【実施例】
【0117】
以下、本発明の実施例について、詳しく説明する。ただし、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0118】
(実施例1)
以下の方法により、セラミックス部材とアルミニウム部材の接合体を製作した。
【0119】
まず、寸法20×30×20mmのアルミナ(純度99.5%のα−アルミナ)ブロックを2つ準備した。また、市販のポリメチルフェニルシロキサン(KF−54:信越化学製。以下、「PMPhS」と称する)を濃度0.1mol/Lで含有するトルエン溶液を準備した。
【0120】
次に、前記トルエン溶液中に2つのアルミナブロックを完全に浸漬した後、これらを1mm/秒の速度で引き上げた。その後、各アルミナブロックを大気雰囲気下で十分に乾燥させた。これにより、少なくとも各アルミナブロックの接合面(20×30mmの一面)には、PMPhSが均一に塗布された。
【0121】
なお、塗布材中に含まれる炭素の含有量は、61.8wt%であり、ケイ素の含有量は、20.6wt%であり、酸素の含有量は、11.8wt%である。
【0122】
次に、一方のアルミナブロックの接合面に接するようにして、厚さ22μmの市販のアルミ箔(マイホイル:住軽アルミ製)を配置した後、このアルミ箔上に、別のアルミナブロックを配置した。この際には、別のアルミナブロックの接合面がアルミ箔と接するようにして、別のアルミナブロックを配置した。
【0123】
このようにして得られた組立体を、アルゴン雰囲気下、900℃で1時間焼成した。これにより、2つのアルミナブロックがアルミ箔を介して接合された接合体が得られた。この接合体を、以下、「実施例1に係る接合体」と称する。
【0124】
走査型電子顕微鏡(SEM)(JEM−5600:JEOL社製)を用いて、実施例1に係る接合体の接合断面を観察した。
図8には、測定結果(SEM画像)を示す。
【0125】
図8に示すように、各アルミナブロックの間には、連続的で、比較的厚さが均一なアルミニウム層が存在していることがわかる。また、アルミニウム層の内部には、寸法約5μmの炭素塊(黒っぽい粒子)が複数存在していることがわかる。
【0126】
なお、この
図8の倍率では、アルミナブロックとアルミニウム層の間の接合層は、視認できない。しかしながら、アルミナブロックとアルミニウム層の界面には、隙間やボイドは認められず、接合層は、健全な状態で存在していることが予想される。
【0127】
図9には、実施例1に係る接合体のEDS分析結果の一例を示す。この分析には、エネルギー分散形X線分光分析装置(JEM−2300:JEOL社製)を使用した。また、この分析は、実施例1に係る接合体のアルミナブロックとアルミニウム層の間の界面近傍で実施した(
図8の枠で囲まれた領域参照)。
【0128】
図9から、アルミナブロックとアルミニウム層の間には、接合層として、厚さ約4μmのケイ素リッチな層が形成されていることがわかる。
【0129】
このケイ素リッチな接合層をX線回折装置(RINT2500:Rigaku社製)で分析したところ、
図10に示す結果が得られた。
【0130】
図10に示す結果から、このケイ素リッチな接合層は、アルミノシリケート(Al
2Si
50O
103、Al
1.9Si
0.05O
2.95、およびAl
2Si
4O
10)を含有していることが確認された。
【0131】
この実施例1に係る接合体を切り出して、試験片を作製し、試験片の4点曲げ試験を実施した。試験片の作製および4点曲げ試験の実施は、JIS R 1601:2008に準ずる方法で実施した。試験数は、6とした。
【0132】
試験片の4点曲げ試験の結果、曲げ強度は、平均255MPaであり、最大強度は304MPaであった。また、試験後の各試料片を観察したところ、試験片の半数以上は、アルミナブロック内で破断していることが確認された。このことから、アルミノシリケートを含む接合層は、アルミナブロックの強度に匹敵する接合強度を有すると予想される。
【0133】
以下の表1の「実施例1」の欄には、実施例1に係る接合体を製造する際に使用した接合材、該接合材中の炭素、ケイ素および酸素含有量、ならびに4点曲げ試験結果などをまとめて示した。
【0134】
【表1】
(実施例2)
実施例1と同様の方法により、セラミックス部材とアルミニウム部材の接合体を製作した。ただし、この実施例2では、シロキサン系ポリマーとして、PMPhSの代わりに、市販のポリメチルヒドロシロキサン(KF−99:信越化学社製。以下、「PMHS」と称する)を使用した。PMHSは、トルエン溶液中に、濃度が0.1mol/Lとなるように添加して使用した。
【0135】
なお、塗布材中に含まれる炭素の含有量は、26.9wt%であり、ケイ素の含有量は、41.8wt%であり、酸素の含有量は、23.9wt%であった。
【0136】
その他の条件は、実施例1の場合と同様である。
【0137】
これにより、2つのアルミナブロックがアルミ箔を介して接合された接合体が得られた。この接合体を、以下、「実施例2に係る接合体」と称する。
【0138】
実施例2に係る接合体に対して、実施例1と同様の評価を行った。その結果、実施例2に係る接合体においても、各アルミナブロックの間には、連続的で、比較的厚さが均一なアルミニウム層が存在していることが確認された。なお、アルミニウム層の内部に、炭素塊は認められなかった。
【0139】
また、アルミナブロックとアルミニウム層の界面には、隙間やボイドは認められず、接合層は、健全な状態で存在していることが確認された。接合層は、約1μmの厚さであった。また、接合層は、アルミノシリケート(Al
2Si
50O
103、Al
1.9Si
0.05O
2.95、およびAl
2Si
4O
10)を含有していることが確認された。
【0140】
実施例2に係る接合体を切り出して、試験片を作製し、試験片の4点曲げ試験を実施したところ、曲げ強度は、平均176MPaであり、最大強度は277MPaであった。試験後の試料片は、半数以上がアルミナブロック部分で破断していることが確認された。このことから、アルミノシリケートを含む接合層は、アルミナブロックの強度に匹敵する接合強度を有すると予想される。
【0141】
なお、実施例2に係る接合体の曲げ強度は、実施例1に係る接合体に比べて幾分低くなっている。これは、アルミニウム層内に形成された炭素塊の有無によるものと考えられる。すなわち、実施例2に係る接合体では、接合材中に含まれる炭素量が比較的少ないため、熱処理後にアルミニウム層内に炭素塊が形成せず、実施例1に係る接合体ほど強度が上昇しなかったものと予想される。
【0142】
前述の表1の「実施例2」の欄には、実施例2に係る接合体を製造する際に使用した接合材、該接合材中の炭素、ケイ素および酸素含有量、ならびに4点曲げ試験結果などをまとめて示した。
【0143】
(実施例3)
実施例1と同様の方法により、セラミックス部材とアルミニウム部材の接合体を製作した。ただし、この実施例3では、シロキサン系ポリマーとして、PMPhSの代わりに、市販のポリメチルシルセスキオキサン(YR−33707:モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社製。以下、「PMSQ」と称する)を使用した。PMSQは、トルエン溶液中に、濃度が0.1mol/Lとなるように添加して使用した。
【0144】
なお、塗布材中に含まれる炭素の含有量は、10.2wt%であり、ケイ素の含有量は、47.6wt%であり、酸素の含有量は、40.7wt%であった。
【0145】
その他の条件は、実施例1の場合と同様である。
【0146】
これにより、2つのアルミナブロックがアルミ箔を介して接合された接合体が得られた。この接合体を、以下、「実施例3に係る接合体」と称する。
【0147】
実施例3に係る接合体に対して、実施例1と同様の評価を行った。その結果、実施例3に係る接合体においても、各アルミナブロックの間には、連続的で、比較的厚さが均一なアルミニウム層が存在していることが確認された。なお、アルミニウム層の内部には、寸法約3μm×3μm×30μmの金属シリコン塊が複数存在していることが確認された。
【0148】
また、アルミナブロックとアルミニウム層の界面には、隙間やボイドは認められず、接合層は、健全な状態で存在していることが確認された。接合層は、約2μmの厚さであった。また、接合層は、アルミノシリケート(Al
2Si
50O
103、Al
1.9Si
0.05O
2.95、およびAl
2Si
4O
10)を含有していることが確認された。
【0149】
実施例3に係る接合体を切り出して、試験片を作製し、試験片の4点曲げ試験を実施したところ、曲げ強度は、平均225MPaであり、最大強度は278MPaであった。試験後の試料片は、半数以上がアルミナブロック部分で破断していることが確認された。このことから、アルミノシリケートを含む接合層は、アルミナブロックの強度に匹敵する接合強度を有すると予想される。
【0150】
前述の表1の「実施例3」の欄には、実施例3に係る接合体を製造する際に使用した接合材、該接合材中の炭素、ケイ素および酸素含有量、ならびに4点曲げ試験結果などをまとめて示した。
【0151】
(実施例4)
実施例1と同様の方法により、セラミックス部材とアルミニウム部材の接合体を製作した。ただし、この実施例4では、接合材として、炭素粉末を含むシリカゾルを使用した。
【0152】
このため、まず、エタノールで希釈した市販のシリカゾル(スノーテックスN:日産化学社製)中に、炭素粉末(#2700、三菱化学社製)を添加し、炭素粉末量が10wt%の混合溶液を調製した。
【0153】
次に、この混合溶液中に、2つのアルミナブロックを完全に浸漬した後、これらを1mm/秒の速度で引き上げた。その後、各アルミナブロックを大気雰囲気下で十分に乾燥させた。
【0154】
これにより、少なくとも各アルミナブロックの接合面(20×30mmの一面)には、炭素粉末を含むシリカゾルが均一に塗布された。
【0155】
なお、塗布材中に含まれる炭素の含有量は、30.3wt%であり、ケイ素の含有量は、32.6wt%であり、酸素の含有量は、37.1wt%であった。
【0156】
その他の条件は、実施例1の場合と同様である。
【0157】
これにより、2つのアルミナブロックがアルミ箔を介して接合された接合体が得られた。この接合体を、以下、「実施例4に係る接合体」と称する。
【0158】
実施例4に係る接合体に対して、実施例1と同様の評価を行った。その結果、実施例4に係る接合体においても、各アルミナブロックの間には、連続的で、比較的厚さが均一なアルミニウム層が存在していることが確認された。なお、アルミニウム層の内部には、金属シリコン塊が認められた。
【0159】
また、アルミナブロックとアルミニウム層の界面には、隙間やボイドは認められず、接合層は、健全な状態で存在していることが確認された。接合層は、約5μmの厚さであった。また、接合層は、アルミノシリケート(Al
2Si
50O
103、Al
1.9Si
0.05O
2.95、およびAl
2Si
4O
10)を含有していることが確認された。
【0160】
実施例4に係る接合体を切り出して、試験片を作製し、試験片の4点曲げ試験を実施したところ、曲げ強度は、平均212MPaであり、最大強度は272MPaであった。試験後の試料片は、半数以上がアルミナブロック部分で破断していることが確認された。このことから、アルミノシリケートを含む接合層は、アルミナブロックの強度に匹敵する接合強度を有すると予想される。
【0161】
前述の表1の「実施例4」の欄には、実施例4に係る接合体を製造する際に使用した接合材、該接合材中の炭素、ケイ素および酸素含有量、ならびに4点曲げ試験結果などをまとめて示した。
【0162】
なお、本技術の応用例として、セラミックス部材上へのスクリーン印刷法またはインクジェット法によるアルミニウム配線形成が考えられる。このため、これらの実現性を確認するため、以下の実験を行った。
【0163】
(実施例5)
純度99%以上であるアルミニウム粉末(和光純薬製)を85wt%程度含むスラリー(溶媒:エタノール)を作製し、実施例1と同じ要領で表面をコーティングしたアルミナ基板上にスラリーをスクリーン印刷の要領で塗布し、アルゴン雰囲気下、900℃で1時間焼成した。その結果、スクリーンと同じ模様の配線状のアルミニウム金属が、アルミナ基板上に接合された。このアルミニウム金属は、指で引っ掻いても剥離せず、良好な接合力を有することが確認された。
【0164】
(実施例6)
焼成温度を900℃から950℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法により、2つのアルミナブロックがアルミ箔を介して接合された接合体を製作した。この接合体を、以下、「実施例6に係る接合体」と称する。
【0165】
実施例6に係る接合体に対して、実施例1と同様の評価を行った。その結果、実施例6に係る接合体においても、各アルミナブロックの間には、連続的で、比較的厚さが均一なアルミニウム層が存在していることが確認された。なお、アルミニウム層の内部には、炭化物塊が複数存在していることが確認された。
【0166】
また、アルミナブロックとアルミニウム層の界面には、隙間やボイドは認められず、接合層は、健全な状態で存在していることが確認された。
【0167】
図11には、透過型電子顕微鏡(TEM)(JEM−2010:JEOL社製、S−5000:日立社製)を用いて、実施例6に係る接合体を観察した結果を示す。なお、
図11には、接合部近傍のTEM画像に加えて、接合部近傍の3箇所(A点、B点およびC点)における元素分析の結果を同時に示した。
【0168】
図11に示すように、アルミニウム層の領域に相当するA点では、アルミニウムのピークのみが検出された。また、アルミナブロックの領域に相当するC点では、アルミニウムと酸素のピークが観測された。
【0169】
これに対して、両者の界面に相当するB点では、A点およびC点では認められなかったシリコンの存在を示す大きなピークが認められた。なお、B点では、酸素および炭素の大きなピークも同時に観測された。
【0170】
この結果から、アルミニウム層とアルミナブロックの界面には、接合層が存在しており、この接合層は、アルミニウム層およびアルミナブロックに比べて、シリコン含有量が有意に高くなっていることが確認された。
【0171】
実施例6に係る接合体を切り出して、試験片を作製し、試験片の4点曲げ試験を実施したところ、曲げ強度は、平均242MPaであり、最大強度は289MPaであった。試験後の試料片は、半数以上がアルミナブロック部分で破断していることが確認された。このことから、アルミノシリケートを含む接合層は、アルミナブロックの強度に匹敵する接合強度を有すると予想される。
【0172】
前述の表1の「実施例6」の欄には、実施例6に係る接合体を製造する際に使用した接合材、該接合材中の炭素、ケイ素および酸素含有量、ならびに4点曲げ試験結果などをまとめて示した。
【0173】
(比較例1)
実施例1と同様の方法により、セラミックス部材とアルミニウム部材の接合を試みた。ただし、この比較例1では、各アルミニウムブロックの接合面に、PMPhSを塗布しなかった。
【0174】
組立体をアルゴン雰囲気下900℃で1時間焼成した後、組立体を観察したところ、両アルミナブロックは、接合されていなかった。両アルミナブロックの間の部分を観察したところ、この箇所には、酸化アルミニウムは存在するものの、アルミニウム層は、認められなかった。また、同箇所において、アルミノシリケートの存在は、観測されなかった。
【0175】
比較例1では、セラミックス部材とアルミニウム部材の接合体を得ることができなかったため、4点曲げ試験は実施しなかった。
【0176】
(比較例2)
実施例1と同様の方法により、セラミックス部材とアルミニウム部材の接合を試みた。ただし、この比較例2では、接合材として、ポリカルボシラン(Nipusi Type−A:日本カーボン社製。以下、「PCS」と称する)を使用した。PCSは、トルエン溶液中に、濃度が0.1mol/Lとなるように添加して使用した。
【0177】
その後、このトルエン溶液中に、2つのアルミナブロックを完全に浸漬した後、これらを1mm/秒の速度で引き上げた。その後、各アルミナブロックを大気雰囲気下で十分に乾燥させた。
【0178】
これにより、少なくとも各アルミナブロックの接合面(20×30mmの一面)には、PCSが均一に塗布された。
【0179】
次に、大気下、200℃において、各アルミナブロックを22.5時間保持し、酸化不融化処理を行った。その後、アルゴンガス流通下において、各アルミナブロックを1200℃で1時間熱処理した。これにより、セラミック部材の表面(接合面)に、SiCからなる接合材を形成した。
【0180】
なお、計算上、接合材中に含まれる炭素の含有量は、49.8wt%であり、ケイ素の含有量は、37.6wt%であり、酸素の含有量は、12.5wt%であると予想される。
【0181】
次に、一方のアルミナブロックの接合面に接するようにして、厚さ24μmの市販のアルミ箔(マイホイル:住軽アルミ製)を配置した後、このアルミ箔上に、別のアルミナブロックを配置した。この際には、別のアルミナブロックの接合面がアルミ箔と接するようにして、別のアルミナブロックを配置した。
【0182】
このようにして得られた組立体を、アルゴン雰囲気下、800℃で1時間焼成した。これにより、2つのアルミナブロックが接合された接合体が得られた。この接合体を、以下、「比較例2に係る接合体」と称する。
【0183】
比較例2に係る接合体に対して、実施例1と同様の評価を行った。その結果、比較例2に係る接合体の場合、2つのアルミナブロックの間には、厚さ約40μmのセラミックス接合層が形成されていることがわかった。しかしながら、2つのアルミナブロックの間には、アルミニウム部材が残存していないことが確認された。このことから、比較例2の方法では、アルミニウム部材は、処理中にほとんどが消失してしまうことがわかった。
【0184】
比較例2では、セラミックス部材とアルミニウム部材の接合体を得ることができなかったため、4点曲げ試験は実施しなかった。
【0185】
前述の表1の「比較例2」の欄には、比較例2に係る接合体を製造する際に使用した接合材、該接合材中の炭素、ケイ素および酸素含有量などをまとめて示した。
【0186】
(実施例7)
以下の方法により、セラミックス部材とアルミニウム部材の接合体を製作した。
【0187】
まず、寸法30mm×30mm×厚さ2.5mmのアルミナ板(純度99.5%のα−アルミナ)を準備した。また、実施例1と同様の方法で、PMPhSを含むトルエン溶液を準備した。
【0188】
次に、アルミナ板上にトルエン溶液を5滴滴下した後、アルミナ板を3000rpmで回転させ、スピンコートを実施した。
【0189】
次に、アルミナ板上に、市販のアルミニウム線(純度99%以上:ニラコ社製)を配置した。アルミニウム線の太さは、直径100μmφ、500μmφ、および1000μmφの3種類とした。その後、アルミナ板をアルゴン雰囲気下900℃で1時間焼成した。
【0190】
これにより、アルミナ板上に各種太さのアルミニウム線が接合された接合体が得られた。
【0191】
図12には、得られた接合体の平面図(写真)を示す。なお、いずれのアルミニウム線も、指で引っ掻いた程度では、全く剥離しなかった。このことから、各アルミニウム線は、アルミナ板に対して良好に接合していることがわかった。
【0192】
(実施例8)
実施例7の場合と同様の手順により、セラミックス部材とアルミニウム部材の接合体を製作した。
【0193】
ただし、この実施例8では、アルミニウム線の代わりに、寸法が20mm×20mm×厚さ300μmのアルミニウム板(純度99.5%のα−アルミナ)を使用した。また、アルミナ板の熱処理(アルミニウム部材との接合)条件は、アルゴン雰囲気下、650℃、1時間とした。
【0194】
これにより、アルミナ板上にアルミニウム板が接合された接合体が得られた。
【0195】
図13には、得られた接合体の平面図(写真)を示す。なお、アルミニウム板は、指で引っ掻いた程度では、全く剥離しなかった。このことから、アルミニウム板は、アルミナ板に対して良好に接合していることがわかった。
【0196】
(実施例9)
実施例8の場合と同様の手順により、セラミックス部材とアルミニウム部材の接合体を製作した。
【0197】
ただし、この実施例9では、アルミニウム板の代わりに、実施例1で使用したものと同じアルミニウム箔(20mm×20mm×厚さ22μm)を使用した。また、アルミナ板の熱処理(アルミニウム部材との接合)条件は、アルゴン雰囲気下、600℃、1時間とした。
【0198】
これにより、アルミナ板上にアルミニウム箔が接合された接合体が得られた。
【0199】
図14には、得られた接合体の平面図(写真)を示す。なお、アルミニウム箔は、指で引っ掻いた程度では、全く剥離しなかった。このことから、アルミニウム箔は、アルミナ板に対して良好に接合していることがわかった。
【0200】
なお、基板の上には、接合剤由来の炭素塊の残留が見られた。
【0201】
(実施例10)
実施例7の場合と同様の手順により、セラミックス部材とアルミニウム合金部材の接合体を製作した。だだし、この実施例10では、アルミニウム線の代わりに、直径2000μmφのAl−Si合金(シルミン:ケイ素量12wt%)線を使用した。また、アルミナ板の熱処理(アルミニウム合金部材との接合)条件は、アルゴン雰囲気下、650℃、1時間とした。
【0202】
これにより、アルミナ板上にAl−Si合金線が接合された接合体が得られた。
【0203】
図15には、得られた接合体の平面図(写真)を示す。なお、Al−Si合金線は、指で引っ掻いた程度では、全く剥離しなかった。このことから、Al−Si合金線は、アルミナ板に対して良好に接合していることがわかった。
【0204】
(実施例11)
実施例1と同様の方法により、セラミックス部材とアルミニウム部材の接合体を製作した。ただし、この実施例11では、セラミックス部材として、アルミナブロックの代わりに、窒化ケイ素ブロック(20mm×4mm×4mm)を使用した。すなわち、PMPhSが塗布された2つの窒化ケイ素ブロックを、アルミニウム箔を介して接合面(20mm×4mmの一面)同士で接合して、接合体を作製した。
【0205】
実施例11に係る接合体に対して、実施例1と同様の評価を行った。その結果、実施例11に係る接合体においても、各窒化ケイ素ブロックの間には、連続的で、比較的厚さが均一なアルミニウム層が存在していることが確認された。なお、アルミニウム層の内部には、炭化物(炭化ケイ素)塊が複数存在していることが確認された。
【0206】
また、窒化ケイ素ブロックとアルミニウム層の界面には、隙間やボイドは認められず、接合層は、健全な状態で存在していることが確認された。
【0207】
(実施例12)
実施例7の場合と同様の手順により、セラミックス部材とアルミニウム部材の接合体を製作した。
【0208】
ただし、この実施例12では、アルミナ板の代わりに、寸法が20mm×20mm×厚さ1mmの窒化ケイ素板を使用した。
【0209】
これにより、窒化ケイ素板上にアルミニウム線が接合された接合体が得られた。
【0210】
なお、いずれのアルミニウム線も、指で引っ掻いた程度では、全く剥離しなかった。このことから、各アルミニウム線は、窒化ケイ素板に対して良好に接合していることがわかった。
【0211】
(実施例13)
実施例7の場合と同様の手順により、セラミックス部材とアルミニウム部材の接合体を製作した。
【0212】
ただし、この実施例13では、アルミナ板の代わりに、寸法が25mm×25mm×厚さ400μmの窒化アルミニウム板を使用した。
【0213】
これにより、窒化アルミニウム板上にアルミニウム線が接合された接合体が得られた。
【0214】
なお、いずれのアルミニウム線も、指で引っ掻いた程度では、全く剥離しなかった。このことから、各アルミニウム線は、窒化アルミニウム板に対して良好に接合していることがわかった。
【0215】
(実施例14)
実施例13の場合と同様の手順により、セラミックス部材とアルミニウム部材の接合体を製作した。ただし、この実施例14では、熱処理(アルミニウム部材との接合)条件は、アルゴン雰囲気下、600℃、1時間とした。
【0216】
これにより、窒化アルミニウム板上にアルミニウム線が接合された接合体が得られた。
【0217】
図16には、得られた接合体の平面図(写真)を示す。なお、いずれのアルミニウム線も、指で引っ掻いた程度では、全く剥離しなかった。このことから、各アルミニウム線は、窒化アルミニウム板に対して良好に接合していることがわかった。
【0218】
(実施例15)
実施例12の場合と同様の手順により、セラミックス部材とアルミニウム部材の接合体を製作した。ただし、この実施例15では、熱処理(アルミニウム部材との接合)条件は、アルゴン雰囲気下、600℃、1時間とした。
【0219】
これにより、窒化ケイ素板上にアルミニウム線が接合された接合体が得られた。
【0220】
なお、いずれのアルミニウム線も、指で引っ掻いた程度では、全く剥離しなかった。このことから、各アルミニウム線は、窒化ケイ素板に対して良好に接合していることがわかった。
【0221】
(比較例3)
実施例7の場合と同様の手順により、セラミックス部材とアルミニウム部材の接合を試みた。ただし、この比較例3では、アルミナ板の熱処理(アルミニウム部材との接合)条件は、アルゴン雰囲気下、580℃、1時間とした。その他の条件は実施例7の場合と同様である。
【0222】
熱処理後に確認したところ、いずれのアルミニウム線も、アルミナ板に接合していないことがわかった。
【0223】
(比較例4)
実施例12の場合と同様の手順により、セラミックス部材とアルミニウム部材の接合を試みた。ただし、この比較例4では、窒化ケイ素板の熱処理(アルミニウム部材との接合)条件は、アルゴン雰囲気下、580℃、1時間とした。その他の条件は実施例12の場合と同様である。
【0224】
熱処理後に確認したところ、いずれのアルミニウム線も、窒化ケイ素板に接合していないことがわかった。
【0225】
(比較例5)
実施例13の場合と同様の手順により、セラミックス部材とアルミニウム部材の接合を試みた。ただし、この比較例5では、窒化アルミニウム板の熱処理(アルミニウム部材との接合)条件は、アルゴン雰囲気下、580℃、1時間とした。その他の条件は実施例13の場合と同様である。
【0226】
熱処理後に確認したところ、いずれのアルミニウム線も、窒化アルミニウム板に接合していないことがわかった。
【0227】
以下の表2には、実施例7〜実施例15、および比較例3〜比較例5に係る接合体の作製条件、および接合状態をまとめて示した。
【0228】
【表2】