9.4, 2.8, 1H), 7.80 (m, 3H), 7.69 (d, J=8.5, 2H), 7.62 (td, J=8.7, 2.8, 1H), 7.00 (s, 1H), 3.88 (s, 3H)。
【0149】
例10
3−[4−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−2H−[2,6]ナフチジリジン−1−オン(「A19」)の合成
【化23】
DMF(10ml)中の3−ヨード−イソニコチノニトリル(911mg、3.96mmol)の溶液に、ビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)−クロリド(139mg、0.20mmol)、ヨウ化銅(I)(22.6mg、0.12mmol)、トリエチルアミン(1.10ml、7.9mmol)および1−ブロモ−4−エチニル−ベンゼン(716mg、3.96mmol)を添加する。混合物に窒素をフラッシュし、80℃まで加熱し、閉じた反応バイアル中でこの温度で18時間撹拌する。反応混合物を、室温まで冷却させ、ジクロロメタンと1NのHClとの間で分割する。有機相を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発させる。残渣を、シリカゲルカラム上で、シクロヘキサン/酢酸エチルを溶離液として、クロマトグラフィーに供して、3−(4−ブロモ−フェニルエチニル)−イソニコチノニトリルを、ベージュの固体として得る;HPLC/MS 2.13分(A)、[M+H]283/285。
【0150】
3−(4−ブロモ−フェニルエチニル)−イソニコチノニトリル(855mg、3.02mmol)とポリリン酸(8g)との混合物を、80℃まで加熱し、この温度で4日間撹拌する。反応混合物を、室温まで冷却させ、水を添加する。生じる沈澱を濾過除去し、水で洗浄し、真空下で乾燥させて、3−(4−ブロモ−フェニル)−ピラノ[4,3−c]ピリジン−1−オンを、灰色の固体として得る;HPLC/MS 1.98分(A)、[M+H]302/304。
【0151】
DMF(4ml)中の3−(4−ブロモ−フェニル)−ピラノ[4,3−c]ピリジン−1−オン(622mg、2.06mmol)の懸濁液に、アンモニア水(25重量%、4ml)を添加し、混合物を80℃で20時間撹拌する。反応混合物を水で希釈する。生じる沈澱を濾過除去し、水で洗浄し、真空下で乾燥させ、ジクロロメタン(4ml)中に懸濁する。トリフルオロ酢酸(400μl)を添加し、混合物を一晩室温で撹拌する。固体を濾過除去し、ジクロロメタンで洗浄する。残渣を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で練和する。固体を濾過除去し、水で洗浄し、真空下で乾燥させて、3−(4−ブロモ−フェニル)−2H−[2,6]ナフチジリジン−1−オンを、灰色の固体として得る;HPLC/MS 1.66分(A)、[M+H]301/303。
【0152】
DMF(0.5ml)および水(0.25ml)中の3−(4−ブロモ−フェニル)−2H−[2,6]ナフチジリジン−1−オン(55.0mg、0.18mmol)、1−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール(57mg、0.27mmol)および炭酸水素ナトリウム(18.4mg、0.22mmol)の懸濁液に窒素をフラッシュし、40℃まで加熱する。次いで、ビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)−クロリド(2.6mg、0.004mmol)を添加する。反応混合物を80℃まで加熱し、この温度で20時間撹拌する。混合物を、室温まで冷却させ、過剰の水を添加する。生じる沈澱を濾過除去し、水および2−プロパノールで洗浄し、真空下で乾燥させて、3−[4−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−2H−[2,6]ナフチジリジン−1−オンを、灰色の固体として得る;HPLC/MS 1.47分(A)、[M+H]303;
1H NMR (500 MHz, DMSO) δ = 11.84 (s, 1H), 9.11 (s, 1H), 8.61 (d, J=5.3, 1H), 8.26 (s, 1H), 8.00 (d, J=5.3, 1H), 7.97 (d, J=0.4, 1H), 7.81 (d, J=8.5, 2H), 7.71 (d, J=8.5, 2H), 7.07 (s, 1H), 3.89 (s, 3H)。
【0153】
例11
3−[4−(1−アミノ−1−メチル−エチル)フェニル]−7−フルオロ−2H−イソキノリン−1−オン(「A20」)の合成
【化24】
ジクロロメタン(1ml)中の7−フルオロ−3−[4−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−フェニル]−2H−イソキノリン−1−オン(149mg、0.50mmol)およびアジ化ナトリウム(71.5mg、1.10mmol)の懸濁液に、ジクロロメタン(0.5ml)中のトリフルオロ酢酸(316μl、4.1mmol)の溶液を、一滴ずつ、外部から氷冷しながら添加する。反応混合物を2時間室温で撹拌する。水および25%アンモニア水(0.5ml)を添加する。有機相を分離し、水相をジクロロメタンで抽出する。組み合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発させて、3−[4−(1−アジド−1−メチル−エチル)−フェニル]−7−フルオロ−2H−イソキノリン−1−オンを、白色の粉末として得る;HPLC/MS 2.07分(A)、[M+H]323。
【0154】
4mlのTHF中の3−[4−(1−アジド−1−メチル−エチル)−フェニル]−7−フルオロ−2H−イソキノリン−1−オン(141mg、0.44mmol)の溶液に、亜鉛末(143mg、2.19mmol)および酢酸(250μl、4.37mmol)を添加し、混合物を18時間室温で撹拌する。懸濁液をTHFで希釈し、少量の25%塩酸で酸性化して、透明な溶液を得る。さらなるTHFおよびメタノールを添加する。混合物を濾過し、濾過物を蒸発させる。残渣を水で練和し、固体を濾過除去し、水で洗浄し、真空下で乾燥させて、3−[4−(1−アミノ−1−メチル−エチル)−フェニル]−7−フルオロ−2H−イソキノリン−1−オン塩酸塩を白色の固体として得る;HPLC/MS 1.35分(A)、[M+H]297;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ [ppm] 11.70 (s, 1H), 8.79 (s, 3H), 7.91 − 7.78 (m, 4H), 7.73 − 7.68 (m, 2H), 7.64 (td, J = 8.7, 2.8 Hz, 1H), 7.04 (s, 1H), 1.68 (s, 6H)。
【0155】
例12
7−フルオロ−3−[4−(2−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)フェニル]−2H−イソキノリン−1−オン(「A21」)の合成
【化25】
M. McConville et al., Org. Biomol. Chem., 2010, 8, 5614 - 5619に従って調製した。
3−(4−ブロモ−フェニル)−7−フルオロ−2H−イソキノリン−1−オン(159mg、0.50mmol)、パラジウム(II)酢酸(5.6mg、0.03mmol)、1,3−ビス−(ジフェニルホスフィノ)−プロパン(21.3mg、0.05mmol)、4−ペンタン−1−オール(51.7mg、0.60mmol)およびジイソプロピルアンモニウム−テトラフルオロホウ酸(142mg、0.75mmol)を、反応バイアル中に計り入れる。1,4−ジオキサン(1ml)を添加し、反応バイアルに窒素をフラッシュする。生じる懸濁液を1分間撹拌し、トリエチルアミン(208μl、1.50mmol)を添加し、反応バイアルに窒素をフラッシュし、閉じる。反応混合物を一晩110℃で撹拌する。反応混合物を室温まで冷却させる。n−ヘプタン(1.5ml)およびテトラフルオロホウ酸(0.21ml、ジエチルエーテル(1.5mmol)中54%の溶液)を添加し、生じる二相性混合物を、室温で3時間勢いよく撹拌する。トリエチルアミン(69μl、0.5mmol)を添加し、反応混合物を、次いで、水とジクロロメタンとの間で分割する。有機相を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発させる。残渣を、シリカゲルカラム上で、シクロヘキサン/酢酸エチルを溶離液として、クロマトグラフィーに供して、7−フルオロ−3−[4−(2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−フェニル]−2H−イソキノリン−1−オンを、白色粉末として得る;HPLC/MS 2.78分。(B)、[M+H]324;
1H NMR (500 MHz, DMSO-d
6) δ [ppm] 11.58 (s, 1H), 7.85 (dd, J = 9.5, 2.8 Hz, 1H), 7.80 (dd, J = 8.8, 5.3 Hz, 1H), 7.77 − 7.71 (m, 2H), 7.62 (td, J = 8.7, 2.8 Hz, 1H), 7.53 − 7.46 (m, 2H), 6.95 (s, 1H), 3.94 (td, J = 7.8, 6.4 Hz, 1H), 3.83 (td, J = 8.0, 5.7 Hz, 1H), 2.11 (ddd, J = 12.0, 8.0, 5.7 Hz, 1H), 2.04 (dt, J = 11.9, 7.4 Hz, 1H), 1.97 (dtt, J = 15.4, 7.7, 5.6 Hz, 1H), 1.74 (dqd, J = 12.0, 7.6, 6.4 Hz, 1H), 1.46 (s, 3H)。
【0156】
例13
7−フルオロ−3−[4−(3−ヒドロキシオキセタン−3−イル)フェニル]−2H−イソキノリン−1−オン(「A22」)の合成
【化26】
【0157】
同様に、以下の化合物を調製する:
7−フルオロ−3−[4−(1−ヒドロキシシクロプロピル)フェニル]−2H−イソキノリン−1−オン(「A31」)
【化27】
【0158】
例14
7−クロロ−3−[4−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−2H−イソキノリン−1−オン(「A32」)の合成
【化28】
例6(最終ステップ)において記載されるように、反応を行う。
7−クロロ−3−[4−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−フェニル]−2H−イソキノリン−1−オンを、灰色の固体として得る;HPLC/MS 1.87分(A)、[M+H] 336;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ [ppm] 11.66 (s, 1H), 8.25 (s, 1H), 8.13 (s, 1H), 7.97 (s, 1H), 7.84 − 7.77 (m, 2H), 7.75 (m, 2H), 7.69 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 6.99 (s, 1H), 3.88 (s, 3H)。
【0159】
薬理学的データ
【表2-1】
【表2-2】
【0160】
【表3】
表3において示される化合物は、本発明による特に好ましい化合物である。
表1において示される化合物は、本発明による特に好ましい化合物である。
【0161】
以下の例は、医薬に関する:
例A:注射バイアル
3リットルの再蒸留水中の100gの式Iの活性成分および5gのリン酸一水素二ナトリウムの溶液を、2Nの塩酸を用いてpH6.5に調整し、無菌濾過し、注射バイアル中に移し、無菌条件下において凍結乾燥し、無菌条件下において密封する。各注射バイアルは、5mgの活性成分を含む。
例B:坐剤
20gの式Iの活性成分および100gの大豆レシチンおよび1400gのカカオバターの混合物を融解し、鋳型に注入し、冷却する。各坐剤は、20mgの活性成分を含む。
【0162】
例C:溶液
溶液は、940mlの再蒸留水中の1gの式Iの活性成分、9.38gのNaH
2PO
4・2H
2O、28.48gのNa
2HPO
4・12H
2Oおよび0.1gの塩化ベンザルコニウムから調製する。pHを6.8まで調整し、溶液を1リットルにして、照射により滅菌する。この溶液を点眼剤の形態において用いることができる。
例D:軟膏
500mgの式Iの活性成分を、99.5gのワセリンと、無菌条件下において混合する。
【0163】
例E:錠剤
1kgの式Iの活性成分、4kgの乳糖、1.2kgの馬鈴薯デンプン、0.2kgのタルクおよび0.1kgのステアリン酸マグネシウムの混合物を、従来の様式において、各錠剤が10mgの活性成分を含むように圧縮して、錠剤を得る。
例F:糖衣錠
錠剤を例Eと同様に圧縮して、その後、従来の様式において、ショ糖、馬鈴薯デンプン、タルク、トラガカントおよび色素のコーティングにより、被覆する。
【0164】
例G:カプセル
2kgの式Iの活性成分を、従来の様式において、各カプセルが20mgの活性成分を含むように、硬質ゼラチンカプセル中に導入する。
例H:アンプル
60リットルの再蒸留水中の1kgの式Iの活性成分の溶液を無菌濾過し、アンプル中に移し、無菌条件下において凍結乾燥し、無菌条件下において密封する。各アンプルは、10mgの活性成分を含む。