特許第6334072号(P6334072)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6334072-光可逆接着剤 図000022
  • 特許6334072-光可逆接着剤 図000023
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6334072
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】光可逆接着剤
(51)【国際特許分類】
   C09J 153/00 20060101AFI20180521BHJP
   C08F 293/00 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   C09J153/00
   C08F293/00
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-560344(P2017-560344)
(86)(22)【出願日】2017年1月4日
(86)【国際出願番号】JP2017000020
(87)【国際公開番号】WO2017119412
(87)【国際公開日】20170713
【審査請求日】2017年11月17日
(31)【優先権主張番号】特願2016-1777(P2016-1777)
(32)【優先日】2016年1月7日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秋山 陽久
(72)【発明者】
【氏名】木原 秀元
(72)【発明者】
【氏名】山下 愛至
【審査官】 小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/168712(WO,A1)
【文献】 特許第5561728(JP,B2)
【文献】 特開2013−249355(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第103819584(CN,A)
【文献】 K.FUKUHARA, et al.,Liquid-Crystalline Polymer and Block Copolymer Domain Alignment Controlled by Free-Surface Segregati,Angewandte Chemie, International Edition,Vol.52, No.23,p.5988-5991 (2013).
【文献】 M.SANO, et al.,Dynamic photoinduced realignment processes in photoresponsive block copolymer films: effects of the,Soft Matter,Vol.11, No.29,p.5918-5925 (2015).
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
C08F 293/00
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式(1)で表される重量平均分子量3000〜800000の高分子化合物を主成分とする、光応答性粘接着剤。
【化1】
(一般式(1)中、Aは分子量1000〜100000の、下記の式(2)で示されるモノマーの重合体ブロックであり、Bは分子量1000〜400000で、Bのみでは波長350〜600nm域に光吸収がない、ガラス転移点および融点が20℃以下の、室温で液状または塑性変形可能な高分子ブロックである。
【化2】
ここで、R1は、下記の式(3)
【化3】
で表されるアゾベンゼン構造を有する基であり、nは2〜18、mは0〜16の整数であり、R2は水素またはメチル基である)
【請求項2】
光を照射して流動化することにより脱着を行うことが可能な、請求項1に記載の光応答性粘接着剤。
【請求項3】
波長350〜390nmの紫外光を用い、その露光量を0.05〜10J/cm2として照射して流動化することにより脱着を行うことを特徴とする、請求項2に記載の光応答性粘接着剤。
【請求項4】
流動化に用いる光とは異なる波長の光を照射して非流動化することにより接着を行うことが可能な、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光応答性粘接着剤。
【請求項5】
波長420〜600nmの光を用いて非流動化することを特徴とする、請求項4に記載の光応答性粘接着剤。
【請求項6】
異なる波長の光を照射して可逆的に流動化・非流動化させることにより繰り返しの接着脱着が可能な、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光応答性粘接着剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、応答速度と成膜性の向上した、光で可逆的に接着脱着を繰り返すことが可能な光応答性接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
光照射により材料を可逆的に流動化−非流動化させる方法として、糖アルコール骨格をもつ液晶性アゾベンゼン化合物(特許文献1参照)に紫外線と可視光線を照射する方法が知られている(特許文献2、非特許文献1、2)。これは、アゾベンゼン構造が光応答性を有し、光により相転移することによるものである。図1は、該方法による化合物の流動化−非流動化の様子を示す写真である。図1に示すように、固体粉末状の上記アゾベンゼン化合物(左の写真)に紫外線を照射することにより、当該化合物が液状化し、球状の滴となり(中央の写真)、当該液状物に可視光を照射することにより、写真で示す様にスプーンで持ち上げても球状の形状を保つ固形物となり(右の写真)、これに再度、紫外線を照射することにより、球状の液滴(中央の写真)に戻る。
【0003】
このような化合物の流動化−非流動化方法の用途としては、光の照射により可逆的に接着脱着を行うことができる接着剤が提案されている。一般の接着剤では、一度接着した後は、熱や機械的な衝撃を与えずに剥離することが難しく、また、脱着した後に、再接着などにリサイクル利用することも難しかった。光で可逆的に接着脱着を繰り返すことができる材料を用いることで、これらの問題が解決できる。これに加えて、側鎖にアゾベンゼン構造を有する高分子の形態をもつアゾベンゼン化合物は、特許文献1等に記載された低分子のアゾベンゼン化合物と同様の、光照射により可逆的に流動化−非流動化する性質を保持しながら、さらに接着時の接着力が大きくなることが知られている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許5360794号公報、「糖アルコールエステル又はエーテル、コレステリック液晶添加剤、液晶組成物及び表示素子」2013/09/13
【特許文献2】特許5561728号公報、「光で化合物を流動化・非流動化させる方法」2014/06/20
【特許文献3】国際公開2013/168712パンフレット、「光応答性接着剤」
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Advanced. Materials, 24, 2353-2356 (2012)
【非特許文献2】ACS Appl. Mater. Interfaces, 6, 7933-7941 (2014)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これら従来の光応答性化合物では、光で液化させる時の紫外光に対する感度が乏しく、液化に時間がかかる。また、従来の光応答性化合物では、接着層を厚くすると、光が裏まで抜けていかないという欠点があり、これにより脱着が十分に行われない。本発明は、従来の光応答性化合物のこのような欠点を改善し、光照射による流動化の感度が高く、容易に脱着することが可能な光応答性接着剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、光相転移を示す部位として光応答性基を含む高分子液晶性化合物からなる部位と、光透過性で、光応答性のない、ガラス転移点および融点が室温以下の柔軟な高分子部位を分けて、それぞれからなるブロック共重合高分子を合成して用いることで、光照射によってこれまでより早く液化して脱着でき、可逆的に基材への再接着が可能な光応答性接着剤(好ましくは光応答性粘接着剤)を得ることができることを見出し、本発明の完成に至った。
【0008】
また、このブロック共重合高分子中に、光応答性のないガラス転移点および融点が室温以下の柔軟な高分子を用いることにより、形成される接着剤層にゴム的な弾性を付与することができるため、応力集中を緩和でき、剥離につよい接着剤とすることができる。
【0009】
本発明はこれらの知見に基づいて完成に至ったものであり、本発明によれば、以下の発明が提供される。
【0010】
[1] 下記の一般式(1)で表される重量平均分子量3000〜800000の高分子化合物を主成分とする光応答性粘接着剤。
【化1】
(一般式(1)中、Aは分子量1000〜100000の、下記の式(2)で示されるモノマーの重合体ブロックであり、Bは分子量1000〜400000で、Bのみでは波長350〜600nm域に光吸収がない、ガラス転移点および融点が20℃以下の、室温で液状または塑性変形可能な高分子ブロックである。
【化2】
ここで、R1は、下記の式(3)
【化3】
で表されるアゾベンゼン構造を有する基であり、nは2〜18、mは0〜16の整数であり、Rは水素またはメチル基である)
[2] 光を照射して流動化することにより脱着を行うことが可能な[1]に記載の光応答性粘接着剤。
[3] 波長350〜390nmの紫外光を用い、その露光量を0.05〜10J/cm2として照射して流動化することにより脱着を行うことを特徴とする[2]に記載の光応答性粘接着剤。
[4] 流動化に用いる光とは異なる波長の光を照射して非流動化することにより接着を行うことが可能な[1]〜[3]のいずれかに記載の光応答性粘接着剤。
[5] 波長420〜600nmの光を用いて非流動化することを特徴とする[4]に記載の光応答性粘接着剤。
[6] 異なる波長の光を照射して可逆的に流動化・非流動化させることにより繰り返しの接着脱着が可能な[1]〜[5]のいずれかに記載の光応答性粘接着剤。
【0011】
本明細書は本願の優先権の基礎となる日本国特許出願番号2016-001777号の開示内容を包含する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、光照射により接着と脱着を行うことができる光応答性粘接着剤において、接着後の粘接着剤を脱着させるときの光に対する応答感度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】糖アルコール骨格を有する液晶性アゾベンゼン化合物が、光照射に応じて液化および固化する様子を示す写真。
図2】光照射により液化固化する材料を用いた接着強度試験の様子を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の光応答性粘接着剤は、下記の一般式(1)で表される、重量平均分子量3000〜800000の、アゾベンゼンを含む高分子化合物を主成分とするものであって、光照射によって流動化・非流動化させることによって、可逆的に被着体の接着および脱着が可能なものである。
【0015】
【化4】
(一般式(1)中、Aは分子量1000〜100000の、下記の式(2)で示されるモノマーの重合ブロックであり、Bは分子量1000〜400000で、Bのみでは波長350−600nm域に光吸収がない、ガラス転移点および融点が20℃以下の、室温で液状または塑性変形可能な高分子ブロックである。
【化5】
【0016】
ここで、R1は、下記の式(3)
【化6】
で表されるアゾベンゼン構造を有する基であり、nは2〜18、mは0〜16の整数であり、R2は水素またはメチル基である)
【0017】
本発明の光応答性接着剤(好ましくは光応答性粘接着剤)は、常温で固体であり、接着時には、流動性のない状態をとるが、特定の波長の光の照射により流動化して接着力を失い、また、流動化した接着剤に別の波長の光を照射することで接着力を回復する。
【0018】
この際、本発明の接着剤は、主成分とする一般式(1)の高分子化合物が、光照射により相転移を示す光応答性基を含む高分子液晶性のブロックAと共に、光透過性で、光応答性のないブロックBを有することにより、従来の光制御接着剤とは異なり、光透過性のブロックBを介して接着剤層の奥深くまで光が入射しやすくなり、光応答反応が早まる。また、本発明の光応答性接着剤は、光透過性のブロックBが柔軟なユニットであるため、全体として靱性にすぐれ、フィルム化しやすい。
【0019】
本発明の光応答性接着剤(好ましくは光応答性粘接着剤)は、波長の異なる光照射により、その流動性が可逆的に制御できるものであって、主成分とする一般式(1)の高分子化合物のブロックAを構成するユニットが、側鎖に光異性化可能なアゾベンゼン構造を有し、流動性を失った状態においても光異性化可能な状態にあり、流動性を失った状態での光異性化反応により、分子構造の大きな変化によって軟化して流動性のある状態に転移し、また、波長を変えて再び光照射し、もしくは、単に放置することで逆反応が起きて再び流動性を失う。本発明の光応答性接着剤は、このような操作を繰り返して行うことができる。
【0020】
本発明の光応答性基をもつ高分子化合物は室温付近の温度で通常の光の下では固体であるため、接着剤として用いる場合は紫外光を照射して液化させて接着層に挟み込んだ後に、可視光を照射して固化させて接着させるが、この他にも、加熱により融かして接着層に挟み込み、その後冷やして固め接着させることもできる。さらにまた、あらかじめシート状もしくはテープ状に加工しておき、接着物2つで挟み込んだ後に、上記の方法で液化後固化させて接着させることや、溶媒に溶かすなどして接着物の片面に塗布してから乾燥し、その後液化固化させて接着させることもできる。
【0021】
熱的に液化させる場合は、接着剤の化学構造によって異なるそれぞれの融点、ガラス転移点もしくは軟化点以上の温度(少なくとも80℃)に加熱する必要がある。
【0022】
また、被着体と硬化前の接着剤を密着させる際は、上述のとおり、接着剤が液体であることが望ましいが、塑性変形するゴム状体であっても同様に接着が可能である。すなわち流動化するまで軟化させずとも、わずかな応力をかけることで流動化させて密着させることができる状態(すなわち、粘着状態)としたのち、被着体を密着させ、接着剤を硬化させて接着させてもよい。このときの押しつける圧力に制限はないが、指で押せる程度(0.01−1.00MPa)であれば適当である。
【0023】
従来の光で可逆的に接着、脱着できる接着剤(特許文献2、非特許文献1)では、接着剤層の厚が数ミクロンで20-40mW/cm2の強度の紫外光照射の場合は、実際に液化させるのに3分かかっている。
【0024】
その原因は、接着剤層のアゾ色素濃度が高いため、光が接着剤層の奥まで入射せず、光照射による流動化反応が表面からしか進行しないためである。
【0025】
色素を光吸収しない比較的柔らかなユニットで希釈することで、従来の光応答性接着剤のこの欠点を解消させ、光を接着剤層の奥まで入射させ、光可逆性を維持したまま光応答感度を向上させることが期待できる。
【0026】
但し、単に無色の光反応性のない添加剤を加えるだけでは、相分離を誘起して、接着時に剥離しやすくなる。
【0027】
そこで、本発明においては、無色の柔軟な部位と、光相転移を起こして状態変化を起こすユニットを分けて、それぞれを化学的に結合した、以下の3〜5ブロック共重合体構造とした。
【化7】
【0028】
その結果、上記式(1)の高分子化合物は、室温では固体を示す光相転移ユニットAが両末端にあることで分子間架橋点として働くため、ゴムの特性を含む接着剤として機能する。また紫外光照射によりこの部分のみが光相転移反応するだけで、全体が液化するので、膜厚を大きくしても高感度で光応答することができる。
【0029】
ただし、高分子の粘性は分子量に依存するため、これを接着剤として用いる場合は、その平均分子量にも好適な値があり、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量として3000〜800000であることが好ましい。
【0030】
本発明の光応答性接着剤(好ましくは光応答性粘接着剤)は、接着剤の主成分である一般式(1)の高分子化合物に好適な波長の光を選択し、照射することで、可逆的な光液化固化が可能となる。一般式(1)の高分子化合物においては、ブロックAを構成するユニットの側鎖に存在するアゾベンゼン構造が照射される光に応じて光異性化する。アゾベンゼン構造がトランス体の時には流動性が消失し、シス体の時は流動性が付与される。
【0031】
したがって、本発明の接着剤の液化のためにはアゾベンゼンのトランス構造からシス構造への異性化が必要であるが、この異性化率を高めるためにはシス体の吸収がない波長の光を照射する必要がある。トランス体の主な吸収領域である300〜400nmの波長の紫外光の波長域の光であれば、光照射により、本発明の接着剤の脱着が可能となる。ただし、より効率的に脱着させるためには、350〜390nm付近の紫外光、より好ましくは365nm付近の紫外線でトランス体をシス体へ異性化させるのがよい。一方、本発明の接着剤により接着させるためには、420〜600nmの光、より好ましくは500nm付近の可視光照射により、シス配置からトランス配置に異性化させる。
【0032】
上記光応答性接着剤に照射する光の最適の波長は、アゾベンゼン構造の周りの分子構造によって異なる。今回、実施例において用いた材料では360〜380nmが好適である。当該材料では、アゾベンゼンのトランス体の吸収が弱い500nm付近の光を用いることで、トランス構造に速やかに戻すことができる。
【0033】
本発明の光応答性接着剤により接着される被着体としては、無色である必要はないが、少なくとも一方の側から接着面まで上記の波長範囲の紫外光と可視光の一部が透過するものを選ぶ必要がある。たとえばガラスやPET、ポリカーボネイト、ポリスチレン板などである。もう一方は光透過性がなくてもよい。たとえばアルミニウム、鉄、着色ガラス、陶器などである。
【0034】
被着体と硬化前の接着剤を密着させる際は、接着剤が液体であることが望ましいが、上述のとおり、塑性変形するゴム状体であっても、わずかな応力をかけることで流動化させて粘着させたのち、硬化させて接着させることができる。このときの押しつける圧力に制限はないが、指で押せる程度(0.01〜1.00MPa)であれば適当である。
【0035】
本発明の接着剤の主成分である一般式(1)の高分子化合物の光反応性のブッロクAは、側鎖にアゾベンゼン構造を有するモノマーからなる高分子構造を有する。アゾベンゼンがトランス体構造をとっているときの当該高分子構造のホモポリマーとしてのガラス転移点および融点は、室温(25℃)以上、好ましくは40℃以上である。
【0036】
本発明の接着剤の主成分である一般式(1)の高分子化合物の透明で柔軟性のブッロクBは、室温(25℃)で液体もしくは塑性変形可能なゴム状態である必要がある。このため、好ましくはガラス転移および融点が10℃以下である。接着剤の色素濃度を下げることが役割であるので、当然ながらポリマーの構造には依存せず、無色で光吸収のない液状もしくは塑性変形可能なゴム状高分子であればなんでもよい。ここでいう無色とは、色素の光反応を阻害しないという意味であるため、350〜600nmの波長範囲に吸収がない、もしくはほとんど吸収がないという意味である。
【0037】
ただし、ポリマー合成上の難易度を考えると、ブッロクBは、現実的には、いくつかの構造に限定される。
【0038】
ブロック共重合体の合成法として、アニオン重合、カチオン重合、リビングラジカル重合が知られている。その中でも簡便な合成方法としては、ATRP法やRAFT法といったリビングラジカル法が挙げられる。これらの合成法に従えば、モノマーはビニル系となる。
【0039】
特にアクリル系モノマー重合物は室温で液状のものが多数知られている。たとえば、以下の化学式(4)で表されるモノマーからなる高分子が、これに該当する。アクリル系以外では、スチレン系ポリマーでTgの低いもの、たとえば化学式(5)のものが知られている。
【化8】
(式中、R3は、-ClH2l+1、-ClH2l-Si(OSi(CH3)3)3、又は-ClH2lOHであり、R4は水素もしくはメチル基であって、lは、R4が水素の場合は1〜18、メチル基の場合は4〜18の整数を表す。)
【化9】
(式中、mは4〜18の整数を表す。)
【0040】
実際のブロック構造の合成は、ATRP(原子移動ラジカル重合法)法(Matyjaszewski, K., Macromolecules 2012, 45, 4015-4039;他多数につき省略)を例にとれば、開始剤として、下記の2官能(化学式(6))、3官能(化学式(7))、4官能(化学式(8))の化合物を出発物質にして、化学式(4)のモノマーを銅触媒下で重合させる、等の方法により行うことができる。
【化10】
【化11】
【化12】
【0041】
次に、上記重合により得られる高分子(式(9):2官能式開始剤と2-ethylhexyl acrylateの重合例)を単離し、高分子開始剤として再び銅触媒下で式(2)に記載のアゾベンゼン含有モノマーの重合を行う。もしくは一段回目でモノマーをほぼすべて消費した段階で、単離せずそのまま式(2)のモノマーを追加して、重合を続けてもよい。これらの操作により目的とするブロック共重合体を得ることができる(式(10):10-[4-(4-ヘキシルフェニルアゾ)フェノキシ]デシル アクリレートの重合例)。
【化13】
【化14】
【0042】
また、本発明は、上記の光応答性接着剤(好ましくは光応答性粘接着剤)を用い、異なる波長の光を照射することにより、可逆的な流動化・非流動化による脱着・接着を行う方法も含む。本発明の脱着・接着方法では、好ましくは、光を照射して流動化することにより、特に、波長350〜390nmの紫外光を用い、その露光量を0.05〜10J/cm2として照射して流動化することにより脱着を行う。また、本発明の脱着・接着方法では、好ましくは、流動化に用いる光とは異なる波長の光を照射して非流動化することにより、特に、波長420〜600nmの光を用いて非流動化することにより接着を行う。本発明の脱着・接着方法では、異なる波長の光を照射して可逆的に流動化・非流動化させることにより繰り返しの接着脱着が可能である。
【実施例】
【0043】
以下に、実施例を示して、本発明をより詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0044】
なお、実施例で用いられる略号は以下のとおりである。
EBBiB:Ethylene bis(2-bromoisobutyrate)(式(6)の化合物)
4SPA:(3-Acryloxypropyl)tris(trimethylsiloxy)silane(式(4)、R3=-C3H6-Si(OSi(CH3)3)3、R4=Hの化合物)
6Az10Ac:10-(4-(4-hexylphenylazo)phenoxy)decyl acrylate(式(2)中、R1の式(3)におけるm=6、n=10、R2=Hの化合物)
Bpy6:4,4'-dinonyl-2,2'-bipyridyl(以下に示す式(11)の化合物)
ConvNMR:NMRから見積もったモノマー転換率
MwNMR:Conv.NMRから計算したポリマーの分子量
EHA:2-ethylhexyl acrylate(式(4)、R3=-3-C8H17(すなわちl=2)、R4=Hの化合物)
Me6TREN:tris[2-(dimethylamino)ethyl]amine(以下に示す式(12)の化合物)
【化15】
【化16】
【0045】
(実施例1)ABA型トリブロックポリマー[poly(6Az10Ac)-b-poly(4SPA)-b-poly(6Az10Ac)]の合成
(1a)Poly(4SPA)-1の合成
耐圧管に撹拌子を入れ、EBBiBを25mg(0.069mmol)、CuBrを9.6mg(0.069mmol)、bpy9を54.6mg(0.138mmol)、Cuを4.2mg(0.069mmol)加えた。窒素雰囲気にした無菌パックの中でこれにテトラヒドロフラン(THF)を0.67ml加えて、全体が均一な溶液になるまで撹拌し、その後4SPAを0.62ml(1.38mmol)加えて密閉し、55℃のオイルバスで6時間撹拌しながら加熱した。その後冷蔵庫で15分間冷却し、CuBr2を加えて軽く混ぜた後、中性アルミナ粉のカラムに通した。それをメタノールで再沈殿・遠心分離して精製した。収量は413mg、ConvNMR=93%、MwNMR=7588gmol-1であった。
【0046】
(1b)[poly(6Az10Ac)-b-poly(4SPA)-b-poly(6Az10Ac)]-1の合成
耐圧管に撹拌子を入れ、Poly(4SPA)-1を250mg(0.033mmol)、CuBrを19mg(0.13mmol)、bpy9を108mg(0.26mmol)、Cuを16.8mg(0.26mmol)、6Az10Acを305mg(0.66mmol)加えた。Ar雰囲気にした無菌パックの中でこれにTHFを0.66ml加えて、全体が均一な溶液になるまでお湯で加温しながら撹拌して密閉し、55℃のオイルバスで24時間撹拌しながら加熱した。反応後、中性アルミナ粉のカラムに通した後、シリカカラムで精製した。収量は250mg、ConvNMR=68%、MwNMR=13880gmol-1であった。
【0047】
(2a)Poly(4SPA)-2の合成
耐圧管に撹拌子を入れ、EBBiBを18mg(0.05mmol)、CuBrを7.2mg(0.05mmol)、bpy9を41mg(0.10mmol)、Cuを3.2mg(0.05mmol)加えた。窒素雰囲気にした無菌パックの中でこれにTHFを0.3ml加えて、全体が均一な溶液になるまで撹拌し、その後4SPAを0.28ml(0.61mmol)加えて密閉し、55℃のオイルバスで6時間撹拌しながら加熱した。その後冷蔵庫で15分間冷却し、CuBr2を加えて軽く混ぜた後、中性アルミナ粉のカラムに通した。それをメタノールで再沈殿・遠心分離して精製した。収量は64mg、ConvNMR=100%、MwNMR=4896gmol-1であった。
【0048】
(2b)[poly(6Az10Ac)-b-poly(4SPA)-b-poly(6Az10Ac)]-2の合成
耐圧管に撹拌子を入れ、Poly(4SPA)-2を64mg(0.013mmol)、CuBrを7.5mg(0.052mmol)、bpy9を43mg(0.10mmol)、Cuを6.7mg(0.10mmol)、6Az10Acを121mg(0.26mmol)加えた。そこにAr雰囲気にした無菌パックの中でTHFを0.26ml加えて、全体が均一な溶液になるまでお湯で加温しながら撹拌して密閉し、55℃のオイルバスで24時間撹拌しながら加熱した。反応後、中性アルミナ粉のカラムに通した後、シリカカラムで精製した。収量は32mg、ConvNMR=60%、MwNMR=10448gmol-1であった。
【0049】
(3a)Poly(4SPA)-3の合成
耐圧管に撹拌子を入れ、EBBiBを6.3mg(0.017mmol)、CuBrを2.4mg(0.017mmol)、bpy9を14mg(0.034mmol)、Cuを1.1mg(0.017mmol)加えた。窒素雰囲気にした無菌パックの中でこれにTHFを0.3ml加えて、全体が均一な溶液になるまで撹拌し、その後4SPAを0.28ml(0.61mmol)加えて密閉し、55℃のオイルバスで6時間撹拌しながら加熱した。その後冷蔵庫で15分間冷却し、CuBr2を加えて軽く混ぜた後、中性アルミナ粉のカラムに通した。それをメタノールで再沈殿・遠心分離して精製した。収量は111mg、ConvNMR=100%、MwNMR=14280gmol-1であった。
【0050】
(3b)[poly(6Az10Ac)-b-poly(4SPA)-b-poly(6Az10Ac)]-3の合成
耐圧管に撹拌子を入れ、Poly(4SPA)-3を111mg(0.0078mmol)、CuBrを7.5mg(0.031mmol)、bpy9を25mg(0.062mmol)、Cuを4.0mg(0.062mmol)、6Az10Acを72mg(0.15mmol)加えた。Ar雰囲気にした無菌パックの中でこれにTHFを0.15ml加えて、全体が均一な溶液になるまでお湯で加温しながら撹拌して密閉し、55℃のオイルバスで24時間撹拌しながら加熱した。反応後、中性アルミナ粉のカラムに通した後、シリカカラムで精製した。収量は43mg、ConvNMR=86%、MwNMR=22237gmol-1であった。
【0051】
(4a)Poly(4SPA)-4の合成
耐圧管に撹拌子を入れ、EBBiBを4.9mg(0.013mmol)、CuBrを1.9mg(0.013mmol)、bpy9を11mg(0.026mmol)、Cuを0.83mg(0.013mmol)加えた。窒素雰囲気にした無菌パックの中でこれにTHFを0.3ml加えて、全体が均一な溶液になるまで撹拌し、その後4SPAを0.28ml(0.61mmol)加えて密閉し、55℃のオイルバスで6時間撹拌しながら加熱した。その後冷蔵庫で15分間冷却し、CuBr2を加えて軽く混ぜた後、中性アルミナ粉のカラムに通した。それをメタノールで再沈殿・遠心分離して精製した。収量は154mg、ConvNMR=100%、MwNMR=18360gmol-1であった。
【0052】
(4b)[poly(6Az10Ac)-b-poly(4SPA)-b-poly(6Az10Ac)]-4の合成
耐圧管に撹拌子を入れ、Poly(4SPA)-4を154mg(0.0084mmol)、CuBrを4.8mg(0.034mmol)、bpy9を27mg(0.068mmol)、Cuを4.3mg(0.068mmol)、6Az10Acを77mg(0.17mmol)加えた。Ar雰囲気にした無菌パックの中でこれにTHFを0.17ml加えて、全体が均一な溶液になるまでお湯で加温しながら撹拌して密閉し、55℃のオイルバスで24時間撹拌しながら加熱した。反応後、中性アルミナ粉のカラムに通した後、シリカカラムで精製した。収量は37mg、ConvNMR=56%、MwNMR=23541gmol-1であった。
【0053】
(実施例2)ABA型トリブロックポリマー[poly(6Az10Ac)-b-poly(EHA)-b-poly(6Az10Ac)]の合成
(1a)Poly(EHA)-1の合成
耐圧管に撹拌子を入れ、EBBiBを11.6mg(0.032mmol)、CuBrを4.6mg(0.032mmol)、bpy9を26.1mg(0.064mmol)、Cuを2.0mg(0.032mmol)加えた。窒素雰囲気にした無菌パックの中でこれにTHFを0.67ml加えて、全体が均一な溶液になるまで撹拌し、その後EHAを0.30ml(1.44mmol)加えて密閉し、55℃のオイルバスで8時間撹拌しながら加熱した。その後冷蔵庫で15分間冷却し、CuBr2を加えて軽く混ぜた後、中性アルミナ粉のカラムに通した。それをメタノールで再沈殿・遠心分離して精製した。収量は162mg、ConvNMR=71%、MwNMR=5878gmol-1であった。
【0054】
(1b)[poly(6Az10Ac)-b-poly(EHA)-b-poly(6Az10Ac)]-1の合成
耐圧管に撹拌子を入れ、poly(EHA)-1を162mg(0.028mmol)、CuBrを15.8mg(0.11mmol)、bpy9を89.8mg(0.22mmol)、Cuを14.0mg(0.22mmol)、6Az10Acを255mg(0.55mmol)加えた。Ar雰囲気にした無菌パックの中でこれにTHFを0.55ml加えて、全体が均一な溶液になるまでお湯で加温しながら撹拌して密閉し、55℃のオイルバスで24時間撹拌しながら加熱した。反応後、中性アルミナ粉のカラムに通した後、シリカカラムで精製した。収量は60mg、ConvNMR=68%、MwNMR=12170gmol-1であった。
【0055】
(2a)Poly(EHA)-2の合成
耐圧管に撹拌子を入れ、EBBiBを5.8mg(0.016mmol)、CuBr2を2.2mg(0.0099mmol)、Me6TRENを2.7ul(0.0099mmol)、アスコルビン酸を16.9mg(0.20mmol)加えた。Ar雰囲気にした無菌パックの中でこれにトルエンを0.29ml加えて、全体が均一な溶液になるまで撹拌し、その後EHAを0.30ml(0.14mmol)加えて密閉し、55℃のオイルバスで4時間撹拌しながら加熱した。その後冷蔵庫で15分間冷却した後、中性アルミナ粉のカラムに通した。それをメタノールで再沈殿・遠心分離して精製した。収量は131mg、ConvNMR=94%、MwNMR=15566gmol-1であった。
【0056】
(2b)[poly(6Az10Ac)-b-poly(EHA)-b-poly(6Az10Ac)]-2の合成
耐圧管に撹拌子を入れ、Poly(EHA)-2を131mg(0.0084mmol)、CuBr2を1.87mg(0.0084mmol)、Me6TRENを2.4ul(0.0084mmol)、アスコルビン酸を14.8mg(0.084mmol)、6Az10Acを136mg(0.29mmol)加えた。Ar雰囲気にした無菌パックの中でこれにトルエンを0.20ml加えて、全体が均一な溶液になるまでお湯で加温しながら撹拌して密閉し、55℃のオイルバスで24時間撹拌しながら加熱した。反応後、中性アルミナ粉のカラムに通した後、メタノール:アセトン=1:2の混合溶媒で再沈殿、遠心分離によって精製した。収量は100mg、ConvNMR=47%、MwNMR=23166gmol-1であった。
【0057】
(実施例3)Poly[(6Az10Ac)-b-(4SPA)-b-(6Az10Ac)]-1の紫外線照射による液化試験(1)
Poly[(6Az10Ac)-b-(4SPA)-b-(6Az10Ac)]-1を極微量、スライドガラス基板(松波白切放 No.1)上にとり、LED光源(浜松フォトニクスLC-L1V3)を用いて、中心波長365nm(半値幅13nm)の紫外線を室温(約25℃)下で照射した。0.5分間(3J/cm2)照射したところ、粉末は水飴状の粘性液体に変化した。これは、従来の糖アルコールエステル材料(特許文献2)の液化の2倍の速さに相当する。
【0058】
(実施例4)Poly[(6Az10Ac)-b-(4SPA)-b-(6Az10Ac)]-1の紫外線照射による液化試験(2)
光未照射のPoly[(6Az10Ac)-b-(4SPA)-b-(6Az10Ac)]-1を約1mgとり、加熱しながら、2枚のガラス基板に融解した状態で挟み込み、面積15mm×15mmに広げた。これを冷却することで、ガラス基板が接着された。これにLED光源(浜松浜松フォトニクスLC-L1V3)を用いて、中心波長365nmの紫外線を室温(約25℃)下で0.5分間照射(3J/cm2)し、液化したところ、ガラス2枚を指でずらすことができた。
【0059】
(実施例5)Poly[(6Az10Ac)-b-(4SPA)-b-(6Az10Ac)]-1の可視光照射による接着試験
紫外光照射により液化したサンプルを挟んだ上記ガラス基板2枚にLED光源(Luxeon cyan 5w LXHL-LE5C)を用いて中心波長510nmの可視光を3分間照射(6J/cm2)したところ、接着面は透明なままだったが、基板2枚を指でずらそうとしてもずれなかった。このガラス基板2枚をそれぞれ逆方向にひっぱったところ、剥離することはなかった。
【0060】
(実施例6)本発明の他のトリブロックポリマーについての液化及び接着試験
実施例1及び2で得られた、Poly[(6Az10Ac)-b-(4SPA)-b-(6Az10Ac)]-1 以外のトリブロックポリマー[poly(6Az10Ac)-b-poly(4SPA)-b-poly(6Az10Ac)]-2〜4、[poly(6Az10Ac)-b-poly(EHA)-b-poly(6Az10Ac)]-1〜2についても、実施例3〜5と同様の結果が得られた。
【0061】
(比較例1)AB型ジブロックポリマー: EBiB-PEHA-b-P6Az10Ac-Brの合成
(a)EBiB-PEHA-Brの重合
耐圧管に撹拌子を入れ、Ethyl 2-bromoisobutyrate(EBiB)を4.0ul(0.027mmol)、CuBr2を1.8mg(0.0081mmol)、Me6TRENを2.2ul(0.0081mmol)、アスコルビン酸を29mg(0.16mmol)加えた。Ar雰囲気にした無菌パックの中でこれにトルエンを0.48ml加えて、全体が均一な溶液になるまで撹拌し、その後EHAを0.50ml(2.4mmol)加え密閉し、55℃のオイルバスで5時間撹拌しながら加熱した。その後冷蔵庫で15分間冷却し中性アルミナ粉のカラムに通した。それをメタノールで再沈殿・遠心分離して精製した。収量は200mg、ConvNMR=96%、MwNMR=15897gmol-1であった。
【0062】
(b)ジブロックポリマーPoly[(6Az10Ac)-b-(EHA)]の重合
耐圧管に撹拌子を入れ、EBiB-PEHA-Brを200mg(0.013mmol)、CuBr2を2.8mg(0.013mmol)、Me6TRENを3.5ul(0.013mmol)、アスコルビン酸を22mg(0.13mmol)、6Az10Acを0.12g(2.5mmol)加えた。Ar雰囲気にした無菌パックの中でこれにトルエンを0.17ml加えて、全体が均一な溶液になるまでお湯で加温しながら撹拌して密閉し、55℃のオイルバスで24時間撹拌しながら加熱した。反応後、再沈殿(メタノール:アセトン=1:2)・遠心分離して精製した。収量は130mg、ConvNMR=61%、MwNMR=21541gmol-1であった。
【0063】
(比較例2)ランダムコポリマー: Poly(EHA-co-6Az10Ac)の合成
耐圧管に撹拌子を入れ、アゾビスイソブチロニトリルを6.6mg(0.040mmol)、6Az10Acを185mg(0.40mmol)加えた。Ar雰囲気にした無菌パックの中でこれにトルエンを0.50ml加えて、全体が均一な溶液になるまで撹拌し、その後EHAを0.33ml(1.6mmol)加え密閉し、80℃のオイルバスで1時間撹拌しながら加熱した。それをメタノールで再沈殿・遠心分離して液状の高分子180mgを得た。ConvNMR(EHA)=52%、ConvNMR(6Az10Ac)=60%、MwGPC=53790gmol-1、MWD=2.22であった。
【0064】
(実施例7)本発明のトリブロックポリマー及び比較例1のジブロックポリマーの溶融接着、紫外光照射による液化、及び、可視光照射による接着試験
1.5cm×5cm×3mmのガラス基板2枚を1.5cm幅重ね合わせ、その間に合成した高分子(10mg弱)を溶融させて挟み込み、室温に戻して接着した試料、これに365nmの紫外光(浜松フォトニクスLC-L1V3)を2〜3分照射した試料、および、これにさらに510nmの可視光(Luxeon cyan 5w LXHL-LE5C)を10〜15分照射した試料について、サンプル数5本で引っ張り試験を行い、引っ張り剪断接着強度を求め、5本の平均を接着強度とした(図2)。まとめた結果を表1に示す。
【表1】
【0065】
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願はそのまま引用により本明細書に組み入れられるものとする。
図1
図2