【実施例】
【0093】
以下、合成例、調製例、比較調製例、実施例、及び比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0094】
以下に合成例に用いたモノマーを示す。
【化16】
【0095】
モノマー1:ナトリウム (2−メタクリロイルオキシエトキシカルボニル)ジフルオロメタンスルホネート
モノマー2:リチウム (3−メタクリロイルオキシプロポキシカルボニル)ジフルオロメタンスルホネート
モノマー3:ベンジルトリメチルアンモニウム (4−ビニルベンジルオキシカルボニル)ジフルオロメタンスルホネート
モノマー4:ナトリウム (2−アクリロイルオキシエトキシカルボニル)ジフルオロメタンスルホネート
モノマー5:ナトリウム (ビニルオキシカルボニル)ジフルオロメタンスルホネート
モノマー6:ナトリウム (2−ビニルオキシエトキシカルボニル)ジフルオロメタンスルホネート
【0096】
[ドーパントポリマーの合成]
(合成例1)
窒素雰囲気下、64℃で撹拌したメタノール37.5gに、モノマー1の31.0gと2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル5.13gをメタノール112.5gに溶かした溶液を4時間かけて滴下した。さらに64℃で4時間撹拌した。室温まで冷却した後、1,000gの酢酸エチルに激しく撹拌しながら滴下した。生じた固形物を濾過して取り、50℃で15時間真空乾燥して、白色重合体26.2gを得た。
得られた白色重合体を純水912gに溶解し、イオン交換樹脂を用いてナトリウム塩をスルホ基に変換した。得られた重合体を
19F,
1H−NMR及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
重量平均分子量(Mw)=46,000
分子量分布(Mw/Mn)=1.81
この高分子化合物を(ドーパントポリマー1)とする。
【化17】
【0097】
(合成例2)
窒素雰囲気下、64℃で撹拌したメタノール37.5gに、モノマー1の15.5gとスチレンスルホン酸リチウム9.5gと2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル5.13gをメタノール112.5gに溶かした溶液を4時間かけて滴下した。さらに64℃で4時間撹拌した。室温まで冷却した後、1,000gの酢酸エチルに激しく撹拌しながら滴下した。生じた固形物を濾過して取り、50℃で15時間真空乾燥して、白色重合体21.3gを得た。
得られた白色重合体を純水912gに溶解し、イオン交換樹脂を用いてナトリウム塩とリチウム塩をスルホ基に変換した。得られた重合体を
19F,
1H−NMR及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比) モノマー1:スチレンスルホン酸=1:1
重量平均分子量(Mw)=51,000
分子量分布(Mw/Mn)=1.75
この高分子化合物を(ドーパントポリマー2)とする。
【化18】
【0098】
(合成例3)
窒素雰囲気下、64℃で撹拌したメタノール37.5gに、モノマー2の30.8gと2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル5.13gをメタノール112.5gに溶かした溶液を4時間かけて滴下した。さらに64℃で4時間撹拌した。室温まで冷却した後、1,000gの酢酸エチルに激しく撹拌しながら滴下した。生じた固形物を濾過して取り、50℃で15時間真空乾燥して、白色重合体26.8gを得た。
得られた白色重合体を純水912gに溶解し、イオン交換樹脂を用いてリチウム塩をスルホ基に変換した。得られた重合体を
19F,
1H−NMR及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
重量平均分子量(Mw)=46,000
分子量分布(Mw/Mn)=1.55
この高分子化合物を(ドーパントポリマー3)とする。
【化19】
【0099】
(合成例4)
窒素雰囲気下、64℃で撹拌したメタノール37.5gに、モノマー2の15.4gとスチレンスルホン酸リチウム9.5gと2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル2.82gをメタノール112.5gに溶かした溶液を4時間かけて滴下した。さらに64℃で4時間撹拌した。室温まで冷却した後、1,000gの酢酸エチルに激しく撹拌しながら滴下した。生じた固形物を濾過して取り、50℃で15時間真空乾燥して、白色重合体21.2gを得た。
得られた白色重合体をメタノール421gに溶解し、イオン交換樹脂を用いてリチウム塩をスルホ基に変換した。得られた重合体を
19F,
1H−NMR及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比) モノマー2:スチレンスルホン酸=1:1
重量平均分子量(Mw)=55,000
分子量分布(Mw/Mn)=1.85
この高分子化合物を(ドーパントポリマー4)とする。
【化20】
【0100】
(合成例5)
窒素雰囲気下、64℃で撹拌したメタノール37.5gに、モノマー3の44.1gと2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル2.82gをメタノール112.5gに溶かした溶液を4時間かけて滴下した。さらに64℃で4時間撹拌した。室温まで冷却した後、1,000gの酢酸エチルに激しく撹拌しながら滴下した。生じた固形物を濾過して取り、50℃で15時間真空乾燥して、白色重合体21.5gを得た。
得られた白色重合体をメタノール421gに溶解し、イオン交換樹脂を用いてベンジルトリメチルアンモニウム塩をスルホ基に変換した。得られた重合体を
19F,
1H−NMR及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
重量平均分子量(Mw)=51,000
分子量分布(Mw/Mn)=1.79
この高分子化合物を(ドーパントポリマー5)とする。
【化21】
【0101】
(合成例6)
窒素雰囲気下、64℃で撹拌したメタノール37.5gに、モノマー3の13.2gとスチレンスルホン酸リチウム13.3gと2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル4.19gをメタノール112.5gに溶かした溶液を4時間かけて滴下した。さらに64℃で4時間撹拌した。室温まで冷却した後、1,000gの酢酸エチルに激しく撹拌しながら滴下した。生じた固形物を濾過して取り、50℃で15時間真空乾燥して、白色重合体26.0gを得た。
得られた白色重合体をメタノール396gに溶解し、イオン交換樹脂を用いてベンジルトリメチルアンモニウム塩とリチウム塩をスルホ基に変換した。得られた重合体を
19F,
1H−NMR及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比) モノマー3:スチレンスルホン酸=3:7
重量平均分子量(Mw)=39,300
分子量分布(Mw/Mn)=1.91
この高分子化合物を(ドーパントポリマー6)とする。
【化22】
【0102】
(合成例7)
窒素雰囲気下、64℃で撹拌したメタノール37.5gに、モノマー4の14.8gとスチレンスルホン酸リチウム9.5gと2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル4.19gをメタノール112.5gに溶かした溶液を4時間かけて滴下した。さらに64℃で4時間撹拌した。室温まで冷却した後、1,000gの酢酸エチルに激しく撹拌しながら滴下した。生じた固形物を濾過して取り、50℃で15時間真空乾燥して、白色重合体23.0gを得た。
得られた白色重合体をメタノール396gに溶解し、イオン交換樹脂を用いてナトリウム塩とリチウム塩をスルホ基に変換した。得られた重合体を
19F,
1H−NMR及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比) モノマー4:スチレンスルホン酸=1:1
重量平均分子量(Mw)=39,900
分子量分布(Mw/Mn)=1.71
この高分子化合物を(ドーパントポリマー7)とする。
【化23】
【0103】
(合成例8)
窒素雰囲気下、64℃で撹拌したメタノール37.5gに、モノマー5の8.9gとスチレンスルホン酸リチウム13.3gと2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル4.19gをメタノール112.5gに溶かした溶液を4時間かけて滴下した。さらに64℃で4時間撹拌した。室温まで冷却した後、1,000gの酢酸エチルに激しく撹拌しながら滴下した。生じた固形物を濾過して取り、50℃で15時間真空乾燥して、白色重合体17.9gを得た。
得られた白色重合体をメタノール396gに溶解し、イオン交換樹脂を用いてナトリウム塩とリチウム塩をスルホ基に変換した。得られた重合体を
19F,
1H−NMR及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比) モノマー5:スチレンスルホン酸=3:7
重量平均分子量(Mw)=33,100
分子量分布(Mw/Mn)=1.66
この高分子化合物を(ドーパントポリマー8)とする。
【化24】
【0104】
(合成例9)
窒素雰囲気下、64℃で撹拌したメタノール37.5gに、モノマー6の10.7gとスチレンスルホン酸リチウム8.6gと4−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール)スチレン12.3gと2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル4.19gをメタノール112.5gに溶かした溶液を4時間かけて滴下した。さらに64℃で4時間撹拌した。室温まで冷却した後、1,000gの酢酸エチルに激しく撹拌しながら滴下した。生じた固形物を濾過して取り、50℃で15時間真空乾燥して、白色重合体18.9gを得た。
得られた白色重合体をメタノール396gに溶解し、イオン交換樹脂を用いてナトリウム塩とリチウム塩をスルホ基に変換した。得られた重合体を
19F,
1H−NMR及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比) モノマー6:スチレンスルホン酸:4−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール)スチレン=6:9:5
重量平均分子量(Mw)=42,100
分子量分布(Mw/Mn)=1.86
この高分子化合物を(ドーパントポリマー9)とする。
【化25】
【0105】
(合成例10)
下記RAFT重合によってジブロックコポリマーを合成した。
窒素雰囲気下、2−シアノ−2−プロピルベンゾジチオエート0.42g、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.10gをメタノール37.5gに溶解させ、その溶液を窒素雰囲気下64℃で3時間撹拌した。その溶液にモノマー3の30.8gをメタノール64.3gに溶解させた溶液を2時間で滴下した。続いてその溶液にモノマー1の15.5gをメタノール48.2gに溶解させた溶液を2時間で滴下した。滴下終了後、64℃で4時間撹拌した。室温まで冷却した後、1,000gの酢酸エチルに激しく撹拌しながら滴下した。生じた固形物を濾過して取り、50℃で15時間真空乾燥して、赤色重合体38.8gを得た。
得られた赤色重合体をメタノール306gに溶解し、イオン交換樹脂を用いてベンジルトリメチルアンモニウム塩とナトリウム塩をスルホ基に変換した。得られた重合体を
19F,
1H−NMR及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比) モノマー3:モノマー1=1:1
重量平均分子量(Mw)=32,000
分子量分布(Mw/Mn)=1.35
この高分子化合物を(ドーパントポリマー10)とする。
【化26】
【0106】
(合成例11)
下記RAFT重合によってトリブロックコポリマーを合成した。
窒素雰囲気下、2−シアノ−2−プロピルベンゾジチオエート0.42g、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.10gをメタノール37.5gに溶解させ、その溶液を窒素雰囲気下64℃で3時間撹拌した。その溶液にモノマー3の11.0gをメタノール32.2gに溶解させた溶液を2時間で滴下した。続いてその溶液にモノマー1の15.5gをメタノール48.2gに溶解させた溶液を2時間で滴下した。続いてその溶液にモノマー3の11.0gをメタノール32.2gに溶解させた溶液を2時間で滴下した。滴下終了後、64℃で4時間撹拌した。室温まで冷却した後、1,000gの酢酸エチルに激しく撹拌しながら滴下した。生じた固形物を濾過して取り、50℃で15時間真空乾燥して、赤色重合体30.7gを得た。
得られた赤色重合体をメタノール306gに溶解し、イオン交換樹脂を用いてベンジルトリメチルアンモニウム塩とナトリウム塩をスルホ基に変換した。得られた重合体を
19F,
1H−NMR及びGPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比) モノマー3:モノマー1=1:1
重量平均分子量(Mw)=29,000
分子量分布(Mw/Mn)=1.42
この高分子化合物を(ドーパントポリマー11)とする。
【化27】
【0107】
[π共役系ポリマーとしてポリチオフェンを含む導電性ポリマー複合体分散液の調製]
(調製例1)
3.82gの3,4−エチレンジオキシチオフェンと、12.5gのドーパントポリマー1を1,000mLの超純水に溶かした溶液とを30℃で混合した。
これにより得られた混合溶液を30℃に保ち、撹拌しながら、100mLの超純水に溶かした8.40gの過硫酸ナトリウムと2.3gの硫酸第二鉄の酸化触媒溶液とをゆっくり添加し、4時間撹拌して反応させた。
得られた反応液に1,000mLの超純水を添加し、限外濾過法を用いて約1,000mLの溶液を除去した。この操作を3回繰り返した。
そして、上記濾過処理が行われた処理液に200mLの10質量%に希釈した硫酸と2,000mLのイオン交換水を加え、限外濾過法を用いて約2,000mLの処理液を除去し、これに2,000mLのイオン交換水を加え、限外濾過法を用いて約2,000mLの液を除去した。この操作を3回繰り返した。
さらに、得られた処理液に2,000mLのイオン交換水を加え、限外濾過法を用いて約2,000mLの処理液を除去した。この操作を5回繰り返し、1.3質量%の青色の導電性ポリマー複合体分散液1を得た。
【0108】
限外濾過条件は下記の通りとした。
限外濾過膜の分画分子量:30K
クロスフロー式
供給液流量:3,000mL/分
膜分圧:0.12Pa
なお、他の調製例でも同様の条件で限外濾過を行った。
【0109】
(調製例2)
12.5gのドーパントポリマー1を10.0gのドーパントポリマー2に変更し、3,4−エチレンジオキシチオフェンの配合量を2.41g、過硫酸ナトリウムの配合量を5.31g、硫酸第二鉄の配合量を1.50gに変更する以外は調製例1と同様の方法で調製を行い、導電性ポリマー複合体分散液2を得た。
【0110】
(調製例3)
12.5gのドーパントポリマー1を12.0gのドーパントポリマー3に変更し、3,4−エチレンジオキシチオフェンの配合量を2.72g、過硫酸ナトリウムの配合量を6.00g、硫酸第二鉄の配合量を1.60gに変更する以外は調製例1と同様の方法で調製を行い、導電性ポリマー複合体分散液3を得た。
【0111】
(調製例4)
12.5gのドーパントポリマー1を11.8gのドーパントポリマー4に、8.40gの過硫酸ナトリウムを4.50gの過硫酸アンモニウムに変更し、3,4−エチレンジオキシチオフェンの配合量を2.04g、硫酸第二鉄の配合量を1.23gに変更する以外は調製例1と同様の方法で調製を行い、導電性ポリマー複合体分散液4を得た。
【0112】
(調製例5)
12.5gのドーパントポリマー1を11.0gのドーパントポリマー5に、8.40gの過硫酸ナトリウムを5.31gの過硫酸アンモニウムに変更し、3,4−エチレンジオキシチオフェンの配合量を2.41g、硫酸第二鉄の配合量を1.50gに変更する以外は調製例1と同様の方法で調製を行い、導電性ポリマー複合体分散液5を得た。
【0113】
(調製例6)
12.5gのドーパントポリマー1を13.0gのドーパントポリマー6に、8.40gの過硫酸ナトリウムを5.31gの過硫酸アンモニウムに変更し、3,4−エチレンジオキシチオフェンの配合量を2.41g、硫酸第二鉄の配合量を1.50gに変更する以外は調製例1と同様の方法で調製を行い、導電性ポリマー複合体分散液6を得た。
【0114】
(調製例7)
12.5gのドーパントポリマー1を12.8gのドーパントポリマー7に、8.40gの過硫酸ナトリウムを5.31gの過硫酸アンモニウムに変更し、3,4−エチレンジオキシチオフェンの配合量を2.41g、硫酸第二鉄の配合量を1.50gに変更する以外は調製例1と同様の方法で調製を行い、導電性ポリマー複合体分散液7を得た。
【0115】
(調製例8)
12.5gのドーパントポリマー1を11.0gのドーパントポリマー8に、8.40gの過硫酸ナトリウムを5.31gの過硫酸アンモニウムに変更し、3,4−エチレンジオキシチオフェンの配合量を2.41g、硫酸第二鉄の配合量を1.50gに変更する以外は調製例1と同様の方法で調製を行い、導電性ポリマー複合体分散液8を得た。
【0116】
(調製例9)
12.5gのドーパントポリマー1を10.8gのドーパントポリマー9に、8.40gの過硫酸ナトリウムを5.31gの過硫酸アンモニウムに変更し、3,4−エチレンジオキシチオフェンの配合量を2.41g、硫酸第二鉄の配合量を1.50gに変更する以外は調製例1と同様の方法で調製を行い、導電性ポリマー複合体分散液9を得た。
【0117】
(調製例10)
12.5gのドーパントポリマー1を11.5gのドーパントポリマー10に、8.40gの過硫酸ナトリウムを5.31gの過硫酸アンモニウムに変更し、3,4−エチレンジオキシチオフェンの配合量を2.41g、硫酸第二鉄の配合量を1.50gに変更する以外は調製例1と同様の方法で調製を行い、導電性ポリマー複合体分散液10を得た。
【0118】
(調製例11)
12.5gのドーパントポリマー1を12.8gのドーパントポリマー11に、8.40gの過硫酸ナトリウムを5.31gの過硫酸アンモニウムに変更し、3,4−エチレンジオキシチオフェンの配合量を2.41g、硫酸第二鉄の配合量を1.50gに変更する以外は調製例1と同様の方法で調製を行い、導電性ポリマー複合体分散液11を得た。
【0119】
(調製例12)
4.65gの3,4−エチレンジチオチオフェンと、10.0gのドーパントポリマー2を1,000mLの超純水に溶かした溶液とを30℃で混合した。
これにより得られた混合溶液を30℃に保ち、撹拌しながら、100mLの超純水に溶かした8.40gの過硫酸ナトリウムと2.3gの硫酸第二鉄の酸化触媒溶液とをゆっくり添加し、4時間撹拌して反応させた。
得られた反応液に1,000mLの超純水を添加し、限外濾過法を用いて約1,000mLの溶液を除去した。この操作を3回繰り返した。
そして、上記濾過処理が行われた処理液に200mLの10質量%に希釈した硫酸と2,000mLのイオン交換水を加え、限外濾過法を用いて約2,000mLの処理液を除去し、これに2,000mLのイオン交換水を加え、限外濾過法を用いて約2,000mLの液を除去した。この操作を3回繰り返した。
さらに、得られた処理液に2,000mLのイオン交換水を加え、限外濾過法を用いて約2,000mLの処理液を除去した。この操作を5回繰り返し、1.3質量%の青色の導電性ポリマー複合体分散液12を得た。
【0120】
(調製例13)
3.87gの3,4−ジメトキシチオフェンと、10.0gのドーパントポリマー2を1,000mLの超純水に溶かした溶液とを30℃で混合した。
これにより得られた混合溶液を30℃に保ち、撹拌しながら、100mLの超純水に溶かした8.40gの過硫酸ナトリウムと2.3gの硫酸第二鉄の酸化触媒溶液とをゆっくり添加し、4時間撹拌して反応させた。
得られた反応液に1,000mLの超純水を添加し、限外濾過法を用いて約1,000mLの溶液を除去した。この操作を3回繰り返した。
そして、上記濾過処理が行われた処理液に200mLの10質量%に希釈した硫酸と2,000mLのイオン交換水を加え、限外濾過法を用いて約2,000mLの処理液を除去し、これに2,000mLのイオン交換水を加え、限外濾過法を用いて約2,000mLの液を除去した。この操作を3回繰り返した。
さらに、得られた処理液に2,000mLのイオン交換水を加え、限外濾過法を用いて約2,000mLの処理液を除去した。この操作を5回繰り返し、1.3質量%の青色の導電性ポリマー複合体分散液13を得た。
【0121】
(調製例14)
4.62gの(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イル)メタノールと、10.0gのドーパントポリマー2を1,000mLの超純水に溶かした溶液とを30℃で混合した。
これにより得られた混合溶液を30℃に保ち、撹拌しながら、100mLの超純水に溶かした8.40gの過硫酸ナトリウムと2.3gの硫酸第二鉄の酸化触媒溶液とをゆっくり添加し、4時間撹拌して反応させた。
得られた反応液に1,000mLの超純水を添加し、限外濾過法を用いて約1,000mLの溶液を除去した。この操作を3回繰り返した。
そして、上記濾過処理が行われた処理液に200mLの10質量%に希釈した硫酸と2,000mLのイオン交換水を加え、限外濾過法を用いて約2,000mLの処理液を除去し、これに2,000mLのイオン交換水を加え、限外濾過法を用いて約2,000mLの液を除去した。この操作を3回繰り返した。
さらに、得られた処理液に2,000mLのイオン交換水を加え、限外濾過法を用いて約2,000mLの処理液を除去した。この操作を5回繰り返し、1.3質量%の青色の導電性ポリマー複合体分散液14を得た。
【0122】
(調製例15)
4.16gの3,4−プロピレンジオキシチオチオフェンと、10.0gのドーパントポリマー2を1,000mLの超純水に溶かした溶液とを30℃で混合した。
これにより得られた混合溶液を30℃に保ち、撹拌しながら、100mLの超純水に溶かした8.40gの過硫酸ナトリウムと2.3gの硫酸第二鉄の酸化触媒溶液とをゆっくり添加し、4時間撹拌して反応させた。
得られた反応液に1,000mLの超純水を添加し、限外濾過法を用いて約1,000mLの溶液を除去した。この操作を3回繰り返した。
そして、上記濾過処理が行われた処理液に200mLの10質量%に希釈した硫酸と2,000mLのイオン交換水を加え、限外濾過法を用いて約2,000mLの処理液を除去し、これに2,000mLのイオン交換水を加え、限外濾過法を用いて約2,000mLの液を除去した。この操作を3回繰り返した。
さらに、得られた処理液に2,000mLのイオン交換水を加え、限外濾過法を用いて約2,000mLの処理液を除去した。この操作を5回繰り返し、1.3質量%の青色の導電性ポリマー複合体分散液15を得た。
【0123】
[π共役系ポリマーとしてポリアニリンを含む導電性ポリマー複合体分散液の調製]
(調製例16)
27.3gの2−メトキシアニリンと、48.4gのドーパントポリマー1を1,000mLの超純水に溶かした溶液とを25℃で混合した。
これにより得られた混合溶液を0℃に保ち、撹拌しながら、200mLの超純水に溶かした45.8gの過硫酸アンモニウムをゆっくり添加し、撹拌して反応させた。
得られた反応液を濃縮後にアセトン4,000mLに滴下し、緑色粉末を得た。この緑色粉末を再度1,000mLの超純水に分散させ、アセトン4,000mLに滴下することで緑色粉末を精製、再晶出させた。この操作を3回繰り返し、得られた緑色粉末を2,000mLの超純水に再分散させ、限外濾過法を用いて約1,000mLの水を除去した。この操作を10回繰り返し、導電性ポリマー複合体分散液16を得た。
【0124】
(調製例17)
48.4gのドーパントポリマー1を41.7gのドーパントポリマー2に変更する以外は調製例16と同様の方法で調製を行い、導電性ポリマー複合体分散液17を得た。
【0125】
(調製例18)
48.4gのドーパントポリマー1を42.3gのドーパントポリマー3に変更し、2−メトキシアニリンの配合量を27.5gに変更する以外は調製例16と同様の方法で調製を行い、導電性ポリマー複合体分散液18を得た。
【0126】
(調製例19)
48.4gのドーパントポリマー1を52.4gのドーパントポリマー4に変更し、2−メトキシアニリンの配合量を27.5gに変更する以外は調製例16と同様の方法で調製を行い、導電性ポリマー複合体分散液19を得た。
【0127】
(調製例20)
48.4gのドーパントポリマー1を49.4gのドーパントポリマー5に変更し、2−メトキシアニリンの配合量を27.5gに変更する以外は調製例16と同様の方法で調製を行い、導電性ポリマー複合体分散液20を得た。
【0128】
[ドーパントポリマーとしてポリスチレンスルホン酸を含む導電性ポリマー複合体分散液の調製]
(比較調製例1)
5.0gの3,4−エチレンジオキシチオフェンと、83.3gのポリスチレンスルホン酸水溶液(Aldrich製18.0質量%)を250mLのイオン交換水で希釈した溶液とを30℃で混合した。それ以外は調製例1と同様の方法で調製を行い、1.3質量%の青色の導電性ポリマー複合体分散液21(PEDOT−PSS分散液)を得た。
【0129】
(比較調製例2)
27.3gの2−メトキシアニリンと、226gのポリスチレンスルホン酸水溶液(Aldrich製18.0質量%)を400mLのイオン交換水に溶かした溶液とを0℃で混合した。それ以外は調製例16と同様の方法で調製を行い、導電性ポリマー複合体分散液22を得た。
【0130】
[実施例]
調製例1〜20で得た1.3質量%の導電性ポリマー複合体分散液1〜20を20g、ジメチルスルホキシド5g、界面活性剤兼消泡剤のサーフィノール465の0.5gをそれぞれ混合し、その後、孔径0.45μmの再生セルロースフィルター(ADVANTEC社製)を用いて濾過して導電性ポリマー組成物を調製し、それぞれ実施例1〜20とした。
【0131】
[比較例]
比較調製例1、2で得た導電性ポリマー複合体分散液21、22を用いる以外は実施例と同様にして導電性ポリマー組成物を調製して、それぞれ比較例1、2とした。
【0132】
上述のようにして調製した実施例及び比較例の導電性ポリマー組成物を以下のように評価した。
【0133】
(濾過性)
上記の実施例および比較例の導電性ポリマー組成物の調製において、孔径0.45μmの再生セルロースフィルターを用いて濾過を行った際に、濾過できたものを○、フィルターが目詰まりを起こし濾過できなかったものを×として表1及び表2に示す。
【0134】
(塗布性)
まず、導電性ポリマー組成物を、1H−360S SPINCOATER(MIKASA製)を用いて膜厚が100±5nmとなるように、Siウエハー上に回転塗布(スピンコート)した。次に、精密高温機にて120℃、5分間ベークを行い、溶媒を除去することにより導電膜を得た。この導電膜に対して、入射角度可変の分光エリプソメーター VASE(J.A.ウーラム社製)で波長636nmにおける屈折率(n,k)を求めた。均一膜を形成できたものを○、屈折率の測定はできたが膜にパーティクル由来の欠陥や部分的にストリエーションが発生したものを×として表1及び表2に示す。
【0135】
(透過率)
入射角度可変の分光エリプソメーター(VASE)によって測定された屈折率(k)より、FT=200nmにおける波長550nmの光線に対する透過率を算出した。その結果を表1に示す。
【0136】
(導電率)
まず、直径4インチ(100mm)のSiO
2ウエハー上に、導電性ポリマー組成物1.0mLを滴下後、10秒後にスピンナーを用いて全体に回転塗布した。回転塗布条件は膜厚が100±5nmとなるよう調節した。精密高温機にて120℃、5分間ベークを行い、溶媒を除去することにより導電膜を得た。
得られた導電膜の導電率(S/cm)は、Hiresta−UP MCP−HT450、Loresta−GP MCP−T610(いずれも三菱化学社製)を用いて測定した表面抵抗率(Ω/□)と膜厚の実測値から求めた。その結果を表1及び表2に示す。
【0137】
(表面ラフネス)
導電率の評価方法と同様にして、直径4インチ(100mm)のSiO
2ウエハー上に導電膜を得た。AFM NANO−IM−8(イメージメトロロジー社製)により、RMS(二乗平均平方根粗さ)を測定した。その結果を表1及び表2に示す。
【0138】
(粘度)
導電性ポリマー組成物の固形分含有量を1.3wt%とし、液温度が25℃になるように調節した。音叉型振動式粘度計 SV−10(エー・アンド・デイ社製)の付属専用測定セルに35mLを計りとり、調製直後の粘度を測定した。その結果を表1及び表2に示す。
【0139】
[π共役系ポリマーとしてポリチオフェンを含む導電性ポリマー組成物の評価]
【表1】
【0140】
表1に示すように、π共役系ポリマーとしてポリチオフェンを含み、かつ繰り返し単位aを有するドーパントポリマーを含む実施例1〜15は、濾過性が良好であり、またスピンコーターによる塗布で均一な塗膜を得ることができた。また、導電性が高く、λ=550nmの可視光に対する透過率も良好であり、表面ラフネスも良好であった。
【0141】
一方、繰り返し単位aを有さないポリスチレンスルホン酸をドーパントポリマーとして用いた比較例1は、高粘度であるために濾過性が不良で、結果としてスピンコートにおいては膜上にパーティクルや気泡に起因するストリエーションが発生し、均一な塗膜を得ることができなかった。また、導電性は高いものの、λ=550nmの可視光に対する透過率、表面ラフネスは実施例1〜15に比べて劣っていた。
【0142】
[π共役系ポリマーとしてポリアニリンを含む導電性ポリマー組成物の評価]
【表2】
【0143】
表2に示すように、π共役系ポリマーとしてポリアニリンを含み、かつ繰り返し単位aを有するドーパントポリマーを含む実施例16〜20は、濾過性が良好であり、またスピンコーターによる塗布で均一な塗膜を得ることができ、塗布後の膜表面のラフネスは比較例2に比べ小さい値であった。
また、導電性はπ共役系ポリマーとしてポリチオフェンを含む上述の実施例1〜15には劣るものの比較例2とは同程度であった。
【0144】
以上のように、本発明の導電性ポリマー複合体であれば、低粘性で濾過性が良好であり、スピンコートでの成膜性が良く、また膜を形成する際には透明性、平坦性、耐久性、及び導電性の良好な導電膜およびホール注入層を形成できることが明らかとなった。
【0145】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。