(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記セラミックス基板が窒化珪素、窒化アルミニウムあるいはアルミナからなり、前記銅回路板の厚さが0.25mm以上であることを特徴とする請求項1に記載のセラミックス回路基板の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施形態)
第1の実施形態のセラミックス回路基板は、セラミックス基板と、セラミックス基板の少なくとも一方の面にろう材層を介して接合された銅回路板と、銅回路板の側面から外側にはみ出したろう材層で形成されたろう材はみ出し部とを有する。ろう材層はAg、Cu及びTiを含むろう材から形成される。本発明者らは、ろう材はみ出し部中のTi相およびTiN相の合計を3質量%以上にし、かつその合計量を銅回路板とセラミックス基板の間に介在されたろう材層(以下、接合層と称する)中のTi相およびTiN相の合計量と異なるものにし、さらに、ろう材はみ出し部における1個当たりの面積が200μm
2以下の空隙を1つ以下(0を含む)にすることにより、銅回路板と電子部品との熱膨張差による熱ストレスが緩和されると共に接合欠陥が極めて少なくなるため、信頼性の高いセラミックス−金属接合回路基板を実現できることを初めて見出した。
【0014】
ここで、接合層とセラミックス基板または銅回路板との境界は、Agの分布によって決定され、Agの存在している部分を接合層として境界を定める。また、1個当たりの面積が200μm
2以下の空隙数は、例えば、ろう材はみ出し部における面積が200μm
2の断面中の空隙を計測することで得られる。
【0015】
ろう材はみ出し部中のTi相およびTiN相の合計は、接合層中のTi相およびTiN相の合計量よりも多いことが望ましい。これにより、熱ストレスを緩和する効果をより大きくすることができる。
【0016】
ろう材はみ出し部中のTi相およびTiN相の合計は3質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。Ti相およびTiN相の合計が40質量%を超えると、Ti相およびTiN相が多くなり過ぎることになり、ろう材はみ出し部が硬くなり熱サイクル特性(TCT特性)の低下を招く恐れがある。
【0017】
ろう材層中のTi相及びTiN相の合計量は、例えば、電子プローブ微量分析(EPMA)もしくはエネルギー分散性X線回折(EDX)により測定可能である。
【0018】
ろう材層は、Ag:90〜50重量%、Snおよび/またはInからなる元素:5〜15重量%、Ti:0.1〜6重量%、残部Cuおよび不可避不純物からなる組成のろう材を用いて形成されることが好ましい。この組成であるときに十分な効果が得られる。特にTi含有量が2〜5重量%であることが好ましい。なお、上記組成は、セラミックス基板に塗布・印刷する前のろう材組成であり、接合後の接合層の組成は、塗布・印刷工程後に行われる活性金属接合工程(熱処理)等によって変化する。
【0019】
ろう材はみ出し部のはみ出し長さが0.01mm以上で、かつ銅回路板の間隔の30%以下であることが好ましい。はみ出し長さを0.01mm以上にすることにより、ろう材はみ出し部による応力集中緩和効果を十分に得ることができる。はみ出し長さを銅回路板の間隔の30%以下にすることにより、銅回路板間の電機絶縁性を確保することができ、かつファインパターン化に対応することができる。はみ出し長さのより好ましい範囲は、銅回路板の間隔の0.01%以上20%以下である。
【0020】
セラミックス基板は、例えば、窒化珪素(Si
3N
4)、窒化アルミニウム(AlN)あるいはアルミナ(Al
2O
3)から形成することができる。窒化珪素基板は、耐熱サイクル特性と耐熱衝撃性の双方に優れたセラミックス回路基板が得られるため、好ましい。
【0021】
特に、窒化珪素(Si
3N
4)基板は熱伝導率80W/m・K以上かつ3点曲げ強度600MPa以上の基板が好ましい。また、窒化アルミニウム(AlN)は熱伝導率150W/m・K以上かつ3点曲げ強度400MPa以上が好ましい。また、アルミナ(Al
2O
3)基板は熱伝導率20W/m・K以上かつ3点曲げ強度400MPa以上のものが好ましい。
【0022】
銅回路板は、銅もしくは銅合金から形成される。銅回路板の厚さは、0.25mm以上が好ましい。銅回路板の厚さが厚いほど、セラミックス基板と銅回路板端部に生じる応力が大きくなるため、ろう材はみ出し部による応力緩和を必要とするからである。銅回路板の厚さは0.25mm以上0.8mm以下にすることがより好ましい。銅回路板の厚さが0.8mmを超えると、銅回路板にはんだ付けにより搭載される電子部品と銅回路板との間に生じる応力が増加するため、ろう材はみ出し部による効果が十分に得られない恐れがある。
【0023】
十分な耐熱サイクル改善効果を得るため、セラミックス基板が窒化珪素、窒化アルミニウムあるいはアルミナから形成され、かつ銅回路板の厚さを0.25mm以上にすることが望ましい。
【0024】
(第2の実施形態)
第1の実施形態のセラミックス回路基板は、第2の実施形態の製造方法が一例として示される。
【0025】
第2の実施形態の方法は、セラミックス基板上における銅回路パターンとろう材はみ出し部となる領域以外の部分に第一のマスキングを施す工程と、
第一のマスキングが施されていない領域に、Ag、Cu及びTiを含むろう材を塗布または印刷することによりろう材層を形成する工程と、
ろう材層上に銅板を載せ、加熱によりセラミックス基板と銅板を接合する工程と、
銅板上の銅回路パターンとなる領域に第二のマスキングを施す工程と、
エッチングにより銅回路パターンを形成する工程と
を有する。
【0026】
以下、
図1〜
図6を参照して製造方法を説明する。
【0027】
図1に示すように、セラミックス基板1上に第一のマスキング2を施す。第一のマスキング2は、銅回路パターン及びろう材はみ出し部になる領域3以外の部分に形成される。第一のマスキング2を行わない場合、銅回路間隔に必要以上にはみ出したろう材による導通の恐れがあるため、ろう材はみ出し部を、ろう材除去用のフッ酸やアルカリ液でエッチングする必要がある。このエッチングによりろう材はみ出し部に空隙が発生するため、銅回路板端部の応力集中緩和となる熱応力の均一分散が起こらなくなり、セラミック基板のクラック発生などが生じ易くなってしまうことを本発明者らは究明したのである。第一のマスキング工程を行うことにより、ろう材はみ出し部のエッチングが不要になるため、ろう材はみ出し部の気孔を少なくすることができ、大きな気孔の形成を防止できる。
【0028】
次いで、
図2に示すように、第一のマスキングが施されていない領域3に、Ag、Cu及びTiを含むろう材4を印刷又は塗布する。印刷又は塗布されるろう材層4の面積は、銅回路板形状よりもはみ出す長さ分だけ大きくする。なお、はみ出させる方法は、予め銅回路板形状よりもはみ出す長さ分だけ大きくろう材を印刷・塗布する方法に限定されず、例えば、銅回路板形状と同形状に印刷・塗布したろう材を接合によりはみ出させる方法を採用することが可能である。また、ろう材層の厚さは10〜40μmが好ましい。10μm未満では十分な接合強度が得られないおそれがあり、40μmを超えるとこれ以上の効果が得られずコストアップの要因となる。
【0029】
図3に示すように、ろう材層4上に銅板5を載せ、加熱によりセラミックス基板と銅板を接合する(活性金属接合法)。活性金属接合の条件は、真空中や窒素雰囲気のような不活性雰囲気中にて温度700〜900℃で10〜120分間の加熱であることが望ましい。この活性金属接合により、ろう材層4中にTi相およびTiN相が生成する。生成量は、例えば、使用するろう材の組成、活性金属接合の条件等により調整可能である。また、セラミックス基板が窒化物セラミックス基板(AlN、Si
3N
4など)の場合、TiN相はろう材中のTiと窒化物セラミックス基板の窒素が反応してできるので、この点も考慮して調整する。
【0030】
セラミックス基板1と銅板5には、位置合わせ用のマーキングが施されていることが望ましい。例えば、セラミックス基板1に位置合わせ用の穴もしくは溝を形成し、一方、銅板5にこの穴や溝と対応する突起を設けることができる。
【0031】
次いで、
図4に示すように、銅回路パターンとなる領域の銅板5上に第二のマスキング6を施す。その後、
図5に示すように、銅板5における第二のマスキング6がなされていない箇所7をエッチングにより除去し、銅回路パターンを形成する。エッチング液は、銅板エッチング用のエッチング液を使用することができ、具体例は、塩化第二鉄、塩化第二銅等が挙げられる。銅板エッチング用のエッチング液を使用しているため、ろう材はみ出し部が必要以上にエッチング液にさらされると、ろう材中のCuがエッチングされてしまう。この現象が気孔の原因となる。
【0032】
引き続き、第一、第二のマスキング2,6を除去することにより、
図6に示すような第1の実施形態のセラミックス回路基板8が得られる。なお、第一、第二のマスキングは、印刷可能な有機インクレジスト等から形成することができる。
【0033】
上記エッチングの際、銅回路パターン5の側面から外側にはみ出しているろう材層(ろう材はみ出し部)4a中のCu成分の一部が一緒に除去されるため、ろう材はみ出し部4a中のTi相およびTiN相の合計量のろう材はみ出し部4a全体に対する比率が増加する。一方、銅回路パターン5とセラミックス基板1の間に介在されているろう材層(接合層)4bの組成は、エッチングによる影響を受けない。その結果、ろう材はみ出し部4a中のTi相およびTiN相の合計は、3質量%以上に増加し、かつ接合層4b中のTi相およびTiN相の合計量と異なるものになる。また、銅回路パターン形成のためのエッチングであるため、ろう材はみ出し部4を必要以上にエッチング液にさらさないで済むことから、ろう材はみ出し部4aに空隙が発生せず、ろう材はみ出し部4a中の1個当たりの面積が200μm
2以下の空隙が1つ以下(0を含む)になる。なお、200μm
2を超える空隙が存在しないことは言うまでもない。
【0034】
ろう材はみ出し部4a中のTi相およびTiN相の合計量は、ろう材はみ出し部の長さ、エッチング条件等により調整可能である。また、1個当たりの面積が200μm
2以下の空隙数は、エッチング条件等により調整可能である。例えば、エッチング液中の塩化第二鉄や塩化第二銅の濃度を15wt%以下と少なめにすることなどが挙げられる。なお、エッチング液中の塩化第二鉄や塩化第二銅の濃度の下限は特に限定されるものではないが、あまり少ないとエッチングの進行が遅くなり製造時間が長くなるので5wt%以上が好ましい。また、ろう材はみ出し部4aの形状は
図6に示した断面R形状に限られるものではなく、断面長方形形状であってもよい。
【0035】
また、エッチング処理後の銅回路パターン5の端面は断面R形状、斜面形状(銅回路パターン5の上面からろう材層4側に向かう下り斜面、例えば、富士山の裾野のような裾野形状)であることが好ましい。このような形状であれば、銅回路板の端面の応力を緩和し易い。
【実施例】
【0036】
以下、実施例で更に具体的に本発明の実施形態を説明する。
【0037】
(試料1〜9)
各試料を以下に説明する方法で製造した。まず、50×60mmのセラミックス基板の銅回路パターン形成面に第一のマスキングを行った。第一のマスキングは、銅回路パターンとろう材はみ出し部となる所定のサイズの領域を除いて行った。次に、第一のマスキングを形成していない領域にAg−Cu−Ti系ろう材(Ag67重量%−Cu20重量%−Sn10重量%−Ti3重量%)を厚さ15μmで印刷、また裏面にも厚さ15μmで印刷し、セラミックス基板の両面に銅板を配置し、真空中10
−3Pa、800℃で40分間の加熱によりセラミック基板と接合した。銅回路板は、20×20mmの銅板を1mm間隔で2枚配置した。
【0038】
次に、銅板上にパターン形状の第二のマスキング(エッチングレジスト)を印刷し、塩化第二鉄液(塩化第二鉄の濃度5〜15wt%)によってエッチング処理を行って回路パターンを形成した後、レジストを剥離して回路基板を得た。なお、試料1,2で用いるAlN基板および試料3,4のAl
2O
3基板の厚さは0.635mm、試料5〜9で用いるSi
3N
4基板の厚さは0.32mmとした。また、AlN基板は熱伝導率170W/m・Kかつ3点曲げ強度450MPa、Al
2O
3基板は熱伝導率25W/m・Kかつ3点曲げ強度450MPa、Si
3N
4基板は熱伝導率90W/m・Kかつ3点曲げ強度700MPaのものを用いた。
【0039】
銅回路板厚さ、セラミックス基板材種、銅回路板の側面から外側へのはみ出し量(mm単位及び銅回路間隔を100%とした際の割合)、接合層中におけるTi相およびTiN相の合計量、はみ出しろう材中におけるTi相およびTiN相の合計量、はみ出しろう材中の1個当たりの面積200μm
2以下の空隙数を下記表1に示す。
【0040】
また、得られたセラミックス回路基板について、目視及び超音波探傷による接合不良とろう接欠陥を検査し、−50℃、30分→室温、10分→155℃、30分→室温、10分を1サイクルとして熱サイクル試験を実施した。試験後の回路基板については、目視や超音波探傷により、回路板の剥離やセラミックス基板のクラック発生等、異常の有無を検査した。検査した後の結果を下記表1に示す。
【表1】
【0041】
AlN基板を用いた試料1と試料2の結果から、はみ出しろう材中のTi相およびTiN相の合計が3質量%以上かつ接合層中のTi相およびTiN相の合計量と異なり、はみ出しろう材中の1個当たりの面積が200μm
2以下の空隙が1つ以下である試料1,2は、耐熱サイクルに優れていることがわかる。
【0042】
Al
2O
3基板を用いた試料3と試料4の結果から、はみ出しろう材中のTi相およびTiN相の合計が3質量%以上かつ接合層中のTi相およびTiN相の合計量と異なり、はみ出しろう材中の1個当たりの面積が200μm
2以下の空隙が1つ以下である試料3,4は、耐熱サイクルに優れていることがわかる。
【0043】
Si
3N
4基板を用いた試料5〜9の結果から、はみ出しろう材中のTi相およびTiN相の合計が3質量%以上かつ接合層中のTi相およびTiN相の合計量と異なり、はみ出しろう材中の1個当たりの面積が200μm
2以下の空隙が1つ以下である試料5〜9は、耐熱サイクルに優れていることがわかる。なお、試料1〜9は面積200μm
2を超える空隙は存在しなかった。また、試料1〜9は銅回路板の端面は傾斜形状(裾野形状)となっていた。
【0044】
(比較例1)
セラミックス基板(AlN基板)の全面に試料1〜9で用いるのと同様な組成のAg−Cu−Ti系ろう材を厚さ15μmで塗布し、その上に銅板を接合し、加熱接合した。その後、塩化第二鉄で銅板をパターン形状にエッチングし、さらにフッ酸を用いてはみ出しろう材をエッチングした。はみ出し量は試料2と同様に0.12mmとした。はみ出しろう材中の1個当たりの面積200μm
2以下の空隙数をカウントしたところ、8個であった。また、試料1〜9と同様の熱サイクル試験を行ったところ、340回となった。
【0045】
(試料11〜15)
Ag63重量%、Cu32重量%及びTi5重量%を含む活性金属ろう材組成を用いて、銅板と窒化珪素基板(板厚0.32mm)を接合したセラミックス回路基板を製造した。マスキング及び活性金属接合は、試料1〜9で説明したのと同様な条件で行った。
【0046】
銅回路板厚さ、セラミックス基板材種、銅回路板の側面から外側へのはみ出し量(mm単位及び銅回路間隔を100%とした際の割合)、接合層中におけるTi相およびTiN相の合計量、はみ出しろう材中におけるTi相およびTiN相の合計量、はみ出しろう材中の1個当たりの面積200μm
2以下の空隙数を下記表2に示す。
【0047】
また、試料1〜9で説明したのと同様な条件の熱サイクル試験を実施して測定した耐熱サイクル数を下記表2に示す。
【表2】
【0048】
表2の結果から、活性金属ろう材の組成を変更した場合にも、はみ出しろう材中のTi相およびTiN相の合計が3質量%以上かつ接合層中のTi相およびTiN相の合計量と異なり、はみ出しろう材における1個当たりの面積が200μm
2以下の空隙が1つ以下である試料11〜15は、耐熱サイクル特性に優れていることがわかる。また、セラミックス基板として窒化珪素を用いた場合は3000回の熱サイクル後も、接合欠陥がなく、セラミック基板と銅回路板端部の間にクラックが認められず、耐熱衝撃性にも優れていた。なお、試料11〜15は面積200μm
2を超える空隙は存在しなかった。また、試料11〜15は銅回路板の端面は傾斜形状(裾野形状)となっていた。
【0049】
(試料16〜19)
40×60×0.32mmの窒化珪素(Si
3N
4)基板の銅回路パターン形成面に第一のマスキングを行った。第一のマスキングは、銅回路パターンとろう材はみ出し部となる所定のサイズの領域を除いて行った。次に、第一のマスキングを形成していない領域にAg−Cu−Ti系ろう材を印刷、また裏面にも印刷し、窒化珪素基板の両面に銅板を配置し、真空中10
−3Pa、760〜810℃で20〜50分間の加熱により窒化珪素基板と接合した。銅回路板は、15×20×0.3mmの銅板を1mm間隔で2枚配置した。なお、Ag−Cu−Tiろう材の組成およびろう材層厚さは表3の通りとした。なお、窒化珪素(Si
3N
4)基板は熱伝導率85W/m・Kかつ3点曲げ強度750MPaのものを用いた。
【0050】
次に、銅板上にパターン形状の第二のマスキング(エッチングレジスト)を印刷し、塩化第二銅液(塩化第二銅の濃度5〜15wt%)によってエッチング処理を行って回路パターンを形成した後、レジストを剥離して回路基板を得た。
【0051】
得られた窒化珪素回路基板に対し、試料1と同様の測定を行った。その結果を表4に示す。
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
表3、表4から分かる通り、ろう材組成やろう材層厚さを変えても優れた特性を示すことが確認された。また、窒化珪素基板を用いているので5000回の熱サイクル後も、接合欠陥がなく、窒化珪素基板と銅回路板端部の間にクラックが認められず、耐熱衝撃性にも優れていた。なお、試料16〜19は面積200μm
2を超える空隙は存在しなかった。また、試料17は、
図7の銅回路板5の厚さ方向の断面の光学顕微鏡写真に示す通り、銅回路板5の端面は傾斜形状(裾野形状)となっていた。また、他の試料に関しても同様の形状となっていた。
【0054】
以上説明した通
り、本発明の実施形態及び実施例によると、信頼性の高いセラミックス回路基板ができることから産業上極めて有効である。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] セラミックス基板と、
前記セラミックス基板の少なくとも一方の面に、Ag、Cu及びTiを含むろう材層を介して接合された銅回路板と、
前記銅回路板の側面から外側にはみ出した前記ろう材層で形成されたろう材はみ出し部とを備えるセラミックス回路基板であって、
前記ろう材はみ出し部中のTi相およびTiN相の合計は3質量%以上で、かつ前記セラミックス基板と前記銅回路板の間に介在された前記ろう材層中のTi相およびTiN相の合計量と異なり、前記ろう材はみ出し部における1個当たりの面積が200μm2以下の空隙が1つ以下(0を含む)であることを特徴とするセラミックス回路基板。
[2] 前記ろう材はみ出し部中のTi相およびTiN相の合計は3質量%以上40質量%以下であることを特徴とする上記[1]記載のセラミックス回路基板。
[3] 前記ろう材はみ出し部のはみ出し長さが0.01mm以上で、かつ前記銅回路板の間隔の30%以下であることを特徴とする上記[1]または[2]のいずれか1項に記載のセラミックス回路基板。
[4] 前記セラミックス基板が窒化珪素、窒化アルミニウムあるいはアルミナからなり、前記銅回路板の厚さが0.25mm以上であることを特徴とする上記[1]ないし上記[3]のいずれか1項に記載のセラミックス回路基板。
[5] 前記ろう材層は、Ag:90〜50重量%、Snおよび/またはInからなる元素:5〜15重量%、Ti:0.1〜6重量%、残部Cuおよび不可避不純物からなる組成のろう材を用いて形成されることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のセラミックス回路基板。
[6] セラミックス基板上における、銅回路パターン及びろう材はみ出し部となる領域以外の部分に第一のマスキングを施す工程と、
前記第一のマスキングが施されていない領域に、Ag、Cu及びTiを含むろう材層を形成する工程と、
前記ろう材層上に銅板を載せ、加熱により前記セラミックス基板と前記銅板を接合する工程と、
前記銅板上の銅回路パターンとなる領域に第二のマスキングを施す工程と、
エッチングにより銅回路パターンを形成する工程と
を備えることを特徴とするセラミックス回路基板の製造方法。
[7] 前記エッチングに用いるエッチング液が塩化第二鉄または塩化第二銅であることを特徴とする上記[6]記載のセラミックス回路基板の製造方法。
[8] 前記セラミックス基板と前記銅板に位置合わせ用マーキングが施されていることを特徴とする上記[6]または[7]のいずれか1項に記載のセラミックス基板の製造方法。
[9] 前記第一のマスキング及び前記第二のマスキングの材料が印刷可能な有機インクレジストであることを特徴とする上記[6]ないし上記[8]のいずれか1項に記載のセラミックス回路基板の製造方法。