(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
有機電界発光素子用化合物を含む有機層が、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層及び電子注入層から選ばれる少なくとも一つの層であることを特徴とする請求項6に記載の有機電界発光素子。
有機電界発光素子用化合物を含む有機層が発光層であり、該発光層が燐光発光性ドーパントと該有機電界発光素子用化合物をホスト材料として含有する請求項6に記載の有機電界発光素子。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の有機EL素子用化合物は、前記一般式(1)で表される。
【0025】
一般式(1)において、環Iは隣接環と任意の位置で縮合する式(1a)で表される芳香族炭化水素環を示し、環IIは隣接環と任意の位置で縮合する式(1b)で表される複素環を表す。
【0026】
一般式(1)で表されるインドロカルバゾール骨格において、式(1a)で表される芳香族炭化水素環は2つの隣接環と任意の位置で縮合することができるが、構造的に縮合できない位置がある。式(1a)で表される芳香族炭化水素環は、6つの辺を有するが、隣接する2つの辺で2つの隣接環と縮合することはない。また、式(1b)で表される複素環は2つの隣接環と任意の位置で縮合することができるが、構造的に縮合できない位置がある。すなわち、式(1b)で表される複素環は、5つの辺を有するが、隣接する2つの辺で2つの隣接環と縮合することはなく、また、窒素原子を含む辺で隣接環と縮合することはない。したがって、インドロカルバゾール骨格の種類は限られる。
【0027】
一般式(1)において、インドロカルバゾール骨格は以下の構造で表されるものが好ましい。これらの例から、インドロカルバゾール骨格中の芳香族炭化水素環及び複素環の好ましい縮合位置が理解される。
【0029】
一般式(1)中、L
1はi+1価の基であり、L
2はk+1価の基である。L
1、L
2は独立に、置換若しくは未置換の炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、置換若しくは未置換の炭素数3〜17の芳香族複素環基、又は該芳香族炭化水素基若しくは該芳香族複素環基の芳香族環が2〜6つ連結した連結芳香族基を表す。好ましくは、置換若しくは未置換の炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、置換若しくは未置換の炭素数3〜12の芳香族複素環基、又は該置換若しくは未置換の芳香族環が2〜6つ連結して生じる置換若しくは未置換の連結芳香族基である。連結芳香族基である場合は、直鎖状であっても分岐状であっても良く、連結する芳香族環は同一であっても異なっていても良い。
【0030】
L
1、L
2が未置換の芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、又は該置換若しくは未置換の芳香族環が2〜6つ連結して連結芳香族基である場合の具体例としては、ベンゼン、ペンタレン、インデン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、チオフェン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、イソインドール、インダゾール、プリン、ベンゾイミダゾール、インドリジン、クロメン、ベンゾオキサゾール、イソベンゾフラン、キノリジン、イソキノリン、イミダゾール、ナフチリジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、シンノリン、キノリン、プテリジン、ペリミジン、フェナントロリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、フェナザシラン、シベンゾジオキシン、カルボリン、インドール、インドロインドール、カルバゾール、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチアゾール、オキサトレン、ジベンゾフラン、チオフェン、チオキサンテン、チアントレン、フェノキサチイン、チオナフテン、イソチアナフテン、チオフテン、チオファントレン、ジベンゾチオフェン等の芳香族化合物からi+1個、又はk+1個の水素を取って生じる基、又はこれらが2〜6つ連結した芳香族化合物からi+1個、又はk+1個の水素を取って生じる基が挙げられる。
【0031】
L
1、L
2が置換基を有する芳香族炭化水素基、置換基を有する芳香族複素環基、又は置換基を有する連結芳香族基である場合の置換基としては、重水素、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数7〜19のアラルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基、シアノ基、炭素数2〜24のジアルキルアミノ基、炭素数6〜36のジアリールアミノ基、炭素数14〜38のジアラルキルアミノ基、アミノ基、ニトロ基、アシル基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、炭素数1〜12のアルコキシル基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数1〜12のハロアルキル基、水酸基、アミド基、フェノキシ基、炭素数1〜12のアルキルチオ基がある。
好ましくは、重水素、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数7〜19のアラルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基、炭素数2〜24のジアルキルアミノ基、炭素数6〜36のジアリールアミノ基、炭素数14〜38のジアラルキルアミノ基、炭素数2〜12のアシル基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜12のアルコキシル基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数1〜12のハロアルキル基、フェノキシ基、炭素数1〜12のアルキルチオ基である。
【0032】
ここで、L
1、L
2が未置換の1価の連結芳香族基である場合において、連結芳香族基としては、下記式(6)〜(8)で示されるような構造が挙げられる。なお、i又はkが1以上である場合は、これらからi個又はk個の水素を取って生じる構造となる。
【0034】
式(6)〜(8)中、Ar
1〜Ar
6は未置換の単環又は縮合環の芳香族環を表し、同一であっても異なっていても良い。
【0035】
L
1及びL
2が未置換の連結芳香族基である場合、又は式(6)〜(8)で表わされる場合の具体例としては、例えば以下のような基又はこれらからi個又はk個の水素を取って生じる基が挙げられる。
【0037】
式中、R’は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基又は炭素数3〜17の芳香族複素環基を示す。これらの芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基の具体例は、価数が1価である他は上記一般式(1)中のL
1、L
2で説明したものと同様である。
【0038】
一般式(1)及び式(1b)中、Zは式(1c)で表されるホウ素含有基である。
【0039】
式(1c)中、A
1及びA
2はそれぞれ独立に、水素、重水素、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基、炭素数1〜12のアルコキシル基、水酸基、塩素、臭素、フッ素、置換若しくは未置換の炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、又は置換若しくは未置換の炭素数3〜17の芳香族複素環基を示す。好ましくは、置換若しくは未置換の炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、又は置換若しくは未置換の炭素数3〜17の芳香族複素環基である。また、A
1及びA
2が芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基の場合、互いに結合して環を形成してもよい。例えば、2つの芳香族環が結合してBと共に環を形成してもよく、更に2つの芳香族環が有する置換基同士が結合して環を形成してもよく、また、一方の芳香族環と、他方の芳香族環が有する置換基とが結合して環を形成してもよい。
【0040】
A
1、A
2が置換基を有する芳香族炭化水素基又は置換基を有する芳香族複素環基である場合の置換基は、重水素、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数7〜19のアラルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基、シアノ基、炭素数2〜24のジアルキルアミノ基、炭素数6〜36のジアリールアミノ基、炭素数14〜38のジアラルキルアミノ基、アミノ基、ニトロ基、アシル基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、炭素数1〜12のアルコキシル基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数1〜12のハロアルキル基、水酸基、塩素、臭素、フッ素、アミド基、フェノキシ基、炭素数1〜12のアルキルチオ基、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、又は炭素数3〜17の芳香族複素環基である。好ましくは、重水素、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数7〜19のアラルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、又は炭素数2〜12のアルキニル基、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、又は炭素数3〜17の芳香族複素環基である。
【0041】
一般式(1)、式(1a)及び式(1b)中、Rはそれぞれ独立に、重水素、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜12のアラルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基、シアノ基、炭素数2〜24のジアルキルアミノ基、炭素数6〜36のジアリールアミノ基、炭素数14〜38のジアラルキルアミノ基、アミノ基、ニトロ基、炭素数2〜12のアシル基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、炭素数1〜12のアルコキシル基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数1〜12のハロアルキル基、水酸基、アミド基、フェノキシ基、炭素数1〜12のアルキルチオ基、置換若しくは未置換の炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、置換若しくは未置換の炭素数3〜17の芳香族複素環基、又は式(1c)で表されるホウ素含有基を示す。好ましくは、重水素、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換若しくは未置換の炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、置換若しくは未置換の炭素数3〜12の芳香族複素環基、又はホウ素含有基である。Rが置換基を有する芳香族炭化水素基又は置換基を有する芳香族複素環基である場合の置換基は、A
1、A
2が置換基を有する芳香族炭化水素基又は置換基を有する芳香族複素環基である場合の置換基と同意である。
【0042】
一般式(1)、式(1a)及び式(1b)において、p及びqは独立に0〜4の整数、rは0〜2の整数を表し、i及びkはそれぞれ0〜5の整数を表す。好ましくは、p、q、r、i、kは独立に、0又は1である。
【0043】
ここで、p+q+r+i+k≧1であり、一般式(1)中に少なくとも一つの式(1c)で表されるホウ素含有基を有する。好ましくは、i+kが1以上であり、Rが式(1c)で表されるホウ素含有基以外の基である。p、q、r、i及びkが2以上の場合、R及びZはそれぞれ同一でも異なってもよい。
【0044】
一般式(1)で表されるインドロカルバゾール化合物の好ましい例として、一般式(2)〜(5)のいずれかで表されるインドロカルバゾール化合物がある。一般式(2)〜(5)において、一般式(1)、式(1a)、式(1b)及び式(1c)と共通の記号は同じ意味を有する。
【0045】
一般式(1)で表されるインドロカルバゾール化合物の好ましい骨格として、式(IC−1)〜(IC−4)のいずれかで表される骨格がある。一般式(1)は、式(IC−1)〜(IC−4)で表される骨格を包含する概念であり、これらを一般式(1)で表される化合物で代表して説明することができる。
【0046】
一般式(1)で表されるインドロカルバゾール化合物は、式(IC−1)〜(IC−4)の形態で表されるような母骨格が考えられるが、これらは目的とする化合物の構造に応じて原料を選択し、公知の手法を用いて合成することができる。
【0047】
例えば、式(IC−1)で表されるインドロカルバゾール骨格は、Synlett,2005,No.1,p42-48に示される合成例を参考にして以下の反応式により合成することができる。
【0049】
また、式(IC−3)で表されるインドロカルバゾール骨格は、Archiv der Pharmazie (Weinheim, Germany) 1987, 320(3), p280-2に示される合成例を参考にして以下の反応式により合成することができる。
【0051】
一般式(1)で表されるインドロカルバゾール化合物の具体例を以下に示すが、本発明の有機EL素子用材料はこれらに限定されない。
【0057】
上記一般式(1)で表されるインドロカルバゾール化合物(以下、本発明の化合物ともいう)は、基板上に、陽極、複数の有機層及び陰極が積層されてなる有機EL素子の少なくとも1つの有機層に含有させることにより、優れた有機EL素子を与える。含有させる有機層としては、発光層、正孔輸送層、電子輸送層、正孔阻止層又は電子阻止層が適する。ここで、発光層に使用する場合は、蛍光発光、遅延蛍光発光又は燐光発光性のドーパントを含有する発光層のホスト材料として使用できるほか、本発明の化合物を蛍光及び遅延蛍光を放射する有機発光材料として使用することができる。本発明の化合物は、燐光発光ドーパントを含有する発光層のホスト材料として含有させることが特に好ましい。
【0058】
次に、本発明の有機EL素子について説明する。
【0059】
本発明の有機EL素子は、基板上に積層された陽極と陰極の間に、少なくとも一つの発光層を有する有機層を有し、且つ少なくとも一つの有機層は、上記インドロカルバゾール化合物を含む。有利には、燐光発光ドーパントと共に本発明の有機EL素子用化合物を発光層中に含む。
【0060】
次に、本発明の有機EL素子の構造について、図面を参照しながら説明するが、本発明の有機EL素子の構造は何ら図示のものに限定されるものではない。
【0061】
図1は本発明に用いられる一般的な有機EL素子の構造例を示す断面図であり、1は基板、2は陽極、3は正孔注入層、4は正孔輸送層、5は発光層、6は電子輸送層、7は陰極を各々表わす。本発明の有機EL素子では発光層と隣接して励起子阻止層を有してもよく、また、発光層と正孔注入層との間に電子阻止層を有しても良い。励起子阻止層は発光層の陽極側、陰極側のいずれにも挿入することができ、両方同時に挿入することも可能である。本発明の有機EL素子では、基板、陽極、発光層及び陰極を必須の層として有するが、必須の層以外の層に、正孔注入輸送層、電子注入輸送層を有することがよく、更に発光層と電子注入輸送層の間に正孔阻止層を有することがよい。なお、正孔注入輸送層は、正孔注入層と正孔輸送層のいずれか又は両者を意味し、電子注入輸送層は、電子注入層と電子輸送層のいずれか又は両者を意味する。
【0062】
なお、
図1とは逆の構造、すなわち、基板1上に陰極7、電子輸送層6、発光層5、正孔輸送層4、陽極2の順に積層することも可能であり、この場合も、必要により層を追加したり、省略したりすることが可能である。
【0063】
−基板−
本発明の有機EL素子は、基板に支持されていることが好ましい。この基板については、特に制限はなく、従来から有機EL素子に慣用されているものであればよく、例えば、ガラス、透明プラスチック、石英などからなるものを用いることができる。
【0064】
−陽極−
有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としてはAu等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO
2、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In
2O
3−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。更に膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
【0065】
−陰極−
一方、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al
2O
3)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al
2O
3)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極又は陰極のいずれか一方が、透明又は半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
【0066】
また、陰極に上記金属を1〜20nmの膜厚で作製した後に、陽極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで、透明又は半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
【0067】
−発光層−
発光層は、陽極及び陰極のそれぞれから注入された正孔及び電子が再結合することにより励起子が生成した後、発光する層であり、発光層には有機発光材料とホスト材料を含む。
【0068】
発光層が蛍光発光層である場合、発光層には蛍光発光材料を単独で使用することもできるが、蛍光発光材料を蛍光発光ドーパントとして使用し、ホスト材料を混合することが好ましい。
【0069】
発光層における蛍光発光材料としては、一般式(1)で表されるインドロカルバゾール化合物を用いることができるが、多数の特許文献等により知られているので、それらから選択することもできる。例えば、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、スチリルベンゼン誘導体、ポリフェニル誘導体、ジフェニルブタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ナフタルイミド誘導体、クマリン誘導体、縮合芳香族化合物、ペリノン誘導体、オキサジアゾール誘導体、オキサジン誘導体、アルダジン誘導体、ピラリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体、キナクリドン誘導体、ピロロピリジン誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、スチリルアミン誘導体、ジケトピロロピロール誘導体、芳香族ジメチリジン化合物、8-キノリノール誘導体の金属錯体やピロメテン誘導体の金属錯体、希土類錯体、遷移金属錯体に代表される各種金属錯体等、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物、有機シラン誘導体等が挙げられる。好ましくは縮合芳香族化合物、スチリル化合物、ジケトピロロピロール化合物、オキサジン化合物、ピロメテン金属錯体、遷移金属錯体、又はランタノイド錯体が挙げられ、より好ましくはナフタセン、ピレン、クリセン、トリフェニレン、ベンゾ[c]フェナントレン、ベンゾ[a]アントラセン、ペンタセン、ペリレン、フルオランテン、アセナフソフルオランテン、ジベンゾ[a,j]アントラセン、ジベンゾ[a,h]アントラセン、ベンゾ[a]ナフタセン、ヘキサセン、アンタントレン、ナフト[2,1-f]イソキノリン、α-ナフタフェナントリジン、フェナントロオキサゾール、キノリノ[6,5-f]キノリン、ベンゾチオファントレン等が挙げられる。これらは置換基としてアルキル基、アリール基、芳香族複素環基、又はジアリールアミノ基を有していてもよい。
【0070】
発光層における蛍光ホスト材料としては、一般式(1)で表されるインドロカルバゾール化合物を用いることができるが、多数の特許文献等により知られているので、それらから選択することもできる。例えば、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、トリフェニレン、ペリレン、フルオランテン、フルオレン、インデンなどの縮合アリール環を有する化合物やその誘導体、N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミンなどの芳香族アミン誘導体、トリス(8−キノリナート)アルミニウム(III)をはじめとする金属キレート化オキシノイド化合物、ジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、インデン誘導体、クマリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピロロピリジン誘導体、ペリノン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ピロロピロール誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、トリアジン誘導体、ポリマー系では、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリチオフェン誘導体等が使用できるが特に限定されるものではない。
【0071】
前記蛍光発光材料を蛍光発光ドーパントとして使用し、ホスト材料を含む場合、蛍光発光ドーパントが発光層中に含有される量は、0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%の範囲にあることが良い。
【0072】
通常、有機EL素子は、陽極、陰極の両電極より発光物質に電荷を注入し、励起状態の発光物質を生成し、発光させる。電荷注入型の有機EL素子の場合、生成した励起子のうち、一重項励起状態に励起されるのは25%であり、残り75%は三重項励起状態に励起されると言われている。Advanced Materials 2009, 21, 4802-4806.に示されているように、特定の蛍光発光物質は、項間交差等により三重項励起状態へとエネルギーが遷移した後、三重項−三重項消滅あるいは熱エネルギーの吸収により、一重項励起状態に逆項間交差され蛍光を放射し、熱活性化遅延蛍光を発現することが知られている。本発明の有機EL素子でも遅延蛍光を発現することができる。この場合、蛍光発光及び遅延蛍光発光の両方を含むこともできる。但し、発光の一部或いは部分的にホスト材料からの発光があってもよい。
【0073】
発光層が遅延蛍光発光層である場合、発光層には遅延発光材料を単独で使用することもできるが、遅延蛍光材料を遅延蛍光発光ドーパントとして使用し、ホスト材料を混合することが好ましい。
【0074】
発光層における遅延蛍光発光材料としては、一般式(1)で表されるインドロカルバゾール化合物を用いることができるが、公知の遅延蛍光発光材料から選択することもできる。例えば、スズ錯体、インドロカルバゾール誘導体、銅錯体、カルバゾール誘導体等が挙げられる。具体的には、以下の非特許文献、特許公報に記載されている化合物が挙げられるが、これらの化合物に限定されるものではない。
【0075】
Adv. Mater. 2009, 21, 4802-4806、Appl. Phys. Lett. 98, 083302 (2011)、特開2011-213643号公報、及びJ. Am. Chem. Soc. 2012, 134, 14706-14709。
【0076】
遅延発光材料の具体例を下記に示すが、下記の化合物に限定されるものではない。
【0078】
前記遅延蛍光発光材料を遅延蛍光発光ドーパントとして使用し、ホスト材料を含む場合、遅延蛍光発光ドーパントが発光層中に含有される量は、0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.01〜10%の範囲にあることが良い。
【0079】
発光層における遅延蛍光ホスト材料としては、一般式(1)で表されるインドロカルバゾール化合物を用いることができるが、インドロカルバゾール以外の化合物から選択することもできる。例えば、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、トリフェニレン、ペリレン、フルオランテン、フルオレン、インデンなどの縮合アリール環を有する化合物やその誘導体、N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミンなどの芳香族アミン誘導体、トリス(8−キノリナート)アルミニウム(III)をはじめとする金属キレート化オキシノイド化合物、ジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、インデン誘導体、クマリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピロロピリジン誘導体、ペリノン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ピロロピロール誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、トリアジン誘導体、ポリマー系では、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリチオフェン誘導体、アリールシラン誘導体等が使用できるが特に限定されるものではない。
【0080】
発光層が燐光発光層である場合、発光層は燐光発光ドーパントとホスト材料を含む。燐光発光ドーパント材料としては、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金及び金から選ばれる少なくとも一つの金属を含む有機金属錯体を含有するものがよい。具体的には以下の特許公報類に記載されている化合物が挙げられるが、これらの化合物に限定されない。
【0081】
WO2009/073245号公報、WO2009/046266号公報、WO2007/095118号公報、WO2008/156879号公報、WO2008/140657号公報、US2008/261076号公報、特表2008-542203号公報、WO2008/054584号公報、特表2008-505925号公報、特表2007-522126号公報、特表2004-506305号公報、特表2006-513278号公報、特表2006-50596号公報、WO2006/046980号公報、WO2005113704号公報、US2005/260449号公報、US2005/2260448号公報、US2005/214576号公報、WO2005/076380号公報、US2005/119485号公報、WO2004/045001号公報、WO2004/045000号公報、WO2006/100888号公報、WO2007/004380号公報、WO2007/023659号公報、WO2008/035664号公報、特開2003-272861号公報、特開2004-111193号公報、特開2004-319438号公報、特開2007-2080号公報、特開2007-9009号公報、特開2007-227948号公報、特開2008-91906号公報、特開2008-311607号公報、特開2009-19121号公報、特開2009-46601号公報、特開2009-114369号公報、特開2003-253128号公報、特開2003-253129号公報、特開2003-253145号公報、特開2005-38847号公報、特開2005-82598号公報、特開2005-139185号公報、特開2005-187473号公報、特開2005-220136号公報、特開2006-63080号公報、特開2006-104201号公報、特開2006-111623号公報、特開2006-213720号公報、特開2006-290891号公報、特開2006-298899号公報、特開2006-298900号公報、WO2007/018067号公報、WO2007/058080号公報、WO2007/058104号公報、特開2006-131561号公報、特開2008-239565号公報、特開2008-266163号公報、特開2009-57367号公報、特開2002-117978号公報、特開2003-123982号公報、特開2003-133074号公報、特開2006-93542号公報、特開2006-131524号公報、特開2006-261623号公報、特開2006-303383号公報、特開2006-303394号公報、特開2006-310479号公報、特開2007-88105号公報、特開2007-258550号公報、特開2007-324309号公報、特開2008-270737号公報、特開2009-96800号公報、特開2009-161524号公報、WO2008-050733号公報、特開2003-73387号公報、特開2004-59433号公報、特開2004-155709号公報、特開2006-104132号公報、特開2008-37848号公報、特開2008-133212号公報、特開2009-57304号公報、特開2009-286716号公報、特開2010-83852号公報、特表2009-532546号公報、特表2009-536681号公報、特表2009-542026号公報等。
【0082】
好ましい燐光発光ドーパントとしては、Ir等の貴金属元素を中心金属として有するIr(ppy)3等の錯体類、Ir(bt)2・acac3等の錯体類、PtOEt3等の錯体類が挙げられる。これらの錯体類の具体例を以下に示すが、下記の化合物に限定されない。
【0084】
前記燐光発光ドーパントが発光層中に含有される量は、2〜40重量%、好ましくは5〜30重量%の範囲にあることがよい。
【0085】
発光層が燐光発光層である場合、発光層におけるホスト材料としては、前記一般式(1)で表されるインドロカルバゾール化合物を用いることが好ましい。しかし、該インドロカルバゾール化合物を発光層以外の他の何れかの有機層に使用する場合は、発光層に使用する材料はインドロカルバゾール化合物以外の他のホスト材料であってもよい。また、インドロカルバゾール化合物と他のホスト材料を併用してもよい。更に、公知のホスト材料を複数種類併用して用いてもよい。
【0086】
使用できる公知のホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有し、かつ発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高いガラス転移温度を有する化合物であることが好ましい。
【0087】
このような他のホスト材料は、多数の特許文献等により知られているので、それらから選択することができる。ホスト材料の具体例としては、特に限定されるものではないが、インドール誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリデン系化合物、ポルフィリン系化合物、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8―キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾール誘導体の金属錯体に代表される各種金属錯体、ポリシラン系化合物、ポリ(N-ビニルカルバゾール)誘導体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等の高分子化合物等が挙げられる。
【0088】
発光層は蛍光発光層、遅延蛍光発光層あるいは燐光発光層のいずれでもよいが、燐光発光層であることが好ましい。
【0089】
−注入層−
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、正孔注入層と電子注入層があり、陽極と発光層又は正孔輸送層の間、及び陰極と発光層又は電子輸送層との間に存在させてもよい。注入層は必要に応じて設けることができる。
【0090】
−正孔阻止層−
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有し、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
【0091】
正孔阻止層には一般式(1)で表されるインドロカルバゾール化合物を用いることが好ましいが、インドロカルバゾール化合物を他の何れかの有機層に使用する場合は、公知の正孔阻止層材料を用いてもよい。また、正孔阻止層材料としては、後述する電子輸送層の材料を必要に応じて用いることができる。
【0092】
−電子阻止層−
電子阻止層とは、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料から成り、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔が再結合する確率を向上させることができる。
【0093】
電子阻止層の材料としては、本発明に係る一般式(1)で表されるインドロカルバゾール化合物を用いることができるが、他の材料として、後述する正孔輸送層の材料を必要に応じて用いることもできる。電子阻止層の膜厚は好ましくは3〜100nmであり、より好ましくは5〜30nmである。
【0094】
−励起子阻止層−
励起子阻止層とは、発光層内で正孔と電子が再結合することにより生じた励起子が電荷輸送層に拡散することを阻止するための層であり、本層の挿入により励起子を効率的に発光層内に閉じ込めることが可能となり、素子の発光効率を向上させることができる。励起子阻止層は発光層に隣接して陽極側、陰極側のいずれにも挿入することができ、両方同時に挿入することも可能である。
【0095】
励起子阻止層の材料としては、一般式(1)で表されるインドロカルバゾール化合物を用いることができるが、他の材料として、例えば、1,3−ジカルバゾリルベンゼン(mCP)や、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラトアルミニウム(III)(BAlq)が挙げられる。
【0096】
−正孔輸送層−
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、正孔輸送層は単層又は複数層設けることができる。
【0097】
正孔輸送材料としては、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。正孔輸送層には一般式(1)で表されるインドロカルバゾール化合物を用いることが好ましいが、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。使用できる公知の正孔輸送材料としては例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物を用いることが好ましく、芳香族第3級アミン化合物を用いることがより好ましい。
【0098】
−電子輸送層−
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、電子輸送層は単層又は複数層設けることができる。
【0099】
電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる場合もある)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよい。電子輸送層には本発明に係る一般式(1)で表される材料を用いることが好ましいが、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができ、例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。更に、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
【実施例】
【0100】
以下、本発明を実施例によって更に詳しく説明するが、本発明は勿論、これらの実施例に限定されるものではなく、その要旨を越えない限りにおいて、種々の形態で実施することが可能である。
【0101】
以下に示すルートにより燐光発光素子用材料となるインドロカルバゾール化合物を合成した。尚、化合物番号は、上記例示化合物に付した番号に対応する。
【0102】
合成例1
化合物B9の合成
【0103】
窒素雰囲気下、化合物(A) 5.00g(0.0150mol)、ジブロモベンゼン 25.0g(0.106mol)、銅 6.10g(0.0960mol)、炭酸カリウム 22.8g (0.165mol)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI) 30mlを加え、190℃で6時間撹拌した。その反応溶液を室温まで冷却し、水 800mlへ注ぎ込み、室温で12時間撹拌した。析出した固体をろ別し、テトラヒドロフラン(THF) 200mlに溶解させ、2M HCl 200mlを加えた後、酢酸エチル 100mlで3回抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に、硫酸マグネシウムをろ別し、溶媒を除去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで、白色固体として中間体(B) 6.18g(0.0126mol、収率 84%)を得た。
【0104】
【0105】
窒素雰囲気下、中間体(B)6.00g(0.0123mol)、THF 100mlを加え、-78℃まで冷却した。1.59M n-BuLi 7.7ml (0.0123mol)を加え、-78℃で30分間撹拌した後、ジメシチルフルオロボラン 4.96g (0.0185mol)を加え、室温で2時間撹拌した。その後溶媒を除去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー、再結晶で精製することで淡黄色固体として化合物B9 1.90g (0.00289mol、収率 23%)を得た。
APCI-TOFMS m/z 657 [M+1]、1H-NMR 測定結果(測定溶媒:THF-d8)を
図2に示す。
【0106】
実施例1
膜厚110 nmのITOからなる陽極が形成されたガラス基板上に、各薄膜を真空蒸着法にて、真空度4.0×10
-5 Paで積層させた。まず、ITO上に銅フタロシアニン(CuPC)を25 nmの厚さに形成した。次に、正孔輸送層として4,4'-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(NPB)を40 nmの厚さに形成した。次に、正孔輸送層上に、ホスト材料としての化合物(B9)と、燐光発光ドーパントとしてのトリス(2‐フェニルピリジン)イリジウム(III)(Ir(ppy)
3)とを異なる蒸着源から、共蒸着し、40 nmの厚さに発光層を形成した。発光層中のIr(ppy)
3の濃度は10.0 wt%であった。次に、電子輸送層としてトリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(III)(Alq3)を20 nmの厚さに形成した。更に、電子輸送層上に、電子注入層としてフッ化リチウム(LiF)を1.0 nmの厚さに形成した。最後に、電子注入層上に、電極としてアルミニウム(Al)を70 nmの厚さに形成し、有機EL素子を作製した。
【0107】
得られた有機EL素子に外部電源を接続し直流電圧を印加したところ、表1のような発光特性を有することが確認された。表1において、輝度、電圧及び発光効率は、20mA/cm
2での値を示す。素子発光スペクトルの極大波長は520 nmであり、Ir(ppy)
3からの発光が得られていることがわかった。
【0108】
実施例2〜12
合成例1と同様にして、化合物A1、A27、A33、A41、B4、B22、B33、C9、D8、D17及びE11を合成した。
実施例1の発光層のホスト材料として、化合物B9に代えて化合物A1、A27、A33、A41、B4、B22、B33、C9、D8、D17及びE11を用いた以外は実施例1と同様にして有機EL素子を作成した。各々の素子発光スペクトルの極大波長は520 nmであり、Ir(ppy)
3からの発光が得られていることがわかった。各々の発光特性を表1に示す。
【0109】
比較例1
発光層のホスト材料として、CBPを用いた以外は実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
【0110】
比較例2
発光層のホスト材料として、下記化合物Ho−1を用いた以外は実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
【0111】
【0112】
比較例3
発光層のホスト材料として、下記化合物Ho−2を用いた以外は実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
【0113】
比較例1〜3で作成した有機EL素子の素子発光スペクトルの極大波長はいずれも520 nmであり、Ir(ppy)
3からの発光が得られていることがわかった。ホスト材料として使用した化合物及び各々の発光特性(@20mA/cm
2)を表1に示す。
【0114】
【表1】
【0115】
表1より、一般式(1)で表されるインドロカルバゾール化合物を用いた有機EL素子は、燐光ホストとして一般的に知られているCBPを用いた場合に対して、駆動電圧が低く良好な発光特性を示すことが判る。また、インドロカルバゾールのNに結合する連結基上に、あるいはインドロカルバゾールのベンゼン上に、ホウ素含有基を持たない化合物であるHo−1及びHo−2を用いた場合と比較して、良好な発光特性を示すことが判る。以上より、上記インドロカルバゾール化合物を用いた有機EL素子の優位性は明らかである。
【0116】
本発明による有機EL素子は、発光特性、駆動電圧ならびに耐久性において、実用上満足できるレベルにあり、フラットパネルディスプレイ(携帯電話表示素子、車載表示素子、OAコンピュータ表示素子やテレビ等)、面発光体としての特徴を生かした光源(照明、複写機の光源、液晶ディスプレイや計器類のバックライト光源)、表示板や標識灯等への応用において、その技術的価値は大きいものである。