(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
2種以上の前記アクリロイル基及びメタアクリロイル基から選ばれる基、及びメソゲン基を含有する前記一般式(1)で表される化合物のみからなる混合物とした場合に、前記ケイ素化合物の含有量が、混合物全体で1重量ppm以上1000重量ppm以下である請求項1に記載の化合物。
請求項4に記載の重合性能を有する混合物、又は、請求項4に記載の混合物を有機溶剤に溶解した重合性能を有する重合性組成物を重合させることにより得られる位相差膜。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の最良の形態について説明するが、本発明において、『ケイ素化合物が低濃度で存在するメソゲン基を含有する化合物』とは、従来、メソゲン基を含有する化合物中には、濾過工程を経て製造されていることから、ケイ素化合物等のいわゆる不純物を含有しないものと解されるが、実際には、不純物を含有している場合においても(単体)化合物と規定されていることから、精製工程で混入するケイ素化合物を含有する場合においても、ケイ素化合物を含有する混合物とするのではなく、単にメソゲン基を含有する化合物と称する。また、以下において、重合性組成物を重合性液晶組成物と称することがあるが、該「液晶」とは、重合性液晶組成物を基材に塗布し、乾燥した後に、紫外線等の光照射、あるいは加熱によって重合処理を行った場合に、液晶性を示すことを意図する。
【0011】
本発明のメソゲン基を含有する化合物にはケイ素化合物が低濃度存在することを特徴とする。メソゲン基を含有する化合物に混入しているケイ素化合物の含有量は、蛍光X線分析装置、ICP発光分析装置で測定することができる。当該混入するケイ素化合物の含有量は、2種以上の前記メソゲン基を含有する化合物のみからなる混合物とした場合に、前記ケイ素の含有量が、混合物全体で0.7ppm重量%以上1000ppm重量%以下に管理するのが好ましく、次に、0.8ppm重量%以上500ppm重量%以下が好ましく、1ppm重量%以上200ppm重量%以下が更に好ましく、1ppm重量%以上50ppm重量%以下が特に好ましい。
【0012】
また、当該混入するケイ素化合物の含有量は、2種以上の前記メソゲン基を含有する化合物を含有する組成物とした場合に、前記ケイ素の含有量が、組成物全体で0.7ppm重量%以上1000ppm重量%以下に管理するのが好ましく、次に、0.8ppm重量%以上500ppm重量%以下が好ましく、1ppm重量%以上200ppm重量%以下が更に好ましく、1ppm重量%以上50ppm重量%以下が特に好ましい。
【0013】
また、メソゲン基を含有する各化合物単体でみても、前記ケイ素の含有量が、それぞれ、0.7ppm重量%以上1000ppm重量%以下に管理するのが好ましく、1ppm重量%以上800ppm重量%以下が更に好ましく、1ppm重量%以上500ppm重量%以下が更に好ましく、1ppm重量%以上200ppm重量%以下が更に好ましい。
【0014】
メソゲン基を含有する化合物としては、本技術分野で、複数の化合物を混合して混合物とした場合に液晶性を示す化合物として認識されるものであれば、分子内に重合性官能基を1つ又は2つ以上有する化合物であっても、分子内に重合性官能基を有さない化合物であっても、特に制限なく使用することができる。ここで、メソゲン基とは、環構造と該環構造を連結する連結基とからなり、環構造と環構造とを連結する部分が、原子数2以下の連結基又は単結合から構成された、2個以上の環構造から構成される部分を意味する。
【0015】
メソゲン基を含有する化合物の中でも、分子内に重合性官能基を1つ有する化合物は、混合物とした場合に液晶温度範囲として室温前後の低温を含むものを作りやすく好ましい。このような化合物としては、例えば、Handbook of Liquid Crystals(D.Demus,J.W.Goodby,G.W.Gray,H.W.Spiess,V.Vill編集、Wiley−VCH社発行,1998年)、季刊化学総説No.22、液晶の化学(日本化学会編,1994年)、あるいは、特開平7−294735号公報、特開平8−3111号公報、特開平8−29618号公報、特開平11−80090号公報、特開平11−116538号公報、特開平11−148079号公報、等に記載されているような、1,4−フェニレン基1,4−シクロヘキレン基等の構造が複数繋がったメソゲン基である剛直な部位と、ビニル基、アクリロイル基、(メタ)アクリロイル基といった重合性官能基を有する棒状重合性液晶化合物、あるいは特開2004−2373号公報、特開2004−99446号公報に記載されているようなマレイミド基を有する棒状重合性液晶化合物が挙げられる。
【0016】
重合性官能基を1つ又は2つ以上有する化合物は、具体的には以下の一般式(1)で表される化合物が好ましい。
【0018】
(式中、Pは重合性官能基を表し、
Spは炭素原子数0〜18のアルキレン基を表し(該アルキレン基は1つ以上のハロゲン原子又はCNにより置換されていても良く、この基中に存在する1つのCH
2基又は隣接していない2つ以上のCH
2基はそれぞれ相互に独立して、酸素原子が相互に直接結合しない形で、−O−、−S−、−NH−、−N(CH
3)−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−SCO−、−COS−又は−C≡C−により置き換えられていても良い。)、
mは0又は1を表し、
MGはメソゲン基を表し、
R
1は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は炭素原子数1〜18のアルキル基を表すが、該アルキル基は1つ以上のハロゲン原子又はCNにより置換されていても良く、この基中に存在する1つのCH
2基又は隣接していない2つ以上のCH
2基はそれぞれ相互に独立して、酸素原子が相互に直接結合しない形で、−O−、−S−、−NH−、−N(CH
3)−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−SCO−、−COS−又は−C≡C−により置き換えられていても良く、あるいはR
1は一般式(1−a)
【0020】
(式中、Pは反応性官能基を表し、Spは炭素原子数0〜18のスペーサー基を表し、mは0又は1を表す。)で表される構造を表す。)で表される化合物が挙げられる。
【0021】
ここで、重合性官能基としては、ビニル基、ビニルエーテル基、アクリル基、(メタ)アクリル基、グリシジル基、オキセタニル基、マレイミド基、チオール基が好ましく、生産性の観点から、ビニル基、ビニルエーテル基、アクリル基、(メタ)アクリル基、グリシジル基がより好ましく、ビニル基、ビニルエーテル基、アクリル基、(メタ)アクリル基がさらに好ましく、アクリル基、(メタ)アクリル基が特に好ましい。
【0022】
また、MGで表されるメソゲン基は、一般式(1−b)
【0024】
(式中、A1、A2及びA3はそれぞれ独立的に、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、テトラヒドロチオピラン−2,5−ジイル基、1,4−ビシクロ(2,2,2)オクチレン基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピラジン−2,5−ジイル基、チオフェン−2,5−ジイル基−、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基、フェナントレン−2,7−ジイル基、9,10−ジヒドロフェナントレン−2,7−ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a−オクタヒドロフェナントレン−2,7−ジイル基、1,4−ナフチレン基、ベンゾ[1,2−b:4,5−b‘]ジチオフェン−2,6−ジイル基、ベンゾ[1,2−b:4,5−b‘]ジセレノフェン−2,6−ジイル基、[1]ベンゾチエノ[3,2−b]チオフェン−2,7−ジイル基、[1]ベンゾセレノフェノ[3,2−b]セレノフェン−2,7−ジイル基、又はフルオレン−2,7−ジイル基を表し、置換基として1個以上のF、Cl、CF
3、OCF
3、CN基、炭素原子数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルカノイルオキシ基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、アルケニルオキシ基、アルケノイル基、アルケノイルオキシ基、又は一般式(1−c)
【0026】
(式中、Pは反応性官能基を表し、Aは、−O−、−COO−、−OCO−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CH
2CH
2OCO−、−COOCH
2CH
2−、−OCOCH
2CH
2−、又は単結合を表し、Spは炭素原子数0〜18のスペーサー基を表し、nは0又は1を表し、mは0又は1を表す。)を有していても良く、
Z0、Z1、Z2及びZ3はそれぞれ独立して、−COO−、−OCO−、−CH
2 CH
2−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CH=CH−、−C≡C−、−CH=CHCOO−、−CF=CF−、−CF
2O−、−OCOCH=CH−、−CH
2CH
2COO−、−CH
2CH
2OCO−、−COOCH
2CH
2−、−OCOCH
2CH
2−、−CONH−、−NHCO−、炭素数2〜10のハロゲン原子を有してもよいアルキル基又は単結合を表し、
nは0、1又は2を表す。)で表される。
【0027】
前記一般式(1)で表される化合物のうち、分子内に1個の重合性官能基を有する単官能性化合物として、下記一般式(1−1)、及び一般式(1−2)で表される化合物が挙げられる。
【0029】
(式中、Z
4は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は炭素原子数1〜18の炭化水素基を表し、
Z
5は水素原子又はメチル基を表し、tは0又は1を表し、
B、C及びDはそれぞれ独立的に、1,4−フェニレン基、隣接しないCH基が窒素で置換された1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1つ又は隣接しない2つのCH
2基が酸素又は硫黄原子で置換された1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニル基、1,4−ビシクロ(2,2,2)オクチレン基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピラジン−2,5−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基、1,4−ナフチレン基を表すが、これらの基は炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基又はハロゲン原子で一つ以上置換されていても良く、
Y
3及びY
4はそれぞれ独立的に単結合、−CH
2CH
2−、−CH
2O−、−OCH
2−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF
2O−、−(CH
2)
4−、−CH
2CH
2CH
2O−、−OCH
2CH
2CH
2−、−CH=CHCH
2CH
2−、−CH
2CH
2CH=CH−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH
2CH
2COO−、−CH
2CH
2OCO−、−COOCH
2CH
2−又は−OCOCH
2CH
2-を表し、Y
5は単結合、−O−、−COO−、−OCO−又は−CH=CHCOO−を表す。)。
【0031】
(式中、Z
6は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は炭素原子数1〜18の炭化水素基を表し、
Z
7は水素原子又はメチル基を表し、
W
3は単結合、−OCH
2−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF
2O−、−OCH
2CH
2CH
2−、−CH=CHCH
2CH
2−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−COOCH
2CH
2−、−OCOCH
2CH
2−又は−O−を表し、
vは1〜18の整数を表し、
uは0又は1を表し、
E、F及びGはそれぞれ独立的に、1,4−フェニレン基、隣接しないCH基が窒素原子で置換された1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1つ又は隣接しない2つのCH
2基が酸素原子又は硫黄原子で置換された1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニル基、1,4−ビシクロ(2,2,2)オクチレン基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピラジン−2,5−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基、1,4−ナフチレン基を表すが、これらの基は炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基又はハロゲン原子で一つ以上置換されていても良く、
Y
6及びY
7はそれぞれ独立的に単結合、−CH
2CH
2−、−CH
2O−、−OCH
2−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF
2O−、−(CH
2)
4−、−CH
2CH
2CH
2O−、−OCH
2CH
2CH
2−、−CH=CHCH
2CH
2−、−CH
2CH
2CH=CH−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH
2CH
2COO−、−CH
2CH
2OCO−、−COOCH
2CH
2−又は−OCOCH
2CH
2-を表し、Y
8は単結合、−O−、−COO−、−OCO−又は−CH=CHCOO−を表す。)。
【0032】
一般式(1−1)及び、一般式(1−2)で表される例示化合物としては、以下に示されるが、これらに限定される訳ではない。
【0037】
これらの化合物は、単独で使用することもできるし、2種類以上混合して使用することもできる。
【0038】
分子内に1個の重合性官能基を有する単官能性化合物の合計含有量は、重合性組成物全体の含有量の内、0〜95質量%含有することが好ましく、0〜90質量%含有することがより好ましく、0〜85質量%含有することが特に好ましい。
【0039】
前記一般式(1)で表される化合物のうち、R
1が一般式(1−a)で表される分子内に2個の重合性官能基を有する2官能性化合物として、下記一般式(2−1)で表される化合物が挙げられる。
【0041】
(式中、mは0又は1を表し、nは0、1又は2を表し、
W
1及びW
2はそれぞれ独立的に単結合、−OCH
2−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF
2O−、−OCH
2CH
2CH
2−、−CH=CHCH
2CH
2−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−COOCH
2CH
2−又は−OCOCH
2CH
2−又は−O−を表し、
Y
1及びY
2はそれぞれ独立的に単結合、−CH
2CH
2−、−CH
2O−、−OCH
2−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF
2O−、−(CH
2)
4−、−CH
2CH
2CH
2O−、−OCH
2CH
2CH
2−、−CH=CHCH
2CH
2−、−CH
2CH
2CH=CH−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH
2CH
2COO−、−CH
2CH
2OCO−、−COOCH
2CH
2−又は−OCOCH
2CH
2-を表し、Y
2が複数存在する場合は、同一であっても、異なってもよく、
Aは、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基を表し、Aが複数存在する場合は、同一であっても、異なってもよく、
Z
8、Z
9は水素原子又はメチル基を表し、
r及びsはそれぞれ独立的に1〜18の整数を表し、
R
3〜R
10は、それぞれ、水素原子、炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基、又はハロゲン原子から選択される。)。
【0042】
一般式(2−1)で表される例示化合物としては、以下に示されるが、これらに限定される訳ではない。
【0046】
一般式(2−1)で表される化合物の合計含有量は、重合性組成物全体の含有量の内、5〜100質量%含有することが好ましく、8〜100質量%含有することがより好ましく、10〜100質量%含有することが特に好ましい。
【0047】
また、近年、位相差膜(フィルム)に対しては、液晶ディスプレイの視野角を向上させるためや有機ELディスプレイの反射防止特性を向上させるために、複屈折率(△n)の波長分散特性を小さく、もしくは逆にすることが求められている。この特性を有する、いわゆる、逆分散型の重合性液晶化合物を本発明の重合性組成物に含有することもできる。具体例としては、下記一般式(3−1)で表される化合物が挙げられる。
【0049】
(式中、Pは重合性官能基を表し、Spはスペーサー基又は単結合を表し、
A
1、A
2、A
3、A
4はそれぞれ独立に二価の脂環式炭化水素基又は芳香族炭化水素基を表し、
X
1、X
2、X
3、X
4はそれぞれ独立に二価の連結基又は単結合を表し、
R
1は炭素原子数1〜12のアルキル基、アルコキシ基又は「*−Sp−P」を表し(*はA
4又はA
3に結合することを表す。)、
m、nはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し(ただし、m+nは2以上の整数である。)、
Bは下記の式(i)又は式(ii)で表される基である。)
【0051】
式(i)中、T
1は−S−、−O−、−CH
2−、−NH−、−CO−、−SO−又は−CS−を表し、T
2は「=CR
2−」又は「=N−」を表し、R
2は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基又は水酸基を表し、R
3は炭素原子数1〜6のアルキル基、脂環式炭化水素基又は芳香族炭化水素基を表す。式(ii)中、T
3、T
4はそれぞれ独立に、−S−、−O−、−NR
6−、−CH
2−、−NH−、−CO−、−SO−又は−CS−を表し、ここで、R
6は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基又は水酸基を表し、R
4、R
5は、それぞれ独立して一価の置換基を表すか、又は、R
4とR
5を連結するYを介して環を形成する。
【0052】
一般式(3−1)で表される化合物は、重合前において液晶性を有することが好ましい。すなわち、一般式(3−1)で表される化合物は重合性液晶化合物であることが好ましい。
【0053】
一般式(1)中のPで表される重合性官能基は、従来の重合性液晶化合物に使用される基が制限なく適用可能であり、例えば、ビニル基、p−スチルベン基、アクリル基(アクリロイル基)、メタクリル基(メタクロイル基)、アクリロイルオキシ基、メタクロイルオキシ基、カルボキシル基、メチルカルボニル基、水酸基、アミド基、炭素数1〜4のアルキルアミノ基、アミノ基、エポキシ基、オキセタニル基、アルデヒド基、イソシアネート基又はチオイソシアネート基などが挙げられる。
好適な重合性官能基Pとして、下記一般式(II-c)、一般式(II-d)及び一般式(II-e)で表される置換基からなる群より選ばれる置換基が挙げられる。
【0055】
一般式(II-c)、一般式(II-d)及び一般式(II-e)中、R
21、R
22、R
23、R
32、R
33、R
41、R
42及びR
43は、それぞれ独立的に水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、nは0又は1を表す。また、一般式(II-d)のR
31は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数1〜5のハロゲン化アルキル基を表す。
上記一般式で表される重合性官能基は、その左端が一般式(3−1)のSpに結合する。
前記アルキル基は直鎖又は分岐鎖アルキル基であることが好ましく、直鎖アルキル基であることがより好ましい。前記アルキル基に結合する水素原子の一部又は全部がハロゲン原子によって置換されていてもよい。
【0056】
上記一般式で表される重合性官能基のうち、重合性および保存安定性を高める観点から、一般式(II-c)及び一般式(II-d)で表される基からなる群より選ばれる基が好ましく、一般式(II-d)で表される基からなる群より選ばれる基がより好ましい。
一般式(II-c)、一般式(II-d)又は一般式(II-e)で表される重合性官能基としては、例えば以下の反応性官能基(P−1)〜(P−8)が挙げられる。これらの反応性官能基のうち、重合性および保存安定性を高める観点から、下記(P−1)又は(P−2)が好ましく、下記(P−1)がより好ましい。下記(P−1)〜(P−8)で表される重合性官能基は、その右端が一般式(3−1)のSpに結合する。
【0058】
一般式(3−1)中のSpはスペーサー基又は単結合である。該スペーサー基は、重合性官能基PとA
1又はA
2とを連結可能な2価の連結基であり、一般式(3−1)で表される化合物の液晶性を損なわない連結基が好ましい。
好適なSpとしては、例えば、炭素原子数1〜20の直鎖状アルキレン基が挙げられる。このアルキレン基中に存在する1つのCH
2基又は隣接していない2つ以上のCH
2基はそれぞれ相互に独立して、酸素原子同士、硫黄原子同士、及び酸素原子と硫黄原子とが相互に直接結合しない形で、−O−、−S−、−NH−、−N(CH
3)−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−SCO−、−COS−、−CH=CH−又は−C≡C−により置き換えられていてもよい。前記アルキレン基の炭素原子数は、液晶性を向上させる観点から、2〜10が好ましく、3〜8がより好ましく、3〜6が更に好ましい。
【0059】
一般式(3−1)中の環式基A
1、A
2、A
3、A
4は、それぞれ独立に二価の脂環式炭化水素基、又は芳香族炭化水素基を表す。また、上記環式基は芳香族複素環式基であっても構わない。
前記環式基としては、例えば、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、テトラヒドロチオピラン−2,5−ジイル基、1,4−ビシクロ(2,2,2)オクチレン基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピラジン−2,5−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基、フェナントレン−2,7-ジイル基、9,10−ジヒドロフェナントレン−2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン2,7-ジイル基又はフルオレン2,7-ジイル基などが挙げられる。
上記の1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基、フェナントレン−2,7-ジイル基、9,10−ジヒドロフェナントレン−2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a−オクタヒドロフェナントレン2,7-ジイル基及びフルオレン2,7-ジイル基に結合する1つ以上の水素原子は、F、Cl、CF
3、OCF
3、シアノ基、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数1〜8のアルカノイル基、炭素原子数1〜8のアルカノイルオキシ基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基、炭素原子数2〜8のアルケノイル基又は炭素原子数2〜8のアルケノイルオキシ基により置換されていてもよい。
【0060】
一般式(3−1)中の環式基A
1、A
2、A
3、A
4は、それぞれ独立に上記の1,4-フェニレン基又は1,4-シクロヘキシレン基であることが好ましい。これらの環式基であると、本実施形態の重合性化合物の液晶性を向上させ、その重合体の配向性を向上させることが容易になる。
【0061】
一般式(3−1)中のX
1、X
2、X
3、X
4は、それぞれ独立に二価の連結基又は単結合を表す。
X
1、X
2、X
3及びX
4の好ましい例としては、それぞれ独立に、−(CH
2)
u−O−COO−、−(CH
2)
u ―OCO−、−(CH
2)
u −COO−、−(CH
2)
u−O ―、−O−COO−(CH
2)
u−、―OCO−(CH
2)
u−、−COO−(CH
2)
u−、−O−(CH
2)
u−、−O−(CH
2)
v−O−、−CH=CH−、−C≡C−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−N=N−、−C=N−、−N=C‐及び−C=N−N=C‐、−CH
2CH
2−、単結合が挙げられる。ここで、uは0〜2の何れかの整数を表し、vは1または2を表す。uが0である場合、−(CH
2)
u−O−COO−及び−O−COO−(CH
2)u−は−O−COO−を表し、−(CH
2)
u−O ―及び−O−(CH
2)
u−は−O−を表し、−(CH
2)
u −COO−及び−COO−(CH
2)
u−は−COO−を表し、−(CH
2)
u ―OCO−及び―OCO−(CH
2)
u−は―OCO−を表す。
一般式(3−1)中のm、nは、それぞれ独立に0〜4の整数を表し、且つ、m+nは2以上の整数である。
本実施形態の重合性化合物の液晶性を向上させる観点から、m、nはそれぞれ独立に、0〜3が好ましく、0〜2がより好ましく、1又は2が更に好ましい。また、mとnは同じ整数であることが好ましい。
【0062】
一般式(3−1)中の末端基R
1は、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12アルコキシ基又は「*−Sp−P」を表す。ここで、「*」は、nが1以上の整数の場合はA
4に結合することを表し、nが0の場合はA
3に結合することを表す。
「*−Sp−P」のSp及び重合性官能基Pは、前述と同じである。分子内にSpが2個存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよく、同一であることが好ましい。また、分子内にPが2個存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよく、同一であることが好ましい。
前記アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状の何れのアルキル基であってもよく、直鎖状又は分岐鎖状アルキル基であることが好ましく、直鎖状アルキル基であることがより好ましい。前記アルキル基の炭素原子数は、2〜10がより好ましく、3〜8がより好ましく、3〜6が更に好ましい。
前記アルコキシ基を構成するアルキル基も、前記アルキル基と同じ基が例示できる。前記アルコキシ基を構成するアルキル基の炭素原子数は1〜8が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3が更に好ましい。
【0063】
本実施形態の重合性化合物の液晶性及び配向性、並びにその重合性化合物を用いた位相差膜等の光学異方体における光学特性を向上させる観点から、末端基R
1は「*−Sp−P」であることが好ましい。この好ましい場合において、分子内に2個存在するSpは同一であっても異なっていてもよく、同一であることが好ましく、分子内に2個存在するPは同一であっても異なっていてもよく、同一であることが好ましい。
【0064】
一般式(3−1)中の中心骨格Bは、下記の式(i)、又は式(ii)で表される基である。
【0066】
一般式(i)中、T
1は−S−、−O−、−CH
2−、−NH−、−CO−、−SO−又は−CS−を表し、−NH−又は−S−であることが好ましく、−S−であることがより好ましい。
一般式(i)中、T
2は「=CR
2−」又は「=N−」を表し、R
2は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基又は水酸基を表す。なお、「=CR
2−」は「=C(―R
2)―」を表し、R
2が結合する炭素原子Cに水素原子は結合していない。
一般式(i)中、T
2は=CH−、=C(−CH
3)―、=C(―OCH
3)―又は=N−であることが好ましく、=N−であることがより好ましい。
R
2がアルキル基又はアルコキシ基である場合、R
2のアルキル基及びアルコキシ基を構成するアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。前記アルキル基の炭素原子数は、1〜4が好ましく、1又は2がより好ましく、1が更に好ましい。
R
2がハロゲン原子である場合、フッ素原子又は塩素原子であることが好ましい。
T
1及びT
2の好ましい組み合わせを、下記の一般式(i−1)〜(i−5)で表す。
【0068】
(式中、「*」はそれぞれ一般式(i)のX
2及びX
3に結合することを表し、R
3は一般式(i)のR
3と同じである。)
【0069】
一般式(i)中、R
3は炭素原子数1〜6のアルキル基、脂環式炭化水素基又は芳香族炭化水素基を表す。これらのうち、液晶性及び光学特性を向上させる観点から、R
3は脂環式炭化水素基又は芳香族炭化水素基であることが好ましく、芳香族炭化水素基であることがより好ましい。
前記脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、−C≡C−CH
3基、又は水酸基で置換されていてもよい。ここで例示した置換基のうち、重合性化合物の液晶性及び配向性を向上させる観点から、ニトロ基、シアノ基、及び−C≡C−CH
3基が好ましい。
前記アルキル基及び前記アルコキシ基を構成するアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。前記アルキル基の炭素原子数は、1〜4が好ましく、1又は2がより好ましく、1が更に好ましい。
前記脂環式炭化水素基の炭素原子数は、4〜10が好ましく、5〜8がより好ましい。前記脂環式炭化水素基としては、例えば、下記式(i−6−1)〜(i−6−4)で表される基が挙げられる。また、これらの脂環式炭化水素基を構成する炭素原子の一部が、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子に置換されていてもよい。このような脂環式基としては、例えば、下記式(i−6−5)〜(i−6−10)で表される基が挙げられる。式中、「*」は一般式(i)のR
3が結合する炭素原子に結合することを表す。
【0071】
上記の基(i−6−1)〜(i−6−10)のうち、基(i−6−1)又は(i−6−2)が好ましい。基(i−6−1)及び(i−6−2)は、前記置換基を有していてもよく、その置換基としては、ニトロ基、シアノ基、及び−C≡C−CH
3基が好ましい。前記置換基は、基(i−6−1)の4位又は基(i−6−2)の3位に結合していることが好ましい。ここで、環を構成する炭素原子のうち前記「*」に結合する炭素原子が1位である。
前記芳香族炭化水素基の炭素原子数は、6〜20が好ましく、6〜14がより好ましい。前記芳香族炭化水素基としては、例えば、下記式(i−7−1)〜(i−7−13)で表される基が挙げられる。式中、「*」は一般式(i)のR
3が結合する炭素原子に結合することを表す。
【0073】
上記の基(i−7−1)〜(i−7−13)のうち、基(i−7−1)〜(i−7−4)、(i−7−7)〜(i−7−10)が好ましい。また、当該環構造には、前記置換基を有していることが好ましく、その置換基としては、ニトロ基、シアノ基、及び−C≡C−CH
3基が好ましい。
一般式(ii)中、T
3、T
4はそれぞれ独立に、−S−、−O−、−NR
2−、−CH
2−、−NH−、−CO−、−SO−又は−CS−を表す。ここで、R
6は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基又は水酸基を表す。T
3とT
4とは同じであってもよいし、異なっていてもよい。T
3及びT
4がともに−NR
6−である場合には、2つのR
6は互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。
T
3は−O−、−NR
6−又は−S−であることが好ましく、−NR
6−又は−S−であることがより好ましく、−S−であることが更に好ましい。
T
4は−O−、−NR
6−又は−S−であることが好ましく、−NR
6−又は−S−であることがより好ましく、−S−であることが更に好ましい。
R
6がアルキル基又はアルコキシ基である場合、R
6のアルキル基及びアルコキシ基を構成するアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。前記アルキル基の炭素原子数は、1〜4が好ましく、1又は2がより好ましく、1が更に好ましい。
R
6がハロゲン原子である場合、フッ素原子又は塩素原子であることが好ましい。
一般式(ii)中、R
4、R
5はそれぞれ独立して一価の置換基を表すか、又は、R
4とR
5を連結するYを介して環を形成する。
【0074】
R
4、R
5の一価の置換基としては、それぞれ独立に、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ニトロ基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基、等が挙げられる。
【0075】
R
4とR
5を連結するYを介して環を形成する下記一般式(ii−1)の場合、
【0077】
R
4及びR
5はそれぞれ独立に、−O−、−S−、−SO−、−SO
2−、−NR−(Rは水素原子又は一価の置換基を表す。)、=N−、=N(+)R−(Rは水素原子又は一価の置換基を表す。)、−CO−、−CS−及び=CR−(Rは水素原子又は一価の置換基を表す。)からなる群から選ばれる何れかの基である。ここで、Rが一価の置換基である場合、当該一価の置換基は、前述したR
4、R
5が一価の置換基である場合の例が挙げられる。
Yは、炭素原子及び第14〜16族の非金属原子からなる群から選択される2〜4個の原子を表し、上記一般式(ii−1)に記載のR
4−C−R
5と共に5〜7員環(以下、環Yと呼ぶことがある。)を形成する。環Yを構成する原子が置換可能な水素原子を有する場合には、その水素原子が置換基R
Yによって置換されていてもよい。R
Yの例としては、前述したR
4、R
5が一価の置換基である場合の例が挙げられる。
【0078】
一般式(3−1)で表される例示化合物としては、以下に示されるが、これらに限定される訳ではない
【0080】
また、上記化合物以外にも一般式(3−2)で表される化合物が挙げられる。
【0082】
(式中、P
11は重合性基を表し、S
11はスペーサー基又は単結合を表すが、S
11が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、X
11は−O−、−S−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−、−COO−CH
2−、−OCO−CH
2−、−CH
2−COO−、−CH
2−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表すが、X
11が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く(ただし、P
11−(S
11−X
11)
k−には−O−O−結合を含まない。)、A
11及びA
12は各々独立して1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すが、これらの基は無置換であるか又は1つ以上のLによって置換されても良く、A
11及び/又はA
12が複数現れる場合は各々同一であっても異なっていても良く、Z
11及びZ
12は各々独立して−O−、−S−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CH
2CH
2−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−OCO−NH−、−NH−COO−、−NH−CO−NH−、−NH−O−、−O−NH−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−、−COO−CH
2−、−OCO−CH
2−、−CH
2−COO−、−CH
2−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表すが、Z
11及び/又はZ
12が複数現れる場合は各々同一であっても異なっていても良く、Mは下記の式(M−1)から式(M−10)
【0084】
から選ばれる基を表すが、これらの基は無置換であるか又は1つ以上のLによって置換されても良く、R
11は水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、シアノ基、ニトロ基、イソシアノ基、チオイソシアノ基、又は、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−又は−C≡C−によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、Gは下記の式(G−1)又は式(G−3)
【0086】
(式中、R
3は水素原子、又は、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−又は−C≡C−によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、W
1は少なくとも1つの芳香族基を有する、炭素原子数6から30の基を表すが、当該基は無置換であるか又は1つ以上のLによって置換されても良く、W
2は水素原子、又は、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、若しくは、W
2はW
1と同様の意味を表しても良く、また、W
1及びW
2は一緒になって環構造を形成しても良い。)から選ばれる基を表し、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、kは0から8の整数を表し、m1及びm2は各々独立して0から5の整数を表すが、m1+m2は1から5の整数を表し、Lはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、炭素原子数1から20のアルキル基を表すが、当該アルキル基は直鎖状であっても分岐状であっても良く、任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、当該アルキル基中の1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−から選択される基によって置換されても良いが、化合物内にLが複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良い。)。
【0087】
一般式(3−2)において、P
11は下記の式(P−1)から式(P−20)
【0088】
【化28】
から選ばれる基を表すのが好ましい。
【0089】
また、一般式(3−2)において、kが1であり、S
11が、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−又は−C≡C−に置き換えられても良い炭素原子数1から20のアルキレン基を表すのが好ましい。
W
1及びW
2に含まれるπ電子の総数は6から24であるのが好ましい。
W
1に含まれる芳香族基は下記の式(W−1)から式(W−19)
【0091】
(式中、これらの基は任意の位置に結合手を有していて良く、Q
1は−O−、−S−、−NR
3−(式中、R
3は水素原子又は炭素原子数1から8のアルキル基を表す。)又は−CO−を表す。これらの芳香族基中の−CH=は各々独立して−N=に置き換えられても良く、−CH
2−は各々独立して−O−、−S−、−NR
4−(式中、R
4は水素原子又は炭素原子数1から8のアルキル基を表す。)又は−CO−に置き換えられても良いが、−O−O−結合を含まない。また、これらの芳香族基は無置換又は1つ以上のLによって置換されても良く、これらの基から選ばれる2つ以上の芳香族基を単結合で連結した基を形成しても良い。)で表される基であるのが好ましい。
【0092】
一般式(3−2)で表される例示化合物としては、以下に示されるが、これらに限定される訳ではない。
【0097】
また、同様に一般式(3−3)で表される化合物も挙げられる。
【0098】
(式中、P
21及びP
22は各々独立して重合性基を表し、
S
21及びS
22は各々独立してスペーサー基を又は単結合を表すが、S
21及びS
22が複数存在する場合それらは各々同一であっても異なっていても良く、
X
21及びX
22は各々独立して−O−、−S−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−、−COO−CH
2−、−OCO−CH
2−、−CH
2−COO−、−CH
2−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表すが、X
21及びX
22が複数存在する場合それらは各々同一であっても異なっていても良く(ただし、各P−(S−X)−結合には−O−O−を含まない。)、
MG
21はメソゲン性基を表し、
m2及びn2は各々独立して0から5の整数を表す。)。
【0099】
前記メソゲン性基MG
21は式(8−a)
【0101】
(式中、
A
81、A
82は各々独立して1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すが、これらの基は無置換又は1つ以上のLによって置換されても良いが、A
81及び/又はA
82が複数現れる場合は各々同一であっても異なっていても良く、
Z
81及びZ
82は各々独立して−O−、−S−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CH
2CH
2−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−、−COO−CH
2−、−OCO−CH
2−、−CH
2−COO−、−CH
2−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表すが、Z
81及び/又はZ
82が複数現れる場合は各々同一であっても異なっていても良く、
Mは下記の式(M−1)から式(M−8)
【0103】
から選ばれる基を表すが、これらの基は無置換又は1つ以上のLによって置換されても良く、
Gは下記の式(G−1)、又は式(G−2)
【0105】
(式中、R
3は水素原子、又は、炭素原子数1から20のアルキル基を表すが、当該アルキル基は直鎖状であっても分岐状であっても良く、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、当該アルキル基中の1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−又は−C≡C−によって置換されても良く、W
1は少なくとも1つの芳香族基を有する、炭素原子数2から30の基を表すが、当該基は無置換又は1つ以上のLによって置換されても良く、W
2は水素原子、又は、炭素原子数1から20のアルキル基を表すが、当該アルキル基は直鎖状であっても分岐状であっても良く、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、当該アルキル基中の1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−によって置換されても良く、若しくは、W
2はW
1と同様の意味を表しても良く、また、W
1及びW
2は互いに連結し同一の環構造を形成しても良い。)から選ばれる基を表し、Lはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、炭素原子数1から20のアルキル基を表すが、当該アルキル基は直鎖状であっても分岐状であっても良く、任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、当該アルキル基中の1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−から選択される基によって置換されても良いが、化合物内にLが複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、j81及びj82は各々独立して0から5の整数を表すが、j81+j82は1から5の整数を表す。)で表される基であるのが好ましい。
【0106】
前記重合性基P
21及びP
22は各々独立して一般式(P−1)から(P−20)
【0107】
【化37】
から選ばれる基を表すのが好ましい。
【0108】
一般式(3−3)で表される例示化合物としては、以下に示されるが、これらに限定される訳ではない。
【0118】
これらの液晶化合物は、単独で使用することもできるし、2種類以上混合して使用することもできる。また、前記一般式(1−1)、一般式(1−2)で表される分子内に1個の重合性官能基を有する単官能性化合物や、一般式(2−1)で表される分子内に2個の重合性官能基を有する2官能性化合物や、後述の一般式(4−1)〜一般式(4−7)で表されるような分子内に3個以上の重合性官能基を有する多官能性化合物を併用することもできる。
【0119】
一般式(3−1)、(3−2)及び(3−3)で表される化合物の合計含有量は、重合性組成物全体の含有量の内、10〜100質量%含有することが好ましく、20〜100質量%含有することがより好ましく、30〜100質量%含有することが特に好ましい。
【0120】
前記一般式(1)で表される化合物のうち、分子内に3個以上の重合性官能基を有する多官能性化合物としては、以下の例示化合物が挙げられる。
【0123】
分子内に3個以上の重合性官能基を有する多官能性化合物の合計含有量は、重合性組成物全体の含有量のうち、0〜30質量%含有することが好ましく、0〜25質量%含有することがより好ましく、0〜20質量%含有することが特に好ましい。
【0124】
また、本発明の液晶組成物には、重合性基を有さないメソゲン基を含有する化合物を添加しても良く、通常の液晶デバイス、例えばSTN(スーパー・ツイステッド・ネマチック)液晶や、TN(ツイステッド・ネマチック)液晶、TFT(薄膜トランジスター)液晶等に使用される化合物が挙げられる。
【0125】
重合性官能基を有さないメソゲン基を含有する化合物は、具体的には以下の一般式(5)で表される化合物が好ましい。
【0127】
(MGで表されるメソゲン基は、一般式(5−b)
【0129】
(式中、A1、A2及びA3はそれぞれ独立的に、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、テトラヒドロチオピラン−2,5−ジイル基、1,4−ビシクロ(2,2,2)オクチレン基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピラジン−2,5−ジイル基、チオフェン−2,5−ジイル基−、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基、フェナントレン−2,7−ジイル基、9,10−ジヒドロフェナントレン−2,7−ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a−オクタヒドロフェナントレン−2,7−ジイル基、1,4−ナフチレン基、ベンゾ[1,2−b:4,5−b‘]ジチオフェン−2,6−ジイル基、ベンゾ[1,2−b:4,5−b‘]ジセレノフェン−2,6−ジイル基、[1]ベンゾチエノ[3,2−b]チオフェン−2,7−ジイル基、[1]ベンゾセレノフェノ[3,2−b]セレノフェン−2,7−ジイル基、又はフルオレン−2,7−ジイル基を表し、置換基として1個以上のF、Cl、CF
3、OCF
3、CN基、炭素原子数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルカノイルオキシ基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、アルケニルオキシ基、アルケノイル基、アルケノイルオキシ基を有していても良く、
Z0、Z1、Z2及びZ3はそれぞれ独立して、−COO−、−OCO−、−CH
2 CH
2−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CH=CH−、−C≡C−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH
2CH
2COO−、−CH
2CH
2OCO−、−COOCH
2CH
2−、−OCOCH
2CH
2−、−CONH−、−NHCO−、炭素数2〜10のハロゲン原子を有してもよいアルキル基又は単結合を表し、
nは0、1又は2を表し、
R
1は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は炭素原子数1〜18のアルキル基を表すが、該アルキル基は1つ以上のハロゲン原子又はCNにより置換されていても良く、この基中に存在する1つのCH
2基又は隣接していない2つ以上のCH
2基はそれぞれ相互に独立して、酸素原子が相互に直接結合しない形で、−O−、−S−、−NH−、−N(CH
3)−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−SCO−、−COS−又は−C≡C−により置き換えられていても良い。)で表される化合物が挙げられる。
【0130】
具体的には、以下に示されるが、これらに限定される訳ではない。
【0132】
(その他の成分)
(キラル化合物)
本発明の重合性液晶組成物中には、キラルネマチック相を得ることを目的としてキラル化合物を配合してもよい。キラル化合物のなかでも、分子中に重合性官能基を有する化合物が特に好ましい。
【0133】
キラル化合物中の重合性官能基としては、アクリロイルオキシ基が特に好ましい。キラル化合物の配合量は、化合物の螺旋誘起力によって適宜調整することが必要であるが、用いる重合性化合物及びキラル化合物の合計量のうち0〜85質量%含有することが好ましく、0〜80質量%含有することがより好ましく、0〜75質量%含有することが特に好ましい。
【0134】
キラル化合物の具体的例としては、式(6−1)〜(6−8)の化合物を挙げることができる。
【0136】
(式中、nは2〜12の整数を表す。)また、キラル化合物の具体的例としては、更に、式(6−9)〜(6−12)の化合物を挙げることができる。
【0138】
(有機溶剤)
本発明の重合性液晶組成物中に用いる有機溶剤としては特に限定はないが、重合性化合物が良好な溶解性を示す有機溶剤が好ましく、100℃以下の温度で乾燥できる有機溶剤であることが好ましい。そのような溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、クメン、メシチレン等の芳香族系炭化水素、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、アニソール等のエーテル系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、等のアミド系溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン及びクロロベンゼン等が挙げられる。これらは、単独で使用することもできるし、2種類以上混合して使用することもできるが、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤及び芳香族炭化水素系溶剤のうちのいずれか1種類以上を用いることが溶液安定性の点から好ましい。
【0139】
用いる有機溶剤の比率は、本発明に用いられる重合性液晶組成物が通常塗布により行われることから、塗布した状態を著しく損なわない限りは特に制限はないが、重合性液晶組成物中に含有する重合性化合物の合計量が1〜60質量%であることが好ましく、3〜55質量%であることが更に好ましく、5〜50質量%であることが特に好ましい。
【0140】
有機溶剤に重合性化合物を溶解する際には、均一に溶解させるために、加熱攪拌することが好ましい。加熱攪拌時の加熱温度は、用いる重合性化合物の有機溶剤に対する溶解性を考慮して適宜調節すればよいが、生産性の点から15℃〜110℃が好ましく、15℃〜105℃がより好ましく、15℃〜100℃がさらに好ましく、20℃〜90℃とするのが特に好ましい。
【0141】
また、重合性液晶組成物を調製する際には分散攪拌機により攪拌混合することが好ましい。分散攪拌機として具体的には、ディスパー、プロペラ、タービン翼等攪拌翼を有する分散機、ペイントシェイカー、遊星式攪拌装置、振とう機、シェーカー又はロータリーエバポレーター等が使用できる。その他には、超音波照射装置が使用できる。
【0142】
重合性溶液を調製する際の攪拌回転数は、用いる攪拌装置により適宜調整することが好ましいが、均一な重合性溶液とするために攪拌回転数を10rpm〜1000rpmとするのが好ましく、50rpm〜800rpmとするのがより好ましく、150rpm〜600rpmとするのが特に好ましい。
【0143】
(重合禁止剤、酸化防止剤)
本発明の重合性液晶組成物の溶液安定性を高めるため、重合禁止剤、及び/又は酸化防止剤等を添加することが好ましい。そのような化合物として、ヒドロキノン誘導体、ニトロソアミン系重合禁止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤等が挙げられ、より具体的には、p−メトキシフェノール、tert-ブチルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、和光純薬工業社の「Q−1300」、「Q−1301」、BASF社の「IRGANOX1010」、「IRGANOX1035」、「IRGANOX1076」、「IRGANOX1098」、「IRGANOX1135」、「IRGANOX1330」、「IRGANOX1425」、「IRGANOX1520」、「IRGANOX1726」、「IRGANOX245」、「IRGANOX259」、「IRGANOX3114」、「IRGANOX3790」、「IRGANOX5057」、「IRGANOX565」等々があげられる。
【0144】
重合禁止剤、酸化防止剤の添加量は重合性液晶組成物に対して、それぞれ、0.01〜1.0質量%であることが好ましく、0.05〜0.5質量%であることがより好ましい。
【0145】
(光重合開始剤)
光重合開始剤は少なくとも1種類以上含有することが好ましい。具体的には、BASF社の「イルガキュア651」、「イルガキュア184」、「イルガキュア907」、「イルガキュア127」、「イルガキュア369」、「イルガキュア379」、「イルガキュア819」、「イルガキュア2959」、「イルガキュアOXE01」、「イルガキュアOXE02」、「ルシリンTPO」、「ダロキュア1173」やLAMBSON社の「エサキュア1001M」、「エサキュアKIP150」、「スピードキュアBEM」、「スピードキュアBMS」、「スピードキュアMBP」、「スピードキュアPBZ」、「スピードキュアITX」、「スピードキュアDETX」、「スピードキュアEBD」、「スピードキュアMBB」、「スピードキュアBP」や日本化薬社の「カヤキュアDMBI」、日本シイベルヘグナー社(現DKSH社)の「TAZ−A」等が挙げられる。
【0146】
光重合開始剤の使用量は重合性溶液に対して0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%が特に好ましい。これらは、単独で使用することもできるし、2種類以上混合して使用することもでき、また、増感剤等を添加しても良い。
【0147】
(熱重合開始剤)
本発明の重合性液晶組成物には、光重合開始剤とともに、熱重合開始剤を併用してもよい。具体的には、和光純薬工業社製の「V−40」、「VF−096」、日本油脂社製の「パーへキシルD」、「パーへキシルI」等が挙げられる。
熱重合開始剤の使用量は重合性液晶組成物に対して0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%が特に好ましい。これらは、単独で使用することもできるし、2種類以上混合して使用することもできる。
【0148】
(界面活性剤)
本発明の重合性液晶組成物は、光学異方体とした場合の膜厚むらを低減させるために界面活性剤を少なくとも1種類以上含有してもよい。含有することができる界面活性剤としては、アルキルカルボン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルスルホン酸塩、フルオロアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルリン酸塩、フルオロアルキルスルホン酸塩、ポリオキシエチレン誘導体、フルオロアルキルエチレンオキシド誘導体、ポリエチレングリコール誘導体、アルキルアンモニウム塩、フルオロアルキルアンモニウム塩類等をあげることができ、特に含フッ素界面活性剤が好ましい。更に具体的には「メガファック F−251」、「メガファック F−444」、「メガファック F−477」、「メガファック F−510」、「メガファック F−552」、「メガファック F−553」、「メガファック F−554」、「メガファック F−555」、「メガファック F−558」、「メガファック F−560」、「メガファック F−561」、「メガファック F−563」、「メガファック F−569」、「メガファック F−570」、「メガファック R−40」、「メガファック R−41」、「メガファック R−43」、「メガファック R−94」、「メガファック RS−72−K」、「メガファック RS−75」、「メガファック RS−76−E」、「メガファック RS−90」、(以上、DIC株式会社製)、BYK−3440(以上、ビックケミー・ジャパン社製)、「N215」、「N535」、「N605K」、「N935」(以上、ソルベイソレクシス社製)、EFKA−3277、EFKA−3500、EFKA−3600、EFKA−3777(以上、Lamberti社製)等の例をあげることができる。
【0149】
界面活性剤の添加量は重合性液晶組成物に対して、0.01〜2質量%であることが好ましく、0.05〜0.5質量%であることがより好ましい。
【0150】
本発明の重合性液晶組成物は、光学異方体とした場合の空気界面のチルト角を効果的に減じるために下記一般式(7)で表される繰り返し単位を有する重量平均分子量が100以上である化合物を少なくとも1種類以上含有することができる。
【0152】
(式中、R
11、R
12、R
13及びR
14はそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、該炭化水素基中の水素原子は1つ以上のハロゲン原子で置換されていても良い。)
該一般式(7)で表される好適な化合物として、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、パラフィン、流動パラフィン、塩素化ポリプロピレン、塩素化パラフィン、塩素化流動パラフィン等を挙げることができる。
該一般式(7)で表される化合物は、重合性化合物を有機溶剤に混合し加熱攪拌して重合性溶液を調製する工程において添加することが好ましいが、その後の、重合性溶液に光重合開始剤を混合する工程において添加してもよいし、両方の工程において添加してもよい。
該一般式(7)で表される化合物の添加量は重合性溶液に対して、0.01〜1質量%であることが好ましく、0.05〜0.5質量%であることがより好ましい。
【0153】
本発明の重合性組成物溶液は、光学異方体とした場合の基材との密着性をより向上させるため、連鎖移動剤を添加することも好ましい。連鎖移動剤としては、チオール化合物が好ましく、モノチオール、ジチオール、トリチオール、テトラチオール化合物がより好ましく、トリチオール化合物が更により好ましい。具体的には下記一般式(7−1)〜(7−12)で表される化合物が好ましい。
【0156】
(式中、R
65は炭素原子数2〜18のアルキル基を表し、該アルキル基は直鎖であっても分岐鎖であっても良く、該アルキル基中の1つ以上のメチレン基は酸素原子、及び硫黄原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子、硫黄原子、−CO−、−OCO−、−COO−、又は−CH=CH−で置換されていてもよく、R
66は炭素原子数2〜18のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の1つ以上のメチレン基は酸素原子、及び硫黄原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子、硫黄原子、−CO−、−OCO−、−COO−、又は−CH=CH−で置換されていてもよい。)
連鎖移動剤は、重合性化合物を有機溶剤に混合し加熱攪拌して重合性溶液を調製する工程において添加することが好ましいが、その後の、重合性溶液に重合開始剤を混合する工程において添加してもよいし、両方の工程において添加してもよい。
連鎖移動剤の添加量は重合性液晶組成物に対して、0.5〜10質量%であることが好ましく、1.0〜5.0質量%であることがより好ましい。
【0157】
更に物性調整のため、重合性でない液晶化合物、あるいは液晶性のない重合性化合物等も必要に応じて添加することも可能である。液晶性のない重合性化合物は、重合性化合物を有機溶剤に混合し加熱攪拌して重合性溶液を調製する工程において添加することが好ましいが、重合性でない液晶化合物等は、その後の、重合性溶液に重合開始剤を混合する工程において添加してもよいし、両方の工程において添加してもよい。これらの化合物の添加量は重合性液晶組成物に対して、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更により好ましい。
【0158】
本発明の重合性混合物、又は重合性組成物には、目的に応じて他の添加剤、例えば、チキソ剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、抗酸化剤、表面処理剤等の添加剤を液晶の配向能を著しく低下させない程度添加することができる。
【0159】
(混合物、組成物の製造・精製・濾過方法)
本願発明のケイ素化合物の含有量が低濃度で特定の範囲にある、2種以上のメソゲン基を含有する化合物の混合物、及び、有機溶剤に2種以上のメソゲン基を含有する化合物を混合してなる組成物は、メソゲン基を含有する化合物の合成工程において、シリカゲル等のケイ素化合物以外の吸着剤を用いて精製を行って得られる化合物を用い、当該混合物又は組成物に特定量ケイ素化合物を混合することにより得られるが、用いるすべてのメソゲン基を含有する化合物は、ケイ素化合物以外の吸着剤を用いて精製する必要がある。ここで、ケイ素化合物以外の吸着剤としては、アルミナ、活性炭等が挙げられ、ケイ素化合物の吸着剤としては、シリカゲル、フロリジル、珪藻土、ゼオライト等が挙げられる。
【0160】
本願発明のケイ素化合物の含有量が低濃度で特定の範囲にある、2種以上のメソゲン基を含有する化合物の混合物、及び、有機溶剤に2種以上のメソゲン基を含有する化合物を混合してなる組成物のもう1つの製造方法としては、シリカゲル等のケイ素化合物による精製工程を経て得られる、2種以上のメソゲン基を含有する原料化合物を混合した混合物、又は、有機溶剤に該2種以上のメソゲン基を含有する原料化合物を溶解した組成物をフィルターで濾過する方法が挙げられる。フィルターの孔径としては、0.1μm以上〜1μm以下が好ましく、0.1μm以上〜0.45μm以下がより好ましく、0.1μm以上〜0.22μm以下が更に好ましい。フィルターの膜厚としては、60μm以上〜100μm以下が好ましい。また、濾過工程の回数を1回から、複数回に増加させることにより、混合物、組成物中のケイ素化合物の含有量を低減することができ、例えば、0.1μmの孔径を有するフィルターを用いて濾過した後に、更に、0.1μmの孔径を有するフィルターを用いて濾過した混合物、又は、組成物を用いることで、耐傷性、密着性が良好な光学異方体を得ることができる。また、有機溶剤に原料化合物を溶解した組成物を濾過する場合においては、濾過を行う前に、あらかじめフィルターを用いる有機溶剤により、通液し原料化合物が孔から通過しやすいようにすることでも、効果的に組成物中のケイ素化合物の含有量を低減することができる。さらに、濾過時の加圧条件により、濾過後のケイ素化合物の含有量を調節することができる。したがって、用いるフィルターの孔径は、精製コストと精製時間を考慮した上で、濾過時の加圧条件、濾過回数等を加味し、適宜調節することが好ましい。
【0161】
フィルターの材質は、紙、布、不織布、セルロース、ニトロセルロース、セルロース混合エステル、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ナイロン、ポリ四フッ化エチレン(PTFE)、親水性PTFE、フッ化ポリビニリデン、ポリエーテルスルフォン(PES)、ガラス繊維等が挙げられるが、PTFE又はフッ化ポリビニリデンが好ましい。
【0162】
(光学異方体の製造方法)
(光学異方体)
本発明の重合性液晶組成物を用いて作製した光学異方体は、基材、必要に応じて配向膜、及び、重合性液晶組成物の重合体
組成物を順次積層したものである。
【0163】
本発明の光学異方体に用いられる基材は、液晶デバイス、ディスプレイ、光学部品や光学フィルムに通常使用する基材であって、本発明の重合性液晶組成物の塗布後の乾燥時における加熱に耐えうる耐熱性を有する材料であれば、特に制限はない。そのような基材としては、ガラス基材、金属基材、セラミックス基材やプラスチック基材等の有機材料が挙げられる。特に基材が有機材料の場合、セルロース誘導体、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリアリレート、ポリエーテルサルホン、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ナイロン又はポリスチレン等が挙げられる。中でもポリエステル、ポリスチレン、ポリオレフィン、セルロース誘導体、ポリアリレート、ポリカーボネート等のプラスチック基材が好ましい。
【0164】
本発明の重合性液晶組成物の塗布性や接着性向上のために、これらの基材の表面処理を行っても良い。表面処理として、オゾン処理、プラズマ処理、コロナ処理、シランカップリング処理などが挙げられる。また、光の透過率や反射率を調節するために、基材表面に有機薄膜、無機酸化物薄膜や金属薄膜等を蒸着など方法によって設ける、あるいは、光学的な付加価値をつけるために、基材がピックアップレンズ、ロッドレンズ、光ディスク、位相差フィルム、光拡散フィルム、カラーフィルター、等であっても良い。中でも付加価値がより高くなるピックアップレンズ、位相差フィルム、光拡散フィルム、カラーフィルターは好ましい。
【0165】
また、上記基材には、本発明の重合性液晶組成物を塗布乾燥した際に重合性液晶組成物が配向するように、通常配向処理が施されている、あるいは配向膜が設けられていても良い。配向処理としては、延伸処理、ラビング処理、偏光紫外可視光照射処理、イオンビーム処理等が挙げられる。配向膜を用いる場合、配向膜は公知慣用のものが用いられる。そのような配向膜としては、ポリイミド、ポリシロキサン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルホン、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、アクリル樹脂、クマリン化合物、カルコン化合物、シンナメート化合物、フルギド化合物、アントラキノン化合物、アゾ化合物、アリールエテン化合物等の化合物が挙げられる。ラビングにより配向処理する化合物は、配向処理、もしくは配向処理の後に加熱工程を入れることで材料の結晶化が促進されるものが好ましい。ラビング以外の配向処理を行う化合物の中では光配向材料を用いることが好ましい。
【0166】
(塗布)
本発明の光学異方体を得るための塗布法としては、アプリケーター法、バーコーティング法、スピンコーティング法、ロールコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、フレキソコーティング法、インクジェット法、ダイコーティング法、キャップコーティング法、ディップコーティング法、スリットコーティング法等、公知慣用の方法を行うことができる。重合性液晶組成物を塗布後、乾燥させる。
【0167】
(重合工程)
本発明の重合性液晶組成物の重合操作については、重合性液晶組成物中の液晶化合物が基材に対して水平配向、垂直配向、又はハイブリッド配向、あるいはコレステリック配向(平面配向)した状態で一般に紫外線等の光照射、あるいは加熱によって行われる。重合を光照射で行う場合は、具体的には390nm以下の紫外光を照射することが好ましく、250〜370nmの波長の光を照射することが最も好ましい。但し、390nm以下の紫外光により重合性組成物が分解などを引き起こす場合は、390nm以上の紫外光で重合処理を行ったほうが好ましい場合もある。この光は、拡散光で、かつ偏光していない光であることが好ましい。
【0168】
(重合方法)
本発明の重合性液晶組成物を重合させる方法としては、活性エネルギー線を照射する方法や熱重合法等が挙げられるが、加熱を必要とせず、室温で反応が進行することから活性エネルギー線を照射する方法が好ましく、中でも、操作が簡便なことから、紫外線等の光を照射する方法が好ましい。照射時の温度は、本発明の重合性液晶組成物が液晶相を保持できる温度とし、重合性液晶組成物の熱重合の誘起を避けるため、可能な限り30℃以下とすることが好ましい。尚、液晶組成物は、通常、昇温過程において、C(固相)−N(ネマチック)転移温度(以下、C−N転移温度と略す。)から、N−I転移温度範囲内で液晶相を示す。一方、降温過程においては、熱力学的に非平衡状態を取るため、C−N転移温度以下でも凝固せず液晶状態を保つ場合がある。この状態を過冷却状態という。本発明においては、過冷却状態にある液晶組成物も液晶相を保持している状態に含めるものとする。具体的には390nm以下の紫外光を照射することが好ましく、250〜370nmの波長の光を照射することが最も好ましい。但し、390nm以下の紫外光により重合性組成物が分解などを引き起こす場合は、390nm以上の紫外光で重合処理を行ったほうが好ましい場合もある。この光は、拡散光で、かつ偏光していない光であることが好ましい。紫外線照射強度は、0.05kW/m
2〜10kW/m
2の範囲が好ましい。特に、0.2kW/m
2〜2kW/m
2の範囲が好ましい。紫外線強度が0.05kW/m
2未満の場合、重合を完了させるのに多大な時間がかかる。一方、2kW/m
2を超える強度では、重合性液晶組成物中の液晶分子が光分解する傾向にあることや、重合熱が多く発生して重合中の温度が上昇し、重合性液晶のオーダーパラメーターが変化して、重合後のフィルムのリタデーションに狂いが生じる可能性がある。
【0169】
マスクを使用して特定の部分のみを紫外線照射で重合させた後、該未重合部分の配向状態を、電場、磁場又は温度等をかけて変化させ、その後該未重合部分を重合させると、異なる配向方向をもった複数の領域を有する光学異方体を得ることもできる。
また、マスクを使用して特定の部分のみを紫外線照射で重合させる際に、予め未重合状態の重合性液晶組成物に電場、磁場又は温度等をかけて配向を規制し、その状態を保ったままマスク上から光を照射して重合させることによっても、異なる配向方向をもった複数の領域を有する光学異方体を得ることができる。
【0170】
本発明の重合性液晶組成物を重合させて得られる光学異方体は、基板から剥離して単体で光学異方体として使用することも、基板から剥離せずにそのまま光学異方体として使用することもできる。特に、他の部材を汚染し難いので、被積層基板として使用したり、他の基板に貼り合わせて使用したりするときに有用である。
【0171】
(用途)
本願発明の重合性液晶組成物を水平配向、垂直配向、又はハイブリッド配向、あるいはコレステリック配向した状態で重合して得られる重合体は、配向性能を有する光学異方体として、光学補償膜、位相差膜、視野角拡大フィルム、輝度向上フィルム、反射フィルム、偏光フィルムとして用いることができる。また、当該重合体は、放熱性を有する接着剤、封止剤、放熱シート、セキュリティー印刷用インキとして用いることができる。
【実施例】
【0172】
以下に本発明を合成例、実施例、及び、比較例によって説明するが、もとより本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
【0173】
メソゲン基を含有する化合物の原料化合物としては、下記式(A1)〜式(A11)、式(B1)〜(B12)、式(C1)で表される化合物を用いた。各原料化合物のケイ素化合物の含有量(質量%)をICP発光分析装置により測定(測定条件:各原料化合物0.03gをキシレン10gに溶解して測定)したところ、それぞれ、以下の含有量であった。式(A1):1250ppm、式(A2):1100ppm、式(A3):1465ppm、式(A4):1360ppm、式(A5):1340、式(A6):1440、式(A7):1330ppm、式(A8):1155ppm、式(A9):1570ppm、式(A10):1470ppm、式(A11):1400ppm。式(B1):1500ppm、式(B2):1400ppm、式(B3):1340ppm、式(B4):1220ppm、式(B5):1160ppm、式(B6):1450ppm、式(B7):1560ppm、式(B8):1560ppm、式(B9):1350ppm、式(B10):1340ppm、式(B11):1260ppm、(B12):1430ppm、式(B13):1230ppm、(B14):1400ppm、式(B15):1222ppmであった。
【0174】
【化57】
【0175】
【化58】
【0176】
【化59】
【0177】
【化60】
【0178】
イルガキュア907(D1)
ルシリンTPO(D2)
イルガキュア819(D3)
TAZ−A(D4)
p−メトキシフェノール(E1)
ポリプロピレン(重量平均分子量(MW):1275)(F1)
流動パラフィン(F2)
メガファックF−554(F3)
BYK361N(F4)
メガファックFC−171(F5)
【0179】
【化61】
【0180】
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(H1)
シクロペンタノン(H2)
トルエン(H3)
【0181】
(重合性液晶組成物(1)の調製)
原料化合物(A1〜A11、B1〜B15、C1)である、式(A1)で表される化合物50部、式(A2)で表される化合物10部、式(A3)で表される化合物20部、式(B1)で表される化合物10部、式(B2)で表される化合物10部を、有機溶媒であるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)(H1)400部、式(E1)で表される化合物0.1部、式(F1)で表される化合物0.1部、式(D1)で表される化合物3部を、攪拌プロペラを有する攪拌装置を用いて、攪拌速度が500rpm、溶液温度が60℃の条件下で1時間攪拌した。0.1μm(PTFE、膜厚:60μm)のメンブランフィルターを用い濾過圧力を0.20MPaになるよう調節して濾過後、再度、0.1μmのメンブランフィルターを用い濾過圧力を0.20MPaになるよう調節して濾過し、重合性液晶組成物(1)を得た。
(重合性液晶組成物(2)〜(34)、比較用重合性液晶組成物(35)〜(68)の調製)
【0182】
本発明の重合性液晶組成物(1)の調製と同様に、表1、表3、表5、表7、又は、表9に示す式(A1〜A11、B1〜B15、C1)で表される化合物、及び、表2、表4、表6、表8、又は、表10に示す式(D1〜D4、E1、F1〜F5、G1〜G4を、PGMEA(H1)、シクロペンタノン(H2)、トルエン(H3)から選択される有機溶剤(表1、表3、表5、表7、又は、表9に示す割合)に、攪拌プロペラを有する攪拌装置を用いて、重合性液晶組成物(1)を得た場合と同一攪拌速度、同一溶液温度に設定して、1時間攪拌後、表1、表3、表5、表7、又は、表9に示す孔径のメンブランフィルター(PTFE、孔径:0.1〜1μm、膜厚:60〜100μm)で、各濾過圧力で、各回数濾過し、重合性液晶組成物(2)〜(34)、比較用重合性液晶組成物(35)〜(68)をそれぞれ得た。
【0183】
なお、表1、表3、表5、表7、又は、表9において、[孔径1]、[孔径2]、[孔径3]の部分に表す数値は、用いたメンブランフィルターの孔径(μm)を表し、濾過工程を1回のみ行った場合は、[孔径1]の部分に用いたメンブランフィルターの孔径(μm)を示し、[孔径2]及び、[孔径3]の部分は、[−]と示す。濾過工程を2回行った場合は、[孔径1]、[孔径2]の部分に用いたメンブランフィルターの孔径(μm)をそれぞれ示す。同様に、濾過工程を3回行った場合は、[孔径1]、[孔径2]、[孔径3]の部分に用いたメンブランフィルターの孔径(μm)をそれぞれ示す。また、表1、表3、表5、表7、又は、表9における「濾過圧力(MPa)」の記載は濾過時の圧力を表し、濾過工程を複数回行う場合は何れの工程も同一圧力にて濾過を行った。さらに、表1、表3、表5、表7、又は、表9における「通液有無」とは、濾過を行う前に、あらかじめフィルターを、重合性液晶組成物を製造する際に用いる有機溶剤により、通液する工程を行った場合「有」とし、通液する工程を行わなかった場合「無」と記載した。なお通液工程が「有」で、複数回濾過を行う場合はそのすべての濾過工程の前に通液作業を行った。
【0184】
【表1】
【0185】
【表2】
【0186】
【表3】
【0187】
【表4】
【0188】
【表5】
【0189】
【表6】
【0190】
【表7】
【0191】
【表8】
【0192】
【表9】
【0193】
【表10】
【0194】
(実施例1〜34、比較例1〜26)
(ケイ素化合物含有量)
上記の方法により得られた各重合性液晶組成物中に含まれるケイ素化合物の含有量を測定し、2種以上のメソゲン基を含有する化合物のみからなる混合物(すなわち、上記式(A1)〜式(A11)、式(B1)〜(B15)、式(C1)で表される化合物のみからなる混合物)とした場合の、濾過後の当該混合物中に含まれるケイ素化合物の含有量(質量%)を算出した。
【0195】
(耐傷性)
配向膜用ポリイミド溶液を、室温で、厚さ0.7mmのガラス基板にスピンコート法を用いて塗布し、100℃で10分乾燥した後、200℃で60分焼成することにより塗膜を得て、得られた塗膜をラビング処理して基材を得た。調製した重合性液晶組成物を室温で、該基材に、スピンコーターで塗布した後、80℃で2分乾燥した。その後、室温で2分放置した後に、コンベア式の高圧水銀ランプを使用して、照度が500mJ/cm
2となるようにセットしてUV光を照射した。JIS K5600−5−4に則り、塗膜の鉛筆硬度を測定した。
【0196】
(密着性)
配向膜用ポリイミド溶液を、室温で、厚さ0.7mmのガラス基板にスピンコート法を用いて塗布し、100℃で10分乾燥した後、200℃で60分焼成することにより塗膜を得て、得られた塗膜をラビング処理して基材を得た。調製した重合性液晶組成物を室温で、該基材に、スピンコーターで塗布した(膜厚:2μm)後、80℃で2分乾燥した。室温で2分放置した後に、コンベア式の高圧水銀ランプを使用して、照度が500mJ/cm
2となるようにセットしてUV光を照射した。重合性液晶組成物を重合して得られた面にUVコート剤(ユニディックV−4025を塗布した。JIS K5600−5−6に則り、カッターを用いたクロスカット法を用いて、カッターで碁盤目状に切り目を入れ、2mm角の碁盤目にし、複層塗膜の密着性を測定した。
分類0:いずれの基盤目にもはがれがない
分類1:カットの交差点における塗膜の小さなはがれが確認される(5%未満)。
分類2:塗膜がカットの線に沿って、交差点においてはがれている(5%以上15%未満)。
分類3:塗膜がカットの線に沿って部分的、全面的にはがれている(15%以上35%未満)。
分類4:塗膜がカットの線に沿って部分的、全面的に大きくはがれを生じている(35%以上65%未満)。
分類5:分類4以上
【0197】
(配向性1、配向性2)
調製した重合性液晶組成物を室温で、TAC(トリアセチルセルロース)フィルム上にバーコーター♯4で塗布した後、80℃で2分乾燥した。その後、室温で15分放置した後に、コンベア式の高圧水銀ランプを使用して、照度が500mJ/cm
2となるようにセットしてUV光を照射した(配向性1)。
【0198】
配向膜用ポリイミド溶液を、室温で、厚さ0.7mmのガラス基板にスピンコート法を用いて塗布し、100℃で10分乾燥した後、200℃で60分焼成することにより塗膜を得て、得られた塗膜をラビング処理して基材を得た。調製した重合性液晶組成物を、該基材にスピンコーターで塗布した後、80℃で2分乾燥した。その後、室温で2分放置した後に、照度が500mJ/cm
2となるようにセットしてUV光を照射した(配向性2)。
【0199】
なお、重合性液晶組成物(12)及び(16)の配向性2試験は、配向膜用ポリイミド溶液を、室温で、厚さ0.7mmのガラス基板にスピンコート法を用いて塗布し、100℃で10分乾燥した後、200℃で60分焼成することにより塗膜を得て、該重合性液晶組成物(12)又は(16)を、該基材にスピンコーターで塗布した後、80℃で2分乾燥した。その後、室温で2分放置した後に、照度が500mJ/cm
2となるようにセットしてUV光を照射して行った(塗膜のラビング処理なし。)。
○:目視で欠陥が全くなく、偏光顕微鏡観察でも欠陥が全くない
×:目視で一部欠陥が生じており、偏光顕微鏡観察でも全体的に無配向部分が存在している
得られた結果を以下の表に示す。
【0200】
【表11】
【0201】
【表12】
【0202】
以上の結果から、ケイ素化合物の含有量が低濃度であるメソゲン基を含有する化合物を用いた、本発明の重合性液晶組成物は、耐傷性、密着性、配向性に優れる光学異方体を得られることが分かる。特に、2種以上のメソゲン基を含有する化合物のみからなる混合物とした場合の、当該混合物中に含まれるケイ素化合物の含有量が50ppm以下である場合は、配向性に優れ、耐傷性、及び、密着性のバランスに優れた光学異方体を得ることができる。しかし、2種以上のメソゲン基を含有する化合物のみからなる混合物とした場合の、当該混合物中に含まれるケイ素化合物の含有量が1ppm以下である場合、耐傷性及び密着性が劣る光学異方体しか得られなかった。