【実施例】
【0041】
<組成物1>
100ppmの8−ヒドロキシキノリンを基本のSTI研磨組成物に添加した。この溶液のpHは約5.5であった。この組成物を、室温で終夜撹拌した。
【0042】
そしてこの溶液を10,000rpmで60分間遠心処理した。その上澄み溶液及び残留酸化セリウム粒子を別々に収集した。上澄み溶液をICP−質量分光法(mass spectroscopy)で解析した(full digestion:全分解)。基本STI研磨組成物の上澄み溶液を、標準試料として用いた。
【0043】
<組成物2>
100ppmの8−ヒドロキシキノリン−5−スルホン酸を基本のSTI研磨組成物に添加した。この溶液のpHは約5.25であった。この組成物を、室温で終夜撹拌した。
【0044】
そしてこの溶液を10,000rpmで60分間遠心処理した。その上澄み溶液及び残留酸化セリウム粒子を別々に収集した。上澄み溶液をICP−質量分光法で解析した(全分解)。基本STI研磨組成物の上澄み溶液を、標準試料として用いた。
【0045】
<組成物3>
100ppmの8−ヒドロキシキノリン(キレート剤1)を200mLの酸化セリウム(セリア)スラリー(40wt%)に添加した。この溶液のpHは、約9.5であった。この溶液を室温で終夜撹拌した。
【0046】
そしてこの溶液を10,000rpmで60分間遠心処理した。その上澄み溶液及び残留酸化セリウム粒子を別々に収集した。上澄み溶液をICP−質量分光法で解析した(全分解)。基本酸化セリウムスラリーの上澄み溶液を、標準試料として用いた。
【0047】
<組成物4>
100ppmの8−ヒドロキシキノリン−5−スルホン酸(キレート剤2)を200mLの酸化セリウム(セリア)スラリー(40wt%)に添加した。この溶液のpHは、約9.5であった。この溶液を室温で終夜撹拌した。
【0048】
そしてこの溶液を10,000rpmで60分間遠心処理した。その上澄み溶液及び残留酸化セリウム粒子を別々に収集した。上澄み溶液をICP−質量分光法で解析した(全分解)。基本酸化セリウムスラリーの上澄み溶液を、標準試料として用いた。
【0049】
組成物1及び2からの結果を、表1及び
図1に示した。
【0050】
キレート剤添加物としての100ppmの8−ヒドロキシキノリンの添加では、CMPプロセス後の平均総欠陥数が、基本STI研磨組成物での1107から、443に減少した。
【0051】
キレート剤添加物としての100ppmの8−ヒドロキシキノリン−5−スルホン酸の添加では、CMPプロセス後の平均総欠陥数が、基本STI研磨組成物での1107から、385に減少した。
【0052】
【表1】
【0053】
計測器1(metrology tool)で検出したCMPプロセス後の総欠陥数は、STI研磨組成物にキレート剤である8−ヒドロキシキノリン又は8−ヒドロキシキノリン−5−スルホン酸水和物を用いることによって、それぞれ減少したことが観察された。
【0054】
表1に示すように、キレート添加剤として100ppmの8−ヒドロキシキノリンを添加することによって、CMPプロセス後に付加する平均の総欠陥数は、基本STI研磨組成物での1107から、443に減少した。
【0055】
ICP質量分光解析の結果は、2つのキレート剤で処理した組成物において、Zr濃度の30%超の低下を示した。
【0056】
また、二酸化ケイ素膜を研磨する除去速度も、表1に示した。その結果は、欠陥数の減少の利益を有していながら、除去速度が同程度であることを示した。
【0057】
組成物3及び4からの結果を、表2及び
図2に示した。
【0058】
キレート添加剤として1000ppmの8−ヒドロキシキノリン(キレート剤1)を添加することによって、CMPプロセス後に付加する平均の総欠陥数は、酸化セリウム(40wt%)スラリーでの93000から、54000に減少した。キレート添加剤として1000ppmの8−ヒドロキシキノリン−5−スルホン酸水和物(キレート剤2)を添加することによって、CMPプロセス後に付加する平均の総欠陥数は、酸化セリウム(40wt%)スラリーでの93000から、60000に減少した。
【0059】
【表2】
【0060】
ICP質量分光解析の結果は、処理にキレート剤を全く用いていない酸化セリウム標準サンプルよりも、キレート剤1又は2で処理した酸化セリウムサンプルのZr濃度が35%超低下したことを示した。
【0061】
したがって、キレート剤1又は2で処理した酸化セリウムスラリーは用いて、STI研磨組成物を調製することができる。
【0062】
<イオン交換樹脂処理>
実施例
酸化セリウムスラリーを、様々な種類のイオン交換樹脂で処理した。そのイオン交換樹脂としては、カリウムイオン(カチオン性−K樹脂)又はプロトン(カチオン性−H樹脂)を有するカチオン性イオン交換樹脂、及びヒドロキシル基(OH)(アニオン性−OH樹脂)を表面に有するアニオン性イオン交換樹脂が挙げられる。
【0063】
典型的なイオン交換処理において、40wt%の酸化セリウムスラリーか、又は希釈した10wt%の酸化セリウムスラリーを用いた。処理後に回収した酸化セリウムスラリーは、それぞれ40wt%及び10wt%から数%低い濃度を有していた。
【0064】
15〜20分の撹拌状態の下で、イオン交換樹脂を酸化セリウムスラリーに添加し、又はイオン交換樹脂を酸化セリウムスラリーと混合した。後に、イオン交換樹脂をろ過(フィルター)によって溶液から除去した。この工程を少なくとも3回繰り返してイオン交換処理を完了した。
【0065】
イオン交換樹脂処理の完了後、収集した酸化セリウムスラリーを遠心処理した。上澄み溶液及び残りの酸化セリウム粒子を、微量金属イオン濃度のICP質量分光解析のために収集した。
【0066】
その手順を行った後に、カリウムイオンを有するカチオン性交換樹脂を用いて、酸化セリウムスラリーを処理した(カチオン性−K樹脂)。最終の処理酸化セリウムスラリーを遠心処理した。
【0067】
プロトン官能基を有するカチオン性交換樹脂を用いて、酸化セリウムスラリーを処理した(カチオン性−H樹脂)。最終の処理酸化セリウムスラリーを遠心処理した。
【0068】
カチオン性イオン交換樹脂及びアニオン性イオン交換樹脂の今暁処理を、以下の例で行った。
【0069】
カリウムイオンを有するカチオン性イオン交換樹脂を用いて、酸化セリウムスラリーをまず処理した。処理した酸化セリウムスラリーを、そのカチオン性イオン交換樹脂から分離して、続いてヒドロキシル基を官能基として有するアニオン性イオン交換樹脂で処理した。そして、処理した酸化セリウムスラリーを、そのアニオン性イオン交換樹脂から分離した。
【0070】
このような別のイオン交換樹脂処理を三回繰り返した。
【0071】
そして、収集した酸化セリウムスラリーをさらに遠心処理した。上澄み溶液及び残りの酸化セリウム粒子を、微量金属イオン濃度のICP質量分光解析のためにそれぞれ収集した。
【0072】
また、イオン交換プロセス処理及び遠心処理を行っていない元の酸化セリウムスラリーも、微量金属イオン濃度のICP質量分光解析に関して標準試料として解析した。
【0073】
その結果を表3及び
図3に示す。
【表3】
【0074】
表3及び
図3の結果に示されるように、イオン交換処理プロセスは、微量金属イオン濃度、特にアルミニウムイオン濃度を低下させた。
【0075】
イオン交換樹脂処理を行っていない元の酸化セリウムスラリーに対して検出したアルミニウムイオン濃度と比較して、全て異なる3つのイオン交換樹脂処理が、微量アルミニウムイオン濃度を異なる程度で低下させることを示している。
【0076】
イオン交換樹脂処理後の酸化セリウムスラリーを用いて、STI研磨組成物を調製することができる。
【0077】
<限外ろ過処理>
実施例1
STI研磨組成物に用いる酸化セリウム粒子から微量金属汚染物質、例えばAl、Ng、及びZrを除去又は低減するための他のアプローチとして、限外ろ過法を用いた。
【0078】
この方法では、少なくとも1つの適切なろ過膜を用いた。酸化セリウムスラリーに制御した量の脱イオン水を流して処理をして、酸化セリウムスラリー中の溶媒(例えば、脱イオン水)の連続置換をした。このような溶媒の連続置換は、酸化セリウム粒子からの微量金属汚染物質の除去又は低減を促進した。
【0079】
その結果を表4並びに
図4及び5に示す。
【表4】
【0080】
表4の結果に示されるように、新たに粉砕した酸化セリウムのスラリーを限外ろ過処理プロセスで用いた。限外ろ過処理がない場合、Al、Mg及びZr含量は、それぞれ22000ppb、1300ppb、及び5200000ppbであった。限外ろ過プロセス処理後に、Al、Mg及びZr含量は、それぞれ7200ppb、440ppb、及び1840000ppbであり、これはAl含量で205.6%の低減、Mg含量で195.5%の低減、Zr含量で182.6%の低減に対応する。
【0081】
限外ろ過プロセス処理後の酸化セリウムスラリーを用いて、STI研磨組成物を調製することができる。
【0082】
実施例2
セリア粒子の凝集を引き起こし、限外ろ過プロセス伊予って処理したセリア粒子を収集し、そして再分散を行って処理酸化セリウム溶液を得ることで、この処理を開始した。
【0083】
この処理において、溶液の伝導率が約19.8〜20mS/cmになるまで、撹拌条件の下で飽和硝酸カリウム(KNO
3)を添加して、10%の酸化セリウム粒子溶液を調製した。この撹拌を停止するまでさらに5分続けた。この溶液を20分間静置してセリア粒子を沈降させた。この溶液の上層を除去して、脱イオン水(DIW)をその溶液に添加した(再分散の一部)。この新たな溶液を5分間撹拌した。そして、上述のKNO
3−静置−DIW工程をさらに2回繰り返した。最終の残留セリア溶液を、約200〜300μS/cmに溶液の伝導率がなるまで、限外ろ過によってろ過した。この後、セリア粒子溶液を30分間超音波処理して、複数の凝集セリア粒子を破砕して、再分散プロセスを完了した。
【0084】
この処理セリウム粒子の粒径及び分布(PSD)を解析し、これを
図6に示した。
【0085】
図6に示されたPSD曲線のように、処理セリウム粒子は、比較的狭いPSDを有しており、これは処理プロセスが、比較的微細な部分のセリア粒子を効果的に低減させていると同時に、比較的粗大なセリア粒子も低減させていることを示している。このような新たな狭い分布のセリア粒子を用いてSTI研磨組成物を調製することができ、またこれをSTI研磨スラリー及びSTI研磨用途に用いると欠陥の低減という利益を与えることができる。
【0086】
<脱イオン水洗浄及び遠心処理>
この方法では、脱イオン水を酸化セリウム粒子に添加した。これは、酸化セリウム粒子をリンスし又は洗浄する機能がある。そして、マルチパス(multi pass)とも呼ばれる、十分に制御した遠心及び分離プロセスを用いて、比較的小さなサイズの又は微細の酸化セリウム粒子(又はセリア粒子)を除去又は低減した。
【0087】
実施例
この実施例では、室温で15〜20分間撹拌しながら、脱イオン水を酸化セリウム粒子に添加して、濃縮(40wt%)酸化セリウムスラリーを作製した。酸化セリウムスラリーを十分に撹拌又は振盪させて、この洗浄プロセスの効率を高めた。そして、異なる遠心処理回数及び様々な回転速度(1分当たりの回転数)を選択して、酸化セリウムスラリーを処理した。
【0088】
異なる遠心処理回数及び様々な速度での回転で遠心させた後、分離プロセスを開始した。上澄み溶液を除去して廃棄し、残留酸化セリウム粒子を脱イオン水に再分散した。
【0089】
洗浄、遠心及び分離プロセスを、繰り返してマルチパスとした。
【0090】
粒子分布を光拡散技術で測定して、粒子分布の変化を監視した。
【0091】
粒子分布の解析結果は、非常に微細な(10nm未満)の酸化セリウム粒子の割合が低下することを明らかにし、これは、高いMPS方向への平均粒径のわずかな移動をももたらした。
【0092】
非常に小さな酸化セリウム粒子の割合が、酸化セリウムスラリーの処理回数に応じて、11%超から78%までの範囲で低下した。対照の酸化セリウムスラリーと比較して、微粉部分が、洗浄回数1回、2回、3回及び4回に対応して、それぞれ11.2%、27.8%、50.6%、及び78.3%低下した。この結果を表5に示した。
【0093】
さらに、新たなSTI研磨組成物を、非常に小さいサイズの酸化セリウム粒子が少ない酸化セリウム粒子(4回の洗浄後)を用いて作製して、基本/対照の標準試料STIスラリーの酸化セリウム粒子と置き換えた。
【0094】
【表5】
【0095】
非常に小さいサイズの酸化セリウム粒子が少ない酸化セリウム粒子をから作製したSTI研磨組成物を用いて、研磨試験を行い、標準/対照のSTI組成物から得られた結果と比較した。
【0096】
結果を表6及び
図7に示した。
【表6】
【0097】
表6及び
図7に示されるように、非常に小さいサイズの酸化セリウム粒子が少ない酸化セリウム粒子をSTI研磨組成物に用いた場合、二酸化ケイ素膜の研磨除去速度は、2958A/分から3898A/分に向上した。計測器1で測定した総欠陥数は、1107から344に減少した。計測器2で検出し、かつCMPプロセス後に不可した総欠陥数は、821から282に減少した。
【0098】
マルチパス脱イオン水洗浄及び遠心処理を用いることで、微細部分が実際に減少すること、そしてこれがSTIの研磨プロセスにおいて総欠陥数の減少をもたらすことを、この結果が示した。
【0099】
<化学添加剤処理>
この処理においては、適切な化学添加剤を酸化セリウムスラリーに添加する。適切な化学添加剤は、酸化セリウムスラリー中の様々な微少金属イオンと反応して、水溶性の化学添加剤−金属イオン錯体を形成することができ、この水溶性化学添加剤−金属イオン錯体は、処理酸化セリウムスラリーを遠心処理した後の上澄み水溶液相から除去することができる。
【0100】
適切な化学添加剤としては、限定されないが、以下が挙げられる:
a)有機酸、例えばシュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、イタコン酸、グルコン酸、乳酸、EDTA等;b)アミノ酸、例えばグリシン、アラニン、セリン、プロリン等;c)有機酸誘導体、これは少なくとも1以上のカルボン酸基を含む全ての有機化合物をいう;d)アミノ酸誘導体、これは少なくとも1以上のアミン酸部位等を含む全ての有機化合物をいい、例えばイミノ二酢酸がある;e)有機アミン化合物等、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、エチレンイミン、及び第一級アミノ基又は第二級アミノ基を含む他の有機化合物;f)有機硫酸、これは少なくとも1以上の硫酸基を含む全ての有機化合物をいう;g)有機リン酸、これは少なくとも1以上のリン酸基を含む全ての有機化合物をいう;h)ピリジン及びその誘導体等、例えばピリジン、2−メチルピリジン、及び2、3、4、5又は6の位置でそれぞれ置換したピリジン;i)ビピリジン及びその誘導体等、例えば2,2’−ビピリジン、4,4’−ジメチルビピリジン、4,4’−ビピリジン、及び他全ての置換2,2’−ビピリジン誘導体又は置換4,4’−ビピリジン誘導体;k)ターピリジン及びその誘導体;l)キノリン及びその誘導体;m)ヒドロキシキノリン及びその誘導体;並びにm)水酸化アンモニウム。
【0101】
化学添加剤が固体状態の場合、この方法の第1工程は、化学添加剤を酸化セリウムスラリーに添加して、酸化セリウム粒子を溶液中で処理することである。化学添加剤が溶液である場合、酸化セリウム粉体又は酸化セリウムスラリーを、化学添加剤溶液に添加することができる。この処理を、室温で又は高温のいずれかで行うことができ、続いてpH調製を行うことができる。遠心分離機から収集した酸化セリウム粒子を、脱イオン水と混合して、新たな酸化セリウムスラリーを生成する。
【0102】
実施例
低濃度のシュウ酸(0.01M)を用いて、12wt%の酸化セリウムスラリーをまず処理した。低濃度のシュウ酸と12wt%の酸化セリウムスラリーとの混合物を、N
2保護の下で3〜4時間撹拌し、加熱した。加熱処理プロセスの完了後に、シュウ酸と酸化セリウム粒子との混合溶液を遠心処理し、上澄み液をデカンタ処理した。
【0103】
そして脱イオン水を、遠心分離処理から沈降物として収集した酸化セリウム粒子に加えた。得られた酸化セリウムスラリーを、低濃度のKOHを用いて塩基pH条件に調製した。
【0104】
処理酸化セリウムスラリー中の微量金属イオン濃度を、ICP質量分光解析で全分解法によって測定した。
【表7】
【0105】
表7及び
図8での結果に示されるように、イオン交換処理プロセスは、微量金属イオン濃度、特にアルミニウムイオン濃度を低減させた。
【0106】
イオン交換樹脂処理を行っていない元の酸化セリウムスラリーに対して検出したアルミニウムイオン濃度と比較して、全て異なる3つのイオン交換樹脂処理が、微量アルミニウムイオン濃度を異なる程度で低下させることを示している。
【0107】
処理酸化セリウムスラリー中の複数の微量金属イオン濃度の解析結果と共に、未処理の酸化セリウムスラリー中の微量金属イオン濃度の解析結果を、表7及び
図8(a)〜(c)に記載した。
【0108】
表7に示されるように、Al及びZr金属イオン濃度は、処理後に比較的高い割合で減少した。Mgイオン濃度は、処理後にわずかに増加した。これらの結果は、この処理がある種の微量金属イオン、例えばAl及びZrを酸化セリウムスラリーから除去するのに効果的な方法であることを示している。
【0109】
さらに表7に示されるように、酸化セリウム粒子を異なる温度で溶液中で処理するのに化学添加剤を用いることは、酸化セリウム粒子中のAl含量及びZr含量を低減するための効果的なアプローチであった。これらのAl含量又はZr含量の効果的な減少は、主に次に起因している:これらの化学添加剤が、セリウム粒子表面に含まれるAl又はZrと反応して、それらを溶解性のAl化学添加剤錯体又はZr化学添加剤錯体に変換し、その後、酸化セリウム粒子を上澄みから分離できる。そして、Al含量又はZr含量が減少した状態でSTIスラリー配合物を作製するために再分散できる。
【0110】
シュウ酸の濃度を0.01Mから0.1Mに変えた場合、Al含量(ppb)には影響が観察されなかった。これは、0.01Mのシュウ酸濃度が、酸化セリウム粒子からのAl含量及びZr含量の効果的な除去のために十分であることを示した。
【0111】
化学添加剤処理後の酸化セリウムスラリーを、STI研磨組成物を調製するために用いることができる。
【0112】
微量金属並びに比較的小さいサイズの酸化セリウム粒子及び微細な酸化セリウム粒子を減らすための上記の異なる処理、方法又は実施態様を、あらゆる順番で組み合わせることができる。例えば、1以上の上記の方法で処理した酸化セリウムスラリーを、任意の他の方法又は任意の他の方法の組合せによってさらに処理することができる。例えば、適切な化学添加剤で処理した酸化セリウムスラリーを、上記の化学キレート剤処理;イオン交換樹脂処理;限外ろ過処理;脱イオン水洗浄及び遠心処理によってさらに処理することができる。
【0113】
酸化セリウムスラリー中の微量金属の減少で、処理酸化セリウムスラリーを用いてSTI研磨組成物を作製することができる。STIのCMPプロセスからのウェハー表面への欠陥、例えば酸化ケイ素に膜侵入する金属イオン又はナノサイズの残渣を形成する金属イオンを減少させることができる。
【0114】
上記の実施例及び本発明の実施態様は、本発明を行うことができる多数の実施態様の典型例である。明確に開示された材料以外の多数の材料を作製できることが考えられる。また、このプロセスの多数の他の構成も用いてもよく、そしてこのプロセスで用いる材料を、明確に開示された材料以外の多数の材料から選択してもよい。
本発明の態様としては、以下の態様を挙げることができる。
《態様1》
以下を含有する、シャロートレンチアイソレーション(STI)用の少ない欠陥を与える化学機械研磨(CMP)組成物:
微量金属汚染物質を有する酸化セリウムスラリー;
高分子電解質;
殺生物剤;
化学キレート剤;及び
脱イオン水である溶媒;
ここで、前記化学キレート剤は、微量金属汚染物質中の微量金属イオンと反応して、容易に除去できる金属イオン−キレート剤錯体を形成して前記金属汚染物質による欠陥を減少させ、かつ
上記化学キレート剤は、以下の構造1、構造2及びこれらの組合せからなる群より選択される化学構造を有するヒドロキシキノリン又はヒドロキシキノリン誘導体である:
【化1】
(式中、Rは、水素、アルキル、アルコキシ、1以上のヒドロキシ基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、置換有機カルボン酸エステル、有機アミン基及びこれらの組合せからなる群より選択され;
R’及びR”は、同じでも又は異なっていてもよく、かつ水素、アルキル、アルコキシ、1以上のヒドロキシ基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、置換有機カルボン酸エステル、有機アミン基及びこれらの組合せからなる群より独立して選択される)。
《態様2》
前記高分子電解質が、ポリアクリル酸のアンモニウム塩、ポリビニルスルホン酸のアンモニウム塩、ポリ(4−スチレンスルホン酸)のアンモニウム塩、及びこれらの混合物からなる群より選択される、態様1に記載の化学機械研磨(CMP)組成物。
《態様3》
前記化学キレート剤が、8−ヒドロキシキノリン、8−ヒドロキシキノリン−5−スルホン酸及びこれらの混合物からなる群より選択される、態様1に記載の化学機械研磨(CMP)組成物。
《態様4》
前記高分子電解質が、ポリアクリル酸のアンモニウム塩であり、前記化学キレート剤が、8−ヒドロキシキノリン、8−ヒドロキシキノリン−5−スルホン酸及びこれらの混合物からなる群より選択される、態様1に記載の化学機械研磨(CMP)組成物。
《態様5》
シャロートレンチアイソレーション(STI)プロセスにおいて、二酸化ケイ素を含む少なくとも1つの表面を有する基材を化学機械研磨(CMP)する方法であって、態様1に記載の化学機械研磨(CMP)組成物を用いることを含む方法。
《態様6》
シャロートレンチアイソレーション(STI)プロセスにおいて、二酸化ケイ素を含む少なくとも1つの表面を有する基材を化学機械研磨(CMP)する方法であって、態様4に記載の化学機械研磨(CMP)組成物を用いることを含む方法。
《態様7》
以下の(1)〜(5)の群より選択される工程を含む、酸化セリウムスラリー中の微量金属汚染物質及び比較的小さなサイズの酸化セリウム粒子を低減する方法:
(1)(a)前記酸化セリウムスラリーにイオン交換樹脂を添加する工程;及び(b)前記酸化セリウムスラリーから、前記イオン交換樹脂をろ過によって除去して、処理酸化セリウムスラリーを得る工程、ここで前記イオン交換樹脂は、カチオン性イオン交換樹脂又はアニオン性イオン交換樹脂である;
(2)少なくとも1つの限外ろ過膜を用いて、制御した量の脱イオン水を前記酸化セリウムスラリーに流し、保持液として処理酸化セリウムスラリーを得る工程;
(3)(a)様々な速度での回転及び異なる遠心処理回数で、前記酸化セリウムスラリーを遠心処理する工程;(b)遠心処理の沈殿物から酸化セリウム粒子を収集する工程;及び(c)前記収集した酸化セリウム粒子と脱イオン水とを混合して、新たな酸化セリウムスラリーを生成する工程;及び(d)工程(a)〜(c)を少なくとも2回繰り返して、最後の遠心処理の沈殿物からの酸化セリウム粒子で作製された処理酸化セリウムスラリーを与える工程;
(4)(a)化学添加剤を前記酸化セリウムスラリーに添加して、混合物を形成する工程、ここで前記化学添加剤は、前記微量金属汚染物質中の微量金属イオンと反応して水溶性の化学添加剤−金属イオン錯体を前記混合物中に生成する;(b)前記混合物を遠心処理する工程;(c)遠心処理の沈殿物から酸化セリウム粒子を収集する工程;及び(d)前記収集した酸化セリウム粒子と脱イオン水とを混合して、処理酸化セリウムスラリーを得る工程;
(5)化学キレート剤を前記酸化セリウムスラリーに添加して、処理酸化セリウムスラリーを得る工程、
ここで前記化学キレート剤は、前記微量金属汚染物質中の微量金属イオンと反応して金属イオン−キレート剤錯体を形成し、かつ以下の構造1、構造2及びこれらの組合せからなる群より選択される化学構造を有するヒドロキシキノリン又はヒドロキシキノリン誘導体である:
【化2】
(式中、Rは、水素、アルキル、アルコキシ、1以上のヒドロキシ基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、置換有機カルボン酸エステル、有機アミン基及びこれらの組合せからなる群より選択され;R’及びR”は、同じでも又は異なっていてもよく、かつ水素、アルキル、アルコキシ、1以上のヒドロキシ基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、置換有機カルボン酸エステル、有機アミン基及びこれらの組合せからなる群より独立して選択される)。
《態様8》
工程(1)における前記カチオン性イオン交換樹脂がプロトン又はカリウムイオンを有し;かつ前記アニオン性イオン交換樹脂が、ヒドロキシル基を有する、態様7に記載の方法。
《態様9》
工程(1)における前記イオン交換樹脂がカリウムイオンを有するカチオン性イオン交換樹脂であり;かつ工程(1)において、さらに次の工程を含む、態様7に記載の方法:
(c)ヒドロキシル基を有するアニオン性イオン交換樹脂を、工程(b)後の前記処理酸化セリウムスラリーに添加する工程;
(d)前記アニオン性イオン交換樹脂を、工程(c)の前記酸化セリウムスラリーからろ過によって除去する工程;及び
工程(a)〜(d)を少なくとも2回繰り返して、最終の処理酸化セリウムスラリーを生成する工程。
《態様10》
工程(4)における前記化学添加剤が、以下からなる群より選択される、態様7に記載の方法:(a)シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、イタコン酸、グルコン酸、乳酸、EDTA及びこれらの混合物からなる群より選択される有機酸;(b)グリシン、アラニン、セリン、プロリン及びこれらの混合物からなる群より選択されるアミノ酸;(c)少なくとも1つのカルボン酸基を有する有機化合物;(d)少なくとも1つのアミン酸部位を有するアミノ酸誘導体又はイミノ二酢酸;(e)エチレンジアミン、プロピレンジアミン、エチレンイミン、第一級アミノ基又は第二級アミノ基を含む有機化合物、及びこれらの混合物からなる群より選択される有機アミン化合物;(f)少なくとも1つの硫酸基を有する有機硫酸;(g)少なくとも1つのリン酸基を有する有機リン酸;(h)ピリジン、2−メチルピリジン、それぞれ2、3、4、5又は6の位置で置換したピリジン、及びこれらの混合物からなる群より選択される、ピリジン及びその誘導体;(i)2,2’−ビピリジン、4,4’−ジメチルビピリジン、4,4’−ビピリジン、及び他全ての置換2,2’−ビピリジン誘導体又は置換4,4’−ビピリジン誘導体、並びにこれらの混合物からなる群より選択されるビピリジン及びその誘導体;(j)ターピリジン及びその誘導体;(k)キノリン及びその誘導体;(l)ヒドロキシキノリン及びその誘導体;m)水酸化アンモニウム、並びにこれらの混合物。
《態様11》
工程(4)における前記化学添加剤が、0.01M〜0.1Mの範囲の濃度のシュウ酸である、態様7に記載の方法。
《態様12》
シャロートレンチアイソレーション(STI)プロセスにおいて、二酸化ケイ素を含む少なくとも1つの表面を有する基材を化学機械研磨(CMP)する方法であって、態様7に記載の処理酸化セリウムスラリーを含む化学機械研磨(CMP)組成物を用いることを含む方法。
《態様13》
以下の工程を含む、シャロートレンチアイソレーション(STI)用の化学機械研磨(CMP)組成物を生成する方法:
(a)酸化セリウムスラリー中の微量金属汚染物質及び比較的小さいサイズの酸化セリウム粒子を低減させて、処理酸化セリウムスラリーを得る工程;
(b)高分子電解質を前記処理酸化セリウムスラリーに添加する工程;及び
(c)殺生物剤を前記処理酸化セリウムスラリーに添加する工程。
《態様14》
前記低減工程(a)が以下を含む、態様13に記載の方法:
(i)イオン交換樹脂を前記酸化セリウムスラリーに添加する工程;及び
(ii)前記イオン交換樹脂を前記酸化セリウムスラリーからろ過によって除去して、前記処理酸化セリウムスラリーを得る工程、ここで前記イオン交換樹脂は、プロトン又はカリウムイオンを有するカチオン性イオン交換樹脂であるか、又はヒドロキシル基を有するアニオン性イオン交換樹脂である。
《態様15》
前記イオン交換樹脂が、カリウムイオンを有するカチオン性イオン交換樹脂であり;かつ、さらに次の工程を含む、態様13に記載の方法:
(c)ヒドロキシル基を有するアニオン性イオン交換樹脂を、前記処理酸化セリウムスラリーに添加する工程;及び
(d)前記アニオン性イオン交換樹脂を、工程(c)の前記処理酸化セリウムスラリーからろ過によって除去して、最終処理した酸化セリウムスラリーを生成する工程。
《態様16》
前記低減工程(a)が以下を含む、態様13に記載の方法:
少なくとも1つの限外ろ過膜を用いて、制御した量の脱イオン水を前記酸化セリウムスラリーに流し、前記処理酸化セリウムスラリーを得る工程。
《態様17》
前記低減工程(a)が以下を含む、態様13に記載の方法:
(i)様々な速度での回転及び異なる遠心処理回数で、前記酸化セリウムスラリーを遠心処理する工程;
(ii)遠心処理の沈殿物から酸化セリウム粒子を収集する工程;及び
(iii)前記収集した酸化セリウム粒子と脱イオン水とを混合して、新たな酸化セリウムスラリーを生成する工程;
工程(i)〜(iii)を少なくとも2回繰り返して、最後の遠心処理による沈殿物からの酸化セリウム粒子で作製された前記処理酸化セリウムスラリーを生成する工程。
《態様18》
前記低減工程(a)が以下を含む、態様13に記載の方法:
(i)化学添加剤を前記酸化セリウムスラリーに添加して、混合物を形成する工程、ここで前記化学添加剤は、前記微量金属汚染物質中の微量金属イオンと反応して水溶性の化学添加剤−金属イオン錯体を前記混合物中に生成する;
(ii)前記混合物を遠心する工程;
(iii)遠心処理の沈殿物から酸化セリウム粒子を収集する工程;及び
(iv)前記収集した酸化セリウム粒子と脱イオン水とを混合して、前記処理酸化セリウムスラリーを得る工程。
《態様19》
前記化学添加剤が、以下からなる群より選択される、態様18に記載の方法:(a)シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、イタコン酸、グルコン酸、乳酸、EDTA及びこれらの混合物からなる群より選択される有機酸;(b)グリシン、アラニン、セリン、プロリン及びこれらの混合物からなる群より選択されるアミノ酸;(c)少なくとも1つのカルボン酸基を有する有機化合物;(d)少なくとも1つのアミン酸部位を有するアミノ酸誘導体又はイミノ二酢酸;(e)エチレンジアミン、プロピレンジアミン、エチレンイミン、第一級アミノ基又は第二級アミノ基を含む有機化合物、及びこれらの混合物からなる群より選択される有機アミン化合物;(f)少なくとも1つの硫酸基を有する有機硫酸;(g)少なくとも1つのリン酸基を有する有機リン酸;(h)ピリジン、2−メチルピリジン、それぞれ2、3、4、5又は6の位置で置換したピリジン、及びこれらの混合物からなる群より選択される、ピリジン及びその誘導体;(i)2,2’−ビピリジン、4,4’−ジメチルビピリジン、4,4’−ビピリジン、及び他全ての置換2,2’−ビピリジン誘導体又は置換4,4’−ビピリジン誘導体、並びにこれらの混合物からなる群より選択されるビピリジン及びその誘導体;(j)ターピリジン及びその誘導体;(k)キノリン及びその誘導体;(l)ヒドロキシキノリン及びその誘導体;m)水酸化アンモニウム、並びにこれらの混合物。
《態様20》
工程(4)における前記化学添加剤が、0.01M〜0.1Mの範囲の濃度のシュウ酸である、態様18に記載の方法。
《態様21》
前記低減工程(a)が以下を含む、態様13に記載の方法:
化学キレート剤を前記酸化セリウムスラリーに添加して、処理酸化セリウムスラリーを得る工程、
ここで、前記化学キレート剤は、前記微量金属汚染物質中の微量金属イオンと反応して金属イオン−キレート剤錯体を形成し、かつ以下の構造1、構造2及びこれらの組合せからなる群より選択される化学構造を有するヒドロキシキノリン又はヒドロキシキノリン誘導体である:
【化3】
(式中、Rは、水素、アルキル、アルコキシ、1以上のヒドロキシ基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、置換有機カルボン酸エステル、有機アミン基及びこれらの組合せからなる群より選択され;R’及びR”は、同じでも又は異なっていてもよく、かつ水素、アルキル、アルコキシ、1以上のヒドロキシ基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、置換有機カルボン酸エステル、有機アミン基及びこれらの組合せからなる群より独立して選択される)。
《態様22》
前記高分子電解質が、ポリアクリル酸のアンモニウム塩、ポリビニルスルホン酸のアンモニウム塩、ポリ(4−スチレンスルホン酸)のアンモニウム塩、及びこれらの混合物からなる群より選択され;かつ前記化学キレート剤が、8−ヒドロキシキノリン、8−ヒドロキシキノリン−5−スルホン酸及びこれらの混合物からなる群より選択される、態様21に記載の方法。