(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載のとおり,二層タイプの発酵乳製品を製造するに際して発酵乳層と食品層の境界面を維持するためには,発酵乳層と食品層の両方に,LMペクチン及びゼラチンといったゲル化剤を添加することが技術常識であった。しかしながら,甘味の強い食品層にゲル化剤を添加しても特にその風味が損なわれることはないものの,比較的薄味で乳の風味が特徴の発酵乳層にゲル化剤を添加すると,その特徴的な乳の風味が損なわれて製品全体としての価値が低下するという問題がある。また,近年では,ゲル化剤によって糊っぽく不自然な食感の発酵乳層よりも,より自然で舌触りの良い発酵乳層のほうが消費者に好まれる傾向にあり,発酵乳層にゲル化剤を添加することはこのような消費者のニーズに適合しない。
【0006】
そこで,本発明は,LMペクチン及びゼラチンといったゲル化剤を発酵乳層に添加しなくとも,発酵乳層と食品層の境界面を鮮明に維持することのできる技術を提供することを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発明者らは,上記課題の解決手段について鋭意検討した結果,発酵乳層の上に食品層が形成された二層タイプの発酵乳製品において,食品層にLMペクチンを添加し,発酵乳層の粘度を所定値以上に維持した上で,食品層と発酵乳層のBrix値の差を所定値以下(具体的には21以下)に調整することで,発酵乳層にLMペクチン及びゼラチンといったゲル化剤を添加しなくても,両層の境界面を鮮明かつ明確に維持することができるという知見を得た。そして,本発明者らは,上記知見に基づけば従来技術の課題を解決できることに想到し,本発明を完成させた。具体的に説明すると,本発明は以下の構成・工程を有する。
【0008】
本発明の第1の側面は,二層タイプの発酵乳製品に関する。本発明に係る発酵乳製品は,発酵乳層と,発酵乳層の上層に位置する食品層と,を有する。なお,「食品層」とは,発酵乳以外の食品により形成されたものであり,発酵乳層上の全域に形成されたものだけでなく,発酵乳層上に部分的に形成されたものも含む。食品層は,エステル化度が50未満の低メトキシルペクチン(LMペクチン)を含有する。発酵乳層の粘度は,3500cp以上である。そして,本発明に係る発酵乳製品は,食品層のBrix値から発酵乳層のBrix値を差し引いた値が21以下に調整されている。このように,食品層と発酵乳層のBrix値の差を一定値以下に抑えることで,予想外にも,両層の間で,色調や,甘み,風味の移行が抑制され,両者の境界面を鮮明に維持することに成功した。
【0009】
本発明の発酵乳製品において,食品層におけるLMペクチンの含有濃度は0.2〜0.8重量%であり,LMペクチンのエステル化度は15〜40であることが好ましい。後述する実施例に示したとおり,食品層におけるLMペクチンの濃度を0.2〜0.8重量%した例において,エステル化度が40を超えるLMペクチンを用いると,食品層と発酵乳層の境界面が不鮮明になるという問題が生じる。他方で,エステル化度が15未満のLMペクチンを用いると,食品層にヒビが生じてしまう。このため,本発明の発酵乳製品においては,エステル化度が15〜40のLMペクチンを採用することが好適である。
【0010】
本発明の発酵乳製品において,食品層のBrix値から発酵乳層のBrix値を差し引いた値は11〜21であることが好ましい。後述する実施例に示したとおり,Brix値の差が21を超えると,食品層と発酵乳層の境界面が不鮮明になるという問題が生じる。他方で,Brix値の差が11未満であると,食品層の糖度が低すぎるか若しくは発酵乳層の糖度が高すぎることとなるため,食品層と発酵乳層の風味のコントラストが失われ,美味しい発酵乳製品を提供できない。このため,本発明の発酵乳製品においては,Brix値の差を11〜21の範囲とすることが好適である。
【0011】
本発明の発酵乳製品において,食品層のBrix値は32以下であることが好ましい。食品層の代表例はフルーツソースであるが,本発明では,あえて食品層のBrix値は32以下として糖度を低めに調整することで,食品層と発酵乳層の境界面の維持を優先する。従来の二層タイプの発酵乳製品は,食品層の甘味を強くするために食品層の糖度を高くすることが一般的であった。このことから,本願出願時の当業者にとって,本発明のように,積極的に食品層のBrix値を32以下とすることはしないといえる。
【0012】
本発明の発酵乳製品において,食品層には高甘味度甘味料が含有されていることが好ましい。本発明者らは,ステビアやアスパルテームに代表される高甘味度甘味料を食品層に添加することで,食品層のBrix値が向上することを抑制しつつ,食品層の甘味を高めることができることを見出した。従って,食品層に高甘味度甘味料を添加すれば,食品層と発酵乳層のBrix値の差を21以下の範囲に留めつつ,しかも適度な甘味を呈する発酵乳製品を提供することが可能となる。
【0013】
本発明の発酵乳製品において,発酵乳層にはLMペクチン及びゼラチン等が含有されていないことが好ましい。前述したとおり,発酵乳層にLMペクチン及びゼラチンといったゲル化剤を添加すると,発酵乳特有の風味が損なわれるばかりでなく,近年の消費者の嗜好に適合しない食感となる。また,発酵乳層にゲル化剤を添加した場合には発酵乳製品の生産性が低下するという問題が存在する。そこで,本発明においては,発酵乳層にはゲル化剤を添加しないことが好ましい。また,本発明によれば,発酵乳層にゲル化剤を添加しなくても,食品層との境界面を鮮明に維持することが可能である。
【0014】
本発明の第2の側面は,二層タイプの発酵乳製品の製造方法に関する。本発明に係る製造方法は,3500cp以上の粘度を有する発酵乳層を得る工程と,エステル化度が50未満のLMペクチンを含有する食品層を発酵乳層の上層に形成する工程と,を含む。そして,本発明では,食品層のBrix値から発酵乳層のBrix値を差し引いた値が21に調整される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば,LMペクチン及びゼラチンといったゲル化剤を発酵乳層に添加しなくとも,発酵乳層と食品層の境界面を鮮明に維持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜変更したものも含む。
なお,本願明細書において「A〜B」というときは「A以上B以下」であることを意味する。
【0018】
本発明は,本発明に係る発酵乳製品の製造方法の一例を示している。以下では,
図1に示したフロー図に沿って,本発明に係る発酵乳製品と,その製造方法について説明する。
【0019】
本発明に係る発酵乳製品は,基本的に,下層に位置する発酵乳層と上層に位置する食品層からなる二層タイプの発酵乳製品である。本発明において,発酵乳層と食品層は互いに分離しており,基本的には混在しない。なお,本発明は,二層のみで構成されるものに限定されず,例えば,食品層のさらに上層に別の発酵乳層が形成されていたり,或いは発酵乳層のさらに下層に別の食品層が形成されている二層以上の発酵乳製品をも含む。
【0020】
本発明に係る発酵乳の例として,ヨーグルトを挙げることができる。ヨーグルトは,一定の硬度を有するプレーンタイプや,ハードタイプ,ソフトタイプのいずれのタイプのものであってもよい。本願明細書において,発酵乳とは,基本的に,日本の乳及び乳製品の成分規格等に関する省令で定義される「発酵乳」(ただし液状のものを除く)を意味している。
【0021】
図1に示された全9ステップのうち,ステップS1〜S8は発酵乳の製造工程を示している。発酵乳の製造工程には,原料乳調整工程(S1),加熱殺菌(S2),第一次冷却工程(S3),スターター接種工程(S4),発酵工程(S5),粉砕工程(S6),濃縮工程(S7),及び第二次冷却工程(S8)が含まれる。
【0022】
原料乳調整工程(S1)は,発酵乳の元となる原料乳を調整する工程である。原料乳は,ヨーグルトベースやヨーグルトミックスとも呼ばれる。本発明において,原料乳には公知のものを用いることができる。例えば,原料乳は,生乳のみからなるもの(生乳が100%のもの)であってもよい。また,原料乳は,生乳に,脱脂粉乳,クリーム,水などを混合して調整したものであってもよい。また,原料乳は,これらの他に,殺菌乳,全脂乳,脱脂乳,全脂濃縮乳,脱脂濃縮乳,全脂粉乳,バターミルク,有塩バター,無塩バター,ホエイ,ホエイ粉,ホエータンパク質濃縮物(WPC),ホエータンパク質単離物(WPI),α−La(アルファ−ラクトアルブミン),β−Lg(ベータ−ラクトグロブリン),乳糖などを混合(添加)して調整したものであってもよい。また,原料乳には,増粘安定剤,乳化剤,ショ糖(砂糖),甘味料,香料,ビタミン,ミネラルなどを適宜添加して調整したものであってもよい。また,原料乳の調整工程では,原料乳を均質化することで,原料乳に含まれる脂肪球などを微粒化(粉砕)することが好ましい。つまり,原料乳を均質化することで,発酵乳の製造過程や製造後において,原料乳や発酵乳の脂肪分が分離することや浮上することを抑制できる。また,
【0023】
原料乳には,発酵乳の風味を良化するとともに,滑らかな舌触りを実現するために,ゲル化剤は添加しないことが好ましい。ゲル化剤の例は,LMペクチン及びゼラチンである。発酵乳製品における発酵乳層において,これらのゲル化剤の含有量は0%であってもよい。ただし,発酵乳の風味に影響を与えない範囲において,ゲル化剤を添加することも可能である。例えば,ゲル化剤の使用量が0.05重量%未満であれば,発酵乳の風味には殆ど影響を及ぼさない。このため,0.05重量%未満のゲル化剤を原料乳に添加することも可能である。
【0024】
加熱殺菌工程(S2)は,原料乳調整工程で調整された原料乳を加熱して殺菌する工程である。加熱殺菌工程では,原料乳の雑菌を殺菌できる程度に,加熱温度及び加熱時間を調整して加熱処理すればよい。本発明においては,原料乳を80℃以上,好ましくは90℃以上に加熱することが好ましい。加熱殺菌工程には,公知の方法を用いることができる。そして,加熱殺菌工程では,ヨーグルトがプレーンタイプやハードタイプやソフトタイプの場合などにおいて,高温短時間殺菌処理(HTST)や超高温殺菌処理(UHT)などの加熱処理を行えばよい。例えば,高温短時間殺菌処理(HTST)は,原料乳を80℃〜100℃に,3分〜15分間程度で加熱する処理であればよく,超高温殺菌処理(UHT)は,110℃〜150℃に,1秒〜30秒間程度で加熱する処理であればよい。
【0025】
第一次冷却工程(S3)は,加熱殺菌後に高温になっている原料乳を,発酵に適した温度域(発酵温度域)にまで冷却する工程である。例えば,乳酸菌の発酵温度域は,30〜60℃が一般的である。本発明では,加熱殺菌後に高温になっている原料乳を,例えば35〜55℃の発酵温度域にまで冷却することが好ましく,40〜50℃まで冷却することがより好ましい。第一次冷却工程には,公知の方法を用いることができる。
【0026】
スターター接種工程(S4)は,発酵温度域にまで冷却された原料乳に,乳酸菌スターター(バルクスターター)を接種(混合)する工程である。なお,スターター接種工程では,加熱殺菌工程後に原料乳が所定温度まで低下した後に乳酸菌スターターを添加してもよいし,加熱殺菌工程後に原料乳が所定温度まで低下している最中に乳酸菌スターターを添加してもよい。乳酸菌スターターは,原料乳に対して,0.1重量%以上で添加することが好ましい。具体的には,乳酸菌スターターは,原料乳に対して,0.1〜10重量%,0.5〜5重量%,又は1〜3重量%で添加すればよい。
【0027】
本発明において,乳酸菌スターターは,ブルガリア菌を含むことが好ましい。ここで,「ブルガリア菌」とは,ラクトバチルス・ブルガリクス(L. bulgaricus)である。そして,ブルガリア菌の例として,L.bulgaricus 1073R-1株(ラクトバチルス・デルブリュッキー・サブスピーシーズ・ブルガリクス 1073R−1株, 寄託番号:FERM BP−10741)や,L.bulgaricus OLL1171株(ラクトバチルス・デルブリュッキー・サブスピーシーズ・ブルガリクス OLL1171株)を挙げることができる。また,乳酸菌は,サーモフィルス菌を含むことが好ましい。ここで,「サーモフィルス菌」とは,ストレプトコッカス・サーモフィルス(S.thermophilus)である。また,本発明において,スターター添加工程では,ブルガリア菌とサーモフィルス菌の他に,公知の乳酸菌を添加(混合)してもよい。例えば,スターター添加工程では,ガセリ菌(ラクトバチルス・ガッセリ(L. gasseri)),ラクティス菌(ラクトコッカス・ラクティス(L. lactis)),クレモリス菌(ラクトコッカス・クレモリス(L. cremoris)),ビフィズス菌(ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)など)を添加(混合)してもよい。
【0028】
発酵工程(S5)は,乳酸菌スターターによって原料乳を発酵させる工程である。発酵工程では,乳酸菌スターターが添加された原料乳を発酵温度域(例えば30〜60℃)に保持しながら発酵させて,発酵乳を得る。本発明において,発酵工程には,公知の方法を用いることができる。例えば,発酵工程では,発酵室などによって発酵処理を行えばよく,ジャケット付のタンクによって発酵処理を行ってもよい。そして,発酵工程では,ヨーグルトがプレーンタイプやハードタイプの場合などにおいて,後発酵処理を行えばよく,ヨーグルトがソフトタイプの場合などにおいて,前発酵処理を行ってもよい。さらに,例えば,発酵工程は,発酵室内の温度(発酵温度)を30℃〜60℃程度に維持して,その発酵室内で原料乳を発酵する処理であってもよいし,ジャケット付のタンク内の温度(発酵温度)を30〜60℃に維持し,そのタンク内で原料乳を発酵する処理であってもよい。ここで,発酵工程では,原料乳を発酵させる条件を,原料乳や乳酸菌の種類や数量,発酵乳の風味や食感などを考慮して,発酵温度や発酵時間などを適宜調整すればよい。具体的に,発酵工程では,原料乳が発酵温度域に,1時間以上で保持されていることが好ましい。そして,発酵工程では,原料乳を保持する期間(発酵時間)は,1時間〜15時間であることが好ましく,2時間〜10時間であることがより好ましく,7時間〜8時間であることがさらに好ましい。
【0029】
発酵工程では,原料乳を発酵させる条件を,原料乳や乳酸菌の種類や数量,発酵乳の風味や食感などを考慮して,乳酸酸度(酸度)やpHなどを適宜調節してもよい。なお,具体的に,発酵工程では,乳酸酸度が0.7%以上まで到達していることが好ましい。さらに,発酵工程では,例えば無脂乳固形分(SNF)が11〜12%の場合,乳酸酸度が1.0%以下(0.7%〜1.0%)であることが好ましく,0.95%以下(0.7%〜0.95%)であることがより好ましく,0.9%以下(0.7%〜0.9%)であることがさらに好ましい。なお,原料乳の酸度(乳酸酸度)は,乳等省令の「乳等の成分規格の試験法」に従って測定することができる。
【0030】
本発明において,発酵工程は,前発酵処理と後発酵処理のどちらであってもよい。前発酵処理を行うときには,実際に製品として販売するための容器に原料乳を充填する前に,原料乳を発酵させる。前発酵を行うときには,原料乳が充填されたジャケット付のタンクを静置するなどして発酵させ,その得られた中間生成物である発酵乳(発酵乳カード)を破砕や微粒化してから冷却し,最終的な発酵乳(ソフトタイプヨーグルト)を得ればよい。他方で,後発酵処理を行うときには,実際に製品として販売するための容器に乳酸菌スターター入りの原料乳を充填した後に,この原料乳を発酵させる。例えば,後発酵処理を行うときには,乳酸菌スターター入りの原料乳が充填された(密閉)容器を発酵室内に静置するなどして発酵させ,その得られた中間生成物である発酵乳(発酵乳カード)を冷却し,最終的な発酵乳(セットタイプヨーグルト,プレーンタイプヨーグルト)を得ればよい。
図1に示した実施形態では,前発酵処理を前提に説明を行っている。ただし,本発明は前発酵処理によって得られた発酵乳に限定されず,前述した後発酵処理により得られた発酵乳にも適用できる。
【0031】
粉砕工程(S6)は,発酵工程を経て得られた発酵乳のカードを粉砕する工程である。粉砕工程では,カードを粉砕することで,滑らかなスラリー状の発酵乳を得る。粉砕工程は,例えば攪拌翼を持つタンク内にてカードを緩やかに粉砕することが好ましい。攪拌速度(攪拌翼の回転速度)は,例えば,50〜1000rpmであることが好ましく,特に,50〜500rpm又は50〜200rpmの範囲とすることが好ましい。
【0032】
濃縮工程(S7)は,粉砕工程を経てスラリー状とされた発酵乳を濃縮して濃縮発酵乳を得る工程である。具体的には,スラリー状の発酵乳からホエイ(軽液)を分離して濃縮発酵乳(重液)を得る。スラリー状の発酵乳(凝乳)からホエイを分離する方法としては,遠心分離や膜分離などの公知の処理を利用することができる。例えば,ホエイの遠心分離処理には,クワルクセパレーター等の遠心分離機を用いることが好ましい。また,膜分離処理には,MF膜(孔径0.01μm〜10μm)又はUF膜(孔径0.001μm〜0.01μm)を用いればよい。特に,本発明では,膜分離処理を行う場合には,UF膜を用いた膜分離を行うことが好ましい。なお,必要に応じて,スラリー状の発酵乳を加温することによって,ホエイの分離処理の効率を上げることもできる。
【0033】
上記ステップS1〜S7を経て発酵乳が得られる。特に,上記工程では,ホエイが分離された濃縮発酵乳が得られる。このように,ホエイを分離した濃縮発酵乳を得ることで,これに続く充填工程(S8)において,発酵乳層と食品層とが混濁するのを抑制できる。また,濃縮発酵乳の上層に食品を載せた発酵乳製品を冷蔵保存した場合であっても,食品層が沈殿することを抑制できる。
【0034】
このようにして得られる発酵乳は,所定以上の粘度を有するものとなる。例えば,発酵乳の粘度は少なくとも3500cp以上となる。発酵乳の粘度は,具体的には3500〜10000cpであることが好ましく,4000〜8000cp又は4000〜6000cpであることが特に好ましい。発酵乳が一定の粘度を有するものでない場合,後述する充填工程において発酵乳と食品とが混濁するおそれがあるため,これを防止するために発酵乳の粘度を適切な範囲に調整する。例えば,キサンタンガム,グアーガム,カラギーナン,ローカストビーンガム,及びスターチ等の既知の増粘安定剤を原料乳に添加して,発酵乳が適度な粘度となるように調整すればよい。
【0035】
充填工程(S8)は,上記工程で得られた発酵乳(濃縮発酵乳)を容器に充填し,その上に食品(果肉入りソース等)をさらに充填して,発酵乳層の上層に食品層が形成された二層タイプの発酵乳製品を得る工程である。発酵乳の容器への充填と食品類の容器への充填は,順番に行うことが好ましい。例えば,発酵乳を先に容器に充填した後,所定期間(例えば2〜10秒以上)を空けて,その上に食品類を充填する。これにより,発酵乳層と食品層が混濁するのを抑制できる。
【0036】
発酵乳の上に載せる食品は,発酵乳と共に食するのに適したものであれば特に限定されない。食品の例は,フルーツソース,フルーツ果肉入りソース,果肉,果肉ペースト,チョコレートソース,カラメルソース,及びプリンである。これらの食品のうち,特にソース状又はペースト状の食品を採用することが好ましい。
【0037】
本発明において,食品には,ゲル化剤としてLMペクチンが含有されている。LMペクチン(低メトキシルペクチン)とは,エステル化度が50未満のペクチンを意味し,エステル化度が50以上のHMペクチン(高メトキシルペクチン)とは区別される。特に,本発明では,食品に添加されているLMペクチンは,エステル化度が15〜40であることが好ましく,特に20〜40又は30〜38であることが好ましい。また,食品層におけるLMペクチンの含有量は,0.2重量%以上であって,ソース状又はペースト状の食品が好適にゲル化する範囲とすればよい。具体的に,LMペクチンの含有量は,0.2〜1.0重量%又は0.3〜0.6重量%とすればよい。このように,発酵乳層の上層にはゲル化した食品層が形成されることが好ましい。このようなLMペクチンは,市販のペクチンの中から主にエステル化度を指標にして適宜選択入手することができる。なお,ペクチンは,ポリガラクツロン酸を主成分とし,一部のガラクツロン酸のカルボキシル基がメチルエステル化しているものである。エステル化度はこのエステル化の割合を示したものである。
【0038】
また,食品には,高甘味度甘味料が添加されていることが好ましい。高甘味度甘味料とは,砂糖と同量(重量)を口に含んだ際に感じる甘味が砂糖の数十倍から数千倍と高く,少量の添加で食品に十分な甘味を付与できる合成甘味料又は天然甘味料を意味する。高甘味度甘味料の例は,アスパルテーム,アセスルファムカリウム,キシリトール,グリチルリチン酸二ナトリウム,サッカリン,サッカリンカルシウム,サッカリンナトリウム,スクラロース,ネオテーム,アラビノース,カンゾウ抽出物,キシロース,ステビア,タウマチン,ラカンカ抽出物,ラムノース,及びリボースである。これらの群の中から選択された一種類を食品に添加してもよいし,二種以上を食品に添加することもできる。高甘味度甘味料の含有量は,食品層の全量に対して,0.0001〜0.2重量%であることが好ましく,少なくとも0.001重量%以上又は0.004重量%以上であることが好ましい。また,食品には,高甘味度甘味料とともに砂糖を添加して甘味を調整することも当然に可能である。また,食品は,高甘味度甘味料を含まず,砂糖のみで甘味を調整したものであってもよい。
【0039】
本発明に係る発酵乳製品は,前述した発酵乳層と食品層のBrix値の差が所定値以下となるように調整されている点が特徴の一つである。Brix値は,砂糖や,果糖,転化糖,ブドウ糖などの糖の含有量を示す数値であり,いわゆる糖度として用いられる物理量である。Brix値は,一般的に糖度として認識される。ただし,砂糖以外の固形成分を含む溶液やスラリーにおいては砂糖以外の糖成分も屈折作用を持つため,Brix値は,砂糖の固形成分濃度の目安になるものの,そのまま糖類の量(重量分率)を示すものではない。
【0040】
本発明の発酵乳製品は,食品層のBrix値から発酵乳層のBrix値を差し引いた値(以下単に「Brix値の差」ともいう。)が21以下となる。Brix値の差は,21以下,20以下,18以下,15以下,又は12以下とすればよい。Brix値の差は特に下限はないが,発酵乳製品の美味しさを保つために,発酵乳層のBrix値が食品層のBrix値を上回ることは好ましくはない。このため,Brix値の差は,0以上であればよく,5以上,8以上,又は10以上であることが好ましい。
【0041】
また,Brix値は,一般的に発酵乳層よりも食品層の方が高くなる。このため,Brix値を比較的小さくするということは,食品層のBrix値を下げて発酵乳層のBrix値に近づけるか,若しくは発酵乳層のBrix値を上げて食品層のBrix値を近づけることとなる。本発明においては,食品層のBrix値をあえて下げて,発酵乳のBrix値に近づけることが好ましい。具体的に,食品層のBrix値は,32以下であることが好ましく,30以下又は28以下であることが特に好ましく,さらに26以下とすることもできる。また,食品層のBrix値の下限は特に限定されないが,発酵乳のBrix値は7以上であることが一般的であるため,食品層のBrix値の下限も7とすればよい。食品の美味しさを保つためには,食品層のBrix値は,7以上,10以上,15以上であることが好ましく,20以上又は23以上であることが特に好ましい。
【0042】
食品層のBrix値を比較的低く抑えつつ,その甘味を維持するためには,食品層に高甘味度甘味料を添加することが有効である。高甘味度甘味料は砂糖の10倍以上の甘味があるため,少量の添加でも甘味を強くすることができる。また,高甘味度甘味料を添加する代わりに砂糖の添加量を下げることで,食品層のBrix値を低く抑えることが可能となる。前述したように,高甘味度甘味料の含有量は,食品層の全量に対して,0.0001〜0.2重量%であることが好ましい。他方で,食品層に高甘味度甘味料を添加する場合には,食品層全量に対する砂糖の含有量は,22重量%以下又は21重量%以下であることが好ましく,特に,20重量%以下又は18重量%以下とすることが好ましい。砂糖の含有量の下限は特に制限はないが,食品層の美味しさ保つために10重量%以上又は15重量%以上とすればよい。
【0043】
上記のように,食品層と発酵乳層のBrix値の差を所定値(具体的には21)以下とすることで,食品層を発酵乳層の上に形成した発酵乳製品を搬送した場合でも,食品層が沈下して両層の境界面が不鮮明になるということを効果的に防止できる。食品層と発酵乳層の境界面が鮮明であれば,甘みや風味の移行を抑制でき発酵乳製品の美味しさを保つことができる。また,色調の移行も抑制できるためその外観の美しさも維持できる。以下,本発明に係る発酵乳製品の実施例について詳しく説明する。
【実施例】
【0044】
<二層タイプの発酵乳製品の調製>
図1に示したフロー図に従い,発酵後に濃縮工程(ホエイ除去)を行う濃縮発酵乳を調製し,それを用いて二層タイプの発酵乳製品を製造した。濃縮発酵乳の調製では,まず,原料乳を混合して全固形分11.1%,脂肪分0.1%,たんぱく質4.8%に成分調整した調合液を得て,この調合液を連続式プレート熱交換器で殺菌し,43℃まで冷却後,乳酸菌スターターを接種してpH4.55まで発酵させた。乳酸菌スターターとしては,ブルガリア菌とサーモフィルス菌を混合したものを用いた。発酵終了後,発酵乳を攪拌してカード破砕し,ノズルセパレーター(KNA-3:GEA Westfalia Separator社製)でホエイ(軽液)を分離し濃縮発酵乳(重液)を得た。ここでは,重液のたんぱく質濃度が10%になる様に濃縮倍率を調節した。重液を連続式チューブ熱交換器で冷却し濃縮発酵乳を得た。なお、濃縮倍率Cは式(1)で求めた。
ここで,Fは供給液の質量流量[kg/h],Qは重液の質量流量[kg/h],Wは軽液の質量流量[kg/h]である。濃縮発酵乳は,プラスチックカップに98g充填して表面を平らに均した。これにより,カップ内に食品層を形成した。その後,予め調製した果肉入りソース(食品)を食品層の上に42g充填した。これにより,カップ内に食品層を形成した。このようにして,発酵乳層の上に食品層が形成された発酵乳製品を得た。
【0045】
上記に従って調整した発酵乳及び食品をベースとし,以下に説明する各実施例及び各比較例では,食品に添加するLMペクチンの濃度やエステル化度,食品の砂糖濃やステビア濃度,発酵乳の粘度,或いは食品と発酵乳のBrix値を,それぞれ試験目的にあわせて調節した。
【0046】
<評価方法>
[Brix値測定]
食品層と発酵乳層のBrix値は,デジタル屈折計RX−5000i(アタゴ社製)を用いて測定した。ここでは,試料を4号(M23)ローターを用いて,30rpmで30秒間撹拌した後の値を計測した。また,測定時の試料の温度は,20℃に設定した。
【0047】
[粘度測定]
発酵乳の粘度は,B型粘度計TVB−10(東機産業社製)を用いて測定した。ここでは,10℃の試料を4号(M23)ローターを用いて,30rpmで30秒間撹拌した後の値を計測した。
【0048】
[振動試験]
発酵乳の振動耐性は,輸送包装試験機BF−50UT(アイデックス社製)にて評価した。振動条件は、以下の通りとした。
Lo−周波数設定:5.0Hz
Hi−周波数設定:50.0Hz
掃引時間:15m0s
掃引回数:1回
【0049】
[風味評価]
10℃下で保存した二層タイプの発酵乳製品を試食して風味を評価した。
【0050】
[境界面評価]
所定の保存条件で保存した発酵乳製品の発酵乳層と食品層の境界面を目視により評価した。
【0051】
<試験1:LMペクチン配合量が振動耐性に与える影響>
[比較例1]
調製した濃縮発酵乳(粘度:4000cp,Brix値:8.2)の上にブルーベリーソース(Brix値:26)を充填した発酵乳製品を得て,一晩(24時間 以下同じ)5℃条件下で保存した。ブルーベリーソースは,LMペクチンを含まず,ブルーベリー果肉21.2%,砂糖19.2%,ステビア0.045%を配合した。一晩静置後の発酵乳製品を振動試験機に供した結果,ソースと発酵乳の境界面は大きく乱れた。
【0052】
[実施例1−1]
同上の濃縮発酵乳にブルーベリーソース(Brix値:26)を充填した発酵乳製品を得て,一晩5℃条件下で保存した。ブルーベリーソースは,ブルーベリー果肉21.2%,エステル化度35のLMペクチン0.3%,砂糖19.2%,ステビア0.045%を配合した。一晩静置後の発酵乳製品を振動試験機に供した結果,ソースと発酵乳の境界面に僅かな乱れが認められたものの許容範囲と考えられた。
【0053】
[実施例1−2]
同上の濃縮発酵乳にブルーベリーソース(Brix値:26)を充填した発酵乳製品を得て,一晩5℃条件下で保存した。ブルーベリーソースは,ブルーベリー果肉21.2%,エステル化度35のLMペクチン0.5%,砂糖19.2%,ステビア0.045%を配合した。一晩静置後の発酵乳製品を振動試験機に供した結果,ソースと発酵乳の境界面に殆ど乱れは認められなかった。
【0054】
[実施例1−3]
同上の濃縮発酵乳にブルーベリーソース(Brix値:26)を充填した発酵乳製品を得て,一晩5℃条件下で保存した。ブルーベリーソースは,ブルーベリー果肉21.2%、エステル化度35のLMペクチン0.8%,砂糖19.2%,ステビア0.045%を配合した。一晩静置後の発酵乳製品を振動試験機に供した結果,ソースと発酵乳の境界面に殆ど乱れは認められなかった。
【0055】
上記試験1の結果,ソース(食品層)にLMペクチンを配合しない場合,ソースと発酵乳の境界面を維持することが困難であることが確認された。他方で,ソースにLMペクチンを配合することで,ソースと発酵乳の境界面を維持できると認められた。
【0056】
<試験2:LMペクチンのエステル化度が振動耐性に与える影響>
[比較例2−1]
調製した濃縮発酵乳(粘度:4,000cp、Brix値:8.2)の上にブルーベリーソース(Brix値:26)を充填した発酵乳製品を得て,一晩5℃条件下で保存した。ブルーベリーソースは,ブルーベリー果肉21.2%,エステル化度45のLMペクチン0.3%,砂糖19.2%,ステビア0.045%を配合した。一晩静置後の発酵乳製品を振動試験機に供した結果,ソースと発酵乳の境界面は大きな乱れが認められた。
【0057】
[比較例2−2]
同上の濃縮発酵乳の上にブルーベリーソース(Brix値:26)を充填した発酵乳製品を得て,一晩5℃条件下で保存した。ブルーベリーソースは,ブルーベリー果肉21.2%,エステル化度12のLMペクチン0.3%,砂糖19.2%,ステビア0.045%を配合した。一晩静置後の発酵乳製品を振動試験機に供した結果,ソースにひび割れが認められた。
【0058】
[実施例2−1]
同上の濃縮発酵乳の上にブルーベリーソース(Brix値:26)を充填した発酵乳製品を得て,一晩5℃条件下で保存した。ブルーベリーソースは,ブルーベリー果肉21.2%,エステル化度34のLMペクチン0.3%,砂糖19.2%,ステビア0.045%を配合した。一晩静置後の発酵乳を振動試験機に供した結果,ソースと発酵乳の境界面に殆ど乱れは認められなかった。
【0059】
[実施例2−2]
同上の濃縮発酵乳の上にブルーベリーソース(Brix値:26)を充填した発酵乳製品を得て,一晩5℃条件下で保存した。ブルーベリーソースは,ブルーベリー果肉21.2%,エステル化度38のLMペクチン0.3%,砂糖19.2%,ステビア0.045%を配合した。一晩静置後の発酵乳製品を振動試験機に供した結果,ソースと発酵乳の境界面には僅かに乱れが認められたものの許容範囲と考えられた。
【0060】
上記試験2の結果,ソース(食品層)にLMペクチンを配合した場合であっても,エステル化度が45以上のものを用いた場合,ソースと発酵乳の境界面を維持することが困難であることが確認された。また,エステル化度が12以下のLMペクチンを用いた場合,ソースにひび割れが発生することが確認された。他方で,エステル化度が34〜38の範囲のLMペクチンをソースに配合することで,ソースと発酵乳の境界面を維持できると認められた。
【0061】
<試験3:発酵乳粘度が振動耐性に与える影響>
[比較例3]
調製した濃縮発酵乳(粘度:2000cp,Brix値:8.2)の上にブルーベリーソース(Brix値:26)を充填した発酵乳製品を得て,一晩5℃条件下で保存した。ブルーベリーソースは,ブルーベリー果肉21.2%,エステル化度38のLMペクチン0.3%,砂糖19.2%,ステビア0.045%を配合した。一晩静置後の発酵乳を振動試験機に供した結果,ソースと発酵乳の境界面は大きな乱れが認められた。
【0062】
[実施例3−1]
調製した濃縮発酵乳(粘度:4000cp,Brix値:8.2)の上に同上のブルーベリーソースを充填した発酵乳製品を得て,一晩5℃条件下で保存した。一晩静置後の発酵乳製品を振動試験機に供した結果,ソースと発酵乳の境界面は僅かに乱れが認められたものの許容範囲内であった。
【0063】
[実施例3−2]
調製した濃縮発酵乳(粘度:6000cp,Brix値:8.2)の上に同上のブルーベリーソース(Brix値:26)を充填した発酵乳製品を得て,一晩5℃条件下で保存した。一晩静置後の発酵乳製品を振動試験機に供した結果,ソースと発酵乳の境界面に乱れは認められなかった。
【0064】
上記試験3の結果,発酵乳の粘度が2000cp以下である場合,ソースと発酵乳の境界面を維持することが困難であることが確認された。他方で,発酵乳の粘度を4000cp以上,好ましくは6000cp以上とすることで,ソースと発酵乳の境界面を維持できると認められた。
【0065】
<試験4:発酵乳とソースのBrix値の差が振動耐性及び保存中の風味に与える影響>
[比較例4]
調製した濃縮発酵乳(粘度:7400cp,Brix値:8.2)の上にキウイソース(Brix値:34.4)を充填した発酵乳製品を得て,一晩10℃条件下で保存した。キウイソースは,キウイ果肉18.2%,砂糖26.5%,LMペクチン0.6%を配合した。一晩静置後の発酵乳製品を振動試験機に供した結果,ソースと発酵乳の境界面は大きな乱れが認められた。また,製造直後は良好な発酵乳の風味は,8日目以降はソースの風味が著しく低下し,許容できない風味となった。
【0066】
[比較例4−1〜4−6]
調製した濃縮発酵乳(粘度:7,400cp、Brix値:8.2)に砂糖を添加し,Brix値を(A)とした。この上にキウイソース(Brix値:(B))を充填した発酵乳製品を得て,一晩10℃条件下で保存した。キウイソースは,キウイ果肉18.2%,砂糖(C)%,LMペクチン0.6%,ステビア(D)%を配合した。(A)〜(D)の値は以下の表1のとおりである。一晩静置後の発酵乳製品を振動試験機に供した結果,実施例4−1〜4−6のすべてについて,ソースと発酵乳の境界面に乱れは認められなかった。また,製造直後に良好であった発酵乳の風味は,製造15日目も許容できるレベルで維持された。
【表1】
【0067】
上記試験4の結果,ソースのBrix値から発酵乳のBrix値を差し引いた値が26.2以上である場合,ソースと発酵乳の境界面を維持することが困難であることが確認された。また,このような場合には,長期保存後に発酵乳製品の風味が著しく低下することが確認された。他方で,ソースのBrix値から発酵乳のBrix値を差し引いた値が11.2〜20.7である場合,ソースと発酵乳の境界面を鮮明に維持することができると認められた。また,このような場合には,発酵乳製品の風味を長期間維持することができると認められた。
【0068】
<試験1〜4まとめ>
試験1〜4の試験条件及び試験結果をまとめると以下の表2のとおりである。
【表2】
【0069】
上記試験1〜試験4の結果から,ソースの沈下を防止して発酵乳との境界面を鮮明に維持し,且つ,発酵乳製品の風味を長期間維持するためには,ソースに0.3重量%以上のLMペクチンを添加すること,LMペクチンのエステル化度を34〜38の範囲とすること,発酵乳の粘度を4000cp以上とすること,及びソースのBrix値から発酵乳のBrix値を差し引いた値を20.7以下とすることが最適であると認められた。また,発酵乳層の風味や美味しさを維持しつつ,発酵乳とソースのBrix値の差を20.7以下とするためには,ソースのBrix値を低下させることが好ましいこと,またその際にはソースにステビア等の高甘味度甘味料を添加するのが有効でことが認められた。
【0070】
以上,本発明の内容を具体的に表現するために,本発明の実施例の説明を行った。ただし,本発明は,上記した最良の実施例に限定されるものではなく,本願明細書に記載された事項に基づいて当業者が自明な変更形態や改良形態を包含するものである。