特許第6335288号(P6335288)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6335288有機化合物、有機光電子素子および表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6335288
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】有機化合物、有機光電子素子および表示装置
(51)【国際特許分類】
   C07D 213/16 20060101AFI20180521BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20180521BHJP
   C07D 251/24 20060101ALI20180521BHJP
   C07D 405/04 20060101ALI20180521BHJP
   C07D 409/04 20060101ALI20180521BHJP
   C07D 239/26 20060101ALI20180521BHJP
   C07D 405/10 20060101ALI20180521BHJP
   C07D 409/10 20060101ALI20180521BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   C07D213/16
   H05B33/14 B
   H05B33/22 B
   H05B33/22 D
   C07D251/24CSP
   C07D405/04
   C07D409/04
   C07D239/26
   C07D405/10
   C07D409/10
   C09K11/06 690
【請求項の数】12
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2016-525262(P2016-525262)
(86)(22)【出願日】2014年2月20日
(65)【公表番号】特表2016-525512(P2016-525512A)
(43)【公表日】2016年8月25日
(86)【国際出願番号】KR2014001391
(87)【国際公開番号】WO2015005559
(87)【国際公開日】20150115
【審査請求日】2016年12月1日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0081176
(32)【優先日】2013年7月10日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514278061
【氏名又は名称】サムスン エスディアイ カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】イ,ハン−イル
(72)【発明者】
【氏名】シン,チ−ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】リュ,トン−キュ
(72)【発明者】
【氏名】ユ,ウン−ソン
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ス−チン
(72)【発明者】
【氏名】ホン,チン−ソク
【審査官】 伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/009079(WO,A1)
【文献】 特開2013−010703(JP,A)
【文献】 特開2012−131752(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0048975(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
H05B
C09K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式1で表される部分と化学式2で表される部分との組み合わせで表される有機化合物。
【化1】
(前記化学式1または化学式2中、
Xは、CR、SiR、O、S、SOまたはSOであり、
Zは、それぞれ独立して、NまたはCRであり、
Zのうちの少なくとも一つは、Nであり、
〜RおよびR〜Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1〜C20アルキル基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基、または置換もしくは非置換のC3〜C30ヘテロアリール基であり、
Lは、置換もしくは非置換のC1〜C20アルキレン基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリーレン基、または置換もしくは非置換のC3〜C30ヘテロアリーレン基であり、
n1〜n3は、それぞれ独立して、0または1であり、
前記化学式1の隣接した二つの*は、前記化学式2の二つの*と結合して融合環を形成する。)
【請求項2】
下記の化学式3または下記の化学式4で表される、請求項1に記載の有機化合物。
【化2】
(前記化学式3または化学式4中、
Xは、CR、SiR、O、S、SOまたはSOであり、
Zは、それぞれ独立して、NまたはCRであり、
Zのうちの少なくとも一つは、Nであり、
〜RおよびR〜Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1〜C20アルキル基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基、または置換もしくは非置換のC3〜C30ヘテロアリール基であり、
Lは、置換もしくは非置換のC1〜C20アルキレン基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリーレン基、または置換もしくは非置換のC3〜C30ヘテロアリーレン基であり、
n1〜n3は、それぞれ独立して、0または1である。)
【請求項3】
前記化学式2で表される部分は、下記の化学式2−I〜化学式2−IIIのうちの一つで表される、請求項1に記載の有機化合物。
【化3】
(前記化学式2−I〜化学式2−III中、
およびXは、それぞれ独立して、CRまたはSiRであり、
は、O、S、SOまたはSOであり、
Zは、それぞれ独立して、NまたはCRであり、
Zのうちの少なくとも一つは、Nであり、
〜RとR〜Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1〜C20アルキル基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基、または置換もしくは非置換のC3〜C30ヘテロアリール基であり、
Lは、置換もしくは非置換のC1〜C20アルキレン基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリーレン基、または置換もしくは非置換のC3〜C30ヘテロアリーレン基であり、
n1〜n3は、それぞれ独立して、0または1である。
前記化学式2−I〜2−III中の二つの*は、前記化学式1の隣接した二つの*と結合して融合環を形成する。)
【請求項4】
前記化学式2で表される部分は、下記の化学式2aと下記グループ1から選択された一つとの組み合わせで表される、請求項1に記載の有機化合物。
【化4】
【化5】
(前記化学式2aまたはグループ1中、
Xは、CR、SiR、O、S、SOまたはSOであり、
〜Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1〜C20アルキル基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基、または置換もしくは非置換のC3〜C30ヘテロアリール基であり、
Lは、置換もしくは非置換のC1〜C20アルキレン基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリーレン基、または置換もしくは非置換のC3〜C30ヘテロアリーレン基であり、
n1は、0または1である。)
【請求項5】
〜Rは、それぞれ独立して、水素、重水素または置換もしくは非置換のC1〜C20アルキル基である、請求項1に記載の有機化合物。
【請求項6】
下記グループ2に羅列された、請求項1に記載の有機化合物。
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【請求項7】
−2.0〜−2.5eVのLUMOエネルギーを有する、請求項1に記載の有機化合物。
【請求項8】
互いに向き合う陽極および陰極と、
前記陽極と前記陰極との間に位置する少なくとも1層の有機層と、
を含み、
前記有機層は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の有機化合物を含む有機光電子素子。
【請求項9】
前記有機層は、発光層を含み、
前記発光層は、前記有機化合物を含む、請求項8に記載の有機光電子素子。
【請求項10】
前記有機化合物は、前記発光層のホストとして含まれる、請求項8に記載の有機光電子素子。
【請求項11】
前記有機層は、正孔注入層、正孔輸送層、電子遮断層、電子輸送層、電子注入層および正孔遮断層から選択された少なくとも一つの補助層を含み、
前記補助層は、前記有機化合物を含む、請求項8に記載の有機光電子素子。
【請求項12】
請求項8に記載の有機光電子素子を含む表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機化合物、有機光電子素子および表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機光電子素子(organic optoelectric diode)とは、電気エネルギーと光エネルギーとを相互変換することができる素子である。
【0003】
有機光電子素子は、動作原理に応じて大きく2種類に分けることができる。一つは、光エネルギーにより形成されたエキシトン(exciton)が電子と正孔に分離され、前記電子と正孔がそれぞれ異なる電極に伝達されて電気エネルギーを発生する光電素子であり、他の一つは、電極に電圧または電流を供給して電気エネルギーから光エネルギーを発生する発光素子である。
【0004】
有機光電子素子の例としては、有機光電素子、有機発光素子、有機太陽電池および有機感光体ドラム(organic photo conductor drum)などが挙げられる。
【0005】
このうち、有機発光素子(organic light emitting diode、OLED)は、近年、平板表示装置(flat panel display device)の需要増加に伴って大きく注目されている。前記有機発光素子は、有機発光材料に電流を加えて電気エネルギーを光に変換させる素子であって、通常、陽極(anode)と陰極(cathode)との間に有機層が挿入された構造からなる。ここで有機層は、発光層と選択的に補助層を含むことができ、前記補助層は、例えば有機発光素子の効率と安全性を高めるための正孔注入層、正孔輸送層、電子遮断層、電子輸送層、電子注入層および正孔遮断層から選択された少なくとも1層を含むことができる。
【0006】
有機発光素子の性能は、前記有機層の特性により影響を多く受け、その中でも前記有機層に含まれている有機材料により影響を多く受けている。
【0007】
特に、前記有機発光素子が大型の平板表示装置に適用されるためには、正孔および電子の移動性を高めると同時に、電気化学的安全性を高めることができる有機材料の開発が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一実施形態の目的は、高効率および長寿命の有機光電子素子を実現することができる有機化合物を提供することにある。
【0009】
本発明の他の実施形態の目的は、前記有機化合物を含む有機光電子素子を提供することにある。
【0010】
本発明のまた他の実施形態の目的は、前記有機光電子素子を含む表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態によれば、下記の化学式1で表される部分と化学式2で表される部分との組み合わせで表される有機化合物を提供する。
【0012】
【化1】
【0013】
前記化学式1または化学式2中、
Xは、CR、SiR、O、S、SOまたはSOであり、
Zは、それぞれ独立して、NまたはCRであり、
Zのうちの少なくとも一つは、Nであり、
〜RおよびR〜Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1〜C20アルキル基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基、置換もしくは非置換のC3〜C30ヘテロアリール基またはこれらの組み合わせであり、
Lは、置換もしくは非置換のC1〜C20アルキレン基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリーレン基、置換もしくは非置換のC3〜C30ヘテロアリーレン基またはこれらの組み合わせであり、
n1〜n3は、それぞれ独立して、0または1であり、
前記化学式1の隣接した二つの*は、前記化学式2の二つの*と結合して融合環を形成する。
【0014】
本発明の他の実施形態によれば、互いに向き合う陽極および陰極と、前記陽極と前記陰極との間に位置する少なくとも1層の有機層と、を含み、前記有機層は、前記有機化合物を含む有機光電子素子を提供する。
【0015】
本発明のまた他の実施形態によれば、前記有機光電子素子を含む表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、高効率および長寿命の有機光電子素子を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る有機発光素子を示した断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る有機発光素子を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、これは例示として提示されるものに過ぎず、本発明は、これによって制限されず、特許請求の範囲の範疇のみによって定義される。
【0019】
本明細書で「置換」とは、別途の定義がない限り、置換基または化合物のうちの少なくとも一つの水素が重水素、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アミノ基、置換もしくは非置換のC1〜C30アミン基、ニトロ基、置換もしくは非置換のC1〜C40シリル基、C1〜C30アルキル基、C1〜C10アルキルシリル基、C3〜C30シクロアルキル基、C3〜C30ヘテロシクロアルキル基、C6〜C30アリール基、C6〜C30ヘテロアリール基、C1〜C20アルコキシ基、フルオロ基、トリフルオロメチル基などのC1〜C10トリフルオロアルキル基またはシアノ基で置換されたことを意味する。
【0020】
また、前記置換されたハロゲン基、ヒドロキシ基、アミノ基、置換もしくは非置換のC1〜C20アミン基、ニトロ基、置換もしくは非置換のC3〜C40シリル基、C1〜C30アルキル基、C1〜C10アルキルシリル基、C3〜C30シクロアルキル基、C3〜C30ヘテロシクロアルキル基、C6〜C30アリール基、C6〜C30ヘテロアリール基、C1〜C20アルコキシ基、フルオロ基、トリフルオロメチル基などのC1〜C10トリフルオロアルキル基またはシアノ基のうちの隣接した二つの置換基が融合して環を形成することもできる。例えば、前記置換されたC6〜C30アリール基は、隣接した他の置換されたC6〜C30アリール基と融合して置換もしくは非置換のフルオレン環を形成することができる。
【0021】
本明細書で「ヘテロ」とは、別途の定義がない限り、一つの作用基内にN、O、S、PおよびSiからなる群より選択されるヘテロ原子を1〜3個含有し、残りは炭素であるものを意味する。
【0022】
本明細書で「これらの組み合わせ」とは、別途の定義がない限り、二つ以上の置換基が連結基で結合されていたり、二つ以上の置換基が縮合して結合されているものを意味する。
【0023】
本明細書で「アルキル(alkyl)基」とは、別途の定義がない限り、脂肪族炭化水素基を意味する。アルキル基は、いかなる二重結合や三重結合を含んでいない「飽和アルキル(saturated alkyl)基」であってもよい。
【0024】
前記アルキル基は、C1〜C30のアルキル基であってもよい。より具体的にアルキル基は、C1〜C20アルキル基またはC1〜C10アルキル基でもあってもよい。例えば、C1〜C4アルキル基は、アルキル鎖に1〜4個の炭素原子が含まれるものを意味し、メチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチルおよびt−ブチルからなる群より選択されるものを示す。
【0025】
前記アルキル基は、具体的な例を挙げると、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを意味する。
【0026】
本明細書で「アリール(aryl)基」とは、環状の置換基のすべての元素がp−オービタルを有しており、これらのp−オービタルが共役(conjugation)を形成している置換基を意味し、モノサイクリック、ポリサイクリックまたは融合環ポリサイクリック(つまり、炭素原子の隣接した対を共有する環)作用基を含む。
【0027】
本明細書で「ヘテロアリール(heteroaryl)基」とは、アリール基内にN、O、S、PおよびSiからなる群より選択されるヘテロ原子を1〜3個含有し、残りは炭素であるものを意味する。前記ヘテロアリール基が融合環である場合、それぞれの環ごとに前記ヘテロ原子を1〜3個含むことができる。
【0028】
より具体的に、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基および/または置換もしくは非置換のC2〜C30ヘテロアリール基は、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のアントラセニル基、置換もしくは非置換のフェナントリル基、置換もしくは非置換のナプタセニル基、置換もしくは非置換のピレニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のp−ターフェニル基、置換もしくは非置換のm−ターフェニル基、置換もしくは非置換のクリセニル基、置換もしくは非置換のトリフェニレニル基、置換もしくは非置換のペリレニル基、置換もしくは非置換のインデニル基、置換もしくは非置換のフラニル基、置換もしくは非置換のチオフェニル基、置換もしくは非置換のピロリル基、置換もしくは非置換のピラゾリル基、置換もしくは非置換のイミダゾリル基、置換もしくは非置換のトリアゾリル基、置換もしくは非置換のオキサゾリル基、置換もしくは非置換のチアゾリル基、置換もしくは非置換のオキサジアゾリル基、置換もしくは非置換のチアジアゾリル基、置換もしくは非置換のピリジル基、置換もしくは非置換のピリミジニル基、置換もしくは非置換のピラジニル基、置換もしくは非置換のトリアジニル基、置換もしくは非置換のベンゾフラニル基、置換もしくは非置換のベンゾチオフェニル基、置換もしくは非置換のベンズイミダゾリル基、置換もしくは非置換のインドリル基、置換もしくは非置換のキノリニル基、置換もしくは非置換のイソキノリニル基、置換もしくは非置換のキナゾリニル基、置換もしくは非置換のキノキサリニル基、置換もしくは非置換のナフチリジニル基、置換もしくは非置換のベンズオキサジニル基、置換もしくは非置換のベンズチアジニル基、置換もしくは非置換のアクリジニル基、置換もしくは非置換のフェナジニル基、置換もしくは非置換のフェノチアジニル基、置換もしくは非置換のフェノキサジニル基、置換もしくは非置換のフルオレニル基、置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基、置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基、置換もしくは非置換のカルバゾール基またはこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
【0029】
本明細書で、正孔特性とは、電場(electric field)を加えた時、電子を供与して正孔を形成することができる特性をいい、HOMO準位に応じて伝導特性を有して陽極で形成された正孔の発光層への注入、発光層で形成された正孔の陽極への移動および発光層での移動を容易にする特性を意味する。
【0030】
また電子特性とは、電場を加えた時、電子を受けることができる特性をいい、LUMO準位に応じて伝導特性を有して陰極で形成された電子の発光層への注入、発光層で形成された電子の陰極への移動および発光層での移動を容易にする特性を意味する。
【0031】
以下、本発明の一実施形態に係る有機化合物を説明する。
【0032】
本発明の一実施形態に係る有機化合物は、下記の化学式1で表される部分と化学式2で表される部分との組み合わせで表される。
【0033】
【化2】
【0034】
前記化学式1または化学式2中、
Xは、CR、SiR、O、S、SOまたはSOであり、
Zは、それぞれ独立して、NまたはCRであり、
Zのうちの少なくとも一つは、Nであり、
〜RおよびR〜Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のC1〜C20アルキル基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリール基、置換もしくは非置換のC3〜C30ヘテロアリール基またはこれらの組み合わせであり、
Lは、置換もしくは非置換のC1〜C20アルキレン基、置換もしくは非置換のC6〜C30アリーレン基、置換もしくは非置換のC3〜C30ヘテロアリーレン基またはこれらの組み合わせであり、
n1〜n3は、それぞれ独立して、0または1であり、
前記化学式1の隣接した二つの*は、前記化学式2の二つの*と結合して融合環を形成する。
【0035】
前記有機化合物は、前記化学式1で表される部分と前記化学式2で表される部分との結合位置によって、例えば、下記の化学式3または下記の化学式4で表され得る。
【0036】
【化3】
【0037】
前記化学式3または化学式4中、
X、Z、R〜RおよびR〜R、L、n1〜n3の定義は、前述したとおりである。
【0038】
前記有機化合物は、インデノトリフェニレン(indenotriphenylene)と少なくとも一つの窒素含有ヘテロアリール基とを含む。
【0039】
前記有機化合物は、少なくとも一つの窒素を含有する環を含むことによって、電場の印加時に電子を受けやすい構造になることができ、そのため、前記有機化合物を適用した有機光電子素子の駆動電圧を下げることができる。
【0040】
また、前記有機化合物は、正孔を受けやすいインデノトリフェニレン部分と電子を受けやすい窒素含有環部分とを共に含むことによって、バイポーラ(bipolar)構造を形成して正孔および電子の流れを適切にバランスを取ることができ、そのため、前記有機化合物を適用した有機光電子素子の効率を改善することができる。
【0041】
また、前記有機化合物は、正孔を受けやすいインデノトリフェニレン部分と電子を受けやすい部分とを適切に区域化(localization)し、共役系の流れを制御することによって、優れたバイポーラ(bipolar)特性を示すことができる。これによって、前記有機化合物を適用した有機光電子素子の寿命を改善することができる。
【0042】
また、前記有機化合物は、有機化合物のスタッキング(stacking)を効果的に防止できる構造を有することによって、加工安定性を低めると同時に、蒸着温度を低めることができる。
【0043】
前記化学式2で表される部分は、例えば、下記の化学式2−I〜化学式2−IIIのうちの一つで表され得る。
【0044】
【化4】
【0045】
前記化学式2−I〜化学式2−III中、
、X、X、Z、R〜R、R〜R、L、n1〜n3の定義は、前述したとおりである。
【0046】
本発明の一実施形態において、前記化学式2−I〜化学式2−III中、XおよびXは、それぞれ独立して、CRまたはSiRであり、Xは、O、S、SOまたはSOであり、Z、R〜R、R〜R、L、n1〜n3の定義は、前述したとおりである。
【0047】
前記化学式2−I〜2−IIIの二つの*は、前記化学式1の隣接した二つの*と結合して融合環を形成する。
【0048】
前記化学式2は、例えば、下記の化学式2aと下記グループ1から選択された一つとの組み合わせで表され得る。
【0049】
【化5】
【0050】
【化6】
【0051】
前記化学式2aまたはグループ1中、X、R〜R、Lおよびn1の定義は、前述したとおりである。
【0052】
前記化学式2のLは、例えば、置換もしくは非置換のC6〜C30アリーレン基であってもよく、例えば、置換もしくは非置換のフェニレン基、置換もしくは非置換のビフェニレン基または置換もしくは非置換のターフェニレン基であってもよいが、これに限定されない。
【0053】
一例として、化学式1のR〜Rは、それぞれ独立して、水素、重水素または置換もしくは非置換のC1〜C20アルキル基であってもよい。
【0054】
前記有機化合物は、例えば、下記グループ2に羅列された化合物であってもよいが、これに限定されない。
【0055】
【化7】
【0056】
【化8】
【0057】
【化9】
【0058】
【化10】
【0059】
【化11】
【0060】
前記有機化合物は、約−2.0〜−2.5eVのLUMOエネルギーを有することができる。前記範囲のLUMOエネルギーを有することによって電子注入特性を高めることができる。
【0061】
以下、上述した有機化合物を適用した有機光電子素子について説明する。
【0062】
前記有機光電子素子は、電気エネルギーと光エネルギーとを相互変換することができる素子であれば特に限定されず、例えば、有機光電素子、有機発光素子、有機太陽電池および有機感光体ドラムなどが挙げられる。
【0063】
ここでは有機光電子素子の一例である有機発光素子を図面を参照して説明する。
【0064】
図1および図2は、本発明の一実施形態に係る有機発光素子を示す断面図である。
【0065】
図1を参照すれば、本発明の一実施形態に係る有機発光素子100は、互いに向き合う陽極120および陰極110と、陽極120と陰極110との間に位置する有機層105とを含む。
【0066】
陽極120は、例えば、正孔注入が円滑に行われるように仕事関数が高い導電体で作られてもよく、例えば、金属、金属酸化物および/または導電性高分子で作られてもよい。陽極120は、例えば、ニッケル、白金、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金のような金属またはこれらの合金が挙げられ、亜鉛酸化物、インジウム酸化物、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)のような金属酸化物が挙げられ、ZnOとAlまたはSnOとSbのような金属と酸化物の組み合わせが挙げられ、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3,4−(エチレン−1,2−ジオキシ)チオフェン)(polyehtylenedioxythiophene:PEDT)、ポリピロールおよびポリアニリンのような導電性高分子などが挙げられるが、これに限定されない。
【0067】
陰極110は、例えば、電子注入が円滑に行われるように仕事関数が低い導電体で作られてもよく、例えば、金属、金属酸化物および/または導電性高分子で作られてもよい。陰極110は、例えば、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタン、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、錫、鉛、セシウム、バリウムなどのような金属またはこれらの合金が挙げられ、LiF/Al、LiO/Al、LiF/Ca、LiF/AlおよびBaF/Caのような多層構造物質が挙げられるが、これに限定されない。
【0068】
有機層105は、前述した有機化合物を含む発光層130を含む。
【0069】
発光層130は、例えば、前述した有機化合物を単独で含むこともでき、前述した有機化合物のうちの少なくとも2種類を混合して含むこともでき、前述した有機化合物と他の化合物を混合して含むこともできる。前述した有機化合物と他の化合物を混合して含む場合、例えば、ホスト(host)とドーパント(dopant)の形態で含まれてもよく、前述した有機化合物は、例えば、ホストとして含まれてもよい。前記ホストは、例えば、燐光ホストまたは蛍光ホストであり、例えば、燐光ホストであってもよい。
【0070】
前述した有機化合物がホストとして含まれる場合、ドーパントは、無機、有機、有無機化合物であってもよく、公知のドーパントの中から選択されてもよい。
【0071】
図2を参照すれば、有機発光素子200は、発光層130以外に正孔補助層140をさらに含む。正孔補助層140は、陽極120と発光層130との間の正孔注入および/または正孔移動性を一層高め、電子を遮断することができる。正孔補助層140は、例えば、正孔輸送層、正孔注入層および/または電子遮断層であってもよく、少なくとも1層を含むことができる。前述した有機化合物は、発光層130および/または正孔補助層140に含まれてもよい。
【0072】
また、本発明の一実施形態では、図1または図2で有機層105として追加的に補助電子輸送層、電子輸送層、電子注入層、補助正孔輸送層、正孔注入層などをさらに含む有機発光素子であってもよい。前述した有機化合物は、発光層130および/または正孔補助層140に含まれるか、または追加的に含まれている補助電子輸送層、電子輸送層、電子注入層、補助正孔輸送層および/または正孔注入層に含まれてもよい。
【0073】
有機発光素子100、200は、基板上に陽極または陰極を形成した後、真空蒸着法(evaporation)、スパッタリング(sputtering)、プラズマメッキおよびイオンメッキのような乾式成膜法、またはスピンコーティング(spin coating)、スリットコーティング(slit coating)、浸漬法(dipping)、流動コーティング法(flow coating)およびインクジェット印刷(inkjet printing)のような湿式成膜法などで有機層を形成した後、その上に陰極または陽極を形成して製造することができる。
【0074】
上述した有機発光素子は、有機発光表示装置に適用され得る。
【実施例】
【0075】
[実施例]
以下、本発明の具体的な実施例を提示する。ただし、下記に記載された実施例は、本発明を具体的に例示したり説明するためのものに過ぎず、これによって本発明が制限されてはならない。
【0076】
(中間体の合成)
合成例1:中間体I−1の合成
【0077】
【化12】
【0078】
窒素環境で2−ブロモトリフェニレン(2−bromotriphenylene)100g(326mmol)をジメチルホルムアミド(dimethylformamide、DMF)1,000mLに溶かした後、ここにビス(ピナコラト)ジボロン(bis(pinacolato)diboron)99.2g(391mmol)と1,1’−ビス(ジフェニルホスフィン)フェロセン)ジクロロパラジウム(II)(1,1−bis(diphenylphosphine)ferrocene)dichloropalladium(II))2.66g(3.26mmol)、そして酢酸カリウム(potassium acetate)80g(815mmol)を入れて150℃で5時間加熱して還流させた。反応完了後、反応液に水を入れて混合物をフィルターした後、真空オーブンで乾燥した。このようにして得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで分離精製して化合物I−1を113g(98%)得た。
【0079】
HRMS (70 eV, EI+):m/z calcd for C24H23BO2:354.1791,found:354.
Elemental Analysis:C,81%;H,7%。
【0080】
合成例2:中間体I−2の合成
【0081】
【化13】
【0082】
窒素環境で化合物I−1 100g(282mmol)をテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran、THF)800mLに溶かした後、ここに2−ブロモフェノール(2−bromophenol)58.5g(338mmol)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(tetrakis(triphenylphosphine)palladium)3.26g(2.82mmol)を入れて攪拌した。水に飽和された炭酸カリウム(potassuim carbonate)97.4g(705mmol)を入れて80℃で12時間加熱して還流させた。反応完了後、反応液に水を入れてジクロロメタン(dichloromethane、DCM)で抽出した後、無水MgSO4で水分を除去した後、フィルターし減圧濃縮した。このようにして得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(flash column chromatography)で分離精製して化合物I−2を77.7g(86%)得た。
【0083】
HRMS (70 eV,EI+):m/z calcd for C24H16O:320.1201,found:320.
Elemental Analysis:C,90%;H,5%。
【0084】
合成例3:中間体I−3の合成
【0085】
【化14】
【0086】
空気環境で化合物I−2 75g(234mmol)をトルエン800mLに溶かした後、ここにパラジウム(II)アセテート(palladium(II) acetate)2.63g(11.7mmol)、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)−1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾール−2−イリデン(1,3−bis(2,6−diisopropylphenyl)−1,3−dihydro−2H−imidazol−2−ylidene)(IPr)9.09g(23.4mmol)、4,5−ジアザフルオレン−9−オン(4,5−diazafluoren−9−one)4.26g(23.4mmol)、ソジウム2,4,6−トリメチルベンゾエート(sodium 2,4,6−trimethylbenzoate)21.8g(117mmol)、炭酸カリウム64.7g(468mmol)、Acrosで購入したMS3A(200mg)、そしてメシチレン(mesitylene)1mLを順次に入れて120℃で24時間加熱して還流させた。反応完了後、反応液に水を入れてジクロロメタン(DCM)で抽出した後、無水MgSO4で水分を除去した後、フィルターし減圧濃縮した。このようにして得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで分離精製して化合物I−3を35.8g(48%)得た。
【0087】
HRMS (70 eV,EI+):m/z calcd for C24H14O:318.1045,found:318.
Elemental Analysis:C,91%;H,4%。
【0088】
合成例4:中間体I−4の製造
【0089】
【化15】
【0090】
窒素環境で化合物I−3 30g(94.2mmol)をテトラヒドロフラン(THF)300mLに溶かした後、−78℃に減温した。ここにヘキサンに溶けているn−BuLi2.5M(57mL、141mmol)を10分にかけて徐々に滴加した。以降、常温で18時間攪拌した。反応完了後、水1N HCl(141mL、141mmol)を添加して反応液を中和させた。そして、酢酸エチル(ethyl acetate、EA)で抽出した後、無水MgSO4で水分を除去した後、このようにして得られた残留物をヘキサンとジクロロメタン(DCM)で不純物を洗い落として化合物I−4を27.0g(79%)得た。
【0091】
HRMS (70 eV,EI+):m/z calcd for C24H15BO3:362.1114,found:362.
Elemental Analysis:C,80%;H,4%。
【0092】
合成例5:中間体I−5の合成
【0093】
【化16】
【0094】
窒素環境で化合物I−1 100g(282mmol)をテトラヒドロフラン(THF)900mLに溶かした後、ここにメチル2−ブロモ−5−クロロベンゾエート(methyl 2−bromo−5−chlorobenzoate)77.4g(310mmol)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム3.26g(2.82mmol)を入れて攪拌した。水に飽和された炭酸カリウム97.4g(705mmol)を入れて80℃で21時間加熱して還流させた。反応完了後、反応液に水を入れてジクロロメタン(DCM)で抽出した後、無水MgSO4で水分を除去した後、フィルターし減圧濃縮した。このようにして得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで分離精製して化合物I−5を112g(94%)得た。
【0095】
HRMS (70 eV,EI+):m/z calcd for C26H17ClO2:396.0917,found:396.
Elemental Analysis:C,79%;H,4%。
【0096】
合成例6:中間体I−6の製造
【0097】
【化17】
【0098】
窒素環境で化合物I−5 110g(277mmol)をテトラヒドロフラン(THF)1,100mLに溶かした後、0℃に減温した。ここにジメチルエーテルに溶けているメチルマグネシウムブロミド(methylmagnesium bromide)3.0M(231mL、693mmol)を1時間かけて徐々に滴加した。以降、常温で17時間攪拌した。反応完了後、水450mLに溶かしたアンモニウムクロリド(ammonium chloride)44.5g(831mmol)を添加して反応液を中和させた。そして、ジクロロメタン(DCM)で抽出した後、無水MgSO4で水分を除去した後、フィルターし減圧濃縮して化合物I−6を109g(99%)得た。
【0099】
HRMS (70 eV,EI+):m/z calcd for C27H21ClO:396.1281,found:396.
Elemental Analysis:C,82%;H,5%。
【0100】
合成例7:中間体I−7の製造
【0101】
【化18】
【0102】
窒素環境で化合物I−6 105g(265mmol)をジクロロメタン(DCM)1,300mLに溶かした後、0℃に減温した。ここにジエチルエーテラート(diethyl etherate)に溶けているボロントリフルオリド(boron trifluoride)56.4g(398mmol)を1時間かけて徐々に滴加した。以降、常温で5時間攪拌した。反応完了後、水0.1Lに溶かした重炭酸ナトリウム(sodium bicarbonate)33.4g(398mmol)を添加して反応液を中和させた。そして、ジクロロメタン(DCM)で抽出した後、無水MgSO4で水分を除去した後、このようにして得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで分離精製して化合物I−7を73.3g(73%)得た。
【0103】
HRMS (70 eV,EI+):m/z calcd for C27H19Cl:378.1175,found:378.
Elemental Analysis:C,86%;H,5%。
【0104】
合成例8:中間体I−8の合成
【0105】
【化19】
【0106】
窒素環境でI−7(70g、185mmol)をジメチルホルムアミド(DMF)600mLに溶かした後、ここにビス(ピナコラト)ジボロン56.3g(222mmol)と1,1’−ビス(ジフェニルホスフィン)フェロセン)ジクロロパラジウム(II)(1,1’−bis(diphenylphosphine)ferrocene)dichloropalladium(II))1.51g(1.85mmol)、そして酢酸カリウム54.5g(555mmol)を入れて150℃で80時間加熱して還流させた。反応完了後、反応液に水を入れて混合物をフィルターした後、真空オーブンで乾燥した。このようにして得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで分離精製して化合物I−8を74.0g(85%)得た。
【0107】
HRMS (70 eV,EI+):m/z calcd for C33H31BO2:470.2417,found:470.
Elemental Analysis:C,84%;H,7%。
【0108】
合成例9:中間体I−9の合成
【0109】
【化20】
【0110】
窒素環境で化合物I−1 100g(282mmol)をテトラヒドロフラン(THF)900mLに溶かした後、ここにメチル2−ブロモ−4−クロロベンゾエート(methyl 2−bromo−4−chlorobenzoate)77.4g(310mmol)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム3.26g(2.82mmol)を入れて攪拌した。水に飽和された炭酸カリウム 97.4g(705mmol)を入れて80℃で24時間加熱して還流させた。反応完了後、反応液に水を入れてジクロロメタン(DCM)で抽出した後、無水MgSO4で水分を除去した後、フィルターし減圧濃縮した。このようにして得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで分離精製して化合物I−9を101g(90%)得た。
【0111】
HRMS (70 eV,EI+):m/z calcd for C26H17ClO2:396.0917,found:396.
Elemental Analysis:C,79%;H,4%。
【0112】
合成例10:中間体I−10の製造
【0113】
【化21】
【0114】
窒素環境で化合物I−9(100g、252mmol)をテトラヒドロフラン(THF)1,000mLに溶かした後、0℃に減温した。ここにジエチルエーテルに溶けているメチルマグネシウムブロミド(methylmagnesium bromide)3.0M(210mL、630mmol)を1時間かけて徐々に滴加した。以降、常温で20時間攪拌した。反応完了後、水400mLに溶かしたアンモニウムクロリド40.4g(756mmol)を添加して反応液を中和させた。そして、ジクロロメタン(DCM)で抽出した後、無水MgSO4で水分を除去した後、フィルターし減圧濃縮して化合物I−6を109g(99%)得た。
【0115】
HRMS (70 eV,EI+):m/z calcd for C27H21ClO:396.1281,found:396.
Elemental Analysis:C,82%;H,5%。
【0116】
合成例11:中間体I−11の製造
【0117】
【化22】
【0118】
窒素環境で化合物I−10 105g(265mmol)をジクロロメタン(DCM)1,300mLに溶かした後、0℃に減温した。ここにジエチルエーテラート(diethyl etherate)に溶けているボロントリフルオリド56.4g(398mmol)を1時間かけて徐々に滴加した。以降、常温で7時間攪拌した。反応完了後、水0.1Lに溶かした重炭酸ナトリウム33.4g(398mmol)を添加して反応液を中和させた。そして、ジクロロメタン(DCM)で抽出した後、無水MgSO4で水分を除去した後、このようにして得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで分離精製して化合物I−11を79.3g(79%)得た。
【0119】
HRMS (70 eV,EI+):m/z calcd for C27H19Cl:378.1175,found:378.
Elemental Analysis:C,86%;H,5%。
【0120】
合成例12:中間体I−12の合成
【0121】
【化23】
【0122】
窒素環境で化合物I−11 70g(185mmol)をジメチルホルムアミド(DMF)600mLに溶かした後、ここにビス(ピナコラト)ジボロン56.3g(222mmol)と1,1’−ビス(ジフェニルホスフィン)フェロセン)ジクロロパラジウム(II)(1,1’−bis(diphenylphosphine)ferrocene)dichloropalladium(II))1.51g(1.85mmol)、そして酢酸カリウム54.5g(555mmol)を入れて150℃で68時間加熱して還流させた。反応完了後、反応液に水を入れて混合物をフィルターした後、真空オーブンで乾燥した。このようにして得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで分離精製して化合物I−12を71.4g(82%)得た。
【0123】
HRMS (70 eV,EI+):m/z calcd for C33H31BO2:470.2417,found:470.
Elemental Analysis:C,84%;H,7%。
【0124】
合成例13:中間体I−13の合成
【0125】
【化24】
【0126】
窒素環境で化合物I−1 100g(282mmol)をテトラヒドロフラン(THF)800mLに溶かした後、ここに2−ブロモベンゼンチオール(2−bromobenzenethiol)63.9g(338mmol)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム3.26g(2.82mmol)を入れて攪拌した。水に飽和された炭酸カリウム97.4g(705mmol)を入れて80℃で9時間加熱して還流させた。反応完了後、反応液に水を入れてジクロロメタン(DCM)で抽出した後、無水MgSO4で水分を除去した後、フィルターし減圧濃縮した。このようにして得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで分離精製して化合物I−13を85.4g(90%)得た。
【0127】
HRMS (70 eV,EI+):m/z calcd for C24H16S:336.0973,found:336.
Elemental Analysis:C,86%;H,5%。
【0128】
合成例14:中間体I−14の合成
【0129】
【化25】
【0130】
空気環境で化合物I−13 78.7g(234mmol)をトルエン800mLに溶かした後、ここにパラジウム(II)アセテート2.63g(11.7mmol)、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)−1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾール−2−イリデン(IPr)9.09g(23.4mmol)、4,5−ジアザフルオレン−9−オン4.26g(23.4mmol)、ソジウム2,4,6−トリメチルベンゾエート21.8g(117mmol)、炭酸カリウム64.7g(468mmol)、Acrosで購入したMS3A(200mg)、そしてメシチレン1mLを順次に入れて120℃で24時間加熱して還流させた。反応完了後、反応液に水を入れてジクロロメタン(DCM)で抽出した後、無水MgSO4で水分を除去した後、フィルターし減圧濃縮した。このようにして得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで分離精製して化合物I−14を33.7g(43%)得た。
【0131】
HRMS (70 eV,EI+):m/z calcd for C24H16S:336.0973,found:336.
Elemental Analysis:C,86%;H,5%。
【0132】
合成例15:中間体I−15の製造
【0133】
【化26】
【0134】
窒素環境で中間体I−14(30g、89.7mmol)をテトラヒドロフラン(THF)300mLに溶かした後、−78℃に減温した。ここにヘキサンに溶けているn−BuLi2.5M(54mL、135mmol)を10分にかけて徐々に滴加した。以降、常温で18時間攪拌した。反応完了後、水1N HCl(135mL、135mmol)を添加して反応液を中和させた。そして、酢酸エチル(EA)で抽出した後、無水MgSO4で水分を除去した後、このようにして得られた残留物をヘキサンとジクロロメタン(DCM)で不純物を洗い落として化合物I−15を29.2g(86%)得た。
【0135】
HRMS (70 eV,EI+):m/z calcd for C24H15BO2S:378.0886,found:378.
Elemental Analysis:C,76%;H,4%。
【0136】
合成例16:中間体I−16の製造
【0137】
【化27】
【0138】
窒素環境で化合物1−4 20g(55.2mmol)をテトラヒドロフラン(THF)180mLに溶かした後、ここに4−ヨードフェニルボロン酸(4−iodophenylboronic acid)13.7g(55.2mmol)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.64g(0.55mmol)を入れて攪拌した。水に飽和された炭酸カリウム 19.1g(138mmol)を入れて80℃で8時間加熱して還流させた。反応完了後、反応液に水を入れてジクロロメタン(DCM)で抽出した後、無水MgSO4で水分を除去した後、フィルターし減圧濃縮した。このようにして得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで分離精製して化合物I−16を18.1g(75%)得た。
【0139】
HRMS (70 eV,EI+):m/z calcd for C30H19BO3:438.1427,found:438.
Elemental Analysis:C,82%;H,4%。
【0140】
合成例17:中間体I−17の製造
【0141】
【化28】
【0142】
窒素環境で化合物1−4 20g(55.2mmol)をテトラヒドロフラン(THF)180mLに溶かした後、ここに3−ヨードフェニルボロン酸(3−iodophenylboronic acid)13.7g(55.2mmol)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.64g(0.55mmol)を入れて攪拌した。水に飽和された炭酸カリウム19.1g(138mmol)を入れて80℃で8時間加熱して還流させた。反応完了後、反応液に水を入れてジクロロメタン(DCM)で抽出した後、無水MgSO4で水分を除去した後、フィルターし減圧濃縮した。このようにして得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで分離精製して化合物I−17を16.5g(68%)得た。
【0143】
HRMS (70 eV,EI+):m/z calcd for C30H19BO3:438.1427,found:438.
Elemental Analysis:C,82%;H,4%。
【0144】
合成例18:中間体I−18の製造
【0145】
【化29】
【0146】
窒素環境で化合物1−4 20g(55.2mmol)をテトラヒドロフラン(THF)180mLに溶かした後、ここに2−ヨードフェニルボロン酸(2−iodophenylboronic acid)13.7g(55.2mmol)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.64g(0.55mmol)を入れて攪拌した。水に飽和された炭酸カリウム19.1g(138mmol)を入れて80℃で10時間加熱して還流させた。反応完了後、反応液に水を入れてジクロロメタン(DCM)で抽出した後、無水MgSO4で水分を除去した後、フィルターし減圧濃縮した。このようにして得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで分離精製して化合物I−18を13.3g(55%)得た。
【0147】
HRMS (70 eV,EI+):m/z calcd for C30H19BO3:438.1427,found:438.
Elemental Analysis:C,82%;H,4%。
【0148】
(有機化合物の合成)
実施例1:化合物4の合成
【0149】
【化30】
【0150】
窒素環境で化合物1−4 20g(55.2mmol)をテトラヒドロフラン(THF)200mLに溶かした後、ここに2−クロロ−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(2−chloro−4,6−diphenyl−1,3,5−triazine)14.8g(55.2mmol)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.64g(0.55mmol)を入れて攪拌した。水に飽和された炭酸カリウム19.1g(138mmol)を入れて80℃で17時間加熱して還流させた。反応完了後、反応液に水を入れてジクロロメタン(DCM)で抽出した後、無水MgSO4で水分を除去した後、フィルターし減圧濃縮した。このようにして得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで分離精製して化合物4を24.6g(81%)得た。
【0151】
HRMS (70 eV,EI+):m/z calcd for C39H23N3O:549.1841,found:549.
Elemental Analysis:C,85%;H,4%。
【0152】
実施例2:化合物6の合成
【0153】
【化31】
【0154】
窒素環境で化合物1−12 20g(42.5mmol)をテトラヒドロフラン(THF)160mLに溶かした後、ここに2−クロロ−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン11.4g(42.5mmol)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.49g(0.43mmol)を入れて攪拌した。水に飽和された炭酸カリウム14.7g(106mmol)を入れて80℃で8時間加熱して還流させた。反応完了後、反応液に水を入れてジクロロメタン(DCM)で抽出した後、無水MgSO4で水分を除去した後、フィルターし減圧濃縮した。このようにして得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで分離精製して化合物6を17.1g(70%)得た。
【0155】
HRMS (70 eV,EI+):m/z calcd for C42H29N3:575.2361,found:575.
Elemental Analysis:C,88%;H,5%。
【0156】
実施例3:化合物7の合成
【0157】
【化32】
【0158】
窒素環境で化合物1−8 20g(42.5mmol)をテトラヒドロフラン(THF)160mLに溶かした後、ここに2−クロロ−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン11.4g(42.5mmol)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.49g(0.43mmol)を入れて攪拌した。水に飽和された炭酸カリウム14.7g(106mmol)を入れて80℃で10時間加熱して還流させた。反応完了後、反応液に水を入れてジクロロメタン(DCM)で抽出した後、無水MgSO4で水分を除去した後、フィルターし減圧濃縮した。このようにして得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで分離精製して化合物7を15.7g(64%)得た。
【0159】
HRMS (70 eV,EI+):m/z calcd for C42H29N3:575.2361,found:575.
Elemental Analysis:C,88%;H,5%。
【0160】
実施例4:化合物8の合成
【0161】
【化33】
【0162】
窒素環境で化合物1−15 20g(52.9mmol)をテトラヒドロフラン(THF)200mLに溶かした後、ここに2−クロロ−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン14.2g(52.9mmol)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.61g(0.53mmol)を入れて攪拌した。水に飽和された炭酸カリウム18.3g(132mmol)を入れて80℃で15時間加熱して還流させた。反応完了後、反応液に水を入れてジクロロメタン(DCM)で抽出した後、無水MgSO4で水分を除去した後、フィルターし減圧濃縮した。このようにして得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで分離精製して化合物8を26.6g(89%)得た。
【0163】
HRMS (70 eV,EI+):m/z calcd for C39H23N3S:565.1613,found:565.
Elemental Analysis:C,83%;H,4%。
【0164】
実施例5:化合物12の合成
【0165】
【化34】
【0166】
窒素環境で化合物1−4 20g(55.2mmol)をテトラヒドロフラン(THF)200mLに溶かした後、ここに2−クロロ−4,6−ジフェニルピリミジン(2−chloro−4,6−diphenylpyrimidine)14.7g(55.2mmol)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.64g(0.55mmol)を入れて攪拌した。水に飽和された炭酸カリウム19.1g(138mmol)を入れて80℃で20時間加熱して還流させた。反応完了後、反応液に水を入れてジクロロメタン(DCM)で抽出した後、無水MgSO4で水分を除去した後、フィルターし減圧濃縮した。このようにして得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで分離精製して化合物12を27.3g(90%)得た。
【0167】
HRMS (70 eV,EI+):m/z calcd for C40H24N2O:548.1889,found:548.
Elemental Analysis:C,88%;H,4%。
【0168】
実施例6:化合物20の合成
【0169】
【化35】
【0170】
窒素環境で化合物1−4 20g(55.2mmol)をテトラヒドロフラン(THF)200mLに溶かした後、ここに4−クロロ−2,6−ジフェニルピリジン(4−chloro−2,6−diphenylpyridine)14.7g(55.2mmol)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.64g(0.55mmol)を入れて攪拌した。水に飽和された炭酸カリウム19.1g(138mmol)を入れて80℃で16時間加熱して還流させた。反応完了後、反応液に水を入れてジクロロメタン(DCM)で抽出した後、無水MgSO4で水分を除去した後、フィルターし減圧濃縮した。このようにして得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで分離精製して化合物20を25.4g(84%)得た。
【0171】
HRMS (70 eV,EI+):m/z calcd for C41H25NO:547.1936,found:547.
Elemental Analysis:C,90%;H,5%。
【0172】
実施例7:化合物44の合成
【0173】
【化36】
【0174】
窒素環境で化合物1−16 15g(34.2mmol)をテトラヒドロフラン(THF)130mLに溶かした後、ここに2−クロロ−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン9.16g(34.2mmol)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.39g(0.34mmol)を入れて攪拌した。水に飽和された炭酸カリウム11.8g(85.5mmol)を入れて80℃で10時間加熱して還流させた。反応完了後、反応液に水を入れてジクロロメタン(DCM)で抽出した後、無水MgSO4で水分を除去した後、フィルターし減圧濃縮した。このようにして得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで分離精製して化合物44を18.2g(85%)得た。
【0175】
HRMS (70 eV,EI+):m/z calcd for C45H27N3O:625.2154,found:625.
Elemental Analysis:C,86%;H,4%。
【0176】
実施例8:化合物52の合成
【0177】
【化37】
【0178】
窒素環境で化合物1−17 15g(34.2mmol)をテトラヒドロフラン(THF)130mLに溶かした後、ここに2−クロロ−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン9.16g(34.2mmol)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.39g(0.34mmol)を入れて攪拌した。水に飽和された炭酸カリウム11.8g(85.5mmol)を入れて80℃で9時間加熱して還流させた。反応完了後、反応液に水を入れてジクロロメタン(DCM)で抽出した後、無水MgSO4で水分を除去した後、フィルターし減圧濃縮した。このようにして得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで分離精製して化合物52を17.3g(81%)得た。
【0179】
HRMS (70 eV,EI+):m/z calcd for C45H27N3O:625.2154,found:625.
Elemental Analysis:C,86%;H,4%。
【0180】
実施例9:化合物60の合成
【0181】
【化38】
【0182】
窒素環境で化合物1−18 13g(29.7mmol)をテトラヒドロフラン(THF)130mLに溶かした後、ここに2−クロロ−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン7.94g(29.7mmol)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.35g(0.30mmol)を入れて攪拌した。水に飽和された炭酸カリウム10.3g(74.3mmol)を入れて80℃で26時間加熱して還流させた。反応完了後、反応液に水を入れてジクロロメタン(DCM)で抽出した後、無水MgSO4で水分を除去した後、フィルターし減圧濃縮した。このようにして得られた残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで分離精製して化合物60を9.85g(53%)得た。
【0183】
HRMS (70 eV,EI+):m/z calcd for C45H27N3O:625.2154,found:625.
Elemental Analysis:C,86%;H,4%。
【0184】
(有機発光素子の作製)
実施例10
実施例1で得られた化合物4をホストとして用い、Ir(PPy)3をドーパントとして用いて有機発光素子を製作した。陽極としてはITOを1000Åの厚さで用い、陰極としてはアルミニウム(Al)を1000Åの厚さで用いた。
【0185】
具体的に、有機発光素子の作製方法を説明すると、陽極は15Ω/cmの面抵抗値を有するITOガラス基板を50mm×50mm×0.7mmの大きさで切断してアセトンとイソプロピルアルコールと純水の中で各15分間超音波洗浄した後、30分間UVオゾン洗浄して用いた。
【0186】
前記基板上部に真空度650×10−7Pa、蒸着速度0.1〜0.3nm/sの条件でN4,N4’−di(naphthalen−1−yl)−N4,N4’−diphenylbiphenyl−4,4’−diamine(NPB)(80nm)を蒸着して800Åの正孔輸送層を形成した。
【0187】
次に、同一の真空蒸着条件で実施例1で得られた化合物4を用いて膜厚300Åの発光層を形成し、この時、燐光ドーパントであるIr(PPy)3を同時に蒸着した。この時、燐光ドーパントの蒸着速度を調節して、発光層の全体量を100重量%にした時、燐光ドーパントの配合量が7重量%になるように蒸着した。
【0188】
前記発光層上部に同一の真空蒸着条件を用いてBis(2−methyl−8−quinolinolate)−4−(phenylphenolato)aluminium(BAlq)を蒸着して膜厚50Åの正孔阻止層を形成した。次に、同一の真空蒸着条件でAlq3を蒸着して、膜厚200Åの電子輸送層を形成した。前記電子輸送層上部に陰極としてLiFとAlを順次に蒸着して有機光電素子を製作した。
【0189】
前記有機光電素子の構造は、ITO/NPB(80nm)/EML(化合物4(93重量%)+Ir(PPy)3(7重量%)、30nm)/Balq(5nm)/Alq3(20nm)/LiF(1nm)/Al(100nm)の構造で製作した。
【0190】
実施例11
前記実施例10で、実施例1の化合物4の代わりに実施例2の化合物6を用いた点を除き、同様な方法で有機発光素子を作製した。
【0191】
実施例12
前記実施例10で、実施例1の化合物4の代わりに実施例3の化合物7を用いた点を除き、同様な方法で有機発光素子を作製した。
【0192】
実施例13
前記実施例10で、実施例1の化合物4の代わりに実施例4の化合物8を用いた点を除き、同様な方法で有機発光素子を作製した。
【0193】
実施例14
前記実施例10で、実施例1の化合物4の代わりに実施例5の化合物12を用いた点を除き、同様な方法で有機発光素子を作製した。
【0194】
実施例15
前記実施例10で、実施例1の化合物4の代わりに実施例6の化合物20を用いた点を除き、同様な方法で有機発光素子を作製した。
【0195】
実施例16
前記実施例10で、実施例1の化合物4の代わりに実施例7の化合物44を用いた点を除き、同様な方法で有機発光素子を作製した。
【0196】
実施例17
前記実施例10で、実施例1の化合物4の代わりに実施例8の化合物52を用いた点を除き、同様な方法で有機発光素子を作製した。
【0197】
実施例18
前記実施例10で、実施例1の化合物4の代わりに実施例9の化合物60を用いた点を除き、同様な方法で有機発光素子を作製した。
【0198】
比較例1
前記実施例10で、実施例1の化合物4の代わりにCBPを用いた点を除き、同様な方法で有機発光素子を作製した。前記CBPの構造は下記に記載されている。
【0199】
比較例2
前記実施例10で、実施例1の化合物4の代わりにHOST1を用いた点を除き、同様な方法で有機発光素子を作製した。前記HOST1の構造は下記に記載されている。
【0200】
比較例3
前記実施例10で、実施例1の化合物4の代わりにHOST2を用いた点を除き、同様な方法で有機発光素子を作製した。前記HOST2の構造は下記に記載されている。
【0201】
前記有機発光素子の製作に用いられたNPB、BAlq、CBP、Ir(PPy)3、HOST1およびHOST2の構造は、下記のとおりである。
【0202】
【化39】
【0203】
評価
実施例10〜18と比較例1〜3で作製されたそれぞれの有機発光素子に対し、電圧に応じた電流密度の変化、輝度の変化および発光効率を測定した。具体的な測定方法は、下記のとおりであり、その結果は下記表1に示した。
【0204】
(1)電圧変化に応じた電流密度の変化測定
製造された有機発光素子に対して、電圧を0Vから10Vまで上昇させながら電流−電圧計(Keithley 2400)を用いて単位素子に流れる電流値を測定し、測定された電流値を面積で割って結果を得た。
【0205】
(2)電圧変化に応じた輝度の変化測定
製造された有機発光素子に対して、電圧を0Vから10Vまで上昇させながら輝度計(Minolta Cs−1000A)を用いてその時の輝度を測定して結果を得た。
【0206】
(3)発光効率の測定
前記(1)および(2)から測定された輝度と電流密度および電圧を用いて同一の電流密度(10mA/cm)の電流効率(cd/A)を計算した。
【0207】
【表1】
【0208】
前記表1の結果によれば、実施例10〜18で発光層として用いられた材料の場合、比較例1〜比較例3と比較した時、発光効率が顕著に高くなり、駆動電圧が低くなることが分かる。これは低い電圧で高効率素子を作ることができることを意味する。その中でも、フルオレン基を含む化合物6または化合物7を含む実施例11または実施例12による有機発光素子が最も優れた効率および低い駆動電圧を有することを確認できる。
【0209】
本発明は、前記実施例に限定されず、互いに異なる多様な形態に作製することができ、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的な思想や必須の特徴を変更することなく他の具体的な形態に実施可能であることを理解するはずである。したがって、以上で記述した実施例は、すべての面で例示的なものであり、限定的なものではないことを理解しなければならない。
【符号の説明】
【0210】
100、200…有機発光素子
110…陰極
120…陽極
105…有機層
130…発光層
140…正孔補助層。
図1
図2