特許第6335103号(P6335103)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6335103
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】基板保持装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20180521BHJP
【FI】
   H01L21/68 N
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-231817(P2014-231817)
(22)【出願日】2014年11月14日
(65)【公開番号】特開2016-96256(P2016-96256A)
(43)【公開日】2016年5月26日
【審査請求日】2017年7月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(72)【発明者】
【氏名】豊村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 充
(72)【発明者】
【氏名】井上 拓也
【審査官】 鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−133642(JP,A)
【文献】 特開2010−050436(JP,A)
【文献】 特開2013−229409(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0073781(US,A1)
【文献】 米国特許第03556504(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/67−21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に移動自在な支柱と、
前記支柱に設けられた、基板の周縁部を把持するチャックと、
前記支柱をその軸方向に付勢する単一のばねと、
前記ばねの上側部位を囲む内周面を有することで、前記ばねの上側部位の、基板回転時における前記軸方向に対して垂直な方向への移動を前記内周面で制限する第1の構造体と、
前記ばねの内側に配置され、かつ前記ばねの下側部位を支持する外周面を有することで、前記ばねの下側部位の、基板回転時における前記軸方向に対して垂直な方向への移動を前記外周面で制限する第2の構造体とを備えたことを特徴とする基板保持装置。
【請求項2】
前記第1の構造体は、前記ばねの上半分を囲むように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の基板保持装置。
【請求項3】
前記支柱が前記ばねの力に逆らって上昇されたとき、前記第2の構造体は前記第1の構造体内に挿入されることを特徴とする請求項1または2に記載の基板保持装置。
【請求項4】
軸方向に移動自在な支柱と、
前記支柱に設けられた、基板の周縁部を把持するチャックと、
前記支柱をその軸方向に付勢するばねと、
記ばねの内側に配置され、かつ前記ばねの上側部位を支持する外周面を有することで、前記ばねの上側部位の、基板回転時における前記軸方向に対して垂直な方向への移動を前記外周面で制限する第1の構造体と、
記ばねの下側部位を囲む内周面を有することで、前記ばねの下側部位の、基板回転時における前記軸方向に対して垂直な方向への移動を前記内周面で制限する第2の構造体とを備えたことを特徴とする基板保持装置。
【請求項5】
前記支柱は、前記第2の構造体に対して相対的に回転可能であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の基板保持装置。
【請求項6】
前記ばねの力に逆らって前記支柱をその軸方向に移動させる移動機構と、
前記支柱の軸方向への移動に従って前記支柱をその軸心まわりに回転させる回転機構とをさらに備えたことを特徴とする請求項に記載の基板保持装置。
【請求項7】
前記支柱、前記チャック、前記ばね、前記第1の構造体、および前記第2の構造体は、それぞれ複数設けられており、
前記複数の支柱を互いに連結する連結リングをさらに備えたことを特徴とする請求項1または4に記載の基板保持装置。
【請求項8】
前記複数の支柱および前記複数のチャックは、前記基板の周縁部に沿って配列されていることを特徴とする請求項に記載の基板保持装置。
【請求項9】
軸方向に移動自在な複数の支柱と、
前記複数の支柱に設けられた、基板の周縁部を把持する複数のチャックと、
前記複数の支柱を互いに連結する連結リングと
前記複数の支柱をその軸方向にそれぞれ付勢する複数のばねと、
前記複数のチャックで保持された基板を回転させるときに、前記ばねの遠心力による変位を制限する構造体を備え、
前記複数のばねのそれぞれは、単一のばねであり、
前記連結リングは前記複数の支柱と一体に回転可能であるように前記複数の支柱に連結されていることを特徴とする基板保持装置。
【請求項10】
軸方向に移動自在な支柱と、
前記支柱に設けられた、基板の周縁部を把持するチャックと、
前記支柱をその軸方向に付勢する単一のばねと、
前記ばねを囲む内周面を有する第1の構造体と、
前記ばねの内側に配置され、かつ前記ばねを支持する外周面を有する第2の構造体とを備え、
前記第1の構造体および前記第2の構造体は、耐摩耗性の高い樹脂から構成されたことを特徴とする基板保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェハなどの基板を保持する基板保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているように、ウェハなどの基板の周縁部を保持して回転させる基板保持装置が知られている。このような基板保持装置は、基板を回転させながら基板の表面にIPA蒸気を吹き付けて該基板を乾燥させる乾燥装置などの処理装置に適用されている。
【0003】
上述した基板保持装置は、基板の周縁部を支持するための複数の支柱を有している。これら支柱は基板の周縁部に沿って配置されている。支柱の周囲にはばねが配置されており、このばねによって支柱は下方に付勢されている。また、支柱はリフターにより上昇される。基板が搬送ロボットから基板保持装置に渡されるときは、支柱はばねの力に逆らってリフターにより上昇される。基板保持装置が基板を回転させながら該基板を処理するときは、リフターが下降するとともに支柱はばねにより押し下げられる。
【0004】
基板の処理中は、基板はその軸心まわりに回転される。最近では、基板処理のスループットを上げるために、より高速で基板を回転させることが求められる。しかしながら、基板を高速で回転させるとき、支柱を囲むように配置されたばねには強い遠心力が作用し、ばねが外側に変形する。このとき、ばねには大きな応力が生じ、ばねが疲労する。結果として、ばねは、想定された寿命に達する前に破断してしまうことがある。
【0005】
また、基板が高速で回転しているとき、支柱にも強い遠心力が作用し、支柱の端部が外側に変位することがある。その結果、支柱に支持されている基板が不安定となる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−295751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、基板を支持する支柱を付勢するためのばねに大きな遠心力が加わっても、ばねの変形を最小とすることができる改良された基板保持装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、基板を支持する支柱の外側への変位を防止することができる基板保持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するために、本発明の一態様は、軸方向に移動自在な支柱と、前記支柱に設けられた、基板の周縁部を把持するチャックと、前記支柱をその軸方向に付勢する単一のばねと、前記ばねの上側部位を囲む内周面を有することで、前記ばねの上側部位の、基板回転時における前記軸方向に対して垂直な方向への移動を前記内周面で制限する第1の構造体と、前記ばねの内側に配置され、かつ前記ばねの下側部位を支持する外周面を有することで、前記ばねの下側部位の、基板回転時における前記軸方向に対して垂直な方向への移動を前記外周面で制限する第2の構造体とを備えたことを特徴とする基板保持装置である。
【0009】
本発明の好ましい態様は、前記第1の構造体は、前記ばねの上半分を囲むように配置されていることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記支柱が前記ばねの力に逆らって上昇されたとき、前記第2の構造体は前記第1の構造体内に挿入されることを特徴とする。
本発明の他の態様は、軸方向に移動自在な支柱と、前記支柱に設けられた、基板の周縁部を把持するチャックと、前記支柱をその軸方向に付勢するばねと、前記ばねの内側に配置され、かつ前記ばねの上側部位を支持する外周面を有することで、前記ばねの上側部位の、基板回転時における前記軸方向に対して垂直な方向への移動を前記外周面で制限する第1の構造体と、前記ばねの下側部位を囲む内周面を有することで、前記ばねの下側部位の、基板回転時における前記軸方向に対して垂直な方向への移動を前記内周面で制限する第2の構造体とを備えたことを特徴とする基板保持装置である。
【0010】
本発明の好ましい態様は、前記支柱は、前記第2の構造体に対して相対的に回転可能であることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記ばねの力に逆らって前記支柱をその軸方向に移動させる移動機構と、前記支柱の軸方向への移動に従って前記支柱をその軸心まわりに回転させる回転機構とをさらに備えたことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記支柱、前記チャック、前記ばね、前記第1の構造体、および前記第2の構造体は、それぞれ複数設けられており、前記複数の支柱を互いに連結する連結リングをさらに備えたことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記複数の支柱および前記複数のチャックは、前記基板の周縁部に沿って配列されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の他の態様は、軸方向に移動自在な複数の支柱と、前記複数の支柱に設けられた、基板の周縁部を把持する複数のチャックと、前記複数の支柱を互いに連結する連結リングと、前記複数の支柱をその軸方向にそれぞれ付勢する複数のばねと、前記複数のチャックで保持された基板を回転させるときに、前記ばねの遠心力による変位を制限する構造体を備え、前記複数のばねのそれぞれは、単一のばねであり、前記連結リングは前記複数の支柱と一体に回転可能であるように前記複数の支柱に連結されていることを特徴とする基板保持装置である。
本発明の他の態様は、軸方向に移動自在な支柱と、前記支柱に設けられた、基板の周縁部を把持するチャックと、前記支柱をその軸方向に付勢する単一のばねと、前記ばねを囲む内周面を有する第1の構造体と、前記ばねの内側に配置され、かつ前記ばねを支持する外周面を有する第2の構造体とを備え、前記第1の構造体および前記第2の構造体は、耐摩耗性の高い樹脂から構成されたことを特徴とする基板保持装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第1の構造体および第2の構造体によってばねの外側への移動(変位)が制限される。したがって、強い遠心力がばねに加わっても、過度な応力が発生せず、結果としてばねの予期しない破断を防止することができる。
【0013】
また、本発明によれば、連結リングは、複数の支柱の相対位置を制限するので、強い遠心力が支柱に加わっても、支柱の外側への変位を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る基板保持装置を示す縦断面図である。
図2図1に示す基板保持装置を示す平面図である。
図3】リフターによって支柱が上昇された状態を示す図である。
図4図4(a)は、チャックを示す平面図であり、図4(b)はチャックの側面図である。
図5図5(a)は、チャックがウェハを把持した状態を示す平面図であり、図5(b)はチャックがウェハを解放した状態を示す平面図である。
図6図2に示すA−A線断面図である。
図7図6のB−B線断面図である。
図8】第2の磁石と第3の磁石の配置を説明するための模式図であり、支柱の軸方向から見た図である。
図9】リフターにより支柱を上昇させたときの図2に示すA−A線断面図である。
図10図9のC−C線断面図である。
図11】4つの支柱の下端を互いに連結する連結リングが設けられた断面図である。
図12】4つの支柱の下端を互いに連結する連結リングが設けられた平面図である。
図13】他の実施形態を示す図である。
図14】リンク機構を用いた基板保持装置の実施形態を示す図である。
図15】支柱が上昇した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る基板保持装置を示す縦断面図である。図2図1に示す基板保持装置を示す平面図である。
【0016】
図1および図2に示すように、基板保持装置は、4つのアーム1aを有する基台1と、各アーム1aの先端に支持された4つの支柱2と、これら支柱2の上端にそれぞれ設けられた4つのチャック3とを備えている。各支柱2は基台1に対して相対的に上下動可能であり、かつ各支柱2はその軸心まわりに回転可能に構成されている。支柱2は、基板の一例であるウェハWの周縁部を把持するチャック3を有している。支柱2およびチャック3はウェハWの周縁部に沿って等間隔で配置されている。
【0017】
基台1は回転軸5の上端に固定されており、この回転軸5は軸受6によって回転自在に支持されている。軸受6は回転軸5を囲むように配置された円筒体7の内周面に固定されている。円筒体7の下端は架台9に取り付けられており、その位置は固定されている。回転軸5は、プーリー11,12およびベルト14を介してモータ15に連結されている。モータ15を駆動させることにより、基台1はその軸心を中心として回転するようになっている。ウェハWはチャック3によって把持され、モータ15によってウェハWの中心軸線まわりに回転される。
【0018】
円筒体7を囲むように、支柱2を上昇させるリフター20が配置されている。このリフター20は、円筒体7に対して上下方向にスライド可能に構成されている。リフター20は、4つの支柱2を持ち上げる4つのプッシャー20aを有している。円筒体7の外周面とリフター20の内周面との間には、第1の気体チャンバ21と第2の気体チャンバ22が形成されている。これら第1の気体チャンバ21と第2の気体チャンバ22は、それぞれ第1の気体流路24および第2の気体流路25に連通しており、これら第1の気体流路24および第2の気体流路25は、図示しない加圧気体供給源に連結されている。第1の気体チャンバ21内の圧力を第2の気体チャンバ22内の圧力よりも高くすると、図3に示すように、リフター20が上昇する。一方、第2の気体チャンバ22内の圧力を第1の気体チャンバ21内の圧力よりも高くすると、図1に示すように、リフター20が下降する。リフター20により4つの支柱2および4つのチャック3は同時に上昇し、下降する。
【0019】
基台1の上面には、回転カップ28が固定されている。この回転カップ28は、回転するウェハWから遠心力により飛び出した液体を受け止めるためのものである。図1および図3は回転カップ28の縦断面を示している。回転カップ28はウェハWの全周を囲むように配置されている。回転カップ28の縦断面形状は径方向内側に傾斜している。また、回転カップ28の内周面は滑らかな曲面から構成されている。回転カップ28の上端はウェハWに近接しており、回転カップ28の上端の内径は、ウェハWの直径よりもやや大きい。回転カップ28の上端には、支柱2の外周面形状に沿った切り欠き28aが形成されている。回転カップ28の底面には、斜めに延びる液体排出孔(図示せず)が形成されている。
【0020】
図4(a)は、チャック3を示す平面図であり、図4(b)はチャック3の側面図である。チャック3は、支柱2の上端の偏心した位置に形成されている。このチャック3は、ウェハWの周縁部に当接することによりウェハWの周縁部を把持する。支柱2の上端には、チャック3から支柱2の軸心に向かって延びる位置決め部41がさらに形成されている。位置決め部41の一端はチャック3の側面に一体的に接続され、他端は支柱2の軸心上に位置している。この位置決め部41の中心側の端部は、支柱2と同心の円に沿って湾曲した側面41aを有している。支柱2の上端は、下方に傾斜するテーパ面となっている。
【0021】
図5(a)は、チャック3がウェハWを把持した状態を示す平面図であり、図5(b)はチャック3がウェハWを解放した状態を示す平面図である。ウェハWは、支柱2の上端(テーパ面)上に載置され、そして、支柱2を回転させることにより、チャック3をウェハWの周縁部に当接させる。これにより、図5(a)に示すように、ウェハWがチャック3に把持される。支柱2を反対方向に回転させると、図5(b)に示すように、チャック3がウェハWから離れ、これによりウェハWが解放される。このとき、ウェハWの周縁部は、位置決め部41の中心側端部の側面41aに接触する。したがって、位置決め部41の側面41aによって、支柱2が回転するときのウェハWの変位を制限することができ、その後のウェハ搬送の安定性を向上させることができる。
【0022】
図6図2に示すA−A線断面図であり、図7図6のB−B線断面図である。図6および図7では、回転カップ28の図示は省略されている。基台1のアーム1aは、支柱2をスライド自在に保持する保持部材1bを有している。この保持部材1bはアーム1aと一体に構成してもよい。保持部材1bには上下に延びる貫通孔が形成されており、この貫通孔に支柱2が挿入されている。貫通孔の直径は支柱2の直径よりも僅かに大きく、したがって支柱2は基台1に対して上下方向に相対移動可能となっており、さらに支柱2は、その軸心まわりに回転可能となっている。
【0023】
基板保持装置は、支柱2をその軸方向に付勢するばね30を有している。基台1の保持部材1bの下面には外側カバー31が取り付けられている。外側カバー31は、ばね30の上側部位を囲む内周面を有している。本実施形態では、外側カバー31は、ばね30の上半分を囲むように配置されている。ばね30の上端は、外側カバー31の上端に形成された内側フランジ32に接触している。内側フランジ32は省略してもよい。この場合は、ばね30の上端は基台1の保持部材1bの下面に接触する。外側カバー31の内周面の直径は、ばね30の外径と同じか、またはやや大きい。本実施形態では、外側カバー31の内周面の直径は、ばね30の外径よりもわずかに大きい。
【0024】
支柱2の下部には、内側カラー33が取り付けられている。この内側カラー33は、円筒状の形状を有した部材である。ばね30は、支柱2および内側カラー33を囲むように配置されている。内側カラー33はばね30の内側に配置されており、ばね30の下側部位を支持する外周面を有している。内側カラー33の外周面の直径は、ばね30の内径と同じか、またはやや小さい。本実施形態では、内側カラー33の外周面の直径は、ばね30の内径と同じであり、内側カラー33の外周面はばね30の下側部位に接触している。さらに、内側カラー33の外周面の直径は、支柱2の外周面の直径よりも大きい。外側カバー31および内側カラー33は、耐摩耗性の高い樹脂から構成されている。例えば、外側カバー31および内側カラー33はPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)から構成されている。
【0025】
内側カラー33の下端にはばねストッパー35が接続されている。本実施形態では、ばねストッパー35は内側カラー33と一体に形成されているが、内側カラー33とばねストッパー35とは別の部材であってもよい。支柱2は、その軸心まわりに回転可能なように内側カラー33に連結されている。すなわち、支柱2は、内側カラー33およびばねストッパー35に対して相対的に回転可能となっている。
【0026】
ばね30の上端は基台1の保持部材1bを押圧し、ばね30の下端は支柱2に連結されたばねストッパー35を押している。したがって、本実施形態のばね30は、支柱2を下方に付勢する。支柱2の外周面には、保持部材1bの貫通孔の直径よりも大きい径を有する支柱ストッパー2aが形成されている。この支柱ストッパー2aは基台1の保持部材1bよりも上方に位置している。したがって、図6に示すように、支柱2の下方への移動は支柱ストッパー2aによって制限される。
【0027】
基台1の保持部材1bには第1の磁石43が埋設されている。支柱2内には第2の磁石44および第3の磁石45が配置されている。これら第2の磁石44および第3の磁石45は、上下方向に離間して配列されている。これらの第1〜第3の磁石43,44,45としては、ネオジム磁石が好適に用いられる。
【0028】
図8は、第2の磁石44と第3の磁石45の配置を説明するための模式図であり、支柱2の軸方向から見た図である。図8に示すように、第2の磁石44と第3の磁石45とは、支柱2の周方向においてずれて配置されている。すなわち、第2の磁石44と支柱2の中心とを結ぶ線と、第3の磁石45と支柱2の中心とを結ぶ線とは、支柱2の軸方向から見たときに所定の角度αで交わっている。
【0029】
支柱2が、図6に示す下降位置にあるとき、第2の磁石44は第1の磁石43に近接し、第3の磁石45は第1の磁石43から離れている。このとき、第1の磁石43と第2の磁石44との間には引き合う力が働く。この引力は、支柱2にその軸心まわりに回転する力を与え、その回転方向は、チャック3がウェハWの周縁部を押圧する方向である。したがって、図6に示す下降位置は、ウェハWを把持するクランプ位置となる。
【0030】
図9は、リフター30により支柱2を上昇させたときの図2に示すA−A線断面図であり、図10図9のC−C線断面図である。リフター30により支柱2を図9に示す上昇位置まで上昇させると、第3の磁石45が第1の磁石43に接近し、第2の磁石44は第1の磁石43から離れる。このとき、第1の磁石43と第3の磁石45との間には引き合う力が働く。この引力は支柱2にその軸心まわりに回転する力を与え、その回転方向は、チャック3がウェハWから離間する方向である。したがって、図9に示す上昇位置は、基板をリリースするアンクランプ位置である。
【0031】
第2の磁石44と第3の磁石45とは支柱2の周方向において異なる位置に配置されているので、支柱2の上下移動に伴って支柱2には回転力が作用する。この回転力によってチャック3にウェハWを把持する力とウェハWを解放する力が与えられる。したがって、支柱2を上下させるだけで、チャック3はウェハWを把持し、かつ解放することができる。このように、第1の磁石43、第2の磁石44、および第3の磁石45は、支柱2およびチャック3を支柱2の軸心まわりに回転させる回転機構として機能する。この回転機構は、支柱2の上下動に従って動作する。
【0032】
支柱2がリフター20によって上昇されるとき、リフター20のプッシャー20aは、ばねストッパー35に接触する。支柱2はばねストッパー35とは独立に回転自在であるので、支柱2は上昇しながらその軸心まわりにスムーズに回転することができ、その一方でばねストッパー35および内側カラー33は回転しない。図9に示すように、支柱2がばね30の力に逆らって上昇されたとき、内側カラー33は外側カバー31内に収容される。内側カラー33の外周面と外側カバー31の内周面との間には円筒状の空間が形成され、圧縮されたばね30はこの円筒状の空間内に収容される。リフター20は、ばね30の力に逆らって支柱2をその軸方向に移動させる移動機構である。
【0033】
支柱2の側面には、その軸心に沿って延びる溝46が形成されている。この溝46は円弧状の水平断面を有している。基台1の保持部材1bには、溝46に向かって突起する突起部47が形成されている。この突起部47の先端は、溝46の内部に位置しており、突起部47は溝46に緩やかに係合している。この溝46および突起部47は、支柱2の回転角度を制限するために設けられている。
【0034】
図3に示すように、支柱2が上昇すると、ウェハWは回転カップ28よりも高い位置にまで上昇されるとともに、チャック3はウェハWの周縁部から離れる。したがって、搬送ロボットなどの搬送装置(図示せず)は、ウェハWを基板保持装置から取り出すことができる。
【0035】
ウェハWは、図1に示す、支柱2が下降位置にある状態で、モータ15によって回転される。ウェハWが回転されているとき、ばね30には遠心力が作用する。特に、ウェハWを高速で(例えば、1500〜3000min−1の速度で)回転させたときに、大きな遠心力がばね30に作用し、ばね30が外側に変形する。このようなばね30の変形は、ばね30を疲労させ、想定よりも早くばね30が破断してしまう。
【0036】
このようなばね30の外側への変形を防止するために、図6に示すように、ばね30の外側には外側カバー31が設けられ、ばね30の内側には内側カラー33が設けられている。外側カバー31は、ばね30の上側部位の、支柱2の軸方向に対して垂直な方向への移動(変位)を制限する第1の構造体として機能し、内側カラー33は、ばね30の下側部位の、支柱2の軸方向に対して垂直な方向への移動(変位)を制限する第2の構造体として機能する。
【0037】
ウェハWが回転しているとき、ばね30の上側部位は外側カバー31によって外側から支持され、ばね30の下側部位は内側カラー33によって内側から支持される。したがって、ばね30に強い遠心力が作用しても、ばね30の外側への変形、すなわちばね30の支柱2の軸方向に対して垂直な方向への移動は、外側カバー31および内側カラー33によって制限される。したがって、ばね30はほとんど変形せず、大きな応力も発生しない。結果として、予期しないばね30の破断を防ぐことができる。また、図3および図9に示すように、ウェハWをチャック3から解放するために支柱2が上昇されたとき、内側カラー33は外側カバー31内に収容されるので、内側カラー33と外側カバー31は支柱2の上昇を妨げることはなく、機構をコンパクトにすることができる。
【0038】
ウェハWが高速で回転しているとき、支柱2にも強い遠心力が作用し、支柱2の端部が外側に変位することがある。その結果、チャック3がウェハWを保持する力が不安定となる可能性がある。そこで、このような支柱2の端部の外側への変位を防止するために、図11および図12に示すように、4つの支柱2の下端を互いに連結する連結リング50が設けられている。この連結リング50は、各支柱2の下端に取り付けられたばねストッパー35に固定されている。したがって、連結リング50は、ばねストッパー35を介して各支柱2に連結されている。連結リング50は、支柱2とともに上下動し、モータ15によってウェハWの軸心まわりに回転する支柱2と一体に連結リング50も回転される。連結リング50は、4つの支柱2の相対位置を制限するので、強い遠心力が支柱2に加わっても、支柱2の端部の外側への変位を防止することができる。支柱2は、アーム1aと連結リング50の上下2か所で支持されているため、ウェハWが高速で回転しているときの支柱2の変形を防止することができる。
【0039】
図13は、他の実施形態を示す図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、上述した実施形態と同様であるので、その重複する説明を省略する。本実施形態では、内側カラー33はばね30の上側部位の内側に配置されており、外側カバー31ばね30の下側部位を囲むように配置されている。したがって、内側カラー33は、ばね30の上側部位の、支柱2の軸方向に対して垂直な方向への移動を制限する第1の構造体として機能し、外側カバー31は、ばね30の下側部位の、支柱2の軸方向に対して垂直な方向への移動を制限する第2の構造体として機能する。ばねストッパー35は外側カバー31に一体に形成されている。
【0040】
ウェハWが回転しているとき、ばね30の上側部位は内側カラー33によって内側から支持され、ばね30の下側部位は外側カバー31によって外側から支持される。したがって、強い遠心力がばね30に作用したときでもばね30の外側への変形を最小とすることができる。本実施形態でも、図11および図12に示す連結リング50をばねストッパー35に取り付けてもよい。
【0041】
上述した図1乃至13に示す実施形態は、永久磁石を用いてウェハWの把持力を発生させるように構成されているが、永久磁石に代えてリンク機構を用いてウェハWの把持力を発生させてもよい。図14は、リンク機構を用いた基板保持装置の実施形態を示す図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、上述した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
【0042】
図14に示すように、基台1にはブロック53が固定されており、このブロック53の先端には、ウェハWの接線方向に沿って延びる軸55が取り付けられている。チャック3はこの軸55に回転自在に支持されている。支柱2の上部にはピン56が固定されている。このピン56は、チャック3に形成された切り欠き57内で移動可能なようにこの切り欠き57に係合している。チャック3はウェハWの周縁部を把持する爪60と、ウェハWの周縁部が一時的に載置される円弧面61を有している。円弧面61は上方に湾曲している。
【0043】
図15は、支柱2が上昇した状態を示す図である。図15に示すように、支柱2が上昇すると、ピン56がチャック3を回転させ、これによりチャック3の爪60は外側に移動する。この状態で、ウェハWはチャック3の円弧面61上に載置される。続いて、支柱2を下降させると、ピン56がチャック3を反対方向に回転させ、これによりチャック3の爪60がウェハWの周縁部を把持する。この実施形態でも、強い遠心力がばね30に作用したときでもばね30の外側への変形を最小とすることができる。
【0044】
ばね30に作用する遠心力は、ウェハWの回転速度のみならず、回転中心からばね30までの距離に従って増大する。上述した実施形態に係る基板保持装置は、大きな遠心力が発生する場合でもばね30の外側への移動を制限することができるので、450mmウェハなどの大口径ウェハの保持に有効である。さらに、上述した実施形態に係る基板保持装置は、ウェハの他に、フラットパネルディスプレイガラス基板などの様々なタイプの基板を保持するための装置に適用することができる。
【0045】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0046】
1 基台
1a アーム
2 支柱
3 チャック
5 回転軸
6 軸受
7 円筒体
9 架台
11,12 プーリー
14 ベルト
15 モータ
20 リフター
20a プッシャー
21 第1の気体チャンバ
22 第2の気体チャンバ
24 第1の気体流路
25 第2の気体流路
28 回転カップ
30 ばね
31 外側カバー
33 内側カラー
35 ばねストッパー
43 第1の磁石
44 第2の磁石
45 第3の磁石
46 溝
47 突起部
50 連結リング
53 ブロック
55 軸
56 ピン
57 切り欠き
60 爪
61 円弧面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15