(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
パージノズルおよび逆止弁と係合するためのエラストマーグロメットをさらに備えており、前記逆止弁が前記グロメットの貫通穴に嵌入される寸法を有している、請求項1に記載の前面開放式ウエハ容器の多孔性タワーディフューザアセンブリ。
前記フレア状下部よりも先端側の部分と比較して、該フレア状下部に対してパージを増加させる手段をさらに備えている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の前面開放式ウエハ容器の多孔性タワーディフューザアセンブリ。
前記タワーが、多孔率の異なる少なくとも2つの異なる部分を有している、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の前面開放式ウエハ容器の多孔性タワーディフューザアセンブリ。
多孔率のより高い部分が、多孔率のより低い部分よりも前記タワーの継手側端部に近い、請求項5に記載の前面開放式ウエハ容器の多孔性タワーディフューザアセンブリ。
前記タワーが、径方向流出に対する抵抗を有する少なくとも2つの異なる部分を有している、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の前面開放式ウエハ容器の多孔性タワーディフューザアセンブリ。
前記上向きニップル部が穴を有し、前記多孔性タワーが前記継手に装着されたときに前記穴に隣接して環状スペースが形成され、前記穴が該環状スペースに隣接していることによって、パージガスが前記フレア状下部から拡散される、請求項8に記載の前面開放式ウエハ容器の多孔性タワーディフューザアセンブリ。
前記上向きニップル部が、前記多孔性タワーと締り嵌めを形成する寸法を有するねじ部または複数のかえし部を有している、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の前面開放式ウエハ容器の多孔性タワーディフューザアセンブリ。
前記ニップル部に径方向穴を有し、前記ニップル部が、前面開放式ウエハ容器内において上方に延びて最も低い第1ウエハのみにほぼ到達する寸法を有している、請求項10に記載の前面開放式ウエハ容器の多孔性タワーディフューザアセンブリ。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に、本開示の一実施形態による、基板32を収容する基板容器30を示す。基板容器30は対向する2つの側部34、上部36、下部38および後部42を有する。下部38は内面または床面40を形成している。基板容器30の前部44は開口部48を画定するドアフレーム46を有している。ドア52は、開口部48を覆って密閉するように構成されている。基板容器30の開口部48は、縦方向54と略平行な面上に位置している。基板容器30は局所環境64を有している。
【0022】
基板容器30内には2つのスロット付側壁66が配置されている。各側壁66は、対応する側部34に近傍している。スロット付側壁66は、スロット同士が対向して複数のスロット位置68を形成するように整合している。また、スロット付側壁66は、スロット付側壁66の間において基板32が支持されるように間隔を空けて配置されている。本開示において、最も低いスロット位置68(下部38に最も近いスロット)を第1スロットと称し、スロットの番号は位置が上がるにつれて増える(
図15B)。
【0023】
基板容器30は、少なくとも1つのディフューザアセンブリ70も有している。ディフューザアセンブリ70は基板容器30内に配置され、気体状の作動流体を基板容器30に導入するためにガス源(図示しない)に動作可能に連結されている。いくつかの実施形態においては、1つまたは複数のディフューザアセンブリ70が、基板容器30をパージするために開口部48に向かって気体状作動流体を送るように方向付けされている。
【0024】
図2Aおよび2Bに、ドア52が取り除かれたときに基板容器30a内に入る周囲空気76の流れを示す流れ視覚化
図72および74を示す。基板容器30aは基板容器30と同じ要素を多く有しているが、流れ視覚化
図72および74を取得する際にはディフューザ70を作動させなかった。流れ視覚化
図72は基板容器30aが空である状態(基板を収容していない状態)を示し、流れ視覚化
図74は、基板容器30a内に5枚の基板が最下スロット(第1スロット)から最上スロットまで均等に配置された状態を示す。流れ視覚化
図72および74を生成するために、密閉された透明の基板容器30aに煙媒体78を導入して基板容器30a内にて略均等に分散させた。次いで、基板容器30aの透明な壁を介して煙媒体78を照明した。基板容器30aからドア52を取り除くと、煙媒体82の移動によって周囲空気の侵入が視認された。煙媒体
78は局所環境64内の調整された気体(例えば、浄化された、不活性の、および/または低湿度の気体)を表し、煙媒体82が存在しない領域は、侵入した、調整されていない周囲空気76を表している。
【0025】
流れ視覚化
図72および74に示されるように、周囲空気76は下部38の近くにおいて基板容器78に侵入している。この傾向は、空の基板容器と基板が入った基板容器との両方で確認された。
【0026】
図3Aおよび3Bは、乾燥クリーンエアー82(
図3A)および窒素84(
図3B)の2種類の異なるパージガスを用いて開放している基板容器30bをパージした場合の定常的結果を示す。基板容器30bは基板容器30と同じ要素を多く備えており、これらの要素には類似の符号が付されている。基板容器30bのディフューザアセンブリ70bは、ディフューザアセンブリ70bの基端部もしくは下部よりも先端部もしくは上部において気体の速度が速い縦方向流れ分布を形成している(
図5参照)。
図3Aおよび3Bの描写は煙/霧の視覚化(
図2Aおよび2Bと類似の方法)によって観察したが、明瞭にするため模式図として示す。これらの実験において、周囲空気76の相対湿度は約45%であった。一方、乾燥クリーンエアー82および窒素ガス84の相対湿度は略0%であった。気体76,82,84の温度は約22度であった。
図1に示すようなタワーディフューザ70bが2つ用いられ、各ディフューザの流量は毎分100リットル(lpm)に設定された。
【0027】
図3Aに示すように、前述の条件において乾燥クリーンエアー82を用いて基板容器30bをパージした場合、周囲空気76を実質的に阻止した。乾燥クリーンエアー82の密度は周囲空気76の密度と略同一であるか、水蒸気を含まないため全体的には周囲空気76よりも若干高い(水蒸気の分子量は標準空気組成の分子量よりも小さい)。このため、基板容器30bの下部38に沿って導入された乾燥クリーンエアー82が下部38の表面近くに留まり、周囲空気76の侵入を阻止していたと思われる。
【0028】
一方、
図3Bに示すように、下部38に近傍するディフューザアセンブリ70bを通って導入された窒素ガス84は開口部48に近づくにつれて侵入してきた周囲空気76の上側に上昇する傾向があるため、周囲空気76を略完全に阻止するのではなく部分的のみに阻止する。周囲空気76は窒素よりも分子量の大きい成分(酸素等)を有している。このため、基板容器30bの下部38に沿って導入されたより密度の高い周囲空気76が下部38の表面の近くに留まったため、
図3Bの実験条件では周囲空気76の侵入を効果的に阻止できなかったと思われる。
【0029】
図4に、気体状作動流体として窒素ガス84を用いた際の基板容器30bへの湿気の侵入を定量化した図表90および92を示す。標準的な基板の大きさに設定された複数の空ディスク94a〜94fのそれぞれには、中心、前端、後端および側端において相対湿度表示器が装着された。基板94a〜94fは、スロット1〜3(スロット1は最も低いスロットであり、スロット2および3は最も低いスロットの上の2つのスロットである)、スロット6(スロット付側壁66の高さの約4分の1の高さに位置する)、スロット13(スロット付側壁66の高さの約2分の1の高さに位置する)およびスロット25(基板容器30bの最も高いスロット)に配置された。ディスクをこのように配置した状態で、気体状作動流体として窒素ガス84を用いて実験を行った(すなわち、
図3Bに示した実験条件を再現した)。結果の再現性を証明するために、実験は繰り返し行われた。
図4に両方のデータを示す。
【0030】
図4に示されるように、スロット1〜3および6に配置されたディスク94a〜94dにおいて、スロット13および25のディスクよりも大幅に高い相対湿度が検知された。ディスク94a〜94dでは相対湿度表示が常に20%を超え、30%を超えている場合もあった。一方、ディスク94eおよび94fの相対湿度表示は常に20%未満であり、1つの表示を除けば15%未満であった。
【0031】
したがって、従来のディフューザの速度分布や、
図4に示す結果をもたらす他のパージ処理条件は、基板容器30bの相対湿度を15%未満の湿度レベルに維持するためには適していないことがわかった。
【0032】
図5を参照して、従来例の標準的タワーディフューザアセンブリ100の力学について説明する。ディフューザアセンブリ100は、一定の内部流れ断面102、ディフューザアセンブリ100の流れ長さ106に沿って均一な排出流構造104(例えば均一的な多孔率および厚さ)、および流れ断面102を終端させる閉端108を有している。ディフューザアセンブリ100に入って通過するパージガス112は圧縮不可能である(つまり、総圧が比較的低い)とともに断熱的であると想定され、流れは下記のベルヌーイの式によって表される。
【0033】
Ptotal=P1+Q1=P1+1/2□□□V12 式(1)
Ptotal=P2+Q2=P2+1/2□□□V22 式(2)
上記の式において、Ptotalは総圧(ディフューザアセンブリ100全体において略一定)、P1はディフューザアセンブリ100の位置1における静圧、Q1は位置1における動圧、□は内在気体の密度(ディフューザアセンブリ100全体において略一定)、V1は位置1における内部流速、P2はディフューザアセンブリ100の位置2における静圧、Q2は位置2における動圧、V2は位置2における内部流速であり、位置2は位置1の下流側に位置している。
図5には、排出速度V1’およびV2’(各位置1および2からディフューザを出る気体の速度)およびディフューザアセンブリ100を包囲する周囲圧力Poも示されている。
【0034】
ディフューザアセンブリ100の別の特徴は、排出流構造104を通過する際の圧力降下□Pが静圧P1およびP2に対してそれほど大きくならないように排出流構造104が構成されていることである。
【0035】
ディフューザアセンブリ100において、排出速度V2’は排出速度V1’よりも大きかった。パージガス112の流れが閉端108に近づくにつれて流れの内部流速が遅くなるため内部流速V2よりも内部流速V1の方が大きく、その結果、動圧Q1が動圧Q2よりも大きくなると思われる。Ptotalは一定であるため、動圧Q2に対して動圧Q1が増加すると、静圧P2に対して静圧P1が低下する。排出速度V1’およびV2’は、静圧P1およびP2にそれぞれ依存するため、排出速度V1’が排出速度V2’よりも小さくなる。よって、従来のディフューザアセンブリ100の速度分布は、流れ長さ106に沿って増加する非均一的な排出速度分布114を形成している(閉端付近の上端部もしくは先端部の速度が、基板容器30の下部38付近の下端部もしくは基端部の速度よりも大きい)。
【0036】
図6に、本開示の特定の実施形態の特徴を備えたディフューザアセンブリ140を示す。このディフューザアセンブリ140の誘導原理は、V2がV1よりも速くなるように内部流れ特性を逆にするものであり、V1’がV2’よりも大きくなる速度分布142を形成している。このため、気体状作動流体において、基板容器30の開口部48の上半分
56を通る流体よりも、下部38上を掃いて開口部48の下半分
58を通る流体の方が力および勢いが大きい。この力学状態を達成するように構成された実施形態をいくつか以下に示す。
【0037】
図7に、本開示の一実施形態による、内部流れ規制部162を有するディフューザアセンブリ160を示す。ディフューザアセンブリ160は、内部流れ規制部162によって隔てられた基端側セグメント164および先端側セグメント166を有する。各セグメントは、壁172を含むディフューザ部168を有している。壁172は排出流構造174(開孔構造または複数の孔等)を有し、気体状作動流体は、この排出流構造174を通ってディフューザ部168から径方向に排出される。
【0038】
一実施形態において、ディフューザ部168は、Porex Corporation(米国ジョージア州フェアバーン)のPOREX(登録商標)多孔性ポリエステル材料からなる製品TUB−5361から形成されている。この製品は、1.27cm(0.5インチ)の公称外径、0.737cm(0.29インチ)の公称内径を有し、排出流構造174の平均孔径は15〜30□mであり、多孔率は30〜40%である。本明細書に記載する様々な研究および実験結果においてはこのディフューザ部が使用されるが、使用されるPOREX(登録商標)チューブの特定の構造は例示的なものであり、これに限定されない。
【0039】
排出流構造174はセグメント164またはセグメント166の全長にわたって均一でもよいし、両方のセグメント164およびセグメント166の全長にわたって均一であってもよい。ディフューザ部168は、セグメント164またはセグメント166の全長にわたって均一であるか、両方のセグメント164およびセグメント166の全長にわたって均一である流れ断面175を画定していてもよい。先端側セグメント166は先端部176において閉端178によって閉塞されている。閉端178は堅固で不浸透性を有していてもよいが、これに限定されない。一実施形態においては、
図7に示すように、内部流れ規制部162が流れ口182を有している。
【0040】
機能的には、流れ口182はディフューザアセンブリ160の基端側セグメント164と先端側セグメント166との間において圧力損失をもたらしている。この圧力損失によって基端側セグメント164の総圧PT1に対して先端側セグメント166の総圧PT2が小さくなる。総圧PT2の低下により、基端側セグメント164内における静圧PS1に対して先端側セグメント166の静圧PS2が小さくなる。したがって、前述したように、先端側セグメント166の静圧の低下によって、先端側セグメント166を出る流れの排出速度V2’が基端側セグメント164の排出速度V1’よりも小さくなる。このように、基板容器30の下部38近傍の排出速度V1’が、基板容器30上部の流れの排出速度V2’よりも大きくなる。
【0041】
図8Aおよび8Bに、本開示の一実施形態におけるディフューザアセンブリ160の効果を示す実験データのグラフ202およびグラフ204を示す。グラフ202およびグラフ204の両方が、基板容器30に類似する基板容器内の時間に対する相対湿度を示している。この基板容器においては、ドア54が取り除かれた状態にてディフューザアセンブリ160を用いることにより基板容器がパージされるとともに、相対湿度が15%未満に維持されている。グラフ202に示す結果は窒素ガスを用いたパージに関し、グラフ204に示す結果は乾燥クリーンエアーを用いたパージに関する。これらのデータは2つのディフューザ(
図1に示すようなディフューザ)を用いて行った実験の結果を示し、各ディフューザは毎分100リットルの気体状作動流体を基板容器内に導入する。これらのグラフ202およびグラフ204は、ウエハ容器のスロット3およびスロット6に位置する、測定器の取り付けられたディスクの前側位置から取得したデータも示している。このようなディスク位置および基板容器スロット位置が選択されたのは、今回の課題を確認するために行われた様々な他の試験での霧の視覚化および相対湿度試験において、低いウエハスロット位置における前側位置が最もパージが困難であると判断されたためである。
【0042】
各実験において、ウエハキャリア30のドア52は開放されて、相対湿度が45%(基板製造における一般的なクリーンルームの相対湿度)である周囲空気76が局所環境内に流れ込めるようになっている。2つのグラフ202およびグラフ204において、気体状作動流体はディフューザ160を介して約300秒でウエハキャリア30に導入された。スロット6のディスクについては、使用された気体状作動流体のいずれに関わらず、相対湿度がほぼ安定して単調に低下した。スロット3のディスクについても、気体状作動流体として乾燥クリーンエアーが使用されている場合(
図8B)は単調に低下した。これらのデータは600秒の時点(つまり気体状作動流体が導入されてから約300秒後)においてすべて0%の相対湿度に近づいた。
【0043】
窒素ガスを用いたパージにおけるスロット3のディスクは単調には低下せず、相対湿度が0%に近づくことがなかった。その代わりに、スロット3前側の相対湿度レベルは若干不安定であり、開放された基板容器内に周囲空気が断続的に侵入したことを示している。
【0044】
それでも、結果に示されるように、ディフューザアセンブリ160は好適に機能した。相対湿度は10秒を経ずに目標相対湿度である15%未満になってパージサイクルに入り、その後15%の相対湿度指標を超えなかった。このため、グラフ202およびグラフ204のデータの両方によって、気体状作動流体として窒素または乾燥クリーンエアーのいずれが使用されてもディフューザアセンブリ160が効果的に機能することが証明された。
【0045】
図9Aおよび9Bに、本開示の一実施形態による流れ規制原理を実行するディフューザアセンブリ190を示す。ディフューザアセンブリ190は単一のディフューザ部192を有し、ディフューザ部192には,入口軸アセンブリ196に支持された中心ディスク194が挿入されている。ディフューザ部192は、ディフューザアセンブリ160の基端側セグメント164および先端側セグメント166と同様の要素(排出流構造を形成する壁、均一な流れ断面を有する内部流路、および閉端等)を多く備えている。中心ディスク194および入口軸アセンブリ196がディフューザ部192と協働することによって、流れを規制して圧力損失をもたらす半円環状通路198を形成している。このため、ディフューザアセンブリ190はディフューザアセンブリ160と同じ原理に基づいて機能し、排出速度分布において同じ「段階変化」を実現している。
【0046】
ディフューザアセンブリ160およびディフューザアセンブリ190のどちらにおいても、内部流れ規制部は1つでなくてもよい。つまり、複数の流れ規制部(図示しない)を用いて、ディフューザアセンブリ160および180の長さ方向において連続的に圧力を減少させて、複数の段階を含む排出速度分布を形成してもよい。
【0047】
図10に、本開示の一実施形態による逆流ディフューザアセンブリ220を示す。逆流ディフューザアセンブリ220は、基端部224および先端部226を有するディフューザ部222を備え、排出流構造232(開孔構造または複数の孔等)を形成する壁228を有している。気体状作動流体は、この排出流構造232を介してディフューザ部222から径方向に出る。非限定的な例示的実施形態において、ディフューザ部222は前述したようにPOREX(登録商標)多孔性ポリエチレン材料により形成されているか、または類似の特性を有している。
【0048】
基端部236および先端部238を有する供給ライン234が、ディフューザ部222の近傍をディフューザ部222と略平行に延びている。ディフューザ部222と異なり、供給ライン234は供給ライン234を介した径方向の流れを許容するようには構成されておらず、供給ライン234の壁は堅固である。このため、基端部236から入った流れ240は先端部238から出る。
【0049】
ディフューザ部222の先端部226と供給ライン234の先端部238とは、例えばU字状継手242を介して連通している。ディフューザ部222の基端部224および供給ライン234の基端部236は入口継手244に連結されていてもよい。図に示す実施形態においては、入口継手244は、供給ライン234の基端部236とは連通しているが、ディフューザ部222の基端部224においては閉端246を形成している。継手244は、基板容器30の下部38に形成されたポート(図示しない)内に連結されるように構成されていてもよい。
【0050】
動作時には、パージガス246が入口継手244内に導入されて、入口継手244から供給ライン234に送られる。パージガスは供給ライン234を流れ、U字状継手242において反転してディフューザ部222の先端部226に入る。次いで、パージガス246は、排出流構造232を介して壁228を径方向に通過してディフューザ部222から出る。
【0051】
機能的には、前述のPOREX(登録商標)多孔性ポリエチレン材料と同様の特性を有するディフューザ部222において、閉端246に対するディフューザ部222の速度分布は、
図5に示した閉端108に対する速度分布114に類似している。しかしながら、流れ240が逆であることから、ディフューザアセンブリ220の入口に対する速度分布が逆になっている。つまり、逆流ディフューザアセンブリ220においては、基板容器30の下部38に近いディフューザ部222の閉端246(つまり基端部224)付近の速度が、上部36付近の速度よりも大きい。このため、基板容器30の開口部48の下半分56から出る気体状作動流体が、開口部48の上半分58を通る気体状作動流体よりも力および勢いが大きい。
【0052】
図11Aおよび11Bに示す本開示の一実施形態による逆流ディフューザアセンブリ260は、逆流ディフューザアセンブリ220と同じ属性を多く有し、これらの属性には類似の符号が付されている。構造的には、逆流ディフューザアセンブリ260は、供給ライン234がディフューザ部222内にて中心軸線262を中心としてディフューザ部222と同軸状に位置し、供給ライン234とディフューザ部222との間に環状流路264が形成されている点において、逆流ディフューザアセンブリ220とは異なっている。また、ディフューザ部222の基端部224は、環状流路264を終端させるプラグ266を有し、ディフューザ部222の先端部226は閉端268を有している。供給ライン234の先端部238は閉端266から軸方向にずれている。
【0053】
機能的には、閉端268は供給ライン234を出る流れ240を反転させ、環状流路264に向かって軸方向に方向転換させる(
図11B)。プラグ266が環状流路264の閉端として機能しているため、環状流路264に入るパージガスは、排出流構造232を介して径方向にディフューザ部222から出る。流れ240の反転と、ディフューザ部222の基端部224においてプラグ266がもたらす遮断とにより、ディフューザ部222を出る速度分布が、逆流ディフューザアセンブリ220の速度分布に類似の特性を有している。
【0054】
開示された実施形態は、ディフューザ部の長さに沿って静圧が変化する原理に基づく非均一速度分布を形成する。しかしながら、このような力学状態を変更することによって、「プレナム充填作用」と称される別の原理に基づいた所望の流れ分布を形成するようにディフューザアセンブリを調整することができる。これについて以下に記載する。
【0055】
図12に、プレナム式ディフューザ部282を有するタワーディフューザアセンブリ280を示す。ディフューザ部282とディフューザ部168,192,222との相違点の一つは、プレナム式のディフューザ部282の排出流構造284は、排出流構造284を通る際の圧力降下□Pが静圧P1およびP2よりも大幅に大きくなるように構成されていることである。このため、ディフューザアセンブリ280は、内部の軸方向速度V1およびV2が小さいため総圧Ptotalと静圧P1およびP2とが略同じになる、プレナム部として機能する。このように、「プレナム充填作用」は、内部流れに沿った静圧の変化がわずかである場合に達成される。
【0056】
プレナム充填作用をもたらす方法のひとつは、プレナム式ディフューザ部282の多孔率をディフューザ部168,192,222よりも減少させ、これによって、径方向流出に対する抵抗を増加させることである。また、別の方法としては、プレナム式ディフューザ部282の壁の厚さをディフューザ部168,192,222の壁の厚さよりも大きくすることが挙げられるが、これによっても、径方向流出に対する抵抗が増加する。また、孔径を小さくしても同様の効果が得られる。さらに別の方法として、プレナム式ディフューザ部282の内部流れ断面をディフューザ部168,192,222よりも増大させて、所定の容積流量に対する流れ速度を減少させてもよい。これらのパラメータを個別もしくはまとめて変更することにより、所望のプレナム充填作用を達成することができる。
【0057】
プレナム式ディフューザ部282は、一定の内部流れ断面284、長さ方向に均一な排出流構造284(均一な多孔率および厚さ等)、および内部流れ断面284を終端させる閉端288を有していると見なすことができる。プレナム充填作用をもたらすタワーディフューザアセンブリ280においては、プレナム式ディフューザ部282から径方向に出る排出速度分布292が略均一になる。したがって、速度分布を不均一にするためには他の調整が必要となる。このような他の調整を伴うプレナム充填式の実施形態を以下に説明する。
【0058】
図13に、本開示の一実施形態による区分けされたプレナム式ディフューザアセンブリ300を示す。区分けされたプレナム式ディフューザアセンブリ300は、基端部302と、閉端である先端部304とを有し、図に示すように、中心軸線312に沿って延びる中心通路308を介して連通している3つのセグメント306a,306b,306cを有している。中心通路308はアセンブリ300の長さ方向において同一の流れ断面を形成していてもよい。しかしながら、一実施形態においては、各セグメント306a,306b,306cはプレナム充填作用をもたらし、それぞれが異なる排出流構造314a,314b,314cを有するように構成されている。つまり、セグメント306a,306b,306cはそれぞれ異なる組み合わせの孔径、孔形状および多孔率を有し、セグメント306a,306b,306cにおいて径方向流出に対する抵抗がそれぞれ異なっている。
【0059】
先端部304よりも基端部302(基板容器30の下部38に最も近い位置)における速度が大きい排出流速度分布316をもたらすために、排出流構造314a,314b,314cは、径方向流出に対する抵抗がセグメント306cにおいて最も大きく、セグメント306aにおいて最も小さくなり、セグメント306bにおける径方向流出に対する抵抗がこれらの中間となるように調整されている。
【0060】
これらの3つのセグメント306a,306b,306cの図示は非限定的であり、複数のセグメントの例示にすぎない。他の実施形態においては、セグメントの数はこれより多くてもよいし少なくてもよい。
【0061】
図14A、14Bおよび14Cに本開示の実施形態によるプレナム式ディフューザアセンブリ320,340,360をそれぞれ示す。プレナム式ディフューザアセンブリ320,340,360の孔径、孔形状および多孔率はそれぞれの流れ長さ322,342,362に沿って一定であってもよい。または、アセンブリ320,340,360はそれぞれの長さ322,342,362に沿って変化する流れ断面324,344,364を有していてもよい。プレナム式ディフューザアセンブリ320,340は、それぞれの長さ322,342に沿って厚さ326,346が変化している。
【0062】
機能的には、プレナム式ディフューザアセンブリ320において、先端部332よりも基端部328の方が流れ断面324が大きく、壁厚が薄い。このような形状であるため、排出速度分布334は、先端部332よりも基端部328において速度が大きい。基端部348および先端部352を有して排出速度分布354を形成するプレナム式ディフューザアセンブリ340は同じ原理に基づいて動作するが、流れ断面344は、流れ断面324のようにテーパー状ではなく、段階的に変化している。基端部368および先端部372を有して排出速度分布374を形成するプレナム式ディフューザアセンブリ360においては、壁厚
366が略一定であるため、径方向流れに対する抵抗の長さ
362に沿った変化は、流れ断面364の変化によって主にもたらされる。
【0063】
図15Aおよび15Bに、本開示の一実施形態による複数ディフューザアセンブリ380を示す。この複数ディフューザアセンブリ380は、基端部384a,384b,384cおよび閉じた先端部388a,388b,388cをそれぞれ有する3つの個別のディフューザ部382a,382b,382cを備え、基端部384a,384b,384cは個別の入口チューブ386a,386b,386cに動作可能に連結している。
【0064】
一実施形態において、各ディフューザ部382a,382b,382cはプレナム式ディフューザ部として構成されており、各ディフューザ部が
図12に示すような均一な流速分布を形成している。しかしながら、径方向流出に対する抵抗は各ディフューザで異なる。一実施形態において、径方向流出に対する抵抗は、ディフューザ部382cにおいて大きく、ディフューザ部382aにおいて小さく、ディフューザ部382bにおいてはこれらの中間である。ディフューザ部382aは基板容器30の下部38に最も近いため、気体状作動流体は下部38上を掃くように流れ、基板容器30の開口部48の下半分56を通る流体の力および勢いが開口部48の上半分58を通る流体よりも大きくなる(
図1)。
【0065】
別の実施形態においては、ディフューザ部382a,382b,382cは、
図5に示すような不均一な流速分布をもたらすように構成されている。このような構成は下部38のすぐ近くにおいて最も大きい速度を必ずしももたらすとは限らないが、ディフューザ部382aを、ディフューザ部382b,382cによる公称速度よりも大きい公称速度を達成するように構成することができる。その結果、気体状作動流体が下部38上を掃くように流れ、基板容器30の開口部48の下半分56を通る流体の力および勢いが開口部48の上半分58を通る流体よりも大きくなる。
【0066】
別の実施形態においては、各ディフューザ部382a,382b,382cは、
図10または11に示した構成のように、逆流ディフューザアセンブリとして構成されている。ディフューザ部382aは、ディフューザ部382b,382cの公称速度よりも大きい公称速度を達成するように構成できる。その結果、気体状作動流体が下部38上を掃くように流れ、基板容器30の開口部48の下半分56を通る流体の力および勢いが開口部48の上半分58を通る流体よりも大きくなる。このような構成においても、下部38のすぐ近くにおいて速度が最も大きくなるため、下部38を掃くように流れる状態が達成される。
【0067】
いくつかの実施形態においては、入口386a,386b,386cがそれぞれ流れ弁(図示しない)と連通しており、流れ弁を調節することによって各ディフューザ部382a,382b,382cの相対流量を増減可能である。流量を調節することにより、各ディフューザ部382a,382b,382cの流出特性が同じである場合でも、複数ディフューザアセンブリ380の長さ方向における流出速度分布を変えることができる。
【0068】
図15Bに、基板容器30の上部36および下部38に対するスロット位置の順序を示す。
3つのディフューザ部382a,382b,382cは非限定的に図示するものであり、複数のディフューザ部の一例にすぎない。他の実施形態においては、ディフューザ部はこれより多くてもよいし少なくてもよい。
【0069】
上記のディフューザアセンブリはすべて「タワー型」のディフューザであるが、他の種類のディフューザを使用してもよい。例えば、基板の近傍に内壁部を有する二重壁として形成されたプレナム式ディフューザコンパートメント(図示しない)を基板容器30の後部42に沿って設けてもよい。内壁は多孔性であってもよいし、孔を有していてもよいし、通気スロットを有していてもよい。流れに対する抵抗が基板容器30の上部36付近よりも下部38付近において小さくなるように内壁の長さ方向に沿って多孔率/孔密度を変化させてもよい。プレナム式ディフューザコンパートメントの充填は、基板容器30の下部38を通って延びるとともにディフューザコンパートメントと連通しているポートを介して行うことができる。
【0070】
図16A、16Bおよび16Cに、多孔性タワーディフューザアセンブリ399の一実施形態および部品を示す。本開示の一実施形態は、管状タワーとして構成された多孔性媒体ディフューザ402と連結する入口継手400を有している。入口継手400は、ベース部404を有し、穴軸線409を中心に延びる軸方向穴408がベース部404を貫通している。ベース部404の第1面410からは、基端部411および先端部413を有するニップル部406が延びている。ニップル部406内を延びる中心通路412はベース部404の軸方向穴408と連通している。一実施形態においては、ニップル部406は壁部414を有し、壁部414は、壁部414を通って延びる横穴416を形成するように構成されている。入口継手は、突出部419が上側ソケット417のスロット420に係合する「差し込み」型の接続を行う接続部418において上側ソケット417に接続されている。下側ソケット423には、パージノズルと係合する弾性部材421が固定されている。弾性部材は図示するようにグロメットであってよく、弾性部材の貫通穴425.2に位置する逆止弁425を有していてもよい。接続部は、前面開放式ウエハ容器の容器部と一体をなす部分であってもよい。
【0071】
いくつかの実施形態において、ニップル部406には多孔性媒体ディフューザ402が動作可能に連結されている。多孔性媒体ディフューザ402は、開孔構造424を画定する壁422を有しており、多孔性媒体ディフューザ402を通って気体状作動流体が径方向に排出される。多孔性媒体ディフューザ402はPOREX(登録商標)多孔性ポリエチレン材料から形成されてもよいし、類似の特性を有していてもよい。
【0072】
多孔性媒体ディフューザ402は、ディフューザ軸線428に沿って多孔性媒体ディフューザ402内を延びるディフューザ通路426を有している。ディフューザ通路426は、多孔性媒体ディフューザ402の基端部434において開口432を形成しており、開口432はニップル部406の中心通路412と同軸をなしている。多孔性媒体ディフューザ402は基端部434にフレア部427を有し、フレア部427は、多孔性媒体ディフューザ402においてフレア部427より先端側の部分よりも大きい内径および/または外径を有している。ニップル部406はディフューザ通路426の開口432内に延びて、多孔性媒体ディフューザ402が横穴416を包囲している。
【0073】
いくつかの実施形態においては、管状部431がベース部404の第2面433によって支持されている。第2面433は、ベース部404の第1面410の反対面である。様々な実施形態においては、ベース部404は、ベース部404の第1面410に垂直をなす第1軸線436を中心に形成されている。管状部は第1軸線436を中心に形成された入口ポート437を有している。ニップル部406の中心通路412は、第1軸線436に略平行な第2軸線438を画定している。一実施形態において、第2軸線438は第1軸線436から径方向にずれている。
【0074】
一実施形態においては、ニップル部406はかえし付きニップル部406aとして形成されており、ニップル部406aの先端部413にかえし部442を有するとともに、壁部414にテーパー部444を有している。かえし部442はかえし付きニップル部406aにおいて大きい外径446を画定しており、テーパー部444は、かえし部442の近傍において局所的に最小の外径448を画定している。横穴416は、壁部414のテーパー部444を貫通している。環状プレナム部452はかえし部442のテーパー部444と多孔性媒体ディフューザ402のディフューザ通路426の境界454との間に形成されており、横穴416を介してかえし付きニップル部406aの中心通路412と連通している。様々な実施形態においては、Oリング等のエラストマーバンド456が多孔性媒体ディフューザ402の基端部434付近に装着され、ニップル部406に対する多孔性媒体ディフューザ402の固定を補助している。
【0075】
図17A〜17Dに、ベース部404の第1面410から延びるニップル部406を有する別の実施形態を示す。以下において、符号406はニップル部を総称的または集合的に表し、406に文字が続く符号(406a等)は本開示の特定のニップル部を表す。複数のニップル部406に共通する要素には類似する符号が付されている。一実施形態において、ニップル部406bの壁部
414の外
面には、外側ねじ部462が形成されている。外側ねじ部462には、少なくとも1つの横穴416が貫通している(
図17A)。別の実施形態においては、ニップル部406cが外側ねじ部462および少なくとも1つの横穴416を有し、溝部466が少なくとも1つの横穴416から延び、横穴416が溝部466を介して外側ねじ部462をニップル部406cの先端443まで横断している(
図17B)。別の実施形態においては、ニップル部406dがスロット472を形成する構造を有し、スロット472は少なくとも1つの横穴416からニップル部の先端443まで延びている(
図17C)。一実施形態におけるニップル部406eは、他のニップル部406よりも短く、多孔性媒体ディフューザ402の基端部434と入口継手400との間に接着部または溶接部474が形成されている(
図17D)。
【0076】
様々な非限定的実施形態においては、横穴416の直径は3〜12mmであり、ベース部404の第1面410から垂直方向に3〜15mm離れた点を中心に形成されている。
図17Dのニップル部406eについては、先端部413がベース部404の第1面410から垂直方向に3〜15mm離れていてもよい。
【0077】
様々な実施形態においては、ニップル部406の基端部411にOリング476が取り付けられている。
図17Aに示すように、Oリング476はベース部404の第1面410および外面464の両方に接触していてもよい。いくつかの実施形態においては、
図17Cおよび17Dに示すように、ニップル部406の基端部411に高くなった面478が形成または配置されている。特定の実施形態においては、多孔性媒体ディフューザ402のディフューザ通路426の境界454が、外側ねじ部462と係合するように構成された内側ねじ部482を形成する構造を有している。
【0078】
図18Aおよび18Bに、本開示の一実施形態による入口継手486を示す。入口継手486は入口継手400と同じ要素を多く有しており、これらの要素には類似の符号が付されている。入口継手486は、ニップル部の代わりに、軸方向穴408を囲むカラー部488を有している。カラー部488は、ベース部404の第1面410から軸方向に延び、基端部490と、多孔性媒体ディフューザ402を受容する開口494を形成している先端部492とを有している。一実施形態において、カラー部488は、1つまたは複数の穴495を有している。一実施形態においては、カラー部488の内面498のグランド497にOリング496が配置されている。また、ガスケット499を配置することにより基板容器30の下部38と入口継手486との間を密閉してもよい。
【0079】
機能的には、
図16A〜16C、17A〜17Cおよび18A〜18Bに示す様々な実施形態の穴416および穴495、ならびに
図17Dの短いニップル部406eによって、横穴や短くされたニップル部を有していいない従来のパージタワーと比較して、ウエハ容器30の下部38の表面40により近い部位において多孔性媒体ディフューザ402に空気が導入されることになる。
【0080】
ニップル部406a〜406dおよびカラー部488は、適宜の支持面484を有していてもよく、ディフューザ通路426の境界454が支持面484に対して位置合わせされることによって緩みやぐらつきを生じさせることなく多孔性媒体ディフューザ402を堅固に固定してもよい。他のニップル部406a〜406dよりも小さいニップル部406eの支持面は、ニップル部406eの接着部または溶接部474によって補うことができる。当然ながら、特定の実施形態(図示しない)においては、穴を有する長いニップル部と接着部と組み合わせてもよい。
【0081】
ニップル部406bの下部に設けられたOリング476は、多孔性媒体ディフューザ402の基端部434を位置合わせするよう機能する。Oリング476は多孔性媒体ディフューザ402の基端部434と入口継手400との間にて圧縮されていてもよく、これにより、動作時においてねじ切りされたニップル部406(つまりニップル部406b,406c,406d)上における多孔性媒体ディフューザ402の回転を抑制する付勢力が内側ねじ部482と外側ねじ部462との間に発生する。圧縮されたOリング476は、多孔性媒体ディフューザ402の基端部434および開口432から気体が軸方向に流れ出ることを防止する密閉状態をもたらすことができる。
【0082】
図19に、本開示の一実施形態による、入口継手504を含むパージモジュール502を有する多孔性タワーディフューザアセンブリ500を示す。パージモジュール502は、管状部508および上部512を含むハウジング506を有し、上部512は、上部512を貫通する穴514を画定する構造を有している。パージモジュール502は、上部512が基板容器30の下部38の内面40と略同一面上に位置する状態にて下部38に取り付けられるように構成されている。穴514は中心軸線516を画定し、この中心軸線516と同軸状に延びている。一実施形態においては、ハウジング506も穴514の中心軸線516と同軸状に延びている。パージモジュール502は、基板容器30への流入は許容するが基板容器30からの流出を抑制または防止する逆止弁518を有していてもよい。パージモジュール502は、通過する気体をろ過するフィルタアセンブリ520を有している。さらに、パージノズルと係合する弾性部材521は、弾性管状部521.2および一体状ダイヤフラム部521.4として構成されていてもよい。ダイヤフラム部521.4は中心穴521.7を有し、管状部521.2に結合されている。管状部はアセンブリ内にて密閉状態をもたらすように締め付けられ、ダイヤフラム部は管状部から内側に延びてパージノズルを受容する弾性面として機能している。パージノズルは、穴を有するダイヤフラム部における穴と管状部との間の部位と係合している。
【0083】
ハウジング506には、貫通通路524を画定する連結具522が配置されている。一実施形態において、貫通通路524は、上部512の穴514の中心軸線516と略同軸状に延びている。多孔性媒体ディフューザ526は、連結具522と動作可能に連結されてパージモジュール502の上部508の穴514を通って延びる基端部528を有している。多孔性媒体ディフューザ526内にはディフューザ通路532が延びている。ディフューザ通路532は多孔性媒体ディフューザ526の基端部528において開口534を形成している。一実施形態において、開口534は穴514の中心軸線516と略同軸状をなしている。
【0084】
多孔性媒体ディフューザ526は、開放多孔性側壁部536を有している(「多孔性」は、気体状作動流体が多孔性媒体ディフューザ526から径方向に排出されることを許容する開放多孔構造によってもたらされる)。一実施形態において、多孔性媒体ディフューザ526の多孔性側壁部536は穴514を通って延びていてもよいし、穴514のすぐ上を延びていてもよい。その結果、多孔性側壁部536は、基板容器30の下部38の内面40のすぐ近くに配置される。
【0085】
いくつかの実施形態においては、連結具522は雌連結具であり内側ねじ部538(図参照)を有している。一実施形態においては、多孔性媒体ディフューザ526の基端部528は外面544に外側ねじ部542を有し、外側ねじ部542が内側ねじ部538に適合している。一実施形態において、連結具522はハウジング506の上部512によって支持されている。他の実施形態においては、連結具522は管状部508および/またはフィルタアセンブリ520から離れている。
【0086】
機能的には、基板容器30の下部38の内面40のすぐ近くに多孔性側壁部536を配置することにより、内面40からより遠い高い地点で始まるパージ流よりも効果的に内面40上を掃くように流れる空気を多孔性側壁部536から出すことができる。いくつかの実施形態においては、下部38を十分に厚くすることにより、逆止弁518の移動や再設計を伴うことなく入口継手504を配置できるようにハウジング506の高さを設定している。
【0087】
管状部508は基板容器30の下部38と連結するように構成でき、また、一方向のみの流れ(基板容器30に対する流入または流出)を許容する逆止弁を収容してもよい。
図20A、20Bおよび20Cに、前面開放式ウエハ容器の容器部604に装着されたディフューザタワー600を示す。ディフューザタワー600は、突出部もしくはボス部612等の容器部構造に固定されたブラケット608を介して容器部604に装着されている。タワーブラケットはクランプ部614を有し、クランプ部614は、クランプ部614に対して管状ディフューザが弾性的に固定される寸法を有している。
【0088】
図21Aおよび21Bに、本開示の一実施形態による多孔性媒体ディフューザ402Aを非限定的な寸法にて示す。非限定的な寸法はインチで表示し、括弧内にミリメートルにて示す。フレア部427の内径427.1は公称9.27mmであり、外径427.2は公称14.61mmである。いくつかの非限定的実施形態においては、内径427.1は9〜10mmであり、外径427.2は14〜16mmである。いくつかの非限定的実施形態においては、内径427.1は5〜15mmであり、外径427.2は7〜20mmである。非限定的実施形態において、ディフューザの壁厚は2〜4mmである。フィルタは、焼結ポリマーまたは焼結セラミックスから形成してもよい。
【0089】
いくつかの非限定的実施形態においては、内径427.1は5〜15mmであり、外径427.2は10〜20mmである。
図22に、ディフューザ702、継手704およびパッケージ712を有する後付けキット700を示す。後付けキット700には、取り付け方法を示す指示記載表示706も記載されている。
【0090】
上記のディフューザアセンブリはすべて「タワー型」のディフューザであるが、他の種類のディフューザを実施してもよい。例えば、基板の近傍に内壁部を有する二重壁として形成されたプレナム式ディフューザコンパートメント(図示しない)を基板容器30の後部42に沿って設けてもよい。内壁は多孔性であってもよいし、孔を有していてもよいし、通気スロットを有していてもよい。流れに対する抵抗が基板容器30の上部36付近よりも下部38付近において小さくなるように内壁の長さ方向に沿って多孔率/孔密度を変化させてもよい。プレナム式ディフューザコンパートメントの充填は、基板容器30の下部38を通って延びるとともにディフューザコンパートメントと連通しているポートを介して行うことができる。
【0091】
前述した、Robersonらに付与された特許文献1およびBurnsらに付与された特許文献2は本特許出願の出願人により所有されており、参照することにより全文が本明細書に組み込まれることとする。
【0092】
また、本明細書における「実施形態」、「本開示の実施形態」および「開示された実施形態」は従来技術であると認められていない本特許出願の記載(特許請求の範囲および図面を含む記載)を指す。