(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
高真空以下まで真空排気できる第一の真空ポンプと、大気圧から中真空又は低真空まで真空排気できる第二の真空ポンプを備え、大気圧から高真空以下まで排気する真空排気装置であって、前記第一の真空ポンプと前記第二の真空ポンプとを防振材料を介して連結して一体化し、
前記第一の真空ポンプと前記第二の真空ポンプとの連結部は、一方の真空ポンプに固定された締結部品と、締結部品の穴部に挿入された防振ブッシュと、締結部品を防振ブッシュを介して他方の真空ポンプに固定するボルトとからなり、
前記締結部品には、排気通路が形成されていることを特徴とする真空排気装置。
高真空以下まで真空排気できる第一の真空ポンプと、大気圧から中真空又は低真空まで真空排気できる第二の真空ポンプを備え、大気圧から高真空以下まで排気する真空排気装置であって、前記第一の真空ポンプと前記第二の真空ポンプとを防振材料を介して連結して一体化し、
前記第一の真空ポンプと前記第二の真空ポンプとの連結部は、一方の真空ポンプに固定された締結部品と、締結部品の穴部に挿入された防振ブッシュと、締結部品を防振ブッシュを介して他方の真空ポンプに固定するボルトとからなり、
前記防振ブッシュは2つの部品からなり、締結部品の穴部内に形成されたフランジ部を狭持することを特徴とする真空排気装置。
高真空以下まで真空排気できる第一の真空ポンプと、大気圧から中真空又は低真空まで真空排気できる第二の真空ポンプを備え、大気圧から高真空以下まで排気する真空排気装置であって、前記第一の真空ポンプと前記第二の真空ポンプとを防振材料を介して連結して一体化し、
前記第一の真空ポンプの軸心と、前記第一の真空ポンプと前記第二の真空ポンプとを連結して一体化した真空排気装置の重心位置が合うようにしていることを特徴とする真空排気装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、容積式真空ポンプと運動量移送式真空ポンプからなる2台の真空ポンプを直列接続することにより気体を超高真空から大気圧まで圧縮できるようにした真空排気装置においては、容積式真空ポンプは大気圧領域で排気効率が良いので、高効率の排気系を実現できるが、振動の発生や大気圧までの圧縮に伴う発熱などのため、真空容器(真空チャンバ)の近傍に設置されていない。
また、1台の真空ポンプで超高真空から大気圧まで圧縮できる真空ポンプにあっては、排気性能の制約の問題や運転動力の増大の問題がある。
【0009】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたもので、気体を超高真空から大気圧まで圧縮できる真空排気装置であり、排気系のシンプル化および運転動力が小さく高効率化を図ることができるとともに、真空容器近傍もしくは真空容器に直接に任意の方向に取り付けることができる真空排気装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するため、本発明の一態様は、第一の真空ポンプと、第二の真空ポンプを備えた真空排気装置であって、前記第一の真空ポンプと前記第二の真空ポンプとを防振材料を介して連結して一体化し、前記第一の真空ポンプの回転軸の軸心と前記第二の真空ポンプの回転軸の軸心とは、互いに直交して配置され
、前記第一の真空ポンプと前記第二の真空ポンプとの連結部は、一方の真空ポンプに固定された締結部品と、締結部品の穴部に挿入された防振ブッシュと、締結部品を防振ブッシュを介して他方の真空ポンプに固定するボルトとからなることを特徴とする。
【0011】
本発明の他の態様は、高真空以下まで真空排気できる第一の真空ポンプと、大気圧から中真空又は低真空まで真空排気できる第二の真空ポンプを備え、大気圧から高真空以下まで排気する真空排気装置であって、前記第一の真空ポンプと前記第二の真空ポンプとを防振材料を介して連結して一体化し、前記第一の真空ポンプと前記第二の真空ポンプとの連結部は、一方の真空ポンプに固定された締結部品と、締結部品の穴部に挿入された防振ブッシュと、締結部品を防振ブッシュを介して他方の真空ポンプに固定するボルトとからなり、前記締結部品には、排気通路が形成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の
他の態様は、高真空以下まで真空排気できる第一の真空ポンプと、大気圧から中真空又は低真空まで真空排気できる第二の真空ポンプを備え、大気圧から高真空以下まで排気する真空排気装置であって、前記第一の真空ポンプと前記第二の真空ポンプとを防振材料を介して連結して一体化し、前記第一の真空ポンプと前記第二の真空ポンプとの連結部は、一方の真空ポンプに固定された締結部品と、締結部品の穴部に挿入された防振ブッシュと、締結部品を防振ブッシュを介して他方の真空ポンプに固定するボルトとからなり、前記防振ブッシュは2つの部品からなり、締結部品の穴部内に形成されたフランジ部を狭持することを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記防振ブッシュの2つの部品は、接着剤により一体に固着されていることを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記締結部品の穴部は複数個あり、前記複数の穴部にそれぞれ防振ブッシュが挿入されていることを特徴とする。
本発明の
他の態様は、高真空以下まで真空排気できる第一の真空ポンプと、大気圧から中真空又は低真空まで真空排気できる第二の真空ポンプを備え、大気圧から高真空以下まで排気する真空排気装置であって、前記第一の真空ポンプと前記第二の真空ポンプとを防振材料を介して連結して一体化し、前記第一の真空ポンプの軸心と、前記第一の真空ポンプと前記第二の真空ポンプとを連結して一体化した真空排気装置の重心位置が合うようにしていることを特徴とする。
【0013】
本発明の実施形態によれば、高真空以下まで真空排気できる第一の真空ポンプと、大気圧から中真空又は低真空まで真空排気できる第二の真空ポンプを備え、大気圧から高真空以下まで排気する真空排気装置であって、前記第一の真空ポンプと前記第二の真空ポンプとを連結して一体化し、前記第一の真空ポンプと前記第二の真空ポンプの連結部に防振機構を設け、前記連結部とは別に、前記第一の真空ポンプの排気口と前記第二の真空ポンプの吸気口を接続する防振材料からなる排気通路部品を設けたことを特徴とする。
ここで、高真空とは、0.1〜10−5Paの圧力の状態を云い、中真空とは、100〜0.1Paの圧力の状態を云い、低真空とは、大気圧未満〜100Paの圧力の状態を云う。また、超高真空とは、10−5〜10−8Paの圧力の状態を云い、極高真空とは、10−8Pa以下の圧力の状態を云う(地球上で作ることができる真空状態としては現在のところ、10−10Pa程度である)。
【0014】
上記実施形態によれば、第一の真空ポンプと第二の真空ポンプとを連結して一体化することで、ユーザは容器内の超高真空排気を1台のポンプシステムで構築・実施することが可能となり、且つ高真空以下まで真空排気できる第一の真空ポンプと大気圧から中真空又は低真空まで真空排気できる第二の真空ポンプの組合せという構成を持つことで、中真空領域および超高真空領域でそれぞれのポンプが適切な消費動力を持って排気することが可能となる。したがって、1つのポンプ方式、たとえば容積式真空ポンプで超高真空領域の排気、或いは運動量移送式ポンプで大気領域の排気をするといったポンプとして排気効率が悪い運転状態に本質的にならないポンプを提供することが可能である。
【0015】
上記「第一の真空ポンプと第二の真空ポンプを連結して一体化する」とは、第一の真空ポンプと第二の真空ポンプとを連結して一体化することにより、物理的に一つのポンプユニットとすることである。この場合、真空排気装置のポンプ全体を一括して運転制御する制御装置を前記ポンプユニットに取り付けて一体化してもよいし、前記ポンプユニットの近傍に設置してもよい。第一の真空ポンプと第二の真空ポンプとを連結して一体化する場合、第一の真空ポンプと第二の真空ポンプとを直接に連結してもよいし、第一の真空ポンプと第二の真空ポンプとの間に連結用部材を設けてもよい。
大気圧まで圧縮排気している第二の真空ポンプの振動は、第一の真空ポンプに比べて非常に大きい。第一の真空ポンプと第二の真空ポンプとを一体化した本発明の真空排気装置の振動が大きいと、真空容器の近傍への設置が出来なくなる恐れがある。そのため、第二の真空ポンプからの振動を防振する防振機構を2台のポンプの連結部に設けることにより、第一の真空ポンプへ伝わる振動レベルが低減する。防振機構としては、ヤング率が1000KPa以下(1000〜10KPa)、アスカーC硬度が50以下(50〜4)の防振ゴム(天然ゴム、二トリルゴム、シリコンゴム、フッ素ゴムなど)、バネなどが考えられる。
排気通路部品が剛性の高い材料、構造の場合、その部品より振動が伝導してしまう。上記実施形態によれば、排気通路部品を防振作用のある材料で成形することにより、第二の真空ポンプから第一の真空ポンプへ伝播してくる振動を抑えることができる。防振材料としては、ヤング率が1000KPa以下(1000〜10KPa)、アスカーC硬度が50以下(50〜4)の天然ゴム、二トリルゴム、シリコンゴム、フッ素ゴムなどのゴム材を用い、チューブ状、もしくはブロック状に成形してもよい。
【0016】
本発明の実施形態によれば、前記第一の真空ポンプの回転軸の軸心と前記第二の真空ポンプの回転軸の軸心とは、互いに直交して配置されていることを特徴とする。
第一の真空ポンプと第二の真空ポンプでは、それぞれで運転中に発生する振動の方向性の傾向には、すなわち振動エネルギーの大きい方向には、大きな差異はなく、それぞれ回転軸のラジアル方向に回転体のアンバランスに起因する振動が発生する。もし、本発明のユニット化された真空排気装置において、第一の真空ポンプと第二の真空ポンプの回転軸を平行(直列)に配置した場合、回転軸の軸心と直交する方向(ラジアル方向)に発生する回転振動が、第一の真空ポンプと第二の真空ポンプで同時に発生し、共振振動などの発生によりポンプ機械部品の損傷などの可能性がある。また、ラジアル方向の振動が重ね合わされ、過大な振動として真空容器側へ伝わってしまう。このため、本発明では、第一の真空ポンプの回転軸の軸心と第二の真空ポンプの回転軸の軸心とは、互いに直交方向に配置することで、真空容器側へ取り付けられる第一の真空ポンプの回転軸のラジアル方向振動成分を抑える構造としている。
【0017】
本発明の実施形態によれば、前記第一の真空ポンプの回転軸および前記第二の真空ポンプの回転軸を支持する軸受は、自己潤滑性がある軸受、半固体潤滑剤または固体潤滑剤を内包した軸受、気体軸受、および磁気軸受のいずれかであり、前記第一の真空ポンプおよび前記第二の真空ポンプの設置方向がいずれの方向であっても前記回転軸の回転を維持することが可能なことを特徴とする。
上記実施形態によれば、第一の真空ポンプの回転軸を支持する軸受及び第二の真空ポンプの回転軸を支持する軸受は、自己潤滑性がある材料或は軌道内にグリスなどを内包した転がり軸受、或は自己潤滑性のあるジャーナル軸受、或は気体軸受もしくは磁気軸受などの非接触軸受の何れかを使用しており、設置方向がいずれの方向であっても回転軸が健全な状態で回転維持することが可能になっている。本発明の真空排気装置は、外観上は1つにまとめられたポンプユニットであるため、内部に第一の真空ポンプと第二の真空ポンプとが組み合わされていることをユーザが意識することはない。一般的に第二の真空ポンプとして用いられるドライ真空ポンプは、鉱物油などの粘度が低い潤滑油を軸受部に使用するため、ポンプ自体の取付方向にある程度の制約がある。これに対して、第一の真空ポンプとして用いられるターボ分子ポンプはグリスを主体とした潤滑油を使ったボールベアリング或いは非接触軸受を使って回転体を支えているため、取付方向には特段の制約がない。本発明のドライ真空ポンプは、鉱物油など粘度が低い潤滑油を軸受部に使用することなく、回転体を支えることが可能な軸受を使用することで、ポンプユニットとして取付方向に特段の制約が発生しない構造としている。
【0018】
本発明の実施形態によれば、前記第一の真空ポンプの底面部品と、前記第二の真空ポンプのケーシングとを一体化することにより、前記第一の真空ポンプと前記第二の真空ポンプとを一体化したことを特徴とする。
上記実施形態によれば、第一の真空ポンプの底面部品と第二の真空ポンプのポンプケーシングとを一体化部品として構成し、さらにこの一体化部品に第一の真空ポンプと第二の真空ポンプとを連通させる排気通路を取り込むようにしている。このように、底面部品とポンプケーシングとを共通化することにより、部品点数削減(低コスト化)およびユニット全体の省容積化を図ることができる。また、一体化部品に2台のポンプの排気通路を取り込んでしまうことにより、排気通路を短くできるのでコンダクタンスが大きくなり、第二の真空ポンプの低容量化に繋がる。そうすると、ポンプユニット全体での更なる低コスト化、小容積化を図ることができる。また、底面部品とポンプケーシングとを一体化したことにより2台のポンプの熱伝導性が向上する。大気圧までの圧縮を行う第二の真空ポンプは、超高真空側の第一の真空ポンプに比べて消費電力が大きく発熱量も多い。第二の真空ポンプが冷却水を用いる仕様の場合は、2台のポンプ間の熱伝導性を高めておけば、第二の真空ポンプに設置されている冷却機構のみで、効率よく2台のポンプの冷却(放熱)を行うことができる。
【0019】
本発明の実施形態によれば、前記第一の真空ポンプと前記第二の真空ポンプの連結部に断熱部材を設けるか、前記連結部の接触面積を小さくしたことを特徴とする。
第二の真空ポンプの冷却に冷却水を用いない場合には、第一の真空ポンプと第二の真空ポンプの連結部の熱伝導性を悪くするために、前記連結部に断熱部材を設ける、もしくは連結部接触面積を小さくする、もしくはその両方を実施することが有効である。第二の真空ポンプに冷却水の使用が認められない用途の場合、放熱方法は強制空冷となる。大気圧までの圧縮を行う第二の真空ポンプは、超高真空側の第一の真空ポンプに比べ消費電力が大きく発熱量も多い。冷却水にて効率よく排熱できる仕様に比べ、強制空冷での排熱性能は劣り、その分、2台のポンプ間の熱伝導性が良い場合、第二の真空ポンプからの発熱量が第一の真空ポンプ側へある程度伝導することが考えられ、場合によっては第一の真空ポンプの運転に支障を来たす可能性が考えられる。そこで、2台のポンプの連結部に断熱部材を設けるか、又は連結部の接触面積を小さくすることにより熱伝導を悪くし、第二の真空ポンプから第一の真空ポンプへの熱伝導を極力抑える。
【0020】
本発明の実施形態によれば、前記防振機構は、防振材料からなることを特徴とする。
【0021】
本発明の実施形態によれば、前記第一の真空ポンプと前記第二の真空ポンプは、複数の連結部によって連結されることを特徴とする。
【0022】
本発明の実施形態によれば、前記第一の真空ポンプの吸気口と前記第二の真空ポンプの吸気口とを接続して前記第一の真空ポンプをバイパスさせるバイパス流路を設けたことを特徴とする。
上記実施形態では、第一の真空ポンプの吸気口と第二の真空ポンプの吸気口とを接続するバイパス流路を設けることにより、第一の真空ポンプの吸気口から第二の真空ポンプの吸気口へ直接排気を行うことで、第一の真空ポンプをバイパスさせることが可能であり、真空容器の真空破壊が発生した場合でも第一の真空ポンプへの急激な負荷増加による回転体の破損を防止することができる。
【0023】
本発明の実施形態によれば、前記第一の真空ポンプの排気口と前記第二の真空ポンプの吸気口を接続する排気通路部品に、前記第一の真空ポンプ運転中に前記第二の真空ポンプから前記第一の真空ポンプへの逆流を防止するための逆流防止弁を設けたことを特徴とする。
上記実施形態は、第一の真空ポンプと第二の真空ポンプ間の排気流路も含めて第一の真空ポンプと第二の真空ポンプとを一体化したポンプ構成であるため、流路の圧力条件が既知であり、各ポンプの運転状態に異常が発生したとき、たとえば第二の真空ポンプの故障により第一の真空ポンプの背圧が急上昇した場合に、配管内部の所定の圧力差でそれ自身が自動的に閉止する構造を持った逆流防止弁を設置することで第一の真空ポンプの排気側の圧力急上昇を防止することが可能となる。
【0024】
本発明の実施形態によれば、前記第一の真空ポンプおよび前記第二の真空ポンプを制御する制御装置を前記第一の真空ポンプに連結して一体化するか又は別置することを特徴とする。
【0025】
本発明の実施形態によれば、前記制御装置は、前記第一の真空ポンプおよび第二の真空ポンプのそれぞれが定格回転速度に達し、排気対象の真空容器に外部からのガス導入が無い場合、少なくとも一方の真空ポンプのモータ印加電圧を低下させ、モータ最大効率点で運転継続するよう制御することが可能であることを特徴とする。
本発明の実施形態によれば、前記制御装置は、前記第一の真空ポンプおよび前記第二の真空ポンプのそれぞれについて、排気ガス流量によってポンプ回転速度を個別に変化させつつ、排気対象のチャンバ内圧力を目標とした圧力条件に維持するように制御することが可能であることを特徴とする。
【0026】
ユニット化された第一の真空ポンプと第二の真空ポンプにおいては、所定の口径・長さに設定された流路配管は一定であり、第一の真空ポンプと第二の真空ポンプのそれぞれの回転速度が変動した場合における流量・圧力変化には規則性がある。
通常、ポンプの排気速度制御を行う場合は、吸気側開口部面積をバルブなどを使って調整することにより行う。これに対して、本発明では、真空容器内圧力の制御を真空容器とポンプ間に備えられたバルブの開度調整で行うのではなく、第一の真空ポンプと第二の真空ポンプのいずれか或いはその両方のポンプ回転速度を制御することで、真空ポンプそれぞれの排気速度を調整し、ポンプシステム全体の排気速度を調整することが可能である。すなわち、制御用バルブなどを使用することなく、当該ポンプシステム1台で真空容器内圧力を調整することが可能である。
【0027】
本発明の実施形態によれば、前記第一の真空ポンプはターボ分子ポンプであり、前記第二の真空ポンプはドライ真空ポンプであることを特徴とする。
【0028】
本発明の実施形態によれば、前記第二の真空ポンプはドライ真空ポンプからなり、前記ドライ真空ポンプにおける一対のポンプロータの回転軸に一対のマグネットロータを取り付け、前記マグネットロータの磁極数は互いに同一であり、前記マグネットロータを異磁極同士が引き合うように配置し、前記マグネットロータの少なくとも1つの径方向外側に配置した鉄心と巻線とからなる複数相の電機子への通電の切り替えにより前記マグネットロータの少なくとも1つを駆動し、前記一対のポンプロータを同期反転させることを特徴とする。
【0029】
上記実施形態によれば、永久磁石と、永久磁石を回転させる巻線を備えた簡単な構成のモータで2軸のポンプロータを反対方向に同期して回転させることができる。そのため、2軸のポンプロータを同期させるタイミングギヤが不要で、オイルフリー、低振動・騒音を実現できるポンプである。軸受やタイミングギヤなどにオイルを用いていると、ポンプを傾けるとオイルが漏れてしまうため、ポンプの取付姿勢は限定されてしまうが、オイルフリーのためポンプの取付姿勢を自由に選択できる。また、タイミングギヤの接触に伴う振動・騒音が発生しない。
上記実施形態は上記構成のドライポンプを第二の真空ポンプとして用いることによって、第二の真空ポンプから第一の真空ポンプに伝わる振動を抑制することができ、第二の真空ポンプを第一の真空ポンプに連結して一体化することができる。第一の真空ポンプと第二の真空ポンプとを一体化する際に、第二の真空ポンプの取付姿勢を自由に選択することができる。そして、第一の真空ポンプと第二の真空ポンプとを一体化したユニットを真空容器(真空チャンバ)等の排気対象に取り付ける際に、一体化したユニットの取付姿勢を自由に選択することができる。
【0030】
本発明の実施形態によれば、前記第一の真空ポンプと前記第二の真空ポンプとは、それぞれ1台ずつの組合せまたは1台に対して複数台の組合せで構成されていることを特徴とする。
本発明の実施形態によれば、前記第一の真空ポンプと前記第二の真空ポンプとは、吸排気経路で連結され一体化していることを特徴とする。
上記実施形態によれば、1台の第一の真空ポンプに対して複数台の第二の真空ポンプを一体化することにより、第一の真空ポンプの排気容量に適合した排気容量を持った粗挽きポンプを構築することが可能となる。また、真空容器内の圧力制御を行う際に複数台の第二の真空ポンプを並列して制御できるため、より適切な圧力制御が可能となる。さらに、仮に第二の真空ポンプのうちの1台が停止しても残りの第二の真空ポンプで第一の真空ポンプをバックアップすることができるため、第二の真空ポンプのうちの1台が停止しても、第一のポンプが停止し真空容器の圧力が急上昇するような事態を防ぐことができる。
1台の第二の真空ポンプに対して複数台の第一の真空ポンプを一体化することにより、第一の真空ポンプのロータを小型化することができる。また、2台の真空ポンプまたは3台の真空ポンプを一体化することにより、1つの制御装置による制御が可能となる。
【0031】
本発明の実施形態によれば、前記第一の真空ポンプと前記第二の真空ポンプとは、第一の真空ポンプを1とした場合の第二の真空ポンプの軸方向寸法比が1〜0.6であり、第一の真空ポンプを1とした場合の第二の真空ポンプの容積比が0.3〜0.5であることを特徴とする。
第一の真空ポンプに対して第二の真空ポンプを小さくできるため、第二の真空ポンプを第一の真空ポンプに取り付けるに際して取付姿勢に制約を受けることがない。
また、第一の真空ポンプと第二の真空ポンプとに上記寸法比および容積比の組合せを採用することにより、第二の真空ポンプの数倍の排気容量がある1台の第一の真空ポンプに対して複数台の第二の真空ポンプを一体化することも可能である。
本発明の実施形態によれば、前記複数の連結部は、それぞれ防振材料を備え、該複数の防振材料は空間を隔てて互いに離間していることを特徴とする。
本発明の実施形態によれば、前記防振材料は、前記第一の真空ポンプと前記第二の真空ポンプとを締結する締結部品に取り付けられ、前記防振材料に固定用ボルトを挿通して該固定用ボルトを前記第一の真空ポンプに螺合することにより、前記締結部品は前記防振材料を介して前記第一の真空ポンプに固定されていることを特徴とする。
本発明の実施形態によれば、前記第二の真空ポンプは一対のロータを有する容積式真空ポンプであり、前記一対のロータはマグネットカップリングにより互いに反対方向に同期して回転することを特徴とする。
本発明の実施形態によれば、前記第一の真空ポンプの回転軸の軸心と前記第二の真空ポンプの回転軸の軸心とは、互いに直交して配置され、前記第一の真空ポンプの底面部品と、前記第二の真空ポンプのケーシングとを一体化することにより、前記第一の真空ポンプと前記第二の真空ポンプとを一体化したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明は、以下に列挙する効果を奏する。
(1)高真空以下まで真空排気できる第一の真空ポンプと大気圧から中真空又は低真空まで真空排気できる第二の真空ポンプとを一体化することで、超高真空排気を1台のポンプシステムで構築することが可能となる。また、高真空以下まで真空排気できる第一の真空ポンプと大気圧から中真空又は低真空まで真空排気できる第二の真空ポンプの組合せという構成を持つことで、中真空領域および超高真空領域でそれぞれポンプが高効率の運転状態で排気することが可能となり、システム全体の消費動力を低減できる。
(2)補助ポンプとしての第二の真空ポンプを第一の真空ポンプに一体化することができるため、補助ポンプの設置スペース(フットプリント)の削減を図ることができる。
(3)第一の真空ポンプと第二の真空ポンプとを一体化する際に、第二の真空ポンプの取付姿勢を自由に選択することができる。そして、第一の真空ポンプと第二の真空ポンプとを一体化したポンプユニットを真空容器(真空チャンバ)等の排気対象に取り付ける際に、一体化したポンプユニットの取付姿勢を自由に選択することができる。
(4)真空容器内圧力の制御を真空容器とポンプ間に備えられたバルブの開度調整で行うのではなく、第一の真空ポンプと第二の真空ポンプのいずれか或いはその両方のポンプ回転速度を制御することで、真空ポンプそれぞれの排気速度を調整し、ポンプシステム全体の排気速度を調整することが可能である。すなわち、制御用バルブなどを使用することなく、当該ポンプシステム1台で真空容器内圧力を調整することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明に係る真空排気装置の実施形態を
図1乃至
図25を参照して説明する。
図1乃至
図25において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図1(a),(b),(c)は、本発明に係る真空排気装置の第1の態様を示す図であり、
図1(a)は真空排気装置の部分断面正面図、
図1(b)は真空排気装置の部分断面側面図、
図1(c)は真空排気装置の部分断面底面図である。
図1(a),(b),(c)に示すように、本発明の真空排気装置は、高真空以下まで真空排気できる第一の真空ポンプ1と、大気圧から中真空又は低真空まで真空排気できる第二の真空ポンプ2とを備え大気圧力から超高真空領域まで排気する装置であって、第一の真空ポンプ1と第二の真空ポンプ2がユニット化されて一体の装置として構成されている。すなわち、第一の真空ポンプ1と第二の真空ポンプ2とは連結されて一体化されている。第一の真空ポンプ1はターボ分子ポンプからなり、第二の真空ポンプ2はドライ真空ポンプからなっている。第一の真空ポンプ1の排気口と第二の真空ポンプ2の吸気口は排気通路部品3によって接続されている。
【0035】
通常、所定の容器内のガスを大気圧領域から超高真空領域まで排気する場合、始めに第二の真空ポンプとして容積式ポンプ(ドライポンプ)を使って中真空圧力まで排気した後に、第一の真空ポンプとしてターボ分子ポンプを起動して超高真空領域まで排気と言う段階を追って、排気動作が行われる。従来の方法では、中真空圧力までを担う第二の真空ポンプ(例えばドライポンプ)と、超高真空領域を担う第一の真空ポンプ(例えばターボ分子ポンプ)をそれぞれ用意し、一連の排気が可能なように配管で接続して排気システムを構築していた。しかしながら、このような方法ではドライポンプとターボ分子ポンプをつなぐ排気管の長さ・口径によって、同一の容器を排気する場合であっても、排気時間や排気に必要な動力の変動、或いはそれぞれポンプ自体の選定を変える必要がある等、設備計画の上で専門の知識が必要とされる場合がある。
【0036】
本発明では、ターボ分子ポンプからなる第一の真空ポンプ1とドライ真空ポンプからなる第二の真空ポンプ2とを一体化してユニット化することで、ユーザは容器内の超高真空排気を1台のポンプシステムで構築・実施することが可能となり、且つターボ分子ポンプとドライ真空ポンプの組合せという構成を持つことで、中真空領域および超高真空領域でそれぞれのポンプが適切な消費動力を持って排気することが可能となる。したがって、本発明は、1つのポンプ方式、たとえば容積式真空ポンプで超高真空領域の排気、或いは運動量移送ポンプで大気領域の排気をするといったポンプとして排気効率が悪い運転状態に本質的にならないポンプを提供することが可能である。
【0037】
上記「第一の真空ポンプ1と第二の真空ポンプ2を連結して一体化する」とは、第一の真空ポンプ1と第二の真空ポンプ2とを連結して一体化することにより、
図1(a)に示すように物理的に一つのポンプユニットとすることである。この場合、真空排気装置のポンプ全体を一括して運転制御する制御装置を前記ユニットに取り付けて一体化してもよいし、前記ユニットの近傍に設置してもよい。
【0038】
図1(a),(b),(c)に示すように、第二の真空ポンプ2は、スクリュー型ドライ真空ポンプから構成されており、ポンプケーシング内に一対のスクリューロータ52a,52bを備えている(後述する)。
【0039】
図2は、
図1に示す第一の真空ポンプ1の詳細構造を示す模式的断面図である。
図2に示すように、第一の真空ポンプ1を構成するターボ分子ポンプは、ポンプケーシング9内に吸気口側から排気口側に向かってタービン翼排気部10とねじ溝排気部20とを順次配置して構成されている。タービン翼排気部10は、多段の回転翼としてのタービン翼11と、タービン翼11の直後流に配置された多段の固定翼14とから構成されている。多段のタービン翼11は、概略円筒状のロータ12に一体に形成されており、ロータ12は回転軸13に固定されている。一方、多段の固定翼14は、ポンプケーシング9内に積層されたスペーサ15によって挟持されることによりポンプケーシング9に固定されている。これにより、タービン翼排気部10において、回転翼としてのタービン翼11と、固定翼14とが交互に配置される構成になっている。
【0040】
また、ねじ溝排気部20は、円筒状のロータ12の外周面に形成された円筒ねじ溝21と、円筒ねじ溝21の外周側に対向して配置された円筒状のねじ溝スペーサ22とから構成されている。ねじ溝スペーサ22はポンプケーシング9に固定されている。
前記ロータ12の内側にはステータ25が配置されており、ステータ25はポンプケーシング9の下部フランジ9lfに固定されている基部26と、基部26より上方に延びるスリーブ部27とを備えている。ステータ25のスリーブ部27には、回転軸13に回転駆動力を与えるモータと回転軸13を回転自在に支承する軸受とを有した軸受モータ部30が配置されている。
【0041】
前記軸受モータ部30は、回転軸13に回転駆動力を与えるモータ31と、回転軸13をラジアル方向に支承する上ラジアル磁気軸受32,下ラジアル磁気軸受33と、排気部の排気作用による排気側と吸気側の差圧により生ずるスラスト力を打ち消す方向に作用するスラスト磁気軸受34を備えている。モータ31は高周波モータから構成されている。上ラジアル磁気軸受32,下ラジアル磁気軸受33,スラスト磁気軸受34は、いずれも能動型磁気軸受である。
【0042】
前記ポンプケーシング9の上端部には上部フランジ9ufが形成されており、上部フランジ9ufの内側が吸気口SPになっており、上部フランジ9ufに排気すべき真空容器(真空チャンバ)が接続される。また、ステータ25の基部26にはフランジ26fが形成されており、フランジ26fの内側が排気口DPになっている。フランジ26fに排気通路部品3(
図1参照)が接続され、この排気通路部品3によってターボ分子ポンプからなる第一の真空ポンプ1は第二の真空ポンプ2に連通されるようになっている。
【0043】
図3は、
図1に示す第二の真空ポンプ2の詳細構造を示す模式的断面図である。
図3に示すように、第二の真空ポンプ2はスクリュー型ドライ真空ポンプから構成されている。真空ポンプのポンプケーシング50内に2本の回転軸51a,51bが平行に並んで配置され、それぞれの回転軸51a,51bは軸受53により回転自在に支承されている。回転軸51aには右ねじ状の歯を有するスクリューロータ52aが固定され、回転軸51bには左ねじ状の歯を有するスクリューロータ52bが固定されている。スクリューロータ52a,52bは、回転軸51a,51bを支承する軸受53間に位置を合わせて並んで配置されている。
【0044】
図3に示すように、スクリューロータ52a,52bの外周部とポンプケーシング50の内周面との間には微小なクリアランスが形成され、スクリューロータ52a,52bがポンプケーシング50内で非接触で回転可能となっている。また、スクリューロータ52a,52bの対向部には右ねじ状の歯と左ねじ状の歯が形成されており、スクリューロータ52a,52b同士は非接触で回転するようになっている。回転軸51a,51bの端部には一対のマグネットロータ54,54が固定されている。また、ポンプケーシング50の側面(
図3の紙面と平行な面)には吸気口SPが設けられるとともに、排気口DPが設けられている。第二の真空ポンプ2の吸気口SPは排気通路部品3(
図1参照)によって第一の真空ポンプ1の排気口DPに接続されている。一方の軸受53はポンプケーシング50に固定され、他方の軸受53は軸受ハウジング55及び軸受押さえ56に固定されている。軸受ハウジング55はポンプケーシング50に固定されており、軸受押さえ56は軸受ハウジング55に固定されている。
【0045】
図4は、
図3のIV−IV線断面図である。
図4に示すように、一対のマグネットロータ54,54は同一の構成を有し、平行に並んで配置されている。各マグネットロータ54は、磁性材のヨーク54bと、その外周面に取り付けられたリング形状のマグネット54aとを備えている。マグネット54aは8極に着磁しており、これにより、各マグネットロータ54の外周面には8極の磁極が形成されている。なお、マグネットロータ54の磁極数を8極としたが、この磁極数は偶数(2n:n=1,2,・・・)であれば良い。一対のマグネットロータ54,54は異磁極が引き合うように対向し、かつクリアランスCを保って配置されている。一対のスクリューロータ52a,52bは、一対のマグネットロータ54,54のマグネットカップリング作用により滑らかに反対方向に同期して回転することが可能になっている。また、一対のスクリューロータ52a,52bの同期して回転する力をさらに強めたい場合には、マグネットロータを一組のみならず複数組を回転軸51a,51bに取り付けてもよい。
【0046】
スクリュー型ドライ真空ポンプは、各マグネットロータ54の外周面の一部に近接して配置された鉄心57aと巻線57bとから成る三相(U,V,W)の電機子57による駆動方法を採用している。三相の電機子57はマグネットロータ54同士が対向する側とは反対側に2セット配置されている。このことはマグネットロータ54同士が互いに引き合う力をマグネットロータ54と鉄心57aとの間に作用する引力でキャンセルする狙いがある。なお、回転軸51a,51bを中心に配置された電機子57の各相の開角は60度となっている。
【0047】
三相の巻線57b(U
1,V
1,W
1,U
1′,V
1′,W
1′)は、一対のマグネットロータ54,54と一対の電機子57,57とにより2軸同期ブラシレス直流モータを構成する。巻線U
1′,V
1′,W
1′は、それぞれ巻線U
1,V
1,W
1と逆方向に巻かれている。マグネットロータ54の磁極位置に応じてi
UV、i
VW、i
WU、i
VU、i
WV、i
UWの6通りの通電を切り替えてマグネットロータ54を駆動する。
【0048】
図3および
図4に示すスクリュー型ドライ真空ポンプによれば、永久磁石と、永久磁石を回転させる巻線を備えた簡単な構成のモータで2軸のスクリューロータ52a,52bを反対方向に同期して回転させることができる。そのため、2軸のスクリューロータ52a,52bを同期させるタイミングギヤが不要で、オイルフリー、低振動・騒音を実現できるポンプである。軸受やタイミングギヤなどにオイルを用いていると、ポンプを傾けるとオイルが漏れてしまうため、ポンプの取付姿勢は限定されてしまうが、オイルフリーのためポンプの取付姿勢を自由に選択できる。また、タイミングギヤの接触に伴う振動・騒音が発生しない。
【0049】
このような構造のドライポンプを第二の真空ポンプ2として用いることによって、第二の真空ポンプ2から第一の真空ポンプ1に伝わる振動を抑制することができ、第二の真空ポンプ2を第一の真空ポンプ1に連結して一体化することができる。第一の真空ポンプ1と第二の真空ポンプ2とを一体化する際に、第二の真空ポンプ2の取付姿勢を自由に選択することができる。そして、第一の真空ポンプ1と第二の真空ポンプ2とを一体化したユニットを真空容器(真空チャンバ)等の排気対象に取り付ける際に、一体化したユニットの取付姿勢を自由に選択することができる。
【0050】
次に、
図3および
図4に示すように構成された第二の真空ポンプ2を第一の真空ポンプ1に取り付ける際の取付姿勢について
図1(a),(b),(c)を参照して説明する。
図1(a),(b),(c)に示すように、第二の真空ポンプ2は、一対のスクリューロータ52a,52bが第一の真空ポンプ1の下面と平行な方向に並列するように取り付けられている。すなわち、第二の真空ポンプ2における一対のスクリューロータ52a,52bは、スクリューロータ52a,52bの軸心52ax,52bxが第一の真空ポンプ1の回転軸の軸心1xと直交し且つ第一の真空ポンプ1の下面から同一距離だけ離間して並列するように設定されている。
【0051】
図5(a),(b),(c)は、第二の真空ポンプ2を第一の真空ポンプ1に取り付ける際の取付姿勢の他の例を示す図であり、
図5(a)は真空排気装置の部分断面正面図、
図5(b)は真空排気装置の部分断面側面図、
図5(c)は真空排気装置の部分断面底面図である。
図5(a),(b),(c)に示すように、第二の真空ポンプ2は、一対のスクリューロータ52a,52bが第一の真空ポンプ1の下面に上下に並列するように取り付けられている。第二の真空ポンプ2における一対のスクリューロータ52a,52bは、スクリューロータ52a,52bの軸心2ax,2bxが第一の真空ポンプ1の回転軸の軸心1xと直交し且つ第一の真空ポンプ1の下面から上下に間隔をおいて並列するように設定されている。
【0052】
図1および
図5に示す真空排気装置は、ターボ分子ポンプからなる第一の真空ポンプ1とドライ真空ポンプからなる第二の真空ポンプ2とを一体化してユニット化する際、第二の真空ポンプ2の回転軸の軸心と第一の真空ポンプ1の回転軸の軸心とを直交する方向に配置した真空排気装置である。
【0053】
ドライ真空ポンプとターボ分子ポンプでは、それぞれで運転中に発生する振動の方向性の傾向には、すなわち振動エネルギーの大きい方向には、大きな差異はなく、それぞれ回転軸のラジアル方向に回転体のアンバランスに起因する振動が発生する。もし、本発明のユニット化された真空排気装置において、ターボ分子ポンプの回転軸とドライ真空ポンプの回転軸を平行(直列)に配置した場合、極めて少ない確率ではあるが、回転軸の軸心と直交する方向(ラジアル方向)に発生する回転振動が、ドライポンプとターボ分子ポンプで同時に発生し、共振振動などの発生する可能性がある。また、ラジアル方向の振動が重ね合わされ、過大な振動として真空容器側へ伝わってしまう。このため、本発明では、ドライ真空ポンプの回転軸の軸心とターボ分子ポンプの回転軸の軸心とは、互いに直交方向に配置することで、真空容器側へ取り付けられる第一の真空ポンプ1の回転軸のラジアル方向振動成分を抑える構造としている。
【0054】
第一の真空ポンプで一般的に用いられるターボ分子ポンプは、上述したように取り付け姿勢が自由であり、真空容器の周辺に任意の方向で取り付けることができるため、真空容器周りの設計の自由度に大きく寄与している。本発明の真空排気装置は、その特徴を維持できるものとなるが、2台のポンプをユニット化する際、真空容器に直接取り付けられる側の第一の真空ポンプ1の軸心1xと、ユニット化された真空排気装置の重心位置が合うようにしている。これによって、例えば、真空排気装置を横置きに設置する場合など、第一の真空ポンプ1の軸心1xに対しねじりモーメントが発生せず、真空排気装置を取り付ける真空容器側の変形が単純化する、もしくは設置方法が簡易化する。また、発生する振動もねじり方向の振動などは発生せず、振動抑制を図り易い。真空排気装置は、真空容器の近傍に設置もしくは真空容器に直接接続するので、振動の抑制は重要である。
【0055】
前記第一の真空ポンプ1の回転軸を支持する軸受及び第二の真空ポンプ2の回転軸を支持する軸受は、自己潤滑性がある材料或は軌道内にグリスなどを内包した転がり軸受、或は自己潤滑性のあるジャーナル軸受、或は気体軸受もしくは磁気軸受などの非接触軸受の何れかを使用しており、設置方向がいずれの方向であっても回転軸が健全な状態で回転維持することが可能になっている。本発明の真空排気装置は、外観上は1つにまとめられたポンプユニットであるため、内部にドライ真空ポンプとターボ分子ポンプとが組み合わされていることをユーザが意識することはない。一般的なドライ真空ポンプは、鉱物油などの粘度が低い潤滑油を軸受部に使用するため、ポンプ自体の取付方向にある程度の制約がある。これに対して、ターボ分子ポンプはグリスを主体とした潤滑油を使ったボールベアリング或いは非接触軸受を使って回転体を支えているため、取付方向には特段の制約がない。本発明のドライ真空ポンプは、鉱物油など粘度が低い潤滑油を軸受部に使用することなく、回転体を支えることが可能な軸受を使用することで、ポンプユニットとして取付方向に特段の制約が発生しない構造としている。
【0056】
次に、ポンプ全体を一括して運転制御する制御装置について説明する。第一の真空ポンプ1と第二の真空ポンプ2の2つのポンプは別々の駆動系(モータ)を有しているが、例えばモータ駆動電源仕様を統一し、一つの箱内に収めることにより部品の共通化が図られ、制御装置を別々に分けるよりも小容積化、および低コスト化が図れる。制御装置は第一の真空ポンプ側に設置した方が望ましい。ターボ分子ポンプに比べてドライポンプは、大気圧までの圧縮に伴う圧縮熱の発生により、高温となっている。また、ターボ分子ポンプの振動レベルは容積式のドライポンプに比べて非常に小さい。そのため、精密電子部品を多数搭載している制御装置はドライポンプではなく、ターボ分子ポンプ側に設置した方が、熱・振動影響を受け難く、ユニット全体の信頼性が向上する。
【0057】
図6(a),(b)は、第一の真空ポンプ1に制御装置4を設置した真空排気装置を示す正面図である。
図6(a)に示す例においては、制御装置4は第一の真空ポンプ1の外周面に取り付けられている。
図6(b)に示す例においては、制御装置4は第一の真空ポンプ1の下面に取り付けられている。なお、制御装置4を第一の真空ポンプ1に取り付ける取付部に防振機構を設けてもよい。防振機構としては、防振ゴム(天然ゴム、二トリルゴム、シリコンゴム、フッ素ゴムなど)、バネなどが考えられる。
図6(a),(b)に示す実施形態においては、制御装置4が第一の真空ポンプ(ターボ分子ポンプ)側に設置された例を挙げたが、制御装置をポンプ側から離して設置する方がよい場合は、その選択は任意である。
【0058】
図7(a),(b)は、第一の真空ポンプ1の底面部品と第二の真空ポンプ2のポンプケーシングとを一体化した態様を示す模式的断面図である。
図7(a)に示す例においては、第一の真空ポンプ1の底面部品40と第二の真空ポンプ2のポンプケーシング50とを一体化部品60として構成している。
図7(b)に示す例においては、第一の真空ポンプ1の底面部品40と第二の真空ポンプ2のポンプケーシング50とを一体化部品60として構成し、さらにこの一体化部品60に第一の真空ポンプ1と第二の真空ポンプ2とを連通させる排気通路3aを取り込むようにしている。
【0059】
図7(a),(b)に示すように、底面部品40とポンプケーシング50とを共通化することにより、部品点数削減(低コスト化)およびユニット全体の省容積化を図ることができる。また、
図7(b)に示すように、一体化部品60に2台のポンプの排気通路3aを取り込んでしまうこともできる。2台のポンプの排気経路を短くできれば、コンダクタンスが大きくなり、第二の真空ポンプ2の低容量化に繋がる。そうすると、ユニット全体での更なる低コスト化、小容積化を図ることができる。また、底面部品40とポンプケーシング50とを一体化したことにより2台のポンプの熱伝導性が向上する。大気圧までの圧縮を行う第二の真空ポンプ2は、超高真空側の第一の真空ポンプ1に比べて消費電力が大きく発熱量も多い。第二の真空ポンプ2が冷却水を用いる仕様の場合は、2台のポンプ間の熱伝導性を高めておけば、第二の真空ポンプ2に設置されている冷却機構のみで、効率よく2台のポンプの冷却(放熱)を行うことができる。
【0060】
第二の真空ポンプ2の冷却に冷却水を用いない場合には、第一の真空ポンプ1と第二の真空ポンプ2の締結面間の熱伝導性を悪くするために、前記締結部に断熱部材を設ける、もしくは締結部接触断面積を小さくする、もしくはその両方を実施することも有効である。第二の真空ポンプの冷却に冷却水を用いない場合、放熱方法は強制空冷となる。先にも述べたが、大気圧までの圧縮を行う第二の真空ポンプは、超高真空側の第一の真空ポンプに比べ消費電力が大きく発熱量も多い。冷却水にて効率よく排熱できる仕様に比べ、強制空冷での排熱性能は劣り、その分、2台のポンプ間の熱伝導性が良い場合、第二の真空ポンプからの発熱量が第一の真空ポンプ側へある程度伝導することが考えられ、場合によっては第一の真空ポンプの運転に支障を来たす可能性が考えられる。そこで、2台のポンプ間の熱伝導を悪くし、第二の真空ポンプ2から第一の真空ポンプ1への熱伝導を極力抑える。そして、第二の真空ポンプの断面積に合わせた空冷ファンなどを用い、局所的に排熱する。第二の真空ポンプからの発熱が第一の真空ポンプへ伝導し、第一の真空ポンプ、第二の真空ポンプ両方を空冷しなければならない場合、空気の流れが効率よく2台のポンプに行き渡るようにファンの設置、空気の流れを導くダクト(カバー)などの設計・設置が必要となる。しかし、第二の真空ポンプのみの局所空冷の場合、それらが簡便化する。断熱部材として、セラミックス(アルミナ、イットリア、ジルコニア)、ステンレス合金、プラスチック(PEEK,PTFE)などが考えられる。
【0061】
図8は、第一の真空ポンプ1と第二の真空ポンプ2の締結面間に防振機構61を設けた態様を示す模式図である。本発明においては、第二の真空ポンプ2は一対のスクリューロータがマグネットカップリング作用により同期回転するように構成しているため、2軸のスクリューロータを同期させるタイミングギヤが不要であり、第二の真空ポンプ2の振動を飛躍的に低減できる。それでも、大気圧まで圧縮排気している第二の真空ポンプ2の振動は、ターボ分子ポンプからなる第一の真空ポンプ1に比べて大きい。そのため、
図8に示すように、第二の真空ポンプ2からの振動を防振する防振機構61を2台のポンプの締結部に設けることにより、第一の真空ポンプ1へ伝わる振動レベルをさらに低減することができる。防振機構61としては、防振ゴム(天然ゴム、二トリルゴム、シリコンゴム、フッ素ゴムなど)、バネなどが考えられる。
【0062】
また、
図8に示す真空排気装置においては、第一の真空ポンプ1の排気口と第二の真空ポンプ2の吸気口とを接続する排気通路部品3は、防振材料で構成されている。排気通路部品3が剛性の高い材料、構造の場合、その部品より振動が伝導してしまう恐れもある。排気通路部品3を防振作用のある材料で成形することにより、第二の真空ポンプ2から第一の真空ポンプ1へ伝播してくる振動を抑えることができる。防振材料としては、天然ゴム、二トリルゴム、シリコンゴム、フッ素ゴムなどのゴム材を用い、チューブ状、もしくはブロック状に成形してもよい。排気通路部品3がゴム等の防振材料部品で構成されている場合、その内部が真空になったときに大気との差圧力により変形してしまう。変形具合は、部品の材質、形状により差はあるが、変形抑制として、内部に金属製のコイルバネを入れてもよい。バネであれば、真空接続している防振材料部品として、曲げたりすることを妨げない。また防振材料部品の長さに対し、どのくらいの長さのコイルバネを入れるかも任意で決めてよい。
【0063】
図9は、第一の真空ポンプ1と第二の真空ポンプ2とを締結する締結部品に防振機構を設けた態様を示す概略図である。
図9に示すように、第一の真空ポンプ1と第二の真空ポンプ2との間には、締結部品62が設置されている。締結部品62には複数の防振ブッシュ63が取り付けられており、防振ブッシュ63に固定用ボルト64を挿通して固定用ボルト64を第一の真空ポンプ1に螺合することにより、締結部品62は防振ブッシュ63を介して第一の真空ポンプ1に固定されている。
また、締結部品62には、第二の真空ポンプ2の吸気口SPと連通する排気通路62aが形成されるとともに第二の真空ポンプ2の排気口DPと連通する排気通路62bが形成されている。締結部品62の排気通路62aは排気通路部品3により第一の真空ポンプ1の排気口DP(
図2参照)に接続されている。締結部品62の排気通路62bは真空ポンプ2の排気口DPを大気に連通させるようになっている。排気通路部品3はゴム材等からなる防振材料部品により構成されている。
【0064】
図10(a),(b),(c)は、
図9に示す締結部品62および防振ブッシュ63からなる締結部の詳細構造を示す図であり、
図10(a)は締結部の断面図、
図10(b)は締結部の底面図、
図10(c)は防振ブッシュ63の分解斜視図である。
図10(a),(b)に示すように、締結部品62には複数の貫通孔62hが設けられており、これら貫通孔62hの内周壁には半径方向内方に突出するフランジ部62f(
図10(a))が形成されている。
図10(c)に示すように、防振ブッシュ63は、大径のリング状部と小径のリング状部とからなる上部部材63aとリング状部材からなる下部部材63bとから構成されている。
図10(a)に示すように、上部部材63aは、小径のリング状部が締結部品62のフランジ部62fの内周面に嵌合されるとともに大径のリング状部の下面がフランジ部62fの上面に当接することにより、締結部品62に装着される。下部部材63bは、上部部材63aの小径のリング状部の外周面に嵌合されるとともにフランジ部62fの下面に当接している。上部部材63aと下部部材63bの嵌合部は接着剤等により一体化することにより、上部部材63aと下部部材63bとにより締結部品62のフランジ部62fを挟持する。これにより、防振ブッシュ63は締結部品62に取り付けられる。その後、防振ブッシュ63に固定用ボルト64を挿通するとともにボルト頭部と防振ブッシュ63との間に座金65を介装して固定用ボルト64を第一の真空ポンプ1に締め込むことにより、締結部品62は防振ブッシュ63を介して第一の真空ポンプ1に固定される。また、締結部品62と第二の真空ポンプ2とはボルト等によって固定される。
【0065】
本発明によれば、
図10(a),(b),(c)に示すように、複数の防振ブッシュ63からなる防振機構を用いて第一の真空ポンプ1と第二の真空ポンプ2とを締結することにより、第二の真空ポンプ2から第一の真空ポンプ1へ伝わる振動レベルを低減することができる。
【0066】
図11(a),(b)は、真空容器(真空チャンバ)5に第一の真空ポンプ1と第二の真空ポンプ2とを一体化したポンプユニット(真空排気装置)を取り付ける場合の実施例を示す正面図である。
図11(a),(b)に示す実施例においては、
図1に示すユニット(真空排気装置)の真空容器への取り付け例を示す。
図11(a)に示す実施例においては、第一の真空ポンプ1と第二の真空ポンプ2とを一体化したポンプユニットは、真空容器5の下方に取り付けられており、第一の真空ポンプ1の軸心が垂直方向になるように配置されている。第二の真空ポンプ2のスクリューロータ52a,52bの軸心と第一の真空ポンプ1の軸心とは直交している。
図11(b)に示す実施例においては、第一の真空ポンプ1と第二の真空ポンプ2とを一体化したポンプユニットは、真空容器5の側方に取り付けられており、第一の真空ポンプ1の軸心が水平方向になるように配置されている。第二の真空ポンプ2のスクリューロータ52a,52bの軸心と第一の真空ポンプ1の軸心とは直交している。
なお、第一の真空ポンプ1と第二の真空ポンプ2とを一体化したユニットを真空容器5の上方に取り付けてもよい。また、
図5に示すように第一の真空ポンプ1と第二の真空ポンプ2とを一体化したポンプユニットも
図11(a),(b)と同様の取付姿勢で真空容器5に取り付けることができる。
【0067】
次に、第二の真空ポンプ2を第一の真空ポンプ1に取り付ける際の取付姿勢についてさらに説明する。
図12(a),(b)は、第二の真空ポンプ2を第一の真空ポンプ1の側面に取り付けた取付姿勢を示す図であり、
図12(a)は部分断面正面図、
図12(b)は底面図である。
図12(a),(b)に示すように、第二の真空ポンプ2は第一の真空ポンプ1の側面に取り付けられている。すなわち、第一の真空ポンプ1の円筒状のポンプケーシングの外側面を平坦に切り欠いて、平坦面に第二の真空ポンプ2が固定されている。
図12(a),(b)に示す例においては、第一の真空ポンプ1の軸心1xと第二の真空ポンプ2のスクリューロータ52a,52bの軸心52ax,52bxとが平行に配置されている。
図1および
図5に示す例においては、第一の真空ポンプ1の回転軸と第二の真空ポンプ2の回転軸とを直交させてラジアル方向の共振振動を避けるようにしたが、本発明においては、第二の真空ポンプ2は一対のスクリューロータがマグネットカップリング作用により同期回転するように構成しているため、2軸のスクリューロータを同期させるタイミングギヤが不要であり、第二の真空ポンプ2の振動を飛躍的に低減できる。そのため、第一の真空ポンプ1の回転軸と第二の真空ポンプ2の回転軸とを平行に配置しても、ラジアル方向の共振振動が発生する恐れはない。
【0068】
図13(a),(b),(c)は、第二の真空ポンプ2を第一の真空ポンプ1の側面に取り付け、第一の真空ポンプ1と第二の真空ポンプ2とを締結する締結部品に防振機構を設けた例を示す図であり、
図13(a)は部分断面正面図、
図13(b)は部分断面底面図、
図13(c)は締結部の詳細構造を示す断面図である。
図13(a),(b)に示すように、第二の真空ポンプ2は第一の真空ポンプ1の側面に取り付けられ、第一の真空ポンプ1と第二の真空ポンプ2との間には、締結部品62が設置されている。締結部品62には複数の防振ブッシュ63が取り付けられており、防振ブッシュ63に固定用ボルト64を挿通して固定用ボルト64を第一の真空ポンプ1に螺合することにより、締結部品62は防振ブッシュ63を介して第一の真空ポンプ1に固定されている。
図13(c)に示すように、締結部品62,防振ブッシュ63,固定用ボルト64および座金65は、
図10(a),(b),(c)に示すものと同様の構成であり、取付方法も同様である。
【0069】
図14は、第一の真空ポンプ1の排気口と第二の真空ポンプ2の吸気口とを接続する排気通路部品3に逆流防止弁を設けた態様を示す模式図である。
図14に示すように、第一の真空ポンプ1と第二の真空ポンプ2とを一体化したポンプユニットは真空容器5に取り付けられている。第一の真空ポンプ1の排気口と第二の真空ポンプ2の吸気口とを接続する排気通路部品3には逆流防止弁6が設置されている。
本発明は、ターボ分子ポンプからなる第一の真空ポンプ1とドライポンプからなる第二の真空ポンプ2間の排気流路も含めて第一の真空ポンプ1と第二の真空ポンプ2とを一体化したポンプ構成であるため、流路の圧力条件が既知であり、各ポンプの運転状態に異常が発生したとき、たとえば排気側ドライポンプの故障によりターボ分子ポンプの背圧が急上昇した場合に、排気通路部品3の内部の所定の圧力差でそれ自身が自動的に閉止する構造を持った逆流防止弁6を設置することでターボ分子ポンプの排気側の圧力急上昇を防止することが可能となる。
【0070】
図15は、第一の真空ポンプ1の吸気口と第二の真空ポンプ2の吸気口とを接続して第一の真空ポンプ1をバイパスさせるバイパス配管を設けた態様を示す模式図である。
図15に示すように、第一の真空ポンプ1の吸気口と第二の真空ポンプ2の吸気口とを接続するバイパス配管7が設置されている。バイパス配管7を設けることにより、第一の真空ポンプの吸気口から第二の真空ポンプの吸気口へ直接排気を行うことで、第一の真空ポンプをバイパスさせることが可能であり、真空容器5の真空破壊が発生した場合でも第一の真空ポンプ1への急激な負荷増加による回転体の破損を防止することができる。
【0071】
また、バイパス配管7には、真空容器側の圧力が急上昇した場合に、第二の真空ポンプ2へ直接流路をあけるバイパスバルブ8を設けている。バイパスバルブ8は、配管の圧力条件で、それ自身が自動的に開閉する構造を持ったバイパスバルブである。この条件は、ターボ分子ポンプからなる第一の真空ポンプ1とドライポンプからなる第二の真空ポンプ2を一体化してユニット化した本発明において、両ポンプ間の流路配管も最適な条件で構成することができるために、実現可能である。
【0072】
上述した実施形態においては、第二の真空ポンプとしてスクリュー型ドライポンプを例に挙げて説明したが、第二の真空ポンプとしてはルーツ型ドライポンプ、ダイヤフラムポンプ、スクロール式ポンプなどを用いてもよい。ただし、ダイヤフラムポンプは薄膜の上下運動による容積変化により気体を移送する排気原理のポンプであるため、第二の真空ポンプがダイヤフラムポンプの場合、真空排気装置全体での振動低減を考えると、ダイヤフラムポンプの上下移動方向(振動方向)と第一の真空ポンプの軸方向が平行であることが望ましい。
【0073】
次に、第一の真空ポンプ1および第二の真空ポンプ2を制御する制御装置の制御方法について説明する。
(1)通常、ポンプの排気速度調整を行なう場合は、吸気側開口面積を、バルブなどを使って調整することにより行なう。それに対し、本発明では真空容器内圧力の制御を、真空容器とポンプ間に備えられたバルブの開度調整(開口面積調整)で行うのではなく、第一の真空ポンプ1もしくは第二の真空ポンプ2のいずれか或いはその両方のポンプ回転数(ポンプ回転速度)を制御することで、真空ポンプそれぞれの排気速度を調整し、ポンプシステム全体の排気速度を調整することを可能としている。すなわち、ポンプ以外の制御用バルブなどの機器を使用することなく、真空容器内圧力を調整することが、当該ポンプシステム1台で実現することが可能である。
【0074】
(2)
図16は、第一の真空ポンプをターボ分子ポンプ、第二の真空ポンプをドライポンプで構成しながら、容器内の圧力調整を調整する方法として、各ポンプの回転速度制御を行った場合の回転速度(回転数)と圧力の変化について本発明の真空排気装置と従来の真空排気装置とを比較したグラフである。
本発明の真空排気装置のように、第一の真空ポンプ(ターボ分子ポンプ)と第二の真空ポンプ(ドライポンプ)間の配管が非常に短い距離で設置されている場合、圧力調整を開始してから第一の真空ポンプの回転数を下げ、真空容器の圧力が所定の条件に至った時点(第二の真空ポンプ減速開始点)で第二の真空ポンプの減速を開始させる。両ポンプを繋ぐ配管長が短いため、第二の真空ポンプの減速に対する真空容器の圧力変化が速く、その結果、目標の真空容器圧力(圧力調整完了点)に最短の時間で到達することができる。しかしながら、従来の真空排気装置のように、第一の真空ポンプと第二の真空ポンプ間の配管が長い場合、第二の真空ポンプの減速に対する真空容器の圧力変化に遅れが生じるため、目標の真空容器圧力(圧力調整完了点)に到達するのに時間を要することとなる。
【0075】
第一の真空ポンプ1と第二の真空ポンプ2とを連結して一体化して一つのポンプシステムを構築する際に、第一の真空ポンプ1に第二の真空ポンプ2を取り付けることが望ましい。そのため、第二の真空ポンプ2の外形寸法は、第一の真空ポンプ1の外形寸法より小さいことが望ましい。
次に、第一の真空ポンプ1および第二の真空ポンプ2の外形寸法について具体的数値を挙げて説明する。以下に記す寸法には、電装系(ドライバ,コントローラ,空冷ファンなど)は含まず、ポンプ排気部と駆動部(モータ)のみを含むものである。
(1)本発明の第二の真空ポンプに、2軸容積移送式ポンプ(スクリュー型ロータ)でマグネットカップリングモータを使用した場合、第二真空ポンプ到達性能:400Pa以下
【表1】
第一真空ポンプを1とした場合の第二真空ポンプの概略排気速度比:1/400
第一真空ポンプを1とした場合の第二真空ポンプの概略軸方向寸法比:1〜0.7
第一真空ポンプを1とした場合の第二真空ポンプの概略容積比:0.4
【表2】
第一真空ポンプを1とした場合の第二真空ポンプの概略排気速度比:1/400
第一真空ポンプを1とした場合の第二真空ポンプの概略軸方向寸法比:0.8〜0.6
第一真空ポンプを1とした場合の第二真空ポンプの概略容積比:0.4
(2)上記組合せで使用できる第二の真空ポンプで、ダイヤフラム型ポンプの場合の例
第二真空ポンプ到達性能:400Pa以下
【表3】
第一真空ポンプを1とした場合の第二真空ポンプの概略排気速度比:1/1200
第一真空ポンプを1とした場合の第二真空ポンプの概略軸方向寸法比:1.8〜1.3
第一真空ポンプを1とした場合の第二真空ポンプの概略容積比:1
【表4】
第一真空ポンプを1とした場合の第二真空ポンプの概略排気速度比:1/900
第一真空ポンプを1とした場合の第二真空ポンプの概略軸方向寸法比:1.7〜1.4
第一真空ポンプを1とした場合の第二真空ポンプの概略容積比:2.6
【0076】
上記比較結果から分かるように、本発明の第一の真空ポンプにターボ分子ポンプを使用し、本発明の第二の真空ポンプに2軸容積移送式ポンプ(スクリュー型ロータ)で、マグネットカップリングモータを使用した場合、第一の真空ポンプの容積に対して第二の真空ポンプの容積を小さくできるため、第二の真空ポンプを第一の真空ポンプに取り付けるに際して取付姿勢に制約を受けることがない。
また、第一の真空ポンプと第二の真空ポンプとに上記組合せを採用することにより、第二の真空ポンプの数倍の排気容量がある1台の第一の真空ポンプに対して複数台の第二の真空ポンプを一体化することも可能である。
【0077】
図17は、1台の第一の真空ポンプ1に対して複数台の第二の真空ポンプ2を一体化した真空排気装置の実施形態を示す概略図である。
図17に示すように、1台の第一の真空ポンプ1に2台の第二の真空ポンプ2が連結されて一体化されている。第一の真空ポンプ1の排気口と2台の第二の真空ポンプ2の吸気口とは、個別に排気通路部品3により接続されている。このように、1台の第一の真空ポンプ1に対して複数台の第二の真空ポンプ2を一体化することにより、第一の真空ポンプ1の排気容量に適合した排気容量を持った粗挽きポンプを構築することが可能となる。
【0078】
図18は、1台の第一の真空ポンプ1に対して複数台の第二の真空ポンプ2を吸排気経路で連結し一体化した真空排気装置の実施形態を示す概略図である。
図18に示すように、1台の第一の真空ポンプ1に2台の第二の真空ポンプ2が連結されて一体化されている。一体化されたポンプユニットは、真空容器5の下方に取り付けられている。1台の第一の真空ポンプ1の排気口と2台の第二の真空ポンプ2の吸気口とは、排気通路部品3により接続されている。このように、1台の第一の真空ポンプ1に対して複数台の第二の真空ポンプ2を一体化することにより、第一の真空ポンプ1の排気容量に適合した排気容量を持った粗挽きポンプを構築することが可能となる。
1台の第一の真空ポンプ1に対し、第二の真空ポンプ2を2台並列に接続することで、第二の真空ポンプ全体としては排気性能を2倍にすることが可能であるとともに、真空容器内の圧力制御を行う際、1台の第二の真空ポンプで行うべき調圧制御を2台の並列した第二の真空ポンプで制御することで圧力制御をより細かく制御することができる。また短時間での制御が可能になる。
さらに、第二の真空ポンプが1台の場合には、第二の真空ポンプが停止すると第一の真空ポンプも運転を継続することができなくなり停止し、その結果、真空容器内圧力が急上昇してしまう。しかし、第二の真空ポンプが2台の場合には、仮に第二の真空ポンプのうち1台のポンプが停止しても、もう一方の第二の真空ポンプにより、第一の真空ポンプの排気口圧力を許容圧力以下にすることができる。したがって第一の真空ポンプが停止して真空容器内の圧力が急上昇するような事態を回避することができる。
【0079】
図19は、複数台の第一の真空ポンプ1と1台の第二の真空ポンプ2とを吸排気経路で連結し一体化した真空排気装置の実施形態を示す概略図である。
図19に示すように、2台の第一の真空ポンプ1と1台の第二の真空ポンプ2とが連結されて一体化されている。一体化されたポンプユニットは、真空容器5の下方に取り付けられている。2台の第一の真空ポンプ1の排気口と1台の第二の真空ポンプ2の吸気口とは、排気通路部品3により接続されている。このように、複数台の第一の真空ポンプ1と1台の第二の真空ポンプ2とを一体化することにより、第一の真空ポンプ1を小型化することができる。
図19に示すように第一の真空ポンプを2台並列に接続し、第二の真空ポンプを1台として一体に構成する場合には、第一の真空ポンプの排気性能を大きくするために高速回転するポンプロータを大型化することなく、安全な真空排気システムを構成することができる。
【0080】
図20は、2台の第一の真空ポンプと1台の第二の真空ポンプとを連結し一体化した真空排気装置の制御回路図である。
図20に示すように、2台の第一の真空ポンプ用のモータおよびインバータは、TMP1用モータ,TMP2用モータおよびTMP1用INV,TMP2用INVで示され、1台の第二の真空ポンプ用のモータおよびインバータは、DRY用モータおよびDDY用INVで示されている。この回路図に示されるように1つの制御装置(CPU)で3台のインバータTMP1用INV,TMP2用INV,DRY用INVを一体的に制御することが可能となる。すなわち、各真空ポンプの吸排気配管内に圧力検出器などを設置することなく、所定の回転数制御レートで各真空ポンプのモータ回転数を制御することにより真空容器内の圧力を最適に制御することが可能となる。
図20においてPFCは力率改善回路、DC/DCはDC/DCコンバータである。
【0081】
図21は、1台の第一の真空ポンプをターボ分子ポンプ、2台の第二の真空ポンプをドライポンプで構成し、容器内の圧力調整を調整する方法として、各ポンプの回転速度制御を行った場合の回転速度(回転数)と圧力の変化を示したグラフである。
1台の第一の真空ポンプ(ターボ分子ポンプ)と2台の第二の真空ポンプ(ドライポンプ)とを吸排気経路で連結して一体化している場合、
図21に示すように、圧力調整を開始してから第一の真空ポンプの回転速度を下げ、真空容器の圧力が上昇した時点で2台の第二の真空ポンプのうち1台の第二の真空ポンプの減速を開始する。この時点では第一の真空ポンプの減速を持続している。第一の真空ポンプの減速を停止した後にもう一方の第二の真空ポンプの減速を開始する。次に、先に減速を開始した第二の真空ポンプの減速を停止する。もう一方の第二の真空ポンプの減速を継続し、真空容器の圧力が所望の圧力になった時点でもう一方の第二の真空ポンプの減速を停止する。この時点で圧力調整が完了する。
3つのポンプは連結されているため、第二の真空ポンプの減速に対する真空容器の圧力変化が速く、目標の真空容器圧力(圧力調整完了点)に最短の時間で到達することができる。さらに、2台の第二の真空ポンプを使用し時間差を設けて減速の開始及び停止を行うことができるため、真空容器内の圧力の細かな制御が可能になる。
【0082】
図22乃至25は、本発明に係る真空排気装置においてターボ分子ポンプの別の態様を示す図である。
図22に示すように、第一の真空ポンプ1を構成するターボ分子ポンプは、ポンプケーシング109の中央部の吸気口側から左右両側に回転軸113に沿って回転翼111と固定翼114とが交互に配置されている。多段の回転翼111は、回転軸113に一体に形成されており、多段の固定翼114は、ポンプケーシング109に固定されている。
第二の真空ポンプ2は、
図3に示されるスクリュー型ドライ真空ポンプと同様に構成されている。
【0083】
図22に示すように、第二の真空ポンプ2は、一対のスクリューロータが第一の真空ポンプ1の下面と平行な方向に並列するように取り付けられている。すなわち、第二の真空ポンプ2における一対のスクリューロータは、スクリューロータの軸心と第一の真空ポンプ1の回転軸の軸心とが平行に配置されている。
【0084】
次に、
図22に示す第一の真空ポンプ1に第二の真空ポンプ2を取り付ける際の取付姿勢が異なる例を
図23に示す。
図23に示すように、第二の真空ポンプ2における一対のスクリューロータは、スクリューロータの軸心が第一の真空ポンプ1の回転軸113の軸心と直交し且つ第一の真空ポンプ1の下面から同一距離だけ離間して並列するように配置されている。
【0085】
図24は、
図22に示す第一の真空ポンプ1と第二の真空ポンプ2との間に、
図9および
図10に示すような締結部品62および防振ブッシュ63を設けた真空排気装置を示す図である。
図25は、
図23に示す第一の真空ポンプ1と第二の真空ポンプ2との間に、
図9および
図10に示すような締結部品62および防振ブッシュ63を設けた真空排気装置を示す図である。
図24および
図25に示すように、複数の防振ブッシュ63からなる防振機構を用いて第一の真空ポンプ1と第二の真空ポンプ2とを締結することにより、第二の真空ポンプ2から第一の真空ポンプ1へ伝わる振動レベルを低減することができる。
【0086】
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術思想の範囲内において、種々の異なる形態で実施されてよいことは勿論である。